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「D.B.E. ミニ型」:核弾頭 ネットで購入/情報源痕跡症候群
「FT」:A plan to eliminate nuclear weapons(by Gareth Evans and Yoriko Kawaguchi,12/17/2009)
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「GIGAZINE」:(2010/01/14)全面核戦争の恐ろしさを,ただ静かに物語る一枚の紙
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核軍縮関連
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「Technobahn」:米海軍研究所,常温核融合現象の有力な証拠を確認
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「Togetter」◆(2011/04/12)核兵器潜在的保有国と核保有についての会話
「Wired Vision」:任意の場所で核爆発をシミュレーションできる『Google
Maps』マッシュアップ
平壌禁止(by bernoulli)
「朝目新聞」●史上最高出力,高速点火実験用の超高強度レーザー「OMEGA
EP」が完成
>爆発を起こさない核実験ができるとか.
「朝目新聞」●世界最強のレーザー核融合実験施設,動画レポート
「小笠原研究室」:「核の番人」のトップに日本人
日本的な「調整型トップ」でありませんように.
「くろいあめ,あかいほしM2」★(2013/03/30) 国際安全保障学会 戦術核兵器特集
「国際情報センター」◆(2010/04/09)米ロ戦略核削減条約の署名
「ザイーガ」◆(2010年01月30日)【動画】核爆発を口と体で表現する男性
「ままならねーことこのうえねー」:Cold Fusion
Is Hot Again
http://blogs.yahoo.co.jp/variableannuit/59961244.html
http://blogs.yahoo.co.jp/variableannuit/59971728.html
http://blogs.yahoo.co.jp/variableannuit/59983069.html
「リアリズムと防衛を学ぶ」:「核兵器さえ持てば他の兵器はいらないんじゃないの?」という疑問への回答
「ワレYouTube発見セリ」:Nuclear Weapons Wolrdwide
『核兵器解体』(今井隆吉他編著,電力新報社,1993.7)
『原子爆弾~その理論と歴史』(山田克也著,講談社ブルーバックス,1996)
原子爆弾開発の歴史を,政治的背景を交え,技術史的観点で追った本.
万人向けに噛み砕いてはあるけど,内容の濃さとまとめの上手さは圧巻.
技術屋さんの視点からものを見ているけど,政治的な面もしっかり押さえられているあたりに感服しました.
変な政治的ベクトルがかかっていないのも評価できる点.
核問題を論じる前に,大前提の技術知識を付けるため是非読んで欲しい1冊です.
------------軍事板,2003/02/04
原子力がひらく世紀: 日本原子力学会(編)
原子炉動特性とプラント制御 (原子力教科書)
- 岡 芳明
原子力プラント工学 (原子力教科書) - 神田
誠
原子力熱流動工学 (原子力教科書) - 秋本 肇
原子炉構造工学 (原子力教科書) - 上坂 充
『世界の放射線被爆地調査』(高田純著,ブルーバックス,2002)
俺の最近のお勧め.
この手の本にありがちな思想厨のではなく,核実験や事故への対応事例が分かり易く纏まってる.
旧ソ連でダム建設のため核爆弾を使用したことなど,興味深い話が多い.
「遥かなる星」でのパナマ海峡建設に元ネタがあったことを知った.
しかし,実績を見て,あの設定ではかなり苦しいと思った.
------------軍事板,2002/08/12
青文字:加筆改修部分
『ポスト冷戦と核』(今井隆吉他編,勁草書房,1995.3)
【質問】
核関連の基礎教材的なものを教えられたし.
【回答】
現在も含め,データの見直し等でしばしば一時閉鎖となるが,web上の「ATOMICA」.これだけで必要十分.
専門家(実務担当者)がそのまま実務に用いても十分耐えうるほどの絶対的な信頼性を持ち,日本語サイト(書籍含む)ではこれに匹敵するものはない.
ただ,あまりに詳細な記述故,専門に走りすぎ,入門者にはつらい一面もある.
しかし,海外文献(特に英語以外のもの,高価,希少本多数)の調査・解説でもそれに比類するのは,もはや学会論文誌もしくは原子力専攻者用専門図書(教科書レベルではない,1冊1万円以上するようなもののみ)以外になく,日本語でOKという点以外でも大変貴重である.
その他としては
『日本の核論議はこれだ」』(郷友総合研究所編,展転社,2008.4)
(筆者が陸自将官退役者ばかりのため,平易に書こうとする努力は大いに評価できるが,どうしても堅苦しく,自衛隊の論理が出てしまう.
しかし,現状認識などは正しく,技術的にも破綻している部分もない.)
『核兵器事典』(小郡元著,新紀元社,2005.5)
(ただし,著者には原理的なことが分かっていない模様.
大学の単位で言えば「不可」もしくは「かろうじて可」・極論すれば「徹底的にググっただけで内容は理解していません」というレベルのため,兵器スペックの辞書的利用にとどめること.
内容についてはAmazonのレビュー参照(これでも甘い採点をした方).取扱注意.
ただし,数々ある新書類はほとんどがこれ以下で,お話しにならない物ばかりである)
以上,ご参考まで.
そのうち,『萌え』路線の核兵器教材書籍が出てきたら,どうしよう?
【質問】
原子力関係で,これを読んでおけばとりあえず問題ないというような,軍事ならエバケン本のポジションにあるような本とかないですか?
売ってる本は反核色でこってり味付けされた電波本か,あとは大学の教科書ぐらいしかない気がします.
D.B. in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字:加筆改修部分
【回答】
反対派なら「御用学者の書いた本」として毛嫌いしそうですし,実際に大学の教科書(1,2年生用)となっている本ですが,おすすめするなら
原子力がひらく世紀: 日本原子力学会(編)
http://www.amazon.co.jp/dp/4890470964/
がベストです.
価格も安価で数式も基本的に使わないため,最初の1冊として無条件に,かつ絶対の自信を持っておすすめできます.
唯一の欠点は版元品切れで,中古でないと入手できないことですが,amazon等で入手可能です.
この本は,中立を旨とし,
「高校生が一人で読むことができる本」
をコンセプトに,第一線の大学教授・研究者が長期間かけてまとめ上げた本のため,実際には高校生には若干難しい嫌いがあるにしても,記載には完璧が期されており,その内容の正しさも(一部の簡略化はあっても)保証します.
また,原子力利用に反対なされるにしても,この本を読んで理解された上でのお話であれば,議論がかみ合わないことはまずない,とまで考えるところです.
なお,原子力専攻の学生など,この本より深く学びたい場合は,
原子力関連の教科書 - PukiWiki
に挙げられた本を参照いただくことになりますが,こちらの方は私自身のような原子力専門の人間が読む教科書ばかりですので,大学の講義なくしては読み解くことは極めて難しいと考えます.
また,いずれも部数が出ないため,非常に高価なことを否定しません.
(専攻の方には「今買わないと,将来必要な際に必ず入手不能となるため,見かけたらどんなに高価でも必ず購入すること.」と強く推奨しますが.)
個人的には専門家になろうとする人間でない限り,上記の「原子力がひらく世紀」を通読していただき,不足点・不明点は無料公開のATOMICAにて補っていただければ,まず間違いないものと考えます.
以上,ご参考まで.
【質問】
原子力関係のソースが殆どAtomica一つに限られてしまうことに,やや懸念があるのですが.
クロスチェックという観点から言えば,それはあまり好ましいことではありません.
Atomicaレベルのサイトが他にない以上,高望みなのでしょうが.
消印所沢 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字:加筆改修部分
【回答】
これは私個人も懸念しています.
もちろん私自身がコメントを寄せる場合,各種資料を駆使することとなりますが,あまりに数が多いこと.
さらに公開資料・情報もありますが,有用な物はむしろ部内資料や学術論文誌などの非公開・もしくは学術論文級のものが圧倒的に多く,通常の書店ルートで入手できる資料の方はごく希である大きな悩みがあります.
そのため,無料公開で信頼性の非常に高いatomicaをベースに説明するのが,何かと都合・使い勝手の良い
(特に,ノウハウに属しかねない部分や,核物質管理・防護関連など論拠を出すのが適切でない場合)
ということになります.
この場合,別途市販・公刊資料以上の物があり,それに言及したとしても「atomicaにて公知の情報」として,私個人が「業務上知り得た情報の漏洩」に問われることもなく,自身の身を守るためにも必須という事情があります.
なお,反核団体・反原子力団体からすれば,
「文部科学省からの委託を受けたatomicaには偏りがある」
と難癖をつけることも考えられますが,彼らの言説にatomicaクラスの信頼性を持ったものがなかなか存在しないことも,指摘すべきかと思います.
また,理想的には厳正中立な機関作成の情報があればよいのですが,日本語はおろか,海外に目を向けても,atomicaクラスの信頼性を持つ例がほとんど見あたらない
(あるとすれば非常に高価な有料情報であり,第三者への公開も禁じられているケースばかり)
ところも悩みの種.
そのため,情報の偏りには十分注意が必要ですが,無料公開のため第三者による検証が容易に可能で,かつ信頼性が非常に高いatomicaを用いるのが,現状ではベストと愚考しているところです.
へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字:加筆改修部分
【質問】
核兵器の原料は世界中にどれくらいあるのか?
【回答】
米シンクタンク試算によれば,3730tになるという.
以下引用.
核兵器の原料3730トン 米シンクタンク試算
【ワシントン8日共同】国際原子力機関(IAEA)元査察官のデビッド・オルブライト氏が主宰するシンクタンク「米科学国際安全保障研究所」(ISIS)は7日,核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウムの総量は,世界全体で2003年末時点で約3730トンに上るとした最新の試算結果を発表した.
プルトニウムについては,核兵器22万5000個以上に相当する約1830トンが35カ国に存在すると報告,日本は151・6~153・6トンと非核国の中で最大だった.
このうち,民生用ながら短期間で兵器転用が可能な分離プルトニウムも非核国で最大の約41トン保有しているとし,プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を原発で使うプルサーマル計画が遅れているため,
「予想外に日本のストックが増大している」
と指摘した.
兵器用核物質保有,イスラエルが突出 米研究所が報告書
米シンクタンク科学国際安全保障研究所(ISIS)は7日,核兵器の製造に必要なプルトニウムや高濃縮ウランの国別保有量をまとめた報告書を発表した.
報告書は事実上の核保有国イスラエル,インド,パキスタン,北朝鮮の4カ国が製造できる核兵器の弾頭数も,それぞれの保有量をもとに推計.
これらの国の中では,イスラエルが突出した数の核兵器を保有している可能性があることを明らかにした.
報告書は米ロなどの核保有国のほか,民生用としてプルトニウムを保有する日本を含む計約60カ国を対象に,核兵器の材料となる物質の国別保有量をまとめた.
こうした資料が公開されるのは初めてだ.
同報告書によると,03年末段階でイスラエルは軍事用のプルトニウム560キロを保有,145個分と推定された.これに対しインドは80個分,パキスタンは70個分だった.
北朝鮮は核兵器3~9個分に当たるプルトニウム35~45キロを保有していると推定され,その後の活動でさらに2~4個分増えている可能性がある.
これらの国の実際の保有弾頭数は明らかになっていないが,核物質の保有量から,実際の数に近い数字を推計した.
核兵器開発疑惑のあるイランは,民生用の高濃縮ウラン7キロだけだった.
イスラエルの核兵器はプルトニウム型とみられている.
オルブライトISIS所長は朝日新聞に対し,
「年間10~20キロのプルトニウム生産を続けており,核兵器2~5個分増えている.高濃縮ウラン型の核兵器を保有している可能性も否定できない」
と語った.
一方で,同所長は
「プルトニウムや高濃縮ウランがテロリストに盗まれる可能性は至る所である」
と述べ,両物質を計約1300トン以上持つロシアが管理体制の不備などから
「最大の懸念だ」
と指摘.
インド,パキスタン,中国の3国や,兵器開発を断念した南アフリカから流出する危険性も指摘した.
【質問】
核攻撃は国際法上は認められてるんですか?
【回答】
もともと,1928年のケロッグ・ブリアン条約と国連憲章2条4項において戦争,つまり武力行使自体が違法であり,つまり条約加盟国,国連憲章批准国に対しては「認められて」いません.非加盟国,非批准国は無関係.
これらの条約下で「認められて」いるのは「自衛.国連安全保障理事会による強制行動.地域安全保障上の行動」だけ.
もっとも,戦争する国はみんな「自衛」と主張するので意味があるようで意味がない.
核兵器の行使自体はハーグ陸戦条約で禁止されている「無制限の害敵手段」「無防備都市,集落,住宅,建物に対する攻撃」といった項目にふれる可能性が強く,その意味で条約批准国には「認められて」いないかもしれません.
しかしこれも解釈しだいであり,「無制限ではなく敵の攻撃能力破壊(たとえばICBMサイロ破壊)に必要」
「攻撃目標は軍事施設であり,民間人の損害は不可避な周辺被害」とか,いくらでも口実は並べられるでしょう.
軍事板
この論点については国際司法裁判所(ICJ)が1996年に勧告的意見(Legality
of the Threat or Use of Nuclear Weapons)を出しています.
http://www.icj-cij.org/docket/files/95/7495.pdf(PDFファイル)
参考までに勧告的意見の内容をまとめると,
(1)核兵器使用・威嚇を特に認可する慣習国際法・条約は存在しない(意見主文(2)A/全員一致).
また,包括的・普遍的に禁止する慣習法・条約も存在しない(意見主文(2)B/11対3).
(2)国連憲章2条4項(武力による威嚇・同行使の禁止)に違反し,51条の全ての要件(自衛権)を満たさない場合は,違法である(意見主文(2)C/全員一致).
(3)武力紛争にかかわる国際法,とりわけ国際人道法と核兵器の取り扱いを規定する諸条約)の要件・義務に合致しなければならない(意見主文(2)D/全員一致).
(4)以上より,核兵器使用・威嚇は武力紛争を規定する国際法の諸原則・人道法の諸原則に一般に違反する.
ただし,国家の存亡そのものがかかった自衛という極限状況において,核兵器の使用・威嚇が合法であるか違法であるかは,確定的に結論付けることはできない(意見主文(2)E/7対7,所長の決定投票により採択).
となります.
核兵器の使用・威嚇は"would be generally
contrary"としつつも,国家の存亡がかかった状態においては,それは合法とも違法とも言えないとした点で,含蓄のある意見です.
なお,意見主文(2)Fにおいて,核軍縮の義務(交渉・履行・完了)がある,ともICJは付言しています.
【質問】
太平洋戦争は世界で初めて核兵器が使われた戦争だから,「核戦争」と見なせますか?
【回答】
一般的にはそうは見なされていない.
ウィキペディアによれば「核戦争」とは以下のように解釈されている.
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核戦争(かくせんそう)とは,核兵器(原子爆弾,水素爆弾,中性子爆弾など,またそれらを運搬する各種のミサイル,爆撃機,潜水艦など)を両勢力が主要な兵器として使用して戦われる戦争のこと.
2006年現在までに核兵器の実戦使用は第二次世界大戦におけるアメリカの日本への2発の原爆投下があるが,核戦争は起こっていない.
しかし,1962年のキューバ危機など,核戦争を引き起こしかねない危機は発生している.
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この解釈だと,「核戦争とは核兵器が主要な兵器として使用されること」故に戦争末期に二発投下しただけの太平洋戦争は核戦争ではなく,「2006年現在までに核兵器の実戦使用は第二次世界大戦におけるアメリカの日本への2発の原爆投下があるが,核戦争は起こっていない.」となる.
これが一般的なものの見方.
もちろん誰でも書けるwikipediaは参考程度にしかならないけれどね.
日本の国会で「核戦争被害国」という言葉が使われたこともあるが,……
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111-参-外務委員会-2号昭和62年12月10日
○専門員(小杉照夫君) 今国会中,外務委員会に付託されました請願は,お手元の表のとおり,核兵器廃絶に関する請願十四件でございます.
その願意は,核戦争被害国として,広島,長崎の原爆被害の実相を究明し,広く国の内外に知らせること,非核三原則を厳守し,非核国家宣言を行うこと,すべての核保有国に対して,直ちに,核兵器完全禁止条約を結ぶよう積極的に働きかけることを要請するものであります.
以上でございます.
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112-参-外務委員会-10号昭和63年05月24日
○専門員(木村敬三君) 今国会中,外務委員会に付託されました請願は,お手元の表のとおり六件名,全部で百三件でございます.
まず,一四六号は,核兵器廃絶のために,第三回国連軍縮特別総会に向けて実効性のある国際的取り決めができるよう努めることを要請するものであります.
次に,一一〇三号は,核戦争被害国として,広島,長崎の原爆被害の実相を究明し,広く国の内外に知らせること,非核三原則を厳守し,非核国家宣言を行うこと,すべての核保有国に対して,直ちに核兵器完全禁止条約を結ぶよう積極的に働きかけることを要請するものであります.
次に,二ページでございますが,五一九号は,戦争犠牲者保護に関する一九四九年のジュネーヴ四条約に追加される議定書に速やかに加入することを要請するものでございます.
次に,六九四号は,国会において永世中立国宣言を速やかに行うこと,この宣言に基づき世界各国に対し承認手続を行うことを要請するものであります.
次に,三ページの一三五三号は,在日米軍に対する思いやり予算を全廃すること,労務費特別協定を廃止することを要請するものであります.
最後に,一七六三号は,返還プルトニウムの空輸を認めた日米新原子力協定の国会承認をやめることを要請するものであります.
以上でございます.
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……しかしこれは,原水協の資料をそのまま棒読みしているだけ.
原水協の勝手な造語が認知されたわけではない.
米ソが報復核戦力を備え,核抑止が成立するまでは,核兵器は「通常兵器の大量使用の代わり」と位置づけられていた点にも注意が必要です.
仮に日本が核兵器を持っていたとしても,それはあくまで「持っている」に過ぎず,報復核戦力を保有することとは意味が異なります.
ヒロシマ・ナガサキの時点でアメリカが開発できた原爆が3発しかなかったことを考えると,万が一日米が核兵器をお互いに使用したとしても,「文明の危機」としての核戦争とは意味を異にする戦争なったのではないか,と思います.
もちろん,悲惨な戦争であることに変わりはありませんが.
【質問】
核兵器保有国同士の戦争はこれまで発生していないのか?
【回答】
中ソの間でダマンスキー島事件など一連の国共紛争が発生しています.
同紛争は1969年3月~8月.
中国が核実験に成功したのは1964年です.
また1999年5月には,カルギル紛争が発生しています.
インドが核実験に初めて成功したのは1998年5月.
パキスタンのそれは1998年5月です.
【質問】
レーガン時代に米ソの間で核戦争になりかけた,という話は本当か?
【回答】
複数の情報源によれば,本当のようである.
「'81年,KGB議長ユーリ・アンドロポフ Yuri Vladimirovich
Andropov は,アメリカはソ連に対して核攻撃をしかける準備を進めている,とKGBの会議で発言している.モスクワはこの脅威を真剣に受け止め,NATO諸国のKGBの海外駐在部に直ちに指示を出し,差し迫った攻撃の兆候がないか注意せよと命じた.暗号名"RYAN"――核ミサイル攻撃を意味するロシア語の頭文字を並べたもの――を与えられた作戦は,82年にはKGBの諜報活動の最優先事項になっていたといわれる.
"RYAN"は,レーガンに対するモスクワの被害妄想の産物だった.アンドロポフは,西側と直に接触した経験が殆どなく,レーガンはとんでもない極右だと信じ込んでいたらしい.反共の名の下,世界を破壊することも辞さない男だと.
英国側スパイだったKGB将校ゴルジェフスキイは,この"RYAN"作戦のことを英国に伝え,モスクワがレーガンを過剰に恐れていると警告した.
英国首相マーガレット・サッチャーは,直にレーガンに会って"RYAN"について説明し,その意味するところを伝えている.
にも関わらず,NATOは83年11月,核発射訓練『エイブル・アーチャー』を断行し,核戦争勃発の際にNATO諸国が採るべき実際の手続きのシミュレーションを実施した.
しかしこのとき,これがどれほどソ連を動揺させたか,アメリカは全く気付いていなかった.
KGBは,NATOは現実に警戒態勢をとっているとモスクワに報告し,それを受けてソ連軍も警戒態勢に入った.
キューバ・ミサイル危機以来,これほど大きな核戦争の危機はなかった――にも関わらず,その危機の存在をワシントンが知ったのは,それがなくなった後だったのである」
(M. Bearden「ザ・メイン・エネミー」上巻,ランダムハウス講談社,'03,P.80-81,抜粋要約)
▼ また,核戦争が起こりかけた事例としては,以下のような話もある.
――――――
Fukuma's Daily Record
January 21, 2006
忘れられた英雄・核戦争を防いだ男
冷戦のさなかの1983年9月26日の真夜中,モスクワ近郊のミサイルサイトСелпукнов-15(セルプホフ-15)で突然アメリカからの核攻撃を示す警報が鳴り響いた.
ミサイルはまた一つまた一つと増えていき,最終的に5発の大陸間弾道ミサイル (ICBM) がソビエトに接近しつつある事を示していた.
当時のソビエト連邦の地上レーダーシステムは,地平線よりも向こうの対象を検知することができなかったため,それを早期警戒システムに利用することはできなかった.
あてになるのは,衛星から発せられるミサイルの発射警報だけだった.
オペレーターは真っ青になって席を立ち,本当に反撃すべきかどうかを問うべく,司令官を凝視した.
当時の司令官スタニスラフ・ペトロフ中佐は,国家の命運,そして全世界の命運を担う決断を迫られた.
もし彼が目の前にある赤く明滅している,「開始」のボタンを押したら,間違いなく第三次世界大戦が始まり,双方の国土は焦土と化すのは確実だった.
しかも,決断のために彼に残された時間は,5分足らずに過ぎなかった.
「内臓に奇妙な感じを覚えました……間違いを犯したくなかったのです.
そして,その決断を下しました」
ペトロフは己の分析と直感を信じ,その警報は誤りであるという判断を下した.
数千発の核ミサイルを保有するアメリカが,わずか5発のミサイルを使って戦争を始めるはずがないと言うのが,その理由だった.
彼は賢明,かつ責任感のある男だった.
このストレスの多い恐るべき責任の仕事に就いて以来,いつもそのことについて考えどのようなときにどんな判断を下すべきかを考えていた.
彼はアラームは間違いであると,上司にと他のサイロにも連絡し,運命の時を待った.
もし攻撃が本物なら,遅くとも15分後にはこの司令部も含めアメリカのミサイルが降り注ぎ,十分な反撃のまもなく数百万の人々が亡くなる事になるのだ.
15分後,ミサイルがソ連の国土に降り注ぐことは無かった.
後の調査によって,このときの警報は,システムの誤作動であったことが判明した.
雲で反射された太陽光が,ミサイルの発射として誤検出されてしまったというものだった.
事件の直後は彼の判断は,賞賛をもって受け入れられたものの,詳しい調査が始まると,軍は自らのシステムの不備を認めることを拒み,氏をスケープゴートとして仕立て上げ始めた.
彼は処罰されることは無かったものの,厳しい取り調べをうけ,閑職に追いやられた後,彼は軍を退役した.
それから15年もの間,軍事機密としてこのことは封印された.
しかし冷戦の時代が終わりを告げ,この事件の存在が明らかになるにつれ,「知られざる英雄」ことペトロフ氏の偉業を評価する動きが高まっている.
2004年の5月には,世界市民協会からトロフィーと $1,000 の賞金が贈られた.
21年後にはようやく本国ロシアでも,ロシアの歴史的な遺産と人権機関の指導官(Arseny Roginsky)によって,彼の行動がたたえられた.
この事件が発生したとき,ペトロフは本来なら勤務中の予定では無かったという.
もし彼がそこにいなかったなら,別の司令官が反対の決定を下し,核による世界の破滅を招いていたかもしれない.
史上最も愚かなコンピュータプログラムのバグによる危機は,こうして回避されたのである.
参考資料:
mosnews.com
http://www.mosnews.com/feature/2004/05/21/petrov.shtml
wikipedia"Stanislav_Petrov"
http://en.wikipedia.org/wiki/Stanislav_Petrov
Radiumsoftware.com 2004-09-09 "Stanislav Petrov"
http://www.radiumsoftware.com/0409.html#040909
――――――
▲
【質問】
いつかの「TVタックル」で
「核兵器は最も安価で最も抑止力になる」
と言っていました.
日本の既存の施設で核開発できるとも聞きます.
実際,兵器にするまで小型化も含めて,いくらぐらいかかるのでしょうか?
【回答】
正確には「核兵器が最も安価な抑止力になる国もありうる」という程度.
自国が貧乏で失うものもなく,仮想敵も同程度に貧乏ならば,粗末な弾道弾とのセットでも,「対抗手段が無いため」に,その2国間においては究極兵器になりうる.
自分も仮想敵も国が豊かになるほど,守るものが増えるので,戦争を抑止しようとすると報復手段としてのシステムの信頼性,つまりどんだけ確実に相手に損害を与えるのかと言う部分で複雑高度化し,費用も積み上がる.
小型化といっても大型機に一発だけぶら下げて…から,弾道弾のMIRVに収まるとか巡航ミサイルに乗っかるとか砲弾にできるとかまでさまざまな段階があるので,一概には言えないけれども,核実験場使い放題という条件で500キロ以下にするのに,数兆円の費用は軽くかかると思われる.
しかしいかんせん「時代が変わったために,昔できたことができない」部分は多いので,世論だの国際社会だのを宥(なだ)めながら核兵器国を目指すと言うのは,現在の日本の選択肢としては安価とは程遠い.
軍事板
青文字:加筆改修部分
ちなみに『サムソン・オプション』の中に,イラクのオシラク原子炉を爆撃すべきかどうかの議論がイスラエル内部で行われていたくだりがあるが,その中の反対論というのは,
「イラク軍が核兵器開発に資金を奪われれば,その分,正面装備に皺寄せが来るから,そのほうがイスラエルにとっては有利になる」
というものだった.
そのイスラエル自身も核兵器を開発するまでの長い道のりの中で,開発資金不足をどうやって補うかの問題に頭を悩ませたり,核兵器開発のために多くの人材が必要であるため,産業界で「頭脳」不足が起こって産業界から不満の声が上がったり,といった事態が起きている.
つまり,たとえ中東であっても,決して「安価な抑止力」とは言えないようだ.
【質問】
魚雷にも核弾頭は積めると聞いて,疑問に思ったことがあるので質問させていただきます.
核弾頭を開発する技術があれば,巡航ミサイルや弾道ミサイルを開発しなくても,例えば北朝鮮から日本の沿岸の都市を魚雷で核攻撃できるような気がするのですが,その可能性はありますか?
…個人的にはそれはあって欲しくないし,対策もできていると思いたいですが,最近の,潜水艦を鯨と間違えるような事件を聞くと不安になってしまいます.
【回答】
技術的な話は他の人に任せる(丸投)が,そもそもまずもって,潜水艦に搭載して潜水艦から発射できるサイズの魚雷に搭載できる核弾頭が作れるなら,何故それをわざわざ弾道ミサイルや巡航ミサイルではなく,それらよりはるかに射程の短い魚雷に積まねばならないのか?と.
潜水艦用長魚雷の弾頭に出来るほどに核弾頭を小型化出来れば,テポドンに悠々積めるぞ.
弾道ミサイルの弾頭に使えるものを,わざわざ潜水艦――それも北韓のなら,連続潜航時間も水中速度もトロい通常型ディーゼル潜水艦――に積んで,敵地の,これまた沿岸部限定の目標を攻撃しなければならないのか?
弾道ミサイルの弾頭にすれば,沿岸部どころか長野県のど真ん中だって攻撃できるわけだが.
わざわざ核魚雷使う理由がない.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦術核と戦略核の違いを教えてください.
【回答】
戦術用途,つまり前線で使用されるのが戦術核
戦略用途,つまり敵国の大都市攻撃や工場地帯,電源地帯など戦争遂行に重要なところを直接攻撃するのが戦略核
戦域核つー概念も70年代から80年代にかけてあって,これは欧州域内で使用される核,ということ.余計な理屈をつける人もいるけど,実態はそう.
結果としてどこで爆発するかが戦術核兵器と戦略核兵器の分かれ目になります.
運搬手段によって同じ核兵器でも戦術にも戦略にもなりうるわけで,
逆の見方として長距離運搬手段で運用される核兵器が戦略,そしてその逆,という考え方もできます.
つまりICBMや長距離爆撃機で運ばれるのが戦略核であり,榴弾砲や短距離ミサイルで運ばれるのが戦術核,と.
軍事板
【質問】
同盟国に戦術核を置く必要が激減した理由を教えてください.
【回答】
マイミクのzyesutaさんのブログ「リアリズムと防衛を学ぶ
」が,久しぶりに更新されました.
内容は相変わらず新鮮なもので,とても参考になりました.
沖縄と核兵器:リアリズムと防衛を学ぶ
沖縄には以前戦術核が配備されていましたが,兵器技術の進歩により撤去されたのは事実です.
それはICBMや核搭載原潜の登場に加えて,戦略爆撃機から発射される空中発射巡航ミサイルが登場した事もあります.
そしてこの空中発射巡航ミサイルが,核戦略を大きく変えました.
ALCM (ミサイル) - Wikipedia
ACM (ミサイル) - Wikipedia
そしてそれは原潜や駆逐艦,巡洋艦に搭載されているW80熱核弾頭搭載トマホークを退役もさせました.
また,同盟国から戦術核を撤廃させ,1987年には中距離核戦力全廃条約をも締結させたのです.
中距離核戦力全廃条約 - Wikipedia
これはまさに兵器技術の進歩というべきものです.
ではなぜこうなったのか.
それは爆撃機からのALCMやACMなら,世界中どこでも早急に核攻撃できるからです.
艦艇と爆撃機では,どちらがスピードがあって目標に近づけるかは明らかです.
さらに空中給油を行えば,アメリカ本土から出撃して,欧州やアジアで巡航ミサイルを発射できる爆撃機も開発されました.
それがB-2です.
核搭載空中発射巡航ミサイルではありませんが,通常弾頭搭載空中発射巡航ミサイルを,コソボ空爆の際に使用しています.
B-2 (航空機) - Wikipedia
このように,爆撃機からの空中発射巡航ミサイルは,地上配備の核搭載中距離弾道ミサイルや,水上戦闘艦発射核搭載巡航ミサイルをも凌ぐ性能を持つようになったのです.
また,米本土や米領から出撃しても,空中給油などで飛行時間を伸ばす事が出来るので,核弾頭が同盟国に配備する必要もなくなります.
NATOでは基地使用には同盟国の許可が必要な上に,その同盟国がイランのように反米国家にならないという保証はどこにもありません.
そうなれば核搭載中距離弾道ミサイルが,反米国家となった同盟国に渡る可能性だってあります.
その懸念を,爆撃機の核戦力は払拭出来たのです.
さらには,柔軟な対応も可能という指摘もあります.
「拡大抑止」と「核の傘」はイコールではない:週刊オブイェクト
その空中発射巡航ミサイルは,新たなミサイルが開発されています.
爆撃機の核戦力はこれからも維持されるでしょう.
参考日記:【軍事】アメリカ,新規空中発射巡航ミサイル開発へ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1434809562&owner_id=23170483
バルセロニスタの一人 in mxi,2010年05月31日00:08
青文字:加筆改修部分
【質問】
ゴジラ(1984)で核弾頭を搭載したソ連の人工衛星というのが登場しましたが,実際に宇宙空間に核兵器を配備する計画というのはあったんでしょうか?
【回答】
衛星軌道に核兵器を上げるということは,いつでも好きな場所を攻撃できるということで,守る側にとっては悪夢だった.
スプートニクの打ち上げをアメリカが脅威と受け止めたのも,上記の手段をソ連が獲得したため.
そのため1966年に宇宙条約が締結され,宇宙に核を上げることが禁止された.
しかしその後も,核弾頭を一旦衛星軌道に乗せて,地球を一周しないうちに再突入させる部分軌道爆撃システム(FOBS)というのを,1960年代にソ連が開発していた.
これは宇宙条約を回避するための手段だったが,米ソ間の第二次戦略兵器制限交渉での合意に基き廃止されている.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
ICBM基地内部はどのようになっているのですか?
【回答】
それについては,
2007.10.05 Fri付「GIZMODO」の記事,
ミサイル発射基地,売ります
が参考になるだろう.
同記事には多数の画像が収録されている.
同記事によれば,この基地は,eBayで販売されている「Titan
1 nuclear missile base」.
ワシントン州中央部に位置する,57エーカー(230671平方メートル)ほどのミサイル発射基地だという.
以下,スペックを引用.
[quote]
【含まれるもの】
● 57エーカーの敷地.場所はSpokaneから西に1時間半,Interstate(州間ハイウェイ)90の出口から10分.
●地下に建設された16の施設.以下を含む.
・160フィートの高さのミサイル格納庫が3つ
・4階建てターミナルビルディング設備が3つ
・アンテナの格納庫2つ
・直径30.4mのコントロールドーム設備
・直径38.1mのパワードーム設備
[/quote]
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u02.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u03.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u04.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u05.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u06.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u07.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u08.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq14s02u09.jpg
ちなみに,米国にはICBMサイロ(非稼動状態)を見学できる施設があります.
その名も「Titan Missile Museun」です.
日本の方で見学した方がレポートを作成しています.
下記URLです.
このサイト,他にも色々軍事関係の施設見学記をアップしていますので,色々と面白い記事があります.
Formessure's Foxhole Fortress Section
┗Titan Missile Museum
【質問】
一昔前の反核関係の資料を読むと,
「現在米ソ両国をあわせると,地球をXX回破壊できるだけの核兵器を……」
といった表現がほとんどすべての資料に出てきます.
「地球を1回破壊できる」とはどのような状態を意味するのでしょうか?地表の全てに核弾頭が叩き込まれた状態なのでしょうか?
【回答】
たとえ有史以来製造された全ての核兵器を持ってしても,地球を物理的に破壊する事は不可能.
地表面の全てに核を叩き込む事も夢のまた夢.
主要国家+αの重要都市を消滅させ,近代社会を崩壊させる程度がやっと.
ただ,その後に「核の冬」が来てやばいかもしれないという説があることはあった.
軍事板
青文字:加筆改修部分
いわゆる「核の冬が起こって生物がすべて死に絶える」という説
http://www.google.com/gwt/n?u=http://www.eoearth.org/article/Nuclear_winter
は,1983.12,カール・セーガン博士が発表.
これは1980年に発表された,ルイス・アルヴァレスらの恐竜絶滅の隕石衝突説がヒントになっている.
もっとも,現実にはそのような想定は過大だという話もどこかで聞いたことがある.
ただ,しつこくぐぐってみたけど,懐疑論のページは見つからなかった.
◆wBtxhjVTxU in 軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ ちなみに,核の冬についてはわかりませんが,地球を吹っ飛ばすのに必要なエネルギーについてはまじめに調べたサイトがあったりします.
http://d.hatena.ne.jp/active_galactic/20080521
774 in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
> 地球を吹っ飛ばすのに必要なエネルギー
しかし,太陽が放出するエネルギーの10日分くらいでしかないという.
軍事とは関係ないけど.
▲
【質問】
一昔前の反核関係の資料を読むと,「現在米ソ両国をあわせると,地球をXX回破壊できるだけの核兵器を……」
といった表現がほとんどすべての資料に出てきます.
なぜ米ソともに,それほどまでの量の核兵器を用意したのでしょうか?
極端な話,地球を半回(東or西側諸国分)破壊できるだけの量プラス予備で十分だったと思うのですが.
【回答】
全部が迎撃がほぼ不可能なICBMって訳じゃなかったから.
無誘導投下の核爆弾,巡航ミサイル等は防衛側の努力次第で迎撃可能だし,現代と比較すれば稚拙ではあるがミサイル防衛システムも存在していた.
核兵器を核で迎撃する乱暴な代物だったが.そう言うのを考慮それば弾頭数に余裕が欲しい所.
また,米ソが核を投射し合うと,弾道弾のルートは北極付近を抜けるコースになるが,もちろん両国とも,このルートで試射をしたことがなかった.
実戦では地磁気の影響を受けて,一部の弾頭が正常に動作しない可能性についても考慮された.
同一目標に複数の核弾頭を投射すると,先行した弾頭の核爆発の影響を受けて,残りが正常に機能しなくなる可能性も考えられた(兄弟殺し)
そんなこんなで,あらゆる可能性を加味しても,敵国を確実に破壊できるだけの核兵器を用意するとなると,現実離れした量になっていった.
CIAその他の情報機関が,戦略目標の数を過剰に見積もっていたとも言われている.
軍事板,2008/09/06(土)
青文字:加筆改修部分
▼ 稼働率の問題と,相手の先制攻撃を喰らっても報復攻撃できるようにするためってのもあるでしょう.
どちらか一方の弾頭数が極端に少ない状態だと,
「ひょっとすると先制攻撃で息の根を止められるかも(ニヤリ」
というヴァカが現れかねませんから.
MADを調べれば,その辺のことは分かると思います.
そもそも,それらの核は,地球を滅ぼすために作られたのではありません.
様々な状況下の戦場で,限定用途を含んで,さまざまに使うことを考えて作られたため,多種多数の核兵器が作られ,合計すると無用に多いという事情です.
また,一つの運搬方法が戦闘時の事情によって無効になっても,必ず100%の破壊力が発揮できるようにするため,ミサイル用,航空爆弾用,潜水艦用など,何通りもフルセットでそろえる必要があります.
さらに,発射ボタンを押したミサイルすべてが目標上で爆発するとは限らないため,ここでも保険をかけて,何倍かの数を持つ必要があります.
さらに,旧式化した弾頭にしても,バラすのは費用と時間がかかりますから,何となく在庫,という状況もあるでしょう.
まあ,これだけで必要量の数十倍にはなると思います.
また,核兵器は更新もされていきますから,作った量の延べは大きなものになるでしょう.
軍事板,2001/06/27(水)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
核兵器で台風を消滅させることは可能ですか?
【回答】
できるかもしれないが,代償として人類は大打撃を受けるだろう.
実際にそういうことを考え,計算した人がいた.
放射能をまき散らすことはおいとくとしても,台風のエネルギーは核爆弾ごときを遙かに上回っている.「平均的な台風の持つエネルギーは広島,長崎に落とされた原子爆弾の10万個分に相当する巨大なものといわれてい」る(気象庁).
ロシア製の世界最大の水爆を100MTモードで5発くらいつぎこめば,平均的な台風ならなんとか拮抗できるかもしれない.
しかし,それだけのエネルギーをどう使えば台風を消せるのか,見当もつかず,結局珍アイディア止まり.
軍事板
【質問】
核でスマトラ沖地震波クラスの津波は起こせますか?
【回答】
現実的に考えると不可能です.核兵器程度じゃ,エネルギーがぜんぜん足りません.
水中核実験で小規模な津波を観測した例はありますが,あれほどの規模の津波は起きませんでした
.
数千発数万発の核兵器を使用すれば可能かもしれませんが.
あるいは,ある限定された地域(例えばある湾内とか)でうまいこと水中爆発させれば,局地的(数kmとか)であの規模の津波は起こせるかもしれませんが.
でも,インド亜大陸からマレー半島全域にわたる規模の津波は絶対無理.
自然の猛威とはそれだけすさまじいのです.
充分にエネルギーの蓄えられたプレートの境界に,100メガトンくらいの水爆をいくつもねじ込んで同時に起爆でもすれば,ひょっとして地震くらいは起こるかも.
でもそれで今回の津波くらいの大きさの津波が起こるかは分からないね.
ちなみに,史上最大の水爆でも50メガトンだからね.
つーか,素直に核兵器を核兵器として使えばいいだけの話だね.
軍事板
【質問】
純粋水爆の開発は,どこまで進んでいるの?
【回答】
純粋水爆の開発はアメリカもロシアも取り組んでいますが,なにしろ装置が巨大なので,実用性は現在のところ疑問です.
アメリカはニフという装置で,レーザーを用いて三重水素(トリチウム)を臨界点に持っていく方法です.
トリチウムにレーザーを四方八方から,極めて小さな一点に集中照射して,高温高圧点を造り,そこから核融合を起こすものらしいです.
レーザーを照射するための装置が,極めて巨大な球形になっています.
全くの時間のズレなく,一点に高出力のレーザーを照射しなければならないので,極めて高度な技術が必要な感じです.
一方,ロシアの純粋水爆は電磁波や磁力線を用いて,トリチウムの元素を振動させて,臨界点にもっていって核融合を起こさせるモノらしいです.
こいつも極めて巨大な円筒形の設備が必要なので,実用性は疑問だと思います.
まぁ,従来の水爆のように起爆に爆縮型原爆を用いず
核融合を起こすので,P235やU239などが周囲に飛び散らない分きれいかもしれませんが,中性子線やγ線,強力な電磁波が発生すると思うので,どこまできれいかも疑問だと思います.
ストロンチウム90やセシウムやヨウ素131は発生しないと思うが・・・.
テリ造 in 軍事板,2000/08/25(金)
青文字:加筆改修部分
ちょっと違う.
アメリカのタイプもロシアのタイプも,方法が違うだけで基本は慣性圧縮.
レーザーの場合はアクリルで作られたカプセルの中に媒体を入れ,カプセルにレーザーを当てる事で,カプセル材料を一気に蒸発.
その反作用でカプセル自体を圧縮させることで核融合を発生.
良くあるレーザー核融合と原理は一緒.
ロシアのタイプはZピンチ式と言われ,反磁性体(例えば銅)カプセルの中に媒体を入れ,その外に励磁コイルがある.
その励磁コイルに電流を流すと,反磁性体カプセルが圧縮され,核融合条件を満たす.
ロシアのタイプがシステム的にはシンプル(爆発発電機との組み合わせられる)だが,効率が悪い.
アメリカのタイプは効率が良いのだが,レーザーを用いるという事でコンパクトさに欠け,その上システム的に調整個所が多すぎる.
どちらも今のところ,決定打に欠けているのが現状.
軍事板,2000/08/25(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
核兵器に代わるような破壊力を持った兵器は,何か研究されているんでしょうか?
【回答】
テラー博士の計算によると,100MT以上に出力を大きくしても,巻き上げられた物質の運動エネルギーが増大するだけで,威力範囲はそれほど大きくならないと言われています.
よって,100MT以上の出力をもつ新兵器は理論上製作できますが,兵器としてはあまり意味の無いものになるでしょう.
核融合以上の質量変換効率を持つ物理現象としては,対消滅とかブラックホールの蒸発とかありますが,そういう話をしても,現実の兵器としての話になりません.
放射線を出さない大威力なら,重力井戸に大質量を放り込めば得られますが,あんまり威力が大きいと使う方も含めて地球上の皆が困ります.
地球上ではこれ以上の威力は「邪魔」なのです.
物理的な破壊力=エネルギー放出量/重量
で考えると,いまだに核融合爆弾が最強です.
物理学,天文学の範疇から見ても,実用の可能性があるのはこれのバリエーションのみ.
まあ,ロシアから真空相転移エネルギー(いわゆるゼロエネルギー)をアメリカに売り込んだ,とかいう話も一部に流れましたが,結局はガセ,ネタ.簡単に言えば,物理学の領域で出ていない話が軍事では極秘で実用化,なんて事はあり得ないのです.
ただ,核廃棄物は核融合爆弾より安価大量に作ることが可能であり,長期間汚染できるという点でも優れています.
その意味では,ダーティボムが水爆よりエライ,という事ができるでしょうし,開発してる後進国はたくさんありそうです.
でも,これは多分質問者のイメージより軍事的すぎますね.
軍事板,2006/05/09(火)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/05/09 (kedd)
青文字:加筆改修部分
Kék karaktert: retusált vagy átalakított rész
【質問】
これまでに核実験は世界各国で何回行われているのか?
【回答】
この表の通り.
(画像掲示板より引用)
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