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撮影:ベタ藤原
「紅茶が好きなcolo256がなんとかReport」◆(2011/02/28)wikipediaはしばしば,間違う 爆発反応装甲編
【質問】
戦車に関してなのだけれど,90式戦車は自身の主砲の直撃に正面装甲ならば,耐えることができるそうです.
しかし,どこで見たのかは忘れてしまったのだが,「現在の戦車戦においては被弾=撃破」であるという記事も見たことがあります.
どちらが正しいのでしょうか?
【回答】
現代は戦車砲の威力――より正確には戦車砲弾の威力――があまりにも強くなってしまったので,昔のように
「確かに命中してるが平然と弾き返して無傷」
とか
「何発も命中してるのにちっともダメージになってない」
とかいったことが起き辛く,被弾=死 に近い様相になる.
でも90式やM1といった最新(どちらももう20年選手だけどね…)MBTは,少なくとも正面装甲なら1〜2発は喰らってもどうにか耐えることは出来るし,そのように設計される.
まぁ耐えられたとしても,大戦中の戦車のように「弾き返したヘコみを直せばOK」とか,「喰い込んだ弾を抜いて穴塞げばOK」というのは難しく,後方に送って大修理すればなんとか直るかね・・・というレベルで壊れることは避けられないが,1〜2の被弾でならそうは「破壊」されはしない.
たとえば九○式戦車の耐弾実験で,至近距離から120mm砲をいくつも撃ち込まれたにもかかわらず,自走可能な状態を保ったとされる.
これを受けて,演習では九〇式の正面に何を当てても無効判定される.
また,イラク戦争で遺棄するM1を破壊するために,僚車のM1が主砲を何発も撃ち込んだが十分に破壊できなかったという話が伝えられている.
さらにM1は,湾岸戦争やイラク戦争でT-72モンキーの主砲を何発食らっても行動不能になるだけで撃破されなかった,
同士討ちでAPFSDSを正面に食らったが平気だった
――など,その手の逸話は多い.
”撃破”というのは「一時的にでも行動不能に追い込んだ」ではあるから,
>「現在の戦車戦においては被弾=撃破」
であるというのもまぁ間違いではないだろう.
なお,現代の対戦車砲弾には,傾斜装甲で弾いて無効化という事ができない.
(ただ照準装置の発達で,撃ったらたいてい当たるようになった→初段必中って話が変化したような気もしないではない)
モッティ ◆uSDglizB3o(黄文字部分)他 in
軍事板,2009/08/08(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
艦船の防御が,装甲などの受動的なものからCIWSなどの能動的なものに変わったのに,戦車は今だに装甲頼りなのは何故ですか?
両者の考え方の違いですか?
【回答】
ロシアの”ドローズド”システムみたいに,能動的な迎撃システムもある.
ただ,地上兵器の場合能動的防御システムは
*必ずしも見通しの利く環境で戦わないので,迎撃対象を発見するのが間に合わない事がある
*車外に装備したシステムは,被弾すると一発で壊れるし砲撃の爆風等で本体が無事でも壊れたりするので脆弱性が高く,必要になる前に壊れてしまうとただの無駄装備と化す
*弾や破片をばら撒く能動的迎撃手段は,自分の周囲に味方の兵士や非装甲の車輌がいると,それらを巻き添えにするので,使い勝手が悪い
といった欠点があり,艦船に装備するCIWSの様にはなかなか使えない.
また,陸上車輌の索敵手段は何だかんだで未だに目視.
攻撃手段は火砲.
その為,遠距離から一方的に攻撃できる訳ではなく,ガチンコの叩き合いが相場となる.
そうなると,装甲がないと一発で撃破されてしまう.
水上艦艇で言うなら陸は未だに,大鑑巨砲にレーダー射撃が付いた程度だと思いね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「乳肉を増やしたいが体重は増やしたくない
よって既存の側面,背面の肉を前面に持ってきて乳肉を厚くする」
寄せて上げるブラの理屈が,戦車の装甲配分の理屈と被って見えて仕方がありません.
実際のところ,理屈としては同じと見ていいのでしょうか?
【回答】
最近は戦車が市街戦に投入され,弱点を突かれて炎上する危険が増したため,全周防御を施す動きが出ています.
無理に乳肉に見せるより,乳肉は乳肉で量感たっぷり,お腹のぽっちゃり感も楽しむ,滝沢乃南タイプが人気ですね.
そうなると体重が気になりますが,極力小型化することで体重の増加を最小限に食い止めたのが,日本の新型戦車TK-Xです.
その点でも背の低い滝沢乃南さんに似てますね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車は自らの砲を弾き返す装甲と,敵戦車の装甲をブチ抜く砲を併せ持つのが基準と聞きました.
ですが,いわゆる戦後第2世代戦車の登場時は,
攻撃力>>(超えられない壁)>>防御力
だったので装甲防御を諦めて,機動力でかわす事を目的としていたため,それこそ歩兵戦闘車の機関砲でブチ抜かれてしまいかねない装甲しか持っていない,という話も耳にして混乱しています.
それでは当然,自分自身の砲を弾き返す事など適わないと思うんですが,第2世代戦車が作られた頃は,戦車に求められるものが今と違ったんでしょうか?
【回答】
第2世代に限った話じゃないけど,防御力と機動力はバーター関係にある.
機動力を確保するため,防御力を砲塔正面などに限定し,他の部位は諦める.
特に第2世代戦車が開発されていた頃は,歩兵の機械化が進み,また,東西冷戦の激化で想定される戦場は,ヨーロッパの平野部での速度戦.
そんなわけで,硬さよりも早さを求められる傾向が顕著だった.
レオ1も74も,防護力を限定しているだけでまるっきり諦めてるわけじゃない.
砲塔正面は当時としちゃ,それなりに硬いぞ.
【質問】
現代の戦車が戦艦の主砲を食らったらどうなりますか?
砲塔正面だけで言えば,当時の戦艦の装甲に勝りますが,あくまでAPFSDSに対する性能だから防げませんか?
【回答】
まず,戦艦の主砲は,重砲と似たようなもの.
10km以上遠方から山なりで飛んでくるから,大抵は上面装甲にぶち当たる.
現代の榴弾砲でも上面に直撃すれば,戦車はただで済まない.
仮に1kmという,戦艦にとっては至近距離で撃ち合う場合でも,砲弾質量が大きいため,正面からでも戦車を撃破できる.
貫通できなくても車体の構造が持たない.
至近弾でもひっくり返ったりするかも.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車の装備する120mm砲って厚さ約1mの厚さの鉄板をも撃ち抜けるらしいですが,戦車の装甲ってその砲弾を防げるんでしょうか?
いくら戦車でも,厚さ1mの装甲を装備してたら重すぎて走れないだろう.
で,各国の現用戦車って防御面はどうなっているんでしょうか?
(90式戦車の装甲厚は20cmらしいですが,これでは戦車の主砲で簡単に貫通させられてしまう気が・・・・)
【回答】
対戦車砲弾の性能は,特定の性能の均質圧延装甲(RHA)に対して何mm分の貫通力を持つかを計算上で算出したものです.
ちなみにこのRHAは,素人の方が一番単純にイメージする類の「均質で分厚い鋼板」の装甲材ではなく,『RHA(均質圧延装甲)換算』には基準がちゃんとあります.
もしも戦車の装甲が進歩を忘れ「とにかく厚いRHA」的な発想に止まっていたのなら,たしかに砲熕・砲弾技術の進歩の前に早々と屈服していたでしょう.
実際,第二世代戦車の世代でその傾向はたぶんにありました.
そこで登場したのが「複合装甲」という従来とまったく異なった発想に基づいた装甲です.
各種砲弾の浸徹プロセスを科学的に分析し,それに対する解答としてファインセラミックや超重元素などを使い,重量対性能,体積対性能を飛躍的に高めた装甲を採用することで,「自信の攻撃力に見合った防御力」を実現することができました.
第三世代と呼ばれる世代の戦車の殆どは,こういった複合装甲を装備しており,多くは120ミリクラスの対戦車砲弾に対する十分な防御力を持っています.
(複合装甲でも結構な重量がありますので,それだけの防御力は正面に限定しています.)
たとえば90式戦車は,自身の120ミリAPFSDS弾,HEAT弾を零距離射撃で数発直撃しても戦闘可能な防御力を有している,とされます.
なお複合装甲は砲弾の種類によって能力が異なります.
この性能もRHA換算のmm単位で表現され,
対HEAT弾性能>>対APFSDS弾性能
という関係が成り立つようです.
なお,最新戦車のそれの実性能は軍事機密となっています.
カタログにも載っていません.
軍事板,2004/09/05
青文字:加筆改修部分
ちなみに以下は,「M1 TANK PLATOON」という昔のゲームゲームに付いていた資料です.
眉につばを付けてご覧ください(笑)
M1A1
砲塔前面装甲:380mmチョバム装甲/劣化ウラニウム
車体前面装甲:410mmチョバム装甲/劣化ウラニウム
砲塔側面装甲:300mmチョバム装甲/劣化ウラニウム
車体側面装甲:200mmチョバム装甲/劣化ウラニウム
後面装甲:75mm
M60A3
砲塔前面装甲:315mm(海兵隊のリアクティブ装甲つき)
車体前面装甲:260mm(海兵隊のリアクティブ装甲つき)
砲塔側面装甲:160mm(海兵隊のリアクティブ装甲つき)
車体側面装甲:55mm傾斜
後面装甲:55mm傾斜
レオパルド2
砲塔前面装甲:340mm複合装甲
車体前面装甲:340mm複合装甲
砲塔側面装甲:100mm複合装甲
車体側面装甲:100mm傾斜
後面装甲:25mm垂直
T-80
砲塔前面装甲:400mm(リアクティブ装甲)
車体前面装甲:250mm(リアクティブ装甲)
砲塔側面装甲:350mm(リアクティブ装甲)
車体側面装甲:60mm
後面装甲:45mm垂直
ロケットランチャーも載ってました.
RPG-7対戦車ロケットランチャー
装甲貫徹力
鋼鈑(垂直):300mm
鋼鈑(傾斜):243mm
鋼鈑(曲面):193mm
リアクティブ:133mm
複合:119mm
RPG-16対戦車ロケットランチャー
装甲貫徹力
鋼鈑(垂直):375mm
鋼鈑(傾斜):304mm
鋼鈑(曲面):241mm
リアクティブ:166mm
複合:148mm
ゲーム上では,対戦車ミサイルは前面装甲で受ければオッケーってな事になっていますが,無傷と言うわけにはいかず,レーザー測遠機や弾道コンピューターなど使用不能になったり,たまに車長や装填手が死傷します.
【質問】
戦車の装甲って重いもんなんですか?
というか何で出来てるんですかね?
よくSWATだったかSATだったかが,突入して撃ち殺されるって話をニュースで聞きますが,そういうときに装甲持ってれば死なないで済むと思うんですが.
SWATもSATも軍隊じゃなかったかもしれないけど.
【回答】
古典的には鋼鉄,それも10cmとかすごい分厚い鋼鉄の板を使ってる.
だから敵の砲弾や鉄砲の弾が当たっても跳ね返す.
穴が開いたり割れたりもしない.
そんな分厚い鉄板で巨大な戦車を覆ってるから,数十トンもの重量になる.
とりあえず,釣具屋に行って鉛の重りを持ってみれば,ずっしりわかると思う.
余裕があるなら貴金属店に行って,金を10gでもいいから持たせてもらうと,金属のずっしり感がわかる.
現代の戦車の装甲はセラミックなどだ.
詳しいことは機密.
SATやSWATも,ある程度のプロテクターは身につけてる.
防弾の技術はこの30年ほどで飛躍的に向上しているよ.
でもライフルを完全に食い止めるのは重量的に厳しい.
全身を包んだら動きが鈍くなるし.
まあ,戦車の装甲には遠く及ばない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
劣化ウラン弾に耐えれる装甲ってある?
【回答】
ある.
「矛と盾の矛の性能が上がりすぎたから,盾による防御を諦めて避ける事でなんとかしよう」
この思想で設計されたのが戦後第2世代戦車.
しかし交戦距離がキロ単位でも弾着まで数秒しかないので,発射炎を見た瞬間エンジン始動発進加速回避回避回避ってそれなんて神業?となって無理があった.
そこに劣化ウラン装甲や拘束セラミック装甲が開発され,矛にはやっぱり盾だよねという話になったのが第3世代.
ちなみに現在では盾の性能上がりすぎて,もっと力強い矛プリィィィィズ!ってなってますが.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車の装甲のことなんですけど,大戦中ですら100mmを超えていたのに,第二世代の装甲厚100mm強のチーフテンが重装甲といわれたりするのは何故なんでしょう?
そもそも100mmやと200mm程度なら,115mm滑腔砲が当たれば(当たれば)紙程度の厚さだと思うんですが.
大戦中と第二世代の装甲は抗弾力が別物と考えていいんですか?
レオ1とか四号戦車と変わらない80mmだし.
【回答】
大戦中の重戦車には少々ツラい事情があった.
・装甲材の粘りを出すのに必要なニッケルが不足していたので,装甲材が脆かった.
・ヒットラーが重厚長大な戦車を好む傾向があった.その上でT−34ショックがあったので,ヒットラーの言い分に逆らうのが難しくなった.
・国内の主だった橋梁の荷重限界が24tだったので,ある時期まで乾燥重量が20tを超える戦車は潜水渡河機能の装備を必須と考えた.
・車輌に使用可能なガソリンのオクタン価が非常に低かったので,余りコンパクトで優秀なエンジンは作れなかった.
と言うことで,ヒットラーの好みや脆さを装甲厚でカバーする必要性があったり,エンジンデッキ周辺が大柄に設計されたりで,信頼性を度外視したような過荷重戦車の開発に傾倒している.
で,大戦終結後,米英はもうあんなロクに使えない戦車を運用する敵と戦うことも無いだろうと考え,M26・M46やセンチュリオン(20ポンド砲)を主力と考え,それ以上の戦車は不要と判断した.
ソ連はJS4の開発,配備を進めたがやはり運用上の問題が大きく,JS3の再生産で繋ぎながら,装甲形状の変更で軽量化,冷却器によるパワーロスを改善したT10を開発している.
その過程で米英は,ソ連のJS3の性能を過大評価したために,重戦車M103やコンカラーを開発している.
その後,フルシチョフ政権下でミサイル万能論が台頭し,ソ連の重戦車の命脈は尽きていく.
(ブレジネフ政権下ではミサイル万能論は見直される.)
実のところ,戦後第2世代はこれこれな特徴があるなどと言う評論は誤り.
ほんとは各国が様々な思惑の元,東西が相互に影響を与えながら戦車を開発しています.
アメリカはT-54・T-55への対抗上,M48を改良してM60,M60A1を開発した.
イギリスはセンチュリオンの主砲を強化した.
で,独仏は機動性を重視して,余り重装甲では無いレオパルド1・AMX30を開発した.
だけど,開発中,既にT−62が危険な存在として認知されるようになり,ドイツはアメリカとMBT70の開発に乗り出している.
で,イギリスもセンチュリオンとコンカラーを統合するMBTとして,チーフテンの開発を行う.
と言うわけで,戦後もM103,コンカラー,JS4やT10,そしてMBT70など,重装甲の戦車が連綿と試作・生産されてたし,機動性重視の戦車と言っても独仏くらいで別に多数派でも無いんだけどね.
何と言うか,少数の運用に留まった西側重戦車や試作に終わった戦車は無視して,何かチーフテンがいきなり重装甲を採用したかのような勘違いするライターは,『PANZER』あたりに多いですね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
最近の戦車の装甲が,斜めになってないのは何故?
斜めのほうが,力が分散されて良いんじゃないの?
【回答】
現代の砲弾は,弾頭と装甲の接する点での圧力が鋼の降伏点圧力より高くなっており,角度がついてても食い込んでくるので,被弾経始が無意味になったためです.
着速が1200m/sを超える現在の運動エネルギー弾は,WW2時代の弾丸とは侵徹機構が全く異なります.
現在の主用戦車砲弾であるAPFDSDは高初速化により,着弾時,洒落にならない圧力がかかります.
そのため,弾丸自身もその形状を保つことができず(擬似流体と化します),消耗しながらも,装甲の中をまるでかき分けて進むように穴を穿ちます.
このような場合は,弾丸と装甲との相互作用面には無限に近い摩擦力が生じ(粘性摩擦)るため,よほどの低い角度で着弾しないかぎり,跳弾することはありません.
斜め装甲は,確かに多少の性能向上が期待出来る(かもレベルですね)とは思いますが,例えばそれによる装甲部分の加工費が5割り増しになったとして,その加工費に見合うだけの装甲強度が得られるかどうかが,デザイン的に採用されるかどうかのポイントでしょう.
私が思うには金を掛けた割には逆に性能が落ちる状況だと思っています.
ただし,M1や「チャレンジャー」,「アリエテ」などは斜め装甲になっています.90式も,上から見ると斜めになっています.
▼ 今月の「グランド・パワー」誌のメルカバの記事で,傾斜装甲に当たっても入射角ほぼそのままで,APFSDSが直進して貫通してる試験体の画像が掲載されていたが…,
faq120413ap.jpg
faq120413ap2.jpg
(http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/armor_brake/apfsdsvst62_02.jpg
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/armor_brake/apfsdsvst62_03.jpg
より引用)
……割と浅い角度のままで貫通したと思われる.
貫通痕の左側に跡もあるし,やや斜めから写した事を考えても,貫通痕は楕円に思う.
貫通痕の右にある直方体の物と見較べてみても,極端に斜めから写したのでは無いのではないかと.
表層の削れてる部分から見るに,入射角が滅茶苦茶浅く,おそらく10度あるかないかとかじゃなかろうか.
そのまま直進してたら,「楕円かどうか」なんて話題が起きようも無いほど,長い貫通痕になっている.
しかし貫通痕自体は,おそらく60度以上はある.
かなり進行方向を曲げられてるな.
内側からの写真で黒い跡が出来てる部分は,破損して砕けた侵徹体の粉末か,溶解状態の侵徹体+装甲材がこびりついたものだろう.
やっぱ屈折してるわ,これ.
(物理学的には,APFSDSの侵徹理論は「あたかも屈折であるかのごとく」だが)
垂直とまでは行かないけど,やはり被弾径始は全然役に立ってないね.
ちなみに,超高速衝突に関する論文を見つけたので,貼っておくわ.
http://staff.aist.go.jp/tanaka-katsumi/tanaka_jsme05.pdf
軍事板,2007/02/03(土)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
戦車の後部の装甲は前面,側面に比べて脆弱というケースが多いと思うのですが,これは何故?
エンジンを後部に配置したことによる,重量バランスとかの問題なのかな?
【回答】
敵弾が当たる確率が高い箇所ほど,重装甲になってます.
前面が敵に接近するときに向けるので一番被弾しやすい→一番厚い
特に高い位置で目立つ砲塔は被弾率が高いようで,装甲を特に厚くしている例も.
後部を撃つチャンスは少ないので,当たる可能性も少なく,装甲も薄くて済ませてます.
側面はその中間くらいなので,前面よりは薄いのが多いですね.
なお,帝国陸軍の誇るチハたんは,敵陣に突入して縦横無尽に暴れる想定のため,側面装甲も正面装甲と同じ厚みの25mmで,車体後面も5mm薄いだけでかなり均等な装甲バランスになってます.
改良型の一式中戦車ではかなり前面重視に変更することで,重量増を抑えつつ装甲強化をしています.
◆yoOjLET6cE in 軍事板
青文字:加筆改修部分
――――――
TUSK
2007年頃からイラクで運用中のM1A1やM1A2の一部にTUSK (Tank Urban Survival Kit) と呼ばれる市街戦など,都市環境下での運用に適応させる為の強化キットが取り付けられている.
基本キットの「TUSK I」は,対戦車兵器から発射される成形炸薬弾に対する防護を念頭に,車体側面に爆発反応装甲タイルを装備,防盾上に主砲同軸のブローニングM2重機関銃を追加,装填手用ハッチの周囲と機関銃に盾を追加,装填手用機関銃に暗視照準機を追加するなどの内容.
TUSK Iの追加キットである「TUSK II」では,爆発反応装甲タイルが瓦型の物に置き換えられ,車長用に全周防護の盾などが追加される.
また,開発中の「TUSK III」ではRWS※などが追加されるという.
※遠隔操作式の無人砲塔
――――――
TUSK IIは初めて見たが,ERAの形に驚いた!
ERAの欠点である重量増加を極力抑えた感じか,どうせ一発で吹っ飛んじゃうわけだし,米軍の戦闘情報見てもM1エイブラムスは当初の予想を反して,市街地戦ではかなりの高評価という話も聞くし,改修キットでさらなる能力増大が見込まれます.
これからの戦車は,乗員を保護する盾とRWSが主流となるか.
まったく続報がないT-95もそんな感じになるのか,それとも・・・・・
そういえば一時期話題となった新型連装自走砲コアリツィア-SVは,T-95と同じく進行状況不明だとか.
T-90も陳腐化しつつある現状を鑑みれば,陸軍としては喉から手が出るほど欲しいはずだが・・・
さてはて,どうなることやら.
CRS@空挺軍 in mixi, 2009年03月14日20:07
▼ M1エイブラムス TUSKIIには瓦式ERAが装着されていますが,その内側画像が公開されています.
恐らく瓦状の板は,小口径弾の防弾版じゃないかと.
"Абрамс" с новой броней
配線が気になりますが・・・
どういう作動するのでしょうか?
faq25c01m01a02t02b.jpg
faq25c01m01a02t02c.jpg
faq25c01m01a02t02d.jpg
CRS@空挺軍 in mixi,2009年12月09日01:57
▲
【質問】
傾斜装甲はAPDS弾を滑らせる事が出来るのですか?
【回答】
APDSは,侵徹体の径が小さい為に滑りにくく,装甲に突き刺さり易い弾頭ではあります.
ですが,必ずしも滑らないワケでも無く,入射角度によっては装甲表面を削りながら滑る様に逸れてしまいます.
また,浅い角度で装甲に刺さった場合には,侵徹体自らの持つ運動エネルギーにより中間で破断してしまい,充分な侵徹効果を与える事は出来ません.
この事から,傾斜装甲は有効であると言えます.
unknown
▼ 写真を見れば一発で分かる.
(写真引用:「大砲と装甲の研究」)
二つのハッチの間に溝が二つ並行して走ってるのが見えるが,これがAPFSDSの弾痕.
右側が跳弾したもの,左側が跳弾しきれず侵徹されてしまったもの.
見比べてみれば分かるように,弾道と殆ど平行でも,侵徹されるかされないかの境界になるだけ.
大きく傾斜させれば,という主張は現実には実現不可能だと分かるだろう.
ただし,単独ではほぼ無意味だが,傾斜装甲によって貫通体が少し傾斜(屈折というか)してくれれば,「その次の装甲」に貫通体が斜めに(多少にせよ)当たって貫通力が減る,あわよくば折損する,という考え方もあるらしい.
複合装甲において傾斜装甲を採用した場合,より浅い角度でも,装甲部材の性質の違い(衝撃インピーダンスの違い)から来る侵徹速度の差から,弾体に掛かる抵抗・衝撃が増し,通常より早く貫徹能力を失ってしまう可能性があると言われている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
皆さんの言うとおりで,だいたい弾速1200m毎秒以上だと「ユゴニオ弾性限界」ってのを突破して弾と装甲ともに液体のように振舞うんだ.
振舞うだけで融解してるわけじゃない.
あくまで固体.
塑性流体化現象とか塑性流動とか云うんだけど.メタルジェットのアレ.
極端に言うと,はごろもフーズみたいに水面に水滴を落としたようになる.
つまり弾も装甲もお互いに削られて,侵食しながら進むカンジになるさ.
今の戦車砲は初速でも1700m毎秒以上はある.
だから大抵の装甲は,はごろもフーズしちゃうワケで.
それでも兆弾させようと思ったら,80度以上傾斜させる必要があると言われてる.
でも,そんな三葉虫みたいなMBTは現実的じゃないんだぜ.
(Sタンクの時代には通用したかも知れんけど.)
だから材質違う装甲をハニカム構造にして,更にそれを重ねて「受け止めてやんよ」ってのが主流.(らしい.ヒミツなので.)
ハニカム構造ってのは昆虫の複眼や,蜂の巣みたいに六角形を組み合わせてたと云う意味な.
あとは皆さんの云ってる通り.極浅くて,運がよけりゃ弾く.
曳光弾フェチ ◆slJfQfG2uc in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
今週号の「こち亀」で
「現在の戦車がどれも角ばっているのは,リベット接合だと被弾したときにリベットが車内で跳ねて危険だから,溶接接合するようになって角ばった」
という説明をしているのですが,本当ですか?
【回答】
被弾すると,リベットが車内で跳ねる可能性がある,というのは本当.
鋳造じゃなくて圧延鋼板の溶接だと当然のごとく角ばる.
角ばってるのは溶接だからってのは間違いではない.
ただ,ドイツは溶接の都合で四角くなったっていうより,手間のかかる鋳造装甲で丸くしなくても,平らな装甲を斜めにつければいいじゃん,っていう発想に行き着いたので四角くなった.
また,装甲が進化したのは,戦車砲と砲弾の高性能化に対処するため.
避弾経始は装甲厚を稼ぐためのものだし,その後の垂直装甲は,APFSDS弾頭の出現で,その対処法が無効化されたため.
したがって,大戦中から全溶接加工戦車はあります.
こんなの
http://military.sakura.ne.jp/army/at_sentinel.htm
とか,こんなの
http://afvdb.50megs.com/usa/pics/m4sherman.html
とか.
戦後のも,こんなん
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m48.htm
な訳で,第三世代MBTについては現代の複合装甲を曲面で作れないから,が角張っている理由.
複合装甲は形状を自由に加工するのが難しい.
平面のもののほうが遥かにコストパフォーマンスの良いものが作れる.
というわけで,現代の戦車は皆カクカクしている.
そのため,レオパルド1の頃から傾斜装甲なんて廃止されてる.
一方,ソ連ではそれを造ることができた.
T-64〜T-80の鋳造砲塔は複合装甲.
この技術に関しては,ソ連のほうが進んでいた.
鋳込んでしまうと,より良い装甲素材ができてもアップデートできないって欠点はあるが,元気な頃のソ連軍は戦車ごと更新して,旧型は二線級師団に下げてしまうから,その欠点で困ることはなかった.
まあ「曲面というより,小さな平面の組み合わせ」って見方もあるけど.
しかし現代では,避弾経始が全くの無意味になった.
避弾経始というのは,曲面で弾丸をそらしたり,滑らせて弾こうって概念.
でも,現代のAPFSDSはマッハ4近い超高速で着弾する.これほどの速度領域になると,物体は擬似的な流体として振舞うようになる.
すると,砲弾が装甲と融合するように食い込んでいく.しかも屈折する.
なので,避弾経始をかけても全く意味が無い.砲弾が滑らないんだから.
むしろより悪い結果になる可能性もある.
そこで現代の戦車では,せいぜい緩い傾斜をつけるくらいしかされていない.
まあ,秋本治は戦車マニアだそうなので,そのへんを知らないとは考えにくい.
枝葉の説明を省いただけでしょ.
軍事板,2007/11/12
&軍事板(後者:青)
こちらは「こち亀」中でも言及のあった,ボルト接合の戦車の例
(画像掲示板より引用)
【質問】
ショット装甲(ショト装甲)ってどういう効果があるの?
【回答】
ショト装甲[Schott Panzerung]はスペースドアーマーの変種です.
グランドパワー誌2005年4月号の「レオパルト2(3)」の記事内における,一戸崇雄氏の考察によれば,
1) HEAT弾のスタンドオフを狂わせ,貫徹能力を殺ぐ(空間装甲)
2) 小中口径弾の着弾による複合装甲の防御能力の低下を防ぐ
(内蔵されたセラミックの着弾の衝撃による割れを防ぐ)
3) 防盾付近や複合装甲の継ぎ目といった弱点部分を防護する
です.
一戸氏の考察は,以下のページでも述べられています.
『ショト装甲の主効果は「主装甲中央部への誘引」でも「耐APFSDS」でも無い』
なお,同氏が以前唱えられていた
「外側の薄い装甲によって着弾したAPFSDS弾を変向させ,主装甲の最も丈夫な部分に誘引する」
という説は,上述の同記事内で氏が自ら否定されました.
彼が自説否定に至った理由として,
1) ショト装甲の厚さが20mm前後と考えられ,その厚さだと重いAPFSDS弾は殆ど屈折しない
2) 内部隔壁の配置がAPFSDS弾を中央部に誘導するような構造ではない
の2点を挙げられています.
ちなみにSchottの発音は,”ショット”でもショトでもいいようです.
【質問】
ショト装甲をドイツ以外が採用しないのは,何か理由があるのでしょうか?
【回答】
あれはセラミックス複合装甲の中のセラミックスバルクが,小口径砲弾やHEAT弾の着弾でひび割れ,防御性能が低下する問題に対する解答の一つ,と推察されています.
英米‥重金属系複合装甲なので装甲の特性が異なる.まあ不要です.
フランス‥ショト装甲の代わりに工具箱とかいろいろつけてます.大きいセラミックスバルクを作れなかった代わりにいろいろ考えてます.
ロシア‥装甲防御を補うために,アクティブ防御とか開発してます.
日本‥90式戦車に関しては,「危急の必要もないのに改修予算は取れない」ですかね.
ただ,ヤキマで行われた耐弾試験の結果を加味すると,ショト装甲は不要な気がしなくもありませんが.
次期主力戦車TK-Xの「初期イメージ図」ではショト装甲のようなくさび形張りだしがついていましたが‥
えーと.自前の装甲技術に対する自信はかなりのものがあるようです,とだけ.
軍事板,2006/03/26(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
スペースドアーマーが廃れたのは何故ですか?
タンデム弾頭うんぬんで出番が無くなったのだろうと思いますが,HEAT防御層が一段増えるのは結構有意義かと.
【回答】
別に廃れちゃいない.
現在では”新型”とされる戦車には普通に設備されてるので,「特殊装甲」という位置付けではなくなっただけ.
ただ,APDS弾にはあまり効果がない.
以下引用.
[quote]
中空装甲の成形炸薬弾に対する質量効率は,1.25程度と言われている.
この理由は,近年の成形炸薬弾の性能向上により,多少スタンドオフ距離を狂わされても,侵徹効果が阻害され難いものが出現しているためである.
中空装甲の運動エネルギー弾への質量効果は,L/D比の低い弾芯に対しては,殆ど効果が無い(むしろ,同じ重さの1枚板のほうが強いと言われている).
一方,高L/D比の運動エネルギー弾への質量効率は1.25程度だと言われている.
これらのことから,中空装甲の防御効率はそれほど高いものではないことが推察される.
[/quote]
―――http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/arm_var/spaced.htm
【質問】
戦車,装甲車に取り付ける反応装甲ですが,爆発した時に周囲に金属片を撒き散らす負の側面もあると聞きます.
当然,近くに人がいれば巻き添えをくらうわけですが,この反応装甲が爆発した時,人にとって危険な距離はだいたい何メートルぐらいでしょうか?
もちろん反応装甲の種類によっても違うでしょうけど.25〜30メートルぐらい?もっと?
【回答】
Military Technology誌にちょうど記事が載ってた.
ERAのタイプによるし,破片飛散距離は様々なので,一概に言えないとしているが,ERAの破片(というより前面の板)の速度は500〜1000m/secに達するため,急速に減速するにしても,80〜100m飛ぶことが少なくないそうだ.
一方,爆発そのものによる加害距離は,これは100〜150gの爆薬が使用されると仮定すると,ひどい火傷を負わせたり,脳震盪を起こさせるのは1〜2m以下だろう.
鼓膜が破れるとかだと,10m近くに達しそう.
目安として,ロシア軍はERA装備車輌と随行する歩兵は,攻撃を受ける可能性がある場合,30m以上の距離を取ること,としている.
破片がまぐれ当たりするのはあきらめるとすると,ロシアの30mという距離はでかいERAを使ってても,まあ,妥当だということになる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
反応装甲ですが,旧東側系列の戦車には旧式から最新の戦車まで良く使われています.
一方,西側系の戦車では第2世代戦車では付けているものの,第3世代戦車では反応装甲はまず見かけません.
最近の戦車において,西側第3世代は反応装甲をつけない.
東側の同世代戦車は反応装甲を付けまくり.
この違いは,どのような考えや事情の違いによるものでしょうか?
【回答】
ソビエト軍のAFVがアフガンでボコボコにされた経験から,ソビエト(ロシア)と,その系列である東側のAFVは,対戦車兵器対策としてERAを重視している.
それと同じ第3世代でも,東側の戦車は単純装甲以外の装甲の採用に,あんまり熱心ではないので.
砲塔正面と車体正面だけ複合装甲で,あとは全部単純装甲,空間装甲は装備品をゴテゴテとつけてそれで補う,という設計が多い.
これは全体をコンパクト且つ軽量にしたいという考え方だから.
元々,複合装甲と空間装甲(スペースドアーマー)を装備した第3世代戦車の整備を進めた西側と違って,東側の戦車は複合装甲も空間装甲も装備していない旧型戦車を大量に装備(90年代になってもT-55が主流)していたので,手っ取り早く装甲を強化するには,ERAの追加装着が手っ取り早かったので.
その流れもあって東側系列の国はERAが大好き.
準西側のイスラエルは,同じような理由でAFVにERAを付けまくる.
最近は元々複合装甲と空間装甲組み合わせた分厚い装甲を装備してる車両が多いから,あまり見なくなったけどね.
軍事板,2009/08/12(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
防御の点では定評のある英陸軍の「チャレンジャー」が使用している,「チョバム・アーマー」とはどーゆーものなのですか?
【回答】
基本的な考え方は,全方向に効く特殊装甲と言った感があります.
色々な材料を組み合わせることによる,空間装甲的な味付けが総てだと思います.
決定的に違うのは,当時の材料技術の状況から,チョバム層の中に明らかに金属の層(運動エネルギ弾用)がある痕跡があることでしょうか.
あの車体にあの重さは異常過ぎます.金属を多用しない限り,あの重量を再現することは難しいでしょう.
もし最新の材料を使用することが可能だとしたら,装甲部分だけで2割から3割くらいの重量低減は理想的には可能だとは思います.
【珍説】
649 :名無し三等兵 :2008/12/31(水) 16:47:19
ID:ck5X9OMb
スポールライナーと装甲を混同した「物知り・博学」JSF
が知ったかぶりをして清谷氏を攻撃.
内張り装甲とは結構,分厚いもの
http://obiekt.seesaa.net/
スポールライナーは装甲を貫通して入っていきた,銃弾や破片が跳弾となる
ことや装甲の剥離を防ぐための内張であり,装甲ではない.技本が発表したのは内張では
なく,10センチ以上の厚さはあるもの.
【事実】
ロシア戦車の内張り装甲の写真 - 大砲と装甲の研究
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/arm_var/liner.htm
内張り装甲=スポールライナー,で正しいよ.
TenCate Advanced Armour - Spall Liners, Vehicle
Add-on Armour, Ballistic Shields and Inserts
http://www.army-technology.com/contractors/ballistic_protection/roshield/
スポールライナーは装甲だ,って普通に書いてあるな.
CM32装輪装甲車「雲豹」
>車内の重要部分には車体装甲から少し離して厚さ20mmのケブラー装甲が装備されている.
>これにより,被弾時に車内に破片が四散することを防ぐ狙いがある.
これも内張り装甲の事だね.
技術研究本部の発表会でも,あの内面取り付け型付加装甲の材質はFRPだとハッキリ説明されている.
ボードにもそう書いてあった.
AFRP(アラミド繊維強化プラスチック)かBFRP(ボロン繊維強化プラスチック)かの説明は無かったが,恐らくボロン系じゃないかな,色合いから見て.
また例えば,特にキヨタニさんが押してたスーパーツカノ,あれもAFRP装甲しか付いてない.
厚みはブラッドレーのスポールライナーとほぼ同じ.
で・・・材質は完全にスポールライナーと一緒なんだよ.
なんで別物だと言い張ってるの?
676 :名無し三等兵 :2009/01/01(木) 00:04:11 ID:???
清谷信一
「こんな分厚いもの内側に貼るとか有り得ねえ,見たこともねえ」
JSF
「普通にあるっつーのwこれとかそれとか」
ID出してる子
「装甲とスポールライナーは別物wwwwJSFバカ丸出しwwww」
オブイェクト米欄
「スポールライナーは装甲の一種ですが何か?」
さむざむ.(戦車開発者)
「スポールライナーは装甲システム要素の一つです」
綺麗にオチが付いたな.
JSFは正しい.
670 :名無し三等兵 :2008/12/31(水) 21:36:26 ID:???
「JSFアンチは大いに構わん.ただし事実に基づいてやれ」
で今年の〆ですか.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【反論】
<ライナー>:徹甲弾やHEATの装甲貫徹後の背面効果に対抗するため,車輌内部に張られる内張のこと.M113に張った厚さ38mmのケブラー製ライナーでHEATスプレーの90%を捕捉したという実験がある.
参考:月刊戦車マガジン1,’88
<スポールライナー>:装甲裏面からの剥離物や侵徹破片を受け止める目的で張られるもの.参考:火器弾薬技術ハンドブック
http://www.geocities.jp/aobamil/Ragyou.html
【再反論】
貴方の持ってきた資料は1988年に書かれたもの.
そしてTRDI技術者のさむざむ.氏は
「1990年代以降にはライナーは装甲システムの一種として捉えられている」
とコメントしている.
故に矛盾は無い.
内張りライナーは今では装甲の一種という扱いなのだ.
さむざむ.氏の投稿はこれ.
――――――
論争(?)が終わった後でしゃしゃり出てくる感じが否めなくもないのですが,今後も定義でグダグダになるのもなんなので,ここできっちりとライナーに関する定義をやってみましょうか.
ライナーの事始めは,装甲としての役目を必ずしも意図したものではありませんでした.
何故ならば当時のライナーというものは,装甲の耐弾性向上を狙ったものではなく,終末弾道で言うところの貫通――標的裏面に光が微かに通るほどのピンホールが空いた状態以上の穿孔状態――を含む弾道限界以上の侵徹フェイズにおける,「装甲貫通後における防護対象物(人・機材)へのダメージを極小化するため」に導入された経緯があるからです.
つまり,厳密には対脆弱性要素とでも言えるものでした.
しかしながら,近年ではザイロン,PBO,超高分子量ポリエチレン板及び長繊維強化型FRPといった高性能材料の実用化,その材料を用いた厚板バルク製造技術及び接着・ファスナリング技術の向上により,対脆弱性要素としての使用のみならず,耐弾能力の向上「をも」視野に入れた採用が増えてきました.
そのような経緯があるものであるため,ライナーは対脆弱性要素(比較的重装甲)〜耐弾能力向上を加味した対脆弱性要素(軽装甲〜ソフトスキン)という広い用途で使用されることが多くなってきたために,少なくとも1990年代以降においては装甲システム要素の一つとして捉えるようになってきています.
ここで何故装甲システム要素とあえて定義しているのかというと,少なくとも車輌に関する主装甲技術ではないからになります.
ま,ソフトスキンのバイタルパート防護に,後付的に適用する場合においては,事実上,主装甲に近い使い方になるでしょうが.
――――――
これから読めるのは,
・トップカテゴリーは装甲システム
・サブカテゴリーは主装甲,副(?)装甲
・ライナーは副装甲の範疇
・ソフトスキン等へのアドオン時には事実上,主装甲としての性能が期待される
装甲のウチだろ?,これ.
それよりさ,技本の発表会で展示された奴は「内面取付型付加装甲」と思いっきり装甲と名乗ってるんだよね.
しかもFRP製だってボードに説明があるわけだよ.
展示セッション 「軽量装着型付加装甲」 - 下総ミリタリースクエア
http://d.hatena.ne.jp/dragoner/20081111/1226406543
>内面取付型付加装甲.
>
>車輌・艦艇等の内張りとして使用.
つまり材質は一般的なライナーと同一なんだよね.
素材が同じなのに「技本のは装甲だ,ライナーとは別物」という主張する根拠が知りたい.
何を持って別物だと主張しているわけ?
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
別に技本が「内面取り付け型付加装甲」=スポールライナーといっているわけではない.
文面からみれば,内部取り付け型装甲の内側にスポールライナーを貼ったものであると理解すべきだろう.
JSFも認めているが,スポールライナーの定義とは,「被弾時,装甲裏面が剥離した場合に,その剥離破片を受け止め」,「被弾貫通時に破片の飛散角度を小さくする」とことだ.
防弾が目的なら「スポールライナー」じゃない.
【事実】
技本は「内部取り付け型装甲」についてFRP板であると説明している.
展示セッション 「軽量装着型付加装甲」
http://d.hatena.ne.jp/dragoner/20081111/1226406543
「内部取り付け型装甲」の説明ボードには,既存装甲(緑色)にFRP板(黄色)を張るという表現で,FRP板(黄色)のみが「内部取り付け型装甲」になる.
つまり内部取り付け型装甲の内側に,スポールライナーを貼ったものではなく,既存装甲の内側に「FRPの内部取り付け型装甲」を張ったものであると明言されている.
現物の写真をもう一度よく見るといい.
http://f.hatena.ne.jp/dragoner/20081111132902
金属部分は見当たらない.
FRP板を5枚重ねているだけ.
鉄板とFRPを積層している様子は無い.
発表会での技本の説明も,FRPとだけしか説明されていない.
後は可能性としては,FRP単一板とFRP単一板の間に鉄板を挟み込むとかだな.
これなら内蔵せずに組み合わせる事が出来るし,外す事も自由だ.
案外こういう話なんじゃ?
後からでも追加できるし,結構面白いと思うぞ.
軍事板,2009/04/19(日)〜
青文字:加筆改修部分
【質問】
796 :呉の床屋 :2009/01/03(土) 04:54:17
ID:6qVyds5e
ストライカーのスポール・ライナー
なんかはケブラーだとか言うが?
測ったことは無いがやはり数_程度のものだよな
何センチもあるようなものぢゃないよな
74式なんかは法党内何も貼ってなかったと思ったが
展示車だからだらうか?
【回答】
技本の奴はFRP製だとバッチリ書いてあった.
通常のスポールライナーと材質は変わらない.
それなのに耐弾性が劇的に変わるはずは無い.
技本の奴がセラミック装甲(ボロンカーバイドなど)だったら,ライナーではない何かだが,FRP製と銘打っている以上,あれはライナーだ.
そして技本はあれを装甲だと称している.
つまりあれはライナーであり,装甲でもある.
ストライカーは装輪の装甲車だ.
戦車に比べりゃ重量も軽く,装甲も薄い.
当然,戦車砲に耐えるような設計はされていない.
具体的な厚さは知らんが,ライナーだって戦車と比べて薄いであろうことは,容易に想像が付くが?
別項で言っていたアパッチのライナーが薄いのと一緒だ.
で,アパッチやストライカーのライナーが薄けりゃ,戦車のライナーも薄いってことになるのか?
ついでに聞くが,装甲であるか否かは「厚さ」によって決まるのか?
>スポールライナーは大抵数ミリ程度で,接着剤などで装甲の内側に貼り付ける
>わけだ.この程度のものなら,厚みも重さもたいしたことはない.
数ミリでな,破片を防げるわけが無いんだよ.
数ミリ程度のライナーは乗用車とかに貼るもので,金属に体をぶつけて痛い思いをしないようにするもの.
戦車向けの破片防止用じゃない.
ライナーとスポールライナー,意味は分かるか?
スポールが付く意味をよく考えろ.
CM32装輪装甲車「雲豹」
>車内の重要部分には車体装甲から少し離して厚さ20mmのケブラー装甲が装備されている.
>これにより,被弾時に車内に破片が四散することを防ぐ狙いがある.
ストライカーより一回り大きい装輪装甲車だが,ライナーのケブラーは20mmある.
そして戦車や歩兵戦闘車用だと,この2〜3倍の厚みは確保されている.
ロシア戦車の内張り装甲の写真 - 大砲と装甲の研究
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/arm_var/liner.htm
>内張装甲は40〜50mm程度はありそうです.材質は見た目からして,
>一般的な繊維系複合材の一種だと推測されます.
「厚さ数ミリのライナー」では無い様だが・・・
>ブラッドレイのはどんなんだ?
明らかに50mm以上ある.
アラミド繊維強化FRP.
http://cgi.2chan.net/f/src/1230974343970.jpg
〔レス回収時,すでに画像はnot foundでした――編者〕
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
834 名前: 呉の床屋 投稿日: 2009/01/04(日)
07:40:51 ID:YZh+J2mQ
>>823
50mmは無いんぢゃないか
あっても
1インチ(2.5cm程度)
ってとこに見えるが
鎧を貫通されるとスポール・ライナーも貫通するってとこだろな
破れ口見るとなんだかボロ切れみたいで,安っぽいなw
何にやられたんかね?
ttp://cgi.2chan.net/f/src/1230974343970.jpg
〔レス回収時,すでに画像はnot foundでした――編者〕
835 名前: 呉の床屋 投稿日: 2009/01/04(日)
08:10:57 ID:YZh+J2mQ
ケブラーの破口ともじゃっかん違う感じだが?
ガラス繊維が多いんかな(苦笑
【回答】
>50mmは無いんぢゃないか
>あっても
>1インチ(2.5cm程度)
>ってとこに見えるが
どちらにしろ「数ミリ」ではないよな.
>鎧を貫通されるとスポール・ライナーも貫通するってとこだろな
主装甲が貫通されたらライナーも必ず貫通するとか,ややこしい機能を付けるなっつーに(笑)
・主装甲で止まる
・主装甲は破られるがライナーで止まる
・主装甲もライナーも破られる
当たり方なんかも含めて,敵弾の威力によってそれぞれのことが起こるってだけの話だろうが.
ライナーにそんなややこしい機能を付けられるなら,攻撃する側は是非とも
「当たれば必ず装甲を貫通する機能」
を弾に付けたいんだがね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
934 名前: 名無し三等兵 投稿日: 2009/07/05(日)
23:52:58 ID:5y5W+EgV
厚さ10センチ以上の貫通防止を目的としたものをスポールライナーと呼びます.
これがJSFのスポールラーナーの定義.
JSFが論拠にしている「教科書」には
>内張り装甲とは,「装甲裏面」に内張りしたアラミド繊維(ケブラーなど)
とプラスチック の複合材などである.装甲裏面からの剥離物を受け止
める耐弾性向上効果(スポールライナー)のほかに,図1.5.2-12に示す
ように破片の飛散角度を小さくするといった残存性向上効果(スプラッ
シュライナー)が存在する.
とある.あくまで「装甲」に内張して「装甲裏面からの剥離物を受け止
める」あるいは「破片の飛散角度を小さくするといった残存性向上効果」
を得るためのものであり,貫通を防止するためのものではない.
つまりJSFは日本語が読めない.あるいは意図的に誤読している.
【事実】
>厚さ10センチ以上の貫通防止を目的としたものをスポールライナーと呼びます.
>これがJSFのスポールラーナーの定義.
そんな事,JSFは一事も言って無いが?
分かりやすく言ってやろう.
「清谷はスポールライナーの相場は5〜10mmと言ったが,実際にはAPCのストライカー装甲車で30mm厚のライナーを貼っている.
つまりブラッドレーのライナーの厚みに近い」
T-72のライナーが50mmはあるので,スポールライナーの相場は30〜50mm以上あり,清谷が考えているものよりも遥かに厚い.
なぜならT-72のスポールライナーは,只のアラミド繊維強化プラスチックじゃなくて,金属材料も入ってるからだよ.
まさにこれ,技本の開発した奴と同じでね.
あと,ぶっちゃけていうと,現場の人間は単に「ライナー」としか呼んでない.
スポールライナーもスプラッシュライナーも,区別を付けてない.
「ライナー」と呼ぶか「スポールライナー」と呼ぶか,どっちか.
単に「ライナー」と呼ぶと,クッション用のライナーと混同されるので,それを避けるために「スポールライナー」と呼ぶことはある.
「スプラッシュ・ライナー」という呼び方は,全然浸透していない.
海外の文献ですら.
軍事板,2009/07/05(日)〜07/06(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050425-02434820-jijp-int.view-001(リンク切れ)
この鳥籠装甲,意味あるの?
【回答】
ベトナム戦争当時にイスラエル軍から米軍が教えられた方法です.
実戦経験の深いイスラエル軍からの指導書が元です.
RPGの弾頭は電気起爆装置が付いています.電子ライターの圧着部分です.
鉄格子あるいは鉄網に衝突して弾頭が押され,発生した電気信号は,通常ならRPG本体を伝わり,電気信管が起爆し,炸薬が爆発します.
それを防御用の鉄格子がアースし,電気信号を吸収して不発にさせます.
不発率は50%と当時の文書には書いてあります.
RPGは50cmくらい手前で爆発しても楽々に装甲は貫徹します.
モンゴルでの射撃体験ツアーで2004年末に俺が撃ったRPG-7の弾頭は,中古車の三十メートル手前に弾着したが,その噴流は地面を削り,中古車のドアを貫通.
成形炸薬弾と同じ構造の対人地雷があります.
地上で爆発させるタイプですが,威力は100m先のドラム缶を飛ばします.
いずれアーマーの図解にする予定です.
一等自営業 ◆JYO8gZHKO. :軍事板,2005/04/25(月)
青文字:加筆改修部分
余談だが,俺がアーマーモディリングにも記事にし,グラパ掲示板で50%不発と書いたら,反論するのがいたんだ.
その彼は防衛研究所の人だが,60〜70年代に軍事情報便覧として米軍から回覧されているはずだが,知らないの(笑)
研究所なのに情報の蓄積が全然ないんだよな〜.
その段階で実戦部隊はサマワに派遣が始まっていた.
俺が,NATOの発行したソ連軍の兵器を参考に描いた陣地構築(壁面の厚さ)図解を,フジガッコの読者が参考資料としてサマワに送ったんだよ.
情報の蓄積っていうのは大事なんだよ.
(一等自営業 ◆JYO8gZHKO.)
RPGに限らず,成形炸薬弾で形成される高速金属流は,前方十何cmから何十cmの間で効果を発揮,みたいに決まっています.
流体状態なのでそれより手前では団子で貫通効果が少なく,それより向こうでは部位による速度差でばらばらになってしまい,やはり効果がありません.
その距離間でのみ高速の棒状となり,貫通効果を発揮します.
カゴ装甲は予定の手前で起爆させることで,この間合いを外すため空間装甲と言えます.
イスラエルの戦車の砲塔の周りにぶら下がる鎖の束なども同様です.
軍事板,2005/04/25(月)
青文字:加筆改修部分
圧電信管ってあれ,要するに電子ライターの親戚.
衝撃を加えると電流の生じる特殊な素子を使って,着弾の衝撃で電流発生,弾頭に点火する構造です.
なので,「金網でショート」っていうのは何かの勘違いだと思いますよ.
(軍事板)
また,
http://www.jewishworldreview.com/0405/jkelly040405.php3
によれば,トリカゴは運動エネルギー弾には無力だが,RPG弾頭の無力化に特化した装甲としては非常に有効.
PRG弾頭の電気信管(筒状に突き出している部分)が運良くトリカゴに当たらなければ,本体の炸薬充填部分がトリカゴに衝突,圧壊する.不発にできればそれでよいし,仮に爆発しても所期のジェット噴流が作れない.
信管がトリカゴに接触した場合は,最大オフセット距離が稼げるので,これも貫通されない.
ただしストライカーの設計時の想定外の重量(2.3t)のため,タイヤ,サスペンションへの負担が大きく,適切に整備しないとスプリングやホイールの折損など事故を招く.
また米軍関係者にはストライカー批判派もいて,M113装甲兵員輸送車を近代化して使用すべきだという意見も出ているが,現場要員にはストライカーの高速性,乗り心地爆風で横転しても壊れないタフさなど評判がよい.
(軍事板)
鳥籠装甲の例
faq25c05.jpg
faq25c06.jpg
faq25c07.jpg
faq25c05d.jpg
CRS by mail他
【質問】
どなたか,リアクティブ・アーマー・プレートについて教えてください.
良く,爆発により成形炸薬弾のスタンドオフを狂わせると言いますが,私が読んだ雑誌等では,
(1) 爆発による爆風によってモンロー効果を直接相殺する.
(2) 爆発によって,プレートの外板が接触した成形炸薬弾ごと吹き飛び,スカートやシュルツェンのような空隙を形成する.
(3) (2)に近いが,外板は傾斜した状態で吹きとび,モンロー効果を傾斜によって逸らす効果もある.
といった解説がありました.
(1)だと,相当の爆薬と強固な取り付けブラケットが必要.
(2)だと,T-80Uの砲塔のような,下向きに傾斜した取り付けの説明が付かない,
(3)だと,わざわざリアクティブにせずとも,傾斜したスペースドアーマーを増加装甲として取り付ければ充分,
となります.(費用・重量で不利?)
実際,リアクティブ・アーマー・プレートは成形炸薬弾に対してどのように作用するのでしょうか?
【回答】
ERA対成型炸薬の基本は,成型炸薬によって作られた金属ジェットは,液体とみなしてよい状態にあり,しかも先端部と後端で速度が違うということです.
このため,APFSDSのような運動エネルギー弾と異なり,飛行距離が伸びるとジェットの先端と後端が分離し,水滴の連続状態になってしまい,装甲の貫徹能力が激減します.
そこで,装甲に当たった際に,最適の距離で金属ジェット流を生成するよう,弾頭,信管が設計されています.
ところがそこにERAが存在すると,ERAの厚さ分の誤差が生ずるだけでなく,爆発で飛ばされるERAの前面部鉄板によって金属ジェットが分断され,偏向されます.
このため,金属ジェット流は一本の槍となって装甲を貫徹する替わりに,滴りとなって,しかもそれぞれが違う箇所に当たることとなって貫徹力を失います.
APFDSDに対しても,ERAの前面装甲板が弾体に横から体当たりして偏向,折損などの効果を発揮するといわれています.
ただし,そのためにはかなり重量のあるERAが必要になります.
爆風についていえば,いくら強力な衝撃波といっても,比重の大きな高速金属流を止めたり,偏向させるほどのものは,車体表面でちびっと爆発させたぐらいでは生じません.
http://perso.numericable.fr/~vfofanov/Tanks/EQP/kontakt5.html
を参照してください.
軍事板,2005/06/12(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
ロシアには散弾でミサイルを迎撃したり,リアクティブ・アーマーを沢山着けたりするのに,アメリカや日本ではそういったものをネットで見ないんですけど,実は水面下で研究されたりしていんでしょうか?
【回答】
「散弾」ではなくても直撃や破片弾頭での迎撃を考えています.単に選択した手段が違うだけです.
また,リアクティブアーマーは基本的に成型炸薬弾に対してしか効果がありません.従って対戦車戦闘においては単なるデッドウェイトです.
あれは,防御力に不安のある戦車に「せめて歩兵の携行火器やATMに対応した防御力を」という発想で装着されているもので,そういった火器に設計段階から対応している戦車にはさほど重要な装備ではありません.
要するに,「日本やアメリカ」では,戦車の性能や想定している戦況から「不要」もしくは「優先順位が低い」と考えられているのです.
【質問】
耐弾試験に使う車輌は全ての装備品を取り付けた部隊で使えるような完全品なのか,ガワだけの代物なのか,教えていただけないでしょうか?
【回答】
装甲と車体構造の耐弾性の確認ならガワだけのモノでも十分ですが,それだけをもって耐弾試験終了とは出来ません.(もちろん装甲部分だけの試験も,別途実施されています)
・車内の装備品が着弾時の衝撃に堪えられるか
(装甲の内側部分や装備品が,衝撃で飛び散り乗員を殺傷しないか)
・機関部や砲システム,FCSなど機械部分・電子部分が衝撃に堪えられるか
など,「戦車」としての性能確認のためにも,最終的な耐弾試験は,一通り動く状態の完成品で実施する必要があります.
ナンバープレート,方向指示器,工具箱の中身といった,制式化され部隊配備される戦車に付きものの付属品まではどうか分かりません.
【質問】
現代の戦車は第2次大戦の頃の戦車と比べても,上面の防御力は大差ないの?
【回答】
装甲厚自体は大差ないが,強度は進歩している.
ティーガーは初期型は上面25mmだったのを,後期で40mmに増厚している.
これは150mmクラスの榴弾砲に対抗する為.
そして150mmクラスの榴弾砲は,現在でもほぼそのまま使われており,戦車砲弾のような進化は遂げなかった.
キングティーガーやマウスで40mmだったのに,それより軽い現代戦車が,それ以上の装甲を上面に載せているとは思われない.
事実
「M1A2戦車の全周の装甲防御能力の推定」
によれば,M1A2エイブラムスの上面装甲がRHA換算33mm.
そしてM1戦車の上面は複合装甲ではなく,単純な装甲板.
T-80は,装甲をブッタ切った写真から推測するに,
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/arm_var/liner.htm
>砲塔上面は20〜30mm程度
現用の第三世代戦車の装甲厚は何処も公表していないが,第二世代なら知ることが出来る.
レオ1で25mm.
M60で25mm.
AMX30は公表されていないが,砲塔側面が42mmと判明しているので,lこれより薄いだろう.
現代戦車の上面なんてこんなものだよ.
ただし同じ33mmの防弾鋼でも
WW2当時の防弾鋼→BC→BK→YM→新防弾鋼
なら格段の格差はあるだろう.
戦後の潜水艦用でも
NS30→NS43→NS63→NS80→NS90→NS110
と,性能は進化しているの.
日本の潜水艦用鋼板の数値は,強度を意味するものだから数値上,NS110はNS30より3.6666倍向上してることになる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
砲塔前面部に戦車榴弾の直撃を食らった場合,その下部の車体前面装甲は完全に耐えられる?
操縦者用ハッチを見る限りそんなに厚くは無さそうだし,避弾経始の効果も殆ど無い筈.
まぁ耐えられない戦車としてどうよ?って話になると思うけど,どれぐらいまで耐えられる設計なのかな?
【回答】
砲塔前面装甲より,たいていは車体前面装甲のほうが厚い作りなのだが…
問題なのはむしろ,車体上面装甲.
たとえばT-34では,操縦者用ハッチは60mmの装甲厚があるので,そう簡単に壊れはしない.
仮に凹んだりしたとしても,その程度で開閉機構に重大な失陥が出ることはない.
T-34が「可能であればいつもハッチを開けておいた方がいい」と言われている事からもわかるように,それほどやわな代物ではない.
たしかに,ハッチだけをピンポイントで狙われればさすがに持たないが,第一・第二世代戦車に,そこまでの精密射撃はそうそうできるものではない.
そんなことに備えるために,いちいち装甲を厚くすることはない.
問題なのは傾斜前面装甲のハッチよりも,上面装甲.
先に書いたハッチの装甲厚にくらべ,上面装甲は30mm程度しかない.
その上,ハッチ部分の装甲は傾斜していて,爆風・破片による被害は殆ど受けないのに対し,上面装甲はほぼ直角でそれがくる.
撃ち方と当たり所によっては,対物ライフルでも抜くことが可能だったりする薄さは,今もまだ健在.
どの程度の口径の榴弾を想定しての話かは分からないが,15榴だと,凹む事もある.
名無し上級大将 ◆80fYLf0UTM in 軍事板,2007/09/14(金)
【質問】
90式の装甲は120mm弾の零距離射撃に耐えるそうですが,そのとき乗員は大丈夫なんでしょうか?
あんな鉄の箱に閉じ込められた状態で,装甲を120mm弾でブッ叩かれたら,衝撃でかなりのダメージがあると思うのですが.
【回答】
ヤキマでの耐弾試験の時は,ダミー人形を使いました.
有人での耐弾試験は実施されていないはずです.
まあ人の場合は,シートベルトで体をしっかり固定をして,ヘルメットなど完全装備,さらに覚悟をいれて気張ってますから,人形とは条件が違います.
死にはしないが,衝撃はかなりある,と思われます.
(軍事板)
豚さんを中に入れたというのはデマの一種,実際にはダミー人形を使ってテストしています.
デマの元ネタは,M2ブラッドレーの性能不足を批判したドキュメンタリーで,豚を後部兵員室に入れて被弾試験をした映像ではないかと,某所では推測されてます.
少なくとも戦車のハッチから豚を入れようってのは無理でしょう,欧米より小柄な日本人が使う車輌なら尚更.
【質問】
90式の正面装甲が120mmの零距離射撃に耐えるのは何故ですか?
かつて戦艦は自身の主砲に耐える防御力を持つよう設計されましたが,”零距離”で耐えられるように設計されていたわけではありません.
そのことを考えると90式の正面装甲は過剰な防御力を持っている気がするのですが?
【回答】
軍事用語で「零距離射撃」ってのは,水平射撃で弾が地面に落ちない距離って意味です.
もっとも,APFSDS弾はその程度の距離では殆ど弾速が落ちませんけど.
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_db/105_dm33_apfsds.htm
によれば初速 1465.
(飛翔距離1000mでの速度低下52m/sec)
つまり,細長いAPFSDS弾は比較的軽い105mm砲弾でも,1000m飛んで3%しか弾速が落ちないわけです.
エネルギー量で6%程度.
1000mで撃ちあっても1mで撃ちあっても殆ど変わらないツー事です.
したがって戦車対戦車は,ある意味で最初から零距離射撃だということになります.
それに自衛隊の性質上,90式も長く使われることになるでしょうから,将来の事を考えても,装甲が厚すぎるって事はありません.
軍事板,2005/02/19
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車の滑腔砲の威力が上がるに従い,APFSDS弾が直撃し装甲を貫通する事が防げたとしても,衝撃により内部の部品が飛散し乗員を殺傷したり,乗員が失神すると言った状況が発生する可能性は上がっていると思います.
直撃時に実質的に行動不能に陥ってしまうのならば,例えばAPCの攻撃やATMに耐えられる程度の装甲強度に抑え,その分軽量化し機動性を上げる事で,MBTからの被弾率そのものを下げると言う方法は現実的でしょうか?
それとも,やはりMBTは機動性よりも絶対的な防御力が優先されるものなのでしょうか?
人道上問題がある場合,仮に将来無人MBTが登場した際に,上述の機動性優先な方法が採られる可能性はあるでしょうか?
【回答】
君の考えたことは,HEAT(対戦車榴弾)が普及して単純な鉄板の装甲厚が無意味になって来た40年くらい前にも考えられ,結果装甲よりも機動性を重視したMBTが世界の主流になった(レオパルトTやAMX-30,74式戦車等).
結局機動性では装甲防御の代わりにはならないと判断され,HEATに強い複合装甲の開発もあってまたMBTは重防御路線に戻る.
戦車はどうしても戦闘の矢面に立って「盾」として使われることがあるので,装甲がなければどうにもならない,というのが今の結論.
エンジン技術の進歩で重装甲のMBTにも瞬間時速であれば70km/hもの速度を出せるようになったし,高機動性が装甲防御よりも優先されるようになる,というのはMBTの今後の発展性としてはちょっと考えられそうにない.
もっともアメリカなんかは
「今後最新世代MBT同士の戦闘など,まず起きないのでは?」
という考え方から,高速による防御力ではなく,空輸の展開を容易にする為に,軽量軽装甲重武装の戦車を研究している.
軍事板,2005/11/04(金)
青文字:加筆改修部分
装甲を廃した戦車の例
(画像掲示板より引用)
【質問】
西独のレオパルドIは,正面装甲厚が大戦中のパンテルよりも薄いのですが,これには何か深い政治的な理由でもあるのでしょうか?
防盾厚がたかだか60mmでは,T55どころかT34/85にすら撃ち抜かれそうですが・・・
【回答】
レオパルトTが開発された頃は,成形炸薬弾の進歩もあいまって,戦車砲の攻撃力が異様に大きい時期だった.
もういくら装甲を厚くしても砲の攻撃力の前には無意味だ,とされたので,装甲厚よりは機動性を重視して,フットワークの良さで対抗しようという設計思想.
ちなみに同時期のAMX-30や74式も各部の装甲厚は殆ど同じ.
その後,複合装甲の発明や射撃指揮装置の進歩で,再び主力戦車は重装甲化への道を辿る.
とは言え,やっぱり複合装甲も重いので,1500馬力クラスのエンジンを積むことで機動力の低下を防いでいる.
【質問】
Jagdpanzer 38(t)(ヘッツアー)に関しての質問です.
ヘッツアーの正面装甲は60mmとなっていますが,待ち伏せ専用の駆逐戦闘車輌であるこの車輌の装甲は,均一の装甲板を用いたものだったのでしょうか?
大戦末期の物資が乏しい中で,均一の装甲板を作るのは難しそうに思えるのですが,30mmの物に30mmの装甲板をリベットや溶接で止めて,60mmの装甲板を作っているのだとしたら,装甲板の質としてはどうなるのでしょうか?
【回答】
ちゃんと一枚板だよ.
そんなこと言ったら同時期に作られてるマウスとかヤークトティーガーの前面装甲版とかどうなるねん.
一応疑問に答えておくと,30+30mmにしたものと,60mmの一枚板の装甲板は,材質が同じでも強度は同一ではない.
特に,リベットやボルトで止めてると,被弾の衝撃でボルトやりベットが折れ飛んで,増加した分の装甲が外れて飛んだりする.
ただ,ムクの一枚板と違って2枚重ねたものは,ミクロな視点で見ると一枚目を貫通して,ほんの僅かでも隙間を通過してから二枚目に改めて食い込むので,トータルの厚さが同じでも,物理学的にはずいぶん異なった現象が起きることになる.
とは言っても,最初から一枚板にできるならそうした方がベスト.
意図的に作った空間装甲などでないかぎり,二枚板で作る装甲は,一枚板の装甲より劣るとされる.
四号戦車の装甲について
基本 追加装甲
D型 30mm +30mm装甲板をボルト・溶接止め(1940/6以降)
E型 同上(車体のみ,50mmに)
F型 前面はすべて50mmに 増加装甲なし
G型 同上 +30mm装甲板をボルト・溶接止め
H型 前面はすべて80mmに 増加装甲なし
J型 H型の簡易型 前面装甲に変化なし
軍事板
青文字:加筆改修部分
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