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<◆海軍 目次
<兵器FAQ目次
アメリカ海軍強襲揚陸艦「マキン・アイランド」のシースパロー発射シーン
原出典:US Navy
「Strategy Page」◆(2013/04/01) SURFACE FORCES : Can We Have Our Harpoons Back Please Sir
「YouTube」◆(2011/04/24)MBDA CVS401 Perseus
Missile Concept
MBDA社の超音速対艦ミサイルCVS401「ペルセウス」
命中直前に子弾2発を放出するコンセプト
「喪男」:やる夫で学ぶ対艦ミサイル
http://mootoko.blog.shinobi.jp/Entry/2245/
http://mootoko.blog.shinobi.jp/Entry/2244/
以前紹介したオシラクに比べてこっちは見づらい.
専門用語も多い.
やる夫シリーズとしては,個人的にはC判定.
――――――bernoulli in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
対艦ミサイルって時点で,SSM-1とかのマンセーが入るとは思ったけど,これはちょっとな…
対艦ミサイルの誕生から今日までの進化や実戦での使用,海戦の様相をどのように変えたかとか,そこら辺を綺麗にまとめてくれれば面白かったと思うんですけどね.
――――――D.B. in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
対艦ミサイルが注目されるようになったのは,中東戦争でイスラエル軍の艦艇がエジプト軍の対艦ミサイルに沈められたからだそうですが,それまでは「対艦ミサイル」という兵器はあまり評価が高くなかったのですか?
だとすれば,「対艦ミサイル」とは,どのような評価をされていた兵器だったのでしょうか?
【回答】
少なくとも西側では「あれば便利だろうけど,無くても何とかなる」くらいのレベルでした.
対艦ミサイルを搭載した艦自体は1950年後半〜60年代にはソ連で出現しています.
駆逐艦キルディン型やクルップニィ型がSS-N-1を,キンダ型巡洋艦がSS-N-3をそれぞれ装備していました.
また,同時期にコマール級やオーサ級といったミサイル艇も大量に就役させています.
ソ連が対艦ミサイルの装備を急いだのは,米海軍機動部隊の迎撃を考慮したためです.
ですので,対艦ミサイルは重要視されていました.
しかし,米国を始めとする西側諸国は強力な艦隊航空兵力を保有していたために,水上艦に対艦ミサイルを配備することに関心を払っていなかったのです.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/12/10(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
対艦ミサイルで極端なステルス形状のものがないのは何故でしょうか?
イージスシステムのような強力な防空網に対しては,通常のミサイルで飽和攻撃を仕掛けるよりも,レーダーに映りにくいステルスミサイルの方がいいような気がするのですが.
【回答】
対艦ミサイルそのものが,「冷戦」の終結によって大規模な使い道がとりあえずなくなったので,ほとんど新規に開発されていない(改良は何度もされているが).
「ステルス技術」というものがある程度確立されて,航空機以外に広く応用されるようになった時には,既に冷戦が終わっているので,スピンオフする対象がない.
ソビエト/ロシアはステルス技術で遅れてた上に,つい最近まで国家財政の建て直しに忙しく,新兵器開発の余力はなかったし,大陸中国も同様(というか”遅れ”はもっと酷い).
アメリカにとっては「対艦ミサイル」と言うものを,開発するのにリソースを裂く必要性そのものがない.
そう言った事情もある.
もし東西冷戦が継続されていたら,ソビエトが自主開発したりアメリカのものを解析したりして得たステルス技術を応用した,「ステルス対艦ミサイル」を開発・配備したかもしれない.
しかし,そもそもミサイルは,再利用するわけじゃない使い捨ての兵器なんだから,安く数撃った方が効率的.
それに基本的にステルスとそれに対処する技術は,いたちごっこで進歩するんだから,ステルスにバカみたいに金と時間を突っ込むよりも,飽和攻撃のほうがお手軽.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
艦対艦ミサイルって,地上の標的も攻撃できますか?
いくつか調べても,そのことについては分かりませんでした.
【回答】
▼ 物理的に可能かと言えば可能.
イラン・イラク戦争では,イラクがシルクワーム飛ばしています.▲
先のイラク戦争でも,イラク軍がシルクワーム対艦ミサイルをクウェート市街に向けて撃ち込んだという事例もありますので,対地目標で使えないわけではありません.
但し,その場合はミサイルというより砲弾としての運用になりましょうが.
▼ ハープーンの最新ブロックや次世代のエキゾセには,対地攻撃能力があります.▲
トマホーク・ミサイルなどは対艦/対地の両仕様がありますが,これは生産段階から仕様が異なる(対艦用に地形照合用のレーダーもメモリも要らないし,対地用に水上捜索レーダー付けても意味がないため)ので,これもやはり,対艦用のものを対地攻撃に使う場合は砲弾的使用ということになります.
▼ ただ,一般的に言って,基本的な艦対艦ミサイル(空対艦,地対艦も)は,おおよその方向に撃ち出され,途中から自己のセンサー(たいていはレーダー)を作動させて目標にロックオンし,場合によっては可視光,赤外光のセンサーなどを併用して目標に突入します.
これを単純に地上目標に使用した場合,海面に浮かぶ軍艦と違って,乱反射が多く,他の建造物や地形の凸凹も多い地上では正しい目標にロックオンすることは困難です.
敢えてレーダーを殺して慣性誘導のまま,誤差はあきらめて撃つしかありません.
最近はGPSセンサーを併用することで,これをクリアするミサイルもありますが,こうなると艦対艦ミサイルと言うより艦対艦・地と呼ぶべきでしょう.
もっとも,レーダーではロックしにくい港に停泊中の艦にも使えるから艦対艦,という理屈もあるようです.
ちなみにハープーンにはこのGPS併用型があります.▲
軍事板(2009.2.19追加分)他
青文字:加筆改修部分
【質問】
対艦ミサイルが海面近くを這うように飛ぶのはレーダーに探知されないようにする為ですが,具体的にはどれくらいの意味があるのですか?
【回答】
まず,地球は丸いです.
つまり水平線の影に隠れてしまえば,相手からは見えなくなります.
この距離は自分の目線の高さと,相手の高さで決まります.
・水平線までの距離計算[日本海商]
眼高1.6mで相手の高さ0mの場合,つまり人から見た水平線までの距離は約5km.意外と近いです.
では,イージス艦のレーダーパネルの搭載位置(約20m)で,対艦ミサイルの飛行高度(約5m)に設定すると…見通し距離は26km.26km以遠だと水平線の影に隠れて捉えられません.
しかも26kmで捉えられるかと言ったらそれも間違いで,シークラッター(波が作り出す海面乱反射)の影響で,ミサイルの飛行高度が低ければ低いほど,探知距離は更に短くなります.
イージス艦のレーダー探知距離が450kmあるといっても,対艦ミサイル迎撃の際にはどうしても接近を許す事になります.
これが第2次世界大戦当時の戦艦となると,側距儀の搭載位置が40mの高さ.水平線までの距離は24kmで,敵戦艦のマストの高さを40mとすると,約48kmの距離で見え始めます.
もちろんマストの先だけですが.
段々近付いていくと敵戦艦の全容が見え始め,24kmで全部見えるという事です.
戦艦の遠距離砲撃がまず当たらない事がよく分かります.
実戦で艦砲を30km以上の距離で,敵艦に命中させた戦例は殆どありません.
そして地上戦の場合,戦車の高さが2mとして地平線までの距離が5km,相手も戦車で高さ2mとすると見通し距離が10km.現在の戦車砲の有効射程は10kmもないので,大型の対戦車ミサイルを使うとしても,5km以遠は敵車両の車体が地平線の影に隠れてしまい,命中させるのは相当難しいでしょう.
ただしレーザー誘導方式ならば,歩兵にレーザー照射器を持たせ,別個に前進させて置けば解決します.
それと海と違い陸ならば,丘に上がれば遠くを見渡せます.
しかし丘に大型兵器を上げて,直接照準で敵を狙う事には,あまり意味がありません.
敵が見えるということは,敵からもこちらが見えるという事ですから,それならば丘の上に弾着観測班を置いて,丘の裏に野砲を隠し,丘越えで間接射撃を行います.
弾着観測班は歩兵サイズなので見つかり難いですし,丘の上に大型兵器を上げる労力も省けます.
<この記事へのコメント ↓>
>実戦で艦砲を30km以上の距離で敵艦に命中させた戦例
シルテ湾海戦でイタリア戦艦リットリオが,距離35kmでイギリス巡洋艦に命中弾を与えた(らしい.詳細不明)
サマール沖海戦では戦艦大和以下,距離30kmで砲撃開始,
しかし結局,重巡洋艦利根が10km以内に踏み込んで,ようやくガンビアベイを撃沈.
――――――Posted by 名無しT72神信者
at 2006年02月05日 21:25:00
「週刊オブイェクト」,2006年02月05日付
青文字:加筆改修部分
【質問】
イージス艦ですらその程度なら,普通の軍艦ってハープーンとか撃たれたら,まず助からないんじゃない?
Posted by 名無しT72神信者 at 2006年02月08日 14:56:09
【回答】
あ〜,なんか勘違いしてないかい?
イージス艦の特徴は「同時多数目標処理能力」であって,敵機を遠距離で迎撃する事じゃないよ.
将来的にCEC(共同交戦能力:Cooperative Engagement Capability)を導入して,終末誘導がアクティブ・シーカーの長距離対空ミサイルを導入すれば,AEWとデータ共有して超水平線攻撃が可能になるけど,CECはまだイギリスにしか輸出されてないし,アクティブ誘導の対空ミサイルも無い.
03式中SAMを射程延伸した上で艦載化し,CEC能力も付けた上で16DDHにオスプレイAEWを搭載すれば,F-35Bで艦隊防空するよりもよほど有力な防空体制を築けるが・・・
どれも無いものねだりだ.
MDを導入している以上,CECの購入配備はすぐ先の話とは思うけれど.
ちなみに米海軍は,開発中止されたスタンダードSM-2block4とは全く別の,射程200海里という超長距離対空ミサイルを開発中・・・らしい.
(今も予算付いてるかどうか・・・)
これは当然,CECを利用した超水平線射撃を行うつもりなんだろう.
――――――Posted by 名無しT72神信者 at 2006年02月08日 21:10:58
あ,もちろん中SAMの艦載化は妄想です.
誘導自体,スタンダード用のシステムでは無理だろうし.
(イージス艦のSPY-1Dレーダーは,パッシブフェイズドアレイ方式でSM-2の誘導にイルミネーターを使用するが,03式中SAMはアクティブフェイズドアレイ方式で捜索,追尾,誘導をこれ一つで行う)
ただ,台湾がパトリオット(天弓)の艦載化を計画しているから,あながち無理ではないかも.
海上自衛隊はアクティブ誘導のRIM-4(AAM-4艦載型)を開発中
(というか要素研究でストップ,予算が下りず)
だけど艦載SAMとしては射程が短いので,超水平線攻撃は出来ない.
――――――Posted by 名無しT72神信者 at 2006年02月08日 21:35:08
「週刊オブイェクト」コメント欄,2006年02月05日付
青文字:加筆改修部分
【質問】
対艦ミサイルの探知に衛星とかは使えないんですか?
Posted by MMR at 2006年02月05日 22:02:52
【回答】
亜音速ないし超音速で海面上を飛翔する,直径1m以下の物体を捉える精度があるかどうかが疑わしい.
リアルタイムで監視出来るかって問題もある.
そんでもって恐らくC/Pが格段に悪い.
そんな訳でアメさんは艦載AEWを開発しましたとさ.
監視衛星で艦隊上空を哨戒する構想が,本当にあったかどうかは知らんけど.
―――――Posted by CHF at 2006年02月05日
22:25:20
衛星では弾道ミサイルの探知は出来ても,巡航ミサイルの探知は到底無理.
AEWを艦隊の前方に出して警戒するしかない.
或いはOTHレーダー.
けれどAEWからの情報をデータリンクしたところで,長距離艦隊空ミサイルはセミアクティブ誘導なので,超水平線攻撃は無理だ.
スタンダードSM-2block3は赤外線シーカーも追加されたが,あんなので母艦の誘導無しに,どこまで使えるか分からん.
――――――Posted by 名無しT72神信者
at 2006年02月05日 22:28:05
又聞きですが,衛星の情報は早くとも1時間半程遅れて前線に届くはず.
特に移動している地上目標や海上目標は,膨大な衛星写真から解析しないといけない訳ですから.万が一衛星写真で飛翔する対艦ミサイルを発見しても,発見した頃には…….
唯一できるのは,対艦ミサイル装備艦の動向を見る位ではないでしょうか?
――――――Posted by 名無しT72神信者
at 2006年02月07日 03:37:01
「週刊オブイェクト」コメント欄,2006年02月05日付
青文字:加筆改修部分
【質問】
対艦ミサイルが現代の対艦攻撃の主兵器であるようですが,水線下に穴を開けるわけではないので,弾薬庫が水線下にある場合,火災を起こすことはできても,沈めるのは難しいように素人には思えるのですが,どういう仕組みで沈めるのですか?
舷側に大破口を作って沈めるのでしょうか?
それともポップアップして上から当たれば船底をぶち抜く貫通力があるのでしょうか?
また,それに対する現代の艦船の対策はどういう形でしょう? 装甲はないに等しいと聞くのですが,居住区で区画して浸水を止めるのですか?
【回答】
対艦ミサイルの主な狙いは,艦船の頭脳である上部構造物です.沈めようなんて思っちゃいません.
上部構造物が破壊されたら,イージス艦であろうが巡洋艦であろうが,ただの鉄の浮遊物に過ぎません.
【質問】
対艦ミサイルを軍艦が迎撃できた例ってあるの?
Posted by 名無しT72神信者 at 2006年02月08日 14:56:09
【回答】
Mk.15ファランクスCIWSなら,実験で対艦ミサイル相当の標的を撃墜している映像が,どっかに転がってた筈.
そもそも対艦ミサイルが使用された戦闘自体が少ないし.
シェフィールド,アトランティックコンベアー,エイラート,ぐらいじゃないか?,対艦ミサイルで沈んだ艦船は.
フリッツXで沈んだローマは,カウントして良いのか微妙なところ.
――――――Posted by CHF at 2006年02月08日
19:24:45
ハードキルだけが迎撃ではないよ.
相手の技術レベルが低ければ,ソフトキルのほうが有効.
第3次中東戦争で駆逐艦エイラートを沈められた後のイスラエル海軍は,第4次中東戦争でチャフとECMを使ってこれに対抗.
この戦争で放たれた50発近いスティックス対艦ミサイルを,全てこれで避け切った.
▼ お返しにガブリエル対艦ミサイルを叩き込んで,30隻近くのアラブ艦艇を沈めて報復を果たした.
お返しにガブリエル対艦ミサイルを叩き込んで,シリア艦艇5隻を沈めて報復を果たした.▲
湾岸戦争でも戦艦ミズーリが対艦ミサイルで狙われたのだが,チャフでこれを回避している.
▼ 「ミズーリ」に向けて発射された地対艦ミサイル「シルクワーム」2発のうち,1発は海中に落下し,もう1発は英駆逐艦「グロスター」の「シーダート」対空ミサイルによって撃墜された.
ミズーリ(戦艦) - Wikipedia▲
そのチャフに向けて友軍艦艇のCIWSが誤作動し,20mm機関砲弾を食らってしまった,というオマケもついたが.
―――――Posted by 名無しT72神信者 at 2006年02月08日 20:22:55
「週刊オブイェクト」コメント欄,2006年02月05日付
&唯野 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年02月07日
10:31(黄文字部分)
青文字:加筆改修部分
【質問】
水上艦のVLSの運用について質問します.
1.VLSにはあらかじめミサイルが装填されており,発射後,VLSはカラになる.しかるべき設備で補給(装填)されるまでカラのまま.
2. VLSにはあらかじめミサイルが装填されており,発射後,VLSはカラになるが,艦内で再装填することが出来る.
3. ふだんからVLSはカラで,使うときに装填する.魚雷発射管と同じ.
1〜3のどれでしょうか?
ロサンゼルス級潜水艦等のVLSは「1」だと思うんですが,水上艦ではどうなんでしょう?
【回答】
艦によっても違うけど1か3.
VLSは基本的に弾薬庫と発射装置を兼ねてるので,弾薬庫があってそこからミサイルが発射する時にVLSに装填される・・・わけではない.
米海軍のVLS装備艦には再装填用のクレーンがついてたので,補給艦なりヘリコプターなりに予備のミサイルを貰えば自前で再装填が出来たが,今はクレーンのスペースを潰してVLSを増設したので,最近の艦は自分で再装填をする事が出来ない.
後方で訓練をしてる艦は,訓練で使う分しかミサイルを装填していないようだが,基本的に実戦配備状態にある艦はVLSに実弾を装填していると見てよい.
弾薬庫も兼ねる発射機がウリだから,艦内に別箇弾薬庫,装填機能があれば普及はしていないわな.
【質問】
「ハープーン」ミサイルって何?
3行前後で教えて!
【回答】
「ハープーン Harpoon」はマクドネル・ダグラス社が開発した対艦ミサイルであり,制式名称は航空機搭載型がAGM-84,水上艦艇搭載型がRGM-84,潜水艦搭載型がUGM-84「Harpoon」.
「ブルパップ」ミサイルの後継として,1968年より公式に開発計画開始.
30ヶ国以上が採用しており,西側諸国ではフランスのエグゾセと市場を二分するベストセラーである.
別に捕鯨砲から打ち出すわけではない.
【参考ページ】
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/harpoon.htm
http://strike-eagle.s10.xrea.com/agm84.html
http://www.pcpulab.mydns.jp/main/tousai.htm
http://seesaawiki.jp/w/namacha2/d/RGM-84%B4%CF%C2%D0%B4%CF%A5%DF%A5%B5%A5%A4%A5%EB%A1%D6%A5%CF%A1%BC%A5%D7%A1%BC%A5%F3%A1%D7
【質問】
アメリカの対艦ミサイル,ハープーンは,初めて実戦で発射されたのはいつですか?
また,当然開発段階でテストはしていると思うのですが,開発が全て終って量産第1号の生産が開始されるまでに,何発くらいの数がテストで実際に発射されたのでしょうか?
【回答】
当時ハープーンを開発・製造していたマグダネル・ダグラス社では,開発段階で100回以上の試射を行い,命中率は約90パーセントでした.
また,納品された米海軍では1980年1月までに28発の試射を行い,100パーセントの命中率を得ています.
最終試験では,駆逐艦・ミサイル水中翼艇ペガサス・P-3C哨戒機からの3発同時発射という,実戦を想定した試射を行っています.
実戦におけるハープーンの初使用はリビアに対するもので,1986年3月にシドラ湾で空母サラトガの艦載機に対空ミサイルが発射されたのをきっかけに,米海軍が反撃に移り,A-6Eから発射されたハープーンでリビアの警備艇二隻が撃沈されました.
名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE,2006/08/28(月)
【質問】
現代の艦対艦ミサイルについて質問です.
ハープーンは亜音速しか出ないから,最近の防空能力の高い敵艦に向けて撃ったとしても,飽和攻撃でもしない限り撃墜される可能性が高いですよね.
だから炸薬量113kg,速度M3以上ののSM-2ERで敵艦の防御能力を奪い,威力の高いハープーンで止めを刺すような戦術はないんですか?
【回答】
ハープーンの最大のウリは,発射プラットホームを選ばないということです.
航空機からも,艦船からも,潜水艦からも,攻撃が可能.
これにより敵海軍は,「いつ飽和攻撃されてもおかしくない」という脅威にさらされるわけです.
で,超音速対艦ミサイルともなるとかなりプラットホームが限定されてしまい,戦術的に意味のある数を配置しようとすると,運用コストがとんでもないモノになってしまう上,相手側からもいつ撃たれるかの見当がつけられてしまいやすくなるという,致命的な問題が発生します.
そういうわけで,旧ソ連で開発された超音速対艦ミサイルは,現在のロシア海軍では「見限られた存在」と化しています.
で,艦対空ミサイルとして作られてるSM-2ERでは,艦対艦ミサイルとしての運用は射程不足です.
低空を超音速で長距離飛ばすってのは,航空力学的にものすごい無茶なことをしてマス……
【質問】
艦船から発射されるミサイルで,多くのものはVLSから発射されるのが普通のようですが,ハープーンだけはVLSから発射されるのをあまり見たことがありません.
最新の艦にもハープーンのキャニスターはあるようですし,これは何か理由があるのでしょうか?
【回答】
改造を施せば可能.
デメリットは改造に金と時間がかかること.ランチャーやリンク,ソフトウェアと同時にミサイル自体にも発射後制御翼が有効な速度に達するまでの間,姿勢制御を行う装置が必要になる.
VLSの大きなメリットは発射後,どの方向にでも素早くミサイルを指向できること.
対空ミサイルならこれは大きなメリットだが,対艦ミサイルではそのような必要はまずない.
であれば,ミサイルを保護できるキャニスターを与えた現行方式でいいんジャマイカ.
少なくとも改造の優先度は低い.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
Mk41 VLSからハープーン等のSSMを発射することは可能でしょうか?
可能な場合,SSM発射機を別に搭載するメリット(VLSから発射するデメリット)は何でしょうか?
【回答】
改造を施せば可能.
デメリットは改造に金と時間がかかること.
ランチャーやリンク,ソフトウェアと同時に,ミサイル自体にも発射後制御翼が有効な速度に達するまでの間,姿勢制御を行う装置が必要になる.
VLSの大きなメリットは発射後,どの方向にでも素早くミサイルを指向できること.
対空ミサイルならこれは大きなメリットだが,対艦ミサイルではそのような必要はまずない.
であれば,ミサイルを保護できるキャニスターを与えた現行方式でいいんジャマイカ.
少なくとも改造の優先度は低いわな.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
> ハープーンそのものはF-15でもF-16でも搭載できる.
> F-16のバリエーションのF-2でも搭載できる.
> 哨戒機P-3でも搭載できるし,輸送機でも搭載できるだろう.
http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-642.html
ってホント?
【回答】
「理論上は可能」程度の話かと.
まずF-15ですが,F-15E,いわゆる「ストライク・イーグル」では実際にハープーン・ミサイルを装備しています.
次にF-16ですが,F-16CJ(ブロック52)になるまで搭載可能ではありませんでした.
http://eaglet.skr.jp/MILITARY/F-16.htm
F-2に至ってはハープーンではなくてASM-1/2です.
海自ではASM-1の代わりとしてハープーンを採用していることから,海自OB(自称)の文谷数重氏は「F-2にもハープーンは積める!」などと憶測したのでしょう.
P3Cについては,実際にハープーンを発射している動画もあります.
https://www.youtube.com/watch?v=LrPqdxWbVJs
「輸送機でも搭載できるだろう」という話については,確認することはできませんでした.
何かの勘違いではないかと思われます.
文谷氏御本人は,過去の事例から見て,「ジョークのつもりだった」などと言い訳するかもしれませんが.
文谷氏のブログの文脈上,そこで述べられているF-15はF-15Jを指すかと思われますが,さて,では,F-15EやF-16CJにハープーンが搭載できるからと言って,F-15JやF-2にもハープーンが搭載できると考えてよいものなのか?
一般論で言えば,既存の機体を改修して,それまで載せることのなかった兵装を載せるようにすることは,よく行われています.
MiG-21やF-4の改修事例が特に知られています.
ただし,全てそう簡単に行くか,といえば,そうではなさそうです.
井上孝司著『戦うコンピュータ』及び『戦うコンピュータ2011』によれば,一般論として,
・同じミサイルであっても,型番一つ違うだけで,作動しなくなる可能性があるため,機体のソフトウェアとの「擦り合わせ」が必要になる.
・古い機体へのアップデートの場合,換装のみならず,機体の補修なども必要となるので,新しい機体の調達よりもコストがかさむ可能性がある.
とのこと.
> 特に航空機の場合,設計の時点で設定した飛行時間を達成した機体では,危なくて使い続けることができない.
> それをアンコだけ更新しても資金の無駄だ.
(『戦うコンピュータ2011』,p.91)
と井上氏は述べています.
F-15Jもけっこう年数を経ている機体ですが,ハープーン搭載への改修はコストに見合うものなのでしょうか?
文谷氏に対し,メールで問い合わせてみましたが,回答は得られませんでした.
文谷氏が自説を補強する資料を何かお持ちなら別ですが,質問には無回答のままですので,おそらく資料などなく,思い付きで言っているに過ぎないのでしょう.
文谷数重氏ですが,以前,戦車無用論を言っていた人物でもあることも併せ考えるに,軍事的知識について問題があると思います.
90式改 in FAQ BBS,2015/6/27(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
艦載ミサイルの飽和攻撃は,ほとんど意味のない攻撃だと聞いた事がありますが,本当ですか?
艦載ミサイルは一発は捕捉が比較的容易で,迎撃はさほど難しくなく,2発目以降も一発目と同じラインで誘導され同軌道をトレスします.
一発目の後方ノイズで命中精度が下がる上に,ファランクスなどの迎撃システム同照準で簡単に撃ち落とせるそうです.
これってアメリカ軍,馬鹿すぎませんか?
【回答】
1960年代,ターターの簡略化された迎撃シナリオを見てみる.
目標(敵ミサイル)を距離120海里で発見.
発見から目標評定まで5分を要する.
距離20海里で迎撃ミサイルを発射,
10海里で撃墜する.
その間に次の目標を評定しておくが,次目標は少なくとも10海里以上離れている.
迎撃ミサイルを発射して,5海里地点で撃墜する.
見りゃ分かるが,3波以上飛んできたら,自艦への命中までに撃墜しきれない可能性がある.
これが飽和攻撃.
戦争・国防板,2010/03/23(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
十数隻からなる艦隊が,空対艦・艦対艦ミサイルの飽和攻撃を受けた場合,ミサイルから見て一番手近な一艦に集中的に命中して,他の艦は無傷,ということはないのでしょうか.
数十発撃って撃沈一艦,ではあまりにも割にあわないですし……
何か対策はあるのでしょうか?
【回答】
たとえばSS-N-19という旧ソ連の巡航ミサイルは,ミサイルの編隊内で統制をとって,特定の艦に集中する/別々の艦を攻撃する,なんて器用なマネができたりします.
http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/ss-n-19-sai-axx.htm
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