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<米州FAQ目次
【質問】
トランスフォーメーションとRMAは別物なのか?
【回答】
RMAはトランスフォーメーションの一部分だと言えよう.
まず,トランスフォーメーションとは何か?
それは国防面での総合的な見直し作業のことを意味する.
以下引用.
トランスフォーメーションを講義に解すれば,「非対称脅威から米国を守り,米国の優位性を活用しつつ,軍事面における概念・能力・管理・戦術・組織機構などを変革,再編するプロセス」のことです.(18)
つまり,トランスフォーメーションとは国防面における総合的な見直し作業のことです.
この場合,非対称脅威とは従来の伝統的な脅威である敵性国家の正規軍(軍事力)の脅威ではなく,テロ,大量破壊兵器(核,生物・化学兵器,ミサイル),サイバー戦,宇宙衛星攻撃,米軍のアクセス・活動に対する拒否能力など多種多様で,しかも,潜在力が高いため目に見えないような性格を有する脅威のことをいいます.(19)
このトランスフォーメーションは,結果として,グローバルな米軍の配置およびその作戦形態,同盟国との協力,ならびに軍事技術について革命的な変化をもたらすことになります.
(18) 「国防トランスフォーメーション――背景と問題点」(CRSレポート,CRS, 2004.8.5)
(19) Arthur K. Cebrowski, Director of Force Transformation Office of the Secretary of Defence 議会証言(上院軍事委員会,2004.3.25)
森本敏著「米軍再編と在日米軍」(文春新書,2006/9/20),p.47-49
そして,上記引用の内の,軍事技術面での「革命的な変化」がRMAに相当する.
【質問】
GPR(Global Posture Review:グローバルな米軍体制の見直し)の狙いは?
【回答】
米軍の展開能力向上と,米国のグローバルな指導力の維持.
以下引用.
GPRは海外における米軍の配備や,トランスフォーメーション後の米軍の作戦要領についての見直しを行うものです.
その主たる狙いは,米軍の戦略・戦術・情報・技術面における優位性を活用して前方展開体制を維持し,迅速に米軍兵力を他地域に展開できる能力を向上させると共に,米国本土の安全を維持することにより,米国の国益・領域・戦略的位置を固守して,グローバルな指導力を維持することにあります.(20)
(20) ブッシュ大統領演説 "Terrorists attacked a symbol of American prosperity, and enterprise of our people"(議会両院議員総会,ワシントン,2001.9.20)
森本敏著「米軍再編と在日米軍」(文春新書,2006/9/20),p.49
「情報」における優位性,という点については,諜報面において疑問があるのだが.
アフ【ガ】ーニスタン空爆やイラク戦争のそれぞれ前における諜報活動なんて,杜撰なもんだったぜ.
【質問】
トランスフォーメーション促進の方向に異論はないのか?
【回答】
もちろん賛否両論がある.
その主なところは以下の4点である.
以下引用.
トランスフォーメーションを促進することについては,米国内に賛否両論があります.
この議論の第1は,技術革新についてです.
トランスフォーメーションの推進者は先端技術の導入によって革新的な軍事能力が生まれると考え,懐疑論者は新技術は必ずしも米軍の近代化にとって不可欠とは限らないと主張しています.
第2に非対称脅威に対して,トランスフォーメーションの支持者は,非対称脅威は米軍の伝統的軍事力に正面から挑戦することを避けると主張し,懐疑論者は,非対称脅威に対しては米軍を変革させる必要はなく,現有能力で対処できると言っています.
第3に米国の優位性について,支持者は,米国の優位性を維持するためには情報革新技術を導入する必要があるとし,懐疑論者は,長期に渡る伝統的優位を維持するためには必ずしもトランスフォーメーションを必要としないと主張しています.
また,第4にリスクとコストについて,支持者はトランスフォーメーションがリスクを減らし,効率的な能力向上を図ることができると主張し,懐疑論者はリスクやコストが高すぎると主張しています.
これらはいずれもトランスフォーメーションの内容と程度についての議論であり,手段を効果的に選択すれば克服できる程度の問題であると考えられます.
森本敏著「米軍再編と在日米軍」(文春新書,2006/9/20),p.70
いわゆる「総論賛成,各論反対」.
【珍説】
日米再編から,こういった問題が出てくる〔略〕.その問題とは,「集団的自衛権,「海外派兵恒久法」,「国家安全保障基本法」ですがな.
いいでちゅか~?
うんこ in mixi
(軍事的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用)
【事実】
関係ないです.
集団安保の話は,軍事コストの増大により,1国防衛主義の限界が見えてきたときから,既に出ていることです.
海外派遣(派兵ではないので,間違えないように)は,日本が,その経済規模に関わらず,国際的な貢献に乏しいという批判が起きてから.米軍再編の影も形もまだない湾岸戦争の頃から既に,その議論が起きている.
「国家安全保障基本法」は911テロなど,大規模テロが世界のどこかで起きるたびに議論になっているもの.米軍再編のせいで起きた議論ではない.
ちうか,「日米再編」って何?(笑) 米軍再編ならよく聞く言葉だが.
【珍説】
「米軍再編‐その狙い」来鹿の梅林宏道さんに聞く
http://www.373news.com/_kikaku/beigun/060826umebayashi.htm
------------------------------------------------------ここから引用----
アジア・太平洋地域の平和運動家で,平和問題民間シンクタンク「ピースデポ」代表の梅林宏道さん(68)=横浜市=が15日,「不戦を誓う日」集会(鹿児島県憲法を守る会など主催)での講演のため鹿児島市を訪れた.講演とインタビューから「米軍再編-その狙い」についてまとめた.
-------------------------------------------------------中略---------
米軍再編を「在日米軍の再編」とか「個々の基地・施設の再編」としてとらえると,本質を見失う.世界的な規模で進められていることの一部なのだ.
このことは,米軍再編の日米協議で最も重要な2005年10月29日の合意文書の名前が示している.それは「日米同盟 未来のための変革と再編」というもので,「変革」と訳された「トランスフォーメーション」という英語は「根本的な変化」を意味する語だ.つまり米軍再編とは,日米同盟をこれまでとは全く違うものにする,ということだ.
この合意文書はマスコミでは「中間報告」と呼ばれた.日本政府が合意の重要性を押し隠すために「中間」という語を使ったからだろう.
-------------------------------------------------------中略---------
米側はしばしば「日本国憲法九条は日米同盟の妨げ」とか「日本が集団的自衛権の行使を禁じているのは日米同盟の束縛だ」と発言してきた.これは,憲法や安保条約という戦後日本の法体系や日本社会の軍事アレルギーを変えなければ,米軍再編を有効に進めることができないという米側の認識を示している.
-------------------------------------------------------中略---------
基地はそこで戦う場所ではなく,出掛けていくための拠点であり,米軍は同盟国の承認と支援のもとに,世界のどこへでも跳躍することができる「地球軍」でなければならないということだ.
このような考え方に沿って日米協議が進んだ.その経過は十分に公開されず,段階を追った説明もなかった.日米同盟の在り方について国民レベルできちんと論議されなかったのは,国民主権の点から大きな問題だ.
-------------------------------------------------------引用ここまで---
あつこば in mixi
(軍事的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用)
【事実】
えーと,まさにデタラメだと思うんですが,どうしたもんでしょうか?
>「トランスフォーメーション」という英語は「根本的な変化」を意味する語だ.
>つまり米軍再編とは,日米同盟をこれまでとは全く違うものにする,ということだ.
>マスコミでは「中間報告」と呼ばれた.日本政府が合意の重要性を押し隠すために
>「中間」という語を使ったからだろう
>基地はそこで戦う場所ではなく,出掛けていくための拠点であり
憶測とか希望的観測という以前に,そもそもまともな箇所が見つからないのですが……
基地だって,歴史上ずっと「出かけていく拠点」だったじゃないですか.
有史以来「そこで戦う場所」だった基地って存在します?
基地や要塞や城や砦で戦ってる状態ってのは,攻められて「守備」する時ですから.
>「トランスフォーメーション」という英語は「根本的な変化」を意味する語だ.
>つまり米軍再編とは,日米同盟をこれまでとは全く違うものにする,ということだ.
論理飛躍.
>日本政府が合意の重要性を押し隠すために「中間」という語を使ったからだろう.
邪推.
協議途上での合意を,他に何と呼べばいいというのかね?
【珍説】
今回の米軍再編を世界的に見ると,米兵ができるだけ家族といられるようにドイツなどにいた米兵を米本土に戻しました.
ところが,戻しただけでは軍改革は終わりません.
今度は,必要な時に世界中に軍隊を送り込めるように,世界のさまざまなところに足場を作る必要が出てきます.
2005年に出された「合衆国の国防戦略」では,基地を「MOB」「FOS」「CSL」という3つに分類しています.
それらの基地を,カエルが蓮の葉を飛びながら移動するように,世界中に短期間に兵を送るシステムが「蓮の葉戦略」と呼ばれているそうです.
あつこば in mixi
(軍事的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用)
【事実】
「蓮の葉戦略」? それは初めて聞く表現だな.
似たような言葉に「飛び石戦略」というのが何十年も前からあるけれど,それとはどう違うんです?
だいたい,ラムズフェルドの構想は,
「政治的制約がうぜーから,なるべく在外基地に頼らずに米軍をピンポイントでどの地域へも展開できるようにする」
というもの.
2004年春に彼が示した,米軍の能力目標「10-30-30目標」には,それが端的に現れている.
それにしたがって,例えば海軍では「シー・ベイジング構想」という,事前集積船や洋上基地を活用した戦略のための兵力整備を進めている.
空軍のほうも,空輸能力把握のためのAMSというロードマップを作成中.これは空中機動能力の向上のために行っているもの.
詳しくは「世界の艦船」2006年3月号の記事「パワー・プロジェクションの時代」,同2005年10月号「・アメリカ海軍をめぐる最近の話題」,その他のバック・ナンバーを参照のこと.
ゆえに,赤旗君の文はトンデモに過ぎない.
あと,歩兵の戦術レベルにも「蛙飛び戦法」というのがあるんですが,基本中の基本なんですよね.
要するに言葉遊び?
【質問】
「蓮の葉戦略 Lily Pad Strategy」って何?
【回答】
梅林宏道著「米軍再編」(岩波ブックレット)に登場する言葉.
同書によれば,
「基地を「MOB」「FOS」「CSL」という3つに分類し,れらの基地を,カエルが蓮の葉を飛びながら移動するように,世界中に短期間に兵を送るシステム」
らしいのだが,「世艦」でも「軍事研究」でも見たことないなあ,そんな言葉.
海外系のサイト検索すると結構ニュースサイトとかがHITしますね.
自分読めませんが.
http://www.globalsecurity.org/org/news/2004/040726-us-bases.htm
http://www.csmonitor.com/2004/0810/p06s02-wosc.html
http://www.globalpolicy.org/empire/intervention/2004/0810lilypad.htm
しかしどれも結構昔の話だなぁ…
「蓮の葉」という言葉だけなら,江畑謙介著「新版 米軍再編」(ビジネス社,2006.11)にも出てくる.
JFOSやJCSLは米軍作戦展開上の飛び石のような存在であるため,「リリー・パッド(Lily-Pad:睡蓮の葉)」と呼ばれる場合もある.
――同書,P76-77
このJFOSやJCSLはそれぞれ
JFOS(Joint Forward Operating Site・統合前方作戦基地)
=友好国にある基地・施設.少数の部隊がいて,必要な時に能力を拡大して発揮できるような施設,別名:Warm Site=即応施設.
その戦域の訓練統括・調整も平時には行う.
JSCL(Joint Cooperative Security Location・統合安全保障協力施設)
=必要な時に,短時間で作戦基地として使用できる施設.
少数の部隊を配備するか,契約民間企業が保管維持を行うい,いつでも使用できるようにしておく.
この基地は,戦闘状態の時にしか使用しないので,家族用住宅などのインフラはない.
というもの.
つまり,米軍にとって「蓮の葉」という単語が,戦略構想を意味するとまではとうてい言えないようだ.
ちなみに,江畑は米軍基地を3つではなく6つに分類している.
ますたーあじあ in mixi,改
>蓮の葉戦略
これって「飛び石戦略」とか,昔からある用語の焼き直しでしょうか.
あと,歩兵の戦術レベルにも「蛙飛び戦法」というのがあるんですが,基本中の基本なんですよね.
要するに言葉遊び?
【珍説】
そんな事〔蓮の葉戦略は放棄したということ〕は無いと思いますよ.
「蓮の葉戦略」という言葉はあまり使わなくなったのかもしれませんが,米軍再編で多くの米兵をアメリカに戻し,中継地点を使って世界中に展開するという戦略は進んでいるはずですから…….
イラク戦争でも結局本国から展開しましたからね.
イラク戦争が長引いて現在でも続いていて,長期に渡ってイラクなどにいる事になり,それと米軍再編とが複雑に絡み合っているようですね.
あつこば in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
「思う」はソースにならないので,確固たるソースを出してください.
だいたい,ラムズフェルドの構想は,
「政治的制約がうぜーから,なるべく在外基地に頼らずに米軍をピンポイントでどの地域へも展開できるようにする」
というもの.
2004年春に彼が示した,米軍の能力目標「10-30-30目標」には,それが端的に現れている.
それにしたがって,例えば海軍では「シー・ベイジング構想」という,事前集積船や洋上基地を活用した戦略のための兵力整備を進めている.
空軍のほうも,空輸能力把握のためのAMSというロードマップを作成中.これは空中機動能力の向上のために行っているもの.
詳しくは「世界の艦船」2006年3月号の記事「パワー・プロジェクションの時代」,同2005年10月号「・アメリカ海軍をめぐる最近の話題」,その他のバック・ナンバーを参照のこと.
ゆえに,赤旗君の感想文はトンデモに過ぎない.
【珍説】
それとは別の観点で,米兵が長期に渡って海外に駐留させられ,本国に帰れないという不満が溜まっていた,という背景もあるわけです.
物事にはいろいろな背景があるわけですね.
あつこば in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
それに対しては,文官や民間への委託を増やすことで対処しようとしているんだよ.
そもそもそれが,蓮の葉戦略の継続を示す何の証拠になるというのかね?
【質問】
以下の記述は本当か?
以下引用------------------------ ---------------------
米国がオーストラリアに新たに求めたのは,「蓮の葉戦略」上の現実的な軍事要求であった.米国は米国領土から展開できる遠征訓練場の提供を求めたのである.
オーストラリア世論は主権意識から米軍部隊の駐留には強い拒否反応を示してきた.
したがって新しい訓練場の確保においても,米軍は駐留しないこと,施設は米軍のための訓練施設ではなく共同の訓練場であることが強調された.
梅林宏道著「米軍再編」(岩波ブックレット,2006/5/30),p.30
---------------------------------------------以上引用
【回答】
限りなくぁゃしぃ.
江畑謙介著「米軍再編」では,オーストラリアの訓練場については次のように書かれている.
以下引用------------------------ ---------------------
シンガポールと並んで,オーストラリアは米軍の基地や部隊の導入には積極的である.
むしろ米国との戦略の共通性を謳って,米軍への協力姿勢を明確にしている.
ただし,2005年初頭時点において,米国はオーストラリアに恒久的な部隊を配備する意図はない.
同国の地理的条件を考えると,ここに米軍実戦部隊を置くのは運用の柔軟性を難しくする.
巷間ささやかれている沖縄の海兵隊地上部隊の一部をオーストラリアに移転するという話は,次に述べる訓練場として海兵隊の部隊の部隊が一時的に利用する方式と,装備,物資の事前備蓄以外には,実現の可能性は少ないだろう.
オーストラリアの広大な土地を米軍の訓練場として利用するという話は,2003年後半から出てきた.
それ以前から米軍はオーストラリアの訓練場を利用してきたが,米豪両軍の共同作戦能力を高める目的から,正式に米豪共同訓練施設を建設しようというものである.
---------------------------------------------以上引用
となっており,梅林の話と大きく食い違う.
まあ,
・梅林言うところの「強い拒否反応」があるはずの米軍訓練施設は既にオーストラリアに存在している.
・しかも公式には米軍用の施設であり,これまで公式には共同施設ではなかった.
・「同国の地理的条件を考えると,ここに米軍実戦部隊を置くのは運用の柔軟性を難しくする」ので米軍が駐留されていない,とする説明のほうが,梅林の説明より理に叶っている.
・梅林本の,他の部分における信頼性の低さ.
・江畑のこれまでの実績の高さ.
・「蓮の葉戦略」が現在も継続しているという証拠がない.梅林本以外の米軍再編関係の本では,まず出てきたことがない(「蓮の葉」だけなら江畑謙介の「米軍再編」にも見られるが,「戦略」としてでは,ない)
という点から考えて,100%断定はできないものの,
「梅林はウソを書いている」
と考えるべきであろう.
もちろん,基地反対運動がオーストラリアに存在することを否定するものではない.
が,豪政府が積極姿勢でいられるということは,その反対運動がどの程度の勢力なのかは容易に想像できるところである.
例えば,10人ぽっち佐世保にやってきて騒いだだけでも,
「佐世保軍港化反対の声が地元にはある」
と表現することもできるからなあ(笑).
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