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◆宇宙兵器 Űrfegyver
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(画像掲示板より引用)


 【link】

「Fly Me to the Orbit!」

「Military Technology」◆(2013/05/23) Orbit Logic to continue work on AFRL's space superiority contract

「Military Technology」◆(2013/05/28) USAF launches fifth WGS military communications satellite

「Strategy Page」◆(2013/04/16) SPACE: China And America Together In Australia

「Strategy Page」◆(2013/05/16) SPACE: Replacing Satellites With Software

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「You Tube」:Battlestar Galactica Vs Star Wars Vs Star Trek Vs Babylon 5

「VOR」◆(2012/06/18)米国 秘密の宇宙「無人機」 着陸映像公開

「VOR」◆(2012/07/22)日本とロシア 宇宙ゴミ対策で協力へ

「VOR」◆(2012/08/28)火星は入植地に向いている:ロシア専門家

「VOR」◆(2012/08/28)米民間企業,月へのリフトを建造(ビデオ)

「VOR」◆(2012/09/21)商用宇宙船「ドラゴン」,ISSに向け10月7日,初出航

「VOR」◆(2012/10/28)宇宙船「ドラゴン」が地球へ帰還

「VOR」◆(2012/10/29)米民間宇宙船「ドラゴン」無事地球に帰還

「東京の郊外より・・・」◆(2013-05-08) 戦略レビューSCMRと宇宙での攻勢作戦

「私はゲームを続けるよ!」◆(2012/06/03) 【VIP】宇宙戦争で大阪はどうやってトライポッドを倒したのか

『宇宙開発と国際政治』(鈴木一人著,岩波書店,2011.3)

 読みかけだが,滅茶苦茶な良書.
 宇宙開発の(ミサイルに直結する)ハード面,威信財としてのソフト面,公共インフラ面(軍事からの派生に目を配りつつ)をバランスよく目配りしながら,1945年から現在に至る米,欧州,ソ連,中国,インド,日本各国の宇宙開発史をまとめ,(まだそこまで読んでないが)今後の展望に触れている.

 目次と序章がPDFで上がってるので,一通り目を通して,良さそうだと思ったら読め.
 絶対損はない.

――――――軍事板,2011/06/

『国家としての宇宙戦略論』(河井克行他著,誠文堂新光社,2006-07-25)


 【質問】
 将来的に宇宙空間が国家間の戦場になる可能性はあるでしょうか?
「お前ら,表に出ろ」
みたいな感じで国土や国民に被害を及ぼすことなく,純粋に軍隊のみでケンカができる点では,宇宙空間は合理的でしょうか?

 【回答】
 今のところはそれはやってはいけないことになっている.

 それはそれとして,戦争はガンダム・ファイトじゃないので,純粋に軍隊同士で喧嘩する事には何の意味もない.
 戦争ってスゴイ乱暴に言うと,相手ののど元に銃を突きつけて,
「私のお願いにハイかイエスで答えて下さい♪」
ってやるのが目的.
 なので,頭の上で飛び回っているだけでは何の意味も無い.

 そもそも,宇宙空間を行動範囲内に出来る,ということは,惑星の衛星軌道上からほとんど一方的に惑星の地表を攻撃できる,ということだ.
 また,いわゆる「スペースコロニー」に人類が生活するようになったら,完全な自給体制を持てるコロニーでなければ――そしてそれは原理的に不可能.スペースコロニーでは,石油が産出できないから――周囲を封鎖されたら生存できなくなる.

 ということは,宇宙空間の支配権――制宙権とか制軌権とか呼ぶのかな?――を握れば,惑星を一方的に抑えられる.
 となると,必然的にその制(仮称)権を巡って激しい戦闘が行われることになるだろう.

 ただ,宇宙兵器の威力が上がって,惑星一つを兵器でぶっ潰せるくらいになったら,その惑星の防衛軍が壊滅した時点で事実上,戦争が終結する,ってのはあるかも.

 もっとも,その時代の価値観にもよるが,惑星一つをふっとばすなんて,よっぽどの覇権国家でもないかぎり選べない選択肢だろうから結局,地上戦が起こりそうな気がするが…
 核兵器が出来ても通常兵力が要らなくならなかったみたいに.

 一方,「国土や国民に被害を及ぼすことなく」という制約を外して考えるなら,物理的に砲弾とかが飛び交っているわけではないにせよ,通信や情報収集の点で既に衛星は大きく活躍しており,宇宙は現代の戦争でも無視できる空間ではなくなりつつある.
 そういう意味では,既に宇宙は戦場だと言っていいかもしれない.

 また,スペース・デブリの問題とかは,地上にとっても無視できないものがある.
 中国の衛星破壊は大きく非難された.
 宇宙空間だけで戦争する意味はあんまり無いので,戦火が宇宙にとどまるかは現状では怪しいと思う.
 それどころか,戦闘で発生するデブリがコロニーや資源採掘基地,またその他の軌道上の施設に二次被害をもたらす可能性は,宇宙空間での戦争で深刻問題になると思われる.

 デブリの観測・発見・対処が間に合わなくなるだろう近距離(宇宙での感覚で)では,戦闘しても
攻撃側は「占拠するはずのものを破壊してしまった」
防衛側は「守るはずのものを破壊してしまった」
って危なっかしくてやってられない.
 戦闘を行うにしても,凄い気を使わなくちゃならない.
 流れ弾にしても,破損した宇宙艦艇・兵器が軌道がそれて衝突コースに向かってしまわないかとか,計算して戦わなきゃならない.

 てことで,軌道施設には極力被害をもたらさないで,しかし相手の施設を無力化できる戦闘になる…
 つまりは資源輸送船のコース上に,機雷かデブリでもばらまくっていう封鎖作戦になるだろう .
 そして,それを阻止したり,ばら撒かれたデブリを排除する戦いになる.
 絵的にはかなり地味だな.

 あと,戦後処理もやっぱデブリ排除でどっちが勝っても苦労する・めんどい.

 「占拠」しなくていい,いくらでも相手を殺していいというなら,相手のコロニーや施設に直接ミサイルぶち込めばいいと思うけどね.

軍事板
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 星間戦争だけど
*惑星に重防護の地下シェルター作って大量の物資と共に立て篭もられたら,惑星一つは簡単には落とせない
*しかし惑星ごと破壊するような手段に出ては戦争目的が無意味になる
となると,要するに史実の冷戦と同じような状態だよな.
 そんな時代で人命をガンガン浪費するような大戦闘が,そうそうできるようにも思えないし,そういう時代状況下の戦争って
「相手より軍事力で優越してることを見せ付けあい,外交交渉で妥協し合う」
ものになるんじゃないの?

 ただ,惑星や宇宙ステーションの反乱鎮圧酔用や治安維持用に,「陸戦隊」としての陸上戦力はしっかりと残されるとは思うけど.

 【回答】
 冷戦時代の話では,やっぱり戦争は消えない.
 冷戦下では,互いに核兵器の必要以上すぎる破壊力の行使を回避しようと行動して,核戦力を封印した一種の制限戦争になるのではないか?という仮説が生まれている.

 この立場からは,朝鮮戦争・インドシナ紛争・スエズ危機なんかは,東西の対立環境下で核兵器を封じた条件での戦争だったと解釈できる.

 そもそも
>相手より軍事力で優越してることを見せ付けあい
これがうまくいかない.
 相手が自分を正確に評価することを前提にしてしまっている第一次世界大戦なんか,誤解の積み重ねが引き金になったようなもの.

 東西冷戦だと,キューバ危機で米ソは
「これは誤解が起きると取り返しがつかない!」
ということに幸運にも気づいたおかげで,ホットラインの設置など,互いの意思疎通を確保する方策が採られた.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 宇宙の軍事利用とは具体的には何を指すのか?

 【回答】
 kojii.net(2007/1/29付)によれば,「解釈次第で対象が広がったり減ったりする」という.

 狭義に解釈すれば,宇宙空間に何らかの攻撃用兵器を配備することだが,そうなると該当例はなくなる.
 一方,広義に解釈すれば,軍事に関連するものなら何でも「宇宙の軍事利用」だということになり,写真偵察衛星,レーダー偵察衛星,電子情報収集衛星,航法衛星,通信衛星など,軍事利用されている衛星はみんな該当してしまうという.

 現行の宇宙条約第 4 条は,「宇宙の軍事利用」を非常に狭義に解釈して,核兵器などの大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に載せる,あるいは宇宙空間に配備することを禁じているだけであり,衛星破壊兵器も軍用衛星もこれに違反しない.

 詳しくは上記サイトを参照されたし.

 ま,宇宙戦艦なら少なくとも常識的には,「宇宙の軍事利用」と見なされるでしょうな.
 零士ピーンチ(うそ).


 【質問】
 宇宙空間で利用できるのは,偵察衛星までだと思ってた...
 レーザーとかレールガンもありになるのか?

 【回答】
 防衛用の機材は,軌道に上げてもかまいません.
 偵察衛星も含まれます.
 拡大解釈して,自国に撃ち込まれるミサイルの迎撃システムも,防衛用と言い張ることもできます.

 宇宙の軍事利用制限条約というのは,原文を見たことがないのですが,かなり拡大解釈可能なようですし,そもそも破ったところでミサイルが降ってくるわけでもありません.
 政治的に大きな実害がなければ,レーザーでもミサイルでも上げてしまうというところでしょう.

軍事板,2001/05/26(土)
青文字:加筆改修部分

 宇宙の軍事利用に関する制限ですが,
http://www.nasda.go.jp/Home/data_lib/Space_Law/contents_j.html
のNASDAのサイトに,宇宙法の考え方と現状が良くまとまっています.
 通読してみて下さい.
 私も非常に勉強になりました.

http://www.nasda.go.jp/Home/data_lib/Space_Law/Chapter_3/3-2-1-2_j.html
に,ソ連が提出した議案があり,採択はされていませんが,これが宇宙の平和利用という概念が,もっとも具体的かつ理想的に現されたものだと思います.
 これに従うなら,キラー衛星もダメということになります.
 しかし,採択,批准されていないので無効です.

 実際に国連で採択された決議としては,
http://www.nasda.go.jp/Home/data_lib/Space_Law/Chapter_1/1-2-1-1_j.html

http://www.nasda.go.jp/Home/data_lib/Space_Law/Chapter_1/1-2-1-2_j.html
がありますが,
「国家は自国又は自国民によって計画された宇宙活動又は実験が,宇宙空間の平和的な探査及び利用における,他の国の活動に潜在的に有害な干渉を及ぼす恐れがあると信ずる理由があるときは,その活動又は実験が行われる前に,適当な国際協議を行うものとする」
という,かなり弱気かつ曖昧なものです.

 国連で採択された決議の中で,もっとも具体的なものは,1967年発効の
http://www.nasda.go.jp/Home/data_lib/Space_Law/Chapter_1/1-2-2-5_j.html
だ思います.
 ここでは
「条約の当事国は,核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を,地球を回る軌道に乗せないこと,これらの兵器を天体に設置しないこと,並びに他のいかなる方法によっても,これらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する」
「月その他の天体は,もっぱら平和目的のために,条約のすべての当事国によって利用されるものとする.
 天体上においては,軍事基地,軍事施設及び防備施設の設置,あらゆる型の兵器の実験,並びに軍事演習の実施は,禁止する」
とされていますが,それでも私が読解したかぎりでは,要するに核ミサイル衛星を上げてはいけない,以上の制限はしていないように思います.
 そもそもそれが,この条約が採択された最大の理由だったと思うのですが.

軍事板,2001/05/26(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 米露とも,宇宙における軍事利用は,最先端技術と最先端の軍事ノウハウを構築する事からか,中々一般庶民までその正確な情報が伝わりませんが,偵察衛星による地上目標物の解析度やGPSや探知能力など,民間利用化もされている技術から見ると,相当なレベルまで考えて実験や運用に入っているのかとも思っていますが,実用段階にある軍事宇宙兵器とは実在するものがあるのでしょうか?

 【回答】
早期警戒衛星:
 静止軌道を回り,地球上の赤外線を観測することにより,弾道弾の発射を早期に探知して防空システムに通報する.

通信衛星:
 その名の通り.現在米軍が運用しているDSCS衛星最新型で毎秒250メガビット,次世代型のWGS衛星で毎秒2.1~3.6ギガビットの通信量.

偵察衛星:
 光学,若しくはレーダーにより地上目標を偵察するための衛星.
 代表例,米軍KHシリーズ.日本情報収集衛星.
 過去には旧ソ連が,偵察衛星網による海洋監視システムを開発したものの,現在は予算不足のため放棄されている.

軍事航法衛星:
 米「GPS」,欧州「ガリレオ」等衛星からの航法電波を元に,自分の場所を測位するための衛星.

軍事気象衛星:
 軍事組織が活動するにあたって,戦域の詳しい気象情報を収集するための衛星.

対衛星兵器:
 冷戦時代に米ソ両国で開発されていたものの,デブリ問題が懸念され放棄.
 しかし,中国が衛星破壊実験(自国の宇宙ロケット改造対衛星ミサイル)を受け,開発計画が再び進む可能性あり.
 また,今年の2月には制御不能に陥った衛星を,米海軍がSM-3で迎撃した実績があり,高度250kmまでで,尚且つ衛星の軌道が分かっているなら,米海軍及び海上自衛隊は限定的にその能力を保有している.

戦争・国防板,2008/09/29(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 宇宙時代の陸戦ってどんなんだろ…?
 まず揚陸(揚星?)が想像できない…
 事前に砲撃とかしたら都市を丸ごとふっとばしちまいそうだし,何の援護も無しに軍隊を送り込めるとも思えないし…

 【回答】
 別に都市部に直接降下する必要ないが.

 「地上部隊との連携」なしの,空挺部隊だけでの侵攻作戦になるから,重装備も補給も全て経空輸送になるのが…
 軌道輸送機も垂直に降下するわけじゃないし,侵攻側の経空補給の安全のためには,(現代の長距離SAMで考えても)数百km四方の地積を占領しないと.
 つまりO-3線(だっけ?)が全周に百km以上になる揚陸作戦のようなものか.

 また,冷戦中に緊急展開軍をロケットで送り込む計画があったような.
 世界中どこでも30分で現地へ部隊を送り込むのが目的.
 初期の有人宇宙船(ボストーク)は再突入後に飛行士がパラシュートで脱出してたから,衛星軌道からの空挺降下も不可能ではない気がする.

 問題は降下よりも撤収?
 師団/軍団規模の部隊を重装備込みで衛星軌道に上げるというのは,何万トンという揚陸艦を10数隻単位で衛星軌道に上げる話なわけで,軌道エレベータでもないと不可能.

軍事板
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 創作で,軌道エレベータの防衛についてご相談お願いします.
 インド洋赤道上固定プラットホームに建設された直径100m規模の軌道エレベータが破壊された場合,被害はどれくらいになるでしょうか?

 【回答】
 軌道エレベーターってのは基本「上から吊ってる」形なんで,下が壊れても全体が倒壊したりしないぞ.
 ざっくりした説明をするなら,軌道エレベーターは静止軌道上にある人工衛星から,ながぁーーーーいケーブルを垂らしそれを地上部分で固定しているだけ.
 凧揚げのような感覚であって,仮にケーブルが切れたとしても,静止衛星として頂上部分が残るだけになる(凧揚げだと凧がどっかに飛んで行ってしまうが).
 まあ,残った軌道上の物体が,他の衛星にぶつかる可能性は残るわけだけども.

 現在構想中の軌道エレベーターのケーブル部分に使われている素材(カーボン・ナノチューブ)が切れたとしても,空気抵抗の大きさから地表に到達する頃には,かなりエネルギーが殺されているから,大きな災害とはならないだろう

 ドヴァイ・タワー程度の高さまでなら自立できるぐらいの強度もたせるだろうし,ある程度なら壊れてもすぐ復旧できるようにするだろうし…

 結局,攻撃側がどの程度の破壊規模を狙ってるか次第なんだけど,多少の損害なら1月2月かけて復旧すりゃええわけで.
 なんか,「一箇所でも折れば再起不能の大損害」前提で語られてるような気がしたので,老婆心ながら.
 その手の話のフィクション上の災害は,軌道エレベータの材質や直径が,落ちてきたら隕石が大量に落下してくるのと同じくらいの大災害になりかねない素材や数値で設定されてるから,そうである点にも注意.
(そもそも軌道エレベーターは,細いワイヤーという話と,結局太くなるって話と,両方唱えられてるからややこしい)
 まあ,フィクションは創作上の都合で,わざわざ壊れたら大災害な設定にしてるから,過度な突っ込みは野暮.

軌道エレベータ(宇宙エレベータ)の紹介
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~yoshino/Orbit/Orbit.htm

 また,「軌道エレベーター 宇宙へ架ける橋」という本をお勧めしておく.

軍事板,2010/01/27(水)~01/28(木)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 運動エネルギーは殺されてても,そんだけの総質量というか長さや太さの物が地表に落着したら,落着地点に都市とか建造物があれば,それなりの被害にはなるのでは?
 何百万人死ぬとかの規模でないにせよ,困ったことにはなるだろう.
 例えば同じ長さのロープを,軌道エレベーターの倒れるライン上に敷いたとして,送電線は切れかねないわ,電波通信アンテナに引っかかるわ,真っ直ぐ伸びたまま落ちてくるとはかぎらないから,都市の1ブロックあたりに対して,何km分相当のロープがぐちゃぐちゃに絡まって落ちてくるとか,それらの撤去作業含めて,社会インフラにダメージは来るはず.
 エレベータの破壊のされ方によっては,切れた100~数十キロメートルのエレベータシャフト(ワイヤー)が数千キロも遠くに落着とかもありえるかも.

 建設時点で,エレベータの麓に都市が一個出来上がるだろうし.
(軌道エレベータの周囲100km圏内に,なんのインフラも交通機関等も発生しないでなんの産業基盤に利用できるんだ?)

 【回答】
 軌道エレベーターは赤道上に設置されるのが普通.

 軌道エレベーターを地球に設置する場合,地上の接続部分は赤道上に置かれるのが,最も効率がいいのよ.
 ガンダムなんちゃらの描写は,その時点で色々と間違っているというかツッコミ所がありまくりになっているのさ.
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~yoshino/Orbit/Orbit.htm

 「ワイヤー」じゃなくて,ビデオテープに使われているようなペラペラな構造体が中心になっていて,それを保持している地球側の構造物以外は別段切れても大して問題が無いようになっているんだよ.
 遠心力と引力が釣り合っているだけで,そこをカゴが上り下りしているだけ.
 一般的なケーブルくらいの太さの物だと,自重で切れてしまう.
 だからフィルムのような,薄くてかつ引っ張り強度のある素材でケーブルを構成する.
 便宜上「ケーブル」という語があてられているだけで,実際にはものすごい細くて薄い「モノ」だから,切れてしまっても,それが地上に落ちてきても実害はほとんど無い.

 多分,君はこんな感じの構造物
http://jsea.jp/Review04-50years-Later
を軌道エレベーターだと思っているのだろうけど,実際は全然違う.
 この図では,真ん中のチューブの部分が強調されているが,実際のケーブルは物凄く薄いピラピラしたきしめんのようなものなので,切れるとへろへろゆっくり落ちていく.
 見たことが無いうえ,イメージが沸き難いとは思うが,アニメや漫画で見た,「格好いい構造物」のイメージは捨てたほうが混乱が少ないよ.

 「ケーブル」を繋いでいる地上部分の構造物にしても,高いといっても台北101ぐらいの物で十分すぎるくらい.
 地上側の接点が破壊されても,被害はそんだけ.

 しかも,産業基盤とかじゃなくてあれは,宇宙に物資を持ち上げるための究極の運搬手段ってだけ.
 アニメとかに出てくるような神話的存在とかじゃないよ.
 アンタ,「楽園の泉」とかのSF小説とか読んだ事ないっしょ?
 向こうのSF小説は,まともな科学者が思考実験(程度問題だけど)なんかをして書いているものもあるから,さほどわけの分からん事になってないよ.
 海外SFなんかでも,軌道エレベーターの設置場所は赤道上の島や人工島という設定になっていることが多い.

軍事板,2010/01/28(木)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 赤道上に建設することが,どうして何も被害を及ぼさないことに直結するんだ
 それは極力被害を発生させる建造物が立ってないという立地条件には合致しうるが,結局最低でも長さ数キロ以上の長大な,頑丈でしかも信じられないぐらい張力のある,ワイヤーあるいはテープ状の物体が,いくら軽いといってもそれなりの質量持って落ちてくるんだぞ.
 落下地点にクレーターが出来るわけじ無いといっても,無被害なわけないだろ.
 カーボンナノチューブ自体の総重量と,引っ張る力で落ちてきたライン上にあるものが大変なことになるわ.
隕石が降ってきたような大災害にはならない=大したこと無い・被害が無い
とか言うのは,余りにも乱暴すぎる言い方.

 だいたい,被害の無いような場所に建設するったって,テロ目的で地上に被害を及ぼすような破壊の仕方すれば,出来ないとは言い切れ無いんだから.

 【回答】
 まあまあ,ケツから力抜けよ.
 地球的な大災害にはならん,って言ってるだけで,「誰一人怪我しない」なんて言ってないだろ.

http://ja.wikipedia.org/wiki/軌道エレベータ
 ここの書き込みを見ると,話に出ている「ケーブル」ってのはすごく軽い物みたいなんだけどな.
――――――
 全米宇宙協会などでの現在の案では,シャフトのような構造はないため,それほど大きな質量を持たず,ケーブルもラップフィルム状の薄いものなので,落下時の空気抵抗が大きく,地上に重大な影響を及ぼす可能性はほとんどないと考えられている.
――――――
 そんなに余分な強度無いし,落ちて来るにしても,大気の影響考えると精々下端の数kmが上限.
 総重量で言うなら,上を見てもkgのオーダーですな.
 紙爆弾(宣伝ビラ)での都市壊滅を心配する方が,まだ現実的かと.

 あ,ナノチューブが燃えた後の燃え殻微粒子による健康被害の可能性の方は,実際に心配されてるね.

 というかどっち側も,相手が極端に自分の主張を否定してると思ってないか?
 どのみち,切れた軌道エレベーターの破片が,どこにどんな風に飛んでって落ちてどんな被害及ぼすかは,実際になってみないとわからんだろ?
 数㎞の切れ端で数キログラムじゃ,予想もつかない飛ばされかたするだろうし,何事もないかもしれない.
 そこは誰にも断言なんかできないし,不用意にするべきじゃない.

軍事板,2010/01/28(木)
青文字:加筆改修部分

  【反論】
>しかも,産業基盤とかじゃなくてあれは,宇宙に物資を持ち上げるための究極の運搬手段ってだけ.
>アニメとかに出てくるような神話的存在とかじゃないよ.
>アンタ,「楽園の泉」とかのSF小説とか読んだ事ないっしょ?
>向こうのSF小説は,まともな科学者が思考実験(程度問題だけど)なんかをして書いているものもあるから,さほどわけの分からん事になってないよ.
>海外SFなんかでも,軌道エレベーターの設置場所は赤道上の島や人工島という設定になっていることが多い.

 ここのやりとりは,何かおかしいですね.
 質問は,軌道エレベーター(交通機関)の周辺に,何の都市も工業もインフラもないという想定はおかしいってことなのに,神話的存在とかいう発言で,ちぐはぐな回答になってます.

OOM-7大佐 in FAQ BBS,2012/5/1(火) 16:43

軌道エレベータ
(うそ)


 【質問】
 スペース・コロニーは宇宙戦闘では,どれくらい持ちこたえられそうですか?

 【回答】
 スペースコロニーというのは要するに「居住区」であって,それ自体が,例えば地球上の様な島国とか土地感覚・概念とは違う.
 他の資源採掘基地とかとセットで完結する代物.
 スペースコロニー単体が国家になるわけではないし,封鎖ってのは孤立するのとは違う.
 だから,制宙権確保とかいうのは,地球上の国家で言うなら原発を占拠されましたとか,スターリングラードみたいに包囲されて,外部からは補給が届きませんとかそういうのに近い状態になる.

 農業だけやってるコロニーとか,月や小惑星から運んできた資源を加工する工業コロニーとか,ガンダムに限らずスペースコロニーが出てくる作品では基本.
 コロニーの中身丸ごと海という海洋資源コロニーとかもあったりするし.

 そういや,コロニーの尻尾というか後ろの方に小惑星くっつけて直接採掘して原料加工してるコロニーもあったな.

 エネルギー面では自給可能だろう.
 石油代替だったら,例えばガンダム世界では車などは全部電気自動車に置き換わってる.
 発電は太陽光で,巨大なソーラーパネルを宇宙空間に何百枚も浮かべてる.
 (それを軍事利用したのがコロニーレーザー)



 【質問】
 それだと尚更,他のコロニーとの交通を遮断されたら終わる気がするが・・・・・・.

 【回答】
 だからね,「終わり」にさせるはずはないでしょ.
 そりゃあ打撃を受けることにはなるが,コロニーのはそれ単体で完結してるわけじゃないし,言うなれば「都市の一個」でしかない.
 「国家」ではないわけよ.
(シーランド公国みたいなコロニー存在しない,ということは無いだろうけど)

 日本みたいに,周辺海域を完全封鎖されたら手も足も出ないってのとは違う.
 コロニーだけじゃなく,資源基地も発電施設も含めての宇宙施設であるわけで,それらを一度に,全部の交通軌道コースを遮断するような状態に追い込まない限り,一個一個は孤立しても,全部を機能停止させることは不可能.

 もっとも,コロニー1基に発電衛星施設1基,採掘基地1とかいうような,少数規模で完結してるようなのだったら話は簡単だが.

 【質問】
 スペース・コロニーのような宇宙空間建造物って,防御はどうなってるんだろうな?
 別に戦争で攻撃されなくても,ある程度の装甲がないと隕石やデブリに耐えられないだろうし,場合によってはCIWSみたいな攻勢防御システムが必要だろうし.

 【回答】
 大型施設の場合は,装甲を施すのが難しいだろうね.
(大きくも高速でもない脅威度の比較的少ないデブリに対しての,基準値耐久性は持ってるだろうけど)
 面積単位辺りの必要な資源がとんでもないことになる.
 CIWSとかのような迎撃装備をハリネズミみたいに,外周に取り付けるなら,まだ安上がりだろうけど.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 佐藤大輔の小説「征途」に出てくる宇宙往還機は,実現可能なのでしょうか?

>時速4万キロも 実用上は困難なようです.この条件で,16m飛ぶうちに耐熱装甲の 20%を失う

というレスを見たのですが,これが本当だとすると,あの小説に出てくる,マッハ20出せる宇宙往還機は,存在不能になってしまうのですが.

 【回答】
 単段式の軌道往還機はいまんところ無理.

 NASAやらの研究努力にもかかわらず,実現するための要素技術が出そろってないから.
 実際にどういう方法で実現するか見当も付いていない機能もあると聞く.

 単段宇宙往還機の最大の問題は,行って降りてきた機体の重量は,すべてムダに持ち上げられているという点です.
 どのような原理を使用するにせよ,軌道速度に物体を加速するにはエネルギーが必要であり,それを地上静止速度まで大気圏突入によって減速すると,それはすべて熱エネルギーとなって失われます.
 しかも,加速するには燃料が必要であり,その燃料自体,機体と共に加速されねばなりません.
 軌道上に必要な質量だけ加速し,不必要な部分は切り捨てていく多段式の方が,必然的に効率がよいのです.
 もちろん,機体の使い回しで節約できる部分もありますが,同時に使い回すたびに上記の効率損失が発生するので,単段往還機は効率以上の必要性がないと,単なる趣味の乗り物になってしまうわけです.
 空気利用エンジンとロケットエンジンの二段式にして,一段目の空気利用エンジン(つまりジェット)の機体を再利用する,というのが機体,燃料合わせてもっともムダがない方法だろうと言われています.
 再使用しないロケットなら,サターンVやエネルギアなど実在のロケットでも低軌道に50t以上のペイロード投入が可能でした.
 再使用するかどうかを純然たる経済性で判断するなら,機体・エンジン価格がすごく高価,そのかわり維持整備が極めて低コストというものになれば,意味があります.

http://science.ksc.nasa.gov/shuttle/nexgen/rlvintr2.htm
がNASAの次世代往還機についてのまとめですが,下の方の表にあるように,単段ロケットでは重量の90%近く,二段式でも85%が燃料で占められています.
 この燃料自体,燃料を用いて持ち上げ,加速しなければならないわけで,ムダが多い.
 Combined Cycle Airbreather,つまりジェットとロケットの組み合わせになると,単段式で燃料の占める割合が70%,二段式だと60%程度となり,俄然効率が良くなります.
 これはもちろん,空気中の酸素を利用できるために酸化剤の重量が不要になるからですが,
 同時に空気の揚力を利用して高度を得られるからでもあります.

 通常のジェット・エンジンでは到達高度,速度とも限界がありますから,なんらかの方法でマッハ2程度まで初期加速を行うと共に,空気抵抗の少ない高度まで上がり,そこからRAMジェット,あるいはさらにSCRAMジェットを点火してマッハ5~10程度まで加速してさらに高度を上げ,そこからロケットに切り替えて軌道速度を得るのが効果的なわけです.
 初期加速は普通のジェット・エンジンでも良いし,それこそ高地に接地したレール射出でも良いでしょう.

 そこで問題なのは,単段式の場合,ジェットエンジン部やからになったジェットエンジン燃料,翼などがすべて軌道ではデッドウェイトになるということです.
 これらをそのまま持ち帰って速度・位置エネルギーを突入時の熱としてムダに放出することになるのは前述したとおりですが,問題はそれだけではありません.
 特に軍用,宇宙戦闘機として考えた場合,デッドウェイトを山ほどしょった戦闘機になるわけで,これを満足に機動させるためには巨大なロケットエンジン,バーニアが必要となり,そのための多量のロケット燃料が必要になり,
 このため全体の重量はさらに増加し,より強力なエンジンが・・・
と,悪循環が始まります.そもそもジェット兼ロケットエンジンの構成の複雑さ,開発の困難さを考えると ,単段式往還機といっても,結局動力,揚力系は二段になっている可能性が甚だ大きいわけで,それを無理矢理一緒に軌道に上げるには,なにか特別な理由が必要とされます.
 ふつーは空気吸入ジェット/揚力翼部分を切り離して,無人誘導なり何なりで基地に戻すでしょう.

 射出方式については,高山の気圧が低いところから撃ち出せばよいという考え方があります.斜面で加速し,頂上から発進.

http://merlinxl5.net/video/FBXL5_Open_Ignit-Liftoff_BB.ram

のレールを高山に設置し,メイン・エンジンをジェット・エンジンにして,軌道部分を切り離したら地上に戻る(無人機にしてもいい)という方法が望ましいようです.ブースター・ロケットの替わりにリニアモーター加速でもいいし.

 理論的な可能性はあります.シャトルの後継として構想は上がっていましたが,構想で終わっており,開発が進められる様子はありません.
 当初から上記 のような反論も多く,やっぱりダメだったか,という感じで中止されました.
 不可能というわけではありません.
 構想は理論的に可能であり,技術的にも時間と費用さえかければ可能だと思われています.

 参照.
http://www.nasda.go.jp/press/2001/03/x33x34_010321_j.html
http://hotwired.goo.ne.jp/news/print/20050328308.html
http://hotwired.goo.ne.jp/newspic/2005032811.html

794 :一等自営業 ◆JYO8gZHKO. :2005/04/22(金) 03:25:09 ID:???

 設定にギコギコ固まるとお話が作れなくなるよ.
 あるいは話が面白くなくなります.
 ノリと話の滑らかさ優先で,設定とか邪魔な部分は二の次です.

 【質問】
 巨大なロケットに兵員や車輌を搭載,航空支援無しで目標に大量発送,敵戦力の駆逐を回避しつつ,敵の指令部や武装の脆弱な深部の戦略目標を占領する事は可能ですか?

 【回答】
 一言で言って不可能です.
 弾道弾の弾頭とロケットのサイズの関係から言えば,「大量の兵員や車輌」を弾道飛行させるためにどの程度のサイズのロケットが必要になるでしょうか?
 史上最大のサターンV型で低軌道なら130トンのペイロードを上げられます.
 しかし,壊さずに地球の重力を中和して重量物を降ろすには,パラシュートでは無理.
 翼なり逆噴射装置なりが必要であり,中身を壊さずに(人間を含め)降ろす装置はそれなりに重い.
 楽天的に考えてペイロードの半分を着陸装置に振るとすれば,実際に運べるのは65t前後.M1A1をばらさずになんとか運べるというところ.
 30機のサターンVを打ち上げれば30両のM1A1を持ち込めるから,それに附随するIFV,2週間程度の燃料弾薬食料等,指令通信関係などで,まあ10倍でガマンするとすれば,サターンV300機でなんとか一点はしばらく確保できるでしょう.おっと対空装備がいるから400機か?
 このロケット戦隊を5点ぐらいに送り込めば,2週間ぐらいは相手の動きを止められるかも知れません.
 ちなみにサターンVは開発費込みで一機500億円.
 量産で安くなるが,価格は40年も前の価格だからそのまま読むとして,1000機でも500兆円.
 まあアメリカなら,20年足らず軍を解散すれば浮かせる金額ですな.ただしこれだと,ロケットに乗せる軍も兵器もなりますが(笑).
 オレなら130トンのTNT入れて2000箇所の拠点を破壊して,乗せるはずだった兵力で攻め込みますけどね(笑).

 さて,ロケットで輸送するとなると,着陸が必要になってくる.
 そうなると,着地時に捕捉殲滅される可能性がある.分散すれば逆に部隊として統制が取れなくなるかもしれん.
 これだけのテクノロジーがあるなら,おとなしく地上戦艦を建造した方が吉.

 また,他と連携不可能な地点に戦闘部隊だけ放り込むというのは作戦上は全く無意味です.
 それらのロケットが目指す目標である「敵の司令部や戦略目標」を,仮にそうやって占領できたとして,敵中で孤立無援では,自分からわざわざ包囲殲滅されに行くようなものではありませんか?
 占領部隊側に手持ち分の食糧弾薬しかなく,且つ補給の当ても無いのですから,相手側としては包囲して日干しになるのを待っていればいいだけです.
 現代が舞台なら,普通に核攻撃したほうが手っ取り早いですね.

 ただし,1960年代にダグラス社が再使用型ロケットで戦場に兵員や物資を緊急輸送するアイディアを提案している.
http://www.abo.fi/~mlindroo/SpaceLVs/Slides/
のDouglasIthacus
http://www.abo.fi/~mlindroo/SpaceLVs/Slides/sld013.htm

 さすがに戦場への強襲降下というわけではなく,紛争地域付近への緊急戦力展開用というかんじだが.
 完成予想図では原子力空母からの打ち上げも考えてみたみたいだが,どこまで本気だったのか.
 ちなみに,このネタは宇宙開発ライターの江藤巌氏が80年代初頭に日本に紹介していて,「マクロス」の後番組「オーガス」で使われている.
(記憶があやふやだが,軌道エレベータ建設現場への強襲作戦だったと思う)


 【質問】
 たまたま,アメリカドラマのサイト見てたらこんなのがあったんですけど,これって本当ですか?
 こういうのって,うわさでもあるんですか?

「その際宇宙ステーションで酸素が漏れていることが発覚.
 クルーでは修理ができず,地上でも全力で解決策を探るが,なかなか方法が見つからない.
 スペースシャトルで救出に向かおうにも,肝心のシャトルが修復中で間に合わない.
 NASA長官が軍用のシャトルの存在をほのめかすが,会議ではクルーのうち1人はロシア人なので,機密を守るために軍用シャトルは使えないと言われる」
http://www.superdramatv.com/line/whitehouse/episode6.html

 軍用のスペースシャトルなんてあるんですか?

 【回答】
 STS計画の初期では,シャトルの一機(たしかディスカバリー?)はDODミッション専用で軍事用シャトルとする予定でした.
(ミッションコードもSTS-XXでなくDOD-XXになってた)
 当時は打ち上げ手段は,STSに一本化する計画だったのです.
 しかし実際に飛ばしてみると,スケジュールどおり飛ばないなどの理由から専用機構想は崩れ,チャレンジャー事故等もあり,軍はSTSプログラムから距離を置き,使い捨て打ち上げ機も復活させます.

 実際に存在したアメリカの軍用シャトルはコレだけですが,計画なら色々有りました.
 STS以前ですがX-20ダイナソア計画が有名です.

軍事板,2009/06/04(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 (1) スペースシャトルがあのような大きな翼を持つようになったのは軍事ミッションのためであり,ただ単に滑空して帰ってくるだけならもっと小さな翼で良かったという話を聞いたんですが,それは本当でしょうか?
 (2) また,そのような大きな翼を必要とする軍事ミッションってどんな内容だったのでしょうか?
 (3) それから,スペースシャトル計画が宇宙船の再利用による効率的な運用を目指したものというのは建前で,実際は軍事ミッションを主目的にした計画だったなんて話も聞きますが,実際はどうだったのでしょうか?

 【回答】
 リフティングボディやら鈍頭再突入体やらの理論が,伝言ゲームの過程で歪んだものでしょう.
 恐らく話を伝えた人物は,怪談で人を怖がらせるのが大好きな性質の人でしょう(笑)

 (1)について
 翼の面積というよりも,極超音速域でL/Dが大きなデルタ翼か,亜音速でL/Dが大きな直線翼かの選択の問題.
 NASAでは最初着陸速度を引き下げられる直線翼を考えていましたが,空軍の極超音速機動の要求もあって,デルタ翼に切り替えました.
 ただしデルタ翼には熱防護上の有利もありますので,軍事ミッションだけがいまのオービターの形をきめたわけではありません.

 確かに「大気圏再突入」に関して言えば,翼は必ずしも必要ではありません.
 しかし,滑走路に着陸という運用形態を取った場合,あの主翼は必要最低限度のものと言えるでしょう.
 シャトル(と言うかオービター)は単独で大気圏内飛行が可能,と思い込んでいる人もいますが,再突入時のオービターには既に推進剤はなく,着陸進入もやり直しの利かない難しいものです.更に,滑空機として見た場合のオービターはかなり運用に制限が加わる種類の飛行体です.
 そんな制限の多い大気中のオービターで,どんな「軍事ミッション」ができるのか,私が訊きたいくらいです.

 なお,シャトルの翼はあの図体のグライダー(なのだよ)にしては異常に小さく,縦横比も小さいので滑空効率はめちゃくちゃ悪い代物です.
 それというのも,主翼は再突入して滑空に入るまで(つまりミッションの大部分)でデッドウェイトにしかならない上に,打ち上げ時に余分な抵抗を生じて厄介極まりないからです.
 そうした努力を重ねても,結局宇宙機に翼をつけるなんてアイデアは愚の骨頂であったことがその後のシャトルの運用で明らかになっています.
 したがって,「あのような大きな翼」自体が誤りです.

 (2)について
 当初から軍事衛星の放出や故障した衛星のお持ち帰りを主目的の一つにしていましたし,それで予算を通しました.
 しかし実際には,通常ロケットで打ち上げたほうがはるかに安かったうえに,チャレンジャーの事故で信頼性に疑問がでたため,現在ほとんどの軍事衛星はタイタンなどで打ち上げられています.

 また,極軌道で地球を一周して帰還するミッションが考えられていました.
 西海岸のヴァンデンバーグAFBから打ち上げて,極軌道の敵性衛星にランデヴー査察あるいは捕獲あるいは破壊して,さっと一周でエドワーズ基地に帰着する.
 周回中に地球が回って軌道が西にずれるから,再突入時に大きく針路を変えねばならない.
 で,そのためには大きな極超音速L/Dが必要になります.

 なお,NASA・・・というかアメリカの宇宙計画自体,軍事利用と不可分です.

 (3)について
 ミッションを効率的にこなし得る事と「軍事ミッション」とは,別にバラバラに考える必要はありませんよ.
 効率的な運用のできる宇宙機は,軍事だろうが民生だろうが,「ミッションを効率的にこなし得る」機材です.
 まあ効率と経済性という点で,スペースシャトルが触れ込み通りのシステムかと言うと,それは激しく疑問ですが.


 【質問】
 スペースシャトルはどうして三角翼なんでしょうか?
 高速での飛行を要求されないし,テーパー翼でいい気もしますが.

 【回答】
 スペースシャトルの帰還時(再突入~着陸まで), そのスピードはマッハ20以上~時速数百キロのオーダーまで変化します.
 例えばテーパー翼では,自ら発生させた衝撃波を自分の翼で受けることになり, まず間違いなく翼がふっとびます.
(翼が吹っ飛ぶ直接の原因は他にも色々考えられるので, 直接の原因はもしかしたら衝撃波ではないかもしれませんが, どちらにせよ確実に吹っ飛びます.)

 帰還時に機体構造に無理な圧力がかからず, 大きく変化する各速度域でそれなりの性能を発揮する翼の形を考えると,スペースシャトルのような翼の形になるのではないでしょうか.

参考:翼平面形(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%BC%E5%B9%B3%E9%9D%A2%E5%BD%A2

 デルタの特徴は,大迎角で失速し難く,その時大きな抗力と引替えに大きな揚力を 得られる事,また翼面積に対し剛性が高い事です.
 超高空(つーか大気圏外)から 超高速で下降し,空気抵抗により着陸可能な速度まで減速するには理に適った翼形と言えます.


 【質問】
 もし万が一将来地球衝突の可能性のある小天体を,事前に察知できたとして,現有軍事力を駆使してこれを迎撃する事は可能でしょうか?

 【回答】
http://www.astroarts.co.jp/news/2000/07/14icarus/index-j.shtml
 「巨大な爆弾とロケット群~実際に考案された『アルマゲドン』案~」を参照.

 サターンV型に100Mt水爆を詰め込んで爆砕しよう,ってアイデアは1968年時点でもうあった.
 今はもう,宇宙機の惑星間ランデブーの技術はあるし,宇宙機の自律制御も可能.

 つまり技術的には何も問題ない.
 試してないから成功すっかどうかはわかんないけどな.


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