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◆◆艦隊戦 Űrflotta Csata
<◆宇宙兵器 Űrfegyver
兵器FAQ目次


 【link】


 【質問】
 宇宙艦だが,推進剤の制限から,いくらでも重武装・重装甲ってのは難しいんじゃ?
 まあ,推進システムの設定次第か・・・

 【回答】
 一方向に推進するだけだったら,推進器を吹かし続ける必要はない.
 ただ,方向転換とか減速とかに燃料が足りなくなると,永遠に宇宙の外部か中心方向にサヨウナラ .

 いちおう,吹かし続ければ加速はしてゆく(目的地に早く到着する)というメリットはあるが,加速し続けると,減速のときに加速した分と同等の燃料が必要になるので,やはりその時に燃料が足りなくなって…という懸念があるため,加速だけすりゃいいってものでもない

 というわけで,重装備にすることによる質量増加と燃料効率の問題は,軌道変更・姿勢制御のために何回推進器を吹かせるか,という燃料計算に終始する.
(地球上のように何時間エンジンを回し続けられるか,という計算ではないのに留意)
 極端な話,行って帰ってくるだけなら,行きの加速・減速・帰りの加速・減速の4回だけで済むし,その分の燃料があればいいって事もある(+何かのアクシデントの時のための予備噴射分)
 その燃料消費分が許す限りなら,重量増加は地球上の乗り物よりは気にしなくていい.

(推進剤の残量を常に気にかけながら動く姿は,ディーゼル潜水艦と被るな.
 ただ,他が違いすぎて参考にもできないけど)

 例えば,光の速さで何秒かかかる距離で撃ち合った場合,レーザーとかを使ってたとしても,発射から着弾まで少しは間があるわけじゃないか.
 自分から相手が撃ったのを観測することは出来ないが,ランダムに動き続ければ結構な回避率なんじゃね?とか考えたことはあるな.

 敵艦隊に対して回り込み続けるだけで,姿勢制御とか回頭で敵艦隊の推進剤を消耗させて,戦闘機動に支障を起こさせる,なんて戦法もあったりするんだろうか.
 こっちにも十分以上の推進剤が必要だけど,そういう囮みたいな専門艦が出来たりして.

 ちなみに,なんだったかのロボットアニメ作品に,
「軌道から外れて酸素残量が少ない.
 でも推進剤は残ってるので,地球軌道に向かって噴射すれば一応帰れる.
 減速に関しては,救助船の方が見つけて相対速度あわせて拾ってくれるのを期待するから,考えないで目一杯吹かすことにしよう.
 それより酸素がなくなる前にたどり着けるかが心配だし…
(ついでに救助船にも見つけてもらえない場合も,どのみちアウト)」
という場面があった
 もしここで推進剤が数秒しか噴射できなくて,ゆっくりな速度でしか帰れなくても一応,進むから,その一回の噴射でも帰れることは帰れるんだよな.

 あと,あんまり加速すると中の人が死ぬよ.

軍事板
青文字:加筆改修部分

宇宙戦でも,戦艦<空母だろうけどね


 【質問】
 SFものの宇宙空間での艦隊戦って,3次元自由自在なんだから,上下へも広がるんだよな.
 となると,敵の半包囲には最低でも敵の4倍の兵力が必要になるのかな?
 五つに隊を分けるデメリットと,五方から攻撃出来るメリットを,プラスマイナス0と考えればだが.
 鶴翼陣に当たる陣形に必要な戦力差が大きくなるかな?

 どうもSFの艦隊戦は,なぜか中世の二元的な戦闘ばかりな気がするんだが,実際に行われるとしたら,◆を通常戦闘艦,◇を高速戦闘艦,◎を長距離砲艦として

~正面からの図~

  ◇
 ◎◆◎
◇◆◆◆◇
 ◎◆◎
  ◇

~側面からの図~

  ◎
◇◆◆◆◇

みたいな陣形になるんだろうか?

 【回答】
 基本的には2次元平面的に囲まれただけでも充分不利だから,2次元的包囲でOkだと思う.

 どんな兵器で戦うのか解らんとなんとも言えないけど,某『銀英』みたいに一定方向にしか火力を向けられないなら,何であれ2方向から攻撃されたら,片方にしか攻撃は出来ないし,多方向へ火力を向けられるにしても,一方にだけ集中させるのよりは不利だろうから,2次元包囲でも充分不利になるだろね.

A勢力が→


                     ←B勢力が

 横から見たときの高度差がこうあったとして,双方共に相手の高度軸に艦首を向けた時点で,そこが「この戦闘の場合の平面軸」として設定される.
 これで十分だろう(縦から見たときのも同じ)

 「上下」へ逃げるにしても,敵だって上下方向へ攻撃をそのまま指向できるわけだから,一方的には利に出来ないわけだし.
 砲火に晒されながら逃げるのは難しい,ということは変わらないだろう.

 なので「必ず3次元的に囲まなくてはならない」ということはないんじゃない?

 また,3次元的戦闘は「行う人間の思考がついて行けない」のじゃないかな.
 何かの間違いで三次元的戦闘になったら,敵味方とも状況が把握しにくくなって混戦泥沼状態.
 仕方がないので,双方後退して仕切りなおしになる.

 そういや,『オウバード・フォース』というPSのゲームでは,3次元戦闘だったが,やってるうちにドッグファイト的混戦になってしまう覚えがある.
 海外ゲームの『ホームワールド』シリーズも三次元戦闘なんだが,別にプレイする人間の操作は二次元軸でもあんまり関係ない.
 敵を指定すればユニットが自分で座標に移動してくれるし.
(それでも大部隊同士戦わせてるとやっぱり混戦になってるようにしか見えない)
 『スタートレック』は一応,立体で戦闘してるけど,基本は単機かごく少数だし,大規模な艦隊戦闘シーンは正直,混戦にしか見えなかったな.

 思考を3次元戦闘向きに変えるには,『銀英』の3次元チェスとか,三次元将棋とか三次元囲碁とかを作中で作って,慣れさせるしかないか.
 逆に言えば,これら(今勝手にでっち上げたが)があれば,ある程度は許容されるかな?

 と,ここで,三次元戦闘が可能な脳みそを持った特殊な宇宙人とか,AI生命体型宇宙人が参戦してきて圧倒される…

 ちなみに,谷甲州の航空宇宙軍シリーズの「巡洋艦サラマンダー」に,1個艦隊が単艦を包囲する話がある.
 まあ,質問の趣旨とはちょっとずれているが,艦隊と言っても陣形はほとんどなく,位置だけでなく速度も進行方向も燃料残量も大きく異なる宇宙艦がどんどん編入されていき,それらを,敵艦の予想進路を塞ぐ位置に配置していくだったりする.
 結局,太陽系内でも,戦闘時の彼我の距離は大きいため,近代以前の陸戦のような陣形をとっても,宇宙では点にしかならず,鶴翼などを行うならそれぞれの艦の位置は,艦の全長の数千~数万倍の距離を離す必要がある.
 つまり包囲と言ってもスカスカだったりする.

 また,「巡洋艦サラマンダー」では天頂方向へ逃亡したため,包囲網が役に立たない状況になった.
 これは太陽系内での戦闘のため,各惑星の軌道面がほぼ一致しており,その二次元上で包囲を考えれば良かったためだ.

 もっとも,必ずしもこっちの平面と敵の平面が一致するとは限らないわけで.
 銀河平面とかいう共通の平面がないなら,この理屈は成り立たないだろう.

軍事板
青文字:加筆改修部分

そういえばこの艦は,艦隊戦どころか殆ど単艦戦闘しかしていないな…
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 宇宙戦闘機ってのは,科学考証的には宇宙戦艦と比べて兵器として使い物にならないと言われていると聞きましたが,どうなんでしょう?
 宇宙戦闘機ないし戦闘艇の戦闘行動半径と,戦艦の射程距離のどちらが長いかという話になるのではないかと愚考いたしますが.

消印所沢

 【回答】
 簡単に言うと,宇宙空間では相対速度が速過ぎてドッグファイトは不可能だし,大型艦船と比べて特別速度も出せません.

 このサイト
http://www.asahi-net.or.jp/~zq9j-hys/

宇宙戦闘機なるものの考察 ――悲観論編
http://www.asahi-net.or.jp/~zq9j-hys/idea3.htm
宇宙戦闘機なるものの考察 ――楽観論編
http://www.asahi-net.or.jp/~zq9j-hys/idea4.htm
を参照されたし.

 後,英語のサイトですが.
http://www.projectrho.com/rocket/rocket3x.html#fighters
「私はあなた方宇宙空母ギャラクティカファンがそれを聞きたくならないすべてを知っていますが,費用/利益分析から見て,スペース戦闘機工芸品はどんな意味にもなりません.」(エキサイト翻訳より)

OOM-7大佐

 宇宙戦闘機と宇宙戦艦の間に,大気圏内航空機と水上艦艇の様な大きな差はなく,本質的に同じものでしかないと言うべきかと.
 その意味で宇宙戦闘機は,ごく小さな宇宙戦艦でしかないですね.

名前:名無しクルセイダー信者

>大気圏内航空機と水上艦艇の様な大きな差はなく,本質的に同じものでしかないと言うべきかと.
 飛行機の大型機と小型機のようなものですね.
 旅客機と戦闘機では巡航速度自体は殆ど同じだし,大型機で戦闘機並みの超音速飛行をさせる事だって可能な訳ですから.

OOM-7大佐

>宇宙戦闘機ないし戦闘艇の戦闘行動半径と,戦艦の射程距離のどちらが長いかという話

 宇宙戦闘機が有人だとまさにこの「戦闘行動半径」が足枷になるでしょう.
 必要な場所に行くために加速して,帰還のために減速して,再加速.
 そして着艦のために速度あわせのために再減速.
 推進剤が無駄すぎる.

 なら無人機でというか,突き詰めれば高性能ミサイルを大量に装備すれば良くなる.
 ミサイルの射程距離は有人戦闘艇の戦闘行動半径の倍以上が当たり前となるため,空母よりはアーセナルシップの出番になるでしょうね.
 大出力レーザーなんかが主武装になった場合も大型の炉を装備可能な大型艦が有利になる.

 参考はこの辺がよろしいでしょうか.
http://www.asahi-net.or.jp/~zq9j-hys/SpaceShip.htm

名無し谷読者

以上,FAQ BBSより
青文字:加筆改修部分

しょんぼり……


 【質問】
 逆に宇宙戦艦=大型宇宙戦闘機と考えれば,出撃・修理拠点となる移動要塞が宇宙空母といえるのでは?
 要塞砲の撃ち合いまで考慮すると超大型航宙戦艦.

仮 in FAQ BBS,2009年5月29日(金) 21時56分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 逆に,どのような技術体系を持つ世界ならば宇宙空母が成立するか,と考えてみる方法もありかと思います.

1.恒星間の移動(ワープなど)が実用化された直後.
 ワープ装置は大型艦しか搭載できず,ワープ以外の軍事的用途に使用できない.という世界.

 この場合,個別にワープ装置を持つ宇宙戦艦を多数作るより,1隻の大型空母にワープ装置を持たない小型戦闘艦を搭載する方が,恒星系内レベルでの戦闘では有利になる可能性があります.

2.ステルス機能の発達した世界

 発見されたら即撃墜されるような世界の場合,宇宙戦艦自らが電波を発射して敵を探知すると,逆探知でひっかかる可能性が高い.
 しかし,電波を発射しないと敵を発見できない.
 このような場合,ステルス性能の高い宇宙空母から偵察機や攻撃機を発進させ,母艦からある程度離れた位置から偵察機が電波を発射し敵を探知,攻撃機からレーザーなりを照射するという戦闘様式が成立すると考えます.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年5月30日(土) 16時3分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 宇宙空間でステルスは不可能なのでは?
 赤外線を放出している以上,光学観測されれば何万キロ先でも察知出来てしまう訳ですし.
 それに宇宙空間ではレーダーより,光学観測の方が索敵距離は長いとも聞きます.

http://www.projectrho.com/rocket/rocket3at.html
>There Ain't No Stealth In Space
>In space, there is no practical way to hide your military spacecraft from detection by the enemy.

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2009年5月30日(土) 20時31分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 ご指摘の通り,宇宙戦闘でのステルス(隠れる)技術には,赤外線を放出しないように表面を背景放射並の3Kに冷やすことも含まれると考えます.

 船体表面を冷やす技術については,恒星から遠く離れた深宇宙では容易(自然に冷える)ですが,恒星近傍ではスピッツァー宇宙望遠鏡のように冷却装置および敵に探知されないように熱を放出するシステムが必要になるでしょう.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年5月30日(土) 22時47分
青文字:加筆改修部分

 大気の影響による光の屈折がないため遠距離でも鮮明に見えるのは確かなようですが,距離感が無く大きさもわかりづらいため,ダミーバルーンが有効という記述がウィキペディアにありますね.

http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/2009_news-5.htm
にある若田光一宇宙飛行士の話では(どれくらいの範囲内の話なのか不明ですが)
「目に見えるほど屈折率の違いによって見え方が変わるってことはない」
そうで,結局よくわからないですね.

 なおガンダムSEED世界では,ミラージュコロイドという可視光線や電磁波を遮断する架空の粒子が存在し,光学的に完璧なステルス機能を持った機体が存在します.

仮 in FAQ BBS,2009年5月30日(土) 23時4分
青文字:加筆改修部分

>距離感が無く大きさもわかりづらい

 まったく仰るとおりで,それゆえにアクティブソナーのような,偵察機自らが電波を発して距離を測定する必要があると考えます.
 距離がわからなければ,敵艦と自艦との相対速度差もわからないので,射撃に支障がでます.

 具体的に測距が兵装に与える影響ですが,レーザーを近距離で使用するのであれば,即座に着弾しますので,距離は問題にならないでしょう.

 ただしレーザーでも,遠距離(1光秒以上先)を撃つ場合は見越し射撃が必要になるので,距離計算が必須になります.
 まして,核ミサイルなどを使う場合は敵艦の近くで爆発させる必要がありますので,距離は非常に重要になるでしょう.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 8時31分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
>距離感が無く大きさもわかりづらい

 それは目視で見た場合で,カメラでちゃんと観測すれば,敵艦のサイズが分かっていれば,倍率と画像上の被写体のサイズから逆算する事は可能ではないでしょうか?
(もしかしたら,欺瞞用に全部の級種がサイズは違うが同じデザインにする事もあるかもしれません)

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 12時6分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 現用の飛行機や艦艇でも,敵国兵器に似せるなどの欺瞞が行われることもあります.
 形状的制約の緩い宇宙用兵器の場合,形状を似せることは定石になるかもしれません.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 16時41分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
>アクティブソナーのような,偵察機自らが電波を発して距離を測定する必要があると考えます.

 ばれるの覚悟で,無人偵察機から敵艦をレーザー測距してデータリンクで僚艦に敵艦との距離情報を渡すという運用も考えられますね.

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 12時6分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 おそらく,宇宙での遠距離砲撃戦では,偵察機を使って母艦を隠す戦法が定石になると思います.
 その際,母艦から無人機に直接指示を出しては,母艦を隠せなくなりますので,おそらくは有人偵察機が複数の無人偵察機に指示を出すシステムになると予想します.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 16時41分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
>敵に探知されないように熱を放出するシステム

 逆に全周から索敵されてた場合,ステルスは不可能になってしまいます.
 だから,現実の宇宙戦闘では広範囲にセンサーを設置して,センサー網内で索敵したりするのかもしれません.

 ステルス側は,索敵されないためにセンサー網を破壊しようとして,宇宙戦闘における前哨戦では,SEADのような戦闘になったりするのかも.

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 12時6分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
>>敵に探知されないように熱を放出するシステム
>逆に全周から索敵されてた場合,ステルスは不可能になってしまいます.

 仰るとおり,基本的には敵が居ないと思われる方向に熱を放出することになるでしょう.
 とはいえ,前後から挟まれればどちらかに熱源を拾われてしまいます.
 宇宙戦闘においては包囲・奇襲が,地球上での戦闘より遥かに重要になってくるでしょう.

>だから,現実の宇宙戦闘では広範囲にセンサーを設置して,センサー網内で索敵したりするのかもしれません.

 賛成です.

>ステルス側は,索敵されないためにセンサー網を破壊しようとして,宇宙戦闘における前哨戦では,SEADのような戦闘になったりするのかも.

 ここで気になる点ですが,スペースコロニーや惑星を防衛する側の問題として,スペースコロニーや惑星の位置は隠しようが無いということがあります.
 攻撃側の目的がコロニーの奪取や移住などであれば良いのですが,惑星などの破壊そのものであれば,ガミラス帝国のように何も考えず,遠方から大質量兵器で惑星を狙う手法をとるかもしれません.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 16時41分
青文字:加筆改修部分



 【質問】
>その際,母艦から無人機に直接指示を出しては,母艦を隠せなくなりますので

 宇宙空間ならレーザーの減衰は殆ど無いので,レーザー通信を使えば,それらの問題は解決出来ると思います.
(もしかしたら有線も使えるかも・・・?)

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2009年5月31日(日) 19時37分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 レーザー通信は,発射源の秘匿ができればありだと思います.

 有線は難しいでしょう.
 地球軌道付近に黒体球を置くと,その表面温度は平均で5℃になります.
 太陽に面している側はさらに温度が上がりますので,冷却無しで電線を延ばすと,そこから赤外線が放出され,母艦の位置がばれる恐れがあります.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年6月1日(月) 19時47分
青文字:加筆改修部分

宇宙空母
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 宇宙艦を熱を放射しない設計にしたとして,自艦の動力源や推進装置,人体や伝送線路の発熱はどうするんでしょう?
 閉鎖空間におけるエネルギーの取り扱い方について,詳しい方のご教示をお願いします.

想像1:天体など他の熱発生源が多いから無視できる.対策なし.
想像2:熱回収システムで熱エネルギーを全て回収し,敵のいないあさっての方角に逃がす
想像3:あらかじめ用意していた液化ガスなどで冷やす.切れたら補給しないと動力源を動かせない.
想像4:気合だ,気合で何とかしろ

クローム・ツァハル,2009年07月02日 18:14

 【回答】
 自分の予想では,液体ヘリウムでも積んでおいて,表面を冷やすと考えています.
 地球上の潜水艦が電池切れで浮上するのと同様,宇宙潜水艦(仮称)にとっても,ヘリウム切れが重要な問題になるかと.

 非敵側に熱を放出するのは,地球上で言えばシュノーケルに相当する技術と考えています.

出稼ぎ労働者,2009年07月04日 05:25

>非敵側に熱を放出する

 通常は放熱板を使い,敵からはそれが真横に見えるように向きを調節する.
 敵との距離が近づいたら,放熱板をたたみ,冷却剤に切り替える.

 こうですかね?

へげもん,2009年07月04日 09:05

 放熱板のアイデアはありませんでしたが,それもありだと思います.
 構造的にはもっと単純に,ピエゾ素子なんかでできた傘に電圧をかけて,敵側は低温に保ち,非敵側から放熱するとか.

出稼ぎ労働者,2009年07月05日 03:35

 熱電効果を利用した冷却装置のことなら,それはペルティエ素子だよ.
 ピエゾ素子は,別名圧電素子といって,また別物のだよ.
 んでもって,ペルティエ素子自体に電流を流すので,それによる発熱もあるために,ペルティエ素子単段での極低温の冷却は,たぶん無理だと思う.

 で,個人的な見解だけど,ステルスを突き詰める前に,デコイ撒くほうがマシなんじゃなかろうかと.

極東の名無し三等兵,2009年07月05日 04:24

 申し訳ない.単純ミスです.

>ペルチェ素子の冷却力

 私も調べてみましたが.ペルシェ素子の中でも電子顕微鏡などの精密機械のステージの冷却に使われるものが,比較的低温まで到達できるのですが,それでも200Kを下回るものも少なく,それらも低温さや冷却効率より,温度制御の精密さを売りにしているようです.

出稼ぎ労働者,2009年07月05日 14:21

 宇宙空間の場合,恒星に近いか(または恒星側か)どうかという問題が非常に大きいと考えます.

 皆さんご承知の通り宇宙空間は真空ですので,空間による熱伝達・熱伝導は期待できません.
 そのため,地球を回る衛星軌道上で考えても太陽側は摂氏数百度にまで上昇,反対側は零下という有様ですので,たかだか途中に太陽発電パネル1枚置くだけで表裏の表面は恐ろしい温度差になることになります.

 もっとも熱容量の方はそれほどの差ではないわけですので,何とか宇宙船も人工衛星,有人船外活動も維持できているのですが,それら温度差は宇宙放射線と併せて非常に大きな環境要素であることが指摘されています.

 よって,どのような技術的手段を用いても,外的要素を無視できないため,

1.そもそも太陽等の恒星の影響を受けないよう,惑星や衛星の陰で機動を行うべき.
2.恒星の影響を受ける場合は,それ以上の熱輸送(または対応)能力は不可欠.

と言う点がついて回ります.

 しかし,指摘のあった液体窒素などの熱容量は小さく,大規模な仕掛けが必要となります.
 また,ペルティエ素子により液体窒素並の超低温を実現した例は,特殊計測機器(高純度ゲルマニウム半導体放射線検出器)で実在しますが,その熱容量は非常に小さい物で,熱輸送の効率としては極めて悪いものです.
 そもそも,それが宇宙船として成立するか否か,といった問題となるのは必至であり,少なくとも現段階での技術では対応は物理的に不可能といえます.
(宇宙船レベルで対応できる大容量超低温技術は確立していません.)

 また,デコイを撒く方法も考えられますが,宇宙空間での移動速度を考えれば,その有効性は地球上の物よりも明らかに低くなります.

 以上,夢のない話でしたが,個人的にはアクティブに対応する前に,外的要素も含めパッシブな方向に対応するのが近道か,と愚考します.

へぼ担当,2009年07月05日 08:35

>恒星との距離の問題

 冥王星の位置ならば太陽光は地球軌道の1/900,冥王星の表面温度も50K以下と低くなります.
 このような深宇宙であれば,ある程度の期間,表面を冷やし続けることも可能と思います.

 深宇宙と,太陽近傍の価値の高い領域での戦闘形態は,また異なったものになるのではないかと.
 地球上で言えば,沿岸と外洋の違いと同様の感覚です.

出稼ぎ労働者,2009年07月05日 14:21

 そもそも,敵の赤外線センサーに捉えられないためであれば,敵に向けている側に船体のシルエットを覆うだけの熱遮蔽シールドを置けば良いだけのような.
 そして,このシールドだけを3Kの温度まで冷却し,余熱は放熱板から捨てる.
 船体表面を冷却するより,熱量ははるかに少なくてよさそうです.
 ただ,シルエットを最小限にするため,かなり船体は細長くなりそうですね.

へげもん,2009年07月05日 14:30

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
カーボンナノチューブでできた世界で最も「黒い」物質

 この世で最も黒い物質は,あらゆる波長の光の97~99%を吸収.
 真空中なら1000℃まで性能を維持可能.
 電波も吸収するとしたら,熱探知を避けることができれば,完璧なステルス技術ですね.

仮 in FAQ BBS,2009年6月1日(月) 1時32分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 おそらく,宇宙戦争での艦艇や航空機は,カーボンナノチューブや炭素などを元にして,出来るだけ完全な黒体に近いもので表面を覆うことでしょう.

 ですが,完全黒体ということはレーザーなどの攻撃を受けたとき,全部熱として吸収することになります.
 Heなどでの冷却が追いつかなければ,一気に高温熱源となるでしょう.
 公算射撃ではないですが,索敵する側はある程度アタリをつけたら,100m間隔ぐらいの幅で弱いレーザーを無数に発射し,黒く塗られた宇宙潜水艦(?)を文字通り炙り出すという戦法が行われるかもしれません.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年6月1日(月) 19時47分
青文字:加筆改修部分

  背景が惑星や衛星(というか光源)だった場合は逆に居場所がもろにばれる事になりそうですね.
 だから,この素材を使った場合,宇宙戦闘では敵から見た場合に自分の背景が光源になる事はご法度になるのかも.

 やっぱり,プレデターや攻殻機動隊並みの光学迷彩でもないと宇宙空間で完璧に近いステルスは,相当困難な事になるのでしょうか.
 もし現実にステルスが不可能だったら,敵も味方もステルスなんて関係無く正面切って長距離砲撃戦するだけになる可能性もあるし・・・
 これ以上は厳密にシミュレートするか,実際にやるしか検証する方法は多分無い?

 でも,やっぱり「自分の背を光源にしない」という戦術が定石になるだけかも.
 そうなると防御側が不利になる場合が多いのでしょうか.

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2009年6月1日(月) 19時52分
~6月2日(火) 21時1分

青文字:加筆改修部分

 広大な宇宙空間で,光源が背後に来るケースはそう多くないと思われます.
 地球軌道でさえ太陽の視直径は0.5度程度.月と太陽はほぼ同じ面上に居るのに日食は数年から数十年に1回です.
 冥王星軌道あたりで外から来る宇宙艦隊と戦うときには,ほとんど影響はないと思われます.

 仮に地球軌道付近で戦う場合,太陽光は1平方mあたり1kW以上注ぎます.
 これを熱容量の小さい液体Heで冷却するのは容易ではないでしょう.
 熱電素地にしてもカルノー効率からは逃れられませんので,冷却時に回収する熱の数十倍の熱をどこかに放出する必要がでてきます.


>プレデターや攻殻機動隊並みの光学迷彩でもないと宇宙空間で完璧に近いステルスは,相当困難な事になるのでしょうか.

 上記の理由で,恒星から離れた深宇宙では容易にステルス可能.
 地球軌道のような太陽光の強い・利用価値の高い宙域ではステルス困難,という状況に陥ると思われます.

>そうなると防御側が不利になる場合が多いのでしょうか.

 自分はワープ航法次第ではないかと思います.
 スペースコロニーや惑星は隠しようがありませんので,戦場に居る戦力がまったく同等・かつ絶滅戦争であれば防御側の不利は免れないでしょう.

 ですが,仮に攻撃側が隣の恒星系から来るとして,かつ核融合推進レベルで移動してくるとすれば,補給線も何もありません.
 防御側より多くの戦力を集めるのは極めて困難でしょうし,燃料・弾薬の補給も敵から奪う以外は不可能.
 核ミサイルで敵の基地を破壊したら,全員揃って飢え死にという末路もありえます.

 逆に,何の制約も無く容易にワープができるのであれば,攻撃側は攻撃箇所・時間を任意に選べますし,補給も撤退も自在ですので,圧倒的有利でしょう.

>もし現実にステルスが不可能だったら,敵も味方もステルスなんて関係無く正面切って長距離砲撃戦するだけになる可能性もあるし・・・

 想像ですが,惑星やコロニーを守る衛星群など,長距離砲戦に挑まざるを得ない兵器の場合,鏡で敵レーザーを反射,小口径レーザーで敵ミサイルを迎撃・破壊という方向に進化すると思います.

出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年6月3日(水) 22時14分
~6月3日(水) 22時33分

青文字:加筆改修部分


 【質問】
 宇宙戦艦ヤマトが海底ドックから海中へ発進する前,海底ドック内を注水し,水で満たしていましたが,このような行程に意味はあったのでしょうか?

 【回答】
 宇宙戦艦と言え,海に浮かぶことが計画されています.
 宇宙では問題なくても,海面で予定された喫水で浮上できないと,大事故につながります.
 宇宙戦艦特有の大きなエンジンも,閉鎖や内圧調整によって,内部に海水が入らない等の工夫も必要です.

 そのためにドック内を注水して,バラスト調整等を行い,計画通り浮かぶことを確認したのでしょう.

「演出じゃないの?」
なんて間違った見方をしては本質を見抜けません.

予備海士長 ◆0J1td6g0Ec in 自衛隊板
青文字:加筆改修部分

 あれは,空の海底ドックのゲートをそのまま開放したら,大量の海水が一気に流れ込んで,ドック内がエラいことになるからだろう.

自衛隊板
青文字:加筆改修部分


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