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ロシアFAQ目次


 【link】

「Strategy Page」◆(2013/04/13) AIR DEFENSE: Little Missiles For Little Ships
 ロシア海軍の軽量級艦船用軽量ミサイルシステム「Gibkha」

「VOR」◆(2012/09/27バレンツ海 ロシア海軍演習で巡航ミサイル発射に成功

新「六課」◆(2012/05/13)新世代艦載防空複合体ポリメント-リドゥートの試験は2012年末までに完了する

新「六課」◆(2012/09/27) バレンツ海で対艦ミサイル発射訓練が行なわれた

新「六課」◆(2012/11/01) オホーツク海で対艦ミサイル発射訓練が行なわれた

「六課」ACS◆(2013/07/19) 有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた


 【質問】
1 http://www2.odn.ne.jp/flyngfrancepan/ckb.html
2 http://www2.odn.ne.jp/flyngfrancepan/ccg.html
3 http://www2.odn.ne.jp/flyngfrancepan/drg.html
4 http://www2.odn.ne.jp/flyngfrancepan/dhg.html
5 http://www2.odn.ne.jp/flyngfrancepan/dkn.html
6 http://www2.odn.ne.jp/flyngfrancepan/ddk.html

 これらの艦の対艦・対空ミサイル等は,一度発射したら「母港・軍港等」に帰らないと,再発射は不可能なのでしょうか?
(これらの艦は旧ソ・ロシア艦がモデル…と聞いてますが,旧ソ・ロシア艦もやはり,一度発射したら(以下同文)…なのでしょうか?)

 【回答】
 できるよ.
 ハープーンやエクゾセみたいにチューブなりコンテナなりに積めてあって,それが艦に固定してあるってものは,港に帰ってランチャーごと取り替える必要があるだろうが,VLSやシルクワーム,アスロックみたいなランチャーが 艦に装備されてるタイプのものは,装備の整った補給艦がいれば,洋上で再装填できるはず.
 新鋭艦では装備されなくなったけど,こんごう型みたいな少し古いタイプのイージス艦なんかは,自力で再装填できるように.ランチャーのうち3セルを潰して装填用のクレーンを入れてる.

 ただし,理屈の上での話しで,実際やるか,実用的かは別の話になる.
 あたご型では再装填クレーンは廃止されたしね.

 ま,元々「弾薬庫+ランチャーで手間低減&スペース節約」ってアイディアだから,撃ち切ったら港で補給が前提だろうね.

軍事板,2011/06/19(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「フォールト」とは?

 【回答】
 SA-N-6を用いた,ロシア海軍の広域防空システム.
 以下引用.

 広域防空システムF-300Fフォールト(輸出名リーフ)用のSA-N-6は長距離ミサイルであり,米海軍のスタンダード・ミサイルと同様なトラック・ヴィア・ミサイル誘導方式を採用している.
 垂直発射され,最大速力マッハ3,最大射程90km.
 搭載艦は現存する唯一の原子力巡洋艦キーロフ Kirov 級(8連装12基),スラヴァ Slava 級巡洋艦(8連装8基)など,大型艦に限られている.

 〔略〕

 興味深いのは,垂直発射されるSA-N-6およびSA-N-9がコールド発射(cold launch)と呼ばれる,西側海軍の水上戦闘艦では見られない方式で発射されることである.
 これは発射機セル下部の装置から高圧ガスによってミサイルを射出し,所定高度に達した後にロケット・モーターに点火する方式である.
 発射機外で点火するため安全である他,発射機セル内でのブラスト処理を行うような機構の必要がない.
 さらに,この方式ではミサイル再装填が容易で,シリンダー状のコンテナに予備ミサイルを収納し,シリンダーを回転させて再装填を行っている.

(多田智彦〔防衛技術研究家〕 from 「世界の艦船」2004年12月号,p.150-151)

 キーロフ級及びスラヴァ級が装備している長距離防空ミサイル複合体S-300F「フォールト」は,西側では SA-N-6 グランブルというコード名で知られています.

 「フォールト」は,地対空ミサイルS-300(SA-10)の艦載版ですが,元々は海陸共用ミサイルとして開発され,1980年から実戦配備されました.

 「フォールト」は,アメリカ海軍の「イージス」システムと同様に,同時多目標対処能力を有する防空システムです.
 イージス艦の就役は1983年なので,ソ連海軍のほうが数年先んじていた事になります.

 ミサイル管制用レーダー(イルミネータ)は3R41「ヴォルナ」と呼ばれており,西側ではトップドームのコード名を付けられています.
 ただ,その形が女性の乳房を連想させる事から(丸いドームの頂点にある突起が乳首のようにも見える),艦隊では「グルーチ」(おっぱい)というニックネームが付けられました(^^;

 「おっぱいレーダー」は,1基で同時に6個の空中目標に対してミサイルを誘導可能であり,これを2基搭載するキーロフ級は,同時に12個の空中目標対処能力を有する事になります.
(スラヴァ級は1基しか搭載していないので,同時対処可能数は6個)
(米イージス艦タイコンデロガ級は同時18個,アーレイ・バーク級は同時12個)
 3R41の丸い「おっぱい」の中には,フェーズドアレイレーダーが収納されております.

 「おっぱいレーダー」の最大探知距離は約90kmであり,これがミサイルの最大射程になります.
(S-300シリーズには90kmを越える射程のタイプも在るが,例えサイズ的には搭載可能でも,誘導できないので無意味)

 発射機はB-203Aと呼ばれる垂直発射型ですが,西側の箱型のVLSとは違い,8連装のリボルバー型となっております.
 発射機は回転しながら1発ずつミサイルを発射します.

 さらに,これも西側とは違う所ですが,ミサイルはコールドガスによって発射機から空中に放出された後にロケットモーターに点火する,「コールドランチ(Cold Launch)」方式を採用しております.
 ちなみに西側の垂直発射機は,発射機の中でミサイルに点火する「ホットランチ(Hot Launch)」方式です.
 コールドランチの利点は,発射機を傷めない事に尽きます.

 このB-203A型発射機は,キーロフ級には12基,スラヴァ級には8基が搭載されています.
 ただし,スラヴァ級では8連装リボルバーが剥き出しになっていますが,キーロフ級は四角い板で覆われています.

 更につけ加えると,西側で最初に垂直発射機を装備したのは,1986年9月20日に就役したタイコンデロガ級イージス巡洋艦の6番艦バンカー・ヒルからです.
 ソ連に遅れる事6年でした.

 ソ連邦解体後に竣工したキーロフ級4番艦「ピョートル・ヴェリキー」は,改良型の「フォールトM」(SA-N-20)に換装されました.
 同艦は,当初は1~3番艦と同様の「フォールト」を装備する予定であり,「おっぱいレーダー」2基も搭載済みだったのですが,竣工が大幅に遅れた為,改良型システムが搭載される事になりました.

 「ピョートル・ヴェリキー」は,イルミネータが1基だけ「30N6E」(フラップリッドB)に換装されました.
 「30N6E」の最大探知距離は150km程度と見られ,これに伴い,ミサイルの最大射程も150kmに伸びました.
 ただ,同時対処可能目標数は,「おっぱいレーダー」と同じ6個のようです.

 ……と,このように高い能力を持つ「フォールト」複合体ですが,基本的には,大型の艦艇でなければ搭載できない防空システムです.
 ロシア海軍でも,キーロフ級とスラヴァ級にしか搭載されていません.
 同海軍が,高い維持費にも関わらず,この両クラスを未だに現役に留めているのは,フォールト複合体の高い防空能力の為でしょう.

 「フォールト」複合体は,これまで外国に輸出される事は有りませんでしたが,中国海軍の新型駆逐艦051C型(瀋陽級)に,改良型の「フォールトM」が採用されました.
(ただし,イルミネータは1基だけなので,同時対処可能目標数は6個ですが)

 瀋陽級は満載排水量7,000トン以上の大型駆逐艦ですが,この辺りが「フォールト」複合体を搭載する艦艇の最低ラインになるようです.

 現在,ロシア海軍には,このような大型駆逐艦の建造計画は無く,「フォールト」搭載艦は当面の間,現役に留まらざるを得ないでしょう.

3R41「ヴォルナ」(グルーチ)
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キーロフ級のB-203A型垂直発射機

中国海軍051C型駆逐艦の30N6E

Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/5/5(土) 午前 8:18


 【質問】
 3R-14 UKSKとは?

 【回答】
 3R-14 UKSKは,ロシアの新型汎用ミサイル垂直発射機です.
 УКСК(UKSK)は"Универсальный Корабельный Стрельбовой Комплекс" (汎用艦発射複合体)の略です.

 3R-14は,これまでは全く別々の垂直発射機が必要だった,クラブ系列とオーニクス系列のミサイルを,同一の発射機から撃つことができます.
 3R-14は,以下のミサイルを運用できます.
・対艦ミサイル3M54E「クラブ」
・対地ミサイル3M14E「クラブ」
・対潜ミサイル91RTE2「クラブ」
・対艦ミサイル「ブラーモス」あるいは「オーニクス」
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 3R-14の模型を見ると,円筒が2個あり,その上にハッチが8個ついています.

 3R-14を装備するロシア海軍の水上艦は,現在のところ2タイプです.

プロジェクト22350フリゲート

改ステレグーシチー型コルベット・プロジェクト20385

 この他,今後建造されるであろう新世代多用途駆逐艦に装備されるでしょう.

 更に,近代化改装が計画されているキーロフ型重原子力ロケット巡洋艦にも,「グラニート」に代わって装備されるという話もあります.

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/11/27(日) 午後 0:47

青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「ヴォドパード」って何?

 【回答】
 RPK-6「ヴォドパード」は,ロシア海軍の現用原潜で使われている対潜ミサイルです.
 潜水艦に搭載されるタイプの他,水上発射型も存在し,こちらは原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」,大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」,警備艦「ネウストラシムイ」型に装備されています.
 ミサイルは全長8.2m,発射重量2445㎏,最大射程37㎞です.

RPK-6「ヴォドパード」

新「六課」◆(2012/04/07)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「ウーラガン」とは?

 【回答】
 中距離ミサイルSA-N-7を用いた艦隊防空システム.
 以下引用.

 艦隊防空システムM-22ウーラガン(輸出名シュチーリ)用のSA-N-7はSA-N-1の後継中距離ミサイルで,慣性誘導およびセミ・アクティヴ誘導で最大速力マッハ2.5,最大射程30km.
 ソブレメンヌイ Sovremenny 級駆逐艦には,米海軍のスタンダード・ミサイル用単装発射機Mk.13によく似たSA-N-7用発射機が前後部に各1基装備されている.
 なお,ソブレメンヌイ級の内,1993年に就役したペスポコイヌイ Bespokoiny 以降には,外観がSA-N-7に類似していて誘導系を改良したSA-N-12 グリズリイ(9K40)が採用された.

 またSA-N-7は,中国へ輸出されたソブレメンヌイ級に当然装備されており,インド海軍のデリー Deli 級駆逐艦,タルワー Talwar 級フリゲイトにも装備されている.

(多田智彦〔防衛技術研究家〕 from 「世界の艦船」2004年12月号,p.150-151)


 【質問】
 対艦ミサイル「ウラン」について教えられたし.

 【回答】

 元々は空対艦ミサイルKh-35(Х-35)として,試作設計局「ズヴェズダー」の手により,1977年に開発がスタートしました.
 1984年,艦載型「ウラン」の開発が決定されました.
 最初の発射試験は1985年11月5日に行なわれましたが,不成功に終わり,1987年1月29日に初めて発射試験に成功しました.
 しかし,ソ連邦解体による資金不足で開発は停滞し,1992年から1997年には4度の発射試験しか実施できませんでした.

 そこで,ロシア海軍へ採用される具体的な見込みの無い「ウラン」に,インドが目をつけ,1994年にはインドへの供給契約が締結され,1996年から引き渡しが開始されました.
 ロシア海軍の方も,2003年7月から国家受領試験が開始され,2004年秋にロシア海軍へ制式採用されました.

 ロシア海軍では,プロジェクト61警備艦「スメトリーヴイ」,プロジェクト11661警備艦「タタールスタン」,プロジェクト11540警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」,そしてプロジェクト20380コルベット「ステレグーシチー」,「ソーブラジテルヌイ」に搭載されています.

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「六課」ACS◆(2013/03/31) 最新コルベット「ボイキー」は対艦ミサイルを発射した
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「オーニクス」対艦ミサイルについて教えられたし.

 【回答】

【軍事産業団体「科学生産合同マシノストロィエニヤ」公式サイト】
 以前はチェロメイ記念第52試作設計局と呼ばれていました.

 汎用対艦有翼ミサイル「オーニクス」の開発は,1981年6月5日に正式決定され,1982年3月10日には,モスクワ近郊レウトフの軍事産業団体「科学生産合同「マシノストロィエニヤ」による予備設計案が採用されました.
 潜水艦による水中発射試験を行なう為,プロジェクト670M原子力潜水艦K-452が,1986年6月25日から1992年7月10日までプロジェクト06704改造を実施しました.
 ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト06704「チャイカ-B」(NATOコード名チャーリーIII)】
【K-452/B-452】

 K-452(1992年6月3日からB-452)は,1992年から1998年まで,「オーニクス」ミサイルの発射試験に従事しました.

 水上艦による水上発射試験の為には,プロジェクト1234小型ロケット艦「ナカト」が改造され,1996年から発射試験が行なわれました.
[「オーニクス(ヤホント)」試験艦「ナカト」]

 「ナカト」による試験は,1990年代末に資金難で中断された後,2000年代初頭に再開され,2002年には国家受領試験を実施,2002年9月23日付でロシア海軍へ軍備採用されました.

 1990年代には「オーニクス」をベースとして輸出用の「ヤーホント」が作成されました.
 それは,インド海軍及びインド陸軍の主要打撃兵器となったロシア-インド共同ミサイル「ブラーモス」のベースとして知られています.

 一方,「オーニクス」搭載を前提に設計された,多用途原子力潜水艦プロジェクト885「ヤーセン」1番艦「セヴェロドヴィンスク」は,1993年12月21日に起工されたものの,資金不足で建造工事は進まず,進水に漕ぎ着けたのは2010年6月15日でした.

 2011年9月12日から海洋試験が開始されましたが,この間に,旧ソ連時代に開発された有翼ミサイル「グラナート」をベースにした「カリブル」(輸出用は「クラブ」)が開発されました.
 対艦,対地,対潜型が存在し,射程も「オーニクス」より長く,更には「オーニクス」よりもコンパクトな「カリブル」は,ロシア海軍の対艦ミサイルの「本命」だった筈の「オーニクス」を,隅に追いやってしまいました.
 2012年の原潜「セヴェロドヴィンスク」海洋試験においては,有翼ミサイル「カリブル」の発射試験のみが複数回実施されました.

 2012年11月7日:潜航状態で対艦攻撃型の発射に成功.
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対艦ミサイルの発射試験に成功した]

 2012年11月26日:浮上状態で地上攻撃型の発射に成功.
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対地ミサイルの発射試験に成功した]

 2012年11月28日:潜航状態で対地攻撃型の発射に成功.
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクは3回連続でカリブル有翼ミサイルの発射試験に成功した]

 2013年には,「カリブル」対地型の最大射程の2500kmでの発射試験が実施されるとの事です.
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年後半に海洋試験を実施し,同年末にロシア海軍へ引き渡される]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

 そのついでに,最近は影が薄い「本命」ミサイル「オーニクス」の発射試験も実施する事になったようです.
 2013年4月30日0時01分配信『イズベスチヤ』より;

--------------------------------------------------------------------------------
【超音速ミサイル「オーニクス」は8月に試験を行なう】

 「ヤーセン」プロジェクト潜水艦のシリーズ生産の結果は対艦兵器の動作に依存する.

 (ロシア)海軍総司令部と生産合同「セヴマシュ」は,対艦ミサイル「オーニクス」の試験時期について合意した.
 (ロシア)国防省が『イズベスチヤ』へ伝えた所によれば,最新のプロジェクト885「ヤーセン」原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の8月末の国家試験において,この超音速ミサイルが発射される.

「ミサイルの発射は水中位置から汎用艦載射撃複合体UKSK SM-343垂直発射管を用いて行なわれます」
 『イズベスチヤ』は国防省の高位の代理人より伝えられた.

 [中略]

 独立軍事専門家でサイト「ミリタリーロシア」管理人ドミトリー・コルネフは,「オーニクス」が,あらゆる軍事的紛争の為の適切な潜水艦を作り出すと考えている.
「セヴェロドヴィンスクが初めからカリブルとオーニクスの試験を行なった事は問題を引き起こすかもしれませんが,それは無駄なものです.
 発射複合体はミサイルシステムの広範囲に渡る使用を可能とします.
 そう,この潜水艦のUKSK-打撃兵器の汎用搭載艦のように」
 彼は『イズベスチヤ』に話した.

 専門家は「オーニクス」を大打撃力のユニークなミサイルと呼び,生産されている同類の「ブラーモス」は様々な方法での試験を成功裏に行なっている.
--------------------------------------------------------------------------------

 「オーニクス」は,距離300kmの水上及び地上目標を破壊し,秒速750m以上,音速の約2.6倍の速度を発揮します.

「オーニクス」の輸出型「ヤーホント」

「六課」ACS◆(2013/04/30) 超音速対艦ミサイル「オーニクス」は2013年8月末に原潜セヴェロドヴィンスクから発射試験を行なう
より再構成
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「キンジャール」とは?

▼ 【回答】
1)
 3K95 キンジャール(Кинжал,Kinzhal,コサックの用いる短剣の意味)は,1989年から本格配備されている,ソ連/ロシアの個艦防空ミサイル・システムで,NATOコードネームはSA-N-9 ゴーントリト.
 地上用の9K330 トールの艦載版であり,垂直発射方式の採用による優れた即応性と,新しい誘導システムと射撃指揮システムによる同時交戦性能を備えている.
 キンジャール・システムは,9M330ミサイルと垂直発射装置,MR-360ポドカット(クロス・ソード)射撃指揮装置によって構成されている.

2)
「ジンジャーエール」の聞き間違え

 【参考ページ】
http://ja.wikipedia.org/wiki/3K95_キンジャール
http://en.wikipedia.org/wiki/Tor_missile_system#3K95_Kinzhal
http://ru.wikipedia.org/wiki/Кинжал (зенитный ракетный комплекс)
http://sky.geocities.jp/std_sk/manual/doc/09.html

【ぐんじさんぎょう】,2010/11/09 20:50
を加筆改修

 以下引用.

------------
 個艦防御システム,3K95キンジャール(輸出名クリノーク)用のSA-N-9は,米海軍のシー・スパロー・ミサイルに相当する短距離ミサイルである.
 垂直発射後,艦上レーダーから指令誘導され,最大速力マッハ2.5,最大射程15kmで終末期にはアクティヴ・ホーミング・シーカーが作動する.
 搭載艦は空母アドミラル・クズネツォフ Admiral Kuznetov (6連装24基),ウダロイ Udaloy 級駆逐艦(8連装8基)である.

 興味深いのは,垂直発射されるSA-N-6およびSA-N-9がコールド発射(cold launch)と呼ばれる,西側海軍の水上戦闘艦では見られない方式で発射されることである.
 これは発射機セル下部の装置から高圧ガスによってミサイルを射出し,所定高度に達した後にロケット・モーターに点火する方式である.
 発射機外で点火するため安全である他,発射機セル内でのブラスト処理を行うような機構の必要がない.
 さらに,この方式ではミサイル再装填が容易で,シリンダー状のコンテナに予備ミサイルを収納し,シリンダーを回転させて再装填を行っている.

------------(多田智彦〔防衛技術研究家〕 from 「世界の艦船」2004年12月号,p.151)

▼ 高射ミサイル複合体「キンジャール」は,陸上用高射ミサイル複合体「トール-M1」(SA-15ガントレット)の艦載型です.



ミサイル管制レーダー「ポドカート」(右端)

8連装ミサイル垂直発射機

 「キンジャール」の開発は1975年からスタートし,プロジェクト1124K小型対潜艦MPK-104に試作品が搭載され,1982年から黒海で試験が行われました.

 「キンジャール」は,プロジェクト1155大型対潜艦,プロジェクト1144重原子力ロケット巡洋艦,プロジェクト11433重航空巡洋艦(ノヴォロシースク)への搭載が予定されていましたが,開発が難航した為,11433重航空巡洋艦と1144重原子力ロケット巡洋艦(1-3番艦)には搭載されず,1155大型対潜艦も,ミサイル発射機と管制用レーダーが揃った完全な形での搭載は4番艦「アドミラル・ザハロフ」以降になりました.

 現在では,以下のロシア海軍水上艦に装備されています.
プロジェクト11435重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」
プロジェクト11442重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
プロジェクト1155/11551大型対潜艦
プロジェクト11540警備艦

 2000年代には,改良型の陸上用高射ミサイル複合体「トール-M2」が開発されました.
 「トール-M2KM」は最新ヴァージョンです.

 そして,「トール-M2KM」の艦載ヴァージョンである「M-トール」も開発され,「キンジャール」を代替するとの事です.

 この場合は,現在,「キンジャール」を装備している水上艦が,近代化改装により,「M-トール」へ換装されるという事になります.
 ただ,上記の「キンジャール」装備艦が,全て「M-トール」へ換装する可能性は低いでしょう.
 「M-トール」へ換装されるのは,プロジェクト11551大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」,プロジェクト11540警備艦あたりでしょうか.
 更には,重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装が実行に移されれば,「M-トール」へ換装されるかもしれません.

「六課」ACS,2014/02/06

3K95 キンジャール (SA-N-9)短SAM VLS?@対潜大型哨戒艦アドミラル・パンテレーエフ
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その説明文

ぎんなんそう in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2010年10月16日 & 11月05日


 【質問】
 現在のロシア海軍の対艦ミサイルの主力は?

 【回答】
 SS-N-19シプレック(3M-45グラニト)以降.
 以下引用.

 巡洋艦キーロフ級に20発,空母アドミラル・クズネツォフに12発装備されているSS-N-19は,全長10m,直径85cm,重量7000kgと巨大であり,最大速力マッハ2.5,中間アップデート付き慣性誘導で550kmを飛翔し,終末期にはアクティヴ・レーダー・シーカーが作動する.
 SS-N-19は潜航中の潜水艦からも発射可能であり,2000年8月に訓練中の魚雷爆発事故で沈没したクルスク Kursk を含むオスカー Oscar II型では,24発(左右舷に傾斜型発射筒各12基)を搭載している.

(多田智彦〔防衛技術研究家〕 from 「世界の艦船」2004年12月号,p.151)

 補足

 P-700「グラニート」(SS-N-19)は,同時期のモスキート(SS-N-22)と同様に「固体ロケット・ラムジェット統合推進システム」を採用した超音速ミサイルで,最大射程は700km.
「そんなの,どうやって目標まで誘導するんだよ?」
という疑問を持つ方も居るだろうが,これが,また一風変わったシステムとなっている.

 旧ソ連は,全地球規模の海洋監視偵察衛星システム「レゲンダ」を開発,1970年代末より運用開始したが,グラニートは,このレゲンダと連動して運用するコトを前提にしたミサイルだった.
 現に,グラニートを設計したマシノストローイェニェ設計局(旧チェロメイ設計局)は,レゲンダシステムの偵察衛星も同時並行で設計していた.言わば「お手盛り」のシステムだったわけだ.
 したがって,目標の発見,及び誘導は,全てレゲンダにお任せ,というコトになる.

 プラットフォーム(艦)は,レゲンダ衛星からの情報を受信してミサイルを一斉発射.
 ミサイル群は,1基が「リーダー」となって衛星からの情報を受け取り,他のミサイルを「率いて」目標に向かっていく.
 「リーダー」が撃墜されるなり何なりして墜落すれば,自動的に別のミサイルが「指揮を引き継ぐ」

 こう書くと,いいトコだらけのミサイルのように思えるが,その「欠点」は,デカ過ぎるコトだね.
 発射重量7トンものミサイルを,ある程度まとまった数で搭載するのなら,搭載艦は必然的に大型化する.
 さらに,レゲンダ衛星からの情報の受信・解析装置も搭載しなければならないが,こちらもデカくて嵩張る.
 つまり,よほどの大型艦でなければ搭載出来ない.
 現にグラニートは,949(オスカー型)ミサイル原潜,1144(キーロフ級)原子力巡洋艦,そして11435(クズネツォフ)重航空巡洋艦にしか搭載されていない.

 というか,もともとは,949型原潜用に開発されたミサイルだが,その高性能に惚れ込んだゴルシコフ海軍総司令官が,「巡洋戦艦」や「空母」にも搭載するように要求した,と言った方が適切だろうね.

夏光華(シア・クァンファ) in FAQ BBS


 【質問】

インドがロシアからミサイル潜水艦を入手
2000/07/20,朝日新聞

 インド海軍報道官は20日,同海軍が19日,ロシアのサンクトペテルブルク港でキロ級潜水艦「シンドゥシャストラ」の引き渡しを受けたと明らかにした.
 同艦はロシア製の対艦巡航ミサイル「クラブ」を搭載,インド海軍として初めてのミサイル潜水艦になる.
 クラブは射程200キロ以上で洋上と海岸の目標を攻撃でき,インド洋の海上戦力のバランスに大きな影響を与える.

 キロ級はロシア製の代表的な通常動力潜水艦.
 インド海軍はほかに9隻のキロ級を保有しており,これらすべての艦にも今後,クラブ・ミサイルを搭載してゆくという.
----

 だれか「クラブ・ミサイル」の事を教えてくれ~
 キロ型は分かるが,「クラブ・ミサイル」は初めて聞きました.

 【回答】
 Clubというのは単一のミサイルの名称ではなく,対艦,対潜,対地ミサイルとFCSを包含したウェポンシステムを示し,潜水艦用がClub-S,水上艦用がClub-Nです.

 Clubシステムを構成するミサイルは次の3種.
対艦ミサイル:3M-54E  3M-54E1
対地ミサイル:3M-14E
対潜ミサイル:91RE

軍事板

 「クラブ」КлУбは,ロシアの新型対艦(対地)巡航ミサイル複合体.

 設計は,旧ソ連時代には対潜ミサイルを手掛けていたノワトール・エカテリンブルク設計局.

 水上発射型は「クラブN」,水中発射型は「クラブS」と呼ばれています.

 水上発射型は,垂直発射機3S-14Eから,水中発射型は,533mm魚雷発射管から撃ち出します.

 ベースとなったのは,旧ソ連時代に作られた対地巡航ミサイルKh-55「グラナート」(SS-N-21)で,1985年頃から設計がスタートしました.

 対艦ヴァージョンは,基本型の3M-54E(全長8.22m,発射重量2,300km,射程220km),軽量型の3M-54E1(全長6.2m,発射重量1,780kg,射程300km)の2種類が存在します.

 現在のところロシア海軍では使われておらず,輸出専用となっており,インドに輸出された「タルワー」級フリゲートや877型(キロ型)潜水艦,中国に輸出された636M型(改キロ型)潜水艦で3M-54E1型が運用されております.

 ただし,ロシア海軍用のプロジェクト677「ラーダ」型潜水艦は,クラブを搭載する可能性も有ります.

 クラブ複合体のミサイルの誘導には,ロシア版GPSの「GLONASS」が使用されます.
(中間誘導は慣性誘導+GLONASS,終末誘導はアクティブ/パッシブ複合シーカー)

 クラブには対地攻撃用ミサイルも存在し,3M-14E(全長6.2m,発射重量1,770kg,射程275km)と呼ばれます.

 この「クラブ」に関していちばん誤解されているのが,「超音速対艦ミサイル」などと書かれている事です.
 確かに「クラブ」ファミリーの3M-54Eは,発射後は亜音速(マッハ0.8)で巡航し,目標手前20kmで超音速(マッハ2.9)に加速,突入するという方式を取っております.
(より正確には,目標手前20kmで先端部分を分離,この先端部分がマッハ2.9まで加速して突入)
 仮に3M-54Eが射程距離いっぱい(220km)を飛翔しても,この内200kmは亜音速巡航するわけですから,これを「超音速ミサイル」と呼ぶのは不適当でしょう.

 この「突入時に超音速まで加速する」機能は,3M-54Eだけです.
 インドや中国に輸出されている3M-54E1は,この機能を省いた亜音速ミサイルです.

 そもそも,同世代で,正真正銘の「超音速対艦ミサイル」であるオーニクス(ヤーホント)が発射重量3,000kgで,3M54-E1と同じ射程距離(300km)なのに,オーニクスよりも軽い(1,780kg )3M54-E1が,同じように超音速巡航できるだけの推進剤を搭載出来るはずが無いっしょ.
 オーニクスより遥かに軽量であり,標準的な533mm魚雷発射管から撃ち出せる「超音速巡航対艦ミサイル」が有るなら,オーニクスの存在意義ナッシングですよ.

 上記の水上発射型及び水中発射型の他に,航空機に搭載される空中発射型3M-51も有ります.

 さらに派生型として,対潜型も存在し,潜水艦発射用の91RE1(全長8.0m,発射重量2,050kg,射程50km),水上発射用の91RTE2(全長6.5m,発射重量1,300kg,射程40km)の2種類があります.
 91RE1は,現用のヴォドパートの後継として,今後のロシア海軍潜水艦の標準対潜ミサイルになるようです.

1枚目:3M-54E対艦ミサイル
2枚目:3M-54E1対艦ミサイル
3枚目:3M-14E対地ミサイル
4枚目:クラブNの垂直発射機3S-14E
5枚目:91RE1対潜ミサイル
6枚目:91RE1対潜ミサイル(左)と91RTE2対潜ミサイル(右)

Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/5/20(日) 午後 3:23

▼ 【追記】
 2012/08/14付イタル=タス通信の記事によると,「カリブル」対艦攻撃型の射程距離は,375kmに延長されているようです.

新「六課」◆2012/08/14
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「クラブ」の空中・陸上発射タイプについて教えられたし.

 【回答】
 2007年8月21日から26日までモスクワ郊外ジューコフスキー飛行場で開催されたMAKS-2007(モスクワ航空ショー)に,対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」ファミリーも出展されていました.
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m01l.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m01h.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m01n.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m01j.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq39m01k.jpg

 MAKS-2007では,
空対艦ミサイル3M-54AE,
空対地ミサイル3M-14AE,
更には,
地対艦ミサイル3M-43AE1(を装備するトラック)
が地上展示されました.
 空中発射型は「クラブ-A」,陸上発射型は「クラブ-M」と呼ばれます.

 3M-54AE及び3M-14AEの公表されている要目は,以下の通りです.

[3M54AE(3М54АЭ)]
全長7.90m,直径53.3cm,発射重量1,950kg,射程300km,弾頭重量200kg,
飛翔速度:マッハ0.7(終末時マッハ2.0),飛翔高度:5~10m

[3M14AE(3М14АЭ)]
全長6.20m,直径53.3cm,発射重量1,400kg,射程300km,弾頭重量450kg,
飛翔速度:マッハ0.7,飛翔高度5~10m

 3M54AEはSu-27系列の戦闘機,3M14AEはMiG-29系列の戦闘機に搭載されます.

 なお,写真の「3М54АЭ」及び「3М14АЭ」ですが,これはミサイル本体ではなく,キャニスター「カリブルA」Калибр-Аです.
 この「キャニスター」の中に,ミサイル本体が収められているわけですね.
 キャニスター付き空対艦/空対地ミサイルなどとというものは,世界中探しても,この「クラブ-A」くらいでしょう.

Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/9/11(火) 午後 10:23


 【質問】
 「カリブル(クラブ)」巡航ミサイルの対地攻撃型について教えられたし.

 【回答】

------------
『イタル-タス通信』より
【潜水艦「セヴェロドヴィンスク」が装備する有翼ミサイルは2500kmの最大飛翔距離を有する】
モスクワ,8月14日/イタル-タス通信

 プロジェクト885「ヤーセン」級打撃原子力潜水艦 「セヴェロドヴィンスク」が装備する有翼ミサイル「カリブル」は,他に類似するものが無い.
 地上目標攻撃用の亜音速ヴァージョンでは,このミサイルの最大飛翔距離は約2500kmになる.
 ロシア防衛産業企業体の情報提供者は記者に伝えた.
「ミサイルは,発射の精度,打撃効果と目標への飛行中の生残性といった,ロシア連邦国防省の必要条件範囲を,すべて満たしております.
 このように,唯一無地の戦術-技術特性を有するミサイルは,他に世界中の何処にも存在しないでしょう」
 情報提供者は述べた.

 彼は,有翼ミサイル「カリブル」は, 多様なヴァリエーションを有する戦闘機器である事を確認した.
「ミサイルは,一体型の弾頭を搭載します.
 従来の弾頭を装備する場合,ミサイルの最大飛翔距離は,およそ2500kmになります」
 情報提供者は述べた.

「カリブルは高精度兵器であり,数千キロメートル離れた目標へ発射されても,予想される誤差範囲は2-3メートルを超える事は有りません」
 彼は強調した.

 「カリブル」の対艦用の超音速ヴァージョンでは,最大飛翔距離は375kmである.
 比較の為に,公開情報によると,アメリカが装備する有翼ミサイル「トマホーク」の飛翔距離は,潜水艦搭載用の非核ヴァージョンで約1150kmである.
(2012年8月14日13時10分配信)
------------

 以前から,多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」などには,「長射程の有翼(巡航)ミサイル」が搭載されると報じられて来ました.
 それは,「カリブル」(クラブ)の対地攻撃用長射程型の事だったようです.
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]

 多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」は,セイルの後ろに3連装ミサイル発射機3R-14Vを8基装備しています.
 このミサイル発射機3R-14Vからは,有翼ミサイル「オーニクス」と「カリブル」を発射できます.

 水上艦用として,3R-14UKSKも有ります.
[汎用ミサイル垂直発射機3R-14UKSK]

新「六課」◆2012/08/14
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「ハープーンスキー」とは?

 【回答】
 SS-N-25 スイッチブレード(3M-24 ウラン)のこと.
 従来,ソ連/ロシア海軍の対艦ミサイルは,最初のSS-N-2が2t超である以外は,いずれも3~4tを超す重量級だった.
 しかし,SS-N-25はハープーンの影響もあり,480kg(ブースター込みで630kg)という軽量を実現した.
 巡航時はターボ・ジェットによる亜音速で高度5~10mを慣性誘導で飛翔し,終末期はアクティヴ・レーダー・ホーミングで3~5mにまで高度を下げ,射程は130kmである.
 SS-N-25は,1980年代にマトカ Matka 級ミサイル艇にSS-N-2に代わって装備し,試験されたが,その後,ソ連/ロシア海軍艦艇には搭載されず,3M-24Eという輸出型名で
アルジェリア(ナヌチュカ Nanuchka II 型ミサイル艇),
インド(デリー級駆逐艦,コラ Kora 級コルベット,タランタル Tarantul IV 型ミサイル艇),
ヴェトナム(BPS500級ミサイル艇)
に輸出されている.

(多田智彦〔防衛技術研究家〕 from 「世界の艦船」2004年12月号,p.151)

>その後,ソ連/ロシア海軍艦艇には搭載されず

 大型対潜艦スメトリーヴイ,警備艦タタールスタンに搭載されている(この他,警備艦ネウストラーシムイ,レグキィ,ピルキィも後日装備予定)し,さらに,現在建造中の近海警備艦ステレグーシュチィ級にも搭載されるよ.

 多田智彦サン,勉強不足だね(笑)

 ソ連/ロシア海軍の対艦ミサイルは,「長距離型」はチェロメイ設計局(現マシノストローイェニェ)の独占,「中・短距離型」は,主にラードゥーガ設計局が開発していた.

 しかし「ウラン」は,このどちらでもなく,それまでは専ら航空機搭載用の対地攻撃ミサイルを手掛けていたズヴェズダー設計局が設計したので,従来のソ連の艦対艦ミサイルとは違うモノになったわけだね.
(航空機から発射するんだから,「軽量」になるのは当たり前だよね)

 より正確に言うと,空中発射バージョンはKh-35(発射重量480kg),それにブースターを追加したのが艦対艦バージョンの3M24(同630kg)になる.

 いちおうロシア海軍でも使われているが,このミサイルを最初に搭載した艦は,実は,旧東ドイツ海軍のフリゲート「サスニッツ」だったんだよね.
 同艦が公試中に,新型の対艦ミサイルが搭載されているコトが確認され,「SS-N-X-25」のコード番号が付けられた.
 周知のように,東ドイツは西ドイツに併合され,旧東ドイツ海軍の艦艇も,全て統一ドイツに接収された.
 当然,その中には「サスニッツ」も含まれていたが,その艦上には,「SS-N-X-25」の姿は無かった.東ドイツが併合されるコトが決まった時点で,取り外されてソ連に返却されたようだ.
 同じく東ドイツに売却した「新鋭戦闘機」MIG-29が,統一ドイツ軍に取られるコトは容認したソ連も,最新鋭の対艦ミサイルまで,ドイツ人にくれてやる気は無かったらしいね.

(夏光華(シア・クァンファ) i n FAQ BBS)


 【質問】
 「サンバーン」とは?

 【回答】
 現在,ロシア海軍において,駆逐艦から小型のミサイル艇,はては海面効果翼艇にまで搭載されている対艦艇用ロケット複合体「モスキート」
(Противокорабельный Ракетный Комплекс "Москит")
 西側では,SS-N-22「サンバーン」Sunburnというコード名で知られています.

 現在,ロシア海軍に在籍する艦艇で,このミサイルを搭載している艦艇は,以下の通りです.

・956型駆逐艦(ソブレメンヌイ級)×9隻
・11551型大型対潜艦(ウダロイII型)×1隻
・12411型ミサイル艇(タランタルIII型)×25隻
・1239型SESコルベット(ダーガチ型)×2隻
・903型海面効果翼艇(ルン)×1隻

 現在のロシア海軍でも,「モスキート」は艦対艦ミサイルの主力であると言えるでしょう.

 対艦艇用ロケット複合体「モスキート」の開発は,1973年,ラドゥーガ設計局によって開始されました.
 設計を手掛けたのは,I.S.セレズネフ技師です.

 モスキートは,第三次中東戦争における「エイラート・ショック」で有名なテルミート(SS-N-2「スティックス」Styx)対艦ミサイルの後継として開発されました.
 ちなみに,テルミートもラドゥーガ設計局が開発した対艦ミサイルです.

 ミサイル制御システムは,アルタイル設計局が開発し,飛行艇Be-12を改造してテストが行われました.

 モスキートには,以下のヴァリエーションが存在します.

・3M80:初期型,発射重量3,950kg,射程90km.1980年より配備.
・3M80E:中期型,発射重量4,150kg,射程を120kmに延長.1984年より配備(1枚目の写真).
・3M82/P-270/Kh-41:1990年代に出現した改良型.発射重量4,500kg,射程250km.

 最初に航空機発射型(Kh-41)が作られ,のちに艦発射型(3M82/P-270)も作られた.
 Kh-41は,ASM-MSSとも呼ばれる(2枚目の写真)
・3M-80E1:発射重量3,970kg,射程100kmの廉価版輸出型.2001年8月に発表.
・3M80MBE:中国向けの956EM型が搭載しているタイプ.射程200km.

 何かと話題の中国海軍のソヴレメンヌイ級駆逐艦は,
最初に引き渡された2隻が3M80E,
最近引き渡された956EM型2隻は,射程延長型3M80MBE(モスキートM)を搭載しています.

 ロシア海軍のソヴレメンヌイ級は,初期型3M80と中期型3M80Eを搭載しているが,就役時に3M80を搭載していた艦(つまり1984年までに就役した艦)は既に除籍されているので,現在は3M80Eしか残っていないと思われます.

 なお,この「初期型」3M80ですが,西側では,P-80「ズーブル」P-80"Zubr"という,モスキートとは別のミサイルではないかという見方も有ります.
「P-80「ズーブル」はチェロメイ設計局が開発し,ソヴレメンヌイ級および1241型ロケット艇(タランタル型)の初期建造艦に搭載された.
 1984年から,両クラスに「モスキート」が搭載されるようになった」
というのが,西側の見方です.

 ただ,P-80「ズーブル」P-80"Zubr"に関する情報は,ロシアではなく西側から出ており,ロシア側からは,写真(外形)も含めて"П-80 Зубр"に関する情報が出て来ない事
(ロシア語,つまりキリル文字で書かれたサイトで,"П-80 Зубр"に言及している所は無い)
を考慮すると,果たして本当に,ソヴレメンヌイ級およびタランタル型の初期建造艦に"П-80 Зубр"が搭載されていたかどうかは,疑問が有るでしょう.

 あと,チェロメイ設計局は,モスキート開発と同じ頃(1970年代),大型対艦ミサイル「グラニート」および衛星海洋偵察システム「レゲンダ」用の偵察衛星の開発に忙殺されていたのに,この上,モスキートと同クラスの対艦ミサイルを並行して開発する余裕が有ったのかどうかも疑問ですね.
 まあ,名前が西側に漏れて来るくらいですから,開発プラン程度は有ったかもしれないけど.

 ロシア側では上記の通り,1980年に「3М80」が配備され,1984年から「3М80Е」の配備が始まった,という記述が一般的です.
 ロシア人が英語で書いているサイトでは,P-80"Zubr"に言及している所も有りますが,これは,あくまでも「西側から逆輸入」した情報を掲載しているだけです.

 モスキートのエンジンは,IRR(Integral Rocket/Ramjet)固体ロケット・ラムジェット統合推進システムと呼ばれるものであり,発射されたあと,まず固体ロケットで超音速まで加速してからラムジェット推進に切り替える方式です.
 この際,固体ロケットを燃焼した後に出来る空間を,ラムジェットエンジンの燃焼室として使用します.

 この推進システムは,旧ソ連では,1960年代に開発され,1970年から配備された地対空ミサイル2K12「クブ」(SA-6ゲインフルGainful)で初めて実用化されました.
 モスキートの開発スタート時(1973年),既に実用化されていた技術だったわけです.

 モスキートは,以下のような手順によって目標まで誘導されます.

 目標に接近すると,いきなり目標に突入せず,まず,ターゲットと思しき艦の近くを蛇行運動しつつ,通り過ぎながらレーダービデオ影像を撮影し,発射プラットフォーム艦に送り返す.
 プラットフォーム艦のミサイル管制システムは,受信した影像を瞬時に解析し,予め指令した攻撃目標かどうかを判断する.
 なお,搭載ヘリコプターのレーダーで目標を捜索し,発射プラットフォーム艦に情報を送る事もできる.
 送られてきた影像が,予め定めた目標と同じであれば,ミサイルはその目標に突入するが,そうでない場合は,付近に居る適当な代替目標を攻撃する.
 適当な代替目標を捕捉出来ない場合は,いったん目標付近を通過して自動的に180度回頭して戻り,探知できた目標を攻撃する.
 もし,どうしても目標を探知できない場合は,付近のジャミング発信源に突入する.

 なお一部で,モスキートは米空母攻撃用だと誤解されていますが,射程距離(100km前後)から見ても,米空母攻撃用とは言えない.

 ソヴレメンヌイ級やタランタル型で,米空母機動部隊から100km以内に接近できるとは,当のソ連海軍だって思っていないでしょう.

 旧ソ連の対艦ミサイルは,空母部隊攻撃用の長距離型と,空母以外の水上艦艇攻撃用の中・短距離型に分かれておりました.
(http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/13534655.html参照)

 そしてモスキートは,水上艦艇攻撃用の中・短距離型ミサイルです.

<以下,コメント欄より>

 「某Wiki」ですが,ガセ,というわけでもありません.

 モスキートは目標に近付くと,「蛇行運動」しつつ目標の近くを通り過ぎながらレーダービデオ影像を撮影し,発射プラットフォーム艦に送り返すので,それを指して「S字運動」と言っているのでしょう.

 あと,搭載ヘリコプターのレーダーで目標を捜索させ,発射プラットフォーム艦に情報を送るという方法も有り,それを「航空機の中間誘導」と言っているのでしょう.
(まあ正確には,ヘリで直接誘導するわけではないようですが)

 プラットフォームとのコンタクトが切れてしまった場合は,アクティブレーダー誘導で目標に突入すると思われます.

 クラブ及びオーニクスの管制レーダーは,「ガルプン」と呼ばれる超水平線(OTH)レーダーです.
 22350型は,艦橋上のドームにガルプンが入っていると思われます.

2008/1/16(水) 午後 11:01 [ rybachii ]

http://mltr.run.buttobi.net/faq39m01m02.jpg
http://mltr.run.buttobi.net/faq39m01m02b.jpg
http://mltr.run.buttobi.net/faq39m01m02c.jpg

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/1/15(火) 午後 0:47

 【関連リンク】

「ロシア・ソ連海軍」:超音速対艦ミサイル「モスキート」搭載作業


 【質問】
 サンバーン対艦ミサイルは高速という有利性はわかるのですが,その代償として大型化と空力加熱,排気熱の増大によって非発見率も高いよう思いますし,迎撃ミサイルも当たりやすいと思います.
 要するにメリットよりデメリットの方が多いような気がするのですが,駄っ作ミサイルであるという評価は西側には無いのですか?

 【回答】
> サンバーン対艦ミサイルは高速という有利性はわかるのですが,
> その代償として大型化と空力加熱,排気熱の増大によって
> 非発見率も高いよう思いますし,迎撃ミサイルも当たりやすいと思います.

 ここまでは正しい.

> ようするにメリットよりデメリットの方が多いような気が

 これが間違い.
 リアクション可能な時間余裕が短くなることは致命的に防御側に不利.
 サンバーンは速度がハープーンの6倍以上で,一旦発射されたら対処時間が短くて迎撃困難.

 問題なのは120kmという射程の短さで,これだと発射母体が接近するまでに米空母艦載機にチンされる.
 しかし逆に言えば,米空母以外の艦船には絶大な威力を発揮できるということで,駄作というわけはない.

 だから西側の評価は
「サンバーン,まじやばい」「防御能力向上きぼんぬ」
になってる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
「United Defence」のサイトで,ソブレメンヌイ級の主兵装である「SS-N-22・サンバーン」の説明に以下の事が書いてあります.

――――――
 巡航速度はマッハ2.5に達するが,この世界最高レベルの速度のおかげで,SS-N-22サンバーンは目標にミサイルに対処する時間を与えない.
 例えば米国のハープーン艦対艦ミサイルは最大射程で目標に到達するまで120~150秒かかり,目標の艦はその間に対空ミサイルを発射したり,防空砲を発砲するなどの対抗策をとることができるが,SS-N-22サンバーンの場合,目標に残された時間は20秒ほどで,目標の艦は効果的な対抗措置をとることができない.

――――――引用終わり

 M2.5の巡航速度だとすると,毎秒340m×2.5=850mとなります.
 つまり0.85km/sとなるわけです.
 最大射程120kmと書いてありますので,
120÷0.85≒142
となり,巡航速度までの加速を考慮しますと,概ね2分30秒ほどの時間が掛かります.
 上記の説明ですと,充分対抗できる時間はあるような気がします.
 実際はどうなのでしょうか?
(2005年01月25日 17時25分08秒)

LEO

 【回答】
 答えは
「レーダーで発見してから20秒ほどしか猶予が無い」
と言う事です.
 サンバーンはシースキマー・ミサイルです.
 飛行高度はハープーンよりも高いですが,それでも海面高度近くを飛んでくる為に水平線の影に隠れて飛んできます.
 結果として艦載レーダーで探知できるのは,20km前後からとなります.

 ただしサンバーンは,最大射程で撃った際にはシースキミングできませんし,最大速度で飛ぶこともできません.
 シースキミング・モードで尚且つ最大速度に設定した場合,サンバーンの射程はかなり短いものとなります.
(2005年01月25日 19時21分08秒)

JSF

以上,「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年01月24日より


 【質問】
 サンバーン対艦ミサイルについて特徴とか教えてください.
 イージス艦で迎撃できますか?

 【回答】
 弾頭がデカイため当たったらヤヴぁい.
 速度がかなり速いため迎撃し難い.
 イージス艦で迎撃できるかに関しては,ファランクス装備のイージスで高確率で迎撃できるかは疑問.
 ファランクスには20mmバルカンが積まれてる訳だが,この様な規格外の対艦ミサイルに対しては威力不足だと言われている.

 ファランクスに変わる物として,RIM-116 RAMと言う短距離迎撃ミサイルと言う物が,西側で最近作られた最新の軍艦に配備されている.
 有名なAIM-9の誘導部分に,世界最高の命中率を誇るとされるスティンガーミサイルの技術を応用した物だが,即応性に優れており,無論ミサイルなので問題のファランクスと比べ威力も優れている.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 SS-N-12"Sandbox"について教えられたし.

 【回答】
 ロシア海軍の対艦ロケット複合体P-500バザリート/P-1000ヴルカン Противокорабельный Ракетный Комплекс П-500 "Базальт"/П-1000 "Вулкан"
 西側では,SS-N-12"Sandbox"のコード名で知られています.

 バザリートの開発は,1963年2月28日にソ連邦政府から第52設計局(チェロメイ)に命じられ,
1963年12月から設計作業がスタート.
1969年10月に試作ミサイルが完成,
1970年から発射テスト実施.
1974年に正式採用され,
1975年,675型(エコーII型)原子力潜水艦に初めて配備されました.

 675型原子力潜水艦の内,
北方艦隊所属のK-104,K-28,K-128
太平洋艦隊所属のK-175,K-184,K-189,K-57,K-56,K-94,K-23
の計10隻が,バザリートを搭載する675MK/675MU改造を受けました.
 ただし,これらの潜水艦は,浮上しなければミサイルを発射できませんでした.

 水上艦艇は,1977年以降,キエフ級VSTOL空母(4隻),スラヴァ級ミサイル巡洋艦に搭載されました.

 バザリートは,ターボジェット推進で最大速度マッハ2.2の超音速対艦ミサイルです.
 バザリートは,最大で550kmという長射程を誇りますが,この射程をフル活用する為には,自艦の搭載センサーだけでは到底能力不足であり,海洋航空機による偵察・誘導システム「ウスペフ/ウスペフ-U」(МРСЦ-1 "Успех"/"Успех-У")が使用される事になります.
 「ウスペフ」システムでは,哨戒機(Tu-95)とヘリコプター(Ka-27)がセンサーの役割を果たします.
 プラットフォームから発射されたバザリートは,これらの航空機で中間誘導され,目標へと導かれるわけです.

 そして,1979年3月17日からは改良型「ヴルカン」の開発がスタートしました.

 改良の主目的は,ミサイルの射程距離を700kmまで伸ばす事でしたが,ミサイル発射装置はバザリートと共用化する事が求められた為,ミサイルのサイズは同じままでした.

 試作ミサイルがエコーII型潜水艦K-1に搭載され,1983年12月22日,発射テストが実施されました.
 P-1000「ヴルカン」は1985年にテストを終了,1987年から生産が開始されました.

 まず,エコーII型潜水艦5隻・・・
北方艦隊所属のK-1,K-22,K-35,
太平洋艦隊所属のK-10,K-34
がヴルカンを搭載する改装を受け,675MKV型となりました.
 むろん,これらの潜水艦は,浮上しなければミサイルを発射できませんでした.

 水上艦では,まず,スラヴァ級巡洋艦3番艦「ワリャーグ」が1989年の就役時から搭載.
 1番艦「モスクワ」も,1990年代に実施された改装でヴルカンが搭載されました.

 スラヴァ級は6隻の建造が計画され,4隻が起工されましたが,3番艦以降はヴルカンを搭載する予定だったようです.
 未だ艤装途中で放置されている4番艦も,ヴルカンを搭載するはずでした.

 ソヴィエト連邦解体後,バザリート/ヴルカン搭載艦は次々と除籍されて行き,1990年代中期には,スラヴァ級ミサイル巡洋艦3隻だけとなってしまいました.

 そして,21世紀初頭の今も,スラヴァ級ミサイル巡洋艦3隻は,バザリート/ヴルカンを搭載し,ロシア海軍に在籍しております.

 基本的には対艦用のバザリート/ヴルカンですが,ロシア国防省によると,地上目標への攻撃も可能との事です.

――――――
http://www.mil.ru/info/1069/details/index.shtml?id=36160より.

≪Варяг≫ вооружен мощным многоцелевым ударным ракетным комплексом, который позволяет поражать надводные и наземные цели на значительном удалении.
(「ワリャーグ」は,重要な水上および地上目標への打撃を可能にする強力な多用途ミサイル複合体によって武装している)
――――――

 ロシア側のメディアにおいては,一般的に,P-1000ヴルカンも含めて「P-500"バザリート"」と呼称されているようです.
http://en.rian.ru/russia/20080122/97520307.html

 ただし,こちらの記事(ロシア語)では,1番下の文章で,モスクワは対艦ロケット「ヴルカン」を搭載すると書かれていますが.
(противокорабельными ракетами "Вулкан")
http://rian.ru/defense_safety/military_exerc/20080125/97701107.html
http://rian.ru/defense_safety/20080125/97726959.html

バザリート
faq39m01m03.jpg
faq39m01m03b.jpg
faq39m01m03c.jpg

ヴルカン

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/1/27(日) 午前 9:43


 【質問】
 「トマホークスキー」とは?

 【回答】
 SS-N-21 サンプソン(RK-55 グラナト)のこと.亜音速で1700kgと比較的軽量級であり,「トマホーク」ミサイルに似ていることから,そう呼ばれる.
 トマホークと異なり,潜水艦発射型のみで,アクラ Akula I/II 型攻撃原潜の533mm魚雷発射菅から発射され,慣性誘導と地形照合誘導で飛翔し,射程は3,000kmである.

 以上,データは 「世界の艦船」2004年12月号の,多田智彦〔防衛技術研究家〕による記述,p.151より.

>「トマホークスキー」

 それで宜しいですが,搭載可能艦は971(アクラ)だけではなく,671RTM(ヴィクターIII),945(シエラ)といったロシアの多用途原潜(攻撃原潜)全般に渡ります.
 この他,戦略原潜667A(ヤンキー)の弾道ミサイルを撤去してグラナートを搭載した巡航ミサイル原潜667AT(ヤンキー・ノッチ)というのも有った.

(夏光華(シア・クァンファ) i n FAQ BBS)


 【質問】
 ソ連/ロシアの地対艦ミサイルの種類を教えてください.

 【回答】
SSC-1
SSC-1A Shaddock(シャッドック)
SSC-1B Sepal  =P-5S(S-1)

SSC-2
SSC-2A Salish
SSC-2B Samlet  =P-2 Sopka

SSC-3 Styx

SSC-4 Slingshot =RK-55

SSC-X-5 Scorpion 蠍

SSC-6 Stooge
(Switchbladeとなっているサイトもあり) =Kh-35バル-U型移動式沿岸ミサイル複合体

 ただ,どうもPというのはミサイル複合体システムではなく,ミサイル単体を示す記号くさいが,確証は得られず.

 【参考ページ】
http://blogs.yahoo.co.jp/pipidori3/archive/2008/02/03
http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?NATO%A5%B3%A1%BC%A5%C9
http://www8.atwiki.jp/military/pages/6.html
「日本周辺国の軍事兵器」」:ロシア・旧ソ連ミサイル

【ぐんじさんぎょう】,2009/3/10 00:40
に加筆

Kh-35バル-U型移動式沿岸ミサイル複合体

 「バル-U」型移動式沿岸ミサイル複合体は,「ウラン」対艦ミサイルの陸上発射型です.

「ロシア・ソ連海軍」,2009/3/6(金) 午後 8:15


 【質問】
 ロシア海軍の最新のミサイルは?

 【回答】
 まずSLBMではSS-NX-30 ヴラヴァ.詳細は別項参照.

 個艦防御対空ミサイルでは「ポリメント」.
 最大射程14km.建造が開始されたグロム Grom 型(12441型)フリゲイトに,8連装のものが4基搭載されることになっている.

 対艦ミサイルではSS-N-26(3K55 オニクス).輸出名は3M-55 ヤホント.
 1980年代初期に開発を開始して,2000年に量産に入ったと伝えられる.
 固体燃料ブースターと液体燃料を使用するラムジェット主エンジンで,最大速力マッハ2.5.
 最大射程は,航空・低空飛翔の場合は300km.
 低空のみでは120km.
 慣性誘導による巡航最大速度は14,000m.
 アクティブ・レーダー・シーカーが作動する終末期には,5~15mに降下する.
 発射重量は約3,000kg.
 水上艦の他,潜水艦(650mm魚雷発射管または垂直発射筒)および航空機からの発射が可能.

 さらに,SS-N-27と呼称されている,水上・水中・陸上目標を対象にした多目的ミサイルP-900 クラブ・システムも開発されている.
 対艦および対潜攻撃を主とするが,事前に座標が把握可能な陸上の固定目標・低速目標も攻撃できるクラブには,水上艦発射型のクラブNおよび潜水艦発射型のクラブSがある.
 これらで使用されるミサイル・ファミリーは複雑で,対艦用3M54E(輸出用は3M54E1)および対地用3M14EはクラブNおよびクラブSで共通であるが,対潜用はクラブSでは91RE1(魚雷発射管発射),クラブNでは91RE2(垂直発射筒発射)となっている.
 諸元はバージョンによって若干異なり,
全長8.22m
直径533mm
最大重量2,300kg(ブースター込み)
 推進は
3M54E:固体燃料ブースター&ターボジェット&固体燃料ロケット(巡航時マッハ0.6-0.8,終末期高度5mでマッハ2.5-3.0)
3M54E1および3M14E:固体燃料ブースター&ターボジェット(マッハ0.6-0.8),
91RE1/2:固体燃料ブースター&固体燃料ロケット(マッハ2.5/2.0)
 誘導方式は巡航時はいずれも慣性誘導,終末期は対艦型ではアクティヴ・レーダー・ホーミングであり,対潜型では切り離してパラシュートで落下する短魚雷がアクティヴ・ソナーを使用.
 射程は
91RE1/2:50/40km
3M54E:220km
3M54E1および3M14E:300km

 最新の対潜ミサイルはRPK-9メドヴェドカ・システムと呼ばれる,SS-N-29.射程20km.
 米海軍のアスロックに類似.
 短魚雷を搭載した,浅海域での運用を意図した小型艦での装備を予定.

 以上,データは 「世界の艦船」2004年12月号,p.151-152の,多田智彦〔防衛技術研究家〕の記述による.

>艦対空ミサイル

 「最新」というのは微妙だが,広域防空ミサイルシステム「フォールト(SA-N-6)」の改良型「フォートM(SA-N-X-20)」というのも有るよ.
 今のところ,キーロフ級原子力巡洋艦4番艦ピョートル・ヴェリキー(1998年就役)にしか搭載されていないが.ミサイル管制用レーダーが新しいモノになり,ミサイル自体の射程も,150kmに延長されている(フォールトは90km).
 輸出型は,中国が建造中の051C型駆逐艦(ちなみに「神盾艦」とは別のフネ)に搭載されるらしい.
(ロシア海軍仕様と全く同じスペックかどうかは分からないが・・・)

>オーニクス

 このミサイルは,1990年代半ば頃から,水上発射型はナヌチュカIV型ミサイル艇,水中発射型はチャーリーII型原潜でテストを行い,1998年に正式採用された.
 設計は,ロシアのマシノストローイェニェ設計局(旧チェロメイ)の手によるモノだが,その後,インドが「資金面の共同開発パートナー」になったらしく,インド向けヴァージョンは,「ブラーモス」と呼ばれる.
 中国も,ヤーホントの導入を希望していたが,インドが難色を示したので,実現には至っていない.
 そりゃ,おカネ出してくれるトコの言うコトは,無視できないよね(笑)

 ちなみに,潜水艦の「650mm魚雷発射管」からは発射出来ません(笑)
 このミサイルは,現在,建造(が停滞)中の新型原潜「セーヴェロドヴィンスク」級に搭載されるが,同級では,ミサイル3基を収めた垂直発射筒8基を搭載する.つまり,合計24発のオーニクスを搭載するコトになるね.
 つーか,「セーヴェロドヴィンスク」級には,そもそも「650mm魚雷発射管」無いし(笑)

 さらに付け加えると,「650mm魚雷発射管」は,ロシア海軍では,もう見切りを付けているよ.
 アクラ型,シエラ型の後期建造艦は533mm魚雷発射管で統一されてるし,タイフーン型は,就役当初は650mm魚雷発射管を装備していたが,のちに533mm魚雷発射管に換装している.
 2000年に起こったK-141「クルスク」の爆沈事故では,艦首の魚雷発射管室で爆発が起きたが,この時爆発したのは,650mm対艦重魚雷,いわゆるウェーキホーミング魚雷ではないかという説が濃厚だ.少なくともロシアでは.
 以上のコトから察するに,何らかの問題が有り,それで見切りを付けたのではないかと思われ.

 あと,同じく建造(が停滞)中の新型警備艦「グローム」型(1番艦「ノーウィック」)にも,ミサイル3基を収めた垂直発射筒6基が搭載される.

>クラブ対艦ミサイル

 誘導には,ロシア版GPSの「GLONASS」〔右画像〕が使われますが何か?
 ロシア本国では使われていないが,潜水艦発射型はインドと中国のキロ型に搭載されるし,水上艦発射型はインドのフリゲート「タルワー」級に搭載されている.
 最近ロシアは,GLONASS衛星の追加打ち上げを行っているが,これは,インド及び中国用というコトも有るのではないかと思われ.
 ちなみに,勘違いしている人が多いけど,クラブシリーズは遷音速ミサイルであり,超音速は出せません.
 つーか,クラブとオーニクスをゴッチャにしている人が多いように思われ(笑)

 ちなみに1990年代には,どういうわけか「ノワトール"アルファ"超音速対艦ミサイル」として西側に知られていたが,実際は,かくの如し.
 ま,設計したのがノワトール設計局というトコだけは合ってたけどね(笑)

>メドヴェードカ対潜ミサイル

 これも,現在,建造(が停滞)中の「グローム」型に搭載されるね.

 こうして見ると,「グローム」型警備艦って,新兵器テンコ盛りのスゴいフネなんだね(笑)

 ちなみに,上の方にある「ロシア海軍の新型艦艇」に,グローム型を入れなかったのは,ハナッから完成するなどとは思っていないから(笑).

(夏光華(シア・クァンファ) i n FAQ BBS)


 【質問】
 RPK-3「メテーリ」って何?

 【回答】
 RPK-3「メテーリ」(РПК-3 ≪Метель≫エールペーカー・トリー・ミチェーリ)は,ソ連海軍の対潜ミサイルで,NATOコードネームでは,SS-N-14「サイレクス」(Silex)と呼ばれる.
 P-50の発展型であるP-120対艦ミサイルを元に開発され,1968年以来,第一線に配備されているが,現在はRPK-2「ヴィユーガ」(SS-N-15)への代替が始まっており,生産はされてない.
 まずミサイルが,潜水艦がいると思われる場所の近くまで魚雷を運び,その後,魚雷が潜水艦を捜して向かって行くという方式が採用されている.

 【参考ページ】
http://ja.wikipedia.org/wiki/RPK-3_(ミサイル)
http://en.wikipedia.org/wiki/Metel_Anti-Ship_Complex
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/ss-n-14.htm
http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?SS-N-14

【ぐんじさんぎょう】,2010/11/04 21:00
を加筆改修

SUM 4連装発射筒の後ろ

その説明文

ぎんなんそう in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年10月16日 & 11月05日


 【質問 kérdés】
 「ラストルブ」について教えてください.
Kérem, "Rastrub"-ról mondja meg.

 【回答 válasz】
 URPK-5 ラストルブ Rastrub は対潜・対艦両用ミサイル・システム.
 対潜ミサイル・システムURPK-3「メテル」 УРПК-3 «Метель»の派生型で,NATOコード名はSS-N-14「サイレックス」.
 80RUミサイルは胴体にUMGT-1魚雷を吊り下げて4連装発射管から発射され,固体ロケットで亜音速飛行する.
 射程は最大45km.
 誘導方式は司令更新付きオートパイロットで,弾頭は対艦用赤外線ホーミングシーカー及び150kgの半徹甲弾頭を搭載.

 1960年代初頭から生産され,プロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)などに搭載されている.

 80RUの輸出型は85RUと呼ばれる.

 【参考ページ Referencia Oldal】
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-1094.html
http://www.weblio.jp/content/SS-N-14
http://russianships.info/eng/warships/project_1134b.htm
http://www.theinfolist.com/php/SummaryGet.php?FindGo=SS-N-14

https://www.liveleak.com/view?i=357_1438078419

mixi, 2017.10.12


 【質問】
 「リドゥート」とは?

 【回答】
 3K96「リドゥート」Редутは,ロシア海軍の新世代水上戦闘艦に搭載される,新世代防空ミサイルシステムです.

 「リドゥート」は,ステレグーシチー型コルベット2番艦以降,プロジェクト22350フリゲートに搭載されます.
 おそらくは,これから建造されるであろう新型多用途駆逐艦にも搭載されるでしょう.

 写真はステレグーシチー型コルベット2番艦「ソーブラジテルヌイ」
 艦橋の前にある垂直発射機が「リドゥート」です.
(1番艦ステレグーシチーは近接高射複合体「コールチク」が設置されていた場所です)

 こちらはプロジェクト22350の模型.
 右側にある28基の垂直発射機が「リドゥート」です.

 「リドゥート」は,数種類の高射ミサイルを発射できます.
・遠距離高射ミサイル48N6E2:指令,慣性,セミアクティブレーダーホーミング,射程200km
・中距離高射ミサイル9M96E/9M96E2:慣性,アクティブレーダーホーミング,射程40km(9M96E)/120km(9M96E2)
・近距離高射ミサイル9M100:赤外線ホーミング,射程15km

 48N6E2は,S-300PMU2高射ミサイル複合体用のミサイルであり,弾道ミサイル迎撃能力を有しています.

 9M100は,空対空ミサイルR-77(RVV-AE)をベースとした短SAMです.

 「リドゥート」システムから発射されるミサイルの管制・誘導は,4面フェーズドアレイレーダー「ポリメント」によって行われます.

 プロジェクト22350フリゲート(アドミラル・ゴルシコフ型)完成予想図では,艦橋上部にフェーズドアレイレーダーが装備されていますが,これが「ポリメント」です.

 ただし,コルベット「ソーブラジテルヌイ」は,「ポリメント」ではなく「フルケ-2」と呼ばれるフェーズドアレイレーダーを装備します.

 「リドゥート」は,ロシア海軍現用の遠距離高射ミサイル複合体「フォルト」,中距離高射ミサイル複合体「ウーラガン」,近距離高射ミサイル複合体「キンジャール」を全て更新する為の防空システムと言えます.

 「リドゥート」の開発は1994年にスタートしました.

 当初,「リドゥート」を最初に搭載するロシア海軍の水上艦は,1990年代末に起工されたプロジェクト12441警備艦「ノーウィック」になるはずでした.
 しかし,「リドゥート」の試作品が完成したのは2009年でした.
 「ノーウィック」が建造途中で練習艦に変更され,艦名も「ボロジノ」に改められた理由の一つは,搭載予定の高射システムの開発が間に合わなかった事も有ったのです.

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/11/19(土) 午後 7:45

青文字:加筆改修部分


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