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◆◆◆総記
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東亜FAQ目次


 【質問】
 中国の軍事費はどのくらいか?

 【回答】
 中国が2002年4月に公表した国防費は,前年比17.3%〔20億ドル)増の200億ドルとなっているが,実際には650億ドル近い.アメリカに次ぎ,世界第2位である.

(Annual Report on the Military Power of the Peope's Repbulic of China, by Pentagon)

 ロイターによると,米国のシンクタンクは2003年の中国の軍事費は最大380億ドルであり,米国防総省の見積もりは過大だと言っています.

 しかしこの数字は購買力平価を考えておらず,それを計算に入れて数字を弾き出すと,やはり公表額の3倍以上となる690―760億ドルに達するそうです.
http://www.spaceref.co.jp/news/1Mon/2005_05_23bud.html

 この記事とロイターの記事,は同じシンクタンクの試算を基にしているのでしょうが,ロイターが購買力平価の項を無視したのは何故か?,ということが微妙に気になったりします.

 ちなみに05年度の公表軍事費は前年度12.6%増しの295億ドルになるそうです.
http://www.spacewar.com/2005/050303034235.kwdyalji.html

CCCP_YPA in mixi支隊

 2004年度の時点では,米政府から中国の実質国防予算は公表額の3.5倍と見積もられていた.
(kojii.netのJane'sDefensWeeklyサマリー過去ログ,2004年3/17より.
 記事は消えてるのでgoogleキャッシュかarchive.orgで)

 ただし,国外のアナリストの間では,中国の実勢国防予算は公表されている額よりずっと多いという見方があり,アメリカ政府では公表額の3.5倍はあるとみている.
 また,装備調達費や研究開発費などが,公表されている国防予算には含まれていないという見方も示されている.

 あとはこの辺
http://www.globalsecurity.org/military/world/china/budget.htm
"Official"な数字と"Estimatedactual"な数字の両方が挙げられており,いちおう97年度での"Official"な内訳の図も出てる.

 実際のところ,地方の人民軍企業とかの(実際の)収支まで完全に把握している奴が,本当に存在するのかどうか疑問だ.
 軍閥ごとでも裏収支があると言われているし,中央部でも細部までの把握も不可能なんじゃなかろうか?
 後,あの軍隊って事を差し引いて考えると,予算から想像される現状と,実際の現場の実態が全然違う,なんて事もありそうだ・・・・

軍事板

 なお,中国はこの急増について,「最近の国防費の増加は兵士の待遇改善が主な目的」だとしている.

中国,軍備管理白書で米などの「脅威論」に反論

 【北京=桃井裕理】中国国務院(政府)新聞弁公室は1日,「中国の軍備管理,軍縮,拡散防止への努力」と題する白書を発表した.
 この中で
「中国は,防衛を主とする国防政策を堅持している」
と強調.
 国防費が国家財政支出に占める割合は低下しているほか,
「最近の国防費の増加は兵士の待遇改善が主な目的」
と述べ,米国などで高まる「中国脅威論」に反論した.

 白書は人民解放軍が1985年以来,人員を約424万人から230万人に削減したことを例に挙げ,
「世界でも多くない事例」
と述べた.
 中国の2004年の国防費は米国の5.77%,日本の63.97%の規模だったと強調.
「中国の国防予算は,全国人民代表大会の審査や批准を経ており,公開された透明なもの」として「中国の国防予算は不透明」
との国際的な批判に反論した.
 〔略〕

(日経新聞,2005/9/1)

 まあ,そんな言い訳,誰も信じないだろうけどね.


 【質問】
 中国の軍事費の内,人件費は何割ほどなんでしょうか?

 【回答】
Chart3:China'sDefenseExpenditure,2003
によると,2003年度の時点で人件費がだいたい1/3.

 まあ,上で書いてるように,公的な予算額と北京政府が把握している予算額と,海外アナリストが予想する予算額と,誰も知らないかもしれない実態との間には,かなり大きな差があるのであくまで
「中国が公的にこう主張している」
というソースでしかないんで.
(つか8倍とか10倍とかいう数字が平気で出てくる)


+

 【質問】
 日本にとって中国軍はどの程度の脅威なのか?

 【回答】
 兵器の進歩より「地の利」のほうの見地から,中国軍は直接的脅威であるとする見解がある.
 以下引用.

中国の脅威はどのように見ればよいか.
 中国軍(人民解放軍)の海空軍力を中心とする軍事力の増強ぶりや,海洋への強引な進出などから,中国を将来的な危険要因として考慮すべきであるとの認識は,日本において広く支持されていると考えられる.
 しかし,その軍事力は,質・量共に冷戦期のソ連とは比較にならないほど低レベルにあり,我が国が直ちに本格的侵攻事態に備える必要性はないという見方があろう.

 確かに中国海空軍は最近,キロ Kilo 型潜水艦,ソブレメンヌイ Sovremenny 級駆逐艦,Su-27やSu-30などの一線機をロシアから導入し,一方,093型攻撃原潜,宋 Song 型潜水艦,052型駆逐艦などの近代化装備の国産化にも注力して急速な増強を図っているが,旧式の装備が主体である.
 これに対して冷戦時代のソ連海空軍は,キエフKiev 級空母,キーロフ Kirov 級原子力ミサイル巡洋艦,スラヴァ Slava 級巡洋艦,ソヴエレメンヌイ級駆逐艦,オスカー Oscar 型ミサイル原潜,ヴィクター Victor 型攻撃原潜,キロ型潜水艦やバックファイアー爆撃機などを備えていた.
 その質と量は,現在の中国海空軍のそれと比べると圧倒的であり,中国がその域に達するには,相当な年月を要するという見方である.

 また,そもそも現時点で,中国は冷戦時代のソ連のような明確な敵としての存在ではない以上,今直ちに対中防衛体制を具体的にとる必要はないという考え方もあろう.

 しかし,これらの考え方は極めて楽観的であるといえる.
 現在,また,近い将来の中国海軍は,「地の利」を最大限活用することにより,当時のソ連海軍と比べても,遜色のないほど強力であり,また,容易に現実の脅威となりうるとの認識を持つ必要がある.
 何故か?
 確かに冷戦時のソ連は,我が国に対して,日本海や太平洋側を主とする周辺海域および海上交通路において脅威となってきた.
 しかし,ウラジオストクを母港とするソ連太平洋艦隊の主力は,日本海を挟んで日本列島という天然の障壁に阻まれ,宗谷,津軽,対馬という3海峡のいずれかを通過しなければ太平洋方面には進出できず,この地理的な制約から,我が国周辺海域や海上交通路を脅かすことには,自ずから限界があった.

 冷戦後期になって,ソ連は当時の盟友(北)ヴェトナムとの協定により,同国のカムラン湾に一定規模の部隊を駐留させたが,潜水艦や爆撃機を展開したわけではなく,また,当時フィリピンのスービック海軍基地とクラーク空軍基地に強大な米軍が存在して睨みを効かしていたこともあり,中東から北東アジアに至る重要な海上交通路にとっての甚大な脅威とはなってはいなかった.

 すなわちソ連海軍は,日本海では重大な脅威と成っていたが,カムチャッカ半島所在基地などを利用しても,西太平洋での展開には制約を受け,東シナ海や南シナ海においては,殆ど無力であったと言ってよい.

 しかるに中国は,マラッカ海峡以東,台湾・バシー海峡に至る南シナ海での長大な海上交通路は,自身の領海内に含むと一方的に宣言すると共に,係争中であるASEAN諸国との同海での領有問題についても,着々と実効支配を進めている.
 中国海軍は,台湾近辺を除く中国大陸沿岸に急速に近代化と増勢を図る3艦隊を擁しており,その気になれば,この海上交通路の全行程において,容易に海上の安全を妨害できる戦略的位置を占めている.
 そして最近では,尖閣諸島の領有問題や日中中間線問題にも見られるように,東シナ海方面への進出を強引に進めてきており,まさに,我が海上防衛力と中国海軍力は一触即発寸前の状況になっているのである.

 さらに中国の海洋進出の傾向を見れば,情報収集艦による日本周航にも見られるように,明らかに日本海方面や,3海峡,太平洋方面の沿岸海域にも強い関心を示しており,また,沖縄周辺での不法な潜航領海侵犯,大隅海峡での浮上航行など,潜水艦による軍事活動も露わにしている.
 加えて,小笠原列島線や沖ノ鳥島近辺での海洋調査船や測量艦の動きなどを見れば,これらの動きが中国海軍の潜水艦などの行動を念頭に置いた軍事的調査活動の一環であることは明らかである.

 すなわち中国海軍は,今やその第1列島守備線である日本列島,南西諸島,台湾のラインを各種の潜水艦,水上艦,爆撃・攻撃機,弾道・巡航ミサイル(沿岸部であるため,近代化されていなくても十分使用可能)で固め,いよいよ中国にとっての国防上辺境たる第2列島守備線,つまり概ねアリューシャン列島,東経150度線からニューギニア島に至る線で囲まれる小笠原諸島,沖ノ鳥島やグアム島を包含する海域における海軍活動の足跡を記し始めたと見るべきだろう.
 この海域には,我が国のEEZがすっぽりと含まれている.
 第1列島守備線を越え,第2列島守備線に至る海域での中国海軍の目的は明らかで,究極的には西太平洋での派遣を争うこととなるであろう米海軍の行動を,極力前程で抑えるという意味と,台湾問題などが生起した場合における米海軍の来援部隊の阻止行動にあると見られる.
 このため,これらの海域で活動可能な帯洋性のある高性能の戦略原潜,戦術潜水艦,水上艦,空中給油可能な爆撃機,弾道ミサイルなどの増勢を企図している.

 それ以上に中台問題は見逃せない問題である.
 台湾は我が国の安全保障上,極めて重要である.
 いったん台湾が現体制の中国に統一されたことを考えると,日本にとっては,中国という非民主国家との間に,全くバッファーのないまま,全面的に海上国境を接することになる.
 また,東シナ海から南シナ海に至る海上交通路は,中国が一元的にコントロールできる海域となる.
 仮に中台に戦闘状態が起これば,アメリカが周辺事態法による協力を要請する可能性が高い.

 さらに,中台間の軍事衝突は,我が国の直接的防衛事態であるとの受け止めも重要である.なぜなら西表島,与那国島など先島諸島の西端の島嶼や海空域は,戦場となる可能性があるからである.
 また中国は,台湾問題が片付けば,次は尖閣諸島に本格的に乗り出してくるであろう.
 アメリカの状況如何によっては,台湾問題の前に尖閣諸島に軍事的措置を行う可能性もある.

 要するに,少なくとも近い将来,中国海軍は,
第一に,長大な海上交通路や我が国の権益のあるEEZにおいて,潜水艦,水上艦,爆撃・攻撃機,弾道・巡航ミサイルなどにより,
第2に,我が国周辺海域の,島嶼,港湾,海峡,水道,沿岸などにおいて,潜水艦,水上艦,爆撃機,弾道ミサイルなどにより,
本格的侵攻事態を生起しうる潜在的脅威と認識すべきなのである.

「世界の艦船」2005年1月号,p.125-126(金田秀昭〔元海将〕著述)


 【質問】
 週刊朝日 2008年1月18日号,「【軍事】 自衛隊は「中国軍」に勝てるのか(神浦元彰)」はどうでしょう?

 【回答】
 その内容は抱腹絶倒との事.

[quote]

 買って損したポ.
 金返せと言いたい.
中国が台湾を併合
→軍事力が朝鮮半島に
→金王朝の崩壊
→中国による朝鮮半島併合
→日本への大量の上陸
→海洋国日本は中国陸軍に負ける

 これってスゴい論理の飛躍だと思うのだが,「初夢特集」か?
 逆神を起用した「週刊朝日」編集部もバカだなあ.
 誰かこのスレッド見せてやれ(笑)

[/quote]
―――軍事板

 ホホイ語さん起用といい,週刊朝日は狙ってやってますね.

JSF in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 記事全文を読む限りでは,そこまで貶めることはなさそうです.

 そのシナリオの前に
「仮に中国が脅威になるとすればこんなシナリオです」
と一応,仮定であると断りを入れています.
 また,その前段を含めて引用します.
 こんな無理なシナリオじゃなけりゃ,日中有事はありえない,という読み方もできます.
 好意的な深読みが正しいかどうか.
 〔神浦の〕実績を考えると,間違っているような気がしますが(笑)

-------------------以下,引用-------------------
 中国の軍事的脅威を警戒する声が多いですが,兵器の性能差を考えると,日本に対抗するには10年はかかるでしょう.
 実戦経験がない自衛隊で大丈夫かという声もありますが,経験がないのは中国軍も同じ.
 日米同盟もあるので日中間の戦争はまず想定できません.

 仮に中国が脅威になるとすれば,こんなシナリオです.
 中国の軍事力は基本的に台湾に向けられていますが,もし台湾が中国に併合されることになれば,それが朝鮮半島に向く.北朝鮮の金正日政権が政変で立ち行かなくなった場合,中国の影響下に入ることを選ぶかもしてしれない.
 こうなると韓国も中国の経済圏に取り込まれてしまう.
 中国が朝鮮半島まで手に入れたらかなり厳しい.
 九州までほんのわずかの距離だし,朝鮮半島からのミサイル攻撃や対空支援も容易になる.
 もし大挙して上陸を許してしまったら,陸軍国の中国に対し海軍国の日本は太刀打ちできないでしょう.
-------------------以上,引用-------------------

 中台有事についてどのように考えているのかすっぽり抜け落ちているのはどうかと思いますが.
 あ,兵站も考えて無いな(笑)
 対馬海峡の連絡線どうすんだろ.

 また,この後に,

-------------------以下,引用-------------------
 でも,実は本当に怖いのは軍事力による侵攻ではありません.
 シベリアのある地域では中国人が合法・非合法問わず次々と移民したことで,人口の半分を中国人が占めるようになったといいます.
 中国ではこれを「併呑政策」と言い,武力によらずして相手国を占領してしまう.
 チベットやウィグルでも,今では漢人の比率が過半数を超えています.
 目先の軍事力だけにとらわれていると,いつの間にか日本も中国にのみ込まれるかもしれませんよ.
-------------------以上,引用-------------------

……と別の中国脅威論をぶっています.
 いいのか,これ?

 ああ.全文打ち込んじまった…
 以上で記事全文です.

ゆきかぜまる in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 中国の軍拡に脅威を感じているのは日米だけか?

 【回答】
 温度差はそれぞれあるものの,米国やアジア諸国,欧州諸国でも警戒感が高まっているという.
 以下引用.

中国の軍拡に懸念深まる=英ミリタリー・バランス

 【ロンドン25日時事】英国際戦略研究所は25日,国際軍事年鑑「ミリタリー・バランス」(2005〜06年版)を公表.その中で,中国が台湾だけでなく,周辺海域を越えて目標を攻撃する能力の保持を念頭に急速な軍備拡張を続けており,米国やアジア諸国の間で一層懸念が深まっていると述べた.

(時事通信,2005/10/25)

中国軍の近代化,米が警戒・ミリタリーバランス最新版

 英国のシンクタンク,国際戦略研究所(IISS)は25日,世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2005―06年版」を発表した.
 経済発展を背景に軍の近代化を進めている中国に,米国が警戒感を強めていると指摘.
 〔略〕
 東アジアでの注目点として中国軍の近代化と改革を指摘した.
 報告書は「中国が台湾のみならず,周辺海域を越えて軍事的能力の拡大を目指していることに,米国が強い懸念を示している」と強調した.
 特に軍事費の拡大について,ラムズフェルド米国防長官らが「アジア・太平洋地域の安定を脅かす」と発言していることを紹介した.
 これに対して,欧州連合(EU)が対中武器禁輸の解除目前までいったことを取り上げ,米欧間の対中政策には温度差があると指摘した.

(日経新聞,2005/10/25)

中国軍拡,欧州も懸念…ミリタリー・バランス指摘

 【ロンドン=飯塚恵子】英国際戦略研究所(IISS)は25日,世界各国の軍事力や安全保障情勢を分析した「ミリタリー・バランス2005〜2006年版」を発表した.
 このなかで,中国の軍事拡張について,
「急速な拡大・近代化は,今や台湾対策だけでなく,周辺海域を越えた広範な地域での戦力展開を視野に入れており,米国やアジア太平洋諸国にとって懸念となっている」
と指摘.こうした懸念は昨年以降,欧州にも広がったと述べた.
 中国が今年6月に成功した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射について,
「射程は推定8000キロで,中国沿岸から米国本土への到達が可能になった」
と分析.
 欧州諸国は当初,米国の懸念に同調していなかったが,中国に軍事技術を供与することへの警戒感が高まり,EUの武器禁輸解除への対応にも変化が表れた,と述べた.

(読売新聞,2005/10/26)

 余談だが,同じソースを用いているにも関わらず,各社の報道に差異があるのも興味深いところである.


 【珍説】
 中国の軍事費増大については事実です.
 しかしこの内容については,軍事力を増強するのではなく,これまでのかなり旧式で使用に耐えなかった兵器関係を更新するためだという説明を聞いています.
 もちろん,だからといって,軍事費増大を容認するものではありませんが,中国の「軍拡」を「脅威」だと思う前に,よくよく内容を確かめる必要があるのではないかと思いますね.

トリトン in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
>中国の軍事費増大については事実です.
>しかしこの内容については,軍事力を増強するのではなく,
>これまでのかなり旧式で使用に耐えなかった兵器関係を
>更新するためだという説明を聞いています.

 陸戦兵器の整備は99年辺りで据え置きし寧ろ現勢.
 一方で長距離侵攻作戦に必要な給油機や爆撃機,AWACSの導入.
 2隻造っては次のクラスに移る勢いの建艦体制.
 どうみても侵攻兵力の増強です,本当にありがとうございました.

>もちろん,だからといって,軍事費増大を容認するものでは
>ありませんが,中国の「軍拡」を「脅威」だと思う前に,
>よくよく内容を確かめる必要があるのではないかと思いますね.

 よくよく内容を確かめた結果,明らかに脅威でした.

メッサー=ハルゼー in mixi

■中国軍拡,欧州も懸念…ミリタリー・バランス指摘

〜引用開始〜
 英国際戦略研究所(IISS)は25日,世界各国の軍事力や安全保障情勢を分析した「ミリタリー・バランス2005〜2006年版」を発表した.
 このなかで,中国の軍事拡張について,「急速な拡大・近代化は,今や台湾対策だけでなく,周辺海域を越えた広範な地域での戦力展開を視野に入れており,米国やアジア太平洋諸国にとって懸念となっている」と指摘.こうした懸念は昨年以降,欧州にも広がったと述べた.
〜引用終了〜

中国の軍拡は東アジアの軍事バランスを壊しつつあるという事は,世界的な共通認識だと思うんですけどね.

JSF in mixi

 『インテリジェンスと国際情報分析』(芙蓉書房出版,2007.4)あとがきで太田文雄退役海将は,次のように書いています.
 少し長くなりますが,ご容赦ください.

[quote]

 私が本書でもっとも強調したかった点は,中国の軍拡に対する警鐘であり,従って,それに対する紙数が自然と多くなってしまいました.
(中略)

 人によっては,
「中国の軍拡はソ連の軍拡のコピーで,いずれ使用されることもなく,膨大な軍事力が無駄になるだけだ.中国人の民度を考えれば恐れるに足りない」
として懸念しない人もいます.
 また,
「軍備というのは質の高い兵器を少量備えておくことが,時代に沿った近代化を推し進めていくことができるのであり,一時期大軍拡を行なったとしても,その後の更新に莫大な経費がかかり,それを許すような経済力が常に備わっているとは限らない」
とする人もいます.
 さらには,
「ハードだけを揃えたとしても運用・整備力といったソフト面で中国は劣るので心配するに足らず」
という人や.
「中国の官僚システムや社会主義・共産主義の縦割り性,非効率性,硬直性などの要因が軍事技術の進展を阻害している」
という人もいます.

 しかし,私はアヘン戦争以降の屈辱の歴史を二度と繰り返したくないと失地回復に燃えている中国が,戦略的な手を次々と打って,アジア,ひいては世界の超大国を目指している姿に懸念を抱かざるを得ません.
(後略)

[/quote]

 同感です.

おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)4月27日


 【質問】
 中国の軍事力が額面に比べて高いという根拠として購買力平価がありました.
 「購買力平価」をぐぐってみたのですが,いまひとつよくわかりません.
 中国の経済力から考えると安い兵器を購入している,ということですか?

 【回答】
 「購買力平価」とは同一のサービス,財が取引可能とした場合の自国通貨と他国通貨の比率の事.
 要は物価が安いから,額面のGDPよりドル換算で高い購買力を持っているって理屈.
 もっとも,艦艇や航空機の様に高額な物は輸入の部分が多いので,あまり意味がないが.
 また,発展途上国である中国の購買力平価が高いのは当たり前で,何の自慢にもならん.
 経済が発展すれば,通常はこの値は徐々に小さくなっていく.

軍事板


 【質問】
 今の東アジアで,日本が武力放棄したら侵略されるという考え方はおかしいのでは?
 おそらく大国化するであろう中国が,侵略し,侵略国家の汚名を背負うことは,中国にとっても得ではないでしょう.

▼ 例えば,次のように述べている人もいますが?

-------------
 中国の脅威を言いつのる人が多いけれども,
「戦争は商売と同じで,儲かる見込みがあってこそやるが,元手を損するようならば,面子にこだわらず,あっさりやめることだ」
と言ったのは誰か,ご存じか.
 毛沢東である.
 日本を侵略・武力制圧して,今の中国に何のメリットがあるだろうか.

―――林信吾著『反戦軍事学』,p.209
------------

 【回答】
 現状,尖閣諸島をとる気だし,沖ノ鳥島は認めないといっているわけです.
 尖閣諸島沖にガス田,油田があることは重要なポイントだと思います.
 ▼この油田,イラク並み,北海油田並みにあるんだそうですよ.
 石油の自主生産は中国にとって非常に有益だと思います. ※▲

 そりゃ
「東京を攻め落とせ!」
ってなれば世界世論も動く可能性は高いと思いますけど,南の小さな島だけでは,それはなかなか難しいんじゃないでしょうかね.

参考:
http://www.nakai.com/os/nansa.htm

mission296 in mixi

▼ また,武力侵攻にまで至らなくとも,軍事的に威圧するだけでメリットが得られることもあります.
 実際,中国は
「台湾有事の際に日本が米軍を支援するなら,沖縄を攻撃する」
と威嚇しています.
 もしこの脅しに日本が屈すれば,中国にとってはそれは大きなメリットだといえるでしょう.

 さらに地政学的メリットもあります.
 中国が日本を威圧して従属化させることができたなら,中国海軍は日本海,東支那海をフリー・ハンドで航行できるようになります.
 これは中国の海洋安全保障上,大きなメリットだと言えるでしょう.
 中国の海運にとっての脅威が減少するばかりでなく,核武装した中国海軍の戦略原潜も容易に太平洋へ進出できるようになるでしょう.

 そもそも当の中国自体,およそ儲かる見込みがあったとは思えない戦争を,しばしば行っています.
 朝鮮戦争への派兵しかり,中越戦争しかりです.
 現在も,経済面で見ればマイナスのみ多い台湾侵攻を,着々と準備しています.

 したがって毛沢東語録一つ程度では,ろくなソースにもなりえません.
 人間は一般に,間違った見込みを立てることも多いですし.

 毛語録を盲信すると,こんな珍説おじさんになってしまうのでしょうか?▲

 ※位置がどう考えても違います.
 〔埋蔵量が〕イラク並み,北海油田並みにある(と中国政府が言ってる)油田はスプラトリーの方.

名無し in FAQ BBS

 ただ春暁ガス田の事例もありますので,力を背景に難癖をつけられたら弱いのには変わりありませんな.

ウィナ・ツァハル in FAQ BBS

中越戦争



 【珍説】
 未だに海洋国家とか軍事均衡論を語るのはちょっと問題ですね.
 グローバリズム時代を理解して下さいな.
 少なくともアメリカと中国とのつばぜり合いでしかないのが分からないでか.

intellipunk in mixi

 【事実】
 「グローバリズム」を持ち出して「アメリカと中国とのつばぜり合いでしかない」と言うのは,何にも分かってない証拠です.
 ロシアと欧州の動きをよく見てくださいな.

JSF in mixi


 【珍説】
 日本は中国に勝てません!!

 まず,自衛隊の戦闘能力ですが,たとえ装備で優位性を保っていても,運用する人間に問題があります.
 自衛隊の中に戦争について真剣に考えている人間がどれだけいるか?
 悲しいかな,戦争になったら逃げるという自衛官までいます.
 物量と士気という面では,圧倒的に中国に分があります.

 訓練の内容についても,自衛隊の演習なんて,事故を恐れるばかりに,形式的な儀式のようになっています.
 また,一方的に勝つ事をいつも前提に作戦が考えられています.
 状況を客観的に判断せず,自分たちはほぼ無傷で相手に多大な損害を与えることが前提になっているのです.
 多少でも実戦経験を持った中国軍と兵士の訓練度が違いすぎます.

 さらに,装備の優位性でも一部疑問があります.
 確かに性能上は一部の装備では,性能上は優位といえますが,とくに戦車など国産の兵器に関しては,実戦でのデータが全くない.
 アメリカやソ連制製の兵器の場合,世界各地の紛争で実際に使用され,そのデータを元に改良を重ねてきている訳です.
 ベトナム戦争時米軍のMー16小銃が,熱帯のジャングルでの戦闘において泥が詰まり撃てなくなったことがあるそうです.
 自衛隊の装備する小銃は主に64式ですが,普段は手入れが行き届いており,いつでも使える状況になっています,
 しかし戦場という過酷な状況で,はたして十分に性能を発揮出来るのか大いに疑問です.
 最新鋭の90式戦車においても,あれだけのハイテク武装をしている訳ですから,どんな異常が出るか解りません.
 それを修理出来るエンジニアがどれだけいるのか.

 その他,法的にも問題があります.
 自衛隊は絶対に先制攻撃を出来ませんから,領空及び領海に明らかに侵略を意図して進入してきた敵に対しても攻撃出来ないのです.
 ですから,中国軍は日本周辺に軍を終結させ,満を持して万全の体制を整えてから日本を攻撃することが出来るのです.

 米軍は,余りあてになりませんね,
 被害がある程度出てしまうとアメリカの世論がうるさいですから,ベトナムが良い例でしょう.
 それと中国軍が核を使用することはまずないでしょう.
 アメリカからの報復攻撃がありますからね.
 長くなったのでここまでです.

 【回答】
 失礼ながら,木を見て森を見ていないような気が.
 あなたが自衛隊について言っていることは,そのまま中国にもあてはまります.

 それに,戦争というのは総力戦でなければ比較できません.
 中国がロシアやインド方面の部隊まで撤収して対日戦に挑むでしょうか?
 それに対して日本側は全力で対抗できますし,稼働率を掛ければさらに差は縮まります.

 海を渡っての上陸作戦は,河を渡るのとはわけが違います.
 狭い英仏海峡でありますが,ナポレオンもヒットラーも渡ることはできなかった.
 制空権と制海権を完全に確保して充分な後方支援ができなければ,兵隊をミートグラインダーに放り込むようなものです.

 フォークランド紛争の時,アルゼンチンのたった数発のエクゾセと3隻の潜水艦が英軍にどれだけのプレッシャーを与えたか.
 日本の持つそれはアルゼンチンのものとは質・量共に桁が違います.
 中国軍,特に海軍に限って言えば指揮統制能力,ASW能力,広域防空能力などは皆無に等しく,全体のレベルは西側の1960年代にも達していないのではないでしょうか.

 空軍にしても虎の子のSU−27はその整備能力の稚拙さから,かなり稼働率が低いと噂されています.
 その他の機体は問題にもならんでしょう.

 これらは対日本だけでなく,急速に軍備を近代化させている台湾にも言え,中国が台湾に武力侵攻できる可能性は日を追って減少していると言っても良いでしょう.

 日本は豊かになってから高齢化社会を迎えたが,中国は貧乏のまま高齢化社会に突入するという観測もあります.
 このまま軍備増強を続けられるものでしょうか.
 私は個人的に中国は分割民営化の方向へ進むと見てます.

ぺぺ in 軍事板


 【質問】
 軍区とは?

 【回答】
 中国軍の管轄域の区分け.現在全国を7つに分けて管轄している。

 1.北京軍区
 首都の防衛に当たる7大軍区の中で最も重要な軍区で、司令部は北京にある。
 隷下に6個集団軍が配置されており、この数は軍区中最大である。

 2.瀋陽軍区
 2番目に重要な軍区で,遼寧省瀋陽に司令部がある。
 北京に近いだけでなく、極東ロシア、北朝鮮との国境地帯の警備が重要な任務となっている

 3.済南軍区
 山東省済南に司令部があり、ここには海軍司令部がある。
 特徴としては、海軍 も含めた大規模作戦を展開できる重武装の部隊が駐屯することと、受持ちエリアが7軍区中もっとも小さいことがあげられる。
 昔から山東人は軍人の資質に恵まれていると言われており、この軍区の将兵は精鋭と見られている。

 4.南京軍区
 江蘇省南京に司令部がある。
 台湾と対峙する軍区で、実力ある中距離弾道ミサイル部隊の基地が集中している。

 5.広州軍区
 台湾ともっとも近いところにある軍区。
 南シナ海で活動する海軍南海艦隊の司令部がある。

 6.貴州軍区
 内陸の雲南省貴州に司令部があり、ベトナム、ミャンマー、ヒマラヤ各国との国境を警備している。
 チベットも管轄している。

 7.蘭州軍区
 甘粛省蘭州に司令部がある。
 7軍区中最大のエリアを担当し、中央アジアの平原地帯で旧ソ連の新興独立国家群と国境を接する。
 また、核・ミサイル実験に関する責任を負う軍区でもある。

 現在,中共の軍事意思決定機関である中共中央軍事委員会には、主席、副主席、 国防相、4総部(総参謀部、総後勤部、総政治部、総装備部)の各部長、空軍 司令官、海軍司令官、第2砲兵司令官と,陸軍代表として済南軍区司令官が選出されている。
 歴史上、名将を輩出したといわれる軍人の国「山東」は、いまだかの国で重きをなしているようである。

 また、各部隊には、共産党からのお目付け役といえる政治委員(司令官と同格) がいる。
 これも、他国軍では見られることのない特異な制度である。

(おきらく軍事研究会)


 【質問】
 なぜ各軍区の海軍・空軍・第2砲兵部隊は、軍区司令官(陸軍)の隷下となっているのか?

 【回答】
 中国共産党軍では、革命の原動力となった陸軍の地位が異様に高い。
 したがって、通称「人民解放軍」として知られる中国の軍隊は「共産党陸軍」 のことを指す。
 そのため,他の軍種は「陸軍のおまけ」として編成され、扱われているのである。

(おきらく軍事研究会)


 【質問】
 最近,中共軍がものすごい勢いで兵器の開発をしてますが,なぜですが?
 特に軍用機(超ー7など)は毎年のようにつくってますが,もっと開発計画を一本化したほうがいいような気がしますが...

 【回答】
 まず,人民解放軍の装備の近代化は,元々かなり遅れていたことがあります.
 知っての通り,旧ソ連製の武装が主体だったものの,文化大革命で装備の改良も進まず,80年代末期に,米国を含む西側からの技術導入で近代化を図り,ルーフー級駆逐艦やジャガー戦車などの設計を始めますが,天安門事件後の禁輸措置であえなく頓挫.
 このため,ロシアからの武器技術の導入で近代化への道をつけることになり,旅海級駆逐艦の建造やソブレメンヌイ級駆逐艦・キロ級潜水艦・Su-27戦闘機の購入をはじめ,ロシアの影響を受けた兵器の開発が進みます.

 また,一部の西側国とのコネクションがまだ残っており,フランス製の兵器のライセンス生産を行ったりしています.J-10戦闘機はイスラエルのラビ戦闘機の改設計だと言われています.
 こうした試みが,ようやくここ数年で形になってきたようです.

 確かに今中国は大車輪で近代兵器の開発を行っていますが,西側兵器との差を詰めるには,まだ暫く時間がかかりそうです.

(名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE)

 技術がうまく向上するかどうかについては,以下の文章を参照されたし.

 ところで,さる航空電子研究所で一席話をさせられる羽目になった折りのことである.
 班長さんを始めとする幹部の人達と話をするものの,どうにも話が噛み合わない.
 そこで,
「機器の試験その他で最近,皆さんが飛行機に乗られたのはいつですか」
と問うてみた.
 驚いたことに,何方も「航空機搭乗の経験」をお持ちではなかったのである.
 「関東電専〔中国共産軍の若い学生に技術教育を施す,関東電気工程専門学校〕」で学生実験を受け持っていた頃の口癖,
「自己看,自己想,自己作(我が目で見,考え,我が手で為す)」
が思わず中国語で飛び出した.

 何しろ中国では,隋,唐の時代の「科挙の制」以来,ホワイトカラーを尊び,ブルーカラーを賤しむ慣習がある.自ら手を汚す事を厭うのである.
 だが技術屋は,「それではダメ.とにもかくにも現場に身を投じなくてはよい製品は生まれないし,進歩もない」
と,マア,このようなことで「話」を濁したのである.

 外国から図面を貰った「技術導入」は,一時的には技術の差を埋めたかの錯覚を生むが,技術の創造は生まれない.
 このことは昭和30年代の技術導入期に,我々が身に染みて経験したことだ.

 さて一方では,20年ほど前の1980年代半ば,造船屋さんから次のような話を聞いたことがある.
「東大でもその他の大学でも,造船の修士・博士課程を見て御覧なさい.
 日本人の学生は寥々たるもので,中国人,韓国人の学生が熱心に勉強している」
と.
 これからすると,日本の造船技術は大陸に渡り,中国・韓国の造船所で今,花開いているのではないか,と思われる.
 長々と駄弁を弄したのは,「将来の中国海軍」を占うのに,千年来の「科挙」の慣習が根強く残っている?,それとも新興国家の意気に燃えるテクノクラートが支配している?の2つの因子がせめぎ合う構図が,筆者の脳の深層から離れないからである.

(藤木平八郎 from 「世界の艦船」2005年9月号,p.70-71)


 【質問】
>中国は軍事力がこの10年で激減しています.航空機は半減しました.
>台湾のこの5年の武器移入量は中国の4.2倍で,差は開く一方です.
>台湾では中国が攻めてくることはありえないと言われています.
>日本で中国が脅威になるという話が出ているはバカげています.

これってマジ?

 【回答】
http://www.kenpou.com/gk1-1tao.htm#senso
で述べられている事ですが,現在,中国軍は量から質への転換を図っている最中で,武器の量は減ってますが,軍事費は物凄い勢いで増額しています.
 ま,田岡俊次って人は,政治評論家で言えば森田実,野球評論家で言えば中畑清みたいな人ですから,まともに取り合うのはアレです.

 参考スレ↓
【トンデモ?】 軍事評論家・田岡俊次

>中国は軍事力がこの10年で激減しています.航空機は半減しました.

 中国軍はこの十年で旧式装備を淘汰し,新機材取得を進める事によって軍全体のスリム化を計っています.
 これは空軍に限った話ではありません.
 機数において減少したのは,MiG-15や17といった,現代の航空戦ではもはや通用しない旧式機ばかりです.
 頭数は減っても打撃力そのものは寧ろ向上しています.

>台湾のこの5年の武器移入量は中国の4.2倍で,差は開く一方です.

 そもそも中台で輸入武器への依存度は違います.無意味な数値です.

>台湾では中国が攻めてくることはありえないと言われています.
>日本で中国が脅威になるという話が出ているはバカげています.

 2行が同じ流れであるとするならば,台湾侵攻が有り得ないからと言って,日本への脅威が存在しない訳ではありません.論理が破綻しています.

 また,別であるとしても,いくら最近台湾の大陸への帰属意識が高まっているとは言え,将来にわたって侵攻が有り得ないとは言い切れないでしょう.
 また,脅威となりうる,という話と,未だ脅威が及んでいない,というのは話が微妙に違います.

 どちらにしても,主観による断定が多すぎてお話になりません.


 【質問】
 中国の兵士の数は数百万人と言われてますが,一方で国境も広くたくさんあると思います,
 中国にとって人民解放軍の兵士の数はだぶついているのでしょうか? それともまだ少ないと考えられますでしょうか?

 【回答】
 まず,人民解放軍は政府即ち国家の軍隊ではありません.中国共産党の私兵です.
 まぁ中国共産党が一党独裁している以上,国軍と同様に扱っても差し支えありませんが.
 その辺ウィキペディアを参考のこと.

 削減については以下のような理由があり,それがデメリットを上回るからでしょう
http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/chosaku/pla9607.pdf
よりの引用です 重いPDFなので注意のこと.

 軍縮はまず兵員の五〇万削減からはじめる.一九八五年の統計によれば,解放軍の総兵員は四五〇万であったが,二年を費やして百万削減した結果,約三五〇万に減少した.
 これをさらに五〇万削減して総兵員を三〇〇万にしようとするものである.

 削減の根拠となる事実認識はつぎのごとくである.
 ・旧ソ連が解体したために国際情勢はますます緊張緩和にむかい,米ロはともに大幅な軍縮をおこなっており,世界で大規模な戦争が発生する危険は小さくなっている.
 ・ロシアは,主な精力を国内の経済建設にむけて,崩壊に瀕している国民経済を建てなおそうとしている.ロシアは中国との友好をのぞんでおり,経済交流を進めている状況下で北方からの脅威は基本的に解消した.
 ・中国は経済建設を中心とする方針を実行しており,経済的離陸を準備しているが,このためには軍隊を削減して,かぎりある財力を経済建設にもちいる必要がある.
 ・湾岸戦争を他山の石として,解放軍の指導部では「ハイテク建軍」(原文=科技建軍)の道をあゆむことで合意が形成されている.
 中国の国防経費は元来多くはなく,今後も大幅な増額はのぞめない.現代的な武器装備を準備し,自動化指揮をおこなうためには,兵員を削減し,軍務支出を削減する必要がある.

 また,兵力縮小への不満や,それの体現した形である反乱に対しては,現在7つある軍区を廃止し,党→軍区→各部隊となっていた命令形態を,党から直接各部隊に命令を伝達し,途中の軍区が大きな力を持つことを防ぎます.


 【質問】
 現在のEUの対中武器禁輸体制に抜け穴はないのか?

 【回答】
 武器の部品や軍事転換が可能な物資の輸出を完全には禁止していないため,各国の裁量の範囲が広く,抜け道が多い.
 実際,2004年にはEUから中国へ約500億円の武器輸出が行われている.
 以下,ソース.

EU:中国に476億円武器輸出禁輸に抜け道

 【ブリュッセル福原直樹】欧州連合(EU,25カ国)が04年,武器禁輸対象国の中国に3.4億ユーロ(約476億円)の武器を輸出していたことが7日,EUの内部資料でわかった.
 EUの武器禁輸は,武器の部品や軍事転換が可能な物資の輸出を完全には禁止していない.
 このため各国の裁量の範囲が広く抜け道が多い「二重基準」が批判されていた.
 資料によると,04年の輸出総額は03年(4.2億ユーロ)より低いものの,01年の5500万ユーロから飛躍的に増大している.
 国別では前年同様,フランスが最も多く約1.69億ユーロ.次いで英国の約1.48億ユーロで,両国ともに前年と同水準の輸出額.
 フランスは軍事用の電子機器や航空機関係の製品,爆発物などが多いとされるが,英国は詳細を報告していない.
 また,チェコが軍事用の火災防止関連機器など,前年の5倍以上にあたる約1900万ユーロ相当を輸出.前年1.27億ユーロだったイタリアは約200万ユーロだった.
 またEUは,米国がテロ支援国家に指定するイランやシリアへの武器の輸出も継続.資料によると04年,イランには電子機器など約4000万ユーロ相当,シリアには約200万ユーロ相当を輸出していた.このほか05年10月に武器禁輸措置をとったウズベキスタンにも,実際は約360万ユーロの武器を輸出していた.
 EUでは,フランス,ドイツなどが中国への武器禁輸の解除を求めているが,中国の人権問題などを理由に北欧諸国が解除に反対.日米も解除に強く反対している.
 一方,EUは04年,台湾にも2.1億ユーロ相当の武器を輸出していたという.

毎日新聞 2006年01月07日15:00


 【質問】
 ロシアの対中武器売却の動向はどうか?

 【回答】
 報道によれば,
・Tu22Mバックファイアを中国でライセンス生産させる契約を結ぶ可能性がある
・中国側は軍事衛星など近代的戦闘支援システムの売却も求めている
という.
 以下引用.

中国 露の超音速爆撃機 購入・ライセンス生産も

露軍事評論家 ビクトル・リトフキン氏に聞く
 【モスクワ=内藤泰朗】国営ロシア通信の軍事評論家,ビクトル・リトフキン氏は2005/8/24,産経新聞のインタビューにこたえ,中露両国が核兵器も搭載可能なロシア製超音速爆撃機ツポレフ(Tu)22Mバックファイアーを中国でライセンス生産させる契約を結ぶ可能性があると述べた.
 中国側がさらに,軍事衛星など作戦に不可欠な近代的戦闘支援システムの売却を求めていることを明らかにした.
 中国側は,Tu22十機程度の購入だけでなく,同機のライセンス生産を求め,ロシア側と交渉を行っている.

 同氏は
「十機程度のTu22では,近代兵器を有する台湾や日本など周辺国を攻撃するような軍事力とはなり得ない.
 広大な国境の防衛と,侵略に対する抑止力の保有という意思を示す政治的な意味の方が強い」
と述べ,地域の軍事バランスに大きな影響は与えないとの考えを示した.
 さらに,ライセンス生産に至っても,中国側がすでにロシア製戦闘機スホイ(Su)27のライセンス生産を行っている事実を例に,
「ロシアはSu27でも生産へのコントロールは失っていない.ロシアの部品なしにスホイは飛べない.ツポレフも同じ.
 問題はその金額だ.
 しかも,生産までには十年単位の時間を要する」
と強調した.
 1962年に初配備された同機の作戦半径は最大2200kmで,中国からモスクワには到達できない.
 また,ロシアのプーチン大統領が先日搭乗し,巡航ミサイルを発射した新型の大型戦略爆撃機Tu160ブラックジャックについては,作戦半径や巡航速度,到達高度などすべての面でTu22を上回っており,「売却はあり得ない」と述べた.

 ただ,中国側は,爆撃機のほかにも,軍事作戦の遂行に不可欠である軍事衛星やレーダーシステム,ロシア版空中警戒管制機(AWACS)A50などの戦闘支援兵器に強い関心を示し,売却を求めているという.
 また,ロシア国防省によると,中露両国の国防相が議長を務める中露軍事技術協力委員会が九月にロシア南部の黒海沿岸保養地のソチで開かれる.その際に中国への爆撃機の売却が決まる可能性もある.

 中国は,毎年十億−二十億ドルものロシア製兵器を購入する最大の顧客であり,ロシア側も,中露関係進展や欧州連合(EU)の対中武器禁輸の解除に向けた動きを睨みながら,輸出兵器の幅を広げている.

(産経新聞,2005/8/26)

 ビクトル・リトフキンがどの程度信頼できるソースかは不明.

 なお,この武器売却について,軍事専門家・江畑謙介は2005/8/30,NHK-BS1に出演した折,
・中国に輸出した兵器が中国によってコピーされ,兵器市場に出回るようなことになれば,武器輸出国家ロシアにとっては商売敵の出現となり,面白くない事態になるので,ほどほどの兵器を適度に渡す程度の関係となるだろう
との旨,述べている.


 【質問】
 現代の中国軍は志願兵制? 徴兵制?

 【回答】
 China's National Defensein2004(人民解放軍防衛白書2004)によると

Soldiers in active service are composed of conscripts based on compulsory military service (略) and volunteers based on volunteer military service(略)

ってことで,義務兵役(compulsory military service)制と志願制(volunteer military service)の混成.
 っつーか普通,こういうシステムを義務兵役制と言う.


 【質問】
 中国人民解放軍の、兵の俸給は?

 【回答】
 50元程度。
 日本円に換算する場合は、15を掛ければ感覚的に近いが、一般的な工場労働者でも600〜700元ぐらいは貰っている。
 物価の高い上海あたりでは、喫茶店のウェイトレスで1200元ぐらいの月収。

 人民解放軍の場合、軍の俸給では食っていけない分、副業に熱心になり、その利益の山分けが実入りの大部分を占めるが、それでも軍では食えないことから、優秀な人材はとっとと軍で受けた高等教育を武器に民間に転身し、軍に残った者は特権を行使したタカリで食っている。

(軍事板)

 なお,回答は'03年現在.


 【質問】
 中国軍はイラク戦争をどう評価しているか?

 【回答】
 毛沢東再評価に繋がっているという.
 以下,ソース.

 イラク戦争序盤で,予想外にイラクが健闘したことに,中国が喝采を送った.
 というのは,サダム・フセインの戦法が,かつての毛沢東が編み出した戦法と似ているためだ.
 中国では,
『フセインは毛沢東の忠実な弟子』
とまで言われているほどだ.

 まず,フセイン大統領は,自国民を全て兵士にするという『全民皆兵』で米英軍に挑んだ.
 これは,毛沢東がかつて唱えた,『一般市民を優秀な兵士に変える』という『人民戦争』に相当するというわけだ.

 さらに,フセインは米英軍を自国領内に引き入れ,ゲリラ戦で撹乱しようとした.
 毛沢東は共産党軍を率い,装備に勝る国民等軍相手にゲリラ戦を挑み,最終的勝利を手にした.
 サダム・フセインもゲリラ戦で,兵力・軍事技術・軍備で優位に立つ米英軍に対し,持久戦に持ち込めれば,かつての毛沢東そっくりになるはずだった.

 中国中央TVによく出演する軍事評論家,宋暁軍は,
『サダム・フセインが毛沢東の軍事思想を学んだという証拠はないが,米軍という侵入者に対し,フセイン大統領は形を変えた毛沢東戦術を巧みに駆使している』
と賞賛した.

 結局,イラクは米軍のハイテク兵器に圧倒されたが,これについても,かつての毛沢東軍事思想を賞賛する一つの材料になっている.
 というのは,毛沢東は1950年代後半,
『米帝国主義者に対抗するには,兵器・装備の近代化を進めなければならない』
として,『二弾一星(2つの爆弾と1つの星)』の緊急配備を命令した.
 当時は強い反対に遭った.
 経済政策の失敗で多くの餓死者を出すなど,とても軍備どころではなかったからだ.
 しかし,毛沢東は「二弾」である原水爆開発と,「一星」である軍事衛星を配備した.
 このような軍備近代化が再評価されたのは,湾岸戦争で,米軍のハイテク兵器を見せつけられてからだった.

 この3月の全人大では,国防費は前年比9.6%増と,伸び率では前年より8ポイント減と実質的な目減りとなった.
 しかし今回のイラク戦争で,
『米政府は世界の主人になりたいだけだ』
『アメリカの民主主義もまやかし』
などとの声が強まり,中国では国防費増額を求める声が強まっている.

 さらに,『アメリカは張子の虎』という毛沢東の有名な言葉が最近もてはやされるなど,反米機運が高まっている.
 このため,親米政権と言われた江沢民政権と一線を画したい胡錦濤政権も,『建設的な戦略パートナー』アメリカとの関係に神経を使わざるを得ない状況だ」

(林和立 from "SAPIO" 2003/5/14,P.48)

 また,もはや米空母は脅威にならないと考えている.
 イラク戦争を見ても,米空母は結果的に,タンカーのようにただ戦闘機を運搬しただけで,結局は巡航ミサイルや精密誘導弾などが勝負を決めた.
 これからの戦争はミサイルが主役であると見て,ミサイルを中心に軍備を進め,ミサイル開発,特に精度を高めることに注力している.

(趙宏偉 ZHAO Hong-wei, 中国政治専門家,法政大学助教授,
from "SAPIO" 2003/5/28, p.23,抜粋要約)

 中越紛争の教訓はどこへ行ったのやら…….


 【質問】
 中国のASAT実験に対する米国の反応は?

 【回答】
 中国との宇宙協力を凍結すると発表しています.

 米国務省は2日,1月11日にシナが実施した衛星攻撃兵器(ASAT)実験を受け,民間の宇宙開発分野における今後の協力体制を見直すと発表しました.
 宇宙協力は当面進められないということです.

 昨年4月の胡主席訪米の際,ブッシュ大統領との間で「民間宇宙開発分野で協力を行なってゆく」とする合意が行なわれ,昨年9月にはNASA局長がシナを訪問するなどしており,関係は進みつつありました.

 ⇒これは非常に重い内容ですね.大統領と国家主席の間で行なわれた合意を白紙に戻すというわけですから.
 一部では人民解放軍が暴走したとの話も出ているようですけど,胡主席や首脳部が知らなかったはずはなく,シナは政府ぐるみでASATを実施したと見るべきでしょうね.

 3日の産経はシナがASAT事件を03年から年1回の割合で行なっていたとしています.
 結局今回のは,はじめて成功したというだけの話なのでしょう.
 確信犯だったんでしょうね.

おきらく軍事研究会議,平成19年(2007年)2月5日


 【質問】
 中国軍の兵器の「GPS」ってのは,米国のあのGPS衛星のことを言ってるんでしょうか?

 【回答】
 中国軍が現在利用しているGPSは,アメリカのGPSシステムそのものです。

 中国独自のシステムと衛星測位システムはアメリカのGPSの民間用の電波を基本的に利用し、その誤差を静止軌道に3基打ち上げた衛星で修正しようとするものであり、アメリカ側が民間向けのGPSに使用制限をかけた場合は、無用の長物となります。
 アメリカの非友好国のGPS使用に対する妨害方法については、GPSに対するカウンター・メジャーの研究などとともに、詳細な研究がなされています。

http://www.globalsecurity.org/space/systems/gps.htm

 GPSに対するカウンターメジャーに対する対策がここまで研究されているということは,GPSを特定地域で使用不能にするための研究も進んでいることを示します。

 つまり、EU版GPSのガリレオが出来るまで、中国は精密誘導兵器の誘導を仮想敵国のアメリカのGPS(アメリカが任意で妨害可能)に頼ることになるわけです。


 【質問】
「中国政府が各国に,地震現場を衛星から写した写真の提供を求めた所,日本が最初に提供した」
という記事を見たのですが,本当? なんで?
 アメリカに依存している日本より,中国の方が立派な衛星持っていると思ったんだけど・・・
 これって,「中国側による各国軍事力の偵察」ではないのでしょうか?

 【回答】
 中国側による偵察かどうかなんて,ここにいる軍オタレベルで入手できる情報では今の所,判別できない
(そのうちどっかから情報が一般に流れてくる可能性はあるが…)
 で,中国の衛星技術はロシアから提供された「枯れた技術」が元になってるんで,特に飛びぬけて凄いというわけでもないよ.
 旧ソ連とアメリカが宇宙開発競争やってた頃のような,現代から見ればちょっと周回遅れな程度 .
 日本と比較してどのくらいというのも,日本はついこないだまで研究・技術開発目的にしか宇宙技術利用が法的にできなかったわけだから,状況や置かれた環境からも,単純に比較はねえ…

 それから,中国に渡したのは地球観測衛星「だいち」の観測データでしょ,
 基本的にオープンな情報だよ.
 偵察衛星と観測衛星じゃ得れるデータの性質が異なり,地震被害把握の為には観測衛星のデータの方が有用だろう.
 「だいち」だとマルチスペクトル以外に合成開口レーダーのステレオ情報得れるし,干渉法で過去との差分も求めれる.

 データを渡した理由は,各国が地球観測衛星を提供して,緊急時には互いに衛星画像を融通しあう取り決めがあるから.
 たまたまその時点で最も早く撮影が可能だったか,もしくはスケジュールが開いていた衛星が「だいち」だったのだろう.

国際災害チャータ
http://www.eorc.nasda.go.jp/charter/flow.html

 以下は「だいち」の四川地震観測データね,
 こういうの提供してんでしょう.
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/img_up/jdis_av2_eq_080515.htm
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/img_up/jdis_china_eq_080519.htm
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/img_up/jdis_opt_eq_080518.htm

 ちなみに「だいち」の可視光解像度は,日本の情報収集衛星なみ,
 つまりレーダー偵察衛星に比べても,恥ずかしくて出せないレベル.
 「だいち」の価値はそんなとこにあるわけじゃないのでね.

 日本は「だいち」などとは別に,ちゃんと先進水準の偵察衛星持ってる.
(多目的情報収集衛星,という名前)

軍事板
青文字:加筆修正部分


 【質問】
 胡錦濤は軍部を完全に掌握しているのか?

 【回答】
 以下の記事によれば,「軍権の完全掌握にはなお時間を要するとみられている」という.

中国・胡主席 軍掌握なお時間 強硬派,平和路線不満も

 【北京=伊藤正】中国は一日,建軍七十八周年を迎えた.昨年九月,軍のトップである党中央軍事委員会主席に就いて以来,胡錦濤共産党総書記(国家主席)は,軍を国の安全と社会安定の基礎とし,経済発展に応じ国防力を増強する江沢民前軍事委主席の路線を継承してきたが,軍内強硬派の圧力も絶えず,軍権の完全掌握にはなお時間を要するとみられている.

 一日付の軍機関紙「解放軍報」は「党の絶対的指導下で闊歩(かっぽ)前進しよう」と題した社説を発表,トウ小平理論と「三つの代表」思想を高く掲げ,江沢民建軍思想を貫徹,胡錦濤主席の一連の重要指示を真剣に実行しようと述べた.
 胡氏の指示とは,全体のバランスを重視した「科学的発展観」に基づく国防建設論で,これについて,同日付の党機関紙「人民日報」掲載の署名論文は,経済発展を基礎に,国防費を徐々に増加させる胡主席の方針は,江前主席の思想とも合致するとしている.
 解放軍報社説は,「党の絶対的指導」ないしそれに準じた言葉を十七回も繰り返して党への服従を訴え,軍内に指導部への不満があることを示唆している.
 中国筋によると,軍内には中堅幹部を中心に,指導部の対米協調路線などや装備近代化の遅れへのいらだちがあるという.
 胡錦濤氏は昨年九月の中央軍事委主席就任時の演説(未公表)で,西側自由化思想の浸透への警戒を呼びかけたが,解放軍報社説はこれを受け,「敵対勢力の『西側化』『分裂化』の策謀」に対し思想建設強化の必要を主張した.「策謀」の根源である米国への対抗意識が強まったと中国筋はいう.
 中国国防大学の朱成虎少将が先月,外国人記者に対し,台湾独立問題に関して核戦争も辞さないと公言,内外で波紋を広げた.
 台湾独立阻止は,国防力増強の口実にもなっているが,朱発言には思想的準備の意味が濃いと香港の中国系紙「大公報」は分析している.
 遼寧省軍区司令官の銭南忠少将も七月二十七日付「光明日報」紙で,「軍隊は戦争のためにあり,戦争に勝つには思想と訓練の強化を怠ってはならない」と「平和ボケ」を戒めた.
 今春の反日運動に大きな影響を与えたといわれる中国空軍の劉亜州中将も現状への危機感は一致している.

 米国の軍事力に対抗できる装備を求める声に対し,胡錦濤政権は経済建設優先の立場から,平和路線を基本にし,米日などとも協調する政策をとってきた.
 建軍記念日前夜の祝賀会で曹剛川国防相は「平和路線」を強調,中国は永遠に拡張主義や覇権主義はやらないと宣言した.だが西側軍事筋は,中堅幹部の批判が表面化しているのは,胡錦濤主席の限界と指摘,平和路線では軍は掌握できないとしている.
 こうした中で,胡主席は建軍記念日直前,抗日戦の拠点になった山西省を訪れ,退役老兵らを慰問,抗日戦勝六十周年のキャンペーン促進を図った.
 今月中旬から,台湾への威圧や米日への牽制(けんせい)が目的とみられるロシアとの大規模な合同演習を遼東半島で実施する予定であるなど,軍部の不満に配慮を見せだした.

(産経新聞,2005/8/20)


 【質問】
 中国の軍産複合体は,どんなものなのか?

 【回答】
 政策として,レベルが低い軍事産業を統廃合し,軍事技術を民需生産に転換していったことが出発点であり,軍需生産と民需生産の境が曖昧,非常に広範囲の民需企業が,軍事企業と関係を持っているという.同じ工場で軍需品と民需品が生産されていることもあるという.
 そして,民需生産で外貨を稼ぎ,軍事産業がハイテクを導入する仕組みになっているという.

 以下引用.

〔略〕
 ポリテクと解放軍の関係はもっとはっきりしている.ポリテクを傘下に置く「中国保利集団公司」は,一九九三年に創設された解放軍系の軍産複合体で,幹部の多くは軍人だ.故ケ小平氏の三女,ケ榕さんの夫に当たる賀平氏が副会長を務める.
 ポリテクはともかく,BVEの場合は航空事業を中心とし,専ら民需品生産を行っている企業のように見える.
 しかし
「そこに落とし穴がある」と中国軍事研究者の平松茂雄氏は話す.「中国の場合,表向きは民需品を生産する企業であっても,軍事産業の系列に連なっていることが多い.
 こうした中国軍事産業の実態について日本人は無関心すぎる」

■家電,自動車…技術を商品化
 軍需生産と民需生産の境のあいまいさは,そもそも両者が「同根」だったという歴史的経緯に由来する.
 四九年の建国以来,軍事優先の国家建設を進めてきた中国だが,六〇年代の中ソ対立をきっかけにソ連製兵器の輸入が止まり,中国の軍事産業は停滞を余儀なくされた.
 八〇年代半ば,そこに抜本的なメスを入れたのがケ小平氏だった.
「レベルが低い軍事産業を統廃合し,軍事技術を民需生産に転換していった.
 さらに,民需を促し,社会全体の経済・技術水準を上げることで,ハイテク兵器開発の環境を整える狙いがあった」
と中国研究機関,霞山会(かざんかい)の阿部純一主席研究員は解説する.
 軍事産業が生産に乗り出した民需品はテレビ,エアコン,扇風機のような家電製品から自動車,オートバイ,航空機,原子力発電所,人工衛星…と数え上げたらキリがない.
「軍事産業が持つあらゆる技術が商品化された」
と慶応大学の駒形哲哉助教授(中国経済論)は指摘する.
 中国軍事に詳しい三菱総合研究所の宇佐美暁主任研究員は,
「中国の工場では,民需品と兵器が同じ工場で生産されている場合がある.
 一方で民需品のラインが動いているが,もう一方を見ようとすると,
『こちらは見てはいけない.写真を撮ってはいけない』
と言われることがある」
と話す.

 こうして「中国の市場経済化と軌を一にして」(駒形氏)軍事産業の民需転換が着実に進展していく.
 軍事産業の総生産額に占める民需生産額は,七九年には8・1%にすぎなかったが,八五年52・5%,九一年65%と着実に伸び,九〇年代半ばに80%に達した.
 もっともこの数字はサービス業も含んでおり,工業製品に限れば約65%が民需生産に振り向けられている.
 やや古いが九五年に公表された国務院(内閣)のデータによると,軍事産業が生産する民需品は一万五千種類以上で,そのシェアはオートバイで60%,鉄道貨車26%,石炭採掘設備24%,自動車9%に達する.

 従来,国家丸抱えで採算も考えずに兵器を製造していた軍事産業にとり,急激な民需転換には困難が伴う.
 それだけに日本や欧米の企業との業務提携や技術協力は,大きな役割を果たした.
 日本が協力した分野としてよく知られているのがオートバイだ.
 ヤマハ発動機は建設工業有限責任公司と,本田技研は中国嘉陵工業股〓有限公司とそれぞれ合弁会社を設立し,その結果,中国製オートバイの生産は飛躍的に伸びた.
 この中国側企業はいずれも弾丸や銃砲,装甲車など陸戦系兵器を製造してきた軍事産業という事実は見逃せない.
 軍民転換した企業は分社化され,形のうえでは軍事産業とは別組織になっている.
 しかし
「民需品企業も,兵器生産をしている親会社などと企業集団という巨大な軍産複合体を形成しており,民需生産で外貨を稼ぎ,軍事産業がハイテクを導入する仕組みになっている」
と平松氏は話す.
 民需品企業は外国企業から得た技術を軍事転用させるためのダミーの窓口になっている可能性があるわけだ.

 中国国防科学技術工業委員会が発行する雑誌「国防科技工業」の〇四年四月号に掲載された次の記事の一節は,中国の「軍民協力」の現状をよく表している.
「現在民間のハイテク企業が参画している国防建設の大部分は,製品を代理輸入したり,部品を下請け生産する形で行われている」

■輸出の「危険性」監視には限界も
 もちろん日本政府も,軍事転用の危険がある製品・技術の輸出を見過ごしにしてきたのではない.
 経済産業省が主管となり,大量破壊兵器の開発,貯蔵に使われる可能性がある汎用(はんよう)品の海外流出に監視の目を光らせている.今回,ヤマハ発動機の事件もこの中で浮かび上がってきた.
 ただ,輸出規制品の情報提供を行う財団法人安全保障貿易情報センター(東京)の幹部によれば,
「ある製品がどれほどの性能をもち,軍事転用される危険があるのかは,実際に製造した人にしか分からない」
のが実態で,結局,最後の歯止めは企業が自らに課した倫理なのである.

浅井正智 from 東京朝刊 2006年02月06日

 ちなみに,
China army ups food safety checks
BBC:人民開放軍は,軍に納入される食品の安全性チェックを強化

Last Updated: Friday, 13 July 2007, 09:19 GMT 10:19 UK

という記事の中には,

> 中国人民解放軍は230万人の規模を持ち,軍内部で約10%の食料を自給している

という一文があることから,中国の軍産複合体には農業部門もあるものと推測される.


 【質問】
 中国人民解放軍が毒餃子で有名になった天洋食品を経営していたという話がネット界隈で見られるのですが,軍隊が経営する会社,という存在自体がいまいちピンときません.

 【回答】
 天洋食品が軍の経営かどうかまでは知らないが,中国軍は手広く民需企業を経営していて,それは航空機から農業まで分野も広い.⇒more

 中国の隣の北朝鮮でも,軍が違法ビジネスにまで手を染めているといわれている.

 で,中国のあれは純粋に経営難からだ.
 もともと軍閥が顔を利かせる文化があった国なのに,中央が軍を養いきれなくなって軍団ごとの自足を推進しちゃった.
 その結果,農園やホテルやレストランなど表の仕事から,ヤクザ顔負けの裏の仕事まで幅広く手掛けるようになってしまった.
 軍だけじゃなく公安もだけどな.

軍事板


 【質問】
 今(2007年),中国で話題沸騰の汚染食品,軍には納入されてないの?

 【回答】
 実際に納入されてしまっているかどうかは情報がないが,少なくとも軍当局はそれを疑っている模様.
 以下のような報道が出ている.

China army ups food safety checks
BBC:人民開放軍は,軍に納入される食品の安全性チェックを強化

Last Updated: Friday, 13 July 2007, 09:19 GMT 10:19 UK


 人民解放軍は,この度,軍に納入される食品の安全性チェックを強化し,その供給元 のモニターなどを強めるよう指示を出した.
 中国人民解放軍は230万人の規模を持ち,軍内部で約10%の食料を自給しているが,90%は外部の供給に頼っている.

 軍のロジスティクス担当のZhou Pengjunは
「人民解放軍への食料の安全性を高める事は,人民解放軍の戦闘能力を保障するために不可欠」
と述べている.

仮訳・ニュース極東板

>230万人の
>約10%の食料を自給

 ……おい.


 【質問】
 中国の訓練用「標的基地模型」について教えてください.

 【回答】
 支那奥地の秘密基地に「中印国境」や「臺灣空軍基地」の巨大模型が作られているようです.

 「中印国境」の1/500模型の紹介記事
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200607251213

 上記「中印国境」の巨大なジオラマ
http://tinyurl.com/n7ep2

 実物大の「臺灣空軍基地」の実物大模型の紹介記事
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200608251315

 上記「臺灣空軍基地」の実物(臺灣中部海峡側,CHING-SHUIの西隣)
http://tinyurl.com/rxc2u

 同,中国の演習用模型.拡大して良く見ると爆撃訓練クレーター?がギッシリ.
http://tinyurl.com/lujhg

 この模型の左上(北西)側にある城壁で囲まれたような巨大な穴状の構築物がかなり目を引きます.穴の大きさは2キロほど.
 もしかしてICBM基地か核貯蔵庫でしょうか?

 目いっぱい拡大すると,穴は巨大な洞窟の入り口のようで,入り口の前を道路が一本通っています.

 また,左のほうには空軍基地がありますね.
 こちらも目いっぱい拡大すると,施設や滑走路の状況,爆撃機や戦闘機などなど,あれやこれや見つかりました.

 ちなみに,アクセスしたのは8月末でした.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)9月12日

 ただし,上記のソースにはtechnobahnが含まれているため,要クロス・チェック.


 【質問】
 四川省大地震に対する中共軍の救難活動は,動きが鈍いのでは?

 【回答】
 「現代中国に関する考察」,2008/05/21 15:03付によれば,救助活動や復旧作業に遅れが生じていることは事実だが,以前に比べればまだマシ,中国当局の動きは「中国にしては」俊敏であり,日本と比べるのは酷であるという.
 なぜならば中国では当局の「献身的活躍」など期待できず,また住民に連帯感があるとも言い難いからだと言う.
 また,四川省党書記(つまり四川省のトップ)の劉奇葆共産党中央委員は,省内の軍隊を掌握し切っていないことが,今回の震災で露見した,とも述べられているが,どの部分を見てそう推察したのかは,同ブログでは述べられていない.


 【質問】
 四川省大地震に対する外国からの救助隊を,中共軍は歓迎しているようには見えないが?

 【回答】
 「現代中国に関する考察」,2008/05/20 21:58付によれば,それは仕方ないことなのだという.
 なぜなら中国の軍隊は古今を問わず,「合法的に武装した強盗」でもあるので,救助作業の過程で保存食でも金品でも見つければ,役得で自分の物にするが,たとえば,報道機関を引き連れた日本人救助隊が来れば,金品に目もくれないし,勤勉で実直,しかも訓練されているから作業も捗るという日本人救助隊は,中国兵にとっては目障りで仕方がないからだという.

 同ブログは以下のように続けている.

――――――
 仮に,「獲物」を山分けしている場面を映像に撮られたら,その兵士たちは即銃殺です,間違いなく.

 これで,中央の政府要人が,(中国史上初めて)続々と現地入りした理由の一端が,ご理解願えたかと思います.
 民間人の保護なのです.軍隊の略奪禁止が目的なのです.
――――――

 ありそうな話ではある.


 【質問】
 四川大地震のニュースで,災害地へ補給物資が届いているけど,人民軍は捜索救助活動で手一杯のため,被災者への配布まで至らないなんてことが,山積みの飲料水が雨ざらしになってた.
 軍も統率がとれてないのかな?

 【回答】
 よくあること.慣れてる日本が異常.
 ・・・規模は小さいが神戸でも起きたことだし,新潟では一旦「対応できないから待ってくれ」ってやって叩かれたりしてた.
 日本ですら起きるのだから,押して知るべし.
 中国だって大規模水害とかで慣れてるだろとかいう突っ込みもありそうだが(笑)
 あと,山のようなボランティアが来るかどうかにもよるか.

軍事板


 【質問】
 今の政治将校って何する立場なんですかね?
 副隊長とか副司令は,今でも政治部のポストなんでしょうけど,今の政治部って宣伝とか憲兵みたいなものになってると思ってよいのかね?

 【回答】
 浅野亮「党軍関係と軍の派閥」(所載『中国をめぐる安全保障』ミネルヴァ書房)によると,従来政治工作を担当してきた政治指揮官は,1990年代以降,専門的軍人の政治工作部門に対する発言力向上に伴い,相対的にそ の地位が下がっているとのこと.

 そして,政治指揮官のポストに技術系の高学歴幹部が就任する例が増えており,政治工作部門の「専門技術化」が進展しているとのこと.
 これは政治工作部門が生き残るためには,ハイテク戦争の勝利に貢献しないといけない背景があると分析している.

 また,政治工作部門は,高級幹部の子弟「太子党」の幹部が多く,「専門技術化」が縁故主義とリンクしていることも指摘されている.

軍事板


 【質問】
 武装警察とは?

 【回答】
 ウィリー・ラムによれば,武装警察(武警)は基本的には中共軍から分かれた形になっているが,実態は組織運営や階級制度など中共軍と同じと言ってよいという.
 部隊数や予算規模などは明らかにされていないが,約150万人,45個師団と推測され,国内の治安維持(暴動鎮圧,組織犯罪制圧,テロ対策含む),国境警備,消防・営林などの行政任務,水力発電・金鉱・交通の資源・インフラ管理任務も受け持っているという.
 胡錦濤は江沢民寄りの中共軍に対してもともと不信感があったが,2005年7月に北京で元軍人,約1000人が退職金増額デモを起こしたことから,さらに不信感を持つようになり,武警に軸足を移しているという.

 詳しくは『SAPIO』 2005/7/27号,p.90を参照されたし.


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