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(画像掲示板より引用)
「FLOT.com」◆(2010/04/04) Завод по ремонту АПЛ на Камчатке оштрафован за
нарушения
カムチャツカの北東部修理センターの原子力潜水艦修理工場,原子エネルギーの違法使用で罰金
「VOR」◆(2013/07/06) ロシア 2018年にも第五世代潜水艦
「YouTube」:Project 661 "Anchar"
Russian submarine part1
「YouTube」:Project 661 "Anchar"
Russian submarine part2
「ロシア・ソ連海軍」:原子力潜水艦「コムソモーレッツ」19周忌
「ロシア・ソ連海軍」:シエラII型原潜「ニジーニー・ノヴゴロド」復帰
「六課」:セヴマシュは,今年中にボレイ型1隻とヤーセン型1隻を起工する
「六課」:ラーダ級潜水艦「サンクトペテルブルク」の試験は完了段階に入る
「六課」:「ラーダ」級2番艦と3番艦は,2013年および2015年に就役する
新「六課」◆(2012/04/01)最後のタンゴ級潜水艦B-380近影(2012年1月)
「六課」ACS◆(2012/12/19) ロシア第5世代原子力潜水艦は2030年以降に建造される
「六課」ACS◆(2012/12/23) 調査原潜プロジェクト09852は起工された
「六課」ACS◆(2013/01/16) ロシア海軍は2020年までに15隻の多用途原潜を近代化する
「六課」ACS◆(2013/03/05) ロシア海軍はシエラ級原潜を復帰させる
「六課」ACS◆(2013/03/13) 近代化改装後のシエラ級原潜は第4世代原潜に匹敵する
「六課」ACS◆(2013/03/23) ロシアは第5世代潜水艦の設計作業を始めている
「六課」ACS◆(2013/03/23) 第5世代多用途潜水艦はステルス性を重視する
「六課」ACS◆(2013/03/25) ロシア海軍は水中偵察潜水艦を発注する
「六課」ACS◆(2013/07/05) 2018年にはロシア第5世代非核動力潜水艦の1番艦が完成するかもしれない
「六課」ACS◆(2013/07/09) セヴマシュはチタン製の調査原潜プロジェクト09852を建造している
「六課」ACS◆(2013/09/24) ロシア海軍は2015-2017年に5隻の非核動力潜水艦を受け取る
「六課」ACS◆(2013/12/09) シエラII級原潜ニジニ・ノヴゴロドは任務を終えて帰港した
「六課」ACS◆(2014/01/27) シエラII級原潜ニジニ・ノヴゴロドは遭難した漁船員を救助した
「六課」ACS◆(2014/02/07) ロシアは2014-2015年に8隻の原潜を起工する
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/03/19) ロシア海軍第5世代AIP潜水艦プロジェクトはカリーナと命名された
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/04/09) ロシア海軍は2020年までに10隻以上の近代化された原子力潜水艦を受け取る
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/5/14) シエラI級原潜の近代化改装が始まる
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/6/18) ロシア第5世代潜水艦には「自動化(ロボット化)兵器複合体」が装備される
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/6/20) ロシアのセヴマシュ造船所は2014年7月19日に3隻の原潜を起工する
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/7/8) 近代化改装されるシエラI級原潜カルプは核燃料を撤去する
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/8/29) ロシア海軍第5世代AIP潜水艦カリーナ級1番艦は2017年に起工される
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/10/3) ロシア海軍北方艦隊のシエラII級原潜プスコフは修理を完了し,2014年10月末に引き渡される
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/11/7) シエラII級原潜、アメリカ東海岸沖で行動?
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/12/15) ロシア海軍第5世代多用途原潜は複殻式船体となり,排水量は12000トン以下になるだろう
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/12/15) ロシア海軍第5世代多用途原潜は水中無人機を搭載する
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/12/26) ロシア海軍の試験潜水艦サロフは水中ロボットの試験に従事する
「山猫文庫第3版」◆(2008.9.18) スウェーデンの潜水艦狩りの真相
「ワレYouTube発見セリ」:Project 671 PTM Victor III Nuclear Attack Submarine
「ワレYouTube発見セリ」:”The Abyss” - patrol of the nuclear submarine ”Omsk”.
『K-19』(ハクソーゼン著,角川文庫,2002)
「敵対水域」と比較すると辛いです.
薄い本ですから,ハズレ覚悟で読み飛ばすのが吉かと.
映画も先行上映を見てきましたが,やっぱミスキャストかな…
放射能の恐怖も,画面では描写が難しいですね.
------------軍事板,2002/12/11
「敵対水域」は読んでないから比較は出来ないけど,映画の原作という感じは余りありません.
小説にありがちなドラマは殆ど無く,ただ,事実を淡々と描写しているだけです.
俺的には寧ろその方が好感が持てたりしますけど.
一種,ソ連・ロシア海軍の暗部をえぐり出す告発書という感じがしましたね.
------------眠い人 ◆gQikaJHtf2 : 軍事板,2002/12/11
青文字:加筆改修部分
なんというか,「ソ連海軍の暗部をえぐる」って感じの告発本ですね.
小学館「プロメテウスの墓場」に萌えたヒトなら買って損はないと.
まあ,あの惨状はソ連が崩壊したからではなく,もともとああだったのだということは,よく実感できますた.
------------軍事板,2002/12/18
なかなかイイと思いました.
T・クランシー的アメリカ万歳的な視点がない.
かつての敵対者に対する敬意があるように思います.
著者ハクソーゼン大佐は,あの「敵対水域」に続いて地道,かつ,いい仕事をされたと思います.
今年購入した潜水艦モノでは「ドラムビート・Uボート本土強襲作戦」(原題OPERATION DRUMBEAT)も良かったです.
------------軍事板,2002/12/19
【質問】
ソ連海軍の原子力潜水強襲揚陸艦について教えてください.
【回答】
「717型」というのを60年代に計画している.
全長190m
排水量17600t
搭載可能な兵員256名+戦車/装甲車20両,または1000名+4両
30日間の航海が可能.
図で見るとタイフーン型の艦首に,2つの揚陸用ドアがついているようなスタイルで,これで海岸にのし上げて部隊を上陸させる計画だったようだ.
アホみたいなプランだが,建造に着手するところまでいっている.
すぐに海軍の方針が変更されて中止になったが.
ニュー速+板
※こちらは情報精度不明につき,
その点は留意されたし.
時間的余裕があれば,
ポルトフ本でクロス・チェックの予定.
【質問】
「アムール」型のヴァリエーションについて教えられたし.
【回答】
ロシアの輸出用潜水艦「アムール」型ファミリーには,以下の6タイプが存在します.
・アムール550
・アムール750
・アムール950
・アムール1450
・アムール1650
・アムール1850
この内,アムール1650型が,ロシア海軍用の新型潜水艦プロジェクト677「ラーダ」型として建造が進められているタイプです.
この他,アムール950型(巡航ミサイル潜水艦)も,模型が作られて売込みが図られています.
上記2タイプ以外の「アムール」型ファミリーの詳細は明らかにされていませんが,大まかな主要目は以下の通りです.
●【アムール550型】
水上排水量:550t
水中排水量:750t
全長:46.0m
幅:4.4m
全高:5.2m
速力:水中18ノット
航続距離:1,500海里(シュノーケル航行時)/250海里(水中航行時)
潜航深度:200m
兵装:400mm魚雷発射管×4門
(400mm魚雷×8本)
乗員:18名
行動日数:20日
●【アムール750型】
水上排水量:750t
水中排水量:900t
全長:48.0m
幅:5.0m
全高:5.8m
速力:水中17ノット
航続距離:3,000海里(シュノーケル航行時)/250海里(水中航行時)
潜航深度:200m
兵装:400mm魚雷発射管×4門
(400mm魚雷×16本)
乗員:21名
行動日数:20日
●【アムール1450型】
水上排水量:1,450t
水中排水量:2,100t
全長:58.0m
幅:7.2m
全高:8.2m
速力:水中17ノット
航続距離:4,000海里(シュノーケル航行時)/300海里(水中航行時)
潜航深度:250m
兵装:533mm魚雷発射管×6門
(魚雷,クラブ対艦ミサイル,91RE1対潜ミサイルなど合計16本)
乗員:34名
行動日数:30日
●【アムール1850型】
水上排水量:1,850t
水中排水量:2,600t
全長:68.0m
幅:7.2m
全高:8.2m
速力:水中22ノット
航続距離:6,000海里(シュノーケル航行時)/500海里(水中航行時)
潜航深度:250m
兵装:533mm魚雷発射管×6門
(魚雷,クラブ対艦ミサイル,91RE1対潜ミサイルなど合計16本)
乗員:37名
行動日数:50日
と,このように,顧客のニーズに合わせて大小さまざまなタイプの潜水艦を用意する,と言うのが「アムール」シリーズのセールスポイント・・・・だったはずですが,現実には,アムール型よりも前の世代になる636(キロ改)型潜水艦の購入を望む国が多いです.
877/636シリーズは,1980年以来,合計で50隻以上も建造され,ロシアをはじめとして世界各国で使われているという実績を重視するユーザーが多いのでしょう.
加えて,自国で潜水艦を建造する能力を持つ中国が,2002年に8隻の636型を発注した事も大きいでしょう.
この時点で,ロシア海軍向けのラーダ(アムール1650)型の1番艦は建造されており,中国としては,より新しいアムール1650型を発注するという選択肢も有ったはずです.
しかし中国は,実績のある「キロ級」を発注するという道を選びました.
アムール型の購入を望む国は,今のところ,インドネシアとベネズエラの2ヶ国のみであり,しかもロシア海軍用と同一規格のアムール1650型を導入する予定です.
こちらも,ロシア海軍向けに数隻が建造されているという「実績」が大きいのでしょう.
(現時点では,まだ正式にロシア海軍には引き渡されていませんが)
Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/6/21(木) 午後 8:26
【質問】
インディア型潜水艦BS-257について教えられたし.
【回答】
〔略〕"Google Earth"の過去の取得画像を遡って見る機能〔略〕を使い,ムルマンスク近郊ポリャルヌイの第10艦船修理工場「シュクヴァール」を見ると,2002年5月1日の取得画像まで遡る事が出来ます.
(工場「シュクヴァール」 http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/7661431.html)
解体中,或いは,これから解体される旧ソ連除籍原潜が多数係留されていますが,その中に,1隻だけ変わった形の潜水艦が居ます.
拡大して見ると,船体後部に2つの穴が開いています.
この潜水艦が,プロジェクト940「レノク」
NATOコード名「インディア」級救難潜水艦BS-257です.
http://deepstorm.ru/DeepStorm.files/45-92/dss/940/list.htm
船体後部の2つの穴は,バチスカーフ(深海潜水艇)を搭載する為のものです.
インディア級には,主にプロジェクト1837深海潜水艇が搭載されました.
http://deepstorm.ru/DeepStorm.files/45-92/sass/1837/list.htm
BS-257は,プロジェクト940(インディア級)の2番艦として,1978年2月13日,極東のレニンスキー・コムソモール名称記念造船工場(現アムール造船所)で起工されました.
1979年5月27日に進水し,同年9月1日,ソ連海軍へ納入されました.
1979年9月30日,赤旗北方艦隊へ編入.
1980年,バレンツ海へ回航され,第9潜水艦戦隊・第35潜水艦師団に編入,ウラ・グバ(ヴィジャエヴォ)基地へ配備.
1987年9月20日~1989年12月8日,第35艦船修理工場(セヴモルプーチ)で修理.
1990年,第9潜水艦戦隊・第7潜水艦師団へ編入.
1991年12月31日,第4潜水艦戦隊・第69潜水艦旅団へ編入,ポリャルヌイ基地へ配備.
1993年,第4潜水艦戦隊・第161潜水艦旅団へ編入.
1994年,BS-257は修理が必要な状態にありましたが,着手されないまま係留されていました.
1996年7月31日,ロシア海軍から除籍され,ポリャルヌイに係留.
2003年,解体作業受注の為の国家入札が行なわれました.
2005年,ベロカメンカの企業により解体されました.
5枚目の写真〔割愛〕は,2000年に撮影されたBS-257です.
この時点では,2隻のバチスカーフが搭載されたままになっています.
2002年の画像では搭載艇は見えないので,この間に降ろされたのでしょう.
faq39m940.jpgへのリンク
faq39m940bs257.jpgへのリンク
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2010/1/17(日) 午後 0:56
【質問】
ソビエト潜水艦がスウェーデン沖で座礁した事故を単純に「ソ連潜座礁事故」と呼ばず,「ウィスキー・オン・ザ・ロック事件」と呼ばれるのはアメリカン・ジョークなのですか?
【回答】
アメリカ側の呼称がウィスキー級であるところの潜水艦のうちの一隻だったからでし.
ちなみに「領海警備の法構造」によると,事件名は『スウェーデン・カールスクローナ事件』(The
Karlskrona Case)
おそらく一年後の『スウェーデン・ハンスフィヨルド事件』(The
Harsfjarden Case)と対比させる意味で,こう呼ばれているのであろう.
【質問】
産経の野口裕之九州総局長(!)の記事なんですが.
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/460222/
まあ,いつものアレなんですが,ちょっと引っかかった部分が後段に.
――――――
■蔑まれた日本の姿
ノルウェーの隣国スウェーデンも毅然(きぜん)とした態度で国際社会の称賛を集めた.冷戦中の81年10月,領海侵犯した軍事超大国ソ連の潜水艦U-137に向け爆雷を投下し,座礁せしめた.
周囲を魚雷艇や掃海艇で包囲し,解放したのは11月6日になってからだった.
しかも,気迫に圧倒されたソ連海軍はスウェーデンに「詫び」を入れ,艦長への事情聴取と乗り込み調査を約束した,ともいわれる.
――――――
・・・これってウイスキー・オン・ザ・ロック事件ですよね.
爆雷攻撃なんてあったんですか?
2010年11月08日 12:53,ぴぴ
【回答】
ウイスキーオンザロック事件は,新人の単なる航法ミスのはずですが.
そういえば,あちらの爆雷はこちらのイメージのそれでだけなく,ノイマン効果を用いて潜水艦にちょっと穴を空けて,潜航できなくするやつもありましたよね.
2010年11月08日 14:16,tacticaltomahawk
目が覚めたら海軍基地の10km先の浅瀬に,ソ連潜水艦が勝手に座礁していた…
だったですよねえ.
包囲したことは包囲したけど…
あれ?
乗り込み調査は論外で,艦長だったか政治将校だったかが,手榴弾をコートのポケットに忍ばせて,ブリッジに上がってたような逸話も聞いた気が……
2010年11月08日 14:29,ソフトヒッター99
なんかこの辺がよくまとまってます.
http://yamanekobunko.blog52.fc2.com/blog-entry-133.html
81年のウイスキー事件と,翌年のムスケ湾事件というのがあって,どうやらその混同が原因だとか.
豊後水道の国籍不明潜水艦事件(08年)の時に,一斉に広まった誤解のようです.
・・・それでいいのか九州総局長!
2010年11月08日 18:25,ぴぴ
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
小型核動力プラント式AIP潜水艦「K-68」について教えられたし.
【回答】
ジュリエット型のコード名で呼ばれるプロジェクト651巡航ミサイル潜水艦K-68(К-68)は,ロシア内陸部のニジーニー・ノヴゴロド(旧ゴーリキー)市にあるクラスエ・ソルモヴォ造船所で建造.
1962年1月25日起工
1963年4月30日進水
1965年12月28日就役
1966年,北方艦隊へ配属.ザーパドナヤ・リッツァのマラヤ・ロパトカ基地へ配備
1969年10月,アラ・グバ基地に配置換え
1977年7月25日,B-68(Б-68)と改称
1985年,651E計画改造の為,クラスエ・ソルモヴォ造船所に入渠.
小型核動力プラント(湯沸し型原子炉)VAU-6(ВАУ-6)を搭載する改装工事を実施.
円筒型のVAU-6モジュールは,B-68の艦尾に挿入された.
旧ソ連は,原子力と通常動力(ディーゼルエレクトリック)の「ハイローミックス」で潜水艦の整備を進めてきたが,「ロー」である通常動力潜水艦の能力向上策として,小型核動力プラント方式AIP(Air-Independent
Propulsion非大気依存推進)が考案され,1960年代に開発計画がスタートした.
(潜水艦を全て原子力推進艦に統一する事は,財政的にも,そして地理的条件からも,不可能であった)
湯沸し型原子炉(Реактором Кипящего
Типа)と発電機で構成されるVAU-6プラントは1971年に完成.
これを受けて,ディーゼル潜水艦651型を改造してVAU-6プラントを搭載する計画が立てられ,ラズリート設計局(クラスエ・ソルモヴォ造船所付属設計チーム)は,651E(651Э)改造計画の図面を引き始めた.
VAU-6を搭載して洋上テストを行う艦として,たまたまこの時,バッテリーが壊れて修理する必要があったB-68に白羽の矢が立てられた.
1986年,B-68の改装工事終了,北方艦隊復帰
以後,小型核動力プラントVAU-6の洋上テストに従事
1990年除籍
2004~2005年,第85船舶修理工廠「ネルパ」で解体.
小型核動力プラント方式のAIP潜水艦は,今のところ本艦のみであり,西側では,フランスにおいて「提案」はされているが,実際に製造されてはいない.
Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2008/1/6(日) 午前 9:49
【質問】
シエラ型原潜について教えられたし.
【回答】
シエラ型は,ソ連/ロシア海軍の原子力攻撃潜水艦です.
艦体はチタン合金で作られており,大変高価なため,少数建造に終わりました.
シエラ型には,I型,II型,III型のヴァリエーションがあります.
シエラI型は,計画名を945型潜水艦「バラクーダ」(Подводные
лодки проекта 945 "Гранит")と言い,その1番艦は1984年に就役し,2隻が建造されました.
【プロジェクト945「バラクーダ」(NATOコード名「シエラI」)】
現在も1隻(B-276「コストロマ」)が,ロシア海軍に在籍しています.
「シエラII」型は,プロジェクト945A・「バラクーダ-2」型の事です.
faq130612si2.jpg
「シエラII」型は,プロジェクト945(「シエラI」級)の改良型で,1990年代初頭に2隻が建造された,ロシア海軍最後のチタン製原子力潜水艦です.
ロシア海軍の分類は,「大型原子力潜水艦」です.
(1992年6月3日以降)
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト945A「コンドル」(NATOコード名「シエラII」)】
【B-534「ニジニ・ノヴゴロド」】:1990年12月26日就役
faq130612si3.jpg
【B-336「プスコフ」】:1993年12月14日就役
faq130612si4.jpg
更なる発展型として,プロジェクト945AB「マルス」が計画されました.
これがNATOコード名で言う「シエラIII」型のことです.
【プロジェクト945AB「マルス」】
「マルス」1番艦は1990年3月に起工されましたが,1993年11月に建造資金が停止され,そのまま解体されました.
更に,プロジェクト945シリーズの発展型として,第4世代原子力潜水艦プロジェクト957「ケドル」の設計が,1980年3月26日から開始されました.
「ケドル」は実物大モックアップの製作まで行なわれましたが,1989年11月21日にプロジェクトは中止されました.
faq130612si5.jpg
faq130612si6.jpg
2012年11月現在,ロシア海軍に在籍する2隻の「シエラII」級原潜の内,「プスコフ」は,ムルマンスク地域の艦船修理工場「ネルパ」でオーバーホール中です.
[2012年の艦船修理工場「ネルパ」への国家発注は大幅に増加する]
従って,作戦行動可能な「シエラII」級は,「ニジニ・ノヴゴロド」だけです.
「ニジニ・ノヴゴロド」は,2008年4月末にオーバーホールを終え,艦隊へ復帰しています.
[シエラII型原潜「ニジニ・ノヴゴロド」復帰]
faq130612si7.jpg
新「六課」,2012/11/07
より再構成
青文字:加筆改修部分
【質問】
ジュリエット型潜水艦K-77について教えられたし.
【回答】
プロジェクト651(ジュリエット型)ミサイル潜水艦K-77(К-77)は,ロシア内陸部のニジーニー・ノヴゴロド(旧ゴーリキー)市にあるクラスエ・ソルモヴォ造船所で建造.
1963年1月31日起工
1965年3月11日進水
1965年10月31日就役
1965年11月19日,北方艦隊の第35潜水艦師団(ポリャールヌイ基地)へ編入
1966,1968,1969年,北方艦隊の演習に参加
1969年9月,ウラ・グバ(ヴィジャエヴォ基地)へ移動
1970年4月~6月,地中海へ進出し,「オケアン」演習に参加
1971年10月28日~1973年1月23日,第35船舶修理工廠セヴモルプートでオーバーホール
1974年5月3日~11月23日,地中海で行動
アメリカ第6艦隊の空母「アメリカ」「フォレスタル」「インディペンデンス」を追跡
(7月26日~8月4日,エジプトのアレクサンドリアへ寄港して小修理)
1975年12月20日~1976年4月10日,大西洋および地中海で行動
(1976年3月10日,エジプトのアレクサンドリアへ寄港)
1977年4月4日~1978年12月24日,第10船舶修理工廠シュクヴァールでオーバーホール
オーバーホール最中の1977年7月25日,B-77(Б-77)と改名.
1979年12月~1980年6月,地中海で行動
1981年6月10日~9月29日,地中海で行動
1989年9月20日~1991年3月19日,第35船舶修理工廠セヴモルプートでオーバーホール
1991年8月,バルト海へ回航
1991年9月6日,バルト艦隊の第58潜水艦旅団へ転属
1993年6月30日,ロシア海軍籍抹消
1994年,ラトビアへ回航され,U-184と改名
1997年,20万ドルでアメリカへ売却
1998年1月,アメリカへ回航
2000年,キャスリン・ビグロー監督の映画『K-19:The
Widowmaker』で,「主役艦」K-19役を務める事が決定.
外見をK-19に似せる「メイク」を施された後,映画に「出演」.
本艦がK-19役に「抜擢」された理由は,キャスリン・ビグロー監督によると,K-19と同時期に造られた本艦は,K-19とよく似ており,最小限の「メイク」でK-19に「変身」出来るから,という事であった.
(キャスリン・ビグロー監督とスタッフは,ロシアへ行って本物のK-19を見学している)
本艦が「主演」した『K-19:The Widowmaker』は,2002年7月19日からアメリカで公開.
日本では,2002年12月14日から公開された.
2002年3月,ロードアイランド州プロヴィデンス市へ回航
(プロヴィデンス市公式サイト http://www.providenceri.com/)
2002年8月,「潜水艦博物館U-184」としてオープン
2007年4月17日,暴風で沈没
2007年8月,修理のため,ニューオリンズへ回航
3~7枚目:潜水艦博物館U-184
faq39m651k77.jpgへのリンク
faq39m651k77i.jpgへのリンク
faq39m651k77i02.jpgへのリンク
faq39m651k77i03.jpgへのリンク
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/5/5(月) 午前 8:57
【質問】
ロシアで構想されている第5世代原子力潜水艦は,どんなものか?
【回答】
最初に構想が出たのは1980年代末~1990年代初頭,まだソヴィエト連邦が存在していた時期の事でした.
第5世代原子力潜水艦の構想は,2004年からサンクトペテルブルク海洋工学設計局「マラヒート」で練られています.
原潜はモジュール構造となっており,基本形は攻撃原潜ですが,艦中央部にミサイル区画を挿入する事により,弾道ミサイル原潜に変身できます.
faq130605ss.jpg(318kb)
新「六課」,2012/11/04
青文字:加筆改修部分
【質問】
タンゴ型って何?
【回答】
タンゴ型(641B型)は,ソ連海軍がフォックストロット型の後継として開発した潜水艦です.
ディーゼル・エンジンで動き,主な武器は魚雷でした.
1970年代に18隻が建造されました.
モスクワ市北西行政管区北トゥシノ地区の「北トゥシノ公園」海軍博物館では,潜水艦B-396「ノヴォシビルスキー・コムソモーレッツ」
Подводная Лодка Б-396 "Новосибирский
комсомолец"
(プロジェクト641B,1980年9月就役:)が一般公開されています.
プロジェクト641Bは,タンゴ型のコード名で知られるディーゼル潜水艦であり,1972年から1982年に掛けて18隻が建造されました.
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/6/15(日) 午前 11:06
より再構成
【質問】
タンゴ型潜水艦B-380について教えられたし.
【回答】
西側では,タンゴ型のコード名で呼ばれている,プロジェクト641B「ソム」型ディーゼル・エレクトリック潜水艦の最終艦(18番艦)B-380(Б-380)
ロシア内陸部のニジーニー・ノヴゴロド(旧ゴーリキー)市にあるクラスエ・ソルモヴォ造船所で建造
1981年10月15日起工
1982年8月進水
1982年12月25日就役
18隻建造された641B型の中で,本艦とB-498は黒海艦隊へ配属された.
(ただし,B-498は1988年11月に北方艦隊へ転属)
1982年11月から1992年2月15日まで,「ゴリィコフスキー・コムソモーレッツ」Горьковский
комсомолец(ゴーリキー共産党青年団)という個艦名を付けられた.
1984年,黒海で2度の戦闘演習に参加.
1985年および1986年,初代艦長V.パナセンコ2等海佐が指揮するB-380は,海軍総司令官より「魚雷攻撃最優秀賞」を授与された.
1988年,艦長はA.ゴリャチェフと交代した.
1991年,セヴァストポリのセヴモルザヴォートでオーバーホールが開始されたが,財政難の為,資金の割り当てはストップし,工事は停滞した.
B-380の乗組員は,最低限に減らされ,岸壁に係留されたまま動く事は無かった.
この期間,V.スミルノフが艦長を務めた.
2000年,ロシア政府は本艦の復帰を決定.潜水艦の修理および近代化の為の費用が拠出される事になった.
2004年3月1日,本艦の乗組員は,再び定数を満たした.
本艦の艦長は,2000年~2005年頃までボリス・レズニク2等海佐が務め,2006年以降,K.タバチュニィー2等海佐が務めている.
2007年12月25日,B-380は就役25周年を迎えた.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/27857448.html
現在,潜水艦B -380は,第247独立潜水艦大隊に所属しており,セヴモルザヴォートで近代化改装中である.
改装終了は,2008年秋を予定している.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/28248829.html
本艦以外の641B型は,全てロシア海軍から除籍された.
B-515,B-396,B-307の3隻は,記念艦として保存,公開されている.
Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2008/1/13(日) 午前 8:30
B-380
faq39m641B380.jpgへのリンク
faq39m641B380b.jpgへのリンク
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Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2008/1/10(木) 午後 8:25
【質問】
タンゴ型潜水艦B-396について教えられたし.
【回答】
旧ソ連(ロシア)海軍のディーゼル潜水艦B-396.
西側では「タンゴ」型のコード名で知られるプロジェクト641Bの13番艦です.
プロジェクト641Bは,1972年から1982年に掛けて18隻がソ連海軍に就役しました.
1979年1月22日,ソ連邦海軍籍登録.
1979年8月31日,クラスノエ・ソルモヴォ造船所で起工.
(クラスノエ・ソルモヴォ造船所 http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/7903605.html)
1980年5月17日,進水.
1980年10月24日,海軍へ引き渡し.
就役後は,赤旗北方艦隊へ配備されました.
1982年7月2日~8月24日,ノルウェー海で戦闘哨戒.
1984年8月5日~1985年3月3日,南大西洋(アフリカ沖)で戦闘哨戒.
1985年5月23日,「ノヴォシビルスキー・コムソモーレッツ」と命名.
1988年1月1日~6月5日,バレンツ海で戦闘哨戒.
1991年1月,第35船舶修理工廠「セヴモルプート」 で修理.
1992年4月1日,「ノヴォシビルスキー・コムソモーレッツ」の名前を抹消.
1992年5月23日~8月16日,北部大西洋で戦闘哨戒.
1993年3月26日~6月22日,北部大西洋で戦闘哨戒.
1998年1月22日,ロシア海軍の戦闘編制から除籍.
1998年5月1日,乗組員の編制を解散.
2000年7月~8月,浮きドックPD-18から第10船舶修理工廠「シュクヴァール」へ移動.
2000年10月21日,モスクワ市の潜水艦博物館として改装する為,セヴマシュに到着.
2004~2005年,セヴマシュで改装工事.
2006年7月26日,モスクワ市郊外で「潜水艦博物館B-396」としてオープン.
現在,モスクワ市北西行政管区北トゥシノ地区の「北トゥシノ公園」で一般公開されています.
写真は,2009年3月半ば頃に撮影されたB-396です.
B-396の隣には,「カスピ海のモンスター」こと表面効果翼艇「オリョーノク」が展示されています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/37952656.html
ところで,このタンゴ型B-396の写真を見ると,スクリューにシュラウドリングが付いています.
これまでに公表されているタンゴ型(プロジェクト641B)の図面では,シュラウドリングは有りませんでしたが・・・
B-396
faq39m641Bb396b.jpgへのリンク
faq39m641Bb396c.jpgへのリンク
faq39m641Bb396d.jpgへのリンク
「ロシア・ソ連海軍」,2009/4/2(木) 午後 7:02
【質問】
パパ型原潜K-222について教えられたし.
【回答】
プロジェクト661原子力潜水艦K-222は,西側では「パパ」型のコード名で知られています.
プロジェクト661は,チタニウム合金製の船体を持つ最初のソ連原子力潜水艦です.
当初の艦名はK-162でしたが,1978年,K-222と改名されました.
同艦は
1963年12月28日に「セヴマシュ」で起工され,
1968年12月21日進水,
1969年12月31日就役,
1970年,北方艦隊へ編入されました.
1971年,艦は,実地テストに移行し,水中速力44.7ノットの記録を打ち出しました.
1989年,除籍.
1999年,解体の為に「セヴマシュ」へ曳航されました.
しかし「他の艦型の潜水艦解体によって,経験が蓄積されるまで」,ほぼ10年間,「セヴマシュ」の民間乗務員は,艦を保持しました.
同じチタン製のアルファ型は,少なくともK-64,K-432,K-493,B-123がセヴェロドヴィンスクで解体されております.
「経験が蓄積」とは,この事でしょう.
2008年7月,同艦は解体の為,「ズヴェズドーチカ」造船所へ移動しました.
そういえば,パパ型原潜は『レッド・ストーム作戦発動』にも出ていましたね.
確か,こんな感じのやり取りだったような・・・
――――――
「パパ級だと思わんか?」
「あれは1隻しか無いでしょう」
「だからと言って,飾っているわけでは無いだろう?」
――――――
661は,高速「だけ」が取り柄であり,水中雑音は高かったので,発見は容易だったでしょう(^^;
オスカー型の船体設計は,パパ型を引き継いでおります.
(まあ上の図面からも一目瞭然ですが)
K-222
faq39m661k222.jpgへのリンク
faq39m661k222b.jpgへのリンク
faq39m661k222c.jpgへのリンク
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/7/24(木) 午後 8:41
【質問】
角川文庫の「K-19(ホテル型,映画の小説版ではないほう)」には以下のようなことが書かれています.
(定価\590,古本も良くあるので,見つけたら買って損は無いかなぁ,と)
――――――
「ソヴィエト連邦の第一世代潜水艦には,一時冷却装置のバックアップシステムも緊急冷却装置も無かった.
(中略)
原子炉で起こる可能性がある最悪の故障は,一次冷却水の循環防止や漏洩だ.
この場合,原子炉はエネルギーの供給をストップするだけでなく,ウラン燃料がオーバーヒートして融解し,原子炉そのものがこわれることもある.
ソヴィエト連邦の原子炉は設計上の欠陥と運用上のミスが多く,そのために核燃料のメルトダウンを伴う事故が数件おき,大勢の被害者を生み,広範囲にわたる放射能汚染を招いた.
――――――p.82
――――――
(原子炉を設置する)シールド区画は,事故発生中は常に封鎖して,核分裂による副産物が艦内全体に広まることが無いようにしなければならない.
こうした一連の応急処置には,原子炉の熱を十分に逃がして,燃料棒がメルトダウンするのを防ぐ処置が含まれていなければならない.
原子炉区画のシールド区域を冷やしたら,事故が収まるまでのその状態を維持しなければならない.
そのために必要なのが緊急消火装置,すなわちスプレーシステムで,これは専用のタンクから高圧ポンプを使ってジェット噴流を原子炉に直接吹きかけるものである.
こうした応急安全システムは,最新の艦にしか存在しない.
われらが第一世代の原子力潜水艦には,一つも無かった.
――――――p.83
1961年7月4日,K-19は一次冷却水漏れを起こし,一次冷却系が機能を喪失しました.
英wikiによれば,「the chain reactions continued
despite the control rods being inserted via
a SCRAM mechanism.(スクラムを介して,制御棒が挿入されているにもかかわらず,連鎖反応は止まらなかった)」「The
reactor continued to heat up as coolant is
still required during shutdown until the
reactions decrease. (反応が収束するまでの間,停止に必要な冷却材が流れないため,原子炉は加熱し続けた)」
とあります.
ここからは素人の推察ですが,K-19の装備する原子炉には,緊急時に制御棒を全部突っ込んで,連鎖反応を止める装置はあったのでしょう.
(本には,自動で制御棒を作動させ,炉を停止させる装置の描写があります)
しかし連鎖反応を止めても,燃料棒内に大量に生じた核分裂生成物から発生する崩壊熱があります.
これは,炉停止1時間後でも炉出力の1%程度のレベルで発生し,冷却しなければ,炉心融解を招きます.
このため,緊急停止時でも炉心の冷却を維持する必要があり,一次冷却系が機能を喪失した場合に備えて,非常用炉心冷却装置があるのが普通ですが,K-19のようなソ連第一世代原潜の原子炉には,この装置が無かった.
したがって,一次冷却系の機能喪失がそのままメルトダウンに繋がる危険な設計であった,ということではないのかな,と.
えーと,間違ってる可能性が大なので,へぼ担当さん,よかったら添削願います.
【回答】
角川文庫の「K-19(映画の小説版ではないほう)」と英語版wikiを並べて読んでみましたが,角川文庫の方の信頼性
(物語としてそもそも脚色があり,一般的に知られているシステムと矛盾が多く,そのままでは信用できない)
はともかくとして,英語版wikiの記載(小説の脚色の影響を受けたか?)も,原子炉スクラム(未臨界)失敗と原子炉からの崩壊熱除去失敗の区別が付いておらず,どちらも信用できないというのが正直なところです.
そのため,個人的に信用している『ソ連/ロシア原潜建造史』,p.104-106(特にソ連海軍の事故調査委員会公式報告書中心)を元に,極東の名無し三等兵さん記載分をベースにすると,以下のようになります.
<K-19の装備する原子炉には,緊急時に自動で制御棒を全部突っ込んで,原子炉を未臨界として核分裂連鎖反応を止める装置があり,K-19の事故時においても一次冷却系の水位低下信号を受け,動作しています.
しかし,原子炉を未臨界として核分裂連鎖反応を止めても,核燃料内に大量に蓄積した核分裂生成物等から発生する崩壊熱があります.
これは原子炉停止直後で原子炉定格出力の10%程度,停止1時間後でも1%程度のレベルで発生し,原子炉炉心を冠水させて冷却しなければ,炉心融解を招きます.
このため,緊急停止時でも原子炉炉心の冠水及び冷却を維持する必要があり,一次冷却系が破損,通常の機能を喪失した場合に備えて,一次冷却系が高圧のままでも注水できる高圧系の非常用炉心冷却装置があるのが普通ですが,K-19のようなソ連第一世代原潜の原子炉には,この装置が無かった.
したがって,一次冷却系の破損・機能喪失により一次冷却系冷却水が大量に失われた場合,そのままメルトダウンに繋がる危険な設計であった.>
ということと愚考します.
修正ポイント(日本語の表現だけの問題は除く)
1.ソ連海軍の事故調査委員会公式報告書によると,一次冷却系の水位低下信号を受けて,原子炉自動スクラムには成功している模様.
その意味では英語wikiの「反応(reactions)」との記載は,核分裂連鎖反応の継続と崩壊熱発生の区別が付いていない誤りを犯していることとなる.
なお,原子炉(自動)スクラムに万が一失敗すれば大変なことになるが,その部分の記載がない.
また,原子炉がまだ高温の状態で原子炉を未臨界にできなかった場合,冷却水注入により原子炉を冷却すると反応度事故を起こす可能性があり,下手をすれば原子炉が水蒸気爆発を起こす可能性があるが,その点については一切触れられていないことから,ここは素直に原子炉(自動)スクラムが成功したと考えるのが妥当.
2.普通は「燃料棒」と記載したいところであり,その可能性が非常に高いが,様々な文献を読んでも軍事用原子炉における核燃料の形状・及び化学形態について触れたものはない.
そのため,核燃料と修正した.
なお,『ソ連/ロシア原潜建造史』では「核燃料棒」と明記されているが,それが金属ウラン形態なのか酸化物セラミックペレット形態なのかは不明である.
ただ,原子炉内部の温度が600℃との記載があり,金属ウラン形態では溶融してしまう温度であるため,商用発電炉と同様に酸化物セラミックペレットが使用されているものと推測できるが,確定的とまでは言えない.
3.崩壊熱レベルについては,正確には原子炉の燃焼度
(単純に言えばどれだけ死の灰を内蔵しているかと言うことだが,第一近似としてであり,正確な表現ではない)
に依存するため,一概には言えないが,商用発電炉ベースの値を流用することとした.
4.記載を直すべきか相当に迷ったが,非常用炉心冷却装置には高圧系,低圧系の2種類あり,ここで欠落が問題とされているのは高圧系である.
一方,ソ連海軍の事故調査委員会公式報告書によると,一次冷却系の破損箇所は水圧計及び循環ポンプ周辺のパイプとあり,大口径配管の破断ではない.
このような中小口径配管破断事故時においては,一次冷却系冷却水がどんどん失われる一方で,一次冷却系の圧力はなかなか下がらない特色がある.
これを裏付けるように,一次冷却系冷却水を補給しようとして逆流して大量喪失し,核燃料溶融に至ったとの記述がある.
このような事故において,もっとも必要な物は高圧系の注水機能であるが,装備されていなかったのは構造的に難しいこと.
及び大口径配管破断による急速減圧ばかりを想定しており,原子炉冷温停止のためにも用いられる低圧系の非常用炉心冷却系
(これがないと原子炉を通常停止させても冷温状態にまで持っていけないため,装備していないことは考えられない)
だけで十分であると,設計者が誤認した可能性が大きい.
よって蛇足気味ではあるが,高圧系・低圧系の区別を付けるため,あえて付記した.
5.PWRにおいて原子炉本体の炉心溶融を防ぐためには,原子炉の冷却のため炉心が冠水していることが条件である.
そのため,その旨記載を追加した.
以上,細かくやればきりがないのですが,ご参考まで.
【質問】
K-19の原子炉事故の原因を,より詳しく教えられたし.
【回答】
ソ連海軍事故調査委員会の公式報告によれば,水圧計および循環ポンプ周辺のパイプが破裂したため,1次冷却水が漏出.
水圧低下の信号を受けた原子炉は,自動停止したが,炉心の余熱を除去するための水を供給する装置が,K-19にはなかった.
また,原子炉操縦規則には,「冷却水が不足すると,炉心溶融,ひいては爆発に至る」という誤った記述があったため,乗組員は冷却水を補充しようとして,別系統とのバルブを開いた.
そのため水圧の高い1次冷却水が逆流して大量に漏れ,放射能汚染を引き起こすと共に,残っていた1次冷却水も喪失し,核燃料(源文ママ,燃料棒集合体?)が溶けた,という.
そのため水圧の高い1次冷却水が逆流して大量に漏れ,放射能汚染を引き起こすと共に,残っていた1次冷却水も喪失し,核燃料が溶けた,という.
なお,ウィキペディアには以下のように,パイプ破裂の原因らしきことが書かれているが,出典不明.
(ハクソーゼンの『K-19』が出典か?)
-----------------------
同艦の建造期間中の初期の段階においてなされた修理の過程において,右舷の原子炉の主要冷却回路の中に溶接棒からの破片が落ちた.
このことが原因で結果的に大災害が引き起こされたのであった.
-----------------------
ちなみに事故後,同艦は「ヒロシマ」と呼ばれるようになったとか.
【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.105-106
※Atomicaにも記載がないところから推測するに,ネット上では,本事故に関する信頼できる記述は,おそらく皆無.
【ぐんじさんぎょう】,2010/01/25 23:23
に加筆改修
> (ハクソーゼンの『K-19』が出典か?)
確かに書かれてますね.
p180~181から要約すると
> 一次冷却系のパイプに,溶接時の高温の液体金属が垂れたり,火花が跳んだりしたため
> 分子的残留応力が残って,微細な亀裂が生じた.
> こうした微細な亀裂が,のちに塩化物と接触すると,次第に大きくなり,
> パイプ全体にひびが入り,最終的に,破損することになる.
だそうで.
微妙な書き方をしているので確証は無いですが,たぶん一次冷却系のパイプが,『応力腐食割れ』を起こしたのだと思います.
原子炉によく使われるオーステナイト系ステンレスは,変に加熱してしまうと,材料中のクロムと炭素が結合し鋭敏化という現象を起こします.
これに応力がかかった状態で,塩などが介在する腐食性のある環境下におかれると,材料に亀裂が発生します.
その亀裂は時間と共に進展し,最終的に破断にいたることがあります.
これを応力腐食割れといいます.
詳しくはこちらを参照.
http://www.engy-sqr.com/kaisetu/topics/SCC.htm
極東の名無し三等兵 in mixi,2010年01月25日 01:14
> 核燃料(源文ママ,燃料棒集合体?)が溶けた
この部分は原文のままで良いかと考えます.
どうしても直したい場合は「核燃料」を「燃料集合体」または「燃料棒」にしても良いのですが,破損メカニズムの関係で,少し考える必要が出てしまいます.
ちなみに「源文ママ」で「源文マガジンかっ?」と,ツッコミを別の意味で入れたくなったのは秘密のお話.
> wiki
相変わらず要領を得ないというのか,理解して書いていないというのか.
ほとんど検証可能な形での原因と結果の記載になっておらず,信用や引用に値しないと考えます.
> (ハクソーゼンの『K-19』が出典か?)
応力腐食割れ(SCC:STRESS CORROSION CRACKING)による「水圧計および循環ポンプ周辺のパイプが破裂」という事故シナリオが,技術的には最も可能性が高い物と考えます.
その点は極東の名無し三等兵さんが上記で指摘された通りかと考えます.
付け加えるとすれば,その配管破断が非常に大きかったとすれば,一体どのような製作管理を行ったのか.金属材料大国であるソ連にしてはあまりにもお粗末と考えます.
通常の破損メカニズムで言えば,「適切な施工がなされている限り」応力腐食割れは徐々に進行する物であり,一気に完全破断するような破局を迎える前に,少量のリークから始まるというのが西側標準の考え方であり,それが成立するように極めて厳格な施工・品質管理が行われます.
それが通用しないほど劣悪な施工・塩化物などハロゲンの持ち込み
(まあ船ですので,海水という形での塩化物持ち込みポテンシャルは極めて大きいところですが)
がなされたのか,それとも何らかの熱衝撃を加えたのか不明ですが,初期段階での発見・処置に失敗したことだけは明らかでしょうね.
以上,簡単ですがご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年01月25日 20:50
> 破損メカニズム
核燃料(燃料棒)の破損モードは大きく分けて以下の2つに分かれます.
1.燃料棒が内側から壊れる場合
先の,「クレーンによる制御棒誤引抜きで水蒸気爆発を起こした事例」がこの典型例です.
冷却材による核燃料の冷却以前に,核燃料のウランに大量のエネルギーが蓄積されてしまい,ウランが溶融.破裂して冷却材である原子炉冷却水の中に噴出.
これによって水蒸気爆発に至るのが最悪の例.
それ以外でも内部のウランが溶けてしまい,外側の燃料被覆管だけ首の皮一枚で繋がるなどの事故モードがあります.
ただ,これは「反応度事故」と呼ばれる,原子炉の臨界安全に失敗した特殊な事故例であり,通常の機器の故障ではまず起こることはありません.
2.燃料棒が外側から壊れる場合
この場合はさらに2つに分かれます.
2.1 燃料被覆管が外部からの異物等によって機械的に損傷する場合
万が一,原子炉内に金属製の異物などが混入すると,それが燃料集合体の中に挟まるなどして,燃料被覆管を外側から機械的に衝突したり,摩耗等で破損させるケースがあります.
wikiの記載が正しいとすれば,溶接棒からの破片が燃料集合体の中ではね回って,燃料被覆管を機械的に壊したり,摩耗させたりして燃料被覆管が割れたりするケースがあります.
そうなると原子炉の中に放射能が大量に放出されることがあり,原子炉の配管破損部位から放射能が噴出.地獄絵と化すことがあり得ます.
2.2 燃料被覆管が「冷却不足」により焼き切れたり,急激な熱衝撃にて損傷する場合
恐らく,このK-19の事故ではこれが一番あり得るシナリオです.
原子炉から冷却材である原子炉冷却水が失われ,原子炉が空だき状態になってしまうと,例え原子炉を停止したとしても,その後の崩壊熱にて核燃料が過熱し,焼き切れてしまうことになります.
実際の原子炉ではそのような事態にならないよう,緊急炉心冷却装置などの安全装置が完備され,空だき状態になる前に冷却水を大量に注入するのですが,初期の旧ソ連原潜ではその必要性への認識が薄かったようです.
一方,レアケースではありますが,専門従事者として警戒しなければならないこととして,ガンガンに過熱した金属を急冷した場合,一気に脆くなり,ガラスのように割れてしまうケースもあります.
まあ,このような緊急事態の場合,そのようなことを心配する前に,まずは原子炉を冷却水で満たす(冠水)ことが重要なのですが,原子炉周りの放射線量の監視を通じて,そのような核燃料の大規模破損に至っていないか,厳重に監視する必要があります.
以上のように「核燃料の破損」と言っても,最初に何がどのように破損したかによって,大きく事故のメカニズムが分かれることとなるところであり,その事故のメカニズムがはっきり分かっていない以上は,「核燃料の破損」と言った漠然たる言い方の方が適切な場合があります.
今回のケースの場合もそれに当たるのではないかと愚考します.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年01月25日 21:36
【質問】
K-19乗組員は,どのようにしてメルトダウンを防いだのか?
【回答】
K-19の原子炉事故の原因は,1次冷却水系の配管のどこかに亀裂が入り,冷却水が漏れて水圧が低下したことが原因だったが,当時のソ連原潜の原子炉には,非常時の注水装置が装備されていなかった.
そのため,原子炉が停止したK-19は浮上すると,0650時,コルチロフ少尉率いる応急班が原子炉区画に入り,手動による炉心への注水冷却を試みた.
最大で原子炉室内の放射線量が500レントゲン/hに達した中,応急班の文字通りの決死の作業の甲斐あり,0920時には原子炉温度が基準値まで低下した.
1400時,乗員は全員,救援の潜水艦に避難.
1500時,苦労して設けた注水装置から漏水が生じたため,乗員3名がK-19に戻り,漏水箇所を修理.
その後,北洋艦隊の駆逐艦と曳船が事故現場に到着し,K-19を基地へ曳航した.
【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.104-105
【ぐんじさんぎょう】,2010/01/23 23:00
に加筆改修
基本的にこの場合の原子炉一次冷却系は,よほどの減圧操作を行っていない限り100kg/cm2以上の圧力がかかっていたと考えられます.
そうなると,水源を確保でき,かつ,それほどの高い圧力で一定量以上注水できるのは,原子炉二次冷却系の最終段にある蒸気発生器に水を送る「給水ポンプ」ぐらいしかありえません.
もちろん,他の可能性も考えられないこともありませんが,このような事故を想定した「非常時の注水装置」が装備されていない以上,本来なら厳密に区別されているこの部分から配管をつなぐという,高放射線環境での極めて危険な作業が行われた,と考えられます.
<コメント:修正必要箇所>
常識的には自明のため,原文では省略されたと考えられますが,この事故の場合の放射線量を表す単位が明らかに間違っています.
「レントゲン」→「レントゲン毎時(R/h)」が正しいものとなります.
【参考:どれほど深刻な事故であったのか】
ちなみに現在の単位に直すと,1 R はおよそ
8.77 mGy.
照射線量と人体への影響を考えた線量当量であるSvでは,厳密にはそれだけの評価を行う必要がありますが,このような全身被ばくを考えた場合,「有効数字一桁で1
R = 10 mSv」と暫定評価が出来ます.
そうすると500レントゲン毎時は5 Sv/h.
これは放射線を短期間に全身被曝した場合の致死線量で,5%致死線量が2
Sv,50%致死線量 (LD50) が4 Sv,100%致死線量が7
Svと言われますので,たった24分で死亡する可能性(5%致死線量)が,そして84分で全員死亡という凄まじい放射線量となります.
同じ計算で言えば発令所であっても,100レントゲン毎時であったといいますので,たった2時間で死亡する可能性が始まり,それが続いたとすれば7時間弱で全員死亡という,まさに地獄絵.
そのため,緊急浮上と換気によって,艦内に溜まった放射性ガスを一刻でも早く排出しなければ,まさに浮かぶ棺桶となったことは間違いなく,如何に激しい事故であったか指摘することができます.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年01月21日 20:25
【質問】
シエラ Sierra 型とアクラ 型は,同じ目的でほぼ同程度の性能を持つのに,両型が同時に整備されたのは何故か?
【回答】
一言で言えば,海の「ハイ&ロー・ミックス」
〔略〕これはヴィクター型後継の本命であったシエラ型が,チタン船体のために建造費用が高く,隻数の整備が困難であったため,建造費用が安く,同等の性能を持つ鋼製船体のアクラ級〔原文ママ〕を併せて整備したものと言われている.
(大塚好古〔軍事史研究家〕 from 「世界の艦船」2004年10月号,p.92)
〔アクラAkula型は〕建造コストを抑えるため,耐圧殻を鋼製としており,水中速力もシエラ型より低いが,静粛性の向上に力が注がれたため,実用性の点では評価が高い.
(from「世界の艦船」2004年12月号,p.25)
【関連動画】
「ワレYoutube発見セリ」:Project 941 Russian
Akula class submarine
【質問】
なら,アクラ型だけでいいじゃん,と思うのは素人考え?(消印所沢)
【回答】
そりゃ「結果論」というモノ.
「ソ連ロシア原潜史」によると,ソ連海軍は,数々の「実験作」を経て,ようやく実用的なチタン製原潜となった945(シエラ型)を,671(ヴィクター)シリーズの後継にするつもりだったが,1979年のアフガニスタン侵攻以降,そっちの方に軍事費が喰われ,海軍の予算は減らされる一方となり,とてもじゃないが,多数の建造は無理と判断された.
(ちなみに,アフガン侵攻以降,ソ連海軍の艦艇建造のペースが急に下がったコトについては,当時から田岡俊次氏などが指摘していた)
で,945の設計を流用した「安価な」鋼製原潜971(アクラ型)が「ピンチヒッター」として建造されるコトになったわけだね.
945はラズリート設計局というマイナーなトコロが設計したが,それをベースにした971は,ソ連の攻撃原潜を手がけていたマラヒート・サンクトペテルブルク海洋工学設計局に設計が移管された.
で,マラヒートは,船体とかはそのまんまで,セイルだけマラヒート設計艦の特徴である流線形のモノにすげ替えた.
945は,内陸部のクラースノエ・ソルモーヴォ造船所(ニジーニ・ノヴゴロド市)でのみ建造されたが,当初は,極東のザヴォード・イメーニ・レニンスキー・コムソモール(直訳すれば「レーニン共産党青年団にちなんで命名された工廠」,コムソモリスク・ナ・アムーレ市)でも建造する計画だった.
が,「レーニン共産党青年団にちなんで命名された工廠」では,チタンを加工するコトが出来なかったので,クラースノエ・ソルモーヴォだけの建造となった.
もしも「レーニン(中略)工廠」にチタンの加工技術が有れば,945は太平洋艦隊にも2隻くらいは配備されたかもしれない.
(ちなみに,「レーニン(中略)工廠」は,現在では「アムール造船所」と改名されております)
それで,945を受注し損ねた「レーニン(中略)工廠」に,971の建造が発注され,後には,北方艦隊向けにセヴマシュ・プレドプリャーチェ(直訳すれば「北方機械建造会社」,セーヴェロドヴィンスク市)でも造られるようになった.
「次期主力攻撃原潜」になり損ねた945だが,チタン原潜を諦められないロシアは5隻起工し,4隻が竣工した.
最初の2隻は945「バラクーダ」型,次の2隻は改良型の945A「コンドル」型,未完に終わった最後の1隻は,更に改良した945B「マルス」型となるはずだった.
ちなみに,一般には,945の方が971よりも「高速」というのが「定説」だが,ロシア側の公式データでは,両タイプとも,あんまり変わらない.どちらも33ノット前後.
更に付け加えると,西側コード名「アクラ」型こと971型の1番艦の名前は「アクラ」(マジで).つまり,同型は「アクラ」級と呼んでもいいコトになるね.
ただこれは西側の情報収集能力が優れていたわけでは無い.
1番艦(K-284)が「アクラ」と命名されたのは,ソ連崩壊後の1993年.
これはもう,同型のコード名がアクラだと知ったロシア海軍が,「遊び心」で命名したとしか考えられないね.
【質問】
チタンは溶接が困難とのことですが旧ソ連のチタン製潜水艦は原子炉の炉心交換やオーバーホールの際,船体を切断してまた繋げる作業が鋼製の潜水艦と比べて時間と手間がかかったのでしょうか?
それとも,鋼製との差を気にしない程の溶接技術や,切断しなくて済むような工夫があったのですか?
【回答】
ハイ,おっしゃる通り,チタンは普通の鋼鉄と比べて加工が難しいね.
だから旧ソ連・ロシアでも,チタン加工(溶接)技術の有る造船所は限られていた.
(ニジーニー・ノヴゴロド,セヴェロドヴィンスク,アドミラルティの3箇所のみ)
従って,チタン原潜の整備や修理も,この3箇所でしか出来なかった.
(実際には,修理などは北洋方面のセヴェロドヴィンスクのみで行われた)
太平洋艦隊にチタン原潜が配備されなかったのも,極東にチタン加工(溶接)の出来る造船所が無かったからなんだね.
チタン原潜の大規模修理の例は二件ほど有って,
1982年に原子炉事故を起こしたアルファ型K-123は9年掛けて修理(原子炉は新品に交換).
1992年に米原潜と衝突して大破(セイルがグチャグチャになった)したシエラ型B-276の修理は1年くらい掛かっている.
この他,1980年にパパ型のK-222が原子炉の炉心交換を実施したが,作業中に1次冷却水配管を壊してしまい,原子炉室汚染.
チタンの溶接技術云々以前の問題だね.
ちなみにアルファ型は,当初は100年間使う構想であり,20年ごとに船体をバラして改装工事を行い,再溶接して復帰させるつもりでいた.
少なくとも,705計画(アルファ型)スタート時には,マジだったようです(笑)
しかしながら,現実には100年どころか20年も使われずに早期退役しました.
(実質,現役にあったのは10年くらい)
シア・クァンファ(夏光華) ◆23wgJy2eAo :軍事板,2006/06/11(日)
Xià Guānghuā ◆23wgJy2eAo : "2 csatornás" katonai BBS, 2006/06/11
(vasárnap)
青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész
【質問】
マイク型(685型)原潜の原子炉は,どのようなものだったのか?
【回答】
OK-650B-3型加圧水原子炉,タービン各1基.
トラブルが生じたとき,高圧海水が艦内に直接侵入するのを防ぐため,原子炉や艦内の海水を使用した冷却系には,淡水の冷却系を挿入し,次いで海水冷却器と熱交換するよう工夫された.
マイク型はK-278,1隻が作られたのみで同型艦はなく,しかも同艦は1989/4/7,火災事故により沈没したが,これは電気系統がショートしたための事故である可能性が高く,原子炉の事故ではなかった.
【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.44-47
▼ 以前, ▲火災が電気ケーブルに延焼すると短絡を起こしやすく,極めて重大な事故に至る傾向があり,原子力の世界ではもっとも恐れられていることです.
レッド・オクトーバーを追え: Kojii.net ココログ別館
http://kojii.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-0b58.html
にてタイフーン級の写真にコメントさせていただいたのですが,旧ソ連の原子力潜水艦は構造上,火災に極めて脆弱のように感じます.
また,
▼よって,本K-278が原子炉事故を起こさずとも,火災事故で沈没したとしても,全く違和感を感じないのが率直なところです.▲
へぼ担当 in mixi,2009年05月26日 23:50
絶縁に難燃素材とか使ってないのかと非常に気になります.
クローム・ツァハル in mixi,2009年05月27日 00:02
> 絶縁に難燃素材とか使ってないのか
ごく普通には難燃素材
(原子力なら最上級の「難難燃素材」を用いるのが常識)
を使うのが普通です.
しかし,難燃といっても「不燃ではありません」ので,高温の火炎にさらされ続ければ引火しますし,その煙はすさまじい物になります.
そうなった際に地獄絵図になるわけで.
へぼ担当 in mixi,2009年05月27日 00:38
【質問】
「レーニネッツ」について教えられたし.
【回答】
戦略任務原子力潜水巡洋艦K -137「レーニネッツ」(К-137"Ленинец")は,「ヤンキー」型のコード名で知られるプロジェクト667A戦略原潜の1番艦であり,1967年11月6日,海軍へ引き渡されました.
http://www.mil.ru/info/1069/details/index.shtml?id=33102
によれば,
>セヴマシュプレドプリャーチェで1966年に進水し,1970年4月,「レーニネッツ」Ленинецという名前を与えられた.
〔略〕
>2003年,潜水巡洋艦は,艦艇修理企業「ズヴェズドチカ」で解体された.
Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/11/3(土) 午後 7:38・改
【質問】
ソ連のヤンキー型潜水艦にはいくつバリエーションがあるんですか?
【回答】
英文Wikipediaに詳しいですが,制式名があるものが6種,他に1種で7種類のようです.
軍事板
青文字:加筆改修部分
ただしポルトフの本とか見ると,英wikiにも記載されてない型がある模様.
ヤンキーI型(667A型)
ヤンキーII型(667AM型)
ヤンキー・ノッチ型(667AT型「グリシャ」)
ヤンキー・サイドカー型(667M型「アンドロメダ」)
:巡航ミサイル実験艦
ヤンキー・ポッド型(667AN型):海洋調査・潜水艇母艦バージョンで,09774型「アクソン-2」とも
ヤンキー・ポッド型(667AK型「アクソン-1」)
:実験艦バージョン
ヤンキー・ストレッチ型(09780型) :実験艦,667AK型の改良型
667AU型:667A型にR-27Uミサイル搭載改修を行ったもの
◆r8yFQ7I3po in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「ヤンキー・サイドカー」型原潜K-420について教えられたし.
【回答】
"Google Earth"には,過去の取得画像を遡って見る機能が有ります.
この機能を使い,ロシア海軍北方艦隊原潜基地ガジェーヴォ(ヤーゲリナヤ湾)を見ると,2002年5月1日の取得画像まで遡る事が出来ます.
2002年5月1日当日の画像には,見慣れないロシア海軍原潜が写っています.
この原潜は,ガジェーヴォ基地の西端に停泊しています.
拡大して見ると,中央部が横に出っ張っています.
(上の画像1~3枚目)
この特異な形の原潜は,プロジェクト667M「アンドロメダ」
NATOコード名「ヤンキー・サイドカー」級巡航ミサイル原潜K-420です.
http://deepstorm.ru/DeepStorm.files/45-92/nsrs/667m/list.htm
K-420は,プロジェクト667A戦略原潜(ヤンキー級)の14番艦として,1968年10月12日にセヴェロドヴィンスク造船所で起工されました.
1970年4月25日に進水し,同年10月29日にソ連海軍へ納入されました.
1970年11月24日,赤旗北方艦隊の第3潜水艦小艦隊・第19潜水艦師団に編入され,ガジェーヴォ基地(ヤーゲリナヤ湾)に配備されました.
1978年11月,近代化の為,セヴェロドヴィンスクの艦船修理工場ズヴェズドーチカへ回航.
1979年9月25日,近代化工事開始.
1980年7月18日,造船台に入渠.
1980~1986年に掛けてプロジェクト667M改造を受け,新開発の対地攻撃用巡航ミサイル「メテオリト-M」発射機を搭載しました.
1984~1986年,K-420は,「メテオリト-M」の試射を実施.
しかし,新開発の「メテオリト-M」巡航ミサイルは失敗作であり,発射試験はことごとく失敗しました.
1989年12月15日,プロジェクト667Mは中止されました.
1990年12月,K-420は「魚雷攻撃型」として赤旗北方艦隊に再就役しました.
1994年7月5日,K-420は除籍されましたが,その後も,8年以上に渡り,ガジェーヴォ基地に係留されていました.
2003年3月,解体の為,艦船修理工場「ネルパ」へ回航されました.
"Google Earth"で艦船修理工場「ネルパ」の2004年5月28日の取得画像を見ると,K-420が係留されています.
その後の2004年10月14日の画像には写っていませんから,秋までに解体されたようです.
この"Google Earth"の過去の取得画像を遡る機能でロシアの造船所を見ると,色々と興味深いものが見られます.
例えば,セヴェロドヴィンスクの工場(セヴマシュとズヴェズドーチカ)とか.
K-420
faq39m667Mk420.jpgへのリンク
faq39m667Mk420b.jpgへのリンク
faq39m667Mk420c.jpgへのリンク
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2010/1/16(土) 午後 4:26
【質問】
ヤンキー・ストレッチ型原潜「オレンブルク」について教えられたし.
【回答】
セヴェロドヴィンスク造船所に係留されている特務原潜BS-411「オレンブルク」(旧K-411)は,西側では,「ヤンキー・ストレッチ」型というコード名で呼ばれています.
1960年代後半~1970年代初頭に掛けて34隻が建造された667A型戦略原潜(ヤンキー型)の内,北方艦隊所属のK-411(1970年就役)は,1983年10月から1990年12月に掛け,セヴェロドヴィンスクで「09774号計画」による特殊任務原潜への改造工事が行われました.
BS-411は,海洋調査・研究を目的とした潜水艦ですが,この他に,小型潜水艇2隻を搭載し,特殊工作員運搬用の潜水艇母艦としての役割も持っておりました.
2002年以降は予備役保管状態となり,海軍は,本艦の代替として,667BDRM(デルタIV)型のK-64(1987年就役)を戦略任務から外し,特務原潜に改造中です.
K-64の改造に当たっては,BS-411の研究設備・潜水艇格納庫区画(船体中央部)が流用されます.
この写真を見ると,セイルのすぐ後ろで船体が切断されており,船体中央区画は切り取られたようです.
ただ,セイル上にはロシア海軍旗(聖アンドレイ旗)が掲揚されており,本艦は,まだ海軍籍に有る事を示しています.
「ヤンキー」型原潜は,この他に,同じく特務原潜に改造されたKS-403「カザン」(旧K-403)が海軍籍に残っておりますが,こちらも,2005年11月9日付で予備役編入されています.
「オレンブルク」
faq39m09774o.jpg
faq39m09774o02.jpg
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2007/3/23(金) 午後 11:53
【質問 kérdés】
原潜「ハバロフスク」について教えてください.
Kérem, mondja meg a nukleáris tengeralattjáró "Habarovszk"-ról.
【回答 válasz】
「ハバロフスク」はプロジェクト0985.1原潜の1番艦.
正式には「水中音響パトロール・水中状況解明潜水艦」と呼ばれる.
プロジェクト0985.1型は無人小型潜水艇を搭載した,世界の大洋の海底と水中の探査,大陸棚のモニタリング深海調査用原潜と見られる.
更には,第5世代原子力潜水艦の試験艦としての役割も兼ねている模様.
2014年7月27日,セヴェロドヴィンスクの「セヴマシュ」社にて起工.
2017年1月,『セヴマシュ』の設計者はこの艦の建造の為,ロシアでは初めて艦体の完全な3次元モデルを作成した.
モジュール設計により,原子力艦は任務に応じて艦載兵装の交換,自動水中装置の使用が可能であるという.
であれば,他のロシア原潜の為の新型の各種機器や兵器の試験用も兼ねているのかもしれない.
【参考ページ Referencia Oldal】
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-1648.html
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-729.html
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-3312.html
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-1664.html
mixi, 2017.11.2
【質問】
「ロシャリク」級特務原潜AS-12について教えられたし.
【回答】
プロジェクト10831「ロシャリク」級特務原潜AS-12は,1990年7月16日にセヴマシュで起工され,2003年8月5日に進水,2010年頃に就役しました.
同級に関しては,詳細は未だ不明です.
水中排水量は2000トン以上,全長は60~70m程度,幅は7メートル程度,水中速力は30ノット程度,潜航深度は少なくとも1000m以上(未確認情報によれば最大6000m),乗員は25名程度と推定されています.
現在,ロシア海軍には,戦略原子力潜水艦プロジェクト667BDR(デルタIII級)K-129を改造した特殊用途原子力潜水艦プロジェクト09786(デルタ・ストレッチ)が在籍しています.
BS-136「オレンブルク」は,船体下部に小型原潜プロジェクト1851「パルトゥス」,或いは「ロシャリク」を搭載します.
最近では,「ロシャリク」級を搭載する事が多いようです.
faq130828ls.jpg
最近では,9月に北極圏へ行き,ロモノソフ海嶺とメンデレーエフ海嶺の海底を調査しています.
『イズべスチヤ』より2012年10月29日配信
【軍用原子力バチスカーフ「ロシャリク」は北極圏を探った】
「ロシャリク」級特務原潜AS-12
faq130828ls2.jpg
faq130828ls3.jpg
faq130828ls4.jpg
新「六課」,2012/12/23
より再構成
【質問】
ロメオ型潜水艦について教えられたし.
【回答】
ロメオ型 Romeo class とは,ソ連海軍 Project
633 型潜水艦のこと.
ウィスキイ型の拡大改良型.ウィスキイ型に比べてやや大型になったほか,前部乾舷がやや高くなり,上部にハーキュリーズおよびフェニックス・ソナーを装備.
また,セイル前縁上部が前方に張り出し,中央部にシュノーケル給気筒支基が突き出ている.
ズール型に引き続いて,ゴーリキー造船所(クラスノエ・ソルモヴォ)にて1959~1964年にかけて22隻建造.
当初500隻建造の予定が,原潜実現のめどがついたため,その程度の数に縮小されたと見られている.
同型艦は中国,北韓でも建造.
1960年代後期から
エジプトに6隻(1966-69年),
ブルガリアに2隻(1971-72年),
アルジェリアに2隻(1982-83年),
シリアに2隻(1985年),
引渡された.
ロシアでは1987年までに全艦退役,中国でも退役間近と見られる.
北韓には20隻以上残っているらしいが,特攻用にもなるまい.
全長 | 77m |
幅 | 6.7m |
吃水 | 4.9m |
水上排水量 | 1330t |
水中排水量 | 1700t |
主機 | 水上 4000hp 水中 2700hp |
速力 | 水上 15.5knot 水中 13 knot |
兵装 | 533mm魚雷発射管 艦首 6門 艦尾 2門 機雷搭載可能 |
乗員 | 55 |
【参考文献】
『ソ連海軍』(海人社,1987/9/15)
&「グローバル・セキュリティ」などネット・ソース
消印所沢
1,2,5枚目でB-871「アルローサ」の横に停泊している潜水艦は,海上充電池PZS-50です.
元々は633(ロメオ)型潜水艦S-49でしたが,1995年に退役,浮かぶ充電器として使われるようになりました.
1枚目:2006年9月25日撮影
2枚目:2006年10月11日撮影
5枚目:2007年7月26日撮影
Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/10/14(日) 午後 4:57
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