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【質問】
イージス艦の具体的定義を教えて下さい(あればですが).
もしかして,商品名として登録されていたりとかしませんか?
【回答】
イージス・システムはアメリカが開発した同時多目標処理を中心とした総合戦闘システム.
当時の防空艦はせいぜい2~4目標を同時処理するのが精一杯だったところを,十数目標の処理が可能なため,画期的な防空システムとされた.
その前後,欧州や旧ソ連などでも同時多目標処理システムは実用化されているが,イージス・システムとの直接の関連はない.
(軍事板)
▼ つまり,イージス級というクラスがあるのではなく,イージスシステムを装備した艦のことであるから ,別に形とかはまったく関係がない.
オリバー・ハザード・ペリーに似た形をしていれば全部イージス艦だと思いがちだが,実はそうではないのだ!
▲
ちなみに旧ソ連では,同時多目標処理システム(フォールト)を有するキーロフ級の一番艦就役が1980年.
イージス艦第一号のタイコンデローガが就役したのは1983年だから,3年早い.
キーロフ級は同時に12目標までの処理が可能で,この数字だけ見れば,アーレイ・バーク級やこんごう級と同じ.
もちろん,「イージス・システムはアメリカが開発した同時多目標処理を中心とした総合戦闘システム」のことだから,キーロフは,「イージス相当のシステムを持つ」艦であって,「キーロフはイージス艦である」という表現は正しくない.
ただ,「イージス相当のシステムを持つ」艦とは言っても,タイコンデローガ級などのイージス艦はフェイズドアレイレーダーSPY-1を装備しているのに対し,キーロフ級はパルスドップラーレーダーなので,その点では見劣りする.
さすがに1980年の時点では,艦載用フェイズドアレイレーダーがまだ実用化に達していなかったので,こうなったのだろう.
ついでに書くと,同級は,世界初のVLS搭載艦&世界初のステルス艦でも有る.
【質問】
イージス艦はなぜ開発されたのですか?
-------------
〔エイラート号事件により,〕天文学的なコストをかけた空母が,モーターボートに毛の生えたような高速艇の餌食とされてしまう可能性が出てきたのである.
さらには,海中の潜水艦から発射できるミサイルも開発された.
あるいは,爆撃機が上空まで来て爆弾を落とす,というやり方でなく,超音速で飛ぶ攻撃機が,こちらの弾丸が届かない位置からミサイルを撃ってくるかもしれない.
こういった,新たなる脅威に対抗するため,米軍は,多数の目標を識別でき,かつ電波の妨害にも強いレーダー・システムや,飛来するミサイルを撃ち落とすための各種兵器の開発を急ぐことになった.
その集大成がイージス・システムなのである.
-------------林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.97-98
というのは本当ですか?
【回答】
ええと,その著者は,新型レーダーやミサイル迎撃システムの開発というのは,普段から継続的に行われるものではない,とでも言いたいのですかね?
集大成といえば集大成かもしれませんが,イージス艦が開発されたのは何故か?といえば,ソ連海軍の飽和攻撃に対抗するためのものです.
ソ連海軍としては,まともに殴り合ったのでは,とてもじゃないが米艦隊には叶わない.
特にあの,攻撃空母ってぇヤツぁ凶悪過ぎる.
50年代には核攻撃も,米攻撃空母の任務の1つだったし.
そこでゴルシコフ元帥,考えた.
「米空母機動部隊が対処できないくらい大量のミサイルを撃ち込んでやればいい」
しかも,ただつるべ撃ちするんじゃない.
遠くから,色んな方向から撃ってやるんだ.
これが人呼んで「飽和攻撃」
テストによく出るから覚えておこう(何のテスト?)
ソ連艦隊はこの戦術にしたがってせっせと対艦巡航ミサイルを整備した.
爆撃機にはAS-4やAS-6.
艦艇にはSS-N-3.
1958年から対艦巡航ミサイルの開発を開始して,その努力が実ったのがソ連海軍の演習「オケアン70」(1970年),「オケアン75」(1975年).
いずれも90秒以内に100発が,仮想目標に着弾するという実績を出した.
1秒ごとに1発以上のミサイルが,違う方向から飛んでくるというわけだ.
さすがのアメリカ海軍も,これじゃたまったもんじゃない.
だが,数を増やして問題を解決するのがロシア式なら,テクノロジーで何とかするのがアメリカ式.
まず,タイフォン・システムの開発が1958年開発から始まったが,これはタイフォン原子力フリゲートの価格が高くなって中止.
ちょうどマクナマラ国防長官の時代,しかもヴェトナム戦争が始まったころに当たってしまったのが不運だった.
代わってスタートしたのが,1963年から始まったASMS計画.
Advanced Surface Missile System だから「先進的艦載ミサイル・システム」とでも訳すべきか.
海軍内には否定論者もいたようだが,開発最中,エイラート号事件が1967年に起こって,開発が一気に加速.
1973年12月には,プロトタイプのイージス・システムを試験艦「ノーザン・サウンド」に搭載して試験が行われるところまで漕ぎつける.
そして,1978年9月にはイージス巡洋艦「タイコンデロガ」の建造契約が交わされ,1983/1/22,同艦就役.
かくして,ギリシャ神話のゼウスが娘アテナに贈ったという神盾(イージス)は,この世に具現化した,という次第.
このように,まず戦術が先にあり,兵器はその戦術が要求するものに従って開発されるものなんだ.
決して,一つの事件で慌てて開発が始まるというものではない.事件が戦術を見直すきっかけにはなるかもしれないけどね.
第一,それじゃ現代では時局に間に合わない.
兵器はガチャポンとは違うんだから.
消印所沢
【質問】
「イージス艦は同時に12目標への攻撃が可能」
と聞きましたが,「ジパング」によるとシー・スパローは2発までしか誘導できないらしいです.
こんごう型はスタンダード・ミサイルを積んでますが,スタンダード・ミサイルを使ったなら12目標への攻撃が可能,ということなんでしょうか?
【回答】
少なくともイルミネータの数は攻撃できます.
旧式艦だとイルミネータの一つを捜索用に使用し,攻撃に使わないということもありましたが,フェイズド・アレイ・レーダーを搭載した艦ではその必要も無いでしょう.
つまり,中間誘導用に慣性誘導システムを持っていないミサイルでも,3発は誘導できます.
ちなみに日本のイージス艦には現在,シー・スパローは搭載されていません.
米軍艦は発展型シースパロー,ESSM(EvolvedSeaSparrowMissile)を搭載しているのだが,
ESSM
誘導方式:中間誘導:慣性誘導+データ・リンク
終末誘導:セミ・アクティブ・レーダー・ホーミング
よってESSMも同時に12発かは知らないが,イルミネーター数より多く発射できる.
同時誘導の仕組みを考えれば分かると思うが,12発同時に命中させることができるわけではない.
現在の一般的な艦対空ミサイルのほとんどの終末誘導方式は,SARH(Semi-ActiveRadarHoming)終末誘導,つまりミサイルが目標に接近し当てる段階になったら,母艦からレーダーを照射しなければならない.
まあ,発射のタイミングをずらせばいいわけだが.
軍事板,2005/08/26(金)
青文字:加筆改修部分
なーんとなく,「短SAMは1目標に対して2発指向するのが標準的運用」なのを〔「ジパング」は〕誤解してるっぽいスメルが・・・
【質問】
アニメ「ジパング」を見て,はじめてイージス艦というものを知ったのですが,本当にあんな事
(大和の主砲の砲弾を,ハープーンで撃ち落としたり,レーダーで艦隊の種類まで見分けたり等)まで出来るのでしょうか?
【回答】
大和の主砲弾をスタンダート艦対空ミサイルで狙って,「命中させるだけ」なら,なんとかなる.
でも,大和の主砲弾を空中で爆発させるのは無理.
あのミサイルは目標に近寄ったら命中する前に爆発し,ミサイルの破片で目標を破壊する.
本来は航空機や対艦ミサイルを狙う物なので,それで十分な威力とされる.
でも,大和の砲弾はミサイルの破片食らったくらいで自爆するとは考えられない.
運良く砲弾1発2発は爆発するかも知れないが,9発すべてを空中で爆発させるのは,現実的に考えれば無理.
CIWSは,弾殻1インチのウォール・アイ爆弾の迎撃に成功している.
MK15ファランクスは実用評価試験の際に無人のボートに搭載され,この爆弾を4発投下された.
結果は,4発中3発を所定距離以遠で直撃し,破壊に成功.
ただし,CIWSで大和の主砲弾を完全に破壊できるかについては甚だ疑問.恐らくというかほぼ確実に無理だと思う.
軍事板
【質問】
イージス戦闘システムを構成する上で,対空迎撃のウエイトが結構しめてるような話をよく聞きます.
実際はどうなのでしょうか?
【回答】
イージス艦はSPY-1レーダーやMk.41VLSが注目されがちだが,(まぁ優秀な兵器である事は確かだが),この艦の本当に凄いところはイージス・システムにある.
イージス・システムは本来,対艦ミサイルの大量攻撃(飽和攻撃という)に対応するために作られたので,対空迎撃が本分.
でもって,イージスシステムの中核を占めるフェイズドアレイレーダー(個別目標追尾用)がいくら優秀でも,それだけでは意味を為さない.
広域を監視できる対空捜索レーダーと組み合わせる必要がある.
米海軍の場合は,艦の対空捜索レーダーだけではなく空母搭載の早期警戒機と組み合わされていて,これがイージス・システムを「すごい兵器」にしているといってもいい.
逆に言うと,早期警戒機とリンクさせなければ,「ちょっと高機能な対空ミサイル・システム」程度の能力しか示せない.
イージス艦自体に搭載されている対空捜索レーダーは大概,標準的な性能のものがほとんど.
艦のサイズの制約上,余り大きなレーダーは積めないし,レーダー・アンテナを高い位置にすることもできない.
電力消費量もデカイので,小さな艦には制約が大きい.
かといってかつての戦艦のような巨大なイージス艦を作っても,効率とコストが悪すぎる.
そういう意味で,「イージス艦」だけでは「兵器システム」としてはあまり意味がない.
あくまで「システムの一部」に組み込まれてこそ,真価を発揮できる.
あと,現行のイージス艦の問題として,ミサイルの発射/誘導能力の問題がある.
あたりまえだが,例え同時に256個の目標を追尾できても,艦にミサイル・ランチャーが単装一基しかなければ,一度に1目標しか攻撃できない.
連続発射するという方法もあるけれど,ミサイル・ランチャーは,速射砲のようにミサイルをバンバン撃つという構造にはなってない.
世界初のイージス艦タイコンデロガ級の初期シリーズは,ミサイル・ランチャーが連装2基しかなく,イージス・システムの能力にミサイル発射能力が付いて来ていなかった.
まぁこれはVLS(垂直発射機システム)で解決されたけど.
そして,ミサイル誘導の問題.
対空ミサイルはイルミネーター(ミサイル誘導/追尾用のレーダーアンテナ)で管制されているのだけれど,これも艦に沢山積むことはできない.
また,積む位置によってこの方向にはミサイルを誘導できない,といった制約がかかる.
イージス艦では極力最大効率が行かせるように工夫してイルミネーターを積むけど,それでも一度に誘導できるミサイルは,イージスシステムの目標補足能力からすると,とても少ない.
かといってイルミネーターを積みまくれば,他の装備が積めなくなってしまう.
イージス・システムにはそういった問題がある.
解決策は色々考えられたが結局,「艦をでかくする」「数で補う」しかなく,金がかかって効率が悪い事には変わりない.
軍事板,2005/03/16
青文字:加筆改修部分
【質問】
米海軍巡洋艦ヨークタウンの軍事用コンピューター(Windows
NT)がフリーズし,管制システムが停止した,という話は,本当だったのだろうか?
「巡洋艦よーくダウン」とか「マイクロソフトのOSは巡洋艦すら撃破できる」とか色々言われてましたが.
【回答】
あれは軍当局が導入を焦って無茶苦茶な納期を設定し,それを真に受けた業者が,まともな開発体制もテスト体制も整えられず構築し,普通なら社外に出せない開発初期版並の品質のシステムを,無理矢理稼働させたため.
アプリ・レベル上の例外処理すらまともにトラップせず,結局要求された機能が軒並み停止.
こんな開発体制なら,元のOSがSolarisだろうがHP-UXだろうがまともに動くわけがない.
言い訳にされたMSは,いい面の皮だ.
(軍事板)
この話が広まったのは,私は米海軍自体の発表よりも,下のHotWiredの記事により広く知られるようになったためと考えている.
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/1077.html
●まずHotWiredは,根本的にアンチMS指向が強い.そしてAppleの肩を持つ.
また,全体的に文系的(乱暴な表現だが)な傾向が強いのは兎も角,技術的な知識や能力が足りない.
HotWiredに似た所も有るslashdotも,同様にアンチMSの傾向を持つが,技術的,論理的な整合性を重んじている.というか,HotWiredはこの点を軽んじている.
さらにこの記事自体,書いたものがネットワークの知識に疎いか,でなければ意図的にWinNTに悪い印象を与えようとする意図で書かれたと考える.このような事はHotWiredの記事ではよくある事だが.
このようなバイアスが有るこの記事でも,ちゃんと読めば,この問題の真の原因は理解できると思う.
●この問題の責任は,MSよりも軍と開発サイドに有る.
これは既に述べられている通り.
たしかにMSは営業で「WinNTは堅剛」等と売り込んだろう.
しかしこのような,自社製品に優越性が有るというような売込みは,あらゆるもので行われている.
個人的には当時(97年)のWinNTは(一般に)信用しがたく問題が多いものだと思うが,この自体の責任は,採用を決め開発をした側に有る.
●WinNTは,この船のどの部分にどのように導入されたのか?
>市販のパソコンを使い,これまで乗務員が行なってきた業務を自動化するもの.
と記事にはある.
しかし肝心の「具体的に何を自動化するか」は書かれていない.
技術的に問題あり,という文意の記事ならばこれは欠かすべきでは無いのでは?
>LANで動いている16台のコンピューターのうちの1台のアプリケーションに
>不良データが送り込まれたことだった.
>このデータには,あるべきでないところにゼロが含まれていたため,
>ソフトがゼロで数字を割ろうとしたときにバッファがあふれ,
>ネットワーク全体がクラッシュし,その結果,
>船の推進システムが制御不能になってしまった.
(注:ここでのコンピュータとは,下に有る通りPCである)
まず疑問に思うのは,WinNT「自体」は,堅剛さが要求されるハードウェアを,確実に高いリアルタイム性で直接制御するようなモノでは無いと思うのだが.
通常はLANによって制御される,別の独立性の高い推進制御システムが必要なのでは?
この推進制御システムは,LANがクラッシュしても巻き込まれない独立性と堅剛性,そしてダウンした最には確実,即座に復旧する能力が必要だ.
そして,通常これを制御するLANが不能になった時,即座に推進システムをコントロールするバックアップの推進システムの制御系も必要だ.
最低限,このスマートシップという新しいシステム部が不能になった場合,このシステムを導入前のような形で運用できるように切り替えるられるようにしておくべきだ.
(そうなっていたか,それが可能だったかは解らないが)
一系統のみのLANにより制御される推進システム,そしてそのLANのダウンのみで制御システムが不能になるという設計の方が間違っている.
この部分の方が,LANのネットワークOSよりも先に直すべきだろう.
私はこのようなシステム設計は狂っているように思えるので,内容自体の方が間違っている可能性も高いと思う.
●この問題がおきたのは「テスト中」で制御不能になったのは「2時間半」
>「2時間半というもの,船はいわゆる『水の中で死んだ状態』になってしまった」
>ヨークタウン号は新しいシステム『スマートシップ』をテスト中だった.
超大型タンカーは,機関停止から実際に静止するまで30分以上かかるものも有るそうだが・・・
いくら制御不能と言っても,手動で機関停止は出来る.
このシステムの導入決定,設計,構築等は,かなり悪い状況のようだ.
しかし「テストにおいての」「2時間半のダウン」というのは,個人的にはまるで大した事では無いと思う.
ネットワークにしろプログラムにしろ(これらは軍民問わず)テストを繰り返して実践配備となってから,大きな問題が出てしまうというのは良く有る事だ.
(プログラムやネットワークだけでなく,兵器もだが)
アマチュアでも,プログラムやネットワークに関わった者ならば大抵知っている事だ.
またこのような事は,このような記事を書く者ならば知っているべき事だと思う.
この記事でのヘッドラインは,この二点を意図的に無視する事により,「通常の運用をしていた軍艦が大きなトラブルを起こした」と読ませたいかのように思えるのだが.
【質問】
なんかの本で,アメリカ軍のイージス艦のイージス・システムは68030プロセッサ4基で動いてるとか言う話を聞いたんですが,ホントにそんなアホなんですか?
だって,マックで言ったらIIciとかだよ?
【回答】
初期のイージス艦(タイコンデロガ級)では68030プロセッサを使うUYK-43が4台と,UYK-44(計算能力は0.9MIPS!)を23台使用していました.
ただ,システム・デザインが上手く行けば,能力の低いコンピューターでも,相当な仕事をこなせます.人類を月に送ったのは確か8ビットコンピューターだったかと.
ちなみに,これらのシステムは民間のものに比べ,はるかに対衝撃性や温度・湿度変化に強く,平均故障時間間隔が2000時間程度を確保していました.
現在のイージス・システムのソフトウェアはPOSIX準拠に書き直されているそうで,HP-UXなどの商用UNIXが動くプラットフォーム上で動きます.
しばらく前に聞いた構成では,PA-RISCのサーバが何台かで構成されていたと思いますが.
概して軍使用のCPUは,オタクのゲームパソコンに比べるとしょぼい事が多いです.
開発開始から配備まで20年かかるのが普通.
プロト段階で使用しているパーツをむやみに変えると設計変更が面倒になり,低率生産段階で使用しているパーツをむやみに変えるとトラブルにつながりかねない.
例えばCeleron400あたりを前提で作られた軍用品を,Atholon64X2に変えたりしたら,電源も替えないと作動不良が出る,廃熱を考慮しないと信頼性が落ちる,
メモリーが付いて来れない,そもそもソケットからチップセットまで変更が必要などいろいろひっかかりが出てきます.
そこで,ひとまず仕様通り動いているならそのままでいいじゃん,と言うことになります.
軍事板
【質問】
ミサイルの飽和攻撃でイージス艦を撃沈することは可能?
【回答】
理屈の上では可能.
しかし実際には,イージス艦だけでなく,他の艦艇(いた場合)の個艦防御システムにも迎撃されたりするから,飽和攻撃っても全部が有効弾になるわけでもない.
母数が一定以上多ければ,対応できる限界を超える.
ま,地上発射にせよ,航空機の発射にせよ,一番の現実的な問題は例えば航空機搭載ASMで搭載数2発の場合,200発で飽和攻撃するなら100機で攻撃隊を揃えなきゃならず,しかも攻撃隊だけで100機.
護衛機とか,全部の航空隊を運用する支援機材とか大変な規模になり,それを満たせる国あるいは状態ってのはそうそうあるもんじゃ無いって事だね…
それ考えると,F-2のASMを4発搭載って,ほんととんでもない仕様要求なんだな…
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
イージス・システムが搭載されているからイージス艦らしいけど,現実的に可能かどうかは置いとくとして,イージス・システムさえ搭載していれば,イージス爆撃機とかイージス歩兵とかというのも存在できると言うことですか?
【回答】
「陸上イージス」などと妄言を吐いてた奴が居たが
「イージスを歩兵に搭載しろ」
などと驚天動地な事を言ったのは,君が初めてだよ.
できません!
初心者をバカにする気は無いが,ものには限度というものがある.
そもそも「イージス・システム」がMacやWinとごっちゃになってないか?
かみ砕いて説明すると,イージスってのはSPY-1っていうでかいレーダーと,レーダー情報を解析して目標の識別・脅威度の評価・迎撃ミサイルの割り振りを行う指揮装置と,それによって誘導される対空ミサイルで構成される,軍艦用の防空装備.
だから,サイズ上,航空機や陸上のユニットには搭載するのが難しい.
陸上ユニットや航空機の場合は,それぞれに適したサイズの別の防空システムがあるので,あえてイージスを装備しなくちゃならない必然性がほとんどない.
ゆえに,イージス歩兵とか,そういうのは出現しないかと.
軍事板
【質問】
こんな感じに,イージス・システムがミサイル発射する時,発射口以外からも火が吹いているのはなぜですか?
【回答】
あれは発射筒の底と繋がっててミサイルの発射ガスを逃がしてるのです.
もし筒の底が塞がっていると,超高温の発射ガスが筒内に充満するため,飛び出す途中のミサイルが壊れる上に発射筒自体の寿命も縮みます.
携帯ロケットからSLBMまで各種のロケット兵器に同様の問題がありますが,RPGのように後ろを吹き抜けにするとか,コールドランチといって窒素ガスなんかでミサイルを発射してから点火するとか,いろんな方法で回避します.
軍事板
【質問 kérdés】
イージス艦はVLSに格納されているのとは別にミサイルを搭載していますか?
正直,VLSに入ってるだけだと足りないと思うんですよね.
船なら補給なく数ヶ月航海させられることもある訳ですし.
【回答 válasz】
RAMやハープーンSSM等をランチャーとして搭載してる例もあるけど,基本的にはVLSが全て.
アーレイ・バーク級のVLSが32+64セルで計96セル.
さらにシースパローやESSMのような小型対空ミサイルなら1セルに4発収納も可能.
これを全部射ち尽くすような状況って,どんな激戦だよ?ってレベル.
▼ で,ね,VLSにしたことで搭載量はむしろ増えてるのよ?
質問者はイージス艦のミサイル搭載量について心配しているようだが,その搭載量増加の試みの表れがVLS化だと言える.▲
同じクラスでVLSと従来型ランチャーの違いがあるタイコンデロガという格好のサンプルがあるけどさ,退役した従来型ランチャータイプの艦は,前後それぞれの発射機に各44発で合計88発.
これがVLSになると前後それぞれ61発積めるから合計122発.
4割近くも搭載弾量を増やすことができたんだ.
最近は再装填クレーンが非効率ってことでこれを廃止して,さらに前後3発ずつ計6発増やしているし.
一部のVLSにはESSMというコンパクトな短距離SAMを搭載しているけど,これは従来の1発分のスペースに最大4発積める.
つまりタイコンデロガはその気になれば,128×4=512発ものミサイルを搭載することもできる.
あくまでそういう能力がある,というだけで,こんな積み方はしないけどね.
軍事板,2018/04/22(日)
"5 csatornás" katonai BBS, 2018/04/22(vasárnap)
青文字:加筆改修部分
Kék karakter: retusált vagy átalakított rész
▼ まあ「122発」は,VLSのセールストークで都合のいい数字出しただけで,実際スタンダード40発積めるMk13よりも,Mk41の32セルのほうがよっぽど大きい.▲
それはもちろんMK41はスタンダードよりもっと大きいミサイルが入るようにできている一方で,Mk13はスタンダードのサイズに特化して,とにかくコンパクトに作られたからなんだけど.
軍事板,2018/04/22(日)
"5 csatornás" katonai BBS, 2018/04/22(vasárnap)
青文字:加筆改修部分
Kék karakter: retusált vagy átalakított rész
【質問】
湾岸戦争ではイージス艦からトマホークが飛んでいく映像が多く流れましたが,イージス艦の対空ミサイル搭載量を減らして,ほとんどのセルをトマホークで埋めるのは可能ですか?
【回答】
可能.
実際湾岸戦争からこの方,アメリカのVLS搭載艦はそのほとんどをトマホークにしています.
弾道ミサイル迎撃試験に就いてる艦以外は
「アスロック? なにそれ?」
ってな状態らしい.
ちなみに,セルほとんどにトマホークを入れる延長線上にアーセナルシップが構想された時代が有りました.
一つの船に大量にトマホークを載せておけば,現場の海域に張り付く艦船のやりくりが楽なはずという発想があったのです.
しかも共同交戦能力をデータリンクで実現すれば,トマホークの発射計画と,どの艦船に割り振り攻撃計画をたて,航空機の任務と調整をつけるかも楽になるという話でした.
ただし,トマホーク巡航ミサイルにしてもALCM(航空機から投下する巡航ミサイル)にしても,炸薬量からすると1t爆弾程度であり,これに加えて弾体に残る燃料の焼夷効果に弾体の運動エネルギーがあるだけなんで,偵察を十分にやりどこに撃つか攻撃計画をきっちりくまないとそれほど,意味は無いです.
【質問】
イージス艦はどうしてあんな大きな艦橋が必要なんですか?
CICなんてものがあるんだから,戦闘はレーダーやソナーを見ていればいいだろうし,付近の見張りなら見張り台に何人か置いておくだけで十分ではないでしょうか?
あんな艦橋じゃ素人目にも,ステルス性やサバイバリティでマイナスなんじゃないかと思います.
【回答】
米軍のタイコンデロガ級の場合はフェイズドアレイレーダーの配置の関係上,加えて自衛隊のこんごう型やあたご型の場合は,旗艦代行の際の司令部機能を持たせたため,艦橋構造が原型のアーレイバーク級に比べて大型化した,と言われている.
あと,周辺の視界はなるべく艦橋の高いところから観測したほうが視界がよく,レーダーやソナーだけで周囲監視が完璧にできるというわけでもない.
【質問】
イージス艦って,実戦参加したことはありますか?
あるなら,その戦果と評価はいかがでしたか?
【回答】
イージス艦の初実戦は,1984年のレバノン沖.
当時の評価については,世界の艦船2006年12月号より,藤木平八郎氏の記事『イージスシステム・開発の歩み』 から一部転載すると
――――――
タイコンデロガ装備のSPY-1レーダーの,信頼性の高い目標探知・識別能力が注目の的となった.
他のレーダーでは探知困難な,砂嵐によるクラッターや東地中海特有のダストによる,異常な電波伝搬の中で,航空目標の90パーセント,海上・陸上目標の50パーセントを確実に補足・追尾した.
――――――
――――――
具体的に高い評価を与えたのは空母航空団のパイロットたちだ.空母打撃部隊周辺の目標識別確度が上がったことで,それまでの識別・確認のための飛行回数が減少し,空母航空団の運用効率が格段に改善されたという.
――――――
とのこと.
同記事によれば,それまではテストが不振だったり,従来艦船の数倍の価格がすることもあって,議会などから批判が出ていたらしい.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
イチローとイージス艦が戦ったら,どっちが勝つの?
【回答】
以下,参照.
http://blog.livedoor.jp/michaelsan/archives/50585805.html
【質問】
イギリスやフランスはイージス艦を建造しないのですか?
【回答】
欧州は米イージス艦とは別系統の艦隊防空艦を開発しています.
現時点で欧州の防空艦は以下のような感じです.
NFR90計画┬ホライズン計画(英仏伊)
┬Type-45デアリング級(英)
VSR │ PAAMS,アスターSAM
│ サンプソンMFR,独自兵装
. (S1850M,│ S1850M │
SMART-L)│ │
│ └フォルバン級(仏),カルロ・ベルガミーニ級(伊)
│
EMPAR,共通兵装
│
└TFC(独蘭西)─ザクセン級(独),デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級(蘭)
│ APAR,SMART-L
×
└アルバロ・デ・バサン級(西)
イージスシステム,SPY-1D
│
フリチョフ・ナンセン級(ノルウェー)
SPY-1F
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