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◆◆核兵器関連
<◆WMD(大量破壊兵器)FAQ
<兵器FAQ目次

『The Evolution of Nuclear Strategy』(Lawrence
Freedman著)
この〔核戦略の〕分野ではほぼスタンダードと言えるもの.ロンドンのキングスカレッジの名物教授による(「地政学を英国で学ぶ」,2005-05-07-07:01)
『The Wizards of Armageddon (Stanford Nuclear
Age Series)』(Fred Kaplan著)
核戦略を作ってきた人々の話.これもかなり「古典」の域に達しております.(「地政学を英国で学ぶ」,2005-05-07-07:01)
「朝目新聞」●史上最高出力,高速点火実験用の超高強度レーザー「OMEGA
EP」が完成
>爆発を起こさない核実験ができるとか.
『核抑止戦略の歴史と理論』(山田浩著,法律文化社,1979)
「ひろぶろ」■フランスが行ってた核実験の写真4枚(everything is goneより)
「ワレYouTube発見セリ」:Nuclear Weapons Wolrdwide
【質問】
核関連の基礎教材的なものを教えられたし.
【回答】
現在も含め,データの見直し等でしばしば一時閉鎖となるが,web上の「ATOMICA」.これだけで必要十分.
専門家(実務担当者)がそのまま実務に用いても十分耐えうるほどの絶対的な信頼性を持ち,日本語サイト(書籍含む)ではこれに匹敵するものはない.
ただ,あまりに詳細な記述故,専門に走りすぎ,入門者にはつらい一面もある.
しかし,海外文献(特に英語以外のもの,高価,希少本多数)の調査・解説でもそれに比類するのは,もはや学会論文誌もしくは原子力専攻者用専門図書(教科書レベルではない,1冊1万円以上するようなもののみ)以外になく,日本語でOKという点以外でも大変貴重である.
その他としては
『日本の核論議はこれだ」』(郷友総合研究所編,展転社,2008.4)
(筆者が陸自将官退役者ばかりのため,平易に書こうとする努力は大いに評価できるが,どうしても堅苦しく,自衛隊の論理が出てしまう.
しかし,現状認識などは正しく,技術的にも破綻している部分もない.)
『核兵器事典』(小郡元著,新紀元社,2005.5)
(ただし,著者には原理的なことが分かっていない模様.
大学の単位で言えば「不可」もしくは「かろうじて可」・極論すれば「徹底的にググっただけで内容は理解していません」というレベルのため,兵器スペックの辞書的利用にとどめること.
内容についてはAmazonのレビュー参照(これでも甘い採点をした方).取扱注意.
ただし,数々ある新書類はほとんどがこれ以下で,お話しにならない物ばかりである)
以上,ご参考まで.
そのうち,『萌え』路線の核兵器教材書籍が出てきたら,どうしよう?
【質問】
核兵器の原料は世界中にどれくらいあるのか?
【回答】
米シンクタンク試算によれば,3730tになるという.
以下引用.
核兵器の原料3730トン 米シンクタンク試算
【ワシントン8日共同】国際原子力機関(IAEA)元査察官のデビッド・オルブライト氏が主宰するシンクタンク「米科学国際安全保障研究所」(ISIS)は7日,核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウムの総量は,世界全体で2003年末時点で約3730トンに上るとした最新の試算結果を発表した.
プルトニウムについては,核兵器22万5000個以上に相当する約1830トンが35カ国に存在すると報告,日本は151・6〜153・6トンと非核国の中で最大だった.
このうち,民生用ながら短期間で兵器転用が可能な分離プルトニウムも非核国で最大の約41トン保有しているとし,プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を原発で使うプルサーマル計画が遅れているため,
「予想外に日本のストックが増大している」
と指摘した.
兵器用核物質保有,イスラエルが突出 米研究所が報告書
米シンクタンク科学国際安全保障研究所(ISIS)は7日,核兵器の製造に必要なプルトニウムや高濃縮ウランの国別保有量をまとめた報告書を発表した.
報告書は事実上の核保有国イスラエル,インド,パキスタン,北朝鮮の4カ国が製造できる核兵器の弾頭数も,それぞれの保有量をもとに推計.
これらの国の中では,イスラエルが突出した数の核兵器を保有している可能性があることを明らかにした.
報告書は米ロなどの核保有国のほか,民生用としてプルトニウムを保有する日本を含む計約60カ国を対象に,核兵器の材料となる物質の国別保有量をまとめた.
こうした資料が公開されるのは初めてだ.
同報告書によると,03年末段階でイスラエルは軍事用のプルトニウム560キロを保有,145個分と推定された.これに対しインドは80個分,パキスタンは70個分だった.
北朝鮮は核兵器3〜9個分に当たるプルトニウム35〜45キロを保有していると推定され,その後の活動でさらに2〜4個分増えている可能性がある.
これらの国の実際の保有弾頭数は明らかになっていないが,核物質の保有量から,実際の数に近い数字を推計した.
核兵器開発疑惑のあるイランは,民生用の高濃縮ウラン7キロだけだった.
イスラエルの核兵器はプルトニウム型とみられている.
オルブライトISIS所長は朝日新聞に対し,
「年間10〜20キロのプルトニウム生産を続けており,核兵器2〜5個分増えている.高濃縮ウラン型の核兵器を保有している可能性も否定できない」
と語った.
一方で,同所長は
「プルトニウムや高濃縮ウランがテロリストに盗まれる可能性は至る所である」
と述べ,両物質を計約1300トン以上持つロシアが管理体制の不備などから
「最大の懸念だ」
と指摘.
インド,パキスタン,中国の3国や,兵器開発を断念した南アフリカから流出する危険性も指摘した.
【質問】
メガポート構想とは?
【回答】
核兵器や放射能を撒き散らす「汚い爆弾」の原料となる,放射性核物質の米国内持込を防ぐため,米国向けのコンテナ等を積み出す世界各地の主要港に「放射性物質の探知機」を配備する構想のこと.
03年にはじまった.オランダ,スリランカなど4カ国で開始,中共など約10ヶ国とは基本合意.
わが国など約20カ国とは実施に向けた協議中.
米は探知機供与のほか,検査官の訓練を実施.その見返りとしてスクリーニング結果のデータ提供を義務付けている.
日米間では,名古屋港で試験を実施するということで話し合いが行なわれているようだ.
他の主要港,東京・横浜・神戸などでも,この構想の実施が予定されている.
【質問】
核攻撃は国際法上は認められてるんですか?
【回答】
もともと,1928年のケロッグ・ブリアン条約と国連憲章2条4項において戦争,つまり武力行使自体が違法であり,つまり条約加盟国,国連憲章批准国に対しては「認められて」いません.非加盟国,非批准国は無関係.
これらの条約下で「認められて」いるのは「自衛.国連安全保障理事会による強制行動.地域安全保障上の行動」だけ.
もっとも,戦争する国はみんな「自衛」と主張するので意味があるようで意味がない.
核兵器の行使自体はハーグ陸戦条約で禁止されている「無制限の害敵手段」「無防備都市,集落,住宅,建物に対する攻撃」といった項目にふれる可能性が強く,その意味で条約批准国には「認められて」いないかもしれません.
しかしこれも解釈しだいであり,「無制限ではなく敵の攻撃能力破壊(たとえばICBMサイロ破壊)に必要」
「攻撃目標は軍事施設であり,民間人の損害は不可避な周辺被害」とか,いくらでも口実は並べられるでしょう.
軍事板
この論点については国際司法裁判所(ICJ)が1996年に勧告的意見(Legality
of the Threat or Use of Nuclear Weapons)を出しています.
http://www.icj-cij.org/docket/files/95/7495.pdf(PDFファイル)
参考までに勧告的意見の内容をまとめると,
(1)核兵器使用・威嚇を特に認可する慣習国際法・条約は存在しない(意見主文(2)A/全員一致).
また,包括的・普遍的に禁止する慣習法・条約も存在しない(意見主文(2)B/11対3).
(2)国連憲章2条4項(武力による威嚇・同行使の禁止)に違反し,51条の全ての要件(自衛権)を満たさない場合は,違法である(意見主文(2)C/全員一致).
(3)武力紛争にかかわる国際法,とりわけ国際人道法と核兵器の取り扱いを規定する諸条約)の要件・義務に合致しなければならない(意見主文(2)D/全員一致).
(4)以上より,核兵器使用・威嚇は武力紛争を規定する国際法の諸原則・人道法の諸原則に一般に違反する.
ただし,国家の存亡そのものがかかった自衛という極限状況において,核兵器の使用・威嚇が合法であるか違法であるかは,確定的に結論付けることはできない(意見主文(2)E/7対7,所長の決定投票により採択).
となります.
核兵器の使用・威嚇は"would be generally
contrary"としつつも,国家の存亡がかかった状態においては,それは合法とも違法とも言えないとした点で,含蓄のある意見です.
なお,意見主文(2)Fにおいて,核軍縮の義務(交渉・履行・完了)がある,ともICJは付言しています.
【質問】
太平洋戦争は世界で初めて核兵器が使われた戦争だから,「核戦争」と見なせますか?
【回答】
一般的にはそうは見なされていない.
ウィキペディアによれば「核戦争」とは以下のように解釈されている.
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核戦争(かくせんそう)とは,核兵器(原子爆弾,水素爆弾,中性子爆弾など,またそれらを運搬する各種のミサイル,爆撃機,潜水艦など)を両勢力が主要な兵器として使用して戦われる戦争のこと.
2006年現在までに核兵器の実戦使用は第二次世界大戦におけるアメリカの日本への2発の原爆投下があるが,核戦争は起こっていない.
しかし,1962年のキューバ危機など,核戦争を引き起こしかねない危機は発生している.
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この解釈だと,「核戦争とは核兵器が主要な兵器として使用されること」故に戦争末期に二発投下しただけの太平洋戦争は核戦争ではなく,「2006年現在までに核兵器の実戦使用は第二次世界大戦におけるアメリカの日本への2発の原爆投下があるが,核戦争は起こっていない.」となる.
これが一般的なものの見方.
もちろん誰でも書けるwikipediaは参考程度にしかならないけれどね.
日本の国会で「核戦争被害国」という言葉が使われたこともあるが,……
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111-参-外務委員会-2号昭和62年12月10日
○専門員(小杉照夫君) 今国会中,外務委員会に付託されました請願は,お手元の表のとおり,核兵器廃絶に関する請願十四件でございます.
その願意は,核戦争被害国として,広島,長崎の原爆被害の実相を究明し,広く国の内外に知らせること,非核三原則を厳守し,非核国家宣言を行うこと,すべての核保有国に対して,直ちに,核兵器完全禁止条約を結ぶよう積極的に働きかけることを要請するものであります.
以上でございます.
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112-参-外務委員会-10号昭和63年05月24日
○専門員(木村敬三君) 今国会中,外務委員会に付託されました請願は,お手元の表のとおり六件名,全部で百三件でございます.
まず,一四六号は,核兵器廃絶のために,第三回国連軍縮特別総会に向けて実効性のある国際的取り決めができるよう努めることを要請するものであります.
次に,一一〇三号は,核戦争被害国として,広島,長崎の原爆被害の実相を究明し,広く国の内外に知らせること,非核三原則を厳守し,非核国家宣言を行うこと,すべての核保有国に対して,直ちに核兵器完全禁止条約を結ぶよう積極的に働きかけることを要請するものであります.
次に,二ページでございますが,五一九号は,戦争犠牲者保護に関する一九四九年のジュネーヴ四条約に追加される議定書に速やかに加入することを要請するものでございます.
次に,六九四号は,国会において永世中立国宣言を速やかに行うこと,この宣言に基づき世界各国に対し承認手続を行うことを要請するものであります.
次に,三ページの一三五三号は,在日米軍に対する思いやり予算を全廃すること,労務費特別協定を廃止することを要請するものであります.
最後に,一七六三号は,返還プルトニウムの空輸を認めた日米新原子力協定の国会承認をやめることを要請するものであります.
以上でございます.
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……しかしこれは,原水協の資料をそのまま棒読みしているだけ.
原水協の勝手な造語が認知されたわけではない.
米ソが報復核戦力を備え,核抑止が成立するまでは,核兵器は「通常兵器の大量使用の代わり」と位置づけられていた点にも注意が必要です.
仮に日本が核兵器を持っていたとしても,それはあくまで「持っている」に過ぎず,報復核戦力を保有することとは意味が異なります.
ヒロシマ・ナガサキの時点でアメリカが開発できた原爆が3発しかなかったことを考えると,万が一日米が核兵器をお互いに使用したとしても,「文明の危機」としての核戦争とは意味を異にする戦争なったのではないか,と思います.
もちろん,悲惨な戦争であることに変わりはありませんが.
【質問】
NPTとは?
【回答】
核兵器を保有できる核兵器国を米ソ英仏中の5カ国に限定し,それ以外の非核兵器国による核兵器受領・製造を禁止した条約.1968年署名.
非核兵器国には条約遵守を証明するため,IAEA(国際原子力機関)による検証を義務付けられる.
NPTには2000年現在で187カ国が加盟,最も普遍性に勝る条約と評価されている.
ちなみに,主な非加盟国はインド,パキスタン,イスラエル,キューバ.
(高井晋〔防衛庁防衛研究所第2研究室長〕 from
「疫病最終戦争」,
ビジネス社,2001/12/20,p.153, 抜粋要約)
【質問】
戦術核と戦略核の違いを教えてください.
【回答】
戦術用途,つまり前線で使用されるのが戦術核
戦略用途,つまり敵国の大都市攻撃や工場地帯,電源地帯など戦争遂行に重要なところを直接攻撃するのが戦略核
戦域核つー概念も70年代から80年代にかけてあって,これは欧州域内で使用される核,ということ.余計な理屈をつける人もいるけど,実態はそう.
結果としてどこで爆発するかが戦術核兵器と戦略核兵器の分かれ目になります.
運搬手段によって同じ核兵器でも戦術にも戦略にもなりうるわけで,
逆の見方として長距離運搬手段で運用される核兵器が戦略,そしてその逆,という考え方もできます.
つまりICBMや長距離爆撃機で運ばれるのが戦略核であり,榴弾砲や短距離ミサイルで運ばれるのが戦術核,と.
軍事板
【質問】
ICBM基地内部はどのようになっているのですか?
【回答】
それについては,
2007.10.05 Fri付「GIZMODO」の記事,
ミサイル発射基地,売ります
が参考になるだろう.
同記事には多数の画像が収録されている.
同記事によれば,この基地は,eBayで販売されている「Titan
1 nuclear missile base」.
ワシントン州中央部に位置する,57エーカー(230671平方メートル)ほどのミサイル発射基地だという.
以下,スペックを引用.
[quote]
【含まれるもの】
● 57エーカーの敷地.場所はSpokaneから西に1時間半,Interstate(州間ハイウェイ)90の出口から10分.
●地下に建設された16の施設.以下を含む.
・160フィートの高さのミサイル格納庫が3つ
・4階建てターミナルビルディング設備が3つ
・アンテナの格納庫2つ
・直径30.4mのコントロールドーム設備
・直径38.1mのパワードーム設備
[/quote]









ちなみに,米国にはICBMサイロ(非稼動状態)を見学できる施設があります.
その名も「Titan Missile Museun」です.
日本の方で見学した方がレポートを作成しています.
下記URLです.
このサイト,他にも色々軍事関係の施設見学記をアップしていますので,色々と面白い記事があります.
Formessure's Foxhole Fortress Section
┗Titan Missile Museum
【質問】
核兵器で台風を消滅させることは可能ですか?
【回答】
できるかもしれないが,代償として人類は大打撃を受けるだろう.
実際にそういうことを考え,計算した人がいた.
放射能をまき散らすことはおいとくとしても,台風のエネルギーは核爆弾ごときを遙かに上回っている.「平均的な台風の持つエネルギーは広島,長崎に落とされた原子爆弾の10万個分に相当する巨大なものといわれてい」る(気象庁).
ロシア製の世界最大の水爆を100MTモードで5発くらいつぎこめば,平均的な台風ならなんとか拮抗できるかもしれない.
しかし,それだけのエネルギーをどう使えば台風を消せるのか,見当もつかず,結局珍アイディア止まり.
軍事板
【質問】
核でスマトラ沖地震波クラスの津波は起こせますか?
【回答】
現実的に考えると不可能です.核兵器程度じゃ,エネルギーがぜんぜん足りません.
水中核実験で小規模な津波を観測した例はありますが,あれほどの規模の津波は起きませんでした
.
数千発数万発の核兵器を使用すれば可能かもしれませんが.
あるいは,ある限定された地域(例えばある湾内とか)でうまいこと水中爆発させれば,局地的(数kmとか)であの規模の津波は起こせるかもしれませんが.
でも,インド亜大陸からマレー半島全域にわたる規模の津波は絶対無理.
自然の猛威とはそれだけすさまじいのです.
充分にエネルギーの蓄えられたプレートの境界に,100メガトンくらいの水爆をいくつもねじ込んで同時に起爆でもすれば,ひょっとして地震くらいは起こるかも.
でもそれで今回の津波くらいの大きさの津波が起こるかは分からないね.
ちなみに,史上最大の水爆でも50メガトンだからね.
つーか,素直に核兵器を核兵器として使えばいいだけの話だね.
軍事板
【質問】
核兵器の拡散には,どのような懸念があるのか?
【回答】
NPTに批准してない国や,批准しているにも関わらず核実験を行い,査察を受け入れていない国があること.
・NPTに批准していない国で,核実験を行っている国
インド・パキスタン
・批准したにもかかわらず,核実験を行った国
イラン・北朝鮮(イラクも核実験を行ったが,イスラエルの空爆により,施設は壊滅,その後フセイン政権も倒れたため,懸念はもはやないといっていいだろう)
もう一つの脅威として「貧者の核兵器」と呼ばれる生物・科学兵器がある.
リビアやイラクは,化学兵器施設を建設し,イラクは実際にイランとの戦争でこれを使用した.
1991年の湾岸戦争後,こうした計画を査察によって発見し,解体した.
で,こういった計画が再開されるのではないか?という懸念が(実際はともかく)2003年,イラク戦争の原因の一つとなった.
旧ソ連地域からの核物質の流出・国際闇市場への流入に関する新聞報道があるように,これらは依然として緊張を生み出す要因となっており,国家を戦争へと追い詰める能力を有している.
更に言うと,こういった兵器が非国家組織に渡り,それが脅威となる.
ナイ教授はこう警告する.
日本のカルト・オウム真理教やオサマ・ビンラディンのアル・カイーダのネットワークの様なテロリスト・グループが,核・生物兵器の生産を企てていたと言う報告は,非国家主体がいつの日かこうした兵器を入手可能なことを示している.
また,こうしたWMD(大量破壊兵器)の国際社会の懸念について,ナイ教授は以下のように指摘する.
大量破壊兵器への国際的で継続的な懸念には,道義的な面とリアリスト的な側面がある.
核兵器を道義的観点から批判するのは,保有する能力を持たない国や保有を目指している国ではなく,米・仏・露のようにそれらを製造し続けている国にも共通している.
マスタードガスの使用に対して同盟国,連合国双方に広範な批判が広がった第一次世界大戦以来,生物・化学兵器は非難されるべきものとなっている.
リアリスト的側面は単純である.
大量破壊兵器は,拡散を引き起こす深刻な危険と,破壊を生み出す大きな可能性を伴う,これらの兵器の存在は,紛争の力学を変化させる.
核または非通常兵器を保有する弱体な国家は,強国を威嚇することができるようになる.
もっとも,強国がこれらの兵器を保有していれば,更に効果的に敵国を威嚇することが可能でもある.
同時に,危機が制御不能にもなれば,アメリカと北朝鮮やインドとパキスタン間などで核兵器の使用という危険を高める.
そして,テロリストが核兵器を用いるかもしれないという恐れは,抑止が十分な対応にはならないと言う震撼すべき事態を生んでいる.
冷戦は終結したかもしれないが,核兵器や非通常兵器と共存する時代は,まだ終わっていないのである.
つまり,WMD兵器の拡散は,非国家・国家両方にいきわたる可能性があり,その両方ともに脅威であると言える.
詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授「国際紛争」(有斐閣,2005.4)第5章を参照されたし.
なお,上記の中の「テロリストが核兵器を用いるかもしれないという恐れは,抑止が十分な対応にはならないと言う震撼すべき事態を生んでいる」についてですが,江畑謙介氏の『米軍再編 新版』(ビジネス社,2006.11)に面白い記述がありましたので,補足の意味で引用してみます.
脅威の対象としては国家による在来型(伝統型)のものよりも,テロリズム,大量破壊兵器によるテロ,武装勢力によるゲリラ攻撃,あるいはサイバーテロやレーザー攻撃などの新しい技術分野による非対称型攻撃などが重視されている.
これらの脅威の多くは「抑止」の概念が機能しない.
――353ページ
【質問】
情報技術革命は,大量破壊兵器の拡散にどのような影響を与えたのか?
【回答】
・大量破壊兵器の拡散は冷戦期よりもはるかに深刻となっている.
・しかしながら,情報技術革命による核拡散は,意外に進んでいない.
***
技術の脱国家的拡散は,企業と技術の熟練を移転し,貿易,移民,教育,思想の流通などを通じて行われたため,NBC兵器の大量破壊兵器を製造可能な国家は40カ国に上る.
化学兵器技術の誕生は役100年前で核・弾道ミサイルは50年前だった.
冷戦中は,不拡散政策によって,核兵器の拡散はある程度拡散したが,ソ連の崩壊して,それらの後継諸国が技術の流出を抑えられなかったため,大量破壊兵器の拡散は深刻化している.
ソ連崩壊前の核保有国は8カ国であり,そのうちの5カ国(米ソ中英仏)は,1968年の核不拡散条約(NPT)の中で正式に核保有を宣言した.
後の三カ国(イスラエル・印・パキスタン)は条約に批准せず,極秘に核開発を行ったと考えられていた.
核拡散の状況について,ナイ教授は以下のように分析している.
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1998年に,インドとパキスタンは公然と核実験を行った.イラン,イラク,北朝鮮の三国はNPTに調印したが,なんとか核兵器を開発しようとしていると,広くみなされていた.
南アフリカ,韓国,アルゼンチン,ブラジル,そしてリビアの5カ国は,同じ道を歩み始めたが途中で方針を変更した.
興味深いことに,30カ国以上が核開発の能力を持ちながらそうはしなかった.
つまり,実際に核保有国となった国々の3〜4倍の国々が核保保有能力を持っていたのである.
1963年に部分的核実験禁止条約に署名したケネディ大統領は,1970年代までに25カ国が核保有国になると考えられていたが,そうはならなかったのである.
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詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
無政府状態の国際社会では,核兵器は究極の自衛手段であるにもかかわらず,なぜ核拡散は限定的だったのか?
【回答】
1.米ソが同盟国に何らかの安全保障を提供したから.
2.米ソが核管理に関して協力したから.
3.条約制度が確立していったから
***
3つの要因が挙げられる.
1.冷戦中に米ソがお互いの同盟国に対して,なんらかの安全保障を提供したから.
以下,ナイ教授の見解.
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ドイツと日本が核武装しなかったのは,アメリカによって安全が保障されていたからである.
アメリカが同盟国に対するいかなる国からの核の脅威も排除することを確約したことによって,日本もドイツも核兵器を保有する必要がなかったのである.
小国との同盟にも重要なものがあった.
たとえば韓国と台湾は,1970年代にアメリカがヴェトナム戦争以後アジアから撤退すると見て核開発に乗り出したが,アメリカが反対し保護の継続を約束すると,開発を中止した.
同様にソ連も,東欧の同盟諸国や第三世界でソ連の影響下にあった諸国が核開発を行うことを阻止した.
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2.米ソが核管理に関して協力するようになったから.
核開発の初期段階では,両超大国は極めて競争的で,お互い有利な状況を作り出そうとして,核技術を利用しようとした.
しかし1968年には両国が協力するようになり,核不拡散条約を結ぶまでになった.
1977年には米ソを含む各技術供給国15カ国が,原子力供給国グループを設立し,核開発に関する輸出規制のガイドラインを定めた.
3.条約・制度などの成立
これまでに187カ国が核不拡散条約に批准し,非核保有国の核兵器開発と,核保有国による核兵器輸出などによる移転禁止が制度化している.
非核保有国は,ウィーンのIAEA[国際原子力機関]の査察を受け入れている.
インド,パキスタン,イスラエルなどのごくわずかな国は,この条約を受け入れておらず,イラクや北朝鮮は,この制度を反故にした.
イラクの場合,湾岸戦争後に核開発計画が解体された.
冷戦後の核拡散について,ナイ教授は以下のように述べている.
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冷戦後の世界においては,同盟や制度や安全保障の今後と,旧ソ連圏からの各技術の拡散の行方が懸案である.
ケネス・ウォルツのようなネオ・リアリスト[新現実主義者]は,核兵器の拡散によって抑止が働き,安定をもたらすと主張する.
核兵器の存在によって冷戦が熱戦になることが妨げられてきたのなら,中東や南アジアなどの地域においても,同様の水晶玉効果が慎慮と秩序を生み出すに違いない,というのである.
この考え方の問題点は,統一的単一主体間の抑止という合理的モデルに依存しすぎていることである.
もし冷戦後の世界で核兵器が管理できなくなるときこそ,最大の危険だとすれば,合理的モデルに基づいた推察は不適切である.
今後核開発を行うであろう国々の多くは,クーデタや軍部の分裂によって不安定なのである.
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詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.
【質問】
以下のメール・マガジンに関してですが,原子炉の「似ている/似ていない」は,どんな点から判定できるのですか?
――――――
AP通信は,ブッシュ政権がシリアの核施設と非常に類似している北朝鮮・寧辺の核施設の写真も議員らに公開したと報じ,ブッシュ政権は,シリアの核施設の外観や燃料棒注入口など寧辺の核施設と似ているとの判断を示したと伝えました.
〔略〕
寧辺の原子炉は,縦49.9メートル・横47.8メートルの四角形の建物で,シリアの核施設もまた,縦横がそれぞれ 46.9メートルで,寧辺の原子炉に類似しています.
――――――おきらく軍事研究会
【回答】
原子炉の設計が似ているかどうかは
「1.原子炉・核燃料の設計」
「2.全体寸法,原子炉廻りの他に原子炉を冷却する設備」
で判断でき,専門家から見れば,大体の情報でその技術的レベルまで簡単に推測できます.
この中で最も重要なものは「核燃料の設計」と「原子炉の設計」であり,核燃料や原子炉の寸法,核燃料の数も重要なのですが,その中でも
「核燃料(原子炉本体)の高さ」
「核燃料の数に対する原子炉の縦横の大きさ」
「核燃料あたりの原子炉冷却系統設備の規模(冷却能力=原子炉熱出力)」
が決定的な要素となります.
詳しく説明すればきりがないのですが,上記の項目はその原子炉の性質(用途),性能(熱出力→プルトニウム生産量)に直結しますので,核不拡散上,非常に重要なファクターであり,常識として,CIAとしても目を光らせているものと考えます.
〔略〕
> 寧辺の原子炉は,縦49.9メートル・横47.8メートルの四角形の建物で,
>シリアの核施設もまた,縦横がそれぞれ 46.9メートルで,寧辺の原子炉に類似しています.
まずは,原子炉とそれを格納する建物との違いを指摘すべきと考えます.
この表現では「原子炉の大きさ=建物の大きさ」となってしまい,簡単にするためとはいえ,専門家にとっては非常に奇異なものとなります.
<まあ,これはどうでも良いお話しですが.
ただ,建物の大きさの話は重要な要素となります.
上に指摘したとおり,「原子炉の大きさ≠建物の大きさ」ではありますが,当然の事ながら両者にはある程度の相関関係があります.
ここで重要となるのは,その原子炉の大きさと出力(熱出力)の関係です.
プルトニウム生産用の原子炉の場合,熱出力にして数MW〜数十MWのものが多数なのですが,日本国内で一方の主流となっているBWR(沸騰水型軽水炉)の電気出力1100MWeクラス(熱出力3293MWt)の原子炉建屋もほぼ同じ50m四方です.
すなわち熱出力にして数百〜数千倍の違いがあっても,原子炉建屋の大きさはほぼ同等.言葉は悪いのですが「天と地ほどの差違」です.
これはコンクリート構築物としての限界と言うより,原子炉の設計の違いに伴う特性
(プルトニウム生産用に設計されるような,ごく初歩的な原子炉では,原子炉出力に対して,原子炉物理学上の制約から,原子炉本体の大きさが非常に大きくなってしまう)
を如実に示しているものです.
そのため,その点に対する分析がなければ,ごく表面的な理解にとどまってします.
<報道としてはそれでもかまわないのでしょうが,軍事的な分析を加えるには,相手方の能力の分析に直結するため,絶対に無視できないところです.
そのため,数値だけで分かったようなふりをしていれば,設置されようとしている原子炉がどのようなものか.原子炉を冷却する設備等の規模とも比べて,その目的含め,技術レベルを子細に検討・推測できる専門家と,それができない非専門家の違いがどこにあるのか理解できないことになります.
へぼ担当 by mail
【質問】
核兵器に代わるような破壊力を持った兵器は,何か研究されているんでしょうか?
【回答】
テラー博士の計算によると,100MT以上に出力を大きくしても,巻き上げられた物質の運動エネルギーが増大するだけで,威力範囲はそれほど大きくならないと言われています.
よって,100MT以上の出力をもつ新兵器は理論上製作できますが,兵器としてはあまり意味の無いものになるでしょう.
核融合以上の質量変換効率を持つ物理現象としては,対消滅とかブラックホールの蒸発とかありますが,そういう話をしても,現実の兵器としての話になりません.
放射線を出さない大威力なら,重力井戸に大質量を放り込めば得られますが,あんまり威力が大きいと使う方も含めて地球上の皆が困ります.
地球上ではこれ以上の威力は「邪魔」なのです.
物理的な破壊力=エネルギー放出量/重量
で考えると,いまだに核融合爆弾が最強です.
物理学,天文学の範疇から見ても,実用の可能性があるのはこれのバリエーションのみ.
まあ,ロシアから真空相転移エネルギー(いわゆるゼロエネルギー)をアメリカに売り込んだ,とかいう話も一部に流れましたが,結局はガセ,ネタ.簡単に言えば,物理学の領域で出ていない話が軍事では極秘で実用化,なんて事はあり得ないのです.
ただ,核廃棄物は核融合爆弾より安価大量に作ることが可能であり,長期間汚染できるという点でも優れています.
その意味では,ダーティボムが水爆よりエライ,という事ができるでしょうし,開発してる後進国はたくさんありそうです.
でも,これは多分質問者のイメージより軍事的すぎますね.
軍事板
◆◆◆各国別事情
【質問】
これまでに核実験は世界各国で何回行われているのか?
【回答】
以下の表の通り.

【質問】
アメリカやロシアは戦術核(小型で個人で何とか運搬可能なレベル)で知られますが,中国や英仏・インド・パキスタンはどうなのでしょうか?
【回答】
戦術核/戦略核の分類は使い方の問題であり,核兵器小型とは直接には関係しません.
御質問の各国の核戦力は,核抑止を基本とした戦略的なものですが,インド・パキスタン紛争での報道を見ても核の戦術使用を否定したものではないでしょう.
小型化に関しては,SLBMのMIRV化に成功している英仏は,かなりのレベルにあります.
軍事板
【質問】
フランスとイギリスが核開発にかけた費用,どれぐらいかわかります?
or いい資料ありませんか?
【回答】
http://nuclearweaponarchive.org/Nwfaq/Nfaq7-2.html#Nfaq7.2
に適当な解があるかと.
軍事板
【質問】
過去に行われたブラジルの核兵器開発について教えてください.
【回答】
一つ覚えの定番サイトで芸がないのですが,
http://nuclearweaponarchive.org/Nwfaq/Nfaq7-4.html#brazil
にまとまっています.
要約すると,軍政下の1978年から秘密裏に開発が始められ,1985年民政に復帰した後も,公開された平和利用の核開発と併行して,強力な軍の元で軍事的な開発が続けられました.
ウラン濃縮に力が注がれ,原子炉級は完全に自力で製造でき,軍用レベルも製造可能と考えられています.
1991年,陸軍がプルトニウム生成用の原子炉建造を計画したものの,計画規模は縮小され,結局中止されています.
結局,1998年に核拡散防止条約に調印し,ブラジルの核兵器開発計画は完全に消滅しました.
軍事板
【質問】
ブラジルが核兵器保有国になる可能性はあるか?
【回答】
低からぬ確率でそうなる可能性があるという.
以下引用.
ブラジルはイラン同様NPT加盟国で,IAEAにも協力的ということになっ ていますが,その原子力技術はかなり秘密に包まれているようです.
ブラジルでは現在2基の原子炉が稼働中ですが,この濃縮施設では2基分以上 のウラン燃料を製造することが可能で,将来的には,核兵器は作らないという国際約束を見直す惧れもあると言う見方もあります.
イランと同じ立場でありながら,イランほど注目を浴びることなく,ブラジル はイラン問題で得をしているのではないか,と疑っているのは,米国きっての核不拡散問題の専門家David Albright氏です.
イランの後はブラジルというこ とになるのかどうか,いささか気になるところです.
(後略)
同国の原子力関連には興味深いも のがあります.
以前まとめた資料の焼き直しですが,ご参考になれば幸甚に存
じます.
ブラジルは,アフリカ沿岸までを自国の安定を保つための地域として認識して
います.
同国は70年に領海の200海里宣言により,海洋国たらんとの意思を示
しております.
その2年後には海軍少将H・B・アウグスト・モレイラが,
「ブラジルが十分な 海軍力を保持し,またその地理的,戦略的な位置を最大限に利用することは,
国の急速な発展と平行して,高度に効果的な国家安全保障の目的を達成するた
めに,必要不可欠なことである」
と主張しました.
その目標達成のためには海洋力が不可欠であり,同国海軍は空母も保有し,原
子力潜水艦の開発も進めています.
ブラジル海軍は,核燃料の技術開発を聖州
アラマール市でサンパウロ大学(USP)とサンパウロ燃料技術研究所(IPEN)の協力により,遠心分離技術を用いて行っています.
2005年9月29日,SSNに搭載する予定の50MWの国産原子炉が完成したことが明ら
かにされました .
【参考資料】
曽村保信著『地政学入門』(中央公論社,2000/4),176-177頁.
もっとも,ブラジルの未来像をゴルバリー・ド・コート・エ・シルヴァのよう
に「多くの人口を擁し資源豊かな大陸国家」に育てるのが目的とする学者も存
在する.
ジェームス・ハッファード「コート・エ・シルヴァ,ゴルバリー・ド
・コートCouto eSilva, General Golberry do」
from ジョン・オロッコリン編,滝 川義人訳『地政学事典』(東洋書林,2000年)
「ブラジルが原発向け核燃料生産へ−世界第7の核保有国」
【フォリャ・デ・サンパウロ紙24日】349(2002年05月29日)
http://www.brazil.ne.jp/economy/news/349.html(2005年11月13日)
「2004年,ブラジルはIAEAからウラン濃縮の許可を得たが,同国にはかつて核
兵器開発計画が存在しており,この決定によって核兵器開発再開の懸念も示さ
れている.
同国の濃縮能力は,2010までには年間26〜31個の,2014年までには
53〜63個の核爆弾を製造可能にする.
ブラジル外務省にはNPTは不平等である とする意見が存在するのみならず,ブラジル人の一部はNPTが国家主権の侵害
であると主張する」
”Brazil's First Steps Toward Nuclear Weapons?,”
from _Stratfor_, 29 Nov 2 004,
「2003年1月,大統領候補であったルーラ大統領もNPTの不平等性を訴えている.
2004年6月,ブラジルはIAEA査察官の,同国ウラン濃縮工場への立ち入りを制
限する意向を示している」
from Global Security_, 28 Apr 2005
Pedro Paulo Rezende, “Brazil Closer to fielding SSN,” _Jane’s Defence Weekly_, 14 Sep 2005, p.6.
【質問】
旧ソ連は,井戸水や油田を掘るのに核爆弾を使用していたというのは本当ですか?
【回答】
ソ連は「平和的核爆発」と称し,大規模土木工事に核爆弾を何気に使用しておりました.その総数は150回を超えるとか.
それの代表的なところでは
・地震研究のため.地中核爆発で地震波を出してみた.
・石油掘削のため.穴掘って核爆発を起こせば近くの油田のアブラの出がよくなると思ってやってみた.
・運河開削のため.連続的に核爆発でクレータを作ってそれをつなげて運河にしようと思った.・・・これはさすがに二発だけ爆発させてやめた.
・地中ガスタンク作成のため.地中に球状の空洞が出来る筈だったが,地下水で埋まってしまってだめぽ.
・汚染土壌廃棄場作成のため.汚染土壌がかえって増えてる,って点については,偉大なる社会主義国家建設のためなので気にしてはいけない.
・貯水池作成のため.その水をなんに使ったのかも気にしてはいけない.
・炭鉱の粉塵を除去するため.ものすごい爆風で粉塵は収まったらしいですが,炭鉱夫の健康状況は悪化したとか.何故だろう.
・有害化学物質の焼却のため.
……だんだん書いてて頭が痛くなってきた.
ちなみにアメリカでも
・”第2パナマ運河”の建設に水爆を使用して一気に,という案が真面目に検討されたことがあった.
・大量の品質保証期限切れ化学兵器の処分方法として,”核爆弾の周りに処分する化学兵器をひたすら集積してどかんと一発”というのも真面目に検討されたことがあるとか.
でもまぁソビエトよりは・・・あ,いや,アラスカ(のド田舎)に核兵器を使って湾を掘り,港を作るって計画が・・・(汗
あぁ,自分も頭が痛くなってきました.
軍事板

【質問】
南アフリカはなぜ核兵器保有に走ったのですか?
また廃棄を決定した理由は何でしょう?
【回答】
http://www.au.af.mil/au/awc/awcgate/cpc-pubs/farr.htm
のイスラエルの核の話にも出てきますが,人種差別政策のために西側から援助を得られなくなっても,アフリカの白人国として優位を保つために保有を図り,結果として国際的な制裁を受けるマイナス面が大きいことに気づき,人種差別政策もやめたのでその必要もなくなったということです.賢明ですね.
核武装狂信者には,このあたりの事情を100回勉強して欲しいものです.
また,一説によると核保有のつもりは無く,イスラエルの核武装の為の場を提供しただけとも言われています.
南アの核についてはここがよくまとまっています.
http://nuclearweaponarchive.org/Safrica/index.html
軍事板
【質問】
冷戦時代に仮に米ソが互に核攻撃を交わすことになった場合,米ソ以外の脅威が登場する可能性を考えて,お互い全量の核を使用することなく,それぞれ一部を手元に残しておくことになっていた,というのは本当ですか?
【回答】
わざわざ残すことを考えるほどの核攻撃の応酬であれば,それは事実上全面核戦争です.
そのような状態では手元に残しても相手の攻撃でつぶされるでしょう.
仮につぶされなくとも,運用できるような組織は残りません.
さらに言えば「米ソ以外の脅威」も一緒に潰れているので,仮に運用できるような核兵器が米ソに残っても,使う相手などいません.
そんなバカなことやる暇があったら,全量を相手に叩き込んで,こっちの被害を最小限にするのが当然.
そのような話にまともなソースはないと思いますよ.
軍事板
【質問】
冷戦期,ドイツに供与されていた核兵器の使用決定権は,NATOとアメリカのどちらにあったのでしょうか?
ドイツにはなかったですよね?
ますたーあじあ
【回答】
NATOの核シェアリングは未だに細々と続けられているそうです.以下はNPTに対するNATOの現在の見解から見つけた一文です.
http://www.nato.int/issues/nuclear/position.html
の"Negative Security Assurances (NSAs)"の項
>In NATO, the final decision on any employment
of nuclear weapons would be taken by the
Alliance's nuclear-weapon States.
>NATOにおいては,加盟国の中の核保有国(つまり米英仏)が核兵器の使用に関して最終的な決定を行うことになっている.
NATOの核政策・核兵器の運用は全加盟国の総意のもとに行われますが,最終的な決定権は核保有国,つまり米国が握っているということですね.
だからNPTには抵触しないと.
やや詭弁のようにも聞こえますが.実際,核弾頭・核爆弾は米空軍の管理下にある(あった)と書いてあるところがたくさんありました.
>ミサイルはドイツ軍管理で,核弾頭は米軍が管理
これは西ドイツ空軍に供与されていたパーシングIAのことですね.
INFを交渉しているときにレーガンは,これは米ソの取り決めだから西ドイツは関係ないとごねて問題になったけど,結局,西ドイツのシュミットが自主的に(一方的に)解体することでとりなしたそうです.
INFの主なターゲットのパーシングIIは,西ドイツの米軍基地で米空軍が展開していたので,西ドイツ軍が関与する余地はないはずです.
バグってハニー
「Nuclear Sharing」では,いまいちいいソースが見つからなかった(漏れの英語力が怪しいってのもあるが)ので,日本語ソースからこういうの見つけました.
http://www.h-ri.org/column/?cate=yano&id=002&page=2&mode=print
(2)
核共有については,目標の選定,指揮の一元化,指揮・統制組織などに課題がある.
共同司令部で計画段階において目標選定にあたり,同盟国として意見を提出することは可能.問題も少ない.
ただし,現実には,全般計画を策定し,全目標の統制調整権をもつ米軍の意向が優先されよう.
最も困難な課題は指揮の一元化.
米軍の司令官が他国の指揮官の指揮に従うことはありえない.
NATOでも,米国のSSBN部隊は米大統領が一元指揮することになっている.
その一部のSSBNの攻撃目標についてNATO同盟国の意見を入れることはあるが,NATO軍司令官は米大西洋軍司令官が兼務しており,事実上の一元指揮.日米間では,米太平洋軍司令官が指揮することになる.
いずれにしても核のボタンを二重保有する限り,米大統領が一元的に指揮することになろう.
仮に日本が核攻撃を要求し,米国が拒否した場合はSSBNによる核攻撃はされず,逆に米国が核攻撃しようとして日本が反対しても米国は攻撃することになるであろう.
((1)を含めた委譲の論点は,NATOとのポラリス潜水艦の「配属指定」に伴う核共有が問題になった1960年代にキッシンジャーがこの問題を取り上げ,明言している[脚注25].
日米間ではNATOと異なり,多数国対米国ではなく一対一であり,さらに日本の立場は弱くなる.
SSBNの建造費を分担して分有する案もあるが,NATOでも当時の西独はNATO合同艦隊の経費の4割を負担すると申し出たものの,それでは事実上ドイツ指揮下のSSBN艦隊になるとの米国,その他諸国の反対で指揮権は拒否された.)
----------------------------------
ますたーあじあ
でも,核シェアリングが一番お手軽な核武装の方法ですよ.完璧な抑止力からは程遠いですけどね.
北朝鮮が核実験したときに,非核三原則を二原則に緩めて核の持ち込みを許すと宣言すればよかったのにと私も考えていました.
それで,たまに米国の戦略原潜に寄港してもらう.
費用はほとんどかからないでしょうが,日本の核抑止力は飛躍的に向上するでしょう.
ただまあ,最盛期の旧ソ連と比べれば北朝鮮・中国の脅威なんてごみみたいなもんですから,私の勝手な妄想ですね.
バグってハニー
【質問】
ビキニ諸島で実験した爆弾って本当に水爆なんですか?
【回答】
水爆です.
有名なのは1954年のキャッスル作戦といわれる一連の核実験ですが,一発目の「ブラボー」が予想の2.5倍,15メガトンの出力を発生させ,このため放射性降下物が日本の漁船や現地の住民を傷害する結果となり,賠償問題,国際的な非難などで米は評判を落としました.
さて,まず通常爆薬はもちろん,原爆のみでも15メガトンの出力を発生させることは困難です.
原理的には円筒状のコアを使用することによって無制限に近い出力が出るのではないかといわれており,スーパーオラロイテストでも大きな出力を得ています.
しかし,そのためには巨大な装置と多量の高価な核分裂物質が必要であり,実用にも適しません.
キャッスル・ブラボーが意味のない巨大原爆であったとは考えにくいわけですし,実験装置の規模もそんなに大きなものではなかったようです.
そもそも,核出力の誤算自体が,核融合反応に対するリチウム7同位体の貢献を過小評価したためと考えられており,その意味でもやはりビキニの核実験は水爆と考えるしかないでしょう.
軍事板
【質問】
米ソで何度か核実験が中断したのは何故ですか?
【回答】
アメリカでは海外での核実験の多額の費用や,第5福竜丸事件に代表される放射能被害が問題になっていました.
そこでアメリカは,核実験のエスカレートを避けるため,1958年10月31日にアイゼンハワー大統領によって核実験モラトリアムの宣言をしています.
ソ連側でもこれを受け入れて,1958年11月から1961年8月まで実験は中断しました.
しかし,フルシチョフ首相は1961年に実験再開を表明し,8月から実験を再開しました.Tsar
Bombaの実験は61年10月です.
アメリカもこれに対抗して1961年9月からネバダ州の核実験場で実験を再開しています.
その後,1962年10月のキューバ危機で核戦争の危機が高まったことから,部分的核実験禁止条約の交渉が始まり,これに伴ってソ連は1962年12月から1964年3月まで再び実験を中止しました.
1963年8月に米・英・ソは,大気圏,水中,宇宙空間での核爆発を禁じた部分的核実験禁止条約に調印しています.
これに伴い,核実験はすべて地下核実験に移行しました.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板
【質問】
以前,アメリカ軍の陸軍用小型戦術核弾頭(野砲の先端についているような形のやつ)って,今でも配備されているのですか?
【回答】
核迫撃砲デイビークロケットのことか? すでに退役してるぞ.
デイビー・ク"ロケット"は固体燃料ロケット推進で,無反動砲の砲身を利用して発射される.
http://www.astronautix.com/lvs/davttm28.htm
jttp://www.brook.edu/FP/projects/nucwcost/davyc.HTM
配備されたとき,アメリカ陸軍はnewlook政策,つまり大量報復戦略を唱えるアイゼンハワー大統領(陸軍で欧州戦域総司令官だった)のもと,ペントミック編制をとっていた.
たしか歩兵大隊か旅団で撃つのを決められることになってたけど,使うときは玉砕覚悟だったんだろうねぇ.
ちなみに「ディビー・クロケット」は,そういう名前の人が昔いたところから付けられている.
昔,アメリカがメキシコと今のテキサス州の土地をとりあったとき,勝手に独立を宣言しちゃったテキサス州にメキシコ軍が攻めて来た.
そのさい,アラモ砦にこもって抵抗,玉砕しちゃった人たちの一人.
軍事板
【質問】
M29デイビークロケットは実際に射撃実験が行われた事がある代物なのでしょうか?
核爆弾を積んでるんだし,何度か実験を行わないと実戦で「核分裂おきね・・・」みたいな状態だと困ると思うのですが.
【回答】
デイビークロケットの核弾頭であるW54弾頭は,1962年7月7日と17日にネバダ核実験場においてテストが行われています.
"Little Feller II","Little
Feller I"と呼ばれたこの実験では,前者は地面の上に吊された状態で,後者はAPCに取り付けられた無反動砲から発射してテストを行いました.
その威力は,前者はTNT18トン,後者は22トンに相当しました.
名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板
実験動画をどうぞ.
【質問】
レーガン時代に米ソの間で核戦争になりかけた,という話は本当か?
【回答】
複数の情報源によれば,本当のようである.
「'81年,KGB議長ユーリ・アンドロポフ Yuri Vladimirovich
Andropov は,アメリカはソ連に対して核攻撃をしかける準備を進めている,とKGBの会議で発言している.モスクワはこの脅威を真剣に受け止め,NATO諸国のKGBの海外駐在部に直ちに指示を出し,差し迫った攻撃の兆候がないか注意せよと命じた.暗号名"RYAN"――核ミサイル攻撃を意味するロシア語の頭文字を並べたもの――を与えられた作戦は,82年にはKGBの諜報活動の最優先事項になっていたといわれる.
"RYAN"は,レーガンに対するモスクワの被害妄想の産物だった.アンドロポフは,西側と直に接触した経験が殆どなく,レーガンはとんでもない極右だと信じ込んでいたらしい.反共の名の下,世界を破壊することも辞さない男だと.
英国側スパイだったKGB将校ゴルジェフスキイは,この"RYAN"作戦のことを英国に伝え,モスクワがレーガンを過剰に恐れていると警告した.
英国首相マーガレット・サッチャーは,直にレーガンに会って"RYAN"について説明し,その意味するところを伝えている.
にも関わらず,NATOは83年11月,核発射訓練『エイブル・アーチャー』を断行し,核戦争勃発の際にNATO諸国が採るべき実際の手続きのシミュレーションを実施した.
しかしこのとき,これがどれほどソ連を動揺させたか,アメリカは全く気付いていなかった.
KGBは,NATOは現実に警戒態勢をとっているとモスクワに報告し,それを受けてソ連軍も警戒態勢に入った.
キューバ・ミサイル危機以来,これほど大きな核戦争の危機はなかった――にも関わらず,その危機の存在をワシントンが知ったのは,それがなくなった後だったのである」
(M. Bearden「ザ・メイン・エネミー」上巻,ランダムハウス講談社,'03,P.80-81,抜粋要約)
【質問】
そもそも,核大国アメリカの大統領ブッシュは91年にすべての戦術核を廃止するといっていたのに
してないだろ?
アメリカこそが大量破壊兵器保有国なんだから,世界中で多国籍軍つくって攻めろよ.
【回答】
そんな事はブッシュは言ってない.
地上発射型の戦術核と,海軍の戦術核兵器とを撤廃すると言っただけだ.
以下引用.
http://www.gensuikin.org/nw/n_artlry.htm#id2
○ブッシュ大統領の一方的核削減措置演説─1991年9月27日
戦術核に関する部分の抜粋
1)地上発射の戦術核の全面的撤去及び破壊
「世界各地における米国の地上発射短射程(つまり戦域)核兵器を無くすことを命じる.われわれは,核砲弾と短射程弾道ミサイルの核弾頭を米国に持ち帰り破壊する.」
「もちろんわれわれは,ヨーロッパにおける空中発射の効果的な能力[核爆弾]は維持する.これは,NATOの安全保障にとって不可欠である.」
2)海軍の戦術核兵器の撤去
「米国は,水上艦艇及び攻撃型潜水艦の戦術核兵器,それに,地上配備の海軍航空機に関連した核兵器をすべて引き揚げる.」
「これは,米国の水上艦艇及び潜水艦の核弾頭型トマホーク巡航ミサイル,それに,空母搭載の核爆弾をすべて撤去することを意味する.」
「要するに,通常の状況においては,米国の艦艇は,戦術核を積まないということだ.」
「これらの地上配備及び海上配備の核弾頭の多くは,解体され,破壊される.残りの核弾頭は,主要地点(複数)に安全に保管し,将来の危機において必要となれば使えるようにしておく.」
ちなみに(1)当時,地対空用の核弾頭及び核地雷はすでに配備から外されていた.
【質問】
RNEPとは?
【回答】
強化型地中貫通核爆弾の略称.地下の敵施設攻撃を目的とした,核弾頭搭載型のバンカー・バスター.
「ならず者国家」やテロ組織の地下司令部や大量破壊兵器の壊滅を可能にするため,ブッシュ政権は02年1月の核戦略見直し報告(NPR)で,地下の敵施設攻撃を想定したRNEPの研究推進を打ち出した.
しかし,使用時の放射性降下物で民間人が大量に死亡する可能性を,専門家が再三指摘.
連邦議会も懸念を示し,04年度に研究予算が認められたが,05年度の予算を認めなかった.
2005/10/25には,米国家核安全保障局は,06会計年度(05年10月〜06年9月)の予算要求約400万ドル(約4億6000万円)を取り下げると米議会に伝え,核弾頭を使う計画は実質的に断念された模様.
ただブッシュ政権はRNEP研究は断念したものの,依然,安価で維持が容易な核弾頭の導入を目指しており,今年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では「核不拡散を強調しながら核軍縮努力が不十分」と批判を浴びた.
米国の核政策に詳しい軍備管理協会(ワシントン)のダリル・キンボール事務局長は
「ホワイトハウスは使用可能な核に固執するのでなく,国内外の過剰核弾頭の解体をさらに進めるべきだ」
と述べている.
以上,ソースは,
2005/10/27付,時事通信,
2005/10/27付,共同通信,
2005/10/27付,毎日新聞
より.
◆◆◆◆日本
【珍説】
歴史認識や憲法改憲論には,賛否両論,あるでしょうが,この原発に対しての意見は,興善さんに誰も反論できないでしょう.
原発の炉の内部には広島型原爆の一万発分くらいのの放射性物質を蓄えているからです.
(原文ママ)
【事実】
2行目と3行目の繋がりが皆無ですね.
いつも国語的に何かの足りない彼女の文章を補足してみるとこうなります.
この「日本においては原子炉が増え続けています.という」原発に対しての意見は,興善さんに誰も反論できないでしょう.
「なぜなら」原発の炉の内部には広島型原爆の一万発分くらいのの放射性物質を蓄えているからです.
(原文ママ・鉤括弧内某S氏補足)
…補足してもなお意味不明ですねw
なぜここまで文章の繋がりが皆無なのかといえば当然彼女の文章製作能力の低さもありますが,元ブラック無頭こと核テロリストの興善氏は
「日本においては原子炉が増え続けています」
としか言っていないからですね.
本人が言ってないんだから反論できなくて当然ですね.
で,
>原発の炉の内部には広島型原爆の一万発分くらいのの放射性物質を蓄えているからです.
これも調べれば分かりますがほぼ嘘ですね.
詳しく書くと,いくら字数が合っても足りませんので,語弊があるかも知れませんが,ものすごく簡単に書きます.
まず天然に存在するウラン(元素記号U)には大きく分けて二種類あります.
「燃えるウラン」である「ウラン235(U-235)」と「燃えないウラン」である「ウラン238(U-238)」です.
地中に埋まっている天然ウランは0.7%のU-235と99.3%のU-238で構成されています.
つまり,天然ウランに含まれる燃えるウランであるU-235の量はごく僅かなんですね.
で,字数は足りないと言いつつ話は逸れますが日本で最初の商業用原発は東海原発の「黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)」−通称コールダーホール型炉−ですが,これは天然ウランをそのまま燃料にして原子炉で燃やして発電します.
元々イギリスで実用商業炉として初めて開発されたのがこのタイプの原子炉であった為で,フランスでも最初に導入した原発はこのタイプでした.
この炉の欠点と利点は
利点
・天然ウランが燃料なので,ウラン濃縮プラントを必要としない.
・原子炉建設に必要な資材が比較的容易に手にはいる.
・炉の構造上安全性が高い.
欠点
・構造上の問題で炉の出力に比べて設備が大がかりになる.
です.
この欠点は商業的に見て結構致命的にも思えますが,原子炉開発の初期段階ではまだウラン濃縮技術の未熟であった為に,開発国のイギリスで計26基,フランスで8基,イタリア・スペイン・日本で各1基が建設されています.
しかしウラン濃縮技術の発達と共に,「経済性」という欠点の方がクローズアップされてきます.
当然「商業用原子炉」ですから,同じ施設の大きさであれば,出力が大きい方がいい訳ですね.
と言うことで,概ね70年代以降は共産圏以外では後述する沸騰水や加圧水型の「軽水炉」が主流となります.
閑話休題
日本で現在稼動している商業用の原発は52基あります.
これらは全て「軽水炉」と呼ばれる原発で,唯一「ガス冷却炉(GCR)」であった東海村の東海原発は1998年3月で廃止になりましたので,現状において稼動中・建設中・建設計画中の原子炉は全て軽水炉型――正確に言うと稼動中の沸騰水型軽水炉(BWR)29基,加圧水型軽水炉(PWR)23基,建設中のBWR3基,建設計画中のBWR5基,PWR3基−です.
で,この軽水炉型で燃料として使うのは,「核燃料」や「濃縮ウラン」と呼ばれるウラン235を3〜5%程度に濃縮したもの.これを焼き固めてペレット状にして,金属の棒に入れ「燃料棒」という形で使用します.

一方,原子爆弾ではウラン235を90〜100%近くにまで濃縮したものを使いますし,広島型爆弾では約90%に濃縮された約60kgのU-235が使われたと言われています.
さて,ここで「おや?」っと思った人がいれば鋭いです,広島型原爆の核は「ウラン235」ですね,核燃料も「ウラン235」を燃やして電気に代えています.
核燃料Before→Afterを図にするとこうなるそうです.

ご覧のように使用済燃料の主成分は燃えないウラン238が95%,燃え残ったウラン235が約1%,ウラン238から新しくできたプルトニウム239が約1%,燃えカスの核分裂生成物が約3%程度含まれています.
例えば,使用済み燃料としてこの約1%のウラン235をかき集めて広島型原爆約1万個分(一個60kg×1万個=60万kg=600t!)に相当させるには,「原発の中には」ならともかく「原発の炉の内部には」という限定つきだと膨大な量が必要だというのは理解できますね.
110万kw級の沸騰水型軽水炉原発の場合には炉内の燃料集合体の数は約760体,燃料棒にすると約50,000本,ペレットの重さは約140トンになるとのことです.(燃料の製造)
と言うことは大まかに言って使用前燃料でウラン235は約4.2t,使用済み燃料だとウラン235とプルトニウム239が1.4tと言うことになります.
と言うことでプロパガンダマシーンの彼女は巧妙に「放射性物質を蓄えている」と言う風に言い換えていますが,放射性物質と言うのであれば広島型原爆何個分という例えは不適当ですね.
また核燃料には原爆の材料にするために不必要な燃えないウランやプルトニウム,燃えかす(核分裂生成物と言う劣化ウランなど)が一緒に混じった状態なので,精製しなければいけません.
とまぁ,極簡単に言っても濃縮度が全く違うので,核燃料をそのままでは原爆の材料にはならないと言うことですね.
【質問】
学校の先生が.
「アメリカ軍は日本に核を持ち込んでいる」と話していたのですが,ありえる話なのですか?
【回答】
多分それは,数年前に報じられたニクソン・大平会談のメモだと思う.
それ以前にも藤山・マッカーサー会談等のメモ,議事録が公開されており,いずれも,核搭載船・航空機の通過や寄航は非核三原則に抵触しない,との米側解釈が示されています.
そしてこの解釈を拡大解釈する形で,ベトナム期には岩国沖に核弾頭保管船,岩国基地に核管理部隊が駐留していたとの証言(米議会での証言含む)が,当時の米高官複数から出ています.
軍事板
【余談】
ベトナム・クルーズ中のタイコ.
沖縄沖で,スカイホークに核弾頭積んでアラート訓練.
整備員みんなで,格納庫からサイドエレベータへ向かって,スカイホークをヨイショと押した.
勢い余って海へボッチャン,パイロットごとぶくぶくぶく・・・.
ひどい,ひどすきるぞ.
◆◆◆◆スイス
【質問】
スイス政府はなぜ核兵器開発を始めたのか?
【回答】
ヒロシマ・ナガサキの事例を見て,原子爆弾の「効用」を認識したためだという.
戦後暫くの間,原爆は,第1次大戦で登場した戦車や飛行機と同様,戦争に有利な「新兵器」としか考えられておらず,放射能の危険性や人類滅亡の恐怖などは全く考えられていなかった.
また,冷戦下では,
「ソ連軍の侵攻をスイスが国境を防げなくなった場合,フランスがスイス国内のソ連軍に核攻撃を行う可能性が強い.
これを防ぐためには,スイス侵入前にソ連軍に核兵器を使うしかない」
と考えていた.
77年3月,スイスはNPTを批准するが,80年代も核研究を継続.
これは,西ドイツを脅威と見てのものだった.当時のスイス政府首脳は,ナチス・ドイツの脅威を肌で知っていたためだ.
詳しくは,福原直樹著「黒いスイス」(新潮新書,2004/3/20),p.78-80 &87を参照されたし.
【質問】
スイスの核兵器開発はいつから始まったのか?
【回答】
1946年6月,議会によって「核エネルギー研究委員会」設置が許可されたことに始まる.
表向きは「原子力の平和利用」の看板が掲げられていた.
68年4月に参謀本部作戦本部長が作成し,国防省に提出した核配備計画では,15年間で核弾頭・核爆弾400を配備することを目標とした.
詳しくは,福原直樹著「黒いスイス」(新潮新書,2004/3/20),p.80を参照されたし.
【質問】
スイスはどこからウランを入手しようとしたのか?
【回答】
委員会発足後,まずチェコスロバキアに打診.ウラン9tを譲るよう求めたが,チェコの共産化によって断念.
次に47年,中国国民党政府と共同でのウラン発掘を計画.しかし中国共産党の対等で御破算に.
その次に西ドイツと交渉.50年にウラン約100kgを購入.ただし,相場より高値で買わされた模様.
さらに54〜55年,委員会とは別にスイス国防省が独自に,英国から濃縮ウラン約10tを購入.独自に買ったのは,委員会が平和利用しかしない懸念があったため.
フランスからも購入を計画.見返りとして,フランスからミラージュを高値で購入しようとして,スキャンダルになってみたり.
70年には,アルプス山中でも試掘を行ったが,73年には「ウラン鉱脈は殆どない」と報告が出て断念.
核兵器ごと購入する計画もあった.
60年には,スイス軍参謀総長が国防省宛てに
「英米ソからの核兵器購入を考慮すべきだ」
とする書簡を送り,また,スウェーデンとの共同開発の道を探ってもいた.
詳しくは,福原直樹著「黒いスイス」(新潮新書,2004/3/20),p.80-85を参照されたし.
【質問】
スイスにおいて,核兵器技術開発はどこで行われたのか?
【回答】
チューリヒ連邦工科大学を中心とした研究者達をメンバーにして,70年までにスイス政府は,極秘裏に「科学諮問評議会」を設立.
同大学のバルター・ヘルク教授(当時42歳)を中心人物として,72年から
「核弾頭の中で通常兵器で構成される部分の試験」
を開始した.
77年11月には,中性子爆弾の研究を「重要課題」に決定.同年6月,米国で中性子爆弾の研究が進んでいたことを,ワシントン・ポスト紙が暴露したことを受けてのものだった.
詳しくは,福原直樹著「黒いスイス」(新潮新書,2004/3/20),p.を参照されたし.
【質問】
なぜスイスは核武装を断念したのか?
【回答】
スイスは87年に政府公式声明の形で核武装を断念.
その理由としては,冷戦終結.また,スイス同様の山国・アフガーニスタンがゲリラ戦でソ連軍を撤退に追いこんだことで,絶対無比と思われたソ連の軍事力は幻想だった,という気持ちをスイス政府や国民に抱かせたことがある.
そのとき,スイスの核兵器開発は,
「理論的問題は解決しており,実験を行ったならば成功していただろう」
レベルに達していたという…….
詳しくは,福原直樹著「黒いスイス」(新潮新書,2004/3/20),p.95-98を参照されたし.
◆◆◆核兵器開発関連
【質問】
北朝鮮やイランは核開発してるようですが,わざわざ核作らなくてもミサイルに生物科学兵器積めば十分アメリカをビビらせる事ができると思いますが,何故そうしないで核兵器に拘るんですか?
【回答】
生物化学兵器は軍事用としてはあんまり向いてないのですよ.
1.長期保存が無理なので,発射直前で弾頭に積める必要がある.
2.1の理由により敵の攻撃に対して即応体制が取れない.
3.最大限の効果を発揮させるには,核兵器より高度なミサイル技術が必要.
4..3の条件が満たされても気象条件に左右されやすく,効果が事前に計算不可能.どこまで広がるか解らないので自爆の危険がある諸刃の剣.
5.国際的に保有が認められてないので,敵の先制攻撃の口実になりかねない.
6.5の理由により恫喝には使えない上,1と2の理由により先制攻撃で無力化されやすい.
7. 化学兵器は,まずサリンでもフグの毒には遠く及ばない.地下鉄の様な密閉空間ならともかく,普通の場所ではそれほど脅威とも言えない.中和剤もある.
だから北朝鮮は,たとえ既に持ってても公表しません.
効果も核の汚染ほどのインパクトはないでしょう.
外交カードとしては核の方が便利です.
軍事板
【質問】
材料が揃っている状況で一国が本気で核兵器を作ろうとた場合,失敗することはありえないのでは?
現在の核実験は爆発するかどうか試しているのではなく,熱核兵器を作るための実験データ採取に過ぎないこと思うのだが.
更に言えば,日本は実験なしで熱核兵器を作ったとしても,ほぼ確実に爆発はさせられるでは?
【回答】
それは楽観的過ぎます.
computer simulationなんて,アナログ技術(ウラン濃縮)がきっちりできてからの話です.
爆縮レンズに関しては火薬の点火の問題で,点火タイミングを制御して指向性爆破を起こす,今日日,特別な技術ではありませんが,
試作まで半年〜1年はかかると思いますよ.
物理現象のシミュレーションには,根拠となるデータが必要です.
米ロが現在核実験なしで核兵器の開発や品質管理ができるのも,多数の核実験により蓄積されたデータがあればこそです.
新たに核兵器を開発する国にとって,核実験は不可避です.
頑張れる方式でも安全装置との組合せての作動実験が必要だと思われ.
広島のリトルボーイは,最終組立を離陸後に機上でやったらしいが,安全装置をしっかりかけとかないと,弾道弾発射時の衝撃とかで,二分しといたウラン塊がくっついて連鎖反応を起こしかねないとか・・・(((;゚д゚)))
軍事板
事実,以下の記事でも次のように述べられている.
核爆弾の設計図もインターネットから容易に入手できるため,工学部の学生程度の知識があれば実際に製造が可能だという主張もあるが,これはあまり根拠のある話ではない.
〔略〕
▲今や原子爆弾の基本原理や構造はブリタニカ百科事典や高校の物理教科書に載る程,その情報の多くが公開されている.
だからといって原子爆弾の製造が容易になったわけではない.
まず原料のウラニウム(U-235)とプルトニウム(Pu-239)を手に入れるのが難しい.
特にウラン型は天然ウラニウム鉱石に0.7%しか入っていないU-235を抽出し,
純度90%以上に濃縮しなければならず,この過程には多くの困難を極める.
プルトニウムは原子炉に残った使用済み燃料を再処理することで得られるため,ウラニウム型よりは比較的容易だ.
▲原料確保の段階を越えると,ウラン型とプルトニウム型の難易度は逆転する.
米国が広島に投下したウラン型は比較的構造が簡単であり事前に実験する必要もなかった.
一方,長崎に投下されたプルトニウム型は瞬間的に核分裂の連鎖反応を引き起こすといった精度の高い起爆技術が必要とされる.
核実験の目的の大部分は起爆技術を開発するためだが,今回北朝鮮が実験した核爆弾の種類は未だ明らかになっていない.
▲原料確保と起爆装置開発の難しさ,ミサイルに搭載するための小型化に至るまで,核爆弾の技術的なハードルは現在も相変わらず高い.
マンハッタン計画並とまではいかなくとも,数年以上かけて国家レベルで総力を傾ける必要がある.
キム・ギチョン論説委員 in 朝鮮日報,2006年10月11日14時02分
【質問】
核兵器1個あたりのお値段はどれくらいが相場なんですか?
相場がなければ,おおよその最高額,最低額なんかを教えてください.
【回答】
「兵器」としての有効性を考えないなら,原爆自体は約6億〜36億円で作れます.
が,兵器として運用するためには,さらにその10〜100倍必要.
***
「兵器」としての有効性を考えないなら,原爆自体は約6億〜36億円で作れます.
以下引用.
【萬物相】原子爆弾の製造法
インターネットで核兵器に関する情報を検索すると,「原子爆弾を簡単に作るための10段階の方法」といった文書がいくつも出てくる.
その多くが500万〜3000万ドル(約6億〜36億円)ほどの資金さえあれば容易に原子爆弾を作ることができるとしている.
その中には「プルトニウムを扱った後は,手を石けんとお湯できれいに洗うこと」などといった多分に冗談めいた記述も見られる.
ただし,実験データの裏付けのない核爆弾が正常に作動できるかどうかは,もちろん保証の限りではありません.
キム・ギチョン論説委員 in 朝鮮日報,2006年10月11日14時02分
が,兵器として運用するためには,さらにその10〜100倍必要.
核兵器は一個いくらで売ってくれるものではないので,開発しないと持てません.
米の場合,ブルッキング研究所が出した数字では,1940年から1996年の間に,開発,実験,配備,維持で600兆円ほどかかったとのことです.
冷戦最盛期には米はおよそ5万発の核弾頭を所有していた
http://hypertextbook.com/facts/2000/FannyTsui.shtml
ようですから,仮に1955年からこの数字に達し,10年ごとに全核弾頭を新品と取り替えるとして(25年保管可能という数字やプルトニウムコアは40年以上という説もある
http://www.tms.org/pubs/journals/JOM/0309/Martz-0309.html)
思い切り単価を低く見積もって一発25億円と言うことになりますか.
実際には,その10倍ぐらいまで見ないといけないかな.
現在から取りかかるなら,開発費は大巾に節約できますから,取りあえず持つだけであれば国連のレポート
"Economic Implications of the Acquisition
and Further Development of Nuclear Weapons
(1967),"
によると2〜3000億円程度で熱核弾頭を20〜30発持てると推算されているようです.
また,当然ながら核兵器には運搬手段が必要であり,先制核攻撃に耐える設備が必要であり,たいていそれは不確実なので戦略核動力潜水艦のような報復攻撃手段が必要であり,盗難や不法使用,クーデターの防止手段が必要であり,それでやっと核均衡を作る可能性が生まれます.
敵ミサイルの発射を感知するための早期警戒衛星や目標をセットするための偵察衛星,それらを守るための衛星防御態勢開発,確実で迅速な意志決定,情報伝達システムの構築.
その間に,費用は10倍にも100倍にも膨れあがるものと思われます.
核兵器は一個いくらで買って使える兵器ではないのです.
system ◆systemVXQ2 in 軍事板
【質問】
ある一国が自前で報復核戦力を持つには何年かかりますか?
【回答】
最も参考になると思われるフランス核武装略史.
・58年,核実験を決意,核プログラムを加速.
・60年,核実験成功
・62年,原潜開発を決意.
・66年,水爆実験成功.
・67年,ル・ルドゥタブル級戦略原潜建造開始.71年一番艦就役.三番艦74年就役.
・ル・トリオンファン級戦略原潜一番艦86年に建造決定,一番艦は97年に,三番艦は04年に就役
ル・ルドゥタブル級戦略原潜は騒音がひどかったそうです.
つまりフランスが本当に自前で確実な報復核戦力を持ったのは,ル・トリオンフォン級の3隻目が就役した04年,今年です.
58年の政治的意思決定から実に46年!
またフランスは91年までに,南太平洋で大気中実験41回,地下核実験134回,サハラ砂漠で17回,95,96年に8回の核実験テストを行っております.核の戦力化には最低限これぐらいのデータが必要ということでしょうね.
軍事板
【質問】
莫大なコストと日数がかかるにも関わらず,フランスが,あえて自前で核開発したのはなぜですか?
【回答】
コンプレックスの裏返し.ドゴールがカイロ会談にもポツダム会談にも呼んで貰えず,連合国首脳としての評価をされなかったから.
最終的にドゴールに核武装を決断させたのは,スエズ動乱においてソ連が核攻撃を含む恫喝を行ったのに対して,アメリカが英仏の干渉政策に対する反対から,報復を確約しなかった事.
このことが,最終的な政治的独立の為には核抑止力が必要との認識を生んだ.
軍事板
【質問】
原子炉を作って核兵器級プルトニウムを生産する場合,実験用原子炉を単にスケール・アップしただけで,ディモナ級の原子炉は建設可能なのでしょうか?
政治的問題は抜きに,純粋に技術的問題として.
【回答】
結論から先に言うと,その元となった原子炉の性能にも依りますが,一般論として
「実験用原子炉をうまくスケール・アップすれば,ディモナ級の原子炉は十分に建設可能」
です.
以下は根拠です.
元となった原子炉が「大学の実験炉レベルのもの」と言っても,「臨界集合体」と呼ばれる「原子炉を臨界にして特性を確かめるのが目的(そのため出力はせいぜいW(ワット)単位)」の特殊な原子炉でない限り,数百から数千kWレベルの物が大勢であり,設置されている冷却装置そのものは別としても,原子炉の炉心自体には十二分な余裕を持つものがほとんどです.
一方,一説に依れば「核兵器級プルトニウム」を生産する原子炉は,数千から数万kWレベルの物と言われています.
もちろん,それ以上でもそれ以下でも「核兵器級プルトニウム」の生産が出来ない訳ではないのですが,必要とする生産スピードにはそれくらいで十分なようであり,後処理の問題も考えると,それくらいが妥当と考えられています.
(あまり出力が大きすぎると,量も多く,処理しきれないまま,せっかく出来たプルトニウムが原子炉内で燃えてしまったり,核兵器としては不適なプルトニウムが出来上がってしまったりします.
一方,出力が小さい方は,単に必要とする量のプルトニウムの出来上がりに時間がかかるだけです.)
そのため,元々が「大学の実験炉レベルのもの」であるなら,せいぜい数倍程度のスケールアップにとどまり,桁がさほど異なる物ではないため,比較的対処は容易なものと推測されます.
では,スケールアップにはどうしたらいいのでしょうか.
ここが各国の技術レベルの差であり,洗練された物となるか,無駄に豪華な物となるかの分かれ目となります.
1.最も簡単な方法;原子炉を横の方向に大きくする(装荷する核燃料の数を増やす)
→原子炉は運転制御や冷却の面は別として,同じ燃料ならその数を増やせば増やすほど臨界に成りやすくなるため,単純に並べる核燃料の数を増やせばそれだけ出力を増すことは簡単に可能です.
(実際は課題もありますが,技術的には対応は比較的容易(説明は難しいのですが)です.)
ただし,原子炉はその分単純に大きくなりますので,新たに原子炉を作り直すなどにしても,コストは高く付きます.
2.次に簡単な方法;原子炉をそのまま3次元各方向に大きくする.
→本来なら真っ先に思いつく方法でしょう.
しかし原子炉の場合,冷却を考えるのは必須です.
一方,カナダのCANDU炉など特殊な例外を除き,原子炉炉心では下から上向きに冷却するのが一般的です.
そのため,単純に上下方向に大きくしてしまうと,原子炉炉心上部で温度が上がってしまうため,冷却が厳しくなります.
すると,安全確保のため,様々な解析や解決手段(技術)が必要となり,話は早々簡単には済みません.
そのため,1.のように単純に装荷する核燃料の数を増やす方が,何かと簡単・安心です.
3.原子炉炉心の出力(出力密度)を大きくする.
→最も洗練された方法です.
うまくやれば原子炉はそのままにして,冷却装置を大型化すれば済むだけに,最も安価で,何とかなりそうな感じを受けられるかも知れません.
しかし,臨界維持や冷却・運転制御,安全解析など様々な課題が大きく,それを克服するのは容易ではありません.
ぶっちゃけ,原子炉炉心そのものを新たに開発するのも同然,と言えるぐらいのものです.
これが出来うるのは,原子炉を単に国産化できるだけではなく,独自開発が出来るところのみであり,原子力(核兵器)開発揺籃期の国ではとても無理です.
また,核兵器級プルトニウムを生産するには,
「無駄に中性子を当てず,ほどほどの所で取り出す」
ことが必須です.
この「ほどほど」というのが非常に重要であり,原子炉の出力密度を増す方向ではどんどん難しくなっていきますので,その意味においてはあまりうまい手段ではないと言えます.
<逆に発電炉や舶用炉など,原子炉を動力源として用いるには,経済性を増すためにも,この方向は必須開発事項です.
また,経済性とは無縁のように思える軍事用原子力推進艦船にしても,「原子炉区画のコンパクト化」は常に要求される事項でしょう.
以上,1.〜3.の方法がありますが,中国が初期に用いたのは1.の方法と,元々ある原子炉炉心の余裕代の範囲内での増出力の組み合わせでしょう.
数倍程度のスケールアップなら,その程度で十分対応可能と愚考します.
へぼ担当 by mail,2008年04月12日 10時02分
【質問】
原子炉への核燃料注入口はどこ?
【回答】
「燃料棒注入口」
とは酷い表現です(笑)
核燃料がガソリンのように液体で,ぼとぼと「注入」されるわけではありません.
「溶融塩炉」と呼ばれる例外中の例外や,特殊な実験炉を除き,核燃料は「燃料棒」とあるように「固体(金属形態であったり,セラミックのような酸化物形態であったり,こちらは色々です)」です.
へぼ担当 by mail・改
【質問】
黒鉛炉は「運転中に核燃料交換が可能」だそうですが,具体的にはどのように交換するのですか?
【回答】
「運転中に核燃料交換が可能」というのは,聞こえは簡単なのですが,高性能の原子炉になればなるほど,
・熱(下手だと,核燃料を急加熱,急冷却して破損させる事故になる)
・圧力(下手だと,原子炉冷却材が漏れることとなり,大事故となる)
などの問題があり,なかなか公開文献で「運転中に核燃料交換が可能」とするメカニズムの図解がない
(メーカー・ノウハウとなってしまう)
ことがあります.
実際,「運転中に核燃料交換が可能」というのは,うまく動作すれば大変なメリットなのですが,高性能な原子炉になるほど,上記のような技術的なハードルが高くなり,機構が大変複雑となる上に,トラブル・メーカーにもなります.
(実際にGCR(英国MAGNOX炉)を採用した日本原子力発電鞄穴C発電所でも,最後の最後まで燃料交換機にかかるトラブルが発生しました.)
また,「運転中に核燃料交換が可能」というのは,技術的なメリットもさることながら,悪意を持てば
「原子炉に入れて(専門用語で「装荷する」と言います)中性子を照射しておき,核兵器用プルトニウムとして理想的な組成となった時点で,原子炉の運転を止めずにタイミング良く取り出すことが出来るため,核兵器用プルトニウムの生産に都合がよい」
(参考:イラクの破壊されたオシラク原子炉は研究用原子炉ですが,「ある運転方法+手法」を用いれば,小規模でも上記と同様のことが可能となります.)
という核不拡散上大きな問題があります.
そのため,「運転中に核燃料交換が可能」な燃料交換機は,その旨,明文化されていないとしても,「取扱注意」となる傾向があり,それにより簡略図等でも公開文献での入手が困難になっています.
そのため,当該原子炉については,どんぴしゃりの図面が無くて恐縮なのですが,おなじみATOMICAから
(現在整備中閉鎖のため,別ミラーサイトへのリンクです)
黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)
http://219.109.2.236/atomica/02/02010106_1.html
の以下の記載,図面
(図面は先のページ内リンクの以下3つが最適)
図1 東海発電所の建家断面図
http://219.109.2.236/atomica/pict/02/02010106/06.gif

図2 東海発電所の原子炉構造図
http://219.109.2.236/atomica/pict/02/02010106/07.gif

図4 東海発電所の原子燃料要素構造図
http://219.109.2.236/atomica/pict/02/02010106/09.gif

が参考になると考えます.
(以下,必要部分抜粋;注釈部分は筆者文責)
----
1.GCRの構造
GCRの例として東海発電所を掲げる.
表1 に設計要目を, 図1に建家断面図を示す.
図2 に原子炉構造図を示す.
基本構成はコールダーホール型(CH)と同じであるが,発注当時の日本における原子力安全の考え方から,東海発電所ではいくつかの改良点があり,改良コールダーホール型炉と呼ばれている.
とくに,六角形黒鉛ブロック積層キー構造(耐震設計上頑丈,CHでは正方形黒鉛ブロック),中空円筒形燃料(核熱特性上有利,CHでは中実燃料),後備原子炉停止装置(ボロン鋼球の落下による),緊急時炭酸ガス注入装置(非常用炭酸ガス系とも呼ぶ,原子炉冷却系主配管破損事故対策)などを採用している.
なお,GCRではいくつかの炉型があり,たとえば原子炉容器の形では球形(東海発電所)と円筒型(コールダーホール)があり,燃料棒では中空円筒型(東海発電所)と中実円筒型(コールダーホール)があり,燃料冷却フィンではら旋型フィン(東海発電所)とヘリボン(herringbone魚の骨,ヒンクレーポイント−A)型フィン,横型フィン(コールダーホール,チャペルクロス)があり,黒鉛ブロックも正方形(コールダーホール)と六角形(東海発電所)がある.
燃料チャンネルを有する正六角形断面の黒鉛ブロックが約2,000個円形状に並べられ,この黒鉛ブロックが10層(この内2層は反射体)に積み重ねられ,炉心を構成している.8体の燃料要素が黒鉛ブロックにスタック状に詰められ燃料チャンネルを構成している.
燃料チャンネルの間隙に中性子吸収材(ボロン鋼管)をもつ制御棒チャンネルがある.
(注記:「燃料チャンネルを構成」し,その燃料チャンネル毎に閉鎖・解放できることが,「運転中に核燃料交換が可能」とする絶対条件です.)
(中略)
5.燃料の取替
燃料の取替は原子炉運転中に行なわれる.新燃料は燃料倉庫から燃料装填準備室に運ばれ8体づつマガジンチューブに装填される.
燃料取替機(C/M)はマガジンチューブを取り込んだ後,目標の燃料取扱用スタンドパイプ位置まで移動し,原子炉容器に接続される.
燃料取替機内は原子炉と均圧にした後,使用済燃料を炉心から取り出し新燃料を挿入する.
この際,新燃料は挿入前に予熱され,使用済燃料は取り出し後は冷却される.
(注記:このようにさらっと書いてありますが,「新燃料の予熱」「使用済燃料の冷却」「目標の燃料取扱用スタンドパイプ位置まで移動し,原子炉容器に接続される状況(特に接続密閉構造)」がノウハウの固まりです.
また,使用済燃料を抱えるわけですので,その状態で止まってしまうと,非常に強い放射能を抱えてしまい,その修理が困難になること.接続が不完全で,原子炉の冷却に用いている炭酸ガスが漏れると,原子炉にとって大きな事故になることなどから,複雑な構造ながら非常に高い信頼度が求められることになります.
そのため,最後の最後までトラブルが発生したわけで.
「運転中に核燃料交換が可能」は,非常に大きなメリットですが,そのためへの設計配慮・制作・メンテナンス共に大変難しいこと.
さらに,現在のように高温化など,設計が高度化されると技術的にさらに難しくなるため,よほどの特殊な目的・必要性がない限り,現在ではそのような設計を出来る限り避ける傾向があります.
<逆に,敢えてそこにこだわると,IAEA査察の絶好のターゲットとなり,核兵器開発疑惑などを招きかねない結果となります.)
ちなみに,同じ「黒鉛減速ガス冷却炉」でもHTTR(高温工学試験研究炉)
http://219.109.2.236/atomica/03/03040207_1.html
http://jolisfukyu.tokai-sc.jaea.go.jp/fukyu/mirai/2007/12_8.html

はその構造上,「運転中の核燃料交換は不可能」です.
また,その技術レベルは
天(HTTRは現在開発中:最新;ヘリウムガスを冷却材として使用し,原子炉取り出し温度が950℃を達成した高性能炉)
と
地(GCRは原子力黎明期;原型は半世紀も昔)
ほど異なります.
へぼ担当 by mail
【質問】
軽水炉の燃料棒交換の場合は,この模式図
http://www.iae.or.jp/publish/tenbou/1999-GENSIRYOKU/siryou/z3-3.gif

から推測するに,燃料棒を交換するには原子炉容器の天蓋全体をあけなければならない,と愚考しますが,それで合っていますでしょうか?
消印所沢
【回答】
ご推察の通りです.
より正確には,軽水炉の場合「燃料棒」ではなく「燃料集合体」の交換になります.
ぶっちゃけて言うと「燃料棒」を束にしたものが「燃料集合体」であり,BWRの場合60本以上が束になっています(PWRでは最大17×17で289本が束になっています).
ちなみに軽水炉や,現存する高速炉では,その構造上(核・熱水力設計含む)このように核燃料棒を束ねた「燃料集合体」とするのが得策であり,ガス炉との大きな違いとなっています.
<これには,もちろん合理的な理由(技術的・運用上双方とも)があるのですが,説明するととても長くなるため,省略します.
そして,GCRとの大きな違いとして,GCRでは使用済燃料の交換中,非常に強い放射線(まともに近づくと被曝で死亡するほどです)を燃料交換機で遮蔽しますが,軽水炉の場合,深く水張りを行い(約10m以上),その水で遮蔽して使用済燃料を移動させます.
なお,このことを指摘できるか否かで,その人が原子力を本当に理解しているか否か判断できます.
深いプールに使用済燃料を沈めて取り扱っているのは,単に使用済燃料を冷やしているだけではありません.
そのため,とてもこのような状態で原子炉の運転を継続することが出来ないことは,誰の目にも明らかです.
<上記を指摘できない人間は,文献上理解しているつもりだけで,実物を見たり,扱ったりしたことがない証拠です.
もし扱ったとすれば,それは単なる「知らぬが仏」であるだけで,全く理解していないことから,その証言には全面的に疑問符が付けられることとなります.
<余談;この水張りを省き,原子力空母の燃料交換では遮蔽不要とした電波記事を掲載したのが,月刊の「軍事研究」誌.
あまりの間違いのため,私からその点を指摘.当該部分は「軍事研究 2007年8月号別冊 21世紀の原子力空母」で削除修正された.
しかし,その際,良く理解していない状態で,同じ原子力船なら良いだろうと,「原子力船 むつ」の特異な前提条件における状態での文献を無理解に引用して,このような遮蔽の必要がないが如く記載している.
本来,引用された文献自体,それ自体は全く正しいが,それが適用できる事態が非常に特異な事例
(原子炉をほとんど動かしていない状態で,そのまま10年以上停止・冷却したため,放射能がほとんど問題にならない,極めて希で特異な事例であった.)
にも関わらず,その点について全く知識を欠いていたため,そのまま一般化して掲載してしまったもの.
実際には,同じ「原子力船 むつ」であっても,原子炉を動力源として実験航海を行い,解役された際には,使用済燃料は当然ながら強い放射能を持っていたため,厳重な遮蔽操作がなされており,現在も遮蔽容器(使用済燃料貯蔵(保管)容器)の中に保管されている.
へぼ担当 by mail
【質問】
アメリカその他各国は北韓に軽水炉の建設を提案していたが,なぜ軽水炉なら核兵器開発が困難なのか?
【回答】
いわゆるKEDOによる1000MWeクラスの韓国型PWR建設の件ですが,これは技術的にも以下の通り,主な点だけでも何重にも伏線があります.
1.軽水炉(この場合PWR)を運用するには「濃縮ウラン」が不可欠.
細かな技術的理由は省略しますが,軽水炉を運用するには「濃縮ウラン」が不可欠です.
これが,核不拡散上において技術的な最大の障壁となっており,イランのように蛮勇をふるい,全てを犠牲にしても国産化に突っ走るか,輸入するかのどちらかです.
そして,何らかの問題(核兵器開発疑惑などの国際問題)がある場合,原子力発電所が有っても運転できなくなると言った,まさに首に匕首を突きつけられた状態になります.
そのため,あのインドですら軽水炉を泣く泣く諦め,従来,経済性に劣る国産重水炉路線(+トリウムサイクル開発)を採ってきた訳で.
米国・インド原子力協定の意義は「濃縮ウランの確保」が最大の眼目となります.
<だからこそ,イランが偏執狂的に自前のウラン濃縮に拘泥する訳ですが.
2.発電用軽水炉(BWR,PWR)では核兵器用プルトニウムの生成が困難
発電用軽水炉ではその構造上,核燃料を取り出すためには,運転を停止して,設置されている遮蔽物を移動させ,原子炉全体のふたを開けるといった大がかりな作業が必要となります.
通常の発電をする場合は,1−2年に1回(日本国内では法令上13ヶ月までが原則)の定期検査の際に行う話ですので全く問題にならないのですが,熱中性子炉で核兵器用プルトニウムの生成を行う場合は,早期に原子炉から核燃料を取り出さなければならなくなるため,「極端に短い間隔(ここが最大のミソ)」で運転(発電)を止める必要があります.
<本来はもう少し説明すべきなのですが,大変長くなります故....
そうすれば,その痕跡は隠しようがなく残るわけで,電力の供給問題はもちろんのこと,IAEAの査察が入れば一発ですし,衛星写真でも「有る部分」に着目すればカモフラージュはほぼ不可能であり,監視可能です.
よって,まともな国ならば軽水炉で「核兵器用プルトニウムの生成」をしようとは考えないことになり,何らかを犠牲にしなければ核兵器開発は原子力開発と共に頓挫することになります.
3.そもそも軽水炉建設・運転・保守などの運用には高い技術が必要.
あのインドですら技術的な問題から,従来ごく小規模な原子力発電所しか運用できなかったわけで.
軽水炉の運用には高い技術が必要であり,仮に軽水炉の原子力発電所が完成したとしても,濃縮ウランを必要とする核燃料の調達,設備のメンテナンスだけでも,新興国ですら最初から全て自前で行うことは不可能です.
<韓国ですら,ウラン濃縮やその他枢要な点で不可能なほど.むしろ,非核保有国のうち,「天然ウラン」調達を除き,全て自前で行うことが出来る日本やドイツが「例外中の例外」と言っても過言でないほど.
そのためのKEDOによる〔北韓での〕韓国型PWR建設だったわけであり,危険なおもちゃを独裁者の手に委ねるような真似をするわけではなく,きちんと技術的な担保を取る形であったわけです.
以上,長くなりましたが,ご参考まで.
【質問】
妻が,北朝鮮が核実験をしたら,死の灰が降ってくると思うけど,どうやって防ぐか?と問います.
私もわかんない.
身重の妻を守るイイ知恵はないでしょか?
総連施設に避難させて,なんていったら断られるんだろうか?
【回答】
やるとしてもたぶん地下実験でしょう.死の灰が撒き散らされるおそれはありません.
よしんば地上実験だとしても,アメリカでは実験場から数百キロの地点でフツーに人が住んでたりします.
統計的に多少健康によくはないかな,程度です.
例えば60年ほど前に,とある極東の島国で2発の空中核爆発が起きたことがあります.
もしお暇でしたら,どの程度の範囲で被害が起きたかを調べてみてください.
それよりもそうやって気に病むことのほうが母体にはよくありません.
「専門家に訊いたら,全く問題ないといっていた」
とでも言っておくとよいでしょう.
どうしても心配なら,こんな感じの放射線測定器を持って
「ホラ,今日もも大丈夫だYO!」
と安心させるのもいいかもしれませんね.
ただ,くれぐれも,イラクで劣化ウラン弾取材した奴らのように感度最大にしないでね.
自然界の放射線で反応しまくるから.
軍事板
【質問】
実際に爆発させなくても,未臨界核実験だけで核兵器開発を行うことはできないの?
【回答】
未臨界核実験,すなわち劣化ウランを使用した実験なら,実際に連鎖が始まるまでは,かなり実物に近いところまで持って行けるので,信頼性は高い.
ただし核爆発させるだけの濃縮ウランを入手するのがたいへん.
U238とU235は化学的な手段で分離できないため,大規模な施設とエネルギーが必要.おまけに濃縮ウランならガンタイプの原爆を作ることができ,これは実際上実験なしでまず確実に作動する.
未臨界核実験の価値は,ぎりぎりの量の濃縮ウランしかない場合に,なんとか爆縮型で起爆させようとするとき,
あるいは節約,ブースト原爆の作成などを狙うときということになる.
プルトニウムは原子炉で燃やした燃料棒から化学的に容易に分離できる.
同位体組成も原子炉の構造と燃焼時間で制御できる.
しかしプルトニウムには劣化ウランのような爆発しない同位体がない.
このため未臨界核実験が極めて困難.
実物を使うしかなく,基礎データがないと意味ないレベルの低質量になったり,逆に起爆させてしまうこともあり得る.
おまけにプルトニウムは作るしかないので高価であり,そのような実験で消費するのはたいへんもったいない(回収はたいへん困難).
というわけで,なにも基礎データを持たない国が未臨界核実験を行うととても能率が悪い.
無意味だということではないが,全然万能ではないということです.
こう書くと劣化ウランを使えば臨界核実験は必要ないように見えるが,実際は核分裂反応によりウランが飛び散ろうとするので,正確な実験にはならない.
まあスパコンをつかえばある程度補えるが,それでも百回ぐらいの臨界実験が欲しいところだ.
それに地政学的条件からしてミサイル原潜が必要だが,原潜を実戦配備するには最低でも十年,常識では二三十年必要になる.
総動員法でも制定しないかぎり,一世代かかるわけだ.
まずは戦略爆撃機と並んで原潜の開発に乗り出すべきだろう.
原潜の燃料を大義名分にすれば高濃縮ウランの大量保有も出来るだろう.
原子炉を小型化する必要から兵器級ウランを使うからね.
再突入については有人宇宙飛行を名目にするのがいい.
シナが今頃始めたのもこれが一因.正確な技術を誇示したのだろう.
ロケットは太さではなく高さ制限をすればよかったのだが・・・
原潜に搭載するなら十bが精一杯だろう.
固体ロケットの商用利用を名目に造り置きにする必要もあるだろう.
長期保存技術及び大量生産技術を手にすることができるだろう.
軍事板
◆◆◆核兵器戦略
【質問】
核の抑止というものは,本当に有効だったのか?
【回答】
完全に信頼できるものでもないが,一応効果はあったというのが,米戦略家の一般的見解だという.
以下引用.
抑止理論というのは,単純に言えば
「相手に対してこちらの武器をチラつかせて,手出しをさせないようにすること」
ということになるでしょうか.
核兵器による抑止理論というのは,相手に対して心理的に脅しをかけることが成功しているかどうか,というところがポイントになってきます.
ようするに,自分と敵の間で「抑止が効いている」という了解のようなものがないと成立しないわけです.
よって,その本質的なところからして「完全に信頼できるもの」ではないのです.
このような「抑止」なんですが,実際に効果があったのかというと,どうやら一応効果はあった,というのがアメリカの戦略家の間での一般的な見解になっているようです.
冷戦時代を通じて核戦争が起こらなかった,というのがその根拠.
ところがソ連が,アメリカのような考えかたで抑止理論を考えていたかどうかというのは別問題で,冷戦後の調査によると,どうやらソ連側はアメリカが考えていたようには抑止されていなかった,という話がチラホラ出てきております.
抑止理論の中心的なテーマというのは,そもそも核兵器を持っていることによる「抑止」(ディターレンスdeterrence)というものが「効く」のかどうか,という部分です.
いいかえれば,「ホントにソ連はアメリカの脅しが効いていたから核兵器を使わなかったの?」というところです.果たしてアメリカの脅しは効いていたのでしょうか?
冷戦中なんですが,実は抑止が「効いている」ということを証明する手段はありませんでした.
「なんじゃそりゃ,じゃあ抑止なんてしなくても元々同じことじゃんか!」
というツッコミも,もちろん予想範囲内です.
なぜなら「抑止」というのは「効いている」ということが元々証明しずらいものだからです.
じゃあ「効いていない」ということがわかる時はどういう時かというと,それはズバリ,ソ連に核兵器を使われた時です(笑
「おい,いい加減にしろ!そんなの理論でもなんでもないじゃんか!」
という批判もわかるのですが,そこはアメリカの頭の良い戦略家たちのこと,抑止理論には三つの側面があることを重々承知の上で,色々な抑止戦略とその改良版を提唱していたのです.
この三つとは,すべての頭文字がCではじまります.
@Communication(コミュニケーション:意志伝達)
ACredibility(クレディビリティ:信憑性)
BCapability (ケイパビリティ:能力)
まず抑止が成立するためには,相手側(ソ連)に,「こういう核兵器を持ってるぞ!」ということが伝わっていなければなりません.
ようするに核兵器を持っているだけではダメで,自分が持っていることを相手が知っていなければなりません.
変な話ですが,やはりコミュニケーションが必要なんですな.
もちろんこのために,わざわざ守りをゆるくしてスパイをさせる,という裏技などもありでした.
次に大切なのは,信憑性です.
どういうことかというと,つまり相手に「たしかに手出ししたら自分のところにこういう被害が及んできそうだな」ということを信じさせなければダメだ,ということです.
歴史の例から見てみましょう.
たとえばアイゼンハワー大統領の政権時代に「大量報復戦略」という戦略が提唱されましたが,これは中国共産党が北朝鮮と共に朝鮮半島で南下してきて朝鮮戦争が勃発した反省を受けて
「西側諸国に少しでも侵入してきたら大規模な核攻撃をしかけてやるぞ!」
という脅しのためにこういう戦略を唱えだした,ということはすでに述べた通りです.
ところがこれは「ハエを殺すのに大砲を使う」ということと同じで,信憑性にかけます.つまりソ連に「大ボラ吹いてやがる」としかとられかねないのです.
そこでこの「信憑性」をアップさせるためにケネディ政権になって考えだされたのが「柔軟反応」という戦略,ということです.
もちろんこの「柔軟反応」をするためには,アメリカ側にも「限定核兵器」などを作れるだけの技術力がなければなりません.これが三番目の「能力」ということになります.
抑止理論というのは,以上のような三つの要素によって「効いている」と考えられていたわけで,アメリカ政府もこのような考えを元にして,様々な戦略変更を実際に行っていたことがわかります.
まあ,100%完璧なものなんてありえないからね.
【珍説】
「次なる戦争は,破滅的な全面核戦争になる.それだけは避けよう」
という論理で,つまりは抑止力が働いて,第3次世界大戦は避けられてきたのだ,というのは,俗耳に入り易い議論である.
しかし,この議論は間違いなのだ.
米国が,広島・長崎への原爆投下を,なんと言って正当化してきたか,考えてみていただきたい.
「原爆投下がなかったら,日本列島での本土決戦となり,そうなれば,米軍側にも日本側にも,より多くの死者が出ていたに違いない.
原爆には,戦争を早期に終結させる効果があった」
こういうことでは,なかったろうか.
兵藤氏の著書の中にも,こんな一節がある.
「第2次大戦でドイツの諸都市を瓦礫の山に変えるためには,英米合わせてなんと12万人の,また日本の81都市を焼け野原にするためには2000人以上の米軍の爆撃機のクルー,ならびに護衛機パイロットが死なねばならなかった.
水爆ミサイルならば,そんな犠牲についても検討する必要はない」(17頁)
核兵器は,兵器それ自体として考えた場合,つまり,核開発に伴う様々なリスクを度外視して考えれば,コスト・パフォーマンス(費用対効果比)に優れていると言うことができ,為政者ないし戦争指導者にとっては,
「できれば使ってみたい」
という誘惑に駆られる兵器なのである.
もちろん,その破壊力ゆえに,壊さなくてよいものまで壊してしまい,なおかつ放射能汚染によって,占領にも支障をきたしかねない「過剰破壊兵器」ではある.
しかし,クラウゼヴィッツの「戦争論」にあるように,戦争行為の目的が「敵戦闘力の撃滅」にあると考えた場合,これは,使用をためらう決定的な理由とはならない.
早い話が,核兵器の存在が,先進国に第3次世界大戦を引き起こすことをためらわせた,とする根拠など,どこにもない.
先進国にとっては,もはや戦争をしても領土が増えるということはなくなり,また,近代戦は恐ろしくコストが高いので,「国家事業」として,割が合わなくなった.
ただそれだけの話なのだ.※1
第一,核兵器による報復が,核の先制使用をためらわせる理由であるなら,核武装していない国を相手とした戦争(ベトナム戦争,フォークランド紛争など,実例はいくらもある)で,核が使用されなかったのは,いかなる理由か.
あまりにも非人道的な兵器である,との認識が共有されるようになったため,国際世論の反発を考慮して,使用を控えたに過ぎないのではないか.※2
林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.144-146
脚注番号は編者が付与
【事実】
なんだか論旨が支離滅裂なんですが.
※1では「割が合わなくなったから核兵器が使われなかった」
※2では「非人道的な兵器だから核兵器が使われなかった」
著者はどちらを主張したいのでしょうか?
別項目で述べられているように,抑止力は一応効果があったというのが,一般的見解とされています.
ユニークな自説を打ち出したいのは分かります――そのほうが目だって,本が売れるかもしれないからね――が,論旨がこのように分裂していては,一般的見解に対する有効な反論とは言えないでしょう.
消印所沢・改
林氏が挙げた例が示すのは,核抑止の他にも核の使用を制限するパワーは有るということですよね.
何で核抑止論の否定にいってしまうのかが分かりません.
ゲッピー
仰るとおりだと思います.
林氏の議論は核が持つ戦略的な意義と戦術的使用をごっちゃにしているので分かりにくくなっていると思います.
戦略的な側面に関して言えば,核による報復・相互確証破壊があまりにも明白であったために使用をためらわせたと.
これに異を唱える人はいないでしょう.
それで,戦術兵器としても用いられなかったのは,やはり核のタブーがあったから,と考えるのが自然だと思います.
バグってハニー
核のタブーなのですが,これがある程度の抑止に繋がったのは事実だと私も思います.
特に小規模な紛争でしたら,核の使用による軍事的メリットを,国内的,国際的批判等の政治的デメリットが凌駕するでしょうから,抑止力として機能するということではと思います.
ただこの政治的タブーによる抑止が,大規模紛争で機能するかどうか微妙なんですよね.
例えば冷戦期にソ連がアメリカ軍主力を壊滅させることができるのであれば,メリットがデメリットを凌駕してしまう可能性があります.
批判を内外から受けても割に合うと考えれば核を使用することは充分有り得るわけです.
もちろん核を向け合っているわけですから,この仮定は成立しないわけですが,この観点から相互確証の意義はやっぱりあると考えるべきでしょう.
林氏の意見も,いわゆる核抑止を否定している所を除けば,間違っているわけではないのですがね.
ゲッピー
また,暇があったら翻訳したいのですが,ロバート・オーマンと一緒にノーベル経済学賞を受賞したトーマス・シェリングは,この問題を受賞記念講演で扱ってるんですよ.
広島・長崎の後,米国は実は核兵器使用の誘惑に何度も駆られているんですね.
朝鮮戦争とかベトナム戦争(の前,ディエン・ビエン・フーの闘い)とか.
それでも,核兵器は一度も炸裂しなかった.これは核兵器が「非人道的な兵器だから」(※2の指摘)ではないかと.
この論点を米国首脳の言葉を引用することによって証明しようとしてるんですね.
バグってハニー
>フォークランド紛争
アルゼンチン如きに貴重な核をぶち込んだら,英国はソ連の核に対してどう対峙すればよかと?
虎が後ろで睨んでるのに,木っ端相手の小競り合いでジョーカー切るわけにはいかんだろ.
メッサー=ハルゼー
【質問】
>核兵器は一度も炸裂しなかった.
>これは核兵器が「非人道的な兵器だから」(※2の指摘)ではないかと.
来るべき第三次欧州大戦でNATOはソ連軍に対し戦術核の先制使用を前提にしていませんでしたか?
結局のところ,戦術上の必要性が薄かったから使われなかった,というところに落ち着くのでは?
また,朝鮮戦争の時点では,「非人道的な兵器」という認識は無かったはずです.
アトミック・ソルジャーなんて朝鮮戦争後増えていきました.
ゆきかぜまる
【回答】
はい.通常兵器でNATO軍を圧倒的に凌駕するソ連/ワルシャワ条約機構軍はNATO軍がそう出ると思っていたので,対抗して中距離弾道弾SS-20を配備しました.
それに対して西側はパーシングIIの配備でやり返すと.これが撃ち合いになると米国本土は無傷のままソ連はウラル以西が壊滅することになり,ソ連にとってはたまりません.
だから,やはり核による報復が怖かったので,核は使用されないまま,ソ連は自身に不利なINF撤廃条約を飲むことになったのだと思います.
ワルシャワ条約機構軍が通常兵力だけで侵攻してきた場合,西側(米軍と自衛隊)は極東で反転攻勢に出ることによって,NATO軍が核を使用することなく欧州の劣勢を挽回するという,水平エスカレーション戦略なるものも米国にはありました.
>朝鮮戦争
に対するシェリング教授の見立ては次のようなものです.
まず,広島・長崎の後,初めて核の使用が検討されたのは朝鮮戦争が始まってすぐ国連軍が釜山まで追い詰められたときです.
このとき,核の使用を巡って米国と英国議会で議論になりました.
クレメント・アトリー英国首相はワシントンDCに飛んで,トルーマン大統領に核を使用しないように嘆願しました.
英国下院は核開発のパートナーであり,米国に注文をつける権利があると考えたからです.
もちろん,実際に核が使用されたなかったのにはそれ以外にもいろいろな理由はあるでしょう.
核をタブー視する考えをどうにかせにゃならんという認識が米国政府内に出てくるのは,もう少し時が過ぎて,大統領がアイゼンハワーに代わった直後の1953年2月(つまり,朝鮮戦争が停戦する少し前)の国家安全保障会議での核にまつわるアイゼンハワー大統領とダレス国務長官のやりとりからはっきりとします(McGeorge Bundy著Danger and Survival: Choices About the Bomb in the First Fifty Yearsという本からの引用).
"Secretary Dulles discussed the moral problem in the inhibitions on the use of the A-bomb. ... It was his opinion that we should break down this false distinction"
「ダレスは原子爆弾の使用を制限する道義的側面について議論した.
我々はこの誤った考えを叩き壊す必要があると彼は考えた.」
つまり,この時点で国務長官さらにはNSC全体も,核の使用がタブー視されているという認識があり,そのような兵器の区別の仕方は間違いであり,取り除く必要がある,と考えていたことが分かります.
この時点では具体的にどうやって取り除くのかは議論されませんでしたが.
バグってハニー
【質問】
原爆1発だけでも抑止力として有効ですか?
【回答】
1発ではダメ.
外れたり作動しなかったら役に立たないから.
少なくとも相手にそう思われたら抑止力としての役に立たなくなるので,最低でも3発は必要か.
結局倍々ゲームで国力の許す限界まで核兵器を持とうとするハメになる,いうのは歴史が証明してる.
でも,
「相手の国を焼き払えても,こっちの首都が消し飛んだんじゃ割に合わねぇよなぁ・・・」
と思わせて抑止力にするだけなら,相手より遥かに核戦力で劣っていてもある程度までは対等な関係性が維持できる.
だからこそ,北韓をはじめとして世界中の国は核兵器持とうと躍起になるわけで.
軍事板
【質問】
「大量報復」理論とは?
【回答】
「西側に侵入してきたら大量の核兵器使ったるぞ!」という脅しをかけることによって,相手からの手出しを抑止できるとする理論.
アイゼンハワー時代に提唱された.
以下引用.
第二次世界大戦が終わった直後のアメリカは,核による抑止がソ連に対して有効であると思い込んで,単純に「核を持っているだけで抑止」(existential deterrence)していると考えていたわけです.
このアイディアを考え付いたのが歴史家だったバーナード・ブロディーという人で,この人は”Absolute Weapon”という本の中で論じております.
ようするに彼が言っているのは,核兵器というのはあまりにも破壊度が大きいので,武器としての存在だけですでに戦略レベルで革命を起こしてしまった(核革命)という議論です.
これがアイゼンハワー大統領政権時代になると,核兵器をアメリカが持っているにも関わらず,中国が北朝鮮をそそのかして南進してきたわけです.朝鮮戦争の勃発(1950年)ですな.
これによって「ただ核兵器を持っているだけじゃダメだ!」ということになり,ソ連に対して「どこでも西側に侵入してきたら大量の核兵器使ったるぞ!」という脅しにかわったわけです.
これがいわゆる”Massive Retaliation”(大量報復)という抑止理論です.
【質問】
柔軟反応理論とは?
【回答】
戦略核兵器だけではなく,通常兵器や戦術核兵器を組み合わせることにより,ソ連の手出しを抑止しようという理論.
ケネディ時代に提唱された.
以下引用.
この〔大量報復〕理論の問題点は,たとえばソ連の軍艦が北海道の沖合いなんかにちょろっと顔を出した場合でも核兵器を使って報復するのか?という疑問を引き起こしました.
これをたとえるならば,一匹のハエを退治するのに大砲を使って殺す,と言っているようなものです.
これじゃあちょっと大げさだ,一匹のハエだったらエアゾールを使えばいいじゃないか,ということになり,60年代にケネディ政権が生まれてからできたのが”flexible response”(柔軟反応)という抑止理論です.
これによって,アメリカは従来の大型核兵器だけじゃなくて,「通常兵器」(conventional weapons)や,小型の核兵器である「戦術核兵器」(tactical nuclear weapons)も組み合わせてソ連の拡大に対応していこうということになったわけです.
戦術核兵器

【質問】
「相互確証破壊」理論とは?
【回答】
どちらが先に攻撃を仕掛けても,お互いに大きな損害を被ることになるので,それによって互いに手出しできないだろうとする抑止理論.
ロバート・マクナマラ提唱.
以下引用.
ケネディ政権になって柔軟反応(flexibleresponse)という概念が生まれたところまで話をしましたが,このケネディ政権が誕生した前後に出てきた新しい理論があります.
これはあの「キッシンジャー博士」ことヘンリー・キッシンジャーや,天才と呼ばれ,21世紀は日本の世紀だと発言して有名になったハーマン・カーンらの提唱した,intra-war nuclear deterrence (戦争中核抑止?)という理論です.
これは一体どういう理論なのかというと,もし米ソ両国が核戦争になったとしても,限定核兵器の出現により,お互いの都市を攻撃するようなアホなことまではしなくなったから,戦争中でも抑止は効いているのだ,というなんとも「ホンマかいな」といいたくなるような理論です.
ところがここらへんで,核兵器の分野におけるアメリカの優位がソ連に追いつかれてきたために,アメリカはソ連と手を打っておかなければヤバイ,と感じはじめたわけです.
ここで出てきたのが「戦略的安定性」(strategic stability)というアイディア.
これはようするに
「お互い核兵器を持ちすぎちゃって,どっちが有利だかわからない状態だなぁ」
「だからどちらが有利ということはなくて,逆に関係が安定しているんじゃない?」
という考えから生まれてきた「核の安定状態」のことです.
ここまでくると,まるで西部劇の決闘シーンのように,どちらも先に抜くに抜けない状態が生まれてきた(とアメリカ側は考えていた)わけです.
ようするどちらが先に攻撃を仕掛けても,お互いに報復できるだけの核兵器を備えているので,損害を被るのはお互い様,ということです.
これがかの有名なロバート・マクナマラ国防長官(ケネディ政権)による,「相互確証破壊」(Mutual Assured Destruction:MAD)という理論です.
ちなみにマクナマラ元国防長官は,最新号のフォーリン・ポリシー誌で「核兵器を廃絶せよ!」という論文を書いて話題になっております.
人の考えというのものは変わるものですな.
「相互確証破壊」は,頭文字をとって「狂っている」という意味のMADという略語で親しまれた(?)わけですが,この理論を提唱したマクナマラは,たしかに狂っているともとられかねないことを言っております.
どういうことかというと,
「ソ連は人口の20%〜30%が死滅し,50%〜75%の工業基盤が破壊されるレベルまで行くと耐え切れなくなる」
ということなのです.
日本の場合に当てはめて考えてみると,人口の20%といえば,一億二千万人のうちの・・・・二千四百万人ですか.
そりゃ日本でも耐え切れませんな(苦笑
こういうことを考えたマクナマラは,けっこう少ない数の核兵器でもかなりの損害をソ連に与えることができる,だから今のままでも充分ソ連を抑止できているのでは?と考えたわけです.

【質問】
「シュレジンジャー・ドクトリン」とは?
【回答】
柔軟反応理論の一つのヴァリエーション.
エスカレーション・コントロールや敵兵力徹底破壊などが加味されているというもの.
ジェームス・シュレジンジャー提唱.
以下引用.
それ〔「相互確証破壊」理論〕から十年後,今度はジェームス・シュレジンジャー国防長官によって「シュレジンジャー・ドクトリン」(the Schlesinger Doctrine)というものが提唱されました.
これは別名「国家安全保障決定書242号」(NSDM−242)と呼ばれているのですが,ここではケネディ政権以来から続いている,ソ連からの攻撃に柔軟に対応するという方針に加えて,エスカレーションをコントロールすることや,いざ核戦争が始まった時には敵の兵力を徹底的につぶすことなどがアドバイスされております.
【質問】
相殺戦略とは?
【回答】
核攻撃の対象をソ連指導部とソ連軍に絞ることにより,抑止を効果的に行おうというもの.
ハロルド・ブラウン提唱.
以下引用.
70年代に入るとハロルド・ブラウン国防長官によって,今度は「相殺戦略」(countervailing strategy)というものが提唱されます.
これは抑止を効果的に行うためには,核兵器のターゲットをソ連の指導者と軍部に絞れ!という,なんとも過激なもの.これは「大統領決議59号」(PDー59)という文書が元になっております.
その代わりの特徴といえば,なんといってもソ連の市民や都市に対しては被害を与えないようにするという,やや人道的(?)な配慮がなされていたことでしょうか.
【質問】
限定核オプション limited nuclear options
とは?
【回答】
ソ連の核戦力破壊を目的とした核戦略.
『安全保障学入門(新版)』(2001年 亜紀書房)によれば,以下の通り.
「(1970年代のソ連戦略核戦力の充実に対し)米国内には
『ソ連は対米核優位と米国の核戦力破壊を目的とした限定核攻撃能力の整備を通じて,核戦争での勝利をめざしているのではないか?』
という疑心が高まり,これに対抗して74年1月,ソ連の都市や産業の破壊(counter-value)ではなくミサイル・サイロなどソ連の核戦力破壊を目的とした対軍事力攻撃(counter-force)に限定した『限定核オプション』(Limited Nuclear Option)戦略を採用した」
(98頁)
【質問】
G. W. ブッシュ政権のNPRは,具体的にはどのようなものか?
【回答】
冷戦後のWMDや弾道ミサイルの拡散という事実に直面した同政権が,戦略攻撃核戦力のみに依存する核抑止戦略の欠陥を是正した,戦略攻撃戦力と戦略防御戦力を併せた「拒否的抑止力の保持による抑止」という新理論.
以下引用.
02年1月に発表されたNPR(Nuclear Posture Review:核態勢見直し)は,従来の核の3本柱――ICBM, SLBM, 戦略爆撃機――に代わる新たな3本柱として,
(1) 核および通常兵器による攻撃能力
(2) 防御能力
(3) 防衛基盤改良
が提示されている.
弾道ミサイル防衛を念頭に置いた「防御能力」を核戦略の一つの柱に据えた背景には,自国民を危険な状態に晒しておく不安定な状態に立脚する「MAD(Mutual Assured Destruction:相互確証破壊)理論」に基づく戦略的安定論に対する根本的な疑問がある.より確実で安全な状態に立脚する安定を図るべきだという考えである.
すなわちG. W. ブッシュ政権は,冷戦後の核兵器などのWMDや弾道ミサイルの急速な拡散という事実に直面し,従来の戦略攻撃核戦力のみに依存する核抑止戦略の欠陥を是正して,通常型を含む戦略攻撃戦力と戦略防御戦力を併せた「拒否的抑止力の保持による抑止」という新理論を構築.
これにより,21世紀の安全保障環境に適応するためのグローバルな戦略転換を意図しているのである.
(金田秀昭〔元海将〕 from 「世界の艦船」,海人社,2003/9, p.71,抜粋要約)
【質問】
ブッシュ大統領の「先制攻撃論」は,どう画期的なのか?
【回答】
冷戦時代から続いていた抑止戦略の本格的な修正をしたという点.
その中身は,「脅威に対して積極的に攻撃を仕掛けていくことによって抑止しよう」という代物.
以下引用.
〔核抑止戦略は〕冷戦後,とくに2001年のテロ事件以降に,大きな転換期を迎えました.いわゆる,ブッシュ大統領の「先制攻撃論」です.
これが核戦略の文書としてまとまった形で出で来たのは,2002年の一月に発表された「核戦略の見直し」(Nuclear Posture Review)というものです.
この文書は,冷戦時代から続いていた抑止戦略の本格的な修正をしたという意味でかなり画期的であり,従来の重量級の核兵器による抑止に加えて,通称バンカーバスターとして知られる地中貫徹型の小規模核ミサイルを使え,ということを提唱しております.
ここからわかるのは,今までのように核兵器を持っているだけで敵を抑止できる時代は終わった,
これからは脅威に対して積極的に攻撃を仕掛けていくことによって抑止しよう,というアメリカ政府の姿勢です.
なんとも物騒な考え方なんですな(苦笑
その帰結がどうなったかは,イラクの現状を見れば分かる通り.
「戦略」と呼ぶには,ちと杜撰過ぎたかもしれない.