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反乱者

(うそ)


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「KINBRICKS NOW」■(2013/05/06) 農村学生に無料で辞書を提供,中国のステキな政策とそれを食い物にする輩たち

「Lung-ta Project」◆(2013/06/09) 下校したら自宅は壊されてなくなり家族は拘束され行方不明になっていた子ども5人が「无家可帰(帰る家がない)」とプラカードを掲げ村の建設管理委員会の前で座り込み抗議(7日午前)

「VOR」◆(2012/12/08)中国人数千人 中越国境の町で警官隊を攻撃
> AFP通信によると中越国境の町ドゥンスィンで金曜,密輸容疑者の乗ったオートバイにパトカーが追突し,警官らが容疑者を乱暴に扱った事から地元住民と警官らとの間で衝突が発生.
> 衝突の規模について当局側は,数千人が警察の対応に抗議したが秩序を乱す行動に出たのは極一部で,警察官5人が軽傷を負い,車9台が損傷した,と発表.
> これに対して香港に本拠を置く人権及び民主主義擁護センターは,一万人以上が暴徒化して警察や税関の車20台以上を破壊・放火,死傷者数は数百人に達している,と伝えている.

「WP」◆(2010/12/24)China sentences Uighur to life for reporting riots

「アジアニュースまとめ」◆(2013/05/05) 【人民日報】陝西省南部で240万人が自主的に移住,中国政府が貧困の根を絶つ

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2013/04/15) 中国で農民に一揆を起こされた!!

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/05/10) 盲目の活動家・陳光誠事件の真実 農村部でなお続く人権侵害の実態

「大陸浪人のススメ」:広東省農民「オラの村が隣の村と戦争をはじめるらしいんだが…」

「大陸浪人のススメ」:福建省南部で環境問題,一揆発生.決起理由がインターネットで拡散

「 大陸浪人のススメ」◆(2011/02/22)まだまだ時期尚早? 中国「ジャスミン革命」についての色々


 【質問】
 中国における暴動発生状況は?

 【回答】
 この10月だけでも全土で705件の暴動が公式に記録され、合計200万人以上の農民、少数民族が参加している事実が共産党の「内部通達」(中国社会治安総合管理委員会)で明らかになっている。

 なかでも抗議側、警察側に死傷者のでたケースが82件、政府ビルなどが破壊されたケースが26件、暴動全体で320人が死傷した。

 ソースは『月刊中国』、2月1日号.

 また,別の報道によれば,暴動を含む住民の集団抗議行動は,昨年だけで8万7000件に達したという.
 以下引用.

中国,失地農民4000万人突然の略奪,揚げ句…犯罪者扱い

 中国では開発に伴う農地収用で土地を失った農民は4000万人に上るといわれ,土地問題を主な原因とする農民の暴動を含む住民の集団抗議行動は,昨年だけで8万7000件に達した.
 5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で温家宝首相は社会のひずみを是正,発展から取り残された農民ら弱者を救済する方針を強調した.
 しかし,実際に土地を奪われた農民には,救いの手はほとんど届かず,不満は高まるばかりだ.(北京 野口東秀)

産経朝刊 2006/03/07/08:26

 2日の時事電によれば,シナの各地方で頻発している中共幹部の腐敗,公安の横暴,土地の強制収容などに抗議するため,中共政権がある北京に直訴に来た人々が,4月後半以降,中南海(日本でいう永田町+霞ヶ関のようなところ),天安門広場,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などに押し寄せているとのことです.
 警察はこの種の直訴に対する取締りを強化し,連日数百名という単位での拘束が行なわれているようです.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)5月8日

機動隊


 【質問】
 なぜ農民反乱が中国では発生し易いのか?

 【回答】
 読売新聞中国総局長,藤野彰によれば,以下のように説明されている.

 中国は経済発展が目覚しいとは言っても,依然として農業国だ.13億の人口の内,農村人口は9億(70%)を占め,農業従事者は産業総人口の半数に達する.
 しかし,都市部や沿海部が高度成長の恩恵を蒙り,どんどん豊かになって行く一方,農村部,とりわけ内陸の農村は発展から大きく取り残され,経済・文化・教育・医療など,あらゆる面で都市との格差が拡大している.
 2004年の都市住民一人の平均年収は9422元(約12万2500円).
 これに対し,農村住民は3分の1の2936元(約3万8200円)しかない.家が貧しいため,小学校にも満足に通えない子供は珍しくない.

 しかも,今の中国の「豊かさ」は,ある意味で,政治権力や経済力を持つ官僚・企業家が「三農〔農業・農村・農民〕」から収奪することによって成り立っている.
 農民から雀の涙の補償金で農地を強制収用し,工業開発区を作って経済建設の実績を上げようとする地方指導者.
 開発業者と結託し,職権を濫用して,様々な便宜を図る見返りに,多額の賄賂を懐に入れる悪徳官僚達.
 利益追求を第一に考え,環境汚染で農地や農民の生活を破壊しても恥じることのない企業家と,そうした行為を黙認・助長する当局者.
 これらの状況からは,虐げられた農民達の悲惨な犠牲の上に築かれた「虚ろな繁栄」の構造が浮かび上がってくる※2

〔略〕

 ここで注目しなければならないのは,深刻な権利侵害事件が起きた場合は司法によって解決するという,民主主義国家であれば常識とも言える手段が,中国(特に農村部)では選択されることが少ないということだ
 「人治」が幅を利かす国家体制の下で,司法や裁判の何たるかを知る農民は非常に少ないし,そもそも信頼に足るものなのかという不信感がある.
 実際,中国は「三権分立」を認めておらず,検察も裁判所も共産党の指導下にある.
 農民達にとっては事実上,実力行使こそが最後に残された異議申立ての手段となっている.

 このため,農民達の不満を解消する,公正で実効的な施策が徹底されない限り,暴動や騒乱が下火に向かう事はない.

(from 「中央公論」, 2005/7, P.37-39)

 以下の具体例などは,「悲惨」の一言に尽きる.

 始まりは1997年秋だった.山西省臨汾市の村に住む楊如梅さん(45)の土地に突然,10人ほどの男がトラクターで乗りつけ,農地を徹底的に踏みつぶした.
 夫婦でやめさせようとしたが,髪をつかまれ殴られた.
「村幹部が加わっていた.警察官2人も見ているだけ.私は農地の写真を撮るしかなかった」
 楊さん夫婦の農地は0・3ヘクタール.白菜,トウモロコシなどを栽培.小麦の生産は年350キロ,羊も放牧するなど食糧以外に年間6,7000元(1元約14・5円)の現金収入があり,そこそこの暮らしだった.
 それが突然,村から土地の明け渡しを要求された.最初に襲われたのはその直後だった.村の幹部に掛け合ったが,十分な補償も得られないため,裁判に訴えた.
 ところが判決を待っていた2003年6月21日.楊さんの家の畑は再び襲われた.
 8月には鉄パイプを持った男たちが自宅に押しかけ,子供2人も殴られた.
 しばらくすると,今度は4人の男たちが無断で楊さんの農地を耕していた.
 やめさせようとしたが,男たちは楊さんを殴り,言い放った.
「土地はおまえらのものじゃない」
 03年12月に出た判決は,
「村民委員会は13万7000元余を賠償せよ」
と楊さんの訴えを認めたが,いまだ1元も支払われていない.
 楊さんは山西省や臨汾市政府などへ「直訴」を始めた.
 ところが04年8月,自宅に公安当局者が来て拘束された.公安当局者は
「あの農地を村に渡していたら罪には問われることはないんだ」
と言ったという.
 「地元じゃ解決できない」と思った楊さんは,同年10月末から北京に出た.
 高架下や駅で野宿し,政府機関を陳情して回った.
 拘束されては地元に送り返され,05年1月,ついに詐欺容疑で逮捕された.
 親戚(しんせき)を通じ,裁判で認められた13万7000元を放棄し,直訴をやめれば罪は問わないと言われたが,結局詐欺罪で有罪となり,懲役1年,執行猶予1年の判決を受け,控訴した.
 その後,再び北京に出て直訴を再開.貯金も底を突き,借金は3万元以上に膨れあがった.
 訴えもむなしく11月の2審判決では懲役1年,執行猶予1年,罰金2000元を言い渡された.
 今年の元日,天安門広場の国旗を前に,「冤罪(えんざい)だ!」と大声で叫んだ.
 3度叫んだとき,駆けつけた警察官に拘束された.「社会秩序を乱した」として10日間拘留された.
 故郷の二男は,山西省太原市の経済管理幹部学院に合格したが,入学金もなく入学できなかった.
「土地も奪われ,金ももらえない.犯罪者として罪にも問われた.家があっても帰れない」
と嘆いた.

野口東秀 from 産経朝刊 2006/03/07/08:26

 朝日新聞でも,類似内容の報道がされている.

環境汚染に抗議,衝突 中国沿海部,急成長のツケ

 〔略〕

●負傷者多数
 上海から約180キロ離れた浙江省湖州市長興県煤山鎮.8月中旬,地元の電池工場から排出された鉛の大気汚染に抗議する千人以上の住民が,1週間にわたって工場の出入り口を封鎖し,工場閉鎖と患者への治療を求めた.
 20日には,れんがや石を持った住民が約600人の警官隊と衝突する事態になった.
 目撃者によると,住民の一部が工場に火をつけたほか,警察車両4台を燃やした.
 警官隊も催涙弾を発砲するなどしたが,双方に50人以上の負傷者が出た模様だ.

 鉛の汚染の被害は周辺10カ村に広がり,特に子どもの健康被害が顕著だという.
 4月に被害が発覚後,地元当局が住民への検査を実施.
 住民の話では,工場に最も近い人口約900人の村で,16歳以下の9割にのぼる130人が,血液中の鉛の含有率が通常より高かった.
 記憶力が鈍るなどの被害があり,子どもを地元の学校から転校させる親も増えた.

 住民側は地元当局などと交渉を重ねたが,解決せず,6月以降は断続的に工場封鎖などの実力行動をとってきた.
 抗議行動に参加した男性(41)は
「子どもを守るために立ち上がっている」
と話した.

 同省新昌県でも7月上旬から中旬にかけて,製薬工場による水質汚染を巡って多数の住民が工場を包囲して抗議の声をあげた.香港紙の報道では,参加者は数千人にのぼり,けが人もいた.

 同省東陽市では4月,農薬製造工場による水や大気の汚染に抗議した1万人以上の住民が警官隊と衝突し,150人以上の負傷者を出したとされる.
 香港紙によると,公安省が把握した全国で起きた暴動などの抗議行動は1994年の1万件余りに対し,04年は7・4万件余りに急増.
 対立のきっかけは,工場建設のための農地の強制収用や,役人による汚職などへの不満が多いが,急速な工業化に伴う大気汚染や水質汚染などで,住民の健康を害する問題への抗議行動も増えている.

●意識高まる
 特に沿海部の浙江省は改革開放政策の実施以降,民営企業による経済発展が著しい一方,環境汚染対策が不十分な企業も多く,大気や河川の汚染などにより,発がん率が高いとされる地域もある.
 経済的に豊かな住民の間では権利意識も高まっている.
 一連の衝突が起きた地域では,行政側は排出企業の操業停止などの措置をとり始めたが,損害賠償などの被害者対策は遅れがちだ.
 中央政府は危機感を深めており,温家宝(ウェンチアパオ)首相も3月の全国人民代表大会(国会に相当)で環境保護の強化を訴えた.
 ただ,中央政府の方針が地方まで浸透しにくいのが実情だ.

     ◇            ◇

◆環境汚染をきっかけにした浙江省の主な衝突(香港紙の報道などによる)
衝突場所   日時   参加人数 汚染源    主な健康被害
東陽市 4月10日  1万人以上 農薬製造工場 奇形児出産,目の痛み
新昌県 7月上旬〜中旬 千人以上 製薬工場   肝臓疾患
煤山鎮 8月20日   千人以上 電池工場   鉛中毒

(塚本和人 from 朝日新聞,2005/8/31)

 ちなみに「アジアの安全な食べ物:中国の7色に輝く河川と食品」には,中国のやばすぎる公害事情が紹介されている.
 また,

 河川の汚染対策の遅れについても,最近では,
「旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器が原因だ」
などと見え透いた嘘をついて責任逃れをして,真面目に取り組んでいません.

などとも述べられている.

 ただし,このサイトの信憑性については,
「写真とキャプションが一致しているとは限らない」
「これらの画像の元サイトを見ると、中国国内でも公害は問題視されている」
などといった指摘もある.

 ?西化学制??入河中 数公里?河水被染?(?)博?新?,?体中文新?:ヤバイ色の川の元記事。タレコミによると工場で化学薬品が流入した事故によるもので、日常的に汚染されているわけではないらしい。

 真性引き篭もり/entry :その他の画像の元記事リンク集あり。

 また、芝生の着色については、日本でも行われている。
 例えば「NISSAN STADIUM : スタジアムここだけの話」によれば,このスタジアムでは、芝が枯れる冬季は芝を着色(コーティング)する,という。
 こちらは芝用着色剤についての解説.
 さらに、 真性引き篭もり/entry では単なる着色ではなく,「種子吹きつけ工法」というものも紹介している。

(電脳遊星D)

 ※ 例えば以下のような報道がある.

ウラン鉱山の核汚染を直訴,公安に拘束 中国

 ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」は19日までに,中国甘粛省のウラン鉱山をめぐる不正と環境への核汚染の実情を中央政府に直訴するため,北京に滞在していた男性が,公安当局に拘束されたまま行方不明になっていると発表した.
 男性は,甘粛省甘南チベット族自治州にある「792ウラン鉱山」の従業員で,4月28日に北京市の北京南駅近くで拘束された.
 男性は,経営者と省の官僚が結託して「資源が枯渇した」として2002年に閉山手続きを取りながら,実際は採掘を続けて巨額の不正利益を上げていることや,廃棄物を河川に流すなどして深刻な核汚染を引き起こしていると訴えていたという.
 中国人権は中国政府に対し「著しい人権侵害」として男性の釈放を求めるとともに,核汚染に対する対策を講じるよう要求した.

(産経新聞(共同),2005/8/19)

 今年4月28日夜,男性は北京南駅付近で私服警官らに拘束されるのを,付近の人々が目撃したという.

(毎日新聞,2005/8/20)

 ※2 水不足や大規模植林の悪影響の問題を,農村の貧困の原因として指摘する報道もある.
 以下引用.

北京と天津の周辺に貧困者272万人・中国紙,治安悪化を懸念

 【北京19日共同】北京市と天津市の周辺農村に年収2000元(約2万7000円)に満たない貧困者が約272万人いることが,このほど,アジア開発銀行と河北省の調査で明らかになった.中国紙,新京報などが伝えた.
 同紙は,これら周辺農村の貧困が解決しない場合,「貧困者らが職を求めて大量に北京に流入し,スラム街が形成される」可能性があると指摘.
 治安が悪化して,2008年夏季五輪の開催都市としてのイメージが傷つく,と懸念を示した.

 貧困に直面しているのは河北省などの3798村で,北京の農民と比べて収入は3分の1以下という.
 周辺農村は両市の上水の水源に当たる.
 しかし,慢性的な水不足の中,北京,天津両市への供給が優先されているため農業用水や工業用水が不足.
 さらに,両市の環境保持を目的に実施している大規模植林により,農地や牧地が減少したことが農民らの生活を圧迫している,と調査は指摘している.
 調査に加わった研究者は
「ばらばらの政策と管理が,貧困を生み出した」
と,行政の在り方を非難した.

(日経新聞(共同),2005/8/9)


 【質問】
 中国の都市では,農村出身者とそうでない者との間に,所得格差が何故あるのか?

 【回答】
 中国の社会をなお律する戸籍制度の存在が,その主因だという.
 また,農民には苛烈な税金が課せられているためでもある.
 以下引用.

中国の戸籍制が社会分裂助長 「都市住民でも所得に格差」 米議会公聴会

 【ワシントン=古森義久】米国議会の中国に関する公聴会で,中国の社会をなお律する戸籍制度の実態が取り上げられ,この制度が,中国の国民の間に新たな差別や分離を深め,社会不安の大きな要因となっているという見解が表明された.

 米国の議会と政府が合同で,米国への影響という視点から中国の諸問題を考察する「中国に関する議会・政府調査委員会」は二日,「中国の戸籍制度−差別と改革」と題する公聴会を開き,戸籍が現在の中国社会に及ぼす影響について,専門家の証言を聞いた.

 戸籍問題を専門に研究しているジョージア工科大学の王飛凌教授は,この制度が農村戸籍と都市戸籍の区分により農村の住民が都市に流れこまないよう移動を禁じてきた経緯を説明し,九八年から同制度の改革が始まったが,なお不公正の基本が是正されていない,と述べた.
 王教授は二〇〇〇年ごろから農村住民の都市への出稼ぎ労働のための移住が増えたことを指摘し,戸籍も流動的になったようにみえるが,なお
(1)中国の総人口の三分の二から四分の三を農村戸籍で農村に留め,都市との経済の二重構造を保っている
(2)農村戸籍保持者のうち合計一億人ほどが都市に臨時移動しているが,都市生活でも都市戸籍保持者にくらべ,差別待遇が多く,都市社会の分裂の土壌を作っている
(3)都市での農村戸籍保持者は労働条件が劣り,所得も低く,子供の教育の機会が奪われることが多い
――などと証言した.
 王教授は都市では住民が都市と農村の戸籍保持者に分かれ,
「戸籍制度の継続は法の統治,人権の平等,個人の自由などにとって好ましくない.
 とくに都市住民の間での差別や分裂や所得の格差の増大,さらにそれに伴う相互の不信や怒りは,戸籍制度により増幅されている」
と証言した.
 中国社会での教育研究を専門とするクロア・フロサルト国際研究調査センター部長は,四川省の成都での四年間の調査を基に,
「都市で働く農村戸籍保持者の子供は,義務教育レベルでも公立学校への入学が認められず,その結果,広範に多様な支障を生んで,社会の分裂の原因になっている」
と証言して,戸籍制度の引き起こす弊害を報告した.

(産経新聞,2005/9/8)

 〔略〕
 中国では,町村から省・自治区までの地方政府はそれぞれ,様々な税金や賦役を農民に課している.
 灌漑用水の水を使った場合の水利税や,道路を通るための道路税,地方政府の庁舎を建設する際の労働の賦役など,世界の常識では考えられないような税金や賦役が農民に掛けられている.
 これを総称して農民税という.
 ただでさえ現金収入が少ない農民は,収入の半分以上を税金で取られ,食うや食わずの生活に追い込まれている.

 このような税金や賦役がかからない都市住民に比べて,その収入格差は7倍にも上っている.
 都市住民一人当たりの平均収入は1万4400元(約18万7200円)に比べ,農民一人当たりの平均収入はわずか2000元(約2万6000円)だ.
 しかも,温首相が宣言した,農業税完全撤廃がされても,農民一人当たりに還元されるのは農民一人当たり40元(約520円)でしかない.

 しかし,それでも胡錦濤政権が登場してくるまでは,こういった免税策に踏み切れなかった.
 一つには,原資である予算がなかったからだ.
 予算不足は胡政権も同じだが,現政権にとって,農民問題は体制を揺るがしかねないほどの最重要の緊急課題に浮上しているのである.
 〔略〕

ウィリー・ラム in 『SAPIO』 2005/4/13号,p.19

 〔略〕
 上海あたりで何不自由ない暮らしをしている「勝ち組」がいる一方で,貧乏クジを引かされ続ける人々が何億人と存在する.
 彼ら弱者を保護するための社会保険制度も年金制度もまったく確立されておらず,所属する企業の体力によっては,病院で診察を受けることもできない.多くの国営企業の労働者たちは,大病にかかることを恐れている.
 彼らの不満を軽減するためには福利厚生を充実させるしかないが,そうするには経済発展によって税収を増やすしかない.
 だが,経済発展を進めれば貧富格差は拡大し,持たざる者の不満は増大していくという皮肉な構造を中国は抱えてしまったのだ.

 さらに最近の特徴として,権力構造と貧富構造は必ずしもリンクしていない.
 権力構造上は上位に来る政治エリートの中にも,「勝ち組」と「負け組」が存在する.
 同じ官僚でも,民営化によって成功した人とそうでない人の格差は天地ほどある.
 地方単位でも外資の導入に成功した地域とそうでない地域では格段の差があり,貧しい地域の行政官の不満は強い.
 外資と組んだ者だけが「勝ち組」となる構造の中で,組めなかった側は排外運動などを通して中央に揺さぶりをかけるようになる.

 〔略〕

 政府は民営企業に対して,社員に年金等の福利厚生をきちんとやるン指導し始めたが,これは民営企業の社員だけで,農民や国営企業の工場労働者たちへの福利厚生には何の目途も立っていない.

 また,こうした持たざる者の不満は,労働争議としてのみ噴出しているわけではない.
 北京へ陳情する人々も増加しており,北京の近くにある,信訪村と呼ばれる村では,陳情にきた人々がそのままバラックを作って住みつき,その数が増えて問題になっている.
 さらに,人民解放軍をリストラされた退役軍人たちが,生活苦から各地で強盗事件を起こして大問題となっている.

 〔略〕

富坂聰=ジャーナリスト in 『SAPIO』 2005/4/13号,p.27

 ただし太田述正によれば,戸籍制度は崩れつつあるという.

1 中共の戸籍制度の現状

 「中共は,カースト的な,共産党員・都市住民・農村住民,の三つの階級からなってい」ると申し上げたところです(コラム#1103)が,都市住民と農村住民との間の形式的障壁は崩れつつあります.
 戸籍(戸口=hukou)制度が崩れつつあるからです.
 昨年秋,中共の23省中11の省で,戸口制度(注1)を廃止する計画が発表されました.
 (注1)農民の代表であると標榜して中国共産党が支那の権力を握ったのは1949年だったが,その4年後の1953年に中共当局は,農村に生まれた人に対し,その農村から移動しないように求めた.
 その後の数年で戸口制度が導入され,都市に戸口のある人しか都市には住めないこととされた.
 戸口制度は,王朝時代に遡る伝統的な制度であり,そのねらいは,中央政府による人民の政治的経済的支配だった.
 しかし,中共の場合,農産品価格を低く抑えて,そこから産業化の資金を捻出することがもう一つの目的だった.
 過去20年を振り返って見ると,この間,推定1〜2億人の農村住民が,差別や逮捕の懼れを物ともせずに都市へ流入しました.
 彼らは,建設業等で低賃金でこき使われて,会社の寮につめこまれるか,路上で寝起きして生活してきました.
 これと同時に,逆に都市が農村を浸食して行きました.
 この間,工場・住宅・別荘等を建設するために647万5,000ヘクタールの農地が失われたのです(注2).
 (注2)農地は公有であって農民は農地を所有していないので,再開発に当たって,名目的な補償と代替地の提供で農民は立ち退かされ,利益を地方政府(党が支配)とデベロッパーが山分けをしてきた.
 最近では,農民が立ち退きに応じず,各地で紛争が勃発していることは以前にも触れた.
 この制度を変えるべきだという声が高まったのは,2003年に,大卒の農村出身青年が広東省で殺された事件がきっかけです.
 農村住民の都市への大量流入という現実をこれ以上無視はできないし,彼らの仕送りが農村に残った人々の生活を支えているという事実も評価すべきだ,というわけです.
 制度変更を一番望んでいるのは広東省であり,省人口1億1000万人中,農村出身者が三分の一も占めており,なお労働力(中共唯一の輸出品!)不足のために農村から人を集めたいからです.
 しかし,北京や上海といった巨大都市は,戸口制度の廃止をしぶっています.
 安全面や農村出身者の子弟の教育面での対応ができない,というのが理由です(注3).
 (以上,
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/4782194.stm
及び
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/4424944.stm
(どちらも3月8日アクセス)による.)
 (注3)戸口制度の下では,農村出身者は都市の公共住宅には入れないし,公共の学校に子弟を入れることもできない.
 まさにアパルトヘイト(コラム#1099)そっくりだ.

 このように見てくると,結局,中共の戸口制度崩壊への動きは,もっぱら損得勘定の観点からなされているに過ぎないのであって,この分では当分の間,農村出身者の差別という中共のカースト制の実態が是正される見込みはなさそうです.

太田述正コラム#1114(2006.3.9)

 【関連リンク】
ひろぶろ」■住まいの画像で見る「中国の貧困の差」(情報屋さん.より)


 【質問】
 中国の密造銃は何処で作られているのか?

 【回答】
 青海省等の貧困地帯で密造され,都市に流入しているという.
 以下引用.

中国貧困地帯で銃密造 大都市流入に歯止めなし

 【北京8日共同】中国青海省の貧困地帯で密造された大量の銃が,沿岸部の大都市に流出している.週刊紙「国際先駆導報」によると,公安当局は1996年以来,約80カ所の密造拠点を捜査したほか,約390人を逮捕,約1300丁の銃を押収したが,密造・密売で生計を立てようとする住民は後を絶たず,歯止めはかかっていない.
 銃の密造地は急峻(きゅうしゅん)な山々に囲まれた人口24万人の同省化隆回族自治県.「中国屈指の銃密造地帯」(当局者)で,銃の性能が優れていることから,同地産の銃は「化隆」と呼ばれ“ブランド化”しているという.
 密造銃のモデルは,1960年代に中国で製造が始まった「64式」と呼ばれる口径7・62ミリの短銃.週刊誌「新民週刊」によると,もともと同地には狩猟用に銃が製造されていた歴史があるが,近年の急速な経済成長に伴い,「得意先」は大都市の暴力団組織などに移った.

(共同通信,2005/9/8)

 まあ,中共軍も40年代まではあちこちで密造していたわけだが.


 【質問】
 農民暴動を中国政府はなぜ恐れるのか?

 【回答】
 歴史的経緯からです.
 支那の歴史を紐解けば,易姓革命の連続であること,その革命の実態は流民と化した農民の反乱であることが多いというのが,一般的な理解なんですね.
 まず,革命の概念が,社会的な進歩を伴わない単なる政権交代であること.広大な支那大陸を支配するのに強権的な政治が行われることが通例で,これらの強圧的な支配はひとたび崩れると,一気に政権転覆に向けた反乱を招きやすいのです.

世界史板


 【質問】
 暴動に対し,中国はどんな対策を立てているのか?

 【回答】
 報道によれば,警察精鋭部隊を設立中だという.
 以下引用.

中国,テロ・争乱対策で警察精鋭部隊を新設

 [北京 18日 ロイター] 新華社は18日,中国政府が全国36都市で,テロと争乱対策のための警察精鋭部隊を設立中だと報じた.
 〔略〕
 河南省鄭州では17日,500人から成る新設部隊が設立された.
 〔略〕

(Reuters,2005/8/18)


 【質問】
 東陽事件とは?

 【回答】
 2005年4月上旬,浙江省東陽市の農村で起きた大規模な農村暴動.
 以下引用.

 中国国内では今回の暴動について殆ど報道されていないが,「サウスチャイナ・モーニングポスト」など香港紙によれば,事件は大よそ次のような経緯で発生した.
 この農村には2001年,計13の化学工場が進出.
 操業開始後,工場から排出される汚染物質によって土壌が劣化,農作物に大きな被害が出た.白いはずの蕪を切ると,黒っぽい色をしているほどだった.
 農民達は地元政府に工場の移転を要請したが,なしのつぶて.ある役人は,
「たとえ村の連中が死んでも,工場は移転しない」
と語ったという.
 業を煮やした農民達は2005年3月末,工場へ通じる道路を封鎖.
 当局側は警察を動員し,封鎖解除を試みたが,対立は4月10日になって,遂に約3万人の農民と衝突する事態にまで発展した.
 「文●報」によると,混乱の中で計36人が負傷,警察車輛など約50台が破壊された.一部に死者が出たとの報道もあったが,事実かどうかは確認されていない.

 中国の曽培炎副首相は4月26日,国家環境保護総局(環境省)で行った講話の中で,東陽事件の発生を認め,
「数千人が参加した集団事件」
と指摘した.
 香港紙報道の「3万人」とは数字に大きな隔たりがあるが,例え「数千人」規模が事実であるとしても,公害問題に起因する農民暴動としては異例の重大事件と言える.

 共産党内序列7位の呉官正・党中央規律検査委員会書記(政治局常務委員)は4月26日,わざわざ国家環境保護総局を業務視察に訪れ,関係機関の綱紀粛正を厳命した.
「環境に関する違法事件は厳しく取り締まり,大衆の切実な利益を踏み躙る行為は,断固として処罰しなければならない.職権濫用や職務怠慢によって,重大な環境汚染事故や自然破壊事件を引き起こしたり,違法な経営行為を庇ったりした場合は,見つけ次第取り締まらなければならない」
 タイミングから見て,呉書記が槍玉に挙げた「職権濫用や職務怠慢」とは,明らかに東陽事件での関係機関の不手際を念頭に置いたものだった.

〔略〕

 東陽事件のような,環境問題に起因する農民暴動は,過去にも中国各地で発生している.

 例えば1964年,湖北省武漢市で化学工場による水質汚染が深刻化し,抗議に立ち上がった農民達が工場廃水口を塞ぎ,工場労働者達と衝突する事件が起きた.
 汚染処理を巡る賠償問題は,90年代まで尾を引いた.

 また1973年には,河北省沙河県の農村で,燐酸肥料工場から排出された汚染物質による農作物被害に耐えかねた周辺農民が,同工場への送電を停止するという暴動があった.
 あろうことか,抗議行動は「反革命破壊事件」として断罪された(後に名誉回復).

 暴動にまで発展した事件が過去に何件起きたかは,公式統計がないため不明だ.
 ただ,環境汚染被害者の救済活動を行っている,北京の環境NGO「中国政法大学公害被害者法律援助センター(CLAPV)」の王燦発主任の論文によると,全国の環境紛争件数は,1994年から高度経済成長と歩調を合わせるように増え始め,
98年18万件
99年25万件
2000年30万件
と激増している.
 王論文は,
「環境紛争に起因する,上級政府への直訴,座り込み,工場襲撃,道路封鎖,械闘(集団武力抗争)流血事件などがしばしば起きている.
 それらは生産秩序に一定の影響を与えているだけでなく,社会の安定にも深刻な影響を及ぼしている」と指摘しており,環境紛争の中には暴動・騒乱にまで自体が発展するケースも少なくないことを窺わせている.

(藤野彰=読売新聞中国総局長,from 「中央公論」, 2005/7, P.33-36)

●=匸+淮


 【質問】
 漢源事件とは?

 【回答】
 2004年10月末,四川省漢源県で起きた,農民数万人と武装警察の衝突事件.
 以下ソース.

 水力発電所建設のため,立ち退きを迫られた地元農民達が,補償額に不満を持ち,建設現場での座り込みやデモを行ったのが流血事件へと発展した.
 中国当局は,この種の問題に関しては国内メディアの報道を厳しく統制しているため,詳しい状況は分っていないが,双方に多数の死者が出たと伝えられている.

 強引な土地収用・立ち退きがきっかけとなった暴動・騒動は,2004年以降,遼寧,河北,陜西,福建など全国各地で続発,燎原の火のように燃え広がっている.

(藤野彰=読売新聞中国総局長,from 「中央公論」, 2005/7, P.38)


 【質問】
 桂陽事件とは?

 【回答】
 2005/8/29,タバコの葉の販売権を村役場が独占していることに怒った農民2000人が,村役場を襲撃した事件.
 以下引用.

農民2000人が村役場を襲撃…中国・湖南省

 【香港=関泰晴】1日付の香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」によると,中国湖南省桂陽県で8月29日,地元農民2000人が村役場前までデモ行進したうえ,庁舎内に押し入り,窓ガラスなどを破壊した.
 公安当局は警察官100人を派遣して騒ぎを鎮圧した.
 同日早朝,収穫後のタバコの葉をトラックで村外に運んで売ろうとしていた農民2人が死亡する事件があった.
 農民たちは「役人が2人を暴行して殺した」と主張,抗議行動に発展した.
 村役場はタバコの葉の販売権を独占しており,
「よそに持って行けば,もっと高値で売れる」
とする農民は反発していたようだ.

 先月には,広東省中山市で,土地の強制収用に抗議する農民数百人が地元政府の出張所を取り囲んだ.また,
 同省広州市でも,村の役人の不正に怒る農民と警官隊が衝突した.

(読売新聞,2005/9/1)


 【質問】
. 東莞事件とは?

 【回答】
 2004年12月,製造業が集中する広東省東莞市で,差別待遇に怒った民工〔農村からの出稼ぎ労働者〕5万人が起こした暴動事件.
 読売新聞中国総局長,藤野彰によれば,

 都市部でも民工による反乱が相次いでいる.
 低賃金,長時間労働,あるいは賃金未払いといった,劣悪な労働条件が背景にある.
 〔略〕
 〔この事件は,〕中国有数の経済先進地で突発した事件だけに,中国社会が内包する治安リスクの大きさを示すものとして波紋を広げた.

 農民暴動と民工反乱は別々の問題ではなく,水面下で繋がっている.
 民工は本来農民であり,農村の窮状,農民の貧しい生活を身に染みて知っている.
 都市に一時的に居住していても,農村とは地縁・血縁で結びついており,農村の動向に無関心ではいられない.
 民工は流動人口として,農村と都市の間を行き来していることから,農村の情報は都市へ,都市の情報は農村へと還流している.
 仮に,何らかの事件をきっかけに,暴動が「面」となって広がるような状況が生じた場合,農村と都市の双方に蓄積された社会不満が,互いに反響し会う形で噴出する恐れがないとは言い切れない.

(from 「中央公論」, 2005/7, P.40)

という.

 そういえば,王朝が倒れるときはたいてい,その発端は農民反乱でしたな.


 【質問】
 東洲村事件とは?

 【回答】
 2005/12/6,中国・広東省の汕尾市東洲村で,発電所建設に反対する住民が,警察の発砲を受け,死傷した事件.

深夜まで銃撃,14人が死亡広東省の弾圧,香港誌報道

 【香港=林望,広州=鈴木暁彦】中国・広東省の汕尾市東洲村で住民が警察の発砲を受け,死傷した事件の様子が,次第に明らかになってきた.16日発売の香港の週刊誌「亜州週刊」が,発電所建設反対運動のリーダーを警察が拘束したことに住民が反発,銃撃に発展したなど事件当日の経過を詳しく報じた.
 また,村民の一人は朝日新聞に対して「今も約60人が行方不明と聞いている」などと証言した.
 強硬に住民を弾圧した事件は中国政府への信頼を揺るがしている.

●住民「今も60人不明」
 亜州週刊は,地元の政府関係者の話として伝えた.それによると,6日午後2時ごろ,500人前後の警官と武装警察が発電所建設現場に到着.抗議活動を主導したとされる住民3人を拘束し,座り込みなどで現場にいた住民を殴るなどしたため,怒った数千人の住民が現場を取り囲んだ.
 これを受け,千人規模の武装警察の増援部隊が到着.午後7時ごろ,住民を排除しようと催涙弾を発射した.
 一方,住民は先発の武装警察が入っていた建物に火炎瓶などを投げて対抗.武装警察は午後10時ごろから拳銃やライフル銃で住民を撃ち始め,銃撃は深夜まで続いたという.
 同誌は死傷者数について「少なくとも14人が死亡,50人以上がけがをした」と伝えている.

 また,現場から数十メートルの場所に住むという同村の40代の男性は,朝日新聞記者の電話取材に「友人も撃たれて死んだ.犠牲者の数は分からないが,今も約60人が行方不明と聞いている.自分の家にも流れ弾が当たった跡がある」と証言.「武装警察の姿は見えなくなったが,道路は封鎖されたまま.食糧や水にも事欠いている」と話した.
 広東省では土地収用に絡む補償などをめぐり,当局と住民の衝突が相次いでいる.同省は国内で最も早く対外開放が始まり,多くの外資系企業が進出.こうした事件が国際的なイメージを大きく損なうのは必至だ.

朝日新聞朝刊国際面 2005年12月17日


 【質問】
 長江電工事件とは?

 【回答】
 2005/12/30,重慶市の企業「長江電工集団」の所有地の転売にからみ,宿舎から労働者を立ち退かせようとしたところ,補償額に不満を持つ労働者二千人と警官隊が衝突した事件.

中国不満噴出,相次ぐ衝突 農民が自爆/2000人暴動

 【北京=野口東秀】中国各地で農民や労働者による抗議行動が相次ぎ,胡錦濤政権への圧力が増している.
 〔略〕
 七日付香港紙「太陽報」も,重慶市の地元企業の所有地転売にからみ,労働者二千人と警官隊が衝突したと伝えており,民衆の不満は高まる一方のようだ.

 〔略〕

 重慶市のケースは立ち退きと労使紛争が混在したケースで,先月三十日,地元企業「長江電工集団」の所有地の転売にからみ,宿舎から労働者を立ち退かせようとしたところ,労働者約二千人が「補償が不十分」と抗議,警官隊数百人と激しく衝突.警官一人が死亡,数人が負傷との話も伝わったという.
 こうした暴動など抗議行動は公安省の把握では,一九九四年に比べ二〇〇四年には七・四倍の七万四千件に急増し,参加者数も七十三万人から三百七十六万人に拡大.労働争議は同年は二十六万件と指摘され,「社会矛盾による衝突は激化する傾向」(専門家)にある.
 〔略〕

産経新聞朝刊 2006年01月08日03:13


 【質問】
 スワトウ水争い事件とは?

 【回答】
 13日の香港紙などによれば,広東省のスワトウで12日,農業用水をめぐって村民約5000名が警官隊と衝突したそうです.
 求めてきた水門導入がいつまでたっても実現しないことに業を煮やした村民が,自腹で水門を設置したところ,当局が違法行為として撤去に乗り出したんだそうです.

 → エネルギー確保のために建設された揚子江上流のダムが,水資源配分の不平等の要因になっているのではないでしょうか.もしそうだとしたら深刻ですね.中共の命取りにもなりかねません.
 かの国内政でもっとも重要なのは,水をいかに平等に配分するかだと思います.

おきらく軍事研究会,2006年4月17日


 【質問】
 凌源暴動とは?

 【回答】
 香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」が4日,発表したもので,遼寧省の凌源市で7月13日,農民2000人と警官隊200名が衝突したという.
 農地接収に伴う補償金を地方政府が横領したことが原因とのこと.

 農村の暴動が全土に広がっていることだけは確かなようだ.
 今回の話が東北部のものであることも興味深い.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)7月31日


 【質問】
 中功とは?

 【回答】
 正式名は「中駅養生益智功」.
 法輪功同様,中国で「邪教」認定されている気功団体.
 同団体によれば,一時期は4000万人が参加.

三浦小太郎 in 『SAPIO』 2005/4/13号,p.26


 【質問】
 「神の国建国」事件とは?

 【回答】
 96,97年に,安徽省と湖南省の農村地域にて,「神の国建国」を説いた新興宗教団体が摘発,「邪教」として処罰された事件.
 これらの実態は不明だが,おそらく共産主義イデオロギーが消滅し,改革開放から取り残された農村で,土俗信仰が復活した一例と思われる.

 以上,ソースは 『SAPIO』 2005/4/13号,p.26(三浦小太郎著述)による.


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