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『日本人は戦略・情報に疎いのか』(太田文雄著,芙蓉書房出版,2008.1)
この著者の新刊は問答無用で手に入れる.
私にとって太田さんは,そんな存在です.
〔略〕
今回の著書は一般国民向け著書の第三弾となりますが,おそらくこれまででもっとも社会に受け入れられやすい内容であるとともに,もっとも冒険を試みたものであると推察します.
戦略・情報に関する理論や概念を外国から取り入れようとする風潮に対する強烈な批判であるともいえます.
太田氏は,国史を省みてわが国には極めて高度な戦略・情報能力があると結論付けています.
〔略〕
かならずやあなたの人生に資する本です.
お薦めいたします.
―――おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)12月22日
『誕生国産スパイ衛星 独自情報網と日米同盟』(春原剛著,日本経済新聞社,2005.5)
IGS導入までのすったもんだが詳しく書いてあって,かなり興味深い本だった.
技術面で1,2箇所「?」ってところがあったけど,本筋にはあんまり関係ない.
「とある政府高官」「詳しく知る事情通」ソースが多いけど,物が物だけに仕方ないかな.
惜しむらくは,すでに絶版だってことか…
――――――アドバンスト杜聖 ◆REH634FRNQ in 軍事板
【質問】
日本は,自他ともに認められたスパイ天国であると聞きました.
何故,有効な対策をとらないのでしょうか?
【回答】
プロ市民がうるさいから
&
歴代政権が,そいつらを排除してでも対策をとる必要性を感じなかったから.
&
国民が対策をしない政権を支持しつづけているから
上に付け加えますと,
・近代日本では情報活動と特殊工作活動を混同している傾向があり,情報活動の重要性そのものが認識されていない.
・現代日本の外交は国内政治同様,派閥と利権のせめぎ合いの派生物であることが多く,「対象国の動きを読んで,こちらはこう動こう」という体制になっていないので,対象国の動きを読むために必要な情報収集・分析能力の必要性を感じてもいなければ,こちらの手の内を読まれまいとするための努力の必要性も感じていない.
という要素もあるのではないか,と愚考する次第.
(消印所沢 ◆z3kTlzXTZk他)
事実,以下の記述によれば,日本の政治家は今なお生情報の重要性を理解していないようである.
アメリカでは、大企業や主要金融機関の取締役会,国際諮問委員会(インターナショナル・アドバイザリー・ボード),政府の諮問委員会,ビジネス・ラウンドテーブルやビジネス・カウンシルなどに代表される有力経済政策団体,大学の理事会・評議委員会,シンクタンクや財団の役員会,そして紳士やエリートが集うボヘミアン・クラブに代表されるクラブなどが,情報伝達ネットワークのコアとして機能している.
紳士やエリートが集う名簿に,日本の政治家や官僚の名前を見出す事は殆どない.
この事実は,日本政治の致命的欠陥となっている.
ただし,小林陽太郎会長(富士ゼロックス)のように,少数ではあるが,日本の財界人の名前は見かけるようになってきた.
特に,現在の日米財界の情報伝達ネットワークは,より緊密になっている.日本の財界人は,生きた情報の大切さを知っている.
しかし,日本の政治家は今なおその重要性を理解しているように見えない.
ここに日本の最大の不安要素がある.
園田義明著『最新・アメリカの政治地図』(講談社新書,
2004/4/20),p.99-100,抜粋要約
【質問】
日本人は諜報が苦手なのか?
【回答】
太田文雄によれば,決してそんなことはないという.
以下引用.
[quote]
戦略の真髄はどこにあるかというと,諸外国を探し求めてみたけれども見つからず,家に帰ってみて自分の目の前にあることを再発見した,との意です.
戦略・情報観にしても,そして倫理観にしても,日露戦争後から先の大戦までの短期間の拙劣さをもって「日本人の戦略・情報観は・・・」と蔑む必要はないと思います.
[/quote]
―――『日本人は戦略・情報に疎いのか』(太田文雄著,芙蓉書房出版,2008.1),P.179
現代日本の問題は,小川和久が某所で指摘しているように,情報を組織の判断の中心に据える組織作りが,日本の中枢にはできていないこと.
+
【質問】
日本の諜報機関について聞きたいのですが、戦前は陸軍中野学校や内務省などが国内外の情報収集活動をしてたそうですが、戦後はどんな組織が情報収集活動をしているのでしょうか?
【回答】
日本の諜報機関ですが,タテ割り行政はここでも健在です(泣
防衛庁では防衛局調査課,陸海空自の各調査部.調査学校,調査隊.それに統幕の情報本部.けれどもボガチョンコフ事件やら何やら色々あって…….
国家公安委員会では警備局と,各都道府県警公安課や警視庁公安部.
コンスタンチン・プレオブラジェンスキーは防諜において評価しており,それなりに仕事はしているようですが,一方で法律の壁もあって,摘発したスパイも微罪での起訴しかできなかったり…….
法務省では公安調査庁.こちらは橋本行革の際に公安委員会との合併論が出たほどで,暴露本など読むと,能力にはかなり疑問符が…….
外務省では国際情報局に,総合外交政策局安全保障政策課,そして大臣官房室領事移住部邦人保護課.これもチャイナ・スクールだのアメリカン・スクールだのが蔓延っている外務省の現状では,能力的には大きく疑問で…….
国土交通省海上保安庁には国際犯罪対策室.これも長年,マンギョンボン号をスルーしていたからなあ……
経済産業省には商務情報政策局.フリーマントルの本では,JETROも広義の情報機関に挙げられていましたなあ.
これらを統括するのが内閣情報調査室という建前になっておりますが,実体は調査情報を外部発注に頼っていたり…….
(なお,当方の資料は01年現在のもの)
消印所沢 ◆z3kTlzXTZk
ちなみに「公安部」があるのは警視庁だけだ.
道府県警では
公安1/2/3課,外事課
に別れてるところと
警備第1/2課,外事課
に別れてるところの二つかな,だいたいは.
【質問】
現在の日本の情報収集には,どのような問題があるのか?
【回答】
省庁内での情報の握り潰し,出し惜しみがしばしば見られるという.
以下引用.
佐々氏の体験では,大使館員でも防衛庁や警察庁の職員という立場で接することで,情報が得られたが,その情報も外務省本省に握りつぶされることも多々あったという.
佐々氏は
「まずは各国日本大使館に派遣された警察,防衛両庁の職員に対し内閣官房との兼務辞令を出し,これらの兼務職員に情報機関職員としてのノウハウをちゃんと教育する.
例えば上海領事館の館員自殺事件のようなハニートラップ(色仕掛け)などは,情報の世界では初歩の初歩だが,知られなさすぎている」
と解説する.
今年六月,PHP総合研究所がまとめた論文「日本のインテリジェンス体制 変革へのロードマップ」の共著者で東京工科大の落合浩太郎助教授は
「今,内調に出向しているのは各省庁の課長補佐クラスで,そもそも所属官庁は情報を出してこない.
町村提言での情報補佐官については,強い権限を付与するなど,よほど強力に官邸がリーダーシップをとらないとまた情報の出し惜しみが起きてしまう」
と心配する.
佐々,落合両氏に共通する指摘は
「内調とは関係なく,まったく独立した対外情報機関を法改正のうえつくるべきだ」
という点だ.
どうりでハニー・トラップに引っかかる奴が次から次へと現れるわけやね.
【質問】
外国のサイトで調べてみたら,CIA,MI6等・・に並んで日本のジェトロが出てましたけど,そんなに凄いの?
【回答】
JETROは旧通産省系の外郭団体ですが,これを諜報機関と見なしてよいかどうかには,議論の余地があります.
JETROが行っていることは,諸外国の公開データ・報道などの収集・分析であり,CIAやSISのような非合法工作をおこなっているとする話は,寡聞にして存じません.
個人的関係を構築してのインサイダー情報の収集ぐらいはやっているでしょうが.
しかもその情報収集・分析は,経済情報に偏っており,軍事・外交は専門外としています.
JETROを諜報機関として上げたのは,ブライアン・フリーマントルが最初ではなかったかと記憶しております(その前にもいたかもしれないが).
その当時は,日本が大幅な貿易黒字をアメリカに対して出しており,日本脅威論が言われておりました.
反日派の合衆国下院議員が,日本車をハンマーでガッツンガッツンぶっ叩くパフォーマンスを盛んに行っていたのもその頃ですな.
そうした日本フォビアが,JETRO過大評価に繋がったのではないかと愚考いたします.
(消印所沢◆z3kTlzXTZk)
【質問】
日本は,対外諜報機関を,国政組織上のどの位置に設置すべきか?
【回答】
原田武夫〔外交シンクタンク代表〕によれば,首相に限りなく近いところに置くべきだという.
以下引用.
対外情報機関の設置が,拉致問題というすぐれて国家主権・国益の根幹に関わる問題を契機として行うものである以上,外交を司り,一国の舵取り役である内閣総理大臣に限りなく近いところにこの機関を置くべきことは言うまでもない.
ならなら,そうすることで,対外情報機関が汗水たらして現地から取ってきた情報に,何らのバイアスがかけられることなく,政策判断の責任者である総理へと届けられるからだ.
このことの重要性は,これまで,いわゆる「非外交ルート」による「外交」が横行し,その度に迷走してきた日朝外交だからこそ特に協調すべきことだろう.
だが,総理のお膝元と言っても,現在の内閣官房拉致被害者・家族支援室のように内閣府の内部に置くことには,かつて役人だった「現場感覚」から,私は抵抗感を覚える.
なぜなら,現下の内閣府は関係省庁からの寄せ集めの人員であることは明らかだからだ.
国内情報機関から手っ取り早く人員を内閣府に集めるのは良いが,その結果,統率のとれない混成部隊ができあがってしまったのでは元も子もない.
その意味で,あくまで独立したユニットを,新たな人材と共に創設する必要がある.
(from「中央公論」2005年7月号,p.172)
【質問】
外務省主導による情報機関設置には,どのような懸念があるか?
【回答】
上海総領事館館員自殺事件の情報が,週刊誌に載るまで内閣に知らされなかったことを見ても分かるように,現在でも「外交一元化」の名の下,外務省の情報の壟断(ろうだん)が起こっており,外務省主導で情報機関を作っては,この状態に何ら変わりがないだろう,と,高い確率で推測される.
以下引用.
≪再検討すべき後藤田構想≫
中国の反日運動,北朝鮮の拉致問題など「外務省の責任において対応することを,勝手に決定」することは,官邸も国民も許さない.
〔略〕
故後藤田正晴氏は「外交一元化」の名の下での外務省の情報の壟断(ろうだん)を憂え,橋本行革の折,「内閣中央情報局」の設置を真剣に検討した.
内閣情報調査室と外務省情報調査局,公安調査庁,警察庁警備局国際外事部,防衛庁情報本部など政府情報を統合し,総理,官房長官直属の機関にするというものだ.
人員も総定員法の枠内で,公安調査庁二千人の公安調査官の定員を一部転用して内閣に設置するという考えだった.
紆余(うよ)曲折を経て,結局,この構想は日の目を見なかったが,今また,上海総領事館の館員自殺事件を目の当たりにし,日本の安全は外務省に託すことはできないと,心ある国民の多くが感じているに相違ない.
政府系金融機関の統合などより,もっと大事な統合だと思う.
≪官邸の決断で実現は可能≫
各省庁から外務省に出向し,海外でそれぞれの分野で情報活動を行っている役人たちには,極めて優れた人材が多い.
だが「外交一元化」の名の下,彼らの情報は一元的に外務省に報告することを義務付けられている.
直接,自分の所属官庁に報告したり,総理官邸に飛び越し報告をすることは許されていない.
これでは,『情報天皇に達せず』(細川護貞著)ならぬ「情報総理に達せず」である.
例えば,警察庁警備局国際外事部は全世界九十五カ国に約二百人の情報官,警備官を配置している.彼らと約四十カ国に派遣されている防衛駐在官(警備官を含む)約八十人を基軸にすればよい.
「内閣中央情報局」は夢物語ではない.総理,官房長官の決断さえあれば,明日にも実現可能な構想なのである.
【質問】
対外情報機関を設けるという事は,国内防諜体制の整備へ,スパイ防止法制定へ,さらには言論弾圧へと繋がっていくのではないか?
【回答】
外交シンクタンク代表・原田武夫によれば,それは空理空論だという.
以下引用.
こうした「反論」は意外に日本の言論界で根深いものではあるものの,外交官の一人として,これまで厳しい国際場裏の現実を目の当たりにしてきた私から見れば,空理空論に近いものと言わざるを得ない.
なぜなら,かの有名な米国のCIAはいうまでもなく,世界のいわゆる「先進国」の中で対外情報機関を有していないのは,実に日本だけだからだ.
米国であれ,欧州の各国であれ,対外情報機関があることイコール「言論弾圧」だというのであれば,これらの国食いには「思想信条・表現の自由」のない,「反動国家」となってしまう.
これがいかにナンセンスな主張であるかは,もはや論ずる必要もないだろう.
もちろん,対外情報機関設置には,日本国憲法が保障する一連の自由権との関係で,細心の注意が必要である事を,私としても否定するわけではない.
そうしたハードル〔言論弾圧につながるという懸念〕があるからと言って,問題解決のための「切り札」をみすみす断念するのではなく,積極的に日本の「お手本」となってくれる国の例を探し出すことこそ重要なのではなかろうか.
( from 「中央公論」2005年7月号,p.167)
ドイツの場合,連邦議会にBNDに対するコントロールを担当する委員会があり,定期的にBNDの活動をチェックする仕組みになっている.
民主的コントロールの一環として,日本に創設されるべき対外情報機関にも当然,何らかの形で国会への報告義務が課せられることが予想される.
その際,案件の性質上,国会法でいう「秘密会」を開催し,普段は特別公務員として守秘義務のかからない委員(国会議員)にも口を閉じてもらう仕組みが最低限必要となる.
(同,p.172)
【珍説】
日本は従米をやめて自主防衛するために,日本版CIAを設置すべき.規模はMI5程度でいい.
警視庁,警察庁の二,三,四科(だっけか.うろ覚え.過激派と右翼と暴対科)と防衛庁の情報収集班と外務省の情報収集班と首相官邸の情報収集班一個に集合させるんだな.
何,EUに金つめばノウハウは教えてくれるっしょ.アメリカは賛成しないだろうからな,その説得が一番の問題.
機密費ってそういう事に一応使われてるらしいし.
【事実】
事と次第によっちゃ,EU諸国の対中武器輸出政策と隠れ実績について諜報活動をせにゃナラン国に,そのノウハウを教えるかな?
盗人に蔵の開け方を教えるようなモンでしょ.
MI5をバカにしすぎなような気がします.
いやそもそも,MI5って「防諜機関」じゃありませんでしたっけ?
どーせ比べるなら「MI6」のほうが妥当なんではと思うのですが.
後,単に彼は「CIA」より知名度が低いから(というか,彼が知らないから?),能力も低い程度にしか思ってるんじゃないでしょうか?
(そも,イラクやアフガンに関しては,歴史的に英国のヒュミントが居着いていたとか.)※
「入れモノ作って,学べばOK」というような,まるで一朝一夕で優秀な諜報機関が出来るような物言いをするのも,なんともはや.
後,作れ作れって喚く前に,まずスパイ防止法.
まあ,統幕系の情報本部,陸幕系の調別,官房系の内調,西部方面隊直属の新情報部隊,さらに外務省が提案した外務省独自の情報組織と分立しまくりの現在の傾向は,あまり好ましいものではないような気はしますが.
※9.11後,アフガンだ! イラクだ! で,米英軍の参謀や将軍サマが集まって会議した時,
英「で,現地情報員からの情報は?」
米「これが最新の衛星写真で・・・」
英「だから,現地からの情報をクレって言ってるだろうが.ゴルァ!」
米「だから,コレ(衛星写真)が最新の現地情報だって言ってるでしょ! ドルァ!」
英「###・・・んじゃあ,オタク自慢のエシュロンが掴んだ通信傍受記録から何か分かりましたか?」
米「記録は集まっているんですが,現地語が分かる解析員が足りなくて,現在急遽リクルート中です」
英「ポカーン.アフガンの現地エージェントも現在リクルート中なのかね?」
米「流石はMI6.良く知ってますね.CIAとデルタチームがドル札抱えてアフガンで探してます」
英「君らはホントに戦争する気があるのか?」
・・・・・・なんてやり取りがあったそうで.
ソースはニューズウィークだったっけ? うろ覚えスマソ.
まぁ,バグダッド・ランでは,デルタやシールズが先行潜入するまで,現地情報は英国側の現地エージェントに頼りきりだったそうで.
バカとしか言いようがない.
まず,なんで警察のマル暴まで諜報組織にいれなきゃならんの?
そのくせ公安調査庁というワードも出てきやがらねえ.
警察の公安とひょっとして区別できてないんジャマイカ?(笑)
第2に,組織を寄せ集めて大きくすりゃ能力も大きくなると思ってるわけか?
ガキか,こいつわ.(笑)
小川和久が言っているように
「まず情報を集約・分析して,その分析を元に政策が作られるような組織作り」
が必要であって,ハコをでかくすりゃ諜報能力上がるだろうなんてのはガキの寝言.
情報があっても,それを的確に分析できる人員を確保できなきゃ無意味.
9.11がいい見本なのだが,そのくらいのことも分からないんだろうか?※2
そもそもノウハウってのは培うものであって,そう簡単に買えるモンじゃなかろう.
だいたい欧州が同盟国でない国に,なんで自分のところの諜報機関の手の内を晒さなきゃならんの?
それに「EU」に,って何だ?
EUが一つの統一した諜報機関を持ってると思ってんの? NATOならまだしも.
その場の思いつきだけで喋るのは小林よしのりだけにしとけ.(笑)
※2
「情報,官邸に届かず」でありましたが,せっかく情報を入手しても,それが首相にまで上がらないとかいうケースもあるとか.
防衛庁の在外武官と市ヶ谷の直結ラインがようやく確保されたのが5年前だったか?
34 名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2005/10/29(土)17:50:55ID:???
機甲師団は廃止してもいい.失われたノウハウは金積めばアメリカが教えてくれる
36 名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2005/10/29(土)18:36:38ID:???
「攻撃型空母は日本でも簡単に作れる!
ノウハウはアメリカから教えてもらえばいい」
と言ってた小林よしのり信者が,昔2ch.マスコミ板にいたなあ……
【質問】
日本が手本とするべき対外情報機関は,どこがベストか?
【回答】
外交シンクタンク代表・原田武夫によれば,それはドイツBND(連邦諜報庁)だという.
以下引用.
ドイツは日本と同じく敗戦国であったにも関わらず,立派な対外情報機関(連邦諜報庁<以下,BND>)を有している.
BNDは伝統的にロシア・中央地域への浸透度が高く,その影響力は米国ですら一目置くほどだと言われている.
その一方で,「戦う民主主義」という単語がドイツ憲法学に由来することからも分かる通り,戦後ドイツは一貫して自由・民主主義の旗振り役として世界をリードしてきた.
そんなドイツに,情報機関後進国=日本が学ばない手はない.
( from 「中央公論」2005年7月号,p.168)
また,以下のブログの記述も,大いに参考になるだろう.
孫引きだけど.
中央公論10月号の佐藤優,手嶋龍一両氏の対談は非常に参考になります.
「SISやMI5のほか政府通信本部,国防省情報部という情報関連組織のトップと,外務・連邦省,国防省,内務省,警察の次官級高官で構成されるJIC(合同情報委員会)という組織があります.この中核をなすのが,JICの参謀役を務める評価スタッフです.彼らが,文字通り玉石混交の,おびただしいインテリジェンス報告から首相に報告すべきバリューを持った情報を選別し,報告書にまとめるわけです.インテリジェンスの本場イギリスのこと,さぞや多くのスタッフを抱えていると思いきや,ほんの20人から40人ほどしかいない.(手嶋氏) 」
彼らは関係省庁から選りすぐられた少数精鋭とのことですが,おそらく人材自体は日本も英国に負けず劣らず存在しているでしょう.ただし,手嶋氏は次のことを指摘しています.
「彼らは各省庁のインテリジェンスへのアクセス権を保証されている.ここが核心です.わが国にも,英国方式を真似た合同情報会議が内閣に設置されていますが,まずこの評価スタッフに該当する部分がまったくない.加えて致命的なのは,合同情報会議のメンバーが警察の警備・公安情報や外務省の極秘のインテリジェンスにアクセスしようとしても,「省益」の壁に阻まれてしまうことです」
佐藤氏も語る.
「私が入省した当時,これら(管理人注:在外公館からの電報)をもとにした「国際情勢日報」を毎日,内閣情報調査室に渡すことになりました.しかし「極秘情報」は提供しません.かといって新聞で報道されているような内容ではさすがにまずいということで,「取扱注意」ぐらいの電報の中から「いかにもすごい情報です」というような情報を切り抜いて,紙に貼って担当の事務官に手渡していました.」
それぞれの情報機関が重要機密を自分の機関で抱え込んでしまって,上にはクズ情報しか上げないという状況は,日本に限らず,情報機関同士の縄張り争いの激しいアメリカでも見られるそうです.
しかし,情報強国を目指して第一歩を歩みだそうとしているわが国ですから,こうした悪しき組織文化は何としても克服しなければいけないでしょう.さもなくば,関係各省のエースを集結させても,CIAクラスの人員と予算をかけても,結局は図体ばかりが大きい脆弱な情報機関がひとつ増えるだけ,という絶望的な状況が出来するだけでありましょう.たしかこの点は共同通信の春名幹男編集委員も指摘していたはずです.
それから,アメリカNSCについても見ておきましょう.
これについては,やじゅんさんが実にすばらしいエントリーを執筆されています.
米NSCの規模は人員約300人で,そのほとんどが政治任用だといいます.しかもそこで働く人々は各分野における第一人者.アメリカでは民間人のポストをそれだけ用意することもできれば,それほどの人数の有識者を集めることもできてしまう.
政治任用ですから,政権交代の際には,場合によっては百数十人の人がNSCから放り出されるのでしょうが,彼らが路頭に迷うわけではなく,彼らを吸収するシンクタンクであったり,大学であったり,組織が存在するわけです.
そして,新政権によって登用される有識者がまた掃いて捨てるほど存在しているわけです.
こうした有識者を一時的にでも吸収できるシンクタンクや大学などの研究機関が日本にはあまり存在していません.
日本における知的コミュニティの貧弱さが,日本版NSC(アメリカ型を目指すのであれば,ですが)の創設を不可能にしているという側面もあるのではないでしょうか.
そう考えますと,日本版NSCには有識者をスタッフとして登用して,その下に関係各省から実務者を付け,警察庁警備局・公安調査庁・防衛庁情報本部・外務省情報統括官組織など各情報機関に対して,「これこれこういう情報が必要だから上げるように」という形が,現状取り得るシステムではないかと思います.
もうひとつ,気になるのは,内閣情報調査室の扱いです.
NSCを内閣に置くのであれば,下手をすると同じような仕事をする組織が内閣に2つ…という,まさに屋上屋を架す事態になりかねません.
内閣情報調査室は人員約170人,情報衛星の運用のほか,国内外の公開情報の収集・分析を任務としているわけですから,NSCの任務と重なり合う部分がかなり出てきそうです.
NSCを統括することになる担当補佐官と,内調を統括する内閣情報官,NSCと内調の関係など,今後の議論を待つことになりそうですが,効率的かつ強力な情報機関を育ててもらいたいものです.
『talleyrandの備忘録』,2006-09-26 12:55:26
【質問】
自民党の対外情報機関構想ってどうよ?
【回答】
自民党の「国家の情報機能強化に関する検討チーム」座長の町村衆議院議員(前外相)は22日,米中央情報局(CIA)や英秘密情報局(MI6)に相当する対外情報機関を内閣官房に新設すべきとする提言を発表しました.
提言の中では
・日本の情報機能は脆弱・不十分
・体外情報機能の強化は一刻の猶予もならない
・新機関はCIAなど各国情報機関と情報交換などを含む協力関係を作ることが狙い
・機関の長は内閣情報官を格上げし,官房副長官クラスとする
・要員は,防衛庁,内閣情報調査室,警察庁,外務省や民間から人材を集め,情報のプロを養成する
・内閣情報官の下で情報の総合評価にあたる「情報補佐官」を新設する
・国家機密の保持を義務付ける法整備を行なう
などが上げられています.
⇒たぶんこれは,「金を出して他国の情報を買うことを前提とした,一本化された情報仕入れ窓口機関」のことでしょう.実践の話がまったく出ていないからです.
一読して思うのは,
・わが国には防諜のプロはいるが,果たして教育ができるだけの諜報のプロがいるのか? そんなことまで他国機関は教えてくれない.
・対外諜報の活動舞台は当然海外になる.機関の海外拠点は大使館なのか?
それならまったく無意味.大使館は官僚社会を海外で再現した組織に過ぎない.
・情報の伝達をどうするのか?フィルター抜きで諜報員と東京をつなぐ独自通信の確保が何よりも大事.
ということでした.
とはいえ,国家中枢でこういう前向きな話が出てきたのは素晴らしいことです.
まあ,情報活動をめぐる話は,国家に確固たる軍とその技術基盤があることが大前提になります.
そのことを先ず理解する必要がありますね.
イギリス秘密情報部 MI6 のMIは
Military Intelligence すなわち「軍事情報」
を意味しています.
【質問】
日本の対北韓(北朝鮮)諜報能力はどの程度か?
【回答】
外務省北東アジア課の課長補佐として,退官した2005年3月末まで日朝交渉の最前線にいた原田武夫(33)=シンクタンク代表=が出版した「北朝鮮外交の真実」(筑摩書房)によれば,
「国際場裏で死活的な意味を持つ『情報』について,日本外交は文字どおり丸腰だ」などと,情報力と戦略性の欠如が厳しく指摘されている.
原田は同著において,
「今の日本外交にあるのは,北朝鮮側に質問表をぶつけては,彼らのぶっきらぼうな回答と嘲笑(ちょうしょう)を受け続けることへの無邪気な忍耐心だけだ」
「一外交官であった者として悔悟の念を禁じ得ない」
と記している.
大幅な改善が望まれる.

【質問】
北海道や新潟で革新陣営(それも自主独立路線の共産党ではなく親ソ傾向が強い社会党)が強かったのは,ソ連軍の着上陸ポイントであった事と関係があるのでしょうか。
政党をはじめ官公労やマスコミを通じてソ連の浸透工作がまんまと功を奏した考えますが、いかがでしょう。
【回答】
民社党という政党が昔あったそうです。その春日委員長(?)がKGBに脅されたことがあったそうです。
手口は、委員長がモスクワ訪問した時、ソビエト女と一夜を共にしたそうですが、それを写真に撮られたそうです。
KGBが委員長に写真を見せて協力者になるように脅しをかけたそうですが、
「この写真を見れば支援者も俺が元気だということが分かるだろう。どんどん公表してくれ」
と委員長が言い切ってKGBを呆れさせたそうです。たしか委員長が自分で公表したと思います。すごい男がいたもんだ.
……ということを考えると、同様の手口の浸透工作が他の人に行われたのは確実でしょう。
KGBはセックススキャンダルによるエージェント獲得が得意で多数の実例が明らかになっています.
イギリスのスパイ史を調べるとオモロイぎらい多数出てきます.
まぁ、ほとんどがパブリックスクール人脈を利用したホモスキャンダルなんですけどね.
あと地元の人間にとっては
「もし万が一ソビエトが侵略してきて自衛隊が負けたら、ソビエト寄りの勢力に肩入れしておけば,身の安全が確保できるかもしれない」
という思いがあった。
「長いものには巻かれろ思考」にしたがって先手を打っていた、というのはかなりある。
うちの両親はそういう理由で近所の共産党員から赤旗買ってたな。
選挙が近くなるとなんか色々と良くして貰ってたし。
そのくせ家でソビエトのことを「ロスケ」以外の呼称で呼んだことないし、
「三島先生は正しかった」
「労働組合員と共産党員はみんな強制収容所に入れるべきだ」
と(家の中でだけ)堂々と主張してたどうしようもない人間だった。
そもそも自分が物心ついてから選挙に一度も行ったことがなかったし。
日本共産党に取り入ったりしたら,ソビエトが進駐してきた暁には真っ先に粛清の対象にされるだろう、ということを自分が知ったのはずいぶん後・・・。
まぁシベリアの強制収容所での話とか読むと
「天皇陛下万歳! 一億玉砕撃ちてしやまん! お前は非国民だ!」
とか叫んでた人間ほど,洗脳されるまでもなく自主的に
「民主主義万歳! 人民革命万歳! 米帝排撃祖国解放!」
と叫ぶ人間に容易に翻身した、って話が腐るほど出てきますからなぁ。
自分の身を守るためにはどんな汚い手段でも取るものでしょう。
もっとも、そういうコウモリは革命成就の暁には、全て始末されてしまうのでしょうが。
幸いにも当時対日工作に当たっていた共産党幹部やKGB幹部(こっちは自称だけど)らが内情を暴露した本を多数出版していて、たいていの図書館の日ロ関係の本棚に納まっております.
【質問】
「統合情報本部」「統合情報会議」とは?
【回答】
与党3党が、大規模テロや大災害などに対処するための政府基本方針を定める
「緊急事態基本法案」の中に盛り込んでいるもので,首相の権限強化と迅速な意思決定を可能にするため、各情報収
集機関が集めた情報を分析評価するためのもの。
「統合情報本部」で情報専門家が分析評価を行い、その報告に
基づき、上部機関である「統合情報会議」(議長・官房長官、メンバー・関係
閣僚)が意思決定を行なう。
(おきらく軍事研究会)
【質問】
日本の対外宣伝工作上,足りないところは?
【回答】
昨今,我が国の海外向け情報発信に関して,竹中総務大臣の「通信・放送の在り方に関する懇談会」や自民党の「対外発信強化を考える議員の会」などから意見が出ています.
内容については日々の新聞記事で報じられているので取り上げませんが,日本の立場を海外に向けて発信することはとても大切で,メディアの各チャネルを通じて実行する意味はあると思います.ぜひ推進していただきたいものです.
しかし国家広報という点でいえば,その前にすべきことはいっぱいあると思います.
たとえば欧米の有力紙・誌へのしかるべき専門家による投稿がそれです.
国際社会で影響力を持つといわれている新聞や雑誌は複数ありますが,たとえばそのひとつ「IHT(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン)」では,中国やパキスタンなどアジア人の手になる論説をよく見かけます.
しかし日本人の投稿を見たことはほとんどありません.
こういった論説がどういう経緯を経て掲載されるのかはよく分かりませんが,我が国の立場に立った国際的に通用する論説を提供する能力を持つ人は,各界に多くいらっしゃると思います.
そういう方々に翻訳サービスを提供したり,議論のルールを教えてあげたり,各メディアに分野別専門家リストを提供したりといった,ハードではなくソフト面で海外向け情報発信を公的に支援する体制の必要性を強く感じます.
また,以下のような指摘も受けている.
心許ない日本の「戦略的広報外交」
広く一般市民,外国の国民,NGO,内外メディアなどに働きかけ,政府の外交方針への内外世論の支持を形成することを,「パブリック・ディプロマシー」と呼ぶ.
比較的,新しい概念であるために,適切な訳語は今のところ見当たらないが,とりあえずは意訳も込めて「戦略的広報外交」と呼ぶことにしよう.
日中が米国を舞台に,歴史問題をテーマに広報で競争するとなると,日本側は相当な不利を抱えているといえよう.
(1)中国側のほうが,より多くの外交的資源を投資する覚悟がある.
なにしろ先方は,この問題に中国共産党の面子がかかっていると心得ている.
しかし日本側は,最初から気乗りのしない戦いである.
(2)そもそも戦勝国である米国の立場は中国に近い.
日本では国際連合と呼んでいる国際機構を,中国は正しく「連合国」と呼び,第二次世界大戦の戦勝国の集まりであると認識している.
(3)首相の靖国参拝の是非をめぐっては,そもそも日本国内で賛否両論がある.
世論調査は何度も行われているが,大きく言って「賛成四割,反対四割,その他二割」の構図はほとんど変化していない.
最近は,二大紙であるところの『朝日新聞』と『読売新聞』の両方が否定的な論陣を張っていることも,日本政府の立場を弱めている.
(4)説得力,資金力,英語力など,戦略的広報外交の基礎体力で,日本は中国に負けている.
「ワールド・ポリティクスはワード・ポリティクス」と言われるようになって久しいが,この手の「言葉の戦争」は日本が伝統的に不得意な分野である.
(5)歴史問題については,ユダヤロビーなど「歴史の再評価を許さない」勢力が西側メディア全体に影響力を有している.
彼らは,「日本はそれほど悪くなかった」という主張が,転じてナチス再評価につながることを警戒している.
さらに最近のワシントンの状況を考えると,日本の戦略的広報外交の立ち遅れはぞっとするほどのものがある.
二〇〇五年秋にワシントンのケネディセンターで行われた「中国フェスティバル」では,五〇〇万ドルもの費用が集められた.
主賓として招かれたパウエル前国務長官の講演料は,一回三〇万ドルという大盤振る舞いであった.
また,米国の企画責任者は,準備のため二〇回も中国に招待されたという.
このようにしてワシントンで公開された中国の伝統芸である人形劇では,日中戦争が演目となり,日本兵が中国の子供たちを殺す残虐な場面が延々と続き,観客が途中で退席する場面もあったという.
他方,日本側は官民ともに経費削減が続いており,二〇〇八年二月に予定されている「日本フェスティバル」に向けて,予算を捻出できるかどうかさえ心許ない状況である.
そうでなくとも,昨今の米国では中国に対する関心が高まる一方で,日本に対する関心は低下している.
たとえば学生が外国語の習得を目指すときに,アジアの言語では中国語が一番人気である.
また,学者がアジアを研究する際も,中国をテーマにするほうがその後の人生設計において何かと有利である.
対照的に日本研究は,「課題がない,将来性がない,カネにもならない」.事実,米国内の知日派は四十代以下の世代が育っておらず,ワシントンの議員スタッフでさえ,日本語を話せる者は今では一人もいないのが現状である.
この状態を放置しておけば,人的資源における日中の差は次第に広がり,米国の対外政策決定において中国に有利な環境が醸成されていくことだろう.
中国側から見れば,「ワシントンにおける戦略的広報外交」で日本を制すれば,同時に日米関係へのクサビを打ち込むこともできる.
日本側としては,「対米関係さえしっかりしていれば大丈夫」とも言えるが,そのための重石というべき小泉=ブッシュ関係も今年九月までであるし,その後のことはほとんど議論されていない.
日本にとって戦略的広報外交が重要なのは,日本が国際社会における味方を増やし,中国との対立において有利な条件を得るためだけではない.
忘れてはならないのは,中国の影響力増大を危惧しているのは日本だけではないということだ.
現在,世界の政治,安全保障,経済,金融などのあらゆる面で,中国の台頭はチャンスとリスクの両方を提供しており,「中国の影響力拡大にどう対応するか」がさまざまなシーンで熱心に語られている.
端的に言えば,その答えは「中国を国際的な枠組みの中に取り込む」ことに尽きる.
これは「対中封じ込め」を意味しない.たとえば,
1.国際的な核不拡散や北朝鮮の核開発抑止のために主導的な役割を求める,
2.WTOの一員として知的財産権などの不法侵害を防ぐ,
3.アジア・サミットの一員とすることで行動に枠をはめる
−−などは,すでに各方面で行われている.いわば中国を国際社会の一員とし,文字通りの"Responsible Stakeholder"に近づけていくことが肝要なのである.
こうしたなかで,日本もまたそうした国際的な試みの一翼を担わなければならない.
日本が中国を相手に「勝った,負けた」と一喜一憂しているようであれば,それこそ他国の顰蹙を買うばかりであろう.
第2次大戦での教訓が,全く生かされていませんね.
【質問】
日本がアメリカから受け取る諜報情報の質は,どの程度のものなのか?
【回答】
近年になって英・豪のレベルに届くほど,質が向上しているという.
以下引用.
Japan Gets a Special Relationship
アメリカの日本に提供する諜報情報のレベルがアップしている件
アメリカが日本政府に提供する諜報情報が最近は少しずつレベルアップしてきて,伝統的な同盟国である英国やオーストラリアのレベルに届いている.
最近の例では,インターネット利用のサイバーテロの情報などセンシティブなものを日本と共有するようになってきている.
日本は諜報情報収集には慎重であったが,1990年代以降(国内の毒ガス・テロ事件などを契機にして)活動を増大してきている.
1990年代末期に日本は諜報機関を改変し,諜報情報をまとめる部署を作った(Naicho).
北朝鮮と中国の脅威の増大に面して,日本は諜報活動を増加させており,東アジアで行動している日本人ビジネスマンを通じた情報収集などを行なっている.
そうしたやり方で日本は,北朝鮮などの諜報活動の困難な地域に対する例外的に優れた諜報情報の収集を行なっている.
以上のような各種の事情から,日米は諜報活動の分野で仲良くなってきている.
ストラテジーページ,2006/04/23
諜報情報の共有で英国やオーストラリアのアングロサクソン圏の同盟国と同じようなレベルになってきているのだという.
これが本当であれば良きことでもあろうけれど,スパイ防止法とかなくてだいじょうぶなのかすらん.
何しろこの国は性善説のお人好しが多くて,英国人のような悪〔以下略〕
軍事板
【質問】
「産経新聞」2008/1/6:軍事特許に非公開制度導入へ
この制度導入で,何がどう変わるのか?
【回答】
某所にて,特許関連の仕事をしています.
日本における特許制度は,技術を「公開する対価として」特許権を与えるという考えに立っています.
また,公開されていない技術に特許権を与えると,権利侵害を行わないために特許調査をきちんと行ったとしても,権利侵害をしてしまう可能性が否定できない,という産業の発展上,足かせとなる制度になってしましますので,日本では特許出願された技術は全て公開されていたのですが,今後は公開されない物も出てくるようです.
現状は,
特許電子図書館
にて,IPC(国際特許分類 :International
Patent Classification)検索で
F41 武器
F42 弾薬;爆破
で検索すると,公開されたものを閲覧できます.
ちなみに,日本の特許公報を通じて中国などに技術流出があるという話は,随分前からありました.
【おまけ】
宇宙戦艦空母特許
【質問】
日本の情報収集衛星は,あまり高精細にすると憲法違反になるから,意図的に解像度を下げてるという話はホント?
【回答】
ない.
やる以上はできる範囲で限界値を目指して当たり前.
ところがIGSのコア部分は民生品の転用で,国産化が決まってから特急で作ったもの.
数十年の歳月と数百兆円の予算を投下している米ロレベルのものを,いきなり作れるはずが無いのよ
分解能は何とか1m出せても,首振り能力が足りないとかの性能不足が指摘されているし.
『誕生国産スパイ衛星』(春原剛著,日本経済新聞社,2005.5)に,その辺の経緯が乗ってる.
一時は技術力不足を理由に,米国製部品の導入も検討されたそうだ.
◆◆◆外務省関連
【質問】
日本外務省のロビー活動はどの程度のものか?
【回答】
以下の事例から見て,不活発ないし効果的活動ではないのではないかと考えられる.
・98年6月,当時のクリントン米大統領は中国公式訪問の際,北京での晩餐会の挨拶でこう述べた.
「米中両国はかつて日本と戦った同盟国だった」
と.
前年10月,当時の江沢民・中国国家主席は米国公式訪問で最初にハワイの真珠湾に立ち寄り,日本の攻撃で沈没した戦艦「アリゾナ」の記念館に花束を捧げ,同じく第2次大戦中の「米中同盟」を強調した.
周到に用意された中国の対日嫌がらせだったが,なんとクリントン大統領は,これに「呼応」する形で中国に迎合したのだった.
「日米同盟にむざむざと楔を打ち込ませるような言葉を,当の米大統領自身に言わせてしまった外務省は,何をしていたのだ.
ホワイトハウスとその周辺への事前のロビー活動はしていなかったのか?」
同大統領に同行していた日本人特派員の間から,日本外交の脇の甘さを批判する声が上がったのは当然だった.
・93年秋,当時の細川護煕首相は,国連総会やアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議で訪米したが,細川内閣の武村正義官房長官が
「北朝鮮と親し過ぎる」
などとして,クリントン政権が事実上の解任へ圧力をかけてきたことがある.
細川首相は本気で内閣改造を検討したと言われるが,このときもワシントン特派員団の間では,
「同盟国からのあからさまな内政干渉という無様な事態が表面化するまでに,外交ロビーのレベルでなぜ問題を沈静化できなかったのか?」
との疑問が燻った.
・95年11月,クリントン米大統領は,予算を巡る,共和党主導の議会との対立で,「行政機能停止」の事態に追い込まれ,遂に大阪でのAPEC非公式首脳会議への出席を中止,代わりにゴア副大統領が来日して,時の村山首相と会談した.
この時にも在米日本大使館は直前まで「来日中止」の最終決定情報を掴めず,政府首脳の眉を顰めさせた.
・97年末に中国系米国女性,アイリス・チャン氏が,謝りに満ちた「南京事件」の本「レイプ・オブ・ナンキン」を出版して話題となった.
しかし当時の在米日本大使館は即座に抗議に立ち上がらず,結果的に同著の世界での独り歩きを許してしまった.
(斎藤勉〔産経新聞編集特別委員,元ワシントン特派員〕
from "SAPIO" 2003/12/10号,P.)
【質問】
情報収集する際の,外務省の基本姿勢は?
【回答】
VIPとの交友により人脈を作り,その筋からの情報を取得することであるようだ.
私には,大使館の役割について一つの理想像があった.
ある先輩大使が,その著作の中で,東南アジアのある国に大使として赴任した時,何を考えたか書いている.
それによれば,その国には多数の日本企業が進出しているのみならず,東南アジアの中枢に位置するその国の安定は,日本にとって死活的な重要性を有する.
そこで,その国の安定と治安の鍵を握る人たち,すなわちその国の王室と軍部および米国(さらには米軍)との付き合い,それを通じての情報収集によって,その国の動向を把握すると共に,我が国としての対応を考えることに,大使としての役割を集中したと言う.
もとより優秀な部下が,大使館の日常業務をしっかりと遂行し,大使を支えたからこそ,そうした対応が可能であった事を,大使も付言している.
駒野欽一著「私のアフガニスタン 駐アフガン日本大使の復興支援奮闘記」
(明石書店,2005/8/18),p.186
ただし,こうした情報収集のやり方は,「政府が現実を直視できていない」場合には必ずしも有効では無く,また,発展途上国にはしばしばそのような政府が多い.
また,偽情報を掴まされ,日本政府がいいように踊らされる懸念もある.
【質問】
日本外務省のチャイナ・スクールとは何か?
【回答】
対中謝罪外交を展開することにより出世ができるという構造を有する,日本の外交官僚および,贖罪意識に囚われた日本の「媚中派」の政治家のことを指す.
以下引用.
そもそもは,「中国語の語学研修を中国で受けたキャリア外交官」を指すが、最近では中国担当キャリア全体を意味して使われるようになっている.
省内にはアメリカン・スクールやロシアン・スクールも存在するが,「日本の国益よりも相手国の主張や国益の代弁者として働いている」点で,突出した派閥だと言える.
その嚆矢は,1955年のバンドン会議まで遡る.「対米自立外交」を打ち出していた鳩山一郎首相の意向で出席した,当時の外務省幹部達は,インドネシアのスカルの大統領や中国の周恩来首相らの「自主独立」の外交論に心を動かされ,とりわけ中国語の専門家を育成する必要性を実感したという.
アメリカ一辺倒の外交だけでなく,共産圏を含めたアジア全体と独自外交を展開するため,翌1956年から,後にチャイナ・スクールと呼ばれるようになる中国語専門のキャリア官僚を毎年養成するようになる.
その第1期生となった元外務省OBは,こう明かしている.
「当時の幹部は,共産圏ということで,ロシア語も中国語も同じようなものという意識があったようです.
しかし当初は,決して現在のように中国に対して弱腰ではなかった.少なくとも1972年,私が,中国大使館が作られる前にできた北京の『覚書事務所』に赴任した時代には,我々は色々と中国に対して言いたいことを言っていた.
中国は外交上手で,一度弱みを見せると,そこに徹底的につけ込む.今,弱腰になったとすれば,何人かの先輩が一度中国に弱みを見せ,それを見た後輩も影響を受けたからでしょう」
「江沢民の出世と合わせたかのように,日本でチャイナ・スクールのドンと言われた橋本恕(ひろし)元中国大使が,中国に従順な官僚を重用するようになった.この頃からチャイナ・スクール達が,外務省内でも異例な,自らが人事権を握れる特権を手に入れ,チャイナ・スクールは,より閉鎖的で独善的な存在になったと言われだした.
しかも,そのシステムは,中国に頭を下げれば下げるほど出世するといういびつなものでした」(外務省幹部)
チャイナ・スクールは,中国外交部で日本語を専門としている「ジャパン・スクール」と連携し,お互いが上手く出世できる秘密裏の人事システムも手に入れたため,彼らのいこうががいむしょう全体の意見として強く影響するようになった.
彼らは水面下で外交政策を話し合い,日中間の舞台裏で様々な取り決めを行う.そのやり方は簡単に言うと,表向き中国が「強気外交」を仕掛けて火をつけ,日本が「土下座外交」を行うことで収束させる.そしてお互いにその見返りに「出世」という実を取るというものだった.現実に、この10数年間で日本外務省のチャイナ・スクールと中国のジャパン・スクールは,それぞれの組織の中で大きな出世を果たしている.
その裏事情を差し引いても,日本のチャイナ・スクール達がとりわけ江沢民に弱腰だったのは何故なのか?
一つは江沢民自身が,内政でも外交でも「抗日」の旗印を最大限利用してきたことがある.
江沢民は,育ての親の叔父・江上青氏を「抗日烈士」と称え,出世のために江沢民自らも「抗日烈士の子孫」という虚偽紛いの経歴を売り物にしてきた.実際に対日外交では,98年の訪日時に,日本政府から巨額のODAを受け取りながら,小渕首相主催の晩餐会の席で「正しい歴史認識」を厳しく説教するというように,常に「反日強硬カード」を切ってきた.
チャイナ・スクール達は,この江沢民の持つ強大な外交権力を恐れてきた.
例えば中国共産党の組織内に「中央外事工作領導小組」という組織がある.中国の対日外交政策の基本方針は,実は政府機関である国務院・外交部ではなく,この組織で決められる.江沢民がこの小組のトップ(組長)を長く務めてきたことが,自虐的な日本外交のあり方を大きく決定付けた.
「この小組の方針によって,靖国問題,教科書問題といった,過去の日本の政治家や外交官達の保守的言動に歯止めがかけられてきた歴史があるのです.江沢民は今後暫くこの組織を使って外交政策を事実上牛耳ると思われるのは,来年の中国共産党大会までには中央外事工作領導小組組長に江沢民配下の政治局員が就任することが確実だからです.
江沢民が実験を握っている限り,外交部が経済政策などでいくら表向きは対日重視政策をとると言っても,将来も日本の外交政策や軍事政策には厳しく当たってくることは間違いありません」
と,ある中国共産党関係者は言う.
さらに,チャイナ・スクール達の弱点としては,外交政策を最終的に決定する江沢民には,決して交渉の場で接触できない不文律がある.日本と違い,中国の共産党主義体制下では,常に党が政府の上位に位置するだからだが,そこで歴代のチャイナ・スクール達は,日本の「媚中派」の政治家達を使い,自分達の意のままに対中国政策を手中にする手法をとってきた.
しかし,戦時中の贖罪感に囚われた日本の政治家達は,中国の表向きの顔である「日中友好」の甘言に誘われ,訪中時の恒例行事である中国側の接待工作の罠に嵌まった.
〔略〕
贖罪意識から抜け出せない政治家と,摩擦を避ける外交官という,二重のチャイナ・スクールの談合構造が,日本の対中外交が,江沢民率いる中国に連戦連敗を強いられてきた原因である.
〔略〕
(山村明義 from "SAPIO" '04 Jan. 08)
なお,2004年の全人代では,江沢民派閥への信任が極めて悪かったとされる.
「国家中央軍事委主席に再任された江沢民は,2946票の内,反対票・棄権票が220票と,全体の7.5%にも上った.江沢民の名前を消して胡錦濤の名前を書いてあった票が,36票もあった.これは極めて珍しい現象だ.江の人気のなさが分かろうというものだ.
さらに,江の腹心の曾慶紅(共産党常務委員)は,国家副主席に選出されたが,反対票177票,棄権票190票が出た.信任率は87.5%という極めて不名誉な数字となった.全人代の選挙で,信任率が90%を切ることは珍しい.
やはり江の腹心で,前上海市党委書記だった黄菊は,副首相選挙で91.75%と,4副首相の内,最低だった」
(ウィリー・ラム Willy Wo-Lap LAM, a journalist, from SAPIO 2003/4/23, P.48, 抜粋要約)
ただし,「SAPIO」は反中カラーの雑誌であるため,留意されたし.
なお,以下の記事によれば,中国の反日姿勢が高まるに連れ,「チャイナ・スクール」への与党の批判も高まっているという.
対中融和派起用せず 安易な妥協排除 官邸の強い意向
町村信孝外相が次期駐中国大使への起用を固めた飯村豊インドネシア大使は,入省後に中国語学研修を経験して対中融和派が多い「チャイナ・スクール」ではない.
中国が歴史問題などで対日攻勢を強める中,
「中国と安易に妥協しない人物の起用が必要だとの首相官邸の強い意向が働いた」(外務省幹部)
という.
現駐中国大使の阿南惟茂氏は「チャイナ・スクール」の重鎮として知られている.
平成十三年一月に赴任したが,翌年五月に中国・瀋陽の日本総領事館で北朝鮮から脱出した家族が亡命を求めた事件が発生.
その際,北京の日本大使館がこの家族の保護に積極的ではなく,これ以降,与党内から
「中国の評価ばかり気にしている」
と阿南氏への批判が強まっていた.
中国は,小泉純一郎首相の靖国神社参拝や教科書問題で批判を展開する一方,日本の国連安保理常任理事国入りに反対する姿勢を表明.東シナ海での石油ガス田開発や,原子力潜水艦による沖縄近くの日本の領海侵犯など日本への圧力を強めている.
それだけに,後任の駐中国大使について,政府内で
「中国寄りの『チャイナ・スクール』は困る」
との声が高まっていたという.
日中両国間では,首脳の相互交流がストップする中,外務次官級の総合政策対話や歴史共同研究など,関係改善に向けた作業も行われている.
飯村氏も対中外交の再構築が最重要課題になるが,「非チャイナ・スクール」の大使の登場に
「友好や親善で取り繕う傾向が強かった対中外交を見直す,明確なサイン」(日中関係筋)
との見方が強まっている.
また,以下のエピソードも,本当だとするならば,チャイナ・スクールなど有害無益だという証左だと言えよう.
安倍晋三政権成立後1カ月だが,日本外交が輝きを取り戻している.
東京にいる外国人情報専門家たちは
「率直にいって,小泉前政権と同一国家の外交か,にわかには信じられない」
と感想を述べている.
筆者は「その秘訣(ひけつ)は安倍官邸が外務官僚の能力を十二分に引き出しているからです.キーパーソンは谷内正太郎外務事務次官です」と答えている.
外部からは見えにくいが,日本外交を下支えするのは外務省課長クラスの官僚だ.課長がしっかりした人物だと,首相や外相の政策を外交の「ゲームのルール」に従った言葉に転換し,国益を実現することが可能になる.
外務省の中国課長には中国語を専攻したキャリアの外交官(いわゆるチャイナスクール)が就任することが不文律とされていた.
だが,専門家は視野が狭くなり,特にチャイナスクールの場合は中国当局者と腐れ縁があるので,いざけんかというときに毅然(きぜん)たる対応がとれない.
その辺の事情もあって,夏の人事で英語研修の秋葉剛男氏が中国課長に就任した.
チャイナスクールは猛反発したが,谷内次官が押し切ったという.
その結果,チャイナスクール内部にも危機感が走り,中国との「なれ合い外交」を続けているとスクール(派閥)が崩壊してしまうと考え,緊張感をもって今回の日中首脳会談を準備した.
派閥を守ろうとするのは自己保身に過ぎないが,官僚を動かすには国益と自己保身の上手な連立方程式を立てることが不可欠だ.
谷内・秋葉ラインは見事にそれを実行した.
例えば,温家宝首相との晩餐(ばんさん)会で安倍首相が行うスピーチに対し事前に中国側が変更を求める事態があった.
安倍氏は中国側の要請を拒み,スピーチを中止した.
従来のチャイナスクール主導外交では首相に頼み込み何とかスピーチを行う体裁を整えただろう.
秋葉課長だからこそ対応が変わった.
その結果,日中関係が悪化したわけではない.
むしろ9日に「中国政府より在中国日本国大使館に対し,北朝鮮が間もなく核実験を行うであろう旨の事前の情報伝達が行われた」(20日付内閣答弁書)という成果をもたらしている.
中国による理不尽な要求を安倍首相が拒絶したので,むしろ中国は日本に対して一目置き,情報協力を深化させたのだ.
【質問】
天木直人・駐レバノン大使が解任されたのは,本当に天木本人が言うように,
「イラク戦争で『米国追従』の小泉首相に,『米国の単独攻撃を食い止める』よう訴えた公電を全世界の公館に送ったが無視され,逆に外務省幹部に辞任を促された」
ことが原因だったのか?
【回答】
そうではないことを窺わせる情報もある.
以下引用
ある外務省筋によると,レバノンでは〔天木は〕イスラム過激派と関係が深く,「戦争反対」を強く訴えた背景には,彼らからの後押しがあったのではないかとの観測もある.
これがもし事実なら,天木氏は結果的に日本の世論分断工作に一役買っていたことにもなる.
(斎藤勉〔産経新聞編集特別委員〕 from "SAPIO" 2003/12/10号,P.86-87)
【質問】
外務省が硬直化した組織になっている原因は?
【回答】
前例主義になりがちな旧条約局による支配が,その元凶であるという説がある.
以下引用.
条約局は2001年1月に発覚した機密費詐欺事件後の外務省改革で,「国際法局」に改編された(2004年8月).
自民党の外務省改革小委員会は,条約局支配や,北米局とアジア太洋州局の対立構造などの縦割りの打破,入省後の研修で専攻した外国語毎の「スクール」主義の改善を狙い,条約局の廃止も提唱したが,外務省は国際法上のルール作りに積極的に参画させるとして,条約局を国際法局に改編したのである.
看板の架け替えでお茶を濁しただけだという批判は根強くある.
この条約局出身の官僚は「条約マフィア」と呼ばれ,外務省の主流を占めてきた.
旧条約局の仕事は,主に日米安保条約を始めとする条約の解釈と運用,国際法と国内法の整合性の確保であり,まさに旧来の外交政策の総元締めだったと言っても過言ではない.
条約局長経験者が最高裁判所の判事に任命される慣例も続いている.
官僚は何事も「前例主義」に陥る傾向が強い.
この性質は,冷戦構造というある種,安定した状況下では問題なかったが,先行きが不確実で複合的な事態には対応できない.
条文や法律の解釈を所管する条約局は,その象徴的な存在と言えるだろう.
湾岸戦争の勃発など国際安全保障環境の激変の波が次々と押し寄せる中で,前例に倣うだけでは通用しなくなってきた.
状況に応じて戦略を練り,柔軟に対処する外交が求められるようになり,外務省における旧条約局の主導的な役割に,自民党などからは廃止論が燻っていた.
久江雅彦著「米軍再編」(講談社新書,2005.11.20),p.138-139
ただし,本書は匿名ソースが多いため,その点,注意を要す.
また,岸田秀著『官僚病の起源』(新書館,1997.2)によれば,官僚には以下のような特徴があるという.
これらの殆どが外務省にも当てはまるだろうことは,想像に難くない.
(1)官僚組織は本来,国のため国民のためのものであるにもかかわらず,自己目的化し,仲間内の面子と利益を守るための自閉的共同体となっている
(2)しかも,その自覚がなく,国のため国民のために役立っているつもりである
(3)共同体のメンバーでない人たち,すなわち仲間以外の人たちに対しては無関心または冷酷無情である
(4)同じことであるが,仲間に対しては配慮が行き届き,実に心優しく人情深い
(5)身内の恥は外に漏らさないのがモットーで,組織が失敗を犯したとき,失敗を徹底的に隠匿し,責任者を明らかにしない
(6)したがって,責任者は処罰されず,失敗の原因は追及されないから,同じような失敗が無限に繰り返される.
◆◆◆警察関連
【質問】
「サクラ」の誕生は?
【回答】
戦後直後,武力革命を標榜した日本共産党などの左翼集団によって,日本全土で治安が悪化した頃に,GHQ指令によって創設されたという.
以下引用.
「サクラ」が一般の目に触れることになったのは,これまで一度だけだ.
1985年に発生した日本共産党幹部宅盗聴事件である.
その時,極秘機関≠ニして「サクラ」の文字が誌面に何度も乱舞した.
だがそれでも,その巨大なシステム≠フほんの一部が露顕したに過ぎなかった.
例えば,かつて「サクラ」が全盛の時代,その人数は全国都道府県警察に属する公安警察官の実に3分の1以上にのぼっていたという事実を想像し,理解することは難しいだろう.
また,それら数万名にものぼる公安警察官の活動の全てを,東京・警察庁のある部門で一括指揮していたという姿も,なかなか飲み込めないかもしれない.
〔略〕
アメリカ軍を主体とするGHQは,悪名高い特別高等警察の解体を含め,国家警察そのものを粉砕した.
だから戦後数年間,地方警察がバラバラに治安を維持していた.
ところがである.
武力革命を標榜した日本共産党などの左翼集団によって,日本全土で治安が悪化し,GHQの能力の限界を超えた.
そのため,日本人の手に治安権限を委譲することに迫られ,まず全国警察を束ねる組織,国家警察が復活した.
GHQが真っ先に日本国家警察に要求したのは,治安維持の実行部隊である機動隊の創設だけではなかった.
密かにもう一つの秘密指令を発した.それが「サクラ」の誕生だった.
「サクラ」に与えられた任務は,日本共産党や過激派集団の組織,メンバーの実態を掴み(実態解明作業),違法行為者の検挙(容疑解明作業)することであり,そのためには組織内部から情報を入手して破壊工作を防圧≠キること,つまり組織内に協力者を獲得し,運営することが急務とされた.
だが,その予算や装備は絶対的に不足していた.
そのため,アメリカ情報機関がその支援を行った.「サクラ」はアメリカ情報機関によって支えられた――決して明らかにされることはない秘史である.
だが当時は,綺麗ごとでは済まされないほど治安状況は悪化していた.
そのため,秘聴や封書開封がなされることもあった.
このあたりの様子から,公安警察についてダーティなイメージが作り上げられてゆく.輪をかけたのが日本共産党や過激派による徹底した宣伝工作だ.公安警察=悪者というイメージを日本人の心に植え込んだ≠フだ.
麻生幾 in "SAPIO" 2004/12/22号,p.23-24
ただし,本情報は「麻生幾」「SAPIO」のコンボなので,クロス・チェックを各自で行われたし.
「サクラ」のやっている(とされる)ことが,公安調査庁と被っているような気もするのだが…….
【質問】
「サクラ」はどのような活動を行っているのか?
【回答】
協力者を獲得しての情報収集活動であるという.
以下引用.
「サクラ」の任務は「協力者獲得作業」の一言に尽きる.
それは鉄壁なシステムによって運営されていた.
ファースト・ステップは工作会議における獲得作業対象の選定だ.
そして,いかにして相手を獲得していくのか,その作戦を綿密に立てる.
対象者の広範囲探索(コウタン),基礎調査(キチョウ),接触(マルセツ),獲得,育成というレベルにおいて綿密な手順を作り上げるのだ.
ゴーサインを出すのは彼らが所属する部門(組織管理上)の長ではない.全てが東京にいる「ある人物たち」にお伺いを立てるのだ.
東京・警察大学校.その一角にある部屋へ全国から「サクラ」要員が出向き,10数名ほどの「指導」と呼ばれた係員から直接的に指揮を受けた.
そここそが「サクラ」の心臓部だった.
トップはキャリアの理事官.彼は「サクラの校長」という符号で呼ばれた.
その下に1名の理事官付,さらに対象ごとに「指導」の係員が存在した.
キャリアは2年ほどで替わっていくが,「指導」の係官こそ実質的な「サクラ」の指揮官たちであり,全国公安警察を一手に束ねたのだ.
「サクラ」の掟≠ヘ鉄壁無比なものだった.
最も過酷なことは,獲得作業がスタートすると,常に「指導」たちへの細かい報告が求められたことだった.
特に4半期に1度の報告は「シーズン・レポート(SR)」と呼ばれ,公安警察官を震え上がらせた.
そして獲得作業の手順とその成果について,「指導」から徹底して追及されたのだ.
「サクラ」の凄さと恐怖は,この「SR」にこそある,と語るOBもいるほどだ.
麻生幾 in "SAPIO"2004/12/22号,p.24
「指導」が公安警察官たちに絶大な威力を持っていたのはそれだけではない.
最も大きいものが「予算」だ.「拠点設営費」,「作業費」,そして情報提供の「報酬金」の全てが国家予算から賄われ,つまりは「指導」が握っていた.
だからこそ「指導」の言葉は絶対であり,神≠ニも同じ存在となった.
その一方で,目標を達成した公安警察官は褒め称えられた.東京で盛大かつ密やかな表彰式が警察庁長官列席の上,執り行われてきた.
麻生幾 in "SAPIO"2004/12/22号,p.24-25
ただし,本情報は「麻生幾」「SAPIO」のコンボなので,クロス・チェックを各自で行われたし.
【質問】
「サクラ」は「チヨダ」,さらに「ゼロ」へと改編されたことで,能力はどのように変化したのか?
【回答】
「チヨダ」への改編では,外事警察を指揮下に置くことで,かえって強化されたという.
「ゼロ」への改編では,一括指揮していたシステムを廃止.役割はそれぞれの部門に分散されたが,全国規模で対処すべき案件に対して弱体化したのではないかという懸念の声もあるという.
以下引用.
名前を「チヨダ」に変更し,「指導」たちの場≠煢焜槙ヨの警察合同庁舎内へと密かに移転した.
しかし弱体化したかといえばそうではない.逆に強化された.
それまで外国の諜報活動と戦う「外事警察」の協力者獲得作業は「サクラ」とある部分,一線を画していた.
だが,外事警察独自の「指導」の机が,「チヨダ」の「指導」たちの横へ引っ越し≠ニいう形で「チヨダ」の全指揮下に入ったのである.
さらにオウム真理教事件を契機に,またこの名前がマスコミに漏れ,再び名前が「0(ゼロ)」に変えられた.今度こそ存在を消す≠ニいう思いが込められたのである.
〔略〕
変化はそれだけではなかった.
日本共産党を主敵≠ニするのはあまりにも時代にそぐわなくなったからだ.北朝鮮の脅威,国際テロ,組織犯罪…….今,そこにある危機≠ェ明らかに変化していった.いつまでも山深い日本共産党支部に協力者を獲得する時代ではなくなったのだ.
警視庁には「公安総務課」という「サクラ」の要員だけで発足した組織がある.
数百名を抱えるこの巨大組織に課せられた任務は,その殆どが日本共産党の調査であり,まさに「サクラ」の象徴だった.
だが,時代の波がここをも襲った.
オウム真理教事件での華々しい活躍以降,公安総務課は,外国人による組織犯罪やイスラム過激派対策の任務も付与された.
また,追尾や視察などを専門とする「特殊部隊」的な部門も誕生した.
そして3年前.「サクラ」から生き続けたこのシステムは,ある歴史に幕を閉じた.
それは「0(ゼロ)」名称がなくなっただけではなかった.
全ての部門の「協力者獲得作業」を一括指揮していたシステムを廃止.役割はそれぞれの部門に引き渡されることになった.各部門の専門性,複雑性が高まったこと――つまりは時代の趨勢――で,一括指揮することへの矛盾が発生したからだ.「0(ゼロ)」の指揮官が警察庁内で幅を利かすことへの批判も根底にあった.
だが現在,危惧する声が警察内部にもある.
つまり,オウム真理教事件では,電撃的な指示が「チヨダ」ラインで全国を瞬時のうちに駆け巡り,逃亡幹部の逮捕や,隠匿していた劇薬物の押収にも成功した.
再び全国規模で対処すべき犯罪集団が現れたらどうするんだ,と.
麻生幾 in "SAPIO" 2004/12/22号,p.25
ただし,本情報は「麻生幾」「SAPIO」のコンボなので,クロス・チェックを各自で行われたし.
【質問】
公安警察の刑事の特色は?
【回答】
北朝鮮嫌いや過激派嫌いが多いという.
また,実務に当たっては違和感のない風貌でいることが多いとか.
以下引用.
警察内には様々な部署がある.
それぞれが地域防犯や生活安全に重要な役割を担っているのだが,実際に警察に入ると,
「自分は将来,○○課で働きたい」
というふうに展望を抱くようになる.
もちろん,所属部署の好みは個人差によるところが大きいのだが,現実問題として凶悪犯人を追い詰めたいというアクティヴな性格を持つ者は,殆どが私服で捜査ができる刑事になりたいという意識を持っている.
特に最近では「捜査系」「生活安全系」「公安系」の刑事になりたいという希望者が圧倒的に多い.
捜査系はいわゆる殺人,傷害,詐欺,汚職,窃盗,暴力団関係といった事件を担当する.
生活安全系には水商売がらみの捜査に加え,銃器や麻薬の取締が含まれているので,風俗関係が好きな人にはいい職場といえる.
また,北朝鮮嫌いや過激派嫌いといった傾向の人には公安希望者が多いのが実情だ.
北芝健著『警察裏物語』(バジリコ,2006/6/16),p.65
潜入捜査をはじめとする特殊任務をこなす公安の刑事はもっと,バラエティーに富んでいる.
かつて過激派を捜査の対象としていた公安一課には,極左っぽい風貌の人もいるが,総じて町工場の事務員といった風情.ちょっと見た感じはぎりぎりホワイトカラーというところだ.
中には長髪の者もいるが,カジュアルな雰囲気がこの課の刑事の特徴と言えるだろう.
労働団体を担当してきた公安2課は,一課と違ってブルーカラー・タイプが圧倒的に多い.
刑事は担当する分野によって,違和感のない風貌でいることで,捜査をより円滑に進めているのだ.
北芝健著『警察裏物語』(バジリコ,2006/6/16),p.44
【質問】
刑事警察と公安警察との間には,対立はあるのか?
【回答】
以前はあったが,今は組織変革によって対立は緩和されたという.
以下引用.
警察組織の中で刑事警察と公安警察は激しく対立していた.
それが,2003年4月に「組織犯罪対策部」ができたことで変わった.
これは刑事警察と公安警察が融合された,警察機構最大の変革といえる.
この変革の大きな遠因となったのは,昭和50年代に起きた「連続企業爆破事件」だった.
大地の牙というテロ組織が次々と大手企業をターゲットに犯罪を重ねた事件だ.
このとき,刑事と公安が捜査一課の特別捜査本部の下に入り,捜査を始めた.
ところが,公安部だけは特別に,かつて消防庁の入っていたビルの一室に「極左本部」というのを秘密裏に作っていた.
ここが東アジア反日武装戦線「大地の牙」という組織を検挙してしまった.
刑事警察には公安の独自の捜査が全く知らされていなかったので,刑事警察の刑事たちは激怒した.
〔略〕
捜査一課の特別捜査本部は全く蚊帳の外に置かれてしまった.
この時,刑事警察と公安警察が殴り合いこそしないものの,お互いが反目し合うという異常な状況になってしまった.
しかし,その後は公安と刑事が表立って反目するようなことはなく,オウム真理教による凶悪なテロ事件では,むしろ公安と刑事が足並みを揃え,協力し合うような形で事件解決に当たった.
2002年9月27日,新宿・歌舞伎町の喫茶店「パリジェンヌ」で関東の広域組織,住吉会の二次団体「大昇会」の幹部が,中国東北部出身のマフィアらによって銃で頭を撃ち抜かれ,殺害されるという事件が起きた.
これを機に
「外国人マフィアvs日本人ヤクザ」
の抗争の図式が一気に表面化し,歌舞伎町は戦乱状態に陥った.
こうなると外国人犯罪だから公安が担当するとか,日本の組織暴力団の事件だから捜査4課が担当だというような明確な住み分けができなくなった.
この事件の半年後の2003年4月,警察機構は大きく変革され,それまでの刑事部と生活安全部,公安部の一部を合体させ,新たに組織犯罪対策部を立ち上げた.
北芝健著『警察裏物語』(バジリコ,2006/6/16),p.190-191
ただ,組織が合体したからといって,簡単に仲直りができるような単純なものでもないと思えるのだが.
なお,北芝はこんな「協力」エピソードも紹介している.
I巡査部長はボディビルダーで第2機動隊の潜水班にいたころから新宿2丁目に出入りし,美少年と酒を飲んでは少年を酔っ払わせ,自宅のアパートに連れ込んでいるという噂が絶えなかった.
ところが,このI巡査部長が所轄に移動してきたのだ.
しかも,このIの態度が極めて悪い.下の者に当り散らす一方で,上司にはぺこぺこ頭を下げながらおべっかを使う.
そんな様子を見ていて,周りからのIの評判は極めて悪かった.
そこで,ある男が公安部の刑事に頼んで,Iの持ち物を調べてもらった.
すると,ロッカーにしまいこまれたIのショルダーバッグの中から,ホモ雑誌が出てきたという報告があったのだ.
噂は本当だった.
北芝健著『警察裏物語』(バジリコ,2006/6/16),p.32
◆◆◆公安調査庁関連
【質問】
公安調査庁の能力は?
【回答】
おせじにも高いとは言い難い.
野田敬生の言葉を信じるならば,
「革マル派による対治安機関情報収集の実体が明るみに出て以来,本庁から,各局,地方事務しょにたいし,盗聴器のチェックが指示された.公安調査庁ではつい最近まで,施設の定期的盗聴チェックを行っていなかったのである.
しかも例えば神奈川公安調査事務所では,盗聴器探しの専門知識を持っている者が職員の中に少なく,苦労したとのこと.
別の事務所でも同じく盗聴チェックをしたところ,計器がやたら反応して,盗聴器を特定できなかった,という,まことしやかな笑い話もある.
ちなみに某革命的党派〔原文ママ〕のアジトからは,霞ヶ関の合同庁舎内の公安庁フロア配置図,関東公安調査局全職員の緊急連絡簿等など,多数の庁内機密文書が発見されたという.
99年には,インターネットに大量の公安庁機密文書が流出,果ては住所・電話番号付き職員名簿,約600名分が複数HPに掲載されるという不祥事が発生した.
私の在職時も,名簿は誰の手にも届くところに保管されており,誰でも自由に閲覧できた.慶弔・年賀の際,職員が丸ごと名簿をコピーするなど当たり前だった.
ただし名簿事件以降は,さすがに管理が厳しくなり,以前とは異なって,幹部OBでも名簿を入手できなくなったという.そのため,年賀状の手配に戸惑っているのだという」
また,菅沼光弘・元公安調査庁調査第2部長は,
「PSIAの北朝鮮情報は世界で最高だと言われたのです.それは何を隠そう,公安庁がヒューミントで入手する北朝鮮情報は,他の情報機関では真似のできないしろものだからです」
と胸を張る(月刊『宝石』 1996/6)が,北朝鮮分析担当者が本音で漏らすところでは,「朝鮮総連という針穴を通して,北の本国情勢を覗き見る」こうした方法は,全くのお題目になっているようである.
総連にとっても北朝鮮は閉ざされた存在であり,事前に重要情報が漏れ伝わる事は希だからである.
分析能力にも疑問がある.
公安庁では「分析」という言葉が,「取り纏め」,すなわち要約を中心とする文書作成と,ほぼ同義語になっている.
本庁調査部各分野の分析担当者の数は限られているし,毎日,全国から送られてくる大量の報告書ファックスに対応しなければならない.担当官はローテーションで,水曜会に提出する分析資料を作成しなければならない.
結果,本庁本部では,地方から送られてきた面白い話を適当に加工して資料を纏める傾向が強い.
だから地方からの報告書も,ある程度纏まった内容になっていることが歓迎される.さして資料を検討しなくても,そのまま他の2,3の報告書と繋ぎ合わせれば,簡単に1件の水曜会資料が作成できるからである.
現場調査官が収集した生情報で断片的なものを掘り下げ,取り纏めて報告するなら意義は大きいが,著者が見聞した範囲でも,「赤旗」の論調を取り纏めて本庁に報告する等という作業も行われていた.
公然資料に出ない生情報を収集するのが,現場の調査官の仕事であるはずなのに,現場も公然資料の半ば「分析」作業に追われている.地方で閲覧したインターネット情報を本庁に電装報告する等と言うのも,その一例だろう.
この間,現場組織でなければできない独自情報の収集はなおざりとなる.
公安調査庁の調査力が貧困なのは,こういう体質に原因があるのである.
(野田敬生「CIAスパイ研修」,現代書館,2000/3/20,p.87-89, 159-160, 197-198,抜粋要約)
【質問】
CIAは公安調査庁の能力をどう評価しているか?
【回答】
野田敬生の本の中にある,CIA職員Q氏の記述を信じるならば,「アメリカにとっては便利」.
CIAにとって,オウム真理教問題や北韓問題などで最も情報提供が多いのがPSIA(Public
Security Investigation Agency = 公安調査庁)である.
PSIAが非常に頼りになっている点は,紹介すれば必ず某かの回答をしてくれることである.
これは,NPA(national Pocile Agency=警察庁,この場合は特に警察庁警備局),JDA(Japan
Defence Agency=防衛庁)などの機関には見られない特徴である.
NPAには紹介しても,答が返らないことが多い.
ただし,紹介した件について,分からないことについて,素直に分からないとは答えず,何か情報を掴んでいるようなふりをされたりこともある.
公安庁からCIAに対しては,国政選挙に関する情報等も提供されている.
公安庁は現在も本庁調査1部1課で,選挙情報の取り纏め,票読みを行っている.テレビ速報や出口調査の発達で,選挙分析の重要性が相対的に減少したことは否めないが,今なお与党筋から重宝されているようだ.
例えば昭和61年の衆参ダブル選挙では,当時の選挙担当者が誇らしげに語るところでは,僅か4議席の誤差で当落を予想し,CIAからも高評価を得たという.
(野田敬生「CIAスパイ研修」,現代書館,2000/3/20,p.33, 160,抜粋要約)
【質問】
公安調査庁はCIAからどんな情報を得ているか?
【回答】
CIAでなければ入手できない軍事情報(北朝鮮とパキスタンのミサイル技術交流など)や,衛星画像情報等が公安庁に提供されているようである.
後者については,完成間近の北朝鮮原子炉施設の衛星画像が,CIAから公安庁に91年に情報提供された旨,公然資料にも記述がある(1996/7/24,ウォール・ストリート・ジャーナル,『北の核開発を遅らせようとする日本政府の思惑が挫かれた事情』)
もちろん,CIAからあらゆる情報が提供されるわけではなく,実際にはかなりの限定があるようだ.
例えば平成10年8月末のテポドン発射実験については,ちょうど1週間前に,豊嶋秀直・前公安庁長官がCIAを表敬訪問していたにも関わらず,何ら事前の情報提供がなかった.
当時,CIAからは外務省・防衛庁などに情報提供が行われていた模様である.
米朝協議の行方も日本の外交政策に大きな影響を与えるという点で,極めて重要な情報だが,米国の政策に直接,関わる問題であるためか,情報提供は行われていない.
もともと情報リークは,何の意図もなしに行われるものでもない.
月刊『宝石』 1996/6において,菅沼光弘・元公安調査庁調査第2部長は,次のように記している.
「金丸信副総理が北朝鮮を訪問して,自民党,社会党,朝鮮労働党の間で合意文書がかわされたときも,突然,核疑惑ということが持ち出され,日朝国交正常化交渉は中断しました.
このときは,米国から一枚の衛星写真が日本に送られてきたのですが,その写真には,北朝鮮の核疑惑を裏付けるような原子炉施設が写っていたのです.
ところが,この原子炉は60年代から開発されていたもので,その存在をずっと前から米国は知っていたのです.
それがどうして,この時期に写真が送られてきたのでしょうか?
要するに,政治的思惑が働いているのです」
手放しにCIAとの情報交換を誇れるものでもないことが分かる.
(野田敬生「CIAスパイ研修」,現代書館,2000/3/20,p.,抜粋要約)
◆◆◆自衛隊関連
【質問】
現在,防衛庁ではどんな情報戦略計画を立てているか?
【回答】
2004年12月に閣議決定した防衛大綱は、テロなどの「新たな脅威」に迅速に対処するため、最先端の情報技術(IT)を防衛力に反映させる方針を打ち出している。
「今後の情報通信政策」と題する戦略計画は、この方針を具体化するための5カ年計画(05〜09年度)。
防衛庁は初年度にあたる05年度予算案で、2115億円(前年度比607億円増)の情報通信関係費を計上。
この内、戦略計画を前提とした新規の整備予算は1394億円(同751億円増)となっている。
衛星通信については、現在も自衛隊専用の回線はあるが、音声中心の低速・小容量で、使用できる範囲も日本周辺に限定されている。
新たに導入する通信システムは、テレビの衛星放送などで使用されている大容量の商業衛星(Kuバンド衛星)を利用、自衛隊の派遣先の海外から映像がリアルタイムで日本に送られるようになる。
使用範囲は,米国防総省がテロの温床地帯として名付けた「不安定の弧」とほぼ重なる地域で、日本周辺はもちろん,極東の範囲を大きく越え,中東やアフリカの一部も含まれる。
【質問】
自衛隊ではどの程度の言語教育を行っているのか?
【回答】
自衛隊関係者によると,陸自において露華鮮語の教育課程が存在する以外は,考慮の対象外だった様子.
国際貢献によって組織として海外に出る事の増加により,今後は改善されるだろうと見られる.
以下引用抜粋.
自衛隊が訓練だけやっていた頃は(タテマエはともかく,真の意味での)敵が顕在していませんでした.自衛隊の情報活動は米軍のお手伝い,と一部の 人に揶揄されましたが一面の真理でした.
情報収集能力も同分析能力も,米軍と自衛隊とでは段違いの差があったから,どこかお手伝いで分け前を貰う,点数を稼ぐような感じでした.
それを裏付ける例の一つが語学教育です.
英語教育もお座なりでしたが,仮想敵の言語である故に極めて重要な筈の露語, 華語,鮮語,はたまたシーレーンや紛争地域として海上作戦に大いに関係の予想される地域のアラビア語,インドネシア語,タイ語,その他にも使用人口が 多くて汎用性のあるスペイン語やフランス語等,関係のありそうな言語教育は 全くと言って良い程考慮されていませんでした.
陸自は露華鮮の各言語については独自の教育課程も持ち,多少の意を用いて計画的に養成していたようですが,アラビア語等は海自と同様でした.
湾岸戦争で自衛隊の後方支援参加が取りざたされた平成2年当時,陸幕長が
「陸自にはアラビア語の分かる人間が4人しかいない」
と嘆きましたが,海自 では
「えっ! 4人もいるのか!!」
と驚いた記憶があります.
防衛交流でかなりの自衛官が海外にでています.
交流内容も一部のものが知る専門的 なものから軍事全般のものもあります.それぞれ求められる語学能力が異なります.語学能力より専門性が優先するものまであると思います.
しかしながら,国際貢献が本来任務となり,組織として海外にでる機会が増え ると思われます.語学の必要性・能力は,従来より高いものとなり,それに対応するものと思っています.
【質問】
自衛隊の情報活動はどの程度か?
【回答】
「かつては新聞スクラップ・レベル」.
やっと最近,「普通の国」レベルに近づいてきた.
なにより「情報・秘密の保全についての意識が希薄」とのこと.
以下,引用.
私の先輩に,家庭の事情から艦隊勤務を離れ,陸上勤務になった方がいます.
優秀な方で,英語学生にも選ばれ,将来の米留(アメリカ本土の海軍の諸学校 に留学し最新のスキルを勉強する)が約束されていた方でした.
その方は,海幕の情報関係勤務となりました.
家へ遊びに伺って,酒が入り暫くすると,仕事の愚痴が出て(出ること事態情報 関係者にあるまじきことですが),「朝刊各紙の切抜きをスクラップして上司の机に置く」ことが仕事だったそうです.
情報本部も出来る前のことですので,今現在は違っているでしょうが(違ってい て欲しい!!)その程度だったそうです.
イギリスのMIとはあまりにも違う現実に,がっかりした記憶があります.
MIは要員を新聞広告していますが,自衛隊の情報本部もネットでも募集していますね.
因みに私の艦の初代艦長はソビエトから「好ましからざる人物」として追放され た防衛駐在官でした.
話がそれましたが,「だめな点」について.
私の勤務時から情報・秘密の保全についての意識が希薄でした.
情報の重要性 ・秘密の厳守,このことについてあまり突っ込んだ教育もなく,そのまま漠然と 受け入れていた感があります.
自衛隊では採用時にその人間のこれまでの生活環境(共産党関係者が親族にい るとか)を調査し,その後の参考にしていました. 私のときは警察官が近隣に聞き込みに来たそうです.
そういったことの積み重ねから秘密に対する関与区分が出来るのです.
参考図書の上に「秘」や「防秘」と記されていてもあまり意識してはいませんでした.
〔略〕
艦内の保全区画でも秘密区分はあっても,職種が違えば入れないのが建前ですが,建前で終わっていました.
やはり情報畑の人間には,徹底した秘密保全教育と選抜が必要だと思いますね.
自衛隊が安全保障の柱として国家国民から特に期待されることもなく,日陰で黙々と訓練のみやっていた時代には,情報部門はオマケ分野でした.
訓練や演習は幕僚の誰かが企画するわけで,書かれた想定やシナリオも見え見え,仮想敵の情報も,それまでの経験や様々な人間関係を通じて,だいたいのことは読みとれます.
だから,情報専門の部門に頼らなくても作戦部門だけで充分 に対策がとれたのです.所詮は身内の腹の探り合いですからね.(^-^;)ゞ
一方,現実の世界(業界用語で「リアル・ワールド」)の重要な情報は,米国が (日本に必要と判断すれば…ですが)リリーズしてくれる「オンブにダッコ」, それだけであまり困っていなかったのです.
そのようなわけで,単なる訓練ばかりやっていた時代には(露骨な表現ですが),エリートとされる人達は殆ど情報調査部門には進まず,情報部門のトップの人 事も大抵は畑違いの外様が占めるような有様でした.
したがって,人事管理, 要員養成,教育体系などもお座なりで,士気も高いとは言えませんでした.
約30年弱前頃から,既に一部の分野では極めて生臭い情報を扱い始めていま したが,それは本来の情報屋さんではなくて,作戦部門の優秀な人達が,自分の業務範囲を広げる形で扱っていました.
これも情報部門が軽視されていた証です.
今では,防衛力への期待が高まると共に,情報組織にも「ひと・もの・かね」が注がれ始めて,やっと「普通の国」に近付いてきました.
喜ばしい限りです.
【質問】
自衛隊に新設される「情報団」は,具体的にどんな組織になるのか?
【回答】
基本的に「防諜」(敵による謀略や情報活動に対抗すること)がその任務となるようです.
「今の時点で感じていることの一つは『調査隊』です.情報団関連のマス
コミ報道には一言もできてきませんでしたが,この部隊は対情報・スパイ対策を専門にしていますので,この辺に何かあるのかな?等
と考えています.」(某専門家)
「情報組織については,以前より陸上幕僚監部別室や内閣調査室など,諸外国
のCIA,モサド,MI6などのような組織は存在しており※,特別関心にあたることではありませんが,強いて挙げれば,長官直轄というところでしょうか.
最も長官直轄部隊というのは,自衛隊で言えば自衛隊の組織の中でも,自衛隊の通常遂行している主たる任務以外の部分にも使用出来うる組織に他なりませ
ん.有り体に申し上げれば,何でも屋とも言えるかも知れません.
現在は航空支援集団に所属する輸送航空団も,以前は長官直轄部隊に所属しておりました.
自衛隊の組織変更が行われ現在のような編成となりましたが,前のカンボジア,
アフガニスタン,ソマリア,イラク派遣などに対応するのと,自衛隊法などの改正も影響しております」(元空自隊員)
※予算・人員規模に各段の違いがありますので,同列に見る事には問題がありますが……
【質問】
戦後,日本で諜報機関が作られなかった理由は?
【回答】
「特高警察の再来だ」などと批判する勢力がいたためだという.
以下引用.
元内閣安全保障室長の佐々淳行氏によれば,戦後間もなく当時の吉田茂首相らが中心になり,内閣情報局という対外情報機関を立ち上げようとしたが,「特高警察の再来だ」などと批判され頓挫した.
そのあおりを受け,日本では本格的な対外情報機関の創設は見送られ続け,内閣情報調査室(内調)はわずか八十人の正規職員しかおらず,CIAなどから見ると幼稚園並みの組織だという.
どのような政治勢力がそのようなトンチンカンな批判をしたのか,同記事には書かれていないが,まあ,だいたい想像はつくね(笑).
【質問】
秘密保護法は必要か?
【回答】
ある程度のものは必要と思われる.
自衛官OBによれば,まともな法律がないために,我が国はどれほど損をしているか知れないという.
以下,引用.
話は変わりますが,秘密保護法のことです.
我が国にはまともな法律がありません.
この制度が整っていないばかりに,我が国はどれほど損をしているか知れません.
特にひどいのは国会議員です.彼等は秘密事項を知ると,むしろ吹聴するのです. バラすことによって大きく失うもののあることを全く理解しないのです.
典型例が,田中真紀子外相の9.11事件当時の失言です.「米国務省の緊急疎開先」をマスコミにべらべら喋りましたよね.
このため担当の官僚は,情報機関や友好国から貴重な情報が入っても政治家 にはギリギリまで報告しませんし,その内容も必要最小限(と彼等が考える)範囲しか知らせません.
これで本当のシビリアン・コントロールができるでしょうか?
マスコミも問題です.
過去の経験では,オフレコ発言と断っていても平気で約束を破りますし,公表期限の口約束もしばしば平気で踏みにじります.
他人の迷惑など全くお構いなしでした.
(話が逸れますが,朝日新聞社とNHKの泥仕合を見るに付け,「なだしお」事件当時の記者達の傍若無人な態度が思い出されます.第四権力を振り回すに相応 しい人格や識見は,彼等から感じられませんでした.
特に社会部記者はひどい…)
これでは結局,秘密を守る側の壁は厚くならざるを得ません.
これで国民大衆に正しい情報が伝わるでしょうか?
民主主義の軍隊にとってプレス対策は極めて重要です.
既にWW2中の米海兵隊の話として,
「指揮官達は敵を恐れるより,記者達の目を恐れた」
という記事を読んだことがあります.
日本では更に加えて,「大本営発表」という言葉に象徴されるように,政府発表 に対する国民の根強い不信感があります.
自衛隊の広報担当者は,危機管理の少なからざる部分がマスコミ対策であることを,「雫石事件」や「なだしお事件」で存分に認識させられましたし,国民からの信用の醸成に務めることの重要性も充分に認識していると思います.
広報とプロパガンダは表裏一体・紙一重で,英国のBBCもWW2中には随分ウソを 報道したのですが,現在まで報道機関として世界で最も信頼されていますね.
これが理想の姿でしょう.
▼ 軍事情報は目立ちやすいだけで,それ以外にも,経済情報・技術情報等,国の“要秘匿”情報はたくさんある.
以前,日米経済交渉の最中,通産省の随行幹部が宿舎の普通電話で,本省幹部と連絡を取り合っていて米国に盗聴され,当時の橋本通産大臣が記者に不満を漏らす,と言う事件があったが,まさに脳天気で漫才以下.
「厚生省エイズ事件」のように,公開すべきものを隠し,その一方,秘匿すべき情報を護りきれない.
早急に『情報管理法(スパイ防止法)』の制定と『対諜報局』の設置を検討し,あわせて各公的機関の秘匿情報取り扱いの見直しをはかるべきだ.
『情報公開法』と『スパイ防止法』とは矛盾するものではない,
まして,基本的人権と抵触するものではない(過去,そう言って反対した政党があり,その結果,スパイ防止法がつぶされた).
このままでは,来るべき国際情報競争の時代に,日本は沈没してしまう.
従軍記者 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
防衛駐在官による情報収集に問題はないか?
【回答】
外務省を経由しなければならないため,これまで大きな支障を来たしていた,という.
以下引用.
外務省は「外交の一元化」の原則を錦の御旗に,在外大使館に勤務する自衛官「防衛駐在官」(各国の駐在武官に相当)が収集する専門的な軍事情報を一時的に「独占」し,肝心な防衛庁への伝達は数日送れとなる事態も珍しくなかった.
国益に関わる鮮度の高い情報を「宝の持ち腐れ」にしかねない,外務省の硬直した官僚システムで,防衛駐在官が苦労して獲得した機密情報の手柄を,いつのまにかエリート外交官に取られた,という信じ難い逸話も伝えられている.
防衛駐在官が収集・起案する防衛情報が,外務省を経由せずに派遣元の防衛庁に直接かつ迅速に伝わるルールがやっと,2003年5月,「防衛駐在官に関する覚書」の一部改定で初めて確立されることになったが,あまりに遅すぎる決定だった.
ロシアに在勤したある防衛駐在官は筆者に,
「もう二度と外務省の奴ら≠ニ一緒に仕事などしたくない」
と吐き捨てて帰国していったほどだ.
(斎藤勉〔産経新聞編集特別委員〕 from "SAPIO" 2003/12/10号,P.86)
軍事面での諜報活動といえば,まずは,各国の防衛駐在官(身分は外交官.外務省への出向!)がその任にあたるはずです.
しかし現状は,外交官と警察官僚というお目付け役に監視され,下らぬ用事に駆り出され,ろくに情報収集活 動すらできない(諜報活動はもちろん)というのが実体のようです.
霞ヶ関官僚の真の姿・意図は,在外公館に如実に現れていると感じます.(もちろん例 外はあります)
あわせて重要なのは,外務省の暗号は世界的に「大変弱い」ことで有名で,解読が容易な点です.少なくとも軍事情報を伝えるには適していません.
しかし,防衛駐在官発の軍事情報は現在,すべて外交ルートを通じて本国に送 られています.これは重大な問題と思います.明らかにこれは国益を損なっています.
現在の防衛駐在官を駐在武官へと改編し,現地で武官が独自に収集した軍事情報を,適切なタイミングで政府中枢に送れる体制の確立が急務と思います.
(それ以前に国軍でなければならないのは当然です)
なお,制度改善の成果については情報未入手.
【質問】
中央情報隊とは?
【回答】
自衛隊の海外派遣の際の情報収集態勢強化を目的とする防衛庁長官直轄組織.中央情報隊の下に数十人規模の専門部隊を編成する予定で,2006年度予算の概算要求に関連経費が盛り込まれる.
報道によれば,
自衛隊の海外派遣に当たり,防衛庁はこれまで現地情報の収集について,文献などの資料や他国の部隊に頼ってきた.
しかし,イラク派遣のように現地の治安情勢などを独自に分析しなければならない場合には不十分と判断.現地の要人らから直接情報を得る要員を普段から育成することにした
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050825-00000076-jij-pol
中央情報隊は地理情報を担当する中央地理隊(東京都立川市)と,海外の軍事関連の文献を収集・翻訳する中央資料隊(同新宿区)を統合.海外派遣のほか,離島侵攻などの有事に際し部隊に必要な情報を提供する.
中央情報隊は専門部隊も含め06年度末に創設する.
政府は昨年12月に策定した防衛大綱に,「自衛隊の国際平和協力活動を積極的に行う」との方針を明記した.これを踏まえ,防衛庁は国際緊急援助隊とは別に,予備要員を含め約1700人の部隊を同時に2カ所へ派遣できる態勢を常時取る方針だ.
情報収集の専門部隊編成もその一環と位置付けられている.
「中央情報隊」の新編構想が出てきた背景には,これまで連隊や中隊レベルで収集していた,偵察部隊からの敵部隊に関する情報や作戦情報などが,必ずしも上級部隊と双方向に迅速,的確に流れていたわけではなかったことなどがある.
作戦情報などに関して一元化し,各部隊が共有でき,迅速・的確に対応できる新たな情報組織の必要性が高まっていた.
〔略〕
新編を目指す「中央情報隊」は,陸自の組織ながらも独立色の強い組織とし,緊急時に派遣される中央即応集団の部隊に対しても,現地部隊からの情報を提供することになるという.
防衛庁は内部部局,統合幕僚会議,陸海空各幕僚監部でそれぞれに軍事情報などを独自に収集・分析していたが,非効率だとして九年に統幕に情報本部を設置するなど情報組織の強化を図ってきた.
今回の構想もこうした情報部門の強化路線を踏襲するものといえる.
という.
【質問】
自衛隊における「機密」「極秘」「秘」などは,どう違うの?
【回答】
1.「機密」 最高機密 暗号表等 部隊にはごく少数しかない
2.「極秘」 機密に準じるもの 部隊レベルの秘密のほとんど
3.「秘」 これ以下は秘密ではない とりあえず秘密
4.その他 秘密ではない 漏らしても懲戒免職はあっても刑事事件ではない
「注意」「取扱注意」「部外秘」「部内限り」等
教科書の巻末資料として「秘」の内容が含まれていることはある.
戦車の参考資料に「74式戦車の正面装甲の厚さは10cm」と書いてあると,「秘」の指定を受ける.
「秘」というのはこの程度.
駐屯地祭や写真集で溶接の継目を見れば誰でもわかることだが,これを漏らすと自衛隊法違反で逮捕される.
一方,もし極秘のコピーを持っていたら,文書管理担当者と司令官は刑事責任を問われる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
昔,古本屋で買った「海上自衛隊30年史(ケース付豪華版)」は,何故か「部内限り」.
同じく「陸上自衛隊10年史」(全巻そろえられなかった)も「部内かぎり」.
「自衛隊10年史」は指定なし.
ついでに某幹部学校の某参考資料.
中身は,さる研究者(防研出身)の「アメリカ国防政策史」(公刊済)のほぼ丸写しだった.
でも「秘」.
昭和30年代に出た陸自幹部候補生学校用のテキストでは,「特殊防護」は「秘」.
でもこれは文華堂で捨て値で売られているのを見ただけだから,うろ覚え.
防衛省の秘密区分はどうかしている.
民間人 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
自衛隊の機密漏洩を外部機関が捜査することは,妥当なことなの?
【回答】
海自関係者の書き込みで,外部機関の手入れに問題意識を示されているのがあったが,(それに対する批判レスもそれなりに出てきたが・・),私は,海自関係者の感想は,ある意味,当然で無理のないところだろうと思う.
基本的には,独自の軍事警察が存在しないところに問題がある.
(以下は民間人である小生の,完全なる私見です,念のため)
軍事情報漏洩事件は,公開裁判を目的とした警察の専任捜査には「なじまない」もので,他国では普通,非公開審判で裁かれたりしている.
自衛隊は軍隊でないので,『軍法会議』『軍事裁判』とは無縁のまま現在に至っているが,やはり膨大な「非公開情報」をかかえているわけで,憲兵隊,および,それなりの“専門家による非公開審判”制度が必要ではないか?
以前からそう考えている.
真のシビリアンコントロールとは,そういうことではないか.
従軍記者 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
太田文雄とは?
【回答】
防大卒の退役海将で前情報本部長.
剣道七段
現在は防大安全保障・危機管理センター長兼政策研究大学院大学安全保障・国際問題博士課程連携教授というなんともいかめしい肩書きで近寄りがたい雰囲気ですが,05年に退役されてのちは,一貫して後進への指導,国民に向けた啓蒙活動に当たっておられます.
ひとことでいえば,国民本来の資質に根ざした視点を忘れることなく,養分を取り入れやすい有機的な内容を通じて,情報分野における経験に即した提言を行なっておられる方といえましょう.
【質問】
外薗健一とは?
【回答】
外薗健一朗(ほかぞの・けんいちろう)は1951年,鹿児島県生まれ.
1973年,防大卒(18期),航空自衛隊入隊.
空幕調査課長,幹部学校副校長,北警団司令,空自第5術科学校長,統幕事務局5室長,中部航空方面隊司令官,統合幕僚学校長などを歴任.
2008/3/24,防衛省情報本部長就任.
【参考ページ】
国際インテリジェンス機密ファイル