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◆◆◆軍需産業
<◆◆兵器開発生産
<◆総記 目次
<兵器FAQ目次
「Defense News」◆(2012/09/27)Finmeccanica
CEO Warns of Italian Defense Cuts' Consequences
「Defense News」◆(2012/10/01)Finmeccanica
Eyes Strategic Response To Possible Merger
フィンメカニカとBAE-EADS社との合併話
「Defense News」◆(2012/10/10)EADS/BAE
talks break down; source cites German opposition
「Defense News」◆(2012/10/11)EADS To Review
Strategy; Cooperation With BAE Possible:
Enders
「Defense News」◆(2012/10/11)French Govt.
Declares Support for EADS After BAE Deal
Fails
国際的な企業合併の関連
「Togetter」◆(2006/12/06)「有価証券報告書は軍需産業のこれからの利益とは関係ない」 by 9条の会
【質問】
軍事産業の定義は?
【回答】
これが意外に難しい.
詳しいことは
http://www.kojii.net/opinion/col060918.html
を読んでもらえば分かるが,定義を広くとって「軍に納品している業者」だとすると,例えば養鶏場や牧場まで入ってしまう.
じゃあというんで,軍と直接契約している業者だけに限定すると,今度は,戦闘機を作っている会社に納品しているような関連会社が漏れてしまう.
「軍でしか使わないような物品を納品する業者」だと定義すれば,民生品転用しているようなパソコンだのソフトだのの企業まで含まれてしまう.
防衛関連の売り上げが総売り上げに占める割合で線引きしてしまえば,例えば三菱重工のようなところが漏れてしまうことになりかねない.
てなわけで,定義はまず不可能.
余談だが,「軍需産業は儲かっている!」と力説している人達は,どう「軍事産業」を定義しているのか,ぜひ聞かせてもらいたいものですね.
【質問】
平時には軍事産業って,儲からないものなのですか?
車両は別にして,戦闘機なんかの産業は,滅多に当たりの機体を開発することは出来ず,大量輸出して量産できないのなら,ほとんど儲けが出ないというレスを以前見たのですが.
【回答】
▼ 儲かるの定義によるが,今は軍需が儲からない時期とするのが一般的.▲
植民地獲得競争も冷戦も,過去の遺物となり果てました.,
例に挙がった戦闘機でいえば,世界のロッキードマーチン社ですら安泰ではない
(政権交代によるF-22調達打ち切り予測や,F35の開発難航.
そもそも同社は,単体で立ち行かなくなってきたロッキード社とマーチン社が合併してできた会社)
軍需は一見安定してるように見えて不安定なのです.
(政府の都合や情勢に振り回される.自由市場でないので競作に敗れるとそれまで)
戦争成金のような特需の面が強調されがちですが,山あれば谷あり,不況の時はとことん不況です.
しかも戦争=特需というような単純なものでもないですし.
そういう意味で,冷戦のような恒久的な軍拡競争の時期が一番おいしいのですが,その冷戦が崩壊してどん底,
世界の軍需産業は経営統合の嵐でした.
そんな軍需産業が産業として成り立っているのは,国家が安全保障上の観点から,基盤維持のために食わせいる(計画的に調達を行ってる)という事と,大抵のメーカは民需部門を抱え,もしくは本業としていて,技術・設備を融通し合うことでリスクヘッジしていたりするからというのが大きいです.
もちろん純粋に軍需産業としての企業努力で,生き残ってる企業もあるのですが,いかんせん市場が限られていますから,数や規模で民需企業に比べると見劣りします.
収益率の面からみても,ドル箱とは言い難い.
前述のロッキードマーチン社の軍事部門収益は,小売り大手のウォルマート社の十分の一です.
モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板,2009/01/04(日)
青文字:加筆改修部分
▼ よそさまのブログからですが,▲
http://d.hatena.ne.jp/k-takahashi/20070815/1187190404
> ロッキードマーチンの防衛関連の収益は360億9000万ドル.
>ウォルマートは3511億3900万ドル.
「世界最大の企業であるウォルマートストアと比べるのはどうか」
という見方もできるが,しかし,LMは軍需産業で売上一位だから,トップ比較ということにはなる.
しかも,世界中の軍需に占めるLMのシェアと,世界中の小売業に占めるウォルマートのシェアだったら,絶対前者の方が大きい.
軍事板,2009/01/04(日)
青文字:加筆改修部分
▼ まずもって,「儲かる」というのが実務と一般での認識に差異があるが,少しでも財務諸表を読める人間であれば,「儲かる=収益性」を判断するのには「利益”率”」であって,「利益”高”」で収益分析をするなど,会計学的観点から言えば噴飯ものである.
慣習的に異業種での収益性比較には,自己資本利益率(ROE,return
on equity)あたりが妥当.
Lockheed Martin Corporation : 50.781
Northrop Grumman Corporation : -8.525
General Dynamics Corpration : 22.538
Raytheon Company : 15.461
これらのメディアンは,S&P500のそれの2倍以上である.
以下は投稿者の私見.
1:90年代の業種不況によるドラスティックな再編が進んだ結果,高収益体質となった.
2:兵器体系のソリューション化が進んだ結果,固定資産の償却が促進された.
【参考文献】
桜井久勝『財務諸表分析』(中央経済社,2010.3)
七師三等兵 in FAQ BBS,2010/4/15(木) 13:32
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
会計学の立場から見れば仰せのとおりかと存じます.
しかし
http://www.ccsjp.com/mouke/mouke104-1.htm
http://www.ccsjp.com/mouke/mouke104-2.htm
http://www.kaisya-support.com/mouke.html
http://www.iwasaki-bei.co.jp/solution/cost_management/no1.html
http://news.livedoor.com/article/detail/4712008/
などを見ますに,「利益”率”」のみを儲けの定義とするにはいささか問題ありかと存じますが,その点はいかがでしょうか?
そもそも,上記リンクを見ますに,「儲け」の定義が数々ある様子なので,その辺から記述を改訂していく必要があるかもしれません.
消印所沢 in FAQ BBS,2010/4/29(木) 0:52
青文字:加筆改修部分
【回答】
ご趣旨はごもっともですが,極端な話,「利益”高”」のみよりは遥かに妥当です.
加えるならば,Wal Martという異業種との比較を,原文では行っていたので,前記後段で「自己資本利益率」が妥当であろうという見解を示させていただきました.
これは単純な利益率(ex:売上高営業利益率)とは,やや趣を異にする指標です.
(詳しくは参考文献をぜひ)
七師三等兵 in FAQ BBS,2010/4/29(木) 2:10
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦争が起きると軍需産業は儲かるのか?
【回答】
「儲かる」と言う人は,一言で言えば「漫画の読み過ぎ」.
昨今では,昨今では戦時になったからといって,急に戦闘機や艦艇の増産なんてやらない.
むしろ戦時になると,目先の戦争で必要な消耗品や作戦経費のために予算を食われてしまい,大手メーカーこそ割を食いかねない立場にある.
詳しくは,
2006/08/14付,Kojii.net
を参照されたし.
また,
http://okwave.jp/kotaeru.php3?qid=2297449
では,具体的に数字を挙げて詳細に述べられている.
なお,新谷センセの名誉の為に付け加えておくと,エリ8でも
「戦争はコントロールが難しい=戦争で利潤を得ることには無理がある」
という割とシビアな結論が出ております.(軍事板)
アメリカの会社だとたいてい,Web のトップページで「Investor
Relation」のリンクを探せば,後はどうにかなります.
大手各社の,昨年の年次報告書リンクを集めてみました.
・Boeing
http://www.boeing.com/companyoffices/financial/finreports/annual/05annualreport/05AR_links.pdf
・Lockheed Martin
http://www.lockheedmartin.com/data/assets/12229.pdf
・Northrop Grumman
http://ccbn.mobular.net/ccbn/7/1769/1942/
・Raytheon
http://media.corporate-ir.net/media_files/irol/84/84193/reports/AR05.pdf
・L-3 Communications
http://www.l-3com.com/supportfiles/2005_L3_AR_FINAL.pdf
・Alliant Techsystems
http://www.atk.com/Downloads/annualreport_ATK_2006.pdf
・EADS
http://www.eads.com/xml/content/OF00000000400004/6/99/41323996.pdf
http://www.eads.com/xml/content/OF00000000400004/2/73/41323732.pdf
・Thales
http://www.thalesgroup.com/all/pdf/Thales_uk_2005.pdf
# GD はなぜかサイトに接続できなくて… orz
「ヒコーキ屋」と思われているような会社でも,実際にはエレクトロニクスやその他のシステム部門が多くの売上を計上していて,航空機やミサイルなどの「目立つ正面装備」による稼ぎは,意外なほど比率が低い,というのが大手各社の印象ですね.
下のグラフは過去 10 年間の株価推移.
上から,Alliant Techsystems,Boeing,General
Dynamics,ITT Industries,L-3 Communications,Lockheed
Martin,Northrop Grumman,Raytheon,Microsoft
(爆)
けっこう,会社によってばらつきがあって面白いでしょう.
株価は業績の反映というより,投資家からの期待値の反映なので,どの会社が期待され
てるか,という指標にはなります.
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r02.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r03.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r06.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r04.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r05.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r08.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r09.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq46r07.jpg
井上@kojii in mixi支隊
日本語の資料だと適当なのは↓とかですかねぇ?
主要航空宇宙企業の概要
http://www.jadc.or.jp/9_Company.pdf
米国及びヨーロッパの航空・防衛産業の現状と再編成
http://www.iadf.or.jp/8361/LIBRARY/MEDIA/H15_doukochosa/h15_3-1.pdf
(財団法人 日本航空機開発協会 Japan Aircraft
Development Corporation より)
国債@gainer in mixi支隊
一部の人たちが抱く軍需産業のイメージって,どこぞの地下秘密試験場とかで,金ぴかの勲章をゴテゴテ付けた軍人や,TVでよく見かける政府高官が列席する中,マッドな課科学者が超技術のデモンストレーションをやってるイメージだったりするんでしょうか.
だとしたら,それはそれですごく見てみたいなー,と.
丼炒飯 in mixi支隊
産「こんな超兵器ができましたけど,いかがです」
軍「ふっふっふ,面白い.しかし予算をひねり出すのが大変だな」
産「そこで裏から手を回して予算を分捕るのが将軍の腕前というものではありませぬか.これがあればテロリストも皆殺しですぞ」
軍「おぬしも悪よのお,はっはっは」
これじゃ「悪代官と越後屋」ではないか
( ・_・)ノ☆(*_ _)
井上@Kojii.net in mixi支隊
薄暗い秘密の地下実験場.
防弾ガラスに囲まれたVIP用の閲覧席で,軍部首脳や政府高官達が静かに中央の雛壇を見ている.
「では実験を開始する!」
それまで白衣の男たちの会話で騒然としていた雛壇の周辺が,博士の一言で沈黙する.
脇のコンソールに座っていた研究員の一人は,博士から眼鏡をかけた目で合図を受け,コンソールのスロットルを一気に引き下げた.
中央の雛壇に置かれたビーム砲の外殻の隙間から青白い光が漏れ始め,VIPルームとフロアにいる全員が急いでサングラスをかけるが,博士はそのまま置かれたビーム砲を笑みと共に見つめ続ける.
外殻の奥から発生される一定間隔の動作音が段々と早く,甲高くなっていく.
それが高周波の連続音に感じられて数瞬,室内が光に包まれた.
今までの甲高い連続音より更に一段高く,短い音と共に据え付けられたコンクリート壁に光の柱が突き刺さり,爆砕した.
一瞬の間隔.
突如喝采を挙げる研究員.
宙に舞う書類の束.
満面の笑みと共に硬い握手を交わすVIPルームの男たち.
そして狂気ともとれる破顔と共にフロア中に轟く笑い声を上げる博士.
「素晴らしい…素晴らしいぞ!!」
そして急いでVIPルームからフロアに降りてくる将軍.
「いや,よくやったぞ博士!!」
将軍は博士の手を握り締めながら続ける.
「これで私が顧問をしている○○インダストリーは他社を圧倒できる!!」
「この新兵器を搭載した兵器を陸軍が採用すれば我らが祖国の威厳は更に揺るぎないものとなるでしょう.あなたは祖国の英雄として,軍人の模範として後世に名を残すのですよ.」
博士の饒舌さに将軍は更に笑みを強くした.
「その通りだとも.さて,私はこれから政府首脳のお歴々と食事に行くよ.予算を通してもらわにゃならん.博士も一緒にどうだね?」
「自分は結構です.まだ後片付けが残っておりますのでね.」
残念そうな表情を浮かべつつも,出口へと将軍は向かう.
その背を見ながら博士は呟いた.
(まだだ…こんなものでは…もっと強力な兵器を…力を…!!)
……こうですか,わかりません!!
D-A in mixi支隊
▼ 【追記】
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100922/246057/?P=5
> 田原総一朗の政財界「ここだけの話」
> 尖閣沖事件,小沢氏を特使派遣したらどうか
>米中の「新しい冷戦」が始まった
> 米国側の勢力は軍産複合体だ.アフガン戦争は泥沼化しているものの,
> イラクからは戦闘部隊の撤退が完了し,大きな戦争もないので軍需産業が縮小する傾向にある.
> そこで軍需産業を中心として軍,政府がからむ軍産複合体は,自分たちの力を大きくしたいという欲求がある.
すごく レトロな 世界観.
流石の安定感,長年「朝生」を仕切って来ただけのことはある.▲
【珍説】
本来,冷戦が終わり縮小しても不思議はない軍隊や軍需産業にとって,戦争は「作っても」必要なものである.
日本国際ボランティアセンター著「NGOの選択」(めこん,2005.11.6),p.24
【事実】
上記項目の通りですので,ぜひ訂正版を印刷し直してください.
JVC(日本国際ボランティアセンター)が援助をやめない北韓(北朝鮮)にせよ,ミサイル技術その他を売ることができるのは「平時」だからで,実際に戦争になったらそれどころではなくなるでしょう.
【珍説】
防衛関連産業が兵器製造から手を引かないのは,儲かって仕方がない美味しい商売だからだ.
▼ 【事実】
国防総省の受注額割合と受注上位リストぐらい調べてから言え.
さらに言えばボーイングの軍需部門と民生部門の割合とか,ジェネラルモーターズやトヨタといった民生部門の巨大企業と収益を比べてみろ.
軍需産業がいかに小さな市場で成り建ってるかが分かるから.
市場が小さければロビイングも限られてくる.
冷戦時代に軍需産業がワシントンで大きな顔をできたのは,国家プロジェクトとして強力かつ長期的に推進される,巨大プロジェクトの存在に事欠かなかったからでしかない.
軍需産業が単に一つの市場に堕ちたも同然な現在となっては,個々の企業の業績は一企業の問題でしかなく,民間の他の市場と正面から力比べなど望むべくもなくなっている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
▲
ソビエト連邦が崩壊した後の1990年代前半,「平和の配当」という言葉に踊らされて,防衛関連産業にも民需転換を図る,あるいは民需にも進出する,という動きが出た.
でも大失敗.
要求仕様を満たし,実戦で威力を発揮することが最優先の兵器開発と,技術的な良し悪しと商品としての良し悪しが直結しない民生品では,商売のやり方が違いすぎたためだ.
この失敗に懲りて,冷戦期と比べると小さくなった市場の中で何とか生き残ろうとして苦労しているのが,今の防衛産業の姿.
だからこそ,得意分野や高付加価値分野への事業絞り込み,あるいはM&Aによる規模拡大とスケール・メリットの追求,なんてことになる.
井上@Kojii.net in mixi支隊
▼ といったところで余談をひとつ.
昨今の世界の戦車市場で,もっとも多くのおカネが動いているのは,なんと
M1 戦車の補修・アップグレードだったという話.
なんでも,中国が 98 式戦車の新規調達にかけている金よりも,米軍が
M1 戦車の RESET やアップグレードに使っている金の方が多いとか…
2009年12月28日 18:27 井上@Kojii.net
最新鋭の99G式で1両250万ドル,開発中の0910工程が1両300万ドルを予定ですから,安いですけど中国自身から見れば凄く高価なんですよねぇ・・・
ちなみにロシアのT-90は自国向けで1両150万ドル.
2009年12月28日 18:40 JSF
06年末にウラルヴァゴンザヴォードが供給したT-90の価格は,一輌につき4200万ルーブル(150万ドル)だったのが,インフレの影響を受け,07年初めには5800万ルーブル(200万ドル)という情報もあります.
ロシアではインフレによる価格高騰の煽りを受け,追加予算の計上や調達の失敗を招いています.
ソースは 「軍事大国」ロシアの虚実 (単行本)塩原
俊彦 (著) p.97〜P99.
2009年12月28日 19:10 CRS@空挺軍
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
▲
【珍説】
戦争は確実に軍事関連企業の需要を増やします.
ただ,冷戦後の低強度紛争では冷戦型大型装備の需要は増えず,冷戦型軍事関連企業にとっては焼け石に水というだけの話.
【事実】
何か忘れていませんか?
そう,「現代の軍需産業はたいてい,民需部門も抱えており,利益に占める割合は民需部門のほうが大きい」ということを,この人は忘れていますね.意図的に無視しようとしているのかもしれませんが.
したがって,戦争特需で幾ばくかの利益があったとしても,そんなものは戦争による景気後退により相殺されるか,むしろ景気後退の分だけマイナスになる場合が多い.
今回のイスラエル・ヒズボラ紛争でも,そのためにますます原油高が進み,景気後退の不安材料として扱われていたことは,紛争たけなわの頃の経済紙を見れば一目瞭然.
むしろ,あの程度の軽めの紛争で済んでくれたことに,軍需産業関係者も安堵しているかもしれませんね.
シバレイの数字は一見もっともらしいのですが,この紛争の開始前と開始後の,企業全体としての利益総額,およびそれに軍需が占める割合,原油高による予想損益,なども出さないと,「戦争で軍需産業が儲かる」ことを証明できたことにはなりません.(あと,できれば軍需産業の定義もよろしくね).
同じことは,米国防費の伸びだけをピックアップした表――戦争で儲かる」の証明にはなってませんよ――や,911直後の株価だけを並べた画像――株価は「人々の期待の大きさ」の反映ですから,単純に「戦争になるぞ! 軍需産業の株を買おう!」と考えた人が多かった,ということの証明にしかなりません――についても言えます.これらはよくあるパターンですが.
「自分にとって都合のよいデータしか出さない」
というのは,典型的なデマ・パターンですので,皆さんはくれぐれも騙されないようにしましょう.
繰り返しますが,要するに現代の軍需産業の構造は
(1)「軍需部門の中には,戦争で利益が出るものもある(といっても,消耗品中心)」
(2)「しかし民需部門は戦争による景気減退で利益が減る」
(3)「現代では民需部門のほうが大きいので,企業全体で見ると儲からない」
(4)「軍需部門でも大型機材分野では,戦争が起こると,消耗品に予算を取られた皺寄せを被るので,なおのこと儲からない」
というものになっています.
模型ダイアリーやシバレイは,(1)だけを強調し,(2)〜(4)を忘れているか,何らかの含むところがあって意図的に無視しているだけなのです.
【珍説】
戦闘機などの兵器の発注数の減少にしても,それを必要とするような脅威が存在しないからであって戦争が始まったからではありません.
むしろ,JSF(F-35)は911事件により首がつながり,対テロ戦争により削減数が緩和されているような状態なわけで,テロや低強度紛争はそういう冷戦型軍事関連企業の延命に役立っています.
ただ,その程度では冷戦型軍事関連企業を支えるには需要が少なすぎるだけ.
利益の問題より企業体質の問題.利益が出ることと経営状態が悪いことは矛盾しません.
冷戦型軍事関連企業が赤字なのは,冷戦終了後の脅威の喪失に伴う市場規模縮小の影響が大きいわけで,もし低強度紛争すらなければ冷戦型軍事関連企業はもっと酷い赤字でしょう.
実際に数値で事実を示しても伝わらない人には伝わらないのだなというのが正直な感想.
戦闘機などの兵器の発注数が減っているのは事実ですが,それは冷戦終了による脅威の喪失と因果関係があり,冷戦後の武力紛争はむしろ発注数の削減を緩和する方向に働いているという現実は,冷戦後の世代には感覚として分かり難いのかもしれません.
【事実】
なんでやねん.
以下に引用するように,JSFが延命したのは,ターリバーン戦争の「戦訓」によるものです.
もしこの戦訓が要求するものを満たすことができなかった機材だったならば,JSFがキャンセルされた可能性は高かったと言えます.軍の要求に応えられないモノを調達するほど,米軍は予算が余っているわけではありませんので.
要するに,「運が良かった」というだけですね,JSFの延命は.
さらに空母や陸上の発進基地から攻撃目標まで,非常に距離が遠い.パキスタン南部の海岸線からカンダハルまで片道700km,首都カブールまで1,000kmを超えるから,使用航空機の本来の攻撃距離をはるかに超えている.そこへ重装備をして,暗闇にまぎれて飛んで行き,小さな目標を正確にとらえなければならない.
戻ってきたパイロットたちも「テロ撲滅の闘いに参加できて誇りに思う」と語ったりしているが,そう言わねばならぬほど困難な任務なのであろう.
そこで,もしここにジョイント・ストライク・ファイター(JSF)があればどうだったか.パイロットは鼻歌まじりでとはいわないけれども,もっと楽に任務の遂行ができたかもしれない.
というのは,目下開発中のJSFは航続距離が長いから近隣諸国に航空基地を置く必要がない.
これで軍事的な問題ばかりでなく,政治的にも厄介な問題を避けることができる.
また超音速で,敵に見つかりにくいステル性を有するので,敵地上空へも難なく進入できる.
さらに,標的に対して正確なねらいをつけることができるので,誤爆などの問題もなくなる.
そのうえ,海軍向けの機体はホバリングと垂直着陸が可能だから,狭い戦場でも大きな柔軟性をもって運用できる.
そう思ったかどうか,米国防省はかねて評価試験をしてきたJSFについて,ボーイング社とロッキード・マーチン社の競争提案の中からロッキード案を採用すると発表した.
http://www2g.biglobe.ne.jp/~aviation/jsf011029.html
また,以下の引用のように,対テロ戦争では,航空機や船舶による大掛かりな装備は「貢献度がほとんどない」とされていますので,これから先,JSFのような大型装備は,調達数は減ることはあっても増えることはないでしょう.
これのどこが,「テロや低強度紛争はそういう冷戦型軍事関連企業の延命に役立って」いることになるのやら.
数十年は対テロ戦中心 英戦略研が年次報告
【ロンドン25日共同】英国際戦略研究所は25日,各国の軍事動向や地域情勢を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス2005−2006」を発表し,西側諸国にとっての紛争は「今後数十年」は対テロ戦が中心になると分析.ハイテク技術を駆使し目標をピンポイント爆撃する米軍の軍事技術革命(RMA)の有効性は「疑わしくなった」と指摘した.
報告書は,アルカイダに代表される国際テロ組織がゲリラ的な戦術を取っている現在,必要とされる戦力は特殊部隊などの地上戦力が中心で,航空機や船舶による大掛かりな装備は「貢献度がほとんどない」と強調.
(共同通信,2005/10/25)
事実,無人機のための予算に食われて,調達を適当な数でやめられるかもしれないので,焦ったロッキード・マーティン社が,JSF無人機型を自主開発しているとか……,
アメリカの無人機戦略は2001年,911同時多発テロによって触発され,急速に拡大してきた.2001年度予算で無人機の研究開発予算は3.6億ドルだったが,今年は20億ドルを超えた.
その結果,小型の攻撃機があるかと思えば,プレデターやグローバル・ホークのようにボーイング737に相当するような大型無人機も生まれてきた.
F-35無人機はそれらに対抗しようというものである.
それが現実になれば,いずれ軍用機はすべて無人機になるかもしれない.というのも,2,000機の調達が予定されているF-35だが,コストが上がり過ぎて政府の手に負えなくなってきた.
調達数が適当な機数になったところで,政府はこれをやめて無人機へ向かうかもしれない.
そのとき,「いや,F-35だって無人機ですよ」と言えるようにしようというのが,ロッキード・マーチン社の魂胆ではないか――米ワシントン・ポスト紙の見方である.
http://www2g.biglobe.ne.jp/~aviation/mujinka.html
JSF F-35A CTOL(通常離発着型)が調達数の削減,或いは開発そのものが凍結されるんじゃないか?とかいう話まで出てきてます.
詳しくは
Air Force version of F-35 may be eliminated
参照.
対テロ戦争はまだまだ続きそうですが,「冷戦後の武力紛争はむしろ発注数の削減を緩和する方向に働いている」と見るのは非常に難しそうですね.
消印所沢
そもそも,この「模型ダイアリー」の人は,戦争があろうがなかろうが,時間が経過すれば手持ちの戦闘機は老朽化するし,飛行機には累計飛行時間の制限がある,という基本原理を忘れてますね.
たとえば,1970年代から1980年代にかけてNATO諸国が大量導入したF-16は,もう導入から30年あまり.これから必然的に代替の次期を迎えるから,対テロ戦争があろうが無かろうが,どっちみち代替機となるJSFは必要だったのです.
これに限らず,1980年代の「レーガン軍拡」の次期に導入した装備をシコシコと延命改修してつないでいるのが各国の現状.
でも,電子機器やエンジンは換装できても機体構造の疲労なんかはどうにもならないから,戦争があろうが無かろうが,いずれは代替機を計画せにゃならんのです.
井上@kojii.net in mixi支隊
【余談】
グーグル検索していたら,たまたま上述のような意見を見付けましたので,軽く反論してみました.
それにしても,反論するなら堂々とFAQ BBSに言いに来るか,さもなきゃ,kojii.netにでもトラックバックすればええのに.
コメント欄も閉じているようですが,何を恐れているのでしょうかね(笑).
当サイトに間違いがありましたら喜んで訂正に応じますので,自説に自信がおありでしたら,ぜひどうぞ.
【珍説】
戦争になると兵器の売り上げが伸びる
「国際軍事データ〈2006〉―数字で読む明日の世界」P118-119より.
世界の兵器生産企業上位20社(単位:百万ドル)
順位 企業名 国別 兵器売上高(%) 総売上高 前順位
2000年度 2002年度 2000年度 2002年度
1 Boeing 米 16900(33) 20500(38) 51521 54069 2
2 Lockheed Martin 米 18610(73) 18870(71) 25329 26578 1
3 Northrop Grumman 米 6660(87) 17800(79) 7618 22652 5
4 Raytheon 米 10100(60) 15250(91) 16895 16760 4
5 BAE Systems 英 14400(78) 14070(77) 18473 18233 3
6 General Dynamics 米 6520(63) 9820(71) 10356 13829 6
7 Thales 仏 5160(61) 6840(66) 8476 10451 8
8 EADS WEU 5340(24) 5360(20) 22303 28139 7
9 United Technologies,UTC 米 2880(11) 4550(16) 26583 28212 11
10 Finmeccanica 伊 2440(44) 3720(51) 5896 5903 16
11 L-3 Communications 米 1340(70) 3020(75) 1910 4011 24
12 Science Applications Int'l Corp 米 1950(33) 3000(51) 5896 5903 16
13 Computer Science Corporation 米 1610(15) 2900(21) 10524 13704 18
14 Rolls Royce 英 2130(24) 2850(33) 8890 8689 14
15 三菱重工業 日 2850(10) 2780(13) 28255 20687 12
16 General Electronic 米 1600(1) 2200(2) 129853 131698 20
17 DCN 仏 1600(100) 2050(100) 1603 2053 19
18 Honeywell International 米 1550(6) 1830(8) 25023 22274 21
19 GKN 英 1740(23) 1800(27) 7726 6684 17
20 United Defence 米 1180(100) 1730(100) 1184 1725 28
対テロ戦争前の2000年の兵器売上高と対テロ戦争後の2002年の兵器売上高を比べると,アメリカの軍需産業はロッキードマーチンを除いて兵器売上高が大幅に増加しています.
兵器以外の売り上げも含む総売上高もレイセオンとハネウェルインターナショナルを除いて増加しています.
「軍需産業といっても民需も請け負っており,戦争になると民需が落ち込むから総売上げでは儲からない」という俗説は,少なくとも対テロ戦争においては概ね誤りであることがこの表から分かります.
【事実】
売り上げ高だけ比べてもなあ…….
兵器ってのは年々,価格が上昇していく一方なんだから,年々増加していくのは,そりゃ当り前.
でも例えば,
・昔のアオシマ社みたいにパーツの作りがアレで,コストが1000円もかかってなさそうな3000円の戦艦「長門」のプラモデルを10個売る
のと
・今のアオシマ社みたいに精密な金型を使い,金属パーツもつけて精緻で豪華になった,コストが3000円くらいかかっていそうな4000円の戦艦「長門」のプラモデルを10個売る
場合とを比べてみましょう.
(1) 売り上げ高では今のアオシマ社のほうが大きい(昔:3万円,今:4万円)
(2) でも,得た利益では昔のアオシマ社のほうが大きい(昔:2万円,今:1万円)
さて,「会社が儲かった or 儲からなかった」を分析するのに妥当なデータは,(1)と(2)のどちらでしょう?
答は(2)ですね.
つまり,売り上げ高で比べても何の証拠にもならないのです.
むしろ,上述の表では,兵器売上高が伸びていても,総売上高の伸びが鈍いか,むしろ伸びがマイナスになっている会社が多いことに注目しましょう.
明らかに「民需が落ち込んでいる」ことが分かりますね.
まさに,「軍需産業といっても民需も請け負っており,戦争になると民需が落ち込むから会社全体としては儲からない」ことを証明していますね.
この場合の「会社全体としては」というフレーズは,「総売り上げでは」という意味ではありませんので,念のため.
まあ,彼は一所懸命勉強しているようです.
結論が間違っているのはともかく,傾向としてはいい傾向です.
次のステップとしては,予断を廃した学習のやり方を学ばれるとよいでしょう.
消印所沢
そもそも,「防衛関連メーカーの売上=兵器という名のハードウェアの売上」と思ってる時点で,すでにもう…
大手各社のIR資料を見りゃわかることだけれど,最大の収入源はドンガラじゃなくてアンコに関わるシステム・インテグレーションの分野.
ドンガラだったら,いったん設備投資して生産設備を整えれば,あとは「作れば作るだけ利益率が上がる」という構造があるけれども,システム・インテグレーションなんていうノウハウ商売の部分なら話が別.
コンピュータだとかセンサーだとかいう,アンコの部分を構成するハードウェアは,専門のメーカーが副契約社という形で下に入って製造・納入するもので,とりまとめ役(システム・インテグレーター)となる大手のビジネスは,そういった個別のコンポーネントを組み合わせて,ひとつのシステムをこしらえるノウハウの部分にある.
だから,製造するブツの数よりも,むしろ案件の数が欲しいところではないかなと.
米陸軍のFCS計画なんかでは,この作業を担当するシステム・インテグレーターに与えた権力が大きくなりすぎたってんで,ちと問題になってるけど.
兵器開発におけるシステム・インテグレーターって概念が分かってない人は,そのFCS計画で,なんだってまたAFVとは無関係なボーイングやSAICが主契約社におさまってるか考えてみた方が良いと思われ.LCSにおけるロッキード・マーティンも同じこと.
システム・インテグレーターの「ノウハウ商売」っていうのは,自作PCを組み立てるときに「適切なパーツを選んでくる」とか,「パーツの相性問題や機種固有の問題点,求められるノウハウ」を知っていて,そういった知識を駆使して高性能かつ安定稼働する自作PCを作るようなもん,と考えれば分かりやすいかも.
井上@Kojii.net
【珍説】
世界の上位100社に占める企業数とその売り上げシェア
- 年度 日本 米国 イギリス フランス ドイツ
ロシア 合計
世界の上位100位以内企業数 00 10 43 13 7 5
- 78/100
02 7 40 11 8 5 6 77/100
総売上げ(単位10億ドル) 00 7.4 94.6 22.4 11.0
3.4 - 138.8/157.6
02 5.9 120.1 23.8 13.9 4.1 2.8 170.6/192.1
売り上げシェアー(%) 00 4.7 60.0 14.2 7.0
2.2 - 88.1/100
02 3.1 62.5 12.4 7.2 2.1 1.5 88.8/100
対テロ戦争前の2000年と対テロ戦争後の2002年で比べると,業界全体の総売上げは1576億ドルから1921億ドルに上昇,アメリカの総売上げは946億ドルから1201億ドルに上昇.
戦争で兵器市場全体では売り上げが伸びることが分かります.
売上増が単純に利益増を意味するわけではないものの,対テロ戦争後に兵器売上高が大幅増加したのは事実です.
そして,売り上げと利益には因果関係があります.
こうした兵器市場全般の動向を見れば原書房「世界軍事情勢〈2005年版〉」の「しかし01年米同時多発事件以降,アフガン,イラクを中心とする紛争の再発で,軍需産業界は再び活況を呈し始めた」という分析も当然のものでしょう.
「軍需産業は戦争で儲かる」という古くからの常識に反する「今の時代,軍需産業は戦争で儲からない」という俗説は対テロ戦争後の兵器市場を見る限り概ね誤りです.
【事実】
売り上げ高については,上述参照.
というか,その表,00年度はロシアがゼロで日本が10社入っているんですけど……????
つまりその表に言う「世界の上位100社以内の企業数」の「企業」とは,軍事産業部門だけを指すものではなく,ありとあらゆる企業全部を意味してませんか?
でなきゃ,輸出を実質禁じられている日本の軍事産業部門が,上位に10社も入れるはずがないし,スホーイ,ミグなどの有力軍用機企業を有するロシアがゼロなんてことは到底考えられないんですけど.
それとも「軍事部門を一部でも有していれば軍事産業扱いしている」とか?
それも無茶な「統計」ですけどね.
で,表の疑問をさておいてみても,シェアの増減と「儲かる」との間には何の関係もありません.
例えば,企業再編が進んで,ダメ企業が淘汰されればシェアは増えますし,新興企業が勢いを増してくれば,シェアは減ります.
経済学の初歩ですね.
【珍説】
全体的傾向から外れた個々の事例の列記により誤った印象を生み出す手法
確かに個々の事例で見れば儲からない例はあります.
アメリカの場合,第二次世界大戦では中戦車のM3とM4の生産を優先するために重戦車M6がキャンセルされました.
ベトナム戦争の時代には主力戦車開発計画(MBT70)がキャンセルされました.
そして,今の対テロ戦争ではステルス偵察戦闘ヘリRAH-66コマンチがキャンセルされました.
このように個々の事例では戦争で儲からなかった(ように見える)例はあります.
しかし,全体で見ればどうでしょうか.
ベトナム戦争の時代にはMBT70が中止されましたが,その一方で目前の敵に対抗するための兵器開発は進みました.
熱帯雨林と地下壕に潜むゲリラの隠れ場所を無くすための枯葉剤,ゲリラを熱帯雨林ごと焼き払うナパーム,敵防空ミサイル網を制圧するための一連の兵器群と,兵器の開発と改良と生産に多額の資金が投入されました.
今の対テロ戦争ではRAH-66が中止されましたが,その一方で地下壕破壊のための地下貫通型原爆,暴徒鎮圧用電磁波兵器,都市空爆での巻き添え被害を低減するための小型精密誘導爆弾と今の戦場に対応することを目的とした兵器開発が進んでいます.
そもそもRAH-66の計画中止自体,対テロ戦争の所為でしょうか?
RAH-66の中止理由を読む限り,それは対テロ戦争による支出増大の皺寄せというより,冷戦終了後の国防費削減に伴い開発が遅れているうちに米軍の「航空戦力の無人機化」という大きな流れに飲み込まれてしまったためです.
RAH-66の担う予定だった役割は新規開発の無人機が担うことになり,開発費はそちらに使われることになったわけですから.
閑話休題.
そういう戦争で儲からなかった個々の事例を恣意的に選択して列記すれば,情報を知らない人に対してであれば「軍需産業は戦争で儲からない」という印象を与える文を作り出すことができます.
例えば「レイセオンとハネウェルは確かに兵器売上高は上がったが民需の低下により総売上げは下がってしまった.ボーイングに至ってはRAH-66がキャンセルされて大損害だ」というように.
事実を並べるだけでも嘘は吐けるということです.
【事実】
で,その無人機化の流れは,どういったところから出てきたのかな?
そのへんをよーく考えてみましょう.
また,上述の説明は,
「戦術・戦略の変化によって求められる兵器の質が変化した場合,予算の振り替えが起こる」
ということを意味しているだけで,
「儲かる」
の証明とは何らなっていません.
「昔,航空機のプラモばっかり毎月10万円買っていた奴が,最近はアニメ・フィギュアばかり毎月10万円買っている」
という場合,プラモ業界全体は心変わり前に比べて「儲けが増えた」ということになるでしょうか? 全然そんなことは言えませんね.
そのへんをよーく考えてみましょう.
ところで,「嘘は吐ける」などという中傷はやめたほうがいいですよ.中傷者自身がマイナスの印象で受け取られるだけですから.
そんなわけて「閉店,ガラガラ」.
【珍説】
>BAEシステムズはここ10年で14社も企業買収してお
>り,特に2005年に買収したユナイテッド・ディフェンス・インダストリー
>社 と2007年に買収したアーマー・ホールディングス社は大きく,BAEシス
>テムズの規模を飛躍的に伸ばしました.ただしこれが軍需産業内での食い合
>いであり,共食いによって大きくなった事を意味します.
儲かっている会社を買収したから儲かっているのだが.
損をするなら買収しないって.
常識以前の問題だな.
しかもBAEシステムズはかつては,陸上部門が弱かった.
ユナイテッド・デフェンスやアーマーホールディグスを買収したのはそのためと,最大の市場の米国市場に食い込むため.
共食い(笑)
軍事音痴だけじゃなくて経済音痴.
特に兵站車両の装甲化やMRAPの採用は新しい市場なわけだ.
そこで儲けている.
唯我独尊で自分の「脳内真実」に現実の出来事をあわせようとするから,こんなトンチンカンなことを書くわけだ.
【事実】
>特に兵站車両の装甲化やMRAPの採用は新しい市場なわけだ.
>そこで儲けている.
ギャグで言っているのか?
MRAPは海兵隊では調達が削られ,ハンビー代替車両(Hybrid!!)の導入の阻害となっている訳だが…(笑)
>in December 2007, the Marine Corps reduced
its request from 3700 vehicles to 2300.[16]
>The Army is also reassessing its MRAP requirements
in Iraq although there is no sign that
>they intend to reduce the number of vehicles
it intends to procure as additional vehicles
>may be sent to Afghanistan where commanders
are requesting them
>MRAP funding has pulled money away from
other tactical vehicle programs,
>most noticeably the HMMWV replacement,
the Joint Light Tactical Vehicle,
>which has been delayed by two years
――――――「Wikipedia」:MRAP
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
faq09f05.html#14080
企業のM&Aを「共食い」ってどんだけ無教養だよ(笑)
【事実】
どう読んでも,M&A自体を共食いと呼んでるんじゃなく,軍事産業のその状況を共食いと呼んでいるだけにしか受け取れないんだが.
ちなみにオブイエクト・スレッドでも上記みたいな誤読するやつがいて やっぱ同じようなツッコミを入れられてたよ.
誤読してんのはきっと同じヤツだろ.
同スレッドにおける誤読連発の珍説者については,別ページ参照.
誤読の多さから考えて,普段ロクに本を読んでいない,無教養な人物であると思われる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
477 :霞ヶ浦の住人 ◆iQXTBGahk. :2009/08/08(土)
18:51:19 ID:+0nCzTVk
>473
>467
>211
>霞ヶ浦の住人の回答.
>部品数が多くなるとほど,メーカーが儲かるからと,霞ヶ浦の住人は想像します.
>ってのは大嘘ってことだな
霞ヶ浦の住人の回答.
「部品数が多くなるとほど,メーカーが儲かるからと」書いてある公式資料など,存在するはずがありません!
説明.
軍事雑誌に,防衛省が豊和工業を,優秀な小銃を供給しているとして,表彰したとの記事が載っていたのを,霞ヶ浦の住人は覚えています.
どんなに部品数が多くて,劣った小銃でも,公式には,優秀な小銃となるのです.
第二次世界大戦中,ドイツの諸機関では,占領中のパリで会議を主催することが多かったそうです.
公式記録には,その理由がいろいろ書いてあるかもしれません.
しかし実社会で生活なさっていらっしゃる,この板の読者には,本当の理由はすぐに分かるはずです.
同じように「部品数が多くなるとほど,メーカーが儲かるからと」書いてある公式記録は存在しないでしょう.
「軍用ライフルとしては比較的部品点数が多く,整備のための通常分解時にも床尾板の整備用具入れに入っているプラスドライバー,ピンポンチが必要となる.」
下記,ウィキペディアの64式7.62mm小銃の3 概要の問題点として挙げられる主要な点
を参照ください.
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/64%E5%BC%8F7.62mm%E5%B0%8F%E9%8A%83
軍事板,2009/08/08(土)
青文字:加筆改修部分
【事実】
あのさ,部品点数が多くなるほどメーカーが儲かる,ってことはないよ.
コストダウンには色々な手法があるけど,一般的には不良率の低減,ってのが一番効く.
理屈は色々な経営学の本にあると思うので参照されたし.
で,不良率を低減させるためには,部品点数を減少させることが効果的.
(ムリ,無駄,ムラのうち無駄の部分だな)
だから,同じ機能を実現するのに,わざわざ加工工数を多くして見積もり単価を上げる,なんてことはありえない.
>どんなに部品数が多くて,劣った小銃でも,公式には,優秀な小銃となるのです.
要求性能を満たしているものを安定供給したわけだから,表彰されこそすれ,貶められる理由はないわな.
むしろ,防衛庁とすれば国内産業の維持のための施策に応えて見せたわけだから,そら表彰もするさ.
ついでに言うと,昔の時計と今の時計,機能は同じで部品点数が減った,という趣旨のことがあったけどこれはまた別の意味.
同じ機能を実現するのに,部品を小さく精密にすると,それだけ材料代が安くなるってこと.
分かるかな?
それだけじゃない,
軽く小さくなれば物流費も減る,
加工機械そのものも小型化できるから,工場建屋そのものも小さくなる,床補強は要らなくなる――などなどいいことが一杯あるわけ.
あんたの時計そのものは見たことがないからわからないが,多分部品点数そのものは減ってない.
部品が小さくなっているんだよ.
軍事板,2009/08/08(土)
青文字:加筆改修部分
【珍説】
537 :霞ヶ浦の住人 ◆iQXTBGahk. :2009/08/08(土)
21:33:21 ID:+0nCzTVk
>536
>532
>あのな,こっちは本職なの.あんたに言われなくても原価計算なんていつもやっ>てるの.
>部品点数が多い,ってのは設計ポリシーにかかわる部分でしょうが.
>で,わざわざ部品点数を増やして原価を水増しする設計は,製造業としてありえ>ないと言ってる訳.
>なぜか.
>儲からないからなの.
>リンクに出てくるボンベの話は,一体成型で作ったほうがいいんだけど,加工そ>のものがかなり難しくなるから,
>溶接で同じものを作ったって話で,それで検査工数が増えてるって言ってる.
>馬鹿にも分かるように噛み砕いて説明するから,自分で計算してみろ.
>部品点数が10の製品Aと20の製品Bがあるとする.
>部品1つにつき,不良率が2%あるとする.
>また,(凄く単純化して)製品Aの組み立て工数を5,Bを10として,
>組み立て工数ごとに不良がやはり2%発生するとした場合,
>製品Aと製品Bの,100台出荷あたり,何個の部品が必要か,計算せよ.
霞ヶ浦の住人の回答.
原価計算をするのは自衛隊がします.
豊和工業ではないのです.
部品数を減らしても,豊和工業は損するだけなのです.
下記を再度掲載します.
>部品数を増やして原価を上げれば,それに付随して,利潤も上がるのです.
>※2 原価計算方式:生産費用を構成要素(直接材料費,加工費,直接経費)ごと>に積み上げた製造原価に適正利益等を付加することにより予定価格を計算する方>式.
>下記,※2 原価計算方式:を参照ください.
ttp://www.mod.go.jp/j/delibe/cho-shin/gijiroku/H20/73.html
【事実】
90式戦車の調達価格が年々下がってる事実をまったく否定した意見だな.
防衛庁側が甘々な査定しても,大蔵省側の査定が厳しいことをまるで無視してるし.
凄く乱暴に言うと,コストには,物をつくる材料など製造に直接かかる費用のほか,その物をつくるのに必要な設備の取得費=投資分が分割して乗っかる.
工場建屋とか,製造設備を減価償却するわけね.
これを,生産量にかかわらず支払わなければならない費用だから,製造固定費(人件費もそうなんだけど)という.
固定費を薄めるには,固定費そのものを抑える以外は,生産数を出すしか手がないから,最近ではあえて,数を追わなくてもいいよう,セル生産方式など初期投資を抑えるような生産方法も流行している.
ちなみに,トヨタがプリウスを安く作れるのは,トヨタの堤工場ってのは,ラインに複数車種を流すから固定費が薄まるからなんで,決して専用工場で量産するからではない.
>原価計算をするのは自衛隊がします.
>豊和工業ではないのです.
>部品数を減らしても,豊和工業は損するだけなのです.
それをやったとあなたが断言している根拠を聞いてるんだが.
あなたの想像以外で,64式小銃が部品点数の水増しによる,単価の水増しがあったと主張している資料,評論家などの著作,軍事雑誌の記事などを出せと言ってるんだが.
さっきからあんたの書き込みは,根拠のない悪意に基づく主張でしかないぞ.
それに,原価を吊り上げれば利益も上がるのか??
原価に対して10%の利益を付加するとして,
原価が100だと利益は10
原価が150だと利益は15
見かけ上は利益が5割増しだけど,原価を100から150に(部品点数を増やして)引き揚げる時点で,材料費・加工費・直接経費も余計に掛かってるんだが.
材料費や加工費を増やさずに部品数を増やせるマジックでもあるの?
軍事板,2009/08/08(土)〜08/09(日)
青文字:加筆改修部分
原価を釣り上げても調達価格に反映出来なければ,メーカの持ち出しに成ります.
どうせなら省力化によって工数を減らすべく努力するのが筋というものですね.
実際,表面仕上げなどの,性能に直接関係のない部分でのコストダウンは常に考慮されてるようで,八九式小銃は製造ロットによって各部に違いが有るそうです.
三等自営業 ◆LiXVy0DO8s in 軍事板,2009/08/08(土)
青文字:加筆改修部分
【質問】
Opinion:防衛産業って戦争でボロ儲けできるの?(2006/8/14)
を読んで,有事の際は装備品より消耗品の注文が増える事はわかったのですが,弾薬を作る会社は防衛産業には入らないのでしょうか?
【回答】
勿論入りますよ.
ただ,そこのエントリにも書いてあるように,
その弾薬からして,小銃・機関銃の弾や対戦車ミサイルぐらいならともかく,値の張る高性能なミサイルは,イラクでやっているようなテロリスト相手の撃ち合いでは出番がない.
空対空ミサイルなんて撃つ相手がいない.
GPS誘導爆弾JDAMなら使われているが,そんな毎日のように何百発もガンガン使っているわけではない.
それに,JDAMはハイテク兵器の中ではお値段が安い部類に入る優等生だ.
ということなので,必ずしも「ボロ儲け」といくかどうかは微妙.
丼炒飯◆HY/YgdSbHM
戦争による景気後退のため,民需部門の売り上げが落ちることも考えると,その会社全体としては,戦争はむしろマイナスになることも充分にありえる.
【質問】
軍事産業に関わる企業は,採算を度外視して社会奉仕でやってるのでしょうか?
【回答】
企業である以上それはないが,心意気って面がないわけでもない.
普通,投資の際には損益分岐点ってものを考慮に入れるんだけど,
現代の軍事産業の場合,数量がある程度見通せるから,比較的カタい商売であることは間違いない.
逆に,ボロ儲けの可能性も少ない.
そういったことを総合的に勘案して,最後の決断をする際に,
「ウチがこれをやらずしてどうする」
という浪花節が,最後の一押しをするケースも多い.
※ 日本の場合だけの特殊事情と言う気がしないでもないが.
軍事板,2009/08/12(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍需産業関係でも天下りは,ダメだと言う人がいますが,軍需産業は,結構特殊な分野で特別な知識等も必要なので,天下りも必要なのではないでしょうか?
もちろん,馬鹿みたいに高い値段を完全に肯定しているわけでは,ありません.
あと,諸外国では,軍需産業での天下りとか癒着はどうなんでしょうか?
【回答】
それは軍需関係に限らず言われていること.
必要性のある場所もあれば無い場所だってある.
それだけのこと.
それ以前に天下りには2種類ある.
理事長を短期間で転々と渡り歩き退職金を貰う行脚のパターンと,老後のために早期退職後働くパターン.
自衛隊の人が天下りするのは後者の意味合いが大きいように思う.
諸外国の癒着の例というと最近では,米空軍の調達担当の高等文官が空中給油機を売り込んでいたボーイングに天下りすることが問題になった事件がある.
ちなみにこの事件の余波は今なお続いているといえる.
欧州のエアバスと米国のボーイングが応札しており,エアバス(システム・インテグレータはノースロップ)が一旦は勝ったものの,GAO(会計検査院みたいなところ)がやり直しを勧告したりしている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
軍需産業に就職するにはどうしたらいいんですか?
やっぱり防大に行かないと無理?
【回答】
防衛庁の技官では無くメーカー側に就職するつもりなら普通に,大手企業に就職が有利な有名大学に行くべし.
ぶっちゃけ東大工学部航空宇宙工学科へいくのが一番.
▼ 昔は,「三菱重工で飛行機(民・軍問わず)をやりたいなら,東大航空を出てないと・・・」と言われた.
成績優秀ならば三菱重工は採ってくれるが,下手すればビーバーエアコンだ.
今はMRJやってるからどうだろう?
ウチの教授曰く,
「ウチの大学レベルで,三菱重工で飛行機,川崎重工で飛行機かバイクって言ったら,不採用に決まっているだろう.
どれだけの儲けが出ると思ってるんだ?」▲
ただし,採用のとき「ミリタリーヲタです」なんて言ったら,配属はおろか,絶対に採用されないから注意してね.
そんなことを言ったら,軍産に採用されることはまずない.
採用基準にそういうガイドラインがある.
危険人物とまではいかないが,そういう(軍ヲタ)系に軍産に関わられると対外的に良くないってことらしい.
下着会社が「下着フェチ」を採用しないのと同じ理屈.
▼ また,オタは門前払いてのは,視野狭窄な印象を与えると落ちるってことで,それは事務系も同じ.
よくあるのが,営業はペコペコ頭を下げて仕事を取ってくると,端から思いこんで嫌うタイプ.
BtoBなんだから,クライアントと共同作業でプランニングしたり,進捗率を管理する手腕が大事なのに,化粧品の訪問セールスマンかなにかと
勘違いしてるのが多いね.
そういう不勉強な学生は,オタっぽいのが多いとは思う.
就職の基本は,「自分がその会社に入りたい」ではなくて,その会社に「自分を採りたい」と思わせる事.
そして,希望者が多い花形部門やエリート部門でなければ,よほどのダメ社員や「その部署が手放せない人材」は例外として,希望部署や職種への希望は叶うことが多い.
一番分かりやすいのは,大企業の子会社だよ.
グループ本体の重役になりたいとかでもなければ,それが一番.
「○○航空設計」だの「△△ディフェンス」だのといったところが,どこの巨大企業にもある.
製品の傍で一生楽しめるし,開発・製造部門の長程度なら,普通になってる人がいる.▲
軍事板,2006/04/28(金)
&軍事板,2011/06/28(火)〜06/29(水)(2012.1.13追記分)
青文字:加筆改修部分
▼ ちょっと違う選択肢として,アメリカの軍需産業に就職する,という手もあるでしょう.
言葉の問題もあるし,就職ビザを取得するのも簡単ではありません.
また,ロッキードマーティンにせよ,レイセオンにせよ,はたまたボーイングにせよ,軍事ばかりやってるわけではないので,軍事関係の業績の一つは必要かも知れません.
となると,アメリカで軍事関係の教室を持っている大学に留学し,そこで学位の一つも取る,というのが遠回りのようでいて,実は確実にまともな軍事の中核に迫る方法かも知れません.
その上で,日本に凱旋して軍事の仕事に就く,という可能性だってあるかもしれないし.
カナダにも軍事産業がけっこうあるので,アメリカがしんどそうなら,カナダという選択もあるかも知れません.
system :軍事板,2001/06/17(日)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
軍隊が兵器メーカーに「値切り」をすることはありますか?
【回答】
時と場合によってはある.
でもメーカーのほうが値引きを提示して売りこむ事の方が多い.
「8機といわず12機買ってくれたら予備エンジン四基サービスでつけます!」
とか.外国の兵器ショーで「・・・ここは昔の秋葉原か?」みたいな,
「**以上購入のお客様には**サービス」「10台以上購入で1台サービス」
といったセールがよく行われてたり.
【質問】
新型兵器の売り込みの際にやっぱ裏取引とかってあったりするんですか?
【回答】
ある.
日本だと,F-86の次世代機を決める時に岸信介が関わったとされる疑惑があった.
発覚してなければF-86の次はF-11だったかもしれなかった.
また,その次を決める時にも一大汚職事件があって,岸や福田といった政府高官が下手をすればお縄に付きかねなかった.
ダグラス・グラマン事件でぐくれば詳細が分かる.
キーマンが不可解な自殺とか,スケープゴートが捕まって終わりとか,ベタベタな三文ドラマのような展開だったりする.
ロッキードは,技術力あるのに政治工作が好きで,「ロッキード・グラマン空中戦」と揶揄されたりもした.
そんな両社も,今じゃ一心同体(笑)
まぁ,技術だけでは業界渡っていけないのは,ノースアメリカンやノースロップが証明してるからな.
軍事板
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