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(画像掲示板より引用)


 【link】

「Strategy Page」◆(2013/04/06) ARMOR: Multipurpose Tank Shells Thrive
 多目的戦車砲弾

「週刊オブイェクト」◆(2010年04月26日)「将来火砲」と新型国産120mm滑腔砲


 【質問】
 これまで製作/試作された装甲車輌でもっとも大きい砲を搭載したのは,どこの国のなんという車輌でしょうか?

*回転砲塔 戦車/自走砲

*固定砲架 自走砲/対戦車車輌

 それぞれお教え頂けると幸いです.

 【回答】
*回転砲塔
 軽戦車ならM551シェリダンが152mmガンランチャーを装備していて,152mmの榴弾だったかを撃てたはず.実際にパナマ侵攻作戦では使用されてます.
 ちなみに今は空挺師団からは退いて,仮想敵部隊が敵側の車輌を模した土台に使われているそうですが. 
 WW2にも,ソ連軍のKV-2が152mmを搭載しています.

*固定砲架
 榴弾砲なら203mmとかはありました.M110です.ただし無砲塔です.車体の上にそのまま大砲が載っています.
 カールは一応キャタピラでも走れますが,どちらかというと列車砲の類かも.
 列車砲ならWW2のドイツ軍の「ドーラ」が80cm砲です.


 【質問】
 戦車砲弾の寸法は?

 【回答】
 米のM189A1・120mm戦車砲弾で全長984mm,発射体(貫通体+サボ)長780mm.
 発射体は薬莢の中に潜りこんでるから,薬莢長は(定規で測って推測)624mm.
 薬莢の最底部(stub base)は長さ79mmでやや太くなっており,リム部分で155mm程度(これも定規).

 おなじく米軍用の120mmHEAT-MP,M830は全長981mm,発射体長842mm,薬莢長(推測)588mm.

 野砲弾だと130mmの一体型(OF-482M,東側の砲弾)があり砲弾長670mm,薬莢長846mm,リム部分径185mmとなっている.


 【質問】
 以前,某スレッドで「戦車で流鏑馬をする」というネタがあったのですが,例えば90式などで走行中に射撃と次弾装填,射撃管制などを連続して行うことは可能なのでしょうか?

 【回答】
 走行中の射撃は90式戦車の十八番だぞ.悲しいことを言わないでくれよ.
 流鏑馬自体ならチャレンジャー等にも出来る.(デモしてるフィルムもある.)

 走行中の射撃管制は第三世代戦車の必須条件だし,人力だと比較的難しいといわれる走行中の次弾の装填も,自動装填装置で楽々.

(ただし,基本的に欧米やロシアの戦車は第三世代だから出来ると言えるほど確実な物でも無い.
 自動装填による差が生じるのは不整地走破中.
 手動では困難以前に,ブリーチとの衝突を考えると命がけになる.
 次に,車体が左右に傾いたりすると,2軸が独立制御されている砲安定スタビライザーでは安定はしない.
 2軸統合制御のスタビライザー搭載車であっても,ブレーキ時のピッチングなど,高速な揺れを完全に抑えられる物は少ない.)

 流鏑馬のできそうな戦車としては,例えばルクレルクがある.この戦車の場合,走行間射撃による初弾撃破率が90%とされている.
 むろん自動装填装置によって,走行中でも迅速な再装填・射撃が可能.
 手動装填だと,走行中の再装填はかなり大変で,走行間射撃を連続して行うのは困難.

 90式はあまり情報は出てないが,漏れ聞く話を総合すると,ルクレルクを上回る射撃性能を持つものと思われる.
 同世代の戦車であるフランスのレクレルクの公式仕様では,射距離3000m,車体速度50km/hにおける走行間射撃における初弾撃破確率は90% .

 90式に関して私の知る情報では,ベンチ射撃,砲内照準機(x4倍)による射撃でも1000m でも30cm角以内にほぼ必中できるとか.これを前提に,リアルタイム砲外弾道計算による横風補正やコリオリ力補正を加えれば,どのくらいの精度が出るかな,というところ.

 アメリカに90式を持ち込み,高機動テストや走行間射撃テストが行われたとき,余りにもターゲットに良く当たるので,テスト最終日,米軍関係者が詰め掛けたそうだ.

(?他)


 【質問】
http://www.warbirds.jp/ansq/3/C2000392.html
によれば,現代戦車は通信兼車長,装填手,砲手,操縦手の4人だそうですが,90式はどうなってるんでしょうか?
 自動装填装置とやらがあっても,結局は手で装填しなければいけないと聞いたんですけど.

 【回答】
 通信手兼車長という概念が適切ではありません
 現在の機甲科通信においては,通信は乗員全てが行うものとされています.
 90Tkにあっては,無線(車外)通信自体は主に車長が行いますが,通信機の整備は砲手の任務です.

 さて,戦闘中,砲に弾を込めるのは機械がやってくれます.
 機械が故障した場合でも,人力で機械を駆動する.あるいは,直接手で込める事も可能です.
 砲に弾を込める機械(自動装填装置)に弾を格納する作業は人力で行います.
 そもそも,実戦で砲手が照準する時間も考慮すると,とてもカタログ通りとは思えませんね. 相手は動くわけですし.隠れもするわけで. ソレも不整地を急発進,急停車で.装填手 は立ったまま揺れる車内で20kgの砲弾をラックから外して作業する必要がある.
 装填手は立ったまま作業するので,必要とされる空間が大きく,自動 装填装置で置き換えた方が車内容積,車高を削減できるってメリットも ある.
 防御面積が減るから装甲重量削減に寄与する訳だ.


 【質問】
「自動装填装置が付いている戦車は乗員が4人から3人に減るため,周囲の警戒や整備に対応しきれないので,アメリカやドイツではあえて戦車に自動装填装置を付けなかった」
というのを本で読んだのですが,自動装填装置が付いてる戦車の実戦での評価はどうだったのでしょうか?

 日本以外では確かロシアとフランスの戦車に自動装填装置が付いてあったと思うのですが,やはり3人ではきついという結果が出たのでしょうか?

 【回答】
 そもそも,別に対応しきれないということはないぞ.
 乗員一人当たりの負担が増えるだけ.

 対応しきれないから自動装填を不採用にしたという程のことではなく,負担が増えるのを単純に嫌ったというだけの話.

 とりあえず4人の時より大変になった,というのは日本含め,聞かれる.
 もっとも,大昔の5人とか6人とか乗ってたころから減ったときも,同じように一人当たりの負担が増えてるので,やっぱ大変になったとか言われたのではあるが…

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現実の戦車って,重けりゃ重いほど口径の大きな大砲を積めるものなんですか?
 メリケンRPGの「バトルメック」が,どれも重量級万歳のマッチョ・ゲームなんで気になったんですが.

 【回答】
 積むだけなら,積載能力他が許す限り積むことは出来ます.
 ただし「積めるだけ積んだ」では,一個の戦力としてまったく使い物になりません.

 そもそも戦闘車輌というのは,機動力,防御力,攻撃力の三要素から成り立ちますが,短絡的な攻撃力一辺倒のために他の二つをなおざりにすると,兵器としてどころか,機械としても失格の代物になります.
 また,実際の攻撃力も役に立たないレベルになってしまいます.

・機動力 (巨砲を乗せたが舗装道路限定で速度は20km/hとかでは役に立たない)
・防御力 (巨砲を乗せたが装甲は薄い鉄板だけですでは以下略)

というのは解ると思いますが,攻撃力にも複数の要素がありまして,必要以上の巨砲は

・射撃速度 (巨砲を乗せたが発射速度が1発/5分とかでは以下略)
・命中精度 (巨砲を乗せたが車体が反動を押さえきれず命中できなければ以下略)
・携行弾数 (巨砲を乗せたが砲弾を二発しか搭載できないでは以下略)

など,射撃に必要不可欠な要素を食い散らかしてしまうのです.

 アニメやゲームでよく出てくる巨砲・巨大ミサイルをわんさと搭載したメカは,率直に言って,兵器システム・デザインの知識がない素人考えの産物です.


 【質問】
 戦車は車体の方が大きいのに,何で砲塔に被弾が集中するのでしょうか?

 【回答】
 ゲームでも分かるが,戦車戦距離(500m以上)から撃つ場合,砲塔だけや車体だけを確実に狙うことは難しい.
「どこに当たるか分からんが,照準は敵戦車に合ってる」
状態で撃つと,砲塔か車体前部に当たるだけだ.

 これが,下手にキャタピラ狙ったりすると地面に当たるだけ.

 稜線射撃なんてのもあるぐらいで,防御側に回っても砲塔だけは露出させざるを得ないし,戦場が平坦でない以上は砲塔しか露出していない状況も多々ある.
 敵が高所を占めている場合は,相対的に砲塔の投影面積が高くなるし,敵に相対している場合は本体との投影面積比は側面に比べて大きくなる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 多砲塔戦車はなぜ廃れてしまったんですか?
 ソ連以外ではほとんど試作段階で破棄されてますが・・・

 【回答】
 基本的なリソースが同程度の車体で考えた場合,わざわざ口径の小さい砲を複数積むより,重量一杯の砲を単数積んだほうが効率的だからです.

 仮に,90式戦車の車体に89式IFVの砲塔を載せて多砲塔戦車化したとします.
 さて,現代の主力戦車で35mm砲で撃破可能なものが存在するでしょうか?

軍事板

 砲塔の数を増やしますと,当然,乗員は多くなります.
 その疎通を図るのが面倒だったのが一つ.

 それに一番の問題は,それだけの砲塔を積むと車体が大きくなります.
 大きな車体は,遠くから見ても発見できますから,対戦車砲の的でしかありません.

 更に強靱な装甲を施すと,車体が重くなります.
 ただでさえ,砲塔を多く積んで,車体が重いのに,更に装甲を十分施すことで機動力が低下します.
 逆に,機動力を維持しようと,装甲をけちると対戦車砲の良い的でしかありません.

 と言うことで,単一砲塔に十分な装甲を施して,車体も小さくすれば良いよね,破壊されたときの兵員の損失も少ないしってことで,廃れました.

眠い人 ◆gQikaJHtf2

WW2初期の重戦車
殆どの国が一度は多砲塔戦車に手を出しているのが分かる
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 第2次大戦前には多砲塔戦車は非実用的と解り,姿を消しましたが,連装にするという試みはなっかたのでしょうか?
 単純に考えると弾が命中しやすくなると思うのですが(もちろん二門とも同一目標を指向できるようにして).

 【回答】
 敵の装甲が戦車砲に合わせて強化され,それに対して砲を強化し,というイタチごっこが常に行われているわけです.命中しても撃破できなければ何の意味もありません.

 戦車は重量,体積の制限が強いため(運用上,あるいはエンジン性能上),搭載するものは常に必要最小限です.
 砲を連装にすれば,これらの制限から必然的に口径が小さくなります.
 敵の戦車が同じ重量で単装にしていれば,敵はもっと口径が大きい(ということは有効射程,命中率,貫通力が大きい)砲を搭載しているか,あるいはこちらより装甲が強力です.

 さらに,連装にしても斉射できるわけではありません.
 そのためには戦車を巨大で重い物にするか,砲を小さくするしかありません.
 また仮に斉射しても,よほどタイミングがそろわないと,後発砲の精度が落ちます.
 発射速度を稼げるかというと,装填手を2名乗せない限り,最初の2発以降は同じです.
 やはりデメリット大きく,メリットは僅かしかないということになります.

 それと連装砲塔にすると砲塔が大きくなってしまって被弾率が上がると言う欠点が有る.
 相手を打ち負かそうとして自分が撃たれていては本末転倒.
 大口径単装砲で装填の自動化の方が効果は有るかも.

(軍事板)

 ただ,実際に生産されたわけではないですけど,オーストラリア国産の巡航戦車,Sentinel ACの試作車の一つに,17ポンド砲を搭載する際の反動実験用として,25ポンド砲を並列に2門装備したものがあります.
 こんなの.

 原型はこんなので,結構まともだったりします.

(眠い人 ◆gQikaJHtf2 in FAQ BBS)

 また,戦車というよりも駆逐戦車という感じですが,ドイツでレオパルト2が開発中のころに平行して研究されていた実験車輌に,こんなのがありました.

http://members.fortunecity.de/flecktarn2/flecktarn-heer162-b.htm

 射撃間隔の短縮と命中率の向上を狙っていたようですが,あくまで研究用で,採用するつもりは端から無かったようです.

(B7A2 in FAQ BBS)

「王様,これが新型戦車にございます」
「はて? 砲がないようだが?」
「ご冗談を(笑).120mm15連装砲がちゃんと…….実はこれは,賢い者にしか見えない砲なのですが,もしや王様は……」
「あ,いや,ちゃんと見えておるぞ.見えておるとも.
 立派な戦車じゃ.誉めてつかわす」
「ありがたき幸せ」

と,この方法なら何連装砲の戦車でも可能!


 【質問】
 砲の構造について質問よろしいでしょうか
1)Pzh2000やLeopard2,M1A2,XK-2,99HSPといった多くの砲が持つ砲塔近くの瘤のような構造の機能.
2)TK-Xの砲は瘤のような構造が上記の砲にくらべて長いのですがこの構造の目的.
3)同様に戦車砲の砲口近くが一段細くなっていることもありますが,砲口部分の肉厚が薄くて問題がないのか.
 ネットで大砲関係のサイトを調べたのですがいまいち見つからなくて……
 どうかよろしくお願いします.

 【回答】
 1. 排煙器(エヴァキュエイター)といって,砲身内の気圧を調節することで,排煙が車内に流れ込んでこないようにするための装置.

2/3. 現代の戦車は大概が砲身に「サーマルジャケット」というカバーをかけているので,本来の砲身を一回り大きいカバーが覆っている.
 先端部分だけ細いのではなく,あの部分だけ本来の砲身が露出している.
 なので砲身の外見と「中身」は一致していない.
 TK-Xの場合も,カバーが他と比べて大きいだけだと思われるが,もしかしたら内部の構造も違っている,のかもしれない.
 今の段階だと外部の人間にはわからないが.

 サーマルジャケットは太陽光線が当たることによって砲身が不均一に暖められること,
 また発砲後の過熱した砲身に,左右どちらかから風が偏って当たることによって,砲身が偏って冷えて歪むことを防ぎ,砲身全体を密封して「保温」することによって砲身が歪んで反る事を防ぐもの.
 砲身がちょっとでも反ると弾着がずれるので,極力そうはならないようにしている.

 なお,砲腔内圧力は,弾が砲口に近づくにつれ低下するので,砲身は根元が厚く,砲口付近は薄くてよい.

軍事板,2009/08/26(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 マズル・ブレーキの働きを教えてください.

 【回答】
 発射ガスを上手にコントロールして,射撃時の砲にかかる反動を軽減したり,砲弾の安定性を高めたり,発射音,発射閃光の低減したりするもの.
 原理は↓のサイトなんか詳しく,図解入りで解りやすいかと.
http://www.h5.dion.ne.jp/~gun357/abgang.htm


 【質問】
 第2次世界大戦の頃の戦車砲にはマズルブレーキが付いている物がありますが,最近の戦車砲に付いていないのは何故でしょう?
大戦時より砲が大きくなり反動も大きくなっているのにも関わらず.

 命中精度云々なら,戦車砲よりも射程の長い榴弾砲には大型のマズル・ブレーキが付いているので,辻褄が合いませんし...

 【回答】
 使用弾の変化が大きい.
 対戦車戦闘において戦車砲の弾種はWW2時のAP-HEからAPDSFSに変わった.
 で,このAPDSFS(APFSDS)は発射時にサボと呼ばれる鞘が砲口で貫徹体と分離する.
 マズル・ブレーキがあると,引っ掛かって事故を起こす可能性があるのと,命中精度が落ちる可能性があるので廃れた.
 あと,多分制退器自体も進歩してると思われ.

 もう一つ,マズルブレーキが側方に排出する砲煙が測距機の視界を遮る可能性もある.

(軍事板)

 ただし,大口径砲を搭載している割に軽量な戦車駆逐車や軽戦車には,実は,極あたりまえな組み合わせになっている.
 例えば,イタリアの装輪戦車駆逐車「チェンタウロ Centauro」は,多孔式マズルブレーキを付けている
 これの主砲,オットーブレダ製の105mm52口径砲は,NATOの105mm砲用標準弾(APFSDS,HEATなど)を使える

 これは何故か?
 軽量な車輌の場合,射撃の反動(後座衝力)が大きいと,射撃精度が低下する.
 また,砲のマウントや車体にかかる負担も大きくなる.
 要するにマズルブレーキによる弾道の不安定さと,反動による不安定さを比較して,どちらかを採るかを決めた場合,マズルブレーキを付けた方が良好,と判断されたために,付けることにしたもの.
 MBTでは,車重も充分にあり,マウントも車体も丈夫に作ることができるので,マズルブレーキをあえて付けていない.

「大砲と装甲の研究」BBS,抜粋要約


 【質問】
 戦車砲で敵戦車を攻撃する時,方向や距離なんかを手入力してから発射するんですか?
 あるいは何らかの方法で”敵”を自動認識しているとしたら,どのような方法で敵と認識しているのでしょうか.

 【回答】
 「どの方向の」「どこに」敵戦車がいるのかは人間が自分で見つける.
 基本は(潜望鏡とかを通じてとはいえ)目視だが,夜間には赤外線や光増幅式の暗視装置も使う.

 で,目標を見つけたら,今現在の新鋭戦車なら大概は照準器覗いて目標を指定すれば,あとはコンピューターが自動的に調整してくれる.
 レーザー距離計測装置を使って目標との距離を測り,その距離に弾を飛ばすのに最適な角度に砲を調節する.
 昔は計測値を手で入力したり,コンピューターの計算結果を元に人間が砲を操作したりする必要があったりしたが,今はその一連の作業は全部自動化されてるのが多い.
 レーザー測距儀で,レーザー光線当てたら,帰ってきたレーザー光で距離を計算して,戦車に積んでるコンピュータで,最適な仰角をとってくれて,引き金を引けばほぼ最適な位置に弾が飛ぶ.

 更には,照準器の中に目標を捉え続けるようにすれば,最初に捉え設定した時からのズレを,全部コンピューターが計算して砲塔と砲を動かしてくれるので,目標が動いても照準は捉えたまま,ということもできるようになった.

 ただ,さすがに「カメラとかで特定の方向を映してそこに敵がいれば,あとは全部自動でやってくれる」というところまではさすがにいってない.

軍事板



 【質問】
>更には,照準器の中に目標を捉え続けるようにすれば,最初に捉え設定した時からの
>ズレを全部コンピューターが計算して砲塔と砲を動かしてくれるので,目標が動いても
>照準は捉えたまま,ということもできるようになった.

 これに関して更に質問なんですが,一度捉えた目標を追い続けるというのは,ロックした物体を「最初に捉えたものと変わらず同じ物体である」と認識する必要がありますよね.
 そうじゃないと,照準器で捉え続けていても,たとえば物体が動いて岩陰なんかに入ると,ターゲットが岩陰に切り替わっちゃったりするような気もするし…
 そういう認識技術というのは画像で認識してるのでしょうか.それとも公にはされないものなのでしょうか?

 【回答】
 普通に動体予測で.
 AFカメラなどで,動いてるものに焦点を当てつづけるようなもの.

 画像認識技術ってのもある
(対空ミサイルとか対艦ミサイルとかに使われてる)
 赤外画像を使用した画像認識.
 40年近く前のベトナム戦争の時代から,画像(の輪郭)を認識して追跡するソフトは存在する.

 戦車のシステムは,射手が目標を捉え続けるように操作することで,
「最初の位置からこれだけズレた⇒ズレをプラスマイナス0になるように補正」
するように砲や砲塔を動かすシステム.
 目標が横に5m移動したなら,砲塔を着弾点が5mずれるように動かせばいい.

 なお,
「目標との距離が**mで,自分の撃った砲弾が**m飛ぶのには*秒掛かるから,それを逆算して・・・」
というのも最新鋭のシステムならやってくれる.

 ただ,風景の中から戦車を認識するようなソフトは,少なくとも完成配備はされておらず,射手が指定した対象の輪郭を抽出して,それを追尾するというもの.

 レーザーを発射して測距すると,敵のレーザー警戒装置を作動させてしまうので,相手を確実に捕捉し,距離もサイズなどから概略計算し,しばらく追尾して動きも読み切ってから,引き金を引く寸前にレーザー測距,距離修正,発射,と素早く行う.

 もっとも相手もレーザーを探知した瞬間に警報,煙幕投射,戦車によっては勝手に速度変化(急停止,あるいは急発進など),砲塔をレーザーが来た方向に向ける,などの自動防御,反撃行動を行うこともある.

 補足.
 画像認識に赤外画像を使用するのは,
夜でも温度差によって画像を得やすいこと,
特に内燃機関を使用する車輌類を見つけやすいこと,
可視光より透過性が良いため,悪天候や砂嵐などでもある程度視界が得られること
などが理由.

 湾岸戦争では,砂嵐のためにイラクの戦車からはM1A1が見えず,M1A1は赤外観察装置を使用して一方的にT72を破壊するという状態がしばしば発生した.
 撃たれているイラク軍は,相手が戦車なのかヘリなのか爆弾なのかすら分からなかったという.

軍事板


 【質問】
 APFSDSを初めとする戦車砲についてお聞きしたいのですが,敵戦車を狙う時に,主に敵戦車のどの部分を狙って撃つんでしょうか.
 砲塔? 車体?
 それとも自動照準は目標の大体の中心点を狙う様に設定されてるのでしょうか?

 【回答】
 狙えるなら砲塔や車体の正面は避ける.装甲の一番厚い部分だからね.
 大概の対戦車兵器のマニュアルでは,
「真正面からにせよ側面からにせよ,車体の真ん中を狙え」
「動いてる目標を狙う場合は,目標の中心からやや前方を狙え」
って書いてある.
 まぁ,これは照準上の問題だろうけど.

 この車種はどこに弾薬庫があってどこに燃料タンクがあってこういう人員配置になっている,ということがわかっているなら,
「ここを狙うのが一番効率的」
なんて識別表に書いてあることも.
 かつての西側の戦車兵教育では,
「T-62とT-55は正面から狙うなら,車体のやや向かって右側を狙え」
と書いていた.
 これはT-62/55(54)は戦車の中心線左側(向かって右側)に,前から操縦手-砲手-車長 がほぼ一直線に座席がある車内配置だったから,うまく車体正面を貫通できれば人員被害を大きくできる,という読みから.

 もっとも,最近のAPFSDS弾なら,車体だろうが砲塔だろうがどこに当ろうが,装甲を貫通できれば車内は滅茶苦茶にできるから,せいぜい
「バカ正直に砲塔正面を狙うなよ!」
という程度で充分であろう.

軍事板


 【質問】
 戦車の話などを読んでると時々出てくる「戦闘照準」とはなんですか?
 「戦闘」照準があるなら,他にも「訓練」照準とかそういったのもあるのでしょうか?

 【回答】
 砲や銃の弾は直線ではなく緩いカーブをを描いた”弾道”で飛ぶので,例えば距離2000mにきっかり合わせて撃つと,2000mよりも目標が近い位置に来ると(目標の高さにもよるが)目標の頭上を弾が飛び超える.
 当然当たらない.

 逆に,2000mきっかりに合わせた場合でも,2000mを超えた位置にいる目標にも当たる
(2000mを超えたら即地面に落ちるわけではないので).

 これを利用して,
「このくらいの高さの目標相手に○○mで合わせて撃ったら,当たる範囲は○○mから○○mの間」
と言うことを覚えておいて,目標の距離に合わせて細かく照準を合わせず,上記の範囲にある目標にはそのまま厳密な狙いを付けずに撃つことを「戦闘照準」と呼ぶ.

 訓練の時はちゃんと照準を合わせて撃つことが求められるけど,”実戦的な”訓練に拘るときは,訓練でもこの「戦闘照準」を行う.

軍事板


 【質問】
 対戦車砲で戦車をブチ抜かれた場合,中の人って脱出出来るもんなんですかい?

 【回答】
 被弾部位と破損程度と確率的な問題だが,装甲を完全に抜かれたら厳しいものがある.
 なぜなら弾丸の保有していたエネルギーが,装甲の破片に伝達され,車内に飛び散るから.
 誰だって至近距離でショットガン撃たれたらやばいべ?

 まあ,最近のちょっと気の利いた戦車だと,対策としてライナーが貼ってあるのは当然だけど.

 その後,砲弾が誘爆するかにもよるし,運にもよるのでケースバイケースとしか.
 戦記や元戦車兵の手記でも,被弾した戦車から脱出できた者も少なくない.

 あと,あまりに装甲がしょぼかったりすると,弾丸に十分抵抗がかからず,スカスカと反対側に抜けるだけ,なんて嬉しいんだか悲しいんだか分からない事態も起こり得る.
 中には,砲塔を貫通したが,車体だけで味方のところまで帰ってきた,95式軽戦車の例もある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 最近の戦車砲弾って,喰らったら車内の乗員は,即昇天みたいなのですが,助かる(自力脱出)割合はどの位有るのでしょうか?

 【回答】
 室内のダメージに限れば,どの部位に当たるかと,弾種にもよります.

 対戦車榴弾であれば,最新の特殊装甲+内張りライナーがあれば,軸線上の人間のみですね.

 徹甲弾の場合は,V50をはるかに超えた速度もしくは,側面をやられると,射撃軸線とそこから±40度程度の位置にいる乗務員は完全アウトだと思いますね.

 この辺は,防衛庁でも脆弱性解析の研究を行っている模様なので,それなりに対応しているのではないかと思いますけど.

 なお,最新の戦車の弾薬庫はブルーオフパネル方式という,安全策を採用しており,搭載弾薬が被弾し爆発に至った場合,弾薬庫天板が圧力でさっさと開き,爆風を外に逃がす形式になっていますので,よほど運の悪いタイミングで被弾しない限り,やられ難い設計になっています.
(例えば供弾開始時,弾薬庫のシャッターがあいた瞬間に被弾とか)

 これは90式も同様です.

 「軍事研究」1999年9月号には,湾岸でT-72に直撃されたM1A1の詳細戦記が出てますが,乗員に死者なしってのがすごい.
味方の誤射をくらって大破しても乗員は無事だったそうです.
 メルカバ戦車も車輌の損害の割に人的被害が少ないそうです.
 これらは理由はともあれ,人を最も重要とする思想の現れですね.
 私見ですが,鉄の棺桶になるとは限らないというのは,戦車乗員の意識に革命をもたらしているのでは?と思います.
 少なくともノモンハンで死んだじいちゃん達の悲愴な決意とは比べ物にならない.

 これと対極を為すのは旧ソ連の戦車でしょう.
 あれは戦車の都合で乗員が決められましたから.

(?,チェックメイト,他)


 【質問】
 現代の戦車砲の弾が電気雷管なのは何で?
 昔は雷こうを叩くやつだったと記憶してますが.

 【回答】
 戦車砲みたいに薬莢長が長い砲弾は,衝撃式だと燃焼が不均一になって,初速が安定しなくなる.
 それを解決したのが電気式で,薬莢や薬室の電熱線で撃発する.

 また,雷汞ってのは化学的にものすごく不安定で,ちょっとした衝撃ですぐに発火してしまう.
 つまりダメコン上,非常にまずいブツであり,無くせるものなら無くしたい物.
 例として,大戦期のM4戦車が被弾して,その衝撃で雷管→装薬の順に誘爆したってケースが多発してる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車が開発されてから戦車に搭載される砲は大口径化の一方であると思いますが,携行する砲弾の数が減って,問題になったりしないのでしょうか?

 【回答】
 実際にソビエトのJS(IS)-2とかは,携行弾数が少ない(28発)ので問題になったりしている.

 大口径化とは別に,重装甲化・上部車体が左右に張り出す構造の廃止などした結果,戦車砲弾の搭載量は減っている.
 現用戦車(特に西側諸国)に関して言うと,命中精度が向上していることや,砲塔後部に砲弾を満載しても被弾時の誘爆が防止出来る構造(弾庫を細かく区切り,被弾して個別の弾庫内の砲弾が誘爆したら,天井に逃がすようになっている)によって,砲弾の搭載量を確保している.

 ただ,第2次世界大戦中期から戦後にかけて,幾つか運用法の改善が図られ,砲弾の使用量自体も減っている.

・大戦中,アメリカが大量に生産し,米英にレンドリースした戦車は,砲塔上部に50口径の機関銃を搭載していた.
 このクラスの機関銃は(戦車砲弾よりも)銃弾の収納スペースを確保する上で,自由度が高い上に軟目標への攻撃力も充分だったので,主砲弾の収納数が減った分をカバーした.
 大戦末期,英ソも自軍の戦車を開発する際,機関銃の搭載を考慮している.

・大戦後,兵員輸送車が戦車に追従出来る不整地走破能力を持つようになり,歩兵と戦車の相互支援が強化された.
 歩兵戦闘車ともなれば,後方から主力戦車の支援砲撃が可能になっている.

・車体前方機関銃手を廃止して固定銃にする,または前方機関銃自体を廃止して砲弾の搭載スペースを作っている.
(ソ連の場合は燃料も空きスペースに入れている.)

 その他,榴弾に代わり,HEAT-MP弾を搭載するようになった.
 要は多目的弾を搭載することで,軟目標・装甲車輌どちらか向けの砲弾が無くなってしまう事態を防いでいる.

 もう一つ,戦後の米英の戦車については,上部車体を左右に張り出すのをやめた上で,必要な量の砲弾を搭載したため,逆に燃料タンクの容量が足りなくなっている.
 そこで車外に切り離し式のガソリンタンクを取り付けるなどしていたが,最終的にはディーゼルエンジンの採用で対処している.

 大口径化の問題について言えば,戦車の主砲は現在ほぼ120/125mmで性能的に安定し,これ以上の大口径化はほぼ必要ない,と考えられている
(140mm砲はテストされ続けているし,ロシアの開発中の最新型,T-95は155mm砲を搭載するとも言われているけど)
ので,現代のMBTのサイズであれば,この口径なら実用上充分な弾数を搭載できるので,あまり問題はない.

 ロシアのT-95がどうなるのかわからないけれど,輸送の都合等を考えると,MBTが150mm代以上の砲を搭載することは現実的にありそうにない
(重く大きくなりすぎて運用が困難になる)
し,じゃあ戦車でなくても・・・と昔みたいに「装甲はないが砲がでかく攻撃力だけは大きい」という,火砲式の「対戦車自走砲」が開発される可能性も低い
(なら対戦車ミサイルにしろ,ということになるので)
から,
「砲がでかいので砲弾もでかく,戦闘に充分な量が搭載できない」
という問題が,今後のAFVに発生する可能性は低いと考えられる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車砲の空薬莢って,どこに排莢してるんでしょうか?
 もしかしてケースレス?

 【回答】
 現在日米欧で主流の120mm滑腔砲の薬莢は,発射時に燃焼してなくなる焼尽式.
 金属製の底部のみが備え付けの箱や袋に,排出時に落っこちるような仕組みになってる.

 それ以前は薬莢が,同様に排出時に箱に落ちるようになってたり,手で取り出して箱や袋に入れたり,場合によっては排莢ハッチから捨てたり.
 薬莢はそこらに転がしとくと乗員の行動の邪魔だし,なにより大量に撃った場合,薬莢から漂い出てくる硝煙で失神する危険もあった.
 だから可能な限り密閉した箱などに収納し,箱には排気用のベンチレータがついてるものもあった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車がその主砲を発砲した場合,砲の閉鎖機が解放された瞬間,燃焼ガスや煙が密閉された車内に逆流しそうに思えるのですが,どうやって解決しているのでしょうか?

 【回答】
 現代の戦車は,砲身の真ん中に排煙器(エバキュエイター)というものをつけ,砲身内の気圧を調節して排煙の逆流を防いでいます.
 この排煙器は砲身に穴を開けるので,そのぶん砲の性能が低下(僅かですけどね)するデメリットがあります.
 フランスのルクレール戦車は排煙器を持たず,発砲後に砲身内に圧縮空気を送りこんで強制的に排気する機構がついています.
 作動不良が多いそうですけど(苦笑
 現用ロシア軍戦車与圧システムを用い,砲口から排気します.

 それ以前には,換気扇を閉鎖機の真上につけたり,吸気扇(換気扇とは逆に外から車内に空気を取りこむ)を使って車内の気圧を上げて排煙が逆流してこないようにしていました.
 WW2のドイツ軍では砲塔上部の換気扇で排気します.
 ・・・ただ,その辺の設計がまずかったり,そもそも換気扇も吸気扇もついてない車輌もあったりして,砲や機銃の発射ガスで乗員が倒れたりガス中毒を起こしたり,という事故は結構ありました.

 例えば,チハ車(九七式中戦車)などの日本戦車には終戦まで,換気扇などの装備が付けられていませんでした.
 そのため密閉状態で射撃を行うと,特に前方射撃手の周辺にガスが滞留し,一酸化炭素中毒になる危険性がありました.
 このため一部の車長は扇子を持ち歩き,戦闘中に前方射撃手を扇いで一酸化炭素を拡散したとか….


 火薬が燃焼して生じるガスには一酸化炭素や二酸化硫黄などの有毒物質が多く含まれており,密閉された砲塔にこれらの有毒物質が充満すると,戦闘効率低下をきたし,甚だしい場合には乗員の失神という事態にまで至るので,砲塔の排気は非常に重要な問題なのです.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE(黄文字部分) & 一等自営業 ◆JYO8gZHKO.(赤文字部分)他 :軍事板,2004/10/28
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車って,砲を撃つときに,戦車の外ではものすごい音がとどろきますが,乗員にとって発射音はどの程度うるさいもんなんでしょうか?
 それと,WWIIの戦車と近代の戦車では,その騒音対策に違いってありますか?

 【回答】
 砲を発砲した時に発生する音波(というか,衝撃波)は砲の内部から砲口の外へ開放されていくものなので,内部には直接的には伝わってこない.
 もちろん車外で発生した音波や衝撃波は車体を揺らすが,それは直接的な「音」ではなく車体を揺らす「衝撃」として伝わるので,車外で聞こえるような「轟音」にはならない.
 聞き流せるようなものではないが,ヘッドホンをしていれば気にしないでおこうと思えば思える.
 音よりは車体が揺れる事の方が大変.

 昔の戦車,現代の戦車に関わらず,マズルブレーキやバッフル,ブラストデフレクター(61式戦車の砲口の煙突みたいなやつ)のある砲は,砲口で発生した衝撃波が一定方向に偏って広がるので,広がる方向(大体は,砲口の横方向)にいるとものすごい音と衝撃波(と,土埃.雨が降ってると水滴がシャワーのように・・・)が叩きつけてくるが,砲口の後ろ方向にいると大した事は無かったり.
 マズルブレーキ等が無く砲口がストレートなものは,全周囲に音と衝撃波が散る.

 総合火力演習に実際に行く機会があったら,マズルブレーキのある砲(特科の榴弾砲は皆そう)とストレートな砲口の戦車の発砲音や発砲衝撃波を比べてみるといい.


 【質問】
 戦車の横5mの歩兵には,車長が身を乗り出して拳銃を発射する程度しか対応できないそうですが,こういう歩兵を衝撃波で蹴散らすために,主砲撃っちゃだめなの?

 【回答】
 実際にアメリカ軍は対歩兵接近戦用の主砲弾を準備はしていた.
 実際に使用したかどうかはシランが.
 構造は,長さを切りそろえた針金を束にして,太い素麺みてーにして,外側をボール紙でくるんで主砲から撃てるようにしたもの.
 発射したらライフリングによる高速回転の遠心力により,主砲の砲口を出た途端に弾がばらけて,針金が高速で回りに飛び散る.

フェチ ◆kK77XB6/ug in 軍事板,2007/05/25(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車は自走砲のように,有視界外の目標に砲撃して運用する事は出来るのでしょうか?

 【回答】
 第2次世界大戦中の欧州戦線で,米国が使った対戦車駆逐車(オープントップ式砲塔のやつ)は,射表も用意して間接射撃による支援をやってます.
 アメの戦車駆逐車は砲兵の管轄だったので,乗ってる人には砲兵出身の人がいて,そういう使い方を案出したという話です.

 この対戦車駆逐車は,教義が現実から乖離してたのだけど,現場の創意工夫でうまく使われたというか,役目を見出した例なのかもしれません.

 なお,米軍では戦車駆逐車と言うのは,Tank Destroyer Battalion(戦車駆逐大隊)の装備車として,Tank Destroyer(戦車駆逐車)と呼ばれていました.
 ハーフトラックに75mm砲を搭載した車輌などもこれにカテゴライズされ,戦車駆逐車は戦車には含まれませんでした.
 例えばM10GMCのGMCは,Gun Moter Carriageで自走砲でした.


 【質問】
 市街なら戦車砲を撃つわけにはいかないのでは?

 【回答】
 市街戦でも戦車砲は有効な火力です.
 特にHEAT-MP弾は限定的ながら榴弾としての運用も可能な他用途砲弾ですので.

 例えばこんな話があります.以下引用.

「ブラッドレーは,強力な25ミリ砲を装備しているんだが,これはコラテラル・ダメージ(附随被害)が大きすぎてなかなか発砲できない.
 逆に,M1タンクの主砲から撃つHEAT弾の方が,コラテラル・ダメージを抑制できて,むしろ12.7ミリ弾の方がダメージが大きい.12.7ミリだと,マンションを5棟分もぶち抜くのに,HEAT弾だと,一部屋の破壊で済んだ,等々.
(中略)

4.民兵相手の市街戦であっても,戦車は極めて有効な武器である.制圧,阻止,威嚇,銃弾の盾,どれを取っても,ブラッドレーの比ではない.戦車随伴部隊と,ブラッドレーチームの死傷者数の差に如実に顕れている」

 以上「攻防!サドルシティ」の項より引用

(名無し三等兵 in FAQ BBS)


 【質問】
 バロッティングって何ですか?
 google検索して出た説明を見ても,イマイチ分からないのですが…

 【回答】
 機械的バロッティングと空力的バロッティングの2種類がある.
 装弾時に弾の中心軸が砲の中心軸からずれた状態で装填される現象が,機械的バロッティング.
 砲弾が進行方向に対して中心軸がずれた状態で飛翔する現象が,空力的バロッティング.
 共に命中率や射程距離に悪影響を及ぼす.これが頻発するようだとかなり問題.
 後者は徹甲弾のような細長い砲弾や,フィンで砲弾の弾道を安定させる滑腔砲で起こりやすい.旋条砲でも,回転数が足りないとバロッティングを起きる事がある.

 解決策としては,ライフルの溝を増やして,砲弾の回転数を増やして回転軸を安定させる事.
 ただし,マグナス力で弾道が大きく曲がると言う欠点がある.


 【質問】
 戦車の様な重装甲を施した重装甲ATM車が作られないのは何故ですか?

 【回答】
 戦車とほぼ同じ装甲を持った砲塔に,対戦車ミサイル発射機を搭載した「ミサイル戦車」は,ソビエトが実際に開発して実戦配備した.

 しかし,戦車と比べるとはるかに高価なのに,対戦車戦闘しかできないという問題点がある上に,どんなに重装甲でも,ミサイル(及びミサイル発射機)自体を重装甲にすることは出来ないので,根本的な防御上の欠点がある,という問題はどうにもならないので,あっさり廃れた.

 対戦車ミサイルの戦車砲に対する優位に,「射程の長さ」があるが,射程で勝ってるなら,戦車並みの装甲(敵戦車に撃たれてもなんとかなる)がある意味が低くなる.
 それだったら装甲兵員輸送車程度の装甲がある車輌に,対戦車ミサイルを積む程度でいい.
 少なくともコストの面からはそうなる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ガン・ランチャーの利点ってなんでしょうか?
 ミサイル・ランチャーにしては中途半端な気がするのですが.
 即応性を失ってまで手に入れられるのが長大な射程距離っていうだけでは,割に合わないと思うのですが.

 【回答】
 ガン・ランチャー方式の戦車砲は,
・敵戦車との距離が長いときは,対戦車ミサイルでアウトレンジ攻撃.誘導できるからウマー
・距離が詰まってきたら,対戦車砲弾で射撃.対戦車ミサイルより遙かに安価で威力もあってウマー
というのを,ひとつのシステムで実現できる.

 空挺戦車のように重量制限で強力な砲を乗せられない場合は,
・戦車がやってきたら対戦車ミサイルで攻撃.
・歩兵支援には榴弾を使う.
という使い分けである程度カバーできる.

 対戦車ミサイルはかなり高価だし,構造は複雑になるので信頼性に劣るし,自動装填装置や弾庫などのスペースが大きくなるし,そもそもFCSと対戦車砲弾の性能向上を考えると,対戦車ミサイルを撃ててもあんまり嬉しくないし‥
 まぁ,必要性は「ドクトリン的にガンランチャーが必要」という場合だけですね.


 【質問】
 01やジャベリンのような大戦車ミサイルの発達をみるに,今後ガンランチャーの復権はあり得そうでしょうか?
 すでにLAHATが似たような存在として配備されてますが,今後仮想敵の戦車も機動力およびFCS等が向上し,機動戦を行われ,無誘導弾の命中率向上の限界に達した場合,誘導弾による戦車撃破手段は必要不可欠だと考えます.
 LAHATを例にとれば,占有スペースはAPFSDSと比べても著しく増大はしませんし,重量はほぼ無視できます.
 命中率の上昇分,搭載弾数はいくらか削れるでしょう.
 回避機動を行いながらの継続的なレーザー誘導も,同じ条件で主砲で狙いをつけるよりは幾分か楽かと思います.
 ジャベリンなどは赤外方式で打ち放しが出来ますね.
 他にも,軌道を管制することが可能であれば,C4I能力によって障害物越しに対象の存在を知り,攻撃の必要ありという場合に,わざわざ周りこんだりする手間が省けるのでは?

 長々と書き綴ってしまいましたが,要点は
「今後,命中率の問題から誘導弾の必要性が出るのでは?」
「現行でも誘導弾の使用で対戦車弾の搭載弾数を削り,その分多目的弾を多く搭載できないか?」
「誘導弾を運用すれば,C4I能力をより活かせるのではないか?」
というものです.
 もし,まったく間違った認識であるとすれば,それはすべて僕の無知に起因するものです.
 が,どうも無誘導弾の対戦車能力の限界を感じ,我国の防衛戦略上,戦車の優位性は重要という事実を踏まえた上で,投稿する価値ありとみました.
 よろしくご回答のほど願います.
(誤解されないよう書いておきますが,決してわざわざJSF氏に回答してもらいたいという意味ではありません.)

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月24日 05:11:56

 【回答】
 砲弾より安い誘導弾が開発されるか,誘導弾でないと破壊できない装甲が発明されない限り,ガンランチャーは主流にならんでしょう.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月24日 05:51:31


 よほどのことがない限り,ミサイル主流はない.
 ミサイルは高価だし,HEATはAPFSDSに比べると対処が簡単だから.
 APFSDSなら,防御力を向上させて受け止めるしかないよね.

 レーザーを当て続けるのは,一瞬だけ相手の位置に向かって撃つのよりも大変です.
 障害物越しの敵は稜線射撃をするか,別の味方に任せれば良いだけです.

 そもそも,そんな敵にミサイルはなかなか当たりません.
 敵は当然動き回りますし,ロックしていない敵を追尾するのは,色々と大変です.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月24日 06:22:01


 その手の対戦車ミサイル(ATGM)の致命的な弱点として,ミサイルの飛翔速度が遅い.
 せいぜいマッハ2.

 また,ミサイル発射時の発砲炎や煙により,探知されやすい.
 つまり,戦場生存性やステルス的に問題が多い.

 敵戦車にATGMが命中する前に,反撃されることすらある.
 APFSDSの到達速度の方が速い

 だから,戦車砲の射程外や見通し可能な地形外からアウトレンジしたり,撃ち放し方式にしてATGM射手側の生存性を稼ぐ.
 そうなると,高度なデータリンクや観測手段が必要.
 ATGMやシステム構築のコストは膨大になる.
 そして,戦車でATGM運用する必要も薄くなる.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月24日 06:55:34


 砲発射ATGMを装備する戦車は
長距離射撃能力に問題がある(自信の無い)国の戦車か,
自国の戦車が性能的に敵国より優位であるか,
地形の障害や起伏が少ない場所が主戦場であるか,
どちらかといえば新しい物好きか,
が多いような気がする(東側,イスラエルやインドなど)

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月24日 07:03:34


 ただし,有力な対戦車ミサイルを持った相手と,第3世代戦車は大規模戦闘した事が無いので,今のような戦車がこれからも有効かはちょっと不明.
 装備の貧弱なゲリラ対策に,有効性が証明されただけという状況.
 ヒズボラ辺りとイスラエルでさえ結構な被害が出ているので,もっと有力なトップアタックミサイルを持った,対戦車部隊が待ち構えているところに,不用意に近づくとポコポコ食われるかもしれないし,そういった兵器がゲリラに流出するような事態になったら,要らなくはならないけど,現在のような戦車が二級戦力になっちゃうかもしれない.
 現在の艦船みたいに,避けるか,打ち落とすのが主流になって,受止めるが廃れたて,軽装甲に大口径ガンランチャーが復権するかもしれない,
 人の安全って意味では,人が載ってないとかもありうる情勢だし.

 でもそれは,ある程度の未来のお話.
 10式の次は,もう今のような戦車はいないかもしれないかもとは思う.
 そういう研究も当然してるんだろうな,素人が考えるくらいだから.

 間違っても「74式で良い」とかにはならないんだけど(笑)

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月24日 14:00:25

「週刊オブイェクト」◆(2010年08月23日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車を撃破するという目的のみのとき,運動エネルギーで攻撃するミサイルと,AP弾を撃つ戦車砲を比べたら ,どちらがどのように優れているか教えてください.

 【回答】
 LOSATと戦車砲の比較ってコトでいいのかな?
 LOSATはモノがでかいから,戦車砲弾より威力(運動エネルギー)が大きい.
 戦車砲より射程も長い.
 ただし,ロケットだから加速が短いと威力が不十分.つまり近距離戦闘は不可.
 ロケットの排気煙は発射位置を暴露しやすく,反撃される可能性も高い.

 戦車砲は弾薬の価格も低く,多種の弾薬が使用できるので状況の変化に対応しやすい.

 また,運動エネルギーミサイル=KEミサイルでHEATのような化学エネルギー弾頭(CE)でないとして. KEミサイルは大型のため搭載数が限られます.また高価です.
 発射してから加速するまで距離が必要ですし, 弾道が安定しないと目標にロックできません.
 このためどうしても最低有効距離が生じ,それ未満では使えません.
 逆に距離が離れても速度,精度が低下しにくいので,遠距離目標には有効です.
 ただし誘導が必要な以上, それに対する妨害が可能となります.

 砲弾は逆であり,安価,小型のため多数搭載できます.
 ゼロ距離でも有効ですが,あまり離れると威力が落ちます.
 一旦発射されると,妨害はたいへん困難です(アクティブ防御でもAPFSDSに対する有効性は疑問~限局).
 120mm砲弾ですら搭載数にやや不満があり,このためもあってより大口径への移行が進まず, 非対称戦争下では市街地で移動要塞として至近目標相手にも使われることがあり,軍事予算がどんどん縮小されていることを考えると,KEミサイルは戦車砲を積めない場合の代替か,戦車砲の付録として使うしかないでしょう.

 あと,ミサイルは砲弾より高価で運べる数も少ないが,威力を増すのは容易.
 120mm砲の威力を向上させようとすると,長砲身化などだが,限界がある.
 砲の口径を大きくすると,反動も大きくなるし,車体も大きくするなどしなければならない.
 逆にミサイルは反動がほぼない.


 【質問】
 対戦車ミサイル(AT-3辺りの飛翔速度が遅いもの)を戦車砲から発射した榴弾で破壊する事は可能ですか?
後,AMX-30は対戦車ミサイルに対抗して防御力より機動力を優先したとの事ですが,どうやって対戦車ミサイルを回避するのでしょうか?

 【回答】
 自分に向ってくるATMを戦車砲の榴弾で破壊する,っていうのは難しいと思う.
 そもそも,戦車砲用の榴弾っていうのは,空中の任意の場所で爆発させるようにはできていないから.
 アメリカの戦車砲弾にあるキャニスター弾(要するに,大口径の散弾)なら可能かも.

 AMX-30やレオパルドⅠなどの西側戦後第2~2.5世代の戦車は,装甲防御力よりも機動性を重視している.
 装甲が薄い代わりに瞬発力が高く,急ハンドルが切れる.
 初期の対戦車ミサイルは飛翔速度が遅く,目視誘導の為に発光装置がついてるので,充分目で追えた.
 自分に向ってくるミサイルをギリギリまで引きつけて,ギリギリのところで急発進したり急ターンすれば,充分にミサイルをかわせた(戦車の急機動にミサイルの進路変更が追い付かない).
 この戦法? は現代でもそれなりに有効と言われる.

 尚,イスラエルなんかでは戦車砲弾を急機動で避けた,という強者もいる.
(APFSDS弾登場以前なら,戦車砲の有効射程距離を砲弾が飛んでくるのには2,3秒 かかるので,相手の発砲炎を見たのと同時に急起動すれば,充分かわせる)


 【質問】
 戦車の主砲では,バイクなどの小さな車輌は狙えない,とか言われたんですが,そんなことはないですよね?

 【回答】
 端的に答えは
主砲で狙えるかどうか? ⇒ YES.
主砲で撃ちますか? ⇒ NO,同軸機銃でも使え.

 戦車砲のAPFSDSの精度は0.2mil以下.つまり1kmの射距離で(理想的には)20cm内に着弾するわけで,静止しているバイクなら十分狙えます.
 動いていても,平らな路面をまっすぐ走っていれば,火器管制装置がフォローしてくれます.
 実際の精度は上記より劣りますが,1kmなら十分命中が期待できるでしょう.

 でも,戦車のようながっちりした架台に搭載され,優秀な火器管制装置がコントロールする機関銃は,狙撃銃と同じなので(しかも連射できる),ふつーは貴重な砲弾は温存して同軸機銃を使うでしょう.
 戦車砲撃つとやたら目立つし.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現代戦車の主砲はバーストで撃ったりとかできるのですか?

 【回答】
 バーストの定義によるんだけど,単に同一照準に対する速射と仮定する.

 最近の戦車はFCSが賢いので,特定の敵に照準を合わせ続けることはできる.
 自走砲にはバースト射撃があるんだけど,この射撃による砲身のブレなどを補正して,同一目標に着弾するようにされている.
 戦車はより高度な補正を求められるだろう.

 しかし,戦車砲は単発なので一発ごとに装填しないといけない.
 いまだ多数派の手動装填の戦車では難しいだろう.
 一方,自動装填装置は高性能化することで発射速度を高めることができる.

 しかし今の自動装填装置だと,速度的に限界があるから,バーストさせたいならベルト給弾など新機軸を取り入れないと難しいとおもうね.
 機関銃や機関砲なら全自動射撃を制限するだけで,楽々バースト射撃が実現するんだけど.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 そんなわけで,中の人が頑張って同一目標にバースト射撃するのではなく,バースト射撃を行う機構を備えた戦車は現在無いと思う.
 過去にバースト射撃可能な自動砲を備えた試作車両なら有った.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 例えば,88ミリ高射砲搭載したティーガーを対空戦闘させるために,仰角80度程度とらせて砲を撃つ事は(改造などを施した場合),可能なのでしょうか?
 うまくいけば対空戦車の随伴なしに,進撃が出来る・・・

 【回答】
 対空戦車ってのはつまり,こういうの
http://combat1.cool.ne.jp/OTOMATIC.htm
になるのか?

 第2次世界大戦レベルだと,対空砲は狙って当てるというよりもせっせとばら撒いて航空機の行動を制限,阻害する感じだから実用性の点で難が・・・
 弾の問題とか.対空と対戦車じゃ当然弾が異なるわけで. 片方積んでる分,もう片方の弾薬携行数が減るわけで.

 また,戦車のような限られた空間で大口径対空砲を発射する場合,後座距離を大きくして反動を緩和することで,斜面で横向き発射しても横転しないよう,また可能な限り大きな口径を使えるようにします.

 一見仰角を取って砲塔内におさまるように見えても,発射したときにこの後座距離を確保しようとすると,大変なことになってしまいます.
 さらに,戦車の相手は高空を飛ぶ戦略爆撃機ではなく,低空から俊敏に襲いかかってくる攻撃機です.大口径高射砲より機関砲の砲がはるかに有効です.
 さらにまた,そのように角速度が大きい標的を相手にした場合,装甲に覆われた重い砲塔ではついて行くことができません.
 やはり俊敏に砲を指向できる機関砲を積んだ車輌が有効なわけです.


 【質問】
 現代の戦車には対空ミサイルなどは付いてないのでしょうか?

 【回答】
 普通の戦車でまともな対空装備を持たせるのは難しい.

 ただ,努力してる例はある.

 たとえばT-72チェコ・バージョンには,対空用に20mm機銃をつんだのがある.
http://homepage3.nifty.com/sweeper/panzer/another/zts_t72.htm

 あと,ロシアやイスラエル製の主砲発射式の対戦車ミサイルがあるけど,こいつはヘリコプターに対しても一応有効という触れ込みになっている.

 最近では,ミリ波誘導砲弾が戦車砲に導入されつつあり,対ヘリコプター交戦能力があるとされる.
 たとえば韓国のKX2なんかは,「ヘリコプターを撃墜できる電子知能弾も備えている」とな.
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=85110

 IFVの類では,ブラッドレーの対戦車ミサイルをスティンガーに変えて,センサー類もいろいろいじったM6ラインバッカーなる対空型はある.

 結局,多少とも有効な対空戦闘能力を持たせようとすると,派生型として専用車輌を作って随伴させたほうが,合理的になるということかと.

軍事板●初心者歓迎 スレ立てる前に此処で質問を 507
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 MBTの車載機銃は.50インチで十分なのでしょうか?
 20mm以上は必要無いのですか?

 【回答】
 20mm機関砲同軸機銃にしてたMBTもあったりした(フランスのAMX30とか)が,副武装があまり大きいと,スペース食うし積み込む弾薬の種類が増えて,車内が狭く煩雑になる.
 マトモに機動運用できる戦車のサイズは限られているので,そのサイズの制約の中で120mm+25mm+12.7mm+7.62mmとか全部載せたりすると,どれも積める弾薬が少なくなって車内が狭苦しく煩雑な車輌になってしまう.
 当然ながら,多種類の銃器を積めば積むほど,整備の手間も運用のコストも増す.

 大口径機銃で効果的な対空射撃するには,レーダー付きの高度なFCSが要るが,そんなモンは積めないし(いや積んでもいいけど重くて邪魔なだけ),どっちにしろ小口径機銃も必要だから積まなくちゃいけない.
 歩兵を25mm機関砲で撃ったりするのは,攻撃力過剰で無意味だから.

 そう考えると砲1門+機銃2~3丁の今の形がベスト.

▼ イギリスがL7系列の105ミリ砲を作ったときに,12.7ミリを使ったスポッティングライフルを作ってる.
 しかし照準できるのが1800メートルくらいと,主砲の射程より短いので採用してるところはもうない.

 メルカバは,同軸(砲手),車長,装填手でMGを3門積んでいるけど,いずれも7.62.
 M1は計画時に25ミリを同軸にすると言っていた.
 開発が遅れて7.62にしたが,もういっぺん積むと言う話は出ていない.

 破壊力で選ぶというのもあるのだろうが,7.62ならどこの戦車も4~5000発.M1やメルカバは1万発以上積んだりする.
 長時間制圧できるだけの弾数のほうが重要なのかもしれない.

 ロシアの戦車はまた違ってくるが.

軍事板
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 【質問】
 大体の戦車には上面に機銃が据えられていますが,あれの用途は何でしょうか?
 また,ベトナム戦争の頃には防楯がついていたのに,最近はついていないのは何故でしょうか?
 車長の姿がむき出しなって,かなり危険に思えるのですが.

 【回答】
 大戦中のドイツ戦車だと対空用.専用に載せてるのではなく,同軸機銃をはずして移設する.
 突撃砲のは対人用なので,防盾が付いてたり,リモコン(というか車内から手動操作)式だったり.

 大戦中のアメリカ戦車の12.7mm機銃は本来対空用.
 対人用に7.62mmに換装したり,増設してる例もあり.
 ソ連(というかスターリン戦車系)に付いてるのは,供与されたシャーマン戦車の12.7mmが市街戦で,敵兵の潜んだ瓦礫ごと掃討できるので,対人用に追加された.
 戦後,核兵器とジェット戦闘機の時代になると使えないので,T-55の初期に一旦廃止されたが,ヘリに対し有効なものでまた復活.

 イスラエル戦車のは対人用で,両方のハッチに付けているものまである.
 最近のだとリモコン式もあり.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車の主砲付近に搭載してある.30口径機関銃の使い道は何でしょうか?
 対人ですか? 対物ですか? それとも対空?

 また,T-90などのMBTの砲塔上に搭載されている,主に.50口径の機関銃の使い道とは何なんでしょうか?
 口径から対人以外に汎用的に使われると思われますが・・・

 あと,米軍主力戦車「M1エイブラムス」の砲塔にはM2重機関銃が搭載されていますが,あれは対空に使われるのでしょうか?

T-1000

 【回答】
 戦車の主砲の脇にある機関銃は「同軸機銃(自衛隊用語だと「備砲」)」と呼び,主に非装甲目標への射撃に使われる.
 もう一つ重要な用途は,主砲射撃の照準確認に使うこと.
 同軸機銃の弾はある程度の距離までは主砲と同じコースを飛ぶので,まず最初に同軸機銃を何発か撃って照準が正しいことを確認,それが当たったら主砲を発射した.
 現在では照準装置や距離計測装置が発達したのであまりこういう使い方はしない.

 戦車の砲塔上や車長用展望塔,乗降用ハッチの脇などに着いている機関銃は,対空射撃及び非装甲目標射撃用.


 【質問】
 現代の戦車の機関銃は対人専用で,装甲は主砲に任せると割り切っているのでしょうか?

 【回答】
 まあ,そう言うことじゃないんだよ.
 割り切りとか,そう単純な話じゃないのですよ.

1.歩兵,および歩兵戦闘車との相互支援.
2.砲塔上部の機関銃がリモコン化されている場合がある.
3.そも戦車と言うのは,視界の悪さから戦車長が車外に頭なり上半身なり出して周囲を伺うこともあり.敵歩兵の襲撃を受けそうな状況で戦車長が怖がって車内に引きこもり,外の歩兵の掃討を怠っていては,味方(のバッタのみなさん)への示しが付かない.

 と言うような発想から,敵兵を掃討するために砲塔上部の機関銃を使わなきゃいかん訳です.
(疑問自体,おそらく砲塔上部の機関銃を使うことを失念した状態で発生したんじゃないの?)

 また,そもそも大口径機関銃または機関砲を搭載していた国も,いろいろ事情がある.
 対人用に載せていた訳ではない.
1.イギリス
 FCSが未発達な時代に,機関銃で主砲の照準をつけていた.

2.フランス
 伝統的に主砲の横の機関銃は主砲とは独立して俯仰角の操作が出来る構造を好む.
 その前提でAMX30B2は対ヘリ用として機関砲を搭載した.

軍事板


 【質問】
 最近の歩兵戦闘車や装甲戦闘車に搭載される機関砲は,どの位の精度で目標を狙えるのですか?
 精度はとてもよいという話は聞いたことがあるのですが,狙撃銃なみは流石に無理ですか?
 後,もう一つ,近接戦闘車に搭載される機関砲用のテレスコープ弾というのは,そんなに性能が良いものなのですか?

 【回答】
 装甲車輌に搭載されている機関砲は,狙撃銃を上回る射程距離と命中率を誇っている.
 M2ブラッドリー歩兵先頭車搭載の25mm機関砲M242は,毎分500発の連射性を誇り,“有効”射程でも2500mはある.
 これは,通常の対人狙撃銃(7,62mm)のそれをはるかに上回るもので,対物狙撃銃よりも高い.
 さらに,狙撃手の技量が高くなければ,1000m以上はなれて撃つことすら困難な狙撃銃と違い,誰が撃っても,ほぼ確実に命中させられるほど,精度もいい
(ただし,対車輌用なので,小さな的に当てることはあまり想定していない)

 テレスコープ弾については,防衛賞技術研究本部曰く,

――――――
「テレスコープ弾の研究

 通常の弾薬は,弾丸の後ろに発射薬(火薬)の入った薬莢が取り付けられた構造になっています.
 これに対し,テレスコープ弾は,弾丸が薬莢の中に格納された構造であるため全長が短く,通常に比べて2/3程度の体積にすることができるという特徴を持つ,新しい弾薬であり,諸外国でも研究開発が進められています.
 火薬をうまく均一に燃やしたり,弾丸がスムーズに発射されるようにするなど通常の弾薬に比べて難しい点もありますが,実用化されれば,機関砲の発射速度を速くしたり,弾倉により多くの弾を格納できるようになります」
――――――

…とのこと.
 まあ,実戦配備されて,実際に使用されなければ詳しいことは分からないが,上記のメリットは大きいはず .

名無し上級大将 ◆80fYLf0UTM in 軍事板,2007/04/27(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 日本のFVなどに搭載されている35mm機関砲,徹甲弾なら戦車以外の大抵の装甲車を打ち抜けるって本当ですか?

 【回答】
 ほとんどの装甲車は機関銃,せいぜい12.7mmの弾に耐える程度の装甲しかない.
 最大でも20mmあれば厚い方.
 装甲の厚い歩兵戦闘車でも,30mmを超える装甲を持つものは稀.
(二重装甲になってて総計すると,60mmとかあるのは結構あるけど)

 35mm機関砲の徹甲弾の貫通力は,余裕でそれ以上あるので,簡単に抜ける.

 あと,機関砲に撃たれると一度に多数の弾を食らうことになるので,一発になら耐えられる装甲厚でも,状況によっては耐えられないことがある.
 湾岸戦争ではイラク軍のT-55戦車が,アメリカ軍のM2ブラッドレイの25mm機関砲の集中射撃で撃破されたりしてるので,戦車であっても耐えられないことも.

 データを挙げとくと,エリコン35mm機関砲用の徹甲弾は1000mで,80~60mmの装甲貫通能力があると云われる.
 これだと戦車でも正面装甲以外なら抜けるね.
 通常の対空用焼夷榴弾でも1000mで,角度60mmの15mm装甲版を射抜けるそうなので,装甲車なら徹甲弾使わなくても潰せるな.
 地上目標を撃つときには,対空射撃ほどの速度では撃たないけど,この弾が2発ずつ毎秒十発単位で飛んでくるんだから・・・.

 「対空機関砲で地上目標を撃つのを禁止する条約を作る会」とかが発足しないのが,不思議なくらいだな(苦笑

軍事板


 【質問】
 ピストル・ポートって何?

 【回答】
 車内から車外の敵歩兵を射撃するため,各部に設けられたピストルなどの射撃口。
 内側からチェーンを溶接し、射撃時に外に落として、射撃が終わったら引き上げることができる装甲蓋が設けられている。
 銃眼以外の目的で使われたり,増加装甲を取り付ける際に邪魔になって撤去されたりした例も多い.

 【参考ページ】
http://www.wdic.org/w/MILI/%E3%83%94%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88
http://sakurasakujapan.web.fc2.com/main03/museum/chinanorth03/chinabeijing03/beijingouter/tankmuseum/tankmuseum.html
http://www.sembado.com/photo/Dragon/6300/index.html
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/5870/tankitankisty2.html

【ぐんじさんぎょう】,2010/10/03 20:30
を加筆改修

八九式中戦車のピストルポート陸上自衛隊武器学校

よしぞうmaro' in mixi,2007年10月15日02:13
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 多連装ロケットランチャー装備の戦車が絶滅した理由は何なのか,自分で考えてみました.

(1) ロケット(ミサイル)の大型化,高性能化
(2) 砲弾が剥き出しの状態の為,前線で戦うには不適格
(3) MLRSのような専用車輛が登場・発達した為,棲み分けができた

 素人なので,このくらいしか思いつきませんが.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月28日 11:36:16

 【回答】
 (1)と(2)の結果として(3)の現在がある,でね?

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月28日 11:39:40


 MRLを載せた戦車は,もはや戦車として使えない.
 背が高くなって,見つかり易く隠し難くなるし,被弾誘爆のリスクが極端に増す.
 被弾を避けて敵の直射圏外に放列を敷くなら,車台は戦車である必要はなく,たとえ装輪でも条件付きながら使用に堪える.
 そうである以上,MRLを戦車に載せる理由がない.

 次にMRLは,斉射による瞬発火力の発揮が特長であり,斉射後の再装填に時間がかかる.
 それゆえ対砲兵射撃を避けるため,斉射後は直ちに陣地転換しても特に損はない.
 したがってMRLは,装甲防護されておらずとも使用に差し支えない.
 またMRLはCEPが粗いため,多数を集中投入した一定地域の制圧に適している.
 それには装輪かつ非装甲で済ませ,調達性を優先した方が良いし,それでも使用に堪える以上,それが問題にはならない.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月28日 12:02:42

「週刊オブイェクト」◆(2010年08月28日)コメント欄
青文字:加筆改修部分

290mm rocket launcher on Sherman chasis
ロケットランチャー装輪車輌
(画像掲示板より引用)


◆◆◆◆◆HEAT(対戦車成形炸薬弾)


 【質問】
 HEAT弾もHE弾みたいに破片をばら撒いて,中にいる人間を死傷させるのですか?

 【回答】
 HEAT弾,というのは訳名の「対戦車榴弾」というところからも解るように,基本は榴弾だから,弾頭前面方向以外にも爆風も破片も飛ぶ.
 近距離や閉鎖空間内に破壊効果をもたらすには十分な威力を持つ.

 もちろん,手榴弾や砲の榴弾に比べれば,弾殻が薄いとか破片効果を増すためのライナーが入っていないとかいうのがあるので効果は劣るが,戦車の装甲を貫く以外の用途に用いることができない,などということはない.

 最近はHEAT-MP(多用途型対戦車榴弾)と呼ばれる,対人用や対施設用榴弾として使っても通常の榴弾と遜色無い効果を発揮するものが出てきていて,これが主流になりつつある.


 【質問】
 HEAT弾とは,高熱の噴流を敵車輌内に侵入させるものなのか?

 【回答】
 それは一般的には口径程度の薄い装甲のの場合に限ります.
 一説には,口径の3倍以上の厚さを持つ装甲ですと,そのようなことがないと言われています.(金属を用いたモノリシック構造の場合).

 確かに金属流も熱いは熱いのですが,本当のは車内に侵入した爆薬の燃焼ガスがその正体です.

 対戦車榴弾は厚い装甲を進めば進むほど侵徹孔が小さくなり,最終的にはスラグと呼ばれる,金属流になれなかったコーンの残りが穴の中に詰まり,ガスの侵入をストップします.

 これが薄い装甲の場合,比較的大きな孔が開きますので,侵徹孔にスラグが詰まることなく,そのまま爆薬の燃焼ガスが車内に侵入する訳です.

(HN: ?)


 【質問】
 メタルジェットが「流体化した金属」なら,より流体化し易い水で代用できない?

 【回答】
 HEATのメタルジェットの速度は7000~8000m/sにもなるので,水をその速度で吹き付けるのは大変難しいと思います.
 またメタルジェットは「流体化した金属」と説明されますが実際に液体になるワケでは無く,微小な粒となった金属が液体の様な動きをする事から,便宜上「流体化」と言われます.
 その微小な金属の粒が高速で装甲に次々と当たり,少しづつ装甲を削って遂に穴を空けるのがHEATの貫徹原理です.
 水を高速で吹き付けられれば多少の切削効果はあるとは思われますが,微小とは言え硬い金属の粒が当たる程の効果は無いでしょう.
 ですから,水でメタルジェットと同じ貫徹力は得られないと考えられます.


 【質問】
 密閉された建物の壁に外部からHEAT弾を打ち込めば,内部は火炎地獄となるのでしょうか?
 戦車の戦闘室のような狭い建物じゃないと,大した事にはならない?

 【回答】
 まず,「HEAT弾とはなんであるか」をちゃんと理解しておこう.

 その上で,HEATで穴を開けるとその穴から弾頭が爆発した時の爆炎が吹き込んでくるので,それによって「内部」を焼くことは出来る.
 でも通常の榴弾が壁を貫通した後に内部で炸裂したほどには,破壊効果,特に焼却効果はない.

 それ以前に,分厚いコンクリやレンガの壁でもない限り,建造物の壁に命中して弾頭が炸裂した時点で,壁そのものが吹き飛ばされて弾頭が炸裂した爆風と爆炎,それに破片がそのまんま室内に吹き込んでくると思うけど.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 普通の榴弾じゃだめでHEATが必要,と言う事は重トーチカの類だな
(もともとHEATはそれようの工兵資材なわけで).

 窓とかからHEAT撃ち込んで中で炸裂したような場合なら,破片と爆圧で中の人が大変なことになる.
 炎上するかどうかは,部屋の中に可燃物があるかどうかだからあんまり関係ない.
 普通の榴弾やサーモパックだと炸薬量が多くてなおいい.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車の成形炸薬弾は初速の如何に関わらず効果を発揮するのなら, なぜ長砲身にする必要があったのでしょう?

 【回答】
 成形炸薬弾は長砲身ライフル砲からの発射に向かない.
 ライフリングによる旋動によってメタルジェットの効果が下がる.
 戦車砲・対戦車砲は徹甲弾も使用するので,高初速化した方が貫通力が上がる.
 また,FCSが発達する以前(ある意味現代でも)初速の速さで距離の測定誤差を吸収したい.

 つまり,戦中~戦後,徹甲弾のための長砲身化が続いたが,それは成形炸薬弾にとっては害しかない状況と言えた.
 戦後数年でスリップリング・G弾等,旋動を殺す方法が考え出されたが,これらは有翼弾で無い砲弾を回転させずに撃ち出すため,遠射時の命中精度確保に難がある.

 現在の滑腔砲ではこの問題が発生しない.
 成形炸薬弾は前方に限って榴弾と同様の効果が望めるので,榴弾を搭載するのをやめて成形炸薬弾を搭載している.
 また,ライフル砲から旋動させながら射出させることを前提に,メタルジェットを効果的に噴出させると言うことも,現在の技術では可能となっている.


 【質問】
 昔のチョバムアーマーはHEATに強いらしいですが,それは耐HEATに特化しているのか,APにも強いのかどっちですか?

 【回答】
 構造次第.
 チョバムアーマーを代表とされる複合装甲は,車輌の用途に合わせて様々な素材を組み合わせて使用される.
 同じセラミックスでも,HEATのみに特化するなら,セラミックプレートの層を挟み込むだけだし,HEAT,AP両方の対策としての場合はセラミックスを拘束容器に入れたものになる.

 チョバムアーマーの場合は,イギリスのセラミックス加工技術があまり高くないので,セラミックスはHEAT用,
 運動エネルギー弾体策は超重元素等を用いている.
 詳しくは機密で明らかにされてないが.

 装甲が耐HEATに特化されている場合は,歩兵戦闘車のように装甲に割けるリソースが戦車より少ない場合.


 【質問】
 現行MBTの120mmHEAT-MPの装甲貫通力は105mmAPFSDS並という話を聞いたのですが,本当でしょうか?
 真実だったら,わざわざ重たい120mmなんて積む必要ないのでは・・・?

ヨッチ in FAQ BBS

 【回答】
 均質圧延装甲換算だと,最近のHEATは,120ミリAPFSDSに匹敵する物もありますよ.少なくとも,カタログスペック上では.
 しかしHEATだと,きちんとした複合装甲を貫通するのはほぼ不可能ですし,爆発反応装甲や鳥篭装甲などの追加装甲で,簡単に防がれてしまいます.
 そのため最近のHEATは,ソフトスキンの車輌を狙うための物か,榴弾の代わり(HEAT-MP)になっています.

 で,わざわざ重たい120ミリなんて積む理由ですが,コイツがないとT-72本国仕様相手に有利に戦えません.
 通常の防弾鋳鋼を備えた輸出型T-72なら,105ミリライフル砲でも撃破可能ですが,複合装甲を備えた本国仕様の場合,105ミリ砲では正面装甲を撃ち抜けない可能性が出てきます.
 仮に撃ち抜けたとしても,性能比は良く言って五分五分くらいです.

 しかし,こっちが120ミリを持っていれば,一方的に有利に戦えます.

極東の名無し三等兵◆5cYGBbCsjQ in FAQ BBS


◆◆◆◆◆その他の砲弾


 【質問】
 対戦車砲弾のそれぞれの違いが分かりません.

 【回答】
 なまじ砲弾の種類を英語を略したローマ字の記号にして覚えるから駄目.
 軍事用語では名訳って言える日本語は沢山あるからそっち覚えよう.
 原文を略した記号なんかよりそっちの方がもっとイメージが沸き易い.

対戦車榴弾(対戦車高性能炸薬弾):HEAT弾(High Explosive Anti Tank)
徹甲弾:AP弾(Armor Piercing)
被帽付徹甲弾:APC弾(Armor Piercing Capped)
風帽付徹甲弾:APBC弾(Armor Piercing Ballistic Capped)
低抵抗被帽付徹甲弾:APCBC弾(Armor Piercing Capped Ballistic Capped)
高速徹甲弾:HVAP弾(Hyper Velocity Armor Piercing)
硬芯徹甲弾:APCR弾(Armor Piercing Composite Rigid)
離脱装弾筒付徹甲弾:APDS弾(Armor Piercing Discarding Sabot)
離脱装弾筒付翼安定徹甲弾:APFSDS弾(Armor Piercing Fin Stabilized Discarding Sabot)

(軍事板)


 【質問】
 徹甲弾と高速徹甲弾って何が違うの?
 徹甲弾のほうが貫通性能高いなら,徹甲弾要らなくない?

 【回答】
 単純な徹甲弾,というのは弾頭を硬い金属で作り,貫通力を高めたもの.
 高速徹甲弾は,特に固い金属で作った細長い弾芯を,比較的やわらかい鉄で包んで通常の弾頭と同じ形にしたもの.

 細くて長い弾を高速で撃ち出した方が貫通力は上がるが,弾が細い=砲の口径が小さい,と徹甲弾以外の弾の威力が小さくなってしまう.
 また,細長い弾は安定して飛ばす事が難しい.
 なので解決策として,硬く細長い弾芯を軽く柔らかい鉄で包み,飛行時の安定性と砲の大口径化を可能とした.
 着弾すると外殻部分は潰れ,装甲板に張り付いて弾芯の着弾を安定させ,硬い弾芯のみが装甲板に食い込む.


 【質問】
 AP-HEは,やはり現在のところ砲弾に無いと考えて良いのでしょうか?

 【回答】
 簡単に見ただけでもOto-Melaraの76mm用SAPOM(Semi-Armour Piercing)455gの炸薬入りAP-HEですし,Boforsの120mm沿岸砲用M/70NavalTarge ShellもAP-HEです.
 また米の海軍5インチ砲用の「common」砲弾も,HE砲弾の炸薬量5.5kgに対し,同じ弾重25kgで炸薬量960g.装甲貫徹後の起爆を意図して作られたAP-HEです.
 名称の変遷があるだけで,AP-HEは海上用としては十分現役です.

 地上用でも中国NORINCOの130mm BR-482BはAP-HE.APC-T(Armour-Piercing Capped-Tracer)とされています.
 100mm 53-BR-412DもAPC-Tですね.まあ,どちらも世代は古いが.戦車砲の主砲弾としてのAP-HEは確かにほぼ絶滅.
 しかしBofors 40mmMPTもAP-HE(25mmの装甲板貫徹後起爆)と言えるし,エリコンの35mmSAPHEI-TもSemiながらAP-HE.


 【質問】
 EFP,explosively formed projectileは要するに,高初速砲を使わないで徹甲弾を打ち出せる仕掛けと 理解するのが良いんでしょうか? それともHEAT弾の一類型と理解するのが 良いんでしょうか?
 なんでもイランからマフディ軍団に,155mm口径7-8連の奴が流れているんだそうですが.

 【回答】
 High-Explosive-Anti-Tank(対戦車高性能炸薬弾)を,日本語訳では一括して「成型炸薬」としてしまうので判りにくい所があります.
 本来,成型した炸薬形状を指すのは,Cutted-Explosive.
 HEATとは成型炸薬にメタルライナーを貼付け,炸裂時にライナーが流体化して装甲に穴を空ける物を指します.
 ですから自己鍛造弾は,一括した日本語訳で言うとHEATの一種と言う事になりますが, Cutted-Explosiveを利用した特殊弾頭と認識しておく方が,より正確に把握できると思います.

 イラクの道ばたに置いたりするIED(即製爆薬)にも自己鍛造弾が使われています.
 爆発物を適当に漏斗状に詰め込み,その上に漏斗状の銅板などを置く.
 HEATと似たような構造ですが,いい加減なのでジェットにならず,高速で塊を撃ち出すことになる.
 要するに自己鍛造弾です.
 IEDの場合,爆発点から目標までの距離が大きく,不定なので,距離によって威力が激減するまともなHEATよりこっちの方がずっと強力.
 いい加減さは,口径と詰め込む爆薬の量でカバーして,ブラッドレーなんかでもぶち壊しています.

 こうなると,HEATとか自己鍛造弾とか言うよりも,簡単に高初速の弾を撃ち出す砲として使われているわけで, 上述の通り「高初速砲を使わないで徹甲弾を打ち出せる仕掛け」と考えるのが適切でしょう.

 自己鍛造弾とHEATの違いも,射出するのが細くて高速のメタルジェットか,太くてやや遅いスラグかの違いです.
 基本設計は同じで,パラメーターを変えればHEATもSFPも作ることができます.

http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/efp.htm
に簡単な説明があります.


 【質問】
 現代の戦車で,東側の125mmクラスの戦車砲にはちゃんとした榴弾があるのに,西側の120mmクラスの戦車砲にはHEAT-MPやHESHのような副次的な榴弾しか用意されていないのは何故なのでしょうか?
 あと,T80やT90の榴弾に使われている”Ainet”システムとはどのような信管なのでしょうか?

 【回答】
 一応,120mmの榴弾(HE)も開発されてたはずだけど,人気ないねぇ.

 西側第3世代戦車は命中精度の高い上に,HEAT-MPでも105mmクラスのHEの同等の被害半径があるし,不足は感じてないんだろう.
 それよりも多目的に使えるってメリットを重視してると思われる.
 HEAT-MPは「掩体や装甲車両などAPFSDSを使うほどじゃないけど,機銃では不安な目標」を撃つためのものだからね.
(APFSDSより延焼効果が高いし,目標周辺の敵を巻き込めて美味しい)
 近接信管を作動さえれば,対ヘリや 曳火もこなせるかな?

 東側戦車の命中精度は西側に比べたら低いし,伝統的に銃砲の命中精度を上げるより,弾数をたくさん撃ち込んでカバーする考え方を好むので,ちょっとぐらい外れても被害半径の広さで被害を与えられる榴弾が好きなんじゃないかとおもう.
 それに,榴弾(HE)の「技術が枯れていて構造が単純な分,安価である」というメリットを重視してるのかもしれない.
 西側ほど航空支援が潤沢じゃないから,戦車砲を含む砲の火力支援能力を重視してるということもある.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板,2009/08/05(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 HE弾とHEI弾のメリット・デメリットはなんでしょうか?
・HE弾は破片による広範囲攻撃ができるが,傷痍効果がない.
・HEI弾は建造物等への傷痍効果が期待できるが広範囲攻撃には不向き.
というくらいが想像できるのですが,合ってますか?

 【回答】
 HE弾では構造物の破壊,破片による広範囲の殺傷,火災の誘発(爆薬もけっこう熱量あります)を狙うことができます.
 ただし,破片による殺傷は障害物があれば妨げられます.
 爆圧,衝撃波による殺傷効果もありますが,一般には破片の方がより広範囲に及びます.

 焼夷弾は空気を利用して燃え,燃焼が持続するので焼夷効果はHE弾を上回ります.
 子弾として使用すれば面として火災を起こすことができ,HE子弾より簡単,安価です.
 またケーシングに強度が不要ですから軽量となり,航空機に多量に積めます.
 しかし構造物を破壊する作用はありませんから,石造りなどの丈夫な建物に対しては効果があまり期待できません.

 HE弾の爆薬を熱量が大きいものにして焼夷効果を増したのがHE_I_弾です.
 例えば30mmAden砲弾の場合,HE弾のTorpexに対し,HEIはHexalを使用しています.
 破片や爆風による殺傷,破壊効果はその分減少し,資材を燃やす効果が期待できます.
 建造物が木造なら火災も起きるでしょうが,建造物ではなく,兵器,燃料などを燃やすのが基本的な目的です.
 大口径砲ではHEのみでそのような効果は十分なのでHEIはないか,あるいはネーミングとしてHEIとしている(その弾種にはHEが存在しない)ものがほとんどです.
 小口径砲では専用の弾種として最適化しないと効果を期待できないため,HEIが別に作られます.
 しかし,小口径砲弾でもHEのみあるいはHEIのみのものが多いようです.


 【質問】
 砲弾にSAPHEとMPLDって奴があるみたいですが,これはどんなメカニズムの弾ですか?

 【回答】
 SAPHEは文字通り,Semi-armourpiercingHE,つまり半徹甲榴弾.簡単に言えば遅発信管を使用した,先端を強化した徹甲榴弾で,普通の徹甲榴弾よりも貫通力少なめ,爆発力多め.控え目な装甲やバンカー相手に好適.

 MPLDも文字通り,Multi-PurposeLowDrag,つまり空気抵抗が少ない形状(高速)の多目的榴弾.
 30mmアデン機関砲のRO379とか30mmMk44用のRaufossのMPLD-Tとか.
 これもSAPHE同様,高速を利した装甲貫徹効果と,遅発信管による内部破壊を狙う弾.
 他が同じ条件なら,SAPHEよりも柔い航空機などの外板向き.


 【質問】
 対装甲用砲弾の種類の中で,成形炸薬弾と粘着榴弾を比較した場合,それぞれどの様な向き不向きがありますか?
 どちらも複合装甲を相手にするのは苦手で,また榴弾の代用品にもなると言うのは分かるのですが.

 【回答】
 HESHの方が榴弾としての効果があります.
 HEATにも破片効果を調整したHEAT-MPがありますが,あまり榴弾としての効果はないようです.
 ただし,HESHも弾殻が薄い為,破片効果は通常の榴弾より落ちます.
 また,それと関連して,低速で発射する必要があり,遠距離における命中率が低下します.
 更に,複合装甲や中空装甲ではない装甲でも,車内にケプラー等の内張りをすることで破片の飛散を防止できるという欠点もあります.

丼炒飯 ◆HY/YgdSbHM


 【質問】
 タングステンの徹甲弾は第2次大戦の頃から使用されているようですが,昔と現代とでは材質はどう違うのでしょうか?

 【回答】
 昔の奴は炭化タングステン.タングステンと炭素を混ぜて,焼き固めただけのもので,そんなに製造は難しくない.
 それでもタングステン鋼よりかは遥かに硬い.

 現代のAPFSDS弾に主に使用されているのは鉄-ニッケル-タングステン焼結体.5%程度の鉄,ニッケルを結合材としてタングステンを抜気した状態で高周波で焼き固めるもの.開発当初は原料粉末の純度及び粒度といった,母材の特性が芳しくなかったために,衝撃荷重を加えると,結晶間強度の不足により,容易にせん断破壊を生じさせるため,当初は鞘もしくはケーシングを用いることで,弾着時の折損を防ぐ必要があった.
 しかしながら,近年の母材製造技術は,ナノテクノロジーの恩恵により,より微細でかつ純度の高いものが使用することが可能になり,また,焼結方法の改良によって,より高性能な材料を製造することが可能になった.


 【質問】
 劣化ウラン砲弾の害が問題にされたりしますが,重金属をばら撒くという点でタングステン鋼砲弾も同じようなものだと思うんですが,なんで後者の批判は少ないのでしょうか?

 【回答】
 マスコミを含めた日本人が,核アレルギーがあってもタングステンアレルギーがないから.

 また,「タングステン鋼」ならタングステンは「ばらまかれない」から.

 タングステン鋼は鉄を主成分とし,タングステンを添加した合金.
 軍事的には砲身によく使用されている.

 劣化ウランは,高圧になる(つまり装甲に当たったりする)と燃焼し,酸化ウランの粉末になる.
 で,粉末は風に乗って飛散するし,呼吸によって体内に取り込まれるから危険が大きい,という話.

軍事板

▼ タングステン(以下W)はウラン(以下U)より,かなり融点が高いのです.
 Uの融点は1133℃,沸点は3818℃.
一方Wは,融点3387℃,沸点5927℃です.
 気化して微粉末になる量は,おそらく大幅に少ないでしょうね.

 Wの毒性は>30~50mg/日でラットに致死量程度なのに対し,Uは毒性:36mg/日でラットに致死量ですから,ウランのほうがやや毒性が強い程度です.

 劣化ウランの値段はWの十分の一程度ですから,U弾否定は米としては嫌でしょうね.
 飛散する化学毒をねらってUをセレクトした,などという論者も居ますが,価格差のほうが私は有力な理由と思います.

3年寝knf in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 粘着榴弾が実用化されたのはいつ,どの国ででしょうか?

 【回答】
 英国のチャールズ・デニストン・バーニーという人によって,1940年に開発されました.
 最初は要塞のコンクリート壁を打ち抜くためのものでしたが,やがて無反動砲の砲弾へと応用されました.
 ちなみに「要塞」とは具体的には「west wall」,フランス沿岸のドイツ軍要塞のこと.
 つまり,来るべきヨーロッパ反攻作戦のさい,要塞を突破するための砲を作ろうとしたわけです.

 バーニーが製作した砲の写真:
http://www.flickr.com/photos/kenjonbro/4104325566/
http://pixiv.cc/janome-gotyou/archives/51646884.html

戦争板,2011/04/09(土)
青文字:加筆改修部分


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