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◆総記
<テロリズムFAQ目次

【質問】
テロとは何か?
【回答】
万人が認める事が出来る「テロリズム」の定義は存在しない.
アメリカでさえ「FBI」「CIA」「国務省」「国防総省」によって,それぞれテロリズムの定義が異なる.
21世紀のテロリズムは,国家支援型のタイプは少なくなるが,一方で,非国家的な組織が大きな力を持つだろうし,そしてテロリズムに対する対処に関して,国家間の協力関係は深くなっていくだろう.
***
ジョゼフ・S・ナイ教授によれば,テロリズムをアメリカの法律に照らし合わせると,計画的で政治的動機をもち,サブナショナルな,国家より下位に属する集団による,非戦闘員を標的とした暴力と定義されているという.
国連では,爆破,暗殺,誘拐,テロへの資金提供を阻止する議定書を可決した.
2001年9月での安保理決議は,189の加盟国すべてにテロリストへの安全な隠れ場所の提供を禁じており,アフガンでのアメリカの行動を正当化することに役立った.
だが国連総会では,テロリズムを定義する決議が合意できていない.
エジプトやシリアといったアラブ諸国では,パレスチナ人のような存在をテロリストから除外していない決議すべてに反対した.
ヨルダン川西岸を占領に対してのパレスチナ人の抵抗は正当な民族抵抗であって,これに対するイスラエル政府こそ,無辜のパレスチナ民間人を殺戮していると主張しているからだ.
視点次第で,ある人にとってのテロリストは,別の人にとっては自由の闘士となることもあるのである.
テロリストの存在と,その対応についてナイ教授は以下のように述べている.
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2001年の国連総会での演説で,ジョージ・W・ブッシュ大統領は,世界は「すべてのテロリスト,特定のではなく,すべてのテロリストに対抗して」結束しなければならない,
「いかなる民族的熱望も,記憶に残るいまわしい不正も,罪なき人々を意図的に殺すことを決して正当化できない.」と述べた.
彼の発言は,第6章で論じた正戦論や国際法と合致する.
たしかに,市民を殺すことのなかった南アフリカでの大半の反アパルトヘイト闘争のように,テロリズムとみなすべきではない非国家レベルでの政治的抵抗はありうるだろう.
また,民主的変革手続きの存在しない「民族解放戦争」においては暴力に訴えることも必要になるとの議論もありうる.
しかし,無辜の命を奪うことは正戦論の下では道義的にも法律的にも容認されない.
同様に,国家が民衆を恫喝するために非戦闘員を意図的に殺せば,それは戦争犯罪である.
テロリズムが国家より下位の主体による政治的目的のための暴力の行使と定義されるならば,(定義上)国家は除外されるが,もし国家が同様の非道徳的で違法な行為に及べば,免責されるものではない
.テロリズムの定義に灰色部分の難しさがあるのは確かだが,意図的に政治目的で無辜の人々を殺害するという核心部分での悪については,国際法とともにすべての主要宗教の道義的な基準からして,広く非難されていることは明白である.
21世紀における脱国家的テロリズムは,過去における海賊行為と何ほどか似ている.
敵国を苦しめたり収益を上げたりするために,海賊や私掠船に安全な隠れ家を提供した政府もあった.
今日では,敵を攻撃するためにテロリストをかくまったり,弱体しすぎてテロリスト集団を統制できず,その存在を許している国家がある.
アフガニスタンのタリバン政府に対するアメリカの軍事作戦とさまざまな国連決議によって,国家支援のテロはそれほど起こらなくなるかもしれない.
同時に,爆発物の小型化の技術と飛行機による旅行のような近代システムの脆弱性,そしてインターネットを通じたコミュニケーションの増大は,国家の支援なしでも,非国家主体が国境を越えて大きな被害を及ぼす機会をもたらしている.
皮肉にも,多くの人々が感じる共通の脅威は,国家の役割への評価と安全保障のための国家間協力の重要性を高めるであろう.
国家間システムの無政府状態のほうが,非国家主体による万人の万人に対する戦争という混沌とした無政府状態よりも,通常は耐えやすいものなのである.
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<まとめ>
・テロリズムに対しての規制は強化されているが,一部の勢力は,国家による無辜の民を殺害する行為について批判している.
・テロリズムに対する対処は,確かに正戦論にかなっているが,一方で,国家による無辜の民の殺害もまた戦争犯罪である.
・21世紀のテロリズムは,国家支援型のタイプは少なくなるが,一方で,非国家的な組織が大きな力を持つだろう.
・テロリズムに対する対処に関して,国家間の協力関係は深くなっていくだろう.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
また例えば,「大人の参考書 『中東問題』がわかる!」(青春出版社,2001/11/10)では以下のように定義されている.
政治的目的を実現するために殺人などを犯すこと.
テロリズムの最大の目的は,脅かして支配者を追い払ったり,脅かして政策などを撹乱・中止させることにある.
方法は,敵に直接恐怖を与えるか,もしくは民衆に恐怖を与えるかの2つ.
(p.34-35,抜粋要約)
また,日本の公安調査庁では,次のように定義している.
テロリズムとは,国家の秘密工作員または国家以外の結社,グループがその政治目的の遂行上,当事者はもとより当事者以外の周囲の人間に対してもその影響力を及ぼすべく,非戦闘員またはこれに準ずる目標に対して計画的に行なった,不法な暴力の行使をいう.
(公安調査庁 『国際テロリズム要覧』 1993)
警察庁による「テロの定義」が見られる条文
警察庁組織令第三十九条
国際テロリズ厶対策課においては,次の事務をつかさどる.
一 外国人又はその活動の本拠が外国に在る日本人によるテロリズ厶(広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう.)に関する警備情報の収集,整理その他これらの活動に関する警備情報に関すること.
軍事板?
テロリズムの定義としては我が国の数少ないテロリズムの専門家である宮坂直史氏が以下のように定義しております.
>引用開始
「主として非国家アクターが,不法な力の行使またはその脅しによって,公共の安全を意図的に損なう行為につき,国家機関と社会の一部ないし大部分が恐怖,不安,動揺を持って受け止める現象」
>>引用終了
http://www.tkfd.or.jp/publication/reserch/2005-2.pdf
少なくとも非国家集団であるアルカイダによる非武装の一般市民殺傷を目的とした「自爆テロ」「爆弾テロ」は間違いなく「テロリズム」であり,その実行者は「テロリスト」と呼ぶ以外言いようがない.
その点だけは曖昧さは無いと思う.
ちなみに・・・
テロリストは以下の2種類に分類可能だそうだ.
内向型テロリスト
そのモチベーションを感情,またはテロ行為そのものに依拠しており,宗教的熱狂者などを含む.
この種のテロリストは,原則として観念的に行動を起こすため,要求や目的が明確でなく,交渉を行うことは非常に難しく,自爆テロや突発的に起こりうるテロリズムなどがその種にあたる.
アルカイダやこのコミュを襲ったコミュリンク占拠テロ実行犯はこのタイプに分類されると思う.
外向型テロリスト
そのモチベーションが政治目標の達成であり,交渉は内向的テロリストに比べ可能である.
ただし,その政治目標というものが,必ずしも正当であるとは限らないため,交渉自体が非常に困難なものとなる可能性がある.
これはIRAやハマスがこれに当たると思う.
参考↓
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/terro/pdfs/anpo_1373.pdf
私見では,「意図して民間人を狙っているかどうか」が,その分かれ目のように思えるのだが.
今後も随時,様々な「定義」を紹介していく予定.
【チンパンジーでも分かる定義】
2002年8月29日の,ブッシュ大統領の演説から,
テロリストはモノを憎む.
我々はモノを愛する.
<解説>
非常に簡単にグループ分けしてみました.
「ブッシュ妄言録」より.
(極東の名無し三等兵◆5cYGBbCsjQ in FAQ BBS)
G. W. Bush↓

【質問】
テロの起原は?
【回答】
紀元前400年頃の古代ギリシャ時代にまで遡る,という.
以下引用.
当時のテロリズムは政治的主導権の獲得,民主主義に対する恨み,ギリシャの凋落に対する危機感が理由とされ,テロリスト側の考えに反対する人々を多数殺害したという.
(「大人の参考書 『中東問題』がわかる!」,
青春出版社,2001/11/10,p.36)
【質問】
宗教テロの起原は?
【回答】
「大人の参考書 『中東問題』がわかる!」(青春出版社,2001/11/10)によれば以下の通り.
古代ローマ時代,ユダヤの熱心党によるテロが最初.
ローマ帝国の宗教弾圧に対して起こしたもの.
のちに短剣党と呼ばれる過激派組織が結成,これが現在のテロリズムの原型を作ったと言われている.
味方の釈放を要求するために敵を人質に捕るという行為も,短剣党が始めたとされる.
(p.36,抜粋要約)
右画像は,「イスラエル解放の4年目」と記された,紀元70年に鋳造された熱心党のコイン
(画像引用元:「イエスと熱心党」)
【質問】
ゲリラとテロの違いは?
【回答】
「大人の参考書 『中東問題』がわかる!」(青春出版社,2001/11/10)によれば,以下のように説明されている.
ゲリラは戦闘部隊であり,敵の軍隊を攻撃する.
戦う時は戦闘のしきたりに従う.
また,テロリズムは相手への心理的効果を狙うが,ゲリラはテリトリーの支配,そのテリトリーの住民の支配を第1の目的としている.
(p.35)
レジスタンスは上記条件を満たすことで「組織的抵抗運動団体」に含まれるでしょうが,ゲリラやテロは別に国家同士の交戦でなくとも,自国政治体制の打倒を目指しますので,国内的には(場合によっては国際的な)犯罪者となり得ます.
まあ,名乗ったもの勝ち,名付けたもの勝ちな部分はあります.
(ふみ他)
【質問】
テロとレジスタンスの違いは?
【回答】
そもそもテロの定義が定まっておらず,「テロか?レジスタンスか?」はしばしば議論の対象となるが,戦時法規を遵守するかどうかが一応の目安となるだろう.
例えばスイス政府編「民間防衛」(原書房,1995/3/12)では,以下のように「抵抗運動」を位置付けている.
占領地帯では,住民は,国際法に基づいて最低限の保護だけは与えられる.
一方,抵抗運動は,戦時法規の規定に基づく恩恵に浴するために,その諸規定を遵守しなければならない〔強調,引用者.以下同〕. 単なる殺人は禁止されている.
占領軍はあらゆる方策を尽くして,占領地における抵抗運動を抑圧しようとする.
占領者は,関係者の国外追放・恐怖政治・食糧供給停止・集団的処刑・罪もない人々の虐殺などの手段を用いて,戦時法規を破るだろう.
ベルコール,オラドールおよびワルシャワのユダヤ人街に起こったことを忘れてはならない.
占領軍は強力な武器を持っている.
だから,占領軍が仕返しとして武力を用いるような口実は,どのようなものでも与えないようにしなければならない.
散発的行為や,効果的でない行為は,かえって有害である.
抵抗運動は責任者によって組織され,指揮されるものでなくてはならない.
指揮者は,行動に移る時間・手段・場所などを決定する.
抵抗運動のための戦闘は,このような抵抗運動の組織に所属している者だけが行うべきであって,このような者は,一般国民とはっきり区別がつくようなマークをつけ,かつ,武器を堂々と持つべきで,隠して持ってはならない.
原則として,抵抗運動としての戦闘は,軍隊に属する指揮官と兵士とによって行われることが望ましい.
彼らはよく準備しているので,効果的に行動しうる.彼らの身につけた規律は,孤立した,効率の悪い行動を未然に防ぐことができる.よく統率され,効率的な訓練を受けていれば,比較的少数のグループでも,敵の大軍に打撃を与えることができる.
その他の一般国民は,戦闘行為を差し控えねばならない.抵抗運動組織を援助するに留めるべきであるが,それには次のような方法がある.
1. 戦闘参加に不適格な大部分の一般国民は,占領軍に対して厳然たる態度を示し,できるだけ接触しないようにすること.
2. 戦闘に参加できる者は,全て抵抗運動組織に所属しなければならない.
3. 上記2の厳密な意味での「抵抗運動」を補助するもの,つまり,秘密組織のメンバーは,情報を一般国民に伝達し,情報の仲介役として働き,また特別の命令を帯びた者を匿ったりする.
これらの活動は,その行為をする者自らの責任において行われるが,これらの活動をする者は,その家族と共に,敵の仕返しを受ける危険に晒されていることを知らねばならない.
抵抗運動に参加している全ての者は,生命を失う危険がある.それは遊戯ではなく,情け容赦のない戦争だからである.
(P.277)
戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949/8/12のジュネーヴ条約(第一条約)
第十三条〔保護される者〕
この条約は,次の部類に属する傷者及び病者に適用する.
(2)
紛争当事国に属するその他の民兵隊及び義勇隊の構成員(組織的抵抗運動団体の構成員を含む.)で,その領域が占領されているかどうかを問わず,その領域の内外で行動するもの.
但し,それらの民兵隊又は義勇隊(組織的抵抗運動団体を含む)は,次の条件を満たすものでなければならない.
(a) 部下について責任を負う一人の者が指揮していること.
(b) 遠方から認識することができる固着の特殊標章を有すること.
(c) 公然と武器を携行していること.
(d) 戦争の法規及び慣例に従って行動していること.
レジスタンスは上記条件を満たすことで「組織的抵抗運動団体」に含まれるでしょうが,ゲリラやテロは別に国家同士の交戦でなくとも,自国政治体制の打倒を目指しますので,国内的には(場合によっては国際的な)犯罪者となり得ます.
まあ,名乗ったもの勝ち,名付けたもの勝ちな部分はあります.
イスラエル独立闘争の際のハガナーのような,境界線上のような存在がままあるし,第2次大戦中のフランスの反ナチ・レジスタンスも,上記条件を完全に満たしているとは言い難い.
それに為政者は,気に入らない反政府運動には常に「テロリスト」のレッテルを貼るものだが.
(ふみ他)
【珍説】
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国連活動への参加と同時に,テロを根本的になくすために,テロの原因を取り除く民生支援を全面的に展開すべきだと考えています.
つまり,貧困を克服し,生活を安定させることです.
銃剣をもって人を治めることはできません.
これこそが迂遠なようでも,テロとの本当の戦いだと確信しています.
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小沢一郎 in 民主党公式サイト
http://www.dpj.or.jp/special/jieitai_kyuyu/index.html
【事実】
テロは貧困をなくせばなくなるとか,幼稚園児のような寝言を言う政治家がいることに驚愕.
>テロをなくすには貧困をなくせ
イラクやパキスタンのテロリストの社会構成を調査研究した報告書がスウェーデンの国立研究所にあって,そういう説を否定しています.
パキスタンで従来からカシミール紛争などで特攻隊代わりに使われている若い無教育な農村出身者というのはいるのですが,これはテロ組織がそういう無知な若者をリクルートして洗脳教育している.
実際のパキスタンの過激派の中心(幹部)は高学歴で中流以上の出身者です.
イランの支援するテロは工作部隊が資金や物資を供給していますが,それはイランの石油収入から来ていて,貧困ではないからこそテロが可能になっています.
>テロは貧困から生まれる.
ここからして,根本的な誤解がある.
「テロは貧困からは生まれない」
貧困はテロを拡大させる要因にはなるが,原因となる事は少ないんだ.
テロの主導者は,ほとんどの場合裕福であるか,または社会的な地位を持つ.
アル・カイーダの主導者ウサーマ・ビン=ラーディンは王族と連なる財閥の御曹司,
かつて日本でテロを起こしていた日本赤軍や連合赤軍の主導者は,学費を親掛かりで学んだ大学生だ.
日本で宗教テロを起こしたオウム真理教の構成員も見れば,一発で判るだろう.
テロリズムを,民衆蜂起や階級闘争の延長と捉えてはならない.
貧困層を道具代わりに使い潰して,暴力で己の意思のみをかなえようとするテロの指導者層は,
社会に対するいわれなき怨念を溜め込んだ,富める者なのだ.
そして彼らは,これらの社会的な地位から来る伝手で資金を得,行動の源にしている.
そして彼らの起こすテロは貧困と憎悪を再生産させ,貧困に喘ぐ地域社会をも憎悪の連鎖で破綻させる.
これだけは忘れてはいけないよ.
……と,柄にも無く堅い話書いちゃったけどさぁ.
貧困「だけ」解消したって,事態の改善にはなーぁーんも繋がらんよ?
テロに限らず,武装闘争撲滅するには,貧困の解消だけじゃ片手落ちなのよ.
混乱する地域平定するためにゃ,武器取り上げて,クワやスキや農機具与え,暴力で横車押し通すのが割に合わんこと教育し,知識普及とインフラ構築を行い,今日の飯の種の不安をなくした上で,社会の構成員同士の最低限の相互の信頼関係を保障出来るようにして,信頼の裏付けある通貨の流通可能とし,「法による支配」を確立していかにゃならーんの.
この辺は秀吉の刀狩や太閤検地やら,江戸幕府開府時の施策なんかと全く同じ構図ね.
日本は北支でもこの手で治安維持してた.
教科書ってのは便利だねぇ.
でも,これを実行するためには,背景に行使できて相手に意志強制できるだけの力の裏付け,相手の人生背負うだけの覚悟が無きゃいかん.
万事うまく行ったとしても,本気で事態収拾する気なら,武装蜂起の感覚覚えてる世代が寿命でいなくなる数世代分の時間は確実に掛かるんだ.
これが出来てない状態で,貧困のみ撲滅しようとしようとした場合,その辺の武器になりそうなもの拾って,富める者の財産奪うための襲撃を繰り返す武装強盗がはびこる.
結果,援助漬けでズブズブになって,産業も無く国民の労働意欲も無く自立すら出来ず,内乱繰り広げ続ける,失敗した廃国家が新たに1つ出来るだけだって.
そんな本末転倒な真似しちゃ意味ねぇっすよマヂ゙に.
まぁ,この程度の奇麗事にすら忌避感抱くのが,お花畑の住人なんだがねー.
「貧困問題」と「テロ問題」の関連は実はそう多くない.
テロの主導者・実行者のほとんどが比較的恵まれた中産階級以上の出身者で,自らを犠牲にした暴力で意志貫徹すれば人々の記憶に残る,なーんてヒーロー指向な幻想抱けるくらい生活面で余裕がある連中なんだ,ってのはあまり知られてないんだよね.
皮肉言っちゃうと,「本当に貧困に喘ぐ人は,資金無くてテロすら出来ない」.
「社会から疎外された富める個人が,自分の破綻した理想押し付ける為,暴力行使通じて政治的な目的果たそうとする」
のが,おいら的に見たテロの本質.
語源になった山岳派以来変わっちゃいない.
なのに,日本で「貧困問題」と「テロ問題」が関連付けられて話されることが多いのは,階級闘争通じたプロレタリアートによる政治権力の奪取説くマルクス史観の影響じゃねーの? って話もあったり無かったり.
マルクス自身は,親父さんの紡績業で身を立てたやり手なビジネスマンなエンゲルスの仕送りで生活してたんだがなぁ.
でも,現状変える為,彼が何故資本主義経済を分析し膨大な論考を書き綴っていったのか?の起点と,その後の社会の変化は,何故かあまり関連付けて見られねーんだよね.
ここいら押さえりゃ,貧困がテロと暴力の連鎖に直結していないのは自ずと判ると思うんだがなぁ.
>テロリストと貧困
これについては実証的な研究がされています.
欧州やイラクでは,テロ活動を実行して自殺攻撃死したテロリストや,逮捕投獄されたテロリストが多くいるわけですが,彼らについて,その社会的背景を調査することが研究機関によってなされています.
イラクの場合は,外国からジハーディストとしてテロ活動の為に入国したアルカイダのメンバーの身元追跡調査です.
研究機関からいくつかの報告が出されていますが,ジハーディストは貧困ではなく,中流かそれ以上の階層で高学歴です.
こうした報告が時々掲載される,カウンター・テロリズムに特化したWebサイトがあります.
http://counterterrorismblog.org/
イラク治安回復作戦に成功しつつあるDavid Petraeus将軍のアドバイザーでテロリズムの研究家であるDr. David Kilcullen(senior counter-insurgency advisor)という人がいるのですが,彼のテロリズムの見方は大変面白い.
[quote]
He said that pursuing a successful counter-insurgency means “exploiting a single narrative” to counter the enemy’s “narrative.”
“Since counterinsurgency is a competition to mobilize popular support, it pays to know how people are mobilized. In most societies there are opinionmakers: local leaders, pillars of the community, religious figures, media personalities, and others who set trends and influence public perceptions.
This influence―including the pernicious influence of the insurgents―often takes the form of a “single narrative.”
This is a simple, unifying, easily-expressed story or explanation that organizes people’s experience and provides a framework for understanding events.
Nationalist and ethnic historical myths, or sectarian creeds, provide such a narrative. The Iraqi insurgents have one, as do al- Qaida and the Taliban.
To undercut their influence you must exploit an alternative narrative: or better yet, tap into an existing narrative that excludes the insurgents.
This narrative is often worked out for you by higher headquarters―but only you have the detailed knowledge to tailor the narrative to local conditions and generate leverage from it.”
http://austinbay.net/blog/?p=1805
[/quote]
彼の言っている“single narrative.”の意味を考える必要があるでしょう.
テロリストのnarrativeというのは,わかりやすい,統一的な,説明しやすい,人々を同化させるもの,であるわけです.
(人々をカルトに洗脳させる神話的な御伽噺とでも言うべき)
この,テロリスト側の神話を崩し,人々の洗脳を解放することが,カウンター・テロリズム行動の大きなテーマになるわけです.
そうそう,どっちかってーとそんな感じ.
東大抗争とかやってた人らが,より過激になったつーか,まさにそのものの事例指摘しちゃうか.
日本で1960年代後半の学園闘争や1970年の安保闘争やってた社会主義学生同盟(社学同)の後身,共産主義者同盟(ブント)赤軍派こそが,「よど号ハイジャック事件」を起こして北朝鮮に渡って,後にヒモ付きで拉致事件引き起こしたり,
連合赤軍結成して「浅間山荘事件」やらかしクレーンの鉄球でド突かれたり,
アラブにトンズラして日本赤軍立ち上げテルアビブ空港乱射事件やらドバイ・ダッカでの日航機ハイジャック事件やらかしたりとか三井物産マニラ支店長の若王子信行氏誘拐事件起こしてんだってば.
「フフン」〔=福田康夫〕と中東との因縁はここから始まってるんだぜ?
あと,発展途上国では兵営が貧困層の学校として,教育機関代わりに使われていた点は指摘しとくよ.
徴兵した貧困層に規律と集団生活教え込んで,地位に関わらず手に職付けさせる職業訓練施し,学問学ばせていたという側面もあるのだ.
まぁ,教育やらインフラ整備やらに投資せず,その段階に留まってちゃ,ミャンマーみたく弊害だらけになるんだがね.
テロ予備軍蔓延させる土壌となる社会不安を無くす為には貧困問題解決が欠かせない.
しかし,本当に深刻な社会不安もたらすテロをやらかすのは,社会と現体制に疎外感を抱く富裕層であり,上述したように,社会には常に一定数潜在的なテロ志願者は存在する.
しかもテロリストは「既存体制の武力による打破」「銃口による世直し」を掲げて自己の理想をかなえるため,時と場合によっては外部の勢力とも容易に手を組む.
これらを抑制するためには,地域社会がある程度以上豊かになり,一般住民がテロに賛同しない土壌をこしらえる事が欠かせない.
これが満たされていれば社会の冗長性やら復元力が働き,テロが深刻な脅威になる以前,犯罪の段階で阻止されることに繋がる.
この辺見ないと拙いよ.
あと,真性のテロリストは,基本的に自分らがパシリに使う英雄志願な貧困層や,自分らが標的とする社会とか一般の民衆とか市民の命や生活を恐ろしく軽んじているのは忘れちゃいけないぞ,と.
何せ,日本で1970年代に三菱重工やら鹿島建設や三井物産のビル爆破して連続企業爆破やったテロ組織「東アジア反日武装戦線」なんか,
「日本国が保証する社会体制下における生活と,自由貿易に伴う輸出入は,世界の各国侵略戦争の元凶である為,日本社会を絶滅し解体する」
と宣言し,
「先導する自分らが定義する革命のために加担せず自決もせず日々を暮らす一般大衆は,「日帝」の構成員として無差別テロの対象として「介錯」※されて然るべき」
として犠牲者省みず連続爆破に勤しんで三桁の死傷者出すくらい,
現状認識から何から何まで色々と破綻してるからにぃ.
ちなみにこれやってるのも日本人だぜ.
治安が真っ当に維持されている1970年代の日本社会ですら,こんなのが出て来ていたのよ?
世界初の首都圏での化学兵器テロやらかしたオウム真理教に至っちゃどうよ.
これら一歩間違えりゃ国家体制転覆するようなものを,大規模犯罪のレベルで阻止してるのは日本の治安維持の凄みだけど,これ裏返して考えて見れ.
基本的な治安確保されず混乱に満ちた土地でこんなんやられたら,まともな企業が進出したり産業育て人材育成できるか?
治安回復なくして貧困の段階的解消と社会の安定は有り得んし,貧困の段階的解消なくして治安と社会の安定,生活の向上も有り得んのよ.
イラク情勢が最近改善してるってのは,この辺の社会の安定と生活の向上が現地で目に見えるようになり出した為.
良い方向に向けてサイクルが噛み合ってるってことでもあるんだぜー.
衆目をひきつけるレベルの恐怖感植えつける激しい行動テロリストが起こせなくなってんのは,掃討の成功に加え,「激しい行動を起こすこと自体が社会から遊離し浮き上がっている」為,イラクの民衆からの支持もイラクの民衆を恐怖により束縛することも出来なくなってるからなんだからさ.
その辺も踏まえて見て行かんと駄目よ.
※
これは何ら誤字でないよ.
「介錯」で間違いないのよ.
何せ彼らの論法だと,
“我々の企業爆破で犠牲になった死者は犠牲者ではない.
彼らは幸いだ.
我々が差し伸べた救いの手で彼らは「自決」でき,邪悪な日本人であることを逃れられた.
我々はいわば彼らを「介錯」してやったのだ.
感謝されてしかるべきだ”
そうなので.
──言っとくが,多少省略して戯画化しているけど,この吐き気するような独善的なものが,実在した,日本人の,日本から出た「真性のテロリスト」の論理で,実際に1974年に無辜の市民を8人殺して,たまたま近く通り掛かった通行人含む376人あまりに重軽傷負わせた事件の裁判通じて出てきた話をまとめたものなのよ?
ちなみに他のメンバーの一部は,赤軍派の起こした一連のテロで超法規的措置で釈放され,北朝鮮に渡って日本赤軍に加わり,未だに国際テロ犯として手配中だぜ.
その関係者の一部は,北朝鮮による拉致事件に関与した疑いも持たれている.
これが可愛く見えるレベルの他国の「真性のテロリスト」の場合,一体どのレベルで他者の命軽んじているか想像つくかい?
民衆の武装蜂起とかゲリラによる抵抗とテロリズムが一線を画しているのは, この,
「敵対者も含めた他者の尊厳への敬意が存在せず」,
自己も含まれる「社会の構成員の生命の尊重が明確に欠け」
ていて,その上,闘争の結果得られるであろう
「自分らが生きる未来や社会の再構築に対する現実的なビジョンが,何ら伴っていない」
点だと思うぜ.
旧来の独立運動や抵抗活動,武装蜂起には,必ずその後の社会の再構築や治安維持,未来に対する現実的な展望と平穏な生活取り戻すため,自分らが暴力でぶち壊したものを自分らで復旧するプランが付き物なんだ.
敵対した相手との関係の再構築含めて,たとえどんなに独善的な幻想であってもね.
でも,
「テロリストには敵対者と既存の枠組みを破壊するだけで,社会の平穏な生活再建についてのビジョンがない」
この辺よく考えていけば,「脱洗脳」等の意味もわかると思うぜ.
テロリストに関して,わたしには,べつの見方をすることも可能かと思います.
というのは,アメリカの犯罪小説家たちは,よくテロリストを障害性人格,昔でいう社会病質者(サイコパス,ソシオパス)という設定で構成していました.
(DSM-IV「精神障害の診断と統計の手引き」Diagnostic
and Statistical Manual of Mental Disorders)によると現在,サイコパスは反社会性人格障害
Antisocial personality disorder と呼ぶらしい)
反社会性人格障害とまではいかなくとも,境界性人格の持ち主とテロリストの親和性については,一定の留保が必要ですが,それなりの説得力はあるように思います.
つまり,宗教や国籍など一端おいて,ある性格なり性質から,特定の傾向を持った人間は,テロリストになりやすいのではないか.
エゴイスティックで視野が狭い.熱狂的あるいは狂信的.他罰的な傾向があり,過去のトラウマにとらわれ,そのことに執着しがちである,などなど.
まあ,素人の思いつきではありますが,参考まで.
石破茂も首相官邸メール・マガジンにおいて,以下のように述べる.
[quote]
テロとは一般的に「低いレベルの攻撃を無差別,無原則に繰り返すことにより,恐怖の連鎖と人心の動揺を発生させ,体制を脆弱化させて己の目的を達成しようとする行為」と定義付けられます.
貧しい専制独裁国家にテロはあまり起きず,民主主義が確立し,経済的に豊かな国にテロが起こりやすいことからもわかるように,圧政や貧困がテロの本質的な原因なのではありません.
「民主主義や物質文明は堕落している.自分たちの望むような体制(たとえば「特定の思想・信条・宗教による国家体制」)が確立されなくてはならない」と信じている人にとっては,権利の保障も,民主主義も,豊かで幸せ な生活も全否定されるべき対象なのです.
しかしそのような主張は到底受け入れられないため(麻原彰晃以下のオウム真理教幹部が平成二年の総選挙に出馬し,全員大惨敗しました),彼らには不満が鬱積します.
「民主主義によっては自分たちの理想は達成できない」
「さりとて国家を転覆させる軍事的な力もない」
「もうテロを起こすしかない」
そのような思考プロセスと考えられます.
[/quote]
▼ 以下はフォト・ジャーナリストの視点.
「貧しい人は,人のせいにしても生活できない」という部分に要注目.
――――――
ジャーナリストの中には,
「テロの背景には貧しさがある」
と,テロにも正当性があるように言う人がいますが,それは間違いだと思います.
第一,貧しい人がテロに加わっていません.
米国で貿易センタービルに突っ込んだ実行犯の殆どは,豊かな階層の人々でした.
大学総長の孫や検事の息子,海外留学をした人もいます.
貧しければ,人のせいにして愚痴を言っているだけでは生きていけません.
僅かな収入のためでも,いま路上に出て働かなければならないのです.
今日を食べなければいけないのです.
テロ実行犯たちが,外国で差別を受けたりした経験には同情できますが,彼らは実際に働いて,生活をしてきた経験がない人たちです.
「米国が悪い」
と言って働かなくても誰かがお金を出して生活することができる境遇の人たちだったのです.
貧しい人は,人のせいにしても生活できませんから,朝早くから夜遅くまで働きます.
貧しさの中では,お互いに助け合わないと生きていけません.
助けられた経験がある人が,他の人を助けることができるのです.
それがテロリストたちとの大きな違いだと思います.
貧困を解決するのは正しいことだと思いますが,そのために多くの人を巻き込むテロという方法をとるのは,決して許されないことだと思います.
――――――長倉洋海著『ぼくが見てきた戦争と平和』(バジリコ,2007.5.15),p.58
▲
それどころか,場合によっては貧困対策が逆効果となる可能性も指摘されている.
小沢一郎も「お花畑の住人」なのではないかという疑いが,いっそう濃厚に.
ちなみに民主党の「ネクスト防衛相」浅尾慶一郎は,以下のような見解を持っているようですが……
[quote]
今,アフガンで一番必要なことはSSR(治安分野改革)だと言われていて,OEFに対して前文で謝意を表した安保理決議の主文でもSSRについて触れている.
まだアフガンでは警察組織ができていなくて,文民警察という思想もないようだ.
アフガンにとって本質的に必要なのは,治安や組織の回復や経済復興だと思う.
その中で日本ができることは何なのか整理していくことが必要だろう.
[/quote]
―――2007年11月1日 ビデオニュース・ドットコム
……いや,警察組織再建を妨害するため,ターリバーンが警察を盛んにテロっている現状があるのですが.
【質問】
サイコパスについて教えてください.
【回答】
http://akademeia.info/index.php?%A5%B5%A5%A4%A5%B3%A5%D1%A5%B9
http://pine.zero.ad.jp/~zac81405/p.htm
書籍では,
『診断名サイコパス 身近にひそむ異常人格者たち』(ロバート・D. ヘア Robert D. Hare 著,ハヤカワ文庫,2000.8)
がお勧めです.
サイコパスの場合,刺激を求めて危険なことをやりたがるらしいのですが,それがテロリストをやる理由でしょうか.
サイコパスは感情の処理が常人と異なるため,他人の苦しみに無頓着なのだそうです.
前頭葉の機能が弱いために感情を抑制できず衝動的で,恐怖や不安の反応が鈍いため懲罰を恐れず犯罪を犯しやすい.
http://blog.livedoor.jp/frrev/archives/50209633.html
情性欠如者
http://akademeia.info/index.php?%BE%F0%C0%AD%B7%E7%C7%A1%BC%D4
彼らのうち社会に適応し貢献する人たちを,グロスマンは牧羊犬にたとえています.
両者には本質的に差はないので,ヘアが主張するように隠れ有罪サイコパスと考えることもできます.
【質問】
>貧困はテロを拡大させる要因にはなるが,原因となる事は少ないんだ.
なぜ貧困はテロを拡大させる要因になるのか?
【回答】
貧困が,テロリストシンパを増やす理由としてその1
・内戦は,平均所得が低く,経済が衰退状態の時におきやすい事.
・これは,反乱グループがその不満をあおることによっておきること
・そして,内乱国はテロリスト・グループと繋がることが多く,民兵を募集する傾向にあり,彼らがテロリストになる可能性が高いこと.
以下引用.
――――――
反乱勢力は社会全体の状況を改善することに関心を抱いていることもありえよう,平均所得が低く,経済が衰退状態にあれば,反乱のリスクはまさしく著しく高まる.
(省略)
反乱と低所得や経済的衰退との関係は波乱の別の原因を反映したものであろう.
――――――『戦乱下の開発政策』(世界銀行編,シュプリンガー・フェアラーク東京,2004.8),62ページ
ただし民兵に関しては,以下の見解がある.
――――――
反乱グループに参加する人には若くて無教育の男子が圧倒的に多い.
このようなグループにとっては,客観的に観察される不満など,あまり関係ないのかもしれない.
むしろ,プロバガンダで容易に操られ,銃器の所持と利用に由来する力に引かれやすい人々の中から,特に集められてきたのかもしれない.
だが,一方ではこういう見方もある.
一見では逆説的だがごく一般に見られる募兵に応じる動機としては,安全性の確保がある.
自宅退去を余儀なくされた何千という人々が直面している飢餓や病気と比べれば,反乱グループの整備された施設は避難所を意味する.
――――――同,63ページ
そして,それらが国際的テロリズムと結束しやすい理由だが,以下のように述べられている.
――――――
内戦が生み出した避難所は大規模な世界的テロにとっては単に好都合であるだけではなく,必要不可欠なものである公算が大と言えよう.
内戦の拡散はそのようなテロ組織に対して,立地や移転に関しての自由な選択肢を提供することになる.
――――――同,44ページ
ちょっと都合のいいトリミングのような気もするので,突っ込みプリーズかな?
ますたーあじあ in mixi,2007年11月15日15:25
【珍説】
体制が政治団体を「過激派」と判断する基準はその体制にとって危険とみなすから.
intellipunk in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
ということはつまり思想的に,あるいはその影響力が(体制にとって)危険なだけでも過激派とされるらしいですが,ところがどっこい広辞苑では
「過激な方法で主義・理想を実現しようとする党派」,
Wikipediaでは
「自己もしくは自己の属する集団の主義主張を貫くためには,過激な手段・違法な手法も厭わないとする行動様式のグループのこと」,
はてなダイアリーでは
「武力を肯定し,テロ等を行う集団」
と,みなさん過激の対象を『手段』に限定しています.
普通みんなそういう意味で使ってます.
体制にとって危険か否かなんて関係ないんです.
弱小集団でも爆弾使えば過激派です.
いい加減,言葉遊びで逃げるのはやめませんか?
まぁ,過激派の中の人が
「おじさんが過激派と言われてるのは手段が過激だからじゃないよ.頭ん中が過激派だからだよ」
とか言ってたら,それはそれでちょっと面白いですが.
【質問】
どうすればテロリストが勝利できるのか?
【回答】
ヘリテージ財団のJames Carafanoは,
「テロリストが失敗するのは戦略が誤っているからである.
テロリストが勝利できるためには,テロリストの望む政治的な願いを実現する方法を示す理論が必要.
したがって,テロリストはテロを,テロそのものではなくて何かしらそれ以上のものに転化させなくてはならない」
と解説している.
以下引用.
テロリストにとって,勝利が可能な場合の理論
歴史的にみて,テロリストが勝利を収める例は大変少ない.テロリストは殺戮や破壊を成功させ,混乱や悲惨を巻き起こすことは出来るが,それはテロリストの最終目標ではない.
テロリストの定義は,政治的な目的を達成するために犯罪行為を行う人である.
テロリストがテロに走るのは,彼等が力に満ちているからではなく,絶望に満ちている為である.
歴史にはテロリストのキャンペーンは多くの例があるが,殆どが失敗している.民間人の殺戮で大義を唱えることは,かなり難しい.
イラクの例ではテロリストは(外国人の駐留軍を追い出すという)大義を持つのだけれど,民間人の大量殺戮がその大義を怪しませる.多国籍軍がイラクの民主主義を推進していることは,さらにテロリストの大義を疑わせる.
テロリストが失敗するのは戦略が誤っているからで,テロリストが勝利できるためには勝利のための理論が必要なのである.それはテロリストの望む政治的な願いを実現する方法を示すものである.
その理論から言えば,テロリストはテロを,テロそのものではなくて何かしらそれ以上のものに転化させなくてはならない.
歴史的に見て,テロリストが,そうしたテロ犯罪行為をより崇高なものに転化出来るため には,四つの方法があって,イラクの場合もそれらのどれかを使う必要がある.
@テロリストが占領地域の正規軍になる
これは中国の共産党革命で起こったことで,アフガニスタンのムジャヒディーンがロシア軍に対抗したときの方法でもある.
ヴェトナム戦争でヴェトコンが採用した手法でもある.
しかし,イラクの場合,テロリストがそうした占領地域を支配することは,ファルージャに見られるように成功しておらず,今後も極めて困難である.
Aテロリストが国民的政治運動の核になる
これはアルジェリアの独立のときに起こったことで,国民の運動の前にフランスは植民地を諦めざるを得なかった.
イラクの場合,この可能税はゼロに近い.
テロリストは国民の支持を得ておらず,政治運動に失敗している.
B反対する全ての勢力(特に指導者)を殺戮する
これはフランス革命のときの手法であるが,お勧めできない.
イラクでテロリストがイラク政府高官や警察官や宗教指導者を暗殺しているのはこれに近いとも言えるのだけれど,すぐに代わりが現われるので効果はない.
Cテロを中止して政治勢力になる
イラクでスンニ派の一部がそうした動きを見せていて,これは成功の可能性がある.
しかし,テロリストであることをやめれば,それはもうテロリストの活動ではないのだから,テロリストの戦略としては失敗ということにもなる.
成功のための理論や戦略無しに,絶望的な犯罪行為を続けるテロリストは,そのWebサイトを見てみれば解るのだが,政治的なプロパガンダを掲げて,永遠の戦いへの犠牲と献身を要求している.
しかし,イラクの普通のイスラム教徒は理解するのだが,イスラム教徒とイスラム教徒の殺戮合戦に意味はなく,時間や資源やお金や生命の無駄使いがあるだけである.
イラクの国民は,それよりは社会の安定化,民主主義や法治,経済発展や繁栄のほうを選択するに違いない.
("The Terrorist Theory of Victory",
2005/7/20,
軍事板転載)
一方,新潟青陵大学福祉心理学科教授(心理学博士)の碓井真史(うすい・まふみ)は,犯罪心理学的アプローチから次のように述べている.
戦争の場合は、基本的には、自国の軍服を着て、自国の旗を掲げ戦闘を行います.しかし,テロは、誰がいつ起こすのかまったくわかりません.誰がいつ被害を受けるのか、予想は困難です.
これは,場合によっては戦争以上の、恐怖と不安を引き起こします.そして,戦争被害以上の、激しい怒りが引き起こされることもあるでしょう.
テロは場所を選ばず、対象を選ばず、終わりもありません.
その恐怖と不安は人々の心を締め付けます.
その結果、時にはテロリスト達の要求をのむことにもなってしまします.
そうなれば,テロリスト達の勝ちです.
一方、テロの被害を受けた人々が、怒りに我を忘れてしまうこともあります.世界の指示が十分いえられないまま、巨大な軍事力や経済力を駆使して、戦争行為を始めることもあります.
そんなことになれば,国際世論が離れます.被害を受けた国が、世界から孤立します.
そうなっても,テロリストの勝ちです.
彼らは、ことさら相手を怒らせる行為をします.相手国の反撃でこちら側の国民に被害が出たとしても、それでも,相手国が世界から激しい非難を受け、世界の中で影響力が弱くなっていくとしたら,それでよいのです.
あるいは,テロにおびえ、怒り、テロリスト達と同じ民族、宗教の人々への差別を激しくするかもしれません.
そんなことをする国を世界は非難するかもしれません.
あるいは,もともとはテロ行為など支持していなかった同民族、同宗教の人々が、テロリスト側に荷担するようになってしまうかもしれません.
【質問】
どうしてテロリストは「師団」でも「連隊」でもなく,「旅団」を名乗るのでしょうか? 「赤い旅団」の頃から不思議に思っていたのですが.「旅団」には特別な意味があるのでしょうか?
【回答】
英和辞書でBrigadeを引いてみ.旅団の他に,団体とか,組とか,隊とかも載ってる.
赤い旅団でも,赤色団でも,赤組でも,赤隊でも,どう訳しても間違いとは言いきれない.
確かイタリアに「赤い旅団」というのがいて,そもそも「ぶりがって」とか「ぶりげーど」には「愚連隊」みたいな意味合いがあったはず.
【質問】
テロの標的になり易い場所は?
【回答】
多くの外国人観光客が集まる娯楽施設だ,と大泉光一=日本大学国際関係学部教授は述べる.
その論旨は次の通りである.
かつては交通機関,あるいは政府関係の建物だったが,最近では多くの外国人観光客が集まる娯楽施設が狙われるケースが増えている.
この最大の理由は,不特定多数の人間が集まり,警備が手薄――つまり,計画・実行のリスクが低いということにある.近年のテロの目的は,敵対する人物や組織の派焼きよりも,人々を恐怖に陥れ,テロリストの言い分を呑ませる事に移っているからである.
さらに,途上国を訪れる外国人を標的にするテロは,心理的高価が高い.途上国の娯楽施設を訪れる外国人は,裕福な「強者」である.外国で我が物顔で遊びまわるという傲慢なイメージを持つ外国人を,「弱者」が襲うという構図は,大義名分を成立させられ易い.
(from "SAPIO" 2003/4/23, P.22,抜粋要約)
【質問】
「テロリストの要求に屈すれば,テロリストは増長し,ますますテロが発生する」
という論理をよく聞きます.
この論理が常識となった過去の事例と,それがどのように国際上の常識となったのかの経緯が知りたいので,お願いします.
【回答】
日本政府が日本赤軍の要求に応じた後,アラブゲリラがルフトハンザ機をハイジャックしている.アラブゲリラは,日本赤軍の成功を意識していたと考えられる.
一九七七年九月,ダッカ空港で日本赤軍に日航機をハイジャックされ,犯人の要求通り,獄中の九人の釈放と六百万ドルを支払うことを決めたとき,時の福田赳夫首相は憔悴しきって「やむをえぬ措置だ.人の生命は地球より重い」と述べた.
同じころ,ドイツ赤軍派はシュライアー経団連会長を誘拐,仲間十一人の釈放と金を求めた.会長の家族の嘆願にもかかわらず,シュミット首相は要求に応じない.
十月,これと連動するアラブゲリラにルフトハンザ機を乗っ取られる.首相はソマリアのモガディシオ空港に特殊部隊を派遣してゲリラを殺し,乗客を助け出す.首相はくずおれるように泣いた.そしてほどなくシュライアー会長の惨殺死体がみつかる.〔『朝日新聞』1997.4.29〕
(イラク日本人人質事件を考えるための論理)
また,日本赤軍自体,この軍資金の調達と有力メンバーの奪回に成功し,国際テロへと拡大,世界各国から,日本政府の弱腰対応に非難の声が高まった.( 「昭和史探求」)
まずダッカの主犯・和光晴生がハーグ事件を起こし,ダッカで解放された奥平純三がクアラルンプール,ハーグ,ドバイ,そして当時決定的に日本のイメージを落としたテルアビブ事件に繋がっていきます.(「日本赤軍と東アジア反日武装戦線 」)
また,テロに対する宥和策が新たなテロを生むという別の実例として,北朝鮮工作員による一連の拉致事件があります.
60〜70年代のしかるべき時期にきちんとした対応をしていれば,以後の拉致事件は起こらなかった可能性が高いのではないでしょうか?
しかしながらいまだに宥和策を続けていて,全面解決にはほど遠いのはご承知のとおりです.
【質問】
「テロリストの脅しには屈してはならない」態度が正しいなら,「人の生命は地球より重い」は間違いなのか?
【回答】
哲学者,諸野脇正は次のように語る.
実は,どちらも正しい.
この二つは,観点を変えた時に見えてくる二つの面なのである.
「人の生命は地球より重い.」
「全体の利益のために個人は犠牲になるべきである.トータルで死者が減るという理由で,個人を見殺しにするのも仕方ない」
どちらも正しい.
個人の側から見れば,自分が死んでは全てお終いである.だから,自分の生命は地球より重い.
全体の側から見れば,地球がなくなってはお終いである.地球がなくなったら,みんな死んでしまう.だから,地球は個人の生命より重い.
「どちらが正しいか」と考えること自体が間違いなのである.それは,いわゆる「カテゴリー・ミステイク」である.異なったカテゴリーの言葉を,同じカテゴリーの言葉だと思ってしまっているのである.
次のような例が分かりやすい.私が過労で体調不良になったとする.その時,風邪が流行していて,風邪にかかったとする.
次の問いを考えてみよう.
| 私の風邪の原因は体調不良か.それともウィルスか. |
「体調不良か.それともウィルスか.」と言われても困る.「体調不良」と「ウィルス」は,観点を変えた時に見えてくる別種の原因なのである.
例えば,私がメールマガジンで,「体調不良が原因で風邪になった.」と書いたとする.その時,次のような批判を受けたとしたらどうだろうか.
| 風邪の原因は体調不良ではないですよ.ウィルスですよ. |
このように言う人がいたら,その人はたぶん少し頭がおかしい人だ.〈「ウィルス」が原因だから,「体調不良」は原因ではない〉とは言えない.両方とも原因なのだ.観点を変えた時に見えてくる二つの原因なのだ.「体調不良」と「ウィルス」は,カテゴリーが違うのである.
逆の例を考えてみよう.
私が医学関係の学会に出席したとする.新しいインフルエンザウィルスを発見したという発表がおこなわれている.その発表を私が次のように批判したらどうであろうか.
| 私の経験から言うと,風邪の原因はウィルスではなく,体調不良ですよ. |
このように私が言ったとすれば,少し頭がおかしい私である.〈「体調不良」が原因だから,「ウィルス」は原因ではない〉とは言えない.
上の例は,誰でもおかしいと気づくであろう.
しかし,同様の間違いを私達は犯していることが多い.社会現象を考える際に犯していることが多い.この事実は,はっきりと気づかれてはいない.
【質問】
これはテロに屈したことにはならないのか?
――――――
■オランダ政府,人質救出に身代金1億3千万円余支払う
5/30 読売新聞
オランダ政府は28日夜,異例の声明を出し,ロシアのカフカス地方で誘拐されていた「国境なき医師団」幹部のオランダ人救出に際し,身代金を支払ったことを認めた.
同政府はまた,同医師団に対して,身代金返済を求めていることも認めた.
民間人の人質身代金の支払いを,一国の政府が認めるのは極めて珍しい.
同日午後に発売された仏紙ル・モンドが,「オランダ政府は同医師団が身代金を返済しない場合,欧州連合(EU)による同医師団への補助金支給を停止すると脅迫している」という記事を掲載したことを受けたもの.
支払い額は公表されていないが,同紙によると,約100万ユーロ(約1億3500万円)と見られる.
声明は,同政府は同医師団との合意のもとに,同医師団が支払えない分を「立て替えた」とし,「脅迫」したという報道について,「事実無根」としている.
問題のオランダ人は同医師団スイス支部幹部,アルヤン・エルケル(34)さん.露ダゲスタン共和国でチェチェン難民などへの医療援助を担当し,2002年8月に誘拐され,今年4月に1年8か月ぶりに露当局により救出された.
――――――
【回答】
誘拐事件を身代金で解決することはよくある事です.それは警察レベルで対処する小さな事件でも,そうです.
相手がテロリストでも,それは決してテロに屈した事と蔑まれるようなものではありません.
三十〜四十年前のイタリアが良い例です.
その頃イタリアでは誘拐事件が頻発しており,身代金で解決することは日常茶飯事でもありました.
しかし決してイタリア警察が無能だったわけではありません.むしろ優秀でした.
『テロに屈する』といった形の要求とは,政治犯の釈放など政治的な要求を指します.これは呑んではいけません.
ですが,数億円で済むなら身代金もありでしょう.数十億,数百億なら突っぱねても良いのですが.
だって,身代金を要求するなんてギャングと変わらないでしょう? テロリストかゲリラか知りませんが,どんな崇高な理念を持っていたとしても身代金を要求すればギャングと同じです.そして民心は離れていく.
ならば,それは安い投資ではないですか.民衆の支持を得られないゲリラなど,自滅するだけなのだから.
「国境無き医師団」は同意の上でオランダ政府に立て替えてもらった身代金を支払うようです.双方納得済みの『自己責任』なんですかね・・・
【珍説】
テロリストの目的というのは,市民を恐怖に陥れて社会を混乱させたり民主政治を動揺させたりすることです. (まいか.)
【事実】
それは手段と目的を取り違えています.
市民を恐怖(テロル)に陥れて社会を混乱させたり,民主政治を動揺させたりするのは『戦略目的』を達成させる為の『手段』です.
けっして目的ではありません.恐怖を作り出す事はテロリストの『戦術手段』です.
IRAは北アイルランドのイギリスからの分離を目的にテロを繰り返しました.
ETAはバスク地方のスペインからの独立を目的にテロを繰り返しました.
日本赤軍は日本政府と天皇制を転覆し,世界同時革命を起こす事を目的にテロを繰り返しました.
PLO反主流派はパレスチナ解放を目的に,PLOが武装闘争を止めたにも関らずテロを繰り返しています.
どのテロリスト集団とて,「社会を混乱させる事」そのものが目的であった集団はいません.それはあくまで目的を達成させる為の手段に過ぎないのです.目的を見失い,テロルを実行する事のみ繰り返す・・・そんな集団はテロリストですらない.ただの殺人嗜好集団です.
ただし個人レベルなら,手段が目的と化してしまった者もいます.手段の為ならば目的を選ばないという様な,どうしようもないテロリストが.それは時限爆弾を使ったテロリストに多く居ました.解体し難い時限爆弾を考案している内に,警察の爆破処理専門班との知恵比べを楽しむようになり,政治的主張よりも爆弾作りに没頭していく・・・小説や映画の話ではありません.現実に居たのです.
・・・ところで,まさかとは思うけど漫画の見過ぎって事は無い・・・よね?
「テロリストは市民を恐怖に陥れて社会を混乱させることが“目的”」
という手段と目的を取り違えた主張は,某吸血鬼漫画の某少佐や,某4コマ漫画の某武将,
織田信長配下,松永久秀の居城――大和国信貴山城
「あー,このところ毎日のどかでうららかな日和が続いて気持ちがいいねえ」
「まったくでございますな,殿」
「……」
「謀反でもするか」
「(ビョーキだ……)」
(山科けいすけ「SENGOKU」1,竹書房,p.106)
とあまり変わらない気がするのだけれど・・・
こんな奴ら,漫画の中にしかいねーよ.
(JSF他)
爆弾解体作業

【珍説】
食べすぎている!
アメリカ人は食べすぎているからテロの標的になるのだ!
小林よしのり in 『SAPIO』 2005/6/22号,p.61
【事実】
( ゚д゚) ・・・
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
▼ 両国国技館なんか,世界中のテロリストに狙われるな・・・.
▲
【珍説】
政治の側はテロに対処できなければ意味がないんです. (まいか.)
【事実】
それは非常におかしな言い分です.
例えば,警察を例にします.
「警察は犯罪を完全に無くせていない.対処できていないのだから,意味が無い」
・・・変でしょう?
テロも同様です.テロは犯罪です.そして犯罪同様,完全に無くす事はできません.
ですから,対処療法は必ず必要となります.そして対処療法を「意味が無い」と言う事は,非常におかしな事です.
もちろん,対処療法だけで良いとは言いません.
しかし,絶対に必要なものである事は確かです.
だから,「対処できていないから意味が無い」という貴方の主張は,完全に間違っています.
【質問】
政治目的を達成したテロは存在するのか?
【回答】
「大人の参考書 『中東問題』がわかる!」(青春出版社,2001/11/10)によれば,イスラエルのイルグーンという組織によるテロを成功の代表例だ,としている.
同書によれば,イルグーンの活動によってイスラエルという国家が誕生したという.
成功した理由としては,
・国際世論の支持があった,
・国家の独立を獲得するという明確な動機があった,
・イスラエル市民の支持があった,
・敵対関係にあったイギリスの過剰報復を誘発,国際世論に訴える事に成功した,
といった理由が挙げられる.
特に大きかったのが,国際世論の支持.つまり,国際的に同情が得られない限り,テロリズムの成功はまずないと言っていい.言い換えればそれは,世界人類がテロリスト側の考え方に正当性があると認めた場合と言えるだろう.
(p.38,抜粋要約)
【質問】
放射性物質の違法取引は何件になるのか?
【回答】
2004年では,報告があっただけで121件になる.
IAEAが違法取引の全体像の何割を掴んでいるのかは,報道からは読み取れない.
以下引用.
放射性物質:違法取引,4年ぶり増加 IAEAが報告書
【ウィーン会川晴之】国際原子力機関(IAEA)は27日,ウランやプルトニウムなどの核物質や「汚い爆弾(ダーティーボム)」の製造にも利用できるコバルトなどの放射性物質の違法取引報告書を発表した.それによると,04年にIAEAに報告があった違法取引は121件で,00年以来4年ぶりに増加に転じた.
〔略〕
IAEAは95年,ソ連崩壊(91年)に伴い,カネ目当ての核物質の違法取引が増えたことから,違法取引データベースを設立.その後,イランやリビアの核疑惑発覚を機に核の「闇市場」が明らかになった.
〔略〕
発表によると,93年〜04年末までに報告があった違法取引は662件.このうち220件がウランやプルトニウムなどの核物質の取引で,その他の約400件が,医療用放射性元素などの取引だった.
核物質取引のうち18件が,軍事転用可能な高濃縮ウランやプルトニウム.多くの事例はごく微量だが,94年3月にロシアのサンクトペテルブルクで押収された高濃縮ウラン(2.97キロ),同年12月にチェコのプラハで押収された高濃縮ウラン(2.73キロ)など数キロに達する取引もあった.
最近では03年6月にグルジアで,高濃縮ウラン170グラムの取引が摘発された例がある.
また,約50件がダーティーボム製造などに悪用される危険性のあった取引だと指摘,その多くは過去6年間に集中しているという.
IAEAは,報告件数の大幅増加について
「各国政府が届け出るようになったからでもある」
と指摘,各国の意識向上が進んでいると成果を強調している.
【質問】
以下のニュースは,テロリストへの核拡散をどの程度暗示している出来事なのか?
放射性物質1キロを押収 スロバキアとハンガリー
産経新聞,2007/11/29取得
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スロバキアからの報道によると,同国の警察は28日,ハンガリー当局と協力し,100万ドル(約1億1000万円)相当の放射性物質1キロを売却しようとした3人を両国内で逮捕,放射性物質を押収したと発表した.
スロバキア通信は,放射性物質が核兵器の材料にもなる濃縮ウランだったと伝えたが,警察は確認しておらず詳細は不明.
放射性物質の捜索は両国東部のウクライナ国境に近い場所で行われており,旧ソ連から流出した核物質の可能性がある.
3人のうち2人はスロバキア,1人はハンガリーで逮捕された.
関係者への捜査は数カ月に及んだという.
冷戦終結後の1990年代以降,安全管理が手薄になった旧ソ連の核関連施設から核物質が流出しチェコやドイツなどに密輸される事件が相次いでいる.
国際原子力機関(IAEA)や各国捜査当局は,国際テロ組織や核兵器開発を目指す国が核物質を入手しないよう,厳重な監視態勢づくりを目指してきた.(共同)
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スロバキア警察,高濃縮ウランを押収・3人逮捕
日経新聞,2007/11/30取得
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【マドリード=桜庭薫】スロバキア警察は29日,ハンガリー警察と協力し,両国で粉末状の高濃縮ウランの売却を試みた3人を逮捕したと発表した.
高濃縮ウランはテロリストの手に渡れば,放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を製造できる状態だったという.
高濃縮ウランは500グラムで濃度98.6%.ウクライナ国境に近い場所で押収された.
スロバキア,ハンガリーの東部国境は欧州連合(EU)の東端に当たるため,両国警察は国際原子力機関(IAEA)と協力し,安全管理に問題のある旧ソ連の核施設から核物質がEUに流入しないよう警戒していた.
〔略〕
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CNN.co.jp :スロバキアなどでの3人逮捕,売却図ったのは濃縮ウラン
2007.11.30 Web posted at: 17:53 JST- CNN/AP
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スロバキア・ブラチスラバ――放射性物質約453グラムを約100万ドル(約1億1千万)で売却しようとした3人が逮捕された事件で,
スロバキア警察は29日,物質は粉末状の濃縮ウランで放射性物質を拡散させる「汚い爆弾」の製造に十分な量だった,と述べた.
また,旧ソ連構成国から流出した可能性が大きいという.
旧ソ連の崩壊後,核関連産業施設での警備態勢がほころびているロシアや旧ソ連構成国からの漏出への懸念が強まっていた.
チェコなどはその持ち出し先になっていると言われ,2003年にはおとり捜査で,低濃縮ウランを71万5千ドルで売り付けようとしたスロバキア人2人を逮捕している.
今回逮捕されたのはハンガリー人2人,ウクライナ人1人.テロに使われる恐れもあったと指摘した.
ハンガリー人の1人はウクライナ居住だった.
逮捕はスロバキア,ハンガリー両国警察が協力して行っていた.
調べによると,売却の話は26日から28日までの間に実施される可能性があった.
買い手の正体などは不明.共犯とみられるスロバキア人ら3人が10月中旬に拘束されたことも明らかにした.
警察は当初,押収した放射性物質は約1キロとしていた.
国際原子力機関(IAEA)の報道官は今回の事件への関心を表明,放射性物質などの詳細な情報を得たいと述べた.
IAEAは今年8月,核関連物質の盗難や紛失は2006年,世界規模で250件以上に達したと報告している.
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In Slovakia, Three Are Held in a Uranium Smuggling Case
By DAN BILEFSKY and WILLIAM J. BROAD Published: November 30, 2007
木曜日にスロバキア外務省と警察は,2人のハンガリア人と1人のウクライナ人を濃縮ウランの密輸の容疑で逮捕したと発表した.
犯人は0.5キロのウランの粉末を所持していた.
ブラッセルのスロバキア代表は
「核物質が前ソビエト連邦の中のひとつの国からきたものである事は90%確かであり,この物質がテロリストに渡ってダーティ・ボムなどに利用される可能性があった」
と述べた.
“We are almost 90 percent sure that the material originated in one of the former Soviet republics. It was possible to use this material for terrorist attacks or to build a dirty bomb.”
しかし専門家は濃縮ウランはダーティ・ボムにするには放射性が少なすぎとみている.
また,ウランの濃縮の程度に疑問を持っているという.
犯人は核物質を$1Mで売ろうとしていて,スロバキア・ハンガリーの国境地域で2人が逮捕 され,残る一人がハンガリーで逮捕された.
濃縮ウランは481.4グラムで98.6%がU235であると発表されている.但し専門家はこの98.6%という数値に疑問を呈している.(後略)
―――翻訳:ニュース極東板
【回答】
共同通信引用の記事である産経新聞は信用できますが,日経新聞の桜庭薫記者はアホなのでしょうか.
恥ずかしげもなく,技術的に考えて意味不明の事を平気で書いています.
曰く「高濃縮ウランは500グラムで濃度98.6%」...
おそらく「濃度」ではなく,ウラン235の占める割合(濃縮度・単純に「濃縮」と言う場合も多い)が98.6%の高濃縮ウランが押収されたのでしょう.
ちなみに,これだけでは「汚い爆弾」(dirty
bomb)としては全くの威力(放射能)不足であり,知識のない一般市民をパニックに陥れる事ができても,実効性は全くありません.そもそもトン単位でウランを扱っていた私が全く無事だったのに,たかだか500グラムでどうにでもなる物ではありません.
ただし,国際原子力機関(IAEA)や各国捜査当局がこのニュースに敏感になっているのは,量はともかくとして,事実上,高濃縮ウラン使用の核兵器にしか使い道がない98.6%濃縮のウラン(研究用の高濃縮ウランはせいぜい90%程度で,報道のような98.6%とは核(原子炉)物理学的には致命的な差異となります)が流出したという事であり,これは旧ソ連構成国の解体核兵器等から発生するウランが闇ルートで流出している事,つまりテロリストを視野に入れた核拡散を意味するに他ならない事が指摘できます.
ただし「物質は粉末状」との情報が正しければ,核兵器そのものに粉末状のウランを用いる事は常識的には考えられないため,核兵器解体加工後,もしくは製造プロセスから由来したものと考えられ,これをもって核兵器そのものが拡散しているとは即断できません.
また,これだけの量では最適化を図っても臨界に達する事はできません.
なお,そもそも通常(=核兵器転用のできない)の放射能の弱いウラン1kg程度(共同通信では500g,CNNでは453gと差異有り)で100万ドルもするわけがなく,ウランという説明が間違っていなければ核兵器級というプレミア込みの価格となります.
ちなみに強い放射性物質なら数百gもあれば十二分に致死レベルであり,dirty
bombの原材料として,その様な闇価格が付いてもおかしくないのですが,その前に,闇取引をした売人が大量の被曝で死んでいるでしょう.
今後の情報に大変注目が集まりますが,もしスロバキア通信(共同通信)やスロバキア警察発表の内容が正しければ,大変に憂慮すべき事態であるため,報道管制がひかれ,一切の公式発表がないなど,これ以上の報道はなされない可能性があります.そのため,続報の有無を含めて,目が離せないところです.
【質問】
環境保護過激派テロリストっているの?
【回答】
環境保護団体のテロはかなり昔からいて,現在の状況に直接繋がるのは1950年代に始まったことです.
グリーンピースを結成したのは,その頃の過激派の残党.
Posted by 名無しT72神信者 at 2007年05月21日 13:56:21
そのグリンピースは,このようなシー・シェパードという“テロリスト”を育て上げました.
http://meteors.blog85.fc2.com/blog-entry-40.html
http://ameblo.jp/sirius55/entry-10025995004.html
今年2月,調査捕鯨母船の日新丸に化学薬品を入れたビンを投げつけて乗員2名に軽傷を負わせ,さらに化学薬品で起きた火災で乗員1名が犠牲になりました.
Posted by 90式改 at 2007年05月21日 23:58:49
環境保護過激派は外国だとゴロゴロいますぜ,
たとえばここ
http://www.earthliberationfront.com/
遺伝子改造作物の研究所焼き討ちしたりしてる.
Posted by 名無しT72神信者 at 2007年05月21日 10:51:09
「見て分かんねぇか,ブルジョワ階級の家ぶっ壊してんだよ!」
所詮,連中は手段が自己目的化.
Posted by 地球防衛軍 at 2007年05月21日 10:25:44
以上,「週刊オブイェクト」コメント欄,2007/5/20付より
【関連動画】
「ワレYouTube発見セリ」:シー・シェパードの捕鯨船に対する妨害行為
【質問】
グリーンピースが日本で鯨肉を盗んだ事件(2008年5月)について教えてください.
【回答】
以下にグリーンピース問題まとめを発見した.
Q.グリーンピースは何が言いたいの?
A.漁師さんが鯨肉を不正に得て自分達の利益にしていることの追求がしたかったそうです.
Q.グリーンピースは何を見付けたの?
A.漁師さんが自宅に発送した鯨肉25kg程度です.なおグリーンピースの発表資料は次にあります.
http://greenpeace.or.jp/docs/oceans/wm2008/doss.pdf
Q.グリーンピースはどうやってこの鯨肉を手にしたの?
A.青森付近のTAで盗んだそうです.
なお,盗んだ肉はクジラ肉かどうか確認するために,
ホテルでスタッフがおいしくいただきました.
http://iroiro.zapto.org/cmn/jb/data2/jb3031.jpg
Q.漁師さんが自宅とはいえ鯨肉おくっていいの?
A.次のURLによると,一人10キロのお土産クジラ肉の他3.2kgまでの購入が認められています.
また購入者がすくなければそれ以上の購入も可能です.
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2008/05/15/20080515dde041040074000c.html
日新丸の乗組員は150名で合計2トンの持ち出しが認められています.
GPの発表で「1.1トンが不正に持ち出されている可能性があるっ!」と発表されていますが,
まったく問題ない数値です.
【質問】
脱国家的テロリストは,なぜこんなに安全保障を脅かすようになったのか?
【回答】
まず覚えておきたいのは「テロリズム」そのものは別に新しいものではなく,遥か昔から存在していた,ということ.
フランス革命やスターリン下のソ連政府は,国民を支配するためにこれらを用いたし,19世紀には,アナーキストや脱国家的革命家によって用いられた.
WW1では,部分的にではあるがテロ行為が戦争を引き起こす要因の一部となった.(フェルディナンド暗殺はきっかけのひとつにすぎない)
近年の脱国家的テロリズムがなぜこんなに脅威視されるようになったかについて,ナイ教授は以下のように分析している.
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今日新しいのは,技術が,常軌を逸した個人や集団の手に,かつては主として政府にゆだねられていた破壊力を与えつつあることなのである.
20世紀には,スターリンやヒトラーのような政府首脳は多くの人々を殺すことが可能であった.
21世紀にもしテロリストが大量破壊兵器を獲得すれば,彼らは同様の能力を保持することになろう.
だからこそ,一部の識者はテロリズムを戦争の民営化と呼ぶのである.
さらに技術には,近代社会の複雑なシステムを大規模な攻撃に対してより脆弱なものにしてきた.
ウォルター・ラカー(Walter Laquer)が指摘するように,
「インターネットがその傾向を加速させる以前から,脆弱性増大という傾向はすでに存在していた」
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911テロでは,3000人以上が一度のテロの犠牲になっており,殺傷性の増大を裏付けている.(攻撃の回数自体は減少しているが)
過去のテロでは,1985年にインド航空爆破事件で325人が犠牲になり,オクラホマの連邦ビル爆破事件では168人が命を落としている.
1970年代と80年代のテロは,主としてイデオロギーやナショナリズムに起因するものであったが,90年代に入ると,極端な宗教的信条がテロの温床となる事例が増えてきた.
伝統的なテロリストは,左翼にしろ右翼にしろ,あるいは民族主義的分離主義者にしても,無辜の人々を殺害するのには,ある一定の良心の呵責を感じていた.
だが,こうした制約は現在ほとんど重視されなくなり,自己犠牲(自己陶酔)の心情とあいまって,新しいテロは,恐るべき破壊力を持つに至ったのである.
911に関与したテロリストたちは,ある種のイスラム原理主義に動機づけられてはいたが,覚えておかなくてはならないのは,アメリカでのそれ以前の最悪のテロは国内で起きた(オクラホマ連邦ビル爆破事件)ことである,
テロに走る集団は,世俗的な集団でもあり,カルト的な集団でもあり,宗教の分派的な集団でもあり,つまりは,たやすくこれらの集団がパワーを持てるということだろう.
<まとめ>
・テロは昔から存在してはいたが,近年のテロは,個人的な集団が技術を持つことにより,飛躍的に破壊力を増したことにある.
・近年の脱国家的テロリストは,一般市民を巻き添えにするのにあまり良心の呵責を感じない.
・あらゆる集団が,大きな破壊力を持つテロリストになる可能性がある.
・・・技術革新・グローバリゼーションの功罪を考えずにいられない.
もっとも,この流れは止まらないと思うが.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第8章を参照されたし.
また,田中明彦氏は非国家,国際的テロリズムの脅威について以下のように記している.
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その政治目的は,アメリカを中心とする政治経済体制への根本的否定というような根源的なものか,あるい単なる破壊のための破壊という虚無的なものなのかもしれない.
もし目的があまりに根源的あるいは虚無的であるとすれば,このようなテロ組織との交渉の可能性は殆どないであろう.
(中略)
このような脅威への対処はきわめて困難である.
テロに対する戦争として,アメリカはアフガニスタンで武力攻撃を行いタリバン政権を崩壊させたが,これはあくまでも,現在その存在が明らかになったアル・カーイダの根拠地を破壊したに過ぎない.
国家でないネットワーク組織であるアル・カーイダは,根拠地を破壊されたからといって直ちに消滅するわけではない.
徹底的な情報戦略と多国間の警察などの協力なしに,この「戦争」を遂行することは困難である.
つまり,「新しい戦争」において,圧倒的に重要な活動は戦場ではない場所で行われることになる.
さらに,このような脅威に対して,通常の意味の「抑止」も「防衛」もきわめて難しい.
どこを攻撃されるかわからないため,防衛措置を取ることも困難だし,また相手がどこにいるのかもわからないのであるから,「攻撃すれば大規模の反撃をするぞ」という「抑止」によって攻撃を防ぐことも難しいのである.
また,自爆を覚悟するほどの根源的あるいは虚無的な実行犯に対しては,そもそも「抑止」は意味を成さない.
このような判断が,アメリカの新しい安全保障戦略に反映し,「先制行動」の考えにつながっている.
テロ組織の存在が一瞬でも見える状態になり,その意図が感知できれば,直ちに行動を取って危険を防ぐというのは,「新しい戦争」においては必要な措置である.
ただし,先制行動は必ずしも先制攻撃を伴う必要はないし,無思慮な先制攻撃は,かえって国際秩序を破壊する場合が大きく,望ましくない.
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―――田中明彦/中西寛編『新・国際政治経済の基礎知識』(有斐閣,2004.7),P236
抑止が難しい点については,軍事評論家・江畑謙介氏も以下のように言っていますし,ナイ教授も「国際紛争」の中で述べています.
[quote]
脅威の対象としては国家による在来型(伝統型)のものよりも,テロリズム,大量破壊兵器によるテロ,武装勢力によるゲリラ攻撃,あるいはサイバーテロやレーザー攻撃などの新しい技術分野による非対称型攻撃などが重視されている.
これらの脅威の多くは「抑止」の概念が機能しない.
[/quote]
―――江畑謙介 <新版米軍再編 353ページより引用
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従来,防衛力の基本的役割は「抑止力」であり,そのために日本でも最小限必要とされる「基盤的防衛力」の保持を防衛力整備計画の中心的考え方としてきた.
抑止力とは,こちらがある力を保持することで,相手にこちらに対して無理難題を押し付けられたり,武力攻撃(によって問題の解決を図ろうとする方法)を行わせないようにしたりするというものである.
この考えの基礎には,こちらがある程度の防衛力(軍事力)を持つから,相手は攻撃をかけてもそれ相応の被害を免れず,それは相手の目的達成に引き合わないと思わせる,という概念があう.
これは目的達成に必要な犠牲と達成によって得られるものとをはかりにかけて,得るものの大きさを推量する,
すなわち「費用対効果」を図るという合理的なかんがえがある点を前提にしている.
ところが前述のようにテロリズムでは,このような合理的な考え方がほとんど存在しない.
目的は相手に代償を問わず被害を与えることであって,そこにいかなる自分の犠牲が生じてもかまわないというのが多くのテロリズムの基本だから,これだけの軍事力をもっていれば,相手にそれ相応の被害を与えて・・・という考え方が通用しない.
このような相手(テロリスト)に対しては,もちろん,そのテロリズムを実行させないための最大限の防止努力(情報収集による先手を打った逮捕,資金や武器入手経路の根絶など)を行うが,実行されてしまった場合(最悪の事態を想定して備えておくのが安全保障の基本である),その被害を最小限に食い止める対応措置を講じねばならない.
その能力を持つ必要がある.
これが対処能力である.
「被害を最小限に食い止める」対応措置は「被害管理(カンセクエンス・マネージメント:Consequence Management:CM)」という.
------------------------------------------------------------------------
―――江畑謙介著『日本の防衛戦略』(ダイヤモンド社,2007.7),59-60ページ
【質問】
テロFAQなるページを持っている手前,IRA関連も色々収録したいものの,根が深すぎて,どこから手をつけていいのか,分からない…
助けて,アンパンマーン!
消印所沢
【回答】
うわあ,四次元ポケットがブラックホールになってるよ,困ったなぁ.(<キャラが違います.)
NI紛争については,いつか基本的なことについての説明記事を書きたいと思っていたので,この機会にまとめたいと思います.
いずれにせよ,北アイルランドはまず「アルファベット・スープ」(UDA,
UVF, LVF, UFF, RHD, IRA, INLA, etc etc)の対処から始めないと資料すら読めないし探せないので,まずは一覧
(知らなくてもよさそうな名称も含まれていますが):
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Proscribed_paramilitary_organizations_in_Northern_Ireland
※何年か前のことですが,上記ページにある組織名のいくつかを書いたエントリを立てたところ,Nortonなどセキュリティソフトが反応してしまうという報告をいただいたことがある――基本的にテロ組織の名称のリストであり,これらの組織の中にネットでリクルート活動を行なっているところがあることが原因と思われます――ので,環境によっては閲覧できない場合もあるかもしれません.
文字列はヤバいにしても,ページそのものはただのwikipediaで安全です.
日本語版WikipediaのIRAの項目もご参照ください.
けっこうがんばったつもり――ですが,「わかりやすく書く」ことが不可能に近いし,日本語では「共和軍」か「共和国軍」かをはっきり区別しないから,ますますややこしいことに).
書籍なら,2007年4月に法政大学出版局から出た
『暴力と和解のあいだ 北アイルランド紛争を生きる人々』(2007.3).
入手のしやすさからも内容の点からも,この本がベストだと思います.
あと,鈴木良平さんという(北)アイルランドがご専門のベテランの先生が書いておられる丸善ライブラリーの本(品切れで書店では見つかりません.私も持っていないのですが,この先生のほかの著作を拝読しています).
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4621053159/nofrills-22/ref=nosim/
マーケットプレイスで何点か安く出てますね.
前に見たときはプレミアついた値段で買えなかったのですが(新書に2000円は出せない),注文しよう.
英語の本ならリストは:
http://nofrills.seesaa.net/article/27140709.html
【関連リンク】
「tufuk」:IRAの海外とのつながり
「tufuk」:Real IRAについてケータイ小説風に説明する.
【質問】
北アイルランドでは,ロイヤリストと治安当局とは癒着しているのか?
【回答】
「北アイルランド紛争」においてはプレイヤーは3者,すなわちリパブリカン(ナショナリスト)と,ロイヤリスト(ユニオニスト)と,英国の治安当局(警察,軍)である.
このうち,ロイヤリストと治安当局とが癒着(collusion)していた,ということは,これまでにも多く語られてきた.ネット上にもあれこれ記事があるし,書籍も少なくない.
私が買い求めただけでも2冊(で,どっちも内容があまりにひどいんで,なかなか読み進められない).
ただしこれまでは,「そういう事実がある」というのは「主張」だった.
それが,今回,公的に「事実」として認定された.
北アイルランドの警察オンブズマンのレポートが出たのだ.
NI police colluded with killers
Last Updated: Monday, 22 January 2007, 12:54
GMT
※スラオさんの記事で要の部分がテキストデータ化されている.
あと,スラオさんのコメント欄・・・北アイルランド関係の「論点ずらし議論」の定石とかを知らずに読むと大変なことになるかもしれないが(私は何年かずっとスラオさんを閲覧しているうちに,だいたい論法がつかめてきたのだが).
レポートそのものは,上記BBC記事からダウンロードできるようになっている.
〔略〕
記事によると:
UVFのメンバーが警察のSpecial Branchの情報屋として活動しながら殺人などの重大な犯罪を犯してきたことが,オンブズマンのレポートに明記された.
レポートによると,ロイヤリストと警察の癒着の構造のもとで起きた犯罪は,
・殺人10件
・殺人未遂10件
・「懲罰」としての銃撃10件
・「懲罰」としての襲撃13件
・モナハン爆弾事件(1974年,アイルランド共和国)
・麻薬密売17例
・そのほか
オンブズマンの調査によると,SBはUVFの殺人者に訴追免除を与えた.つまり,UVFがいくらリパブリカンを殺しても,その実行犯は罪に問われないという約束(密約)があった.
そのためにSBはいろいろな協力をした.
UVFの武器捜査を妨害したこともあった.
また,UVF幹部のMark Haddock(昨年,バーのドアマンへの暴行で有罪となり懲役10年)には警察SBから8万ポンドが支払われていた.
その当時の「警察」はRUC (Royal Ulster Constabulary)
で,これはグッドフライデー合意後の2001年に改組され,現在のPSNI
(Police Service Northern Ireland)となっている.
現在のPSNI総監であるサー・ヒュー・オードは,犠牲者の遺族に謝罪している(offered
an apology to the victims' families).
英国政府の北アイルランド担当大臣,ピーター・ヘインは,「非常に暗い部屋の片隅に明かりがともった」と述べた.
ブレア首相の公式報道官は,「完全に誤った出来事,起きるべきではなかった出来事についての,非常にいやな気分になるレポートだ」と述べた.
〔略〕
また,このレポートでは,複数の殺人事件の捜査の再開を求めているが,関係した警察官が起訴されることはまずなさそうだ.
証拠は訴追がないように,意図的に破棄されている.
レポートをまとめる上での調査について,オンブズマンの長は次のように語っている.
"What emerged during our inquiries was
that all of the informants at the centre
of this investigation were members of the
UVF," she said.
"There was no effective strategic management
of these informants. As a consequence of
the practices of Special Branch, the position
of the UVF, particularly in north Belfast
and Newtownabbey was consolidated and strengthened
over the years. How could this happen?
"The handling of informants was done
on a day to day basis. There were very few
rules. There was no management intervention
to ensure informants were properly managed
and supervised. The PSNI have produced no
evidence that action was taken by the RUC
to prevent what ultimately happened."
なお,RUCの最後の総監となったサー・ロニー・フラナガンは,オンブズマンの聞き取り調査は受けたが,調査を助けることはできなかったそうだ.
〔略〕
【関連記事】
UVF gang 'linked to 10 murders
O'Loan confirms collusion claims
By Vincent Kearney
Home affairs correspondent, BBC Northern
Ireland
Northern Ireland police shielded loyalist
killers
Agencies
Monday January 22, 2007
15 murders linked to police collusion with
loyalists
Owen Bowcott, Ireland correspondent
Tuesday January 23, 2007
Junior officers 'supported at highest levels
of RUC and PSNI'
Owen Bowcott
Tuesday January 23, 2007
This exposes Britain not as peacemaker, but
perpetrator
Now it's official: the state sponsored death
squads for years in Northern Ireland and
this collusion prolonged the war
Beatrix Campbell
Tuesday January 23, 2007
Ulster's rotten branch
Leader
Tuesday January 23, 2007
【質問】
インド・ブータン国境では,どんなテロ組織が活動しているのか?
【回答】
現在,インド北東部では,約30の分離独立派の武装組織が活動しています.
90年代末以降,インド軍に追われる形でULFAやボドランド民族民主戦線(NDFB)などの過激派組織はブータン南部の森林地帯に侵入し,基地を設置しました.
(ちなみにULFAは米政府からもテロ組織の指定を受けています)
それに伴い,インドからブータンに入るブータン人や国軍が過激派組織に襲われる事件が発生し,ブータンは03年12月,国軍に過激派掃討作戦を命じ,作戦は成功しました.
それにより過激派勢力は同国内から完全に掃討され,ブータン国内の治安は基本的に回復しています.
しかし04年9月にインド国境に近いサルパン県ゲレフーで爆弾テロが発生.本年1月にも,サムドゥルプ・ジョンカール県で陸軍治安部隊が過激派に襲撃される事件が発生していました.
ブータン南部地域には,国の重要な外貨獲得源「木材」の主要な供給地の大規模森林があります.
また,ネパール系住民が多く居住しており,他の地域とはことばが通じない「国内異国」的な地域といわれています.
【質問】
国際的テロ対策に関し,太平洋上の島国,ナウルが批判されているのは何故か?
【回答】
ウォールストリート・ジャーナルが2005/5/19伝えたところによれば,ナウルがパスポート取得を簡単にし過ぎているため,これがテロリストに利用されているという.
ナウルに住んでいない人に1000余りのパスポートが何の検証もなしに発給され,これはテロ犯罪者に偽装市民権を発給することと同じようなものだと伝えた.
アゼルバイジャン生まれのシモニヤンという男性は去年,ナウルのパスポートを獲得した後,中国の机州で滞在して米国人にテロを仕かけ逮捕された.
〔略〕
このような一連の事件を受けて,米政府は去年末,これから米国の銀行がナウルと取引することを禁止していくという経済制裁警告令を発表した.
(權基太 from 東亜日報,2005/5/20)
なぜナウルが,そんなことになったのか? これはナウルの経済難に起因するという.
豪州東北側の南太平洋海上に位置している,面積約20平方メートル,人口1万2000人余りの小さい島国,ナウルは,バチカン共国を除けば世界最小国となる.
肥料の材料となる燐酸塩が豊富で,93年,一人当たりの国民所得が1万ドルを超えたが,90年代の初めから,リン酸塩に目を付けた外国系の投資会社に採掘権の多くを奪われた上,今やそれもほとんど枯渇し,去年,一人当たりの所得は5000ドル台にまで落ち込んだ.
ナウルは経済難を解決するために,90年代半ばから,外国人投資家がナウルの銀行に秘密で送金したり,ペーパー・カンパニー(書類上だけに存在する会社)を簡単に造れるように制度を緩和した.
また,米国の前職検事が造ったタランスパシフィック・ディベロップメント(TDP)社と手を結んで,97年から誰でも「お金さえ出せば」パスポートを発給してきた.
パスポートの申請者が,香港など世界のいたるところに支社を置いているTDP側に約1万5000ドルを出せば,ナウルは4500ドルをTDP側に渡し,残りは所有する形を取っている.
(同)
この現状が改善される見込みはあるのか?
残念ながら混乱が続いており,その見込みは立っていない模様.
3月,ナウルのベルナルド・ドイヨゴ大統領は,米国による経済制裁を防ぐためにワシントンを秘密裏に訪問したが,到着直後に持病で死亡した.
それ以降,ナウルのナマドゥック財務長官が制度の改善を急いでいるが,政敵が「政権掌握に向けた布石」と非難しており,混乱が続いていると,ウォールストリート・ジャーナルは付け加えた.
(同)
ご町内の安全対策でも,空巣はセキュリティの最も弱い家を狙うというが,国際社会でもこういうところは同じだなあ.
自国のセキュリティ対策のみならず,他国のテロ対策まで,それもどんな小さな国のそれまで,漏れなく目を光らせなければならない時代が来たようだ.