c
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ
◆◆人工衛星 Műholdas
<◆宇宙兵器 Űrfegyver
<兵器FAQ目次
「VOR」◆(2012/10/31) ISSの軌道 米国衛星の破片と衝突の恐れから修正の可能性
【質問】
人工衛星の寿命は何によって決まるの?
【回答】
静止衛星の場合,静止衛星軌道は地球からかなり離れている.
だから大気による空気抵抗は受けない.
しかし,月の重力の影響を受けて軌道からずれてしまう.
その軌道のずれを修正するために,小さなロケットを噴かせる.
そのロケットの燃料切れが衛星の寿命のひとつ.
寿命の2つめは,太陽電池の劣化.
(テレビコマーシャルではエコなんとかいって,太陽電池に無限の寿命があるような錯覚させてるが,あれは大嘘)
太陽電池は紫外線を受けて半導体がダメになっていって発電量が減少する.
特に宇宙空間ではそれが激しい.
その寿命で数年程度しかもたない.
10年以上もたすには,かーなーりー余分に(現状でもあらかじめ余分に積んでるが)広い面積の太陽電池を積ますしかない.
すると重くなる,打ち上げ能力の限界に近づく,軌道修正するモーター(小ロケット)の燃料を食う.
・・・と果てしない.
軍事衛星の場合.これは多数打ち上げてやっと意味がある.
だから静止衛星のようにコストか掛かる衛星は向かない.
だから大気表層のすれすれ,ぎりぎり低空の高度で飛ばす.
ほとんど空気がないので,衛星として地球を周回できるが,わずかに空気抵抗があるため,太陽電池パネルを広げることができない.
だから電池を積む.原子力発電所のミニチュアを積むものもある.
この電池の寿命が衛星の寿命のその1.
太陽電池なくとも,やっぱり空気抵抗があるので,目的の軌道からずれたりして,数ヶ月とか数年とかで落ちる.
それが寿命のその2.
軍事衛星は,命短し,恋せよ乙女.
【質問】
攻殻機動隊2ndで最後に,弾道ミサイルを衛星ハッキングして落としますけど,現実的にハッキングも衛星墜落もできるとして,弾道ミサイルに追いつきますかね?
緻密な計算で片付けられることなのでしょうか?
【回答】
結局,軌道力学の問題だから,弾道ミサイルと衛星の軌道要素と加速能力と,最大到達速度によるとしか答えられない.
可能不可能で言えば可能.
まず第一に,墜落させた衛星が追いつけるかどうかではなく,そもそも最初にハッキングする際に追いつける位置にある衛星をハッキングするだろう.
ハッキングする以前の段階で,「ミサイルを撃墜できる絶好の位置にある」衛星を選定して,そいつをハッキング目標にするだろう.
候補が全くなかった場合はどうしようもないが.
▼ その上で,速度的に「追いつくか」という点になら,当然ながら可能だ.▲
単純な速度なら,静止衛星の場合秒速7.9km.低軌道なら8kmくらい.
たいていの弾道ミサイルよりも高速.
ただし全く同じコースを,後方から追いかけて追いつくのは不可.
弾道ミサイルと全く同じコースなら,そもそも衛星軌道にならない.
また,全く同じコースを描くには,全く同じ速度でないと不可能なので,その場合には追いつけなくて,一定間隔を空けたまま追いかけることになる.
従って,高い軌道から落ちてきて命中とか,斜め方向から接近して命中とかの形になる.
そういうランデブー技術というのは,宇宙開発の中で出てきている.
たとえば,軌道ステーションにスペースシャトルがたどり着いて荷物と人を渡せるのも,宇宙船同士がドッキングするのも,ランデブー技術があるから.
弾道弾のとる軌道と人工衛星の飛ぶ軌道については,未来のことでもあるし,そこらの描写から穴になったり,視聴者が思い戸惑っても仕方あるまいから,省けるところは省くと思われる.
どうしても知りたければ,JAXAあたりの広報担当に
「こういう筋で,ここまで作品できました.考証に是非ご協力賜りたい」
という形でお願いすると,ひょっとしたらヒントくらいはもらえるかもしれない.
アニメの中には考証協力を得たものもあり.
軍事板,2009/12/10(木)~12/11(金)
青文字:加筆改修部分
▼ 上記回答で
「単純な速度なら,静止衛星の場合秒速7.9km.低軌道なら8kmくらい」
となっておりますが,以下の資料によれば,人工衛星と言うのは高度が高くなればなるほど,速度は低下するようです.
7.9km・秒と言うのは,高度0mの場合だそうです.
高度1000kmぐらいまでは7km/秒台で,静止軌道だとおおよそ3km/秒となっております.
どうなんでしょう?
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/altitude_velocity_satellites.html
http://iss.jaxa.jp/shuttle/flight/sts99/earthkam_01_2.html
鉄底海峡,2010年02月21日 07:09
静止衛星の高度は赤道上空約35,786km,地球中心からは42,700kmの高さです.
したがって,
軌道の長さ = 約42,700km × 2 × 円周率
= 約268,000km
静止衛星の速度 = 軌道の長さ ÷ 地球の自転時間(恒星日)
= 約268,000km ÷ 23.9345時間
= 約11,200km/h
= 約3.11km/s
この計算方法は本末転倒(本当は速度から軌道高度が決まる)なのですが,秒速7.9kmはまちがいとわかると思います.
もっとも,速度が弾道ミサイルより速い云々は無意味です.
撃墜が成功するかどうかはミサイルの未来位置に,人工衛星を到達させられるかどうかの問題なので,原理的には速度差は関係ないです.
(もちろん,相対速度が大きいと許容誤差が小さくなり,命中させにくいという問題はあります)
人工衛星をミサイルに衝突させるために加速を一回だけしかしないという前提ならば,同じ軌道をトレースして命中させることはできないというのは正しいです.
加速をかけ続けた場合はその限りではありませんが.
東部戦線,2010年02月21日 16:52
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
この動画
http://jp.youtube.com/watch?v=vR_6wDg7OfQ
の1分47秒に攻撃衛星出てきます.実際ここまで破壊力があるもんなんですか?
【回答】
軍事衛星については機密も多くて,正確な評価を下す事は難しいんだが,ああいう風に宇宙空間から地上に向けて火力を投下するタイプの攻撃衛星は,知られてる限り存在しない.
存在するタイプでも,地上から衛星を打ち上げて,それが敵軍事衛星に体当たりをするような形で攻撃するものがせいぜい.
攻撃衛星というより,対衛星ミサイルの延長と言えるようなもんだ.
そういうわけで,衛星が衛星以外のもんに攻撃する手段を持った軍事衛星は存在しない.
つか,そんな具体的な軍事手段を取る段階に到ってて,その軍隊が軍事衛星をホイホイ打ち上げられるだけの
航空宇宙技術を持った国なら,最初からICBMを使うよね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ ただし,プラットホームとしての人工衛星以外なら,部分軌道爆撃システムというものがある.
これは弾道弾の弾頭を衛星軌道に乗せるという代物.
第一宇宙速度を出し,かつ,再突入のため減速剤まで使うから,これも衛星の範疇.
ナナナン魂(黄文字部分) & 七師三等兵(緑文字部分) in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
将来,衛星軌道上にレーザー系?の衛星が世界各国から打ち上げられれば,全ての航空機やミサイルは無意味な兵器になりますよね?
同じく戦車や海上艦の類いは,やはり衛星軌道上のレールガンユニットによって完全に無力化され…
そうなると残るは潜水艦だけだけど,これも潜ってるだけじゃ何もできないから意味なし.
宇宙空間は何か一つ爆発すると無数の破片が爆発速度のまま広がって将棋倒しになるし,一応,平和利用条約もあるから絶対有り得ない…….
【回答】
応,今のままだと国家間の取り決めによって,「兵器」としての攻撃力を持つものを衛星軌道上に打ち上げてはいけない.
それがクリアされたとしても,レーザーは大気中では物凄くエネルギーをロスするので,衛星軌道上から地表に向けて撃つのは不経済すぎて無理.
どれだけエネルギー必要な事になるのやら.
レールガン系統も,衛星軌道上から地表の物体を狙撃するのは難しい.
狙撃衛星にどんな処理速度と容量のコンピュータ搭載すればいいんだか…
それに,レールガンは実体のある弾丸を発射するものだから,撃った後どうやって補給するか?
という問題が出てくる.
衛星軌道上から攻撃するんだったら,大き目の質量を落下させ,広範囲に被害を与えるのが,上記二つに比べればまだしも現実的だが,それもやはりその質量の補給の問題が出てくる.
また,偵察衛星がどんな気象状況下(いや状況上か?)からでも任意の時間に任意の場所が偵察が出来たりはしないように,いつでも軌道上から地上が狙えるわけではない.
ぶっちゃけ”見えない”状況っていうのは普通にある.
だから,衛星軌道上から地上を正確に攻撃することができるようになっても,既存の兵器の有用性はあまり変わらない.
それから,衛星軌道上にレールガンだのレーザー砲だのといったものを搭載した衛星を打ち上げてそれを恒常的に整備して運用する,なんてことが出来る国は非常に限られるだろう.
そうなると実用化されたところで
「そういうスーパーウェポンがあるのは知ってるが,そんなものは保有できない」
という国のほうが大半だろう.
そういう国は結局,既存の兵器にて戦争をしなきゃいけないわけで,「衛星兵器」というものが実用化されても,その位置づけは冷戦が終わる前の核兵器と同じく,大国の独占物にしかならないだろう.
核兵器からステルス兵器,更には完全自律の無人ロボット兵器まで実用化されつつある現状の世界でも,世界で行われてる「戦争(紛争)」のほとんどは,自動小銃と手榴弾,それにせいぜい迫撃砲とロケット砲程度の兵器で行われている.
それは衛星軌道兵器が実用化されても変わるまい.
【質問】
偵察衛星は兵器ですか?
兵器だとしたら,領空侵犯した時攻撃してもOKですか?
映画などの,地上の人物の顔が分かるくらいの性能は本当?
【回答】
スパイ衛星こそ当代随一の兵器.
敵を監視出来る事こそ,最も重要な事.
ただし,現在の偵察衛星では「何時でも好きなときに」なんて無理.
1機で撮影できる範囲(軌道)は限定される上,特定地点を撮影できるのは1日数回.
また,条約により武装(特にABC兵器)を取り付ける事はできない.
武装なんて付けてもデメリットしかないという理由もあるんだけど.
領空侵犯は大気圏外にまでは適用されない.
「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」により,宇宙空間に対しては,いずれの国家も領有権を主張することはできないので,領空はない.
しかし領空と宇宙空間との境界も,海抜○○km以上など明確な基準値が存在するわけでもない.
「地上の人物の顔が分かるくらい」は凄まじくウソ.
最も性能が高いと言われている米軍の偵察衛星でも,10cmで1ドット程度の情報量.
桁外れの軌道高度 150km から撮影してコレ.
高度500kmあたりを周回する,通常の偵察衛星の解像度など推して知るべし.
また,高い解像度を得るためには低い軌道を周回する必要があり,大気との摩擦で減速するのを免れないため高度維持のための推進剤が必要になるため,赤道上に鎮座できる静止衛星と比べて寿命は短めになる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍用の偵察衛星と,民生用の観測衛星との違いは?
【回答】
機能面では殆ど違いはなく,分解能などの性能に違いがあるに過ぎない.
異なるのは運用面であり,偵察衛星では必要に応じ,頻繁に軌道を変えることがある.
軌道修正のための燃料が尽きたときが衛星の寿命であるため,偵察衛星は必然的に,観測衛星に比べて寿命が短くなる.
【参考ページ】
『日本の宇宙開発』(中野不二男著,文春新書,1999.7.20),p.103-119
【ぐんじさんぎょう】,2010/04/06 21:00
を加筆改修
【質問】
昔の偵察衛星って,どうやって撮影した写真を地上に送ってたんですか?
【回答】
フィルムのカプセルを地球に投下し,パラシュート広げて落ちてくるところを,輸送機が空中でひっかけて回収.
このカプセル投下システムを使っていた,アメリカのコロナ偵察衛星の回収シークエンスについての記述と図解.
http://www.globalsecurity.org/space/systems/corona.htm
空中回収シーン.
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/76/Keyhole_capsule_recovery.jpg
なぜなら60年代くらいだと,偵察の用に耐える高解像度の写真電送はまだ無理だったので.
そうなるとフィルムそのものを回収するしかないということに.
最初のころは回収に失敗して,カプセルがそのまま海の藻屑ってこともままあったそうだ.
ちなみに同じようなやり方で,地上の人員や物資を飛行機で回収する「フルトン回収システムというのがある.
こっちは回収する対象とケーブルで繋がった気球を上げて,そのケーブルを機首にV字型のアームをつけた飛行機が引っ掛けて,そのまま吊り上げるという豪快な代物.
軍事板,2007/09/27(木)
青文字:加筆改修部分
【質問】
AWACSとかJ-STARSみたいな,対空対地の警戒及び指揮管制能力を持った軍事衛星て無いの?
【回答】
ありません.
そもそも「衛星」を万能視し過ぎかと.
静止衛星でない限り,特定の地点を監視することは不可能で,数時間~十数時間おきに数秒~数分しか警戒・管制ができないのでは無意味です.
偵察衛星などの軍事衛星は,気象衛星などと違って低軌道を周回しています.
そのため周回速度が速く,特定の地域に張付いていることができません.
また,軌道が低いために最上層大気の影響があり,墜落しやすいという面もあります.
かといって静止衛星にすると,広い範囲をカバーできず,衛星を使う意味がありません.
さらに静止軌道に衛星を投入するには通常の低軌道よりもはるかにコストがかかり,
しかも限られたスペースであるため競争が激しく,存在を隠蔽できないため,メリットに対してあまりにもデメリットが大きすぎます.
また,それだけの機能を持った大型の衛星を軌道に投入するのはオオゴトですし,前述した墜落の関係上常に予備を軌道に投入する体制を構築しなきゃなりません.
これではコスト掛かり過ぎますね?
あ,もちろん,地上の写真を比較的高い解像度で撮れる程度の衛星なら存在しますから,大きな施設の位置であるとか構築された陣地であるとかの場所を特定することは可能です.
その施設がどういった施設なのか,といったことは別途調べないとわかりませんが.
中国には円筒形の形をした独特の集落があるのですが,冷戦時代にそれを衛星で確認したアメリカがミサイル基地と誤認して,工作員を派遣して調べさせた……なんてことも実際にありました.
こうした例を見れば,もちろん当時の衛星の精度の問題もあった事も言うまでもありませんが,衛星は所詮は上から見下ろすだけのものですから,そこから得られる情報には限度がある事を示しています.
工作員が一年がかりで調べあげる情報が,衛星は一日で調べられると冷戦時代には言われていたそうですが,やはり工作員は不用とは言えませんね.
【質問】
宇宙条約を読んでみたんですが,ASATがどの条文に抵触するのかよくわからないのです.
わかる方がいたら教えて頂けませんでしょうか.
第4条かなとも思ったのですが,これは大量破壊兵器の軌道投入禁止のみを謳っている条文ですし,何度読んでもよくわからないのです.
Posted by 名無しT72神信者 at 2007年01月24日21:31
【回答】
ご指摘の通り,宇宙条約の第4条には大量破壊兵器の軌道投入禁止と,月その他天体に対する軍事利用禁止が書かれており,軌道上での通常兵器配備や戦闘行為を禁じたりするものではありません.
慎んで訂正致します.…以前,「弾道ミサイルと軌道攻撃兵器」で部分軌道爆撃システムの事を「宇宙条約違反スレスレだが合法」と書いた時に調べておきながら忘れていました.
宇宙条約[法林Lawtextforest]
--------------------------------------------------------------------------------
第四条【軍事的利用の禁止】
条約の当事国は,核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと,これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によつてもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する.
--------------------------------------------------------------------------------
これまで中国とロシアは,宇宙空間での軍事利用禁止を訴え,これまでの宇宙条約よりも対象兵器の範囲を広げた条約を提案して来ました.
それは2002年6月に提案された「宇宙空間の兵器配置,宇宙空間の物体に対する武力行使あるいは武力行使威嚇の防止に関する国際条約」です.
それは対衛星兵器(ASAT)や弾道ミサイル防衛(MD)が該当するものでした.
ところがその前年,2001年1月にこういった報道がありました.
--------------------------------------------------------------------------------
香港紙・星島日報は五日,消息筋の話として中国が対衛星の新兵器を研究していると伝えた.
「寄生星」と名付けられたこの兵器は他国の衛星に寄り添い,戦時になると地上からの指令で衛星の機能を妨害,破壊するという.
地上での実験をすでに終え,近く宇宙での実験の準備に入るという.
--------------------------------------------------------------------------------
これは当時,日本の共同通信や朝日新聞も配信しています.
今から思えば,発覚したばかりの用廃済み気象衛星・風雲2号Cの破壊実験は,これだったのかもしれません.
アメリカの報道によると中国は実験成功までに3回,失敗していたとされます.
2001年から2006年末までの期間,5年で数回の実験ならば実験ペースとしては妥当な所です.
そうなると今回の破壊実験は,ソ連式のキラー衛星に近い形態の兵器によるものだったと言えます.
(計画途中で新方式に変えた可能性もありますが,中国の技術力を考えるとキラー衛星そのものである可能性が高い)
つまり中国は,宇宙の平和利用を推進しようと宇宙兵器開発禁止を訴える一方で,同時に宇宙空間を戦場とする兵器の開発に余念が無かった事を示しています.
時期的にアメリカのミサイル防衛構想が声高に叫ばれる前から,ミサイル防衛構想の推進が強力に進められる前から計画を実行に移しています.
(ミサイル防衛構想そのものはSDI構想中止以後も細々と続けられていた)
この中国の二枚舌行為は,最初から将来,宇宙空間が戦場になる事を見越して,新しい条約でアメリカに足枷を嵌め,その間に追い付いてしまおうという作戦なのか.
それとも相手の軍拡に対しこちらも軍拡を行う事で,相手に軍拡競争を行う事のデメリットを示してお互いの軍縮を提案する,以前NATOが「二重決定・ゼロオプション」として行った行為に準ずるものなのか.
残念ながら後者である可能性は低いのです.
まず計画時期が古くからある事,
そして破壊実験には成功したものの,技術レベル的にアメリカを脅かすほどの物にはまだ到達していないからです.
破壊した衛星は低高度に分類される高度約850kmの軌道で,MDシステムの根幹である早期警戒衛星,最新の軍隊に必須な情報通信衛星が存在する静止軌道(高度約36000km)や,GPS衛星(高度約20000km)にまでは届きません.
20年以上前のNATO二重決定にソ連が応じ,両者の軍拡が軍縮に転じたのは,ソ連がパーシング2を深刻な脅威と受け止めたからです.
今回の中国の実験は技術的にはまだ低いもので,「中国は宇宙戦争を行う意思と準備がある」ことを宣言する以上の効果が,期待できません.
20年後,30年後には脅威になるかもしれませんが,それはその時になってからでないと交渉には持ち込めないでしょう.
中国は,核ミサイルを保有しているにも関らず米露の核軍縮条約には入れて貰えず,相手にされていません.
同様に対衛星破壊兵器を保有したところで,まだ脅威とみなされない場合には,軍縮を提案する話し合いには大きな影響を及ぼさないでしょう.
むしろ軍拡の口実に使われる可能性があります.
中国軍幹部「宇宙の超大国一つではない」[1/28産経新聞]
--------------------------------------------------------------------------------
スイス・ダボスでの世界経済フォーラムに出席している中国軍事科学院世界軍事研究部第2研究室の姚雲竹主任(上級大佐)は25日,中国が衛星攻撃兵器(ASAT)の実射実験に成功したことを踏まえ,「われわれの時代に宇宙空間は軍事化されると予測している」とコメントした.
中国軍の現役幹部が実験に公式言及したのはこれが初めて.姚主任は「宇宙での超大国は一つではない」と暗に米国を牽制(けんせい)した.(ダボス AP)
--------------------------------------------------------------------------------
この記事は産経新聞が独自に取材したものではなく,AP通信の記事を配信したものですので,産経新聞が翻訳を間違っていない限りは概ね信憑性があると思います.
やはり最初から将来宇宙空間が戦場になる事を見越しているのでしょうか.
【質問】
今月の軍研で岡部いさく氏が,CSMについて書いている模様.
確かめたかったが,本屋に寄る暇がなし.
残念じゃあ.
2009年09月13日 21:30,ゆずこせう
【回答】
炸薬の無い実体弾を弾道ミサイル,又は衛星軌道爆撃システムで運搬・・・
いいのか?,この兵器.
特に衛星軌道爆撃システムは・・・
核弾頭じゃないから確かに条約に違反しないが・・・
「Rods from God」で画像検索すると,ヤバそうなものが出てきます.
faq14a04c.jpg
faq14a04c02.jpg
2009年09月14日 02:46,JSF
今月の軍研記事(いさく氏の記事ですね)曰く,弾頭案は3つほど.
・BLU-118
・ロッズ・フロム・ゴッド
・ヘルストーム
の3種がプラン上,存在するようです.
ロッズ・フロム・ゴッド
→トライデント非核型CTM(通常弾頭トライデント改修)や,近い将来のCPGS(通常兵器即座全世界攻撃)を想定しており,運動エネルギー弾のみの研究.
ヘルストーム
→運動エネルギー子弾だけでなく,単一型貫通弾頭の運用も想定.
各種大きさに発展可能.
中長期的視点からの開発.
子弾の場合,約2万4000㎡の範囲に,数千発の様々な大きさのタングステン片を均一に散布し,一辺60cmの正方形の面積内に1発が落下することを目標に開発中.
滑空体の突入速度がマッハ20とかなので,着弾した地上は……ガクガクブルブル
……だとかなんとか.
2009年09月14日 03:12,邪夢@蛸神教
マッハ20って,大気密度の濃い地表付近で維持できますかね?
>約2万4000㎡
MLRSのM26ロケット弾1発分の効果範囲.ICBMクラスのミサイルで運搬してこれだけだと,お金の掛かる兵器です.
しかし終末速度がこれだけあれば,戦車だろうと破壊できますな.
2009年09月14日 03:22,JSF
>ヘルストーム
クラスター爆弾(HEAT弾)の軌道兵器版ですかね.
2009年09月14日 03:25,へげもん
宇宙空間からの攻撃なんかしなくても,MDとかがありますからねえ.
2009年09月14日 09:15,バルセロニスタの一人
イメージは凶悪ですが,費用対効果が悪すぎです.
冷戦真っ只中ならともかく,今じゃ開発は難航しますね.
が,うっかり脳味噌が御花畑なみなさんに知られたら……
2009年09月14日 04:51,tacticaltomahawk
あれだ,凶悪な象さん型宇宙人が侵略してきて,アメリカ人が宇宙戦艦てカミカゼするSF小説に,宇宙人側兵器で出てた>運動エネルギー軌道爆撃兵器( ・・)/
あれ,絶版だから知らない人多いんだよなあ.
2009年09月14日 12:32,緑川だむ
え,「降伏の儀式」って絶版なんですか?
面白いのになぁ.
2009年09月14日 12:47,へげもん
軍研みてきた.
おばまんの「核のない世界」と絡めての論文ですね.
「これで核兵器要らないぜ!!ひゃっは(笑)」
とかなんとか,脳がむずがゆくなるようなこと考えてるのかい,あの御仁わ.
2009年09月14日 13:30,ゆずこせう
>ヘルストーム
2010~2011年中に予定している,CSM(通常攻撃ミサイル/非核攻撃ミサイル)フライトテスト及び破壊力テストに運動エネルギー弾のみの形としてとりあえず選定されてるとか.
>CSMの用途
最大射程距離への到達時間が一時間未満なもんで,記事曰く
・潜伏するテロリストの無力化.隠れてる洞窟ごと破壊もできるだろう.
・「ならずもの国家」によるIRBM等の弾道弾の発射阻止にも使えるだろう.
と.
コストのことは気にしない方向なんだろうか…….
空軍宇宙コマンドは2012年会計年度中の配備を,CPGS能力委員会は初期運用開始時期が早くて2016~2020年だろうと見込んでたりするそうで.
……愉快な計画だなぁ,ホント.
2009年09月14日 17:20,邪夢@蛸神教
とういかこの計画,本当に実現できるのでしょうか?
そう言えば二十数年前に,何かのUFO番組で宇宙人の警告で,内容は早い話が「おめーら戦争ばっかしてんじゃねーぞ」という,宇宙人の警告を受けてスペースコロニーを作れという提言もあったそうですが
,あれからどーなったんだろ?
宇宙ステーションだって,まだ宇宙船の域を出てないってのに.
2009年09月14日 17:35,バルセロニスタの一人
『パタリロ!』のダイヤモンドダスト作戦(…だったかな?)を思い出してしまった.
2009年09月14日 23:10,眠い人 ◆gQikaJHtf2
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ