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兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【Link】


 【質問】
 大砲とかで○○ミリ砲ってあるけど,ミリが意味しているのはなんですか?
 弾丸とかじゃないよね?

 【回答】
 口径です.
 砲の内側の直径のことです.
 120ミリ砲といえば,その砲の内側の直径が120ミリです.
 当然,砲弾の直径もそれ以下に作らないといけません.
 一般的な大砲は,内側にライフリングという螺旋状の溝があって,その溝に砲弾を食い込ませて回転を与えるので,砲弾の大きさは「口径をわずかに下回る程度」です.

 また拳銃や機関銃などで「9ミリ」「12.7ミリ」というのも口径です.

口径に関するまとめ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E5%BE%84

軍事板
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 【質問】
 大砲の口径を大きくするのに,えらく苦労しているのはなぜですか?

 【回答】
 「口径」には砲身内径と口径比(砲身長÷砲身内径)の2つの意味がある.
 どちらを大きくしても,大きさに応じたより大量の装薬(発射に使う火薬)の爆圧に耐える,頑丈な砲身を作る必要がある.
 単純に砲身を肉厚にすれば,砲自身の重みや発射時の温度変化などで砲身が歪み,性能低下や事故に繋がる.
 重量等の制約のなかで強度を実現するところに,大砲作りの難しさがあり,大砲の進歩が冶金学の進歩に追従してきたのもそのため.

 また極端な例外として,桁外れに口径比の大きい大砲を作る試みとして,多薬室砲(ムカデ砲)というものもある.
 こちらは発射薬の点火制御等,冶金学以外の技術的ハードルがある.

軍事板
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 【質問】
 世界最大射程,もしくは世界最大口径の砲って何でしょう?

 【回答】
 湾岸戦争時にイラクで開発されていた通称「スーパーガン」は,かつてドイツで開発された多薬室砲の理論を応用したもので,バグダット北方のジャバル・ハムリンに設置された実物は砲身全長50m,口径350mmで最大射程は実に700kmといわれました.
 イラクではさらに,口径1mの超大型のスーパーガンを制作していたとされます.

 ちなみにドイツの多薬室砲とは,砲身の左右に多数の薬室をくっつけ,発射された弾丸を薬室を順番に点火することで弾丸を加速して高初速を得ようという物で,カレー付近に設置された一号砲は砲身長150mで射程300kmを狙いましたが,テスト段階で連合軍の爆撃により使用不可能になりました.

 実戦に用いられたものでは,同じくWW2時のドイツで28cmK5(E)列車砲の内筒を削って口径31cmの滑腔砲として,ペーネミュンデ矢弾と呼ばれた翼安定装置を持つ長距離弾を使用可能にしたK5グラトが射程151Kmを達成し,終戦直前にボン近郊に布陣した2門がマースリヒトを砲撃しています.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/01/18
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 世界最大口径の砲はこちら.
http://homepage2.nifty.com/hashim/russia/m/kremlin08.htm

軍事板,2005/01/18
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 【質問】
 一般に砲に於いて,長砲身と短砲身のメリット・デメリットを教えてください.
 長砲身は有効射程,初速,命中率の増加などと認識しておりますが,短砲身のメリットは,製造コストと時間が少なくて済むくらいしか思いつきません.
 短砲身にも戦術的なメリットがあるのでしょうか?
 また,あったとしたらなぜ廃れたのでしょうか?

曳光弾フェチ ◆slJfQfG2uc in 軍事板
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 【回答】
 長砲身の理由は,つまるところ「砲身内の圧力を上げる」ことにある.
 炸薬が燃焼ガスになって砲弾を加速するとき,砲身を伸ばすと理論上は,弾速が上がって長射程になったり高初速になる.

 しかし,小林源文先生の「武器と爆薬」を読んでみてもらいたいんだが,長砲身にすれば即ち初速が上がったり射程が延びたりするわけではない.
 むしろ,内部の摩擦で威力が下がる.
 火薬の燃焼速度を上手く調節しないと,長砲身は全くの無意味,どころかマイナスになり,火薬の調合には高度な化学技術が必要.
 つまり,化学技術の無い国は長砲身の砲を採用したくても出来ない.

 短砲身には低腔圧で,比較的大口径の砲弾を飛ばせるってメリットがある.
 昔の技術では高腔圧に耐えられる榴弾がなかったから,榴弾を放つには低圧単砲身砲である必要があった.
 許容される重量が同じであれば,短砲身のほうが口径(直径)が大きくなり,砲弾重量も(そして威力も)大きくなる.

 そして,砲身内の圧力を上げなくとも目的を達することができるのであれば,必要以上に砲身は長くならない.
 例えば,迫撃砲は砲弾を所定の距離まで曲射できればいいので,その砲身は薄く,短く,軽い.
 結果として歩兵が分解して運ぶことができる.安い,という利点と組み合わせれば,数を用意できる,
 歩兵が行けるところならどこにでも沸いて出るという戦術的なメリットになる.

 二次大戦のドイツの突撃砲やチハの初期型の砲が短砲身なのは,歩兵を支援するための砲においては初速が必要とされなかったという理由もある.
 歩兵が相手する陣地,装甲化されていない牽引砲,歩兵そのもの砲弾のサイズ,仕込んだ火薬の破壊力が問題なので.

 技術の進歩で高腔圧に耐えられる榴弾が開発されたのと,砲戦の射程の延長で廃れた.
 臼砲は第二次大戦まで生き残ったが.

軍事板
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 【質問】
 なんで現代の野砲や自走砲はライフル砲なんでしょうか?
 確かドイツ軍が大戦で使ったサボ付きの滑腔砲がかなりの長射程だったと聞きましたが,何でどこの国も使ってないのでしょうか?

 【回答】
 サボ着けたらその分,弾体が小さくなって威力が減るやん.

 野砲や自走砲の砲弾は概ね榴弾です.榴弾の威力は弾頭の大きさで決まります.
 滑腔砲の場合はフィンが付くので,必然的に砲口径より一回り小さい弾を撃ち出す事になってしまいます.
 その為,現代の155mm榴弾と同威力の弾を撃ち出したいと仮定すると,更に一回り大きい砲を用意する必要があります.
 あまり大きい口径の砲は運用に難があるので運用するメリットは薄いでしょう.

 そもそも,高初速を必要としない曲射榴弾砲では滑腔砲のメリットが得られないし,安定翼で直進性能を確保する滑腔砲弾は,飛翔時間が長い曲射榴弾砲では風の影響を受けやすく,誤差が非常に大きくなる.
 なので野砲や自走砲には向いてない.

 野砲に滑腔砲が見られないのは弾道を安定させる手段として回転させる方が最も効率が良いからです.
 戦車砲のようなサボ付き砲弾に見られるフィンを使った空力制御はあくまでも次善の策です.
 現代ならロケットアシストやベースブリードで距離を稼げるので,そのようなゲテモノ砲は不要でしょう.


 【質問】
 ステレオ式照準器ってのは,左視野と右視野を広くとって,両方の画像が合った時に,三角関数的に距離を測定できて命中率が向上する,という理解でよろしいのでしょうか?

 【回答】
 測距儀(ステレオスコープ)で二重画像合致式と言って,正確な距離がわかります.
 距離がわかれば射撃角は最初からありますので,その角度にすればOKです.
 距離と角度は高射においての,敵機の高度が出ます.

 測距儀(ステレオスコープ)は戦艦大和とか,当時の一般的な距離測定装置です.

一等自営業 ◆JYO8gZHKO. in 軍事板,2002/11/23
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>測距儀(ステレオスコープ)で二重画像合致式と言って,正確な距離がわかります.

 ステレオ式と合致式はどちらも三角測量の原理で距離を測る測距儀ですが,最終的な像の合わせ方が違い,質問も引用した回答も不十分な内容です.

 合致式は接眼部は単眼で,測距プリズムを移動させて,左右窓から入った画像を上下で合致させて距離を読み取ります.
 速度が遅く,直線的な部分がある目標に適しています.
 以下引用.

――――――
「PC Watch」◆エプソン R-D1のレンジファインダーとマウント規格

 二重像合致式距離計は,もともと軍事用に開発されたもので,主に砲弾を発射する際に標的までの距離を測るために利用された.
 後になってこれがカメラに応用され,まず始めに小型の単独距離計が登場.
 次いでカメラに組み込まれ,レンジファインダーカメラが誕生した.
 二重像合致式距離計は,2つの窓でとらえた映像を1つのアイピースで覗き,二重像を重ね合わすことでピントを合わせる.
 ライカのレンジファインダーは,レンズのピントリングを回すとボディ側のコロが押され,これに連動して距離計のプリズムが作動するようになっている.
 ピントが合っていない状態.
 像が二重になっている.
 ピントが合った状態.
 像が完全に重なっている.
――――――

 ステレオ式は接眼部が双眼で,目標物を立体視して距離を測定します.
 速度が速く,境界が不明瞭な目標に適しています.
 以下引用.

――――――
「企画室S&S」◆EXPLANATION

立体視式(ステレオ式)
双眼(左右の眼)を同時に使い立体視で測距するもので以下のものがありま
す.
 標式    =視界内表示された距離標と「目標の浮き上がり」で測距する
          もので簡易な固定標式(不採用)と遊標式があり所謂ステレ
          オ式高角測距儀と呼ばれているものです.
 分像式   =視界の上下に左右それぞれの画像を表示し合致させ測距す
          るものできわめて初期に国産された正像式と大和,武蔵の
          15mや島風の3m倒像式があります.
――――――

BMP in FAQ BBS,2010/11/12(金)
青文字:加筆改修部分

WW2ドイツ軍1mステレオ式測距儀のレティクル・パターン
こちらより引用)

 【参考ページ】
二重像合致式関連;
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0329/rf.htm
http://plusd.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0407/26/news005.html
http://tetk.seesaa.net/article/82869552.html
立体視式(ステレオ式)関連;
http://www22.ocn.ne.jp/~seasky/information/exp/index.html
http://blogs.yahoo.co.jp/i1hito/662314.html
http://blogs.yahoo.co.jp/i1hito/32498258.html


 【質問】
 砲の射程は今後,さらに伸びる余地はあるのでしょうか?

 【回答】
 これからという話であれば,155mmAGSから打ち出す誘導砲弾,ERGMの射程185km(150km説も)が目下の注目株です.ロケット推進砲弾ですが.
http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams04/zumwalt.html

 基本的に,「大砲」という兵器システムが進化する余地は今後もあるが,弾道ミサイルが存在する現在では射程を延々と延ばしていくことにはあまり意味がないので,精度が向上する割には射程は伸ば無いものになると思われる.
 しかし,アメリカは高価なミサイルにかわって超長距離射撃の出来る砲を開発して軍艦に載せようとしているし,おそらく人類が地上で戦いつづける限り火砲の進化は続くだろう.


 【質問】
 「大砲と装甲の研究」を見てみると,砲弾の有効範囲において,同口径の砲ならばWWU時(日独も)と現在に大きな変化はありません.
 VTを使えば砲弾の有効範囲がかなり大きくなると(2倍?)読んだことがあるのですが,これは正しくないのでしょうか?

 【回答】
 単純に砲弾が炸裂した時の破片の及ぶ範囲であれば,空中で炸裂した方が広くなりますね.
 しかし有効効果範囲となると,対象物に被害を及ぼす範囲となりますので,その対象物が何であるか(軟装甲か,掩体か,掩体内であるか)によって変わります.
 必ずしも,広く破片が飛ぶのが強力だと言うワケではありません.

 VT信管の砲弾は,掩体外の地上に露出している軟装甲に対して有効です.
 掩体や掩体内であれば,瞬発信管や時限信管でなければ被害を及ぼす事はできません.

 榴弾はそもそもハード目標直撃破壊の兵器ではなく,断片散布で確率破壊/殺傷目的.
 着発信管は実際の弾片散布まで時間遅れがあるのでクレーターの中にかなりの破片をムダにばらまき,このため瞬発信管という工夫が生じ,デイジーカッターという呼称の元祖となりました.
 それでもジャンピング・ベティーだっけ,飛び上がり起爆対人地雷を見てわかるとおり,そこそこの高さで起爆する方が,破片による殺傷(そして爆弾も砲弾も破片による殺傷がメイン)範囲は広くなります.
 で,近接信管による空中爆発となり,さらにはそこで破片の替わりに子弾を散布して,さらに広範囲に破片をばらまく〜直撃したら軽装甲も撃破,と進化したわけです.


 【質問】
 砲の射撃時の後進機構なのですが,あれで反動を十分に減らせるのでしょうか?
 あと,砲(身)が後進したら初速が下がって意味が無いと思うのですが.

 【回答】
 砲の後座による初速減少は無視できます.

 『火器弾薬技術ハンドブック』においても,砲の後座は砲身中心軸と後座体重心不一致に基づく,砲身の回転モーメント(跳起)の原因として挙げられているだけであり,初速等の計算式には一切登場していません.

 実際,後座速度を計算すると(120mm戦車砲の場合),最大でも10m/secに至らず,砲弾の速度(1150m/sec)に比べると無視できるといって差し支えないでしょう.

 この動画で分かるように,反動を減らしつつ,砲全体が地面に勢いを伝えて,次の弾込めができる状態に復帰させています.

軍事板
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 【質問】
>10m/sec

 その程度の後退で何故,十分に反動を抑えられるのでしょうか?
(逆に言えばその程度なら,後退しなくても十分反動を抑える事も可能だと思うのですが)

 【回答】
 後座機能だけで反動を押さえ込んでる訳じゃないから.
 戦車ならその重厚な自重,野砲なら駐鋤とかがあるし.

 反動エネルギーは駐退機のピストン機構の動作の際に,摩擦やシリンダ内の液体を圧縮することで発生する熱エネルギーに変換されてる.
 その為,連射する時は砲身だけでなく駐退機の温度にも注意する必要がある.

 ちなみに「反動を抑える」というのは,反動をゼロにすることではなく,反動を長い時間に分散させることによって,各部に生ずる加速度を小さくし,負担を減らすことを意味します.

 先に述べた120mm戦車砲の場合,後座がはじまってから後座速度がゼロになるまで,0.1秒弱かかります.
 対するに,砲弾が砲口から撃ち出されるまでの時間はミリ秒単位であり,上記の場合は0.01秒程度です.
 すなわち,後座を行うことによって同じ反動を,10倍に言わば薄めて受けることが可能になっているわけです.

 ロシアのアサルトライフルにも同様の発想を取り入れて,2発連射時の命中率を上げているものがあります.

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 【質問】
 「自緊砲」ってなんですか?

 【回答】
 自緊処理(自己緊縛:autofrettage)を施した砲身の事.

 製造工程中で,水圧などを利用して,砲身内面に弾性限度以上になるような高い内圧を加えると,内圧をのぞいた後も変形は元に戻らず,砲身内層には圧縮応力,外層には引っ張り応力が残留し,砲身内層が外層によって緊縛された状態になる.

 この処理によって,砲身の強度が無自緊の場合に比べて格段に向上し,20〜60%以上の 腔圧に耐えられるようになる.
 逆に,その分砲身を肉薄,軽量にする事も出来る.
 同時に,内層に残留した圧縮応力は,亀裂の進展も抑制するので,砲身寿命も延びる.

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 【質問】
 大砲の砲口に付いているマズル・ブレーキって何のためにあるの?
 ブレーキの役目をしているとは思えない.

 【回答】
 マズルブレーキは,ガスがマズルブレーキという抵抗を介して砲身を前に引っ張るのが基本的な作動原理です.
 砲弾の発射反動は消しようがありませんが,発射ガスの分は利用できるわけで,これによって砲身の後退量/駐退機への負担を減らす事ができるわけです.(HN "System")


 【質問】
 「マズル・コンペンセイター」と「マズル・ブレーキ」の違いを教えて下さい.
 どちらも反動抑制が目的な気がするのですが,口径で言い方を使い分けているのでしょうか?

 【回答】
 「マズル・コンペンセイター」は「銃口(砲口)制御装置」の意.
 「マズル・ブレーキ」は「砲口制退器」の意.
 マズル・ブレーキは,コンペンセイターのうちの一つ.

 コンペンセイターには,銃口の発射ガスの吹く方向を限定して銃口の跳ね上がりを防いだり,発射ガスを後方やや斜めに吹きつけて反動を軽減したり(これがマズル・ブレーキ),と,様々な作動種類のものがある.
 砲口で発射ガスの吹く方向を偏向させて反動を軽減するコンペンセイターを,特にマズル・ブレーキと呼ぶ.

 で,反動制御は大口径の砲でも重要だが,反動による砲口の跳ね上がりや銃口のブレ,といったものは,重い砲架や車体(砲塔)に据え付けられた大口径砲ではあまり問題にならない.
 人間が手で保持する銃,特にハンドガンでだけ(だけってこともないが・・・),それらの跳ね上がりやブレが問題になる.

 なので,「マズル・ブレーキ」は大口径の砲にもついているが,マズル・ブレーキ以外の「コンペンセイター」がついているのは,基本的には拳銃に限られる.
 銃器のコンペンセイターは,元々は散弾銃などの反動を軽減する為に銃口に取り付けるアタッチメントとして発明された物 で,カッツ・コンペンセイターが正式名称.


 【質問】
 現代の野砲は射程が凄く長いから,ライフルの回転で変化球並みに曲がるって聞いたんですが,これでちゃんと当たるんでしょうか?

 【回答】
 面制圧兵器だから,想定された散布界内に入るかと言うならイエス.
 どんだけ曲がるかは,射撃諸元の中にちゃんと入ってる.

 ただ,砲身は砲弾に削られてどんどん磨耗していくので,常に諸元通りとは限らない.
 その辺は修正射で直していく.

 因みにピンポイントに当てると言うのなら,流石に無理だぜ.
 ▼砲弾にも誘導装置をつけて精密射撃が出来るような研究は進んでいるが,実用化はまだしてないな.
 砲弾にも誘導装置をつけて精密射撃が出来るような研究は進んでいるが,実用化されているものは,カパーヘッドや迫用になるがマーリン等くらいしかなく,マーリンにいたっては「高価くつき過ぎる」という理由で,ほとんど普及していない.

 それでもWW2当時のものよりは,命中率において格段に進歩してはいるらしい.

軍事板
部外者 in FAQ BBS,2009年2009年6月4日(木) 22時33分(黄文字部分)
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 【質問】
 榴弾砲の装薬って燃えるのは一瞬で爆発に近いモノだけど,迫撃砲の装薬(?)って数分の何秒――0.2秒くらいだったかな?――で燃えると思ってたんだけど,これって俺の覚え違いですか?

へち ◆kK77XB6/ug in 軍事板,2008/09/27(土)
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 【回答】
 とりあえず発射薬は爆燃,炸薬は爆轟だから,火薬学的にはまったく違うもの.

 具体的な数値はちょっと出てこないが,榴弾砲の装薬も一瞬ではなく遅く燃える.
 これは早く燃えると,砲弾がまだ砲尾から移動していないため,装薬の燃焼ガスが占める体積が小さいので腔圧が高くなりすぎてしまう.
 それほ防ぎ,砲弾が砲口から出るまでに十分加速するよう,装薬の燃焼速度は計算されている.

軍事板,2008/09/27(土)
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 【質問】
 駐退,復座の語の定義を教えてください.

 【回答】
 駐退,って言うのは大砲が発砲して後座したときに,衝撃を吸収して反動を小さくする装置.
 複座というのは後座した大砲が元の位置(発砲準備位置)に戻ること.
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/gun_meca/recoil_runout.htm

 リコイルスプリングは連射砲において,後退した遊底(機構によっては途中まで銃身も一緒)を元に戻す装置.
その際,同時に次弾も装弾する.
 駐退復座器はで,発射の反動で砲全体が後ろに下がるのを制御する仕掛け.

 これらがないと砲を発射するたびに車輪付き砲座ごとコロコロ後ろに下がってしまい,また発射位置まで戻して角度や方向を調整しなければならない.
 帆船時代の艦砲は,滑車とロープと錘で車輪付きの砲をコントロールし,後退する距離を制限すると同時に,素早く元の位置まで復帰させることができた.これが駐退復座器のはじめと言えるでしょう.

 それから進化して,砲座は動かず,その上で砲全体が発射時の反動で後退,復座するようになった.
 滑車とロープの替わりに,油圧シリンダーと空気室と弁などが使用されるようになった.
 外見上動いているのは砲身だけのように見えるが,発射システム全体が砲座の上で後退するのが普通です.
 これによって砲の角度や方向を保ったまま,砲の後退,復座ができるようになった.
 後退させずに反動を受け止めるには大きな質量と頑丈な構造が必要だし,砲の方もそれに叩きつけられるわけだから頑丈にする必要があり,とにかくやたら重くなるので実用的でない.後退させることで加速度を分散し,構造負担を減らすと同時に,発射効率は落とさず,コンパクトな構造に作り上げるのが駐退復座器の目的.

 リコイルスプリングと駐退復座器の違いを象徴的に表しているのが,ロシア精鋭部隊に配備されているアサルトライフル,AN-94アバカンでしょう.
 この銃はガス作動式なので銃身は動かないはずなのに,発射時に銃身が後退します.
 というのも,作動部分全体が銃の中で浮いており,それが発射の反動で後退し,復座してまた発射するからです.
 しかし,5.45×39mmでは反動軽減効果は知れており,ややマイルド,程度だそうです.では複雑になるだけ.
 この機構の最大の目的は2点バースト時にあります.通常は発射するとガス作動で遊底が開放され,排莢され,
 作動部分全体が後端に達して復座スプリングによって戻る間にリコイルスプリングで遊底も前進,次弾装填閉鎖.
 しかし2点バースト時には,後退している間にリコイルスプリングによって次弾が装填され発射され,作動部分が後端に達するまでに2発(1800発/分に相当する速さで)撃つのです.
 この間,作動部分は無反動砲的に宙に浮いているため反動はほとんどなく,慣れた射手は100mでワンホールショットを普通に決めることができます.下手な射手でも二発の命中弾を与えることは容易でしょう.
 つまり,この銃(おそらく駐退複座付きでは最小口径)は駐退複座1回のサイクルで,リコイルスプリングの動作(遊底の後退前進)を2回行うわけです.


 【質問】
 火砲の装薬は,強力であればあるほど良いの?

 【回答】
 爆薬が強力になり過ぎると,弾殻破片が細かくなって貫通力はむしろ落ちる.

 155mm砲弾の破片よりも,105mm砲弾の破片の方が貫通力が高いって話すらある.

http://rkrc5w2q.dyndns.org/cache/army/piza.2ch.net/log/army/kako/960/960374407.html
>105ミリHE榴弾より155ミリHE榴弾のほうが炸薬は倍近く多いのですが,
>激しい爆発のほうが破片はより小さくなり破片の効果は弱くなります

 日露戦争の日本海海戦でも,下瀬火薬は不完全爆発の方が効果が高かったとすら報告されている.

軍事板
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 【質問】
 小銃や拳銃の弾丸は,威力を増す為に弾芯に鉄より重い鉛を詰めているそうですが,同様の考えで大砲の砲弾に鉛を詰めたものは過去存在しなかったのですか?

 【回答】
 あります.
 数多くの鉛弾か鉄弾をブリキ缶に詰めて発車する散弾と,間に枠を入れて纏めた「ぶどう弾」と言う形式の二つがあり,発砲の際,衝撃で容器が割れ,広範囲に弾丸が広がる仕組みになっています.
 大抵の場合,初期は石,その後鋳鉄が使われていますが.

 貫通力を高める目的での使用はありません.
 そもそも,初期の砲は貫通力を高めるくらいの発射速度がありません.
 要塞の壁を破るにも,900mから発射した実体弾は,その城壁を50cm以上破壊することが出来ませんでした.
 また,鉛で砲弾を作ると,その重量は鉄の玉,石の玉よりも重くなります.
 となれば,必然的に大砲は大きく,重くなっていきますし,当時の冶金技術では,大きく,重く砲身を作ってしまうと,クラックが生じて最悪,砲身が破裂する可能性が出てきます.
 それに,砲弾は丸い球形ですし,大きな鉛の玉を作るくらいなら,鉄を鋳た方が安く簡単に作れます.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2006/02/21(火)
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 威力を増すためではなく,単に作りやすいから鉛で砲弾を作るのがデフォルト.
 鋳直して鉄砲玉に作るのも簡単だし.昔は要塞でも砲弾自製が当たり前だったりしたわけで,砲弾は鉄ではなく,鉛が普通だったわけです.
 貫通力のためではなく.

 さらにそれ以前は艦載砲など考えもせず,大砲は地面で運ぶもの.
 現地で弾を調達することを考えるので,石がデフォルト.
 贅沢な軍は鉛を運んだりしたわけですが.

 んでまあ,鉄だと炙って熱して撃ち出すことも可能なので(鉛だと溶ける),それを利用して要塞から撃ち出して木造の帆船にぶち込むと,船は面白いように燃える,と.
 しかも水で濡らした布をパッキン替わりに使うと,点火する必要もなく,布を焼き抜いたら勝手に発火して弾が飛んでいってくれるという自動発射付き.
 そんなのが要塞砲として登場したのは,比較的後期の話になります.

軍事板,2006/02/21(火)
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 【質問】
 野砲の射程を延ばすために使われる「ロケット推進砲弾」は,一体どの時点でロケットに点火されるのですか?
 発射されて砲口から出た瞬間に点火されるのでしょうか? それとも,ある程度飛んで,運動エネルギーが無くなりかけた時に点火されるのでしょうか?
 それと,
 弾頭にロケット推進剤が入っているとしたら,その分砲弾本来の火薬の量が減っていると思うのですが,それは射程距離と引き換えということなのでしょうか?
 それとも,ロケット推進砲弾は,その分通常の砲弾よりも大きいのでしょうか?

 【回答】
 例えばM549/549A1 RA (Rocket Assisted)155mm砲弾の場合,発射と同時に弾尾の導火薬が点火されます.7秒後にこれはロケットの点火薬に達し,13.5kgのロケットモーター内にある3.2kgの推進薬が発火します.これは3秒で焼尽し,その間に砲弾を加速して射程を増します.
 砲弾全重は43kg超と,同じ155mmのM795砲弾の35kgより重いのですが,炸薬量は6.8kg対10.8kgと逆に軽くなっています.その分と,精度の低下が代償ということでしょう.
 その代わりに得られる射程は,M109A1自走砲に第7装薬を使用した場合,M795の15kmがM549では20kmに延伸しています.
 全長はともに86cmですが,信管を含むかどうかについて資料が明らかでないので,ひょっとしたらM549の方が信管の長さ分(1.5cmほど)長い可能性があります.
 ソースはジェーン弾薬年鑑.

(system)

889 :名無し三等兵 :04/02/27 20:27 ID:???
質問ですが,ジェーンの年鑑とか買ってる人って,やはり奥さんからの小遣いとか厳しいんですか?

890 :system :04/02/27 20:46 ID:3cWnNW2Z
しくしく(泣)

891 :名無し三等兵 :04/02/27 20:50 ID:???
>890
…即答ありがとうございます

 【質問】
 砲弾の砲口初速や終末速度は,どうやって計測していたのでしょうか?
 海外のサイトを見ていると,「戦艦大和の主砲弾のStriking Velocityが砲仰角23.2度の場合,475m/sである」等と書かれておるのですが・・・.

 【回答】
 一番ポピュラーな(たぶん)弾速計測法は,コイルに電流を通し,コイルの中を弾を通過させる.
 誘導電流でコイルに流れる電流が変化するから, 2箇所のコイルを通過させれば弾速が求まる.

 日本海軍の場合だけど,電線を細かく張った網を枠にはめたものを二つ用意し, これらを一定距離離して射線上に配置し,網に電流を流す.
 砲弾を発射して網を貫通させ,電流が流れなくなった瞬間をオシログラフで計測して,二地点を通過した時間から速度を求める.
 このやり方だと,砲口を出た瞬間の砲弾の速さを計測することはほぼ無理なので,砲口付近の速度から様々な条件を加味して,計算によって初速を求める.
 多分戦車とかも似たようなやり方だと思う.

 現代の砲の計測では,砲口近くの初速レーダーと,砲の後方に置いた追尾式レーダーで,それぞれ砲口初速と飛行中の速度変化,着速を測定.
 砲口付近のカメラで飛翔姿勢とスピンを計測.
 中間位置のフライトフォロワー(高速度カメラ)で飛翔姿勢,スピンの計測と背景の計測支柱による速度較正.
 これに加えて砲口付近のカメラで,砲口炎および発射煙の生成状況測定.

 というわけで,現在ではレーダー計測がメイン(砲の場合)みたいです.
 HEATなどでは,X線カメラによる貫通体生成状況の測定が加わる.
 破片速度についてはイオン・ギャップや箔的で測定.
 コイルによる弾速測定も行われるが,センサの特性による補正が必要なため,現在では補助的な使用になっているらしい.
 小口径では箔的(2枚の箔を通過する時間)や光学測定(測定器前を弾が通過すると光が遮られる.スカイスクリーンと呼ばれる)も使われることがある.
 現代では連続波弾道レーダーが主流.


 【質問】
 小火器以上の大きな弾,バズーカー砲や戦車の弾なども同じように全て鉛なんでしょうか?
 それとも,爆発物が着いているので命中後,軽快に爆発しているのでしょうか?

 【回答】
 凄く簡単に書きます.
 弾丸が鉛なのは機関銃までです.
 それ以外だと,バズーカはまったく異なる成形炸薬砲弾と言う代物ですし,戦車砲弾はそれこそ炸裂する榴弾や対戦車用に作られた徹甲弾と言う硬い金属でできた弾に成ります.
 APFSDSなどは,炸薬を持たないムクの金属弾(DUやタングステン)を主に用います.
 榴弾と言うのは炸薬を持ち,爆発するようにできていて周囲に被害を与えるものです.

 他にもいろいろな種類の弾がありますが,説明しきれないので
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_var/shell_var.htm
で勉強してください.


 【質問】
 大正生まれの,戦争体験者のお話によると,遠くを飛んで行く遠距離砲弾の音は,ヒューヒューとよく聞こえるが,自分の方向に向かってくる砲弾は音がしない.そのため,飛行機から爆撃されるより怖かった,そうです.
(飛行機は音がするため隠れることができる)
「自分の方向に向かってくる砲弾は音がしない」
となると,砲弾の速度は音速より速いことになりますが,事実はどうなのでしょうか?

 【回答】
 大抵の砲弾は音速超え.
 音速は気温や高度によって異なるが,おおむね秒速350mくらい.
 迫撃砲弾や榴弾砲だとこれより遅い物も多いが,加農砲の弾だとたいてい超音速.
 ドイツ軍式に言うと,「ラッチュ・ブム」(命中音が発射音より先).

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 低圧砲について質問です.
 説明には薬莢と砲弾の間にノズル板を設けて腔圧を下げ,砲身の厚みを薄く出来るとあったんですが,いくら薬莢前面に穴を設けても,装薬が完全に燃焼したら砲身内の圧力はやはり最大になって,結局低圧にはならないような気がするんですが?
 無反動砲のように発射ガスを後方に逃がして反動の低減を図るためのノズルなら原理は理解できるんですが・・・

 【回答】
 装薬はきわめて速く瞬間的に燃焼するから,発生する圧力は普通の砲も低圧砲も基本的に変わりない.
 ただ,普通の砲では,砲弾が動き始めた瞬間が一番圧力が高くなる.
 しかし低圧砲では,発生したガスを少量ずつコントロールしつつ砲身に送り込む.
 つまり,砲弾が前進してゆく後の空間にガスを送り込んでいる感じ.
 だから砲身に掛かる圧力のピークが低くなる.

 そのミソは薬莢にある.
 普通は雷管が発火し,発射薬が燃焼するとガスが砲弾を押しだし,砲弾と薬莢にはさまれた空間,つまり薬莢内と砲身後部のガス圧が上がる.
 この時,薬莢と砲身の間に境を設けて,薬莢と砲身後部を分け,薬莢内の圧が高く,砲身内は低くするのが低圧砲.
 逆に薬莢内の圧力はその分上がるので,薬莢の強度を大きく取る必要がある.
 もちろん薬莢内の高圧ガスも砲身内に出ていくが,その間に砲弾は前進し,空間も拡がっているので,砲身内圧の上昇はそこそこに留まるわけだ.

 車に例えれば,普通の砲は発進と同時にアクセルを一杯に踏み込んで,タイアをきゅきゅっと鳴らしながら出て行く感じ.
 低圧砲だと,アクセルをじわっと踏み込んでスローにスタートする感じ.
 質問は,どちらでもアクセルを最大に踏み込んだときには同じ馬力だからタイアへの負担は同じでは?
と聞いているようなもの.正解はもう分かったろう.


 【質問】
 低圧砲と低反動砲って,どう違うんですか?

 【回答】
 低圧砲は,薬室と砲弾のあいだに低圧室と呼ばれる空間を設け,さらに薬室と低圧室とをノズル板(または絞り)で区切っています.
 発生した燃焼ガスの噴出はノズル板で抑制され,さらに低圧室で拡散されることによって,腔内圧の上昇曲線を緩やかなものになります.
 反動の軽減は副次的なものであり,最大腔圧が小さくなるため砲身を薄く軽量にできること,加速が緩やかになるため強度の弱い砲弾を撃ち出せることなどが本来のメリットです.

 後者は低圧の弾薬を使うとは限らず,駐退器の工夫や砲の後退距離増大などによって,通常弾圧,通常の腔圧を保ったままで反動を抑制する方法も使われます.
 反動の全体量は普通の砲と同じだけど,長い時間に分散することでやわらげるわけです.
 これによって軽量の車両からも,懸架装置などに大きな負担をかけずに発射することができ,動揺を抑えることで射撃の精度,次弾発射までの時間も改善することができます.
 通常弾薬で低反動にする場合には砲身の軽量化はもちろん望めず,駐退器の重量が増したり,後退距離分の空間を取られたりして,低圧砲とは逆に重量,スペースが増えることもあります.

 なお,低反動砲(low recoil force gun)は,駐退器・砲架・マズルブレーキなどの反動処理機構を工夫することで,通常の砲よりも反動を押さえたものを指しますが,無反動砲(recoilless rifle)を指すこともあるようです.

 大砲の種類とメカニズムは,以下のページが詳しいです.
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/gun_type/gun_type.htm


 【質問】
 命数ってなんですか?

 【回答】
 ライフリングがしてある大砲は,撃つ内に内部が磨耗して旋条が削れてくる.
 こうなると当然,狙ったところに飛ばなくなるし,それどころか砲身内でトウハツ事故が起こる可能性も出てくる.
 で,これ以上撃つと当たらないしヤバいな,っていう基準が「砲身命数」.
 つまり,大砲の寿命.

 確か,大和の46cm砲で200発前後,自衛隊の155mmりゅう弾砲で20000発ぐらいだったはず.
 当然ながら,初速が速ければこの数は減るし,砲弾のサイズが大きくても同様.
 これは,火薬を多く使うので,大砲の内側を傷めるため.
 これをしないために,旧軍では装薬の量を少なくして,砲身命数を伸ばすなどの工夫をしていた.

 他に軍用機なんかでも,耐用命数といったりする.

軍事板,2009/07/14(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ロケット花火を高性能化すれば,兵器としてじゅうぶん使えるのでしょうか?

 【回答】
 兵器に必要なのは安定性です.
 決まった威力で決まった距離を飛んでくれないと,兵器としては失格です.
 そして,そのような高性能化は,一般人ではまず不可能です.
 過激派がたまに思い出したように発射する「金属弾」ですら,威力はたかが知れていますので,市井の一般市民にはロケット花火の兵器化などできない相談です.
 だいたい,ロケット花火の火薬を軍用レベルの高性能爆薬に変え,かつ増量すれば,兵器になるかもしれませんが,そうなると,容器をそれに対応したものに変えなきゃなりませんし,弾頭もつけなきゃなりません.
 ……それって新造とどう違うの?

 なお,日本の法律では,許可無く扱える火薬の量が決まってまして(数g程度), それを超える量の火薬などを取り扱うと違法となり,罰せられます.「花火を分解して火薬を取出し,その火薬を混ぜ合わせた量が規定値を超えれば」ブタ箱行きとなりますので注意してください.
 また,火薬類をあまりに大量に運搬したり使用したりするのも規制されている筈です.


 【質問】
 銃弾,砲弾を海とかで水平に撃ったら小石の水切りみたいに跳ねますか?

 【回答】
 銃弾はごく普通に跳弾する.
 コンクリートや鉄板でも跳弾するが,草の生えた砂地のようなものでさえ,ある程度平坦なら角度と銃弾しだいで跳弾する.
 砂のように衝撃を吸収しやすい相手なら反射しにくいが,水は高速度で当たると硬いので,浅い角度なら水切りとなる.

 砲弾も同様だが,浅い角度で水に当たるようなことは生じにくい.
 とはいえ,帆船時代のあの丸い砲丸でさえ,跳弾して命中することが珍しくなかったらしいから,条件を与えれば跳ねるものらしい.
 帆船時代に,射程ぎりぎりの長距離砲撃で跳弾による命中を期待するようなこともあったらしい.

軍事板


 【質問】
 液体装薬って,どういうものなんですか?
 また,現行の装薬に比べて,どのようなメリットがあるのでしょうか?

 【回答】
 液体装薬ですが,文字通り,液体の砲弾発射薬です.
 液体火薬,と思っていただいてよいでしょう.

 現在は固体,というか一種の顆粒状で,扱いと装填,弾道計算を楽にするために,一定量をパッケージにしてあります.
 大砲の射距離を変えるときには,仰角を変えれば良いわけですが,限界がありますし,仰角(=射入角)を変えずに射距離を変えたい場合もあります.

 そのような場合のために,数種類のパッケージを用意し,組み合わせて使うわけですが,手間もかかるし,なにより兵站上の負担になります.
 そこで登場するのが自由に,簡単に,正確に装薬量を調整できる液体装薬,というわけです.

 あと,液体装薬の大きな利点として考えられるのは,発射速度の増大です.
 弾体さえ装填してやれば,装薬を入れる必要がなくなり,自動装弾装置の負担が格段に減ります.
 これに得意の量調整を組み合わせ,仰角も調整すると,続けざまに撃った数発が,さまざまな仰角の弾道をたどって,同じ目標に同時に着弾する,という芸当が可能になります.

 現在の固体装薬でも可能ではありますが,より容易に,より多数を撃ち込むことができるわけです.
 対砲迫レーダーなどによって,砲撃を加えた側が直ちに反撃を受ける現代の戦場では,最初の数分で対処の余裕なく叩き,すぐに移動する必要があるため,単なる芸当ではなく,必要な能力なのです.

 ただ,今のところ砲身を腐食する,均一に燃焼しない,などの問題が多く,10年以内に実戦配備に達するようなレベルのものはありません.
 開発費用,必要性,砲戦の将来の不透明さなどを考えると,このまま話だけで終わってしまう可能性も小さくありませんね.

軍事板,2001/05/17(木)〜05/18(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 水素ガスの発生する速さは,推進薬の燃焼ガスの発生速度よりも速いんでしょうか?(JIN)

 【回答】
 入力する(電気)エネルギにもよりますが,反応速度的には火薬の線燃焼速度の比ではないです.
 爆薬レベルと言って差し支えないです.

 実際,この基礎原理に近い実験用の銃として,2段式軽ガス銃というものがありまして,火薬によって駆動したピストンを用いて軽ガス(He@`H)を断熱圧縮させ(一万気圧とか)てからダイヤフラムで一気に飛翔体を加速させるものです.
 衝撃工学には欠かせない実験銃の一つです.良く"Two-Stage Light Gas Gun"とか"Two-Stage Gas Gun"とか呼ばれています.
=>http://www.islandone.org/LEOBiblio/SPBI108.HTM

 この銃を用いると,一般的な火薬銃の理論的な最大速度である2500m/s よりも遥かに早い10km/s等の速度が実現できます.

 ちなみにいうと,アメリカのLLNLには百m(だったかな?)の砲身長さを持ち,10kgだったら20kgの飛翔体を3km/sまで加速することができるSHARPgun という,私に言わせれば正気の沙汰とは思えない, 凄まじいけどちょっと使ってみたい実験用の銃があります(^_^;).

=>http://www-igpp.llnl.gov/papers/SHARP/guns/

(?in 軍事板)


 【質問】
 銃や大砲は,銃身が長くなると威力が増すと聞いたことがありますがなぜですか?
 単純に摩擦でエネルギーが減って,威力は減りそうな気がするんですが.

 【回答】
 銃や大砲には銃身長と装薬の関係で最大の初速を得られる銃身長あるいは砲身長があります.
 これは銃身と弾体の摩擦,発射ガスの圧力により決まっていて,その値を理論腔長と言います.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s


 【質問】
 本当に初心者丸出しのくだらない質問で申し訳無いんですが,砲身の長い砲の方が貫通力が長いのは,どうしてでしょうか?

 【回答】
 火薬の燃焼ガスに押される時間が長くなり,それだけ多くのエネルギーを受け取れるようになるからです.
 百うんたら口径なんて,化け物じみた口径の大砲もあったそうです.

大渦よりの来訪者 :軍事板,2001/06/07(木)
青文字:加筆改修部分

 火薬ガスを用いて砲身内で砲弾を加速するのですが,ガスの圧力を使い切るまで加速しようとすると,通常の砲身長では足りません.
 逆に,ガスの圧力が残っているから,盛大な発射炎やら発射時爆風が生じるわけです.
 かといって,ちょうどになるように火薬をケチれば,当然加速が足りない.

 というわけで,なるべく砲身長を伸ばして加速期間を稼ぎ,砲口初速を大きくするわけです.
 結果として貫通力,射程が伸びます.

 もちろんでかくなる,重くなるというデメリットがありますし,砲身が自重で垂れてくる,結果として弾道が安定しなくなるという,決定的な問題も生じてきます.
 これをカバーするにはさらに砲身を太くするか,架台を組むか・・・
 まあ,限界があるわけです.

軍事板,2001/06/07(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 かつて,陣地やトーチカの攻撃に使われていた徹甲榴弾ですが,最近の砲弾には使われていないのは何故ですか?
 今は陣地攻撃には榴弾を使うんですか?

 【回答】
 そもそも徹甲榴弾って艦砲か,日本とかドイツが対戦車用に使ったのが主.
 陣地やトーチカは,榴弾を短延期で使ったりしてる.

 戦車だとHEAT-MPが,堅牢な目標に対しても効く上に,榴弾としての効果もある程度持っているので,こいつを使うことが多くなってきた.
 現代の純然たる徹甲弾としてはAPFSDSがある

 歩兵だと対戦車ミサイルを陣地攻撃に使う事例がある.
 もちろん,昔ながらの爆薬なども場合によっては使用する.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ABM弾にはタングステン・ペレットって入ってますよね?
 それと同じような手榴弾やグレネードはないのですか?
35mmのAHEDがあれほどの威力ありますし,40mmでも同じような威力あるものは作れますよね?

 【回答】
 40mmクラスの擲弾なら,近距離用の散弾もあるぞ.
 ようは巨大ショットガンだがな.

 小口径弾薬では基本的に外殻の断片で殺傷力は十分で,逆にいろいろ仕込んでも炸薬量が少ないから,それほど効果が高まらない.

 ABM弾は特殊弾薬だから,タングステンペレット入れてわずかでも効果を高めようという風になるが,人間なんて安い目標相手にやっても割に合わない.
 もっと炸薬量の大きい大口径の火器を使うか,普通の小口径弾薬で弾幕張った方が早い.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 M712カッパーヘッド誘導砲弾って何?

 【回答】
 カッパー・ヘッド誘導砲弾は発射後にフィンが開き,そのフィンを調節することによって目標に誘導される砲弾
 目標へは,レーザー誘導方式で誘導される.

のりしお in 軍事板,2002/03/01 18:27
青文字:加筆改修部分

http://www.adtdl.army.mil/cgi-bin/atdl.dll/fm/6-40/ch13.pdf 〔リンク切れ〕
 これによるとシーカーの検知範囲は高度150mで半径約80m.
 そこからシーカーの検知角は,大体60度と分かります.

曲射太郎 ◆KLjZ1lS2 in 軍事板,2002/04/28 20:10
青文字:加筆改修部分

 開いたフィンが,東洋の妖怪「河童」の頭に見えることから,「カッパーヘッド」と名づけられた(大嘘)

Cpt.hige in mixi,2009年07月02日 23:56

>妖怪砲弾カッパヘッド

 「ゲゲゲの鬼太郎」では,惜しくも登場前に放送打ち切り.

消印所沢 in mixi,2009年07月02日 23:59

 カシオペアのアルバム「Sun Sun」で,プロデューサーのカルロス・アロマーのことを,野呂一生が「カッパ頭」と書いていたのを思い出しました (こら)

井上@Kojii.net in mixi,2009年07月03日 10:27

ちなみに最近の「ゲゲゲの鬼太郎」は,こんな感じであるらしい
(画像掲示板より引用)


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