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◆◆潜水艦
<◆ロシア海軍FAQ目次
<ロシアFAQ目次
(画像掲示板より引用)
Deep Storm(シトルム・グルビニィ)
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト
Submarine(ロシア語)
「VOR」◆(2012/11/07) 米国海岸付近に露潜水艦,米国が発見
「カラパイア」●ソ連の潜水艦乗組員たちが住んでいた秘密の町,ゴーストタウン化した現在の「Bechyovinka」
「六課」:ロシア海軍は,2050年までに均整の取れた海洋核戦力を構築する
「六課」:ロシアは2010年の潜水艦修理費用を30パーセント削減する
「六課」◆(2010/03/19)ロシア海軍は,2010年に新世代潜水艦各タイプの1番艦を受領する
「六課」◆(2010/03/21)ロシア海軍は,約40〜50隻の原潜保有を理想とする
「六課」◆(2012/02/04)ロシアは第3世代原潜をこれ以上解体しない
「六課」◆(2012/02/09)ロシア海軍は新たな非大気依存動力潜水艦を建造する
「六課」ACS◆(2013/04/01) ロシア統合造船業営団のトップは2隻の原潜の引き渡し遅延を否定した
「六課」ACS◆(2013/04/09) ロシア海軍の潜水艦はセイルのエンブレムを廃止する
「六課」ACS◆(2013/04/10) ショイグ国防相は北方艦隊原潜基地を視察した
「六課」ACS◆(2013/04/16) ロシア海軍の潜水艦からエンブレムが廃止される事は無い
「六課」ACS◆(2013/04/23) ロシア海軍は2013年に3隻の原子力潜水艦を受領する
「六課」ACS◆(2013/05/01) 2013年末までに3隻の原潜が修理を終えてロシア海軍へ復帰する
「六課」ACS◆(2013/05/18) ロシア海軍戦略原潜は2012年に5回の海洋パトロールを実施した
「六課」ACS◆(2013/07/28) ロシア海軍次世代(第5世代)攻撃原潜「潜水戦闘機」計画
「六課」ACS◆(2013/08/11) ロシア海軍新世代原潜の為のインフラ建設は2013年末までに完了する
「六課」ACS◆(2013/09/02) ロシア海軍は2020年までに12隻の原子力潜水艦を近代化する
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/8/31) ロシア太平洋艦隊の3隻の原潜は近代化改装の為に移送された
「ワレYouTube発見セリ」:Launch of Borei class Russian Submarine
「ワレYouTube発見セリ」:Russian Submarine - RTV
『ソ連/ロシア原潜建造史』(アンドレイ・V・ポルトフ著,海人社,2005)
『沈黙するロシア 原子力潜水艦沈没事故の真相』(マルク・デュガン著,河出書房新社,2008.10)
『敵対水域』(ピーター・ハクソーゼン,イーゴリ・クルジン,R・アラン・ホワイト著,文春文庫,2000.10)
ソビエト海軍の弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)”K-219” 通称「ヤンキー1型」が,1986年10月にアメリカ沿岸で事故を起こして沈没した事故を描いています.
搭載ミサイルの液体燃料爆発事故により,沈降していくK-219は最後の圧搾空気を使って辛くも浮上に成功しますが,艦内はミサイルの液体燃料による有毒ガスが充満し,火災によって原子炉系統の配線が断線し原子炉が暴走し始める.
それを止めるためにに高濃度放射能原子炉の中に,人間が直接乗り込んで手動で制御棒を落とさなくてはならない.
仲間を救う為に一水兵であるセルゲイ・ブレミーンが隔壁の中に消えてゆく…….
さらに米原潜”オーガスタ”の妨害行為,ソビエト海軍総司令部からの艦長解任命令が次々と起こって,レッドオクトーバーとクリムゾンタイドとU−ボートを足して割ったようなスペクタクルが繰り広げられます.
しかも実話.
もう開いた口がふさがらない.
―――軍事板
【質問】
ロシア潜水艦には「K」や「B」のナンバーが付けられているが,これは一体どういう意味なの?
【回答】
「K」は「クレイセル(巡洋艦)」,「B」は「ボリシャヤ(大型)」の略.
・・・で終わったら,何のコトか分からないので,詳しく説明すると,
「K」ナンバーが付けられている艦は「ポドヴァードヌイ・クレイセル(潜水巡洋艦)」
「B」ナンバーが付けられている艦は「ボリシャヤ・ポドヴァードナヤ・ロートカ(大型潜水艦)」
に分類されているので,その略.
さらに詳しく解説すると,現用ロシア潜水艦の正式な類別は,以下の通り.
[TKナンバー]
・タイフーン型(重原子力戦略任務ロケット潜水巡洋艦)
[Kナンバー]
・デルタ型シリーズ(原子力戦略任務ロケット潜水巡洋艦)
・オスカー型(原子力ロケット潜水巡洋艦)
・アクラ型(原子力潜水巡洋艦)
[Bナンバー]
・シエラ型,ヴィクター型(一等原子力大型潜水艦)
・キロ型(二等大型潜水艦)
ちなみに,シエラ型,ヴィクター型は,ソ連崩壊までは,Kナンバーだったが,ロシア連邦になってからBナンバーに「格下げ」された.
【質問】
ロシアの潜水艦の命名基準はどうなっているのか?
【回答】
有って無きが如し(笑)
大きく分けて,以下のパターンになる.
〔都市名(地方自治体名)〕
例:
アルハンゲリスク(タイフーン型)
カレリア(デルタIV型)
セーヴェロドヴィンスク(ヤーセン型)
ペトロパヴローフスク・カムチャツキィ(デルタIII型)
ヴィリュチュンスク(オスカーII型)
コストロマ(シエラ型)
マガダン(アクラ型)
ペルム(ヴィクターIII型)
ヴォログダ(キロ型)
〔動物名〕
例:
オリョール(オスカーII型)
パンテーラ,ゲパルト,カシャロート,チグル(アクラ型)
〔人名〕
例:
シヴァトイ・ゲオルギィ・ポベドノーセッツ(デルタIII型)
ダニル・モスコウスキー(ヴィクターIII型)
ユーリー・ドルゴルキィ(ボレイ型)
ドミトリー・ドンスコイ(タイフーン型)
〔企業名〕
例:
セヴェルスタル(タイフーン型)
このように,同型艦でも命名基準は統一されていない.
最近では都市名(地方自治体名)が多いが,これは,地方自治体名を付ける見返りに,その地方自治体から何らかの援助を貰う為である.
企業名を付けている艦も同様.
アクラ型,シエラ型原潜は,当初は動物名で統一されていたのだが,1990年代末期以降,都市名に「改名」する艦が続出した.
(例:マガダン,コストロマなど)
【質問】
ソ連の原潜には「アルファ」や「キロ」などとコードがつけられていますが,これら艦艇の開発・配備時機を見ると「アルファ」から始まって「ズール」で終わる,というものでなく,原潜は「ノヴェンバー」から始まってたり突如「アルファ」と付けられたりしています.
これには何か理由があるのでしょうか? それとも適当に付けただけなんでしょうか?
【回答】
ハッキリ言って,「適当に付けただけ」です(笑)
で,1980年代には,AからZまでを全て使い尽くした――ちなみに,いちばん最後に使われたのは「ユニフォーム」――ので,今度は,テキトーなロシアの単語から付けるようになった.
かのタイフーン型は,当初,シエラのコード名が割り当てられる予定だったが,当時のソ連にしては珍しく参謀総長オガルコフ元帥が
「この度,新型原潜"タイフーン"が就航した」
と発表したので,そのまんまタイフーン型と呼ばれるようになり,シエラの名は,チタン製原潜に回された.
「アクラ」も,テキトーにロシア語から取って付けたコード名だが,ロシア海軍は,1993年,同型の1番艦K-284を「アクラ」と命名した.
ただし,ソ連崩壊後に出てきた「ボレイ」「ヤーセン」「ラーダ(アムール)」は西側コード名ではなく,ロシア側の正式名称なので,混同しないように.
シア・クァンファ(夏光華)◆23wgJy2eAo
【質問】
2012.1.1現在,ロシア海軍が保有する潜水艦は?
【回答】
現在,ロシア連邦海軍の海軍籍にある潜水艦のリスト;
(修理中)は,艦船修理工場に居る艦です.
(予備役)は,基地に係留されて作戦行動していない艦です.
(親衛潜水艦)は,親衛称号(親衛海軍旗)を授与されている艦です.
ロシア海軍(旧ソ連海軍含む)の潜水艦に関しては,ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『シトルム・グルビニィ』(ディープストーム)という良い情報源が有りますので,同サイトを参考にしました.
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【戦略弾道ミサイル原子力潜水艦】
[プロジェクト941(タイフーン級)]
TK-208ドミトリー・ドンスコイ
TK-17アルハンゲリスク(予備役)
TK-20セヴェルスターリ(予備役)
[プロジェクト667BDRM(デルタIV級)]
K-51ヴェルホトゥーリエ(修理中)
K-84エカテリンブルク(修理中)
K-114トゥーラ
K-117ブリャンスク
K-18カレリア
K-407ノヴォモスコフスク
[プロジェクト667BDR(デルタIII級)]
K-44リャザン
K-223ポドリスク
K-433聖勝利者ゲオルギー
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【巡航ミサイル原子力潜水艦】
[プロジェクト949A(オスカーII級)]
K-132イルクーツク(修理中)
K-119ヴォロネジ(親衛潜水艦)
K-410スモレンスク(修理中)
K-442チェリャビンスク
K-266オリョール
K-456トヴェリ
K-186オムスク
K-150トムスク
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【多用途原子力潜水艦】
[プロジェクト971(アクラ級)]
K-263バルナウル(修理中)
K-322カシャロート
K-391ブラーツク(修理中)
K-331マガダン
K-419クズバス
K-295サマーラ(親衛潜水艦)
K-152ネルパ(親衛潜水艦,インドへリース予定)
K-317パンテーラ
K-461ヴォルク
K-328レオパルト(修理中)
K-154チグル
K-157ヴェプリ
K-335ゲパルト(親衛潜水艦)
[プロジェクト945A(シエラII級)]
B-534ニジーニー・ノヴゴロド
B-336プスコフ
[プロジェクト945(シエラI級)]
B-276コストロマ
[プロジェクト671RTMK(ヴィクターIII級)]
B-388ペトロザヴォーツク
B-138オブニンスク
B-414ダニル・モスコフスキー
B-448タンボフ
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【非核動力(ディーゼルエレクトリック)潜水艦】
[プロジェクト677(ラーダ級)]
B-585サンクトペテルブルク
[プロジェクト877(キロ級)]
B-401ノヴォシビルスク
B-402ヴォログダ
B-808ヤロスラブリ
B-800カルーガ(修理中)
B-871アルローサ
B-459ウラジカフカース(修理中)
B-471マグニトゴルスク
B-177リペツク
B-806
B-260チタ
B-227ヴィボルグ
B-445奇蹟者聖ニコライ
B-394
B-464ウスチ・カムチャツスク
B-494
B-187
B-190クラスノカメンスク
B-345モゴーチャ
[プロジェクト641B(タンゴ級)]
B-380聖ゲオルギー公(修理中)
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【原子力特務潜水艦】
[プロジェクト09786(デルタIII改造)]
BS-136(旧K-129)
[プロジェクト667BDRM改(デルタIV級改造)]
BS-64(改装中)
[プロジェクト1910(ユニフォーム級)]
AS-13
AS-15
AS-33
[(エックスレイ級)]
AS-23
AS-21
AS-35
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【非核動力試験潜水艦】
[プロジェクト20120]
B-90サロフ
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デルタIV級は,2000年代に近代化改装が実施され,艦齢を延長しています.
これに続き,オスカーII級巡航ミサイル原潜とアクラ級多用途原潜も,順次近代化改装を実施して艦齢を延長する計画です.
更にオスカーII級は,主要兵器の対艦巡航ミサイルを全く新しいタイプに換装します.
[オスカーII級ミサイル原潜は「オーニクス」と「カリブル」を装備する]
現在,ロシア海軍向けに建造中の潜水艦としては,
プロジェクト955ボレイ級戦略弾道ミサイル原子力潜水艦
プロジェクト885ヤーセン級多用途原子力潜水艦
プロジェクト677ラーダ級非核動力潜水艦
プロジェクト06363改キロ級非核動力潜水艦
が有ります.
この内の何隻かは,今年(2012年)中に就役する予定になっております.
ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2012/1/2(月) 午前 10:06
青文字:加筆改修部分
【質問】
ロシア海軍の潜水艦の先祖は?
【回答】
「ディアブル・マリン」という潜水艇が,1855年にババリア人ヴィルヘルム・バウアーによって建造されています.
これは,100回の試運転の後,犠牲者はないものの沈没,その後,引き揚げられましたが,再び沈没し,二度と引き揚げられなかった.
その後,1863年から66年に掛けて,ロシア人イワン・アレクサントロフスキーが次の潜水艇を設計,建造した.
これは,数年間順調に稼働していたが,1877年船体が水圧に押し潰されて破壊された.
1877年,ステファン・ドーゼヴィッキー(1843-1938)が,1人乗り潜水艇を建造,続いて1879年に4人乗り潜水艇を建造した.
これには初めて潜望鏡が装備され,操舵員は潜航中でも水面上を眺められるようになった.
1886年,ロシアは,ノルデンフェルトの蒸気潜水艦1隻を発注したが,回航中にカテガット海峡で座礁して失われた.
その後,日露戦争まで空白期間が続いたが,同戦争の勃発で,ドーゼヴィッキー,バブノフその他の技師が,十人十色の潜水艦を建造(中にはボトキン中尉の設計した木製船体潜水艦なんつ〜ものも)し,ドイツ,米国にも発注した.
結局,これらは間に合わず,バルト海,黒海向けに潜水艦の建造が計画された.
……てなとこか,と.
ちなみに,近代ソ連の潜水艦の礎を築いたのは,ホランド(アメリカンスキー・ゴランド)級潜水艦がまず一つ,
次いで,バルト海沖で沈没した英国潜水艦L-55,ドイツのIA級潜水艦ではなかったか,と.
出典はデビット・ミラー著「世界の潜水艦」(学研刊)でつ.
【質問】
ロシア初の原潜は?
【回答】
アメリカに対抗すべく,旧ソ連が開発した
November 型.
1958〜64年に同型14隻が竣工した.
その原潜開発は,米海軍でノーチラスの建造開始が報じられた1952年に始まっており,スケート級の各艦が就役を開始したのと同時期である1958年以降,SSN就役が始まっている.
ソ連海軍で627型,NATOではノヴェンバー November
型と呼ばれたこの潜水艦は,当初は大型の核魚雷による港湾と沿岸都市の攻撃を目的とされて計画されていた.
しかし,核攻撃の手段として,より有効な巡航ミサイルや弾道ミサイルの開発に目途がついたため,改めて通常の魚雷を主兵装とする対艦攻撃用の潜水艦として設計が纏められた.
原子炉2基によって35,000馬力を得,水中速度30ノットを達成しており,その登場時,米海軍は空母機動部隊に対する深刻な脅威と見なして,対抗策に追われた.
しかし設計的には未熟な部分が多く,運用サイドの能力も低かったため,たびたび重大な原子炉事故を起こしている.
本型は就役後,高速時の水中安定性が悪く,危険であると評価された他,スクリューと機関からの放射雑音が極めて大きいなど,様々な問題を抱えていはいたが,当時の米SSNより最大潜航深度は大きく,また,対潜魚雷では捕捉できない最高速力を持つなど,侮れない性能を有する艦でもあった.
本型の就役後の実績は,ソ連海軍に原子力潜水艦の有用性を認めさせることになり,当時同時に推進されていたクローズド・サイクル潜水艦の開発を中止して原子力推進艦に注力させるなど,以後のソ連の潜水艦発達に大きな影響を与えることになった.
水中排水量4,069t,全長107.4m,兵装は533mm魚雷発射管8門.
以上,データは 「世界の艦船」2004年10月号,p.23
& p.89より.後者のページは軍事史研究家・大塚好古の記述.
【質問】
ソ連最初の戦略原潜は?
【回答】
アメリカのジョージ・ワシントン級と前後して開発されたHotel
型.1960〜62年に8隻竣工.
しかし,SLBMの小型化が遅れていたため,巨大なセイルにSS-N-4(R-13,射程324浬)の発射筒3基を収めた設計を採用しており,戦略的価値はジョージ・ワシントン級に比べるとかなり見劣りした.
新造時の搭載SLBMは水上発射型だったが,1970年前後に水中発射可能なSS-N-5(R-21,射程768浬)に換装されており,西側では前者にT型,後者にU型のコードネームを与えていた.
水中排水量5,300t,全長114.1m,水中速度26ノット.
兵装は533mm魚雷発射管4門,406mm魚雷発射管4門.
(ホテル型 K-19)
次の Echo U型も,巡航ミサイルSS-N-3(射程242浬)が発射時に浮上しなければならない上,中間誘導も必要,という代物で,これも戦略的価値が低く,ソ連海軍が初めて有効な核抑止力を持つには,その次の
Yankee 級まで待たねばならなかった.
ヤンキー級はSS-N-6(R-27,射程1,350浬)搭載艦として計画.
SS-N-6は,SLBM小型化を懸命に進めたソ連海軍が,1960年代後半に実用化に漕ぎ付けた水中発射型ミサイルである.
1967〜73年に同型34隻が竣工.
船体中央にミサイル区画を配したデザインは,ジョージ・ワシントン級のコピーといえる.
水中排水量10,100t,全長128m,水中速力27ノット.
兵装はSS-N-6 16基,533mm魚雷発射管4門,406mm魚雷発射管2門.
(以上,データは 「世界の艦船」2004年10月号,p.24-25より)
したがって,Yankee 級こそ事実上の「ソ連初の戦略原潜」と言えるかもしれない.
【質問】
ソ連SSNが初めて同時期の西側第一線級SSNに匹敵する能力を持つようになったのは,いつ頃からか?
【回答】
ヴィクターIII型が就役を開始した1977年からだとされる.
以下引用.
対して冷戦時代の事実上主力となったヴィクター型は,I型の攻撃力強化型であったII型を経て,1977年に就役を開始したIII型で完成の域に達した.
このIII型は,それまで西側の艦に大きく差をつけられていた静粛性の面で,ほぼ西側の水準に追い付き,また,曳航式ソナーの装備を含め,水測兵装の能力も大幅に向上した.
西側が,本型がほぼスタージョン級に匹敵する能力を持つと評価するところとなり,初めて同時期の西側第一線級SSNに匹敵する能力を持つソ連SSNとなった.
(大塚好古〔軍事史研究家〕 from 「世界の艦船」2004年10月号,p.92)
【質問】
原潜開発が始まってからも,通常潜水艦建造も並行して続けられたのは何故か?
【回答】
原潜建造のための技術も予算も不足していたソ連海軍は,通常潜水艦による多数同時攻撃をもってすれば,米海軍に対応可能だと考えていたためだという.
だが,カリブ危機が,この考え方に引導を渡すことになった.
詳しくは「世界の艦船」2005年7月号,p.81(A.
V. Polutov著述)を参照されたし.
【質問】
戦後〜1950年代半ばのソ連潜水艦の戦術は?
【回答】
通常潜水艦部隊が,脅威の高い海域に展開,敵の空母機動部隊あるいは船団を捜索,追跡,攻撃するというシナリオを描いていたという.
狼群作戦を行うため,潜水小艦隊が編成されることになった.
詳しくは「世界の艦船」2005年7月号,p.81
& 84(A. V. Polutov著述)を参照されたし.
【質問】
ソ連の攻撃原潜建造において,ノヴェンバー型建造終了からヴィクター型建造開始までの間に3年のブランクがあるのは何故か?
【回答】
核ミサイル万能論の台頭の影響のためであるという.
以下引用.
ソ連におけるSSNの整備は,核ミサイル万能論の台頭の影響もあって,ノヴェンバー級〔原文ママ〕の建造が終了した後は一時頓挫していたが,1960年代中期になると,通常戦争寺に強大な海軍を保持することの必要性が認識されたこともあり,新たなSSNの整備に乗り出すことになった.
1959年以降,ソ連海軍は対水上艦攻撃用の669型と対潜用の671型の計画を同時に進めていたが,後に両計画は統合され,水上・水中両目標を魚雷で攻撃するSSNとして,671型の計画が進められることとなった.
これが後に西側でヴィクター Victor I型と呼ばれたタイプで,その1番艦は1967年に就役している.
本型は量産SSNではじめて水中速力30ノット以上を達成するなど,運動性能は米パーミット級や英ヴァリアント級に匹敵するか,むしろ上回る艦であったが,センサーの性能や静粛性は劣っていたため,全般的な能力はスキップジャック級に相当する艦と判定されている.
これは当時のソ連のSSN建造技術が,西側に比べて10年遅れていることを示すものだった.
そのため,以後,ソ連海軍はこのギャップを縮めるべく,多大な努力を払うことになる.
(大塚好古〔軍事史研究家〕 from 「世界の艦船」2004年10月号,p.91)
【質問】
なぜソ連海軍は多数の原潜を,無理してまで配備したのか?
【回答】
それが唯一,アメリカ海軍に対抗できる方策だと考えられたため.
また,直接的にはキューバ危機の影響も大きい.
以下引用.
堀元美氏は,名著「潜水艦の未来と展望」の中で,1958年のI.J.ガランティン米海軍中将の論文「原子力潜水艦の将来」を引用して,
「原子力潜水艦の出現によって,劣勢海軍が再び,強大な海軍に挑戦する時代が到来したのだ.
その事をソ連はよく理解しており,ソ連の建艦政策を見れば明らかである」
と述べている.
ソ連海軍総司令官ゴルシコフ元帥は,建設中のソ連海軍の中核に原潜を据えていた.
ちなみに,ソ連海軍の使命は,
第1に潜水艦による米機動部隊の攻撃,
第2に核弾頭誘導ミサイルによるアメリカ本土攻撃,
第3に海上交通破壊によるアメリカの孤立化
とされていた.
〔略〕
キューバ危機の結末は,海軍力の優れたほうが外交に勝つという,昔からの教訓を示したものだった.
フルシチョフは米ソの海軍力の差をまざまざと見せつけられ,明かな敗北を取るか,撤退と外交上の失敗をとるかの選択を迫られ,結局,キューバ危機のミサイル基地撤去に同意せざるをえなくなった.
この後,ソ連海軍は急速に,原潜を中心とする海軍力を増強していく.
1967年には涙滴型SSNのヴィクター VictorT型,射程1,600浬のSS-N-6ミサイルを搭載するSSBNヤンキー Yankee 型などを登場させた.
これらSSBNの出現は,米海軍のASWに深刻な影響をもたらし,戦時にはソ連潜水艦基地を直接核攻撃するしかないと考えられていた.
〔略〕
ゴルシコフ元帥は1976年,「国家と海洋力」と題する論文を発表し,70年代に入り,一段と戦力を増強してきたソ連海軍の戦略思想を披露した.
それには,圧倒的に有力な海上戦力である空母群を持つ,米海軍の優越を認めつつ,潜水艦・ミサイル兵器・航空機の奇襲戦力で,限定した期間,海域でソ連海軍が海洋支配を保持できる,とするものであった.
(橋本金平〔元一等海佐〕 from 「世界の艦船」2004年10月号,p.70-72)
【質問】
ロシア海軍の潜水艦が初めて日本に来港したのは?
【回答】
2002年10月.
ロシア太平洋艦隊の潜水艦が,海上自衛隊50周年記念国際観艦式に参加するため,「ワリヤーグ」と共に横須賀へ来港した.
【質問】
「ペルム方式」とは?
【回答】
地方都市が原潜を養うもので,予算難のロシア海軍ならではのやり方.
以下引用.
ロシア政府は充分な予算を与えられないため,潜水艦は,整備や改修に必要な経費を得るために,地方都市で資金を募り,その返礼として都市の名を艦に冠するという方法が行われている.
その一例がヴィクターIII型の一隻,ペルム Perm,旧称K-292で,1996年からバッテリーの全交換などの修理のために待機状態に入ったものの,ネルパ造船所が見積もった修理経費280万ドル分の予算を,ロシア国防省が組むことができずにいた.
2003年になって修理の初期作業の予算が計上されたが,他の現役潜水艦の機関故障の修理に流用されてしまい,K-292は除籍,解体せざるを得ない状況になった.
そこでペルム市当局がK-292のパトロンになり,修理予算を支出,その他乗員のための食料やタバコ,TV,バス1台などを提供することとし,2004年の初めになってようやく修理着手の目途が立ったと,ペルム市の地方紙が報じたことを,ノルウェーの環境団体ベローナ・ファウンデーションが伝えている.
(岡部いさく from 「世界の艦船」2004年12月号,p.142)
他にもスラーヴァ級巡洋艦1番艦モスクワは,ソ連崩壊後,オーバーホールに入ったが,財政難などで工事は一向に捗らず,これを見かねたモスクワ市が,工事費用の一部を寄付し,それも有って,2000年頃にようやく現役復帰出来た.
攻撃原潜B-292「ペルム」の件は,上述通りだね.
この他,太平洋艦隊所属のアクラ型が,ブラーツク(旧名キート),マガダン(旧ナルワール),クズバス(旧モルシュ),サマーラ(旧ドラコン)と改名されている.
ちなみに,この方式はB-292ペルムが最初では無く,むしろ,B-292が他艦の「先例」を真似た,と言ったほうが適切かと.
ロシア政界には,軍艦オタクが多いのだろうか・・・・(笑)
ちなみに,タイフーン型戦略原潜TK-20は「セヴェルスタル」という名前が付けられているが,これは都市名ではなく,同艦の「スポンサー」となっている企業名(ロシアの大手鉄鋼メーカー).
日本で同様のコトをやったら,潜水艦「ライブドア」,護衛艦「楽天」などというのが出てくる予感・・・・(笑)
ホリえもんなら,話を知ったらマジでやりかねないかも(……こらこら,そこの人,ホリえもんのブログを探してメールしたりしないやうに(笑)).
いや,いっそ,新型空母「ライブドア」希望.
【質問】
ロシア戦略原潜の現状は?
【回答】
ソヴィエト連邦時代には,多数の戦略弾道ミサイル原潜を擁していたソ連海軍ですが,ソ連邦解体後,ロシア海軍になってからは,戦略原潜の退役が進みました.
そして2006年現在,ロシア海軍の戦略原子力潜水艦は,これだけです.
・941(タイフーン)型×3隻(R-39弾道ミサイル60基,弾頭360基)
・667BDRM(デルタIV)型×6隻(R-29RM弾道ミサイル96基,弾頭282基)
・667BDR(デルタIII)型×6隻(R-29R弾道ミサイル96基,弾頭384基)
なおミサイルの弾頭数は,露米の核軍縮条約によって制限されている数値であり,最大搭載可能数では有りません.
ソ連邦解体直後の1992年初頭には,70隻ほどの戦略原潜が在籍していたものでしたが,その4分の1以下にまで減少しました.
この15隻の内,667BDR型4隻が太平洋艦隊に配備されている以外は,全て北方艦隊の所属です.
941型は6隻が就役しましたが,3隻が除籍.
1隻は完全に解体され,現在,2隻目の解体工事が行われております.
このクラスは,史上最大の潜水艦として有名ですが,それだけに維持運用コストも余計に嵩む事になり,早期退役が進められる事になりました.
現在残っている3隻も,R-39弾道ミサイルの使用期限が切れており,改良型の開発も1997年には中止された為,もはや海洋核抑止戦力として機能しているとは言えません.
なお,941型の1隻は,新型弾道ミサイル「ブラーワ」の発射テストに従事しています.
667BDRM型は,今のところロシア海軍の戦略原潜の中で最も新しいタイプであり,7隻が就航しましたが,現役に有るのは6隻です.
順次オーバーホールが行われ,最優先で維持されております.
2004年2月,プーチン大統領が視察する前で実施された本型の弾道ミサイル発射演習は失敗しましたが,これ以後に行われたミサイル発射は全て成功しており,有力な海洋核抑止戦力として機能しております.
667BDRM型の残りの1隻はどうなったのかと言うと,除籍されたわけではなく,特殊任務用の原子力潜水艦に改造される事になっております.
667BDR型は14隻が就役しましたが,現役に留まっているのは6隻で,太平洋艦隊に4隻,北方艦隊に2隻が配備されています.
この他に,小型潜水艇母艦に改造された艦が1隻,北方艦隊に所属しております.
現用のロシア戦略原潜でいちばん古いタイプではありますが,
今でも,時たま弾道ミサイルの発射テストを行っており,なお健在です.
数年前,ロシア海軍は太平洋艦隊から戦略原潜を撤収させ,全て北方艦隊に集約させる,という話が有りましたが,太平洋艦隊の667BDR型4隻が北方艦隊の原潜基地に移動する兆候はぜ〜んぜん有りません.
現在でも,時々667BDR型が宗谷海峡を浮上航行して西進する姿が海上自衛隊に視認されますが,これは,カムチャツカ方面の母港から,定期修理などの為に沿海州の造船所に向かう途中でしょう.
「世界の艦船」2007年2月号には,沿海州方面からカムチャツカ方面に向かうと見られる667BDR型の写真が載っておりますが,おそらくは修理を終えて母港に戻る途中と思われます.
667BDR型4隻は,このまま退役まで太平洋艦隊に留まるつもりのようです.
ただ,現在の667BDR型4隻が退役した後,新たに太平洋方面に戦略原潜を配備する可能性も,無いに等しいでしょうが.
今後もロシア海軍は,戦略原潜を12隻程度は維持したい意向であり,新型の戦略原潜「ボレイ」型の建造も最優先で進められております.
ただ,「ボレイ」型に搭載予定の新型弾道ミサイル「ブラーワ」は,今年に3回行われた発射テストが,いずれも失敗に終わっており,2007年に就役予定の「ボレイ」型1番艦は,予定通りに就役出来たとしても,ミサイル無しになる可能性が濃厚のように思われます.
Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜,2006/12/28(木)午後7:45
【質問】
2008年のロシア戦略原潜パトロールの状況は?
【回答】
アメリカ海軍情報筋によると,2008年のロシア海軍の戦略原子力潜水艦のパトロールは,計10回実施されたそうです.
『Russian strategic nuclear forces』:ミサイル潜水艦のパトロールは,10回実施された
2007年は3回,2006年は5回でした.
元記事は,FAS(Federation of American Scientists,米国科学者連盟)のブログです.
「ロシアの戦略潜水艦パトロールは回復した」
冒頭で「ロシアのSSBNパトロールは,2007年から2008年に3倍になった」と書かれています.
2008年当時,作戦可能状態にあったと見られるロシア海軍戦略原潜は,この10隻です.
[デルタIII型]
K-223「ポドルスク」(太平洋艦隊)
K-211「ペトロパヴロフスク・カムチャツキィ」(太平洋艦隊)
K-433「シヴァトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツ」(太平洋艦隊)
K-506「ゼレノグラード」(太平洋艦隊)
K-44「リャザニ」(北方艦隊→太平洋艦隊)
[デルタIV型]
K-51「ヴァルホツリエ」(北方艦隊)
K-84「エカテリンブルク」(北方艦隊)
K-114「トゥーラ」(北方艦隊)
K-117「ブリャンスク」(北方艦隊)
K-407「ノヴォモスコフスク」(北方艦隊)
これ以外の戦略原潜は,ドック入りしていたか,あるいは予備役でした.
(タイフーン型は,1隻が新型弾道ミサイルの試験艦,2隻が予備役)
つまり,各艦が1回ずつ海洋戦略パトロールを実施した事になります.
K-44「リャザニ」は,2008年8月末に北方艦隊原潜基地を出港し,9月30日,太平洋艦隊原潜基地に到着しました.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/34628669.html
この間,30日以上に渡り,北極海で潜航したまま航海を続けました.
当然,この航海も,上記の2008年の海洋戦略パトロール回数に含まれているでしょう.
FASブログでも,リャザニの航海について取り上げています.
"The Voyage of Ryazan"
2007年は,ちょうどオーバーホール期間に当たる原潜が多かった為,海洋戦略パトロール回数が少なかったようです.
デルタIV型は,順次近代化改装が行なわれていますが,近代化改装予定の6隻のうち,4隻は改装を終えて艦隊に復帰.
1隻(K-18「カレリア」)は,今年中に復帰予定.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/35668302.html
そして,最後の1隻(K-407「ノヴォモスコフスク」)は,昨年11月にドック入りしました.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/35789037.html
おそらくは,基地を出港して戦略パトロール任務を遂行し,任務終了後,艦船修理センターへ直行したのでしょう.
この他,デルタIII型のK-496「ボリソグレブスク」も改装中です.
今年(2009年)も,昨年(2008年)と同程度の戦略パトロール回数になるでしょう.
ロスリャコヴォの超大型浮きドックPD-50に入渠中のデルタIV型戦略原潜.2005年頃
「ロシア・ソ連海軍」,2009/2/23(月) 午後 6:37
【質問】
ロシア海軍において,潜水艦偏重傾向に変更はあり得るか?
【回答】
ソ連/ロシア海軍では1970年代からバランス論が強くなっており,予算さえ許せばその方向に向かうだろうという.
以下引用.
2005/3/25,ロシア海軍のクズネツォフ元帥記念海軍アカデミーにおいて,「ロシア海軍の空母の歴史と展望」と題する会議が持たれ,
「空母の支援がなければ,仮想敵の空母機動部隊と戦闘に突入した場合,攻撃に参加した原潜や通常潜水艦の90%,陸上攻撃機の80%を失うことになるであろう」
との結論に達した.
このため,ロシア海軍部内では,
「バランスのとれた海軍を建造しなければならない」
との意見が強くなっており,支持者達は,
「近代の戦争において空母機動部隊の編成は必死であり,空母の存在は原潜および通常潜水艦の戦闘価値を3倍にも4倍にも高めるであろう.
だが,空母がなければ海軍は沿岸警備隊であり,原潜は作戦任務の遂行に当たって,その行動を著しく制約されるであろう」
と強調する.
しかし,予算不足に悩むロシア海軍の原潜は,その多くが赤錆びた船体を湾の奥深くに横たえ,作戦任務の件数も減少し,戦術の開発も足踏みしているのが現状である.
A. V. Polutov from 「世界の艦船」2005年7月号,p.85
【質問】
ロシアの有人潜水艇が北極海海底に国旗を立てたのは何のためか?
【回答】
2007/8/2,ロシアの有人潜水艇は深度約4200mの海底に到達し,ロシア国旗を立てました.
ラブロフ外相は
「ロシアの大陸棚が北極海海底まで続いていることが証明された」
と述べ,プーチン大統領も潜水艇乗員に激励の電話をかけています.
⇒海底に到達したのは二隻の潜水艇です.
北極海海底の占有権を得るため,ロシアは2001年に国連での承認を求めて申請を出していますが却下されています.
国連などクソ食らえ.欲しいものは自分の力で獲るだけだ.ということでしょう.
昨今の英ロ関係緊張の主因はこれでしょうね.
【質問】
ロシア海軍の潜水艦乗組員の訓練状況について教えてください.
【回答】
ソースが古く,また,信頼度も不明だが,坂本明によれば,毎年2000人近い若者が海軍に入隊するが,多くの者が,比較的待遇の良い潜水艦乗りを希望するという.
志願者は国内にある,10の潜水艦学校に振り分けられ,約3〜6ヶ月の訓練を受けるが,シミュレータや訓練装置が古く,役に立っていないといわれるほどだという.
また,学校卒業後,潜水艦へ配属されても,配属先の艦自体が訓練不足や,待遇の悪さ,過酷な勤務体制からプロ意識が欠如しているため,優れたクルーが育たないとも言われている.
私見ではこの情報は,潜水艦稼働率等を考え合わせるに,1980年代後半の話のように想像するが.
あとは,シア氏のツッコミに期待したい.
【参考ページ】
『大図解 世界の潜水艦』(坂本明著,グリーンアロー出版社,1994.4.1),p.90
【ぐんじさんぎょう】,2010/03/04 23:00
を加筆改修
◆◆◆◆潜水艦事故
【質問】
ロシア海軍において,旧ソ連時代を含め,原潜の事故は何件起きているのか?
【回答】
2000年までの間に主なものだけで17件だとされる.
以下引用.
1960年以降,ロシア時代となった2000年までの間に,原潜での事故は主なものだけでざっと17件ほど起きており,艦内電気系統からの火災や放射線漏れ事故なども含めると,大小30件以上の事故が発生している.
特に深刻なのは,原子炉や1次冷却水の漏れを含む,シールド内部での核および放射線漏れ事故が,1980年代までに多発していたことで,2000年8月のオスカー Oscar II型巡航ミサイル原潜(SSGN)クルスク Kursk の沈没事故までに,原潜乗員の死者数は少なくとも500人以上に達している.
中でも旧ソ連時代には,深刻な原潜沈没事故が4件,潜水艦基地内での環境汚染を含む深刻な核事故が最低1件起きており,その詳細が1990年代の前半から,ロシア人ジャーナリストや西側の研究者達によって,今日までに次第に明らかにされるようになっている.
4件の沈没事故の最初は,1970年4月のノヴェンバー November 型SSN K-8で,
2件目は83年6月のカムチャッカ半島沖でのチャーリー Charlie II型SSGN K-429,
3件目は86年10月の大西洋バーミューダ海域におけるヤンキー Yankee 型 SSBN K-219,
4件目は89年4月のノルウェー海でのマイク Mike 型SSGN K-278と続いている.
この内のK-8とK-278の沈没原因は,艦内電気系統からの火災だったと伝えられている.
またK-219は,搭載SLBM推進部の爆発と,それに続く浸水,艦内火災の発生が沈没原因だった.
K-429は,どうやら単純な,喚起口の閉め忘れによる浸水が原因だったとされている.
ただ,これらはまだ深刻さの点では序の口で,85年8月のチャズマ湾(ウラジオストクの外側に位置)基地におけるヴィクター Victor 型SSN K-314の原子炉燃料棒交換作業では,誤って制御棒が外されて原子炉自体が臨界に達して,大爆発を起こしている.
この爆発では,当然大量の放射線が艦外に放出され,潜水艦基地全域とショトボ半島から半径約6kmの範囲が放射能で汚染された.
こうした,西側では考えられない事故が多発する構造的な原因は,旧ソ連時代の軍内部における極端な秘密主義と,原潜造船所における電気系統の事実上の手抜き工事,信頼性・品質管理技術の欠如が重なっていたことだった.
こうなると,旧ソ連海軍の原潜における安全性の欠落は,まさしく国家規模でのシステム上の欠陥が最大の原因だったと考えてよい.
(宇垣大成 from 「世界の艦船」2004年10月号,p.103)
【質問】
旧ソ連の原子力潜水艦は構造上,火災に極めて脆弱なのでは?
【回答】
1989年4月のマイク型原潜K-278沈没事故以降,ロシアの原潜で発生した火災事故は,これだけ有ります.
★1992年:タイフーン型原潜TK-17,ミサイル搭載作業中に火災発生.
★2006年9月:ヴィクターIII型原潜B-414「ダニル・モスコフスキー」,航行中に火災発生.
(http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/22159630.html参照)
2000年9月に沈没したオスカーII型原潜K-141「クルスク」の場合,艦首の魚雷爆発が沈没の原因であり,火災を起こしたわけでは無い.
(艦首魚雷の爆発で外壁が破壊され,海水が大量に流れ込んで来たので,火災が起こる余地も無いし)
というわけで,2件しか有りません.
そして,何よりも重要なのは,この2隻が,今も尚,ロシア海軍に在籍しているという事実です.
B-414「ダニル・モスコフスキー」の火災事故は,ロシア側の報道を読む限り,電気系統のショートが原因だと思われます.
つまり,K-278と同様です.
「旧ソ連の原子力潜水艦」が,現在でも「火災に極めて脆弱」だったら,「ダニル・モスコフスキー」も沈没している筈だが・・・・?
「ダニル・モスコフスキー」だって「旧ソ連の原子力潜水艦」だし,艦の設計から言えば,K-278やタイフーン型よりも古いんだがね.
ついでに書くと,「ダニル・モスコフスキー」の火災事故では,火災が起きた直後,原子炉は自動的に停止しています.
K-278とB-414の差は,ダメージコントロールに成功したか否かという事に尽きます.
K-278の火災沈没事故の場合,出港前に乗員が艦長を含めて入れ替わり,艦の操作に慣れていませんでした.
このような有様では,ダメージコントロールが上手く行く事は無かったでしょう.
B-414の場合,火災はすぐに消し止められ,「重大な事故に至る」事は有りませんでした.
原潜以外では,今年の1月6日,空母クズネツォフで電気系統のショートによる火災が発生しましたが,こちらも,「重大な事故」には至りませんでした.
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-106.html
同艦は,その後も訓練と航海を続け,母港に戻ったのは2ヵ月後の事でした.
これらの事実から分かるのは,1990年代以降,ロシア海軍のダメージコントロールは改善されているという事です.
原潜にせよ,水上艦にせよ,ロシアの艦艇が「火災に極めて脆弱」というのは,もはや過去の話になったと言ってもいいだろうね.
いつまでも,旧ソ連時代のイメージを引き摺る事は有るまい?
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」,
2009/5/31(日) 午後 10:53
青文字:加筆改修部分
【質問】
アメリカ側は認めていないが,水中で衝突して沈められたとおぼしきソ連潜水艦が4隻ほど存在したはずでは?
【回答】
2000年8月12日のK-141クルスク沈没時も,ロシアは当初,米原潜が衝突したから,と言い張っていたが.
……などと言うのはさておき,君が言うのに該当するソ連潜水艦は,1968年3月8日に北太平洋で沈没したゴルフ型戦略潜水艦K-129だけと思われるが.
コレだけが,未だに沈没した原因がハッキリしていない.
むろん,米原潜と露原潜が衝突した例は何件か有るが,沈没に至ったケースは無い.
1992年2月11日に米原潜バトンルージュと露原潜B-276コストロマ(シエラ型)が衝突し,この事故によってB-276は退役したと長い間信じられていたが(今は亡きSiDでも,そう書かれていた),
最近になって,実は事故後に修理されてカムバックしていた事が明らかになった.
この他,変り種としては,1983年6月にウラジオストク沖でソ連原潜K-324(ヴィクターIII)と中国のハン型原潜が衝突する事故が有った・・・らしい.
ソ連側の主張によると,このハン型は沈没したとのコトだが,ハン型は,5隻就役して,まだ1隻も失われていないので,大破しながらも,何とか帰還したものと思われ.
今の中露関係のコトも有るのかどうか,この事故の件は,いまいちハッキリしないねえ・・・(中露とも,あまり触れたくないのか・・・)
夏光華(シア・クァンファ) ◆BFSytpS.uc :軍事板,2005/12/31(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
2005年8月に極東カムチャツカ沖で起きた潜水艇(AS-28)事故では,英海軍が救助に当たったが,ロシア海軍には,潜水艦救助用の艦は無いのか?
【回答】
有るには有る.
★太平洋艦隊
大型潜水艦救難艦アラゲーズ(プロジェクト537,14,300t)
潜水艦救難艦ゲオルギー・コズミン,サヤーニィ(プロジェクト05360/05361,7,960t)
★北方艦隊
潜水艦救難艦ミハイル・ルドニツキー,ゲオルギー・チートフ(プロジェクト05360/05361,7,960t)
★バルト海艦隊
潜水艦救難艦SS-750(旧東ドイツで建造,5,250t)
このうち,深海潜水救難艇(DSRV)を搭載するのは,太平洋艦隊のアラゲーズ(プロジェクト537)のみ.
同艦は,世界最大の潜水艦救難艦エリブルース級の2番艦だが,1番艦エリブルースは,既に退役.
その他の艦は,レスキュー・チェンバーしか装備していない.
となると,いちばん期待できるのはアラゲーズというコトになるが,同艦は,ウラジオストクの工廠で長期修理中であり,出動できる体制には無かった.
【参考画像】
インディア型救難潜水艦
【質問】
2013.5.5現在の,ロシア海軍の潜水救難装置について教えられたし.
【回答】
北方艦隊の原子力潜水艦「クルスク」は,2000年8月12日に艦首魚雷室で爆発事故を起こし,沈没しました.
118名の乗員を救助する事は出来ませんでした.
[原潜クルスク追悼]
[巡航ミサイル原潜「クルスク」]
[解体されるオスカーII級原潜クルスク]
この件で,ロシア海軍の潜水艦乗員救助体制の不備が明らかになり,以後,各種の対策が講じられる事になりました.
まず最初に,外国製の深海作業用無人機が,幾つか購入されました.
深海遠隔操縦装置「ヴェノム」
深海遠隔操縦装置「タイゲル」(タイガー)
この他に「パンテラ・プリョス」(パンサー・プラス)も購入されました.
これらの深海遠隔操縦装置は,ロシア海軍各艦隊の潜水艦救助船に配備されました.
その一方で,新たな潜水艦救助船の建造も開始されました.
[新型潜水艦救助船イーゴリ・ベロウソフ進水]
「タイゲル」と「パンテラ・プリョス」は,2009年11月の対潜哨戒機Tu-142墜落事故において,タタール海峡で使用されています.
[Tu-142墜落事故(旧ブログ)]
2012年1月初頭には,黒海艦隊に救助船支隊が創設されました.
[黒海艦隊に救助船部隊が創設された]
2013年には,最新救助潜水装置ベステル-1(公開株式会社「中央設計局ラズリート」が設計し,「アドミラルティ造船所」で建造)の試験が開始されます.
ロシア海軍の救助作業部門の責任者であるダミール・シャイフトジノフ氏は,2013年末までに10隻の救助船,救助艇,救助曳船がロシア海軍へ引き渡されると述べています.
【ロシア連邦海軍は救助手段での西側への遅れを殆ど克服した】
並行して,ロシア海軍の現用深海潜水艇の近代化も実施されています.
[ロシア海軍は2013年に10隻の救助船と救助艇を受領する]
原子力潜水艦「クルスク」爆沈事故から10年以上の歳月を経て,ロシア海軍の努力は実を結びつつあります.
北方艦隊の救助訓練
「六課」ACS◆(2013/05/05) ロシア海軍は潜水救助機器での遅れを取り戻した
より再構成
◆◆◆◆◆カムチャッカ沖「AS28」沈没事故
【質問】
ロシア海軍小型潜水艇沈没事故の概要は?
【回答】
ロシア・カムチャッカ沖の,カムチャッカ州・州都ペトロパブ
ロフスクカムチャツキー東約70キロ,水深約200メートルの海底付近で,ロシ
ア太平洋艦隊所属の小型潜水艇「AS28」が2005/8/4に浮上不能と
なり,乗員7名が艇に閉じ込められる.
8/5,ロシア政府は,各国に対し救援要請を発し,米英日の3カ国がこれに応答.
わが国は,国際緊急援助隊派遣法に基き,海上自衛隊支援艦隊を派遣.
派遣されているのは
潜水艦救難母艦「ちよだ」(横須賀:艦長 吉岡俊一1佐)
掃海母艦「うらが」(横須賀:艦長 高橋史克2佐)
および大湊総監部隷下 の第45掃海隊(函館)より掃海艇2隻で,カムチャッカ沖に向けて,8/5の1830
までに出動.人員は約370名.現地到着は月曜日頃.
米は8/5に無人潜水艇「スーパースコーピオ」をサンディエゴの米太平洋海
軍基地からC5輸送機で現地に空輸.
英も,海軍の無人潜水艇「スコー ピオ」をC17輸送機で8/6中に現地に送っており,海底に沈んだ潜水艇の捜索に当たっている.
浮上できなくなった潜水艇は,空気を送るケーブルを固定するワイヤーが
舵に絡まった,魚網がスクリューに絡まったとか言われているが,浮上不能と
なった原因は不明.
現時点で救難作業は継続中です.
【AS28の諸元】 全長: 13.5m 全幅: 3.8m 最大速力:
3.3ノット 最大深度: 1,000m チタン製 可能空気供給時間:
120時間
AS28の詳細図を見て感じるのは,この絵がどれだけ正確なのか分かりませんが,ハッチがセイルトップにしかないようなので,ハッチ・メイティング(DSRVによる遭難艦ハッチへの吸い付
き)は不可能のようですね.
酸素や食料を送り込みながら,浅瀬に曳航して脱出させるしかないかも知れま
せん.
水深100mを切れば,ハッチを開けて自力脱出する方法が採れる可能性があります.もちろん潜水病になる可能性は大きいですが,潜水艦乗員は全員が自力脱出の方法を訓練しているので,上に再圧タンクのある「ちよだ」や「うらが」等の艦艇が控えていれば,助かる可能性は充分にあります.
その後,8/7正午頃,英無人潜水艇がロシア潜水艇にからんだケーブル切断.海面に引き上げ成功.
乗組員7人全員が無事救助.
国際緊急援助活動終結(1500)
各艦艇は各定係港へ向け帰投を開始
| >
| /
| |
| (
| ◎/←ペトロパヴロフスク=カムチャツキー
| ノ*現場
レ
@
?
?
?
| \ ? AA ←海自の救助隊は上同時刻ではここら辺?
\_ ? AA
/?
」←根室から現場まで直線距離で1415km前後
/ \
|
|
|
|
(←仙台
|
|
|
【質問】
派遣されているのは潜水艦救難母艦「ちよだ」,掃海母艦,および大湊
総監部隷下の第45掃海隊(函館)より掃海艇2隻のようですが,掃海母艦と掃海艇が同行するのは,航路確保のためなのでしょうか?
その他に理由はあるのでしょうか?
【回答】
機雷と小型潜水艇は,水中にある捜索目標としては同じです.
掃海艇は機雷探知機で探して位置を確定するためかもしれません.
掃海母艦「うらが」は掃海艇の母艦としては当然ですが,潜水士達の深海潜水
活動の母艦としても必要です.
潜水艦救難母艦「ちよだ」もDSRVの他に深海潜水設備SDCを持っています が,この際は「多々益々弁ず」でしょうね.
なお,深海潜水作業の最近の作業深度は400mを超えています.
http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/kaito/diving.htm
「ちよだ」はこのカプセルを持っています(現在「うらが」にもあるか不明)
し,両艦には潜水病治療用の再圧タンクもあります.
大気圧潜水服というものもあります.
【質問】
遭難後丸一日経過して初めて,ロシア海軍は救援要請をしていますが,これは常識からいって遅いのでしょうか?
【回答】
そこは生命の危険と秘密保持や国家威信の兼ね合いでしょうね.
ちなみに海自では,連絡予定時刻に連絡がない場合は,2時間まで連絡を待って,
事故の情報が入った場合は直ちに,潜水艦救難部署発動です.
【質問】
酸素があと一日分しかないそうですが,大丈夫でしょうか?
【回答】
正確なことは分かりませんが,人間の吸う空気の量は酸素ボンベ一本でも相当
に長持ちします.
危険なのは酸素ではなく,炭酸ガスです.
ザックリといえば,通常大気中に21%ある酸素が1%減る毎に炭酸ガス濃度
が1%ずつ増えます.
肺の中ではヘモグロビンが血液中の濃い炭酸ガスを出して酸素を取り込むので
すが,外気の炭酸ガスが濃くなるとこの交換作業をしなくなるのです.
富士山のように空気の薄いところでは酸素も少ないのですが,炭酸ガスも比例
して少ないので生きていけます.
しかし,閉じこめられて炭酸ガス濃度が徐々に高くなると,徹夜麻雀をしてい
るときのように頭が重くなり,思考力が低下し,肩で呼吸し,最後に気を失っ
て死亡します.
水に顔を浸けたときのような苦しさはありません.
【質問】
DSRVとスコーピオはどう違うのか?
【回答】
ハワイの「えひめ丸」衝突沈没事件の折り,捜索で活躍したスコーピオですが,沈没艇を探すことはでき
ても人を助けることは出来ません.
DSRV は名前のとおり人を助けるための深海潜水艇です.沈没艇のハッチの上
に吸い付く必要があるので,ハッチのサイズや付近の構造が条件を満たして
いる必要がありますが,もし吸い付くことが出来れば一度に7名全員を救い出
せます.
潜航深度は秘密ですが,今回の深さなら何等問題ありません.
無人探査艇では人は助けられません.
DSRVやSDCなら,生きている限り助けられる可能性があります.
DSRV 深海救難艇;潜水艦救難装置の一種,自力で潜航して遭難した潜水艦の脱出ハ
ッチに密着し,乗員を収容;
(1)深海潜水救難艇;米海軍,高張力鋼製球形内殻3個と外殻で構成,潜水艦ハッ
チに密着して乗員救出,深度1,000m以上の深海で活動可能,重量30t,乗員3名
<海>
(2)深海救難艇;海自,AS405ちよだ搭載艇,'85竣工,KHI;
ASR403ちはや搭載艇,'00/03/24竣工,KHI神戸工場,遭難潜水艦に対して救難
艦の誘導装置と自艇の音響装置を用いて接近し脱出ハッチに結合,乗員を収容
して救難艦に戻る,制御コンソールの総合表示化;
<ちよだ搭載深海救難艇(DSRV)要目> 全長12.4m,全幅3.2m,深さ4.3m,重量40t,推進電動機1基1軸,出力30PS,速
力4kt,操縦要員2名,救難収容可能人員12名,KHI製,起工S57/12/15,竣工S60
/03/27 (コモ辞書より)
米軍はDSRVをC-5ギャラクシー(米空軍の戦略輸送機)で輸送できるように最初から設計しています.
また,その救難母艦はSSN(原子力攻撃潜水艦/攻撃原潜)自身で,後部ハッチの上に背負って現場に潜航したままで急行し,潜航したままでDSRVを発進させて
救難作業を行います.
航走音を気にしなければ,SSNは水中を水上艦よりはるかに高速で現場に行けますし,荒天を気にすることなく水中で作業ができるからです.
潜水艦救難母艦「ちよだ」の一番の大敵は荒天です.
現場の一点に留まって艦の真ん中に空いた「ウェル」と呼ばれる穴からDSRVを
エレベータで水中に降ろし,発進させます.
そして,DSRVが遭難艇の背中に吸い付いて中の乗員を乗り移らせて,母艦に帰ってくるまでひたすら待つのです.
うまく吸い付けない場合のために,遭難艇の現場付近に潜水員を潜らせて
支援させることも想定されています.
http://www.eva.hi-ho.ne.jp/t-haraguchi/sub3.htm
http://www.worldtimes.co.jp/special2/sensuikan/040525.html
この意味で,今回の米軍の協力は出来ることのホンの一部であることが推察で
きます.
一方,海自の協力は可能な限りの本格的,全面的なものです.
この意味からも,我が国にもぜひSSNが欲しいですね.
【質問】
日本で潜水艇沈没事故が起きた事はあるのか?
【回答】
日本でも明治43年に第6潜水艇が岩国沖に沈没し,14名の乗員が殉職しま
した. この時,艇長佐久間勉大尉の書いた遺書が,今も全世界の潜水艦乗員教育の教科
書になっています. http://shomin.ameblo.jp/entry-442e81d81ed79b5d87c823d2944adc63.html
http://www4.ocn.ne.jp/~yoshirin/sakuma/sakuma.html
この遺書の実物は関東大震災で焼失しましたが,写真版は今も方々にあります.
この時の艇長は,炭酸ガスの増加ではなく,ガソリン・タンクの破裂によるガソリン酔いの意識混濁の中でこの遺書を書きました.これを想
うと,読む度に今でも涙がでます.
艇長も立派でしたが,艇員一同も自分の持ち場でなくなっていました.
この度のロシア艇は不幸な事故ですが,この際,佐久間艇長と六号潜水艇の話
も責任感,義務感,部下統率の生きた鑑として国民に知ってほしいものです.
【書籍】
『佐久間艇長の遺書』(TBSブリタニカ編集部編/出版:TBSブリタニカ/発行年月:2001/2)
引き揚げられて祀られた第6潜水艇
(画像掲示板より引用)
【質問】
なぜロシア海軍は自力でAS28を救出できなかったのか?
【回答】
報道によれば,高性能の外国製救難装置を持ちながら,使用説明書が英語なので読めず,使い方が分かなくて壊してしまったためだ,という.
以下引用.
露紙コムソモリスカヤ・プラウダなどによると,AS28が4日,深さ190メートルの海中で密漁者の網やロープに絡まり動けなくなった際,露海軍は先に英企業から買い付けた高性能の無人深海救難装置を投入した.
遠隔操作のアームで網などを切断してAS28を救い出すはずだったが,露海軍総司令官代行,ウラジーミル・マソリン大将によると,救難装置の遠隔操作を任されたスタッフは「どのボタンを押せばよいのかも知らない」有り様で,壊してしまった.
救い出されたAS28の乗組員は同紙に,
「使用説明書が英語なので,誰も読めなかった」
と説明した.
大将は「失態」の原因は
「ロシア特有の無責任,ズサンさと怠慢にある」
と怒り心頭で,艦隊検察部は,救難装置を搭載した水上艦の艦長を「職務怠慢」容疑で取り調べ中だ.
海軍はみんな英語ができると思っていた俺.
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