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(画像掲示板より引用)
「D.B.E. 三二型」(2011/09/04)◆東大寺敷地内から地雷に迫撃砲発見?
>奈良署や東大寺によると,一如庵には昨年9月まで,カンボジアで地雷撤去のボランティアをしていた男性(74)が住んでおり,男性が講演会で見本として使用したものである可能性がある.
「Togetter」◆(2013/01/14) Wグデーリアンの陸戦講義#1
「陸戦兵器の歴史I」
「Togetter」◆(2013/01/29) Wグデーリアンの陸戦講義#2
「陸戦兵器の歴史II」
「Togetter」◆(2013/02/05) Wグデーリアンの陸戦講義#3
「陸戦兵器の歴史III」
「Togetter」◆(2013/02/19) Wグデーリアンの陸戦講義#4
「陸戦兵器の歴史IV」
「カラパイア」:軍施設・病院・研究所など,場所別高画質廃墟画像ギャラリー
「ワレYouTube発見セリ」:25ID Mortars over Tall Afar
『最新陸上兵器図鑑 21世紀兵器体系 (Rekishi gunzo series) 』(学研,2001/10)
これはスゴい!
軍オタ濃度が濃ければ濃いほど,いろいろと楽しみ方のあるムック.
どりあえずパラパラとでもいいから見てみれ.
------------軍事板,2001/10/03
『世界の「要塞」がよくわかる本』(レッカ社編著,PHP文庫,2010.1)
観光案内にはいいけど,イマイチな本でした.
これで,掲載されてる要塞すべての空撮もしくは,上空からの図があれば,もう少し良かったんだけどね.
――――――軍事板,2010/02/03(水)
『鉄条網の歴史』(石弘之&石紀美子著,洋泉社,2013.3)
『長野の山城ベスト50を歩く』(河西克造・三島正之・中井 均編著,サンライズ出版,2013/4/23)
【質問】
現代の兵器を使用した戦いにおいて,シモ・ヘイへのようなことって起こり得るんですか?
【回答】
ヘイヘのケースは,極めて限定された条件下で達成された戦果ですから,現代戦においてそれを再現するのは非常に困難です.
当時のソ連兵の練度がとても低く,しかも厳冬期で地元のヘイヘには有利な環境だったわけで,どこかの民兵が多数参加してるような内戦とかならまだしも,先進国の軍隊同士では起こりにくいと思います.
例えば,映画にもなったソマリアでの強襲作戦が失敗したあとの救出作戦が,初期に投入された人員のみで達成されていれば,現代の「コラー川の奇跡」と呼ばれたかも知れませんが,そのような事は通常はありえません,
単純な火力と射撃技能と物量のぶつかり合いになれば尚更です.
「奇跡」と呼ばれるように,通常では達成困難とみなされています.
今は音で撃った方向が判るシステムがあるので,被害が増えれば対策されちゃいますよ.
その為,現在の狙撃銃は大口径化等で有効射程を上げてますから,小回りが利きません.
一人で戦術的に価値の低い兵士をたくさん,てのは現代の戦争ではもうないでしょう.
ちなみに,口径7.62mm前後のライフルの場合,有効射程(命中率50%以上)は400mくらい.スコープ付きでも800m
とかで,1000m以上先を狙えるのは相当の手練れ.
シモ・ヘイヘはもともと本職の猟師でスコープ使わないので,そんなに遠くからは狙撃していません.
三等自営業 ◆LiXVy0DO8s(黄文字部分)他 in
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「面制圧兵器」って,とりあえずこの辺をまとめてあぼーんさせちゃえ,ていう兵器でOK?
りゅう弾砲やクラスター爆弾や戦術核なんかが該当するんですか?
指向性散弾や対人地雷をたくさんばらまけば,それも該当しますか?
【回答】
RPGの範囲(全体)魔法と対単体魔法だともってくれればいい.
指向性散弾(クレイモアなど)は,キルゾーンに入った連中をまとめて死傷させる為まさに面制圧だが,対人地雷は一基で一人しか死傷させれないから面制圧とは言えない.
つまりそういうこと.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
なお,対人地雷といっても様々だし,大体において仕掛け爆弾,路肩爆弾の類なども含めれば範囲は広いです.
例えば,家屋爆弾という類のものがあります.
これは家に仕掛けておいて,捜索などに入った相手の兵を纏めて一網打尽に家ごと爆破するもので,ある意味熊相手に使う押し罠の家屋版だと言えるかと思う.
また,制式の武器では跳躍地雷の類があります.これは罠線などに足を引っ掛けると,地面から地雷が空中に跳ね上がり爆発し,鋼球などを撒き散らす物.
軍事板
青文字:加筆改修部分
◆◆施設
【質問】
『坂の上の雲』の旅順要塞を見て,第2次世界大戦やクリミア戦争のセヴァストポリ要塞戦に興味がわいたのですが,何か読みやすい本はありますか?
なるべく,全体図とか坑道内の様子とかあるといいです.
【回答】
Maginot Line 1940: Battles on the French
Frontier
Fortifications of the Western Front 1914-18
http://www.amazon.co.jp/dp/1841767603/
Fortifications of Verdun 1874-1917 (Fortress)
http://www.amazon.co.jp/dp/1849084122/
『セワ゛ストーポリ』
トルストイ (著), 中村 白葉 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/dp/4003262026/
クリミアならこれが(en):
Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856
http://www.amazon.co.jp/dp/1403964165/
誰か日本語版出せばいいのに.
ospreyの軽く読める奴ならこっち;
The Crimean War: 1854-1856 (Essential Histories)
http://www.amazon.co.jp/dp/1841761869/
最近出たOrlando Figesの
Crimea
http://www.amazon.co.uk/dp/0141013508/
は良さげだけど.まだ買ってない.
WW2のセバストポリなら,
Sevastopol 1942: Von Manstein's triumph (Campaign)
http://www.amazon.co.jp/dp/1846032210/
セヴァストポリ近郊での戦闘 osprey版
Battle of Balaclava
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Balaclava
http://www.ospreypublishing.com/store/Balaclava-1854_9780850459616
Battle of Inkerman
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Inkerman
http://www.ospreypublishing.com/store/Inkerman-1854_9781855326187
ついでにwebでは,
クリミア戦争史とセヴァストポリ防衛 1900
http://runivers.ru/lib/book3087/
とかみつけちった.
これの元一次資料(департамента уделов 1871-1874)
が,
http://runivers.ru/lib/book3307/
軍事板,2011/12/11(日)〜12/12(月)
青文字:加筆改修部分
【質問】
城と要塞の違いって何?
近代かそれ以前かと思ったけど,中世でもロシアでは要塞って呼ばれてるし.
軍事学的な定義みたいなものがあったら教えて.
【回答】
日本の場合,城は本来的に軍事拠点.
軍の本拠地城の周りに作った本拠地以外の拠点が出城=砦(=塞)
中世は,地形を利用する傾向が高まり,山城が増えた.
城を君主の居住地として使用したのは戦国時代以後.君主=軍人となったから,といった方が正しいかな?
こうすると山城が減って,平野で囲いを設けた城郭が増える.
要塞という概念が入ってきたのは,西洋兵学が取り入れられた明治以後.ほぼ「城」にとって代わった.
「城」は今日では,軍事用語としては死語.
中国の場合,「城」は城壁都市のこと.
「砦」と「塞」は同じ意味で,敵の侵入を阻む防壁,建物のこと.これらは本来,木や石を積んだ柵だったが,後にデカくなった.
英語の場合,砦fortは小規模・一時的な拠点,要塞frotressは大規模・恒久的な拠点.
この区別はフランス語からの輸入らしく,中世からある.
城castleはほぼfortやfortressと同じ意味.courtが君主の住宅を意味する.
世界史板,改
ライトノベルの場合,ファンタジー寄りだと城.ハードSF寄りだと要塞.
ティム・バートンがジョニー・デップを活躍させる舞台が「城」.
スティーブン・セガールが活躍する舞台なら「要塞」.
【質問】
塹壕や地下壕に籠もる敵に対して,最も効率よく戦闘能力を奪う兵器とはなんですか?
【回答】
現代戦で塹壕なら〜
空からなら多弾頭系爆弾.
砲兵なら空中炸裂信管のりゅう弾.
MBTならりゅう弾系.
IFVなら対地ミサイルもしくは機関砲のりゅう弾.
歩兵なら遠距離で対地ミサイル,200〜100メートル前後からはグレネードランチャー,近距離で手榴弾類.
地下壕なら〜.
空からなら,着発式の航空爆弾かそれでもダメなくらい頑丈なら気化弾頭系の貫通爆弾.
砲兵ならスマート弾頭各種.
陸上部隊なら,まず入り口などを制圧して気化弾頭等を丁寧に撃ち込んで,十二分消毒した後に歩兵が掃討.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
篭城しても兵糧攻めで負けるのに,みんな口々に
「ここは篭城が得策かと」
って勧めるのは何で?
昔は篭城にも勝機を見出せた社会情勢でもあったの?
【回答】
一般的に言って,援軍を見込むことができる状況なら,拠点で徹底交戦のほうが得策な場合もある.
日本の戦国時代の話だと,いったん篭城が始まると,兵糧攻めをしても攻略に数ヶ月はかかるだろうが,かつての多くの戦国大名はその兵力動員を挑発した農民でまかなっており,いわゆる兵農分離が進んでいないために,農繁期になれば兵を村に戻さざるを得ず,動員力が落ちてしまい包囲戦を続けられないことがあった.
農閑期しか他国へ攻めにいけなかった.
篭城されて半年以上もつと,攻め手は自国へ帰って,農作業に入ってた.
このため,それを期待した篭城というのはあった.
もっとも経済力をつけた大名,例えば織田信長などはその財力で常備軍を整える事ができ,そういった場合は農繁期の撤退は期待出来なくなっていく.
また,攻囲側が大軍だったりすると,兵站の負担が多大なものになって長期戦では有利になるケースが有り得る.
特殊ケースとして西洋の中世.
戦争技術が退化していて兵站機能が脆弱(松村励『戦争学』より)で,かつ封建制度の下では自分の軍隊を下手に傷付けられると,自らの権威に影響が出るということで,攻撃には二の足を踏むことが多かったそうだ.
(回答者のくせに,この時代についてはあんまりよく知らん,と付言しておく)
あと,包囲してるとはいえ,城周辺の食料は,守備方が,城へ回収してるので,自国から延々持って来ないといかず,その労力で自滅してたりもしたから.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
函館戦争で,土方歳三は榎本武揚ら政府による篭城作戦の提案に対し,
「篭城? どこから支援が来るというのか?」
と,一笑に付したと聞きましたが,篭城作戦は,援軍を当てにしなければならない戦法だったのでしょうか?
【回答】
いや,常識的に考えて,どっからも支援が来るあても無いのに閉じこもっててどうなるんだ?
いつか食料が尽きて終わるだけだろ?
相手の兵站に問題があるとかなら,それでも意味があるかもしれないが,この場合はそうじゃない.
戦力的な支援は絶望的なら和平までの時間稼ぎとか,政治的な「当て」を頼りにしていたんだろう.
官軍相手に不完全な五稜郭での篭城だったので,遠まわしに戦術家としての皮肉も言いたくなるだろう.
援軍を待つというより,機を待つのが篭城だね.
篭城で勝とうと思うなら,基本的に援軍頼み.
例外は相手の後方に弱みが有る場合,例えば兵站問題のほか,本国の厭戦気分・革命とか,そういう特殊な場合.
近代以前であれば,農繁期の到来とか,寝返りの発生とかいくらか例外要素が増えるか.
あと,その拠点が陥落するのは計算に入れた上で,捨石として篭城することはありうるだろう.
例えば太平洋戦争の沖縄戦なんかは,陸軍側の戦略としては捨石の篭城だな.
これは援軍はそもそも期待してない.
どうしようもなくて逃げ場もなくて篭城する例は古今有るが,最後はまず負ける.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ ただし援軍がなくても,包囲していた敵の士気の低下による撤退,もしくは後方をゲリラ戦でかく乱することによる撤退に追い込む作戦が成功する場合もあります.
上杉謙信(+関東諸豪族)による小田原包囲がそうですね.
当時の小田原城は,のちに秀吉の攻撃を受けたときより,ずっと簡素なものだったにもかかわらず,謙信は攻めあぐね,およそ1カ月で兵を引いてしまいました.
まー,謙信も城攻めについてはちょっとアレなんですけど.
包囲する側に,意志の不統一や兵站など不安要素がある場合は,「ただ立て籠もる」のも無意味ではないでしょう.
包囲側にも相当な負担がかかりますしね.
▲
【質問】
もし国内戦になったら,やはり現存している石垣や城は,拠点になるんですかねぇ?
あまり想像はしたくないですが.
【回答】
国内戦の構図によって,それぞれとしか.
その国内戦の図式が,自衛隊VS革命ゲリラみたいな構図だった場合,城砦のあった場所は結構調査されていて,鎮圧軍に判らないように隠れて生活などできないから,過去の城砦を利用して立てこもるなど,鎮圧部隊の単なる的にしかならないし.
まして,戦国時代のような,対立豪族がどっちにいるのかで出城の位置も変わり,主家の周りを囲うように家臣団の砦を配置するような防衛砦は,国内戦が,群雄割拠の戦闘にでもなって,住民が自衛の意識を持つとかして,自分の街を守るみたいなことにならないと使えないと思うが.
名無しの愉しみ:軍事板,2011/04/24(日)
青文字:加筆改修部分
防御拠点としての機能は期待されないけど,司令部や集積所として使われることは有りうる.
沖縄戦でも首里城を使ってたでしょ.
ある程度の地積があって,しかも観光化されてると駐車場完備だし.
軍事板,2011/04/24(日)
青文字:加筆改修部分
駐車場というか,車両の乗り入れが容易で,車両や物資を集積しておける地積を持った場所は,現代戦では重要ですな.
駐車場以外には学校の校庭や,スタジアム関連,テーマパーク,地方型大型複合店舗なども,十分に候補になると思います.
とくに地方の郊外型大型スーパーなどは,国道付近で立地的にも,非常に便利だと思うのですが…
しかし,あまりあからさまな場所だと,十分な防空体制を構築できなければ,ただの的になりかねませんが…
敵に航空攻撃や,継続的な精密長距離砲撃能力がないなら,集積も効率最重視でいけます.
敵にこの2つがあると,話が大分変わってくると思います.
集積・輸送効率だけでなく,隠蔽や防護の重要性が高くなるでしょうし.
(そういえば,先月後半に勿来に行った時,常磐道下りのSAが一箇所,原発復旧派遣車両専用にされ一般車を締め出していました)
Lans ◆xHvvunznRc :軍事板,2011/04/24(日)
青文字:加筆改修部分
もう大昔となりましたが,雲仙普賢岳噴火の際の災害派遣では,島原城・三の丸に現地司令部を置いてました.
城跡は地積もあり,天幕も設営しやすく,補償もせずとも良く,警備も行い易く,結構尽くめですわな.
戦時は自ずと話は変わりますけどね.
戦前の駐屯地が城跡にあったのは,宜なる哉と思いますな.
六点☆噴血 ◆OVNYPzgZN2 :軍事板,2011/04/24(日)
青文字:加筆改修部分
192: 名無し三等兵:2011/04/24(日) 13:21:45.76 ID:???
ソマリアでは競技場が拠点になっていますね.
拠点にならなそうな建物の一例
(画像掲示板より引用)
【質問】
宿営地にある「安全地帯」ってどんなもの?
【回答】
一般的な映像でみるのは警備兵が配された防御用のコンクリート壁と厳重なゲートだと思う.
これに囲まれた地域が宿営地の全てだと多くの人が錯覚しているけど,実はその壁から更に数百mも外側に鉄条網や壕が設けてあってその内側までが敷地です.
これが安全地帯です.
イメージ的には約2km四方の荒れ地をフェンスで囲って,その中心部に一辺300m程度のコンクリートの囲いを置いた感じです.
この安全地帯は建物も田畑もなく,当然立ち入り禁止であり,入り込んだ者は敵性とみなされます.
これによって,敵性の者と一般住民とを識別して不意打ちの危険性を避ける防御施設です.
イラク・サマーワでの自衛隊が,インフラが整った町中でなく,敢えて不便な郊外に宿営地を構えたのは,この広大な安全地帯を得る為です.
ドカン・オオカミ◆s6tJH5.VuA
【質問】
塹壕の起源はいつ頃でしょうか?
日露戦争で両軍が塹壕を掘って対峙したとか,旅順攻略戦で壕を掘るまでの弾よけに死体を積み上げた,等の話は聞きますが,それ以前の戦争では塹壕は用いられなかったのでしょうか?
あと,この頃の塹壕戦はどのようなものだったのですか?
手榴弾や迫撃砲の原型のようなものが作られて,互いに投げ合った,と聞いたことはありますが,機関銃の配置された陣地や塹壕をどのように攻略したんでしょうか?
【回答】
塹壕はもともと要塞を攻略のするための技術として発達しました.
時代としては築城・攻城の天才ヴォーバンが活躍した17世紀あたりです.
(今年,ヴォーバンの城塞群が世界遺産に登録されたそうで)
野戦での塹壕使用は南北戦争です.
▼まだ機関銃が普及していなかったため,歩兵突撃が十分に有効でしたが,
学研『南北戦争 49の作戦図で読む詳細戦記』(クレイグ・L・シモンズ著 友清理士訳,2002.2)という本の32ページ目によれば,
「ミニエ式銃弾や旋条銃の登場により,待ち構えている敵陣への正面攻撃は自殺行為となった」
と書かれてあります.
次のページでも
「両陣営の司令官がこの点を認識しなかったことが,南北戦争における驚異的な戦死率の高さを説明する助けとなる」
と書いてあります.
すなわち,このころ既に,塹壕は歩兵突撃に対して十分有効だったようです.▲
その後,機関銃が普及し,火砲との連携が考慮され,構築・運用方法も洗練されてくると,塹壕は決定的な防御陣地となりました.
戦車,毒ガスなどの兵器が考案されたのも塹壕対策でした.
かつてドイツ軍は軽装歩兵による浸透戦術(WW1)や,戦車集中運用による電撃戦(WW2)など,いくつかの重要な戦法を実用化しましたが,これらの戦法も万能ではなく,現代においても防御陣地としての塹壕は高い防御力を誇ります.
結局の所,基本となる攻撃方法は,十分な準備攻撃に続く歩兵突撃です.
現代では戦車・歩兵戦闘車・歩兵が協調して制圧を行います.
現代では燃料気化爆弾が塹壕制圧の切り札になると見る向きもありますが,これまでの新兵器同様,対応策が出現する可能性もあります.
軍事板
&SOS in FAQ BBS(黄文字部分)
青文字:加筆改修部分
【質問】
塹壕は銃が発達するまで発達しなかったんですか?
銃より射程がある武器なんてずっと前からあったと思うんですが,盾で充分だったということでしょうか?
【回答】
塹壕は中世にはもうあった.
中世の攻城戦では,攻める側が塹壕で守る側の城や城市を取り巻いた.
守る側は城壁の上という高い位置から攻撃できるので,それから兵を守るには塹壕を掘るのが手っ取り早かったから.
この頃にはもうジグザグに塹壕を掘るようになっている.
外側の塹壕から援護しながら,城に向かって塹壕を掘り進めて行き,城壁に近づいたら持ち込んだ攻城兵器や火薬で城壁を破壊して内部に突入するという戦法だった.
中世日本というか戦国期の日本の山城にも,竪堀というのが頻繁に登場する.
これは遮断の機能のみならず,兵員の通行路や物資の搬入路ともなったと考えられている.
通路としては敵の視線に触れずに曲輪の間を移動できたり,逆襲用に兵を潜ませ待機させておくなどがありえる.
中世の野戦では,費用対効果で掘らないほうが良かったようだ.
弓矢は訓練が必要だったりで,数が限られる.
ナポレオン時代でも,広い土地で優位な位置を取るために運動しながらの戦いでは,塹壕を掘るメリットはあまりなかった.
しかしライフル銃が使われ,兵の死傷率が飛躍的に高まった南北戦争では,塹壕にこもっての防御が行われている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
2m×2m×50mの塹壕を構築するのに歩兵2000人で3日,ショベルカー1台で半日と聞きました.
実際そんなに差があるものなのですか?
【回答】
それはちょっと言いすぎだな.
歩兵ひとり当たりの担当面積が50m/2000で25mmしかないぞ.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
「人時計算」って,まあいろいろだからねえ・・・
ただ,交通壕のような,単純に掘るだけの設備なら,ユンボでがーって掘っていけば,人が掘って土捨てるよりかなーり早くすむが.
それだって平地みたいなところならあれだけど,山地みたいなところだとユンボ入れないし.
詳しい諸元は,科諸元か幕僚諸元に乗ってるから,注意だった記憶があるが・・・
緑装薬4 ◆8R14yKD1/k in 軍事板
青文字:加筆改修部分
前後1.5m,左右1m,深さ1.5mの一人用タコツボでも一人で2時間あれば作れるし.
土壌の質にも左右されるから一概には言い切れないけどな.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
野戦陣地とか,きちんと設営された永久陣地(基地や要塞とか?)で,武器弾薬の類ってどの辺に保管してあるんですか?
あまり陣地や要塞の奥の方にあると,戦闘中に流れ弾或いは砲撃とかが当たったときに酷いことになりそうだけど.
しかし,爆発しても問題無さそうなすみっこの方に置いておくと,簡単に破壊工作とかされそうだし.
素人考えだと,分散保管するのが一番な気がするけど,それはそれで手間がかかりそうだし.
(個々の保管場所が爆発しても,余所に飛び火しない程度に距離を離すって事で……)
実の所,どうなってるんでしょうか?
あと,弾薬とその他装備品(銃器,土木作業具等)の保管場所はまた別?
【回答】
仮設陣地でも永久陣地でも駐屯地でも基地でも,弾薬は普通の設備とは離した場所に保管する.
でないと事故起こったとき危ないので.
当然厳重に警備はつける.
自衛隊も弾薬庫警備の人員にだけ(最近はテロ対策でそうでもないらしいが)には,平時から実弾を配布して実弾を装填した銃を持たせている.
そのため弾薬庫の警備担当が銃を誤発させた,という事故も過去に何回か起きたりしている.
軍事板,2009/07/22(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
敵補給基地を奪取するのって難しいの?
【回答】
中隊以上には補給部隊が組み込まれているわけで,ソレが旅団-大隊-中隊と血管のように「線」として結ばれているのが「兵站」.
敵に蹂躙されたら困るほどの重要な補給拠点は,戦線のけっこう後方にあるものだから,「補給基地」と呼べるような大規模な集積所に敵戦車隊が迫るってのは,既に前線部隊が崩壊してるって事だし,敵の勢力圏内に物資集積所なんかあったって使えるわきゃないんだから,普通は火でも付けて放棄するわな.
火を付けられる前に押さえられたら「チャーチル給与」ってな話になる.
ロンメルなんてソレをアテにして戦争してたくらいだ.
【質問】
塹壕を掘る時,工作機材や爆薬を使えば楽でしょうけど,そういったものを使わないで人力とスコップで塹壕を掘る場合,地面が堅かったり,草木の根が張り巡らされていたら,どうやって塹壕を掘るのでしょうか?
私が裏山の竹林で,塹壕掘れるか試してみたら,スコップどころか鍬やつるはしを使っても,地面に穴を掘れませんでした.
鍬は先端の一部が欠けてしまいました.
【回答】
緑の旦那辺りが詳しいと思いますが….
立射堀開散兵壕の様な深いものでも無い限り,その様な土地であれば,道具がない限り余り深くは掘れません.
と言うことで,一例を挙げれば,伏射散兵壕くらいのもので十分という風に割り切ります.
つまり,自分が伏せた場合に隠れる程度の,浅い壕を掘る感じです.
掘った土を前面に置けば,高さは十分保てます(大体土盛25cmで,後は寝た時に自分が隠れるくらいの深さ).
植物が繁茂している土地であれば,植物を偽装網の代りにします.
膝射散兵壕ならば,土盛0.3cm嵩上げし,深さ0.5cmのものを掘れば良いので,そんなに深く掘る必要はありません.
要は,自分がしゃがんで隠れるくらいの高さにします.
本格的な塹壕戦用の塹壕ならば,工兵の御仕事になるので,工作機材もしくは機械力で一気に作ることになるでしょうね.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2007/08/16(木)
【質問】
橋や高速道路みたいな,土がなく塹壕がほれない場所で,阻止線を張って相手を防ぐ場合,どのように陣地をつくるのですか?
相手は小規模なゲリコマを想定しています.
【回答】
トーチカを作ったり,要所に土嚢をつんだ,機銃座でも作っとけ.
土嚢やコンクリートブロック,有刺鉄線,ドラム缶(砂や水を入れる),車輌を使って陣地をつくる.
自爆車輌や改造した大型車輌で突っ込んでくるかもしれないので,陣地までの直線道路には障害物(車止め)を設置して,突撃を阻害するようにするのがポイント.
車止めは,敵兵が遮蔽物として利用できないようなものが良い(鉄骨組み合わせたのとか)
今のイラクでやってる検問なんかの写真みると,雰囲気がつかめると思う.
アンブッシュでの打撃を与える目的なら,路肩やたもと周辺なんかに地雷と偽装した兵隊を置いておく.
ハイプロファイルな感じに敵の行動を制限する目的なら,上記に+して路上に目立つ障害物を置いとく.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
鎌倉時代〜戦国時代の戦闘では,高取城のような山城と高松城のような堀を多用した水城とは,どちらが防御しやすかったんですか?
【回答】
時代によって変わる.
鎌倉時代では城と呼べるものはあまりない(小規模な防御施設はあった)
南北朝の頃から山城が多数作られる.
戦国時代初期には,山に堀切や土塁を設けて強固な山城にした.
石垣などの技術が進むと,領地運営などの点から平山城,平城が主流となった.
一般に防御という点では山城が高い.
だが山城は面積を取れないので多数の兵を置くには向かず,領地全体の防衛を考えると,平地から離れた山地にある山城は不利.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
蛸壺陣地って何?
【回答】
戦地で応急的に行われる陣地構築の一種で,大人一人が身を屈めて収まる程度の,直径60cm深さ1mほどの縦穴の壕です.
歩兵にとって最大の脅威である砲爆撃の破片から身を守るために作られ、待ち伏せ攻撃にも適します。
もちろん直撃を防げるものではありませんし、移動もままなりません。
【参考ページ】
http://www.kcnet.ne.jp/~kubota/irawaji1.htm
http://burari2161.fc2web.com/kaitei8daitai.html
http://www.geocities.jp/gogoimako3/1syou/4-1.html
http://www.gel.civil.nagasaki-u.ac.jp/J/education/chika-kadai/h19kadai/7.report%5B1%5D.pdf(PDF)
http://www.bekkoame.ne.jp/~bandaru/deta02p2.htm
【ぐんじさんぎょう】,2008/12/1 22:49
(唯野 in mixi,2008年12月01日 04:27により改稿)
▼ 蛸壺陣地とは, 戦闘が始めるまでに自分であらかじめ掘っておく,自分の墓あな.
まあ冗談はさておき,歩兵の特徴である,「地形に隠れる」っつうのの代表ですね.
平原なんかだと,何にもない時の1割程度に死傷率が減る筈.
へち in mixi,2008年12月03日 20:47
▲
【質問】
鉄条網って何でしょうか?
今まで鉄条網=有刺鉄線だとばかり思っていたのですが違いますか?
機能(役割)と一緒に解説してください.
【回答】
てつじょう‐もう【鉄条網】
敵などの通過を阻止するために設ける有刺鉄線を幾重にも張りまわした柵.電流を通ずることもある.「―を張り巡らす」
ゆうし‐てっせん【有刺鉄線】
撚ヨり合せた針金に,短く鋭く切った針金のとげをつけたもの.
19世紀後半にアメリカ西部で初めて考案・生産された.茨線バラセン.
鉄条網の類は,砲撃に強い爆風が抜けるので,攻撃準備射撃などにも耐え,障害物として機能する.
なお,有刺鉄線はbarbed wireと言うが,軍用障害としての鉄条網も,通称としてはbarbed wireのほうがよく使われている.
【質問】
普通の有刺鉄線(バーブ・鉄条網)って,線状になっていますが,軍が登場する映画では,有刺鉄線がスパイラル状になったものが使用されています.
(映画「アウトブレイク」の立入禁止区域を作っているもの)
この名称(俗称でも可)知っている方,教えていただけますか?
【回答】
詳しくないですが,ああいったタイプも同様にBaeb/Barbed
Wireと呼ばれるみたいです.
というのも,ああいったタイプが向こうでは民間用に市販してたので.
(ブランド名はいろいろ有るでしょうが,こおnタイプでスネイクなんとかというのがあったような記憶が)
米は鉄条網の元祖の国です.
開拓時代,最初に特許取った人は大金持ちになり,農業,牧畜,戦争でバカスカ使われ,いろんなタイプがでましたので.
なんか,針というより刃が付いているが多いです(スパイラル状のも,アウトブレイクはまだ見ていませんが)
あまり答えになっていませんが.
国内ではフツー?のしか売ってませんね,
イナカのホームセンターでも.
自衛隊でもフツーのやつ使ってます.
キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板,2002/10/20
青文字:加筆改修部分
▼Concertina wire
だそうです.
ひな in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年03月23日 00:22
▲
▼ 日本語では「蛇腹鉄条網」,又は略して「蛇腹」と呼ばれているかと.
通常の鉄条網と違い,スパイラル状になったものを広げるだけで設置できるので,応急的な陣地構築,道路閉塞などに使われます.
ただ,設置が簡単なだけに,敵が無効化するのも比較的簡単なので,余裕があれば他の障害も追加して,強化します.
こちらは,「蛇腹鉄条網」の通販ページ.
また,防衛省の行政事業レビューシート
http://www.mod.go.jp/j/approach/others/service/kanshi_koritsu/pdf/review/sheet/0171.pdf
にも,「蛇腹鉄条網」の文字が見えます.
(最初のページの"予算事業名")
通りすがり in FAQ BBS,2013/11/10(日) 22:50
青文字:加筆改修部分
▲
▼ 関係ない補足:
回答本文中に出てくる,普通で無いやつはレザーワイヤというかと.
(西洋カミソリからきたようです)
検索すると,通販直訳サイト?ではレーザーワイヤとなってますね
http://www.alibaba.co.jp/pdetail-free/6061342.htm
bugaisha in FAQ BBS,2013/11/24(日)
▲
▼ 補足というか,参考になるかもしれないものを見つけました.
『図解ミリタリーアイテム』(新紀元社)の208ページ,『No.098 鉄条網にもいろんなタイプがある?』(原文ママ)
で,
『リボン状の金属刃を用いるものはレイザーワイヤー」「レイザーエッジ」と呼ばれ,有刺鉄線のように“トゲで突き刺す”のではなく,刃で切り裂くことを目的としていた.
このタイプのものは,第一次世界大戦の頃から使われており,一般的な有刺鉄線よりも対人効果が高いものの,材質にステンレスなどを使用しているため,コスト的には割高となった.』(原文ママ.文内の“”と「」も原文のママです)
次の209ページに,
『第二次世界大戦で用いられた有刺鉄線』(原文ママ)
というキャプションの下に,イラストと簡単な解説で,レイザーワイヤーを含めた各種の有刺鉄線について書かれています.
それに付随して,
『※素材などはともかく,形状的には現在の有刺鉄線も当時のものと大差ない.』(原文ママ)
とあります.
戸R in FAQ BBS,2014/2/25(火) 13:14
▲
【質問】
ヨーロッパでは何で,土塁や石垣の防壁の発達が遅れたんでしょうか?
石積みの城壁より,投石器に対して防御力が高いのなら,作られていてもおかしくなかったと思うのですが.
【回答】
ヴォーバン式の城郭のような防壁ってのは作るのに金が掛かる.
事実,要塞建築で財政が傾いてフランス革命の一因になってるし.
ヨーロッパじゃ総構えの城郭都市が基本だから,都市丸ごと包む防塁+堀ってのはなおの事金が掛かる.
日本だって総構えの江戸城や名古屋城は,天下普請の一大事業だっただろ.
中世とか生産力の弱かった頃じゃ,ポンポン作れないよ.
それと,中世の城(都市)の城壁ってのは,防御施設であると同時に防犯施設なんだ.
壁向こうのド貧民と中の富裕層,支配者層をを分けて,不逞の輩が入り込まないようにする為の.
防御力重視で低く,厚く作ると犯罪者が侵入しやすくなってしまう.
パリの城壁の発達の歴史とか見てると,その辺がよく分かる.
だから,城壁には厚み以外にも高さも必要となる.
最終的には市街拡張の邪魔だから,20世紀には大抵の都市で撤去されて,環状線の道路とかになってる.
軍事板,2009/06/28(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
宗谷海峡に海底トンネルという計画がロシアであるそうです.
軍隊を長大海底トンネルで送り込むというのは,現実的なことなのでしょうか?
【回答】
いわゆる狭隘な地形の極みだな.
出口で待ち伏せされたらどうにもならん.
普通の指揮官なら絶対に通りたくない場所だ.
国内での部隊移動ならばともかく,他国への侵攻に海底トンネルというのは特に序盤戦では考えにくい.
もちろん侵攻初期において,管理施設の争奪戦は起こるだろうし,トンネルが無事なら輸送に使われるだろうが,いつ涌水で水没するかもしれんトンネルなぞ,主補給路には使えないだろ.
軍事板
青文字:加筆改修部分
つまり,出口側を占領して安全を確保してからじゃないと使用不可.
日本に侵攻する場合は結局船で来ることになる.
当然,自衛隊側もトンネルのような節点は重点防御するわけで,本格的な上陸作戦になる.
首尾よくトンネルを確保したら,もちろん補給連絡に利用するだろうが,メインは船だろう.
陸上輸送はコストがとかく高い.
日本列島の主要島は橋やトンネルでつながってるにも関わらず,海運は廃れてない.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
要塞(ようさい)って何?
【回答】
要塞とは,重要な場所を守るために作られた施設です.
軍事・交通・産業の面で大事な場所に作られます.
そこを守るための兵隊や,守るための様々な装備(砲台,機関銃座,塹壕,鉄条網などなど)や施設(医療施設,兵員室,武器弾薬庫などなど)があります.
ちなみに第2次大戦時,日本本土にも要塞が幾つもありましたが,全く戦局に寄与することはなく,現在では戦争遺跡として朽ちかけています.
下関要塞
faq20j03f.jpg
faq20j03f02.jpg
faq20j03f03.jpg
(ペンギンが飼われている理由は不明)
【質問】
近代的な要塞を中心に,前近代時代の城塞などについて軽く触れていきたいのですが,どんな本がありますでしょうか?
初心者なので,図や写真など視覚に訴える部分など,自分のなかの像が結びやすいのが望ましいのですが……
【回答】
歴史群像グラフィック戦史シリーズ「戦略・戦術・兵器事典」Dヨーロッパ城郭編 (学研)
中世城郭から,ウォーバンを代表とする稜堡式近代要塞までの発達を,図説を多用し解説.
ひさしぶりに検索したら,戦略戦術兵器事典シリーズ,Amazonで安くなってるなぁ.
抜粋合本版が出たからでしょうか?
つられて欧州編2冊も安くなってるので,チャンスかも.
Lans ◆xHvvunznRc : 軍事板,2011/10/04(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
現代戦では地下要塞は,どれぐらい有用なのでしょうか?
地中貫通爆弾や核兵器でもダメージを与えられないほど,地下に(陸上/航空兵力を含む)軍事施設を作れば,防衛戦ではかなり粘れますか?
【回答】
マジノ線の例を出せば,とうの昔に回答が出てる問題ではないですかね.
もちろん対爆性に富んだ掩体施設があれば,それぞれの拠点の防御には有利なことには間違いないです.
しかし破壊できなくとも,無能化する方法はいくらでもあるでしょう.
迂回する余地がある限り,機動的な戦力が外になければ,要塞は迂回されるだけです.
連続性の高い要塞線でも,1箇所から数箇所に火力を集中して,中の戦力が出れないうちに迂回してしまうこともできるでしょう.
周辺の地形にもよりますが.
機動戦力を内包していたとしても,出入り口を塞がれたらお終いですし,要塞が包囲されてしまってもどうしようもなくなってしまいますね.
むしろ要塞一箇所に,空軍も,機甲部隊も……本来,機動性が大切という部隊……を集中させることで,逆に効率的に包囲されてしまうこともあり得ます.
単独ではなく,外にいる戦力との組織的連携が重要ということです.
確かにアメリカの場合,NORADが岩山の地下にあったりするので,核による打撃に堪えるという意味では,地下のほうが優れているといえるでしょう.
ただし,地下の核戦争司令部と通信拠点が戦力として意味を持つには,潜水艦や滞空している爆撃機が生き延びていることが条件となります.
Uボートならばバンカーとかはありますし,大陸中国の人民解放軍の潜水艦基地には,山をくりぬくようにして水路を設けてあるものがあるとも聞きます.
北朝鮮では 車両,航空機,砲などを山裾などに強化した横穴壕を掘り,隠すというのは行われているようです.
ただし,部隊のどの程度が山塊の下に立て篭もっているかは,知識が浅くて分かりませぬ.
軍事板,2007/09/28(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
現代戦では,硫黄島の戦いで見られたような大規模地下要塞に,どう対処するのでしょう?
【回答】
沖縄や硫黄島の場合だと,入り口を見つけては射撃で制圧し,戦車が近づいて火炎放射.
工兵が爆薬で入り口を爆破して封鎖.
或いは上からガソリンを流し込んで点火.
ベトナムの場合だと催涙ガスを流し込んで制圧し,内部の人員を地上に追い出す.
その後,通風機で強制換気して内部を捜索,情報資料を回収した後,可燃性ガスを流し込んでC4爆薬を仕掛けて爆破.
つまり,地上部隊を現地まで出して丁寧に潰していた.
湾岸戦争では,1980年代に強化コンクリと鋼鉄ドアで作られたイラク空軍の航空機防護シェルターは,1t航空爆弾で破壊されている.
ちなみに中国の海南島には,海辺の山を刳り貫いた潜水艦基地があり,アメリカのコロラド州にはシャイアン山の下にNORADがある.
後者は要塞というより,大深度指揮施設とでもいうべきものですが.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
地下要塞は,兵力秘匿の上では有効ですか?
【回答】
そういう秘匿性は,「ずっと基地の中に篭ってる」のが前提の戦力なら確かに有効だけど,機動する部隊・戦力の駐屯基地としては,あまり意味を成さない.
爆撃に対する防御力はある程度,あるが…
そして,それらは「守り」に回るときは強いが,攻める,地下基地から出る必要があるという時は,逆に枷になる.
敵地へ進攻する時なんかは特に,「準備万端防御を整えた地下要塞」は味方の領域にしかないわけで,そこを出て,敵地深くに進攻するときは,地上の露天基地に拠点を移動しなきゃならない場合が出てくる.
そして,外に出ているときに「戦力」が破壊されてしまえば,残るのはカラッポの要塞のみ.
だから,最初から拠点を移動する事を前提にしている軍隊では,大規模な地下基地なんてのは建造しない.
戦力が駐屯してなくて活用しないときには,無駄に維持費だけ掛かるしね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
地下基地などそれほど有効ではないそうですが,それは日本本土のようなある程度機動ができる場所の話ですよね?
例えば対馬などの後方支援を前提とし,ある程度の兵員しか配置していない島で,援軍を待つ間の敵軍遅延の為のためには有効なのではと思うのですが……どうなのでしょうか?
【回答】
優れた計画に沿った地下基地は,非常に強力な威力を発揮する場合があります.
仰る通り,離島での遅滞を求める場合は硫黄島の先例をみても分かる通り,綿密かつ徹底的な作戦計画を厳守すれば,敵に与える損害は計り知れません.
また,もう一つ,地下基地には空爆に対する抵抗力というのもあります.
お隣,北朝鮮ではコソボ空爆の戦訓を元に,重要施設のかなりを地下化しているといわれています.
その形態は鉱山の再利用から,新たな掘削までさまざまだといわれていますが,なんにせよそれらの航空爆弾に対する抵抗力,及び上空からの偵察に対する秘匿性は一定以上の意味があります.
が,だからといって穴にこもっているだけで勝てる訳でもないのですが.
永久築城の意義ってのは,全くの無意味とは言わないまでも非常に有効かと言われると・・・・という所.
いくら堅固な陣地を作ったところで,迂回されたりしては意味がありません.
質問の場合ですと,例えば敵軍が対馬を狙わずに九州を攻撃してきたとしたら,対馬への投資がかなり無駄になってしまいます.
少なくとも費用対効果的には,疑問符が付くのではないかと思います.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
ゲーム「Call of Duty 4」のAC-130のミッションの動画を見ての質問です.
http://jp.youtube.com/watch?v=iQhjaCgAS80&feature=related
4:30のあたりで,友軍はフラッシュみたいにちかちかしていて,識別できるようになっているんだけど,実戦でもこのような装備を兵士はしているんでしょうか?
映画の「ブラックホークダウン」では,夜間の攻撃目標のマーキングにフラッシュビーコンを,
敵がいる所に投げ込むというのがあったけど.
【回答】
位置を明示するために赤外ストロボを使用する,ってのはある.
ただ個人個人が装備してるんじゃなくて,特定の場所に置いて
「この周り100mは味方」
とか,
「赤外ストロボ二つの間にランディングゾーンがある」
とか指示する.
ちなみに赤外ストロボでは知らないが,ベトナム戦争時,味方のヘリを誘導するためにスモークを焚くと,包囲してるベトナム軍もスモークを焚いて,自軍の対空砲火に米軍ヘリを誘い込もうとすることがよくあった.
で,色付きスモークを使ったり,二色並べて焚いたり,とかいろいろな対策が取られた.
赤外ストロボも,発光頻度とかパターンが変えられるのがあったはず.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼http://uk.youtube.com/watch?v=bOZL3uKwY5c
この動画の28秒くらいから,兵士の後頭部に点滅してるものがある.
他の兵士が映らないので,全員が装備するものかは分からないが,そのような個人装備は存在するようだ.
以下のようなものを装備しているのかもしれない.
INOVA LEDライト
http://www.special-warfare.net/data_base/310_field_gear/light_inova_strobo_01.html
VIPシグナルライト
http://www.special-warfare.net/data_base/310_field_gear/light_vip_01.html
MS-2000ストロボライト
http://www.special-warfare.net/data_base/310_field_gear/ms_2000.html
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▼ 地上戦に関するヘルメットライトの表現ですが,現在は
http://www.tactical-store.com/ts-sq-fl-swcompact-dffaf.html
http://www.surefire.com/Helmet-Light
のような,IFF用IRビーコンを備えたヘルメットライトが多数普及しています.
これらは一部機種を除いて,米国外への発送が禁止され,ライトマニアは泣いてます.
持ってますけど.
faq110922hl.jpg
(こちらより引用)
中田淳 by mailform,2011/09/22 05:00
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