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「R25」:見えない兵器!? イギリスの「透明の戦車」ってどんな原理なの?(2009年6月30日)
【質問】
装軌車って戦車と見分けつかないっす.
【回答】
装軌車というジャンルの中に戦車も入っちゃう.
「装軌車」ってのはキャタピラー(「キャタピラー」はキャタピラー社の商標で,日本語では正式には無限軌道と呼ぶ)で走る車の事で,戦車も自走砲(タイヤで走る自走砲もあって当然そっちは装軌車じゃない)も,機銃しかない兵員輸送車もある.
細かいと言えば細かい話だけど,その辺を適当にするのは,例えるなら「鉛筆とサインペンを「筆記用具」で同じ使い方したら,端書を消しゴムで消せない('A`)」みたいな事になるんできちんと分けて使うべし.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
キャタピラって何?
【回答】
(1) キャタピラー(caterpillar)とは戦車や建設機械,農業用トラクター・耕運機などの両側に,車輪の代わりについている装置で,鋼板(履板:りばんと呼ばれます)をつないで帯状にしたものを,前後の車輪を囲むように取り付けてあるものです.
車輪に比べて地面との接触面が大きいので,悪路・急坂・荒地でも走行できるのが特徴です.
なお,キャタピラは商標名でして,軍事用語では履帯(りたい)または無限軌道(むげんきどう)とも呼ばれます.
(2)芋虫のこと.
【参考ページ】
http://dictionary.goo.ne.jp/index.html
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AD%A5%E3%A5%BF%A5%D4%A5%E9
http://japan.cat.com/cda/layout?m=65720&x=1
http://www.wdic.org/w/GEO/%E5%B1%A5%E5%B8%AF
http://www.sanwa-buhin.com/c000006/archives/2006/08/23/entry14.html
【ぐんじさんぎょう】,2008/11/7 21:00
※唯野 in mixi,2008年11月06日 23:39
のレスを参考にして加筆
接地面は地面に対して静止しているという事実を,スピルバーグ版「宇宙戦争」のワンカットで気づいた.
クローム・ツァハル in mixi,2008年11月07日 00:46
俺も無限軌道っつう言葉のほうが使うなあ・・・
イメージとして,
「大重量をささえる接地圧を低くする為に,自前の線路と枕木を使う鉄道.ただしエネルギー効率は鉄道どころかタイヤより悪い.」やし.
へち in mixi,2008年11月07日 02:12
重機や戦車に要求される能力として「燃費」よりも「作業効率」をまず考えていることと思います.
そりゃ最新の軽自動車とかに比べたら燃料がぶ飲み・排ガス垂れ流しのように見えるでしょうが.
でも最近,国交省は現場で使用する重機の排ガス規制値をより厳しくすると発表し,来年あたりからいわゆる「排ガス第2次規制対応品」と呼ばれる重機しか使えなくなる可能性が.
トンネル重機までこんなことしてたら,マジ作業できないです.
bernoulli in mixi,2008年11月07日 11:58
陸上自衛隊武器学校の八九式中戦車の履帯
faq100827tk.jpg
faq100827tk02.jpg
よしぞうmaro' in mixi,2007年10月15日02:13
青文字:加筆改修部分
【質問】
WW2の頃は戦車の履帯の転輪(って言うのかな?最前と最後尾の輪の間にある複数の車輪[a])が大きな物がありましたが,現在ではそれが小さい物ばかりの様ですけど,大きな物は何故廃れた(普及しなかった)のでしょうか?
また,大きな[a]のメリットとデメリットについても教えてください.
【回答】
転輪が大きな戦車と言うのは,アメリカのクリスティー技師が考案した.
上側の支持転輪を無くすと,コイルスプリングを長く出来るので,ストロークの大きなサスペンションが実現出来ると言うことで,アメリカの特許を取得している.
さらに,起動輪と最後尾の転輪をチェーンで結び,最前列にステアリング機構を設けることで,履帯を外して装甲車のようにも使えるようにもなっていた.
(が,転輪はゴムタイヤのようには機能しないし,最後尾2輪しか駆動力を伝達されていないので,さほど役に立つアイデアではなかった.)
しかし,大直径転輪には大きな欠点があった.
転輪の枚数が少ない分,一輪あたりの荷重が大きくなり,転輪が踏んでいる直下の履帯や地面の負荷が大きくなる.
(74式も当初考えていたより履帯のグレードを下げて,耐久性優先にした.)
グランドクリアランスは大きくしやすいが,小径転輪でもサスペンションアームの設計により可能.
彼の開発した戦車は,しょせん機関銃運搬車レベルで実用には耐えず,加えて当時のアメリカの運用思想に合わなかったので,出身国では採用されていない.
快速戦車を欲したソ連が,アメリカ国内に作った偽装民間商社を通じて製造資料を購入し,発展させた.
次いで,ソ連で演習を見学したイギリスの武官が,機動性の高さに感動し,農業トラクターと称して購入した.
上記の通り,実はコイル・スプリングを採用した場合に限り利点があると言うのが実状で,他の型式のサスペンションの場合,大直径転輪は無理に採用する必要は無い.
で,ソ連は第二次世界大戦中,T-34Mと言う計画車輌の開発過程で,クリスティー式はやめるつもりだったんだが,ドイツとの激戦により,戦車に不必要なマイナーチェンジはしない方針を決定した結果,トーションバーを採用した後も大直径転輪は残り,結局戦後のT-62まで採用した.
またソ連では,サイドスカートを採用しなくても,転輪が二次的な防御装甲になると言う発想もあったようだ.
道路事情が悪い(雨が降ると戦車の足回りが泥まみれになり,寒波が来ると泥が凍結して故障の原因になる)ソ連では,泥濘地帯では戦車にサイドスカートを付けられない(または泥を簡単に逃がせるアイデアが必要)なソ連では重要な利点だった.
(T-54とT-55は,戦時下で開発されたT44の基本設計を引き継いでいる.
T-62は東西冷戦下,T-64の開発が失敗した時の保険として保守的な設計をしている.)
イギリスの場合,巡航戦車に使い続け,クロムウェルやその派生車輌あたりまで採用したが,センチュリオンはコイルスプリングながらホルストマン式サスペンションと小径転輪に改めている.
これはアフリカ戦線でチャーチル戦車を運用した経験から,機動性の考え方が変わった(重要なのは登坂能力と装甲)ためでは無いかと言われている.
我が国は74式で採用したが,これは油気圧による車高調整との兼ね合い(転輪を減らしたいとか)とか,T-55の影響とか言われている.
なお,良く誤解されるのが第二次世界大戦中のドイツ戦車.
大直径転輪を複列や千鳥足状に配置して,転輪の枚数を増やしている.
これは整備性・生産性を度外視して高性能を追及したかのような誤解があるが,実際は5号以降の戦車の開発が始まった時点で,良好な性能を示したハーフトラックの構造を真似するように軍から指導があったようで,技術者が研究の結果辿り着いた答えと言う訳では無い.
実のところ,3号戦車や2号戦車(のトーションバー搭載型)の不整地走破性能,急制動時の安定性などの問題は最後まで解消せず,サスペンションのセット数(=転輪)を増やして荷重分散を狙ったとも言われている.
実際,高性能は出ていない.
馬鹿な話だが,複列配置の大直径転輪を採用すると,車体側面にダンパーの搭載スペースが無くなるので,結果的にダンパーを車体内に入れなければならない.
試験車輌ならともかく,実用車になると車内にも装備品を満載するので,結局ダンパーを理想的な配置に出来ず,計画性能が発揮できなくなっている.
(問題が判っても,簡単に生産転換出来る工業力は無かったため,終戦時まで使い続けており,あたかも優秀な製品であったかのような誤解を生んでいる.)
ただ,大直径転輪とサスペンションをユニット化することで,諸問題を解決しようと言う考えはあったようで,ポルシェ社の重戦車や,大戦中期から計画が始まった車輌は,大直径転輪と外装サスペンションを採用している.
軍事板
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【質問】
平地部分が田圃か建物で埋め尽くされている日本のような国では,どこで会戦が行われるのでしょうか?
まさか戦車や装甲車が田圃を突っ切るわけにはいかないでしょうし.
【回答】
61式の開発の時には,田んぼばかりの日本で使える戦車の重量を決めるために,M24とM4とで田んぼの踏破実験をしました.
結論としては「重いからと亀の子にはならない」「重量よりもサスペンション」ということでした.
これはおフランスな「重装甲は時代遅れ」「対戦車ミサイルマンセー」「25トン以下で行こう」という一派の,「田んぼがあるから軽戦車」という主張を退けました.
朝鮮戦争当時も田んぼと建物ばかりのはずですが,お構いなしにやってますね.
もっとも現代の日本の場合だと,都市に近づけば即建物の密度があがって市街戦でしょうが.
軍事板
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【質問】
(1) 戦車や歩兵戦闘車の履帯の寿命ってどれくらいなのでしょうか?
(2) MCSのゴム履帯って強度は増しているとのことですが,外部からの衝撃からの強度ってどれくらいなのでしょうか?
どれくらいの防弾の能力があるのでしょうか?
【回答】
例えば
><T158>:M-1A1戦車に使用されている履帯で,FMCが開発した.幅635mm,
>トラック・ピッチ176.2mmで,着脱式センターガイドを持つダブルピン・ダブルブロック式.
>クローム・モリブデン鋼製で,交換可能なH型偏踏面ラバー・トラックパッド付き.寿命は3300kmである.
>参考:月刊PANZER5,’02,戦車マガジン10,’93別冊
http://www.geocities.jp/aobamil/T.html
ただ,もっと小さい数字を聞いたりもするので,モノによってピンキリという面がありそうだ.
MCSについては,まだちょっと計画自体が流動的なので確定情報ではないが,22トン車体の場合,「3200〜4800km以上の走行に耐える(軍研別冊より)」とされている.
対地雷性能は,まあおそらく対人地雷+α程度だろうと見るのが無難.
軍事板
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【質問】
可変サス装備した車輌は少ないそうですが,装備していない戦車などは,依然キャタピラを弛ませたままにしてあるのでしょうか?
旧ソ連やロシアなんかはありそうですが,アメリカなんかも装備していないのでしょうか?
お金かけてそうなイメージがあるのですが.
【回答】
キャタピラ(R)の弛み具合と油気圧式可変サスペンションかどうかには直接の関連はないぞ.
可変サスの戦車は張り具合を調節することが重要なので,必要以上に弛んでることは少ない,という話.
可変サスは確かに便利だが,複雑で普段の扱いと整備が大変になる(自衛隊の74式は導入当初,故障多発で戦車兵を泣かせまくった)のと,
「そこまでして姿勢を変えることには拘らない」
と考える軍が一般的で,結局普及はしてない.
自衛隊の戦車はその任務上,「待ち伏せ」任務に使うことが多いと考えられたので,地形にピッタリと伏せるように隠れたりすることを考えて採用した.
スウェーデンのStrv103は砲塔のない「無砲塔戦車」(というか,砲塔に直接エンジンと足回りが付いてるというか)なので,照準をつけるために車体全体を上下に動かす必要があるために採用した.
キャタピラをピンと張らすと切れやすくなるし,過剰にたるませるとキャタピラがすぐ外れる.
だから可変サスでなかろうとも,常に最適の状態にしておくのが戦車兵のたしなみ,なのだが,面倒なのと戦闘が連続してたりするとそんな事してる暇はないので,写真撮った状況によってはたるんでることもある.
あと,現役を退いて展示されてるような車輌は当然整備なんかしないので,たるみ切ってることが多い.
軍事板
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2010年10月03日 00:32,肥後守
【回答】
夜間管制灯火用.
夜間戦闘中にブレーキランプやらなんかをつけるわけにいかないので,これがその代わりになる.
運転席に切り替えスイッチがあって,「管制灯火(2モード)」「無灯火」を切り替える.
管制灯火時はこの中の豆球がついて,赤いプラスチックを透過して赤い微かな光になる.
赤い光は夜間目立ちにくいので,敵に見つかりにくい.
この部分で「ブレーキランプ」「バックランプ」「尾灯」になってる.
演習場で夜間車輌行進するときとかは,この微かな赤い光を目印に,車間距離を保持して,一定速度で何十台も列を成して移動してたりする.
最大難易度は,月のない夜の無灯火車輌行進.
はっきりいって死ねる.
2010年10月03日 00:38,Cpt.hige
ただし上記回答は,ちょっと自信ないです.
官用車運転してたの,15年くらい前なんで(笑)
2010年10月03日 00:51,Cpt.hige
>この微かな赤い光を目印に車間距離を保持して一定速度で何十台も列を成して移動してたりする.
車間距離の保持には,中央の4つの赤い部分を用いるという認識で正しいでしょうか.
2010年10月03日 00:53,肥後守
習志野の自動車教習所の教官がそう言っていたような記憶があるんですが…
誰か現役ドライバか,運転してたのがもっと近い過去の人は居ないかな?
2010年10月03日 01:02,Cpt.hige
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車の内部構造や使われている技術についての本をお教え願えないでしょうか.
出来れば図解が多いものがいいですが,そうでなくてもいいです.
【回答】
手持ちの中から初心者向けのをピックアップしてみた.
ドイツ戦車オンリーならこれ.
斎木伸生著『ドイツ戦車発達史』光人社,一九九九年
日本戦車オンリーならこれ.
林磐男著『戦後日本の戦車開発史』,光人社,二〇〇五年
全体的な知識ならこれら.
斎木伸生著『戦車謎解き大百科』光人社,二〇〇五年
三野正洋著『戦車マニアの基礎知識』イカロス出版,一九九七年
田村尚也著,野上武志画『萌えよ戦車学校』一〜三,イカロス出版,二〇〇五〜二〇〇八年
他には,上田信の『戦車メカニズム図鑑』とか.
写真は一枚もないがいろんな時代・国の戦車をイラストで解説してる.
内部構造のイラストもそれなりに豊富.
軍事板
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【質問】
航空機はマルチロール化が進んでいるというけれど,どうして戦闘車輌のマルチロール化はされないのでしょうか?
MBTとAPCとの統合は無理だとしても,IFVとAPCくらいならできそうな気がするのですが
.
【回答】
航空機は昔から,機体と兵装がおおむね分離できていた.
例えば,向く向かないは別にしても,戦闘機に爆装なんてことも物理的には可能だった.
つまり極論すれば,航空機ではもともとマルチロール化への障害が少なかった.
あとはネックになっていたのは,対地対空両用のレーダーとかだが,最近の技術進歩で解決されてきているので,マルチロールが唱えられるようになってきた.
一方で陸上兵器だが,基本的に飛んでいって兵装を落とすだけの航空機とは違う.
各兵器ごとに役割分担が細分化されていて,要求されるスペックも違ってくる.
必要な能力が違うので,下手に統合すると無駄が多くなりかねない.
とはいえ,最近では装甲車輌のファミリー化なんてのも各国で取り組まれていて,要求能力が似た車輌については,共通の車体を使うといった取り組みがされている.
近年になってからだが,一部の装甲車はモジュール化して,兵員輸送型やら医療車型やら迫撃砲型やら交換できるようになってるのが出てきた.
ストライカー装甲車が分かりやすいかな.
また,戦車に関して言えば,WW2中に重戦車,中戦車,巡航戦車,駆逐戦車に突撃砲と色々あった戦車系が,統合されて主力戦車になったから,
「戦闘機よりもマルチロール化が極限まで進んだ結果,純粋な戦闘車輌は主力戦車のみに絞り込まれた」
と言えないこともない.
軍用機のマルチロールと言っても,戦闘機と攻撃機の統合という話で,APCに該当する輸送機や輸送ヘリは別機種だし.
てか,航空機のマルチというのは,ミサイルの性能や目的に,機体というプラットフォームを合わせて設計開発されるけど,陸上兵器のマルチというのは,車体というプラットフォームの汎用性に,いろんなバリエーション(機関砲搭載したり砲塔外して兵員輸送したり)の発展性が内包されているっていう,主従関係というか順列が異なる.
面白いのでは艦艇をモジュール化して,輸送艦なんだか軽空母なんだか強襲揚陸艦なんだか,用途に合わせて交換可能って船や,そのプランが存在する.
軍事板,2008/12/02(火)
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【質問】
技術的には,陸上車輌で,本体と兵装を分離できないかというと,出来ない話ではないのでは?
車輌を全て自走式のミサイルランチャーにすればいいだけの話だからな.
でもそれをやんないのは,用途に応じた砲を装備した方がコストが安いからというだけで.
【回答】
コストの問題もあるが,そもそも砲にできてミサイルに出来ないことは多い.
弾数も少ないし.射程も劣る.
飛ぶ速度が遅いから,いまの技術なら迎撃できる.
あと,対戦車ミサイルなら成形炸薬弾だとおもうけど,それだと敵車輌が反応装甲とか装備してたら,貫通できず苦戦する.
極端なことを言うと,金網張っただけでかなり防げるものだから.
軍事板,2008/12/02(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
LRAS3(遠距離視察装置)をつんだ車輌って,敵部隊の接近をどの程度わかるものなのですか?
例えば,木なんかの障害がある視界の悪い場所でも,何km先に人員がどれくらいとかってわかったりするのですか?
車輌なんかだとある程度離れていても,周囲との温度差で分かるんじゃないかと思うのですが.
【回答】
距離は内蔵されたレーザー測距器とGPSでわかる.
物陰に隠れた目標についてだけど,赤外線は可視光よりは透過性が強いといってもそこまで透過性が強くない.
煙とか薄い服ぐらいなら透過できるけど,それ以上の厚みのある,密度のある物質では,赤外線が減衰してしまって透過できない.
(赤外線を体に当てると暖かいのは,赤外線が体の水分にぶつかって熱に変わってるからだ)
布程度の厚みでも赤外線を通しにくい素材があるので,最近の軍服や偽装網,車輌シートなどはそれを使ってる例が増えてる.
運転中のエンジンや炎ぐらいの火力があれば,熱せられて上昇する空気を見る事ができる.
(実際,湾岸戦争の時がこれでM1が,砂丘の向こうに隠れたT-72の位置を知ることができたって例がある)
だが人間の体温はそんな熱くないから無理だろう.
このあたりはyoutubeとかに上がってる映像を見てもらったほうが早いと思う.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板,2009/07/29(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
ということは,LRAS3なんかは,車輌を察知することを主としているのですか?
部隊レベルの移動だとほぼ車輌を用いていますし.
車輌の量で部隊の規模も大体分かりますし.
【回答】
そりゃそうだが,かなり遠くから分かる.
しかし移動中の部隊なんて,赤外線を使わなくても分かるな.
赤外線が真価をを発揮するのは,隠れてる人間を見つける時だと思う.
人間も直接見れば,皮膚の露出部や被服・偽装を透過した赤外線で分かるからね.
そこで前述の赤外線対策素材が登場するわけだが,この辺はイタチごっこ.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板,2009/07/29(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
74式なんかに装備されてるアクティブ式赤外線暗視装置は,投光機なしの受像機のみでも,ある程度は威力を発揮するのでしょうか?
また,見える場合はどの程度見えるものなのでしょうか?
【回答】
アクティヴ式赤外線暗視装置の受像機は感度がそんなに高くないので,真夜中で光源がなければ,大した視界は得られない.
派手に赤外線を出してる対象であれば,肉眼で観てるよりはずっと遠くの物を,ある程度明確に視認できるが.
・・・つまり,相手がアクティヴ式の赤外線暗視装置を使っているなら,自分は受像機だけあれば,相手の位置を認識出来るわけだ.
そのためアクティヴ式赤外線暗視装置は,相手が同じものを持っていると一方的に攻撃されてしまうので,それが理由で廃れた.
軍事板
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【質問】
キューポラとハッチとペリスコープの違いを教えてください.
【回答】
(1)
キューポラ:塔状の構造物
ハッチ:扉
ペリスコープ:潜望鏡(状の外部視察装置)
キューポラは日本語で書くと展望塔.
一般にキューポラの上面にハッチが設けられていますが,キューポラとハッチは違うモノです.
詳しくは,「War Birds」を参照されたし.
また,
こちらに,74式戦車のキューポラを始め,各部クローズ・アップ写真が,
こちらには,ペリスコープを始めとする,90式戦車(試作型)の各部クローズ・アップ写真が
あるので,それぞれ参照されたし.
(2)
「キューポラ」とはキューッとしてポラッとしている,女学生を襲う奇妙な生物のこと.
(中川いさみ著「クマのプー太郎」,小学館)
【質問】
戦車での索敵って具体的にどんな方法を取るんですか? 目?
【回答】
基本的に目.
部隊レベルだと偵察用に装甲車を先行させて索敵させたりするが,個車レベルでは乗組員,それも戦車長の目が頼り.
ドイツ軍やイスラエル軍のマニュアルだと「戦車長は極力ハッチから頭を出して周囲を警戒せよ」とある.
もっとも実戦でこれをやると,すぐに狙撃されたり,銃弾や砲弾の破片で死傷することになるので,ドイツの戦車長達は塹壕用の潜望鏡なんかを使って頭を出さないようにはしていた.
イスラエルの戦車の戦車長用ハッチは一旦上に持ち上げて,「屋根」として使えるようになってたりする(頭上からの破片を防いだり陽射しを避けたりするため).
軍事板
近代の戦車,例えばM1A2SEPには「車長用独立熱線映像装置(CITV:Commander's
Independent Thermal Viewer):」が搭載されています
これは,砲塔右上にある箱型の砲手用照準システム(GPS)とは別に砲塔左上に新設された,戦車長専用の夜間全天候型のサイトです(視察・照準装置).
これにより,砲手が敵戦車や砲撃目標を照準射撃中でも,戦車長は新たな敵の捜索や警戒が可能になりました.
この機能はハンター(捜索)/キラー(攻撃)能力と呼称しています.
戦車長が優先目標を発見した場合,手元にあるハンドルを操作するだけで(砲手に優先し),新たな目標に対して主砲を回し射撃が可能です.
オーヴァーライド機構と呼ばれます.
またFLIR(前方監視赤外線映像装置)も内臓されており,夜間でも正確に目標を標準出来ます.
このCITVとFLIRは,アメリカ軍のイラクでの掃討作戦において多大なる貢献をもたらしました.戦車長がハッチを開けずに捜索に専念出来るからです.
【参考サイト】
http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams01/m1a1.a2.html
全周360度上方20度下方12度は凄いですな.
イラク戦でもかなり役に立ってるそうです.
CRS in mixi支隊
ちなみに最近はM1戦車に対する市街戦向けの改修パッケージがありますね.最近,本館の「軍事関連ニュース」で書いたような記憶が.
井上@Kojii.net in mixi支隊
M1A2 with TUSKですね.
Wikipediaですが,詳細と画像がありました.
faq25c10d.jpg
CRS in mixi支隊
【質問】
ガンダムの批判漫画だったかで,
「みのふ粒子がどうたらだから,高い位置から見下ろす必要があるのよ」
「高い位置から見下ろすのが必要なだけなら,『アームのついたカメラ伸ばすなり,長い潜望鏡使うなりすればいいだろ』」
ってのがあったのですが,高い位置から見下ろすためのカメラとかの装備は,先頭車輌につける予定とかないのですか?
棒のついたカメラ伸ばすだけでもいいと思うのですが.
【回答】
5mや10mの高いところから見ても見える範囲は誤差レベルだがね.
それゆえ偵察用の衛星,偵察機,ドローンなんかを使うわけで.
砲兵観測車輌(自走砲部隊に先行して射撃するためのデータを計測して送ったり,目標への修正値を指示する車輌)や偵察車輌には,そういった潜望鏡式の観測装置や,クレーンアームのようなものの先に観測機材がついている,というものはある.
そういった装置は昇降のための機構が大掛かりになるので,戦闘車輌に装備すると,それだけでかなりのスペースを食うため,本来の火器や装甲等が割を食う.
また,ちょっと被弾したらすぐ壊れるので,銃弾が飛び交うような状況では使えない.
なので結局,上記のようにそういった装置を搭載してる専用の車輌が必要になるわけだが,そうなるとその車輌は,ある程度安全なところから観測,偵察を行うこと「それしかできない」ので,よほど予算と規模に余裕のある軍隊でないと装備できない.
アメリカの最新鋭の戦車などは,砲塔の最も高い位置に塔型のセンサーターレットをつけてたりはするが.
90式戦車の後ろのほうについているセンサーは,「環境センサー」と言って,射撃精度を上げるために必要な,風速や湿度,温度などを計測する装置.
戦車が撃ち合うような比較的近距離の砲撃には,あまりそういうデータは必要ないことと,戦車の場合自分や周囲の戦車が砲撃すると,その爆風の影響で正しい値が得られないことが多いこと,などが湾岸戦争の結果から解って最近は廃れ気味.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
M47「パットン」II戦車の測遠機について教えてください.
【回答】
主砲の命中精度を向上させるため,従来のスタジア・メトリック式測遠機に代えて,M12ステレオ式測遠機(基線長1,645mm)が採用された.
これは,第2次世界大戦末期にドイツ陸軍がパンター中戦車用に試作していたものを参考に開発されたもので,砲塔の左右側面前部に測距レンズを収める張り出しを設け,その中に砲塔を横切る形で装備された.
M47の砲塔両側面上部には,測遠機の対物部が露出している.
ステレオ式測遠機は,スタジア・メトリック式測遠機に比べて構造が複雑だったが,スタジア・メトリック式測遠機が遠距離になると測定精度が著しく低下するのに対し,ステレオ式測遠機は遠距離においても正確に距離を測定することが可能であった.
同様なシステムを用いたM103の120mm戦車砲の移動目標に対する命中精度は,1000mで85〜90%,1500mで70%,2000mで50%程度を維持できるとされていた.
しかしM12ステレオ式測遠機は,装備された位置の都合で,主砲の発砲の衝撃により誤差が生じてしまい,一射撃ごとに照準を修正し直さなければならずそのせいで次発の発射に時間が掛かり,連射速度が著しく低下するという致命的欠陥を露呈した.
これは朝鮮戦争勃発のため,十分な開発の時間が取れなかったためだった.
「全部,金日成が悪い」
【参考ページ】
http://schafe.s246.xrea.com/combat/data/M47.htm
http://combat1.sakura.ne.jp/M48.htm
http://www.warbirds.jp/ansq/3/C2000671.html
http://www.geocities.jp/aobamil/M-MA.html
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/06 21:43
を加筆改修
【質問】
M48「パットン」III戦車の測遠機について教えてください.
【回答】
M48戦車シリーズには,基線長1,524mmのT46E1またはM17測遠機が砲塔中部に装着された.
T46E1測遠機はステレオ式でM48〜A2戦車に装備され,M48A3〜A5戦車には単眼合致式のM17測遠機が採用されており,この測遠機によって捕捉された目標は,車長または砲手によって弾道計算機にインプットされ,そのデータから使用弾種と射撃諸元を算出して,主砲に俯仰角度を与えた.
そして,発砲時の衝撃の影響をできるだけ受け難くするため,M47戦車と違ってT46E1ステレオ式測遠機は砲塔の中央部に設置された.
【参考ページ】
http://schafe.s246.xrea.com/combat/data/M48.htm
http://combat1.sakura.ne.jp/M48A2GA2.htm
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/08 20:30
を加筆改修
【質問】
レオパルド2戦車の射撃統制装置について教えてください.
【回答】
砲手用と車長用とがある.
前者は照準眼鏡,レーザー測遠器,赤外線暗視装置からなるクルップ・アトラス・エレクトロニクス社製EMES-15照準システムで,照準眼鏡の倍率は12倍,視野5度.
レーザー測遠器は9900mまで測定可能で,誤差±10m.
赤外線暗視装置は8-12ミクロンの遠赤外線波長を検知するパッシブ式赤外線検知器で,倍率は12倍(視野2.5×5度)と4倍(視野7.5×15度)の切り替え式,有効距離2500m.
3つのジャイロスコープにより二軸安定化されており,主砲/砲塔もこれに連動する様に安定しているため,車体の動きにかかわらず,目標を捕捉し射撃することが可能.
後者はツァイス社製PERI-R17照準器.
倍率2倍・視野30度と倍率8倍・視野8倍の切り替え式で,360度旋回可能,俯仰角-13度から+20度で,2軸安定化されている.
砲手用照準器EMES-15の映像を見ることも可能で,これにより砲手が照準中でも,車長が次の目標情報を砲手に渡しながら,周囲を捜索出来ようになっている.
【参考ページ】
http://www.geocities.jp/eaglet_f15/MILITARY/LEO2.htm
http://schafe.s246.xrea.com/combat/data/LEOPARD2.htm
http://www.warbirds.jp/ansq/3/C2000343.html
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/24 21:10
を加筆改修
【質問】
装軌戦車の運転席には何があるんですか?
もちろんハンドルは無いと思うんですが,スロットルが二つあるだけでしょうか?
【回答】
現代戦車の操作はハンドル式が多いです.
ハンドルといってもバイクのようなバーハンドルですけど.
74式戦車を例にとると,
正面にはハンドルとフロントパネル(速度計&エンジン回転系),姿勢制御操作装置,アクセル,ブレーキ,クラッチ.
左側にはスイッチボックス,変速レバー.
右側には補助計器盤(油圧系等),アイドリンク調整レバー,ブレーキロックレバー.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2006/02/01(水)
青文字:加筆改修部分
レオパルト2の運転席はこんな感じですね.
感覚としては,重い乗用車を運転してる感じだそうです.
faq25n06.jpg
faq25n06b.jpg
faq25n06c.jpg
寄星蟲 in mixi支隊
CRS in mixi支隊
【質問】
戦車ってマニュアル車なの?
【回答】
オートマが多い.
伊,アリエテMBT:オートマ(独ZF製)
英,チャレンジャー2:オートマ(DavidBrown製TN54E前6後2速)
韓,K1/A1:オートマ(前4後2速)
仏,ルクレルク:オートマ(SESM製ESM500前5後2速)
独,レオパルト2:オートマ(RENK製HSWL354)
米,エイブラムM1A1:オートマ(Allison製X-1100-3B前4後2速)
イスラエル,メルカバ4:オートマ(RENK製,5速)
露,T-80U:パワーアシスト付きマニュアル
露/ウクライナ,T-72S:同上
露,T-90S:機械式マニュアル
詳細調べてないので,パワーアシスト付きマニュアルとオートマがイコールかどうかは不明.
つまりノークラッチ,手首一ひねりで変速というやつをパワーアシスト付きマニュアル,オートマ,どちらに分類してるか,みな同じなのかといったとこが不明.
とはいえ,それも合わせてオートマが標準のようだ.
軍事板,2006/02/19(日)
青文字:加筆改修部分
操縦者がクラッチの微妙な操作に気を遣わずにすみ,地形の観察などに集中できるのは,実戦においては大きなアドバンテージなのです.
新兵教育の際,ギアチェンジの要領に割いていた時間を,他のことを教え込むのに使えますし.
軍事板,2006/02/19(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車兵は小柄な方が良いとは聞きますが,都市伝説ですか?
【回答】
「ペリスコープ等外部を覗けなかったり,機器の操作に支障がある」という極端な例は別物ですが,元陸自の父に言わせれば,戦車兵に限らず,歩兵(普通科)であっても装甲車乗りは,「小柄でがっちりした体格」の方が有利とのこと.
あの狭いスペースに大勢押し込まれることを考えれば当たり前だろ,というわけで.
一方,あまりにも小柄だと,今度は小銃の取り扱いで苦労するので,こちらも程度問題とのことです.
ちなみに潜水艦に関しても同じことが言えるようです.
これは各種ハッチやできる限り小さく歩くことが求められることが論拠ですが,こちらの方も慣れの問題が大きく,極端な大柄でもなれれば,そうでもないとは潜水艦乗員のお話でした.
ただ,現在のドイツ製潜水艦は日帰り任務も多いことなどから,小柄な日本人にも信じられないほど狭く,大柄なドイツ人にとっては鬼門と聞いているとのことでしたが.
以前,戦車系サイトの「戦車研究室」の掲示板にて,元機甲科のお兄軍曹氏が
「私が会ったことのある米軍戦車兵は皆,私より小柄だった」
的なこと仰っていましたね.
【関連項目】
【質問】 ソ連軍戦車兵は中央アジア出身の小柄な連中が多かったって本当?
http://mltr.run.buttobi.net/faq21g02v.html#08256
【質問】
俺ずっと戦車兵はシートベルトはしないって思ってたんだけど,「戦車の機動力をなめてる」って間違いを指摘されたんだけど,してないよなぁ?,シートベルト.なんか自信なくなってきた・・・
【回答】
しないとヤヴァイです・・・
戦車ってのはオフロードを全力で突っ走る,世界一イカれた自動車ですから
戦車が全速力で不整地走り回る光景を,富士演習場で御覧になるか,動画を御覧になると分かると思います.
70キロ近く出る上に,公道を走る可能性があるから,シートベルトは必須.
ベルトしてないと,中の人が転げ回って頭打つか舌噛んで死にます.
▼ 【関連リンク】
「You Tube」:レンジローバーVSチャレンジャー
ゆきかぜまる in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年08月08日 00:48
▲
【質問】
夜中に,敵戦車に密かに接近して,戦車のカメラ部分付近でスタングレネードを爆発させたら,中の人の目を撹乱させられるものでしょうか?
【回答】
戦車なんかに付いてる暗視装置は,物体の放つ赤外線拾うやつです.
で,スタングレネードがモニタを真っ白にできる程の赤外線を発するかどうかは,サイズや燃焼時間を等を考えるとちょっと怪しい.センサの真ん前にでも置かないと難しいでしょう.
なので,あんまり意味ないかと.
で,実際にやるとするなら照準器,暗視装置,キューポラの覗視孔なんかを狙ってほぼ同時に爆発させにゃならんわけでして.
それ以前に,戦車が単独で行動することはまずないですし,
戦車もそれなりに警戒してますから,近づくこと自体が至難の技です.
仮に成功しても,次の瞬間に僚車や随伴歩兵からタコ殴りの目に会うでしょう.
どっちにしても,そんなことせずに我に有利な地形に誘引して,RPGでもブチ込んだ方が効率的ですな.
ちなみに,光量増幅式の暗視装置の場合は,一定以上の光量になるとシャッターが降りるなどして,目が眩むのを防いでいます.
丼炒飯 ◆HY/YgdSbHM :軍事板,2005/10/18(火)
青文字:加筆改修部分
スタングレネードの話ですが,理想的な条件で作動させても,結局モニターの出力以上の光は出ないわけで,白い紙を映した以上に乗組員の目つぶしすることは不可能.
まあ,夜間の暗順応を壊すぐらいはできるでしょうが,それもモニター直視してる人間が主.
それも大したことないでしょ.
軍事板,2005/10/18(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車にはアパッチにあるような,熱をなるべく外に排出しないような機構はないんでしょうか?
最近の戦車は,赤外線イメージを自動追走する機能が備わってるので,あってもおかしくは無いと思いますが・・・
【回答】
あまりありません.多少の配慮はされていますが,
普通対戦車兵器はシーカーも,発射プラットフォームのセンサーも,赤外輻射より電波や画像を使用していますので,あまり意味ありません.
まあ,赤外暗視鏡で見えにくいような塗装をするとか,無意味に熱を出さないようにAPUを使うとか,その排気を薄めて出すとかの工夫はされてるようです.
しかし,IR誘導ミサイルが主な脅威であるヘリとは,力の入れ方が違います.
赤外線イメージの自動追走といっても,赤外輻射でなく,画像認識が多いし.むしろ赤外にも有効な煙幕の使用などに重点が置かれています.
【質問】
昔の戦車の操縦方法は,右と左のキャタピラを左なら左,右なら右のスティックを別々に動かして,前に進んだり,曲がったり,その場で回ったり,という操作をしていたのに対し,現代の戦車は自動車やバイクのハンドルのような物での操作が可能になっており,これを実現したのがトルコン(トルクコンバーター?)という物だと聞きました.
このトルコンについて調べてみると,ATな自動車の話と,向かい合わせた扇風機の話ばっかリ出てきて,戦車がらみの話があまりありません.
というかこれがどうして,二本の棒からハンドルに進化するのか想像できません.
ここで質問なのですが,このトルコンがどう戦車の操作法に関わっているのか,そもそもこのトルコンの構造はどうなっているのかを教えてください.
【回答】
まず,トルクコンバーターを使ったオートマチック変速機の仕組みは解るよね?
油を満たした筒の片方に,エンジンからの動力がシャフトで繋がってる羽根車を置いて廻すと,反対側に置いてある羽根車と,それに繋がってる軸にも動力は伝わる,
それを利用すれば,クラッチ操作の要らない変速機が可能である,というのは.
で,戦車の場合,その繋がった先の軸を,ギアを介して出力軸を90度曲げて横軸にして,今度はその横軸の先にも,左右に同じような流体内羽根車式の動力伝達機構を設ける.
この流体伝達機構は,回転数は一定でも羽根車の傾き(ピッチ)を変えることによって,軸の回転数をそこで変えられる.
つまり,左軸と右軸で回転数を異なるようにピッチを変えれば,左右の軸回転数が異なって,結果回転数が遅い方に車体は曲がる.
ピッチの左右差を変える機構をハンドルと連動させれば,ハンドルを廻したり傾けたりするだけで左右に曲がれるわけ.
ものすごい乱暴な説明だが,これがトルクコンバーター式の装軌操舵機構.
【質問】
戦車や自走砲は,重ければ重いほど,強力な砲を積めるんですよね.
現実的な話,どこまで重くできますか?
これ以上だとまともに動けない,ていう限界はどのくらいですか?
【回答】
それはどれくらいのエンジンを積むかにもよるので.
技術的な話であればエンジンの出力とフレーム強度,および脚周りの構造と接地圧が許す範囲で大きくできる.
▼ 特に脚周りと接地圧は重要な要素で,ある戦車をそのまま倍の大きさに拡大したら,重さは「全長×横幅×高さ」で4倍になるのに,覆帯の面積は「全長×横幅」で2倍にしかならない.
特に脚周りと接地圧は重要な要素で,ある戦車をそのまま倍の大きさに拡大したら,重さは「全長(2)×横幅(2)×高さ(2)」で8倍になるのに,覆帯の面積は「全長(2)×横幅(2)」で4倍にしかならない.▲
つまり接地圧は倍になってしまうので,その分地面に食い込み動きにくくなるし,それを緩和しようとすると繊細な構造が要求され,余計に脚周りに負担がかかる.
過去に作られたもので一番重い戦車はドイツの試作重戦車,マウス(ドイツ語発音だとマオス,とも)で約190t.
でも一応きちんと走った.鈍重ではあるけど.
これも,今の技術なら同じエンジンルムームに収まる大きさで馬力のあるエンジンが積めるだろうから,機動性の問題からは別にもっと重くていい,ということにはなるだろう.
極端に重いと地面にめり込んじゃうけど,それだって履帯を広くするとかすればある程度はフォローできる.
ただし,戦車そのものは普通に走れても,橋や舗装道路といったインフラがそれに耐えられなければ,ちょっとした地形障害でそこから先に進めなくなるし,例え装輪式でなくても舗装道路を走れないと,効率的に長距離移動出来ない.
200tの戦車を輸送できるトランスポーターなんて作ったら,とんでもない大きさになるし,巨大な車体になったら建築限界の制約から,道路や鉄道で輸送できなくなる.
はみ出した部分がトンネルの入り口とか駅のホームにぶつかる.
故障したり溝にはまった時に引っ張り上げる回収車も,その重量に対応した専用のものが必要だし,野戦橋(野戦で渡河や溝越えに使う架設橋)もそれに対応したものが必要になる.
となると,超重戦車自体は結構簡単に作れても,それを作戦行動させるために必要なインフラの整備に掛かる金が,とんでもない額になるわけで,むしろ開発の限界や制約はそういうところから出るだろう.
そして戦車というのは鈍重な移動要塞ではなく,機敏な機動兵器であることが要求されるので,なるべくなら小さく軽く,小回りが聞いてとり回しが良くなるように作りたい.
さらに,小さく作れば投影面積が減って被弾する危険性も下がるから一石二鳥.
コストも安くなるから一石三鳥.
整備も楽なので一石四鳥といった具合に付属するメリットはとても多いからなおさらだ.
それらを鑑みて,丁度いい大きさというのが決められるわけで,無条件に大きくしてもそれは戦車とは別の種類の兵器にしかならない.
また,戦車砲にとって重要なのは貫徹力を高める初速であり,口径をむやみに大きくしても威力はあがらない.
自走砲に関してはむやみにでかくしても,費用対効果が悪くなるだけ.
数をそろえて火力で制圧できる範囲を広くした方が効果的となる.
ということで運用や効果を考えれば,今以上に大きくする方向には進んでいない.
軍事板,2008/12/31(水)
青文字:加筆改修部分
▼>重さは「全長×横幅×高さ」で4倍になるのに覆帯の面積は「全長×横幅」で2倍にしかならない
は
重さは「全長(2)×横幅(2)×高さ(2)」で8倍になるのに,覆帯の面積は「全長(2)×横幅(2)」で4倍にしかならない,ではないでしょうか?
最終結論である
>つまり接地圧は倍になってしまう
が変わらないので,大したことではないと思いますが,一応はと思い,報告します.
万川集海 by massage,2012年01月19日 02時48分
▲
【質問】
幅の広いキャタピラに,デメリットは存在しないのでしょうか?
【回答】
基本的に接地面が小さければ小さいほど,(グリップする限りは)トルクに対して速度が出やすくなる.
逆に言えば,接地面が広いほど路面抵抗もあがるので,同じ速度を出すのに大きなトルクが必要になる.
また,幅の広い履帯(キャタピラの漢字表記,尚”キャタピラ”というのは,登録商標(一般名詞なら”トラック”と呼ぶ)は面積が広い分大きいわけで,その分重くなる.
当然ながら廻すのによりパワーがいる.
そして,幅が広くて路面と接してる部分が多いだけ抵抗も多く受けるので,やっぱり動かすのによりパワーがいる.
あと,履帯の幅が広くなるということはそれだけ最大占有幅も広がるわけで.貨車で運んだり船に載せたりする時により多くのスペースを食う.
貨車やトレーラーに載せると,荷台から履帯がはみ出してしまうことも・・・.
そうなるとホーム脇やトンネルを通れなくなったり,対向車とすれ違うことが出来なくなったりするという不具合も出る.
ドイツのティーゲルTはそのせいで輸送する時は履帯を取り替えなくてはならなかった(当然,超重労働).
どのくらいの幅が適切なのかは,車体重量や速度性能といった面から逆算して決める.
ただ,アメリカの戦車みたいに
「他の車輌と共用させたいので,この規格で作るように」
と,履帯の方が先行して決まってるという例もあるが.
軍事板
【質問】
自衛隊車輌(ジープのようなかんじ)の車輪・タイヤは,一般の車のモノと違い,(銃撃されて空気が抜けて走行不可となるのを防ぐ目的で)空気が入っておらず,丸ごとゴムのカタマリだと聞いた事があるのですが,それは本当ですか?????
【回答】
いわゆる「コンバットタイヤ」ちう奴ぁ,CCVやRCV,WAPCや化学偵察車くらいにしか使われておらん.
3トン半やジープやパジェロなんかは一般の普通のタイヤだよ.
ちなみに,北海道なんかで冬に使うスタッドレスタイヤなんて,坊主になったら走行面にゴムパターンをもう一度くっつける,いわゆる「再生タイヤ」がほとんどだあ.
金がないからのお(笑)
タイヤの側面に○の中に「再」って書いてあるから,すぐにわかるわい.
緑装薬4 ◆8R14yKD1/k in 自衛隊板
戦闘時に使用される車輌だと,タイヤ側面を強化したり,骨組みを入れて強化したタイヤを使っています.
BRIDGESTONE Runflat Systems
http://www.runflat-system.com/runflattire_system/rftsr_top.html
ここ↑に大まかな仕組みがでてますよ.
あるいは,ジープやトラックでも一部で使っているかも知れません.
自衛隊板
【質問】
重量級の戦車が道路を直に走ると道路が耕されるといいますが,具体的にどのようにボコボコになるのでしょうか?
【回答】
一般道はT-25(重量25t相当の車輌に耐えられる)という仕様で作られています.(もともとはT-20だったんですが)
表面のアスファルト仕上げはゴムパッドを履帯に装着することで,損傷を防ぐことは可能ですが,その下の路盤といわれる,道路の構造体を損傷する可能性があります.
そうなると轍状に陥没したり,橋梁では構造体に損傷を及ぼすかもしれません.
通行制限かけながらの移動は必須ですね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
某板で兵器の話で,最近のAFVは戦場での流動性が高まったため,渡航に時間をかけることすら無駄が出て,航空機での輸送をするため,渡河能力の削除,軽量化が図られていると教えられられました.
しかしながら,前線での戦闘(正規軍同士)の場合,渡河能力は必要不可欠だと思うのですが,そこのところどうなんでしょうか?
自分は小説で正規軍同士の戦いを考えているため,やはり必要だと思ったのですが,時代の流れからいうと
必要じゃなくなってきているのでしょうか?
【回答】
想定する戦場による.
アメリカが主に中東地域に展開する事を考えるなら,それでもいいだろう.
だが,欧州で戦闘することを考えるなら渡河能力は削れない.
ただ,イラク戦争の時,イラクには大河があり,侵攻ルート上に川越えのポイントはいくつかあったが,アメリカの装甲機動部隊はほとんど渡河作戦を行わなかった.
これはイラク側に橋梁を爆破する余裕がほとんどなかったので,強行渡河をするまでもなかったからだが,戦略として,装甲機動部隊だけが渡河しても続いてくる補給,整備といった後方支援部隊が渡河できなければ(トラックに装甲車両のような渡河は無理)結局意味がないので,別の手段(ヘリで補給物資と整備部隊を輸送するとか)が用意できなければ,橋の落ちた地点で後続を待ち,工兵に野戦架橋をしてもらって後方部隊共々仮橋を渡るしかない,という事情がある.
実際アメリカ軍の侵攻は,何箇所か川を越えるところで後続待ちで停止した.
橋は無事だったが,装甲部隊が橋を渡ったところでゲリラ等により橋を爆破されたら,先行した部隊は孤立してしまうから.
アメリカや(一昔前の)ソビエトみたいに,贅沢なまでの空輸能力を持ってる軍隊は,ほとんどいないから,最低限度の渡河能力を備えておく事は重要だろう.
各国陸軍の主力戦車は,いわゆる第3世代になっても渡河能力は失っていないし,陸戦装備の中に応急架橋用の機材・資材が含まれている.
正規軍同士の戦闘では,渡河は未だに重要な要素になると思われる.
ただ,工兵が充実してる国なら,下手に中途半端な渡河能力を車両側に備えるよりは,工兵に任せる事にしてその分別の面を充実させた方がよかろう.
渡河能力よりは装甲が厚かったり,砲がデカい方が意味がある.
偵察車両とかはまた別だが・・・.
【質問】
ドーザープレート付き戦車は,塹壕とか作れるの?
【回答】
いあいあ,あれは路上にあるガレキをよけるのがせいぜいだよお(笑)
ドーザちうのわ,過負荷がかかったらクラッチが切れる構造になってる.
じゃないと,しょっちゅうエンストしちまうだろ?
で,戦車が過負荷がかかったら,クラッチが切れてたらどーなるね?
まあ確かに中隊に1両とかのレベルで存在はするが,穴掘るのはよほど土質の条件がよくなきゃほれないわなあ
緑装薬4◆8R14yKD1/k
【質問】
戦車は歩兵と通信できるんですか?
【回答】
戦車にはたいてい無線機が積んである.
歩兵が無線機を持ってれば通信できる.
歩兵部隊との間に有線電話を引いても良いし,一部の戦車には,はじめっからインターホン的な外部電話がついてる.
74式戦車の後ろについてる箱は,歩兵用の電話ボックスだ.
そもそも軍隊で言う通信とは,音声通信に限定しない.
ライトや手信号による視覚通信も立派な通信.
軍事板
【質問】
完全電動の砲塔は,油圧式に何か劣りますか?
メルカバ4は俯角仰角が「手動」ってあったんですけど,キュルキュルキュルキュル?
【回答】
戦車の砲塔旋回に油圧を使わないと言う理由は,他のメリットデメリット以前の問題.
中東戦争でイスラエルの運用した米製戦車が,被弾時に油漏れで火災を起こしやすかったことに起因する.
●オイルポンプ&オイルモーターの利点
・オイルポンプを回すための動力に電気モーターを使用した場合であっても,電気モーターだけで砲塔を回すより
小型の電気モーターで済む.
(戦車ではそれほど重大じゃないでしょうが,電子装備や無線機に悪影響を出すノイズも少ない.)
・逆に言えば低出力の発電機と小型のモーターで砲塔を回せる.
・主機関で直接オイルポンプを回した場合は電気モーターすら要らなくなる.
・機材が機械油で満たされている状態なので,磨耗・錆に強い.
●難点
・オイルモーターの特長として始動と停止が遅い.
(始動する瞬間オイルが圧縮されてすぐに軸を回し始めない.
停止する瞬間は逆に膨張して少し軸を回してしまう.)
この問題は,砲塔を旋回させる上では戦車兵が癖を理解してカバーしているようで.
しかし,砲安定装置による制御が曖昧になる問題がある.
・上記の問題を克服するには油圧を極限まで上げてやると良いが,そうすると油の劣化が早くなり,油が高温化して火災が起きやすくなる.
機械油で機材を満たしている利点も損なわれる.
この油の高圧・高温化によって(完全電動砲塔に比べて,)必ずしも放熱が少ないとも言えない訳.
それとオイルポンプ・オイルモーターは簡素な羽根車で構成できるので,(完全電動砲塔に比べて,)必ずしも重いとも言えない.
なお,停車中でもアイドリングしていないと砲塔の動力旋回が出来なくなる点は油圧でも電気モーターでも同じ.
主機関でオイルポンプを回している場合はもちろん,電気モーターを介した場合でもバッテリーだけで何時までも大出力が出せる訳ではないので. そこを補助動力でまかなおうと言う発想は古くからある.
現用戦車が完全電動になびくのは,火災の対策.それと2軸統制型の高精度な砲安定装置はそもそも油圧じゃ難しいため.
ちなみに上に挙げた,中東戦争時の米製戦車は,砲安定装置の装備が未達で,砲塔旋回も現代ほど早くない.
【質問】
装輪装甲車の一人用の小型砲塔を製造している西側のメジャーなメーカーってどこですか?
【回答】
一人用砲塔ってのは半端なせいか,比較的少ない.下のぐらいかな.
ドイツ: ラインメタル・ランドシステム(Rheinmetall
Landsysteme)社,E8 一人用砲塔.
フランス: ネクステル(Nexter)社,TMC-25
一人用砲塔.
一人用砲塔は二人用砲塔よりシルエットが小さくなるし,タレットリングが小さくて済む分,小型の車輌にも搭載可能でタレットの穴が小さいから車体強度も維持しやすい.
しかし車長が車内に押し込められるため,高価で複雑な観察装置を搭載しないと,車長の状況認識が大きく損なわれる.
このためトータルとしては,二人用より高価になりかねない.
観察装置を使うなら,無人砲塔の方がタレットリングの制限もシルエット,重量も節約できる.
一人用砲塔のメリットとして,車長が搭乗員(乗客)と対話しやすいという面はあり,車長が分隊長を兼ねているような場合には有効な面もある.
フランスがVBCI装輪車にTMC-25を採用したのはこの点から.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
装甲車に搭載する無人砲塔や車長用サイト・砲手サイト・無人リモートシステムで有名なメーカーってどこですか?
【回答】
ひとまずイスラエルのRafael(SAMSONシリーズ)やElbitのORCWSシリーズが最近の売れ筋.
あと,
イタリア,オト・メララのHITROLEシリーズ,
ドイツだとクラウス・マッファイ・ヴェクマンのFLWシリーズ,
英テールズのSWARM
などがある.
ノルウェー,コングスバーグ社のPROTECTORは米制式に採用されてる.
あとベルギー(FNとカナダ・エリコンの共同)のARROWシリーズがフランス,ベルギーに採用されてる.
ひとまず「有名」といえば,最初に述べたイスラエルのElbit社,Rafael社に,イタリアのOto
Melaraが
三本指だろうか.
しかし米に制式採用されて数も出てるKongsberg社も捨てがたいか.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦車の,対戦車ミサイルや無反動砲やロケット弾などへの対策として,どのようなものがあるか教えて下さい.
【回答】
対戦車ミサイル,無反動砲,ロケット弾は戦車の装甲に有効な弾頭としてHEATを用いている物が多い.
HEATは強力な装甲貫徹力があり,その貫徹力は弾頭の速度に左右されないという長所がある反面,起爆点から装甲まで適正な距離(スタンドオフ)を保てないと貫徹力が大きく減衰する[a]という欠点があります.
また,装甲の密度が変化する事でもその貫徹力は減衰[b]されます.
その負の特性を逆手に取り,スタンドオフを狂わせる事で装甲の貫徹を免れる可能性は高くなります.
[a]の場合は,装甲の前に弾頭が接触する物(吊り下げたチェーン,金属製の籠,コンクリート,土嚢など)があり,
[b]の場合は,密度の違う物の組み合わせ(複合装甲,中空装甲など)があります.
対HEATだけに限らず弾頭の貫徹力(衝突時のエネルギーを含む)を削ぐものとして,爆発反応装甲(リアクティブ・アーマー)と言う物もあります.
軍事板,2009/08/19(水)
青文字:加筆改修部分
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