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◆◆言語 Magyar Nyelv
<◆Hungary ハンガリー Magyarország
<欧州FAQ目次
※ 並びはほぼアルファベット順
Szegedi Tudományegyetem, Irinyi Kabinet:
Keresés az angol-magyar és
magyar-angol szótárban
MTA SZTAKI Szótár
Online English to Hungarian to English Dictionary
Lingvodesko: Hungara-Esperanto
Online English to Hungarian to English Dictionary
Transylvania.info: Romanian - Hungarian -
English Dictionary
English-Hungarian Online Dictionary. Free
online English-Hungarian translation
民の:日本語-ハンガリー語、ハンガリー語-日本語辞書
【質問】
"Learn Hungarian"という,英語で書かれたハンガリー語の入門書(中古)を注文しますた.
歴史研究はC大が有名だけど,語学研究はやはりO阪外大ですかねえ?
デブ大の夏大学の教科書は一人で勉強するには,不便ですね.
道松子:外国語板,2002/03/12
青文字:加筆改修部分
【回答】
"Learn Hungarian"はハンガリー語の文法が詳しく,そしてとても要領良くまとめられていますね.
テキストの内容はもちろん,文法の説明に関しても古いところがありますけれど.
あと,最大の弱点は,動詞接頭辞に関する説明があまりないということでしょうか.
デブ大の夏季大学の教科書は私は文法とカセットだけ持っています.
ブダペスト市内のMagiszterという本屋では,デブ大の夏季大学の入門の教科書がCDロム(?)と共に一万フォリント位で買えるようですが.
私は日本では"Learn Hungarian"で,現地ではブダペストにある(というかあった?)国際予備学院という学校の,直接法で教えるのに使う "Szines Magyar Nyelvkonyv"というので教わりました.
これは文法の説明がとても良いのですが,ただ,練習問題が良くないのですね.
"Hallo,itt Magyarorszag!"はこの本の著者たちが書いているのですが,こちらは文法の説明が全く無いですよね.
まあ事情が許せば現地で週5日,午前中はずっと授業,というクラスで学ぶのが一番良いのでしょうけれども.
あーあ,永住したかった.
外国語板,2002/03/13
青文字:加筆改修部分
【質問】
基本的な質問で申し訳ないのですが,ハンガリーの言葉での挨拶の仕方を教えてください.
ガイドブックには載っているのですが,どこにアクセントを付けていいのか解からず,更に,カタカナの羅列が長すぎてよくわかりません(泣
現地の発音に似た感じで教えてください.
【回答】
ハンガリー語は,常に語頭(各単語の頭)にアクセントを付けて発音すれば,ほぼ問題なしですよ.
よー・なポ(ト)・きヴァーノ(ク)=こんにちは
このように,ひらがなにアクセントをつけてください.
(ト)と(ク)はそれぞれ“T”と“K”のみです.
“TO”“KU”のように母音をつけないでください.
(無声音ていうのかな)
ぶだぺしゅと ◆AUvFvohlXU : 海外旅行板,2003/01/08
青文字:加筆改修部分
【質問】
高母音で長短が中和されるというのでふと気づいたのですが,早稲田さんの入門書で kívánok という語の発音について「第一音節の母音は短い」と強調(?)されているのは,この件と関係があるのでしょうか?
【回答】
はい,その通りです.
ただし,kívánok において《第一音節の母音は短い》と言い切ってしまうのには問題があります.
ハンガリー語の標準口語 (köznyelv) では実は,長母音で発音する場合と,短母音で発音する場合の両方を認めているのです!
つまり,どちらでもいいのです [→A magyar nyelvértelmező szótára, IV. köt.].
実際には首都のブダペストでは短く発音され,西ハンガリー(ドゥナーントゥール)地方では長く発音されます.
僕自身は短く発音するように指導していますが.
ちなみに,eにも ë =「狭いe」[e] と e =「広いe」[ε] の2種類がありますが,通常,首都,ブダペストの人は区別できません.
しかし,通常,ハンガリー語学では「狭いe」を考慮して記述しておりますし,ハンガリー語の標準口語では区別するものと,区別しない両方の標準口語を認めています.
(個人的には狭い ë を普通の e と表記し,広い e の方を ä と表記すべきだと思うのですが....
フィンランド語のように.音韻論的にはそっちの方が正しいと思います.)
僕自身は「狭いe」も区別するように指導しています.
しい坊 : 外国語板,2001/10/01
青文字:加筆改修部分
【質問】
マジャール語では姓名の順序でしょ.
日本語,中国語などと同じで.
なぜなの?
【回答】
ハンガリー語は母音の長短を,日本語同様区別するので,magyar は“マジャール”ではなく“マジャル”の方がより適切でしょうね.
日本語としては汚いですが....
で,「姓」とは必ずしもどの民族にもあるわけではありませんよね.
で,「姓」のある民族に限って言えば,姓は名を限定する修飾語です.
つまり「太郎」,「どこの太郎?」,「誰んちの太郎?」という太郎の説明になるわけです.
「山田さんちの太郎」とかね.
ですから多くの言語では,姓と名の間は「~の」で繋がれています.
「名 von 姓」とか「名 de 姓」とかね.
日本語でも「姓 の 名」という形は昔は多かったですよね.
ハンガリー語でも「姓-i(旧字体では -y)~ 名」という形があります.
ここからわかることは,要するに姓を先に書くか,後に書くかは純粋に文法的な問題で,修飾語が先に立つ言語では姓が先になり,修飾語が倒置される言語では姓が後になるというのが原則です.
と言うことは,民族の血が同系だとかどうかということとは関係なく,修飾語は先に立つか,後に立つかしかないわけですから,確率論的には 50 %
で,世界の言語の半分は姓を先に書き,残りの半分は姓を後に書くということになります.※
だから,実は,ハンガリー人も日本人も姓を先に書くということは本当はたいした意味はないのです.
でも,それを言っちゃあ面白くないから,一応「日本人もハンガリー人も同じように姓を先に書くでしょ (^^)?」のように言って,ハンガリー人に対する日本人の興味を引きつけるわけです (^^;).
でも,ただの偶然でも,日本人にとっては嬉しいですよね.
しかしものごとは単純に文法だけでは割り切れないのであって,例えばハンガリー人と同系のフィンランド人は,周辺の印欧語族の文明(専らスウェーデン人ですが)あまりにも彼らと比べて高度な文明を持っていたために,彼らの母語の文法に反して,公式には名姓の順に姓名を記述します.
しかし,フィンランド人も田舎では非公式には「姓の名」のように姓を属格にして名乗るようです.
非常に健全ですな (^^).
逆に修飾語を倒置する典型的なラテン系の言語であるはずのルーマニアでは,公式には当然名姓の順序で記述するはずなのですが,隣のハンガリーの影響があったのか,なかったのかは全くわかりませんが,新聞や名刺ではしばしば姓名の順に記述しますね.
ルーマニア人に
「ルーマニア語では本当は名姓の順のはずなのに,あなたの名刺はなぜ姓名の順なの?」
と尋ねると
「えっ (^^;)!?」
と困惑します.
なんとなく,そういうもんだということになっているようです....
※ 修飾語の語順についての補足説明です.
日本語やハンガリー語では修飾語は被修飾語の先に立つので,人名も文法的に姓名の順となるのが基本だと先程述べました.
(しかし,その建前はその言語の話者である民族と周辺地域の民族との文明の格差によっても変わってくるとも述べました.)
姓名の順と同じように,日本語とハンガリー語の共通性として,日付は「年・月・日」の順に書くとか,住所は大きい方から小さい方に書いて行くとか言うこともよく取り上げられます.
(郵便番号も通常,住所の先頭に書くというところや,ハンガリーの封筒には日本と同じような朱色の郵便番号を記入する枠があるという所まで同じですが,これはハンガリーが日本の東芝製の郵便番号読み取り機を使っているからに過ぎません
(^^;).)
ハンガリー語では日付は「2000. e'vi december hava'nak 31-e」とか「2000. e'vi Nagyboldogasszony
hava'nak 31-e」,「2001. december 31.」,「2001.XII.31.」のように記述されますが,これも修飾語の順に従っています.
つまり「31日」,「いつの31日?」,「12月の31日」,「いつの12月の31日?」,「2001年の12月の31日」という具合に修飾語の順でこうなっているのです.
ドイツ語やフランス語の印欧語族は修飾語が後に立ちますから,当然,「日・月・年」の順になるわけです.
(英語の「月・日・年」という語順は精神分裂的で,なぜそうなっているのかはわかりません(^^;).)
住所も同じです.
「Budapest, II. keru:let, To:ro:kve'sz u't 2. sza'm, II. emelet, 1. ajto'」(ブダペスト市二区テレクヴェース通り2番3階1号室)等も,やはり文法的な修飾語の語順によります.
つまり,「ハンガリー語では日本語と同じところがたくさんある.
名前も姓名の順だし,日付も年月日の順だし,住所も大きい方から小さい方に書いて行く」と我々はよく宣伝するわけなのですが,本当はたった1つのことを膨らませて言っているだけなのですね (^^;).
う~む,ネタをバラしちゃった (^.^;)ゞ
しい坊 : 外国語板,2001/09/27
青文字:加筆改修部分
【質問 kérdés】
ハンガリー語での数の数え方を教えてください.
【回答 válasz】
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【参考ページ Referencia Oldal】
http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/ref/numeral/hu.html
2017.11.9
【質問】
ハンガリ―での「姓・名」について,どなたか教えて下さいませんか?
ドイツ系名前のハンガリー人って,母国ハンガリーではどう呼ばれるのでしょう?
貴族の称号にも使われるらしい「フォン」の位置が分かりません.
「ヨハン・ルートヴィヒ・フォン・ノイマン」だと,「フォン・ノイマン,ヨハン・ルートヴィヒ」となるのでしょうか?
人名辞典みたいに「ノイマン,ヨハン・ルートヴィヒ・フォン」 なんて切り方をするのでしょうか?
それともハンガリーに入った時点で「フォン」は省略したりするのでしょうか?
公の場や,親しい間柄などでは?
ドラキュラ公ヴラドの伝記を読んでいたら,今のハンガリー~ルーマニアの辺りにドイツ系商人の移民が奨励されて有力な勢力となった,とあったり,その後はハプスブルク二重君主国となったりして,どうなっているのだろう,と思いまして.
【回答】
ハンガリーのドイツ語はオーストリア方言なので,ドイツ語の標準語とは読み方が違います.
基本的にはオーストリア風のハンガリー語読みです.
Fischer とか Heller とかは「フィッシャー」とか「ヘラー」とは読まず,「フィシェル」,「ヘッレル」と読みます.
語末の有声子音は無声化せず,Rosenberg は「ローゼンベルク」ではなく「ローゼンベルグ」のように読みます.
und は「ウント」ではなく「ウンド」ですね (^^;).
Heine や Kreisky などは「ハイネ」や「クライスキー」ではなく,「ヘイネ」「クレイスキ」と読みます.
> 貴族の称号にも使われるらしい「フォン」の位置が分かりません.
> 「ヨハン・ルートヴィヒ・フォン・ノイマン」だと,
> 「フォン・ノイマン,ヨハン・ルートヴィヒ」となるのでしょうか?
彼の本名は Neumann János「ナイマン・ヤーノシュ」です.
姓が Neumann(英語の Newman)からもわかるように,貴族でなんかあったはずはありません (^^;).
彼の場合は姓からして父方の先祖はいずれかの時代にドイツ人であった可能性が大ですが,彼自身がドイツ系というわけではないでしょう.
(姓の継承と生物学的な遺伝の問題は全く違うというのはおわかりでしょう.
通常は姓は父方で継承されますから,実際にはドイツ人の血がほとんどなくなってしまっていても,姓だけはドイツ語というのはよくあります.)
で,米国に渡ったハンガリー人は,なぜか勝手にドイツ語風の名前を名乗り,von を使う人が多いのですね (^^;).
例えば,『小学館ランダムハウス英語辞典』を見ると,von で始まる人名10人のうち,3名までもがハンガリー人です (^^;):
■ Von Békésy
ベーケーシ・ジェルジュ [Békésy György]
von Braun
von Euler
■ Von Kármán
カールマーン・ティヴァダル [Kármán Tivadar]
von Laue
■ Von Neumann
ナイマン・ヤーノシュ [Neumann János]
von Rundstedt
Von Sternberg
Von Stroheim
von Wíllebrand
Békésy は y で名前が終わっていますから,多分,貴族の出身だったのでしょう.
そういう意味では von を使えば自分が貴族だとわかると考えたのでしょう.
Kármán に関しては姓からは貴族だったのかどうかは判断できません.
Neumann に関しては(19世紀になって金で貴族の称号を買ったのでない限りは)絶対に貴族ではありえません.
で,彼らの本名には von は使われていません.
ですからこれらの有名なハンガリー人の von の付いた姓は,本人が勝手に名乗っているだけなので,“ペンネーム”や“ハンドル名”のようなものだと考えればよろしいでしょう
(^^;).
> 人名辞典みたいに「ノイマン,ヨハン・ルートヴィヒ・フォン」
> なんて切り方をするのでしょうか?
> それともハンガリーに入った時点で「フォン」は省略したり
> するのでしょうか?
と言うわけで,ハンガリー語というか,元々本人の姓には von は付いていないのです.
では,本当に von の付いているドイツ人の姓の場合はどうするのかと言えば,von Braun のような形でひとつの姓とみなします.
発音は fon「フォン」です.
ちなみに,Neumann を「ナイマン」と表記したように,ドイツ語の eu はハンガリー語では「オイ」ではなく「アイ」と読まれます.
「ア」の部分は通常のハンガリー語の円唇母音の a で発音されます.
> 公の場や,親しい間柄などでは?
公の場では Neuman Tanár Úr「ナイマン先生」とか Neumann Professzor Úr「ナイマン教授」,Nerumann
Doktor & Uacute;r「ナイマン博士」とかいった具合に呼びかけます.
(最後の博士の場合は実際には彼は医学博士ではないので,Doktor Neumann と呼ばれることでしょう.)
それ以外の同僚や,友人,知人,親しい間柄の間では,単に下の名前で János「ヤーノシュ」とか,その愛称形で Jancsi「ヤンチ」のように呼ばれます.
> ドラキュラ公ヴラドの伝記を読んでいたら,
> 今のハンガリー~ルーマニアの辺りにドイツ系商人の移民が
> 奨励されて有力な勢力となった,とあったり,
最初の入植者集団の名前から,現在のハンガリー国内のドイツ人達はハンガリー語では sváb「シュヴァーベン人」と,トランシルヴァニアのドイツ人達は
szász「ザクセン人」と呼ばれていますが,実際には,その先祖に関係なく,全てただの német 「ドイツ人」という意味です.
現在のハンガリーやルーマニア,スロヴァキア,セルビア等にはドイツ系(=先祖がドイツ人であった)ハンガリー人ばかりではなく,ドイツ語を母語とする生っ粋のドイツ人達の人口も非常に多いです.
ハンガリーでもドゥナーントゥール(西ハンガリー地方)のジェール市(ラープ市)やショプロン市(エーデンブルク市)等では,喫茶店等では今でも普通にドイツ語の会話が聞かれます.
しい坊 : 外国語板,2001/10/22
青文字:加筆改修部分
【質問】
-yは貴族なんですか?
-iの古い綴かと思ってました.
Nagyba'nya,Nagyrapoltは所領の名前に由来するものだと思いますが.
【回答】
確かに i の古形が y です.
で,通常,地名に -i の付いた姓は所領とか出身地を表現したものなのですが,古い帰属の家柄だと当然古形の -y で表記されますので,帰属である蓋然性が高くなるのです.
-i の場合はインチキ (?) である場合が多いです.
多くの -i で終わる地名の姓は都市名 (Pécsi) だったり,ありそうで存在しない地名 (Bánszëgi) だったりして,そういうのは貴族ではありませんでした.
(必ずしもそうだとは限りませんが,ユダヤ人に多い姓です.)
しい坊 : 外国語板,2001/11/03
青文字:加筆改修部分
【質問】
a とa' で聞こえ方が「オ」,「ア」となるのに混乱した記憶があるのですが.
【回答】
標準語のハンガリー語の場合は短母音の a が o や u と同じ円唇母音になるために,多くの日本人の耳には「オ」に聞こえてしまいます.
そこで Bartók を
「バルトークという表記は間違いである.
ボルトークと表記するのが正しい」
などと主張される方がいらっしゃいます.
しかし,a を「オ」と発音してしまいますと,ハンガリー人には完全な o に聞こえてしまい,絶対に a には聞こえません.
短母音の a を長母音の á と同じ平唇母音で発音すると,ハンガリー人には“訛って”聞こえてしまいますが,ちゃんと a として聞き取ってもらえます.
ですから,カタカナで振り仮名を振る時や,ハンガリー語の固有名詞をカタカナに翻字する場合には必ず「ア」とした方がいいのです.
a は o とは違う音だということもありますが,また音素としても,あくまでも a として振る舞っていますから,機能的にも a は「ア」なのですね.
それから,ハンガリー語のパローツ方言などでは a と á では短母音の方が通常の平唇母音で,長母音の方が円唇母音になっています.
つまり,通常のハンガリー語では「オ」「アー」と聞こえるものが,パローツ方言では「ア」「オー」と逆に聞こえてしまうのですね.
まとめると,
1. 言語学的にはハンガリー語の短母音の a は音響的に「オ」と聞こえるが,音素としてはあくまでも「ア」である.
2. ハンガリー語の短母音の「ア」を「オ」と発音してしまうとハンガリー人には「オ」にしか聞こえないが,「ア」と発音すると,ハンガリー人には(訛った)a
に聞いてもらえる.
ということですね.
同様に,ハンガリー語の e と é も長母音の é の方は下の位置がより上にあり,日本人には「イー」と聞こえてしまうのですが,これもやはり「イー」と発音してしまうと,ハンガリー人にはただの「イー」(í) としか聞こえません.
「エー」と発音すると,ハンガリー人には“訛った”é として聞こえます.
音素的にもやはり e の長母音ですから,こちらも「エー」と発音・表記しましょう (^^).
しい坊 : 外国語板,2001/10/22
青文字:加筆改修部分
【質問】
ハンガリー語で受身文って「過去分詞+存在動詞」でいいの?
その場合の過去分詞って,(単数か複数で)形容詞と同じ変化するの?
【回答】
ハンガリー語の文法によるとハンガリー語に受身がない.
何かを受身で言ったらハンガリ-人が理解できるのに変な感じがするぞ.
使わなくていいと思う.
受身の例をあげると
1)
「○○が書いてある.」 → 「○○ van irva.」
「書いてあるのは○○.」 → 「Az van irva, hogy ○○.」
2)
「言われたのは…」 → 「Ami el lett mondva az, hogy …」
でもこの代わりに「Azt mondtak, hogy…」と言ったら良い.
意味は「彼らが言ったのは…」と言う事.
以上は複数でこうなる→「Amik el lettek mondva az, hogy …」
ハンガリー語で受け身を使うと「下品」な印象があるんだとか.
下品というか,要するに口語的すぎるという感じなんだろうけど…と,ペーチ出身の大学生が申しておりました.
外国語板,2006/10/11(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
ハンガリーの様なまとまった小さな国でも,方言みたいなものが有るのかな?
昔,センテンドレへ行った時ブダペストとは少し言葉の違いがある,なんてことを現地の人が言っていた.
【回答】
方言ありますよ.
詳しくはハンガリー人にでも聞かないと知りませんので,例を挙げたりはできませんが.
田舎の人と話すとなかなか通じないってことありますね.
ブダペストの場合,私がハンガリー語でハンガリー人が英語でと,第三者が見たら変な状況になったりすることもありました.
途中で相手が気付いて,大笑いしたり.
ぶだぺしゅと ◆vFvohlXU : 海外旅行板,2002/09/16~09/18
青文字:加筆改修部分
「西」方言,(西方言の東の)「トランスドナウ」方言,「南」方言,「ティサ」方言,「パローツ」方言,「東北」方言,「メゼーシェーグ」方言,「セーケイ及びチャーンゴー」方言などがありますね.
海外旅行板,2002/09/16
青文字:加筆改修部分
【反論】
ハンガリー人,つまりマジャール人と日本人とは,同族です.
マジャール人の祖先がアジアに住んでいたころ,東に行ったのが日本人で,西に行ったのがマジャール人なのです.
それゆえにハンガリー語と日本語とはくりそつです.
【再反論】
これまで日本人とハンガリー人が同族だと証明された事実は一度もありません.
ちなみにハンガリー人の自称であるmagyar は短母音なので,“マジャール”と表記するよりも“マジャル”と表記した方がより適切かと思われます.
(しかし,“ハンガリー人”=“マジャル人”なのですから,あえてマジャル人と呼ぶ必要もないでしょう.)
ハンガリー語と日本語が文法的には恐ろしく(かつ嬉しいことに)酷似していることは事実ですが,両言語が酷似していることは言語類型論の問題であって,両民族の系統の問題には関係はありません.正確には何も証明されておりません.
言語学のレベルでも,日本語とハンガリー語の同族関係は全く証明されていません.
面白いことに言語(ソフト)の移動は,もちろん実際にその言語を話す人間(ハード)が移動することによって起るわけですが,人種の方は比較的早く周囲の人種に同化されてしまうので,マクロ的に見ると,ユーラシア大陸の人種分布は一切変わらず,人種というハードの上を言語というソフトだけが流れて移動しているように見えます.
スカンジナヴィアに移住したフィンランド人(スオミ人)は色白の金髪が多いですが,中央ヨーロッパに移住したハンガリー人は,人種的には西ハンガリー人はドイツ人的,北ハンガリー人は金髪の多いスロヴァキア人的,トランシルヴァニアのハンガリー人はルーマニア人的,南ハンガリー人はセルビア人のようなディナール型の人種が目立ちます.
もっとも,ハンガリー語を“知ってる”人の間にも, ハンガリー語と日本語が同族と信じている人はたくさんいます (^^;).
だいたい,日本人でハンガリー語を学習したことのある人なら,最初はだいたいどこかで「日本語とハンガリー語は同系だ」という説を読んで,ハンガリー語に興味を持った場合が大部分でしょう.
ただし,その後専門的に研究すれば,そうではないと目が覚めるわけですが....
でも,“他人の空似”でも,似ていればいいじゃあありませんか (^o^)♪
“遠い親戚よりも近くの友人”です.
しい坊 : 世界史板,2001/09/27
青文字:加筆改修部分
古代ハンガリー語の研究書を読んだが,やはり日本語ともモンゴル語とも似ても似つかんものだったのを覚えている.
自転車小僧 : 世界史板,2001/08/20(月)
青文字:加筆改修部分
> 古代ハンガリー語の研究書を読んだが,やはり日本語ともモンゴル語とも似ても似つかんものだったのを覚えている.
どの本でしょうか?後学のためにぜひ,教えて下さい.
ちなみに,現代ハンガリー語でも“vi'zmosta part”(水が洗った岸)のような表現は残っています.つまり,通常は形容分詞構文と呼ばれるものですが
(現代ハンガリー語文法ではただの“形容詞”ということにされているが,異議あり),
これは日本語などでは明らかに関係節です.
公式のハンガリー語の文法の説明では分子構文は関係節ではないとされ(明らかに印欧語族の分析に引きずられている),分詞となる動詞の主語は埋め込まれ得ないとされているのですが,この構文の
vi'z(水)は明らかに主格です.
中世ハンガリー語だと“ha'rom o:ko:r sza'ntotta fo:ld”(3頭の牛が耕した土地)のような完璧な埋め込み分詞構文も残っており,非常に日本語的ですよね.
現存している最も古いハンガリー語の句構造は,(ちょっと手抜きで記憶だけを頼りに引用しますが)
“feheru uaru rea meneh hodu utu rea”
白い 城 に 行く 軍勢(の)道 に
というのがバラトン湖のティハニュ半島の修道院建立状に残されています.
ハンガリー語は昔に戻れば戻るほど日本語に似て来ます.
なお,現代ハンガリー語では英語のような関係詞節も存在しますが,これも嬉しくて泣きたくなるほど,日本人が英語などの関係詞節を直訳した形に似ていますね.
例えば,馬鹿みたいな例文ですが,「私はアニコーという名の少女を知っている」は以下のようになります:
Ismerem azt a la'nyt, akit Aniko'nak hi'vnak.
(私は)知っている その 少女を (who を)アニコーと 呼んでいる
この文は中世ハンガリー語では
Ismerem azt a la'nyt, az kit Aniko'nak hi'vnak.
(私は)知っている その 少女を その 誰を アニコーと 呼ぶ
と表記されました.
要するに「私はその少女を知っている」「その誰を(皆は)アニコーと呼んでいる」という構造なのですね.
ハンガリー語の関係節では通常は必ず先行詞が必要とされますが,これは多分,直訳の名残です.
また英語などとは違い,ハンガリー語では疑問詞と関係詞は語形的に区別され,関係詞は疑問詞に“a-”という接頭辞が付いた形を取ります.
これは中世ハンガリー語では単なる指示代名詞の「その」(az) でした.
当初は ki(誰)という疑問詞に対応する関係詞は“az ki”(その誰)のように表記され,後に“a' ki”のように省略されるようになり,発音上区別が付かないので,現代ハンガリー語では“aki”のように一語として認識されるようになったものと思われます.
なお,ハンガリー語の定冠詞の“az”も指示代名詞の“az”(その)そのままですね.
ハンガリー人達が周囲を印欧語族に囲まれ,だんだんと印欧語族の構文を受け入れていった様子が,非常に奇麗に見うけられます.
しい坊 : 世界史板,2001/09/30
青文字:加筆改修部分
【質問】
日本語とハンガリー語で共通するところはどんなところ?
【回答】
> 語彙
探して行くと,実は結構あるように見えます.
しかし,言語学的な検証をすると殆どが破綻します.
本当に同系の語彙もあるのですが,そういう“文化語”と呼ばれるものは殆ど全世界共通だったりします.
つまり,恐らくは太古の時代のハイテク用語 (?) で,全世界に借用語として伝わったものなのでしょうね.
> 語順
日本人のよく知っているヨーロッパのメジャーな言語の語順は,殆どが日本語のようなSOV(主語+目的語+動詞)ではなく,SVO(主語+動詞+目的語)ですが,現代ハンガリー語の語順はSOVでもSVOでもありません.
ただし,分詞構造(関係詞節構造)とか形態素レベルの並び方を見ると,統語論レベルでのハンガリー語の語順は,恐らくは大昔はSOV(つまり日本語と同じ語順)がデフォルトだったと考える方がいいと思われます.
> 人称変化や目的語を含む動詞変化,
これは日本語との同系が疑われている (?) アルタイ語族でも一般的ですので,人称活用が日本語にないということ自体はあまり問題にはならないと思います.
むしろ日本語が特殊で,場合によっては古代日本語でそういう活用が失われたと考えることも可能です.
(あくまでも“可能”というだけ.)
> 時制,
ハンガリー語では日本語と同じで,印欧語のような意味での“時制”はありません.
日本語では過去・現在・未来に関らず,その時点で相対的に完了しているのか,完了していないのかだけで「た」が付きます.
ハンガリー語でも同様で時制に関りなく,完了しているものには「-ta(/-te/-t)」が付きます.
例えば日本語では
「昨日,銀座を“行く”と田中さんに“会った」
とか
「明日,学校から“帰った”ら,映画に“行く”」
のように使いますが
(時制は「昨日」とか「明日」と言った時の副詞で表現している),
ハンガリー語の場合も全く同じです.
> 単数・複数の概念
日本語の複数形(単数形を2回繰り返す)はアルタイ系のものではなく,南方の言語の特徴のようですね.
多分,これは日本語が混交言語であることに由来するのだと思われます.
日本語が混交言語である可能性が高い以上は,あまり日本語がアルタイ語族に属するのかどうかなんていうことは議論しても意味がないことです.
要は日本語の中のアルタイ的な部分がハンガリー語と同系なのかどうかでしょう.
しかし,これは日本語とハンガリー語の比較の問題ではなく,まず,アルタイ語族の成立が証明されなければならず,次にウラル語族とアルタイ語族の親縁関係が証明され,さらに日本語の中にアルタイ語族に属する部分が存在するということが証明されて初めて,日本語とハンガリー語の(部分的)同系説は証明されるわけです.
手順をきちんと踏まないといけませんね.
しい坊 : 世界史板,2001/09/27
青文字:加筆改修部分
【質問】
ウラル=アルタイ語族というのは今では存在を否定されており,ウラル語族を今はフィノ=ウゴル語族と言うのが普通なのでは?
【回答】
正確には,ウラルアルタイ語族の存在が否定されているのではなく,ウラルアルタイ語族の存在が証明されていないので,そういう用語は言語学では使わなくなっているということですね.
ウラル語族とはフィンウゴル語派とサモエド語派を統合する上位概念です.
言わば,“ウラル語族”は“インドヨーロッパ語族”にあたり,“フィンウゴル”は“ゲルマン”とか“スラヴ”にあたる概念です.
で,現在,ウラル語族の存在を否定する理論は,少なくとも言語学上ではありません.
しかし理論上は,それが今後証明される可能性はありうるわけです.
それが実際に証明されるかどうかは非常に疑わしいですが,少なくとも,日本語とタミール語やレプチャ語との同系説よりは蓋然性は高いとは思われます.
なお,日本のウラル学やフィンウゴル学では“フィノ=ウゴル”という用語は使いません.
これは何でも英語で言わないと気に済まない英語学の人達が使っている用語ですね.
日本の英和辞典等にも“フィノウゴル”と書かれていますが,当の専門家達が一切使わない不思議な用語です.
ちなみに日本語の“フィンウゴル”という用語の語源は,ハンガリー語の“finnugor”で,戦前ハンガリーに留学されていた徳永康元先生が和訳されたものです.
しい坊 : 世界史板,2001/09/27
青文字:加筆改修部分
【質問】
ハンガリー語の発音について教えてください.
【回答】
http://www.geocities.jp/kawatab/lessons/lesson01.html
によれば,以下の通り.
五十音 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|
あ | い | う | え | お | a はおに近く, e はあに近いので,聞く時に注意. j やly も母音が付かないといになる. |
a | i, j, ly | u | e | o | |
か | き | く | け | こ | |
ka | ki | ku, k | ke | ko | |
さ | し | す | せ | そ | |
sza | si | szu, sz | sze | szo | |
た | ち | つ | て | と | cs でちゃ行の音, c でつぁ行の音.したがって, ちは csi ,つが cu . |
ta | csi | cu, c | te | to | |
な | に | ぬ | ね | の | n と母音の組み合わせ.日本語のにの音は にゃ行の音で, nyi であることが多い. |
na | nyi, ni | nu | ne | no | |
は | ひ | ふ | へ | ほ | |
ha | hi | hu | he | ho | |
ま | み | む | め | も | |
ma | mi | mu | me | mo | |
や | − | ゆ | − | よ | j もly も,y も同じ音. |
ja, lya, ya | - | ju, lyu, yu | - | jo, lyo, yo | |
ら | り | る | る | ろ | l と母音の組み合わせ.r は巻き舌.日本語でも巻き舌になる場合はあるが,通常は巻き舌ではない. |
la, ra | li, ri | lu, ru | le, re | lo, ro | |
わ | - | - | − | お | wa の音は通常ゔぁの音.ハンガリー語では v とw は区別されない. |
(wa, va) | - | - | - | o | |
ん | − | − | − | - | 日本語のんには3つの発音があります. |
n, m, ng | - | - | - | - | |
が | ぎ | ぐ | げ | ご | g と母音の組み合わせ.鼻濁音のが行の音は ng . |
ga, nga | gi, ngi | gu, ngu | ge, nge | go, ngo | |
ざ | じ | ず | ぜ | ぞ | 日本語はz とdz が混ざる. |
dza, za | dzsi | dzu, zu | dze, ze | dzo, zo | |
だ | ぢ | づ | で | ど | dzs でじゃ行の音, dz でざ行の音.したがって, ぢは dzsi ,づが dzu . |
da | dzsi | dzu | de | do | |
ば | び | ぶ | べ | ぼ | |
ba | bi | bu | be | bo | |
ぱ | ぴ | ぷ | ぺ | ぽ | |
pa | pi | pu | pe | po | |
きゃ | − | きゅ | − | きょ | |
kja, kya | - | kju, kyu | - | kjo, kyo | |
しゃ | − | しゅ | − | しょ | |
sa | - | su | - | so | |
ちゃ | − | ちゅ | − | ちょ | |
csa, tsa | - | csu,tsu | - | cso, tso | |
にゃ | − | にゅ | − | にょ | |
nya, nja | - | nyu, nju | - | nyo, njo | |
ひゃ | − | ひゅ | − | ひょ | |
hja, hya | - | hju, hyu | - | hjo, hyo | |
みゃ | − | みゅ | − | みょ | |
mja, mya | - | mju, myu | - | mjo, myo | |
りゃ | − | りゅ | − | りょ | |
rja, rya | - | rju, ryu | - | rjo, ryo |
なお,母音には「低母音」と「高母音」というものがある.
このうち,高母音に留意.
e | 日本語の「エ」という形から唇を気持ちひいて発音する. |
é |
舌は真ん中で,唇を両脇に思いっきり引っ張り,「エー」という. |
i | 日本語で「イ」というのよりも口をやや狭くし,舌をさらに口蓋に近付けて発音する. |
í |
上の「i」を長くいう. |
ö |
「オ」というつもりで唇を丸く尖らかせて「エ」という. |
ő |
上の「ö」を長くいう. |
ü |
「ウ」の口の形から舌を口蓋に近付けて「ウ」という. |
ű |
上の「ü」を長くいう. |
【参考ページ】
http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/flc/hun/wands/01.html
http://www.geocities.jp/kawatab/lessons/lesson01.html
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/8678/hyoki.html
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