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新「六課」◆(2012/10/31) 新型潜水艦救助船イーゴリ・ベロウソフ進水
新「六課」◆(2012/11/13) ロシア海軍最古参・救助船コムーナは起工から100周年を迎えた
「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/11/13) ロシア海軍最古参・救助船コムーナは起工から100周年を迎えた
【質問】
海洋曳航船「ソルム」型について教えられたし.
【回答】
ロシア海軍のソマリア派遣部隊には,海洋曳航船Морской
Буксирが随伴しております.
(ロシア側の報道では,「救助曳航船」Спасательный
Буксирと記される事もある)
第3次派遣部隊にはMB-37(下の写真),第4次派遣部隊にはMB-99が随伴しています.
この2隻は,海洋曳航船プロジェクト745(西側コード名「ソルム」型)です.
派生型として,国境警備隊用の警備艦プロジェクト745Pが有ります.
<海洋曳航船プロジェクト745>
基準排水量:1,210t
満載排水量:1,656t
全長:55.5m
幅::12.6m
吃水:4.62m
機関:ディーゼルエレクトリック,3,000馬力
速力:14ノット
航続距離:13ノットで6,700海里,11ノットで8,000海里
乗員:35名
この他に,最大40名までの人員が乗船できます.
アデン湾へ派遣される海洋曳航船は,海軍歩兵隊員を乗せているとの事です.
(http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/39618023.html参照)
ソマリア派遣部隊に海洋曳航船が随伴している最大の理由は,これでしょう.
戦闘艦や給油艦に乗せるよりも,最初から便乗者用の設備が整っている曳航船に乗って行く方が,長期の遠距離航海には都合が良いという事です.
プロジェクト745は,1973年から1991年に掛けて22隻が就役し,現在では,以下の16隻が現役に留まっています.
<太平洋艦隊>
MB-37
MB-61
MB-76
MB-148
MB-25
MB-99
<北方艦隊>
MB-56
MB-100
MB-307
MB-110
MB-19
MB-28
<バルト艦隊>
MB-4
<黒海艦隊>
MB-31
MB-304
<カスピ小艦隊>
MB-58
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」,
2009/8/2(日) 午後 9:19
青文字:加筆改修部分
【質問】
救助曳航船「フォーチィ・クリロフ」級について教えられたし.
【回答】
同級は,フィンランドで2隻が建造され,2隻とも1989年に就役しました.
・「フォーチィ・クリロフ」Фотий Крылов
・「ニコライ・チケル」Николай Чикер
満載排水量:7,000t
全長:99m
幅:19.5m
速力:19.5ノット
乗員:50名
搭載機:ヘリコプター1機
同級は最大で計250,000トン,同時に4隻までの艦船を曳航できます.
この能力は世界最大です.
曳航用設備の他にも,深海作業用設備,消火設備,3個の病室を備えた万能救助船です.
Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
コメント欄
【質問】
プロジェクト714救助曳船について教えられたし.
【回答】
プロジェクト714救助曳船SB-36は,フィンランドで建造され,1982年に黒海艦隊へ編入されました.
[プロジェクト714救助曳船]
満載排水量2,600t
全長63.5m
幅14m
吃水5.1m,
ディーゼル1基,3,500馬力
速力15ノット,
航続距離6,000海里
乗員43名
救助関係の設備として,ウィンチ,フック,消火装置,引き揚げ設備を備えています.
SB-36は,バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイと共にソマリア沖へ派遣されています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/40890054.html
同船は非武装ですが,海軍歩兵が乗っています.
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2010/3/8(月) 午後 7:56
【質問】
救助船「コムーナ」について教えられたし.
【回答】
ロシア海軍救助船「コムーナ」
Спасательное Судно"Комунна"
は,今年(2008年)で艦齢93年の超々オールドタイマーです.
本艦は,カタマランcatamaranと呼ばれる双胴船です.
1911年に計画され,ドイツの双胴救助船「ヴルカン」をタイプシップとして設計されました.
1912年11月12日,サンクト・ペテルブルク市の「プチロフスキー・ザヴォート」
(Путиловском заводе,現セーヴェルナヤ・ヴェルフィ)で起工
1913年11月17日,進水
1915年3月1日,洋上テスト開始
1915年7月1日,海軍へ引渡し
1915年7月14日,軍艦旗掲揚,バルト艦隊配属
当初の船名はヴォルホフ(Волхов)でした.
当然,この時はロシア帝国海軍所属艦です.
第一次大戦時は,バルト海でサルベージ船として活躍し,潜水艦АГ-15などを引き揚げました.
ロシア革命後,ソ連海軍赤旗バルト艦隊に編入.
1922年12月31日,「コムーナ」と改名
1928年5月15日〜9月13日まで(1919年6月4日に)フィンランド湾で沈没したイギリス潜水艦L-55の引き揚げ作業に従事.
潜水艦は,1928年7月21日に深さ62メートルから海面へ上がりました.
1941年から始まった大祖国戦争でも,サルベージ船として活躍しました.
レニングラード防衛戦では,コムーナの乗組員23名が地上戦闘へ参加しました.
ドイツ空軍の空爆で幾度も損傷を受けたコムーナでしたが,乗組員は船の修理に努めました.
1942年には,コムーナの乗組員は,ほとんど入れ替わっていました.
食糧は欠乏し,乗組員は1日あたり300グラムのパンしか配給されないという有様でしたが,船を修理し,潜水艦Щ-411,曳船「アウストラ」,帆船「トルード」「ヴォドレイ2」,工船「プラウダ」などをサルベージしました.
1943年には,襲撃機Il-2,曳船「イワノヴォ」を引き揚げました.
1944年,コムーナは,14回に渡り,総計11,767トンの沈没物を引き揚げ,34隻の船を救助しました.
同年,コムーナは,「レニングラード防衛功労賞」を授与されました.
1954年,「コムーナ」はオーバーホールを実施.
オランダ製ディーゼルエンジンを国産の物に換装しました.
1956年11月,潜水艦M-200を深さ45メートルから引き揚げ.
1959年8月,潜水艦M-256(1957年9月沈没)を深さ73メートルから引き揚げ.
1967年,「コムーナ」は黒海沿岸セヴァストーポリに回航され,近代化改装を実施.
この改装工事で,「コムーナ」は深海救助艇を搭載・運用出来るようになりました.
1973年4月27日,改装は終了しました.
「コムーナ」には,プロジェクト1832(ポイスク-2型)深海救助艇AS-6が搭載されました.
1977年,「コムーナ」は,コーカサス地方沿岸で墜落したSu-24爆撃機を,1700メートルの深さから引き揚げました.
1979年11月,「コムーナ」は,再び近代化改装工事に入りました.
1984年,ソ連海軍は「コムーナ」をソ連邦科学アカデミーへ譲渡する為,乗組員を解散させました.
しかし結局,科学アカデミーへの譲渡は取りやめとなり,
1985年4月,「コムーナ」は,海軍へ復帰しました.
1991年12月,ソ連邦は解体され,本艦はロシア海軍艦艇となりました.
1997年,「黒海艦隊帰属問題」解決後,本艦はロシア海軍旗(聖アンドレイ旗)を掲げました.
ここまでは,他の黒海艦隊所属艦艇と同様ですが,本艦の場合は,ロシア革命以来,実に60年振りの聖アンドレイ旗掲揚でした.
ロシア帝国海軍,ソヴィエト連邦海軍,ロシア連邦海軍に所属した唯一の艦「コムーナ」は,今も,黒海艦隊所属艦として稼働状態に維持されています.
2007年撮影
faq39m00r.jpg
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Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/6/13(金) 午後 7:21
【質問】
救助船「イーゴリ・ベロウソフ」とは?
【回答】
プロジェクト21300救助船「イーゴリ・ベロウソフ」は,2005年10月24日にサンクトペテルブルク市の「アドミラルティ造船所」で起工されました.
[プロジェクト21300救助船]
満載排水量:5000t
全長:107.3m
幅:16m
速力:15ノット
航続距離:3000海里
独立行動日数:30日
乗員:97名
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【救助船「イーゴリ・ベロウソフ」は,2014年に海軍の編制へ加入する】
モスクワ,2月22日-ロシア通信社ノーボスチ
1隻目の救助船「イーゴリ・ベロウソフ」の,ロシア海軍の戦闘編制への加入時期は,2014年になる.
これは,深海潜水複合体の供給者の変更を決定したためである.
水曜日,ロシア連邦海軍参謀部の高位の代理人は,ロシア通信社ノーボスチに伝えた.
以前,同船の顧客への納入は,この複合体の開発の遅延の為,早くとも2015年に延期されると言われていた.
「同船の進水は2012年10月を予定しております.海軍の編制への加入は2014年です.
これは,アドミラルティ造船所で建造中の同船に,最新シリーズの深海潜水複合体DIVEXを採用する事が決定された為,可能となりました」
ロシア海軍の代理人は述べた.
彼によると,この深海複合体は,完全に海軍の必要条件を満たしており,ロシア企業「テチス対ミサイル防衛」は,艦への(複合体の)配置,専門技術者による試験,複合体の管理,専門教育を5年間保証する.
「近い内に,契約は締結される?ます」
代理人は述べた.
プロジェクト21300救助船「イーゴリ・ベロウソフ」は2005年に起工された.
同船の建設は,かなり遅延した.
救助船の工事が遅れた原因の大部分は,「ラズリート」社による深海潜水複合体(GVK-450)の開発が,不満足な結果だった事による.
開発者は,同船の納入時期を,早くとも2015年まで延期し,代金を1億3000万ルーブルに増額し,イタリアの企業に開発させる事を提案した.
ロシア国防省と統合造船業営団と「アドミラルティ造船所」は,同船を指定通りの2014年までに建造を完了させる事と,国家契約における総費用を増加しない事を,共同で決定した.
「これにより,ラズリート中央設計局の助力を拒否し,この問題に対処させない事と,イーゴリ・ベロウソフに配置される複合体は,イタリア企業製の深海複合体のみとする事が決定されました」
代理人は語った.
(2012年2月22日13時48分配信)
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今回,不採用が決定した『ラズリート中央設計局』の深海潜水複合体「GVK-450」
【深海潜水複合体GVK-450】
潜航深度500m,潜水士12名,60〜100名の潜水艦乗員を救助可能との事です.
ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2012/2/22(水) 午後 8:59
青文字:加筆改修部分
【質問】
エリブルス級救難艦って何?
【回答】
エリブルス Эльбрус Elbrus 級こと,計画537救難艦は,満載排水量2万トンという,世界最大の救難艦.
1番艦「エリブルス」は,ソ連海軍黒海艦隊において,1981年12月頃に就役した.
巨大な上部構造物と,後部ヘリコプター甲板を持ち,「跳ね橋」式の扉を介して,格納庫と接続されている.
ヘリはKa-25 ホーモンCを1機搭載.
また,舷側から潜水艇を釣り降ろすガントリー・クレーン装置が,中央部にある.
DSRVは2隻搭載.
さらに,多くの係船・潜水支援・消火設備を装備しており,遠方での長期行動を可能としている.
平時には非武装だが,多連装30mm ガトリング・ガンの砲座が設置されている.
【参考ページ】
http://www.globalsecurity.org/military/world/ukraine/elbrus.htm
http://russian-ships.info/eng/rescue/project_537.htm
『ソ連海軍事典』(原書房),p.365-366
【ぐんじさんぎょう】,2012/05/03 20:40
を加筆改修
ロシア太平洋艦隊所属の救助船「アラゲズ」は,深海潜水救難艇を搭載するエリブルス型救助船2番船です.
救助船「アラゲズ」(2011年12月30日,ウラジオストク金角湾で撮影)
2009年11月6日に起こった,ロシア海軍航空隊の哨戒機Tu-142MZの墜落事故では,捜索活動の為,出動しました.
[Tu-142墜落事故]
この時には,バチスカーフAS-30を搭載していました.
[ロシア/ソ連のバチスカーフ(深海潜水艇)と幻(妄想)の海底戦車]
2011年9月9日に宗谷海峡を東航し,カムチャツカ方面へ向かいました.
【ロシア海軍艦艇の動向(2011年9月10日発表)】
http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2011/press_pdf/p20110910.pdf
その後,ウラジオストクへ戻りました.
上記の9月9日に宗谷海峡を東航したロシア海軍艦艇群のほとんどは,9月28日に宗谷海峡を西航したのですが,この時,「アラゲズ」の姿は有りませんでした.
【ロシア海軍艦艇の動向(2011年9月29日発表)】
http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2011/press_pdf/p20110929_03.pdf
「アラゲズ」は,その前後あたりに単独で宗谷海峡を通過したか,或いは,タタール海峡(沿海地方とサハリンの間)経由でウラジオストクへ戻ったのでしょう.
ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2012/2/5(日) 午後 2:42
青文字:加筆改修部分
【質問】
救難艦「ルドゥニツキイ Mikhail Rudnitskiy」級ってどんなの?
【回答】
貨物船「ピオネール・モスクヴィ」級を改装したサルベージ作業用の艦で,救難艦としての同型艦は他に2隻あるが,調査船として改装された4番艦が存在.
しかし「ピオネール・モスクヴィ」級自体には商船と海軍用とで合計27隻の同型船がある上に,東ドイツにも2隻が引き渡されている.
さらにこの貨物船も,コンテナ船「セストロレック」級のヴァリエーションだというからややこしい.
大型キング・ポスト2基,40tブーム,20tブーム各2本を備え,深海潜航艇を1隻搭載している.
本級の艦名は全て,潜水艇開発の先駆者の名前に因んでいる.
【参照ページ】
『ソ連海軍事典』(原書房),p.367
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/40464310.html(写真も)
http://www.hazegray.org/worldnav/russia/aux_flt.htm
http://warfare.ru/?lang=&catid=302&linkid=2157&linkname=05360*-salvage-submersible-support
【ぐんじさんぎょう】,2009/12/08 23:00
に加筆
「ルドゥニツキー級」は,プロジェクト05360救助船です.
http://warfare.ru/?lang=&catid=302&linkid=2157&linkname=05360*-salvage-submersible-support
太平洋艦隊には2隻(ゲオルギー・コズミン,サヤニィ)が所属しています.
ゲオルギー・コズミンは,昨年4月に改装を終えて現役復帰した深海潜水艇AS-28を搭載しています.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/31210552.html
もう1隻のサヤニィは,深海潜水艇AS-30を搭載していましたが,同艇は最近,救助船「アラゲズ」(エルブラス級潜水艦救難艦)に移されました.
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/40337372.html
従って現在,サヤニィには深海潜水艇が無い状態の筈です.
アラゲズは,『世界の艦船』2004年6月号に,ウラジオストクで修理中の写真が掲載されています.
http://www.ships-net.co.jp/detl/200406/066-067.html
この時,同艦には,プロジェクト1832深海潜水艇(おそらくAS-27)が搭載されていましたが,現在は,AS-30を搭載しています.
AS-27は修理中に降ろされたようです.
つまり,AS-27は搭載艦が無い状態という事になり,サヤニィを沿海州に回航してオーバーホールするついでに,AS-27を載せるのではないでしょうか.
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2009/11/30(月) 午後 9:01
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