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「Togetter」◆(2011/01/30)セラミックス装甲板に関するTL抜粋
「紅茶が好きなcolo256がなんとかReport」◆(2011/02/28)wikipediaはしばしば,間違う 爆発反応装甲編
「下総ミリタリースクエア」:(2010-01-12)防衛技術シンポジウム2009 「耐弾用金属基複合材(MMC)」
【質問】
現行主力戦車の装甲って基本的に何で出来てるんですか?
国によっても全然違うもんなんでしょうか?
拳銃で根気よく何年も撃ち続けたら,戦車の装甲に穴は空きますか?
【回答】
最重要機密なので詳しいことは不明です.
鋼・セラミック・チタンなどを組み合わせたものといわれています.
当然,国によって大きな差があり,アメリカなんかは劣化ウランを装甲材に使用しています.
以下,その主なもの.
●拘束セラミック(軽い,高価,技術力ないと紙同然)
非常に密度の高く均質な特殊セラミックを,チタン合金性の頑丈な箱でぎゅうぎゅうに締め付けたもの.
●劣化ウランプレート(重い,やや安価,専門の加工技術が必要)
ウランは非常に重く硬い金属なので,素材の性質を活かして装甲板にしたもの.
●無拘束セラミック(軽い,やや安価,技術力もそれなりに要求される)
ちょっと旧世代の装甲で,セラミックのタイルを並べたもの.
鉄弾芯APFSDS程度に対応した防御力しかなく,硬い反面,脆いというセラミックの欠点を解決できてないが,高度な拘束技術は必要とされない.
●空間装甲
2つの装甲板の間に何もない空間を置き,HEATに対応した装甲.
●鋼板
そのまんんま鋼の板.基本的な装甲だが奥は深い.
現代の最新戦車では,さすがに単体で正面装甲に使う猛者はいないが,昔はこれが当たり前だった.
表面をレーザ等で熱処理した表面硬化装甲や,均質に硬化した圧延鋼板などがある.
浸炭処理など細かい技術を挙げれば数知れず.
●複合装甲
数種類の装甲を重ね合わせたもの.
「鋼板+拘束セラミック+鋼板」など.
正面装甲では割と当たり前に使われる.
●その他
いろいろ.とにかく色々あるので挙げきれない.
車体に爆弾(弁当箱)とりつけたり,網で覆ったり,エンジンや工具箱まで装甲に利用したりアイディア勝負.
最近じゃアクティブ防護システムなんてハイテクも考案されてるが,低シグネチャ化と喧嘩するのが痛いんだよね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車の装甲って重いもんなんですか?
というか何で出来てるんですかね?
よくSWATだったかSATだったかが,突入して撃ち殺されるって話をニュースで聞きますが,そういうときに装甲持ってれば死なないで済むと思うんですが.
SWATもSATも軍隊じゃなかったかもしれないけど.
【回答】
古典的には鋼鉄,それも10cmとかすごい分厚い鋼鉄の板を使ってる.
だから敵の砲弾や鉄砲の弾が当たっても跳ね返す.
穴が開いたり割れたりもしない.
そんな分厚い鉄板で巨大な戦車を覆ってるから,数十トンもの重量になる.
とりあえず,釣具屋に行って鉛の重りを持ってみれば,ずっしりわかると思う.
余裕があるなら貴金属店に行って,金を10gでもいいから持たせてもらうと,金属のずっしり感がわかる.
現代の戦車の装甲はセラミックなどだ.
詳しいことは機密.
SATやSWATも,ある程度のプロテクターは身につけてる.
防弾の技術はこの30年ほどで飛躍的に向上しているよ.
でもライフルを完全に食い止めるのは重量的に厳しい.
全身を包んだら動きが鈍くなるし.
まあ,戦車の装甲には遠く及ばない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
セラミックス装甲の性能に優劣はあるんでつか?
レオ2は優秀だがT-64はモロイとか
【回答】
セラミックス装甲と言っても,それだけを使ってるわけじゃないので,
総称して「複合装甲」の一種になるのが基本かなと.
90式戦車にしても, セラミックスの外枠で圧縮して強度を保っている(と言われている)金属
部も装甲の一部と呼べるだろうし.
んで,複合装甲にはピンからキリまであるのは良くご存知のとおり.
レオパルド2A5~の装甲強化等は,純粋に強さを稼ぐよりも,つまらないRPGの直撃弾で正面装甲が弱るのを防ぐとか言う説もあるし.
絶対的な強度そのものは,装甲の性能としては1つのパラメータでしか無いのが現状かも.
あとはいかに軽く,汎用的にするか,みたいな.
セラミックスのモジュール装甲を採用している(といわれる戦車)には,
他にルクレールがあるけど,あれは破損部だけ取り外しが可能という運用上の利点がある.
けど,破損時に変形して取り外しが上手くいかない
or ボルトごと吹っ飛んで役に立たないという説や,そもそもフランスはセラミックバルク(つまり装甲の一塊)を大きく出来ないから,モジュールに分割して強度を保ててないとか言う話がある.
ロシアは,T-90およびチョールヌイ・オリョールなど最近の戦車では,劣化ウラン複合装甲に方針を転換している.
さらに爆発反応装甲や対戦車ミサイル迎撃システムで防御力を補っている.
もともと日本のセラミック技術は高い.
今なら90年代頭と比べて飛躍的に質が性能向上したものが作れるらしい.
あと,90式も生産時期によって装甲の中身がいいやつになってるとかなってないとか.
日本も含めて各国,信念に応じた装甲をつけてるから,優劣をつけるのは現状では難しいと思う.
【質問】
拘束セラミック複合装甲って,どういう構造の装甲なのでしょうか?
【回答】
セラミック板を鋼などでできた容器に密封したもの.通常,いくつもの拘束容器に分け,タイル状に並べて装甲面を形成する.
着弾によるセラミックの破壊が容器内に留まるため,隣接する箇所の装甲が無傷で済み,修復も容器をモジュールで取り替えれば済むという長所と共に,貫通体に対して,破壊されたセラミックが容器から出られないため,貫通体の射入口に回って行かざるを得ず,貫通体の侵攻を抑制すると共に運動過程で貫通体を損なう効果も得られる.
一般に装甲の強度は素材自体の強度と共に,その背後にあって素材の運動を妨げる構造の強度にも大きく影響される.
【質問】
ERAの爆発などで,複合装甲は痛んだりしないのでしょうか?
【回答】
流石に複合装甲はそこまでヤワじゃない.
でも,周囲の歩兵に影響するし,重量増加で足周りに負荷をかける.
てか,西側の第3世代以降のMBTのような満足な性能のある複合装甲を持つ戦車には,ERAは付けないことが多い.
旧ソ連製のMBTや,西側でも第2世代MBTの改修に使うもんなので.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車,装甲車に取り付ける反応装甲ですが,爆発した時に周囲に金属片を撒き散らす負の側面もあると聞きます.
当然,近くに人がいれば巻き添えをくらうわけですが,この反応装甲が爆発した時,人にとって危険な距離はだいたい何メートルぐらいでしょうか?
もちろん反応装甲の種類によっても違うでしょうけど.25~30メートルぐらい?もっと?
【回答】
Military Technology誌にちょうど記事が載ってた.
ERAのタイプによるし,破片飛散距離は様々なので,一概に言えないとしているが,ERAの破片(というより前面の板)の速度は500~1000m/secに達するため,急速に減速するにしても,80~100m飛ぶことが少なくないそうだ.
一方,爆発そのものによる加害距離は,これは100~150gの爆薬が使用されると仮定すると,ひどい火傷を負わせたり,脳震盪を起こさせるのは1~2m以下だろう.
鼓膜が破れるとかだと,10m近くに達しそう.
目安として,ロシア軍はERA装備車輌と随行する歩兵は,攻撃を受ける可能性がある場合,30m以上の距離を取ること,としている.
破片がまぐれ当たりするのはあきらめるとすると,ロシアの30mという距離はでかいERAを使ってても,まあ,妥当だということになる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
劣化ウラン装甲があるなら,タングステン装甲と言うものはないのでしょうか?
【回答】
タングステン合金装甲なら,今後ありえるかも.
もともと,DU装甲を含めて重金属に頼る装甲は,重量の割に性能が悪いと評判が悪い.
それを真似た上にタングステンを使うという事は無いと考えるのが妥当.
と言うのも,純度の高いタングステンは意外にも柔らかい.融点が高い性質と,この柔らかい性質を生かし,電球(蛍光灯含む)のフィラメントなどに使われている.
しかし不純物が多くなると非常に硬くなる.タングステン主体の装甲はないと思うが.
鉄やチタンにタングステンを混入した合金は,元の金属より硬くなる傾向が多いので,鉄(主)タングステン(従)やチタン(主)タングステン(従)の合金は装甲に使われる可能性はあると思う.
ただ,タングステンは貴重な戦略物資で,金属加工用の工作機械や合金の材料などにに用いられる.
普通はこちらが優先.
大戦期のドイツでは,これが不足したお陰で,部品精度の低下や戦車の重量増に悩まされた.
仮にタングステン合金装甲が使われるとしても,それはそちらのほうによほどメリットがある場合となるだろう.
【質問】
チタン装甲が航空機以外で見られないのはなぜ?
鉄より強そうなイメージがあるのですが…
【回答】
チタン,及びその合金の一般的な素材特性は鉄の半分程度の質量で,鋼鉄並みの強度持ちます.
他にも色々な素材特性がありますが,その辺は割愛.
軽くて硬いので,許す限り重量を軽減したい航空機に施す装甲としては最適です.主構造にも用いられますが.
ただ,裏を返せば鋼鉄程度の強度しかないので,希少金属を添加した特殊鋼には強度が劣ります.
また,値段も段違いで,下手すると単なる鋼板と比較して文字通り桁違いの差が出ます.
加工も面倒で大きな装甲板を一体形成するのが難しく,酸素との反応性,融点が高い為,溶接技術も高度なものが要求されます.
重量制限が航空機より甘く,安価でより強力な装甲が施せる車輌や艦艇に使う必要性はさほど無いでしょう.
ue ◆WomMV0C2P. :軍事板,2006/05/13(土)
ue ◆WomMV0C2P. :"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/13 (szombat)
青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész
【質問】
防御の点では定評のある英陸軍の「チャレンジャー」が使用している,「チョバム・アーマー」とはどーゆーものなのですか?
【回答】
基本的な考え方は,全方向に効く特殊装甲と言った感があります.
色々な材料を組み合わせることによる,空間装甲的な味付けが総てだと思います.
決定的に違うのは,当時の材料技術の状況から,チョバム層の中に明らかに金属の層(運動エネルギ弾用)がある痕跡があることでしょうか.
あの車体にあの重さは異常過ぎます.金属を多用しない限り,あの重量を再現することは難しいでしょう.
もし最新の材料を使用することが可能だとしたら,装甲部分だけで2割から3割くらいの重量低減は理想的には可能だとは思います.
【質問】
電磁装甲って無いんですか?
【回答】
電磁装甲は英国がM-113を使用してテストしたものが有名ですが,重量,電力などのバランスが悪く,今のところ実用にはなっていません.
「電磁バリアー!」と叫んで弾を跳ね返す仕掛けではなく,空間装甲間に電圧をかけてHEATの金属流を攪乱する理屈だったと思う.
【質問】
装甲車にはアルミ装甲を採用したものがありますが,より軽量なマグネシウム合金を採用した軍用車輌は無いのでしょうか?
【回答】
外板に?
軽けりゃ良いってもんじゃないんで.
マグネシウム合金も配合物に耐熱性が上げられるが,耐弾性や剛性面でアルミに及ばない.
もう一つ.
アルミの場合,概ね同じ厚さで鋼材の1/3の重量に出来るが,鋼材と同じ耐弾性にしようと思ったら,3倍の厚さが必要.
鋼材にリブや軽め穴を配した方が軽量な物が作れる場合もあったりして,何とも痛し痒しな材料ではあるのだけれど,アルミは錆に強い.
マグネシウムの耐熱性能を上げようとすると錆やすくなる・・・.と言うのでは,全く代わりになりそうに無いでしょ.
英軍の研究では,やはりアルミかカーボンファイバー,グラスファイバーなどが軽量かつ錆び難いので軽装甲車輌向き,ただしカーボンやグラスはコストが高すぎて絵に描いた餅的な評価におちついている.
【質問】
コンクリート追加装甲っていって,戦車の装甲の上からコンクリートを敷く簡単な追加装甲があったような気がするのですが,実際,効果はあったんでしょうか?
AP弾でもバラバラにくだけちるのは必至ですが,こちらもHEAT対策だったのでしょうか?
【回答】
コンクリート装甲は,セラミックを使用した現在のセラミック複合装甲が確立する以前に,過渡的に使用された物です.
徹甲弾などの運動エネルギー弾頭の持つ運動エネルギーを,コンクリートが砕ける事で吸収させようと言う物でした.
しかし,ドイツ軍ではⅣ号突撃砲にコンクリートブロックを用いた増加装甲がありましたが,陸軍砲兵科総監では射撃試験の結果補強効果が無いことを確認しています.
また,砲弾命中時にコンクリート破片により,周囲の歩兵やソフトスキンの車輌に被害が出てしまうため,陸軍兵器局では正式にこの補強方法を禁止しています.
しかし,前線部隊ではしばしば独自にコンクリートによる補強を行ったようです.
そりゃ気持ちはわかるわな.
もっとも,「砕ける事で運動エネルギーを吸収する」と言う理論は有効である為に研究が続けられ,セラミックを装甲板で挟んだ「セラミック複合装甲」が開発されました.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE(黄文字部分)他 :軍事板,2006/06/06(火)
Névtelen őrmester ◆Sgt/Z4fqbE (sárga karakterek) és a mások : "2
csatornás" katonai BBS, 2006/06/06 (kedd)
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ちなみに土嚢の積み上げはパンツァーファウスト一発くらいなら効果はあったそうです.
しかし複数弾撃ち込まれるのが普通であるため,実質的な効果はなかったそうです.
(オスプレイのM4シャーマンより)
一方,重たくなる事自体がマイナスになる(燃費も部品の寿命も機動性も悪くなる)ため,パットンは命令として追加な物を外させています.
また,北アフリカで戦ったイタリア軍は,土嚢は50㎜以下の砲には対弾能力があるとしています.
Pak38が多く残っていた西部戦線では,それなりに有効であったのでは?と考えます.
(当然初弾のみですが)
軍事板,2006/06/06(火)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/06/06 (kedd)
青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész
▼ コンクリート追加装甲ですが,あれは磁力くっつき爆弾(磁石つき整形爆薬で,歩兵が肉薄してくっつけてピンを抜く)対策だと読んだ覚えがあります.※
主にドイツで使われた兵器のようですが,他国では主流とはならなかったため大戦後期ではコンクリート追加装甲はすたれていったとか.
※
このくだり,コンクリート装甲とツィンメリットと混同してるものと思われます.
http://en.wikipedia.org/wiki/Zimmerit
両者は別のものです.
▲
【質問】
昔はHEAT対策に土嚢を戦車の車体に積み上げたそうですが,効果の程はあったのでしょうか?
また現代ではやってるところはないでしょうか?
【回答】
土嚢の積み上げはパンツァーファウスト一発くらいなら効果はあったそうです.
HEAT弾に依る装甲への侵徹を防ぐには,HEAT弾のスタンドオフ(高温高圧のメタルジェットが効果を現す距離)を狂わせてしまえば良いワケで,土嚢に因ってスタンドオフを数cm狂わせれば,装甲に対する侵徹能力を半減させる事ができるからです.
しかし複数弾撃ち込まれるのが普通であるため,実質的な効果はなかったそうです.
(オスプレイの「M4シャーマン」より)
また,北アフリカで戦ったイタリア軍は,土嚢は50㎜以下の砲には対弾能力がある,としています.
Pak38が多く残っていた西部戦線では,それなりに有効であったのでは?と考えます.(当然初弾のみですが)
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