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テロリズムFAQ目次


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 【質問】
 ダーイシュに対する空爆は,効果があるの?

 【回答】
 効果がある場合とない場合とがある模様.

 国枝昌樹(文中敬称略,他も同じ)は,「実は空爆は相当に効果を挙げている」として,次のように述べている.

------------
 たとえば,イスラム国が執拗に襲撃している,シリア北部のクルド人の町コバニ(アイン・アルアラブ)への空爆について,アメリカ軍関係者は2014年10月中旬までは,
「爆撃はしているが,状況は甘くない.
 陥落を遅らせることはできるが,やがて陥落してしまう」
と悲観的でした.
 しかし実際は持ちこたえ,翌11月には,イラクのクルド自治政府軍「ペシュメルガ」や,シリアの反体制は「自由シリア軍」が援軍に来るという,徐々に反転攻勢に出られる戦況にまで回復しています.
 これはやはり空爆の効果と言えるでしょう.

 イラクでは,有志連合軍の空爆と地上のイラク政府軍が連携して,イスラム国が占拠している油田の奪還に成功するケースもありました.
 シリアでもイスラム国が占拠する石油関連施設への空爆が行われています.
------------[2]

 高橋和夫も次のように述べ,空爆の効果を肯定している.

------------
 少なくとも空爆が始まったため,これ以上イスラム国が勢力を拡大することはないと思われます.
 散発的な空爆では効果がないという見方もありますが,モスル近郊のダムは奪還しました.
 バグダードやコバニなどの都市も陥落していません.
 ということは,空爆にそれなりに効果があったということです.
------------[3]

 一方,黒井文太郎は「効果のある・無しには地域差がある」として,以下のように述べている.

------------
「空爆が全く無意味なわけではありませんが,問題はその効き目が地域により,大きく異なることです」
------------
「効果が最も顕著に表れているのは,イラク北部でしょう.
 ここではクルド人の地上部隊が米軍と連携し,『イスラム国』を押し返している.
 彼らはフセイン統治時代から米軍と密接に結びつき,訓練されてきました」
 武器や戦車を使いこなせるだけでなく,敵の居場所を正確に把握し,空爆部隊に伝える技術も一流だという.
「その反面,同じイラクでも政府軍が戦う中部では,依然として『イスラム国』が優勢.
 クルド人に比べて士気が低いことに加え,イラク政府は隣国イランとの関係が深いため,米軍と手を結ぶのには抵抗があるものと思われます」
------------
「結局,いくら空爆を行っても,地上部隊との共同なしに成果を上げるのは難しいのです.
 専門用語でいうと,空爆はあくまで”航空支援”.
 軍事拠点の攻撃には有効ですが,市街地に入り込んだゲリラ兵に対しては,地上戦で立ち向かうほかない.
 一般市民の巻き添えを何より恐れるオバマ政権としては,絨毯爆撃をするわけにはいきませんからね」
------------[1]

 編者の私見では,ダグ・スタントン『ホース・ソルジャー』(早川書房,2010)のような方法論を,対ダーイシュ戦でも使っているのではないかと愚考する.
 これは,地上戦はあくまで地域住民の部隊に任せ,米軍は航空支援に徹するという方法である.
 アメリカは地上にはCIAまたは特殊部隊のみ派遣し,派遣要員をもって「航空支援の受付役」を演じさせる.
 空爆で叩けるだけ叩き,しかる後に現地部隊が進撃する.
 ターリバーン戦争ではこの方法により,ドスタム軍が進撃するのに大いに役立ったという.
 反面,頼りになる現地人地上部隊がいなければ,作戦も上手くいかないわけで,頼りにならないイラク軍しかいないスンニー派地域での苦戦は必至.
 上に引用した黒井の見方とも一致する.
 また,高橋も次のように述べている.

------------
 現在も少しはアメリカの地上部隊が入っているようですが,それは空爆を正確に行うためで,航空機の誘導や管制が主な任務です.
 現場の近くに行く必要があるため,被害も受けているようですが,大規模な損害は報告されていません.
------------[3]

 航空支援ではなく,戦略爆撃のほうになると,効果が出ていることは殆ど誰も否定していない.
 ダーイシュが占拠している石油関連施設への空爆により,ダーイシュの石油密売による収入は細っていると見られている.
 たとえばケリー米国務長官は,石油関連施設を多数破壊したと強調し、「道のりは短期間でも容易でもないが、重要な進捗(しんちょく)を得た」と説明したという.[4]
 パキスタンでターリバーン幹部を殺害しているのと同様に,ダーイシュ幹部の空爆による殺害も試みられており,少なくともその何名かは死傷している.[5]

 しかし同時に,「空爆だけではダーイシュは倒せない」という点でも,殆どの専門家の意見は一致している.
 米軍が地上部隊を投入するか,または,その代わりとなれるような,信頼するに足る友軍地上部隊の確保が,ダーイシュ壊滅作戦の成否を分けることになるかもしれない.

 【参考ページ】
[1]『週刊新潮』 2014/10/23号,p.131
[2]国枝昌樹『イスラム国の正体』(朝日新聞出版,2015),p.186-187
[3]高橋和夫『イスラム国の野望』(幻冬舎,2015),p.175
[4]http://www.asahi.com/articles/ASH1R66BCH1RUHBI038.html
[5]http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/01/islamic-us_n_5746404.html


 【質問】
 カティーフ・シーア派モスク自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2015.5.22,サウディアラビア東部州(Eastern Province)カティーフ(Qatif)のイスラム教シーア(Shiite)派のモスク(礼拝所)において,金曜礼拝中に発生した自爆テロ事件.[1][3][5][6]
 この爆発により,21人が死亡した.[1][2][3][5]
 また,負傷者は当初81人と伝えられたが,その後101人に増えた.[1]
 うち12人は重傷だという.[5]

 サウディアラビア全体ではスンニ派が多数を占めているが,カティーフの住民の大半はシーア派.[1]

 23日,米国のテロ情報監視団体「SITE」によれば,ダーイシュが犯行声明を出したという.[2]
 ダーイシュ支持者がツイッター上に,犯行への関与を認める同組織の声明を転載した.[3]
 声明にはテロの詳細や,実行犯とする人物の写真も盛り込まれていた.[3]
 それが本当だとすれば,ダーイシュが犯行声明を出したのは,サウディ同国内で起きた事件としては初めて.[1][2]
 ダーイシュはシーア派を「異端」とみなしており,これまでもテロ攻撃の標的とすることで,イラクやシリアで宗派間対立を煽ってきた.[4]
 また,ダーイシュはインターネットに掲載した声明で,シーア派をアラビア半島から追い出すまで同派の「暗黒の未来」を約束すると宣言している.[5]
 東部州では2014年11月にも,ダーイシュと関連するグループがシーア派住民7人を殺害する事件を起こしている.[5]

 同日,サウディ内務省は実行犯を特定したと発表.[1]
 それによれば,実行犯はサウディ国籍のサリ・ビン・アブドゥルラーマン・サリ・ギシャアミ(Salih bin Abdulrahman Salih al-Ghishaami).[1]
 サウディ国外にいるダーイシュ・メンバーから指示を受ける,サウディ国内のあるテロ組織に所属しているとして,治安当局が行方を追っていたという.[1]
 このテロ組織は4月その存在が確認され,これまでにこの組織のメンバーでいずれもサウディ国籍の26人が身柄を拘束されている.[1]

 【参考ページ】
[1] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150524-00000039-jij_afp-int
[2] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150523-00050117-yom-int
[3] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150523-35064920-cnn-int
[4] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20150523-00000024-jnn-int (リンク切れ)
[5] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150523-00000000-jij_afp-int
[6] http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150522-00000066-bloom_st-nb




 【質問】
 在カイロ・イタリア領事館爆破テロ事件とは?

 【回答】
 漫画家ヤマザキ・マリは2002年,イタリア人の文学研究家と,彼の留学先であるカイロにおいて結婚式を挙げた.[4]
 その挙式会場となったのが在カイロ・イタリア領事館である.[4]
 この建物はカルチャーセンターとして使われており,イタリアン・レストランも併設されている.[4]
 イタリア領事館のあるガラー大通りは,上に「10月6日高架橋」が通っている幹線で,政府系機関や政府系新聞社,由緒ある外国人学校などが並び,外務省も付近にある.[6]
 近くにはタハリール広場や考古学博物館があり,人通りの多い地域であるという.[3]

 2015.7.11,そのイタリア領事館がテロに遭った.
 同日午前6時半,建物前で爆発が起こった.
 目撃者によると,領事館前に止めてあった自動車が爆発したという.[3][7]
 半トンの爆薬が使われ,周囲の建物の正面部分が大きく破壊され[1][2],壁が崩れ落ちた.[3]
 水道管も破損し,周辺は冠水した.[3]

  爆発時は領事館は閉館していた時間帯だった[3][7]ため,2名が死亡し,数十名が負傷した.[1]

 シナイ半島で活動しているイスラーム過激派が,twitter上にて犯行声明を発表した.[1][5]
 このグループはダーイシュと同盟している「アンサール・バイト・アル・マクディス(ABM)」の支部とされている.[1]
 ABMは2014年11月に,ダーイシュに忠誠を誓って「イスラム国シナイ州」を名乗り始めた組織.[4]

 2015.9.26夜間,エジプト治安警察はアパートを急襲,長時間に渡る射撃戦の末,テロリスト9名が殺害された.[1]
 エジプト内務省の発表によると,彼らはこの事件の他,同年8月20日にカイロ郊外のシュブラ・エル・ケイマにあるエジプトの国家治安局の建物を攻撃して,数十名の負傷者を出した事件の犯人でもあるという.[1]
 警察の公式報告書によれば,この9名は,犠牲祭イード・アル=アドハーの祭でもテロ活動を実行する計画であり,少なくとも3名の死体は,すぐに使用できる状態の爆発物をとりつけたベルトを装着していたという.[1]
 また,同アパートからは多数の自動小銃,弾薬,爆発物,手榴弾,運転許可証のない自動車が発見されたという.[1]

 池内恵はこのテロについて,

------------
 7月1日には「イスラーム国シナイ州」の勢力がシナイ半島北部シャイフ・ズワイドを半日ほど制圧した.
 エジプト軍が空爆を行って町の外に追い散らし,「イスラーム国シナイ州」の人員に大きな損害を与えたとされるが,それに対して「イスラーム国シナイ州」はカイロの中心部で大規模な爆破を行い,勢力を誇示したものと考えられる.
------------

との見解を述べている.[5]

 【参考ページ】
[1] http://albore.hatenablog.com/entry/2015/09/27/083914
[2] http://www.sankei.com/world/news/150711/wor1507110028-n1.html
[3] http://www.asahi.com/articles/ASH7C5GB5H7CUHBI01Z.html
[4] http://blog.livedoor.jp/dokomademoislam/archives/36735985.html
[5] http://www.fsight.jp/articles/-/40247
[6] http://www.fsight.jp/articles/-/40243
[7] http://www.afpbb.com/articles/-/3054245

発生後まもなくの現場からの中継映像


 【質問】
 カーン・バニ・サアド自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2015.7.17,バグダード北方20kmにある街,カーンバニサード(Khan Bani Saad)の野外市場で発生した自爆テロ事件.[1][2][3]

 地元警官2人の話によると,同日夜,トラックで現れた男が,ラマダン(断食月)明けを祝って氷を安売りすると宣伝した.[2]
 すでに日没後だったが気温は35℃前後あり,数百人の買い物客らがトラックの周りに集まった.[2]
 トラックには氷が積んであるのが見えたが,その下に爆発物が仕掛けられていたという.[2]
 ツィッター上にて行われたダーイシュの犯行声明[2][11]によれば,自爆攻撃に使われた自動車には約3トンの爆発物が積まれていたという.[1][3][5][6][7][10]
 この犯行声明は,
「われわれの兄弟,アブ・ルガイヤ・アンサリ(Abu Ruqayya al-Ansari)が,約3トンの爆発物を積んだ車両でラフィダ(Rafidha)民兵の集会を攻撃した」
と述べられている.[9]
 ラフィダとはISがシーア派イスラム教徒を軽蔑的に呼ぶ名称.[9]
 爆発により,同市中央部アル・カーン(Al-Khan)地区の大通りには直径約5メートル,深さ約2メートルの穴が開いた.[1]
 また,爆発で周囲の建物が倒壊して多くの人が下敷きとなったほか,多数の車や店舗が炎上した.[3][4]

 市当局の幹部がAFPに語ったところによると,少なくとも90人が死亡,120人が負傷し,17~20人が行方不明.[1]
 また,ディヤラ州知事によると,18日までに死者は120人,負傷者は140人に上っていて,死者の数はさらに増える恐れがあるとされた.[2]
 ダーイシュによる一度の爆弾テロとしては,過去最悪の規模.[5][6] 

 この日はシーア派にとっては,断食月「ラマダン」の終わりを祝う「イード・アル・フィトル」(Eid al-Fitr)」を迎える前日.[1]
(スンニーにとっては当日)[1]
 イード・アル・フィトルの数日前になると,市場は食料や衣服を買い求める家族連れでにぎわいをみせるという.[1][3][8]

 犯行声明の中でダーイシュは,シーア派を「正しい信仰を拒絶する者たち」と非難.[3]
 テロは,政府軍や政府に協力するシーア派民兵などがイラク北部で進めている軍事作戦に対する報復だと主張した.[3][4][5][6][7]

 新たなテロを防ぐためディヤラ州政府は,州内の公園やすべての集客施設を閉鎖するよう命じた.[10]

 【参考ページ】
[1] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150719-00000003-jij_afp-int
[2] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150719-35067584-cnn-int
[3] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150719-00000057-san-int
[4] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20150718-00000019-ann-int
[5] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20150718-00000796-fnn-int
[6] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20150718-00000796-fnn-int
[7] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20150718-00000013-jnn-int
[8] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150718-00050037-yom-int
[9] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150718-00000013-jij_afp-int
[10] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150718-00000022-asahi-int
[11] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150718-35067571-cnn-int


 【質問】
 アンカラ爆破テロ事件とは?

 【回答】
 イスメット(56)はトルコ人のアニメーターである.
 2015.10.10,彼は首都アンカラにて,デモに参加していた.
 クルド人の政党「人民民主党」やトルコ人左派グループによる,再燃しているトルコ人とクルド人の反体制勢力の衝突を終わらせるよう政府へ求める集会だった.[1][2]
 彼らはトルコ各地から集まって,アンカラ駅の駅前で,手をつないで踊ったりスローガンを唱えたりしていた.[2]

 そのときである.
 その集団からおよそ50m離れたところで,2回の爆発が立て続けに起こった.
 最初の爆発は,駅前の信号機のところで起こり,「ボン」という爆発音とともに火柱があがり,イスメットらは衝撃でよろめいた.[3]
 この爆発でパニックになり,多くの人々が逃げ惑う中,二度目の爆発が起きた.[2][3]
 数秒後,やや離れた場所での爆発.[3]
 文字通りの血の雨が降った.[3]
 時間差爆破は,テロでは一つの典型的なものである.

 イスメットが我に返ると,血まみれの人たちが倒れていた.[3]
 最初の爆発で吹き飛んできたとみられる犠牲者の体の一部も転がっていた.[3]
 あたりには血のにおいが漂っていた.[3]
 彼は,近くにいる人を助けようとしたが,その人の手足は吹き飛ばされていた.[2]
 彼は混乱状態の中手探りで,生存者がいないか,倒れている人たちを次々と確かめた.[2]
 そのとき彼は,妻子のことを思い出した.
 彼は一心不乱に自分の妻と子供を探しまわった…[2]

 デモ参加者たちは,デモで使っていた旗や横断幕を使って,ケガの治療にあたったり,けが人を運搬したりした.[2]
 一方,警察は,警察は一般人や報道陣を爆発現場から隔離した.
 警察はデモを解散させ,バリケードを築いて,爆発現場に近づこうとした報道陣を阻止した.[2]
 それは救急車の往来の妨げとなった.[2]
 複数の生存者はハフポストUS版に,けが人を介抱していた人々に警察が催涙スプレーをかけていたと証言している.[2]
 トルコ当局は報道陣に対して,爆発した瞬間,陰惨な血まみれの爆発現場,あるいは「パニックを引き起こすような画像」などを掲載しないよう報道管制を敷いた..[2]
 政府報道官は報道機関に,要請に応じない場合は「完全な報道管制」を敷くことになると警告した.[2]
 トルコ国内では10日朝からTwitterやFacebookといったSNSが使用できない状態となった.[2][4]
 当局がウェブサイトへのアクセスを遮断したかどうかは明らかではないが,トルコ人はこれまでもテロ攻撃や政府のスキャンダルなどが発生した時,頻繁にネット規制を受けている.[2][4]

 ムエジンオール保健相は,このテロで86人が死亡,186人が負傷したと述べた.[3][4]
 死者は96人に達するとの報道もある.[2]

 おりしも,トルコ政府がシリアのダーイシュ掃討に参戦することを表明し,アメリカ主導の有志連合による空爆に参加し,アメリカ空軍にトルコの空軍基地を提供した直後の事件である.[2]
 犯行声明は出ていないが,政府はダーイシュとPKKの関与を疑い,捜査を続けている.[3]
 アフメト・ダウトオール首相は記者会見において,自爆テロ犯が実行したという「有力な手がかり」があったと述べ,両者の犯行の可能性を示唆した.[2]

 幸いなことに,イスメットの妻子は無事が確認されたという.[2]

 【参考ページ】
[1] http://www.j-cast.com/2015/10/11247582.html
[2] http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/11/ankara-turkey-bomb_n_8275588.html
[3] http://www.asahi.com/articles/ASHBD7RQ5HBDUHBI01H.html
[4] http://jp.sputniknews.com/incidents/20151010/1018097.html


 【質問】
 メトロジェット9268便爆破テロ事件とは?

 【回答】
 「メトロジェット」ことロシアのコガリムアビア航空[2] Авиакомпания Когалымавиа 9268便が,2015/10/31午前,エジプト東部シャルム・エル・シェイクを離陸後間もなく消息を絶ち,シナイ半島中部に墜落した事件.[1][6][8][9]
 乗客乗員224人が全員死亡.[1][8][9]
 ダーイシュの関連組織「イスラーム国・シナイ州」が犯行声明を出し,同機の荷物などに爆発物が仕掛けられた可能性が高いとされている.[1][8]

*     *     *

 テロには未だ客観定義がない.
 大雑把には「暴力的な非合法活動による政治運動」とされているが,しばしば恣意的に「テロ」という決め付けが行われることもある.
 例えば中国の反テロ法は,当局によって極めて恣意的な運用が行われることが懸念されている.[3][4][5]

 一方,その逆の例もある.
 以下は,テロとの見方が高まったにもかかわらず,当局が何故か過度に慎重になったという例である.

 2015/10/31 05:51(日本時間12:51),エジプト東部,シャルム・エル・シェイク国際空港から,一機の旅客機が飛び立った.[6][8][9][10][12][13]
 ロシア「コガリムアビア航空」のエアバスA321-200型旅客機.[6][8][13]
 目的地はサンクトペテルブルクで,乗客の大半はロシア人だった.[6][8][9][12]

 シャルム・エル・シェイクは,紅海に面したシナイ半島南部にあるリゾート地.[7]
 ロシア人に人気の観光地で,2011年のムバラク政権崩壊後も,外国人客が大幅に減る中,ロシアからの客は堅調だった.[7]
 人気の理由は,
「寒いロシアから直行便でわずか数時間で来られ,ビザもいらない」
「全て込みで数万円の格安ツアーが出回り,若者や家族連れも参加しやすい」
ことなど.[7]
 現地の観光会社や土産物店の看板にも,ロシア語表記が目立っていた.[7]

 ところが,ロシア機は離陸してから23分後,突如としてレーダーから消えた.[8][10]
 墜落地点はシナイ半島中部アルクンティラとアルカシーマの間で,半島北部の町アリーシュから約100km南の山岳地帯.[8][9]
 機体は真っ二つに折れており,乗員乗客224人(乗客217人,乗員7人)は全員死亡していた.[8][9][12][13]

墜落機の航跡

墜落機の残骸
faq160123rs.jpg
faq160123rs2.jpg
faq160123rs3.jpg

(どちらもこちらより引用)

 その日のうちに,ダーイシュのシンパ組織「イスラーム国・シナイ州」(自称)が,「ロシア機を撃ち落とした」とする声明をインターネット上に発表.[8]
 これまでのダーイシュの犯行声明と同じ書式を採っており,「イスラームの地上にも空にも,ロシア人の安住の場所はない」などと書いてあった.[8]
 ダーイシュは,9月末にシリア空爆を始めたロシアに対し,10月13日にアブ・ムハンマド・アドナニIS広報担当の音声メッセージとしてジハード宣言を出し,世界のイスラーム教徒に,「ロシアと米国に対する聖戦を行う」よう求めていた.[18]

「イスラーム国シナイ州」が出したと思われる犯行声明
こちらより引用)

 一方,エジプト当局は,「旅客機が撃墜された兆候はない」と発表.[6]
「墜落前に機長から緊急着陸を求める通信があった」
という,機体の故障を疑わせるコメントも出た.[18]
 エジプト内務省は3日,「(同機の墜落が)テロだったことを示す根拠はない」との判断から,シャルム・エル・シェイクの空港や市内の警備の強化は行っていないと説明した.[12]
 その後の調査で,同機は事故前に急に300km/h以上減速し,高度を1500m以上下げたことが判明.[10]
 墜落機は1997年製造の古い機体であり,また,副操縦士が出発前に「機体の状態が良好でない」と述べていたことから,空中で何らかの原因で発火したと見られ,事故である可能性が考えられた.[10]
 コガリムアビアはチュメニ州のハンシ・マンシ自治管区(石油原産地で豊かな地域.コガリムは自治管区の主要都市)に拠点を持つ地方の航空会社であって,片田舎の航空会社の整備状態など推して知るべし.[17]
 加えて当該飛行機には,ミドル・イースタン航空に属していた2001.11.16,カイロ国際空港で「しりもち事故」を起こし,修理をした過去があった.[17]
 事故車ならぬ事故機.

 さらに,エジプトとロシアの両当局は,31,000フィートの巡航高度を飛行する航空機を攻撃する能力はダーイシュにはないと,否定的な見方を示した.[11][18]


 だとすれば,ダーイシュの犯行声明は,事故に便乗したプロパガンダに過ぎないことになる.

 犯行声明が事件の詳細について触れていないことも,その信憑性を疑わせた.[13]
 それどころか,犯行声明では,
「我々がロシア機を墜落させた方法を示す義務はない」
「墜落が我々の仕業ではないとすれば,どうして墜落したか証明しろ」
などと,非常に頭の悪い主張をしていたので,ますます疑われることに.[14]

 ここまでは,まあ,ロシアの判断も合理的と言えなくもない.

 最初に公式に爆弾テロ説を出してきたのは英国である.
 英首相官邸は,
「まだ捜査は続いており,ロシア機の墜落原因について断定はできない」
としながらも,
「より多くの情報が明るみに出る中で,同機は爆発物によって墜落した可能性があるとの懸念が強まった」
と発表.[12]

 次いで米CNNテレビも3日,米政府当局者の話として,同機が墜落前に空中で強い熱を発するのを米軍事衛星が探知していたと報じた.[17][18]
 CNNによると,米情報当局内では,ミサイルによる撃墜を完全に否定する分析が出されているが,熱源の探知は,空中爆発など飛行中に重大な異変があったことを示したという..[17]
 4日には,やはりCNNに対してアメリカの当局者が,ダーイシュかその系列組織によって爆弾を仕掛けられたとの見方を強めていることを明らかにした.[12]
 その当局者は,まだ米情報機関が正式な結論を出すには至っていないと強調した上で,これまでに収集した情報を分析した結果,ダーイシュかその系列組織が同機に仕掛けた爆弾が爆発した可能性が最も高いことが分かったといい,
「同機の荷物などに爆発物が仕掛けられたとの確信がある」
と説明.[12]
 墜落前に収集された情報と以後の情報を遡って分析した結果,
「シナイ半島で注目すべき動きがあったことが分かった」
とした.[12]
 別の米当局者は,
「この空港は警備が手薄なことで有名だ」
「誰かが空港で手助けしたことをうかがわせる情報がある」
と話し,空港で何者かが同機に爆弾を仕掛ける手助けをした可能性を匂わせた.[12]
 シャルム・エル・シェイク空港では,爆発物探知装置やX線検知装置が老朽化し,電気代を節約するため装置の電源が抜かれていたり,職員が検査中におしゃべりに夢中になっていたりする等,杜撰な警備実態が指摘されている.[20]
 ダーイシュの関与については,犯行声明とは別に,組織内で交わされたやり取りを監視した結果などから,同組織絡みの犯行と判断したという.[12][16]
 これらが本当ならダーイシュお得意の自爆テロではなく,より古典的な爆弾テロだったということになる.

 なぜテロ認定において英米が先行したのか?
 それはどうやら犯人たちの中に英国人がいたかららしい.
 英紙は8日,墜落した直後に墜落を祝う過激派メンバーたちの会話が傍受されており,その中にイギリス人のものとみられる声も含まれていたと報道.[10]
 記事によれば,情報機関関係者が「ロンドンやイギリス中部のバーミンガムのアクセントの声が含まれていた」と述べたという.[10]

 エジプトも,爆弾テロ説のほうに傾く.
 8日,エジプトの調査委員会の委員が,ボイスレコーダーに記録されていた「雑音」が「爆発物のものだと90%確信している」と話していることが判明.[15]
 これはロイター通信がエジプトの調査委員会の委員の話として伝えたもので,墜落した旅客機のボイスレコーダーの最後に記録されていた「雑音」について,分析などの結果から
「爆発物のものであると我々は90%の確信を持っている」
と述べたという.[15]
 上述した機長との交信については,「墜落前の機長との交信には異常はなかった」と訂正があった.[18]

 欧州の主要航空会社は,シャルム・エル・シェイクとの航空便の飛行を停止.[16]
 とうとうロシアも,連邦保安局(FSB)のボルトニコフ長官が6日,プーチン大統領が開いた安全保障会議に出席した後,
「ロシア機墜落の原因が解明されるまで,ロシアとエジプトを結ぶ航空便の運航を中止するべきだ」
という考えを表明,プーチンも直ちにこの方針に同意した.[16][17]

 だが,まだ「これはテロである」とは,ロシアはなかなか言わない.
 ペスコフ大統領報道官は7日,「墜落がテロだったと考えているわけではない」と説明し,安全が確保されれば運航は再開されるとした.[17]
 それどころか5日には,プーチンはキャメロン英首相と電話会談し,「公式調査で原因を特定すべきだ」と述べ,爆発物による可能性を公言した英国に不満を表明したくらいである.[17]

 これは何故なのか?
 佐藤優によれば,プーチンもこれはテロだと認識しているが,本件をロシアの国益増進のために最大限に利用することを考えているのだという.[17]
 国際調査団によって墜落の原因が究明される過程で,ロシアがテロリズムの犠牲者であることを最大限に強調し,現在,シリアでロシアが行っている軍事作戦が不可避であるとの認識を国際社会(特にヨーロッパ諸国)に抱かせることを狙っている.[17]
 民間機に対する爆弾テロに関しては,国際的な関心が高い.[17]
 そこで国際機関による真相究明に時間をかけ,本件のニュース性を持続させることがロシアにとって有利であるとプーチン大統領は考えているのであろう,と佐藤は推測した.[17]

 しかし実際には,その後のパリ同時多発テロの発生で,こちらの事件のほうは霞んでしまったかのように見える.
 国際世論の同情を買う暇も無く,ただ忘れ去られてしまった.
 「策士,策に溺れ」たようだ.

 【参考ページ】
[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Metrojet_Flight_9268
[2]http://www.metrojet.ru/our_history
[3]http://www.mag2.com/p/news/135999
[4]http://www.bbc.com/japanese/35188103
[5]https://jcvisa.info/chinese-antiterror-law
[6]http://www.sankei.com/world/news/151031/wor1510310042-n1.html
[7]http://www.asahi.com/articles/ASHC37W0LHC3UHBI022.html
[8]http://www.asahi.com/articles/ASHB05RKKHB0UHBI01W.html
[9]http://www.cnn.co.jp/world/35072812.html
[10]http://matome.naver.jp/odai/2144669009336431901
[11]http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/151103/cpd1511030500005-n1.htm
[12]http://www.cnn.co.jp/world/35072991.html
[13]http://www.afpbb.com/articles/-/3065477
[14]http://jp.wsj.com/articles/SB12055383950015144394104581336251422708160
[15]http://www.news24.jp/articles/2015/11/09/10314353.html
[16]http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5585
[17]http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46422
[18]http://bylines.news.yahoo.co.jp/kawakamiyasunori/20151105-00051153/
[19]http://www.bbc.com/japanese/34695879
[20]http://www.newsweekjapan.jp/kimura/2015/11/post-3_1.php

【ぐんじさんぎょう】,2016/01/25 20:00
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 【質問】
 ベイルート連続自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2015.11.12,ベイルート近郊の住宅地ダーヒヤにて発生した,自爆車輌による2件の自爆テロ事件.
 死者は少なくとも43人,負傷者240人以上.
 シリア内戦においてヒズボラと敵対しているダーイシュが,事件後インターネット上にて犯行声明.

   *   *   *

 1983/4/18午後1時,ベイルートのアメリカ大使館に1台のワゴン車が突入,玄関ドアを突き破って大爆発を起こした.
 アメリカ人大使館職員17人を含む63人が死亡,120人が負傷した,いわゆる「在ベイルート・アメリカ大使館爆破テロ事件」.
 これが自爆車輌を利用した初の自爆テロとされており,この犯行を行ったと疑われているのがヒズボラである.

 ヒズボラはシーア派の過激派テロ組織.
 もちろんイランの支援を受けている.
 レバノン紛争最中の1982年に誕生し,2000年にイスラエル軍が南部レバノンから撤収するや,代わって同地に勢力を伸ばした.
 今では同地を支配下に置き,イスラエルの侵攻に備えて同地を要塞化している.
 また,東部やベイルート近郊にも,実効支配地域を持っている.

 ダーヒヤは,そんな実効支配地域の一つである.[1]
 高層リゾート・マンションが立ち並ぶベイルート中心部に対し,そこから僅か2kmの距離にあるスラム街.[1]
 住民の大多数はシーア派教徒やパレスチナ難民であり,そして近年では,イラクやシリアからの難民も増加中.[1]

 ヒズボラはこの地を,飴と鞭で支配する.
 ヒズボラは,ベイルートの繁栄の陰で,低開発と行政の麻痺に苦しんできたダーヒヤの住民に対し,過去30年以上にわたって様々な社会サービスを提供してきた.[1]
 そのサービスは,医療,福祉,教育,社会開発,雇用対策,環境保護,治安維持,交通整理,戦災復興,報道・出版など,ありとあらゆる分野におよぶ.[1][2]
 その代わり,路上では黒色の軍服を着たヒズボラの治安要員が,人びとの往来に目を光らせる.[1]
 ヒズボラの本部があり,林立するアパート群には幹部たちの住処が点在している.[1]
「ダーヒヤは『よそ者』が気軽に入れる場所ではない」[1]
と,末近浩太(中東・イスラーム研究者)は述べている.

 そのため,ダーヒヤは「ヒズボラの牙城」と呼ばれ,それにゆえに,過去幾たびも反シーア派組織のテロを受けてきた.[1][3]

●2013年7月9日 ビール・アブドでの爆弾テロ(負傷者53人),「自由シリア軍」の一派を名乗るグループによる犯行声明[1]

●2013年8月15日 ルワイスでの爆弾テロ(死者21人,負傷者336人),「信徒たちの母アイーシャ大隊」による犯行声明[1]

●2013年11月19日 ビール・ハサンのイラン・イスラーム共和国大使館近くでの爆弾テロ(死者23人,負傷者146人),「アブドゥッラー・アッザーム旅団(アル=カーイダ系)」による犯行声明[1]

●2014年1月2日 ハーラ・フライクの路上での爆弾テロ(死者6人,負傷者66人),犯行声明なし[1]

●2014年1月21日 ハーラ・フライクの路上での爆弾テロ(死者4人,負傷者46人),「ヌスラ戦線(アル=カーイダ系)」による犯行声明[1]

●2014年2月19日 ビール・ハサンのイラン文化センターでの2度の爆弾テロ(死者5人,負傷者160人以上),「アブドゥッラー・アッザーム旅団(アル=カーイダ系)」による犯行声明[1]

●2014年6月23日 タユーナのカフェでの爆弾テロ(負傷者15人以上),犯行声明なし[1]

http://www.lb.emb-japan.go.jp/1.pdf
近年発生した主なテロ事件(ベイルート市,郊外)|在レバノン日本国大使館

 テロのたび,ヒズボラは警備を強化.[1]
 たとえば2014年1月の爆弾テロ事件の直後には,時限型の車載爆弾への対応策として,住民以外の車の路上駐車を防止するためのフェンスが主要道路に敷設.[1]
 また,何カ所もの検問所が設けられ,ヒズボラの治安要員がダーヒヤに出入りする車を念入りにチェックした.[1]
 これまで上記リストの何倍ものテロを,事前に防いできただろうことは,想像に難くない.

 けれども,テロは100回挑んで1回でも成功し,マスコミの注目を浴びれば,それで成功である.
 ゆえにチャレンジャーが絶えない.
 今度のチャレンジャーはダーイシュ.
 シリア内戦において,アサド政権を支援するヒズボラと戦っている組織である.

 2015年11月12日夕方,ダーヒヤの一角,ブルジュ・バラージュナの青空市場で1人の男が自爆.[1][5]
 買い物客や家路を急ぐ人であふれかえる時刻を狙ってのことである.[1]
 治安関係者によれば,自爆犯はシーア派モスクの外で,爆弾を仕込んだチョッキを爆発させたという.[3]
 次いでその約5分後,現場から約150メートル離れた場所で,もう1人の男が自爆.[1]
 負傷者の救助のために駆けつけた住民を狙っての犯行だった.[1]
 治安関係者によれば,2人目は近くのパン屋店内で自爆したという.[3]

 現場周辺の4つのビルが損壊し,死者は少なくとも43人,負傷者240人以上.[1][4][6]

 その日のうちに犯行声明が出た.
 tweetされたもので,名義は「イスラーム国・レバノン」.
 今回の攻撃の目的がシーア派への復讐であるとし,「ラーフィダであるヒズブ・アーラートの拠点」でそれが実行された,と述べられていた.[1]
 ラーフィダは,シーア派の蔑称.[1]
 「ヒズブ・アーラート」は,ヒズボラのことを指す.[1]
 ダーイシュなどの過激派は,ヒズボラの名称にアッラーが含まれていることを嫌い,アーラートに置き換えることが多いという.[1]
 そして,組織のメンバーが爆発物を積んだバイクを爆発させたと主張.
 最後に,自爆犯たちは「カリフの兵士,殉教の騎士」と称えられ,今後も同様の攻撃が続くとの脅迫で結ばれていた.[1]

 ちなみにダーイシュは,2014年にレバノンで起きた自動車爆弾事件のときも,犯行を認める声明を出している.[4]

 11/16,レバノンのマシュヌク同国内相は,容疑者9人を逮捕したと発表.[4]
 7人はシリア人,2人はレバノン人だった.[4]
 同国の治安関係者によれば,自爆未遂の疑いで拘束された男は調べに対し,ダーイシュにスカウトされたと供述しているといい,同国情報機関は,ダーイシュ指導部がベイルートに自爆テロ集団を送り込んだとの見方を強めている.[4]

 どこを見ても救いのないこの事件の中で,ただ一つ,我々は一人の英雄を見出すことができる.
 彼の名前はアデル・ターモス(トルモス) Adel Termos.[7][8]
 最初の爆発が起きた時,彼は娘を連れて現場付近を歩いていた.[7][8]
 そのとき彼は,2人目の実行犯が自爆しようとしているところを目撃した.[7][8]
 実行犯はモスクへ突進していたという.[7]
 ターモスはとっさに男に飛びかかり,2人はその場で爆死.[3][7][8]
 彼は自分の命と引き換えに,大勢の命を救ったのだった.  

 だがしかし,彼の名は殆ど知られることはない.
 翌日,パリでテロが起こり,世界中の報道はそちらに集中したからだ.
 大勢の命を救った男の話よりも,大勢の命が失われたパリの話のほうが,視聴率が稼げるとマスコミが判断したのかどうか,編者は寡聞にして知らない.

 【参考ページ】
[1] http://synodos.jp/international/15615
[2]http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/11/43.php
[3]http://www.bbc.com/japanese/34805824
[4]http://www.cnn.co.jp/world/35073592.html
[5]http://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-hezbollah-blast-idJPKCN0T203I20151113
[6]http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015111300096&g=int
[7]http://togetter.com/li/901819
[8]http://www.theguardian.com/world/2015/nov/17/adel-termos-martyr-father-became-saviour-beirut-bombings



ターモスの遺影を持つ,その娘
(こちらより引用)

 【質問】
 パリ同時多発テロ事件って何?

 【回答】
 2015.11.13,パリ市街と郊外のサン=ドニ地区の商業施設において,ダーイシュの戦闘員と見られる複数グループによって起こされた銃撃および爆破テロ事件.
 死者130名,負傷者300名以上.
 事件後の11.18,主犯格とみられる男がサン=ドニのアパートにおいて,警察との銃撃戦の末,射殺されている.

***

 テロ抑止のキモの一つは,「テロリストの利益になることはしない」ことである.

 先にシャルリー・エブド襲撃事件に遭ったパリでは,治安警戒レベルは引き上げられていたはずである.
 にもかかわらず,再びテロは起こった.

 まず,2015.11.13 21:20,パリ郊外のサッカー・スタジアム「スタッド・ド・フランス」で爆発が起こった.
 当時,同スタジアムではフランス対ドイツ戦が行われており,フランスのオランド大統領とドイツのシュタインマイアー外務大臣も観戦していた.
 そこに,同スタジアムの入り口付近で爆弾とみられる爆発音が響いた.
 自爆テロ.
 市民1名,テロ実行犯1名が死亡した.

 次いで,21:25,パリ市10区にあるカンボジア料理店「ル・プティ・カンボージュ」とバー「ル・カリオン・バー」の付近で,武装グループが発砲.
 どちらも同地区の人気店だった.
 テロリストは最初,「ル・カリオン」の外から客に向かって発砲した後,「ル・プティ・カンボージュ」へ行き,客を射殺した.
 15名が死亡し,10名が重傷.
 うち,11名が「ル・プティ・カンボージュ」の客だった.

 21:30,「スタッド・ド・フランス」で2度目の爆発.
 テロ犯1人が死亡したが,幸い市民の犠牲者は無し.

 21:32,今度は19区のピザ店「ラ・カーザ・ノストラ」付近で,武装グループが発砲.
 最初に「カフェ・ボン・ビエール」の外で発砲し,ビザ店との間で5名を射殺した.
 他に8名が重傷.

 21:36,11区シャロンヌ通りの喫茶店「ラ・ベル・エキップ」付近で,武装グループが発砲.
 19名が死亡,9名が重傷した.
 隣の「スシ・マキ」でも被害が出た.

 21:40,11区ボルテール通りのレストラン「ル・コントワール・ボルテール」付近で自爆テロ.
 テロリストが同店テラス席に座り自爆した.
 客9人が負傷し,そのうち1名が重傷.

 21:40,バタクラン劇場へ武装した3人が発砲して押し入り,立て籠った.
 そのとき劇場では「イーグルス・オブ・デス・メタルのコンサートが行われていた.

 21:53,「スタッド・ド・フランス」近隣のファストフード店で,自爆テロ.
 テロ犯1名が死亡.

 11.14 00:20,特殊部隊であるBRI-BACおよび特別介入部隊(RAID)がバタクラン劇場に突入.
 テロリスト2名は自爆し,1名は射殺された.
 劇場の観客,少なくとも89人が死亡し,負傷者も多数.

 「おそ松くん」のイヤミでなくても,イヤミの一つも言いたくなるような執拗さである.

 事件の主犯はモロッコ系ベルギー人,アブデルハミド・アバウドと特定された.
 彼は元窃盗犯で,ダーイシュ内組織「預言者の剣」リーダー.
 パリ同時多発テロの実行犯には,彼が2010年に窃盗事件を起こした時の共犯者2名も含まれていた.
 11.18,彼はサン=ドニのアパートに潜伏しているのを発見され,警察特殊部隊に包囲された.
 銃撃戦の末,彼は射殺され,従妹が自爆.
 共にいた他の8人は逮捕されている.

 その後,ダーイシュが犯行声明を出したが,それを待つまでも無く,ダーイシュの犯行であることを疑う者は殆ど誰もいなかった.
 フランスが有志連合に加わっていることへの報復,というわけだ.

 …というわけで2016年2月現在,捜査は進んでいるようだが,例によって事件にかこつけて騒ぐ人々が出てきた.
「シェー! 難民の受け入れをただちに止めるべきザンス!」
ってな具合.
 仏の極右政党「国民戦線」なんて,そんな主張を選挙でやって,12/6の地域圏議会選挙の第1回投票で首位に立ったほど.

 だが,犯人達の内,難民に紛れてパリにやってきたのは,「スタッド・ド・フランス」で自爆したうちの一人と,そのスタジアムの近隣のファストフード店で自爆した一人だけ.
 殆どはベルギーなど欧州地元のアラブ系市民だったはずでは?
「移民も難民も同じザンス! とにかく難民は入れさせないザンス!」

 だが,難民を欧州が受け入れなければ,難民はシリア国内から逃げられないことになる.
 それで得をするのはダーイシュだ.
 支配地域に住民がいる限り,ダーイシュは彼らに税金をかけ,また,徴兵の対象とすることができる.
「知らないザンス! とにかく難民は入れさせないザンス!」
 あれ?
 もしかして「イヤミ」のキャラクター,案外正確にフランス人のキャラクターをトレースしていたりする?

 テロ抑止のキモの一つは,「テロリストの利益になることはしない」ことであるのだが…

 【参考ページ】
http://forbesjapan.com/articles/detail/10452
http://toyokeizai.net/articles/-/93588
http://gigazine.net/news/20151126-interview-paris-terror-attacks/
http://number.bunshun.jp/articles/-/824579
【コメント】『産経新聞』(11月17日)へのコメント「過剰反応こそテロの狙い」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/5/motofuji/image/antep.pdf
http://r13.jp/1849/1113pari_attack_isil_video/

【ぐんじさんぎょう】,2016/03/02 20:00
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 【質問】
 2016ブリュッセル連続爆破テロ事件とは?
Mi 2016. március 22-i brüsszeli terrortámadás?

 【回答】
 2016.3.22,ブリュッセル近郊のザベンテム Zaventem 国際空港及びマールベーク Maelbeek 駅において発生した爆弾テロ.[1]
 まず,朝のラッシュで混雑しているザベンテム空港出発ロビーにおいて,アメリカン航空のカウンターの近くで発砲があり,その直後に2度爆発が起きた.
 その1時間後,ブリュッセル中心部にある地下鉄マールベーク駅で爆発が起きた.
 自爆犯3人を含む35人が死亡,300人以上が負傷.このうち62人が重傷だった.

*     *     *

 テロ組織内部も格差社会である.
 その典型を,2016年のブリュッセル連続爆破テロ事件に見ることができる.

 2016.3.22 午前7:22.
 テロリスト3人がタクシーで,ブリュッセル近郊のザベンテム Zaventem 国際空港に到着した.[2]

 1人はイブラヒム・エル=バクラウィ Ibrahim El Bakraoui (29)
 2010年に銀行強盗で逮捕され,2014年まで服役していた男だ.
 彼は2014年,出国しないことを条件に釈放されていた.[3]
 2人目はナジム・ラーチラウィ Najim Laachraoui (24)
 彼は何をこじらせたのか知らないが,学業をドロップアウトして,2013年にシリアに渡り,2014年までダーイシュの刑務官を務めていた.
 帰国後,彼は潜在的テロリストとして当局からマークされていた.[4]
 3人目がモハメド・アブリニ Mohamed Abrini (33)
 シリアに渡る前は,窃盗犯で麻薬の売人.
 2015年11月のパリ襲撃事件にも関与したという.[5][6]

 要するに普通の社会でも底辺層の3人が,テロ実行役を担わされている図式である.
 間違っても,大学の宗教学部を出てイスラーム法学者となったような人物が,テロ実行部隊に加わるようなことは滅多にない.
 そういう人物は,テロ組織の上層部に鎮座して,下っ端を煽るだけ.
 テロ組織の中の「テロ貴族」だ.

 さらに,この3人の中にもヒエラルキーがある.
 最年長の一人は他の2人の支援役.[6]
 要するに,その2人が自爆スイッチを押すことを躊躇ったときに,遠隔操作で代わりに爆破する役だ.

 自爆テロリストというのは,最初から喜んで死ぬわけではない.
 テロ組織から洗脳されて自爆犯に仕立て上げられる.[7]
 したがって,教育程度が低くて洗脳され易い人間が自爆要員に選ばれるのは必然と言える.
 また,「そいつが死んでも組織はちっとも困らない」というのも,人選上の重要なポイントだ.
 そういう意味で,社会のクズや社会のはみだし者である2人は,自爆要員として都合のいい存在だった.

 どちらがスイッチを押したのかは知らないが,7:51,2人は自爆して死亡.[2]
 アブリニは逃走するが,4/10,逮捕された.[6]

 同じ図式は,マールベーク Maelbeek 駅での自爆でも当てはまる.
 自爆が起きたのは09:11.[2]
 20人以上が死亡した.

 自爆したのはカリド・エル=バクラウィ Khalid El Bakraoui (27)
 イブラヒム・エル=バクラウィの弟だ.
 2009年に銀行強盗や誘拐,2011年にカージャックなどでの逮捕歴あり.
 自爆犯に選ばれただけあって,兄と同じレベルの社会のクズだった.[8]

 その「支援」役がオサマ・クライェム Osama Krayem (24)
 スウェーデンへの移民.
 バクラウィ兄弟より年下だが,2014年からダーイシュの戦闘員となっており,欧州では最重要指名手配中だった.[9]
 5人の中では一番「ハクがついている」.
 つまり5人のヒエラルキーの中では最上位にあるので,彼も自爆要員とはならず,死なずに逮捕された.

 彼らは「死ねば天国に行く」と教えられている.
 しかし,このテロについて否定的な見解を持つイスラーム法学者も数多い.
 テロリスト寄りのムラーの云うことは信じて,そうでないイスラーム法学者の云うことは信じないというのであれば,単なる「ムラーへの個人崇拝」である.
 少なくとも,「イスラームの下の平等」という理念に反し,組織内格差がまかり通っているような連中の云うことは,信じないほうがいいと思うのだが…

 【参考ページ】
[1] http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror.asp?id=172
[2] http://www.nbcnews.com/storyline/brussels-attacks/brussels-attacks-timeline-events-belgian-capital-n544221
[3] http://www.nytimes.com/2016/03/25/world/europe/expanding-portraits-of-brussels-bombers-ibrahim-and-khalid-el-bakraoui.html?_r=0
[4] http://www.nytimes.com/2016/03/26/world/europe/najim-laachraoui-24-bomb-maker-for-paris-and-brussels-attacks.html
[5] https://www.washingtonpost.com/world/europe/belgium-confirms-arrest-of-man-in-the-hat-at-airport-bombing/2016/04/09/3c169278-fe85-11e5-886f-a037dba38301_story.html
[6] http://www.independent.co.uk/news/world/europe/paris-attacks-suspects-mohamed-abrini-arrested-in-belgium-a6975071.html
[7] http://www.amazon.co.jp/dp/4872902319
[8] http://www.telegraph.co.uk/news/2016/03/23/el-bakraoui-brothers-who-are-the-suicide-bombers-khalid-and-brah/
[9] http://www.independent.co.uk/news/world/europe/osama-krayem-swedish-jihadist-linked-to-brussels-bombings-charged-with-terrorist-murder-in-paris-a6993236.html

【ぐんじさんぎょう】,2016/08/09 20:00
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 【質問】
 2016年アデン自爆テロ事件とは?
Mi 2016-os Aden autó öngyilkos robbantások?

 【回答】
 2016.3.25,イエメン南部アデンの軍の検問所で起きた,3回に渡る自爆テロ事件.
 治安当局者によれば,民間人10人を含む22人が死亡したという.
 ダーイシュがネット上において犯行声明を出している.

*     *     *

 テロの動機については幾つかの説があるが,空軍を持たないテロ組織において,明らかに空爆代わりに自爆テロが使われている面がある.
フランスやトルコに対するダーイシュのテロは戦略爆撃,
イラクやシリアなどでのダーイシュのテロは地上航空支援
と言える.

 イエメンでは2015年から内戦状態にあった.
 アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領の勢力と,フーシ派,アル=カーイダ系武装勢力「アンサール・アル・シャリーア」による三つ巴の内戦.

 そこにどうやらダーイシュも絡もうとしているらしい.
 破綻している国があれば,テロリストはその国に拠点を作り易くなる.
 事実,ダーイシュは内戦により国家として破綻しているシリアに拠点を作り上げている.
 古代イスラーム帝国の壮大な版図復活を妄想しているダーイシュにしてみれば,イエメンにも版図を広げるチャンスに見えるのだろう.

 2015.3.20には,サヌアにある2カ所のモスクを狙った自爆テロが起き,140人以上が死亡.
 ダーイシュが犯行声明を出している.
 地元シンパによる一匹狼的テロなのか,ダーイシュが組織として動いたテロなのかは不明.

 そして2016.3.25,ダーイシュが犯行声明を出したテロが,イエメンでまたしても起こった.

 まず,アデン西郊のシャアブ Shaab 地区の検問所で爆発が起きた.
 検問所に近づいてきた男が自爆.
 この爆発で民間人を含む18人が死亡した.

 そこに救急車がやってきた.
 救助活動のためにやってきたかと思われたが,それもテロリストが乗っていた.
 爆弾を積んだその救急車は爆発.
 さらに4人が死んだ.

 次いで,近くにあるサウディアラビア主導の連合軍の基地が銃撃を受けた.
 サウディは大統領派を支援している.
 さらに,襲撃犯らは基地に向かって前進を試みたが,連合軍所属の攻撃ヘリコプターが周辺にいた襲撃犯らに向かって攻撃した.

 第3の爆発は,アデン中心部のマンスーラ Mansura 付近の検問所で起こった.
 自爆犯は爆弾を積んだ救急車に乗って突っ込んできた.

 ダーイシュ系メディア「Amaq」はネットで事件を報じ,
「ISの戦闘員らが3つの殉教作戦とアデンの連合軍基地への攻撃を開始した」
と述べた.
 事実上の犯行声明だ.
 ちなみにダーイシュは,同じ日にイラクのサッカー場で起きた自爆テロでも犯行声明を出している.

 テロの現場では,たとえ救急車であっても気を許してはいけないとは,なんとも嫌な世の中になったものである.

 【参考ページ】
http://ameblo.jp/azianokaze/entry-12144239169.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC20H0I_Q5A320C1EA2000/
http://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2016/03/26/deashgairakutoiemendezi-bao-terowoshi-xing-ji-50ren-si-wang-458675
http://www.sankei.com/world/news/160326/wor1603260011-n1.html
http://www.dailymail.co.uk/wires/afp/article-3509747/Triple-suicide-car-bombing-hits-Yemens-Aden-security-official.html
http://www.thejakartapost.com/news/2016/03/26/triple-suicide-bombing-yemeni-city-aden-kills-22.html

【ぐんじさんぎょう】,2016/09/04 20:00
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 【質問】
 イスカンダーリヤ自爆テロ事件って何?
 3行以上で教えて!
Mi Iskandariya öngyilkos merénylet?
Kérem, mondja meg a három vagy több sorban.

 【回答】
 2016.3.25,バグダードの南約40kmのイスカンダリーヤ Iskandariyah 近郊の村にあるサッカー場にて,地元チームの試合終了後に行われていた表彰式の最中,1人の男が自爆したテロ事件.
 アハメド・シャケル Ahmed Shaker ・イスカンダリーヤ市長を含む少なくとも30人が死亡し,65人以上が負傷.
 ダーイシュがソーシャルメディアを通じて犯行声明を出している.

*     *     *

 要人暗殺は,無差別大量殺戮と並んで,テロの戦術の一つだ.
 その二つが同時に達成可能なら,テロリストにとっては尚のこと都合がいい.

 2016.3.25,バグダードの南約40kmのイスカンダリーヤ Iskandariyah 近郊の村にあるサッカー場において,地域大会が行われていた.
 優勝チームが決まった後の午後19:00頃,トロフィー贈呈式が始まった.
 試合後の会場にはサポーターや当局者,治安要員がいた.
 アハメド・シャケル Ahmed Shaker 市長が選手にトロフィーなどを渡していると,ある男が人混みをすり抜け,人の輪の中に近付き,そして自爆した.

 市長は爆発で重傷を負い,病院に搬送されたが,搬送先で死亡.
 また,シャケル市長のボディーガード1人,治安部隊員少なくとも5人,その他少なくとも23人が死亡し,65人以上が負傷した.

 ダーイシュ(自称「イスラーム国」)がソーシャルメディアを通じて犯行声明を出し,実行犯とみられる男の写真を投稿した.
 頭に黒いスカーフをかぶり,右手の人さし指を立てた,10代に見える男の写真.
 「死ねば天国に行ける」などと言われて爆弾を装着させられたのだろう.
 ガキが若ければ若いほど,騙すのが簡単であることは,「ゴルスタ」の一件を見ても分かる通りだ.

 同地はスンニ派とシーア派が混在する場所で,当時,イラク軍がダーイシュ壊滅に向けた動きを見せたばかりだったという.

 【参考ページ】
http://www.afpbb.com/articles/-/3081758
http://ameblo.jp/azianokaze/entry-12144239169.html
https://qoly.jp/2016/03/26/suiside-bomber-killed-over-30-peoples-in-baghdad
http://news.biglobe.ne.jp/sports/0326/fot_160326_8053537444.html
http://www.aljazeera.com/news/2016/03/suicide-attack-kills-dozens-football-stadium-iraq-160325181900028.html
http://www.bbc.com/news/world-middle-east-35901358

【ぐんじさんぎょう】,2016/08/28 20:00
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 【質問】
 2016.4.4イラク広域同時多発テロ(仮称)について,3行以上で教えてください.

 【回答】
 2016.4.4にイラク各地で起きた,迫撃砲や自爆攻撃によるテロ.

 バグダード Baghdad では警察と軍の合同検問所を,同市北郊のミシャハダ Mishahada では,親政府派の民兵を標的とした自爆攻撃が発生.[1]
 検問所では,爆発物を身につけた男が自爆し[2],5人が死亡した.[3]

 同市西郊のアブグレイブ Abu Ghraib では,複数の家屋が迫撃砲による攻撃を受け,当局によると2人が死亡し,少なくとも7人が負傷したという.[1]

 南部ナシリヤ Nasiriyah 郊外ではレストランを標的とした自爆攻撃が発生した.[1][2]

 やはり南部の港湾都市バスラ Basra では,街路で自爆攻撃が起き,5人が死亡,10人が負傷した.[1][2][3]
 爆弾を積んだ車が爆発したという.[2][3]

 治安当局者や医療関係者によれば,合せて少なくとも22人が死亡,70人以上が負傷したという.[1]

 ダーイシュが犯行声明を出している.[1][2][3]
 イラクでは政府軍などが,北部のモスルを中心とするニナワ県をダーイシュから奪還する作戦を進めている[3]が,通常の戦闘と自爆テロとを併用する戦術は,ダーイシュの常套手段である…

 【参考ページ】
[1] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160405-00010006-afpbbnewsv-int
[2] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160405-00000722-fnn-int
[3] http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160405-00000013-nnn-int
[4] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160404-00000040-jij_afp-int ※[1]の記事の旧版

【ぐんじさんぎょう】,2016/04/13 20:00
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 【質問】
 2016年カズィアンテプ自爆テロ事件について3行以上で教えてください.

 【回答】
 2016.5.1 現地時間09:20,トルコ南部カズィアンテプ Gaziantep の街の県警本部前で起きた,自動車爆弾による自爆テロ事件.
 警官2人が死亡,警官18人と民間人4人が負傷した.
 「ダーイシュ」メンバーが容疑者として身元特定されている.

*     *     *

「フランス軍がまた攻めてきた!?」
 爆発音を聞いた時,そう思ったお年寄りもいたに違いない.
 なにしろカズィアンテプの街は第一次大戦直後,トルコ解体を狙う連合軍のうちのフランス軍によって包囲された経験があるからだ.
 そのときの住民の勇敢な戦いぶりに対し,トルコ大国民議会は1921.2.6,「戦士」を意味するガーズィ(Gazi)の称号を贈った.
 それまで アンテプ Antep という名前だったこの街は,以後,ガズィアンテプと呼ばれることとなった.
 その3日後には街は降伏したが,よく健闘したと言うべきだろう.

 しかし今度の攻撃はフランス軍によるものではなかった.
 それどころか異教徒の攻撃ですらなかった.
 …もっとも,「イスラーム過激原理主義者など,ただのイスラーム系カルト宗教に過ぎない,一緒にするな」と言われるかもしれないが.

 攻撃があったのは2016.5.1 現地時間09:20頃.
 街の中心部の県警本部前で,付近には県知事府など行政関連施設が集中している場所だった.
 その日はメーデーだったため,デモやテロに備えて同地域は封鎖中だった.
 そこに2台の車が封鎖柵を突破.
 車の運転手は治安部隊に対し,機関銃を発砲した.
 治安部隊はそれに応戦.
 1台目の車は逃げたが,2台目の車が爆発した.
 自爆.
 白煙が高く上がり,付近の建物のガラス窓が砕け散った.

 警察は,自爆した男イスマイル・ギュネシ İsmail Güneş の身元を特定.
 彼の自宅を捜索し,彼の父親の身柄を拘束した.
 ギュネシは「ダーイシュ」メンバー.
 1922年にこのガズィアンテプの街で生まれた人間だが,母親の死によって精神的に不安定となり,過激思想に傾倒していったらしい.
 関係者の1人は「われわれは容疑者とダーイシュのつながりを示す記録を入手している」と述べた.
 他にも,事件に関わったとして5人が拘束されたという.

 トルコでは4月以降,シリアのダーイシュ支配地域からロケット弾の越境着弾が相次ぎ,トルコ軍もダーイシュに対する越境砲撃を続けていた.
 カズィアンテプはシリアとの国境に近く,シリア難民も多い.

 ただ,フランス軍の包囲にもなかなか根を上げなかった街のことだ.
 これがテロ攻撃程度でどうにかなると思うのは,些か早計なようである.

 【参考ページ】
https://en.wikipedia.org/wiki/2016_Gaziantep_bombing
http://www.asahi.com/articles/ASJ515H8QJ51UHBI00N.html
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN0XT08G.html
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016050100160&g=int
http://www.sankei.com/world/news/160502/wor1605020002-n1.html
http://www.yomiuri.co.jp/world/20160501-OYT1T50068.html?from=ytop_ylist
http://www.news24.jp/articles/2016/03/21/10325269.html
http://www.yomiuri.co.jp/world/20160501-OYT1T50068.html?from=ytop_ylist
http://www.timeturk.com/gaziantep-emniyet-mudurlugu-onunde-patlama-2-sehit-22-yarali/haber-142409
http://www.aktuel.com.tr/gundem/2016/05/01/gaziantep-emniyet-mudurlugune-daes-saldirdi
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo.asp?infocode=2016C131
http://ai.2ch.sc/test/read.cgi/newsplus/1462105157/
https://en.wikipedia.org/wiki/Gaziantep

【ぐんじさんぎょう】,2016/06/05 20:00
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