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青文字:加筆改修部分
 ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.

※既に分類され,移動された項目を除く.

※荒れ気味につき,レス回収基準は「Ver.6」
 ただし創作技術側に,質問者の設定の問題の側に寄ったレスは,質問者固有の話であるので,収録対象外.


■○創作関連質問&相談スレ 68○■

目次

 【質問】 軍人の歩き方って,そんなに特徴的なの?

 【質問】 「エリア88」に出てきたような,山をくり抜いた山岳航空機基地は,現実的ではないのでしょうか?

 【質問】 中世では軍に搬入される武器の品質は,ある程度一定だったのでしょうか?

 【質問】 中世ヨーロッパでは,戦争になったら国王が農民を徴兵するの?

 【質問】 中世ヨーロッパでは,武器は自前なのですか?

 【追記】 サツマイモ「沖縄100号」

 【追記】 簡単にまとめるとあの時代(中世〜ルネッサンス期後期)の兵士・軍人は大きく分けて4つ

 【質問】 軍隊のトップが美しい女王陛下だと,それに仕える軍隊の士気や忠誠心は高くなるでしょうか?

 【質問】 自衛隊が警察からの要請で,スクランブル出動することはありえますか?

 【質問】 銃撃戦を書くにあたって、交戦中の描写の参考にできそうな内容が掲載されている資料があれば,ご教授お願い致します.

 【書評】 松本 仁一「カラシニコフT・U」

 【質問】 1600年代から1800年程度までの時代の戦艦に,何か変革はあったの?

 【追記】 非力な女性が扱える銃器

 【質問】 現実世界として,親が参謀だとしたら,その子供は優遇されたりするのでしょうか?

 【質問】 仮に中国とインドが衝突した場合,中国海軍はベンガル湾へ出てくるでしょうか?

 【質問】 あさま山荘事件で連合赤軍を勝たせるためには,最低限どんな歴史改変が必要でしょうか?

 【質問】 湖畔・沼沢地の多い限定環境下で,ホバークラフトを戦闘車両として利用できるでしょうか?

 【質問】 ナイトビジョンゴーグルのゴーグル部分は,光るもんなのですか?

 【追記】 弾薬に賞味期限はありますか?

 【質問】 中世の傭兵団は,正規軍よりもいい装備で武装してたのですか?


 【質問】 よく漫画で,歩き方だけで軍人だと見ぬく場面があるけど,軍人の歩き方ってそんなに特徴的なの?
 だとしても,似たような行進の訓練受けてる警察官やマーチングバンドと,見分けつかないんじゃないの?

 【回答】
 昔の帝国軍人は訓練,というか立ち振る舞い方の教育の結果独特の歩き方をしてた.
 歩き方,と言うよりは,
「よそ見をしない」
「首をきょろきょろ動かさない」
「背筋と両手を ,しっかり伸ばして歩く」
という,”歩くときの振る舞い方”が,一般人とはかなり違うものだった.
 「陸軍よもやま話」だったかなんかでも,脱走した兵が駅で汽車を待ってる時に,ついつい「休め」の姿勢でいたのを,憲兵に見つけられて御用,っていうくだりがあった.

 なので,そのイメージが今でも強いと思われ.

 自衛隊員も,そういう独特の雰囲気を身につけさせられるものだったから,尚更.
 最近の隊員は私服で外出してる時は,その空気が抜けてるのが多い感じだが.

軍事板,2011/11/13(日)〜11/14(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 「エリア88」には,山をくり抜いた山岳航空機基地がありましたが,こういう基地は現実的ではないでしょうか?
 迎撃機も発進まで山肌に守られることになるのは,なかなか良いと思うのですが.

 【回答】
 格納庫を山肌刳り抜いて作るというのは,スウェーデンとかに実際にあるよ.
 というか,岩盤を繰り抜いて,トンネル状の格納庫や司令部等を作るのは,オーソドックスな軍事設備の作り方.

 変わった所では,アメリカのNORAD(北米防空司令部)は山の岩塊を丸々くりぬいて,大きな空洞作って,そこにショックアブソーバーを設置した上で,ビルを載せたような構造になっている.
 これは,大威力の核兵器の直撃に耐えるため.

 そうではなく,滑走路がトンネル状になってる…というのは実在はしてない.
 そんな空母以上に発着艦の難しい施設,事故率が上がるだけで無意味.
 事故ったら完全に使えなくなるし,周囲が囲まれた滑走路で事故が起きたときのダメコンは絶望的だろう.
 それに,開口部を攻撃されたら,それで基地機能喪失.
 88でも被弾機が降りようとしてる所に,燃料切れの機が割り込んで降りようとして,シンに「排除」される場面があったが,あんな入り口兼滑走路いくつも用意してあるならともかく,滑走路で事故でも起こったら,後は全機喪失なんて,どう考えても実用的じゃない.

 そして,エリア88の面々は山間部の気流がいかに複雑で,トンネルを出た途端横風を食らっても,ものともしない猛者ぞろいだと言う点は抑えておいて欲しい.

http://www.maeda.co.jp/fantasy/project05/index.html
http://www.gundam.info/content/604

 その上,3000m級の滑走路を,まるごと掘削するなら,掘削だけで数兆円オーダーのコストがかかる.
 コストパフォーマンスを考えたら,地上に飛行場を複数分散させた方がお得.
 世界観が異なるが,たとえば「前田版ジャブロー」の全長はだいたい3.2km,幅1.5km.
 高さは同じ100mとして,総体積は4億8,000万立米.
 その1%を人工掘削するとして480万立米.
 故に4,800,000/35,000=137.
 これは地下発電所137個分.
 つまり土木にかかる費用は,掘削工事だけでも14×137=1,918億円になる.

 出撃専用という基地ならあるが,それでも着陸は普通の滑走路か強化された自動車道路,というのがほとんど.
 スウェーデンの航空基地では,サーブ 39 グリペンなんかのSTOL機は,高速道路に面した山の斜面に作った,シェルター型の発進基地からも出撃できる設計になっている.
 まあ,普通に考えれば,地上に分散して基地作ったほうがいいんだけれど,それが中々出来ない中立国スウェーデンの現状があるのよね.

 ただし北朝鮮の秘密基地(笑)には,格納庫を山体の中に隠し,そこから山を貫通した形で滑走路が付けられているものがある.
 実用性については,上述の通り怪しい代物だが.
 何しろ滑走路はバッチリ見えてる訳で.
 衛星から写真をられても,運用状況が掴まれにくい,と言う利点はあるが.

 旧日本軍も,山をくり貫いて格納庫と基地施設を置いた山中秘密要塞計画したそうだが,これも秘匿と爆撃対策だったらしい.
 実際は,トンネルちょっと掘っただけで終わったらしいけど.

軍事板,2011/11/14(月)〜11/15(火)
青文字:加筆改修部分


保留
分割の必要ありや?

 【質問】
 中世系のお話を書こうと思うのですが,中世では軍に搬入される武器の品質は,ある程度一定だったのでしょうか?
 中には粗悪なものが混ざっていたりはしないのでしょうか?
 バランスが悪く遠くまで飛ばない弓とか,作りが甘くぽっきりと折れる剣とか.

 【回答】
 中世から近世前半にかけては,職人手製工業の時代なので,「工房ごと」に品質も形状も一定しない,マチマチな武器というのが普通 .
 ただし,同じ工房で作られたものに関しては,品質が一定ってことはあった.
 例えば納入された剣100本の品質と,生産した工房の内訳が,

A工房 30本 上質
B工房 40本 平均
C工房 20本 低質

という感じに分布され,A工房製の剣を配布された奴はラッキー,C工房が当たった奴は不運,みたいな.

 そして,品質の良い製品を作ることのできる工房への評価は高い訳で,それが一種のブランド化(日本刀で言う「銘入り」品)するし,その工房の製品が欲しいって人は,個人的に工房に注文を入れて,自分用のをオーダーする.

 でもまあ,いくらA工房のが一番質がいいからって,全部の装備をA工房製にしたくても,機械工業の時代じゃないんだから,生産が追いつかないわけで,品質の落ちるB工房やC工房にも注文をかけて納入させる.
 その場合,数を揃えるのが目的ということもあるので,「打ちかかったら折れるようなもの」も,中にはある.
 根本的な誤解があるようだが,「品質管理」という概念が出来てくるのは,こと工業製品だと,かなり後のことだよ.
 斬れ続けるか?という点では,低品質であればあるほど,1人斬れば相当に鈍らにになる.
 剣豪将軍・足利義輝の最後が,それこそ自分の周囲に,今残っていれば国宝級名刀を林立させて突き刺して,斬っては替え,斬っては替えの繰り返し.
 それにインスパイアされたと思う「七人の侍」の菊千代の最期もだな.
 血糊・血脂が刃物を鈍らにし,下手すると,ただの鈍器と化してしまう.
 洋の東西を問わず,実は戦場での標準兵器は,槍だということに留意したほうが良くないかと思う.

 まあ,槍も刺し続けてなまくらにならないかと言うと,そうでもないけどな.
 なまくらになっても刺さるとはいえ…
 それに槍の場合は,「ぶっ叩きすぎて折れる」とか,「穂先が緩んで取れる」事を心配しなきゃならん.
 耐久性の限界超えれば,壊れるのは同じ.
 しょせん消耗品なので.

(脱線ついでに,刀剣も実は折れたりなまくらになるより先に,目釘が折れたり緩んだりして,柄から刀身がスポーンと抜けていくアクシデントも ,戦場では頻発するらしい.
 まあ,命かかってる戦場で,アドレナリン分泌しまくりの興奮状態で,敵の体やら頭やら甲冑を,力任せにぶっ叩きまくれば,そりゃあね… )

 ちなみに,中世でも品質を一定にする方法は,あるにはある.
 ABCのそれぞれの工房が,一番技術の低いC工房の水準に合わせて,品質を落とすこと.
 技術の一番高い所に合わせるのは難しくても,落とすのは難しくない.
 ただ,職人の心情的な問題とか,それをやるとせっかく研鑽して高めた技術が失われ衰退するとか,問題が多々あるので難しいけどな.
(まあ日本刀の名匠の品でも,大量生産用に質を落として簡易に作った,銘無しの刀剣とかがあるんだが)

 ちなみに,上記みたいな工房が,超小規模=1人とか,2人とか,ごくごくわずかなマイスターと徒弟で回しているのが,中世に多く見られる家内制手工業.
 で,組織化の天才みたいなのがボチボチと現れて,
「そうだ,職人も徒弟も大規模な工房=工場に集約して生産すれば,バラつきもなくなるし,大量生産もできるんじゃね?」
という発想で始まるのが,中世の後半期とか近世とか,ともあれ産業革命が始まるまでに発達した,工場制手工業.
 ……というのは,恐らく日本史・世界史で習う/習ったと思うが.

2972011/11/21(月) 16:28:16.71 ID:??? [248/869回発言]
>>291
短期的に儲かりさえすればいいという職人と商人,あと受け取る側である
軍の兵站担当者が結託すれば,最悪の場合
「打ちかかったら折れるようなもの」が兵士に回ってくるのもあり得ない話じゃない.

当時は賄賂や経費の水増し,中抜きなんてのはよくある事だったんで
結果的に末端がババを引かされる事も多かった.


2982011/11/21(月) 16:39:00.52 ID:??? [249/869回発言]
>>291
こと日本の戦国時代の主力は槍と鉄砲だし,中世・近世のヨーロッパでも
槍が中心だよ.
槍といってもパイクのような長物の槍で刺せなくなったらこれを鈍器がわり
にしてバンバン相手に殴りかかるのさ.

かように剣っていうのは近接戦闘にしか使えないので実際の戦場においては
あまり重要視されていない.
このため「打ちかかったら折れる」ような代物も出回ることすらある.
そういった質の不安定さ,兵士の質の悪さをカバーするために戦術がある.
陣形では「テルシオ」とかな.

日本でやたら流行っている「中世ファンタジー」というテンプレートは
「似非中世風ファンタジー世界」だから時代考証も技術考証も何もかも無視して
雰囲気だけを元にして書いているのでかなりいい加減なものでしかない.



2992011/11/21(月) 16:45:58.28 ID:??? [250/869回発言]
というか中世ヨーロッパは製鉄技術が低かったのが,折れるような剣が出回った主な原因だけどな
重要視されない以前に元々品質水準が低い
剣でこれだから槍の穂先も甲冑も総じて大抵の装備は同時代の中東やアジアに比べても質が悪い
鉄砲が実用化され始めるくらいになって技術水準が上がって精密な甲冑や良質な刀剣,
複雑な形状の長柄武器が製造されるようになってきたけど


3002011/11/21(月) 16:53:28.27 ID:??? [251/869回発言]
中世の槍など長柄武器には様々な穂先の種類があるけど
だいたいのは「これ,切れるの?刺さるの?もっといい形があるよね?これただの鉄板じゃね?」
っていうような単純な形状をしてるものが少なくない
技術が低いから生産しやすい穂先にデザインしている

まあ中国みたいに「え?これ指揮官用の高級品だよね?一般兵に無駄な装飾とか要らないはずだよね?」
とか
日本みたいに「槍が5又に分かれてるとか形状が複雑で手入れが難しいんですけど…」
とか
やり過ぎても非効率だが


3012011/11/21(月) 17:31:13.24 ID:??? [252/869回発言]
そもそも,基本的に装備は自弁なので
往々にして「軍に納入」というシステムが存在しない
と言っちゃうと,話が終わるω<中世ヨーロッパ


3042011/11/21(月) 17:36:11.33 ID:??? [254/869回発言]
ついでに,中世ヨーロッパで剣だと,
折れるより先に,鍛造した表面がこぼれた挙げ句,曲がちゃうのが普通
製法的に,叩いて斑に硬化させた物が多いから

軍事板,2011/11/21(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 中世ヨーロッパでは,戦争になったら国王が農民を徴兵するの?

 【回答】
 中世欧州という世界は「封建制」なので,常備軍の概念も無いし,維持もできない.
 そういった国軍という形の軍制は,近世後期から近代くらいにならないと出てこない.

 中世において王国をめているのは確かに国王だが,国王が国家の全てを掌握しているわけではない.
 たくさんの領主が国の中にいて,その中の代表が国王として,他の諸侯達の上に座っているだけ.
 なので国王といえど,その領地は他の諸侯より小さい場合すらある.
 「国家」という概念がまだ定着していないため,農民の側からしたら,見たことも無い「国王」より,自分たちの領主様の方が優先ということすらある.

 また,中世の場合,戦争は農閑期にしか出来ない.
 領主達にしてみても,農奴制の上にたって民を支配している関係上,農繁期にはそれこそ家族総出で収穫しないと,税金(年貢・作物)も集められなくなる.
 戦争の際には,農民達を動員して兵士に仕立てなければならないし,その食料も自弁しなければならないこともある.
 この食料なんかは当然,自分の土地から収穫されている物だな.
 武装も時に農民へ支給しなければならんので,領主といえど,そうぽんぽん戦争には参加できない.
 他国を攻めに行く場合は,準備期間を置いて何ヶ月後かに,やっと戦争というのが普通.

 そのため,中世の普通の戦争って,数百人でも大人数.
 下手すると数十人しかいないなんてのもあった.

 中世で常備軍と言えるのは,せいぜい宗教騎士団くらいかな?
 寄進された土地からの収益や金融業で,独自の経済基盤を持ってたし,手持ちの本によると,団員の騎士には武具が支給されてたらしい.

 中世・近世風の世界を舞台にしている小説を読む時に,作者がどれくらい,作品を書くにあたって勉強しているのかを判断する方法としては,作者がその物語に出てくる国家の人口を,「ちゃんと設定している」かどうかがポイント.
 農作物の生産量が国家を支えているから,ここの設定があやふやな「ファンタジー世界」は危ない.

 そもそも日本の「中世ヨーロッパ風ファンタジー」って,実際の中世ヨーロッパよりも,日本や中国の要素や条件をモデルにした上で,しかも実質的には近世ってのが多い気がする.
 対して本家欧米のファンタジーは,古代ローマ・エジプト風味が多いから,どっちもどっちなんだが.

軍事板,2011/11/21(月)〜11/22(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 中世ヨーロッパでは,武器は自前なのですか?
 傭兵などは,自前の武器を持っていたと思うのですけれども,徴集されて武器がなかったら,どうしようもないと思うのですが.
 それとも,軍内に鍛冶屋がいて,そこで作るので,軍の外部から納入するなんてことはないでしょうか?

 【回答】
 国王を含めた封建領主の部隊は,装備丸ごと自弁が当たり前.
 そもそも,軍役とその経費もろもろ込みで,領地が与えられてるんだから.

 戦争に参加した騎士や貴族が鍛冶屋をお抱えしているとか,一族郎党が鍛冶師の一団や組織を持っているとかならわかるが,そんな貴族は多数派ではないだろうな.
 そういった鍛冶屋でも,農民兵の武器なんて普通作らない,
 自分が仕えている主人の装備品を,整備・製造したりするくらいのもの.

 騎士の着るフルプレートアーマーを,全てオーダーメイドして,一から作り直すと,現在に換算しても数百万〜2千万くらいの値段になるらしいので,騎士や貴族の多くの財政状況から考えると,そうそう軍備を整えられるわけじゃないね.

 一方,日本とか中国は,領内に刀剣や武具を作る職人を住まわせるとか職人を昔から保護してるんだけどねえ…
 そうして出来上がった職人の町が,京都・大阪など近畿地方周辺に集中していて,各国の勢力が職人達に武具を発注するって形式が,源平の乱時代辺りには既にあったし,中国も前漢や後漢のあたりに,青銅器剣から鉄器刀への更新が行われた際に,青銅器よりも優位に立てる鉄刀を,いち早く揃えるため,鉄器を使える鍛冶職人を増やして,大量生産させる方式を見出している
 まあ,これは同じ封建社会といっても,東西で背景や基盤となる環境が微妙に違うからなんだけど…

 それから傭兵についてだが,中世の傭兵も色々あって,食えない騎士や貴族の稼ぎ口ってパターンだとやっぱり装備は自弁.
 ドイツ傭兵みたいに,貧乏人を駆り集めて部隊にするってパターンだと,勧誘する時は高級優遇とか甘い事言っといて,応募した所で装備代を給料から天引きするのが常道.
 で,そこで初めて,武器を扱う業者がクローズアップされてくるという寸法.

 中世レベルだと,個人装備の優先順位は低くて,個々人や部隊での購入やメンテは当然やるけど,その為に軍全体で考えたり動いたり,なんてのはあまり無いと考えておいた方がいい.
 例外は攻城兵器や大砲などのデカブツくらい.

 中世の軍にとって一番大事なのは糧秣,つまり兵士と馬の為の食糧の安定確保と供給.
 欧州中世の軍隊,特に動員兵は士気がとても低いので,食えなくなることだけでも軍が崩壊するほど,戦争するにあたっての意識は低い.
 特に農奴兵なんてのは,領主のために年貢を収めることで,最低限の生存の保証をしてもらっているという建前で,農奴として働いているのだから,生き残ることが最優先で動くことすらある.
 中世世界における軍役というのは,囚人や犯罪者が刑罰の1つとして,兵士にさせられることもままあるんだよ.
 当然,そんな連中も含めた動員兵は,統制も中々取れないし,略奪は当たり前のようにするし――略奪は中世に限った話じゃないがな――.とにかく,あの時代を小説のモデルにするのなら,日本国内で出回っているファンタジー世界のイメージは,全部捨てろ.

 あと,出稼ぎ傭兵が多いな.
 農奴兵より傭兵の方が,割合を多く占める戦争もある.
 この傭兵は,国内の職にあぶれた人間だけではなく,外国人も多いし,平民だけでなく,どこかの貴族の余り者次男三男とか,むしろどっかの領主自ら私兵を率いて,傭兵稼業というのも多い.
 ただ,これらは自分から志願して来ているので,農奴よりは士気が高いし,戦争で食っている半ば職業軍人だから,騎士より戦争経験があるって事も多い.

 まあ,給金とか占領地での略奪とかが目当てで,ろくに戦わないって傭兵も多いといえば多いし,敵と味方にそれぞれ雇われた傭兵同士で,休戦交渉勝手にやっちゃうことも多々あるが,雇うほうだって,怠けられたり遊ばれて給金だけ持っていかれたんじゃあたまらないので,応募してきた傭兵がちゃんと戦力になるかどうか,装備がバラバラ過ぎないか,最低限揃ってるか,兵士の質はどうか,真面目に戦う気があるかなどを厳しく審査し,下手すると「鎧が汚れている」ってだけで,失格になる事もある.
(もちろん雇われないし,給金は出ない.戦争に参加するのは自由だが)
 こういう審査が,後の時代の「閲兵式」の原点になっていくわけだが…
 と,余談が長くなりすぎたな.

軍事板,2011/11/21(月)〜11/22(火)
青文字:加筆改修部分


 【追記】

芋といえば戦時中に出回った「沖縄100号」なんかは早掘適性が
あって収量が極めて多くて栽培も優しいので異世界向けの品種だな.

http://www.jrt.gr.jp/diary/nikki_22.html
戦時中は収穫した物をすぐに調理してしまいまずかったという感想
が残っているが本来この品種は貯蔵性のある芋で数ヶ月貯蔵する
だけでかなりの甘みが出てくる品種だったとか.
栽培可能範囲が北は北海道,南は南洋までと栽培可能地域がとても
広い品種だとここには書いているから寒冷な気候風土の欧州でも
栽培できそうだ.
「沖縄100号」からは戦時中工業用アルコールが作られていて
航空燃料が作られ,ガソリンの代用燃料まで試作されていたとか.

>>327
ここのページにサツマイモ料理と品種についてが載ってた.
サツマイモを使ったビールなんてのもあるらしい.

http://www.jrt.gr.jp/smini/smini014.html

軍事板,2011/11/22(火)
青文字:加筆改修部分


 【追記】

簡単にまとめるとあの時代(中世〜ルネッサンス期後期)の兵士・軍人は大きく分けて4つ

【農民兵(出自は農奴)】
士気: 非常に低い〜やや低い(十分な食料と褒美が約束されている場合に限る)
練度: とても低い〜低い(軍事訓練など受けていないため)
武装: 農具,現地調達された手製の木槍,略奪品,死体から剥ぎとった物など

【騎士(領主や諸侯に使えている正規の軍人)】
士気: やや低い〜普通(待遇により上下する),時として非常に高い
練度: やや低い〜高い(経済状態の良い領主麾下かつ十分な報酬が
払われているとした場合に限る)
武装: 自前〜領主などからの一部支給,戦利品(略奪品)の下げ渡しなど

【傭兵】
士気: 低い〜普通(独立系領主に率いられた私兵団など)
練度: 様々(私兵集団が元と成っている場合領主の一族郎党が参加し練度が保たれ
ているケースもある)
武装: 原則自前,もしくは略奪品や戦利品,死体からの武装の剥ぎ取り,独立採算
の傭兵組織で領主から装備品を補填される場合もあり

【宗教騎士団(教会の私兵集団,僧兵など)】
士気: 普通〜高い(教会側に有利な大義名分がある事,「宗教上の対立」などが無い場合に限る)
練度: 様々(比較的裕福かつ騎士団の権威が強い時など,チュートン騎士団とか)
武装: 原則自前だが騎士団に所属している場合,ある程度の物品は支給される

宗教騎士団の欠点は場合によっては現場と意見が対立するとこちらの指揮に
従わない点かな.宗教的に重要な地点の奪回だとか,占領などにこだわりすぎる
ケースもある.
傭兵に関しては戦闘中に勝手に持ち場を離れたり,略奪し始めたりする事がままある.

軍事板,2011/11/23(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 漫画にありそうなシチュエーションですが,軍隊のトップが美しい女王陛下だと,それに仕える軍隊の士気や忠誠心は高くなるでしょうか?

 【回答】
 それより給料の支払いや待遇の改善のほうが効果がある.
 現代軍は,志願兵から構成されている軍もあるから,尚の事.
 きちんと給料が支払われていて,戦意昂揚の目的で,美人な女王が閲兵式などに出るとか,直接現場の兵士を激励するとかなら,多少は効果があるだろうけれどな.

 ファンタジー的な効果を狙いたいのなら,ナポレオンの大陸戦争以前くらいの想定じゃないと・・・.

 戦史では,例えばこんな例もある.

 秀吉の北条攻めの折,北条方の城,忍城を石田三成勢,上杉景勝勢,前田利家勢など3万の軍勢が取り囲んだ.
 対する忍城は兵力わずかに300.地元民を入れても2000あまり.
 しかも城主,成田氏長は小田原城に入っており,その娘,甲斐姫が指揮を取った.
 この姫様,東国一の美女といわれ,当時若干18歳.

 誰の目にも三成方圧勝と思われたが,城は堅固で抵抗を続ける.
 三成は堤防を築いて水攻めをせんとしたが,姫は自ら兵を指揮し,堤防を決壊させて三成方は犠牲者多数.
(「へうげ」で古田織部が水に流されたトコね)

 次いで三成は,真田昌幸・信繁(幸村)親子や浅野長政が到着したのち,総攻撃を開始するも,姫は逆に城門から突撃,あの真田勢すら追い散らし,勝ち鬨を上げる.

 結局小田原城が落ち,その使者がやってくることで,ようやく忍城は開城する.

 甲斐姫には度胸もあったのだろうが,美女と言う点も,やはり幾ばくかの効果はあったのではないかと思われる.

 また,三増峠の合戦において,武田信玄の側室,里美が指揮を取り,武田武士は,これを討ち取られては武士の名折れと考え,獅子奮迅の働きをしたという逸話もある(大河の「武田信玄」でもやってたね)が,どうもこちらは眉唾っぽい.

 逆の事例もある.
 あまり女を前線に出すと,逆に被害増大するっつーのは,米軍がイラクで散々経験している
 女をかばおうとしたり,張り切り過ぎて無茶したり,色々と問題があったらしい.
 また,むしろ,女性の方が冒険的で,無謀な行動を取る事が多い傾向にある.
 女性は論理的な思考や長期的計画を立てるのに向いてない,できないとか不可能というより苦手分野なのだと分析されている.



407:名無し三等兵 :2011/11/27(日) 02:19:48.99 ID:???

 ソクラテスが偉大になったわけは・・・

軍事板,2011/11/27(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 自衛隊が警察からの要請で,真犯人が乗っているビジネス機に対し,スクランブル出動することはありえますか?

 【質問】
 だいたい25年くらい前に書かれた西村京太郎の小説で,
−日本で製造されて,台湾へ空輸されるビジネス機に,真犯人が乗っている
−−離陸を差し止めようとしたけど間に合わず,呼びかけても応じない
−−−自衛隊に連絡して,戦闘機で追跡してもらおうとするが,機影がレーダーから消える
という描写があるお話があります.

 作中では,自衛隊の戦闘機はF-4ファントムで,「浜松基地から離陸した」ということになっているのですが,自分で調べてみたところ,現実の浜松基地には戦闘機部隊はいないようです.

 で,質問なのですが,
1) かつて浜松基地には戦闘機部隊がいたのでしょうか?(F-4ファントム戦闘機が現役だった頃は)
2) 今も昔も浜松基地には戦闘機部隊はいない,とすれば,作中のような状況になった時,自衛隊はどこから戦闘機部隊を発進させて,追跡するのでしょうか?
3) そもそも,自衛隊っていくら警察の要請とは言え,そういうことで出動してくれるのでしょうか?

 以上3点について,よろしくお願いいたします.

 【回答】
1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%9C%E6%9D%BE%E5%9F%BA%E5%9C%B0
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC1%E8%88%AA%E7%A9%BA%E5%9B%A3
 これを見た限りでは,50年代から70年代にかけて,練習機もしくは展示飛行機兼用のF-86を配備していたようだ.
 あと,
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-4_%28%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F%29#.E6.97.A5.E6.9C.AC
を見ると,現在の浜松には練習機としてF-4が配備されてるようだ.

 もしかして小松基地と間違えてるとか?
(作者と質問者さんのどちらがかは分からないが)

 また,術科学校の地上教材としてなら,F-4は現在浜松に配備されてる.
 術科学校の教材機は,IRAN(いわゆるオーバーホール)の際には,メーカーまで自分で飛んでいく.
 整備部所属の整備員がきちんと整備しているんで,その気になればいつでも飛ばせる.
 まあ,実戦用の機体ではないのは確かだが.

3).通常は無理.
 領空侵犯によるスクランブル発進ならともかく,警察の要請でっていうのは,警察力では対処できない「治安出動」時に限られる.
 これには内閣総理大臣の命令か,都道府県知事の要請によるものになる.
 そのビジネス機に,イスラーム過激原理主義車のテロリストが乗っていて,飛行機で中華民国総統府に突っ込むとか,ホワイトハウスに突っ込むとかいう事を実行しようとしていない限り,普通は無理.
http://ja.wikipedia.org/wiki/治安出動

 西村京太郎は「売れている推理小説」書きであって,軍事オタというわけでは無いから,面白ければどうでもいいという程度の書き方なんだろ.
 鉄道ファンではあっても,軍事マニアとかそういう人種じゃないし.
 西村京太郎は陸軍幼年学校にいた事はあるが,陸軍幼年学校出に空自のスクランブルの知識を求めるのは酷だろ.
 継続的に軍事知識のアップデートしてなきゃ分からんぞ.
 書いている作品にしたって,鉄道などを使ったトリックやアリバイ工作は,実際には実行不可能なのとか,鉄道の知識があれば簡単に見破られるのも,ぽつぽつあるのだから,「ノリだけで書いてしまった」のもあるんじゃないかなぁ.
 時刻表だけ見てトリックを考えたので,現実の駅に行くと,物理的な問題とかで実行不可能って作品が,幾つかあるそうだしね.


461:名無し三等兵 :2011/11/30(水) 22:21:55.57 ID:???

 いしいひさいちの漫画で,
「全力疾走すれば乗り換えは可能だけど,田舎の駅でそんなことをすると,目立って噂になるので実行不可能」
ってのがあったな.


468:名無し三等兵 :2011/12/01(木) 16:24:39.91 ID:???

 西村京太郎のスケジュールの合間合間に,軍事知識のアップデート時間を嵌め込む.
 そんな時刻表トリックの推理小説を書いてみました(うそ


469:名無し三等兵 :2011/12/01(木) 16:58:20.89 ID:???

 装甲列車を舞台にした,時刻表トリック推理小説


470:名無し三等兵 :2011/12/01(木) 17:04:22.84 ID:???

 山下奉文陸軍大将が,シベリア超特急で起きた殺人事件を解決する推理小説


471:名無し三等兵 :2011/12/01(木) 21:19:05.31 ID:???

 断片的な索敵情報と,軌道・残燃料の計算だけで,立ち塞がる障害を乗り越えていく小説.


472:名無し三等兵 :2011/12/02(金) 13:51:00.28 ID:???

 精神論だけで犯人を割り出す推理小説.


473:名無し三等兵 :2011/12/02(金) 13:58:01.28 ID:???
>>472
 何それこわい


474:名無し三等兵 :2011/12/02(金) 14:53:21.74 ID:???

 お集まりの皆様,たった今,犯人が決まりました!


475:名無し三等兵 :2011/12/02(金) 16:32:00.94 ID:???
>>474
 決まったんだ・・・


476:名無し三等兵 :2011/12/02(金) 18:20:45.54 ID:???

 あなたを犯人です.


477:名無し三等兵 :2011/12/02(金) 23:26:08.42 ID:???

 まるっとお見通しだ!


478:名無し三等兵 :2011/12/03(土) 08:06:06.54 ID:???

NKVD「この地雷原を突破できなかったものが犯人だ」


479:名無し三等兵 :2011/12/03(土) 08:15:53.25 ID:???

 じゃあ,俺が犯人ということで.


480:名無し三等兵 :2011/12/03(土) 13:06:53.42 ID:???

ベリヤ「同士スターリン,お集まりの皆さんが全員自白しました.」

軍事板,2011/11/30(水)〜12/03(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 銃撃戦を書くにあたって、交戦中の描写の参考にできそうな内容が掲載されている資料があれば,ご教授お願い致します.

 【質問】
 創作用の資料として、拳銃(主に自動拳銃)の資料を探しております.
 以下のような条件を満たす資料があれば,ご教授お願い致します.
 冊数が複数になってもOKです.

【取り扱いに関する資料】
・銃撃戦を書くにあたって、交戦中の描写の参考にできそうな内容が掲載されている.
・非戦闘時に行うであろう、手入れや所持等の描写の参考にできそうな内容が掲載されてる.

 【回答】
 銃撃戦中の人間については,
・「「戦争」の心理学」 二見書房
・「戦場における「人殺し」の心理学」 ちくま学芸文庫

 銃撃戦中の人間の知覚状態や心理状態が,どのように変化するのかに関しては,邦訳本の中で一番詳しい.
 警官や軍人の銃撃戦時のインタビューも豊富なので,お勧め.

 他に上田 信 氏の「COMBAT BIBLE」シリーズ.
 拳銃による銃撃戦の描写や戦術だけなら4巻,拳銃の使用方法やメンテナンスだけなら1巻だけで良いけど,世界各国の火器やその他戦術情報についても知りたいなら,2〜3巻も買った方が良い.
 どの道,1冊1000円でリーズナブルだし,漫画・イラスト形式なので,資料としても便利.

 あとは,とりあえず下記の物を入手して,そこから広げて調べていってはいかがでしょうか.

銃の基礎知識―銃の見方から歴史,構造,弾道学まで
全米ライフル協会(監修)
小林 宏明 (翻訳)

軍事板,2011/12/05(月)
青文字:加筆改修部分


 【書評】
>・拳銃についての特徴や体系,情報が記載されている.
> どういうルートで流出しているか? どういう人物(マフィアや民間人)がよく所持しているか?
>……等.
に関しては,松本 仁一 氏の「カラシニコフT・U」かねぇ.
題名の通りAK−47自動小銃が主題なんだけど,銃の拡散や密輸に重きを
置いているから,そこら辺の話題も豊富.パキスタンの銃職人とか,
銃の密輸の利幅が薄くてヒーコラしている密輸業者,銃を買うのは銃を
使うのではなく使わせる方の偉い人なので,いつも粗悪で安価なコピー銃を
支給されてorzな下っ端ギャング等いろいろ面白い.

軍事板,2011/12/05(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 想定している年代は1600年代から1800年程度まで.三十年戦争からナポレオニックくらい.
 この時代の戦艦て陸以上に変革が起きてないと思ってたんだけどそれは誤解なのかな.
 ヴァーサ号は後代の戦列艦と大して変わらないように見えたんだけど.

 【回答】
 誤解.
 ガレー船が,火力で勝る帆船に負けて衰退したのが16世紀で,レパントの海戦が象徴的.

 17世紀には戦術として単縦陣戦術が編み出され,それに伴って戦列艦が戦闘の主力となって,商船兼用みたいな軽武装艦は,海戦では脇役以下の存在に格下げとなる.

 18世紀になると金属技術が進歩してきて,火砲の威力は高くなり,船底を銅で覆う艦も現れ始める.

 他にも航海技術の進歩とか色々あるが,停滞していなかったことだけは間違いない.
 でなきゃ大航海時代なんて無かったし,ポルトガル海上帝国なんてのも存在しなかっただろう.

軍事板,2011/12/08(木)
青文字:加筆改修部分


 【追記】

5362011/12/09(金) 13:19:19.35 ID:??? [463/869回発言]
もう古いけれどベレッタM84とか
とりあえず9mm拳銃よりも小さくて装弾数は大目.


5372011/12/09(金) 13:23:42.91 ID:??? [464/869回発言]
>>531>>533
これかな?
だけど,Walther PPKは.380ACP(.32ACP)だぞ.
本当に非力な女性が扱うには少し辛くないか?

http://www.youtube.com/watch?v=F-osqSvAtec&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=enM_F7rfnNY&feature=fvwrel
重量 568g 装弾数7+1(.32ACP)


5382011/12/09(金) 13:38:26.40 ID:??? [465/869回発言]
>>536
.380ACPは「中型自動拳銃」用の弾丸だから,両手持ちでも発砲時の
跳ね上がりが大きくね?
元々警察などの治安警備・警察用の弾丸として作られているから女性の
自衛用としてみると威力過大だと思う.

現在も個人の護身用として使われてはいるけれど,どちらかというと警護に
あたるボディガードなんかが持っている拳銃に採用されているような弾丸
だから女性向けかと言われると・・・・.
特に女性でもガタイのいい米国人女性のデータとアジア人(日本人含む)女性
のデータを一緒くたにするのは駄目だ.

>>531の出している条件のような細身の女性が扱うのは辛い気がする.

この動画に出てくる白人のねーちゃんは,扱えてるけれどこれは取り敢えず
撃っているだけだしね.
体格も違うし・・・・.
http://www.youtube.com/watch?v=PBhFDkwyCsA&feature=relmfu

5542011/12/10(土) 03:56:36.98 ID:??? [479/869回発言]
>>539
>C
それだったら催涙スプレーやペッパースプレーの拳銃型のやつとかは?
ばっちり狙いをつける必要もないし反動もないよ.
普通のスプレー型だとミスって自分に吹きかける事故が怖かったりする.
アメリカの賞金稼ぎが逃亡者確保のために使うのは銃よりこの手のスプレーが多いとか.

後はテイザーガン(スタンガンの一種で有線端子を発射する奴)とかも.
厚着してる相手には効果は薄いかも知れんが,
普通のスタンガンとは違って離れた場所から攻撃できるし,
うまく当たればガチムチマッチョでも声が出せん位の勢いだw
連射はできんがカートリッジの交換はできる.

ちょっと違うものになるが,ロシアでは護身用として空砲ピストルなんてものがあったりする.
文字通り空砲しかうてないが,大音響で相手をひるませることはできる.
ロシアじゃこの手のものはあんまり厳しい規制が無いので結構需要があるらしい.
普通の拳銃に空砲を使ってもいいけど,
オートマチック拳銃だと空砲でうまく作動しないものもある(ショートリコイル式)ので
その時はブローバック式のものやリボルバーにするとよし.

でもすでに書かれてる通り,そんな状況にならないようにするのが本来なんだけどね.
仏の要人警護部隊で要人に張り付く隊員ががリボルバーしか持たない理由は
「リボルバーの弾を撃ちつくすような状態になった時点で負け.
むしろ撃たないで済むようにするのが本道」なんて話もあったりするわけで.
お話としては燃えるシチュだけどねー.

軍事板,2011/12/
青文字:加筆改修部分


-

 【質問】
 現実世界として,親が現役の参謀ポジションだとしたら(特定の階級でなくても,軍部で偉かったら),その子供,子息は優遇?というか一目置かれたりするのでしょうか?
 それとも別に関係なく,唯の下っ端将校として扱われますか?


 【回答】
 表向きはあんまり無い.
 細かな所での配慮とか,親と仲のいい軍人とか,世話になった元部下とかに目をかけてもらえることは多少あっても,凄く優遇されるなんて事は無い.
 むしろ,組織,特に,国防を預かる組織の場合,「親のコネ」で入ったは,反対にしごき上げられる教育方針になりやすいよな.
 「偉いさんの子息をぶん殴れるのは今のうち」って事で,教育などでは厳しく当たられる事の方が多く,そういう手記もある.

 そもそも軍隊は階級が全て.
 階級が低ければ,どこの偉い家の生まれだろうと関係は無い.
 例外的に王族とか皇族とかぐらい.

 これが前近代的な,18世紀までの,貴族様が軍隊の上部を占めるような時代の組織なら,親のコネ=甘やかしって図式はありうるけれど,ベースが戦前とはいえ,大日本帝国の軍組織とかだと,そういうのは無いな.

 親のコネ=甘やかしって図式は,親がワンマン社長やっている会社くらいの物なので,軍隊ではまず無い.
(組織によっては,そういう優遇が,親の昇進や自身の進退問題として問われることすらありうる)

 思うに,むしろ戦前の日本,特にWW1前後くらいまでだと,派閥的な振り分けの方が主流だった.
 第1次大戦時の遣欧日本艦隊(2個駆逐隊だけど)の,艦隊司令の人(海軍少将 佐藤皐藏 当時45歳 海兵18期)の人事だって,この人は岩手出身だから,どこの派閥にも入っていない=派閥がかばう必要が無いのが,任命の1理由だったりする.

 軍隊はセクショナリズム(部局割拠主義)の強い組織構造なので,個人の能力が高くても,「親のコネ」で入った場合,その親に敵対している組織や部署,人物などからの政治的失脚を狙った妨害なども,現実には多々あるので,「夢を」見過ぎないように注意.
 有能なのに,「親のコネ」で入ったと陰口叩かれるし,親と敵対している人間からも狙われる事を考えたらねぇ・・・.

軍事板,2011/12/20(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 仮に中国とインドが衝突した場合,インドと中国は地上の国境でしか接しておらず,海上経由だと中国海軍がベンガル湾につくまでに,南シナ海→マラッカ海峡→アンダマン海,とかなりの距離を遠洋する必要があるので,果たしてそのような遠洋をしてまで,中印戦争時に中国海軍をベンガル湾に出すでしょうか?
 中印国境は海から遠く離れてるから,地上軍の援護はしにくいと思いますし,アラビア海まで行けば,首都ムンバイ上陸という理由もできますが,果たしてそこまでやる必要があるかどうか・・・

 【回答】
 中国から見た場合,インド洋からインド沿岸を攻撃できれば,インドの背後を脅かせる.
 インドは海からの脅威に対処するために戦力を,特に航空戦力を割かなきゃいけなくなるから,陸戦の援護としては十分に機能する.

 そしてそれはインドも同じ.
 インドに南/東シナ海の沿岸を攻撃される,ということを考えたら,中国もまた,かなりの戦力を割かなきゃいけないわけで.

 ということで両軍とも,海軍は大いに戦略戦力として機能できる.
 お互いに”それ”をさせないために行動するだろうから,両国の海軍が激突することは必然となる.

 ただ,両国ともに核保有国であり,対外貿易に国富を生み出す経済のほとんどを依存してるような国.
 更に,外交的にも複雑な要素が絡んでくる.
 なので,小規模の国境地紛争以外には,現実的には有り得ないに近い.

軍事板,2011/12/23(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 あさま山荘事件を元ネタにした,歴史改変小説を書こうと考えています.
 まだ詳しいことは固まっていませんが,あさま山荘事件で連合赤軍を勝たせてみたいのです.
 タイムスリップやらオーパーツやら歴史改変やら,何でもありとした上で,それらを最低限に抑えるとした場合,最低限どんな改変が必要でしょうか?

 【回答】
 連合赤軍の中身を,馬鹿から頭の良い奴に変える,これ最強.
 この場合の頭の良さは,「勉強ができる」ではない.
 少なくとも,仲間内でのリンチとかカルト宗教化するほどキチガイになっていかない程度の「知能」を,連合赤軍メンバーに与えてから,あさま山荘事件まで持っていく,くらいの改変が必要.
 ただしその場合,知能が向上したことにより,そもそもあさま山荘事件も山岳ベース事件も起こさないだろうが.

 話の出発点があさま山荘からだと,きっついというか,無理.
 昭和20年の日本軍で米軍に勝つか,95年にオウムの武装蜂起を成功させる方が,まだ見込みがある.
(追いつめられた先のあさま山荘だからね.
 交番襲って奪った拳銃や,銃砲店強盗で手に入れた猟銃,工事現場等から盗んできたダイナマイト,以上の武器を手に入れられてたら,そもそも山に逃げなかっただろうしねぇ)

 あさま山荘事件警備の指揮官が別の人でもっとバカだったので,最初の作戦で突撃させ死屍累々,どうにもならなくなって警官隊一時退却・・・くらいが関の山だと思うが,
 それでも,あの程度の武装しかない相手なら,最初に動員した警官隊の人数でも,警官が山荘に取り付くことを阻止できないだろうからなぁ・・・.
(殉職者は2桁行くかもだが)

 もっと早い段階で,武装蜂起の中核になる精鋭を育成する一方,世論の不安定化を図り…てなシナリオなら,北方謙三「あれは幻の旗だったのか」,
砂川闘争が史実より長引いて,農民と左翼学生の間に成田タイプの連携が成立しちまって,権力側からの挑発に,カウンター打つ形で武装闘争になる話なら,藤本泉「東京ゲリラ戦線」,
コマンドウ作戦による東京首都機能破壊なら,山田正紀「三人の『馬』」,
(このテーマで,読んでてこのシーン別作品で読み覚えがあると思ったら,これが元ネタと見て間違いない)
といった先行作品もあるけど.

 というか,あんころの左翼運動をネタにする上で未読なら,立花隆「中核vs革マル」をいの一番に読んでくること.
 話はそれからだ,本当に.


779 : 名無し三等兵 : 2011/12/24(土) 16:54:14.65 ID:???

 舞台をあさま山荘から,荒鷲の要塞に変更する.


783 : 名無し三等兵 : 2011/12/24(土) 17:12:55.36 ID:???
>>781
 戦艦クラスでも1発で撃沈可能な巨砲が設置されて,1個連隊のナチ親衛隊が守ってるんですね.

軍事板,2011/12/24(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 湖畔・沼沢地の多い限定環境下で,ホバークラフトを戦闘車両として利用できるでしょうか?
 ブラッドレー装甲車と同じくらいまでの車体サイズで.

 【回答】
 武装ホバークラフトはアメリカがベトナムで試験運用したけど,問題山積みですぐにお蔵入り.
 結論としては,
「これは輸送用途に使って,初めて意味がある」
ということになった.

 あと,ミサイルや無反動砲といったものは,ホバークラフトの性格上,機動性を生かして運用するんだろうから,「撃っても全然当たんない」にしかならんと思う.
 まだ小型の多連装ロケットシステム積んで,面制圧でバラまくほうがいいだろうな.
 後方噴射の激しい兵器は,ホバークラフトの機構との兼ね合いが大変だろうけど.

 それに大型化したら,湖沼地帯での身動きが取りづらくなるんだけれど,それを考えたら大型化+重武装化は本末転倒だよね.
 機動力を生かしたいのなら,軽武装にするしかないし,大型化を推し進めるなら,多少動きは鈍重でも,重装甲・重武装で乗員の生存性を上げるとかかな.
 でも,敵歩兵が対戦車ミサイルや対戦車ロケットもってたら,終わるよね,これ.

 ホバークラフトの最大の欠点は,構造上の弱点が大きすぎる点だよなぁ.
 水陸両用車なら,車体にフロートを組み込むことで,多少は装甲が生かせるし,機動力を上げたいのなら,足回りであるタイヤを,ランフラットタイヤのような対弾性の高いものにすれば,破片防御効果も狙えるのに対し,ホバークラフトの場合,船体を浮き上がらせるための機構が大きすぎて,防御の手が回り切らない.

 それらを考えたら,フロリダとかで使ってる,背中に大きな扇風機背負った1〜2人乗りのボートに30口径クラスの重機つんだガンボートが,一番効率がいいかもね.

 ちなみに,小説になってしまうけど「ステルス艦カニンガム」シリーズのホバークラフトの運用方法は,考えられるかもと思いました.

軍事板,2011/12/24(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 漫画で,ナイトビジョンゴーグルをつけてる兵士のゴーグル部分が,赤く光ったりしたのを見たことあるんですが,実際光るもんなのですか?
 光るとしたら,あの赤いのは何を表してるんですかね?
 赤外線カメラだから赤く光るのですか?

 【回答】
 昔は赤外線を照射する暗視装置もあったけど,現在はパッシブ型で照射しません.
 照射しても赤外線と言うくらいなので,目に見えません.
 テレビやエアコンの赤外線リモコンの照射光が,見えないのと同じです.

(電気こたつの遠赤外線ヒーターも,赤く光っていないと客から.
「ちゃんと電気が入っているのか確認できない」
という苦情が多々あったから,わざと光らせている製品もあるという話があるね.
 思い込みというか慣例というか.
 赤外線が見えると言うか「感じ取れる」器官だと,蛇とかが持っている「ピット器官」だなぁ.
 デジカメならCMOSやCCD使っているから,赤外線を発しているのが,カメラに映るんだよな,リモコンとかの)

 カメラなどと同様に,レンズのコーティングによっては周りの明かりが反射した際に,色々な色に見える事もあるかも知れません.
 一番考えられるのは,作品中の表現手法として赤外線を現しているのではないでしょうか.
 暗視装置にも赤外線系と微小光増幅系がありますので,作品の中の物はどちらなのでしょうね.

 なお,与太話だけど,赤外線系の暖房機やレーザー,光でもちゃんと失明するから注意.
 見えない分凝視しちゃて,気付いたときにはゲームセットだとさ.


807 : 名無し三等兵 : 2011/12/26(月) 08:59:59.74 ID:???

スコープ鶴崎「うおっ!まぶしっ!」

軍事板,2011/12/26(月)
青文字:加筆改修部分


 【追記】

8582011/12/31(土) 00:36:15.47 ID:??? [737/869回発言]
>>855>>857
ありがとう.調べたとこ,以前に似た様な質問があったらしいので
ttp://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq09f06.html
ここの「弾薬に賞味期限はありますか?」
この加水分解っての防げばいいんだろうが,
素人目にはかなり無理っぽい気がする.

8392011/12/30(金) 21:25:28.43 ID:??? [721/869回発言]
>>837
いい例が骨董品の火縄銃などだろう.
どんなに腕のいい鍛冶が作った火縄銃でも,ほったらかしのまま何百年後でも
動くような機械は存在していない.
AKはおろか原始的な銃ですらこうなのだから.

>いわゆる文明崩壊物で,僅かに生き残った人々が使えるものを見つけた
テンプレ>>1-3を見ればわかるけれどこの設定は最初の質問の時に書いて
欲しかったかな.

文明崩壊物で現代兵器を出すなら「Metro 2033」というPCゲームが参考に
なるよ.

http://www31.atwiki.jp/metro2033/

このゲームでは,通貨の代わりに「保存状態の良い弾薬」が取引の対象
として売買に使われている.
弾薬は普通に売買できる対象ではないため,このゲームでは質の良い
武装や弾薬はレアアイテム扱いに成っている.

文明の崩壊原因となった核戦争は2013年に発生しているが,その20年後
ですら保存状態の良い弾薬は貴重品になってしまっている事を考慮すれば
完全保管状態のままで置かれている弾薬といえど,100年もすれば使い物
にはならんだろう.
厳重保管されている弾薬庫なんてのは,何かしら劣化を防ぐための保護措置
というか機械が入っている所もあるから,電力が途絶えた状態で放置されて
いたりしたら弾薬の保管期限はかなり短くなるだろうね.

8442011/12/30(金) 21:54:09.60 ID:??? [725/869回発言]
保存環境にもよるな.冷たくて湿気が多いロシア(Metro2033)や四季の寒暖差が酷過ぎる日本(朝鮮戦争のバズーカ弾)と,
年中通じて乾ききってて,日陰なら涼しい中東やアメリカ南西部を一概には論じられない.
中東の例として,1990年代初頭の軍事誌で,ハーケンクロイツがついた9mmパラベラム弾(つまりどう見ても1945年半ばより前の製造)が,
1980年代のレバノン内戦(!)で現役で使われてたって記事を読んでのけぞった覚えがある.
その後のユーゴ内戦(気候は日本に近い)でも,第一次世界大戦当時のルイス軽機関銃を,橋か何かの警備で民兵が使ってる写真見たぞ.
創刊初期のアームズ・マガジン誌だったと思うが…これはお飾りなのか本当にタマが出たのかまでは知らんけど.

ただ,AKの軍用弾だと安物の鉄薬莢使ってることが多いから,耐久性は低いだろうね.

8512011/12/30(金) 22:55:47.50 ID:??? [731/869回発言]
うお,全然別な旧ソ連系のレス付けてて思い出した,
いまどきのAKの軍用長期保存弾薬缶(でいいんだな?)ってそもそもこうだった!
http://www.hoobly.com/0/0/1105461.html
http://www.sksboards.com/smf/index.php?topic=50155.0
http://www.dave-cushman.net/shot/762x39_cartridge.html

上のはアメリカの通販店が英語圏向きに作って売ってる広告,中の真ん中あたりのはガチに1990年代のロシア製軍放出品,下は中国製.
どれも見ての通りに完全密封されてる.こりゃ中東の乾燥した日陰(特に地下)なら100年は腐りそうもないな.
あと,下のは火薬詰めなおしの参考ページなんで,その点でも役に立つかと.

8552011/12/30(金) 23:28:27.21 ID:??? [734/869回発言]
流石に弾薬は水中じゃ駄目だろ.戦車は分厚い鉄板で無酸素状態だから,酸化しても表面に止まってたわけで.
火薬が長持ちするのは乾燥した場所.しかし戦後アメリカに持ち込まれた日本製の弾薬は,同じ条件のドイツ製
弾薬より劣化が早かったそうなので,元々の作りもあるのだろう.

8572011/12/31(土) 00:16:30.79 ID:??? [736/869回発言]
>>853
有機物(火薬とかもそう)って経年劣化からは逃れられない宿命なのよ
ひょっとして冷凍すりゃいけるんじゃね?って思うかもしれないけど,
雷管の起爆薬なんかは逆に冷温に弱い.まあロシアの弾はコロシブ雷管多いんで大丈夫かも知らんけど,
それでも数百年スパンだったらまず変質しちゃって使い物にならない

軍事板,2011/12/31(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】 よくゲームやアニメの中世っぽい世界観の傭兵とかは,普通の兵士よりもいい装備を持っていることが多いですが,現実の中世の傭兵団などは,正規の軍隊よりもいい装備で武装してたりしたのですか?
 それともやはり,予算の規模が違うので,傭兵の方は割りとみすぼらしい装備だったりしたのですか?
 略奪をしていたことや,野盗などを行なっていたというお話を聞いたことがあり,現実の傭兵は,仕官ができないごろつき的なイメージがあるので,やっぱりみすぼらしい装備をみにつけていたのかな?,という印象はあるのですが.

 【回答】
 それこしピンきりだがね.
 西欧中世の軍隊の場合,傭兵だから,王や領主の直率軍だから,特に装備が良いとか悪いとかいう事は無い.
 本人達やスポンサーが,その部隊にどんな任務を行わせる積りで,実際にどこまで金掛けたかって問題.

 ゆえに時代,国,地域,傭兵の形態にいたるまで,いろいろな要素が絡み合う.
 中世より後の時代,三十年戦争の頃のドイツ人傭兵(ランツクネヒトなど)やスイス人傭兵を見ても,それこそピンからキリまである.
 比較対象の正規の軍隊といっても,これまた装備錬度にいたるまではピンきりだし.
 なんだっけか,中近世の軍隊でとある王様が率いていた軍隊の兵員数が,傭兵含めて15万くらいいたけれど,そのうち戦闘要員は4万くらいで,残りは軍隊付きの娼婦や商人,傭兵が連れてきていた家族(金や略奪で得た女達)や下僕(限りなく奴隷に近い)だったという,現代からしたら笑えない話もあった.

 中世の頃の傭兵は産業分野が未発達なのに人口がそこそこ多くて,産業に人口を吸収できる余地がなくて「喰うために」傭兵になる奴が多かったのもあるので,「日本の」アニメ,ゲーム,漫画のイメージは捨てたほうがいい.
 傭兵に進んで志願する連中は農家の次男坊,三男坊以下や下級貴族や下級軍人の次男坊以下などが多い.
 つまり基本的に,中世から近世の傭兵の多くは「棄民」といってもよい連中なので,よほど条件の良い雇い主のもとにいない限り,略奪するのが普通だから.
 喰うために戦争に付いて行き,戦場で子供を作ったらその子供が男であれば,その子供も軍隊(傭兵集団)の中で結婚して,また兵士となるっていう循環すらあった.
 ランツクネヒトの外見は煌びやかだったらしいけれど,あれは自分の持っている全財産を,いつも身に着けていただけともいふ.

 こういった連中は,実家からの財産分与の権利が無いので,戦争で一発当てようという気運が高く,傭兵を雇っている側も,給与の支払いが滞ったりした場合に,傭兵が行う略奪を「ある程度」認める諸侯もいた.

 戦争すれば常に兵糧不足ってのが多々あったし,三十年戦争の時には,カトリック側(神聖ローマ皇帝軍)の傭兵がマグデブルクで「大虐殺」やってるしな.
 あの時は人口3万人に対して約2万5,000人も殺している.
 助かった人間の多くは,傭兵が陵辱対象として確保していた「婦女子」だけで,あとのほとんどは殺され,都市には火が放たれて,街は一度灰塵に帰している.
 三十年戦争前のプロイセンて人口の2,000万くらいいたのに,戦後は約1,300万人くらいにまで人口が減っている.
(疫病もあったとはいえ,宗教対立と政治対立による殺し合いのせいもある).
 産業革命以前の世界で,これだけの減少率はかなり危ない数値.

 近世ドイツでは,都市の商人達を人質に取り,金を要求する私闘(フェーデ)を仕掛ける,農民達からは地元領主よりも好かれていた,いわゆる「盗賊騎士」と,それらに対抗するため,都市に雇われて商人達を守る「傭兵騎士」がいた.
 「鉄腕ゲッツ行状記」は盗賊騎士の自伝で,ドン・キホーテばりの活躍を見せている.
 興味があるなら,これもお勧め.

 欧州の中近世における傭兵の立ち位置としては,以下の本が役に立つよ.

・傭兵の二千年史
 (菊池良生/講談社現代新書)
・ドイツ三十年戦争
 (C.V.ウェッジウッド/瀬原義生 訳/刀水書房)
・世界史リブレット80 ヨーロッパの傭兵
 (鈴木直志/山川出版社)

 本を買うのはちょっと・・・という場合はこちらのまとめスレがお勧め.
やる夫が北方の獅子王になるようです まとめ

 あるいは,とりあえずこのリンクと関連項目を,片っ端から読んでみたらどうだい.
傭兵 - Wikipedia

 歴史上初めて,国民による常備軍(徴兵制)を導入したスウェーデン王国国王グスタフ・アドルフの話だから,中世・近世ベースの創作作品に傭兵を出すなら,見ておくと参考になるよ.



874:名無し三等兵 :2011/12/31(土) 23:31:21.27 ID:???

「金持ちケンカせず」

軍事板,2011/12/31(土)
青文字:加筆改修部分


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