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「D.B.E. ミニ型」(2010/12/10)◆ 米個人宅から米史上最大量の爆発危険物みつかる.処理方法は「家ごと焼き尽くす」
「Strategy Page」◆(2013/05/30) WEAPONS:
Why Potassium Chlorate Matters
ターリバーンは硝酸アンモニウムから爆弾を製造
【質問】
火薬を世界で初めて兵器として使ったのはいつ頃からか?
【回答】
●回答その1
宋代の中国です.
以下引用.
火薬の発明※12は中国人の手になり,火薬を使用した兵器も中国で最初に製造されました.
宋代は初めて中国で火器が使用された時代です.
この時期の火器は,どちらかというと攻城戦や守城戦で多く使用されましたが,野戦でも使用されています.
火器には燃焼性の火器,爆発性の火器があります.後に火器の主流となる投射性の火器〔編注:弾丸を飛ばすヤツね〕はまだ出現していません.
燃焼性の火器には火箭,火槍,火球があります.
火箭は焼夷弾で火薬を詰めた筒や玉を矢に装着したもので,弓や弩,特に大型の床子弩で射撃されました.
火槍は火炎放射器で,通常,槍の先端に火薬を詰めた筒を装備しています.
有名なものに梨花槍(りかそう)があり,火炎放射後,槍で戦うことができました.
火球は火薬を紙や布で覆い球状にしたもので,手で投げるか,投石器で投げられました.
火玉には燃焼,毒煙,煙幕の効果があります.
爆発性の火器には鉄火炮があり,これは金の震天雷と同じものですので,次の項で述べます.
※12 火薬の発明:
火薬は中国人の手によって少なくとも唐代に発明されていました.
火薬は不老不死を得るための薬の製造実験中に発見されています.
唐代には花火に使用されています.
『幻の戦士たち』(市川定春と怪兵隊著,新紀元社,1988.12.21),p.124-125
震天雷は金で発明された炸裂弾で,鋳鉄の容器に火薬を詰め,導火線を付けたものです.
この兵器は野戦だけでなく,攻城戦において攻撃にも防御にも使用されています.
使用するときには,導火線に火をつけ,手で投げるか砲(火薬を使用しない投石器)によって投げます.
爆発の威力はかなりのもので,人を殺傷する能力と大きな音と煙で敵を脅えさせる効果があります.
南宋や元では鉄火炮(てっかほう)と呼ばれ,元冦のときには日本軍に対して使用され,「てつはう」と呼ばれています.
同,p.126
ちなみに巻末を見ると,同書のソースは
『中国軍事史』(解放軍出版社),
『中国古代兵器論集』(楊泓著,文物出版社,1985)
など.
●回答その2
元冦襲来のときです.
以下引用.
火薬を容器に詰め,点火して投げつける,という方法で武器とするのは,12世紀の宋の時代に考え出され,宋を滅ぼしたモンゴル帝国=元王朝に引き継がれた.
そして,日本の属国化を狙った元の水軍が,博多湾に大挙押し寄せた,いわゆる元冦(文永の役=1274年)の際に,応戦した鎌倉武士めがけて,爆弾が投じられた.
おそらくこれが,軍事目的で火薬を組織的に使用した,最初の事例だろうと言われている.
言い換えれば,日本という国は,世界で初めて,火薬で武装した軍隊から攻撃を受けた国なのである.
さらには,言うまでもなく,世界で唯一,核兵器による攻撃を受けた国でもある.
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.142
上記回答のうち,どちらを信頼するかは,読み手の自己責任で(笑).
私見だが,どちらがそうだとは言わない(笑)が,政治的主張に利用したいがために,歴史を捻じ曲げているかのような記述に思えるのは,気のせいだろうか?(爆笑)
【質問】
火薬で天然の硝石と,五箇山で作っていたような人造の硝石,どっちの方が威力があったんでしょうか?
【回答】
威力は分からんが,質は後者の方がかなり劣っていたみたいだ.
ナポレオン戦争時のフランスの話なんだが,革命前はインドからの硝石輸入に頼っていたが,戦争でこれが途絶.
そこで家の軒下から硝石を採る土硝法と,五箇山で作っていたような硝石丘法で自給することになった.
需要は満たせたが,質が甚だ悪く,煤が大量に発生するので小銃を50発撃ったら,尾栓を外して清掃する必要があった.
また,コストもインドから輸入する場合と比較して,輸送コストを打ち消すくらい質が悪かったって話も残ってる.
軍事板,2009/05/31(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
食べ物は勿論,タバコにも賞味期限がありますが,銃に込める弾丸とかにも賞味期限というか,使用期限みたいな物はあるんでしょうか?
【回答】
ある.
長期間の温度変化,物理的振動などにさらされた弾薬は所定の振る舞いが期待できず,使用に耐えなくなる.
管理が悪い場合や製品に問題がある場合には火薬,爆薬が湿気ることもある.
しかし,それでは短期間でも雨降りが続いたり,現場で濡れたら使えないことになり,昔ならともかく,現代ではそれはふつー許されない.
現代では,弾薬の種類や保存環境にもよるが,指定された環境(低温,低湿,暗室)であっても20~30年程度,野外の厳しい環境下では数年というのが平均的な寿命.
電子部品を搭載した精密誘導兵器になるとさらに厳しく,苛酷な環境下では数日でも信頼性に問題が生ずる.
問題なのは火薬や爆薬の物理的,化学的不安定さ.
物理的にいえば,推進薬,発射薬は火薬をさまざまに 加工して粒状にしていることが多く,その粒の形状や粗さによって燃焼状態が変わる.
振動や時間経過,温度変化でこの物理的性質が変化すると,所定の燃焼特性が得られず,最悪の場合は銃身,砲身の破裂を招く.
化学的不安定さは,特に高温にされされた場合に火薬,爆薬の分子が分解し,不安定な中間化合物を作ることによる.
たいていの弾薬は発射薬を含んでおり,このニトロセルローズが経年変化して不安定になる.
最悪の場合,自然発火に至る.
1999年のフィンランドでの弾薬庫爆発も,多量に貯蔵されていた製造後20年(ものによっては50年に至る)の40mm高射砲弾の発射薬が自然発火したためと言われている.
この他にも,
・1989年米ホーソン陸軍弾薬貯蔵所,
・1996年米レッドリバー弾薬貯蔵所,
・1997年米ホーソン弾薬貯蔵所,
・1998年プリメックス弾薬庫
など,老朽化弾薬の発火によると思われる事故は多発している.
このため,老朽化弾薬を周辺危害,環境汚染することなく処理する方法の開発と施設の建造が進んでいる.
軍事板,2005/03/07
青文字:加筆改修部分
無煙火薬の主成分ニトロセルロースは,Phの傾き&吸湿&加熱による加水分解で酸と熱が生じ,加速度的に分解が進む.
で,NO2が多くなると発熱してドカン.
これは添加剤でも完全には押さえきれない反応.
だから試験は製造後2年以降3/mのスパンでも行われる.
USの武器庫がよく吹き飛ぶのもこれが原因.管理が甘いから劣化した火薬放置プレイの結果.
ニトロセルロースは爆薬(最近のダイナマイトの基材はニトログリセリンではなくて糊化したこれ)でもあるので,一番取り扱いがやっかいな代物.燃えやすいわ,爆発するわで.
FSB in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
【質問】
拳銃弾・ライフル弾・散弾・重機関銃弾・鉄鋼弾・榴弾・ロケット弾・携行ミサイル……等は,どのように保存するのが理想的なのでしょうか?
【回答】
参考になればいいんだけど.ググって見つけた海上自衛隊の火薬類の取扱いに関する達(抜粋)
第13条 無煙火薬並びにこれを内蔵した弾薬及び火工品を貯蔵する場所は,原則として温度5℃以上38℃以下及び湿度80パーセント以下に保つものとする.
ただし,貯蔵する場所の温度が,次の表の左欄に掲げる温度に上昇したときは,当該場所に貯蔵中の弾薬及び火工品は優先的に消費するものとし,その時間の累計がそれぞれ右欄に掲げる時間に達したものは,臨時検査を行わなければならない.
温度の範囲 累計時間数
40℃を超え49℃以下のとき 500時間
49℃を超え54℃以下のとき 100時間
54℃を超えたとき 直ちに
したがって,室温程度なら特に問題ではないように思われます.
【質問】
埋まったままの地雷や不発弾も自然に爆発する事があるのですか?
【回答】
ある.
そうなる危険があるからこそ処理する必要がある訳で.
私事だが,十数年前,行きつけにしてたバイク屋の知人の店(こっちもバイク屋)が,いきなり謎の爆発で吹っ飛んだ事があった.
最初はガス漏れ事故で処理されちゃったんだけど,爆発で地面が掘り返されてたり火薬の匂いがしたり,明らかに不発弾の爆発を思わせるものだったそうな.
で,その旨申し立てたんだけど,一回ガスで処理しちゃってて役所は相手にしてくれんかったそうだ.
因みに大分の話.
軍事板
不発弾が原因であるということは,現場で採取された破片から確認されました.
この爆発により,五条とバイク屋が破壊されました.
問題はその爆発の後.
不発弾が原因だったために,火災保険などの保障が一切効かず,日本もアメリカも大戦当時の事なので一切保障しませんでした.
そして,バイク屋の夫婦は奥さんが重傷で入院.
旦那さんは助かったものの,店内の商品は全て破壊され,預かっていたお客さんのバイクの保障や治療費で,多大の借金を抱えることになりました.
現在はどうしているのか判りません.
また,大戦当時の不発弾処理に関して,まだまだ多く残っているようです.
実際,事件の1年後くらいに裏川でも不発弾が爆発しました.
【質問】
地雷処理や爆発物処理のことで,お尋ねします.
処理班の人がよく専門(?)の防護服を着ていますが,あの服は実際にはどの程度役に立つのですか?
例えば,ヘルメットを被っていますが,前面に透明なプラスチックのような部分がありますけど,
頭部はどの程度守られるのでしょう?
無傷というわけにはいかないでしょうけど,どの程度の負傷は覚悟しなければならないのでしょうか?
爆発物の規模にもよるのでしょうか,ご存知の方いらっしゃたら宜しくお願いします.
【回答】
>爆発物の規模にもよるのでしょうか
まさにコレ次第.
本気の爆弾からは防護しきれないが,至近距離での雷菅破裂程度なら防護可能.
あるいは,小規模な爆発物の破片による危害を局限できる程度.
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq28z09.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq28z09b.jpg
(画像掲示板より引用)
【質問】
爆薬・砲弾等に取り付ける雷管だのは,人が歯で噛んだだけで爆発するほど爆発しやすい物なのでしょうか?
【回答】
「歯で噛む」というのなら爆破用の「雷管」でしょうね.
TNTやC4等の爆薬や爆索に装着して爆発させる雷管には,主に「電気式」(コードを引いてキーを回すと回路に電気が流れて起爆する)と「非電気式」(導火線のモンロー効果で起爆する)がありますが,どちらの信管も強い衝撃が加わると暴発する可能性があります.
非電気式の場合,導火線と接続する際に雷管の尻と導火線の口とを工具で締め付けて固定しますが,工具や時間が無い場合や横着者である場合は,歯で噛んで固定することがあります.
この際,運悪く強い衝撃を与えてしまって暴発することがあるようです.
ちなみに暴発しても致命傷を負うことは稀ですが,手の中でなら5指を吹き飛ばすくらいの威力はありますので,口の中ではさらに酷いことになるでしょう.
まあ,あくまで「強い衝撃を与えたら・・・」のことなので頻繁に暴発が起こるわけではありません.
(そうでないと工業品として扱えない)
ドカン・オオカミ◆s6tJH5.VuA
【質問】
TNTを地面に置いたとき,1kgあたりで半径いくらくらいまで爆発するんですか?
【回答】
よく意味がわからないんだが,
それは爆音が届く範囲という意味なのか,
人体に有害なレベルの爆圧がかかる範囲という意味なのか,
それとも容器の破片が危害する範囲という意味なのか,
もしそうならどのような容器を用いて,どのような装備の相手にどのレベルの危害なのか(以下略)
とりあえず,爆発物単体として,人体に有害な爆圧が及ぶ範囲と言うことであれば,
http://www.eh.doe.gov/nepa/eis/eis0157/EIS0157_d4.html
にいいデータがある.
ここでは1 psiが人を昏倒させるレベルであり,2
psiでは木造家屋が破損する,という結果を得ている.
これに「Effects of the Explosion」に書いてあるデータと,二乗三乗則を加味すると,20~40m程度になりそうだ.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
各種火薬,爆薬は,TNT換算するとどのくらいになりますか?
【回答】
Relative Effectiveness Power (R.E.power)というものに相当します.
同重量のTNTに対してどの程度の爆発力か=TNT相当重量.
TNT:1(当然)
黒色火薬:0.55
ニトログリセリン:1.5
C-4プラスティック爆薬:1.34
C-B(コンポジションB)爆薬:1.1
ダイナマイト(ニトロ40%):0.65
ダイナマイト(ニトロ60%):0.8
ゼラチン・ダイナマイト(ニトロ60%):0.76
軍事板,2005/11/27(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
指向性爆薬って何ですか?
もし名前の通り,爆風が一定の向きにしか及ばない爆薬だとしたら,どういう仕組みですか?
【回答】
指向性爆薬とは,ご想像の通り,一定の方向にのみ爆発力を発揮するように成型された爆薬の事で,成型炸薬とも言います.
おわん型,或いは「く」の字型に成型されていて,モンロー効果により爆風が指向するようになっています.
爆薬の表面に大きな凹みを入れると,そこに爆発力が集中する.
これをモンロー効果と言います.
ただし,全ての爆発がくぼみに集中する訳ではありません.
ちなみに,凹みに薄い金属製の内張りをつけると,装甲貫徹力が上がります(ノイマン効果という).
こうしたものを成型炸薬弾と呼びます.
装甲を貫通する目的の他,構造材を寸断して建造物を解体するような用途に向いています.
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_var/heat.htm
を参照してください.
三等自営業 ◆LiXVy0DO8s(黄文字部分) in
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「沈黙の戦艦」で,セガールが電子レンジに何か入れて爆発させるけど,あれは何?
本当にあんなことできるのかな?
つまり,電子レンジをその辺にあるもので爆弾に・・・
【回答】
電子レンジでコックが爆弾作るのは1992年のA. Davis監督の映画,「Under Siege」で既出.
スティーブン・シーガル扮するコック(実は元SEAL隊員)が悪者をやっつけるのに使う.
http://www.angelfire.com/linux/hochwald/siege/
水蒸気で油を霧状化し,スティールウールのショートで発火させる,というもの
http://apache.airnet.com.au/~fastinfo/microwave/oven/steelwl.html
で,一種のFAEだと思う.
要は閉塞された空間(ここでは,レンジ庫内)に,気化した可燃物を高濃度で充満させてから,温度を上げて急激な燃焼をおこす=爆発という理屈だろう.
布に浸したり,他の添加物をいれるのは,気化させやすくするためと思われ.
軍事板
※映画板から転載されたレス(?)
【質問 kérdés】
ノイマン効果って何?
【回答 válasz】
ノイマン効果 Neumann effect とは,モンローの円錐形のくぼみに金属板で内張りをすると穿孔力がさらに強くなる現象.
1888年,アメリカの科学者チャールズ・E・モンローは,円錐状のくぼみをもつ炸薬を円錐頂点側から起爆すると,爆発によって生じる衝撃波がぶつかり合った結果前方に集中して放射され,強い穿孔力が生み出されることを発見した.
そして1910年,ドイツの科学者,エゴン・ノイマン Egon Neumann は,モンロー効果を生み出す成型炸薬のくぼみ内部に「ライナー」と呼ばれる金属板を貼り付けることで,穿孔力を更に増加させることができることを発見.
前者がモンロー効果,後者がノイマン効果と呼ばれる.
内張りは,くぼみと同じ形の金属の円錐をはめ込むことで行われることが多い.
爆轟が進行して金属の内張りに達すると,爆轟波によりライナーは動的超高圧に晒される.
そしてユゴニオ弾性限界を超える圧力に達すると,固体の金属でも可塑流動性を持つようになり,液体に近似した挙動を示すようになる.
これにより,融着体と呼ばれる金属塊となって,前方へ超音速で飛び出していく.
ただし,メタルジェットが形成されるためには,爆薬からライナーへ伝わる衝撃波の伝播速度が金属中の音速を超えている必要があるため(金属中の音速は3000
m/s ~ 4000 m/sになる),爆速が5000 m/s以下の爆薬ではメタルジェットが形成されず,効果が無い.
このモンロー・ノイマン効果効果は,工兵が効率よく障害物を破壊する爆薬にまず応用され,第二次大戦が始まると,モンロー・ノイマン効果を利用した成形炸薬弾
Shaped Charge が,対戦車榴弾として発達した.
今日でも成形炸薬弾は使われているほか,スチール製ドアやコンクリート壁を高温高圧のメタル・ジェットで切断するために,モンロー/ノイマン効果を利用した爆薬が,工兵や特殊部隊などによって使われている.
【参考ページ Referencia Oldal】
http://repmart.jp/blog/military-terms/shaped-charge/
坂本明『最強 世界の特殊部隊図鑑』(学研パブリッシング,2014),p.51
https://books.google.co.jp/books?isbn=4059138029
http://eaglet.skr.jp/MILITARY/SHELL.htm
mixi, 2018.1.14
【質問】
プラスチック爆薬って何?
【回答】
プラスチック爆薬 (plastic explosive) とは高性能爆薬(RDX,HMX,テトリル等)にワックスや油脂を加えて化学的に生産されたもので,可塑性を持つ混合爆薬のこと.
世界初のプラスチック爆薬は,1875年にアルフレッド・ノーベルによって発明されたゼリグナイトだが,現代では国ごとに組成や呼び方が異なる,様々な種類のものがあり,中でもアメリカ軍で使用されるC4(コンポジション4)が有名
粘土状であるため,どんな望ましい形にでも簡単に形作ることができ,そのため固形爆弾では難しかった狭い隙間に詰め込むことが出来る,どんな衝撃を受けようが暴発する事はまず無く,火に投げ込んだとしても単に燃えるだけで爆発しないといった利点がある.
【参照ページ】
http://www.special-warfare.net/data_base/309_cqb/cqb_03.html(写真共に)
http://www.uranus.dti.ne.jp/~yuugeki/instant.html
http://www.truecombat.jp/weapons/c4
http://www.warbirds.jp/ansq/4/D2000132.html
http://www.urban.ne.jp/home/tiretown/STAFF_ROOM/OKA/index.html
【ぐんじさんぎょう】,2009/12/06 23:00
に加筆
C4の他に有名なところでは,チェコ産のセムテックですかね.
バルセロニスタの一人 in mixi,2009年11月29日 05:51
PE4を忘れるとは癇癪おこる.
VF-22 in mixi,2009年11月29日 09:19
【質問】
セムテックスとはどういう爆薬なのでしょうか?
私が調べた限りではC4の事をさすと書いてあるページと,まったく別のものであると書いてあるページの2つがありました
実際はどちらなのでしょうか?
【回答】
ともに可塑性があり,比較的鈍感で安全ないわゆる「プラスティック爆薬」という意味で同じカテゴリーです.
Composite C4 は
RDX(Cyclonite)爆薬 - 91%
Di(2-ethylhexyl) sebacate - 5.3%
Polyisobutylene(可塑剤) - 2.1%
Motor oil - 1.6%
の混合物.http://science.howstuffworks.com/c-42.htm
Semtex はおよそ同量のRDXとPETN (Pentaerythrite
Tetranitrate)に少量の可塑剤をくわえた混合物で,もっともポピュラーなSemtex-H
は42%のRDXと41%のPETNを含みます.
従って爆発物の痕跡から,PETNを検出することで,使用された爆薬がSemtexかC4かが判断できると一時考えられましたが,実際には起爆用の雷管や導爆線などにPETNが使用される事も多く,実際には判別困難と言われています.
(HN "system")
【質問】
プラスチック爆弾のプラスチックってどういう由来なんですか?
【回答】
可塑性があることから.
C4爆薬はRDXにゴムの化合物を混ぜたもので,容易に変形する,
つまり,可塑性がある物質だからplastics.
【質問】
プラスチック爆弾を爆発させた直後は,どのような匂いがしますか?
普通の銃弾の火薬の匂いは知ってるのですが,同じようなものですか?
【回答】
普通の銃弾の発射薬は爆薬ではなく,ニトロセルロースをメインに,適度にニトロエステルを混ぜたものです.
プラスチック爆薬はTNT,RDXなどをメインにしてワックス(というかプラスティック)を混ぜて可塑性を持たせたものです.
したがって当然ニオイは違うでしょう.
ただ通常の爆薬と違うのはワックスの部分ですから,爆薬と極端に違うニオイになるとは思えません.
「近寄れないような刺激臭」などはないでしょう.
「特徴的なニオイ」はどうかな.かぎ慣れている人間ならわかるかもしれません.
ワックスやその燃焼物に特殊なニオイがあるという話は聞きませんが, 慣れている人間ならこう例えるかも知れない,という話はあるのかも.
高エネルギー物質関連の論文はよく読みますが,爆発後のニオイについての論文というのは見たことがありませんし,特に話題にもならないところを見ると,ありふれた爆薬のニオイ,つまり窒素酸化物のニオイ(火薬臭さ)に,ひょっとしたらエステルのやや甘いにおいが混じるのかも知れません.
憶測なので突っ込み歓迎.
【質問】
TNT爆弾とC4爆弾は同じものですか?
【回答】
「爆弾」は用途・通称だから,それはまあ愛嬌として(笑).TNTとC4で言えば別物.
TNTは爆薬自体を指し,C4等はそれらの爆薬を「加工」したもの.
つまり,TNTやRDX軍用炸薬を結合剤や可塑剤などに混ぜて粘土状に加工したのが"C"系爆薬.所謂プラスチック爆薬と呼ばれる.
C4にTNTは使われていない.RDX91%に上記加工を加えたもの.
【質問】
C4プラスティック爆弾について聞きたいんでつが,映画「ダイ・ハード」でマクレーンがC4にパソコン巻きつけるのは,重りのためでつか?
それともどっかのスレッドで見たように,電流が必要だったから?
信管を差し込んでたけど,あれだけじゃ爆発しないのかな?
それと,「サボタージュ」って映画で主人公が,C4を爆発させるために電化製品の電源コードをちぎって,そのちぎった方の銅線をC4に差し込んで,反対側をコンセントに差し込んだら爆発してたけど,こういうことって実際に可能なんでつか?
【回答】
C4に差したコードの付いた金属は電気信管のようです.
TVやPCのコンデンサやブラウン管の偏向コイルには大量の電荷が蓄電されております.
これに衝撃や破壊でスパークを起こして,電気信管に通電(正確には磁気誘導かな?)させたようです.
電気信管は静電気や強い電磁波で起爆する危険性があります.
一等自営業 ◆JYO8gZHKO. :軍事板,2004/08/12
青文字:加筆改修部分
導火線が付いてない信管で,刺突や打金式でなければ電気で発火する信管ということになるから,電源が必要.
C4はかなり安定な爆薬なので,信管なしの電流だけで起爆は困難.
大電流をキャパシターに溜めて,一気に電線の一部をプラズマ化する方法でも,かなり工夫と運がいる.
家庭用電源突っ込んで電気流しても,せいぜい燃える程度.
まあ,そこは映画だから.
軍事板,2004/08/12
青文字:加筆改修部分
【質問】
環状主回路とは?
【回答】
爆薬を接続する方法.この方法だと,それぞれの爆薬が,導火線の次の爆薬を起爆させる役割を果たす.
それぞれの爆薬に,信管から遡る短い導爆線を繋ぎ,その短い導爆線の一つ一つを一本の導爆線に接続,全ての爆薬が一つの円を描くようにする.
導爆線は秒速1万mで発火するから,爆薬は一気に大爆発を起こす.
もし導爆線のどちらかの端が切れても,信管が反対側から爆薬に点火して,やはり爆薬を二重に点火することになる.
なお,環状主回路の場合に限らず,信管が巧く働かない可能性を考慮し,常に信管は2つ仕掛け,起爆装置に別々に接続するのが最善.
ソースは,Gaz Hunter 「SAS特殊任務」,並木書房,2000/11/1,
p.145から.
【質問】
爆弾の爆発力と言ったら,どの程度のものなのでしょうか?
例えば高層ビルで爆発させたとするならば,C4プラスティック爆弾で,5,6kg程度のものだと,どの位の破壊力になりますか?
【回答】
C4はTNTの1.34倍相当の爆発力がある.
航空爆弾の定番Mk82(500ポンド爆弾)はTNT換算で約109Kg.
B52とかが景気よくばらまいてるアレね.
こいつでもコンクリ製の小規模建造物を丸ごと吹っ飛ばすほどの威力はないよ.
ましてC4の5~6Kg程度では高層ビルの構造にダメージを与えるなんて無理.
C4単体だとMk8x系の爆弾みたいに弾殻破片の効果も期待できないから,爆風とガラス破片による対人被害ぐらいしか影響がない.
しかも,フロアなど開けた空間で爆薬を爆発させても,コンクリートの壁は破れない.
やるなら部屋・廊下など,開けた空間の数だけ爆薬を設置して回るか,構造上の要所(複数)に穴を空けて直接爆薬を埋め込む必要がある.
また爆薬単体の爆発では大した殺傷力を持たない.
金属片・ガラス片などを撒き散らしたり,火災を誘発させることを考えないと,人員・什器へのダメージは拡大できない.
破壊に必要な爆薬量は,何の破壊を目的とし,どのような複合効果を期待するかを決めないと,どうにも計算のしようがない.
仮に爆薬のみでの破壊活動を前提とすると,昨今の自爆テロのでは大抵数十キロ単位,大きいので100~200kgといったところ.
大量の爆薬を用いる例は少なくないけど,「ワンフロア吹き飛ばした」なんて例は無いと思う.
爆破解体なんかの所用爆薬量は知らないけど,構造部の重要ポイント(複数)に必要な量を直接埋め込んで爆破するから,軍用(テロ用)とは比較できない.
最後に爆発物の威力のイメージしやすい例を.
米軍が使っている手榴弾(M67)の炸薬(コンポジットB)が184g,破片による危害半径は15メートルとされているが,爆風のみでは人を殺すほどの威力は発揮できない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
C4爆弾が酒のつまみになっていたと聞いたのですが,あんな物食べられるのですか?
【回答】
食べられません.
C-4の爆薬はニトロトルエン,ジニトロトルエン,TNT,テトリル,ニトロセルロース,ワックスなどの混ざった油状物質をトリメチレントリニトロアミンと混合したもの.
どっちかというとメインなのはトリメチレントリニトロアミンで,ニトロエステル系の爆薬ではないっす.
こいつはヘキソーゲン,サイクロナイト,RDXとも呼ばれるわけなんですが,その性質は
「精製品は無味無臭であるが,動物体内に取り入れられると,脳神経がマヒする毒性がある」
と有機化学ハンドブックに記載されています.
食べると発作的に痙攣,意識喪失を起こし,量によってはそのまま天国まっしぐらです.
次に,質問者は「ダイナマイトは食べると甘い」という俗説を勘違いしているようです.
現在のダイナマイトはニトログリセリン以外にニトログリコールがまざっているので,間違っても食べないでください.
しかし,昔のダイナマイトは,費用が安いという観点から,ニトログリセリンしか使われていない場合が多く,したがって過剰摂取しなければ,多少体内に入っても問題ありません.
同じく有機化学ハンドブックに依ればニトログリセリンは
「甘味を有する.浸透性強くこれを取り扱うときは皮膚又は粘膜から体内に吸収され,発熱,頭痛などの症状を呈する」
とあるので,体内に入れないほうが好ましいですが.
これは想像に過ぎませんが,たぶん,昔の人はダイナマイトを舐めてみたんじゃないでしょうか?
昔のダイナマイトはこのニトログリセリンを珪藻土に6%以上しみ込ませただけの単純なものです.
これなら過剰に摂取せずに,しかも甘い味を味わうことができます.
これが話が伝わるうちに,「ダイナマイトは食べられる」という話になったのだと考えられます.
少なくとも「甘味を有する」と書かれていることから,甘みを感じるくらいの量を舐めても死ぬことは無いようです.
以上,「有機化学ハンドブック」「工業火薬ハンドブック」よりデータを拾って記述.
なお,ニトログリセリン始め,ニトロエステル系の爆薬のほうも,食べると死にかねません.
血管拡張作用が強く,だからこそ心筋梗塞や狭心症発作時の救急薬として使われるわけですが,何もないのに摂取すると末梢血管の拡張,低血圧,卒倒,といくわけです.
だから,爆薬製造工程でも硝酸エステル系は環境管理がうるさい.
皮膚からも浸入するので,下手するとさわってるだけで倒れます.
毒性化学ハンドブック(Ⅰ)によれば
ニトログリセリン:
医薬品として,うっ血性心不全,心筋梗塞の治療,狭心症の長期予防に使用.
経口投与した場合の半数致死量(LD50)はマウスで822mg/kg,ラットで1188mg/kg
この場合,投与後一時間でチアノーゼ,運動失調を呈す.
つまり,体重1kgあたり,822mgの量を投与すると,半数が死ぬという意味で,例えば体重60kgのマウスがいたら,822mg×60=49.3gを投与すると,そのうちの半数が死ぬということです.
医療目的で人に投与する場合,一日0.2~10mg程度です.
参考までにRDXの場合は,
LD50はマウス→73~300mg/kg ラット59~97mg/kg
ですから,超重戦車マウスの自重は188トンなので,RDX爆薬が13.7kgないと,マウスをやっつけるのは難しいですね.
↑大嘘.だが妙に妥当な数字……
(極東の名無し三等兵◆5cYGBbCsjQ in FAQ BBS他)
実際に食べた事例を見つけたので転載↓
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C-4は熱や衝撃に対する感度が低く,火をつけても爆発せず,高温を出して燃えるので,米軍では,固まりをナイフで切って炊事の燃料として使うことが普通に行われていた.
ベトナム戦線で炊事に使って中毒事故が多数起きているが(Hollander 1969, Ketel 1972),原因は燃料のフュームの吸入か,切るのに使ったナイフを料理に使ったか,固まりを鍋の中に落としたか,であろう.
米軍でも日本の自衛隊でも,C-4は無害で甘く,少量なら食べられる,と指導してきた節がある.
食べると,“アルコールに酔ったような気分になる”といわれてきた.
そのため,若い兵隊の中には興味本位で食べる者がいて,中毒が発生している(Harrell-Bruder 1995).
20~26歳の自衛隊員4人が爆破訓練中にC-4を食べ,内3人が全身性の強直性けいれんを起こし,自衛隊富士病院に入院した(東 1995).
比較的多くの自衛官が,爆破訓練や施設作業中にC-4を食べた経験があると見られる.
空腹のため食べる例もあるらしい.
この病院に,5年間にけいれん発作や意識消失で入院した患者32人のうち12人は初発の発作で,脳波にも異常なく,こうした患者の中にはC-4を食べた者もいたと考えられる.
爆薬を興味本位で食べるというのも,元をたどれば,プラスチック爆弾をジャングルの木を倒すのにまで使ったベトナム戦争である(Merrill 1968).
1968年から69年にかけて,南ベトナムの米軍病院では毎月3~4人,この爆薬による中毒患者が入院した(Ketel 1972).
何人かの中毒患者がいなかった病院はなかったという.
シクロナイト(註:RDXの化学一般名.物質名はciclotrimethylenetrinitramine)は,ネズミが好んで食べるといわれ殺鼠剤として使われる.
シクロナイトによる中毒は症状が激烈なのに比べ,死亡例は少なく,記録にある死亡例は5例だけである.
――――内藤裕史著『中毒百科 事例・病態・治療』(南江堂,2001/6)
東富士で起きた症例の原著論文は↓
東 賢治ほか.Composition C-4爆破薬の経口摂取が人体に及ぼす影響.防衛衛生
1995;42:363-7
米CDCの中毒データベースの記述は↓
http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search/f?./temp/~mDx27p:2:FULL
【質問】
今後,現在の高性能爆薬以上の爆薬ができる可能性は,物理的に存在しえないのでしょうか?
四倍の威力の炸薬があれば,20mmグレネードでも充分な破壊力があるでしょう.
100倍の威力の炸薬と信管の小型化ができれば,小銃弾を現在のグレネードランチャーと同様に使うことも可能でしょう.
もちろん,爆弾やミサイル,砲弾もそれだけで革新的に破壊力を増すはずです.
それほどメリットが大きいにもかかわらず,もう何十年も進歩らしい進歩がないということは,やはり現行のものが化学エネルギーの限界なのでしょうか?
【回答】
高威力の爆薬の研究は現在も進行中ですが,現行で十分な威力を持つものがあるので,それで満足していることが,進歩停滞の要因です.
研究中の化合物には,オクタニトロキュバン(C_8N_8O_16)などがあります.
一見して分かるように,これは非常に強力な爆薬になる可能性がありますが,爆速において約1数%の改善が見られるに過ぎません.
また,昔っからN60分子が出来ればTNTの数倍の威力とか言われてましたが,未だ理論上の存在でしかありません
しかしながら,兵器システムの一部として考えた場合,ひたすら高威力の爆薬を追求することには,実はあまり意味がありません.
兵器というのは望むだけの破壊を,望むだけのやり方で,起こすこと,つまり,コントロール可能であることが非常に重要で,この流れが止むことは,昨今の情勢から考えてありえません.
特に今の兵器の流れは,破壊力増大よりも,命中精度を上げて,「必要にして最小限度の」破壊力で目標に対する効果が上がることを目指しています.
例を挙げると,アメリカの開発している新型支援兵器も,口径25mmながら電子機器内臓の信管を使って,目標の真上で正確に爆発させることによって25mmで40mm擲弾と同じ効果が上がるように設計されてる(しかも,口径が小さくなるので輸送弾薬量も40mmに比べると多くでき,よりコンパクトな連射火器が作れる)し,威力増大化の方向へは行っていません.
また,現在の爆薬研究のトレンドは,高威力化と同等かそれ以上に,高安全化が志向されたものになっています.
軍用で使う場合,安全性が高くコストが安く量産が出来なければなりません.ハードルは高いです.
例えばグレネードでも,周りに被害を与えるのは爆風ではなく破片です.
なので,あんまり炸薬の威力が大きいと破片が小さくなりすぎて,かえって被害半径が小さくなってしまい,無意味です.
また例えば,小銃弾の装薬(弾を発射する際に用いる火薬.弾の中に入っていて命中時に爆発する火薬は炸薬と言います)の燃焼速度はあまり速くありません.
これは,燃焼速度が速すぎると,銃身を傷めるからです.また,あまりにも早すぎると銃身破裂ということもありえます.
なので,比較的燃焼速度の遅い火薬で弾を少しづつ加速して発射するわけです.
軍事板,2004/09/12
青文字:加筆改修部分
【質問】
液体火薬は実用化されているのでしょうか?
あと,液体火薬のメリット,デメリットも教えてくれるとうれしいです.
【回答】
液体装薬には二つの考え方がある.
一つは現在の装薬同様,火薬自体に燃焼に必要な酸素を含んでいるもの.
ただ,黒色火薬以来,長い歴史によって開発されてきた固体装薬と違って,液体火薬では爆燃はするが爆轟しない,という発射薬に必要な性質を持ち,かつ温度変化(気温,砲身内温度)に対して安定なものがない.
また,被弾などに対してはむしろ不安定なものが多く,新物質の開発もなかなか進まない.
もう一つは火薬は酸素を持たず,あるいはかなり不足していて,空気中の酸素を利用するもの.
つまり燃料気化爆弾のイメージ.
これだと被弾しても安全だし,空気を使える分,燃料重量あたりの出力を稼げる.
しかし,自動車のエンジンの効率アップが大変なのと同様,空気と最適比で混合し(温度,気圧を補正しつつ),発射の短時間で完全に燃焼させるのは至難.
燃焼にムラができて温度,圧力的に砲身に部分的な負担がかかるところができやすい.
液体火薬を均質に着火することが難しく――ここで苦し紛れにレーザー点火とか,プラズマ点火とか出てくる――,火薬が分解して燃焼する過程で砲身内部を浸食しやすいといった欠点がある.
利点としては,モジュールを個数単位で追加して射程調整する固体装薬と違って,液体では連続可変で好きなように量を変えられる上,固体装薬のように射程に応じて何種類かのモジュールを持つ必要もありません.
兵站は楽でムダがない.
また,燃焼中にさらに追加することで,砲身内圧を局部的に上げることなく,大射程を得ることもできます.
しかし上記の欠点のため,各国,特に米はかなり費用を投じたものの,結局あきらめて将来の課題としています.
【質問】
圧力容器実験というのは何を調べる実験なのでしょうか?
ちなみに,bombemanome´triqueでぐぐると,このような写真が出て参ります.
http://www.chez.com/thiot/#Bombm
【回答】
圧力容器内の試料を外部からの加熱で燃焼させ,熱分解の激しさを測定するものです.
爆薬の特性測定にも用いられます.
火薬類の性能試験中,静的効果の試験,に分類されるようです.
圧力容器試験は外部から熱を加えて試料に熱分解を起こさせる装置ですが,そのサイトの写真と説明,特に6000気圧とか12000気圧とかいう耐圧を見ると,おそらく内部で実際に信管と起爆薬を用いて爆轟を起こさせる装置だと思います.
爆薬の性能はどれだけ短時間に爆轟が終了し,最大圧力に達するかが問題になります.
【質問】
爆弾が爆発したあと,爆発物の特定ってどこまで出来るものなんですか?
時限式だったとか,任意の時刻に爆発させたものだとか,そういうのは分かるんですか?
【回答】
爆発物には爆発後にも分析可能なトレーサー(化学物質)を混ぜたり,成分の配合比を工場によって微妙に変えたりして,爆発残渣の分析によって,どこの工場の製品が使われたかわかるような仕掛けがされているものがあります.
現在製作されているプラスティック爆薬は,少なくとも表向きにはすべてこの制限下で作られていたと思う.
また,金属部品やワイアーなどはけっこう残るので,これらから発火装置の見当がつくこともあります.つかないこともあります.
いつ爆発するようにセットされていたかとかになると,まず分からないでしょう.
【質問】
爆薬は,信管がなければ安定した物質で,コンロの固形燃料のようにチロチロ燃えると認識しています.
ならば,戦車や艦船の「弾薬に誘爆」というやつはなんなんでしょうか?
量が多すぎるとか,弾薬以外のものに引火しているのでしょうか?
【回答】
一つは密閉されているということです.主爆薬だけであっても温度が上がれば熱分解が始まります.
これによって温度がさらに上がるとともに圧が上昇し,分解速度は加速度的に速くなります.
結果として爆発にいたり,あとはその衝撃で隣接する爆弾などが誘爆します.
このため現在では熱分解を起こしにくい,起こしても圧上昇に対して鈍感な低感度爆薬が多用されます.
次に,信管と伝爆薬の問題があります.
主爆薬は上記のような事情のため,低感度爆薬ほどでなくともある程度鈍感なものが使用されています.
信管だけで確実にこれを起爆するのは難しいため,通常は信管の爆発を増幅するための伝爆薬が使用されます.
これらは低感度にしにくいため,熱が加われば爆発します.
このため使用直前までセットされませんが,臨戦態勢であれば当然セットされたものも存在します.
これらが爆発すると,周囲の未セットのものも誘爆します.
そのようなことがないよう隔離して置くのですが,いつもうまくいくとは限らない.
本来,伝爆薬が起爆しても,安全装置が解除されるまでは主爆薬の間に物理的な隔壁があるよう設計されるのですが,これも下手な設計もあれば予想外の状況もあり,なんだかんだで「弾薬に誘爆」の危険は常に存在します.
なお,大昔は黒色火薬を使ってたので,がちで燃えます.
現代の火砲の装薬に使われるニトロセルロースのトリプルベースはまだ安定していますが,それでも火の中に投げ込んでもいい代物じゃありません.
【質問】
ノーベルがダイナマイトを発明するずっと以前から,火薬自体はあった訳ですが,投擲や爆発する砲弾に使われていたのも,それまではずっと普通の火薬だったのが,ニトログリセリンに替わったという事はありますか?
現在の手榴弾は,ニトロ系ですか?
【回答】
砲弾の炸薬に鋭敏なニトログリセリンを使うのは危険で,ダイナマイト砲といった特殊な物を除いて使われていません.
「普通の火薬」というのが,木炭と硝石と硫黄を配合した黒色火薬という意味で,「ニトログリセリン」が,それ以外の化学工業的に合成された火薬という意味なら,今日兵器として用いられている爆薬(炸薬や装薬)のほとんどは,後者です.
現在炸薬に使われているのはTNT,RDX,HMXといった物を主成分にしています.
手榴弾に関して言うならば,例えばWWⅡで米軍が用いた手榴弾のように,黒色火薬特有の発煙効果と焼夷効果に期待して,あえて黒色火薬を使用するものも多かったのですが,車両の装甲化の拡大とともに,より爆発力の強い合成火薬を炸薬として使用する,「破甲手榴弾」が一般的になりつつあります.
【質問】
トランプから爆弾を作る方法を教えてください.
【回答】
ドナルド・トランプに演説させ,爆弾発言を待つ以外の方法としては,実際に次のような方法が使われたことがあるという.
カリフォルニア州サンフランシスコ北部にあるサン・クエンティン州立刑務所に収容されていた,ウィリアム・コグートという死刑囚が実践した方法で,彼は,持ち込んでいたトランプの表面のセルロースをこそぎ取り,食器鉢に集めて水でふやかした.
トランプのセルロースは,その原料が強力な爆発力をもつ二トロ・セルロースからできていることを,彼は知っていたらしい.
それを,水道の鉄管につめて手製の爆弾を作り,部屋のコンロで熱して自爆したという.
詳しくはリプレー『世界奇談集2』(河出文庫,1987),p.35-37
を参照されたし.
摩夜峰央『パタリロ!』にも似たようなネタがあったが,上記の本が元ネタだろう.
ただ,セルロースをニトロセルロースに変えるには,硝酸と硫酸との混酸で処理せねばならず,刑務所の中で手に入る材料だけで硝酸エステル化が可能かどうかは不明.
まあ,刑務所内にも作業棟や医療室などに様々な薬品があるだろうから,盗んでくることもできるかもしれないが…
あるいは,澱粉や綿などを濃硝酸に入れて暖めて溶解させ,水洗いすると強燃性のキシロイジンが生成されるから,本当はこちらのほうをコグートは作ったのかもしれない.
mixi, 2016.7.25
『戦場ロマン・シリーズ』にもありましたね.
ヤン・ヒューリック in mixi,2016年07月25日 20:12
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