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<総記FAQ目次
こなたま in twitter◆(2013/03/09)
ガンジーはすごいのよ.
「非暴力」「非協力」はインドの精神的な高みにある概念であると持ち上げて(人を鼓舞する力),その実,1940年代のイギリス本国人は,いい加減暴力的な抵抗にも鎮圧にも否定的であることを見越して,さらに脱植民地化の流れもふまえて,手段としての「非暴力」を選択した.
https://mobile.twitter.com/MyoyoShinnyo/status/310370479284301824
正確には非暴力・非協力・不服従で運動を開始したのは1920年代なんだけど.日本軍と一定の距離を置いたりとか,判断が要所要所ではまってて,結果的に大きな独立戦争で大量の死者を出すこともなく,1947年の独立にこぎつけた.
https://mobile.twitter.com/MyoyoShinnyo/status/310376262118014976
「探偵ファイル」◆(2011/01/01)ニュースウォッチ〜/森永卓郎,日本解体宣言?「侵略され滅んでもいい」/探偵T
>「私は日本丸腰戦略というのを提唱しています.軍事力をすべて破棄して,非暴力主義を貫くんです.
> 仮に日本が中国に侵略されて国がなくなっても,後世の教科書に
>『昔,日本という心の美しい民族がいました』
>と書かれれば,それはそれでいいんじゃないかと」
原出典;2011年1月1日の東京スポーツ
【質問】
軍事力など,結局のところ,行使されないで済むケースがほとんどではないのか?
軍事力に,本当に意味があると言えるのか?
【回答】
直接的には関係しなくとも,背景には必ず存在する.
例えば,ある国家の集まりで,直接的な武力行使が禁止されていたとしても,背景的には重要な役割を果たす.
以下,ナイ教授の文章を引用
「例えば,アメリカが同盟国への脅威を抑止したり,ペルシャ湾の石油など,重要資源へのアクセス(接近)を確保するために軍事的役割を担っていると言うことは,防衛力の供与が交渉の時に使えると言うことを意味する.
(省略)
このリンクは時には直接的なこともあるが,多くの場合,表立っては言及されない.
それにも関わらず,政治家の脳裏にはつねに存在している要因なのである」
また,これは「誘引」(にんじん)や棍棒(脅迫)といった,ハードパワーとも言うことができる.
これに対して,自分たちが望むことを,相手にも望むように仕向けるように誘導することを魅力の力(ソフトパワー)と言う力もまた存在する.
以下ナイ教授の文章を引用
「ソフトパワーが依存するのは,自らが他をひきつける着想,すなわち他国の選好そのものを形成するような政治課題を設定する能力なのである.
10代の子供を持つ親なら,子供を直接コントロールするよりも,子供の信念なり選好なりにある種の方向性を与えることに成功する事の方が,遥かに強力で長続きすることを知っているであろう.
(省略)
そのような選好そのものを打ち立てる能力は,おおむね文化とかイデオロギーとか組織とか言った,目に見えないパワー資源に関連しているようである」
「純粋な力」に依存したハードパワーと,「魅力の力」に依存しているソフトパワーは両輪なので,状況によって,使い分けることが重要だと思われる.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授「国際紛争」(有斐閣,2005.4)第3章を参照されたし.
【質問】
対話・圧力等の非武力による戦いをするなら,武力は必要ないのでは?
【回答】
話し合ったところで武力による強制力がない場合,相手はいつでも話し合って出た合意を反故にすることができます.
KEDO合意がまさにそうですね.
合意があったにも関わらず,それを北韓は約束を破ってその後,ウラン濃縮を実行しました.
一般社会では,警察と言う強制力があるので,約束事を破るとペナルティがあります.
しかし国際社会には,警察がいません.
そこで,必要最低限度の武力を持ち,その武力を背景に,相手国に対して約束の履行を迫るのは,各国が自分でやらなきゃならんのです.
消印所沢 in mixi
【珍説】
人類の歴史上,人間の群れに命令者と服従者の分化が起こり,それにより〈暴力機械〉が立ち現れることで戦争が出現した.
それこそが後(のち)の王権/国家であり,〔戦争は〕人間の本能ではない.
【回答】
権力者が暴力を持つのは,服従者(国民)から税金を取るためです.
この暴力システムをコントロールするために議会が生まれたのです.
暴力機械を王権の特徴として戦争が起こるのだとすると,ローマが当初,共和制であったにもかかわらず,戦争を行った理由が説明つきませんよ♪
【質問】
世界には軍を持たない国が27あるそうですが,それがどこか教えて下さい.
【回答】
アイスランド アンティグア・バーブーダ アンドラ キリバス
グレナダ コスタリカ サモア サンマリノ セントヴィンセントグレナディーン
セントクリストファー・ネーヴィス セントルシア ソロモン ツバル
▼ドミニカ トンガ ナウル ハイチ バチカン パナマ パラオ
ドミニカ ナウル ハイチ バチカン パナマ パラオ▲
マーシャル ミクロネシア モナコ リヒテンシュタイン
▼の24カ国です.
の23カ国です.▲
共通点は,全て小国ですね.
なお,老婆心ながら,それらの国々は「軍事力を放棄した平和で素晴らしい国々」ではなく,
▼・国が貧しすぎて敢えて他国の安全保障に頼っていたり(キリバス,ソロモン,ツバル,トンガetc)
・国が貧しすぎて敢えて他国の安全保障に頼っていたり(キリバス,ソロモン,ツバルetc)▲
・地理的に色々ヤバすぎて独自の軍事力を持てなかったり(パナマとか)
・国の成り立ちが少々特殊だったり(モナコとか)
・「警察組織」が実質上「軍隊なみ」だったり(コスタリカとか)
・人口過少なので国防をNATOに委託していたり(アイスランドとか)
と,それぞれ理由があるのです.
軍事板,2006/03/05(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
国家が非武装でいられるための条件は?
【回答】
ブログ「リアリズムと防衛を学ぶ」で,非常に興味深い記事がありました.
「リアリズムと防衛を学ぶ」:軍隊のない国は,なぜ非武装でいられるのか?
ここでは,軍隊のない国家の紹介と,後に軍隊を持った国家が紹介されいて,独自の解説もされており,目から鱗が落ちた気分になりました.
さらに付け加えればミクロネシア連邦やパラオ,マーシャル諸島は,アメリカ合衆国と自由連合協定を結んで,国防はアメリカ合衆国が担う事になっており,各国とも軍隊を持つ必要がない事になるのです.
「wikipedia」:自由連合 (国家間関係)
また自由連合協定を結んでいるというわけではありませんが,アンドラやサンマリノは国防をフランス,スペイン,イタリアが担っており,モナコはフランスとの条約で国防はフランスが担う事になっています.
「wikipedia」:モナコ
これはバチカンも同様で,公的には記されてませんが,バチカンの国防は事実上イタリアが担ってることになります.
何よりバチカンには,世界各国のカトリック教徒という「見えざる国防軍」がいるので,その意味でも安全は保たれています.
このように,軍隊を持たない小国はほとんどが,囲まれている大国に国防を委ねるという方式で,国の安全を守ってきたわけです.
日本は国は大きい,人口も多い,基盤のある経済大国,周りに信頼できる大国が存在しないという4拍子が揃っているので,どうしても自衛隊という国防力に依存せねばならず,さらにはアメリカ合衆国との軍事同盟も必要になってくるわけです.
ちなみにメディアでよく紹介されているコスタリカは,軍隊のクーデターに嫌気がさした時の大統領が,常備軍を廃止しましたが,戦時には軍隊の再設置と徴兵制が施行されるのを憲法が保障しています.
また,コスタリカには市民警備隊などの準軍隊も存在し,これが戦時における軍隊再設置の受け皿になる事は間違いありません.
「wikipedia」:コスタリカ-軍事-
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年01月04日08:52
あと,バチカンも非武装というわけでもなく,国家憲兵やスイス衛兵隊などの武装組織は一応存在しています.
「wikipedia」:バチカン国家憲兵(Corpo della
Gendarmeria dello Stato della Citta del Vaticano)
「wikipedia」:バチカン-軍事・警察-
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年01月04日 13:50
【質問】
今の時代,大国が戦争を起こすには大変なリスクがあると思うんですけど,それでも防衛力を保持する理由ってあるの?
【回答】
ある意味,逆かと.
双方が莫大な軍事費を投入して軍事力を強化し続けた結果として,(特に先進国同士で)戦争を起こすこと自体が,リスクもコストも割に合わなくなっただけ.
と言うか,相手にとって戦争を起こすことがハイリスクである状況を作るのが軍事力を保持する理由なわけで,どっちかが「もう割に合わないだろ」で軍事力の強化を止めたら,将来的には強化を続けた方にとっては,戦争がローリスクで検討に値する選択肢として復活してしまうんだが.
単純化して,仮に「カネ」だけで考えてみよう.
攻撃には防御の3倍の戦力が必要と言われる.
A国
軍備: 10億円分
期待利益: 10億円円
攻めるためには30億円分の戦力が必要になる.
しかし勝っても10億円しか手に入らないので,収支マイナス.
相手に攻める気を起こさせないので,A国の軍備は十分.
B国
軍備: 100億円分
期待利益: 400億
攻めるためには300億円分の戦力が必要になるが,
勝利すれば100億円のプラスなので,攻めたくて仕方ない.
結果,B国は外交その他で不断の努力を要求され,ミスると攻められてしまう.
これが「抑止力」としての軍備の本質.
もし世界中が軍備を一斉放棄し,経済規模が変化しないとしたら
B国
軍備: 0円分
期待利益: 400億
鉄パイプだけの暴力組織を作るだけで,儲け放題になってしまう.
また,政府の防衛力が脆弱な国は常に内乱の危険性を孕む事になる.
第三世界の失敗国家とかが良い例.
敵は外だけじゃない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦争を回避するために軍事力を整備する,という考え方が分かりません.
【回答】
抑止力という概念を学べば自ずと分かりますよ.
かなり端折って言えば,100の価値ある領土を手に入れるのに,価値10の軍隊が必要だが,守備が100の軍隊を用意していた場合,110の軍隊を用意しなくてはならないので,戦争は起きない,という当たり前の話です.
【質問】
何で世界が全廃すればいいという発想にならないんだ??
世界的な武装放棄が実現したら最も安上がりだろうが.
【回答】
いったいどういう組織が,どういう根拠に基づいて,国家に対し強制力のある命令を出せるのだ?
それに,一国でも従わなかった場合はどうするのだ?
特に米中露のような,そのほかの国が束になってもかなわないような大国に,どうやって廃棄を迫るのだ?
逆にそれらの国の,武力を背景とした脅しに屈する以外に道はなくなってしまうだろ.
それとも具体的なプロセスがあるのか?
ないのならそんな理想論なんぞどぶにでも捨ててしまえ.
平和外交のアピール.確かに重要だ.
だがそれは,国家の存在のために死活的に重要な抑止力を削ってまで求めるものではない.
こいつは釣りだろうけど,実際この程度の馬鹿ってざらにいるんだろうな.
も一度言うけど,軍縮条約ってのは対立してる国同士がやって初めていい働きをするわけね.
「このままお前と俺が軍拡し続けたら,お互いの財布が凄いことになる.
だからここらで一つリミッターをかけないか?」
というのが古今東西の軍縮なんだよ.
大抵対立してる国同士は,経済的にも重要な関係だから,対立が激化するのを防ぐ意味も込めてね.
当然,利害が微妙に対立する複数国で,多角間条約を結んで互いに見張りつつ,バックに立つというのもあり.
ついでに,
「いつも戦争の犠牲者は民間人」
というが,砲弾や銃弾は平等だよ.
当たれば女の子だろうがオッサンだろうが容赦なく傷つける.
そのことだけは履き違えないでね.
軍事板,2008/06/07(土)
青文字:加筆改修部分
【珍説】
>利害の対立が起こった場合どうするのでしょうね?
話し合うんですよ.それ以外の解決の方法はないです.
国際関係は子どもたちの人間関係と似ています.
まずは体が大きく力も強い奴のわがままなりなんなりが通用しますね.
それに対抗して小さい奴が空手を習ったりパチンコ持ったりしてさ.
でもだんだんと話し合って解決する力が付いてきて,理屈が強い方が勝つようになるんですよ.
タケル in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
その「話し合い」が通じなくなった事態における対処はどうするのですか?
喉元にナイフ突きつけられた状態で「話し合いましょう」と言う理屈が通るわけはない.
それが通るなら,この世には強盗も殺人も起きないでしょう.
いくら話し合いを重ねても話が通じない相手というのは,確実に存在します.
いくら「国際法上ありえない」と言われても聞く耳を持たない非武装中立論者.
いくら「国際法を誤読している」と言われても聞く耳を持たない「無防備マン」(無防備都市宣言運動活動家).
いくら「代替案は?」と聞かれてもまともな答えを返すことがない日米安保撤廃論者……等々.
彼らのほうでも,逆にそのような指摘をする人々について「話が通じない.話しても無駄」だと思っていることでしょう.
社会生活の中ですらそうなのに,ましてや確固たる正邪の定義付けのない国際社会では,「話し合いで全てが解決する」かのように想像するのは,現状ではありえない妄想というしかありません.
消印所沢
話し合いに何十年もかかって,その間に犠牲になっている人たちのことは無視ですか?
侵略された国の人々がどのような目にあったか,それこそ,簡単に調べられます.外務省に電話せずとも.
ヒトラー・フセイン・金日成と話し合って,彼らが満足するような「話し合い」とはなんだったか良く調べてみてくださいよ.
「話し合いで解決するんで待っててもらえますか?
その間に人権侵害が起こるでしょうけど,我慢してください」
と被害者の人に面と向かって言えますか?
そもそも,話し合いで解決を拒否して他国に攻め入った連中ですから
「攻められる前に話し合いで解決を」
という言葉は意味を成しませんのでよろしく.
朝鮮戦争にいたっては話し合いをする暇もなく,米国・韓国が隙を見せた途端に南進してきたんですよ.
あるところに暴力反対の男性がいました.
その人が道を歩いていると,突如包丁を持った男がこちらに向かってきました.そして攻撃してきました.
男性はどうしたか…?
1.男をいなしました.
2.「暴力は反対だ」と男に言いました.
1の場合,男性は「本当は嫌だけど仕方がない状況」に陥ったため,暴力を使いました.
2の場合は…自分の思想,プライド,そういったものは守れます.しかし,最悪の場合死に至ることもあるでしょう.
自分だけならいいのですが,そばに奥さんや子供などを連れていたら….
「本当は嫌だけど仕方がない状況」
こういう状況が生まれるのが現実ってもんです.
丸腰な奴が土下座と札束で平和を買える?
治安の悪い国の路地裏を丸腰で札束もってうろついてみれば,死ぬほど平和が満喫できるとおもうんだがな.
脅かされたらまず土下座.そして盗難金額の交渉にはいりましょう.
有無を言わさずかかってこられても,ナイフで刺されるか銃弾撃ちこまれるまで反撃してはイケナイ.
なぜなら,それが平和主義だから♪
国家戦略は「国益の追求」を目的とする.
一般に政治的国益と経済的国益の両方とも他国と一致する事は殆どないから,「外交は政経分離」が世界の常識である.
しかし,戦後の日本は国防も外交も欠いたまま,「経済的国益」だけで世界に対応してきた.
ここで教訓として,歴史上の明言を2つ紹介しておこう.
「次の2つは決して忘れてはならない.
第1は,寛容と忍耐をもってしては,人間の敵意は溶解しない.
第2は報酬と経済援助では,敵対関係は好転しない」
(マキャベリ「君主論」).
もう1つ,
「独裁政権の鎖国は,軍事力を行使しなければ開国できない事は,歴史の原則である」
(英国の戦略家リデル・ハート).
ODAと経済援助の結果が何をもたらしたかは,この言葉に重ねて測れば良い.
戦争を望む者などいない.
しかし,真の平和を希求すればこそ「願望と現実は厳しく峻別しなければならない」というクラウゼヴィッツの「戦争論」の通り,国防は法理ではなく,戦理で考えて21世紀の国家戦略を樹(た)てる時期にある.
政治家が自衛隊を「吠えない,噛まない番犬」にしておけば,国家戦略は成り立たない.
松村劭 in 「SAPIO」 2005/1/19-2/2合併号,p.38
【質問】
「軍隊は無くす方がいい.殺すよりも殺される方がいい」
のですか?
【回答】
個人が個人の価値観・主義思想で死ぬのは自由なのよ.
問題なのは国家の安全保障,つまり国民全体の生命の話をしてるのに,個人の価値観を持ち出していること.
つまり,
「殺してでも生き延びたいと考えている奴にも死を強制するのか!!」
ってことで,戦中の
「お国のために死ね」
と本質的に変わらない.
ニュース極東板
青文字:加筆改修部分
【質問】
ガンジーの無抵抗主義こそ尊ぶべきなのでは?
【回答】
この「非暴力・不服従」ってのは占領されて植民地とかにされた後の話じゃないんですか?
そうなるまでに暴力でもなんでも使って,まずは外敵に服従させられないようにがんばるべきだと思うんですが.
まぁ相手によっては,「非暴力・不服従」なんてやる前に民族浄化という名で大虐殺でしょうけど.
自国民ですらないがしろにする国があるのですから,そういう国では,被占領国の人の命なんざ虫けら以下の扱いかと.
また,無抵抗主義は,悪用される危険性を持っているのです
例えば,A国がB国を侵略したいと仮定します
・A国はB国の軍事力が邪魔です.もしB国の軍事力がなければ,武力衝突の必要なしに,容易にB国を侵略することができるのです.
・そこで,A国はB国の内部にA国の工作員を送り込み,工作活動を行います.
「B国は平和を愛している.平和実現には軍隊など不要だ」と
・B国で平和を願う心やさしい人達は,それがA国の工作活動と知らずに騙されて,B国政府に軍事力を放棄させてしまいます.
・B国に軍事力がなくなった後で,A国は軍事力を背景としてB国を侵略します.B国には防衛する軍事力はなく,A国の言いなりとなるしかありません.
このような平和活動を装った他国の陰謀に,日本国民が利用されないことを祈ります.
ガンジーの評価ですか.
確か…あのアフガン武装解除などを担当した伊勢崎賢治氏の初著書,「インド・スラム・レポート」1987刊で,
著者がスラム共同体で数年,活動したり,上下層の各活動家・指導者と関り続けた実感から,そのことにも触れていましたね.
おぼろげですが,思い出すように概要を記述しますと.
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確かにガンジーは評価に値するし,役目としては聖者として看板という大事な存在であり,世界的に有名だ.
しかし実際に独立活動を支えた人物は,世界的には全く知られていないが,他に複数いる.
そして,ガンジーは,スローガンやシンプルな観念的なイメージで誘導する手法であり,現実的な対処や政治的で厳密なやりとりとは性質が異なっていた.
ガンジーの死後は,その宣伝された偉人のイメージをもってガンジーの言葉を引用,私たちはガンジーの血筋です,とガンジー一族が権威化し,聖者の威光を持って権力を持って,もう一人の国家の父・ネルーの一族と共に政権を担ってきた.
よって,いつも政治・選挙の論点が政策の現実の細かい調整でなく,大まか,イデオロギッシュ,正統性を問うだけのものになる.
いつまでも貧困層がそのままに置かれている状況が続いている原因の一因は,この流れにあると言ってもいい.
インド人がガンジーを尊敬しているというのは外国人の思い込みで,特に貧困層においては,決してそうとは言えない.
-------------------------------------------
そんな内容だったと思います.
私自身はガンジーの「思想」は,非暴力活動を主に,世界に良き影響を与えてきたと思いますが,
インド現代史への「影響」では賛否あるものかもしれません.
あと,上述の部分ではないのですが,その書の抜粋をとっていましたので,ここに書き出しておきます.
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ガンディーさんたち(ジョン・ラスキンとビノバ・バーベー含む)は,信念の人でありました.
彼らは,その宗教的道徳的信念に基づき精力的に活動し,その数が多くの人を引っ張りました.
だから,その信念は,その持ち主である当人が死ねば,それで終わりであります.
何故ならば,信念とは元々個人特有のものであり,自分の信念を理解出来るのは自分自身をおいては他に無いからです.
ですから,彼らの信念は死後,色々に解釈,誤解されて,またもやその後継者たちの野心に利用され,インドの分断情況を促進しています.
信念,イデオロギーによって行動,特に社会活動することは,どんなに自分が正しいと思っていても,世界を分断させている一つの要素にすぎないということをインドの情況はは教えていると思われます.
ならば,どうすればよいのか?という答えは今の僕には出せませんが(引用者注 著者30歳頃の著作),僕の師であった吉本隆生という人は,
「信念や,イデオロギーがあっても,それを他人に押し付けたりそれで天下を取ろうと考えずに真に『自立』している時,自立したもの同士の真の『連帯』が可能」
と説き,それを不連続統一体(DiscontinuousUnity)と名づけました.
どうでしょうか.
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〔略〕
現在,パキスタンで大問題になっている外国映画は『ガンジー』で,これはパキスタンでは上映禁止となっているが,パキスタン政府がインド政府にインド国内でも『ガンジー』を公開しないように求めたが断られたため,両国の間で目下,大きな問題になりつつあるという.
パキスタン政府の言い分によると,この映画はインド内のイスラム教徒を刺激するから良くないのだという.
筆者などは民族解放の戦いを無抵抗主義者ガンジーを通して書いた優れた作品だと思うのだが,宗教が絡むと問題が複雑になってくるようである.
〔略〕
加藤久晴著『戦場のシルクロードを行く』(日本テレビ,1984.3),p.12-13
ちなみに,独立達成後のインドは,無抵抗主義どころか,現代日本も持っていないような核兵器,攻撃型空母を持っていて,軍事力では南アジア最強(まあ,パキスタンやバングラディシュなどが,揃いも揃ってへっぽこなんですがね)
つまり,無抵抗主義は本場インドでさえ受け入れられていない.
「理念は立派だけど,現実からは遠すぎて実行はむりぽ」
というところじゃないですかね.
【反論】
文春文庫 司馬遼太郎対談集「日本人を考える」
1978年6月25日初版 第11版で定価420円
梅棹忠夫との対談 P29〜30「日本は“無思想時代”の尖兵」
からの抜粋(原文)
↓
「戦争をしかけられたらどうするか.すぐに降伏すればいいんです.
戦争をやれば百万人は死ぬでしょう.
レジスタンスをやれば十万人は死にますね.
それより無抵抗で,ハイ持てるだけ持っていってください,といえるだけの生産力を持てばすむことでしょう.
向こうが占領して住みついたら,これに同化しちゃえばいい.
それくらい柔軟な社会をつくることが,われわれの社会の目的じゃないですか」
【再反論】
いわゆる極端な意見としては面白いね.
しかしなぁ…
>それより無抵抗で,ハイ持てるだけ持っていってください,
>といえるだけの生産力を持てばすむことでしょう.
そんな生産力なんて,日本にはもうないんだよね.
将来はさらに,減りそうだからなぁ.
もう既に死んでる考え方だね.
その上,人間は基本的に強欲な生き物なので,被占領地の住民が全て飢え死にするような,文字通り全ての生産物を持っていかれる可能性が大です.
そのような例は,戦史にいくらもあります.
20世紀でもナチスがロシアなどでやっていますね.
>向こうが占領して住みついたら,これに同化しちゃえばいい.
これも戦史が教えるところでは,逆にエスノクレンジングされる可能性が高い.
現代チベットなどの例をご覧になると宜しいかと.
軍事板,2001/06/23(土)
青文字:加筆改修部分
【珍説】
軍隊を持たない国が,他国から攻撃を受ける筈が無い.
【事実】
無防備宣言運動を推進する人達の言い分に,
「軍隊を持たない国が他国から攻撃を受ける筈が無い」
というものがあります.
自国に軍隊があるからこそ他国は疑心暗鬼になって危険になるのであり,軍隊が無ければ他国は安心して攻めて来ないだろう,という主張です.
しかし現実には軍隊の存在しない国に対して武力侵略が試みられた例が存在します.
それも国内の裏切り者が外国勢力を手引きして行われたクーデター行為,つまり外患誘致と呼ばれる方式でした.
1988年11月3日,モルディブ共和国.
インド洋に浮かぶ島々に人口30万人ほどが住んでいるこの南洋の楽園は当時,陸海空の戦力が存在せず,軍隊の存在しない平和な国でした.
どのくらい平和かというと,殆どの国民は政治に全く関心を示さないので政党が存在しなかったという,ノンビリした国でした.
そんな国でも,いやだからこそお手軽に「国家の乗っ取り」が試みられたのかもしれません.
ガユーム大統領政権の転覆を目指すモルディブ人の実業家,アブドラ・ルスフィとサガル・ナシールの二人は隣国スリランカの極左過激派PLOTE(タミル・イーラム人民解放機構)の傘下にあるタミル人ゲリラ組織の構成員を傭兵として雇い,武力クーデターを図ったのです.
しかしこの陰謀は,介入してきたインド軍(夜間に輸送機で一個大隊を運び,圧倒的戦力差に戦意を喪失し逃走するタミル人傭兵部隊を捕縛)により同日夜には終息しています.
モルディブ政府はスリランカ政府に対してお前の所の無法者をなんとかしろと要請していましたが,スリランカの準備が遅れている間に,インド政府はそれを出し抜いて救援部隊を送りつけました.
これは三国を巡る関係を考慮した恩義の押し売りですが,結果的に迅速な事態収拾が実現しています.
現在のモルディブ共和国は国家保安隊を整備し,2004年には警察の機能を分離し,より軍隊的性格を強めています.
(ただしこれはむしろ,民主化プロセスの一環として権力の分散を図った結果)
・・・と,このように「助けて!無防備マン」な状態で無防備マンは一体どういったアドバイスを送るのか,興味深いところではあります.
<以下,コメント欄より>
あの,大統領を守って一晩戦い抜いたモルジブ警察隊の武勇もほめてあげてください…
実戦経験皆無,小火器だけの軽武装で主任務は密漁取締りという人たちが,歴戦のゲリラ相手に一晩持ったんですから…
あと,自分の記憶によると,インド軍空挺コマンドの投入は11月4日だったかと.
Posted by 名無しT72神信者 at 2007年01月02日
16:34:42
国防力は必要ないと考える人多いのでしょうか?
私の考えを書きます.
国力とは,シンプルに表すと政治(外交)力,経済力,軍事力の3つによってなりたつものと考えます.
三輪車を想像してください.
このうち1つ欠けると自転車になり,推進力か誰かの支えが無ければ倒れてしまいます.
ましてや,2つ欠け一輪車になると,立つことすら難しくなります.
今の日本を考えると,一輪車か,よくてパンクした自転車のようなものだと思います.
外交について考えると,相手に対し自己の主張を通すためには経済力,軍事力が必要になります.
優れた理想,思想のみでは誰もついてきてはくれません.
何らかの利益が求められます.
この場合の利益とは,経済的な利益や自国の安全保障などがあると思います.
経済について考えると,カルタゴ(ハンニバル敗北後)を思い起こせばいいと思います.
経済力が突出しすぎると,それだけでも他国の攻撃対象(敵国または仮想敵国)になりうるのです.
軍事力について考えると,やはりこれのみが突出すると…,言わずもがなでしょう.
若干それると,大阪の陣を考えると相手にとって将来の禍根になりうるとゆうによってのみでも滅ぼされてしまいます.
蛇足ですが,義理や人情・理想のみで物事を解決しようとするのは日本人ぐらいなものです.
あと,過去の事を「水に流す」のも今の日本人ぐらいではないでしょうか?
外国や国連が,なんの利益もなしに自分たちを救ってくれると考えるのは早計なのでは?
結論を書くと,健全な国家(自己の生活)を守るためには軍事力も必要だと思います.
なんでもかでも軍事力の保有を否定せずに,もう一度,政治・経済・軍事について考えてみては?
平和(国家・自己の)を守るための必要悪みたいに考えてみてはどうでしょう.
それでも軍事力が必要ないと考えるのならば,どこ処か未開の地でも探して家族で移り住み,独立し,無抵抗主義を貫いてください.
【珍説】
非暴力〔を貫いたせい〕で侵略されることも,あるかもしれません.
しかしそれはなにも失敗ではありません.
Dan in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
侵略されて主権を奪われ,他国を攻撃するよう求められても,「失敗ではありません」といえますかね.
【質問】
ダライラマが非暴力で大きな争いを避け,結果としてチベットが侵略されたことに関して,
みなさん(逃亡した人たちのことを)
「ばかなやつらだ」
と思われたのですか?
「なんて愛のある行動なんだ! おれたちもやろう!」
とは思わなかったのですか?
Dan in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【回答】
すんません,絶対に思いません.
他国が侵略されたのを見て
「よし!俺達も侵略されよう!」
そんなアホな!!
あなたは中国に虐殺されているチベットの現状をなぜ見れない?
そもそもチベットが侵略されていなければ,あんなむごい虐殺などないんですよ?
私の大学ではウイグル人の研究員がいて,中国の現状を聞くが可哀想でならない.
自分の国も持てず,反抗したら虐殺されるんだから.
中国とチベットの関係が書かれている櫻井よしこさんのブログです.
もう少し,中国の行動も把握しましょうよ.
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/06/post_349.html
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たとえば,チベット人は言う.
「なぜ独立国のチベットが中国にのみ込まれ,民族浄化のひどい弾圧を受けなければならないのか」と.
チベットは日本と並ぶ長い歴史を持つ独立国だ.
自由チベット協議会などの資料によると,ソンツェン・ガンポという国王が国を統一したのは,日本では大化の改新の頃だった.
中国政府は13世紀以降,チベットは中国の領土だと主張するが,この場合の中国とはいったい何を指すのか.
チベット出身のペマ・ギャルポ氏が指摘した.
「モンゴル帝国と清帝国のときには,チベットがその版図の中にあったとはいえますが,両帝国共に,現中国を支配する漢民族ではありません.
支配したのはチンギスハンであり,女真族(じょしんぞく)です.
漢民族の明の時代には,チベットはまったくその版図に入っていません.
漢民族の支配する現中国の“チベットは中国の一部”という主張は,まったく根拠がないのです」
中国は52の少数民族を力で支配し,それらすべてを中国と称する.
そこにチベットも含まれる.
ギャルポ氏らは,
「600万の人口を有していたチベットは,決して少数民族ではない」
と言う.
地球上の国々の三分の一は人口100万〜1,000万人であり,総人口600万人は,むしろ世界的に見て平均的なサイズだというのだ.
それを独立国でなく,少数民族と位置づけること自体,事実を見る目を曇らせる.
チベットの国土もまた広く,現中国の面積のじつに四分の一に及ぶとギャルポ氏は訴える.
広大な国土を取り上げたうえに,中国がチベット人に行なってきた弾圧のすさまじさは筆舌に尽くしがたい.
生爪をはがしたり,逆さ吊(づ)りにして鞭打つなど珍しくもない.
凄惨な個々の拷問に加えて,すさまじい移住政策がある.
人口600万人の国に,現在まで720万人と見られる漢民族が移住した.
しかも,そこには少なくとも50万人の軍人が含まれる.
軍人は男性ばかりで,適齢のチベット人女性との結婚を奨励されてチベットに定住する.
チベット人の血は,混血によって薄められていく.
まさに民族浄化作戦だ.
ギャルポ氏が語る.
「チベットには今でも労改と呼ばれる強制収容所が多数あり,中国に反抗するチベット人が捕らわれています.
逮捕,拘禁され,拷問を受け続けているチベット人の数は,その実数さえわかりません.
われわれはこれまでに120万人のチベット人が命を落としたと推測しています」
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第二次世界大戦では,英国を始めとする非戦主義がヒトラーの拡張を生んだように.非戦主義が「侵略してください」と捕らえかねないサインとなる事に.Dan氏はどう考えているんだろうね?
一時的な戦争は誘発する可能性があるにしても,最終的にはみんな平和に過ごせるから,それは見過ごすべきと思うのか.
でもそれは,
「最終的な恒久平和のためには犠牲を厭わない」
という危険な主義になりかねない.
事実,幾多の英雄がその言葉の元に戦争を起こしてきたように.
【珍説】
軍事介入は物事を解決したことは歴史上一切ありません.
先のローマ帝国やヨーロッパ諸国の植民地支配,最近では朝鮮問題,南北ベトナム戦争,イラク戦争などなど,他国への軍事介入は後に大きな問題を山済みにして終わっています.
もし軍事介入で全てが解決するのなら,各国とっくにしているはずです.
そして地球はとうの昔に滅びているのではないのでしょうか?
【事実】
>軍事介入は物事を解決したことは歴史上一切ありません.
第二次世界大戦
朝鮮戦争
湾岸戦争
根本的解決は無理でしょうが,一国の独立を守るためには十分有効ですよ.
歴史上一切無いというのは,どうでしょうかねぇ.
フランス,オランダ,ベルギーはナチに占領されたままで良かったし,韓国も北朝鮮に占領,クェートもイラクに併合される.そのほうが良かったということでしょうか.
ローマ時代からを含めるならば,民族,国家の独立の為に軍事力が役立った例はいくらでも挙げられるでしょう.
もっとも,逆の例もたくさん挙げられますがね.
ただ,同盟国による助力が独立維持に大きく役立つということは疑いようがないはずですね.
【珍説】
国防はヤボの骨頂
中江兆民「三酔人経綸問答」(現代語訳)より
(1887年/明治20年)
今から100年以上も前にこういう人がいたのですね.
日本がその後どういう道を歩んだかを思うと,なかなか含蓄深い文章です.
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文明の進歩におくれた一小国が,昂然としてアジアの端っこから立ちあがり,一挙に自由,博愛の境地にとびこみ,要塞を破壊し,大砲を鋳つぶし,軍艦を商船にし,兵卒を人民にし,一心に道徳の学問をきわめ,工業の技術を研究し,純粋に哲学の子となったあかつきには,文明だとうぬぼれているヨーロッパ諸国の人々は,はたして心に恥じいらないでいられるでしょうか.
もし彼らが頑迷凶悪で,心に恥じいらないだけでなく,こちらが軍艦を撤廃したのにつけこんで,たけだけしくも侵略して来たとして,こちらが身に寸鉄も帯びず,一発の弾丸も持たずに,礼儀正しく迎えたならば,彼らはいったいどうするでしょうか.
剣をふるって風を斬れば,剣がいかに鋭くても,ふうわりとした風はどうにもならない.
私たちは風になろうではありませんか.
弱小国が強大国と交わるさいに,相手の万分の一にも足りない有形の腕力をふるうのは,まるで卵を岩にぶっつけるようなものです.
相手は文明をうぬぼれています.
してみれば彼らに,文明の本質である道義の心がないはずはないのです.
それなら小国のわれわれは,彼らが心にあこがれながらも実践できないでいる無形の道義というものを,なぜこちらの軍備としないのですか.
自由を軍隊とし,艦隊とし,平等を要塞とし,博愛を剣とし,大砲とするならば,敵するものが天下にありましょうか.
もし,そうはしないで,こちらがもっぱら要塞をたのみ,剣と大砲をたのみ,軍勢をたのむならば,相手もまたその要塞をたのみ,剣と大砲をたのみ,その軍勢をたのむから,要塞の堅固なほう,剣や大砲の鋭利なほう,軍勢の多いほうが必ず勝つだけのこと,これは算数の理屈,明白きわまる理屈です.
なにを苦しんで,この明白な理屈に反対しようとするのですか.
かりに万一,相手が軍勢をひきいてわが国を占領したとしましょう.
土地は共有物です.
彼らもおり,われわれもおる,
彼らもとどまり,われわれもとどまる,
それでどんな矛盾がありましょう.
彼らが万一,われわれの田を奪って耕し,われわれの家を奪って入り,または重税によってわれわれを苦しめるとしてみましょう.
忍耐力の富むものは,忍耐すればよろしい.
忍耐力の乏しいものは,それぞれ自分で対策を考え出すまでのことです.
きょう甲の国にいるから,甲国人なのですが,あした乙の国に住めば,乙国人ということになるまでのはなし,最後の大破滅の日がまだ来ず,わが人類の故郷たる地球がまだ生きているかぎりは,世界万国,みなわれわれの宅地ではないでしょうか.
鷲尾拓 in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
引用部分は「紳士君」の発言.
これに対して「豪傑君」の反論があり,両者の論を「南海先生」が調停する,というのが原典の構成になっている.
中江兆民の思想が投影されているのはむしろ南海先生.
自分に都合のいいところだけ読まずに,作者の表現意図をはかりながら熟読してください.
要旨を掲載したサイトがあったので貼っておきます.
でも原典を読むことを怠ってはいけません.
●南海先生の主張
紳士君の説はヨーロッパの学者が文字や言葉で発表はしているが,思想上の瑞雲であり,世の中ではまだ実現されていない理論である.
一方,豪傑君の説は昔の優れた為政者が数百年に一度行なえた偉業であって,今日ではもはや実行し得ない手法であろう.
また,進化は必ずしも直線コースで一足飛びに行けるものではなくて,順序があり,蛇行しながら進むものである.
自国民の意向と知的水準に合わない民主制度をいきなり採用しても,かえって騒乱のもとになるのではないか?
民権にしても,「回復の民権(=下から進んで勝ち取ったもの)」と,「恩賜の民権(=上から恵み与えられるもの)」の二通りがある.
前者は英仏で起こった革命が好例で,分量を自由に決めることができる.
後者は自分で勝手に分量を決めることはできない.
リスクを冒して回復の民権を獲得する(フランス革命などの例)よりも,政府の側で人民の意図を汲み取り,恩賜の民権でも分量を徐々に拡大するほうが良いのではないか?
紳士君の民主主義,豪傑君の侵略主義はいずれも,ヨーロッパの形勢への誤認(考えすごし)であろう.
なぜならば,国家とは多くの意欲の集合した構造であり,方向を決め運動を起こそうにも,一個人とは違って極めて煩雑な手続きを踏むことになるからである.
大国ならばなおさら,簡単には意思決定はできないし,他国との勢力均衡や国際法という足かせもあるのである.
そしてもし万一,大国のエゴで自国が危機に晒されるときには,力の限り抵抗しなければならず,みすみす殺されるのを待つのはおバカなことである.
一方で,無闇に隣国に膨張して恨みを買うのもナンセンスで,むしろ隣国とは友好を深めて平和外交を取るほうが賢いであろう.
将来の方針としては,立憲制度を設け,天皇の尊厳のもとで国民は幸福・安寧を保証される.
また,上下両院をつくり,民主的な代表選出制度(=衆議院)を確保する.
外交としては平和友好を原則に,国威を傷つけられない限り,高圧的な武力行為に出ない.
国内での規制は段階的に緩くし,教育・商工業は段階的に発展させるということである.
南海先生の主張は極めて常識的だったため,紳士君・豪傑君の二人はがっかりと思ったが,南海先生はいやしくも国家百年の計を論じるときには慎重でかつ奇抜さを謳うべきではないと語った.
三人はその後,それっきり顔を合わすことはなく,噂では紳士君は北米に,豪傑君は上海に行ったとも言う.
そして南海先生は相も変わらず,酒ばかり,呑んでいる.
http://kadoo.tea-nifty.com/home/2004/03/post.html
「三酔人経綸問答」と聞いて飛んできました.
口語訳があるので岩波新書版が読みやすいのでしょうが,せっかちな方は↓をどうぞ.
http://www.geocities.jp/hgonzaemon/nakaechoumin.html#21
【珍説】
多くのアフリカの独立運動(そしてアメリカやアジアでも)は,非暴力と武力行動が入り乱れました.
結果を全て武力行動の手柄にするのは,不勉強と言わなければなりません.
おそらく非暴力を懐疑する方々は,戦闘的「非暴力」抵抗行動をなめてらっしゃるのかと思われます.
intellipunk in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
イギリスやオランダ,フランスは第二次世界大戦後,日本から植民地を奪還した後に再度植民地化してますよね?
でも現地の人々の反乱により独立したものと思っていましたが,東南アジア地域でも非暴力抵抗行動があったことは知りませんでした.
非暴力ですべてが解決するのであれば,それに超したことはもちろんありませんが,現実問題として非暴力のみで問題が解決するとは思えないということです.
話し合いだけで住めばそりゃあ軍隊はいりませんが,実際問題可能だと本気で考えられてますか?
また,現状発生している独立運動の中で非暴力を推進しつつも,独立を勝ち得てる地域ってあるんでしょうか.疑問です.
長い目で見たときに誰かが「理想」を目指し語り継ぎ,少しでも近づこうとする文化的活動や思想的活動は絶やしてはいけないと思いますが,
現実と闘い目の前や近未来に起こりうる問題を,「非暴力」という「理想」で語られれば,それだけ反発も大きいのは仕方のないことなのでは?と思います.
【質問】
軍隊を廃止できた国は,とても裕福な国となるのでは?
【回答】
国家主権を超越する警察が存在しない国際社会にあっては,自警できない国は,裕福となる前に強盗に荒らされます.
【質問】
琉球王朝は武器のない国だったの?
【回答】
これは琉球新報の7年前の記事です.
――――――
鉄砲伝来"前に火器存在/中城城跡 "
中城城跡からは,中国から伝来したと考えられている火器兵器「火矢(ヒヤー)」の,弾丸と思われる石弾と金属弾が出土している.
15世紀ごろに使用された可能性が高く,種子島への鉄砲伝来(1543年)以前に琉球に火器兵器が存在したことを示す貴重な歴史資料だ.
――――――
この「火矢(ヒヤー)」という武器は,銃身は短く,銃身の先にそのまま長い柄が付いている構造で,命中精度は低かったものの,発射音による威嚇効果は相当,高かったようです.
琉球の「火矢(ヒヤー)」についての最古の記録は1450年まで遡ります.
種子島の鉄砲伝来よりも100年早いです.
琉球・沖縄史年表
>1478年 武器を王府に収めさせる(刀狩り)
秀吉の刀狩が1588年ですから100年近く早いです.
ですが以下のような意見もあります.
――――――
目からウロコの琉球・沖縄史: 武器のない国琉球?(1)
尚真王が軍備を廃止した事実はなく,この時期にそれまでの按司のよせ集めだった軍団から,王府指揮下の統一的な「琉球王国軍」が完成したというのが真実なのです.
再度強調しますと,琉球は刀狩りやそれに関連するような政策は一切とっていません.
――――――
そもそも刀狩は無かった,軍備が無いどころか強化されていた,琉球王国自身は平和国家でもなんでもなかった,という説です.
――――――
目からウロコの琉球・沖縄史: 武器のない国琉球?(2)
琉球の「武器のない国」というイメージはどのように作られ,広がっていったのでしょうか.
――――――
こちらも参考になります.
参考文献も紹介されていますし,このブログ主さんが出している本を読んだほうが手っ取り早いかもしれません.
目からウロコの琉球・沖縄史―最新歴史コラム
誰も見たことのない琉球―〈琉球の歴史〉ビジュアル読本
読みやすそうで面白そうですよ.
薩摩藩侵攻については,
――――――
[PDF] 琉球王国時代に造られた石畳「金城の石畳道」
この両側の砲台は,1609年に薩摩藩の軍勢が那覇港から上陸しようとした際に,激しい砲撃を浴びせた.
そのため薩摩藩は予定を変更し,今帰仁村と読谷村から上陸して首里城へ攻め入った.
――――――
しかしこの1609年薩摩藩侵攻は,首里城の無血開城ばかりが強調され,水際での激しい戦闘のことに触れている人は少ないです.
JSF in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字:加筆改修部分
【質問】
とある大学に入学した一回生なのですが,一般教養の教授が
「憲法改正で日本は軍国主義の国になる」
とか
「911はアメリカの陰謀」
とかのたまっています.
学期末に国際情勢についてレポートをまとめないといけないのですが,先輩によればその教授は自分と異なる意見のレポートは「不可」にするそうで.
かといって,教授の意見を丸写しすると,支離滅裂なレポートになっていまうんですが,どう対処すればいいんでしょうか?
【回答】
(1)
日米のことをなるべく書かず,欧露の対米姿勢をそっち方面から書いてればよくね?
それか,教授がモロ好みそうな内容で書いて「優」もらっとけ.
どんなにがんばっても支離滅裂な内容にしかならないのは「仕様です」(笑).
諦めて,自分を殺す練習だと思って書いとけ.
学生のレポートひとつ,世の中にはなんの影響もないし,誰にも迷惑は掛からない.
自分のため,単位のために,教授の太鼓持ちのひとつくらいしてやれ.
レポートは自分の考えの主張ではなく,先生が授業の中で言った内容をどれだけ理解し,咀嚼して要約できるかってことだから,教えられたとおりに書け.
全然興味のない分野のレポートに置き換えて考えれば,なんてことないだろ?
正しいかどうかの基準は教授だし
「軍国的で私の講義を聞いて居たとは思えないので,不可」
とか言われたら,学生には反論の余地はないからね.
書いてて気分が悪くなったら,
「これは敵の世論を誤った方向へ導くための紙爆弾だ」
と念じれば,少しは楽になれるでしょう.
縦読み紛れ込ませて悦に入るのも良いかも.
(2)
受験関係のマスコミなりネットにリーク.
同時に,そんなリークが行われていることを大学経営当局に匿名で通報.
そんな教授がいることで学生が減るような事態を経営陣は恐れるから,何かが変わるかもしれない.
あとは上述の方針で.
(3)
ときどき
「アポロはNASAの陰謀」
と主張して学生の反応をレポで伺う先生がいます.
どんだけ理路整然とした反論ができるのか,どう反論してくるのか,極論を主張すると学生の応答がまちまちで楽しいんだそうで.
ですから,まずは
「憲法改正が改正される → 日本は軍国主義に転じる」
この命題を否定してはどうでしょうか.
そしてその論拠をどこに求めるかってのはいろいろあると思います.
教授の意向に沿ったレポを提出しないと単位がもらえないなんてことは普通※無いです.
少なくともその教授の授業,講義を聴いており課題図書なり自分で調べた参考図書なりを読みこなしたことが,レポにきちんと盛り込めてあれば大丈夫です.
逆にいかに教授の意見に沿っていようとも,内容が正しかろうとも,明らかに授業を聞いたことが無いと判断されるようなものではだめです.
つまり,その講義を受けたことにより何も得なかった,あるいは講義を全く受けていなかったというのが明らかであれば,単位は貰えません.
こと,軍事においては思想からは自由であることが求められます.
何もあなたの忖度する教授の思想におもねる必要は一切ありません.
ただ,考え過ぎかもしらんが,こんな話もあるので,そこそこ注意したほうがいいかも.
レポート程度でも気づかないうちに思想改造される危険が.
『中国共産党が,アメリカ兵を「共産主義」に改宗させ,さらに仲間の脱獄をもらさず密告するまでの「協力者」に仕立て上げたのは,我々の想像を越えて「穏やかな方法」,たとえば,ただペンをとらせエッセイを書かせる,といったものだった.
「中国びいき」のエッセイを書いたものには賞品(しかし煙草程度のもの)が出されたが,ただアメリカへの望郷を記した者にも賞品が出された.
実は,この「穏やかさ」こそが,ポイントだった.
大きな利益が得られたり,厳しい罰がさけられたりするためならば,自分の心に対して偽りあることを書いても,アメリカ兵は動じなかったであろう.
そうした利益や罰がないからこそ,エッセイを書くことが強力なコミットメントとして働き,認知的不協和の解消を通じてアメリカ兵の思考を大きく変えていったのである.』
――「Real Hypnosis」;洗脳する
また,
「A tout le monde」:中国共産党の洗脳技術
も参照されたし.
「普通」ではない教授なんて,この世に掃いて捨てるほどいるしね.
【珍説】
もし全ての国家のリーダーが理想を意識すれば,すぐさま世界から軍隊をなくそうという会議を開き,軍隊はなくなるでしょう.
Dan in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
軍事力を持っていることがリーダーたる資格であるような国も存在するし,武装した非政府団体もたくさんある.
「軍隊」はなくなっても戦争は無くならないんですよ.
個人や集団の思い違い(思い込み),ヒステリー,考え方の行き違い,憤怒が大なり小なりの争いを生んでしうんです.
世界はお花畑ではないんです.
Danさん,そんなに人の善意を信じたいなら何度も持ち出すたとえ話ですが外出する際に家の鍵,玄関先に吊るしてみててくださいな.
3ヵ月も待たずに,善意についてお考え改めることになると思いますけど.
【質問】
軍事費を,紛争の調停したり裁判を行なう機関を設置することに使ったらいかがでしょう?
【回答】
米国に対しても強制力を持たせなけりゃならんので,少なくとも,米国の軍事費以上の費用がかかると思われます.
外務省のサイト見たら,今,米国の軍事費が単年度で
>6,224億ドル(国防予算権限額(見積額),2007年度)
…ムリッス.
また,その調停や裁判とやらが行われるまで自力でなんとか持ちこたえなければならないって時は必ず起こりえるんだけど,その辺についてはどうお考えですか?
【珍説】
バカ丸出しだな.
「仮に戦争状態になる」
という一言で済まし,そこに至る経過を「考えられないところ」が,プロ市民と同レベルでしかない.
【回答】
馬鹿はあなたですよ.
過程を考えて戦争状態となりうる可能性が低いというのでは国防は成り立ちません.
現実として摩擦を抱えているのですから,戦争状態となることは十分ありうることなんです.
仮に戦争に至る過程において,緊張状態〜侵攻準備を察知したとして,その短期間に防衛能力を向上させれるとお思いですか?
そして,国際情勢は一夜にして劇的に変化することもある.
これでは今日大丈夫でも明日も大丈夫などとはまったくいえません.
また,天災でもいろいろ想定して損害予測を出していますね.
それこそ100年に一度あるかないかの大地震まで想定して.
つーか人がやることだから余計に予測がつかん.
未来の仮想敵の能力というのは現在の延長線上にあり,未来になってからそれに対応しようとしても間に合いません.
10年後の能力は10年後になっていきなり出てくる訳ではないし,その対応も10年後になっていきなり出来る訳ではないのです.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
戦争を「天災」と同列に扱う軍事ボケ平和ボケがいるのも,日本の特徴だな(笑)
【事実】
いつ起こるかわからんが.いつ起こってもいいように備える必要があるのはどっちも同じだろ.
戦争の場合は天災と違って予兆を察知することはできるが,察知してから準備しても間に合わん.
相手は日本と違って準備万端状態なんだから.
軍事板
青文字:加筆改修部分
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