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◆◆◆白燐弾は大量破壊兵器か?
<◆◆白燐弾
<◆総記 目次
兵器FAQ目次

自衛隊の演習における燐弾一斉射撃
これが本当に大量破壊兵器なら,自衛隊員も観客も無事では済まない筈だが(笑)


 【珍説】
 白燐榴弾を人のいるところに投げているとは,常軌を逸している.火器というよりは化学兵器になってしまう.
 米軍が使っているであろうM-15白燐榴弾は,爆発半径は17メートルあって,燃焼温度は5000度だ.
 身体に付着した破片を取り去ると,空気に触れて自然発火する.
 だから,取り去る前に,怪我をした箇所を水につけなければならない.
 破片はすぐに水にひたさなければならない.

 白燐(黄燐)は酸素の少ない水に触れるとホスフィンを出すが,これがおそろしいガスだ.煙を吸入すれば,「phossy jaw」と呼ばれる症状が起きる.
 口に傷ができるがそれは治ることなく,顎の骨自体が砕けてしまうこともある.
 白燐(黄燐)は少量(小匙1杯未満)摂るだけで,吐き気,嘔吐,肝臓障害,心臓障害,腎臓障害,ひどい眠気をもよおすし,時には死に至ることもある.

白リン弾:米軍がイラクで民間人に使用疑惑

 米国が昨年,イラク中部ファルージャでの武装勢力との攻防の際,民間人に対し残虐兵器である白リン弾を使用した疑惑が浮上している.イタリア国営テレビが報じたのがきっかけだ.白リン弾は照明弾や煙幕に使われ,人体に触れると燃焼時の高熱で「骨まで焼き尽くす」といわれる兵器.米国防総省は「民間人への使用はない」との立場だが,「使用が妥当だったか調査すべきだ」と指摘する専門家もいる.【ワシントン和田浩明】

〔要旨は他の白燐弾デマと酷似なので省略〕

毎日新聞,2005/11/30

●隠蔽された虐殺・ファルージャ

 イラク進攻のなかでも,この1年間ほとんど報道されなかったファルージャ殲滅の酸鼻な実態が,イタリアテレビで11月はじめに報道され,その情報がインターネットを駆け巡っている.イタリア在住の記者が日本にメールをおくり,有志が翻訳し紹介する作業もなされている.
 白燐兵器は,化学兵器ではないという釈明もはじまった.
「死体を焼いたし,女も子供も焼いた……白リン弾で無差別に殺しました.(白リンが)直接肌に触れると,確実に致命傷になって,肉を焼き尽くすんです」――ファルージャで戦闘に参加した元米軍兵士ジェフ・アングルハートの証言(映像
 
 この映像は残虐すぎるが,目をそらすことは許されないであろう.
 このイタリアテレビはバクダットでもむろん関心を呼んだ.「続いていることが奇跡」と表現したくなるリバーベンドの日記『Baghdad Burning』で,彼女は友人の持ってきたCDを開くのだが,
「ついに勇気を振り絞って映像を見」
「そこにはもっとも恐れていたものがあった」(伊藤美好訳)
と記す.
 また日記は,スンニ派長老と息子3人が就寝中に銃殺されたこと,さらに教育者の暗殺が頻発する事態を伝える(この奇跡の書の翻訳を続けるボランティア活動にも頭が下がる).

須田春海,from Janjan,2005/22/28

 【回答】
1,白燐弾はむか〜しから使われている
2,WPに相当するものは,自衛隊を含む殆どの軍隊が装備している
3,つか,化学兵器じゃないので,条約で規制されていない
4,民間人のいる可能性もあるところにイキナリ榴弾ぶち込む訳にはいかないから,燻り出しで使ったかもね〜
5,人を死体に変えるなら,ただの砲弾や爆弾,手榴弾のほうが効果がデカイ
6,ぶっちゃけ今回の騒動は,軍事関係者は寝耳に水状態



 M15 White Phosphorus Grenadeは古く,後継のM34に切り替わっている.
 また,5000度というのは白燐の燃焼温度としては高過ぎる.恐らく華氏5000度の事だろう.これは摂氏2760度に相当する.(アメリカでは気温の単位に摂氏ではなく華氏,ファーレンハイトを用いる)

 そして,「酸素の少ない水に触れるとホスフィン(PH3燐化水素)を出す」とのことだが,白燐(P4)の一般的な保存方法は水中に漬ける事であり,水に触れても問題は無い.問題があったら化学室の薬品棚は大騒ぎだ.
 白燐が燃焼して出来る煙は十酸化四燐であり,固体では乾燥剤として用いられる物質である.

 ・・・ところで「酸素の少ない水」とは一体何を指すのだろうか.溶存酸素量の少ない水? しかし,そんな事は化学反応に影響は無い.
 それともまさか,酸素の少ない水→酸素原子のない水=水素という意味なのだろうか? 確かに燐と水素を直接反応させればホスフィンは発生するが,白燐弾から発生させるには難しそうだ.

 もし「酸素の少ない水」の件がそうだとするならば華氏5000度の件と合わせ,この文章は引っ掛け,釣りである可能性が高い.
 この巧妙な珍説は,一年前のファルージャ掃討戦の際にReiという人物が書いたものらしい.
 ・・・まさかと思うが,私の知っている人物に同名の方がいるのだが・・・いや,よくある名前だし,関係無い筈・・・

M34 WP
(こちらより引用)

------------
米軍,イラクで「白リン爆弾」使用認める 「通常兵器」と
(CNN,2005/11/17)
 ワシントン――米国防総省は15日,昨年11月のイラク・ファルージャ大攻勢の際,高熱で人体を焼くことのできる白リン爆弾を武装勢力拠点に対し使ったことを認めた.
 イタリア国営放送(RAI)の報道を部分的に認めたものだが,白リン爆弾を市民にも無差別に使ったとするRAI報道は否定した.
 また,白リン爆弾は化学兵器ではないと強調している.

 国防総省のベナブル報道官は,見えにくい標的を浮き上がらせるなどのために白リン爆弾を使ったほか,武装勢力拠点に対して発火性の高い武器として使ったこともあると認めた.
 一方で,「市民に対しては使っていない」と繰り返した.
 さらに,白リン爆弾は通常兵器で,米政府が批准している国際条約で禁止されているものではないと述べた.
------------

 米軍も色々と苦労しているらしい.突如として白燐弾が非人道兵器だと言われても,苦笑いするしかないだろう.
 世界中の軍隊がそう思っているに違いない.
 標定用スモークマーカーとしてのWP弾なら,自衛隊も保有している.
 これは古くから在る一般的な弾であり,これに問題がある,とは軍人は夢にも思っていないだろう.

<以下コメント欄より>

 イタリア国営放送RAIのドキュメンタリー番組が取り上げたのが発端のようです.
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/body.asp
 五酸化二リンが発生することをもって「化学兵器」と結論付けているようです.
 あとはナパームと同じ,残虐性の指弾です.
 よって,特に指弾されなければならない合理的な理由があるわけではありません.

(GX9900)

 「酸素の少ない水」というのはもしや「アルカリ性の高い水」の事を言いたかったのかも・・・

 白燐はアルカリ水溶液,水酸化ナトリウム水溶液とかと反応してホスフィンが発生します.

 でも,酸性とは水素イオン濃度(H+)のことだし,アルカリ性とは水酸化物イオン(OH−)濃度のこと.
 アルカリ性だから「酸素が少ない」ってわけじゃないんだが・・・

 Reiなる人物は狙って釣りをやってるのか,それとも本物の馬鹿なのか.でも普通に「アルカリ性の高い水」って言えばいいのだから,狙ってやってるんでしょうね.

(名無しT72神信者)

 五酸化二リンって十酸化四リンと同じ事でしょ? 何が問題なんだろ?,ただの乾燥剤なのに
 ・・・珪素系のシリカゲルだって,水につければそりゃ熱が出ますけどね.

 まさかとは思うが,化学反応を起こす物質を使ったら全てケミカルウエポンって理論じゃ無いよな?
 まさか・・はは・・・冗談ですよ(笑)

(名無しT72神信者)

 白リン弾で出来る煙は五酸化リン(正確には五酸化ニリン,十酸化四リン)なんだが,何時からそんな毒ガス扱いに・・・
 有毒ではあるが白リンそのものより致死量は遥かに低い.普通に乾燥剤として出回ってる物質だもの.

(名無しT72神信者)

五酸化ニリン構造式
(画像引用元:wikipedia

 テルミット法使った兵器もケミカルウェポン.

 …うーむ,自然科学を突き詰めていくと,理論化学と物理学の区別が難しいな.
 ここは原子爆弾も化学兵器と見なすのは如何だろうか?

(名無しT72神信者)

 白燐手榴弾のM15やM34は馬鹿でかい手榴弾で,通常のM67手榴弾の2倍近い.・・・普通にM67を2発放り込んだ方が殺傷能力高いだろうなぁ.
 ところで自衛隊もWP手榴弾を持ってた筈.ただ友人の陸自隊員は普通の手榴弾でさえ,とんと投げていないそうな.

(名無しT72神信者)

>テルミット法使った兵器もケミカルウェポン.

 TNT火薬を使った燃焼も化学反応ということが判っています.有毒な一酸化炭素も発生します.まさしくケミカルウェポン.・・・あれ?

(名無しT72神信者)

 いやしかし,WPをその種の兵器として糾弾するには,相当無理があるぞ・・・

 ぶっちゃけ,
「榴弾砲は残虐です! 無くしましょう!」
とか言ってるのと同じやん.

(名無しT72神信者)

 ここはあれです.
「伊勢エビには痛覚があり,活け作りは苦痛を味あわせる残虐な行為です.
 よって,伊勢エビはひと思いにさくっと締めるように」
 …なんか間違ってます?(まてこら

(名無しT72神信者)

 反戦団体のみなさ〜ん!
 米軍のレーションに附属してるMREヒーターも,水素ガスを発生しながらレーションを温めるという,誠にとんでもない化学兵器です.
 米軍が温かい食事を取るなんて許せないでしょ?
 是非糾弾してくらさい.

(kkk)

 じゃあ,トラックも輸送機も輸送艦も化学兵器ですな.
 ガソリンと酸素の化学反応を使ってるわけだから.
 しかも有害な窒素酸化物や硫黄酸化物を排出します.

(Baatarism)

人間もATPを使っているから化学兵器〜

(名無しT72神信者)

 この分では,そのうち火を使うのは野蛮だ・・・とか言い出す輩も出てくるな.

(名無しT72神信者)

 徹甲弾も,発射するときに化学反応を使うので化学兵器です.てゆうか,砲填兵器全般か(笑)

(名無しT72神信者)

 野戦炊事車なんかケミカル・バイオ兵器ですよ!

(名無しT72神信者)

 実際問題,より多くの人員を殺傷したいなら榴弾使うっしょ.

(名無しT72神信者)

 標定弾って,戦術的価値がある目標に対して「ここだよ」って示す為に打ち込むんだろ? 今の戦争で(戦略価値はあっても)戦術的に意味の無い民間人に被害を出さないためにさ.
 それを化学兵器扱いして廃止しろって事は,東京とかドレスデンの如く絨毯爆撃で器ごと焼き払えって事?

 平和主義者の無慈悲さには,軍ヲタでも戦慄を禁じえないよ・・・マジで・・・

(名無しT72神信者)

http://eiji.txt-nifty.com/diary/2005/11/post_4358.html#comments

 白リン爆弾の被弾者とされる画像の中に,チェストリグが映っている画像がありますね.
 このサイトは民間人なのか武装勢力なのかもろくに検証していない,ソースとしては不適なものと言えるでしょう.

(SEED)改

 注:チェストリグとは胸掛け型マガジン(弾薬)ポーチ.つまり一般人ではない証拠.

(名無しT72神信者)

 単純に論破するのは簡単なんだよね.
 すなわち
「普通の砲弾(爆弾)の方が,効果がデカイ」

 まあ,オウムのようにうわ言繰り返すしか能が無い人達には,常識考えろって言うだけ無駄かな.

(名無しT72神信者)

(週刊オブイェクト,2005/11/17)改2

<白燐弾>:WPと略す.通称ウィリーピート.空気に触れると自然発火し,空気よりも比重の重い白色煙を発生させるため,目標指示にも用いられる.
参考:U.S.ウェポン・ハンドブック

 対人「無差別」的大量殺傷を目標とするなら,破片をバラまくただの榴弾の方が良い.
 検索するとイスラエルや米の使用ばかりヒットするが,どちらも状況に適したモノでは無いので,
「米,イスラエルが民間人に使用」
という報道はあまり信用できそうに無いがね.
 白リン弾は掩蔽物に隠れていれば避けられる.
 一方,催涙弾は,掩蔽物に隠れても,煙が来れば効果がある.
 殺傷範囲は白リン弾より,ただの破片榴弾の方が大きい.

 香ばしい文章が,グーグル検索で次々とヒットする.

>白リン弾は,原爆に匹敵するむごたらしい結果をもたらしました.
blog.so-net.ne.jp/hankio/archive/c160381

>「焼かれた体が幾つも.焼かれた子どもやちや女性たち.白リンは無差別に殺すのだ.
>それは150メートル以内に衝撃雲となって広がり,人も動物も焼いてしまう」.
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1482144/detail

>米軍のファルージャ攻撃その際に化学兵器(白リン弾)およびナパーム弾が使用され
>た,「ウイリーピート」は生きた人間の肉だけを溶かす,SF映画で宇宙人が使用するお
>ぞましい兵器そっくり.

>白リン弾は衣服を焼かない,人間の肉だけを焼く
http://daisukepro.exblog.jp/

>白リン弾は爆発すると雲をつくりだし,その半径150メートル以内にいたらおしまいで
>す,「物を燃やす物質からなる様々な色の雨で,雨を浴びた
>者は焼かれ,雨に触れていない者も呼吸困難をおこした」
list.jca.apc.org/public/aml/2005-November/004217.html

>米軍がイラク・ファルージャで人体だけ内部から焼いて溶かす化学兵器の白リン弾を
>使い,無差別に殺戮.
homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay

 平和主義者たちが,無批判にプロパカンダや疑わしい報道をひけらちつつ公開していく.
 内容が反米反イスラエルならば,どのような疑問も持たない,他の平和主義者,イタリアの報道,アルジャジーラをソースとしていく.
 アメリカとイスラエルの残虐性は強調し,信憑性は基本的に疑わないのがここでの典型.
 もちろん,
・白リン弾やナパームは決定的な物的証拠が残る
とか,
・白リン弾は第一次世界大戦当時から,砲弾や爆弾として各国で大いに装備使用されている
とか,
・イスラエルやイラクのような状況では,目標指示に使うことはあっても,対人には向かない
とか,
・これらから誤射の可能性も低い
とか,
・イタリアやアルジャジーラの報道内容自体が疑わいのでは?
などと思考する能力は低いか存在しない.

 ただし,誤爆の可能性は低いと思うが,自分は完全に無いとは言はわない.もっとも,もし白リンなら物的証拠で直ぐにバレるのだが.

(キルロイ ◆dtIofpVHHg)

122:名無し三等兵:2005/11/13(日)19:36:14ID:???

 「照明弾が体に触れて火傷して死亡」が,尾ひれついて広まったのかも.

 肉体は燃えているが服はそのまま,なんてトンデモな「目撃談」を,阿修羅掲示板で読んだことがある.


123:名無し三等兵:2005/11/13(日)19:46:37ID:???

 それって「人体発火現象」か? オカルト系が元ネタだな(笑).


125:名無し三等兵:2005/11/14(月)16:05:44ID:???

 焼夷効果なら,粘着力がある油脂と金属粉か何かを混ぜた焼夷弾を使うだろうし,催涙狙いなら初っ端から催涙弾使うだろうし…非効率だよなあ.

 どうも,中国あたりの言う「日本軍遺棄毒ガス」を彷彿とさせる話なんだが.


147 名前:キルロイ ◆dtIofpVHHg [sage] 投稿日:2005/11/15(火) 02:37:06 ID:???

 米軍が白リン弾で民間人無差別殺戮している.昨日ニュースで知った瞬間カっと来た.
 ゾッとする,それに残虐.
 白リン弾で検索するとヒットする,マジで,かなり大量.
 しかも発煙弾として使うと米軍は言うが,十分に疑わしい.
 白リン弾は通常兵器で対人攻撃には比較的向かないという意見もあるけど,原爆並みとか化学兵器とか人体だけ燃やすとか異星人のSF兵器と書かれていたし,それは間違い無いと思う.
 分類としては白リン弾は大量破壊兵器と変わらないでしょ.白リン弾について知らないけど,発煙弾として使うかどうかでそんな違いが有ったら,誰もアホ臭くて核並みとか化学兵器なんて言わないでしょ.
 個人的には白リン弾は十分に通常兵器じゃない.
 嘘だなんて思ってないけどイタリアとアルジャジーラの報道で,白リン弾でマジで民間人無差別虐殺したと報道した.
 つまりアメリカとイスラエルは極悪国家で,それだけでも個人的には許せないです.

(上コピペ改変の元ネタはこちら↓参照.
http://plaza.rakuten.co.jp/kibayashi/diary/200502130000/


145:名無し三等兵:2005/11/15(火)01:43:36ID:???

覇悪臨弾:
 中世中国において,火薬の使用はもはや自明のものであった.
 そんな中,中国統一直前まで進めた天李嘉(あめりか)という武将が居た.
 彼の圧倒的な強さの秘密とは,粘着性のある火薬を敵に浴びせ掛けて放火し,いつまでも人体・地面などに残り続けるその火によって,殲滅・撹乱することにあった.
 また,それは眩しい光を放った為,
「天が彼を覇者とするべく与えたもうたものだ」
と,秘密を知らぬ敵勢に大いに恐れられた.

 しかし,あまりに残虐なその兵器は,味方将兵によっても非難の的となる.
 それでも頑なに使用し続ける彼の残虐非道な性情に不安を抱いた部下が天李嘉を殺害.
 かくして彼は天下を逃した.

 後にその兵器は,覇に臨んだ悪の兵器として,「覇悪臨弾」と称されるようになる.
(民明書房『古代中国の火遁術』より)

(以上は軍事板より)

民明書房大全
(画像掲示板より引用)

 【追記】
 今(朝6時25分),寝ぼけながらラジオつけたら,TBSに高遠菜穂子が出演していた.
 イラクの近況など報告.医療支援の話など聞きながら,
「イラクまだまだ大変そうだなあ」
とか思っていたら,話は米軍の化学兵器に.
「イタリア国営放送のドキュメンタリーがあり,海外では大変な反響があったんですよ」と高遠氏.「この件は,日本ではあまり取り上げられてないようなので,情報収集にはネットのブログがいいと思います.
 『ファルージャ2004年4月』という本を作ったいけださんのHP見てください.」
と言ってるのを聞いて,なんだか大変だなと思ったのであった.

週刊オブイェクト・コメント欄


 【珍説】
 〔ファルージャの,WPの一件は〕化学兵器による一般市民虐殺である.

 国際法によれば,人間または動物を傷つけたり殺したりするために用いられる化学物質は,いかなるものであれ,化学兵器であるとみなされる.化学兵器禁止機関(Organization for the Prohibition of Chemical Weapons)のピーター・カイザー氏(PeterKaiser)の言葉を借りれば:
「人間に向けて,あるいは動物に向けて使用され,その毒性によって危害を加えたりもしくは死をもたらす化学物質はいかなるものであれ,化学兵器であるとみなされる.
 そして,危害を加えることが目的である限りは,禁止行為である」
(カイザー氏の発言は,RAIニュースのこのページの右下の画像の下にあるPlayをクリックすれば,聞くことができる.)

 番組はさらにマーク77と呼ばれる改良型のナパーム焼夷弾がファルージャ攻撃で使われていたことを明らかにし,ナパーム弾を軍事目標以外に用いることを禁止した1980年の国連特定通常兵器使用禁止制限条約への違反であることを指摘している.
●この件にも触れておく必要があろう.

http://teanotwar.blogtribe.org/entry-b25cb92b0bd7573c4c286663bf32155b.html
http://tech.ciao.jp/blog2/2005/11/post_209.html

 【事実】
>人間または動物を傷つけたり殺したりするために用いられる化学物質

 それだと,何でも「化学兵器」になってしまうんだが……
 ゴキジェットが化学兵器なら,コンビニで国際法違反兵器を販売していることになるぞ.

 上の珍説を読んだだけじゃ,OPCWのスポークスマンであるカイザー氏がまるでトンデモな人に見えるが,実は上記カイザー発言は,その一部だけをRAIによって都合よく使われたものと思われる.
 彼の意見の要旨は,
「専らその毒性で人や動物を殺傷する兵器はすべて化学兵器であるが,白燐弾の煙を殺傷用ではなく煙幕として使う限りにおいては化学兵器とはみなされない」(要約)というものだからだ.

ソース
Paul Reynolds. White phosphorus: weapon on the edge

Its spokesman Peter Kaiser was asked if WP was banned by the CWC and he had this to say:

"No it's not forbidden by the CWC if it is used within the context of a military application which does not require or does not intend to use the toxic properties of white phosphorus. White phosphorus is normally used to produce smoke, to camouflage movement.

"If that is the purpose for which the white phosphorus is used, then that is considered under the Convention legitimate use.

"If on the other hand the toxic properties of white phosphorus, the caustic properties, are specifically intended to be used as a weapon, that of course is prohibited, because the way the Convention is structured or the way it is in fact applied, any chemicals used against humans or animals that cause harm or death through the toxic properties of the chemical are considered chemical weapons."

BBC NEWS 2005/11/16

(イラク板,
のちにFAQ BBSに転載さる)


 【珍説】
 白燐爆弾「ウィリー・ピート」は,湿気の多い日本やベトナムで使えば,恐らくすぐに発火して焼夷弾となり,それはそれで恐ろしいものでしょう.
 ところが,乾燥しているイラクで使えば,残虐な化学兵器に変身するようです.
 リン爆弾が炸裂して,白リンの雲が発火せずに広がり,それが人体(湿気)に触れれた途端に発火すると考えられる.
 白リンの雲を吸い込めば,口,気管,肺の中(湿気あり)から白リンが発火し,人体を中から焼き尽くすことは有りえる.
 だから,服が焼け残って人体が黒焦げという現象も有りうると思えます.

http://blog.so-net.ne.jp/hankio/2005-11-10-2

 【事実】
 よく「一行ごとに間違いがある」ってのは聞くが,「一言毎」に間違いがあるってのは,全部を突っ込む気もせん・・・
 燐は水に浸して保存とか,化学反応の成果物である雲はもえね〜よとか,粉塵爆発の理由って知ってる?とか,熱力学第一法則って知ってる?とか,原爆のエネルギーは化学反応じゃね〜よとか…….

 白リンと五酸化リンを混同した挙句,五酸化リンが白リンと同じ性質を持つものと勘違いしてる.
 もしそんな物質があったら第一次世界大戦の時に毒ガスとして採用されてるっての(笑).
 A-Damonも「白リン粉末」とか言い出しているが,無理なんだ.
 実は既に第一次世界大戦時に研究されてる.白リンをガス状にして広範囲に散布できないか?,ってね.
 で,無理だった.粉末状にしたらあっという間に燃え上がるし,そもそも粉末にして撒いても,ガスじゃないからすぐ地表に降りてくる.煙幕展開はできなかった.兵器としては使えない.

 まぁフグ毒のテトロドトキシンは最強の化学兵器VX剤の三倍の毒性だが,兵器としては使い物にならないのと同じ事かな.

 とりあえず,「ゆとり教育のせい」って陰謀説に逃げとくわ.

 ちなみに,同ブログのコメントとかトラックバックを見ると,基地外の連鎖関係がわかってキモワロスです.

極東板


 【珍説】
 同じ黄燐弾でも煙幕弾と焼夷弾の威力と効果はまったく異なります.

 米軍の白燐弾使用に関する報道の否定にやっきになっている連中が,これらの威力を意図的に混同しているのであれば,悪質な印象操作です.

 この動画には,照明弾の他に,焼夷弾の一種としか思えない多数の火球を地上に向けて放射する兵器(白燐焼夷弾?とりあえず集束焼夷弾っぽい)が使用されたことも示しています.

模型ダイアリー

 【事実】
 ・・・今時,黄燐焼夷弾なんて存在しないけど?
 何時からM69が黄燐焼夷弾になったのだ?
 M69焼夷弾は油脂系ナパーム.M69の改造型M74は黄燐とナパームの混載で,あの頃のアメリカ軍の焼夷弾で黄燐だけで造られたものは無かった筈.

>米軍の白燐弾使用に関する報道の否定にやっきになっている連中が,
>これらの威力を意図的に混同しているのであれば悪質な印象操作です.

 焼夷弾として設計されたものと,煙幕弾として設計されているものを,意図的に混同しているのはコイツの方では?

>この動画には照明弾の他に焼夷弾の一種としか思えない多数の火球を
>地上に向けて放射する兵器(白燐焼夷弾?とりあえず集束焼夷弾っぽ
>い)が使用されたことも示しています)

 いや,あれ,普通の黄燐煙幕弾ですけど.
 この人は,戦車用のスモークディスチャージャーも集束焼夷弾と言い張る気なのだろうか?

(週刊オブイェクト・コメント欄,2005/11/30)


 【質問】
http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/video/fallujah_ITA.wmv

 上記イタリア報道の映像(10分ぐらいのあたり)では,衣類が焼失していない状態で頭部が著しく損傷して骨が見えている画像がいくつか含まれており,このショッキングな映像がWP化学兵器説の根拠となっているようです.

 この一見ちぐはぐな結果をもたらしたのは,どのような攻撃によるものでしょうか?

(cyat)

 【回答】
 死体の腐敗が酷いからなんとも言えない.
 蛆が大量に沸いてるし,あの状態で野犬が齧ったら骨は露出する.
 映像に犬の死体の写真もあったし,しかも今イラクでは狂犬病が流行している.

 通常の榴弾の直撃写真でも見せてやればいい.どっちも悲惨.
 問題は,通常の榴弾より白燐弾のほうが殺傷効果が高いかどうかなわけで.

 映像の衝撃度なら,テルミット焼夷弾を直撃されたほうがよほど酷い有様になると思うけどね.

(以上,週刊オブイェクト・コメント欄より)

 そもそも本当に焼死なのか?
 実は,イタリア国営放送RAIが白燐弾の被害として載せた写真が「証拠として疑わしい」との指摘は,ガーディアン紙からも出ています.
 ちなみにガーディアン紙は白燐弾弾劾キャンペーンに与(くみ)している側です.

Behind the Phosphorus Clouds are War Crimes Within War Crimes [George Monbiot Tuesday November 22, 2005 The Guardian]
I asked Chris Milroy, professor of forensic pathology at the University of Sheffield, to watch the film. He reported that "nothing indicates to me that the bodies have been burnt". They had turned black and lost their skin "through decomposition". We don't yet know how these people died.

 シェフィールド大学の法病理学教授クリス・ミルロイによれば,死体が黒いのも,皮膚が一部損失しているのも,腐敗が進行している状態を示すものであって,体が燃えたという証拠にはならない・・・非人道兵器だとの状況証拠として示されてきた肝心のRAIの写真が,疑問を持たれています.

 そこでこの記事の筆者ジョージ・モンビオット(彼自身,検死医の資格を持つ)は,
「これらの死体は白燐弾ではなく,サーモバリック弾によるものではないか?」
と推測しています.
 サーモバリック弾はアフガニスタンやイラクで既に投入されており,ファルージャでも使用された可能性があります.
 しかし,これらの写真の死体がサーモバリック弾によるものだという証拠はありません.

 サーモバリック弾(HIT:High-Impulse Thermobaric)は地下坑道や建造物等の閉塞された場所への攻撃に使われます.
 弾体から燃料(固形火薬)を放出し,霧状になったところで点火.大規模な爆発を引き起こす兵器です.
 爆圧は通常の榴弾より低くなりますが,爆風は広範囲に広がります.弾体から中身を放出してから爆発させるので,弾殻破片は飛び散りません.
 つまり破片で切り裂かれるような事にはならず,爆風で皮膚が焼け爛れる・・・といった死体を作り出す事はできるかもしれません.

 全てはまだ憶測です.
 ミルロイ教授によれば,写真の死体は焼死体である証拠は示されていないと判断されています.
 ならば通常榴弾など,他の兵器によって為された死体である可能性もあるのです.肝心の証拠写真が怪しくなったこの騒動は,今一度,科学的な検証を重ねる必要があるでしょう.

 それにしても,11/20に愛・蔵太さんの所で「次なる超兵器はナパームBかサーモバリック弾」とコメントしていたのが早速,現実になったんですね.
 白燐弾,白燐弾とあれだけ騒いでおきながら今更違うかもしれないって,一体・・・

週刊オブイェクト,2005/12/9


 【珍説】
 被害者の画像の中には,服は焼けずに中の人だけ爛れているものがあり,これは一般的な燃焼以外の化学反応で被害者が殺害されたことを意味します.
 おそらく未燃焼の白燐粉塵を直接浴びせかけるような形で白燐弾を使用したのでしょう.

模型ダイアリー

 【事実】
 だからさ,
『未燃焼の白燐粉塵を直接浴びせかけるような形で白燐弾を使用』
なんて,まどろっこしい真似をして,効果範囲はどれだけあるのか考えてみればいいのにね.
 普通に榴弾使ったほうがより多くの人を殺せるって.

 そもそも未燃焼の白燐粉塵を直接浴びせかけられたかどうかなんて,痕跡は残るんだから,遺体を解剖すればすぐ判明するのに,そういった事実も無い.

(週刊オブイェクト・コメント欄,2005/11/30)


 【珍説】

 Q.焼夷兵器で服は必ずしも燃えないというのは変ではないですか?

 A.白燐の破片は飛び散っているときは空気に冷やされて固体ですが,着弾して停止すると,自らの燃焼熱で液化します.
 服が必ずしも燃えないのは,白燐が液化して染み込み,流れていくためで,白燐が食いつく人体とは異なり服は燃え残ることがあります.
 時折起こる白燐弾の使用で服が燃え残る現象は,「服だけ残して溶かす」のではなく,「液化した白燐が流れていったために服が燃え残った」というのが正解です.
 特殊な現象というわけではなく,湾岸戦争での白燐弾の使用でも同様の現象が確認されています.(当時はクウェートに侵攻したイラクに対しての使用であったために,問題にならなかっただけです)

模型ダイアリー

 【事実】
 白骨化できるほどの熱を帯びてる液体が服につくのに,それで服が燃えないって論理がわからないのだけど. そんな液体,服についたら服も燃えるでしょ.
 事実,防護服でも溶ける熱を発してるってそのサイトでも書いてあるし.体が白骨化するほどの燃焼を起し,熱を発するのに,体の燃焼中に服は燃えないって明らかにおかしいわよ.

 燃焼熱で液化するくらいになってるのに,服だけは流れ出すから大丈夫,人体には食いついている,って かなーりありえない状況じゃないの?

 こんなの化学系のソース無しに信じられる話じゃないわ.

      つ か れ て る の よ モ ル ダ ー

軍事板

 シバレイ(こいつも白燐教徒)のブログのコメント欄にて,より詳細な考察発見.
 以下引用.

Commented by 若輩なる者 at 2005-12-01 00:26 x

 何か又方向性がずれていきそうな気がするので,衣服は焼けず「肉体だけが」損傷していたご遺体の話について,個人的に所感を述べます.
 まず,この空気中で「燃焼という反応」であるかぎり,リンでも油でも燃焼温度が1000度を下回る事は,よほどの事が無い限りありえません.
 低酸素状態で蒸し焼きになったとしても,人体が「燃えて」いる以上衣服が燃えないはずはないんです.
 アラブのシュマーグの材質が木綿で出来ているとして,主成分であるセルロースの発火点は摂氏230度,
 酸素が無く輻射熱のみあるいは別途反応熱だったとしても,乾留された痕跡ぐらいは絶対に残るものなんです.
 もしなにか油なりリンを直に被るなりしたら,それこそ肉体ではなく布から焼けます.織物の方が空気の入る隙間も多いし,人間より水分量も格段に低い以上,火炎瓶等での近似事例とほとんど変わりようが無いんです.
 〔略〕

 つまり,「服が燃えずに人だけ燃える」ことは,化学的に見てまずありえない.


 【珍説】
 元合衆国兵士〔自称『イラク戦争のベテラン兵士』,ジェフ・エングルハート〕はさらにこう言った,
「女性や子供たちの焼け焦げた死体をわたしは見ました.
 白リン弾は爆発すると雲をつくりだし,その半径150メートル以内にいたらおしまいです」

 【事実】
 半径150mって何? M15は半径17mじゃなかったの?
 105mm榴弾砲のWP弾煙幕半径で50mも無かった筈だけど・・・

http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_var/smoke.htm
によれば,

 黄燐は空気に接触すると白煙を上げながら自然発火し,煙幕を形成する.
 黄燐は発火性が高いために,限定的であるが焼夷効果もある.
 有効発煙区域は60m×30mで持続時間は1分である.

(白燐も黄燐もほぼ同じ物質.白燐の表面に赤燐の被膜を生じさせたものが黄燐)
 つまり,105mmWP榴弾で60×30,直径に換算すれば50mも無い.半径20〜30mが効力範囲.

 しかも,この煙に巻かれたらお終いって訳でもない.
 白リン(黄リン)の燃焼で発生した煙は五酸化リンに変質しているので,有毒ではあるが毒性は大幅に低下している.

 普通の500ポンド爆弾でも爆発半径は20mくらいで,破片による殺傷効果範囲は200mくらいの筈.

 それとも,

>150m以内にいたらおしまい

とは,「爆発による殺傷範囲は半径17mだが,爆発によってできた雲(飛び散った白燐の雲?)によって体が焼け焦げる範囲が半径150m」という意味だろうか?
 しかし,それでも有り得ない.
 だってM15やM34といったWP手榴弾の投擲距離は,良く投げる人で30mくらい.普通の手榴弾より2倍は大きいので遠くへは投げられない.
 だから危害半径が150mなら,確実に自分を巻き込んじゃう.

 WPは31オンス(約960グラム)
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m15.htm
 これって女子円盤投げの円盤の最低重量とほぼ同じ重さ.
 で,その世界記録は76m80cm・・・
 もしこの証言が本当なら,このWP投擲者は,オリンピックで金は間違いないな(笑).

 なんてことだ,日本の自衛隊はそんな恐ろしい超兵器を標定用スモークマーカーとして使っているなんて(棒読み)

(名無しT72神信者)

 要はWPによる弾着の観測と,後から来る砲撃の被害を混同しているということでFinal Answer?

(名無しT72神信者)

(週刊オブイェクト・コメント欄)

 白燐弾が空中炸裂している様子をGIFアニメにした二つの資料を見つけました.(画像掲載許可を得ました)この二つは昼と夜,使用されている弾の種類の違いなど相違がありますが,実に興味深い比較が出来ると思いますのでご覧下さい.

注;画像は「週刊オブイェクト」にて御覧ください)

 注目すべきは富士総合火力演習2002です.数万人居る観客席の目と鼻の先で白燐弾を炸裂させています.風向きの関係で観客席も一瞬,煙に巻かれています.
 ・・・あれ,おかしいな.
 白燐弾が噂通りの恐怖の化学兵器ならば大事件になっている筈ですが・・・しかしもちろん,この時に観客席で死傷者は発生していません.
 そう,「恐怖の超兵器白燐弾」の正体とはこんなものなのです.

 もちろん派手に燃えて飛び散っている白燐欠片を直接浴びれば火傷をするでしょう.
 しかしそれは,通常榴弾が炸裂した時に飛び散る弾殻破片の殺傷効果範囲よりも危害半径が狭いのです.
 そして,白燐が燃焼した時に発生する煙を浴びたところで,人体発火や骨まで溶けるというような奇怪な現象は発生しません.
 煙は広がるがこれでは人を殺せず,燃える白燐片は遠くまで届かない.
 それはつまり,白燐弾は通常榴弾よりも殺傷力で大きく劣るという事の証左です.

GlobalSecurity.org:White Phosphorus (WP)
「Casualties from WP smoke have not occurred in combat operations.」
「There are no reported deaths resulting from exposure to phosphorus smokes.」

 このように白燐弾からの煙による死亡例は存在しません.
 そして白燐の直撃による死傷を否定してはいません.
 しかしそれならば,通常榴弾の直撃の方が殺傷効果は高い.


煙覆後の突撃発揮は自衛隊の基本訓練なんですがね.
当然煙を出すのはWP弾なわけで,これがそんな猛毒ガス出すのなら使えるわけが無いのに・・・

各国軍は自国の歩兵をもう毒ガスに突っ込まして殺そうとしている,とでも言ってみればいいのにw
Posted by hige at 2005年11月27日 17:09

 hige氏は現職の陸上自衛官です.白燐弾が非人道兵器と言われても困惑するしかないでしょう.
 陸上自衛隊の偉い人もきっと困惑しています.富士総合火力演習での最後の見せ場,観客席の目の前にズラリと並べた戦車から煙幕弾を一斉発射・・・毎年やっている定番なのだけど.

 自衛隊にとって白燐弾とは,今まで一般市民の目の前で炸裂している様子を公開し続けてきた兵器であり,突然今更になって大量破壊兵器だとか非人道兵器だとか言われても青天の霹靂というものです.

(週刊オブイェクト2005/11/30)

 さらに,ここを読む限り、元米兵のジェフさんはファルージャでの戦闘には参加していないらしい。

http://www.democracynow.org/article.pl?sid=05/11/08/1516232

>I wasn't actually involved in direct combat. I was in a tactical attack center.

 だからインタビューで「聞いた」を連発してたんだな。見てないんだもん。


 【質問】
「燃焼温度は5000度だ」
「酸素の少ない水に触れるとホスフィンを出す」
と最初に言い出した人は誰なの?

 【回答】
 白燐弾に関して出回っていたこのデマゴーグの発生源は,メールフォームに寄せられた情報によると,こういう事らしいです.

 現代企画室出版『ファルージャ 2004年4月』という書籍の編訳者いけだよしこ氏が,イラク人男性 Raed Jarrar 氏のウェブログ(英語)の日本語化も手掛けていたのですが,その Raed blog のコメント欄に書かれていた,Rei という人物の投稿(2004年11月10日頃)が大元だということです.
 つまり「燃焼温度5000度」は単純な翻訳ミス.「ホスフィンを出す」については Rei という人物も燐の化学反応を理解しておらず(或いは知っていた上でミスリード),翻訳時にも気付かれなかったというのが事の顛末です.
 いけだ氏が自身のサイトのコメント欄で釈明しています.

 Raed blog の原文を確かめようとしましたが Raed blog は現在コメント欄を閉鎖しており,閲覧できない状態でした.
 どちらにせよ,間違った情報を翻訳ミスをした上で紹介していたようです.

 それ自体はよくある事なのでしょうがない面もありますが,一年間もこの間違った情報が信じられ続けていた事自体が驚きです.
 この Rei のコメント和訳は何十ものブログで取り上げられ,恐らく何万,何十万人と閲覧者が居たにも関わらず,1週間前に「謎の超兵器と化した白燐弾」で指摘するまで誰も気付かなかっただなんて・・・有り得ないですよ普通.

(週刊オブイェクト,2005/11/26)

 なお,いけだよしこは一連の話で誠実な対応を取られているので,念の為.


 【珍説】

それと「白燐粉塵」って何ですか? 燃えていない,生の白燐の粉末って事ですか?
 粉末状だと空気に触れたらあっという間に勝手に発火して燃え尽きますよ.どうやって白燐の粉末を燃やさずに広範囲に散布するんです? 方法は?

 答えは酸欠.燃えるためには酸素と反応しないといけないわけで,大量使用で周囲の酸素と反応し尽くすと,酸素と反応できない粉塵が,広範囲に飛び散る結果となります.

模型ダイアリー,2005/12/1

 【事実】
 何時から白燐は周囲の酸素を奪い尽くせるような凄まじい兵器になったんだ? FAEじゃあるまいし,絶対に無理なんだが,構造的に.
 いや,化学的にも白燐はそんな急激な燃焼はしないし.
 スパイクもそうだけど,根本的に5,000度って温度に踊らされすぎだよな.
 温度はその持続時間と,発熱物質からの距離が思い切り影響するのに.
「では,タバコの炎は約800度で5分程度燃焼しますが,吸ってる人が焼け死にますか?」
って話.焚き火もそうだな(約1000度),怖くて焼き芋も作れやしねぇ(笑).

 それに,燃料気化爆弾の窒息効果ですら物理を無視した俗説なのに,「酸欠になった」ねぇ・・・周りからすぐ空気が流れ込むんだが.
 そもそも,酸欠するような場所なら,先に燃料気化爆弾の爆圧で死んでる.
 白リンに至っては,ゆっくり燃えながら煙を出すのが目的の兵器.酸欠だなんて有り得ない.
 広範囲に散布し,一気に急速燃焼させて初めて一時的な酸欠状態を作り出せる.
 白リンではそのどちらの条件も満たす事が出来ない.
 広域散布には全く向いておらず,急速燃焼(要するに爆発という現象を指す)もしない.
 白リンの燃焼が爆発的なものか,よく考えて見るといい.

 これは,物理も化学も理解していない人間が必死に考えた挙句に「酸欠」と言ってみただけだろう.なんの科学的裏付けも無い,自分勝手な妄想.全くもって度し難い.
『劣化ウランは半減期が長いから,数十億年放射能を垂れ流しつづける』
と同じ構図.
 中学高校レベルの理科の知識ぐらいは調べ直してから,物を言って欲しいな…….

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 奴らここまでキャンペーン張って今更引っ込みが付かないんだろ(笑).
 そのうち嘘が本当になることを祈ってるんだろうな.

 彼らは一度信じちゃうともう訂正きかない人々のようですね.
 ためしに
「白燐弾は服だけ消える非人道的なエロ兵器だ!」
っていうニセ検証サイトをもっともらしく作ったら,彼らはたぶん信じちゃうと思う(笑).
「多くの民間人の方々と,戦場で戦う兵士のごく一部を発情させ,正気を失わせる非人道的兵器だ!」
とかやってみてくれ.

 つうか,「アメリカ」「兵器」「非人道的」という言葉が入っていれば,どんないい加減な情報でも丸呑みしそう(笑).

週刊オブイェクト・コメント欄


 【珍説】

Q. 米軍が使ってる防虫剤だって,機動隊がデモ隊鎮圧に使う催涙弾だって化学兵器じゃん.
 だから白燐使っていたからって「化学兵器」というのはおかしいだろ?

A. たとえばナパーム弾の主成分はガソリンとナフサと椰子油です.
 
 ちょっとした工場や家庭にでもある材料でナパーム弾は作られますが,しかしその効果はすでに知られているとおりです.

 ※国連人権小委員会は,1996年8月,「核・化学・生物兵器・気化爆弾・ナパーム弾・クラスター爆弾・劣化ウラン兵器の製造・使用の禁止を求める決議」を賛成15,反対1(もちろん反対はアメリカのみ)で採択している.


 使っている成分の「化学性」がここで問われているのではなく,その化学的な効果が問題とされています.
 核も平和利用していれば立派な資源ですが,それを兵器として使い,それ相応の効果があれば,問題視されていきます.

 つか,こんな稚拙なレトリックでみんなたぶらかされてしまうのはイクナイ!

master low

 【事実】
 すでに同ブログのコメント欄で批判されているように,この主張は【珍問】と称している部分において,「白燐教」批判の中身を歪曲しています.
 以下,同ブログのコメント欄より引用.

[毛沢山] [2005/12/22 14:59]
> 米軍が使ってる防虫剤だって,機動隊がデモ隊鎮圧に使う催涙弾だって化学兵器じゃん.
> だから白燐使っていたからって「化学兵器」というのはおかしいだろ?

俺のレスを歪曲したこの記述に抗議する.

俺の主張は
「"化学兵器"と表記されていたからと言って
それが全て大量破壊兵器のような威力を持つ兵器と解釈するのは間違い.
したがって件の湾岸症候群協会のサイトに化学兵器と表記されていたからといって
RAIの報道を裏付けるなんの証拠にもならん.」
ということだ.

お前は翻訳のみならず他人のレスまで歪曲するんだな.

 つまり,
>白燐使っていたからって「化学兵器」というのはおかしいだろ?
という反論と繋がりはありません.
 本来繋がっていないものを繋げて,「ほらほら,こんなとんちんかんな主張をしているよ」と見せかけたいのでしょうね.

 で,こんな稚拙なレトリックが通じるとでも思ってんの?(笑)

 後段の国連人権小委員会の件では,すでにmaster lowは週刊オブイェクトのコメント欄において,さんざん反論を受けている(別項目に収録済み)のですが,それらを彼は完全無視していますね.
 今頃こっそり持ち出せばバレないとでも思っていましたか?(笑)

 つか,殆ど無害な白燐の性質が,なんで対人に「使う」や,条約で規制されなきゃならないほどの凶悪な性質に一変するのか,まずそれについて,みんなが納得できる説明ができるようになったら,出直してらっしゃい.


\

 【珍説】
 白燐弾は核兵器だ.
 化学兵器である白りん弾は,人体を高温で焼き尽くし,同時に猛毒(黄りん=殺鼠剤=猫いらず)でもある.
 つまり原子爆弾との類似性をも指摘することができる.
 また,一般市民の無差別殺戮を目的に使用されており,その態様・用いられ方においても,広島・長崎への原爆投下を想起させるものだ.
 いずれにせよ,このような国が,「9/11」や「化学兵器によるクルド人殺害」(前者には自作自演説が根強くあり,後者は事実無根)を非難する資格があろうか.

あるやーばん ◆FVgZM7Prg in イラク板
週刊オブイェクト・コメント欄転載)

 【事実】
 それなら,同じ論法でこうも言えるわけで.

〜/ ´・ω)ミ<小銃弾は皮膚深くは愚か,骨まで砕く事がある.これらの兵器はきわめて残酷な兵器である.
〜/ ´=ω)ミ<なぜなら着弾により四肢損失した場合はショック死を引き起こしたり,頭蓋に当たった場合は脳にまでダメージを与え,死を引き起こさずとも,生涯重大なダメージを与える…まさに恨み骨髄に徹するのだ…

(名無し鰭脚類神信者)

 野戦病院のレントゲンは放射線出してるから核兵器.(笑)

 いしいひさいちの「鏡の国の戦争」にこんな話があった.

「もう予備の兵力はないのか!」

「まだ第1国立病院師団が残っています」

「なんじゃそりゃ」

「病院の回復期の患者を集めた師団です
 第3胃病連隊
 第4結核連隊
 第1高血圧連隊
 別に第1糖尿病大隊と
 第5ノイローゼ大隊も残っています」

「装備は!?」

「レントゲン3台にCTスキャナー1台,胃カメラ5台」

「もういい,こっちが病気になりそうだ」

(週刊オブイェクト・コメント欄)


 【質問】
 白燐弾の情報を調べていたら,ファルージャで使われたM110にはマスタードガスが入っている,ということになっていました.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/m110.htm

 この砲弾の使用はアリなんですか?
 調べる限りでは米はマスタードガスを規制しようとしているようにとれるのですが.
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/cwc_ag/

 【回答】
 あなたはご自分が引用して見せたサイトの記事をちゃんと読まれましたか?
 そこに記載されているM110シリーズの特殊砲弾の中には,確かに
「基本型である白燐発煙弾の他にマスタードガス弾や神経ガス弾も含まれている」
とありますが,それらが同じ砲弾の中に詰め合わされているとは書かれていません.

 そもそも,最前線の歩兵に使い様によっては味方にも危険な毒ガス弾が支給されると思いますか?
 ありえないことです.


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