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◆アカデミズム
<総記FAQ・目次
「kojii.net」■軍事について学ぶ際にやらない方がいいこと
「kojii.net」■(2010/11/15)「安全保障教育というより地政学教育
『14歳からの戦争学』(松村劭著,エイチアンドアイ,2007/12/22)
おそらくあなたは,軍備の必要制・わが自衛隊が置かれている異常な状況に対する認識をお持ちだけれども,「戦争は命を奪う」といった公私混同の感情論に接するたび,その思いが揺れ動くのではないでしょうか?
今日は,そんなあなたのために,軍事の理解を図る上で「絶対に抑えておかなければいけないポイント」を手軽に身につけられる本をご紹介します.
この本は以下の思いから書かれたそうです.
<世界の学校では義務教育の段階から,一般の学校において着実に戦争について教育している.
それは,祖国の戦争の歴史とともに,祖国のために命を捧げた人たちの物語や,なぜ戦争が必要何かを教えているのだ.
本書は,国民として最小限度の戦争に関する常識を,登山に見立てて若者達に伝えたいと願ったものである.>(まえがきより)
「戦争」という名前は,「軍事」に置き換えていただいて差し支えないでしょう.
〔略〕
国家の真の独立,国民の真の国際化は武の理解から始まる.私はつねづねそう考えています.
古の武士は,文武両道を理想とし,生涯励みました.戦国時代の武将や幕末期の指導者などは,当時の国際社会でも超一級の人材ばかりであったといえます.
なぜか? 武を理解し,自分のものにしていたからです.
名著「宮本武蔵」のなかで著者の吉川英治は「文武はふたつでひとつ道」という名言を残していますが,まさにそのとおりで,いずれが欠けてもダメなんですよね.
現代の武とはなにか?それは軍事です.
読み終わった今,思っています.本著で説かれていることを,血肉化できている日本人は果たして何人いるだろうか?
逆にいえば,この小さい本一冊を自分のものとし終えたとき,あなたの視界は一変するに違いない,と.
この小さい本には,少なくとも私が知りたいことはすべて載っていました.
あなたにも資するところ大変大なるものと確信します.
あわせてこの本の特徴は,「地政学の基礎」「現代史」など,軍事の基礎を養う上で欠かせぬ分野がコンパクトかつ明瞭に学べる点です.
以下の目次をご覧いただいてもおわかりになるでしょう.
軍事・戦争の基礎について自ら学びたい.それが新書一冊でできるんですよ.
真の意味での「軍事原論テキスト」といえる本です.
常々思うことですが,私が尊敬する退役将校の方の言葉「有機的な書物を読むことが大切」は本当に大事ことです.
知識や理論やイデオロギーを頭に詰め込むと,人間は動けなくなり,<下の句が読めない>状態になってしまいます.
それには,本著でも述べられている「理外の理」を自分の手で掴み取ろうとする姿勢が必要です.
問い掛ければ答えてくれます.ぜひ,余白に書き込みをしながら著者と問答しつつ読んでいただきたい本ですね.
本著のような良書を,こんな手軽かつ安価に手に入れる時代になったことを幸せに思います.
著者の松村さんは退役陸将補.現在の肩書きはデュピュイ戦略研究所の東アジア代表,国際戦略研究所会員です.
九十四年から著述活動をはじめられ,「戦術と指揮」等,一般国民向けの著書刊行を通じ,軍事の啓蒙にあたっておられます.
ちなみに私がはじめて購入した自衛隊退役将校本は,この「戦術と指揮」でした.
本著を企画された株式会社エイチアンドアイ・熊谷さんの慧眼とご努力にも敬意を表したいと思います.
おススメです.
―――おきらく軍事研究会
"安全保障学入門 [新訂第4版]" 防衛大学校安全保障学研究会<「FSM」
『軍事学入門』(防衛大学校・防衛学研究会編,かや書房,1999.6)
『戦争学のすすめ』(松村劭著,光人社,2007.1)
【質問】
政治とか経済はけっこう詳しいんですが,軍事に関しては全然ダメなんです.勉強したくても,一般の本屋などでは,良さそうな資料がなかなか手に入りません.
どうやって勉強したらいいですか?
自分の国の装備も分からないなんて・・・・鬱です.(パピヨン)
【回答】
初心者はまず,体系的な知識の獲得に努めるべき.
ネット上の情報は誇張や拡大解釈してがちなので,勉強するならネットより本で.
おきらく軍事研究会版の初心者向け推薦図書
■すべての基礎
「地政学入門」 曽村孝信(著)中公新書 〜国を1単位で捉える思考〜
「民間防衛 新装版」 スイス政府編 原書房 〜国防と民間の関係〜
「国防」 石破茂(著)新潮社 〜わが国の安全保障政策〜
「戦略的思考とは何か」 岡崎久彦(著)中公新書 〜自我を捨てて国際情勢と接する〜
「孫子」 岩波文庫 〜すべての武の源〜
「ローマ帝国衰亡史」 エドワード・ギボン(著)ちくま文庫 全10巻
〜大国の行動を理解するには西洋歴史の古典が必須〜
「戦争の教科書」松島悠佐 (著)
著者は,阪神淡路大震災当時の陸上自衛隊・中部方面総監です.
戦争という切り口から,国防を理解する内容となっています.
薄い本なので,プレッシャーを感じることなくすぐ読めます.
「『戦争学』概論」黒野耐 講談社現代新書
特に地政学を体系的に紹介している箇所が圧巻ですね.陸将補としての知見
も随所に感じられ,楽しく読めた1冊でもありました.
■軍事
「防衛ってなに?」 上田 愛彦, 杉山徹宗(著) 鷹書房弓プレス
〜1問1答式ですぐわかる.上田氏は元陸将〜
「軍事学入門」 防衛大学校防衛学研究会(編) かや書房
〜軍事学のスタンダード〜
「最新版安全保障学入門」 防衛大学校安全保障学研究会, 武田 康裕,
神谷 万丈(編) 亜紀書房 〜安全保障学のスタンダード〜
「スイスと日本 国を守るということ 「永世中立」を支える「民間防衛」の知恵に学ぶ」
松村劭(著)
有事法制は「民間防衛」「予備役制度」を実現するためのもので,それを欠
いている限り国防にとっては意味がありません.
スイスはなぜ有事に100万人を動員する体制を取っているのか?
民間が国防に参加することがなぜ日本ではできていないのか?
この本を読んで,特に,予備役制度の大切さを改めて考えていただきたいです.
トム・クランシーの著作 〜正確な背景を元に描かれている米軍の姿〜
※必ずしもそうでないものもあるが.
■情報活動
「「情報」と国家戦略」,太田文雄(著) 芙蓉書房出版 〜統幕・前情報本部長のエキス〜
岡崎久彦氏の著作 〜骨太の歴史観に裏打ちされた見通しを誤らない情報活動〜
■国際情勢
「アメリカ外交」,村田 晃嗣 講談社新書 〜アメリカを理解すれば国際情勢を「正確に」読み解くことができる〜
その他,政治家の回顧録は読む価値が大きいです.
「中国の瀬戸際戦略 「反日」の裏に隠された「反米」を読み解く」松村劭(著)
軍人(元陸将補)による中共情勢分析. 中共の脅威は米国であり,かの国の反日と反米はつねにリンクしています.
メッセージを読み誤ることがないよう心がけたいものです.
「中国の安全保障戦略」平松茂雄(著)
平松さんが退官後(杏林大学)初めて出された著作です.
これまでの中共軍事研究の成果をぎゅっとまとめた内容です.
「日米永久同盟」長尾秀美 (著)
■アドバイス
基本的には「定評ある古典」「辞典」「実務経験者の本」だけで十分です.
著者の考えが前面にでている本は,基礎がないと振り回されるだけなので初心
者にはオススメしません.
なお,問題は,現在,初心者でも使える辞典が存在しないことです.
朝雲新聞さんには,以前出しておられたポケットサイズの辞典・「国防用語集」
をぜひ復活させてほしいものです.
装備や兵器については,マニア以外の初心者が読む意義のある本はありません.
ネット検索で十分です.
なお,巻末に「ブックガイド」がついている本は,初心者向けで,著者が内容
に自信をもっている証拠です.
「索引」もついていれば,それは大変力を込め
た作品です.
■初心者が読んではいけない本
1.やたらと分厚い理論書(しんどいだけです)
1.評論家が書いた本(評論家の目利きができるようになってから)
1.大学教授の本(こちらも目利きができるようになってから)
以上の内容は,当方の経験に基づく「軍事」「情報」「国際情勢」分野に限っ
た話ですので,その点ご了解ください.
&
1) 俺(回答者)の独断によるおすすめ兵器・テクノロジー編
兵器の常識・非常識〈上〉陸軍・海軍兵器
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890630953/qid=1061788042/sr=1-33/ref=sr_1_2_33/249-0315544-9490753
兵器の常識・非常識〈下〉空軍・ミサイル兵器篇
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890630961/qid=1061788042/sr=1-38/ref=sr_1_2_38/249-0315544-9490753
新・戦争のテクノロジー
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309241352/qid=1061788420/sr=1-5/ref=sr_1_2_5/249-0315544-9490753
2) 教科書編
軍事学入門
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4906124372/qid=1061788545/sr=1-2/ref=sr_1_2_2/249-0315544-9490753
最新版 安全保障学入門
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4750503010/qid=1061788545/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-0315544-9490753
3) 戦略・戦術編
戦争学
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166600192/qid=1061788653/sr=1-12/ref=sr_1_2_12/249-0315544-9490753
新・戦争学
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166601172/qid=1061788642/sr=1-2/ref=sr_1_2_2/249-0315544-9490753
ゲリラの戦争学
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166602543/qid=1061788642/sr=1-4/ref=sr_1_2_4/249-0315544-9490753
戦術と指揮
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890369007/qid=1061788642/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-0315544-9490753
芙蓉書房の戦略論大系シリーズ
4) 戦史編
歴史群像の出してる太平洋戦史シリーズ
http://fleet7.hp.infoseek.co.jp/Museum/GKrg/GKrg003.html
と欧州戦史シリーズ
中東戦争全史
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/405901074X/qid=1061789046/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-0315544-9490753
現代紛争史
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4059011053/qid=1061789075/sr=1-3/ref=sr_1_2_3/249-0315544-9490753
海上護衛戦
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4059010405/qid=1061789155/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-0315544-9490753
三野正洋の「わかりやすい〜」 ただし,三野はハズレも多いので注意
児島襄の戦史関係の本
5) えばたん(江畑謙介)編
アメリカの軍事戦略
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061493191/qid=1061789781/sr=1-4/ref=sr_1_2_4/249-0315544-9490753
日本の軍事システム―自衛隊装備の問題点
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061495437/qid=1061789781/sr=1-3/ref=sr_1_2_3/249-0315544-9490753
日本の安全保障
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061493752/qid=1061789781/sr=1-5/ref=sr_1_2_5/249-0315544-9490753
最新・アメリカの軍事力―変貌する国防戦略と兵器システム
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061495941/qid=1061789781/sr=1-2/ref=sr_1_2_2/249-0315544-9490753
(この本は後回しでいい)
並木書房のえばたんの本
http://www.namiki-shobo.co.jp/html01/m_heiki.html
ちなみに挙げてる本はまったく問題が無いわけじゃないはずだけど,まあ初心者向けだからOK.
(軍事板)
【2004年12月のおき軍事のおすすめ】
軍事のイロハ〜バカな戦争をさせない88の原則〜
別宮 暖郎 (著) 並木書房
いわゆる軍事本の多くは,
「軍隊の組織とはどういうものか?」
「装備には どういうものがあるのか?」
「戦略・戦術にはどんなものがあるのか?」
といった風に「軍事分野」だけを独立させて扱って紹介・解説しているというのが
実際のところですよね.
軍事というのは社会科学の一分野であり,マニアのための趣味のオアシスのみであってはなりません.
軍事は政治・教育と並ぶ国の柱のひとつであり,歴史を見れば軍事なしで国が存在することはありえないということが明らかだからです.
一般の国民の人が心配しているのは,軍部の暴走に国が引っ張られるのではないか?という点にあると思うのですが,これは軍に対する命令権を持つ唯一の力である政治,すなわち国民が軍事常識を持つことで解決できると私どもは確信しています.
さて,この本ですが,基本的にいわゆる「軍事知識」を得るためのものではな
く,「軍事常識」を身につけるためにとても役立つ本です.
歴史に関して造詣の深い著者が,9つの分野,88の項目についてコンパクト
に語る内容は,読みやすいと同時に長くなく,自分が知りたいことのみを選んで読むということも可能です.
政治・外交の中で軍事はどう扱われてきたのか?
歴史という舞台の中で軍事を考えたい人,には特に知的興奮を味わえる良書と思います.
新・国際政治経済の基礎知識 田中 明彦 (編集),
中西 寛 (編集) 有斐閣
おそらく,現代最高の情勢分析家のひとりといえる田中氏編集の基本書.
21世紀の国際政治経済を理解するために不可欠な基本テーマなどを厳選し,各テーマのポイントを簡潔・的確に解説.グローバル化時代を生きる学生・ビジ
ネスマンに必携のハンドブック.
83,93年刊の精神を引き継いだもの.
シンポジウム・イラク戦争―軍事革命(RMA)の実態を見る かや軍事叢書
冨澤 暉 (編さん)
冨澤元陸幕長以下,陸海空高級幹部出身者による編纂.RMAの現場での実
態.
@The Sling and the Stone: On War in the
21st Century
by Thomas X. Hammes
現在ペンタゴン周辺の防衛サークルで一番話題の本です.新しい世代の戦争(第四世代の戦争)という概念を使ってわかりやすく解説しております.
これからのアメリカの戦略に与える影響は大きいと思います.
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0760320594/qid=1106608548/sr=1-1/ref=sr_1_8_1/249-3587976-1363547
AThe Dynamics of Military Revolution, 1300-2050
by MacGregor Knox , Williamson Murray
軍事革命(RMA)に関する本としては現在入手できるものの中で最もよくまとめられている本でしょう.とくに最初のマリーが書いた解説はたった14ページほどにも関わらず,かなり濃い内容となっております.
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/052180079X/qid=1106608747/sr=1-12/ref=sr_1_0_12/249-3587976-1363547
ロング・ピース―冷戦史の証言「核・緊張・平和」
ジョン・L. ギャディス
エール大学の歴史家です.
この人の本ではまだまた訳されていない名著がたくさんあります.
そういえばフォーリン・アフェアーズ最新号トップの目次にもこの人の名前がありましたね.
「Strategic Theory for the 21st Century」(Dr.
Harry R Yarger著)
アメリカ陸軍はリッチですなぁ
kbkn
歴史としての冷戦―力と平和の追求
ジョン・ルイス ギャディス (著), John Lewis
Gaddis (原著), 赤木 完爾 (翻訳), 斉藤 祐介
(翻訳)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766410815/249-9944080-8764312
アフター・ヴィクトリー―戦後構築の論理と行動叢書「世界認識の最前線」
G.ジョン アイケンベリー (著), G.John Ikenberry
(原著), 鈴木 康雄 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757140576/ref=pd_sim_dp_1/249-9944080-8764312
(YS)
【関連リンク】
「リアリズムと防衛を学ぶ」:防衛に興味をもった方におすすめしたい3冊の名著
【質問】
軍事を学びたいけど,まずどこから手をつければいいのやら.
まずは兵隊とか階級とかそれから戦略戦史とか・・・
そのあとに陸空海を見ていきたいって感じで思ってるんだけど.
【回答】
軍事,てのは教科というより教育大綱みたいなもんです.
つまり軍事,の一言の中にセンター試験の受験科目全部包括してるみたいなもんです.
戦史
戦略
戦術
武器
兵器
軍人
技術
事件
etc・・・
それぞれに国と時代がある.
さらに軍事とは政治の一手段であるから,軍事を理解するためには政治も理解しなければならない.
また,その国の軍事は,その国の立ち位置によって大きく影響を受けるから,地理・歴史・文化も知るべき.
その国の軍事は隣国との関係にも左右されるから,外交はもちろん,隣国のことも知らなければならない.
・
・
・
果てはないんだよ.
さらに,軍ネタはサブカルと大きくかぶってる(アニメやゲームなど)から,そっちに手を出すとさらにカオス.
だからミリメシ,つまり軍隊のご飯について突き詰めるだけでも本が何冊も書ける.
だからね.自分がどの方向に進みたいか,とりあえずでも指針を決めてから取り掛かった方が良いです.
針路変更は何時しても構わないから.
もっと言うと,まず得意科目を作るべきです.
タテ方向に深くってことね.
ある程度の深さまで進めたら,横に手を広げると良いでしょう.
軍事板
青文字:加筆改修部分
やっぱとっつくなら,ハードルの低いところからはじめるべきですね.
私ならカンネーの戦いとかミッドウェー海戦とか,そういう戦史から入ることを勧めます.
それで俯瞰的に楽しみつつ,ハンニバルのような軍人,赤城のような空母,といった個別の項目に入っていくと良いでしょう.
それらで気になったものがあれば,同じカテゴリーのもの(軍人なら軍人,軍艦なら軍艦)に手を広げていきましょう.
それも最初は同時代とか同じ国とかから始め,徐々に外国とか他の時代とかに広げていきましょう.
そうやっていく内に自分なりにとことん突き詰めたいテーマが見つかると思います.
あなたのメインテーマの決定です.
しかし趣味の良いところはそのテーマにこだわる必要もないということです.
別に気になったテーマが見つかったら,そっちに切り替えるなり手を広げるなりしても,全く構わないのですよ.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in 軍事板
青文字:加筆改修部分
24 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/04/01(水) 20:24:51 ID:???
軍オタって志してなるもんじゃなくて,いつの間にか「なってた(完了形)」というもんだろ,と思ってた.
25 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/04/01(水) 20:25:26 ID:???
斑目乙.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「軍事学」スタート・キットを教えてください.
【回答】
あまりにも無学なままこの分野に口を出す輩が後を絶たないので,とりあえず議論に必要と思われる各人で用意すべきテキスト類を列挙してみる.
●地球儀とヒモ
海上交通路の把握や弾道ミサイルの軌跡を考察するのに欠かせない.
●地図帳
中学や高校で使用していた物で良い.国内の軍事施設,島しょ部の脆弱性の把握に適応.
●地形図
正確な陸上戦闘シミュレーションに必要.
国内のものは戦域毎に必要になった都度,図書館でコピーするのがよろしい.
●最新の自衛隊手帳
単位換算一覧があったはず.
海外の資料を参照したいときにあると便利.
また,部隊所在地の一覧が意外と役に立つ.
●最新の防衛白書
我が国の周辺事情を知ることができる一冊.
●かや書房の『軍事学入門』(防衛学研究会編,1999.6)
頭にたたき込んでから議論に臨みたい一冊.
戦場では空理空論より過去の蓄積が物を言う.
思いのまま一通り書いてみたが,難解な理論書の類は僕はお勧めしない.
軍事学は社会科学の一カテゴリーに過ぎず,目的に手段が見合っているか否かの話に終始するのだから,目の前の事象と自分のポリシーの双方に素直になればいいだけのこと.
こういうものは電気回路やイラストと同じで,実践と失敗によって身に付くものだという確信はある.
というわけで,これを忘れちゃいけねえというものがありましたら是非ご教示ください.
クローム・ツァハル in mixi,2008年04月21日01:12
▼
●1m~3の容器一杯に水を入れると,水の重さは1tになる
●自衛隊の早足行進の歩幅は75センチ,120歩毎分の早さ.
●オームの法則
(電流)*(抵抗)=(電圧)
クローム・ツァハル in mixi,2008年05月31日07:38▲
▼ 「地球儀なんて買えるか」とか「そんなもん置いておけるか」と言う人にお勧めなのが
http://www.qsl.net/ve6yp/
のAzimuth3.zipという大圏地図ソフト.
これで任意の国からの各地への直線距離を出せます.
アメリカを中心に表示するとこのとおり.
http://www.qsl.net/ve6yp/Azimuth.html
▲
【質問】
軍事史を知る上では,政治外交史や社会史への目配りも大事でしょうか?
【回答】
凄く大事.
外交は政治活動の一環なように,軍事も政治活動の一環.
軍事は政治の一部なわけで,目配りすべきというか密接に関わりあっている.
例えば最近よく言われること.
ドイツのチタデレ作戦は完全にタイミングを逸していたことはヒットラーも理解していたが,新兵器を大量投入した大作戦で一応ソ連に損害を与えたことで,同盟国の離反や中立国の連合軍参加を遅らせる効果があった.
ソ連のバグラチオン作戦はポーランド手前で息切れし,ドイツは好機と見てクリストローゼ作戦を実施した.
だが,ソ連は純粋に息切れしたのでは無く,ポーランドの親英政権の壊滅をドイツに任せたい意図もあったと言う.
その後の攻勢で大損害を出しているが,これは能力差による結果では無く,勝ち戦の取り分を多めに確定させるため,出血を惜しまなかったっつう理由が大きい.
あるいは戦中戦後のソ連の戦車開発思想なども面白い.
軍事的な見識より,歴代書記長の信条や前任者批判,米政権による経済的圧迫などにも引っ張られていて,軍事知識だけで戦車の開発思想を考察すると必ず見誤る.
兵器の調達で
近代の××に対処するため必要
とか
時代に合わないので要らない
とか言ってみても,実は金がねえから思想を懐具合に合わせてる場合も大きい.
(新しい目的で必要性語ってる時も,本音は従来品の更新させろってだけだったり.)
つうことで軍隊の運用や資材の調達の思想も,その国の経済状態に照らすと,「金が無い」っつうのは最高の殺し文句だねえ.って感じで,あれこれ思想の妥当性検証すんのもバカバカしいこともある.
軍事でも,大砲や飛行機など兵器の設計や構造などを知りたいだけなら,物理などの学問の世界だから,政治はほとんど無視出来るけどね.
軍事板,2010/03/13(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍隊が出てくれば全部軍事学には含まれないのですか?(強制連行,南京大虐殺,ユダヤ人虐殺,従軍慰安婦問題,他いろいろ,Q&Aにも一応載ってますが)
単に軍事板としては,歴史板の方が適切だから管轄外にしてるだけですか?
それとも,荒れるからそれらの話題は毛嫌いされてるだけですか?
【回答】
個人的見解.たぶん
それらの話題は毛嫌いされてるだけ
だと思います.
軍オタの間では白黒はっきりつけられる問題が好まれるという印象を私は持っています.
結局,これらの問題は歴史的事実がどうなのかはっきりさせようというよりも,左派右派双方が政治的に利用しようとしているだけなので,議論がこんがらがりますよね.
そういう状態で本当のところはどうなのか客観的に検証するのは難しいので毛嫌いされるのでしょう.
私はこれらの問題は軍事にとっても重要だと思うんですけどね.
強制連行…は植民地における戦時徴用という問題ですよね.
たしかどのような過程を経たか,眠い人さんがFAQで回答しているはず.
徴兵とセットの問題ですよね.
南京大虐殺…は非正規戦,ゲリラ戦の難しさということですよね.
ファルージャの戦いや第二次レバノン戦争など多くの戦争に共通している問題です.
ユダヤ人虐殺…は特にタブー視もされず,今でも十分に取り上げられていると思いますが.
こちらは日本人は第三者なので議論しやすいようです.
従軍慰安婦問題…軍隊と性は切っても切れない関係にあると思います.
独身の青年男子が主体ですからね.
以下サイトは昔,憂国・国粋調の方と議論しているときに教えてもらった,左翼的視点からまとめた米軍の売春史
http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/paper71.htm
性病の蔓延は戦力ダウンを意味しますから,米軍はこの問題に軍隊らしく合理的に対処しているなあと感心したものです.
事実を積み重ねてその上で分析をするのであれば,その様なネタについてもソレナリに実のある議論にはなるのかと思いますが.
「事実とかそういう部分以外(感情論とか政治的なアレコレ)がウザイので寄るな」
ってのが理由じゃないかなぁ・・・と.
編者としての立場から言いますと,本当はどれも扱いたくありません.
プロパガンダが蔓延しており,素人にとっては,何が真実かを見極めるのが大変困難だからです.
だからそういうのは「プロに任せたほうがいいよ」というのが,本サイト内にも明記されている,編者としての基本スタンスです.
じゃあなぜユダヤ人問題は拡充しているのか?といえば,基本的には,
「リビジョニストがFAQ BBSに現れたので,それに対する反論とするための資料を漁っているうちに,あれだけの蓄積になってしまった」
からです.
また,調べているうちに,日本におけるユダヤ人コミュニティというテーマが個人的に面白く思えてきた,というのもあります.
「面白そうだから調べていたら,気がつきゃこんなに増えていた」
というパターンは,最近ではプーチン関連がそうですね.
また,「軍事板」じゃなくて「軍事学」全般として.見た場合,別項目内にある樹形図から考えると,強いて言えば社会科学的軍事学ということになるかもしれませんが,それはもはや研究上の視点の問題になるでしょう.
そして現在,巷間で議論されている南京事件,慰安婦問題が,社会科学的軍事学という視点での議論であるかといえば,これは大いに疑問ではないかと.
当方個人としては,この両問題では,むしろ諜報分野におけるプロパガンダ工作的な側面のほうが,大変興味深いものがあります.
【質問】
あなたの身の回りの人々の,軍事についての認識の程度を教えてください.
【回答】
では,うちの職場の出来事を……
サンプルA 男性
「ゆとり教育の本当の目的は,出来る子だけに良い教育をして,後の子供はまともな教育をしない事だった.
そうすれば出来ない子供を兵隊にして,鉄砲を持たずに刀だけで敵に突っ込ませる事が出来る」
と言うような事を,延々と10分程喋っていました.
徴兵がッ,ぐんくつの音がッ,という人のようです.
サンプルB 女性
「アメリカに行くなんてとんでもない.
敵国だから.
中国も……うーん,ちょっと危ない」
「原爆を落としたアメリカは許せない.
だから私はグアムまでしか行っていない」
どう考えても,中国とアメリカの対日関係は逆ではないか……
グアムの下りは,ギャグではなく本気のようです.
これが,50代後半の学校事務職員の軍事(?)知識のようです.
2009年07月14日 22:03,寄星蟲
私も職場の報告を.
サンプルC 男性 20代後半
組合活動の一環でピースウォークに参加,米軍基地撤退要求のデモらしい.
「軍隊は,国民を守る目的ではない何かのために動いていると感じた」
と発言,琉球新聞に載った(らしい).
軍隊がなければ平和になるという,まあお花畑.
2009年07月14日 22:16,匿名希望
職場の年配の方に核武装論者がいたことについて.
そんな物わざわざ持つより,××を○○するほうがマシですよ(地方経済的な意味で),と一応スルー.
2009年07月14日 23:53,ぎんなんそう
祖母.知ってる人は知ってるが,かの名古屋城の炎上を,最初の方から落ちるまでずっと見ていたそうです.
後,陸軍に知り合いがいて,遊びにいくと,当時すでに珍しかったコロッケやトンカツを食べさせてくれたそうだ.
ちなみに,祖母の祖父が近衛の大佐(詳細は不明)なのでかもしれんがな.
2009年07月15日 12:50,tacticaltomahawk
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事の初心者向けQ&A集サイトを,防大や戦史研究室が運営するというのは無理っすか?
【回答】
彼らの成果がなかなか世に出る機会はありませんし,趣味でやっているからこそ建前を抜きにしてやれる強みがあると思います.
これがどこかからのひも付きだとこうも言ってられません.
頭の良い奴がなぜそうなのかといいますと,それは情報参照能力の問題だと思います.
なかなか回答に困るネタです.
実際,私は防衛大学出身ではないので,オフィシャルの回答とは行かないことをご理解ください(どちらかと言えば個人的な話かもしれない).
以下の3点が理由かと思われます.
●1 研究の方向性・対象が違う
戦史資料室などは,その研究対象が「戦いの流れ,勝敗の原因」になっているのが現状です.
(兵器単体の研究は戦史ではない)
たとえば「日露戦争,旅順攻略における兵站の問題点」とか,「太平洋戦争時における洞窟陣地の戦術的意義」とか,そういった感じですね.
●2 階級的に基礎知識を持っている(ハズ)
次に,こういった研究を(仕事で)している人は,CGSかFOC出の3佐以上の人です.
(一部3佐にまだなってない合格者含む)
このクラスになると,例に挙がっている2つのような物は,「知っている」のが前提となります.
だからわざわざ書きません(笑)
●3 平和主義(笑)対策
もうひとつ考慮すべき用件(と言うか最大の問題点),それは日本の防衛関連に対する特殊な感情・運動です.
基礎的な知識・話を広めるために,一般的FAQを民間向けにつくろうものなら・・・
自称平和大好きな方たちがスキップで押しかけてくるでしょう,朝日新聞の記者と一緒に(笑)
こういった諸事情で,なかなかオフィシャルでは作成できません.
(日本に比してはるかに軍事に寛容というか必須とみなしている国でも,ああいったサイトはオフィシャルには無いんじゃないですかね.)
<以下余談>
ただ,自衛官にも「趣味の人」はいます.
私なぞ,戦史に関しては広く浅く,話の腰を折らない程度の知識しか持っていませんが・・・
思い出話になりますが,既に退職された方でOさんという方がいました.
彼は少年工科学校出の部内組でしたが,趣味戦史というツワモノでした.
特に日露戦争と朝鮮戦争に関しては,日本でも有数の研究者だったようです.
(在職中に韓国戦跡めぐりを企画して,白元将軍に面会を取り付けられるレベルです.)
なぜかそのO2佐が,私ともう一人の先輩を気に入りまして,
「おまえら,どっちかが俺の跡に××学校戦史研究室に入ればな・・・」
とか言ってました.
気に入った理由は授業中に
「お前ら,好きな帝国海軍の艦名を言え」
と唐突に言われて,普通の同期が大和,武蔵,長門くらいまでしか言えなかったところに,「大井,北上」とか言ってみたり(先輩は山城,扶桑だったらしい),あと部外講師を呼んで
「中東戦争における戦車設計の変遷」
とかやっているとき居眠りこいておきながら,講師のメルカバの設計思想に関する質問に全部答えた上で,どこで知識を得たのかと聞かれて
「雑誌で読んだあとネットで調べた」
とか言ったら,その記事は講師の人が書いたものだったおかげで,
「ここの学生はいいね!」
状態で誉めまくって,(居眠りの件はすっかり忘れて)帰ったとかあったせいです.
話がそれましたが,そのOさんは陸幕で旅順に関する講義を行った(職種学校の一教官に過ぎないのに)ツワモノですので,まだ隠れた趣味人はいるのでしょうがね.
「生きているうちに,この研究を自費出版したい」
というのがOさんの口癖でした.
そろそろ60歳になるはずですが・・・まだ出版の話は来てないです.
Cpt.hige by mail,2008年06月08日 19時09分
【質問】
「すとう信彦 & his band」:江畑さんについての追記
> 最大の問題は日本の一般大学や研究所で,軍事,戦史,兵器などの専門講座や専任教員のポ
>ストを用意しているところはほとんどないことで,「平和学や平和研究があるのに,なぜ戦争
>論や紛争研究がないのか」と我々も何度も各大学などに呼びかけましたが,なかなか現在でも
>進展していません.優れた軍事研究者や防研出身者が大学に移っても,結局は国際政治学や国
>際法,憲法などを教えているのが現状です.しかし,軍事や紛争研究,特にLIC研究や新防衛概
>念など現実のニーズが高いので,機会あるごとに,各大学・研究所などに専任研究者の採用を呼
>びかけていくつもりです.
ここには注目すべきでは?
【回答】
いちおうマジレスと断っておくが.
これは別に須藤の人格とは関係なく,大学自治との絡みで,政府・与党・議員のやれることは非常に限られている.
私立大学のうち,理事会専制の大学にターゲットを絞って理事を説得するのが,現実的には近道.
そうでないと,須藤みたいな「NGOつくって戦地見てきました」という,なんちゃって軍事・安保専門家が増殖するだけ.
そんでもって↓の発言でお里が知れる.
> 「平和学や平和研究があるのに,なぜ戦争
> 論や紛争研究がないのか」と我々も何度も各大学などに呼びかけましたが
法学で債権論があって債務論が無いのはけしからん!とか言ってるどっかの教授と同じ.
平和の裏には戦争や紛争があるんだから,平和論・平和研究で戦争や紛争を研究すればいいだけだし,両者は不可分なのは,平和研究においても常識.
問題は従来の平和論に軍事の要素が弱いと言うことであって,看板に向かって文句たれるのは,何にも分かっていないことの証.
大学に籍があるくせして,何にも分かっていない.
ニュース極東板,2009/10/17(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事系の講義してる大学ってないのかね?
【回答】
安全保障の方面に強い教師がいるかによるんだろう.
帝京大学に志方氏がいたりしたような.
他には慶応義塾の元塾長の鳥居氏とか.
高校の時に講演会で話を聞いたことがあって,世界各国の空母保有数の表とかスライドで説明してたな.
「インドは2隻持ってるけど古いのだから大丈夫(笑)」
という台詞が記憶にある.
拓殖大は異常に安全保障系の授業が充実しているぞ.
なんたって安全保障だけでなく,北岡元教授のインテリジェンスの講義があるくらいだからな.
ただ,北岡さんはGRIPS専任で,他でも非常勤もってるね.
全体的に見ると,赤い人は腐るほどいるけど,安全保障のプロは少ない気がする.
軍事板
青文字:加筆改修部分
我が母校である小樽商科大学には,赤い先生がうようよいますよ.
その筆頭が歴史学の荻野富士男教授.教授は岩波新書から「思想検事」って本も出してます.
私が1年生だった時の後期試験の問題は,「昭和天皇の戦争責任」でした(笑
ZII ◆RPvijAGt7k in 軍事板
青文字:加筆改修部分
小樽商科大学って,『天才柳沢教授の生活』のモデルの人が居たところか.
今は単なる三流国立だけど,戦前は結構な偏差値だったらしいね.
小樽自体が,戦前は活気がある大都市だったから.
今は単なる寂れた地方都市だけど.
軍事板
青文字:加筆改修部分
そのとおりです.
最近は小林多喜二ブームでも注目されていますよ.
ZII ◆RPvijAGt7k in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
良書を書いてる教授なら,一期無駄になるような講義はしないですよね?
【回答】
まあ,講義が眠い人とかいるけど・・・
一年間延々,研究ノートの朗読聞かされたり.
後に本になる内容で,純粋に中身のレベルは高かった.
資料とか配らないので,ノートとるのに死にそうになったが.
また,なぜか授業がうだうだな先生が,いい本を書いていたりすることもままある.
そういう先生の場合,講義の時間は本を読んでわからないところを質問に行く,みたいな感じにしてほしい.
空き時間で先生が本を書けて二重にお得.
前に防衛法制に関係した官僚OBの教官が,立法学と銘打って,やってくれたのは面白かった.
オフレコの内容が多くて詳しくはいえないが,ナポレオン戦争以降の欧州軍事同盟〜朝鮮戦争国連軍〜ユーゴPKOまで,日米安保からめて.
国内法の立法論を期待して受講した学生からは大不評だったらしい(笑)
まっとうな学者ではないので,本は出てないようだ.
まあ向こうの大学者でも,まとまった著書がなくて授業の講義録が主著書扱い,なんて人いるみたいだしな.
一方で,自分の書いたろくでもない本を教科書指定して学生に買わせた挙句,いざ講義に出てみるとその本さっぱり使いませんでした,とか.
ひどい奴になると,5月くらいに改版を出して,
「買い換えろ」
と言う.
「教科書を指定して買ってもらいましたが,この講義をすべて受講しても,皆さんには理解できないと思います」
最初の講義でこう言われた時は唖然とした…
福沢諭吉が,
「私は頭の良い人間にしか理解できない本よりも,猿にでも理解できる本を書く」
みたいな事を言ってたが,本当に頭の良い人間ってのはそういうもんだよな.
軍事でも,解りやすい(かつ間違えの無い)本を書く人は,たいてい深い知識を持ってるし.
657 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/08/31(日) 02:26:20 ID:???
>まあ,講義が眠い人とかいるけど・・・
講義に,眠い人がいるかと勘違いしかけた俺.
軍事板
青文字:加筆改修部分
眠い以前の講義の模様
(うそ)
【質問】
大学で国際法など勉強したいのですが.
【回答】
どの大学に行くかよりも,4年間で何を成し遂げるかのほうがよほど大事.
〔略〕
去年の夏,やはり大学進学を控えた高校生の世話をしてたのですが,日本人の母上はできるだけ名の通った大学に入れることに執心なさってたのですが,グラマンで航空自衛隊のE-2の改修を担当していて,新しいレーダーをテストするために硫黄島に行った話とかしてくれた米国人の父上は,どこに行くかよりも何をするかの方が大事と仰ってました.
〔略〕
バグってハニー,2010年02月27日 00:33
〔略〕
正直,余程の高レベルの大学であるか,学閥とか校風とかであるとか特殊要素がない限りでは,授業の質というのは学校の名前と関係無しに教授のレベルに左右されます.
例えば私の母校は,私が通っていた時は,憲法学会でもそれなりに名の通った方が教授をしておられました.
今は,
「地方自治体は外交の意思決定の当事者となりうる」
などと喚いている,無防備都市宣言条例の後押ししているキチガイが教授です.
かと思えば,法律学科のみの法学部のくせに,今の学部長はナチズム外交が専門の方だったりします
(この方のゼミは2年次から3年がかりで,第二次大戦期の日中史,日独史,日ソ史を学ぶというものです).
うちの大学はそう言う意味ではノンポリで,どんな色にも染まる,まさに教授頼みの大学といったところでしょう.
一方,ある程度有名どころになると,そう言うわけにも行きません.
〔略〕
ただ,やはり最終的には,バグってハニーさんが言うように「何を勉強するか」をしっかりと見据えることの方が大事でしょう.
専門講座に移る前に,ゼミを決めざるを得なくなるかもしれません.
漫然と「海外を見る勉強」というよりも,国際法なのか,国際政治なのか,国際経済なのか,例えば国際政治にしても外交史なのか現代国際政治事情なのか外交政策なのか,その辺をもっと考えた方がいいと思います.
国家による外交政策を勉強しようと思って国際政治が専門のゼミに入ったら,国際政治問題における国際NPOの在り方に付いての研究が専門だった,なんてことになりかねません.
憲法9条を始めとした各国における憲法に見る安全保障の考え方,ということでしたら比較憲法の研究教授の方がいいと言う場合もあります.
ちなみに私は2年次のプレゼミで,「国際社会における私人間紛争の解決」という謳い文句で,勝手に「国家が介入し得ない移民問題や民族紛争」と脳内変換して,国際私法という全く関係ない講座を選択してしまった苦い経験があります.
shigezo,2010年02月27日 10:13
〔略〕
法についても国際的にということだと,日本のような実定法条文解釈優先な国と,英米のように個別の判例解釈の蓄積を優先する国では,自ずと出発点も異なります.
ですから,相当な覚悟が必要だということだけは申し上げられるかと思います.
でも,いずれにせよ,入ってから関心の湧く分野と言うのもこの世には存在します.
秋山真之みたいに,大学予備門から海兵に受けなおす人生だってあったんですから.
ゆずこせう,2010年02月27日 12:03
あくまで今では当たり前の話ではございますが.
「教授の評判」という点では,昔と比べたら,各大学のホームページ経由で教授,准教授,助教など教員のプロフィールが載ってありますので,わかりやすいといえばわかりやすいかも.
あくまで「昔と比べれば」の話ですが.
そこから名前や著作をネット検索することで,ある程度の評判が出てくることはありますが…
ぎんなんそう,2010年02月27日 13:30
〔略〕
あとはゼミですね.
ゼミを選択するまでにしっかりと「何を学びたいのか」を自問自答し続けてください.
私は「教授のレベルに左右される」と書きましたが,大学での勉強は突き詰めればゼミになると思うからです.
専門講座も含めて,授業全般がダメでも,師事する教授が自分の知識欲を満たしてくれる人であれば,きっと充実した大学生活を送ることが出来るでしょう.
shigezo,2010年03月02日 10:23
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
※私的(原質問含む)関係部分は省略させていただきました
【質問】
センター試験の社会科目を迷っていて…軍事的に一番実りがあるのはどれだとおもいますか?>世界史・日本史・地理
【回答】
各科目とも実りがある.
日本史
明治維新以降がことに関係が深い.
軍閥の巨頭らの名前や兵制の移り変わりは,政治動向と絡んで詳しくやる.
鎮台から師団へとか,師団の増減とか,満州国の成立とか.
世界史
これは世界の西欧の手による一体化の時代以降は,軍事の側面も大きい.
現在の世界の政治状況を見る上でも欠かせない.
ことに中東問題やイスラムへの理解などでは欠かせないといえるだろう.
地理
地政学的観点から見ていく上で欠かせない.
人文的な知識も補えるし,大学に入るにあたって最新の統計的な情報を覚え,基本的な読み取りができる意義は極めて大きい.
歴史と一体にして踏まえていけるとよい.
結論
どの社会科目でも軍事と結びつきは大きい.
あとは他の関心や,自分がどの程度時間を割けるかを考えて,選択するのがよいと思われる.
理系ならば地理がやはり一般的ではあるまいか.
それでは健闘を祈る.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ センター試験程度だと,回答の内容が反映されるのは苦しいでしょうなあ.
特に,日本史あたりの話はセンター試験ではほとんど関係ないと思われます.二次試験はどうだか知りませんけど.
センター試験に限るなら,日本史はお勧めできません.
世界史は高校で選択していなかったのでわかりません.
ただ,『理系ならば地理がやはり一般的ではあるまいか』には激しく同意ですね.
自然科学が絡んでくる(気象・気候や地学的知識)のが日本史・世界史よりも多いので.
ゆきかぜまる
センター試験だと日本史は分かりませんが,世界史はお勧めできないですね.
統計的に見てWW1以降のことは出題率がかなり低いので…(WW2以降はなおのこと出にくい)
なのでその辺が主要な興味だとするなら,世界史はお勧めできません.
オセアニア史・南米史・中国制度史などの分野や,貿易・宗教・文化のテーマ史が頻出で,戦争の話や戦後の交渉の周りはあまり出ないというのが個人的感触ですね.
二次だと関西難関私大とされるところでは,文化史やイスラム史,ローマ史など,延々人名を暗記する作業になり,これも戦争まわりはあまり出ない.(出ても条約名止まり)
東大・京大だとテーマ史で800字も書かせるのは厳しいのか,戦争を縦糸にした論述もそれなりに出ます.
「WW1とWW2について,両者を比較しつつ論述せよ」
という演習の時に,軍事的知識が多少役に立ったのは覚えてますが…(笑)
結局あんまり役に立たないですね.
軍事的知識の礎石にはなるかもしれませんけど.
モンゴルとかそういう世界帝国の歴史を学べるという点ではお勧めできますけど,一緒にドンソン文化とか,軍事にナノグラムも関係の無い事象も学ぶことになります.
ただ,学習指導要綱的に言うと世界史は必修なはずなので,個人的には地理/日本史の選択だと,楽なのは地理だと思います.
日本史は漢字が多い(笑)
個人的には選べるなら公民のほうがはるかに楽なので,公民を選んで地歴は趣味にすればよいかと.
C.Hinayama
傾向と対策で言えば,理系の人間と親和性が高いのはやはり地理だと考えます.
また,地政学を学べるのは最大のメリットですし,それをステップに世界史をゆっくりとライフワーク的に学ぶのがベストか,と考えます.
公民は難易度は低くなりますが,その分やる気も出ない罠.
まあ,突破して志望校(志望学科)に到達するためには何でもありなのでしょうが,受験テクニックだけを磨いても人生にとっては何にもならない,というのは今までの実感でもあります.
へぼ担当
▲
【質問】
外国の大学は文理の垣根ってあまり無いのでしょうか?
【回答】
一般化するのは難しいですが,という前提で.
日本で経済から理転し時に感じた限りでの感想レベルですが.
文理の(大学教育における)垣根ということについては,日本は垣根が高いのはその歴史故だと思います.
日本の大学はもともと,明治維新で欧米の学問や技術を積極的に吸収しようとした時期に専門教育に特化されて創設された歴史があります.
大学に限らず,技術や実学といった,すぐに役に立つ物Practicalな物を積極的に吸収し,それぞれの分野がかつて分けられてなくて一つだった時代の伝統や各分野のつながりと言った物は無視されて(と,いえば言いすぎですがとりあえず優先順位が比較的低かった)いたわけです.
「たこつぼ」化して取り入れたと言われるのは(「日本の思想」by丸山真男)そこら辺をさします.
ついでに言えば世界初の工学部は日本の東大(東工大かも)だったはずです.
当時日本が手本にした大学の,専門教育ではなく普通学を担った教養学部がほとんどないのは,日本の大学が教養課程を旧制高校にまかせていたこともあります.
だが,その旧制高校は戦後に廃止されて,教養課程は一般教養課程というおまけの様な感じで大学に入りこみました.
専門においては文理の垣根が教養課程よりは高く,また文理の垣根がなく「教養学部」を創設した大学は少なかったわけです.
文理どちらともつかない学際的な学部が雨後の筍の様に増殖したのは最近の話です.
そこに中国の科挙の様な,ある面においては大学に入る前にある意味特定の分野の知識が「完成」されている事を求めるような専門的な試験を課すことによって,大学が専門性を高める事に拍車がかかります.
で,現在その様に分断された各分野,とりわけ入試の段階で文系理系の垣根を超えるのはなかなか困難です.
カリキュラムというか機会が提供されてないからです.
なので理系文系の壁を超える,一番顕著なのは理転文転ですが,欧米はカリキュラム的に言って日本よりは簡単だと思います.
上記の様に,日本では教養学部少なく,大学入試の段階で,(ほとんど素通りされる一般教養課程後の),研究分野がほぼ規定されますが,欧米では教養学部で普通学を学んでから専門を勉強するのが大学という感じなので.
大学院に進学する際には外国では実際何を研究してきたかが問われるので,本当にその分野の研究が出来れば理転も文転も可能かと.
実例で,学部:社会→大学院:数学という人も知りあいにいます.
ただし,つながりのある分野なら,大学院進学の時に文転(例:理系→教育,数学→経済)するのは日本でも結構あります.
以上,チラ裏でした.
Fabius (KT) in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
ちょっとでも戦争を肯定的に捉えたりといった,日本の歴史の禁忌に触れると,学者はアレルギー起こすよね?
例えそれが防衛省の戦史研究年報でも,学者サマにしてみれば軍人なんて社会の屑だし.
【回答】
貴殿の見解も結構,偏見が強いと思うな.
私の所属する研究室でも,そのようなステロタイプのような軍事忌避の見解を持つ様な研究者は,幸いにしていない.
俺が通ってる大学の日本史研究室でも,軍事に偏った研究はいい顔されないが,それは右左のイデオロギーのせいじゃなくて,そういう研究が大抵の場合,マニアックな事例の検証に終始して,政治や経済,社会などにほとんど目を向けていないからだよ.
(って昔,俺が院生の先輩に言われた台詞,ほぼそのまんまなんだけどね…)
史学雑誌に載ってる論文に納得がいかんのなら,きちんと史料を使って,それを批判すればいい.
それが実証史学というものだ.
それをしないで先達を揶揄するようなことばかり言ってても,意味がないだろう?
付け加えるなら,現在の『軍事史学』は研究者に相手にされないどころか,政治史・外交史の大家から気鋭の若手まで,気合いの入った論文が多数掲載されてる,クオリティーの高い学会誌だ.
(そりゃアレな論文も結構あるが,それは軍事史に限った問題じゃないし)
嘘だと思うなら70年代のバックナンバーと,最新号を比較してみるといい.
言っちゃ悪いが,レベルの異常な向上ぶりに愕然とするから.
貴方が抱いてるだろう固定観念と違って,「日本の歴史学では特定のイデオロギーに基づかない研究をすると圧力がかかったり,軍事について語ることそれ自体を忌避する」
というような風潮は,かなり昔にメインストリームから滑り落ちている.
軍事板,2009/06/11(木)
青文字:加筆改修部分
▼ 蛇足だけど,今となっては東大系だからといって軍事を忌避してることはないと思う.
現東大教官の加藤陽子氏なんか,政軍関係や徴兵制度の研究をバリバリやってるし,もう片方の鈴木淳氏だって,旧軍将官の日記を翻刻しちゃうくらいだしな.
しかも思想的に左翼であっても,比較的きちんとした軍事史の本を書ける(時事問題に触れるとなんだかなぁ…だが)山田朗氏みたいな人もいるし.
そういう風潮から考えると>>793 は大変だと思うが,頑張って下さい.
近年ではどの系統の研究者でも,軍事を取り扱ったテーマを研究されている方は多い.
その人物の思想と歴史学的手法は,イコールではない.史料の解釈や分析手法がきちんとしているか否か,これが判断のポイント.
とはいえ,そういう風潮が過ぎ去ってから結構な時間が立つのに,未だに自分の主張が世間から受け入れられない理由を,「頭が固い左翼の抵抗」へと転嫁してしまう人(誰とは言いませんが)もいるわけで.
(同様の傾向は,極右にも見られるが)
さすがにアカデミズムの第一線に立ちながら,そういう事を口にする人はほとんどいないが,ネット界隈を見れば,そういったステレオタイプなイメージを振りかざしてる人は少なくなかったり.
軍事板,2009/06/11(木)〜06/12(金)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
大学論文の活用法を教えてください.
【回答】
大学から接続すると米の論文データベースを検索できるだけでなく,論文のFull
textが読める.
ここ↓な.
http://www.jstor.org/page/info/translated/japanese/terms.jsp
んで当然,ここでいう「論文」の中には軍事論文も含まれている.
「攻勢3倍則」が現代でも通用するか,向こうの専門家同士が論争してたり,1945ソ連の満州侵攻作戦を米の専門家が脅威もって分析してたり,ソ連にトラック生産工場の設立ノウハウを授けに行った米技術者のレポート(1930年代の)が載っていたりと,軍ヲタとしても実に勉強になる.
二人兄弟の墓 in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍事・歴史・国際政治系の論文(日本語)が置いてあるところを教えてください.
防衛研究所は知ってます.
【回答】
http://www.jiia.or.jp/indx_research.html
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/reference_index.html
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue_index.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/geppo/index.html
大学紀要クラスだと
http://ci.nii.ac.jp/
でPDFデータを公開している場合も多い.
学会誌もひっかかる.
学会誌なんかは有料だが,大学単位で金を支払っているため,あなたが大学に在籍しているなら大学PCから閲覧・DLできると思う.
(日本国際政治学会の『国際政治』や国際安全保障学会『国際安全保障』,軍事史学会『軍事史学』などはPDF化が進んでいないため閲覧できない)
あと,メジャーな国立大学クラスだと,北大のように紀要をPDFで公開しているケースもある.
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bulletin.jsp
「大学名+リポジトリ」などの単語で検索してみると吉.
北大の紀要の軍事関係だと,『北大法学論集』所収の佐藤守男「情報戦争としての日露戦争(1)―参謀本部における対ロシア戦略の決定体制
1902〜1904年」なんかがかなり骨太.
全5作で一本一本がクソ長いため,PDFで読む気は起きないけれど.
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/14991
軍事板,2009/09/28(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
ぶっちゃけ卒論では政治と軍事は避けた方がよくね?
まぁ考えすぎかも知らんけど,世渡り上手な人はしないだろうね.
【回答】
836 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/01/29(木)
22:02:16 ID:???
主張を研ぎ澄ますために卒論をやるのか,その問題を客観視して様々な主張,論点を整理し,両者の言いたいところを推察していくために取り上げるのか,で結構変わると思います.
軍事といってもテーマは幅広いので,なんともいえないかと.
838 :名無し三等兵 :2009/01/29(木) 22:15:56
ID:???
ゼミの教授が超弩級の軍オタな俺が来ましたよ.
技術史と称して軍事技術の研究やってる人の前で,軍事史をテーマに卒論書くとか,恐ろしくてとてもとても.
841 :名無し三等兵 :2009/01/29(木) 22:40:56
ID:???
結局,卒論自体は軍事と直接には関係ないテーマに逃げちまったんですよ.
まあ,そうやって提出した論文の出来がどうかといえば,微妙だったけど(笑).
ただ,テーマ決定の時に教授が話して下さったことは印象的でしたね.
「軍事史の研究をやるのもいいが,最終的にはそれが歴史学の研究として一般性,普遍性を持っていないといけない.
それを忘れて軍事史”しか”分からないようになると,この先研究を続けていった時に,
『俺は何でこんな事やってるんだろう』
と後悔する時が来るかもしれない」
と.
当方の頭の悪さゆえ,正確に思い出すことは出来んのですが,まあそういう事を言われた.
実に耳が痛かったですね.
846 :名無し三等兵 :2009/01/29(木) 23:31:18
ID:???
>>843
これは私の書き方が悪かったと思います.
「歴史学としての一般性・普遍性」というよりは,
「研究者として軍事史をやりたいなら軍事”しか”分からないようなマニアックな視点に陥いるな」
というべきですな.
当方は院志望を公言している癖に,そういった方面への配慮が足りないダメ学生だったので(笑)
そろそろスレ違いっぽいので,これで失礼.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
アカデミックな分野では,翻訳ってほとんど評価されないの?
【回答】
基本的にその通り.
西洋文学での原典・古典の翻訳などで,翻訳が高評価を得ることもあるが,何というか大先生の最後のお仕事的な位置づけのことも多い.
「翻訳ばっかやってる=学術論文書かない人」は学者と認められないし,業績評価でも「その他」扱いされることが多い.
しかも,出したら出したで,誤訳をネチネチと攻められたりすることもあるし,実際,誤訳を書評で吊し上げられ,それに反論したら,書評会に招かれて撃沈→アカデミズムを去る,でも外部の人はそんなこと知らないので,訳書のみ今でも(古書だけど)流通してる――などというケースもある.
アカデミズム内部でのみ生きていこうとするなら,労多くして益少ない仕事だ.
(でも,出たら出たで結局,みんな訳本に頼ってしまうのだが(笑))
しかし,アカデミズムに必ずしも拘泥しないなら,翻訳は必ずしも不利ではない.
軍事板,2010/02/08(月)
青文字:加筆改修部分
軍事板FAQ
軍事FAQ
軍板FAQ