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◆◆◆艦艇メカニズム
<◆◆装備
<◆ロシア海軍FAQ目次
ロシアFAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

株式会社「海軍ラジオエレクトロニクス科学研究所"アルタイル"」

「広島大学学術情報リポジトリ」◆(2002) 旧ソ連邦における舶用原子力機関開発の最初期とその問題点[pdf]
「Togetter」◆(2011/07/10) 「旧ソ連邦における舶用原子力機関開発の最初期とその問題点」について

新「六課」◆(2012/04/27)ロシア海軍艦艇はNATOの航海・通信システムを装備する

新「六課」◆(2012/04/29)ロシア海軍水上艦の共通プラットフォームが開発される

「六課」ACS◆(2013/08/25) ロシアは新たな電波吸収材を開発した

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/6/20)  ロシアは艦艇用ガスタービンの製造を全面的に国内へと切り替える

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/7/14) ロシアのサトゥルン社は2017年までにウクライナ製ガスタービンを完全に代替する

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/7/20) ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される


 【質問】
 ロシア艦艇の茶色の部分は,リノリウム的な床材を貼っているんでしょうか?

 【回答】
 ただ単に,「リノリウム的な」ブラウンに「塗装」してあるだけ.

 参考までに,分かりやすい写真

キーロフ級フルンゼ
キーロフ級カリーニン
(こちらより引用)

 フォルト(SA-N-6)SAMやグラニート(SS-N-19)SSMのVLSハッチにまで「リノリウム的な床材」を「貼っている」わけは無いので・・・
(同級4番艦ピョートル・ヴェリキーでは,VLSハッチ部分はグレー塗装になっているけど)

シア・クァンファ(夏光華) ◆23wgJy2eAo :軍事板,2006/04/30(日)
Xià Guāng-huá ◆23wgJy2eAo : "2 csatornás" katonai BBS, 2006/04/30 (vasárnap)

青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész


 【質問】
 ソブレメンヌイ級駆逐艦等,ロシア艦の蒸気タービン主機の信頼性が低いというのは本当ですか?

 【回答】
 ぶっちゃけ,ありえな~い(^^;

 「ロシアの空母」の蒸気タービンの「信頼性」云々は,キエフ級を指しているんだろうけど,同級は現役にある時には,停泊中も機関を回し続けていたそうなので,それが老朽化を早めたものと思われる.
 さらに,同級が配備された北方艦隊と太平洋艦隊は,回航直前に外国から巨大浮きドックを購入したくらいだから,メンテナンス体制も充分とは言えない.
 そもそも,そんなに信頼性の低いエンジンなら,回航するコトすら出来ないっしょ?(笑)
(黒海沿岸から,ウラジオストクまで何キロ有ると思っているの?)

 ソブレメンヌイ級駆逐艦の蒸気タービンの信頼性の低さ云々だけど,同級は14年間に渡って17隻がロシア海軍向けに建造され,中国に2隻輸出,さらに2隻追加発注.
 この間,主機は同じ.
 いくら何でも,「信頼性の低い」機関を搭載した艦を,これだけ長期間に渡って大量建造するでしょーかね?(ちなみに同級は,当初の計画では28隻くらい建造する予定だったらしい)
 ましてや「信頼性の低い蒸気タービン」を搭載するフネを友好国に売るなんて,ぶっちゃけ,ありえな~い(^^;

 旧ソ連は,蒸気タービン機関搭載の水上戦闘艦は,レニングラード(現サンクトペテルブルク)のジュダーノフ造船所が独占建造していた.
 ソブレメンヌイ級も,その前のクレスタ型も,その前のキンダ型も,全て同所で一括建造された.
 搭載する蒸気タービン機関も,同所で製造されていた.
 これだけ蒸気タービン機関に関して豊富な製造(建造)実績を持つ工場が,いまさら「信頼性の低い」機関を作るなんて考えられないっしょ?

 確かにソブレメンヌイ級は最近は活動が不活発だが,これは,ただ単に,ソ連崩壊後の財政難や人手不足で,(ガスタービンよりも)維持整備に多大な手間と費用と人手が掛かり,構造も複雑で扱いの難しい蒸気タービン搭載艦を多数維持していくのは困難だからだと思われる.
(周知のように,アメリカなどでは,水上戦闘艦はガスタービンが主流になっているし,旧ソ連も,ガスタービン機関の導入は早かった)

 ちなみに,西側の資料では,同級は5隻現役というコトになっているが,ロシア海軍においては,11隻が現役に留まっている.
 西側の資料の「5隻現役」にしたって,数年前までは4隻だったのに,
「最近,退役した事になっていたブイストルイ(ビストリ)が,海自との共同演習に出てきたので1隻増えた」
という具合に,非常にいい加減なモノだ.

 ついでに書くと,ソブレメンヌイ級駆逐艦の蒸気タービンの信頼性の低さ云々の話が出てきたのは,今世紀に入ってからで,最初に言い出したのは,アメリカの軍事誌あたりのようだ.
 それを日本人が何も考えないで鵜呑みにしているだけ.
 アメリカ人は,ロシア・ソ連のモノは何でもかんでもダメと決め付ける傾向が有るので,その点を考慮する必要が有るんじゃないかな.
(とは言っても,それを鵜呑みにするヤツの何と多いことか・・・とりあえず,脳味噌使えよ・・・)

(夏光華(シア・クァンファ) in FAQ BBS)


 【珍説】
 現代のロシア艦が日米のものに比べて船体が高い(喫水線が長い)のは,ロシア(ソビエト)艦は荒天航行を求められる事が多いため.そのためには乾舷が高いほうが良い.
 ただ,甲板上にやたらと武装を並べるロシア(ソビエト)式の設計は,重心が高くなりがちで,実のところ荒天航行は苦手,というのが実情.
 まぁ,とどのつまりは艦艇設計がこなれていないということかと・・・.

 【事実】
 やれやれ,またイメージだけで書いているヤツが居るナ(笑)

 この動画の後半のソヴレメンヌイ級(ベスストラーシュヌイ)は「荒天航行」しているが・・・
http://www.fyjs.cn/bbs/attachment/Type_wmv/2005-10-21-USSR-fleet.wmv
 「苦手」だったら,こんなコトは出来ないのでは?

 ロシア(ソ連)艦艇は,どこの海で作戦すると思っているのか?
 「荒天航行が苦手」じゃ,北方艦隊や太平洋艦隊で使い物にならないでしょ(笑)
 太平洋艦隊が創設されてから150年以上,北方小艦隊が北方艦隊に格上げされてから70年近く経っているんだよ.

 「自国の沿岸でアメリカの空母機動部隊を迎撃」ってのは,あくまでも戦時の話であって,ソ連艦艇が長期の外洋航海を考慮していない,という意味ではない.
 アメリカとかに比べれば少ないが,平時には外洋に展開するコトも有るし.
 東西冷戦時代,ソ連海軍は,米ポラリス戦略原潜を監視するため,インド洋に展開していた事も有ったじゃないか.
 もっとも,米海軍には
「ポラリス原潜目当てのインド洋展開なんてナンセンス.
 我々はアンナ遠いトコロになんか(ポラリス原潜は)派遣していないよ」
と笑われたそうだが(笑)

>艦艇設計がこなれていないということか

 そりゃ,アメリカとか海自とかと比べれば,そう思えるんだろうがね(笑)
 むしろ,キミが「ロシア軍艦について語るのに"こなれていない"」と言ったほうが宜しいかと(笑)

 確かにロシアというか旧ソ連のミサイルはデカイし,重武装の傾向に有るが,旧日本海軍のように,なるべくコンパクトな船体に重武装,というのとはちょっと違う.
 武器がデカクなったら,それに比例してドンガラの方もデカクなっているわけでね.
(別に条約で排水量が制限されているわけじゃないし)
 水上艦艇では無いが,1970年代にコンパクトな原潜アルファ型を設計した人は
「軍の方針(米艦隊に対抗すべく,大型の武器を搭載した大型艦を造る)に逆らった」
などという理不尽な理由で失脚しているくらいだからね(笑)

 それに旧ソ連海軍は,対空兵装はどのタイプも充実していたが,対艦ミサイルだけ搭載とか対潜ミサイルだけ搭載,といった「単能艦」が多かったからね.「一つの器に,あれもこれも盛り付けた」というのとは,ちょっと違うんだよね.
 むろん,ミサイルがデカかったから,そうなったわけだが.
 キーロフ級は珍しく「万能艦」だけど,昔の戦艦並にデカくなっちゃったし.1隻のフネにSSMとSUM同時搭載は,533mm魚雷発射管から撃ち出せる対潜ミサイル「ヴォドパート」実用化まで待たなければならなかった.

 ちなみに,あまり知られていないけど,ソ連の軍艦って,意外と「居住性重視」なんだよね.
 モスクワ級ヘリ巡洋艦なんか,就役後,
「居住性が悪いぞ,ゴルァ!」
という声が多かったので,兵装を一部取っ払って居住区を拡げたくらいさ.
 居住性のために兵装を撤去するなんて,旧日本海軍じゃ有り得ないよね(笑)

 ついでに書くと,ソ連艦艇も,対艦ミサイルはともかく,一部のVLSでは,洋上でミサイルを補給し再装填する設計にはなっている.実際にやれるかどうかはともかくとしてね.
 更に付け加えると,ハープーンやエグゾセとかだって,再装填出来ないでしょ.
 再装填可能な対艦ミサイル搭載艦って,実のところ,
「空母に一撃で大損害を与えられる長射程大威力の対艦ミサイル」
を搭載したキンダ型とキエフ級(1~3番艦)だけなんだよね(笑)

シア・クァンファ(夏光華) ◆BFSytpS.uc :軍事板,2006/01/12(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ロシア艦は調度品に木材を使っている,と聞きましたが,それはまだ続いてるのでしょうか?

 【回答】
 今でも木材は使われていると思われます.「鉄ばかりでは,住み心地が悪くなる」んだそうです(笑)
 ロシア(ソ連)の軍艦に舷窓が有るのは,冷房設備がイマイチだから,などという俗説が東西冷戦時代には流布されていたものですが,実際にソ連軍艦に乗った人の話では,冷房設備は悪くは無かったそうです.
 これも,「住み心地が悪くなるから」と言った理由のようです(笑)
 ロシア・ソ連にも,舷窓を全廃した艦は有りましたが,必ずと言って良い程,「居住性が悪い」と言われてしまいました.

 そう言えばソ連原潜には,東芝製のエアコンが標準装備されていたようです(笑)
 当初はソ連製のエアコンを装備していたのですが,赤道直下まで航行したら全然エアコンが効かなかったので,ゴルシコフ総司令官は外国製のエアコンを購入するように命令.
 で,ソ連の貿易公社は日本の東芝製エアコンを大量に輸入し,それが海軍の原潜に装備されたんだそうです.

シア・クァンファ(夏光華) in mixi


 【質問】
 「フレガート」レーダーについて教えられたし.

 【回答】
 1番艦から最終艦まで外見が変わっていないように見えるソブレメンヌイ級ですが,よくよく見ると,艦橋頂上部のレーダーに違いが有ります.

 ソブレメンヌイ級のレーダーは,以下のように変遷しております.

<1,2,3番艦(ソヴレメンヌイ,オチャヤンヌイ,オトリーチヌイ)>
フレガート(トップスティアTop Steer)

<4,5番艦(オスモトリーチェリヌイ,ベズプレチュヌイ)>
フレガートM(プレートスティアPlate Steer)

<6番艦(ボエヴォイ)以降>
フレガートMA(トッププレートTop Plate)3次元レーダー

 写真を御覧頂ければお分かりの通り,4,5番艦の「フレガートM」は,「フレガート」と「フレガートMA」の過渡期のレーダーであり,両者を足して二で割ったような外観をしています.

 「フレガート」シリーズは,駆逐艦クラスの艦艇ではメインの対空/対水上捜索用レーダーとして使われています.
(大型巡洋艦では,補助レーダーになっていますが)
 「フレガート」は,対空目標の最大探知距離400km,対水上目標の最大探知距離40kmとなっております.

 3次元レーダー「フレガートMA」では,対空目標の最大探知距離300km,海面上の目標の最大探知距離は30kmですが,海面を這うように飛翔するシースキマー対艦ミサイルのような小型空中目標の探知も可能になりました.

 「フレガートMA」は改良されながら現在も使われており,「フレガートMAE」「フレガートMAE-2」「フレガートMAE-3」「フレガートMAE-5」といった派生型が存在します.
 出力が強化された「フレガートMAE-5」では,海面上目標の最大探知距離が50kmになっています.
 「フレガートMAE」は,西側コード名「ハーフプレートHalf Plate」と呼ばれ,フレガートMAの簡易型です.
 四角のアンテナは1枚のみとなっております.

Морские Силы~ロシア・ソ連海軍~
2007/5/6(日) 午前 11:33


 【質問】
 「ポドベレゾヴィク」レーダーについて教えられたし.

 【回答】
 カーラ型ミサイル巡洋艦「ケルチ」が搭載する大型3次元レーダーMR-700「ポドベレゾヴィク」 (МР-700"Подберезовик")は,ソ連海軍の大型巡洋艦(キーロフ級やスラヴァ級など)に搭載されている大型対空捜索レーダーMR-600「ヴォスホート」(トップセイルTop Sail)の後継として開発されました.

 1980年代前半に開発され,1980年代中期に「ケルチ」へ搭載.
 1987年から黒海で海上テストが開始されました.
 このレーダーは,西側では「フラット・スクリーン」Flat-Screenというコード名を付けられました.

 「ポドベレゾヴィク」は,クズネツォフ級2番艦「ワリャーグ」以降のソ連空母へ搭載が予定されていましたが,テスト中にソ連邦解体,搭載予定の艦が全て建造中止された為,宙に浮いてしまいました.

 「ポドベレゾヴィク」の最大探知距離は,
対空目標で500km,
海面上目標(シースキマー対艦ミサイルを含む)で75km
最大探知高度は40kmです.

 試作止まりで終わるかに見えた「ポドベレゾヴィク」でしたが,2004年にインドへ売却された航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」への装備が決まり,ようやく日の目を見る事になりました.

faq39m02l.jpgへのリンク
faq39m02l01b.jpgへのリンク

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ~ロシア・ソ連海軍~
2008/1/22(火) 午後 10:33


 【質問】
 
マルス・パッサート(スカイ・ウォッチ) とは?

 【回答】

 クズネツォフの特徴の一つとして,かなり大型のアイランドが挙げられますが,
 そのアイランド大型化の最大要因と思われるのが,旧ソ連海軍初の本格的な艦載捜索用フェイズドアレイレーダー「マルス・パッサート」(西側コード名「スカイ・ウォッチ」)でしょう.
(対空捜索用という事で無ければ,1980年に実用化された長距離艦対空ミサイル「フォルト」の管制用レーダー「ヴォルナ」も,フェイズドアレイ型アンテナを採用しておりますが)
 アイランドの4面に貼られた,正方形のフェイズドアレイ型アンテナを有する,多用途捜索レーダーです.


 「マルス・パッサート」はもともとは,1970年代中期に計画された原子力空母プロジェクト1153に装備する予定で,開発がスタートしましたが,1153計画が中止された為,1987年に就役したキエフ級航空巡洋艦4番艦「バクー」に初めて搭載されました.
 アメリカ海軍のフェイズドアレイレーダーSPY-1に遅れること4年でした.
 バクーは1987年から約1年ほど,黒海で洋上テストを行ってから北方艦隊に配属されました.
 その後,クズネツォフにも全く同一のレーダーが搭載されましたが,ソ連邦解体に伴い,このレーダーの開発は中止され,これ以上の発展を見ることは有りませんでした.
 ソ連邦解体以前から,財政難で各種新型機器の開発予算が軒並みカットされるような状況下では,新型フェイズドアレイレーダーの為の予算など貰える筈も有りませんでした.

 「マルス・パッサート」に関して良く言われるのが,このレーダーは「失敗作」「欠陥品」であるという説です.
 かの有名な「WarBird」より.
http://www.warbirds.jp/ansqn/logs/B001/B0002863.html
「既に1990年代極く初期の段階において,バクーとクズネツォフが搭載したスカイ・ウォッチは,その運用実績で性能不良と判定されたため,クズネツォフ級二番艦ワリヤグは同レーダーを搭載せずに,旧来のレーダー装備となる予定とされて艦橋の形状を改めたという事実があるので,謀略の可能性は無いかと思われまする.
 なお,現在クズネツォフのスカイ・ウォッチは使用不能状態にあると伝えられています(因みにクズネツォフ用のスカイ・ウォッチは製造した事は確かだが,実は同艦は同レーダーを搭載しなかったかも知れない,という説が結構前からあります).」

 「WarBird」上記ページでも取り上げられている「HazeGray」より.
http://www.hazegray.org/worldnav/russia/surface.htm#cv
"The Mars-Passat/Sky Watch phased array air search radars were a failure and are believed to be inoperable."
(「マルス・パッサート/スカイウォッチ」フェイズドアレイ対空捜索レーダーは失敗作であり,使い物にならないと信じられている)
↑ま,アメ公は,ロシア・ソ連のモノは何でもかんでもダメと決め付けるしか脳が無いからね(笑)

 『希少資料艦艇研究所』というサイト
http://www.h3.dion.ne.jp/~okumoto/page019.htmlでも
「2番艦リガも搭載を止めたぐらいですので失敗作だったのでしょう.」
などと短絡的に決め付けておりますが・・・・(笑)

 このクズネツォフ級2番艦(ワリャーグ)は,1番艦の「プロジェクト11435」に対し,「プロジェクト"11436"」として改設計されたタイプで,確かに「マルス・パッサート」を搭載する予定は有りませんでした.
 ソ連(ロシア)において,プロジェクトナンバーが変更されるという事は,起工前の段階で設計が改められている事を意味する.
 同艦が起工されたのは1985年12月なので,当然,それより前に,違うレーダーを搭載する前提で,「艦橋の形状を改めた」設計になっているわけでしてね.

 ちなみに,「マルス・パッサート」の洋上テストが開始されたのは,その2年後の1987年.
 1985年以前の時点で,「マルス・パッサート」が「運用実績で性能不良」などと分かるはずも無いでしょう.
 それとも,11436の設計主任には,予知能力でも有ったんですか?(^^;

 それに,初めて「マルス・パッサート」を搭載した航空巡洋艦バクーは,上でも書いたように,1987年に就役した後も,約一年間黒海で洋上テストを行っていたんですがね.
(何せ,ソ連邦海軍初の本格的な艦載フェイズドアレイレーダーだけに,「初期不良」は有ったようです)
 「マルス・パッサート」が本当に「性能不良」なら,1988年の「段階」で「性能不良と判定」されているんじゃないの?(^^;
 「1990年代極く初期の段階」まで待つまでもなく,ね(笑)

 その「2番艦」に搭載される予定のレーダーは,「旧来」どころか新開発の「フォルム2M」でした.
 こう書くと,
「そらみろ,やはりマルス・パッサートは欠陥が有ったから新型のレーダーを搭載したのだ」
などと抜かす単細胞が居るかもしれないが,上記の理由(マルス・パッサートのテスト開始前に新レーダー装備予定で改設計されている)により,それは正しくない.

 「マルス・パッサート」が4面アンテナなのに対し,「フォルム2M」は2面アンテナ.
 当然,レーダー自体も,「フォルム2M」の方がコンパクトになっているようです.
 この点だけを見ても,「フォルム2M」が能力面で,「マルス・パッサート」より優れているとは考えられない.
 おそらく「フォルム2M」は,「マルス・パッサート」の簡易版といった所ではないでしょうか.
 アメリカで言えば,イージス巡洋艦に搭載されているSPY-1Bと,簡易版でフリゲートに搭載されているSPY-1Fの関係に近いかもしれません.
 「フォルム2M」がクズネツォフ級2番艦に搭載される事になったのは,ただ単に,この新型レーダーを装備してテストを行う艦として,サイズが大きく搭載余力の大きな同艦が選ばれただけではないでしょうか.

 1990年代後半,クズネツォフは,レーダーなどの電子機器が共通の,改キエフ級航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ(旧バクー)」のパーツを「共食い」して,各レーダーを維持しておりました.
 当時のロシア海軍において,クズネツォフとゴルシコフにしか搭載されていない電子機器類が有った為です.
 当然,その中には「マルス・パッサート」も含まれます.

 これを表面上だけ見れば,パーツを共食いするくらいなので,予備パーツの不足に悩まされているのは確かな事であり,そのような有様では,当然,レーダー自体もマトモに稼動させられるような状況では有りませんから,「運用実績は悪い」「使い物にならない」と言えなくも無いでしょうがね.

 ましてや,ソ連邦解体から10数年が経過し,アドミラル・ゴルシコフもインドに売却されたとあっては,予備パーツも尽きていると推測され,「使用不可能」になっていても不思議では無いだろうけど.

 とかく,ロシア・ソ連のモノは何でもかんでも,「欠陥品」とアタマから決め付けるヤツが多いよね(笑)

 その後,ロシアのフェイズドアレイレーダーの開発は停滞したかに見えますが,2006年2月に起工されたロシア海軍の新型フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は,アイランド4面に,新開発のフェイズドアレイレーダーが装備されます.

 この他,中華人民共和国海軍の新型駆逐艦「蘭州」級(052C型)のアイランドにも,4面のフェイズドアレイレーダーが装備されています.
 こちらは,ウクライナと共同開発したなどと言われておりますが,旧ソ連の「マルス・パッサート」搭載艦が,いずれもウクライナで建造されており,黒海でテストされているところからも,同国には,「マルス・パッサート」の開発データが残されていると見るべきであり,それを参考にした可能性は高いでしょう.

クズネツォフのアイランド

改キエフ級「バクー」のアイランド

中国海軍「蘭州」級のフェイズドアレイレーダー

ロシア・ソ連海軍,2006/12/14(木) 午後 11:46
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ロシア海軍の,ジャイロコンパス更新計画について教えられたし.

 【回答】
【ロシア海軍艦艇は,2018年までに最新のジャイロコンパスを受領する】
モスクワ,1月16日-ロシア通信社ノーボスチ
によれば,ロシア海軍の艦艇2018年まで,最新レベルの航行の安全を提供する新たなジャイロコンパスへ移行する,という計画.
 2012.1.16,ロシア連邦国防省・海軍報道・情報サービス管理部代表によって発表された.
 管理部代表によると,このプログラムは,ソ連邦時代に開発された既存の「クルス」型ジャイロコンパスを,光学ファイバージャイロスコープに基づいた機能を有する新たな進路指示システムと交換するもの.
 作業は,国家科学研究所と航路・水路研究所が共同で実施している.

 新機器購入は2013年に開始され,艦艇での予備試験を終えたのち,今年後半には海軍に正式採用される予定だという.

「六課」◆(2012/01/18)
青文字:加筆改修部分


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