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『空戦フォークランド』(A・ブライス&J・エセル著,原書房,1984.5)
内容はタイトルの通り.
数少ないフォークランド紛争関係の和書で,訳もエバっちだから安心して読める.
本全体として流れがあるんじゃなくて,短いエピソードが時系列的に並べられてるような感じ.
イギリス・アルゼンチンの両陣営に取材したらしく,十分満足できる内容.
終戦からわずか2年もたたないうちに出版された本とは思えんわ.
――――――アドバンスト杜聖 ◆REH634FRNQ in 軍事板
【質問】
フォークランド紛争について詳しく知りたいのですが,どういった本がおすすめでしょうか?
【回答】
とりあえずおおまかな流れを押さえるなら,前者は「湾岸戦争 兵器ハンドブック」(三野正洋ほか 朝日ソノラマ)がいいんじゃまいか.
タイトルがアレだが,後半を丸々フォークランド紛争に割いている.
フォークランドの方でやや突っ込んだ本なら,「空戦フォークランド」「海戦フォークランド」の二冊がお奨め.
あいにく陸戦の詳細について書かれた本は知らない.
むしろ俺が教えて欲しいくらいだ(笑)
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 『cat shit one '80』は,当時は謎だった話が解き明かされている部分がいろいろある.
たとえば,グースグリーンの戦いで,英軍の大隊長がア軍の陣地前面で攻撃が挫折しちゃって,再攻撃しようとして戦死してる.
これについて,謎を解く手がかりとなるような挿話を,どこからか資料を持ってきて紹介してたりする.
も一つが,絵解きの分かりやすさ.
アセンション島からヴァルカン爆撃機で,ビクターに空中給油させてフォークランド空港の滑走路を爆撃するんだけど,その爆撃行の話を空中給油の手順なんかと実際を,分かりやすく絵解きしてくれてる.
これにグラモーガンがエグゾゼをフォークランド島から食らった話とかを入れたりすれば面白い.
これら以外のフォークランド紛争の詳しい本は多分,洋書になるべ.
細部まで詳しい話を知りたいってんなら,公刊戦史を追うのが一番手っ取り早い.
あ,『サッチャー回顧録』(日本経済新聞社,1996.9)も参考になるかもね.
回顧録は事実じゃなくて,執筆時点で本人と代筆者が考え付いた,こうあって欲しいと願うエピソード集.
やたらと不思議なエピソードがある場合は,当時の新聞などにあたると,実は非難されているネタを美味く説明しようとしてたりとか,そういうことだらけ.
だけど当事者の頭の中に入ろうとするなら,不自由でも回想録とかを読む必要が出てくる.
人は嘘をつくというのを分かってて,騙されてもいい,むしろ騙すところまで読み取って再現するぜ,って人ならどうにかなる.
それにサッチャーだからね.
腐ってもイギリス紳士,ジョンブル魂が金玉にみっちり入ってる人だし,その辺は突っ込まれても,こまかい瑕疵があっても恥ずかしくない物を書くと思うよ.
(養老孟司が褒めてた.俺自身は積んであって読んでないけど)
ど低能で成り上がりの調整屋レベルのビル・クリントンが,ホワイトハウスで外交ままごとしてたのを,ジャーナリストに本まで書かれてから,インナーワールドに逃げ込んだのとは訳が違うぜ.
軍事板,2009/09/07(月)
青文字:加筆改修部分
▲
▼ 洋書で申し訳ないですが,実際読んだことのある本なので.
Writer's and Readersというイギリスの(多分)出版社が出している,「○○
for Beginners」というシリーズがあります.
いろんなことを過不足なく明快に紹介したもの.
このシリーズにThatcher for Beginnersもありまして,サッチャーの生い立ち,首相になるまでの経緯,大戦終結直後からサッチャー退陣に至るイギリスの政治経済状況,サッチャーの政策の基礎などが説明されており,初心者向けとうたいながらも,なかなかよく書かれた本だと思いました.
フォークランド紛争直前のイギリスの政治・経済・社会情勢も,この本で分かると思います.
あの戦争が,いかにサッチャーと保守党にとっての天佑だったか,とか.
初心者向けですので,用語も文章も簡潔な英語で書かれています.
英語がペラペラな方でなくとも,中学高校で習った程度の英語で,充分読める本だと思います.
私も辞書片手に読みました(大学のゼミで).
風刺に富んだ挿絵もお奨めです.
軍事板,2001/06/13(水)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
フォークランド紛争について書いた本って,
「空戦フォークランド」「海戦フォークランド」
「湾岸戦争 兵器ハンドブック」
の他には何があるだろう?
Amazonで検索すると
「狂ったシナリオ フォークランド紛争の内幕」
「フォークランド戦争 “鉄の女”の誤算」
とか言うのもあるんだけど,これ読んだ人居る?
あと,サッチャーの回顧録あたりにものってそうな気がするんだけど,どうだろう?
アドバンスト杜聖 ◆REH634FRNQ in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【回答】
公刊戦史が出てます.
英語です.
書いた人は爵位貰ったんだったかと思います.
上下巻で上が政治過程で,下が実際の戦闘経過だったかと思います.
下は厚いです.
他に調べると,イギリス人がアルゼンチン側の内幕を取材した本とかあります.
艦載エグゾゼをむりやり沿岸砲兵に仕立てて,夜間に砲撃して夜明けに去っていく英駆逐艦に一矢報いた話とかが載ってて楽しいです.
やってるアルゼンチン側は大真面目なんですけどね.
また,『世界歩兵総覧』で短いながらも一応,一章を割いてフォークランド紛争の陸戦を扱っています.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 後は,
『現代紛争史』(山崎雅弘著,学研M文庫,2001/11)
って本もあるな.
忍法帖【Lv=40,xxxPT】 in 軍事板,2012/02/10(金)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
フォークランド紛争(1982年)はなぜ起こったんですか?
アルゼンチンも,イギリスの領土内に軍隊入れれば,戦争になる事ぐらいなぜ分からなかったのだろうと,不思議に思います.
イギリスと争ってまで,なぜフォークランドが欲しかったのですか?
【回答】
当時のイギリス経済が不振だったこと,海軍が削減されて士気も低下しているように見えたこと,等.
そのとき南半球では晩秋という季節だったから,冬まで持ちこたえれば南極圏近くへの遠征は困難になるし,シーハリアーだけの空母戦力がそんなに威力があるとも思えなかった.
【参考サイト】
http://www007.upp.so-net.ne.jp/togo/dic/data/falklandwar.html
【質問】
フォークランドって,歴史的に見ても紛争までの状況を見ても,どう考えてもアルゼンチンのものだと思うのに,何で未だイギリス領なの?
【回答】
▼ 発見したのはアルゼンチンが先.
そもそもアルゼンチンの方が,はるかに地理的に近いから,当然だわな.
ヨーロッパ人で最初に島を発見したのは,ポルトガル人エステバン・ゴメスの船で,1520年のこと.
当時は無人島だった.
もっとも,木製のカヌーが発見されていることから,フエゴ島の先住民に先に発見されていたという説が有力.▲
ただまぁ,大航海時代になって,欧州勢が勝手に新大陸に乗りこんでここは俺のものー!とかやってたので,先住者の権利なんてどうでも良いわけだ.
で,イギリスは1592年にフォークランド諸島に上陸し,「ここは俺のものー!」とかやった.
だからフォークランドはイギリスのもの.
これがイギリスの主張.
▼ が,大航海時代では当時のイギリスはまだまだ蚊帳の外で,主役は当時の列強筆頭国家だったスペインとポルトガルだった.
両国はシマ争いが激しくなってきたので,こりゃある程度シマを国ごとに分けなきゃいかんなーって事になって,トルデシリャス条約ってのを結んだ.
これでスペインは南アメリカでの権利を保障され,(例外もあるが)南アメリカは全部スペインのものー!になった.
アルゼンチンの前代国家はスペインの支配を受けたが,しかしスペインから独立した事によって,スペインの権利も譲渡された,と考えた.
それに関する明確な公文書があるわけでもないんだが,まぁ欧州の法律って社会通念とか重視するから,「社会通念上」当然アルゼンチンのもの!って考えた.
これが1492年のトルデシリャス条約締結時,
この時よりスペインに権利があったので,それをアルゼンチンは根拠にしてる.
年代的にもアルゼンチンのモノっぽいんだが,じゃぁどっちなのかっていうと……
決定的な証拠はどっちにもない.
1764年になってフランスにより,東フォークランド島に入植する.
一方,英国はそうとは気づかないまま,1765年に軍艦を派遣して領有権を主張する.
1767年にフランスはスペインとの間で,フォークランド諸島を金銭トレードする.
そしてボルボン朝スペインは,フォークランドの領有を宣言し,1770年にはブエノスアイレスから海兵隊を発進させ,ポート・エグモントに上陸.
島の英軍を降伏させる.
アメリカ独立戦争に備えたい英国は,戦争を避け,スペインの領有権を認める.
(ただし英国も,領有権放棄はしていない)
代償は,西フォークランドに英国人が居住を認められる権利.
これが1774年のこと.
1820年になってアルゼンチンが介入してくる.
同年,同国のフリゲート「エロイナ Heroina」がソレダードに到着し,領有と主権を宣言する.
アルゼンチン独立に際し,「旧リオ・デ・ラ・プラタ副王領」の一部として,スペインから主権も受け継いだと言うのが,その主張.
1829年には,ルイス・ベルネト Luis Vernet
なる人物を島の知事に任命し,アザラシ狩猟権も与えられる.
ベルネトには既に,ホルヘ・パチェコ Jorge
Pacheco とともに漁業権も与えられている(1823年)
英国領事はこれに抗議するが,アルゼンチンとの最初の紛争は,アメリカとの間でまず発生した.
諸島付近での捕鯨にかかる税の支払いを,アメリカ船3隻が拒否したため.
船長をアルゼンチンが逮捕すると,アメリカは報復としてスループ「レキシントン」を派遣し,米海兵隊はソレダードを襲撃した.
しかし米国大統領アンドリュー・ジャクソンは,それ以上の深入りは避けた.
一方英国は1833.1.3,ブリッグ・スループ「クレイオー」を諸島に派遣し,無血占領.
アルゼンチンは抗議したが聞き入れられず,諸島は以後,英国の実効支配下に置かれる.▲
こう言う時,こういった土地は国際法上は,実効支配している国のものになる.
韓国が竹島で頑張ってるのも,そのためだな.
で,イギリスとしては,同諸島は戦略的な要地ではあったけれど,何せ地球の果てだし,階級の低い人間をそこに住まわせる以上の力を注ぐ必要もなかった.
アルゼンチンはこの地に住む人々へ医療等のサービスをし,徐々に実効支配力を増しながら,いい加減領有をはっきりしようぜーと柔らかく交渉してきた.
ところが政権がお互いに変わり,
アルゼンチンは軍事政権が成り立ち,国内人気が下がってきたので,人気取りの為に,
イギリスはサッチャーが,強烈な経済政策を断行する為の人気を獲得する為に,
このどっちつかずのこの島の領有をこの際はっきりさせて,それによって国民の人気を取ろうとした.
これがフォークランド紛争.
結果としてアルゼンチンは負け,それによって軍事政権も倒れた.
その後のアルゼンチン政府は,特に国民の人気取りをする必要もなくなったので,フォークランドをさほど重要視しなくなったが,領有権は相変わらず主張している.
イギリスは元々,自分たちの土地に異国(アルゼンチン)が勝手に入り込んで来たのを,排除しただけと思っているので,イギリスの領有権は変わらないとしている.
今はアルゼンチンが領有権をうるさく言う元気がないから,世界的にイギリスもの…って認識に立ってる.
西側諸国もフォークランド紛争の非は,アルゼンチンにあるって認めてるしな.
実態はどっちもどっちなんだが.
まー,まだまだ大航海時代から続く南北の支配・被支配関係が,根強く残ってるってこった.
戦争板,2010/09/09(木)
青文字:加筆改修部分
▼ 原回答はデタラメですね.
「とりあえずウィキペディア読め」
とでもしといたほうがいいですね.
バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2010年12月03日
13:33
青文字:加筆改修部分
……ということなので,ウィキペディアを元に訂正してみました.▲
【質問】
フォークランド紛争のアルゼンチン軍の敗戦の理由はなんでしょうか?
【回答】
戦略的に言えば,イギリスが本気出して殴り掛かってくるのを予想できなかった事.
アルゼンチンとしてはイギリス本土から遠く離れた小島で,利用価値もほとんどない場所の為に戦争するのは,メリットがデメリットを下回ってありえないだろうと踏んでいた.
もし戦争しても,ちょっと粘ってやれば諦めるだろう,と.
事実,当時のイギリス国民は激昂したが,政府は慎重的だった.
当然な話だ.
盗まれた100円玉を取りかえすのに,タクシー代1万円を払う馬鹿はいない.
……ただ一人,内閣唯一の男性,マーガレット・ヒルダ・サッチャーを除いて.
サッチャーが開戦に踏み切った理由は,主に2つあるといわれている.
第一に一度譲歩すると,次々と譲歩を強いられるという事.
第二に戦争に勝利すれば支持率は上昇し,当時どん底にあったイギリス経済を再建するための大改革を断行するための支持基盤,すなわち痛みを伴う改革に対し,国民の理解を得られやすくなるという推測.
事実,この予想は実現する事になるが,それはここでは省略する.
一度本気になったイギリス軍は,その変態ぶりを見事に発揮.
もともと遥かに格下のアルゼンチンを倒すため,空中給油機に空中給油を繰り返して爆撃機を本土から送り込むなんて,頭のネジが緩んでるとしか思えないが,それがいつもの大英帝国なので無問題.
結果としてアルゼンチンを見事に下し,フォークランド諸島を取りかえしましたとさ.
戦術的に考察すれば,周辺の制海権の喪失.
引き続き,フォークランド諸島上空の航空優勢の喪失.
アルゼンチン空軍はそれなりに善戦はしたものの,イギリス海軍の活動を阻止するに至らなかった.
これらの結果,フォークランド島に展開した陸上部隊の兵站が確立できなくなり,陸海からの支援もろくすっぽ受けられない.
ついでに挙げておけば,島の軟弱地盤で一部の重装備が使用できないなどの問題もあった.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
フォークランド紛争の戦費負担は,イギリスにとって重くはなかったのですか?
【回答】
フォークランド戦争の費用は16億ポンドといわれています(現レートなら3000億円ですか)が,戦後英国はむしろ経済的に好調になりました.
戦争そのものが経済を左右したとは思えませんが,英国病からの脱出期であったことに加えて,英国民に「活を入れる」効果があったのかも知れません.
ご存じの通り,打たれると強くなる,戦争になると燃える国民性ですから.
【質問】
通っている予備校の講師が,サッチャーのサッチャリズムの説明でフォークランド紛争をして支持率を上げたと言ってたんですが,まじですか?
【回答】
フォークランドはアルゼンチン側が仕掛けてきたものでサッチャーが仕掛けたものじゃない.
不満を外に向けたのはアルゼンチン側だ.
イギリスの初動を見ていればわかるが,とてもではないが,予定していたとは思えない.
ふってわいた災難を,支持率上昇のために利用しといいたいならわかるが,当時のイギリスはすでに大国ともいえない状況で,遠隔地で戦争に勝てるか,疑問視する声も多かった.
空母も全廃してしまい,軽空母とハリアーしかなかったわけで.
そりゃ,戦争で勝てば支持率は上がるだろうが,あの状況でサッチャーが効率的な賭けができる状況だったとは思えない.
で,予備校でいったいなにやってんだ(笑)
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
何故フォークランド紛争の際,米国はイギリスに援軍を出さなかったのでしょうか?
それを理由に「米国は信用ならん」と言っている人がいたもので・・・.
勿論,衛星等で強力な情報支援等を行った事は知っていますが,やはり援軍を出すのに比べれば少々目立たないというか,消極的な印象を受けるみたいです.
2010年11月30日 02:20,キズメガネ
【回答】
「南北アメリカの盟主」っつー立場をかなぐり捨ててまで,ある意味「植民地の残渣」なフォークランドに,援軍出せるか?,といえば微妙では?
それに米軍が出るなら,NATO軍も自動的に出るわけで・・・.
あれは「2国間の戦争」だったから,ラテンアメリカ諸国も「静観」できましたけど,「欧米列強vsラテンアメリカ」とかになったら,「民族主義者の反植民地義勇兵」とか「米国支配打倒の反政府活動」とか出てきて,大混乱してたと思いますよ.
2010年11月30日 19:37,ひな
話はそんなに単純ではないですね.
当時,米国はアルゼンチンの反共軍事政権を支援していて,戦争が勃発するとレーガン政権の中には,英国ではなくてアルゼンチンを支援すべし,という意見もあったくらいで.
アルゼンチンも米国の支援ないし中立を期待して,軍事行動に踏み切ったみたいです.
米国の伝統的な外交政策であるモンロー主義に照らすと,当然アルゼンチンを支援することになりますし,その点でもレーガン政権の英国支援には,批判があったようです.
あと,伝統的に米国は同盟国の領土問題には関与しないです.
「尖閣は日米安保の対象」という国務省筋の発言は,破格のリップ・サービスですね.
念頭にあるのは,尖閣をめぐって日中が激突というシナリオなんでしょうが,どっちかというと竹島を巡って,日韓が激突というほうが近いですね.
米国にとってはどちらを支援するのか悩ましいところ.
NATOに関しては,名前が表すとおり「北大西洋」における軍事同盟なので,南大西洋にあるフォークランド諸島に対する攻撃に関して,自動的に集団的自衛権が発動する状況にはありませんでした(Ex.北大西洋条約第5条).
ただし,国連安保理はアルゼンチン批難決議など,政治的な支援は行っています.
尖閣に関しては日本の領土なので,米軍など当てにせず,自衛隊が防衛するのが筋なのでは.
2010年11月30日 23:56,バグってハニー
【質問】
フォークランド紛争についてなのですが,英軍は,まだ空と海で激しい戦いが続いている最中にもかかわらず,(海と空での充分な優越権を確保しないまま)フォークランド島に上陸しアルゼンチン軍と陸戦を交えたのは何故でしょうか?
英軍にとってアルゼンチン海軍空軍を粉砕しきらないうちにフォークランドに上陸せざるを得ない事情とは何だったのでしょうか?
逆に言うと,
1 英軍が海と空で勝った後,のんびりと上陸する.
2 または上陸すらしないで島を包囲し,アルゼンチン上陸軍が降伏してくるまで兵糧攻めする.
これらの手段が使えなかった理由は何でしょうか?
【回答】
・戦いは優位の間に行動しないとその後何が起こるか判らない.(軍事的にも政治的にも)
・イギリスが完全な制空権を奪うことはほぼ不可能.
イギリスにはアルゼンチン本土の航空戦力を潰すに十分な能力は無く,そのリスクも犯せない.
アルゼンチンは本土防衛用にミラージュ等多くの航空戦力を残していた,
これらを磨り潰すのは難しく,長期間に及ぶ航空戦では数的に余裕の無い,イギリスの航空戦力の方が磨り潰される可能性もある.
長期の及ぶ戦いは補給の長いイギリスにとってもつらく,熱狂的な国民の支持もいつまで続くか不明.
勿論戦費もかさむ.
軍としては動けるときに動けって事.
軍事板
青文字:加筆改修部分
航空戦は上陸作戦に対する阻止と援護の戦いだから.空海軍の撃滅なんてアルゼンチン本土を焦土にしないと無理だし.
それにアルゼンチン軍は,遠く離れたイギリスが奪還に来るとは思ってなかった節があり,諸島守備隊の防備は不十分だった.
イギリス軍の上陸は,いわば奇襲上陸の形になって,短期決着に貢献した.
モッティ ◆I3HMmYDdlE in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
グルカ兵はフォークランド紛争には行かなかったのですか?
【回答】
行きました.
第7グルカ連体所属の800人の兵士がエリザベス2世号に乗って,英国より遥々フォークランドまで,船酔いに苦しみながらやってきました.
この時,アルゼンチン軍はグルカ兵が攻めてくるのを恐れ,早々に白旗を揚げたのでした.〔要出典〕
大宮一等兵 in 軍事板,2000/07/26(水)
青文字:加筆改修部分
◆◆海軍
【質問】
フォークランド紛争の時,結局,空母機動部隊同士の海戦が起こらなかったのは,巡洋艦の損失にびびったアルゼンチンが空母を温存したかったからですよね?
最初はアルゼンチンも,空母同士の戦闘はやる気マンマンだったんですか?
【回答】
そんなことはありません.
アルゼンチン側は,英海軍は既に大洋を越えて艦隊を展開させる能力を喪失している,と考えていました.英艦隊が大西洋を越えて空母を派遣して来るとは思って居なかったのです.
更に,アルゼンチン側は空母を洋上打撃力として使用するノウハウもなく,そもそも平時から
「5月25日」の活動は低調なのもでした.
積極的に空母戦を行なう意図があったとは思われません.
英軍の艦隊派遣自体がアルゼンチン側の誤算だったのです.
(軍事板)
そもそも,アルゼンチン海軍唯一の空母「ヴェインテシンコ・デ・マヨ」は,とてもじゃないが「空母同士の戦闘」を行える状態では無かったと思われ.
このフネは,元々はブリテンの軽空母コロッサス級「ヴェネラブル」をネーデルラントが購入して「カレル・ドールマン」と命名,20年間に渡り同国海軍の主力として使われたが,機関の火災事故を起こして除籍され,アルゼンチンに売却された.
その後,修理して「ヴェインテシンコ・デ・マヨ」と命名され,アルゼンチン海軍の中核を担うが,前述の火災事故の「後遺症」のため,カタログ上では最大速力24ノットのはずが,「頑張っても」18ノットまでしか出せなくなっていた.
同艦に蒸気カタパルトは装備されていたが,このような状態では,艦載機A-4スカイホークの運用すら制限される有様だった.
フランスから購入したかの有名なシュペル・エタンダールも,本艦の艦載機として運用する予定だったが,A-4すらマトモに運用できない状態では,シュペル・エタンダール(エグゾセASM搭載)を運用できるはずも無かった.
このような有様では,英空母機動部隊を攻撃するコトなど無理.
せいぜいが,スカイホークにサイドワインダーAAMを付けて「艦隊直衛」を行うくらいが関の山だったようだね.
【質問】
フォークランド紛争でイギリス艦隊がアルゼンチン空軍の爆撃を容易に受けたのは,軽空母の為に上空警戒機が少なく,護衛艦の数が足らなかったからなんでしょうか?
【回答】
アルゼンチン軍機の襲撃を受けたのは主にサンカルロスでの上陸作業中.もう一つがブラフコーブでの上陸作業中にも攻撃を受けている.
確かに軽空母ゆえに搭載できるのはハリアーだけであり,ハリアーによる上空CAPだけでは当初,サンカルロス入り江の上陸船団を守りきれず,船団護衛についていたフリゲートが爆撃を受けて撃沈されている.
しかし,英軍側も空軍のハリアー航空隊を増援させたり,地上にレイピア対空ミサイルを展開して迎撃を試みるなどしている.
アルゼンチン空軍・海軍の航空攻撃がある程度成功したのは,攻者が任意の時を選んで攻撃できる利点があることが大きいように思える.
ちなみにブラフコーブの上陸については護衛がいない状態であり,二波のスカイホークで揚陸艦が沈められてしまっている.
英艦隊についてはかなりアルゼンチン側の航空攻撃を警戒しており,沿岸砲撃支援もグースグリーンのように地上戦闘が膠着した場合でさえ,夜明けには退避している(陸上の砲兵が弾切れとなって,支援が不足したにもかかわらず).
エグゾゼばかりでなく通常爆弾を用いての低空爆撃(不発もでたが)はサンカルロスで猛威を振るっているため,やむをえない面がある.
軍事板
青文字:加筆改修部分
イギリス海軍揚陸艦「サー・トリストラム」
フォークランド紛争で,アルゼンチン空軍のA-4スカイホーク攻撃機による爆撃で大破,
自走不能・曳航不能となったため、特殊運搬船で帰還した
(画像掲示板より引用)
【質問】
第二次大戦からすでに航空機が戦艦を凌駕していたわけですが,フォークランド紛争で航空機が駆逐艦を大破した事件って,何がそんなにインパクトあったんですか?
【回答】
ちゃんと対空装備を持った艦隊に対する対艦ミサイルによる攻撃が有効であり,一発の命中で無力化することができると証明した点.
および,このような攻撃から艦隊を守るためには早期警戒機(あるいはヘリ)が必要であると
考えられるようになった点.
対艦ミサイルという足の長い,探知しにくい武器に対しては,個艦防御ではなく,連携した艦隊防御が必要ということが,アルゼンチン側の限られた条件内での攻撃にもかかわらず,大きな犠牲が生じたことに
よって証明された.
ちなみに,シェフィールドの場合は,当たった対艦ミサイルが不発だったのにもかかわらず,厨房のフライ油に引火して大火災を発生したあげく爆沈したんだよなぁ……
ダメコンは大事と言うことで.
おそらくプラモデルの箱絵
(画像掲示板より引用)
【珍説】
フォークランド紛争での駆逐艦シェフィールド撃沈は,上部構造物を構成していたアルミ合金が熱に弱いのが致命的だった.
海自でもその戦訓を取り入れ,「はつゆき」級の途中から上部構造物の構成材をアルミから鉄鋼に変えている.
【事実】
「シェフィールドの上部構造物がアルミ合金製だった」
というのは,割とあちこちに広まってるデマです.
正確には,21型フリゲートの一部で上構物にアルミ合金製の部分があった,というだけで英国海軍自体でも上構物全体をアルミ合金で組んだ船はありませんです.
なお,
「アルミ合金製の上構物が燃え落ちた」
という,これと同じくらい有名なデマもありますが,これは空母と衝突炎上した米国海軍のベルナップ(だったと思う,たしか)が,マストなどがアルミ合金製で,火災によって綺麗さっぱり破壊されてしまったことから出たものだと思われます.
海自がアルミ合金製の構造物を止めたのは,火災云々というよりも,アルミ合金製の構造物は塗装に非常に手間がかかり,乗員整備が殆ど不可能であることと,予想外に腐食が激しいため,頻繁な整備が必要でランニング・コストが高い,という点にあります.
▼ 以下余談.
――――――
幸い,乗組員は艦が沈んでしまう前に安全に移動することが可能となったのだが,救助を待つ乗組員たちが最後に合唱したのが,驚くべきことに『モンティ・パイソン』の映画『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』のエンディング曲,「オールウェイズ・ルック・オン・ザ・ブライト・サイド・オブ・ライフ」だったのだ.
映画のラストシーンで,十字架に磔にされた主人公たちの姿に合わせて爽やかに歌われる,
「つらいことや悲しいことがあっても,いつも人生の明るい部分を見て陽気に生きていこう♪」
という,究極にポジティブなメッセージの歌詞が,沈没直前の艦上という究極のシチュエーションで歌われたのだった.
――――――(須田泰成「世界を変えたコメディ・チーム“モンティ・パイソン”」,『空飛ぶモンティ・パイソン“日本語吹替復活”DVD-BOX付録ブックレット』所収,p.6)
▲
【質問】
フォークランド紛争において,なぜ英艦隊はレーダー・ピケット艦を配置しなければならなかったのか?
【回答】
英空母が早期警戒機を持たなかったためだという.
以下引用.
シー・キングにはAEW.2/2Aという早期警戒型があるが,これはフォークランド紛争中に急造された機体で,原型機2機がNAS849〔第849海軍飛行隊〕に配備され,インヴィンシブル級の2番艦イラストリアス Illustrious に搭載されて初航海を行ったのは82年8月のこと.
つまり,英空母には早期警戒機が搭載されていなかったわけで,空軍の空中早期警戒機,シャクルトンAEW.2はアセンション島に展開していない.
シャクルトンは第2次大戦中のランカスター爆撃機をベースにした旧式機で退役目前.後継のセントリーAEW.1(ボーイングE-3D)が配備されるまで,イギリスの空中早期警戒能力は手薄な状況だった.
ヨーロッパで活動する分には,NATOや米軍の早期警戒網が張り巡らされており,最小限の能力で済んだ.
しかしフォークランド紛争のように,イギリス単独で行う地域紛争では,この欠点が露呈してしまう.
空中早期警戒能力を持たない英空母は,空母戦闘群の手前にレーダー・ピケット艦を配置して,シー・ハリアーでCAPを行うしか方法はなかった.
ピケット艦を使うとは第2次大戦レベルだが,実際TEZ〔絶対排除地域〕内における英軍の防空システムは,ドイツによる航空攻撃「バトル・オブ・ブリテン」当時よりお粗末なものだった.
その結果として,5月4日には42型ミサイル駆逐艦シェフィールド Sheffield が,アルゼンチン海軍のシュペル・エタンダール戦闘攻撃機から発射されたAM39エグゾセ空対艦ミサイルによって撃沈された.
ピケット艦の損害はこれだけに留まらず,撃沈にはいたらなくても損傷を受ける艦は多々あった.
例えば5月12日,シェフィールドの姉妹艦グラスゴー Glasgow が,スタンレー沖でA-4Bスカイホーク攻撃機から投下された爆弾の直撃を受けた.爆弾は幸いにして不発だったが,艦首部を貫通したため応急修理の後,イギリスに戻されている.
石川潤一 from 「世界の艦船」2005年4月号,p.104
【質問】
フォークランド紛争の戦訓として,「インビンシブル級+ハリアーでは艦隊防空には不十分」というのがあり,それが海自がイージスを導入する要因の一つになったと聞きました.
では,本家イギリスではイージス艦のような防空艦を導入する計画はなかったのでしょうか?
【回答】
42型駆逐艦はフォークランド紛争当時最新の防空駆逐艦なんですよ.
英海軍としてはリアンダー級フリゲイトの代替のほうが急務で,そのため22・23型フリゲイトが建造されています.
んで,42型が退役を迎えるようになったので,現在45型ミサイル駆逐艦の建造が進められています.
また,フォークランドにおける空母絡みの戦訓で一番問題視されたのは,英空母にAEW機の運用能力がなかった事.
この為に接近する攻撃機や対艦ミサイルへの対処が遅れ,結果的に空母機による有効な防空戦を行なう事ができなかった.
それと並行して,対艦ミサイル戦の戦訓として,対艦ミサイルの探知困難,ミサイルの高速からくる対応時間の短さ,ミサイル被弾時の損害の態様,などがありました.
要するに,
軽空母が防空戦で思った様な活躍ができなかった
↓
フォークランドの戦訓から海自はイージスの導入を決定した
↓
従って,軽空母よりイージス艦のほうが有用
というのなら,ちょっと短絡的過ぎです.
そもそも当時も現在も,基本的に海自は味方のエアカバーの外での作戦行動は考慮してませんので.
◆◆航空
【質問】
フォークランド紛争開戦時のアルゼンチン空軍の戦力(保有機体の数)はどの程度だったのでしょか?
【回答】
光人車NF文庫 ジェット空中戦 だと130機(回転翼含まず
空軍
ダガー(イスラエル製のミラージュⅢ)34機
ミラージュⅢ(他に部品で4機分)11機
A4スカイホーク40機
海軍
シュペール・エタンダール4機
A4スカイホーク11機
フォークランド島守備隊
プカラ58双発攻撃機(国産プロペラ)25機
アエルマッキーMB練習攻撃機(イタリア)5機
ただ,この間みたNHKの新しいフォークランド紛争のドキュメントだと,機体名が所々違ったので,あってるかどうかは解らん.
別の資料では以下の通り.
数から言うとまず空母があったんで海軍航空隊があるのにご注意くだされ.
海軍航空隊
シュペールエタンダール 4機(エグゾセを搭載できる機体)
スカイホークA-4Q 8機
アエロマッキ MB.339 10機
T-34C メンター 15機
空軍
スカイホーク A-4B,C 45機
ダガー 37機
ミラージュ 17機
キャンベラ軽爆 10機
プカラ直協機 35機以上
C-130ハーキュリーズ 9機
リアジェット
ボーイング707
C-130やボーイング707などは敵艦隊の捜索に投入された.
C-130は確か,爆弾を積んでイギリスの独航船を攻撃したりしてます.
後に,撃墜されたのが出てから辞めた.
軍事板,2006/02/24(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
エズゾセ・ミサイルを無力化するため,サッチャーがミッテランを脅迫した,というのは本当か?
【回答】
1982年のフォークランド紛争が起きてから今年で31年,去年で30年になりましたが,未だフォークランド諸島を巡ってイギリスとアルゼンチンとの間には,海底油田の問題や南極領有を巡る拠点を巡って緊張が続いています.
そんな中,イギリスが当時の外交公電を公開.
その中で,フランスのミッテラン政権(当時)がエグゾセ対艦ミサイルをアルゼンチンに第3国経由で供与しようとした動きに対し,イギリスのサッチャー首相(当時)が断交を示唆し,抗議して止めさせた事がわかりました.
英仏,断交寸前だった…フォークランド紛争時 :読売新聞
アルゼンチン海軍に供与され,シュペルエタンダール攻撃機に搭載され発射されたエグゾセAM39を搭は,英海軍の駆逐艦HMS「シェフィールド」に命中,20人の将兵を失いました.
シェフィールドはシーダート艦対空ミサイルを搭載していたものの,優れた低空侵攻能力を有するアルゼンチン海軍航空隊の前では有効とは言えず,結局エグゾセの攻撃を食らってしまうことになりました.
そのエグゾセをフランスのミッテラン政権はペルーに輸出する決定を出しました.
当時,チリはアルゼンチンと国境問題を抱えており,イギリス側に付いていたものの,ペルーは南米諸国としてアルゼンチン側についており,エグゾセのペルーへの売却はアルゼンチンへの転売を意味するものでした.
また,フランスはイギリスも加盟しているEC(現EU)の対アルゼンチン制裁に参加していましたが,アルゼンチンへの友好国への制裁は対象外でした.
これでは制裁の目を逃れた対アルゼンチン武器供与に見えるのも当然で,それでなくともシェフィールドの撃沈で怒り心頭のサッチャー首相はミッテラン大統領に抗議,ついには断交までちらつかせました.
結局,ミッテラン政権がエグゾセのペルーへの輸出を中止した事で,英仏間の最悪の事態は避けられましたが,こうした第三国経由の武器輸出で制裁の目を逃れる事は可能です.
それは北朝鮮に国連が経済制裁を課しても,北朝鮮に経済制裁を加えても第三国経由ならば北朝鮮も武器が輸入できるという事もあるのです.
こうした第三国経由も監視していく必要があるでしょう.
ねらっずーり in mixi, 2013年01月04日
青文字:加筆改修部分
【質問】
フォークランド紛争において,シー・ハリアーはどのように評価されたのか?
【回答】
対地,対空,偵察共に中途半端な性能だったと評されたという.
以下引用.
この機体〔シー・ハリアー〕は旧ソ連の爆撃機や対艦ミサイルを阻止する目的で,対地攻撃専用のハリアーに空対空戦闘用の火器管制レーダーを搭載したもので,STOVL(短距離離陸垂直着陸)能力によって軽空母から運用はできても,対地,対空能力とも中途半端な機体だった.
正式名はシー・ハリアーFRS.1といい,「F=戦闘」「R=偵察」「S=攻撃」と様々な用途に使える万能機を謳っているが,偵察機としてだけ見ると,機種右側に小型の斜め写真カメラを搭載しているだけで,現代の戦争では不可欠なBDA(爆撃損害評価)には不十分な能力だった.
アルゼンチン側は滑走路に土を盛って,爆撃で使用不可能になったように見せかけるなど偽装を行った.
そのような偽装を見抜くのがBDAで,本格的な偵察機を持たない英海軍は,アセンション島から出撃する空軍のヴィクターやニムロッドなどの偵察機から情報を得るしかなかった.
また,英海軍の空母戦闘群はアルゼンチン本土からの対艦攻撃を避けるため,フォークランド諸島の東側100~150浬付近を遊弋した.
そのため,航続距離の短いシー・ハリアーは,主翼に増槽を搭載しなければならず,1000ポンド級爆弾2発しか搭載できなかった.
英国防省はシー・ハリアーの攻撃力を増強するため,空軍のハリアーGR..3を10機派遣,全機ハーミーズに展開させたが,やはり増槽は不可欠で,対地攻撃能力は充分ではなかった.
ハリアーGR.3と共にシー・ハリアーFRS.1も増派されており,最終的にハーミーズに16機,インヴィンシブルに12機,計28機が派遣されたことになる.
石川潤一 from 「世界の艦船」2005年4月号,p.103-104
シー・ハリアー
(画像掲示板より引用,原出典不明)
【質問】
フォークランド紛争時,ハリアーが偏向推力を使って格闘戦で勝ったという話はガセだったのでしょうか?
VIFFを使わなかったという事が真実であるならば,レーダー管制下,CAP任務についてたハリアーとダガーの状況が分かります.
しかし,上陸後の攻撃に際して低空進入してくるA-4部隊の迎撃に際しては低空まで降りてこなくてはならず,数派に渡るア軍のA-4,ダガーの攻撃隊に対して,どうやって有効な打撃を与えられたのでしょうか?
【回答】
ガセ.
VIFFを実戦で使用していない,との論拠は,ビル・ガンストンの「図解現代の航空戦」より.今は手元に物が無いから詳しくは引用できない.
しかし,逆に「VIFFを使った」という記述を他で見かけたことは無い.湾岸戦争時も同様.
ま,海兵隊の場合は任務の内容が異なるから,一概に同じ見方は出来ないが,SAM回避などで使用する可能性もあっただろうに,積極的に使用した.という記述は見た事が無い.
それに,現代航空戦辞典(だっけ?)の記述によれば,まともな空戦はほんの数回だったという.
最初の空戦では,とんでもない遠距離から勝手にサイドワインダーを撃ったミラージュが,勝手にブレークして逃げるのを,追いついて撃墜したような…
それ以外に,特筆するほどの制空戦闘は無かったような…(うろ覚え失礼).
上陸支援にあたっている艦隊の位置を探知して,低空から接近するスカイホークなどは,それほど有効に迎撃できなかった,とも.
ハリアーのほうがミラージュより亜音速での旋廻率は上なので,旋廻戦になれば有利.
また,亜音速域でのダッシュ力はペガサスエンジンのほうが有利(推力重量比).
よって,高度を十分とっていれば,特別VIFFなんぞを使わんでもアデンの照準に捕らえられる.
アルゼンチン側としては低空で侵攻せざるを得なく,かつアフターバーナ炊く燃料の余裕がないとなると,見つかったら追いつかれないのを期待する以外ないでしょう.ヨーヨー機動というか,(ハリアーの待機高度まで)ズーム上昇かけて格闘戦挑むには燃料が不足では?
ハリアー側は低速ヨーヨー機動というかアンロード・ダイブで追いつきゃいいだけだし.
つーか,速度性能や,加速性能の問題で,ハリアーはミラージュに勝てないっていうんだったら,推力偏向使ったら,速度ガタ落ちでなおさら勝てないって話になる.
「ハリアーは何故勝てたか」はともかく「推力偏向を使わずに・・・」というのは,愚問だな.
「せっかくの運動エネルギーを捨てるようなことはしない」
というのは,インタビューでのハリアー・パイロットの弁.
ダガー迎撃については,以下が双方のクリーンでの性能
シーハリアー 最高速度(低空)1200キロ(最高M1.25)
ダガー 1400キロ( M2.0)
シーハリアー 上昇力 1万5千m/分(推力9.5N)
ダガー 1万4千m/分(推力6.0N)
AAMを装備したら,ダガーはもっと性能が落ちるし,超音速でるまで20秒以上直線で加速しないとアカンのでは・・?
低空から急上昇したら,中高度で3000mは離されるかもしれないわな・・.
FSX(F-2)にCCVを採用する際も,
「ハリアーが実戦では推力偏向を使わなかったのと同じく,実用性は疑問」
という意見があった.
ただしNHK-BSの番組によれば,ハリアーは空戦中,噴射ノズルの向きを変えることで,アルゼンチン空軍のミラージュよりも早く旋回することができ,それを利用して空戦では優位に立ったという.
そのことが,いつしか伝言ゲームで「ハリアーは空戦でVIFFを使った」という話になってしまったのではないか?と愚考される.
【質問】
ブラックバック作戦って何?
【回答】
英空軍アブロ・バルカン爆撃機による,フォークランド島航空基地への長距離爆撃作戦のこと.
Q:じゃぁ,その影響は?
A:Cat Shit One 80's読め.以上
……ダメか?(殴
んじゃ真面目に.
この爆撃以後,アルゼンチン空軍はその戦闘機戦力を首都防空に回したこと,です.
フォークランドの飛行場を爆撃できる,ということはブエノスアイレスへ爆弾叩き込める可能性を実証したのと同義ですから.
これによって,フォークランド周辺のアルゼンチン空軍戦闘機戦力が減少し,英軍ハリアー部隊による航空優勢確保が(普通に)可能になった訳ですね.
やぁ,‘‘鉄の女’’は「首都爆撃はありえない」と声明出してましたけど,交戦相手国の宣言を100%信じることなんて出来ないですし.普通の頭持ってれば.
あとはまぁ,これが行われていなければ
1:航空優勢が流動的なものになった
2:それにより輸送艦艇への航空脅威の増大
3:英軍は常に警戒度合いを上げていなければならない→疲労度や部隊ローテへ大きな影響
4:地上部隊が自由に動けない(CASの不足)
くらいは普通にあったでしょう.
フォークランド紛争if,誰か書かないかなー.
お題が地味なんかのぅ,やっぱり.
邪夢@蛸神教 in mixi,2009年05月29日04:25
青文字:加筆改修部分
バルカン爆撃機の広告
(画像掲示板より引用)
【質問】
SAS隊員が,米軍の弾薬庫から「顔パス」で,スティンガーSAMを持ち出したって話は本当?
【回答】
顔パス云々は知らないけど,「SAS戦闘員」(早川書房)の中で,アメリカからスティンガーのレクチャーに来た教官に
「初めて扱う武器だろうが…」
と言われたのに対し,
「フォークランドでとっくに試してみた」
と言い返したとかいうエピソードがあったような気がする.
ブローパイプは「クソだ」とムジャヒディンに言われるくらい,使い物にならんかったですからなぁ.
余裕でSA-7よりダメ.
SA-7は赤外線目標に対して自分で追尾していくが,ブローパイプは命中するまで,人間がガンスコープの中央に目標を捕らえつづけなければ当たらない.
・・・・・・って,当たらないだろ.
SA-7がフレアで欺瞞される可能性を含めても.
「ブローパイプ」ミサイル
(画像掲示板より引用)
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