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◆◆損害
<◆海軍 目次
兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】


 【質問】
 軍艦の大破,中破,小破って,どう違うの?

 【回答】
 大破:港に戻らないと作戦続行不可能
 中破:自力で修理して作戦続行可能.ただし戦闘力が落ちている場合もある
 小破:それ以下の損害.戦闘力にはほぼ影響なし


 【質問】
 魚雷(機雷)の艦底爆発による破壊メカニズムを教えてください.

 【回答】
1.衝撃波(全方向に向かう)が艦底に達し,竜骨をはじめとする硬構造を破壊〜脆弱化する
2.爆発ガスによって生じた圧力波(全方向に向かう)が艦底に達し,さらに破壊を加える
3.爆発ガスの塊が到達し(当然上方向のみに向かう)痛めつけられた艦底を持ち上げて壊す
4.爆発ガスが抜けて艦は下に落とされる.

1.,3.による破壊が主.
www.fas.org/man/dod-101/sys/land/docs/warheads.pdf のp.12Mineの項,
www.fas.org/man/dod-101/navy/docs/fun/part13.htm の13.4.1.2の項参照.


 【質問】
 現代の艦艇は装甲が無いに等しいし,防御は滴の対艦ミサイルをこちらに届く前に撃ち落とす方法でやってるようですけど,対艦ミサイルが当たっちゃったら,それが不発でも無い限り,ダメコンしても無意味な感じなんでしょうか?

 【回答】
 ダメコンに成功すれば沈まないし,無意味って事は無い(例:イラクにエグゾゼの誤射喰らったスターク).
 フォークランド紛争での駆逐艦「シェフィールド」とか,それなりの大きさのフネが対艦ミサイルで沈むようなのは,ダメコンに失敗した場合.

 ただし沈まなくても長期にわたり行動不能になるから,戦術面では昔ほどはダメコンに意味は無い.
 復帰するころにゃ海戦は終わってるしな.
 ただ,人的損失は少ないほうがいいので,そういう意味の意味はある.

 事故やテロってんなら普通にダメコンは重要.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第二次大戦時,多くの空母や戦艦が,弾薬の誘爆や航空機燃料の引火で沈没していますが,現代の艦船は,そういうことにどのような対策をしてるんでしょうか?
 WW2時にはしてなかったけど現代ではしている,という対策があったら教えてください.

 【回答】
 燃料については,ガソリンを使用しなくなっていますので,レシプロ時代のガソリンのようには引火,爆発はしません.今は航空機の燃料はみんなジェット燃料ですから.

 弾薬については「IM」(Insensitive Munition,低感度弾薬)が普及しつつあります.
 第二次大戦後も空母だけでも1966年オリスカニ,1967年フォレスタル,1969年エンタープライズ,1981年ニミッツと弾薬の事故による爆発で多大の人的,物的損害が発生しており(上記4件合計で死者220名,負傷者702名,損害金額200億円以上),IMに対する要求は非常に強いのです.
 IMの性能は加熱,銃撃,破片衝撃,装甲板スポール衝撃,成形炸薬ジェット衝撃,殉爆(隣接する弾薬の爆発による誘爆)によって評価され,火災や落下,被弾によって大きな被害が出ないような爆薬成分,および弾薬の構造が開発,実用化されています.

 また,自動化が進んで,弾薬庫に的確に注水,消火ができるようになっています.

(system ◆systemVXQ2他)

 【質問】
 撃破と撃沈の違いって何ですか? 沈むか沈まないか?

 【回答】
 撃破=少なくとも戦闘続行が困難になる程度の損害を与えた
 撃沈=沈没するのを確認した

 大破・中破・小破のうち,小破程度では「撃破」とは言わない.


 【質問】
 艦隊の司令長官や艦長などが,自艦の沈没を余儀なくされた場合,退艦のタイミングはどのように決めているのですか?
 不利とはいえ,まだ戦えるうちに逃げ出したり,兵を差し置いて脱出するような行為は,責められることもありますか?

 【回答】
 主機の大部分が水没とか,
火の海で鎮火の見込みなしとか,
停電で排水ポンプが動かず,
傾斜が危険域に達しそうなのに回復の見込みなしとか,
駆逐艦などが爆撃で大穴開いて機関部全滅とか,
継戦どころか浮かぶのも難しい時は退艦命令を出す.
 曳航が可能な場合は,必要な人員だけ残し,他の者は別の艦に収容.
 敵の攻撃が激しく,曳航できない場合は総員退艦してから,別の味方の艦が雷撃などで処分する.

 なお,艦長の退艦は乗組員全員が退艦し終わってから,ということになっている.
(たまに艦底近くの機関部要員に退艦命令が届かず,取り残される例もあるが)

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍艦では退艦命令が出ない限り,誰がどう見ても沈没は確実な状況であっても,絶対に船を離れてはいけないんですか?

 【回答】
 救命ボートの数には限りがあるしね(一応,乗組員全員乗れるようにはなってるが)
 勝手に飛び込んだり救命ボート下ろされると,まだ残ってる人が困る.

 ただ,指揮系統に致命的なダメージを受けていて退艦命令が出せない(艦長とか,命令出せる人が既に死んでるとか)の場合は,その場に居る乗組員で階級が一番上の人間が,代わって退艦指示を出すことはあるだろう.
 まあ普通は,そんな状況になる前に誰か指揮できる人間が,指揮できるうちに命令を出すだろうけどね.

 余談ながら,退艦命令が届かず(命令系統が寸断されて),一部区画に残されたまま他の全員が先に脱出してしまった,という類の例は過去いくつかあるそうだ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍艦が戦闘で大破して総員退艦って事になった時,機密書類を処分しろという命令が出て書類を燃やすシーンはよくあるシーンなのですが,あれは具体的にはどんな書類を燃やすのでしょう?
 暗号表,総司令部からの作戦通達内容などかなと思うのですが,他にありますか?
 後,軍民限らず船の船長,各部署の責任者は航海日誌を書いていると思うんですが,これって燃やすんですか?
 それとも何としても持ち帰って反省材料に使うんですか?

 【回答】
 軍艦に限らず商船でも,暗号表は処分します.
 また,軍関係の作戦書類についても処分しますが,航海日誌については処分せず,持ち帰ります.
 もし,彼等が生き延びて本国に帰ることが出来れば,船の喪失に関する報告書を提出する必要がある為,航海日誌は欠かせませんので,これは余程のことがない限り持ち帰ります.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 艦長(船長)は船と運命を共にするといいますが,必ず死ぬんですか?

 【回答】
 よく聞かされる文言ですが,法的には間違っています.

 ただ,現在の船員法では船長は船と乗員乗客,船荷が危険にさらされた場合,その救助に必要な手段を尽くさねばならないと規定されています.
 法でも予定されているのは,板子一枚下は地獄という状況ですから,船長は当然船内にいて,全ての指揮をとらねばなりません.
 その結果として,命を落とすことも十分にありうる,そこまで暗黙裡に厳しく状況を予定していると言えます.
 ですが,かならず自決,殉職を勧める法などありません.
 この場合も救難活動がすべて終了した後,航海日記を持参の上,海難審判や軍法会議,一般裁判などの陸上での司法を,従容として受けることを求めていると解釈すべきでしょう.

 船員法は国内法ですが,ほぼ条文において世界中で共通の法を施行されている法律ですので,たとえ外国にあっても,同じ法解釈になります.

 軍艦の艦長の場合も同じで,たとえば自衛艦服務規則で,艦長は最後に退艦するべしと,より具体的に噛み砕いて書いています.

 ただ,海軍の場合,軍艦艦長という職責(通常海軍大佐)は多くの海軍士官にとっては,出世すごろくの上がりという側面があります.
 たとえば,帝国海軍の菊の御紋章付きの艦の長になって,無事職責を全うして,後任艦長にフネを引き継ぐ事が出来た場合,仮に将官に昇級せずに予備役に退いたとしても,海軍軍人としては成功者とみなされました.
 しかし,たとえば戦闘あるなしを問わず,在任中に艦を喪失する羽目になった場合,それは船乗りとしても耐えがたいだけでなく,引き継ぐべき艦とポストを喪失させたという自責の念と,他からのプレッシャーは想像に難くありません.
 特に平時の座礁など,彼の航海指揮能力もわずかなりとも影響したような出来事の場合,多くの艦長は目の前で,人生がガラガラ崩壊する様を想像したに違いありません.

ゆずこせう in mixi, 2012年01月16日13:21


 【質問】
 軍艦が沈みそうなとき,最後に退艦するのは艦長だけか?

 【回答】
 良く知られていないんですが,艦艇では電信員長・暗号員長も,やはり最後までフネに残る必要があります.
 電信員長は「最後の通信」と呼ばれるフネがどこで沈んだか,どのような最終状況であるか,という情報を打電するため,暗号員長は暗号文書を破棄し,その他機械暗号機を破壊するため,沈没寸前まで残留して任務を果たします.
 当然,通常の脱出通路は使用できないので,直接外に抜けることができる「脱出口」というのが電信室には備わっているのですが,最近の艦艇は電信室などのvital part を艦内に収容する設計なので,脱出口の先は隣接区画だったなんて間抜けな話は良くききます.
 このあたりも人命軽視・設計優先という感覚が肌で感じられます.

 海自艦艇では実際に「最後の通信」を行った例はないんですが,青函連絡船の通信士が沈没寸前に,大傾斜角の中で通信機にしがみつきながら最後の通信を発したのは有名な話です.

(海の人 in 軍事板)

海上自衛隊の総員離艦安全守則
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 艦橋が破壊された艦は,どうやって戦線から離脱するのでしょうか?
 例えば,サボ島沖の海戦で青葉が艦橋に砲撃を受け,五藤少将以下幕僚が戦死していますが,艦自体は煙幕を張って後退しています.
 艦橋が破壊されても機関室が無事ならば,船を動かせ得ることは分かりますが,窓もない機関室からでは周囲の状況が確認できず,どの方向に後退すればよいか分からないような気がするのですが.
 例え,他の場所から周辺の状況を聞いて船を動かしたとしても,艦橋以外の場所にはエンジンテレグラフがないですよね?
 となると,どれだけ速度を出していいのか,機関員が分からないのではないでしょうか?

 【回答】
 艦橋など主な指揮系統が破壊された軍艦の場合,艦内で生き残った最上位の兵科士官が指揮を執ります(日本海軍の場合.他国は知らんが他に方法は無いと思われ).
 大型艦の場合は,指揮系統が一度に壊滅しないよう,前部・後部に指揮所を持つ場合が多く,前部が破壊された場合は後部より指揮を執ります.
 また,艦橋が破壊された場合でも,艦長以下上層部全滅となるとは限らないので,その場合は生き残りの中で最上位の兵科士官が,可能な限り艦橋機能を復旧させて指揮を執ります.

 なお,例えば司令部が乗艦しているフネの場合,司令官や参謀など司令部スタッフには艦への直接指揮権はありませんが,例外的事例として第三次ソロモン海戦で艦橋機能を一時喪失した戦艦「比叡」において,それが復旧するまでの間,第11戦隊の通信参謀が指揮を代行した事もありました.

 戦史の中には艦橋どころか,雷撃で真っ二つにされて艦の前半部を沈められる例もありましたが,大抵の場合において,生き残りが,残った艦後半部の無事な部分から指揮を執り,機関が無事であればどうにか帰還しています.


 【質問】
 時々「被害担当艦」という言葉を見かけるのですが,検索してもイマイチちゃんとした定義にひっかかりません.
 被害担当艦とはいったいなんなのでしょうか?

 【回答】
 艦隊において敵の攻撃を一身に受ける役目の艦.
 結果的に艦隊全体の被害を小さくする事を目的とする.
例:レイテ沖海戦における武蔵

 で,それが転じて軍事板では
「センセーショナルなスレッド・タイトルをつけることによって,他板流入組や厨房による被害を一身に受けるスレッド」
の事を指す事もある.
 たいていは,厨房が建てた痛々しいタイトルのスレッドが,被害担当艦として利用される.

 ただし昨今の「被害担当艦」のありようについては,以下のような辛辣な意見もある.

――――――
 「被害担当艦」という言葉,軍事板でよく見かけましたけど,既に被害担当艦が囮として守るはずの艦隊そのものがズタボロだったりするので笑えますね.
http://twitter.com/M_A_Suslov/status/49748175724101632

 「被害担当艦だから何をやってもよい」的に,いつの間にか僚艦に弾丸をばらまいてますね.
http://twitter.com/M_A_Suslov/status/49749561954148352
――――――


 【質問】
 沈没と撃沈と撃破と「ごうちん(?)」って違う言葉なんですか?

 【回答】
 沈没は沈むこと.
 撃沈は沈めること.
 撃破は一定以上のダメージを与えて戦闘能力を削ぐこと.
 轟沈は一発の爆弾などで1分以内に沈むこと若しくは沈めること.

 つか,まず,それぞれの言葉を辞書サイトで検索してみろ.

軍事板

(朝目新聞より引用)


 【質問】
 軍艦が行動不能になったらキングストン弁抜いて自沈するそうですが,なんで自爆して相手を巻き込まないんですか?

 【回答】
 自爆して相手に巻き込むには,操船するために乗員がいる.
 神風特攻なら独りで自爆できるが,船では多数の乗員が必要.

 また,たとえ弾薬庫満杯の弾薬があった――それで沈没寸前ってどういう状態なんだという突っ込みは置いといて――としても,それによる加害半径はめちゃくちゃ小さい.
 船の耐爆圧能力をなめちゃいかん.
 原子爆弾クラスの数十万トン(普通の戦艦でも一千トンクラス積むのでやっと)の爆薬を満載し,それを爆発させても,精々半径5kmぐらいの船にしか致命的な損傷を与えられない.
 これが海上ではどのぐらいの”狭さ”であるか,少し考えればわかるでしょう.

 さらに,行動不能になった時点で,目標まで移動できない上,たいてい戦場から離れた場所になってるので,自爆しても意味がない.
 近代戦だと特に.

 したがって行動不能になった船は(状況として可能であれば),仲間の船に雷撃か砲撃をしてもらい沈めてもらう,ということになる.
 損壊が修理可能な程度なら,僚艦に引かれて本国に帰るのだろうけど.

 日本海軍ではソロモン海の戦いだと,行動不能になったら,たいてい自沈.
 動けても近くの泊地(ショートランドなど)に戻れそうにないときには,近くの島に座礁して艦を放棄した

 なお,キングストン弁は自沈専用の弁ではないので,念のため.

軍事板
青文字:加筆改修部分


◆◆◆自然災害


 【質問】
 海の真ん中におる軍艦は,津波受けても大丈夫なの?

 【回答】
 津波は,外洋では波高1m程度の波に過ぎません.だから,全く影響なし.
 ただ,波長が普通の波が大きいものでも3〜5mに過ぎないのに,津波の場合は30kmとか50kmもあって,それが海底が浅くなるに従って波長が短くなって代わりに波高が高くなります.
 そのため,沿岸では波高が何十mにもなって大被害が出ることがあります.

 潜水艦の場合も,津波は表面波なので影響をあまり受けません.
 浮上航行中の潜水艦であっても,波と一緒に動く限り,それほどの損害は受けません.

 ちなみに,「津波」と呼ばれるのは,外洋では何ともないのに,港(「津」)では大きな波となることからです.


 【質問】
 津波警報が発令された時,係留中の艦艇はどうするのですか?
 津波くらいでは艦はびくともしないのですか?

 【回答】
 時間的に可能だったら港外に退避.
 時間的に不可能だったら・・・波が向かってくる方向に艦首を向け,なんとかやり過ごす.

 軍艦でも何でも,どんなに大きい船でも津波で転覆する時はする.
 転覆しなくても,岸壁に激しく打ち付けられれば,かなりの損傷を受けることになる.

 また,場合によっては波に運ばれて陸に打ち上げられてしまうことも.
 こうなると海に戻すのが大変になるし,変に陸に乗り上げると自重に船体が耐えられずに破壊されることも.
 スマトラ沖大地震の時も,津波に運ばれて完全に陸地に乗り上げてしまった軍艦が出た.

 軍艦は基本的に,普通のフネより波に弱い.

軍事板



 【質問】
 なんで軍艦は普通のフネより波に弱いんですか?
 軍艦って頑丈なイメージがあるのですが.

 【回答】
 軍艦は戦闘が目的であって,海を快適に移動する為のフネじゃないから.
 頑丈である事と凌波性能はあんま関係ない.

 ただし,軍艦としての任務を果たすに当たって,天候による影響を受けずに済むように「設計に盛り込む」ことは行われる.
 雨風で武装が使えないだのヘリが降りれないだのでは困るからだ.
 これは「快適さ」とは直接の関係を持たない.

 軍艦は重い武装や大量の電子機器を載せたり,高い速度を出したりしなきゃならん関係で,設計に制約が多い.
 たとえば有効乾舷を高くすると,当然だが幅が大きくなる.
 幅を大きくすると速度を稼ぐ為,全長も大きくしなくてはならない.
 すると「軍艦としての任務を果たす」上では不必要なほどに大きくなる.

 ただし,乾舷をどうするとか喫水が云々というのは用兵者の要求に従うわけで,イギリスの軍艦は乾舷が高く居住性を重視したし,アメリカの原子力空母の喫水は11メートルを超える.
 民間船は吃水を深くした場合,沖係りにして艀を渡せばいい
 これはタンカーでも客船でも同じ.
 重い武装も高いマストに載せる電子機器も,「軍艦というカテゴリー同士の比較であれば」設計の制約の話も出るが,商船との比較であれば,建造単価の違いが制約を緩くする.

 加えて,軍艦は商船に比べて余剰浮力が少ない.
 後,空母は重心位置が高いので,同程度の民間船に比すると波浪に非常に弱い.
 ただし,商船であれば船体を放棄するするような損傷であっても,経済性を無視した価格相応の隔壁の数を備え,応急にあたる乗組員も文字通り桁の違う軍艦の方が,一般的に生残性は高い.
 そもそも商船は事故に遭わないように運行するものであり,損傷を前提に能力を維持しようとする軍艦とは違う.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現在台風が九州に上陸していますが,このまま行くと日本海を直撃します,
 こういう台風の場合,軍艦は港で待機してるんでしょうか?

 【回答】
 小型の艦艇(魚雷艇レベル)なら岸壁にしっかりと固縛するか陸揚げするが,ある程度の大きさのある艦ならむしろ港から出港させて,波の静かな湾内に錨を下ろして待機させる.

 台風の直撃を食らったときに岸壁に係留していると,高波や大波に煽られて岸壁に激突する恐れがある.
 またフネ同士が密集して停泊していると,お互いに衝突の危険も.

 これは軍艦でなくても同じ.


 【質問】
 現代の軍艦って嵐で沈んじゃったりするんでしょうか?
 どんな気候でも問題なく活動できるんですか? 

 【回答】
 嵐にも色んな規模があるので,無茶な嵐は気象情報を元に迂回します.
 海面の状態や嵐の規模を表すシーステート(sea state 風浪階級)という概念があって,その軍艦が任務を果たすためには,どの程度のシーステートに耐える必要があるかを検討し,それを元に艦船の設計が行われます.

 海自の護衛艦だとシーステート5(平均波高 2〜4m)まで行動可能とされています.

 ちなみに「シーステート9」というのは平均波高14m以上という異常事態です.
 こんな異常な嵐に耐えるために,装備品を削ったり,建造コストをアップさせたりしても意味がないですよね?


 【質問】
 現在,アメリカでは超大型ハリケーン「カトリーナ」の大規模被害が発生しています.
 これを見ると,映画パーフェクトストームを連想してしまうのですが,もし,パーフェクトストーム級の嵐で映画中に登場する,漁船を沈没させた超巨大高波を空母キティーホークが受けた場合,どのようなことが起こるのでしょうか?
 キティーホークと言えどもやはり沈没してしまうでしょうか?
 沈没を免れたとしてもなんらかの非常事態に見舞われてしまうでしょうか?
 それとも全く何事もないようにびくともしないのでしょうか?

 【回答】
 大型船舶は高波を受けると,場合によっては捩れやせん断の応力が船体に掛かるので,内部の構造物がその応力に耐え切れなくなると大変なことになる.戦前の第四艦隊事件がその例.

 現代ではういう事態を考慮に入れて,ある程度安全係数を取って設計,建造しているので設計通りに作られているなら,大丈夫なはず.

 2005年4月16日,クルーズ客船「ノルウィージャン・ドーン」(92,250総トン)が,ニューヨーク発のバハマ・クルーズの帰途,大西洋上で同船を20mの大波に襲われました.
 その際に受けた被害は,
・上部2デッキ船首部で船窓破損
・キャビン62室浸水
・軽傷者数名.
 それとクルーズのキャンセルが若干名.

 日本でも1997年7月26日,新造間も無い大型貨客船「やまと丸」(九州急行フェリー 8,015総トン 全長156m 航海速力20,8kt)が,和歌山県沖約20kmで台風9号の接近に伴った大シケの海上で,高さ18mの大波に襲われ,船橋操舵室前面の船窓1枚が破損.
 そこからの浸水により船長を始め3名の船員が死亡,3名が負傷しました.
 当時の現場付近の天候は雨,風力30m,うねり7m〜10mでした.

 今回のハリケーンでは,戦艦アラバマが傾いていた.
 で,そこから考えると,沈没はしないと思う.

 あと,波の間隔と船体の長さがちょうどいい感じになると,波で船体が持ち上げられて,そして落ちることで船体にもダメージが出る.

 まぁ,これは民間船の話だから軍艦ではどうか分からない.

(軍事板,
とある客船好きinFAQBBS


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