c
※青文字:加筆改修部分
ただし,「である」「です」調の統一のため等の補正を除く.
※既に分類され,移動された項目を除く.
Kampfgruppe 25
目次
【追記】 中東短信
【追記】 ヘリテージ財団のデータがお気に召さないのでしたら米国防総省のデータでも.
【追記】 久しぶりの空自関連ニュース
【追記】 やっぱり駆逐艦を増やすべき
【歴史コラム】ドイツの歴史認識(1)
【追記】 結局次期F-XはF-35で決まりですか
【追記】 日本向けF-35が50億円・・・で済むわけないだろう!
【追記】 菅首相の東日本大震災における自衛隊出動のミスと言えば
【書評】 『軍事とロジスティクス』(江畑謙介著,日経BP社)
【追記】 ロジスティクスの手段としての多目的艦
【追記】 F-35以外にも採用した方がいいな
【追記】 兵站を知るにはその国の稼働率を調べてみるのも手かも知れない
【追記】 ■中共軍総参謀長,イスラエル訪問
【追記】 ■米の対北鮮政策に変化?
【追記】 ■中共,対米空母用電磁パルス(EMP)兵器を開発中
【追記】 ■わが国に必要な陸軍力
【追記】 ■世界サイバー戦争
【追記】 土地をわざわざ削ったことが運命を決定づけた(1)
【追記】 要するに日本として,事故処理を米国にほぼ丸投げしているということだ.
【質問】 水陸両用の装軌式車両は,なぜ米陸軍には配備されないのでしょう?
【質問】 戦時中の搭乗員の平均飛行時間って,どれ位だったんでしょうか?
【追記】 昨日,ポツダム宣言受諾したんです.ポツダム宣言.
【追記】
2011年7月10日(日),ギリシャで一時停船を命じられていた船舶が出港を許可されガザへ.
船の行き先はロードス島だとギリシャの沿岸警備隊は語る.(P)
2011年7月10日(日),イランがインド洋において今年2月に非公開でミサイル実験を行って
いたことが判明.イランはペルシャ湾以外でも軍事力を行使できるこ
とを誇示しており「攻撃されれば米空母を狙う」としている.(Y)
2011年7月11日(月),ガザ地区から3発のカッサムロケットが撃ち込まれた.2発はアシケ
ロンの空き地に.1発はガザ地区内に着弾.負傷者は無し.(H)
2011年8月21日(日),先週のテロに対してIDFがガザに報復攻撃を行ったため,ハマスが
停戦状態を終了すると宣言し,イスラエル南部をロケット砲などで砲
撃.IDFはさらに武器密輸トンネルなどを爆撃した.(Y,H,P)
2011年8月21日(日),ガザからイスラエル南部への激しい砲撃で,ベエルシバなどを含む各
地で10人以上が重軽傷,1人が死亡した.負傷者の中には4カ月の
乳児も.パレスチナからの違法労働者3人も負傷した.(Y,P)
2011年8月23日(火),ハマスの「停戦宣言」後にもイスラエル南部には砲撃が続き,ロケッ
トが12発着弾.ネタニヤフ首相は特別治安閣議を開きIDFの対応
を検討.IDFは激しい反撃を控えるもよう.(Y,H,P)
2011年8月23日(火),ガザ行き船団急襲事件に関する国連の報告書公開を藩基文国連事務総
長が延期.延期はこれで3度目.トルコはイスラエルの「命令」で延
期されたと主張.報告書がどちらを支持しているかは不明.(Y,H)
2011年8月23日(火),ガザからの砲撃に対する厳しい対応を求める国内世論に対して,政府
高官が「我々は戦争に先走ってはならない」と説明.(Y,H)
2011年8月24日(水),エイラット近くでバスが襲撃され8人の死者を出したテロは,アルカ
イダ関連の新しい勢力による可能性が高いと米紙が報道.「PRCの
関与は明らかだが,彼らが首謀者ではない」と米高官.(Y,H)
2011年8月25日(木),ガザからのロケット砲が初めてエジプトの住宅地に着弾.エジプト人
女性が負傷した.現地の治安部隊が警戒を強めている.(Y,H)
2011年8月25日(木),先週木曜日に起きたエイラット近くでの複数のテロ事件に,少なくと
も3人のエジプト人が関与していたと国防軍が発表.(Y,H)
2011年8月25日(木),ハマスの停戦宣言にもかかわらず,7発のロケット砲がイスラエル南
部に着弾.負傷者は無し.軍の報復攻撃でガザで1人が死亡.(Y,H)
2011年8月25日(木),北朝鮮がイランに核兵器製造のためのコンピュータプログラムを提供
したとドイツ紙が報道.両国が弾道ミサイルの情報を交換していると
の情報も.報道が証明されればイランの真意が明らかに.(Y,P)
2011年8月25日(木),機密情報を公開するウェブサイト「ウィキリークス」にイスラエル外
交に関する米国文書が4千点近く掲載された.文書は全て非機密文書
扱いで,和平交渉やイスラエル・バチカン関係などを記す.(P)
2011年8月25日(木),世界最大の家具量販店「IKEA」の創設者カンプラドが親ナチであ
ったことが90年代に明らかに.戦後になっても親ナチ的な思想を保
持していたとする本が今回スウェーデンから出版された.(Y)
2011年8月26日(金),ハマスの休戦宣言にもかかわらず,ガザから南部へ連続砲撃.カッサ
ムロケット砲10発が撃ち込まれた.負傷者は無し.(Y,H,P)
【追記】
ヘリテージ財団のデータがお気に召さないのでしたら米国防総省のデータでも.
http://t.co/toiZO68
「人種的に見ると,負傷者の75%にあたる1万5807人が白人となっており,黒人は1806人,ヒスパニックは1328人である.」
http://twitter.com/obiekt_JP/status/106409336720474112
【追記】 久しぶりの空自関連ニュース
バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年07月14日12:38
ここ最近は中国海軍の空母関連で空のニュースがなかったのですが
久しぶりの入ってきました.まずは気になるF-35関連から.
F-35の米空軍への初期生産分が当初よりも7億7100万ドル(約610億円)も
高騰してしまう見通しを明らかになりました.共和党のマケイン上院議員は
ツイッターでこれを「とんでもない」と書きこみました.
「とんでもない」 日本次期主力戦闘機F35の価格高騰に米議員が驚きのつぶやき:MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110713/amr11071310200002-n1.htm
これが即F-Xに影響はないと思われますが,これだけ高騰すると計画に
影響が出てしまう可能性も否定できません.一番いいのはSDDフォースの
レベル3をもう一回募集して日本が参加すればいいのですが果たして
もう一回募集するつもりがあるのでしょうか.F-22の再生産という手もありますが
こちらは既に生産が終了が決定しており,再生産には莫大な費用がかかります.
量産効果があれば何とか価格は下げられますのでもう一回SDDフォースを募集した方が
いいとは思いますがどうでしょうか.
続いてはいよいよアラスカで開催される米空軍主催の
多国間合同空軍演習・レッドフラッグ2011の季節となりました.
米空軍演習へ出発 小松基地のF15戦闘機 日豪訓練も予定:北国・富山新聞
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/E20110713002.htm
今年のレッドフラッグでは空自と米空軍のアグレッサー部隊との
DACTの他にオーストラリア空軍のF/A-18とのDACTも予定されています.
F-Xではサイレントホーネットが有力候補になりつつあり,それを試す意味でも
今年のレッドフラッグは防衛省も注目しているのかも知れません.
それにしてもオーストラリアでどちらかと言えば親中的な労働党政権が
誕生し,一時日豪関係は悪化したと思われたのですがいつの間にか
かなり緊密になってしまいました.まぁ「シー・シェパード」の
相次ぐ水産庁の捕鯨船へのテロ行為やそれによる海洋汚染を招いた行為が
オーストラリアでも支持を失い,さらに中国の脅威を感じるようになったのもあるのでしょう.
そして日米豪共に中道左派政権でありながら中国包囲網を築くというのは
感慨深いものがあります.
【追記】 やっぱり駆逐艦を増やすべき
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年07月20日14:40
旅行から帰ってきてあらかたニュースや軍事HPを見たけれど特に目立ったニュースもなかったのでまたも軍事コラムです.
今回は中国軍の対艦弾道ミサイルの話でもしてみます.
台湾国防省によると中国軍は対艦弾道ミサイル「DF-21」の一部を実戦配備したと発表しました.
対艦弾道ミサイルは米空母を狙えるものだと警戒を強めています.
台湾 “中国が対艦弾道ミサイル”:NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110719/t10014306671000.html
Report: Chinese Develop Special "Kill
Weapon" to Destroy U.S. Aircraft Carriers:U.S.Naval
Institute
http://www.usni.org/news-and-features/chinese-kill-weapon
この対艦弾道ミサイルは米海軍大学によれば全く迎撃できないミサイルと
言われていますがDF-21ならイージス駆逐艦からのSM-3Block2でも撃墜は可能だそうです.
また中国の対艦弾道ミサイルは実は空母用ではなく空母の支援艦隊(補給艦など)用だと言われいてます.
中国の対艦弾道ミサイルは空母破壊兵器ではない?:週刊オブイェクト
http://obiekt.seesaa.net/article/121496396.html
とはいえ支援艦隊が狙われるとなると空母の戦闘行動が制限されるのもまた事実.
またDF-21はUAVや衛星を索敵手段としているので狙えない事はないはずです.
(それがどれだけ正確な情報を得られるかは疑問なところもありますが.)
DF-21程度ならばSM-3Block2でも撃墜は可能ですがDF-21以上の射程距離を持つミサイルが
開発されたとならばSM-3では撃墜は不可能になります.
そうなると対艦弾道ミサイルを迎撃する手段はただ一つ,ICBMをも撃墜できるGBIしかありません.
GBI (ミサイル) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/GBI_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
そして移動式GBIをボーイングは提案しており,これが開発されるとなれば
艦載型のGBIも可能になります.それをイージス駆逐艦に配備して
支援艦艇の護衛に回せば対艦弾道ミサイルを封じ込める事が出来ます.
移動式GBI(ICBM迎撃可能な大型ミサイル防衛システムの自走化):週刊オブイェクト
http://obiekt.seesaa.net/article/126262031.html
まぁ某軍事ブロガーさんの言うようにそれが日本に輸出出来る可能性が高いというのは
F-22の一件を考えると難しいとは思うのですが,周辺事態で
海自の艦隊が支援艦隊として出動する場合が十分にあり得ますので
その防備のために日本に輸出する可能性は決して否定できません.
そして艦載型GBIやDF-21を迎撃するためのSM-3Block2を搭載出来るのは
空母ではなく駆逐艦なのです.結論からすれば本当に軍事的観点から
必要なのは空母ではなく,駆逐艦という事になります.
ま,東日本大震災の復興のための財源や中国海軍の空母に対抗するために
空母より駆逐艦を選ぶだろうとは思いますよ.
イージス護衛艦でBMD任務以外の任務に就いている「あたご」型護衛艦に
対艦弾道ミサイル迎撃任務に就くと私は思っていますけどどうでしょうか.
【歴史コラム】ドイツの歴史認識(1)
バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年07月20日17:17
旅行中,特急「わかしお」の中で携帯からだがドイツの戦後についてちょっと調べ,
家に帰ってきてから調べてみたい事があったので書いてみます.
西ドイツのリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領(いずれも当時)は
1985年5月8日の連邦議会の演説で「過去に対して目を閉ざす者は
未来に対しても盲目である」という名言をしたのは結構有名な話です.
ところがヴァイツゼッカー氏の父でナチス政権時代の外交官であり,
ニュルンベルク裁判で「犯罪組織」(早い話がテロリスト扱い)と認定された
ナチス武装親衛隊少将だったエルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー氏(故人)が
平和に対する罪(A級戦犯)で有罪判決を受けた時に回顧録で
「まったく馬鹿げた非難だった.真実をちょうど裏返しにした奇妙な話である」と
この有罪判決を厳しく批判しています.また父が反ユダヤ主義者であり
フランスのユダヤ人のアウシュヴィッツへの護送に協力した件で
人道に対する罪で有罪判決を受けた件については意図的に言及を避けています.
つまり自分が一番過去に対して目を閉ざしていたという何とも言いようのないオチでした.
リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%84%E3%82%BC%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC
まぁここでヴァイツゼッカー氏を吊るしあげる気はないんですけれども.
前にも日記で書いたけれどもドイツの歴史認識とは「国防軍は悪くなく,
むしろ無罪でありナチスという政党の政権による犠牲者だった.
悪いのはナチスという政党とその私兵である親衛隊である武装親衛隊,
国家保安本部(ゲシュタポ),アインザッツグルッペン(特別行動部隊)だったという認識です.
この事情が知られると1980年代から始まった「日本もドイツを見習え」という声はマスコミから一斉に消えてしまいました.
当然でしょう.日本の場合は下村定陸軍大臣(陸軍大将)が1945年11月28日の
帝国議会衆議院本会議の答弁で「一部の軍指導者と軍人に問題があった」という認識とは違うのですからね.
そしてドイツではホロコースト(ユダヤ人虐殺)はあくまでもナチス政権による
刑法を無視した殺人罪(ドイツでは謀殺罪)により非合法化されており
かつナチスを犯罪組織という認定の元でナチス戦犯を刑法で裁いているのです.
これは当然でしょうね.裁判による法的手続きによらないでユダヤ人を拘束し,
強制収容所(刑務所ではない)に拘留して殺害していったのですから.
日本の刑法だってこんな事をしたら殺人罪に問われるでしょう.
ドイツの歴史認識 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E8%AA%8D%E8%AD%98
だからナチス戦犯という表現はちょっと不適切で「ナチス殺人犯」というのが適切な表現です.
そして上記のヴァイツゼッカー演説の趣旨は早い話が「ナチスの自国民への
殺人行為を知らなければまた同じ事をやらかしかねないからこれを知り,
かつナチスが再興しないように監視せよ」という意味なのですね.
で第二次世界大戦の認識についてはどうなのか.
長くなるので一回切ります.
バルセロニスタの一人 in mixi,【歴史コラム】ドイツの歴史認識(2)
2011年07月20日17:46 前の日記の続き.ではドイツ国防軍は「清廉潔白な国防軍」で
ホロコーストにも関与していなく,ただ国のために戦ったというのが
戦後ドイツの認識で,国防軍の軍人(ロンメル,メルダースなど)は
ドイツでは今も英雄です.現在の連邦国防軍の駐屯地の名前にもなったり
基地の博物館でも英雄として祭り上げられています.
ドイツ統一後はこの国防軍もホロコーストに関与し,ユダヤ人虐殺を
していたという指摘がありますがこれについては異論が噴出,
「自虐的」という批判がなされ「集団の罪を主張する事は嘘であり
罪はつねに個人的なもの」という批判さえあった.まぁこの
集団の罪を否定したのはヴァイツゼッカー氏なんですけどね.
ドイツではよく戦後補償をしていると言われていますが対象なのは
ユダヤ人やナチスの支配に抵抗し,強制収容所に投獄された人々です.
それも自国民優先で.では戦争についてはどうなのかと言えば
他国だってやったんだからドイツだけ言われる筋合いはないというものです.
だからドイツでは国防軍の戦争犯罪には今でも消極的・否定的なんですね.
またナチスの犯罪行為について時効を廃止したとありますが,
実は単なる殺人罪の時効廃止なだけでナチスだけという事もなかったわけです.
さらにはドイツでは旧領土だった東プロイセンがソ連やポーランドが占領し,
住んでいたドイツ人が追放された事についてポーランドやチェコに対して
補償すら求めています.日本で言えば満州や朝鮮半島からの引揚者の
補償を中国や韓国,北朝鮮に求めるようなものです.
1970年に当時のヴィリー・ブランド首相がポーランドを訪れた際にワルシャワゲットーの慰霊碑で
ひざまついてナチスの犯罪に対して深い謝罪をした一方で,帰国したら
ポーランド領になっている東プロイセンのドイツ人追放は正当化される事はないと明言,
このドイツ人追放問題はドイツとポーランドの間で現在も続いており関係悪化の原因となっています.
ポーランドにしてみればドイツの侵攻・占領について謝罪と賠償をして欲しいものの
ドイツは一貫して拒否.ヴァイツゼッカー氏ですら「ヒトラーのポーランド進駐」と言って侵略戦争だった事を否定しています.
そればかりか,独ソ戦は防衛戦争だったという意見,問題はヒトラーではなく
ルーズベルトだったという田母神論文顔負けの主張すらあるくらいです.
ちなみにこれナチスを賛美したわけではないから合法なんですね.
逆に他国のケースとホロコーストを比較するのはドイツでは違法とされています.
前に韓国の盧武鉉大統領(当時・故人)がドイツを訪問した際に
日本の朝鮮の植民地支配とホロコーストを比較してユダヤ系ドイツ人団体に強く批判された事があったのはかなり新しい話.
まぁ戦争犯罪と民族浄化を目的とした殺人では比較にはなりませんけどね.
もちろん日本軍の戦争犯罪を否定する気はないですし,むしろ批判されるべきだとは思いますが
ドイツはやっぱり参考にならないなあ.むしろ国防軍美化し過ぎて
議論すら出来ないのだから反面教師と思うけど.
ところで日本ではドイツの言う「過去の克服」は既に行われていました.
前出の下村定陸軍大臣の答弁です.
下村定 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E6%9D%91%E5%AE%9A
「いわゆる軍国主義の発生につきましては,陸軍と致しましては,陸軍内の者が軍人としての正しきものの考え方を誤ったこと,とくに指導の地位にあります者がやり方が悪かったことと,これが根本であると信じます.このことが内外のいろいろな情勢と,複雑な因果関係を生じまして,ある者は軍の力を背景とし,ある者は勢いに乗じまして,いわゆる独善的な,横暴な措置をとった者があると信じます.ことに許すべからざることは,軍の不当なる政治干渉であります.かようなことが重大な原因となりまして,今回のごとき悲痛な状態を,国家にもたらしましたことは,何とも申し訳がありませぬ.私は陸軍の最後にあたりまして,議会を通じてこの点につき,全国民諸君に衷心からお詫びを申し上げます.陸軍は解体を致します.過去の罪責に対しまして私共は今後,事実をもってお詫び申し上げること,事実をもって罪をつぐなうことは出来ませぬ.まことに残念でありますが,どうか従来からの国民各位のご同情に訴えまして,この陸軍の過去における罪悪のために,ただいま齋藤君の御質問にもありましたように,純忠なる軍人の功績を抹消し去らないこと,ことに幾多戦没の英霊にたいして,深きご同情を賜らんことをこの際切にお願いいたします.」
既に日本では個人の罪が問われていたんですね.
そして集団の罪を否定していますし.まぁヴァイツゼッカー氏の
発言は間違いとも言えないですけどね.国防軍の一部軍人のせいで
ヒトラーやナチスに抵抗し,暗殺計画まで建てて処刑された
軍人まで否定するのはどうかとは思いますし.
ただ戦争犯罪をタブーにするのはどうかとは思いますけど.
それすらも総括した日本が憲法改正して自衛隊を国防軍に改称しても
問題はないとは私個人としてはそう思うのですがね.
【追記】 結局次期F-XはF-35で決まりですか
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年07月26日11:04
毎度おなじみF-Xニュースで新たな動きが出た模様です.
米ロッキード・マーチンのスティーブ・オブライアン担当副社長が
22日に都内の記者会見で時事通信の取材に対して
1機当たりの価格が約6500万ドル(約51億円)に抑えられると明言しました.
F35,1機51億円=製造ライン日本に−米ロッキード幹部:時事通信
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201107/2011072200609
防衛省が選定を進める次期主力戦闘機(FX)について,F35を推す米ロッキード・マーチンのスティーブ・オブライアン担当副社長が22日,都内で取材に応じ,1機当たりの価格が約6500万ドル(約51億円)に抑えられるとの見通しを明らかにした.同機は割高な価格がネックとされてきただけに,選定作業に影響する可能性がある.
ステルス機の開発を進める中国の動向にも触れ,「中国が多額の投資を行っている事実を注視すべきだ.(FX候補で競合する)米ボーイング社のF18では抑止力は不十分だろう」とけん制した.
同氏は「2016年から30年にかけ,毎年3機ずつ購入した場合,平均価格は1機当たり6500万ドル程度になる.最終的には米空軍への納入価格と同等以下になるのではないか」とした.
同省サイドが望む日本企業の参画については「選定されれば日本国内に製造ラインを持ちたい」とした上で,三菱重工業など複数企業に協力を依頼する意向を示した.
この51億円とはまぁ量産効果によるものなんでしょうけどね.
日本でも生産委託が行われますから空自が強く求めている
「国内生産による兵站の維持に基づく高稼働率」はなんとか維持できそう.
さらに三菱重工を筆頭に製造ラインが委託されるので
国産戦闘機の開発・製造に乗り出すために腕を磨いておきたい防衛産業には
持ってこいの話です.もうここまできたらF/A-18E/FブロックUや
ユーロファイター・タイフーンの出る出番はなさそうですね.
欧州兵器ヲタである私にしてみれば実に残念ではありますがw
既に東京新聞などこんなニュースをも配信していますし.
記事の論評はともかく内容は注目に値します.
FX飛ばさず選定へ 防衛省 1兆円の買い物なのに…:東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011072402000025.html
さらに三菱重工の株価も上昇中.どうやらオブライアン副部長を取材した
時事通信の記事が大きく影響したようです.
【チャート・ワンコメント】「F35戦闘機」で三菱重工に動意,政権交代なら一気に上放れも:財政新聞
http://www.zaikei.co.jp/article/20110724/76609.html
まぁF-35が決まったも同然の話になるのは当然でしょう.
何しろLM社は本当はF-22を日本とイスラエルに売りたかったのに
ダメになってしまったからF-35だけでも,という話にはなりますね.
イスラエルでも同じように生産分担などが行われるでしょう.
■追記
まぁ多分アビオニクスやら兵装を含めるとこれの倍は行くでしょうけどね.
でも高稼働率が維持できるのなら空自はF-35を選ぶでしょう.
空自にとって最新鋭戦闘攻撃機と高稼働率の維持はセットでなければならないのですから.
【質問】
P-1の不具合発生は痛手ですか?
【回答】
防衛省が今年度中に配備を予定しているP-1哨戒機に,複数のひびが発見された事により,来年度以降の配備が延長される事になりました.
――――――
純国産次期哨戒機,機体にひび…配備先送りへ:読売新聞
防衛省が今年度中の部隊配備を目指して開発している次期の哨戒機「P1」の機体から,試験中に複数のひび割れが見つかり,同省が配備を来年度以降に先送りする方針を固めたことが,分かった.
P1は,現行のP3C哨戒機の後継機として開発する初の純国産哨戒機で,新しい防衛計画の大綱で打ち出された「動的防衛力」の柱の一つとなる装備.
中国海軍の動向を監視する役割などを担うが,配備の先送りは,自衛隊の警戒監視態勢に痛手を与えそうだ.
――――――
それにしても,この意味不明なテンパリ具合は何なんだろう.
まだ開発中の機体で,不具合を発見した事は,むしろ歓迎すべき話.
それで機体の改善が出来ますからね.
F-35だろうがP-1だろうが,不具合が発見されないまま調達したら,その不具合による事故が発生する可能性があるんですが.
本日の戦闘機ニュース(1)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1595648395&owner_id=23170483
それにこれは幾らなんでもないわ.
>中国海軍の動向を監視する役割などを担うが,配備の先送りは,自衛隊の警戒監視態勢に痛手を与えそうだ.
中国海軍はP-3Cでも,恐怖に思っているわけなんだけど.
2004年の漢級原潜事件では,日本領海を侵犯した漢級原潜を,海自のP-3Cは数分のロストだけでしっかりマークしていた.
また中国海軍の原潜は,米海軍のSOSUS網を解明するために,威力偵察紛いの行動をするも,嘉手納の米海軍P-3C部隊が封殺してきた.
海自のP-3Cは80機あり,米海軍に次ぐ数を保有しています.
P-1が遅れたぐらいで「警戒監視体制の痛手」って,いくら何でも大げさでしょう.
バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年08月02日09:04
青文字:加筆改修部分
【追記】 反米がしたいためにモンキーモデルを理解していない人ばかりだけど
バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年08月08日10:59
どうもスペックダウン=モンキーモデルと勘違いしている人をよく見かける事が多い.
例えばこんな人.
航空自衛隊におけるFI(要撃戦闘機)至上主義とFX導入の是非の考察:海を往く者
http://ukmto.at.webry.info/200901/article_3.html
2.実戦配備されても過去のF−15のようにモンキーモデルを売りつけられる可能性がある(F−15では第三世界向けの非MSIP機を実際に売られた)
モンキーモデルとは国の兵器を他国へ輸出する時に,輸出用に意図的に性能を低下させた物の事だが
これはソ連がよくやっていた手法でした.ソ連にしてみれば軍事同盟を結んでいる国が寝返る可能性があり
そのためにソ連の最先端の軍事技術が流出してしまう危険性があったのでわざと装甲を複合装甲から
均質圧延装甲にしたり,装弾筒付翼安定徹甲弾を劣化ウランやタングステンではなく鋼鉄製のものにしたりしました.
そのため湾岸戦争やイスラエルのレバノン侵攻ではシリア軍やイラク軍のT−72戦車などは
西側やイスラエルの戦車に一方的に撃破されてしまったそうです.
モンキーモデル - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
ではF-15はどうなのか?確かにF-15のECMを統括する戦術電子戦システム・TEWSは
日本・イスラエル・サウジアラビアには輸出は認められませんでした.最先端のシステムの
流出を恐れた米議会が法律で禁止してしまったのです.しかしTEWSの代替は
日本やイスラエルでは国産品を開発したのであまり問題とはなりませんでした.
まぁ頭脳にあたる部分の一つなので重要と言えば重要なのですが,ソ連みたく
意図的に機体の部位を弱くしたり,兵装を弱くしたりはしませんでしたし,
日本もイスラエルもTEWSの代替を開発できる能力があったので問題になる事はならなかったようです.
しかもTEWSの代替品を搭載していても空自もイスラエル空軍も普通に乗りこなし,
空自は要撃航空能力では世界第3位,イスラエルに至っては第2位で飛行時間も
米空軍より上となっています.ですのでこれはスペックダウンというべきで
モンキーモデルとは言えないのではないかと思うのですが.
ちなみにアメリカから輸入された海自のP-3Cもスペックダウンがなされている事が予想されていますが
それでもソ連やロシア,さらには中国の原潜を探知をするだけでもオーバースペックと言えるぐらいの
能力を保持しています.2004年の漢級原潜事件では数分のロストだけでほぼ完全にチェイスできていました.
中国海軍では海自のP-3Cが哨戒している間は原潜を第一列島線を突破は控えるぐらいとなっています.
反米なのは結構なのですがモンキーモデルという言葉ぐらいは理解しましょうよ.
なお中国空軍のSu-30はそのモンキーモデルがなされている可能性は十分にあります.
何しろMiG21をパクられた上に第3国に売却までされた経緯がありますからね.
【追記】 中国脅威論はやっぱり怪しいんでないかい
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年08月08日21:30
2年前のレコチャを見てましたけどこんな記事が載っていました.
<09年軍事力ランキング>1位は米国,中国は4位―英軍事専門誌:Record
China
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=35347&type=1
4位の中国に関しては,「膨大な軍事費を投入して多くの先進技術を導入し,軍事力の向上に大きな成果を収めた」とし,「特に宇宙科学技術と弾道ミサイルについては欧州各国よりも優れている」と評価した.ただし,「基礎工業力が弱く,加工技術がまだ十分発達していないことなどが中国製の武器の品質に影響している」と指摘した.
基礎工業力が弱いという時点で既に致命的です.また加工技術がまだ十分に発達していないとなると
もう戦闘攻撃機の魔改造はおろか,モンキーモデルやスペックダウンで輸入された戦闘攻撃機の
部品の代替すら怪しいわけです.実際前の日記でも書きましたけどロシアは中国にモンキーモデルの
Su-30を輸出している可能性が高く,そうなるとそれの代替部品の製造が出来ないとなると
湾岸戦争やイスラエルのレバノン侵攻の二の舞になる可能性があります.
さらに中国の悪い一面として武器をコピーしてしまう癖があります.コピーだとオリジナルと同じ性能が出ないので
それが品質に影響してしまう可能性が高いのです.となるとこの記事も何だか怪しいような.
多様な中国の無人機開発動向に注意が必要:航空宇宙ビジネス短信・ターミナル2
http://aviation-space-business.blogspot.com/2011/08/blog-post.html
中 国ヘリコプター開発研究院Chinese Helicopter
Research and Development Institute,はZ-10攻撃ヘリを設計していることで知られるが,2006年にU-8E(重量220Kg)を公試しているが,PLAが採用したか
は明らかではない.またヤマハ発動機のモデルをコピーしたRMAXのあとをうけて偵察用のラジコン無人ヘリを開発するメーカーがあり,警察用に垂直離陸
UAVが納入されている.
また言うに事欠いて小日本からの技術のコピーですか.これは民警用に使用されているとの事ですが
ヤマハのラジコン無人ヘリとはFFOS(遠隔操縦観測システム)で陸自では無人偵察機として使用されています.
2007年からは改良型の新無人偵察機システムに移行しつつあります.
遠隔操縦観測システム - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A0%E9%9A%94%E6%93%8D%E7%B8%A6%E8%A6%B3%E6%B8%AC%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
ただコピーなだけにオリジナルの性能は出る事はないでしょうね.
ター ボジェット,ターボファン動力UCAVの開発もされている.台湾ではPLA空軍がJ-6戦闘機をUCAVに改造してすでに300機以上が配備されていると指摘し
ている.超音速のこれらUCAVは精密誘導ミサイル発射が可能なため台湾は地対空ミサイル防衛の拡充を迫られている.
J-6のUACVって,J-6って何年前の機体よ?
J-6 (航空機) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/J-6_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
MiG19の中国コピーをUACVですか.何だかスティンガーでも撃墜可能なような気がしますが・・・.
成都航空機の天翼Tianyi はグローバルホークの三分の二程の大きさで2008年にテストが確認されている.配備されれば,中国が領海と主張する東シナ海,南シナ海を活動範囲に入れるだろう..2006
年には瀋陽航空機がダークソードDark Swordの構想を珠海ショーで発表して波紋を生じた.無人空対空戦闘航空機との説明であったが,その後の展示はない.ただし,中国航空博物館でPLA航
空部隊設立60周年特別展示が2009年にあった際に同機モデルが展示されていたことから同構想はまだ開発が継続されているのではないかとの観測が生まれている.また中国製第5世代戦闘機として超音速無人機が攻撃,防空任務につく可能性もあろう.
さ らに超高空飛行UAVが偵察,エネルギー兵器運用,大量兵員輸送の各種任務に使われる可能性を米国は注視しており,実際に中国航空宇宙工業並びに各大学研
究センターがこの構想を研究中だ.研究の中心は高高度運用の飛行船でとりあえずは監視・通信中継が目的で太平洋上空出の運用が想定されている.
ま たPLAは多額の研究開発努力を極超音速で準宇宙高度・低周回軌道を飛行するUAV/UCAV開発で続けており,2007年に成都の神龍Shenlongが
ボーイングX-37Bと同サイズの小型宇宙機として存在することが判明している.すでに同機が準軌道飛行を2010年ないしそれ以前に試験実施しているとの報道
がある.また未確認報道だが成都が極超音速技術試験機をテストした可能性がある.米空軍の構想では同じような性能の機体の運用開始は2030年としている
が,中国が先を越す可能性はないか.
いや,基礎工業力もなく加工技術も発達していないのにどうやって準宇宙高度も飛べるUAVなんか作れるのですか?
技術がないからアメリカにスパイを送って技術を収集しているわけでしょう.
実際CIAのスタッフが中国とフセイン政権時代のイラクに機密を渡して逮捕され,裁判で
死刑判決を受けたという話もあるくらいですし.
それでいて米国を追い越すってそりゃいくら何でも無理でしょう.RQ-4クラスの戦略無人偵察機って本当に作れるのですかね?
それにUAVで大量兵員輸送に貢献できるんですかね?そりゃ無人操作の輸送機の話は聞いた事がありますが・・・.
まぁこれだけ大風呂敷を広げてもJ-20のようにエンジンの排気口の部分がステルス加工されていなかったという
締りのない話もあるわけでこれだけの計画を実現できるかどうは疑問ですね.
もちろん警戒に越した事はないとは思います.
■追伸
明日は秋葉原の病院に行った後で図書館で兵站に関する本を借りたりする予定なので
明日の日記更新はないかも知れません.どうかご了承下さい.
【追記】 日本向けF-35が50億円・・・で済むわけないだろう!
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年08月16日19:00
久しぶりのF-35ニュースですがいくら何でもこれ記事にするには当初迷いました.
あまりにも馬鹿馬鹿しい記事なので・・・.
ロッキード・マーティン社の幹部は日本向けF-35は1機50億円で済む事を明らかにしました.
F35,日本向け1機50億円 次期主力戦闘機でロ社幹部:共同通信
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011081601000221.html
日本の次期主力戦闘機候補である次世代ステルス戦闘機F35の価格は日本政府が購入する場合,1機平均6500万ドル(約50億円)程度になる可能性がある.開発主体の米ロッキード・マーチン社幹部が15日,明らかにした.
いや,それ本当にアビオニクスとか込みでその額ですか?どう見てもそうは思えないのですが・・・.
まぁこれアビオを抜いた機体の額か,量産効果による額なのでしょう.ただ日本で組み立てや
一部部品の生産委託があるのでそれぐらいを目途にと私は思っています.
いくら何でもこの額はないわ・・・.
【追記】 菅首相の東日本大震災における自衛隊出動のミスと言えば
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年08月16日19:30
某マイミクさんに頼まれた記事です.
東日本大震災が発生した時に菅首相は迅速に自衛隊の災害派遣の出動を命じました.
もっともこれは小泉元首相や安倍元首相が行った事とほぼ同じなのですが,
それでも「民主党内閣は危機管理に弱い」というイメージだけは払しょくした・・・と思われていました.
しかしどうもそれは甘かったようで・・・.
菅首相の唐突な増派方針に自衛隊が混乱:イザ!ニュース
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/496048/
東日本大震災での自衛隊の派遣態勢をめぐり,菅直人首相が唐突に増派人数を打ち出している.被害の甚大さが日を増すごとに明らかになり,人命救助が時間との戦いであることも事実で,増派自体は妥当だ.だが首相は政治主導を示そうとして,防衛省と十分に相談することなく「自らが数字を指示することにこだわりすぎている」(防衛省幹部)ため,防衛省・自衛隊に混乱を与えている.
(略)
「12日夜までに6万5千人態勢となったが,一両日中に10万人態勢を整える」
北沢俊美防衛相は13日午前,記者団にそう述べた.ところが同日夜になり,防衛省は「一両日中」としたはずの10万人態勢の完了時期を「1週間をメドに」と後退させた.朝令暮改とはこのことで,「自衛隊の運用に通じていない」(自衛隊幹部)ことを露呈した.
6万5千人だけも本格的な災害出動ではかなり急いだ方なのに一両日中にさらに3万5千人増員して
10万人にしろって・・・.それ米軍でも無理ですよ.しかも後に1週間を目途にと変更しています.
これでは現場が混乱するのは当たり前です.新潟中越地震の時の小泉首相(当時)や
谷垣財務相(当時)だったら絶対に言わないでしょう.
そりゃ確かに日本国内だから動員できると言えば出来ますが,兵員を運ぶ機動力や補給を含む兵站,
さらには道路事情や被災地の状況を把握もせずにいきなり増やせなんて現場が混乱するだけでしょう.
せめて米軍に頼んでアラスカ(アラスカは東北に一番近い)からC-17なりC-5を借りるなりすればいいのに
それを自衛隊独自でやれなんて無理です.それだったら防衛費を上げて機動力を強化すべきでした.
【軍事・特集】今こそ防衛費を上げて自衛隊の機動力を強化する時(空自編)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1697558786&owner_id=23170483
【軍事・特集】今こそ防衛費を上げて自衛隊の機動力を強化する時(海自編)(訂正あり)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1697621938&owner_id=23170483
【軍事・特集】今こそ防衛費を上げて自衛隊の機動力を強化する時(特別編)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1698091087&owner_id=23170483
【軍事・特集】今こそ防衛費を上げて自衛隊の機動力を強化する時(陸自編)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1702387946&owner_id=23170483
その10万人の根拠ですが首都直下型地震への対処計画ですが,それにしても防衛省に
事前に打診もなく部隊の増員なんていきなりは無理でしょう.
防衛省幹部によると,5万人への増員すら官邸から防衛省に事前に打診がなかったという.首相の指示を受け防衛省はあわてて要員計画の見直しに入った.
混乱はすぐにあらわになった.防衛省は12日午後4時15分から1時間あまり,5回目となる省内の災害対策本部を開いた.終了後1時間以内に記者説明が行われるのが通例だが,このときは約2時間半後の午後7時45分までずれ込んだ.
自衛隊には災害派遣の経験を踏まえ,どの程度の人員が必要かの蓄積がある.それをもとに「増派に向けた行程表(ロードマップ)を作成しようとしたがつくるのをあきらめた」と防衛省幹部は語る.
しかも,さらに首相が10万人へと増強を指示したことで,再び計画の練り直しが必要となった.度重なる変更による混乱が,初めて国内災害で本格的な救援活動をする自衛隊と米軍の運用計画の策定に支障を来した可能性もある.防衛省は12日朝は北海道の陸自要員約900人などを米艦艇で輸送してもらうことで「調整中」としていたが,12日夜になり「白紙」とした.
5万人に増やす事すら事前に打診もなかったのですか・・・.
そりゃ防衛省も現場も混乱し,時間がいたずらに過ぎるだけです.
その上10万人ってそりゃ防衛省・自衛隊を引っ掻き回すだけでしょうに.
北海道の部隊900人を米海軍の艦艇で輸送する事で調整はしたものの,結局白紙となる始末.
しかもそれで自衛隊の米軍の運用計画に影響が出たとしたら本末転倒もいいところです.
まぁツイッターにあった1週間も救援が来なかったという話は事実確認が必要なので
断定はできませんが,もしこれによる影響が出たとしたらそれもあり得るかも知れません.
まぁ本人としては嫌でしょうけどせめて新潟中越地震を経験した谷垣自民党総裁や
小泉元首相にノウハウ伝授のために官邸に呼びましょうよ・・・.
【書評】 『軍事とロジスティクス』(江畑謙介著,日経BP社)
久しぶりに松戸市立図書館で故・江畑謙介氏の本を借りました.
今回私が借りたのは,兵站(ロジスティクス)に関する本です.
これがなかなかの一品で,正直私ごときの日記だけで収まるものではありません.
中でも面白かったのは,米軍のシーベース構成部隊に関する記述です(P292〜294).
当初の計画では,海上移動基地と呼ばれるモジュールを導入する予定でしたが,予算の関係があったのか諸問題が噴出して,しばらくは空母打撃群,遠征打撃群,さらに海上事前集積船隊を拡張した海上事前集積艦群で構成するという事です.
そしてこれが,米軍の渡洋侵攻能力の一つを構成しています.
空母打撃群とは,1隻の空母とそれを護衛する水上戦闘艦(CG,
DDG, DD, FFG),潜水艦(SSN)を指します.
CGは巡洋艦,DDG,DDは駆逐艦でイージス駆逐艦の事です.
FFGはフリゲート艦を意味します.
SSNは原子力潜水艦です.
空母1隻に対して,8隻の水上戦闘艦と補給艦,潜水艦となると2隻が護衛に就くのが基本のようです.
空母打撃群 - Wikipedia
遠征打撃群とは3隻の強襲揚陸艦,3隻の水上戦闘艦(GC,DDG,FFG),揚陸艦上の海兵遠征群(MEU)で構成されます.
MEUは歩兵大隊,混成ヘリコプター中隊,兵站部隊,司令部部隊で構成されその兵力は2200名.さらに海兵航空部隊がそれに加わります.
遠征打撃群 - Wikipedia
空母打撃群は内陸部への攻撃,地上部隊への航空支援,シーベース構成部隊の防衛を任務とし,遠征打撃群はある程度の制海任務と,当然ながら強襲揚陸作戦を任務とします.
そして兵站を担う海上事前集積艦群ですが,新たに開発・装備されると書かれています.
ですので,まだ海上事前集積船隊という名前になっており,米統合軍の一つである米軍輸送,コマンドの指揮を受ける海軍の軍事海上輸送コマンドに所属する部隊で,米軍の「海上倉庫」として多少の改造を受けた貨物船が16隻となっています.
迅速な戦闘行動を可能にするように,兵器や物資を紛争地域の近くに展開しています.
この海上事前集積船隊は陸軍用と海兵隊用とあるほか,船隊は3個船隊あります.
1個船隊だけでも,次のような兵器と物資の量を貯蔵が可能です.
M1A1戦車 30-58両
155mm牽引式榴弾砲 30両
装甲兵員輸送車 109両
装甲型ハンヴィー 129両(72両のTOW発射機搭載型を含む)
想定兵員数 17,300名
想定航空機数 固定翼機75機,回転翼機75機
想定継続戦闘可能日数 30日
海上事前集積船隊 - Wikipedia
この海上事前集積船隊を,本当の意味での海上基地とすべく,将来型海上事前備蓄艦部隊にする計画があります.
単に兵器や物資の貯蔵だけでなく,戦闘環境下での兵士の輸送や,指揮統制,医療,再補給,さらには兵士の休息のための部隊となる予定です.
MEUでは200カイリ(370km)から作戦行動を可能にし,かつシーベースには,敵地の沿岸部から最低でも25カイリ(46.3km)まで展開し,そこからLCACや高速水陸両用装甲車で,強襲上陸を図る作戦を考えているようです.
もっとも,沿岸部には機雷が敷設されている可能性もあるので,ヘリやVTOL攻撃機で敵地を攻撃・強襲上陸し,その間に掃海艦で機雷を除去してから,LCACで上陸という形になると見ています.
で,ここで書いててふと思った事があったのですが,こんな贅沢な海軍部隊が持てる国ってアメリカ以外にありますかね?
空母やその護衛の水上戦闘艦,潜水艦,強襲揚陸艦,さらには貨物船(コンテナ船,RORO船)を持てる国なんて,アメリカ以外見当たりません・・・.
アメリカは第2次世界大戦から冷戦時代,朝鮮戦争やベトナム戦争,グレナダ侵攻,パナマ侵攻,湾岸戦争,アフガニスタン戦争,イラク戦争で積み重ねをしてきた歴史があります.
また,米軍はもっとも兵站を重んじる国でもあるのです.
これは1日2日では出来るものではありません.
海自が「駆逐艦大国」「対潜能力大国」「掃海能力大国」と言われたのは,それなりの積み重ねがあるのです.
また,これだけの部隊を揃えるだけでも,莫大な費用がかかります.
いくら経済成長著しい中国でも,これだけ揃うとすれば国が破産してしまいます.
これは,マイミクの顕家さんがおっしゃっていた言葉です.
渡洋侵攻能力と兵站は,一体となっていると言ってもいいでしょう.
ただ単に中型揚陸艦や空母を揃えただけでは,渡洋侵攻は出来ません.
■追記
マイミクであるじゃみーさんに指摘されたのですが,DDは全艦退役しており,DD=イージス駆逐艦というわけではありませんでした.
大変失礼しました.
深くお詫び申し上げます.
バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年08月16日22:06
【追記】 ロジスティクスの手段としての多目的艦
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年08月17日09:02
昨日の江畑謙介氏の本で興味のある部分をさらに私なりに論評.
ただ本は来週には図書館に返さなくてはならないので本の購入を検討中です.
何らかの形で本が得られればこの特集はまた再開します.
昨日は米海軍のロジスティクスを紹介しながら私なりに論評しましたが
米海軍以外の国では強襲揚陸艦(軽空母を兼任)やドック型揚陸艦,統合支援艦を
ロジスティクス艦として使用しています.その事は「軍事とロジスティクス」の304ぺーじから
312ページに書かれています.
軍事とロジスティクス
レビュー
軍事とロジスティクス
4.22点 ( 9人中)
2008
日経BP社
江畑 謙介
もっと読む
312ページでは海自のおおすみ級輸送艦(ドック型揚陸艦)が多目的任務に用いる事が可能な
ロジスティクス艦として紹介されています.海自はどういうわけか強襲揚陸艦を建造する事は
しませんでした.その代わりにひゅうが級護衛艦や22DDHなど19500トン級護衛艦の建造に着手しています.
19500トン型護衛艦 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/19500%E3%83%88%E3%83%B3%E5%9E%8B%E8%AD%B7%E8%A1%9B%E8%89%A6
これはいざ海戦という時にドック型揚陸任務を兼任した護衛艦だと速度面で劣ってしまうからによるものです.
まぁ22DDHは最低限の自衛用兵器しか搭載していないので対潜・対艦任務は艦載の哨戒ヘリか
護衛のイージス護衛艦に任せているという事なのでしょう.
とはいえ対艦攻撃も可能なSH-60K哨戒ヘリが7機も搭載は可能なので遠距離からの
対艦攻撃や対潜攻撃も可能な装備となっており,水上戦闘任務では決して他の護衛艦に
劣るものではありません.またRORO仕様になっているので陸自部隊の軍事海上輸送も
可能となっています.もっともおおすみ級が3隻,ひゅうが級を含めてヘリ空母型DDHが
最高4隻ではとても渡洋侵攻なんて無理ですし,これで北方領土奪還なんて無謀の極みですがね.
ですので島嶼奪還にはおおすみ級+ひゅうが級(または22DDH)の二本立てでロジスティクスを
形成していく事になるのでしょう.さらに防衛省の自衛隊の海上輸送に民間船舶の活用を
検討していく方針を決めています.これはフォークランドでの英軍や米軍の軍事海上輸送を
モデルにしたと考えられますが,ようやく防衛省も機動力の強化に乗り出したという事なのでしょうね.
自衛隊,海上輸送に民間船活用 防衛省がロードマップ:朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0805/TKY201108050493.html
それにしても海自って輸送艦とヘリ空母を同時に持てるこれまた贅沢な海軍です.
他国では軽空母と強襲揚陸艦を兼任させるケースが多くあります.
これは冷戦崩壊や経済危機により軍事費が削減された事による苦肉の策なのです.
イタリアのカヴール級,スペインのフアン・カルロス級,韓国のドクト級などはまさにその典型.
海自と似たケースとしてはイギリス海軍やフランス海軍などがあります.
やはり老舗と積み重ねがモノを言うという事でしょうか.
【追記】 F-35以外にも採用した方がいいな
バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年08月23日12:07
そろそろ期限があと2ヶ月強となった空自の次期F-X選定.F-35が事実上決まりそうな勢いと
なっていますが,東日本大震災で被災したF-2補てん分を考えるとF-35以外にも
決めないといけなくなりそうです.これは私も日記で書いてきた事ですが
空幕と親しい間柄の小川和久氏もその事を指摘しています.
焦点/空自松島基地 機能回復せず/パイロット養成に支障:河北新報
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110817_01.htm
<FX選定に影響も/軍事アナリスト・小川和久さんの話>
国防は自衛隊と日米同盟の2本柱から成り,松島基地の回復の遅れが即座に国防に穴を開けることにはならない.問題はパイロットの養成で,早急に手を打つべきだ.政府はF2戦闘機について,新たな調達をしない方針を決めており,水没したF2の新品を購入することは難しい.教育体系を考慮し,次期主力戦闘機(FX)の選定にF2Bのような(教官が乗れる)複座型の戦闘機の導入が検討されるだろう.
まぁF-2の再生産がもう望めなくなった今,F-2の補てんのために単座だけのF-35だけというわけにはいかないでしょう.
さらに電子戦機やF-15偵察型が望めなくなった今では偵察機にも改造が可能な機体が必要になってきます.
そうなるとタイフーンの可能性もまだ残って入るかと思います.F-2に大きさや性能が近い戦闘攻撃機と言えば
タイフーンぐらいですからね.まぁもっともF/A-18E/Fの可能性もまだ排除は出来ないとは思いますけどね.
何しろAPG-79には敵機のミサイルをかく乱させるESM機能がありますからね.
■追記
ESMとありましたが正しくはEAでした.大変ご迷惑をおかけしました.
深くお詫び申し上げます.ご指摘をされたのはじゃみーさんです.
【追記】 兵站を知るにはその国の稼働率を調べてみるのも手かも知れない
バルセロニスタの一人 in mixi, 【追記】 兵站を知るにはその国の稼働率を調べてみるのも手かも知れない(1)
2011年08月23日12:40 まぁ根拠が薄いと言われればそれまでなんですけど,ふと思った事です.
最近江畑先生の本を読みながらの兵站に関する研究をしているのですけれども,
あまり参考になるかどうかは怪しいのですがその国の兵站を知るには空軍や海軍(海軍のない
内陸国は空軍だけ)の稼働率を調べるのがいいかと思うのですが.
兵站 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B5%E7%AB%99
兵站には4つの機能が存在します.それは補給,輸送,整備,情報と備蓄管理です.
ですので戦闘機などの整備もまた兵站の一つなのです.なぜなら整備は部品交換による作業が
全てなので部品の調達などの補給や輸送,備蓄管理がしっかりしていなければなりません.
そしてそれを調べるのは稼働率です.
そしてここからが本題.そのケースとしてお隣の韓国のケースを見てみましょう.
日記にも書いたけれども韓国空軍の稼働率は70%前後しかありません.
韓国空軍,戦闘機整備予算300億円を6年間流用:朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/article/20070329000047
また,報告書は「整備・維持のための予算が適正水準に増額されない状況にあって,他の事業に流用していたことで,予算が不足する事態を招いた」と指摘した.
その結果,00年に89.3%だった戦闘機の稼働率は,06年第一四半期には77.8%にまで低下し,空軍の有事に備えた体制に大きな問題が生じているという.
記事としては古く,4年前のものなのですが韓国軍がそれを改善しているとは
とても言い難い話もまだあります.韓国陸軍のK9自走砲はなんと配備されている数の半分が
故障しており,稼働率は50%しかないと言われています.
去年の延坪(ヨンピョン)島砲撃事件ではそれが祟り,北朝鮮軍が170発砲撃したのに対して
韓国軍は82発しか砲撃していません.
自走砲の半数が故障…砲撃戦,韓国で高まる自国軍への批判:Search
China
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=1125&f=politics_1125_026.shtml
その経緯を見てみると韓国軍の弾薬備蓄量が開戦から2週間程度の備蓄しかしていないのも
決して驚くことではないでしょう.韓国は北朝鮮とは38度線を境に陸上で対峙しているので
この弾薬備蓄量は致命的.まぁ北朝鮮ならそれでも何とかなりそうですけど
(北朝鮮軍の弾薬備蓄量も結構怪しい.何しろ戦闘機を飛ばす燃料すらないようですし)
これでやれ対馬奪還だの言っても絶対無理でしょう.上陸作戦には弾薬と燃料を使用するのは
過去の事例からしても明らかだし,内陸部への侵攻には補給は不可欠.それはアンツィオ上陸作戦でもわかりますしね.
韓国軍,戦争が起きると弾薬不足で2週間しか戦えない=韓国:Search
China
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0917&f=politics_0917_014.shtml
韓国の場合は斜め上な話があるのでそれ以外の国とは比較にならないのではという意見もある.
確かに戦闘機の整備費用の流用はちょっととは思うがK9の稼働率の低さを見る限りそんな言い訳は通用しません.
こう見てみるとその国の兵站を知るにはその国の戦闘機,戦車,艦艇の稼働率を調べて
判断するのも手かも知れません.
ちなみに自衛隊の弾薬備蓄はネット上の話では7〜10日らしいですが(これも機密と言われいているので
どこまで本当か怪しいところ)
ご存じのように日本は島国で着上陸の危険性はそんなにないので使うとすればコマンドによる
破壊工作への対処ぐらいなので十分でしょう.着上陸作戦対処でも十分過ぎます.
自衛隊の弾薬貯蔵量:Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1211196922
長くなるので一回切ります.
バルセロニスタの一人 in mixi, 【追記】 兵站を知るにはその国の稼働率を調べてみるのも手かも知れない(2)
2011年08月23日13:17 前の日記の続き.韓国軍の稼働率の低さと弾薬備蓄の少なさが比例しているのを見る限りでは
その国の装備の稼働率で兵站がわかると私は書きました.では自衛隊はどうか.
日記にも何度も書いたので詳細は割愛しますが航空自衛隊の稼働率は90%です.
また海上自衛隊の艦艇も4個護衛艦隊群がローテーション配置が可能なぐらい
稼働率も高く,潜水艦に至っては中国政府系ネットメディア・中国網からも評価されているぐらいです.
P-3Cは予算不足もあって稼働率は低下していますが,80機もあるのでローテーションで効率的に
運用すれば何とかなります.まぁその前に予算を上げるのが稼働率向上に繋がるのですがね.
●自衛隊は世界に例をみない”軍隊”(EJ第1380号):INTEC
JAPAN/BLOG
http://intec-j.seesaa.net/article/44163357.html
単語記事: 海上自衛隊:ニコニコ大百科(仮)
http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%B5%B7%E4%B8%8A%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A
次期防衛計画の大綱で海自潜水艦を増強する方針:海と空の写真館
http://blogs.yahoo.co.jp/torakyojin88/archive/2010/07/25
日本海自,中国に対抗し潜水艦を増強(14枚):中国網
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2010-07/30/content_20610867_2.htm
また阪神大震災や東日本大震災での陸自の災害派遣では自衛官が物資の不足になったなんて
話は聞いたことがありませんし,そればかりか被災者向けの簡易浴場の設置や給水車など
至れり尽くせりの対応を取っています.それを見ると兵站では自衛隊は兵站により
戦争に敗北した旧軍の反省を生かしていると言えるでしょう.
(でなければ自衛隊の駐屯地や基地が防災基地や避難所に指定されるわけがない)
さらに海自ではそれまでプロ市民の反対運動もあってなかなか踏み切れなかった
民間船舶の活用に関するロードマップも作成に入りましたからね.
【追記】 ロジスティクスの手段としての多目的艦
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1763921011&owner_id=23170483
自衛隊では問題があるとすればそれはやはり陸上輸送の欠如でしょうか.
何しろトレーラーがそんなにないって話ですから.
Togetter - 「ひげ大尉の語る,我が国防衛体制の欠陥」
http://togetter.com/li/94769
日本国内限定になるけれどもそれだったら鉄道を利用するという手もあります.
JR貨物と協力してM250貨物電車をいくつか運用して自衛隊では弾薬と燃料以外の
物資輸送に協力してもらうという事も可能でしょう.
JR貨物M250系電車 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/JR%E8%B2%A8%E7%89%A9M250%E7%B3%BB%E9%9B%BB%E8%BB%8A
鉄道輸送の問題点はゲリコマの際に敵から攻撃を受けやすいという事.
ただ安全地帯内での大量輸送なら可能だとは思いますよ.もしJR貨物の乗務員が
怖がるようなら自衛隊員による運転をしてもいいですしね.あと補給処から現場までの物資輸送の
時間縮小ですか.それだったら例えば松戸補給処は新京成電鉄がその施設内を
走っていますが,新京成は標準軌に対してJRは狭軌.それだったら三条軌にして
貨物列車を走らせるという手もあります.現に京急大師線は三条軌で味の素の工場から
神奈川臨海鉄道運行で貨物列車を走らせていたという過去もありますしね.
まぁこれは長くなるのでまた別の機会に論じたいと思います.
さて本題に戻るとして,中国軍はどうなのか.中国軍はSu-27ファミリーでも
稼働率は60%しかありませんし,原潜ですら漢級原潜は3隻あるうち1隻しか稼働していません.
これを計算すると30%しか稼働していないという事になります.
中国海軍は日本の海上自衛隊に劣る 古沢襄:杜父魚文庫ブログ
http://blog.kajika.net/?eid=995632
まぁ驚くに値はしませんよ.中国人民解放軍はゲリラから派生した軍隊ですから
兵站が弱い事ぐらいは想像はつきました.こんな有様では弾薬備蓄などのその他の兵站も
想像がつきますね.こんなのでは日本本土侵攻はおろか,台湾侵攻すらも臨むのは不可能と言えるでしょう.
【質問】
水際地雷って何?
【回答】
一連の着上陸論争を見ていて,不思議に思った事がある.
これは肯定派も否定派も関係ありません.
誰も水際地雷には触れていないのである.
94式水際地雷:Missiles & Arms
水際地雷とは,海岸の水際付近に敷設する地雷で,地雷というより沿岸機雷と言った方がいい.
水際地雷原を海岸の水際に敷設して,着上陸してくる敵の揚陸舟艇や水陸両用戦車を,撃破または破損させる事で,敵の舟艇部隊を混乱させて,対舟艇火力の発揮を容易にします.
水際地雷は日本だけにある,特殊な兵器です.
この水際地雷には,一定期間が経過すると自爆機能があるので,戦後はいちいち海自の掃海部隊を出して機雷処理をしなくてもいいのです.
水際地雷は陸自のヘリか,94式水際地雷敷設装置で水際地雷を敷設します.
前出のように機雷なので,人間や魚,クジラが当たっても爆発はしませんが,エアクッション揚陸艇や水陸両用戦車のような金属を使用した舟艇なら,その音響で浮上し,磁気感応で爆発します.
だからこれがあれば,エアクッション揚陸艇や水陸両用戦車による上陸作戦は出来なくなります.
なお,水際地雷の敷設は,陸上自衛隊施設科部隊が行います.
現在水際障害中隊が3個,施設教導隊が1個各地に配備しています.
つまりこれがあれば,戦車による強襲揚陸は事実上不可能になります.
機雷の存在があるからこそ,アメリカは強襲揚陸艦を多く建造し,航空攻撃とヘリボーンによる強襲揚陸を,まず最初に行います.
ロシアもその方針のようです.
そして中国は,ドック型揚陸艦は建造するものの,今日にいたるまで強襲揚陸艦を1隻も建造していない.
だからこそ中国は,台湾侵攻では斬首戦略を取る方針を取っています.
沿岸部に機雷を巻かれたら最後,水陸両用戦車もエアクッション揚陸艇も何の役にも立ちません.
【軍事】周辺事態の話〜台湾有事について(2)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1471649913&owner_id=23170483
ちなみにこの斬首戦略,台湾側もカウンターのためにF-16のアップデート型を導入しようとしたり,特殊部隊を育成したりでそれに対応しようとしています.
それが出来ればこの斬首戦略も,効果が薄くなってしまいます.
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年08月23日14:24
青文字:加筆改修部分
【追記】
■中共軍総参謀長,イスラエル訪問
支那の中共軍総参謀長・陳炳徳上将が110814,イスラエル・ガンツ参謀総長の招待で,
イスラエルを訪問した.
----------------------------------------------
【エルサレム時事】イスラエルを訪れている中国人民解放軍の陳炳徳総参謀長は
15日,エルサレムでネタニヤフ首相と会談し,「両国関係の強化」(同首相)で一致
した.イスラエル軍によると,中国総参謀長の訪問は初めて.
陳総参謀長はイスラエル入りした14日にバラク国防相やガンツ参謀総長と,パキス
タンやイラン情勢,中東和平交渉などについて意見交換した.チュニジアやエジプト
などで政変が相次ぎ,中東情勢が不安定化する中,中国は中東の軍事強国で政治体制
の安定したイスラエルへの関心を深めているとみられる.
----------------------------------------------------
ちなみに,この五月には,中共海軍司令官の呉勝利海軍上将がイスラエルを訪問して
いる.
⇒米軍イラク・アフガン撤収後の中東情勢流動化を見越した,見え見えの行動です.
こういうときに武器取引できる国は強いですね.わが国の政治・外交にその能力は
ないから無理です.
おきらく軍事研究会,2011年8月22日 月曜日 午前8:00
【追記】
■米の対北鮮政策に変化?
先日行われた六者協議で重要な兆候が確認されたようです.
米国は対北鮮政策を変換したようです.
これまでは「北鮮の姿勢が変わるのを待つ」ものでしたが,
より予見性の高い「関与政策」に再度戻ったとのことです.
おきらく軍事研究会,2011年8月22日 月曜日 午前8:00
【追記】
■中共,対米空母用電磁パルス(EMP)兵器を開発中
米国家陸上情報センター(NGIC)は米陸軍情報・情報保全集団の一組織で世界各地
の地上軍に関する情報を各級指揮官はじめとする意思決定者に提供している機関.
ここが出した情報のうち機密解除されたレポート(*1)がある.
支那の中共が電磁パルス兵器の開発を進めており,将来想定される台湾との戦争に
あたって,電磁パルス兵器を使用する対米戦術を開発したとしている.
★EMP
電磁パルス;大気圏高層核爆発(HAB: high-altitude
burst)で生ずるγ線と高層大気
原子との相互作用によるコンプトン(Compton)効果で発生する極めて強いエネルギーの
電磁衝撃波,電界強度は数万V/m,エネルギーは1兆Jに達し,持続時間は約200ns,
全尖頭電力は5兆MW,周波数範囲は数百Hz〜数百MHz,数百〜数千km以上を伝播して導体
内に高電圧・大電流を発生させ,電子装置・コンピュータの半導体・回路素子や通信回
線は勿論,電力系統にも大きな被害を与える;
小型爆発発電装置でEMPを発生させるテロ手段やミサイル弾頭にEMP発生装置を搭載する
等の手段が開発されている模様,
対策は施設・設備に対する厳重な電磁遮蔽・接地・光ファイバ回線の使用等
(注: EMP
は高空核爆発で生ずる無指向性電磁波で,指向エネルギー兵器(DEW)の一つであるHPMと
は違うのだが,「EMP弾頭」のように混同して用いられている),
'05/05米上院EMP委員会証言によれば,イランは弾道ミサイル用EMP弾頭の実験に成功,
北朝鮮はEMP兵器を開発中<宇宙><MD><テロ><核><情>
★EMP爆弾
電磁パルス(EMP: electromagnetic pulse)爆弾;
スーツケース等に入れて携行し,内蔵する爆発発電機でEMPと等価な電磁波を発生さ
せ,近傍の建物内にあるコンピュータの回路素子やメモリ等を破壊<電子戦><テロ>
★EMP弾頭
電磁パルス(EMP: electromagnetic pulse)弾頭;
巡航ミサイル等の精密誘導兵器の弾頭に搭載,爆発発電でEMPと等価な電磁波を発生
させ,回路素子・コンピュータメモリ等を破壊<電子戦>
★HPM
highーpower microwave 高出力マイクロ波;
指向エネルギー兵器(DEW)に使用,出力>GW級,エネルギー>100J/pulseで通信電子機器
を攻撃,米空軍Eileen M.Walling大佐が提唱,彼女は現在,空軍資材集団(コマンド)
(Wright Patterson AFB, Ohio)の部長,搭載検討プラットフォーム=F-35,
X-45A無人
攻撃航空機(UCAV), DD(X), 巡航ミサイル等の精密誘導兵器弾頭;
期待効果=敵通信電子装置の無力化(soft kill),航空機のフライバイワイア(FBW)制御
系機能の阻害,このほか爆発発電でEMPと等価な電磁波を発生させ近傍の建物内機器の
回路素子・コンピュータメモリ等を破壊する「EMP爆弾」も検討;
(注: EMPは高空核爆発
で生ずる無指向性電磁波で,指向エネルギー兵器(DEW)の一つであるHPMとは違うのだ
が,「EMP弾頭」のように混同して用いられている),
'05/05米上院EMP委員会証言によれば,イランは弾道ミサイル用EMP弾頭の実験に成功,
北朝鮮はEMP兵器を開発中; 有人航空機/無人航空機搭載のAESAがHPM又は電子攻撃
(EA: electronic aattack)装備として脚光を浴びつつある<電子戦><無人>
【参照 コモ辞書 http://homepage3.nifty.com/OKOMO/ 】
(*1)http://media.washtimes.com/media/misc/2011/07/22/ngic-emp.pdf
【参考】 http://tinyurl.com/3bbxy5q
おきらく軍事研究会,2011年8月22日 月曜日 午前8:00
【追記】
■わが国に必要な陸軍力
わが国周辺の不透明・不確実な安全保障環境,世界的に軍事力の役割が増大する傾向に
踏まえて,陸上自衛隊は,わが国の平和と独立を守るため,3つの大きな役割を果たし
ています.
(1)新たな脅威や多様な事態への実効的な対応
⇒新たな脅威や多様な事態は,予測困難で突発的に発生する可能性があるため,事態
の特性に応じた,即応性や高い機動性を備えた部隊などを,事態の特性やわが国の
地理的特性に応じて編成・配置することにより,これらに実効的に対応しています.
(2)本格的な侵略事態への備え
⇒わが国に対する本格的な侵略事態が生起する可能性は低下する一方,新たな脅威や
多様な事態への対応等が求められることから,装備・要員の見直しを行いました.
同時に防衛力の本来の役割は本格的な侵略事態への対処であり,また,その整備が
短期間になし得ないことから,本格的な侵略事態に対処するための基盤的な部分を
保持しております.
(3)国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組
⇒国際平和協力活動の範囲は非常に幅広く,自衛隊のみならず,政府全体として取り
組んでおりますが,陸上自衛隊は,自己完結性,組織力などの能力を生かし適切に
取り組むため,平素から教育訓練体制,所要の部隊の待機態勢等を整備するととも
に,迅速に部隊を派遣し,継続的に活動するための準備をしています.
また,平素から諸外国陸軍等との2国間の安全保障対話・防衛交流を積極的に推進
しています.
陸自HPより抜粋
http://www.mod.go.jp/gsdf/about/roles/index.html
■わが国に必要な海軍力
わが国の国土は,ユーラシア大陸の大国と近接し,大陸東北部から太平洋へ通過するた
めの戦略上の要衝を占める場所に位置しています.また,細長い弧状の列島で,長大な
海岸線と多くの島嶼を有しています.さらに,その狭隘な国土に多くの人口を抱え,
特に都市部に産業・人口が集中し,経済の発展に不可欠である重要施設が沿岸部に多数
存在するなど,安全保障上の脆弱性を抱えています.
わが国周辺地域には,現在もなお不透明・不確実な要素が残されており,万一他国から
の侵略を許した場合,国民の生命・財産の損失の大きさは計り知れないほど甚大です.
一方,自由貿易体制に基盤を置くわが国の安定,発展のためには,国際的な安全保障環
境の安定が不可欠です.とりわけ,わが国は原油の約9割を中東に依存するなど資源の
多くを海外に依存していることから,海上交通路を行き交う商船等の安全確保を含む
海洋の安定的利用はわが国にとって死活的に重要なのです.
自衛艦隊HPより
http://www.mod.go.jp/msdf/sf/about/index.html
■わが国に必要な空軍力
防衛力は,外部からの侵略を未然に防ぎ,また万一侵略を受けた場合,それを排除する
国の意思と能力を表すものです.その機能は,他のどのような手段によっても代えるこ
とはできません.
その中にあって航空自衛隊の防衛力は,戦い全般の行方を決める大きな力です.
空において相手の戦力を上回り,大きな損害を受けることなく作戦を遂行する(これを
「航空優勢」と呼びます)ための,中心的な役割を担っています.
「航空優勢」は陸・海作戦にも大きな影響を与えるものですから,その意味で航空自衛隊
は,日本の防衛の「鍵」といえます.また領空へ侵入してくる航空機へ戦闘機を緊急発進
させるなどの措置は,他の組織が代わることのできない大切な役割です.
航空自衛隊は,日本の平和と安定,そして独立を守るため,日夜,任務を遂行していま
す.
航空自衛隊のミッションは以下の3点に集約できます.
(1)防空
空からの侵略に対して,できる限り国土から離れた空域で迎え撃ち,国民と国土の被害
を防ぎます.敵に大きな損害を与え,敵の空からの攻撃が継続するのを困難にするよう
に努めます.
(2)大規模災害等各種事態対応
大規模災害などの事態が起こった場合,人の命や財産を保護するため,各都道府県など
と連携して,航空機などによる偵察や連絡要員の派遣,人員・物資の輸送などを行いま
す.
(3)安全保障環境の構築
国際平和協力業務を通じて,国際平和のための取り組みを進めています.また,国際緊
急援助活動などで国際協力を推進し,国際社会の平和と安定のために様々な取り組みを
積極的に行っています.これら任務を確実に遂行することで,内外から真に信頼される
組織を目指しています.
空自HPより
http://www.mod.go.jp/asdf/about/role/ninmu/
■軍事忌避と情報音痴
震災での自衛隊の活躍によって,国民の軍隊忌避の空気はだいぶ変わってきている
様だ.
一方,ここ数年は出版書籍を中心として,所謂「インテリジェンス」ブームだ.
国民の情報活動に関する理解は進んでいるだろうか.
残念ではあるが,その興味の方向は,相変わらずスパイストーリーや歴史裏話の
延長で,一般論化した,宣伝文句のつけにくい,学術系の書籍は殆ど注目を浴びない.
情報活動のテキスト秀作3冊
●インテリジェンス Lowenthal,Mark M. 慶應義塾大学出版会
米国専門テキストの邦訳.文量・質から大学ゼミや外交・安保関係者向けでしょう.
http://tinyurl.com/4ylvhzh
●インテリジェンスの基礎理論 小林良樹 立花書房
講義録を纏めたもので,文量から大学一般教養や新書・一般向けでも解りやすいでしょう.
http://tinyurl.com/3v7ze7t
●国家戦略とインテリジェンス 奥田泰広 PHP研究所
諜報上等国・英国の歴史と活動の変遷を通して,在るべき論を探る.
裏・英国史としての歴史読本としてもおもしろい.専門から一般向けまで.
http://tinyurl.com/4397h23
■戦争を学ぶのは,
平和を維持するためです.
民主主義国家で平和を希求するのなら,国民は戦争学を身につけなければいけません.
そうしなければ,
「感情の爆発の挙句の凶暴化」
もしくは
「事なかれ主義に基づく奴隷化」
という,いずれも破滅につながる道しか残されません.
しかしわが国には「戦争学」がいまだ存在せず,
その基盤たる,「反祖国イデオロギーに毒されない」「網羅的で」「養分あふれる」
「健康な」戦争史がありません.
ここで重要なのは,
戦争学を担うのは,軍人でなく一般人の任務・役割である
という点です.
20世紀以降,とくに戦後日本の言論界・政官界は,
軍人にしかできない専門領域にやたらと「現実感なき素人のくちばし」を突っ込む
わりには,自分達が担わねばならない「戦争学」への視野・視点を欠いています.
なんとかならないものか・・・
そんなことを考えていたら,
「世界全戦争史」という,きわめて資料的・教科書的価値の高い本をいただきました.
題名に違わぬ「日本語で書かれた戦争史決定版」といえる内容です.
著者は,戦争学の必要を長きにわたって訴えてこられた,
元陸将補の故・松村劭さんです.
(昨年一月永眠されました.謹んでご冥福をお祈りいたします)
本著は,松村さん最後の著作です.
何よりビックリするのが,その厚さです.
ものすごいボリュームです.
そしてページを繰ると,
上質な紙に,
世界中でおきた戦争の歴史が,
現在に至るまで,
時系列で,
紹介解説されています.
とにかく凄いボリュームなので,読了するには数ヶ月かかるとおもいます.
わたしもまだ読んでいる最中ですが,はっきりいえるのは
「ここまで本格的で網羅的で,
かつ
「啓蒙機能あふれる」
「資料的価値を持つ」
戦争史本はこれまでなかったし,
採算の関係からみてこれからもおそらくでないだろう」
ということです.
一人が作った史書として一番有名なのが徳富蘇峰の近世日本国民史です.
戦争学の分野でそれに相当するのが,本著といって差し支えないでしょう.
・歴史から養分を得るためのノウハウを身につけたい.
・戦争史,軍事理解のためにどういう本をどういう順番で読んでゆけばよいか
・世界の軍事史を余す所なく把握したい
「戦争学」を真に追及したい人にとっては,生涯の伴侶足りうる書です.
資料としても教科書としても読み物としても楽しめる名著です.
みなさんに好評いただいています.
あなたにだけは手元においていただきたいと思っています.
『世界全戦争史』
著:松村劭
ページ数: 2663ページ
出版社: エイチアンドアイ (2010/11)
発売日: 2010/11
商品の寸法: 21.2 x 16.8 x 8.8 cm
http://tinyurl.com/3cjsz6c
おきらく軍事研究会,2011年8月22日 月曜日 午前8:00
【追記】
■世界サイバー戦争
原発事故によって,技術安全神話が崩壊したにもかかわらず,日本では情報ネット
ワークは,クラウド技術への依存へ熱中し,電力は,送発分離が当然だと,スマート
グリッドが賞賛されている.
しかし言ってみれば,クラウドは情報の核化であるし,スマートグリッドは,送電網
のネット依存である.
人類は今,情報のデジタル化・ネット依存という段階を遙かに超えて,生命・財産か
ら社会インフラまでを0と1のストックとフローに依存を強めている.
この問題について,国防及び社会インフラのネット依存が最も進んだ米国の,サイバ
ーセキュリティ担当大統領顧問などで3人の大統領に支えたクラーク氏が表した秀著が
「世界サイバー戦争」徳間書店(*)です.
(*)http://tinyurl.com/3f5n3ev
日本人が題名から想像する未来仮説ではなく,今そこにある危機について,「人類が
想定外としてしまっていること」への実務者からの警告書です.
政官問わず,国防,金融,社会インフラ関係者は,
必ず読んでおくべき本です.このレベルでの類書はありません.
私が防衛大臣だったら,国費で自衛官全員に読ませますね.激推です.
(T)
おきらく軍事研究会,2011年8月22日 月曜日 午前8:00
【追記】
JULY 12, 2011
2011年7月12日
Fateful Move Exposed Japan Plant
土地をわざわざ削ったことが運命を決定づけた(1)
Tokyo Electric Lowered Elevation of Land
Before Building
Nuclear Facility, Weakening Tsunami Defense
東電は原発建設前に土地を削り津波への備えを失っていた
By CHESTER DAWSON And YUKA HAYASHI
チェスター・ドーソン記者とユカ・ハヤシ記者
TOKYO - When Tokyo Electric Power Co. broke
ground on the
now defunct Fukushima Daiichi nuclear-power
station 44 years
ago, the utility made a fateful construction
decision that
raised the plant's vulnerability to the tsunami
that
ultimately crippled its reactors.
東京発 - 東電が44年前,現在機能を喪失している福島第一原発の
建設を開始した際,津波への脆弱性を高める運命的な決定をして
いた.これが究極的に,原子炉を機能喪失させることにつながった
のである.
In 1967, Tepco chopped 25 meters off the
35-meter natural
seawall where the reactors were to be located,
according to
documents filed at the time with Japanese
authorities. That
little-noticed action was taken to make it
easier to ferry
equipment to the site and pump seawater to
the reactors. It
was also seen as an efficient way to build
the complex atop
the solid base of bedrock needed to better
protect the
plant from earthquakes.
1967年,東電は原子炉建設用地の地形が有していた高さ35メーター
の自然の防潮堤を25メーター削った.これは建設当時,日本政府の
監督省庁に提出された書類に記されていたことである.この殆ど注
意を引かなかった行為は,用地に器具を運び,原子炉に冷却用に海
水を汲み上げ易いように,との理由だった.これはまた,原発建屋
群を強固な岩盤の上に建設する効率的な方法であるとも考えられて
いた.これが地震への備えを強化する,と思われたのである.
But the razing of the cliff also placed the
reactors five
meters below the level of 14- to 15-meter
tsunami hitting
the plant March 11, triggering a major nuclear
disaster
resulting in the meltdown of three reactor
cores.
しかしこの崖を削ったことがまた,3月11日に襲った14から15メー
ターの津波の,5メーター下に原子炉を置くことになったのである.
これにより壊滅的な破壊が生じた.3基の原子炉の炉心でメルトダ
ウンが発生したのである.
"It's a typical act based on the thinking
of the high-growth
era. People were attracted to the idea of
'reforming the
land' back then," said seismologist
Kazuo Oike, a former
president of Kyoto University who now serves
on a government
committee investigating the Fukushima accident.
"When you
inflict significant change to nature, nature
will eventually
get back at you with a significant force."
「これは高度成長期には典型的な考え方でした.当時,人々は「土
地を改造する」という考え方に惹かれたのです.」と地震学者の
尾池 和夫は語る.尾池は元京大学長で,現在福島原発の事故を調
査する政府委員会に属している.「自然を大きな力で改造すると,
自然はそのうち,大きな力でしっぺ返しをするものなのです.」
- Norihiko Shirouzu contributed to this article.
- ノリヒコ・シロウズ記者がこの記事執筆に協力した.
(続く)
重要表現
break ground … (建設に)着工する.
eg. We plan to break ground for the new
building before the
end of the year.
新しい建物の建設には,年内に着工する計画だ.
utility … 電力,ガス,水道などの公益会社.
eg. I usually pay about 200 dollars for
utilities for a
month.
僕は大体,月に200ドルほどの公共料金を払っている.
(人が主語)be to 〜 … 〜することになっている,するはずで
ある.
eg. He was to arrive at the airport by 3:30
PM.
彼は午後3:30までには空港に着くはずだった.
この記事,WSJ日本語版でも閲覧できます.
http://on.wsj.com/qCqOR1
【追記】
-------------------
4月1日の記者会見で,菅直人首相は,
「国際社会との関係だが,米国からは非常に早い段階から色々な提案をいただいており,私が少なくとも受け止めているところで言えば,そういった申し出に対して,ほぼ全てというか,必要なものについては全てぜひお願いするという姿勢で臨んできた」
[中略]
米国に「ほぼ全てというか,必要なものについては全てぜひお願いするという姿勢で臨んできた」ということは,要するに日本として,事故処理を米国にほぼ丸投げしているということだ.
[中略]
(米軍無人偵察機グローバルホークが当初,自国のためのデータ収集を目的としていた)という報道が事実ならば,国家主権の観点から極めて問題だ.
同盟国であっても,米国のためだけのデータ収集を,日本政府が認めることは,領空に対する主権を放棄するに等しいことだからだ.
この報道を見た諸外国は,日本は原子力先般国なので事実上,米国の管理下に置かれていると見る.
フランスやIAEAの協力要請の背景に,原発事故の対応に無策な日本を,国際管理下におかなくてはならないという国際社会の危機感があることに,菅首相はきづいているのだろうか?
-------------------佐藤優『3.11クライシス』,p.234-235
【質問】
タイのウォーカーブルドック見て思ったんですけど,軽戦車って,どういう運用をしていたんでしょうか?
あくまでMBTの補助(数合わせ)ですか?
それとも,戦車と軽戦車で任務の住み分けがあって,数合わせだけではない,より積極的な任務があったのでしょうか?
【回答】
主に偵察用.
特に「強行偵察」や「威力偵察」といった,敵との交戦が前提となる偵察行動に使われる.
なので,対戦車ミサイルが出現すると,別に戦車でなくてもそれなりの戦闘能力を,戦車以外の車両が持てるようになったので廃れた.
ただ,「軽」ではない戦車を買って揃える余裕のない国が,主力戦車として軽戦車を導入することはよくあることで(初期の自衛隊もそう),事実上「第三世界向け主力戦車」という位置に置かれたりもしている.
昔の話だが,大戦間の軍縮期には正にそういう「マトモな戦車を沢山買えないので,これでガマン」な状態に各国ともなっており,イギリスは7.62mm機銃1丁のみ装備の二人乗り軽戦車を,戦車部隊の主力にしたりしてたし,アメリカも戦争が始まるまでは,軽戦車しか戦車を装備してなかった.
ナチス・ドイツ軍も戦勝のごく初期には,本来訓練用/偵察用として開発したI号戦車やU号戦車と言った軽戦車で,機甲部隊を構成していた.
【質問】
AAV-7A1やAAAV等の水陸両用の装軌式車両は,なぜ陸軍には配備されないのでしょう?
勿論,海兵隊等の方が真価を発揮できるのは分かるのですが,陸軍でも相当役に立つと思うんですけれども……
【回答】
だって「敵前強襲上陸」は海兵隊の仕事であって,陸軍の仕事じゃないから.
陸軍は陸で戦うものであって,海を自力で渡ったりはしない.
陸上でだけ使う事を考えると,AAVシリーズのような水陸両用装甲車は,図体がでかい割に装甲が薄くて武装が貧弱なので,被弾しやすくリソースの無駄使い.
水上航行用の装備は陸上じゃ全く要らないしね(川や湖を越えたいなら工兵隊に橋を架けてもらえばいい)
実際,アメリカ海兵隊はLVTP5(AAV-7の前任装備)をヴェトナムで陸上戦に投入して,大きな損害を出している.
装甲が薄いのに大きい車体は,被弾しやすく目立つので,集中攻撃に晒される事になり,現場の兵士に嫌われた.
【質問】
某スレッドで
「飛行時間7000時間とか神じゃね? ありえねえ」
と言われたのですが,戦時中の搭乗員の平均飛行時間って大体どれ位だったんでしょうか?
特にレイテ戦以降〜1945年にかけての比較が出来るような資料をご存知の方おながいします.
ちなみに冒頭は飛行艇乗りのかたです.
【回答】
当時,新兵を一人前のパイロットに一人前まで訓練するのに理想的だと言われたのは400〜500時間.
実際には300〜400時間で戦場に出されることが多く.末期の神風攻撃隊あたりだと,飛行時間100時間以下なんていうのがゴロゴロしていた.
つまり,訓練が400としてさらに実戦で+600時間,合計1000時間ともなれば十分に一流のベテラン.
7000っていう数字が,如何にとんでもないかがよくわかる.