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『原子炉設計 原子力教科書』(岡芳明編著,オーム社,2010/07)
【質問】
原子炉の出力の測定方法を教えてください.
【回答】
特定の吸収物質で中性子を吸収させ,生ずる放射能を測定して,その場所の中性子束を求める.
これと,その場所のウランの存在密度と断面積を掛け合わせて,核分裂の起こる密度が求まるので,これを炉心全体に集計すると,出力が求められる.
1秒間に300億の核分裂が起これば,約1ワットに相当する出力となる.
しかし中性子の分布を正確に測ろうとして,放射化箔をいっぱい炉心に配置すると,それによる吸収のため,本来の分布が歪んでしまう.
吸収を減らすために箔を小さくすると,放射化の測定の精度が悪くなる.
そのため,求めた熱出力にも実際は10%ほどの誤差は避けられず,この誤差は国際的な常識という感じで認識されている.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.193-194
【ぐんじさんぎょう】,2010/09/04 21:10
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【質問】
中性子束の求め方を教えてください.
【回答】
中性子は,加速器等で発生させるもの以外は,同じ速度の中性子の集団というものはないので,速さの異なるグループごとに集めて高速中性子束,熱中性子束などに区別する.
それでも同じ速度ばかりの集団ではないので,代表を選んで,その速度の中性子断面積を用いて計算する.
一般に速い中性子ほど,原子核のそばをすり抜けてしまうので,中性子断面積は小さくなる.
中性子束を計測対象とした計測システムは“核計装”又は“中性子計装”と呼ばれる,原子力プラント特有のものであり,安全保護に欠かせない設備である.
パルス信号に変換して計測することもあるのか…….
「来てるな,未来!」(ラーメンズ『atom』より)
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.193脚注
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-04-09
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-04-04
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-05-02
【ぐんじさんぎょう】,2010/09/06 20:40
を加筆改修
上記,間違いはありませんのでご安心下さい.
なお,パルス信号に「変換」する例は,デジタル計装の例外以外ほとんど聞きません.
正確には,検出器から得られるパルス信号の波形を調整したり,その数を数えたりすることはありますが,信号波形の処理は普通そこまで.
それ以降の,制御室にどのように伝えるか(こちらが所謂デジタル計装の世界)は別次元のお話しです.
へぼ担当 in mixi,2010年08月29日 01:18
そういえばガイガーカウンターって,周波数カウンタと原理があまり変わらないですね…
光電子倍増管
↓
バッファアンプ,ロジックレベル変換(一般的に真空管は使用する電圧が高いので,それを受け止めるデバイスが必要.あとコンピュータで扱える信号に変換)
↓
カウンター(一定時間のパルス数をカウントする)
(中性子って電荷持ってないから,もう一工夫必要じゃないの?と思っている)
自作ガイガーカウンターの部屋
http://pyrite.jp/rwf/RI_ROOM/START.htm
自作GM管の製作実験
http://www.higashi-h.tym.ed.jp/course/kadai19.files/gm.pdf
日本だとこれくらいだけど,英語でぐぐったらまだまだありそう.
クローム・ツァハル in mixi,2010年08月29日 08:44
【質問】
中性子束とは?
【回答】
単位体積あたりの中性子数に,速度を掛けた量.
すなわち,原子炉内r点の単位体積中の速さV(エネルギー
E)で,Ω方向に向かう中性子密度n(r,E,Ω)に対して,単位時間に通過する中性子の割合はVnで表されるが,これを中性子束φという.
柴田俊一いわく,
「原子炉屋は,中性子の数に速度を掛けた量を使って考える習慣になっている」
ただし中性子束は,反応率を計算するために導入された数学的な量であって,ある特定の面積を通過する中性子数と考えるべきではない.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』上巻
(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.193脚注
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-04-03
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-01-04
【ぐんじさんぎょう】,2010/09/08 21:00
を加筆改修
中性子束の項は間違い有りませんのでご安心を.
ただ,私たちにとっては常識なのですが,理工学的な一般常識と反する面として中性子束(neutron
flux ; fluxと略することが多い)は,
「他の磁束などのfluxのように方向の概念を持つベクトル量ではなく,スカラー量である」
ことに最大限の注意が必要です.
ちなみにペクトル量を考える場合は,「中性子流(neutron
current)」の概念を用いますが,極めて難解となるため,原子炉物理学の理論以外ではほとんど用いられません.
へぼ担当 in mixi,2010年08月29日 09:36
【質問】
中性子断面積って何?
【回答】
中性子を縦に真っ二つに叩き切ったときの断面積のこと……ではなく,向かってくる中性子に対する,ウランの断面積のこと.
原子炉では,中性子が向かってきたとき,ウランがどのくらい受け止めるかが問題だが,これを,正面に向いてどのくらいの面積に入った中性子を受け止めるか,という形で考える.
一般に断面積の記号はσで表し,単位はバーン(b)である.1バーンは10^-24cm²である.
これは原子核の半径が10^-14mの程度なので,その断面の面積は10^-28m²程度となることに由来している.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.193
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=1147
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-03-05
【ぐんじさんぎょう】,2010/09/11 21:00
を加筆改修
とっかかりとしては以上でよいかと思うのですが,原子力分野では,この断面積の概念の理解が死活的に重要
(完全に理解できなければ全く持ってお話にならないが,完全に理解するまで極めて時間が掛かる)
で,正確に書こうとすると10ページぐらい数式を用いて説明する必要があるためアレなところです.
最低限の修正として,以下の注釈が必要でしょう.
1.「中性子(核反応)断面積」:(核反応の部分は各種入る)
断面積の概念は,単なるcross sectionという大きさの概念ではなく,各種核反応(例えば中性子吸収,散乱,核分裂)の
「起こりやすさを示す(=確率を表す)量」
と読替が必要です.
もちろん,直感的に理解できるのは上記の通りですが,上記だけの説明だと,原子核の大きさがそのまま反映されるような誤解
(初学者が良く陥る誤りです)
を招く恐れがあります.
2.巨視的断面積と微視的断面積
本来は巨視的断面積(macro cross section,
単位は1/cm)と中性子束(または中性子密度と中性子速度)のお話しから始めた方が早い(分かりやすい)のです.
この反応確率そのものを示す巨視的断面積を原子核の密度で割ると,原子核1個あたりの反応確率である微視的断面積(micro
cross section, cm^2)となり,これが面積の次元を持つことから,反応確率という言葉を使わずに,断面積(cross
section)という言葉が使われるようになったと言うわけです.
発想としてはどちらが先か,と言う議論に良くなりますが,どちらでも構わない,区別さえ確実に付いていれば(付かなければ以降の話の理解が全く出来なくなります)ということで.
因みに各核種の断面積には,微視的断面積が用いられますが,中性子束の計算などの以降の各計算においては,微視的断面積の中性子エネルギー依存性や各種構成物質の割合(個数密度)を考慮して,一つにまとめ上げた(このことを「縮約」と言います)巨視的断面積を用いるのが普通です.
つまり,微視的断面積はその原子核(核種)が持つ「絶対の物理量」(=基礎データ)であり,人間の力では全く制御できないのに対し,巨視的断面積は人間が作りし物(原子炉など)の産物であるため,物理法則は完全に無視できませんが,人間の作為を盛り込める部分がある「人工量」とも言えます.
極めて難しい,しかし絶対の理解が必要な部分のため,本来は数式を用いて説明するのが楽なのですが,これだと普通の人は爆発してしまうのが悩み.
私個人も完全に理解できるまで,1ヶ月程度掛かったのですが,
「断面積という言葉にあまりとらわれずに,核反応が起きる確率をどうやれば表現できるのか考えた際に登場する概念」
であること.
それが「たまたま面積の次元を持っていた」だけ,との割り切りが重要かと考えます.
そしてその理解が完全に固まった状況で,上記とりまとめの文章を読むと,初めて納得できるのではないか(私個人はそれでクリアしました)と考えます.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年09月04日 05:48
【質問】
燃料棒って何?
【回答】
厚さ1mm程度の金属チューブ(ジルカロイ被覆管)に,ウラン金属の酸化粉末(二酸化ウラン)を直径1cm,長さ1cm程度の大きさに焼き固めたもの(ペレット)を数百個充填したもの.
ペレット内のウラン原子核が核分裂すると,分裂破片はペレットの中で飛び散ろうとして,運動エネルギーが発生し,ペレットの中で熱となる.
また,放射線のエネルギーも大半はペレットの中で熱になり,一部は冷却水などペレットの外で熱となる.
なお,管をチップスターやプリングルズの筒で代用してはいけません.
【参考ページ】
『原子力発電がよくわかる本』(榎本聰明著,オーム社,2009.3),p.39-40
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=647
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-06-03-01
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-06-03-02
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/13 21:42
を加筆改修
【質問】
なぜ燃料棒はプリングルスの筒ではいけないの?
【回答】
一部の核分裂生成物は拡散といって,ペレットの中からじわじわと染み出してくるので,これを封じ込めるために,金属管(ジルカロイ被覆管)で密封している.
熱を通しやすくし,冷却材の通るスペースを大きくするためには,管の金属はできるだけ薄いほうが望ましい.
一方,水素化,擦れ(フレッティング)水垢による腐食の促進,扁平化,PCI(ペレットと被覆管の相互作用)などによって,すぐに穴が開いたりしないためには,厚いほうが望ましく,両者のバランスを取った設計がなされている.
過去,破損率はBWRで0.0096〜0.0093%,PWRで0.0044%になるという.
【参考ページ】
『原子力発電がよくわかる本』(榎本聰明著,オーム社,2009.3),p.103-106
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-06-02-04
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-01-08
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/15 21:10
を加筆改修
これら被覆管は完全な自立が出来るほど頑丈,かつ柔軟性に富むものとなっています.
逆に言えば,これの出来如何が原子炉(特に軽水炉)の稼働率を決めることとなり,米国原潜などのRCOH間隔にも非常に大きな要素として作用してくる物であり,極めて難しいものであり,公開文献だけではうかがい知ることの出来ない経験工学的なものと言えます.
(私個人はその製作工程の全てに渡り把握している立場にありますが,信頼性確保のための製作ノウハウなどの商業機密の固まりであり,詳しくお話しが出来ないことがもどかしいところです.)
へぼ担当 in mixi,2010年12月07日 21:18
【質問】
原子炉の燃料棒の図解によると,内部にスプリングが入っていますが,これはペレットが動き回って被覆管内部を傷つけることがないようにするためでしょうか?
それとも他に理由があるのでしょうか?
2010年12月14日 02:02,消印所沢
【回答】
色々な意味がありますが,軽水炉などの典型例を念頭に回答します.
1.スプリングが入っている部分は「弾性」を確保する意味より,そのスプリングによる空白(開いた)の部分に,核分裂生成物のガス状物質を閉じこめる役割があります.
燃料被覆管の中に燃料ペレットをぎっしり詰め込んでも良いのですが,ペレットから僅かでも放出されるガス状物質をそこで収めているわけであり,その緩衝スペースが無ければ燃料被覆管内部の圧力が異常に上がってしまいかねませんので,そのための空きスペース確保のための物と考えて下されれば間違い有りません.
2.ご指摘の通り,単なる空きスペースであるのなら,輸送途中などで移動した場合,何も詰めていないと燃料ペレットが燃料費被覆管内で転がり回って,肝心要の燃料被覆管を内部から傷つけてしまう可能性が有ります.
そのため,上部からスプリングで押さえつけて多少の変位は許しても,転がり回るようなことは避けているというわけです.
というわけで,まとめると「FPガスの貯留・減衰スペース確保」のため,と言えます.
以上,ご参考まで.
2010年12月14日 21:52,へぼ担当
【質問】
燃料被覆管が壊れるのは,どんなとき?
【回答】
燃料被覆管は,運転時の異常な過渡変化(故障や操作ミスなどが原因で,異常な状態に至る事象)程度では損傷しないよう作られている.
いわゆる事故時においても「原則として破損は許さない」が鉄則.
壊れる(燃料破損)のは,品質管理のミスで,溶接部が不完全なときや,冷却材中の異物と擦れあって破れる,被覆管の水素化,被覆管の潰れ,水垢による腐食の促進,PCI破損,フレッテング腐食があり,この他に発生例は非常に少ないが燃料棒の曲がりから破損に至った例がある.
上記の内,被覆管の潰れはPWRのみ,水垢による腐食の促進は,BWRのみに起こる破損である.
あとは,大山倍達がチョップしたとき.
【参考ページ】
『原子力発電がよくわかる本』(榎本聰明著,オーム社,2009.3),p.106-107
http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/1/ho010.pdf
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=06-01-01-05
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-01-07
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/17 20:50
を加筆改修
なお,以下「運転屋+核燃料屋」からの細かな点.
> 燃料被覆管は,運転時の異常な過渡変化(故障や操作ミスなどが原因で,異常な状態に至る事象)程度では損傷しないよう作られている.
→ この記載には誤りがないのですが,実際はもっと丈夫です.
いわゆる事故時においても「原則として破損は許さない」が鉄則.ただ,その場合であっても仮に壊れたことを想定して云々が原子炉の安全解析の原則です.
なお,この壊れた程度によって,想定すべき最悪の事態である重大事故・仮想事故等に入りますが,これ以上は完全に専門領域ですので,一旦控えます.
(この点に秘密はありません.
原文は,国会図書館等で公開されている「原子炉設置(変更)許可申請書」を参照願います.
ただし,読み解くにはそれなりの専門知識(最低限でも大学工学部卒業レベル)が必須であることも申し添えます.)
>「上記の内,被覆管の潰れはPWRのみ,水垢による腐食の促進は,BWRのみに起こる破損である.」
→ 削除推奨(別段分かりやすさの例として残しても良い).
と言ってもあくまでも例示であって,「潰れ」に関しては単純にBWRで「潰れ」が有るようでは恥ずかしいレベルということ.
また,水垢による腐食はPWRでも全くないわけではない,と言うことです.
以上は,過去典型的だった特徴的なものを挙げているのであって,核燃料屋としては全ての故障・破損モードに関して頭に入れ,対処しなければならないのは当然であり,そう努力していることは注記に入れて良いかと考えます.
へぼ担当 in mixi,2010年12月09日 21:18
【質問】
核設計って何?
【回答】
Atomicaによれば,以下のように説明されている.
------------------------------------
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-01-04
核設計の基本は,仕様を決めて,原子炉中の中性子の振る舞いを定め,臨界条件を求めることである.
臨界条件を定める方法には,輸送方程式を解く方法が専ら使われる.
中性子と媒質の原子核との核反応断面積には,評価済み核データファイルが使用され,それを基に多数群の群定数を作成して使用する.
臨界条件が定まったら,反応率分布,出力分布,反応度係数,反応度変化,毒物による反応度変化,制御棒等の反応度,核分裂生成物による毒物の生成・消滅,動特性パラメータ,燃焼による核種組成変化,反応度変化,増殖比等を求め,原子炉の基本仕様が決定される.
------------------------------------
また,
> 原子炉の安全運転には,原子炉の特性の把握が重要で,精度の高い核設計が必要である.
とも述べられている.
他方,
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.179-180
では,もっと分かりやすく,以下のように述べられている.
-----------------------------------
まず,原理的には絶対に連鎖反応が起こらないという少ない燃料の量の炉心から実験を始めるが,この最小の炉心を筆者は基本炉心と名づけた.
[中略]
この基本炉心のそばに中性子源を置いて中性子を炉心に打ち込むと,この中性子は炉心を構成している減速材(この場合は水)で減速されながら,燃料部のウラン235に入り,核分裂を引き起こす.
この核分裂の際,平均,約2.5個の早い中性子が生まれる.
2.5倍もに増えるということは非常に割りのいい反応だが,世の中そううまくはいかない.
減速の途中で,減速材(水素・酸素)に吸収されるものがある.
首尾よく減速されても,その付近の構造材に吸収されるものがある.
これを逃れても燃料の被覆材でも吸収される.
すり抜けて運よく燃料ミート部に入っても,最後の難関であるウラン238(235の同類のウランだが,核分裂し難い)による吸収が,大きな障壁となる.
そこでウラン238の障害を減らすため,有効な235成分を増やすウラン濃縮が考えられた.
このようにして一巡りの反応が完了したとき,中性子の数が元の数より多くなるように,燃料,減速材,構造材などの組み合わせを調節する.
大型動力炉の場合は,一回りの反応の後,約1.3倍程度,高濃縮ウランを用いる研究炉の場合は,大体1.6倍程度になるよう組み合わせる.
この倍数の値は空間,時間に関係しない計算によるもので,いつ,どこで核分裂反応を起こそうとかまわず,計算に入れるとこの倍率で増えると言うことである.
もっと言い換えると,もし無限大の大きな炉心を作ったとしたら,動力炉だと1世代で約1.3倍,研究炉だと約1.6倍になる,というわけである.
1世代はざっと0.1秒と考えればよいので,これはもう制御できるような生易しい増え方ではない.
有り難いことに,無限大の大きなものは現実には作れない.
そこで,有限の大きさの炉心になるわけだが,有限の大きさだと表面から逃げ出す中性子は,外にはウランは存在しないので,有効に働かないで損失になる.
上述の色々な無駄な吸収と同じ,連鎖反応を阻む効果になるのである.
------------------------------------
【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-01-04(図表引用も)
【ぐんじさんぎょう】,2010/08/28 21:00
を加筆改修
確認しましたが,特に問題になるところはありませんのでご安心下さい.
なお,通常「核設計」と言うと中性子を中心に考える傾向があり,減速材や冷却材(多くは水)の温度・密度変化による原子炉の総合的な挙動を考える場合は,「核熱設計(水の場合は核熱水力設計)」と言う言葉を使います.
そのため,原子炉の設計ではまず「核設計」を考え,その次に「核熱設計(核熱水力設計)」を考え,またその結果を反映して,所定の性能が得られるまで繰り返すことになります.
ちなみに,この2段階の考え方は少し古くて,現在では最初から「核熱設計(核熱水力設計)」をまとめて行うこともあります.
しかし,まとめて行うのは原子炉の取替炉心の設計など,ある程度「核設計」が固まった段階で行うことが多く,原子炉の設計当初からまとめて行うことは程度問題であって,あまり多く有りません.
これは変数が多すぎると,どれを調整すれば最適か,絞り込むのが大変だから,と考えていただければ間違い有りません.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年08月21日 14:29
【質問】
キセノン効果とは?
【回答】
ウラン235の原子核に中性子が吸収されると,一部を除き,大部分は核分裂を引き起こす.
分裂した場合は,質量数90前後と140前後の2つの山の分布に分かれる.
大きい140前後の山の中に,沃素が多く含まれる.
核分裂で生成される核のうち,沃素がベータ線を出してキセノンXe-135に変わる.
Xe-135は中性子を吸収する力が大きく,連鎖反応を妨害する.
定常運転中は,原子炉内の中性子の数が多いので,できたキセノンは中性子を吸収して壊れていき,あるところで平衡に達してむやみに増えることはない.
しかし原子炉が停止すると中性子が激減するので,すでに生まれている沃素I-135(半減期,約6.6時間)が徐々にキセノンに変わって溜まってくる.
これが原子炉の連鎖反応を妨害するので起動できなくなる.
しかしI-135も次第に減少し,またXe-135(半減期,約9時間)も減衰,消滅するので,時間がたてば起動できるようになる.
板状燃料,軽水減速型炉の場合は出力1000kWまではこの減少は問題にならないほど小さいが,3000kW程度から顕著になり,自由な運転停止,再起動ができなくなる.
ちなみにキセノンの生成は,核分裂時から数時間の時間遅れをともなうが,消滅の方は発生中性子数に比例するため時間遅れがない.
この時間差が原因となって,約30時間の周期で軸方向出力分布が炉心の上方あるいは下方に歪むことを繰り返す.
この現象をキセノン振動と呼ぶ.
核設計に際しては,キセノンの生成消滅による出力分布の振動に対して十分な減衰特性を持たせた設計とするか,また,たとえ振動が生じても,それを検出し抑制できる設計とすることとされている.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.109-110脚注
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-04-02-01
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-04-06-02
【ぐんじさんぎょう】,2010/08/23 20:50
を加筆改修
>キセノンの生成消滅による出力分布の振動に対して十分な減衰特性を持たせた設計とする
Q値が高いと大変なことになるのか…
クローム・ツァハル in mixi,2010年08月14日 23:45
> Q値が高いと大変
そう考えていただいて結構です.
ただ,キセノン振動の場合,共振周波数が極めて低い
(共振時間が数時間,多くは10時間以上のオーダー)
ため,その大きさによってはゆっくりだからこそ,振動を起こしているのに気がつかない
(実際上,他の要素によって抑えられてしまう)
事があります.
ちなみに,その点,気がつきにくい典型例が日本国内では日本原電東海発電所(現在廃止措置中)のGCRで,様々な対策が成されました.
また,研究炉やPWR原子力発電所でも同様の課題があり,PWRではアキシャルオフセット制御という考え方が導入されています.
一方,BWRの場合,減速材と冷却材を兼ねる水の沸騰に基づく負の反応度フィードバック効果が極めて大きく,通常運転領域ではキセノン振動を考慮する必要はほとんどありません.
また,原子炉内各所で常に出力監視を行っているため,仮に部分的な振動が発生した場合もすぐに検知できる構造にしています.
そのため,出力を変化させた場合にキセノンの生成・消滅による,全体的な出力のゆっくりとした変動を一度乗り切ってしまえば,その後は極めて安定した運転を実現しています.
よって,注意深く運転監視を行っていますが,私自身の運転経験として,十分な余裕を持って対応可能であり,ほとんど苦になるようなことはなかったことが言えます.
へぼ担当 in mixi,2010年08月15日 05:29
【質問】
一次冷却水が炉心を上方から下方へ向かって流れるのは何故か?
研究炉などのプール型原子炉では,一次冷却水が炉心を上方から下方へ向かって流れるのは何故か?
【回答】
一つには,炉心要素が冷却水によって上方に抜け出すことを防ぐため.
もう一つは,上向きに流すと放射線が炉頂の線量を非常に高くしてしまうため.
なぜなら炉心を通過するとき,冷却水は強い中性子照射を受け,H2Oの酸素16の核が中性子を吸収して,陽子を放出((n,p)反応)し,放射性の窒素16になるからである.
このN16は高いエネルギーの崩壊γ線を出す.
【参考ページ】
『新原子炉お節介学入門』(柴田俊一著,一宮事務所,2005.3.25),p.44
http://www.rist.or.jp/atomica/database.php?Frame=./data/dat_detail.php?Title_No=02-04-02-02
【ぐんじさんぎょう】,没稿
を加筆改修
今回だけは全面削除推奨(完全に誤解されます)
柴田俊一先生は基本的に研究炉の人で,京大炉(KUR)を前提にお話しを進めていますので,発電所などの動力炉では当てはまらない場合があります.今回はその典型例.
修文するなら以下の通りになります.
----
【質問】
【研究炉などのプール型原子炉では】一次冷却水が炉心を上方から下方へ向かって流れるのは何故か?
【回答】
以下は【研究炉などのプール型原子炉限定】
一つには,炉心要素が冷却水によって上方に抜け出すことを防ぐため.
一般の原子力発電所(軽水炉)では逆に,原子炉炉心では下から上に冷却水を流します.
これは通常ポンプなどで強制対流を行っていますが,それが止まって自然対流に移行した場合,原子炉炉心で熱せられた水は自然に上方に流れるため.
お風呂の水が上が熱くとも,そこが冷たいのと同じで温度差による水密度の変化により,熱い水は密度が小さくなって上方へ行くのが,ごく自然に起こるメカニズムです.
ただでさえ冷却をしたいのに,自然に流れようとする水の流れと反対方向にするのは無駄でしかないわけですので,上記の「燃料が浮き上がるのを避ける」ことが十分に出来るのであれば,こちらの方が合理的であり,上から下に流す方が無理があります.
もう一つは,上向きに流すと放射線が炉頂の線量を非常に高くしてしまうため.
なぜなら炉心を通過するとき,冷却水は強い中性子照射を受け,H2Oの酸素16の核が中性子を吸収して,陽子を放出((n,p)反応)し,放射性の窒素16になるからである.
このN16は高いエネルギーの崩壊γ線を出す.
→これは動力炉も同じ.
ただし,原子炉上部が大気開放されているプール型原子炉では問題になっても,原子炉内で沸騰を起こすBWRでも7MPaもの高圧を掛けているため,当然ながら原子炉は密閉されており,炉頂の線量も高いことは事実だが,厳重な遮へいが為されているため,問題はない.
上記の記述は「原子炉上部が大気開放されている」からこそ問題になるのであって,厳重に密閉され,遮へいされている場合,炉頂の放射線量は原子炉を停止して上蓋を開放するとき,残留分ぐらいしか問題にならない.
なお,原子炉冷却材1次系を加圧して密閉しているPWRでは別の問題となるが,原子炉内で発生した蒸気をそのままタービンに送って発電するBWRの場合,同時に送られることになる,この発生した放射性の窒素16の影響を考える必要がある.
そのため,BWRの場合,蒸気タービンや復水器まわりに放射線対策として遮へいが必要となるが,幸い窒素16の半減期は短いため,事故時のように何も処理せずに外部に放出されない限り,時間をかけて十分減衰させることが出来る.
そのため,放射能の放出管理という面では,そのまま放出されるような事故時
(この場合でも直ちに関係隔離弁が閉じられ,それ以上の放出は阻止される)
でない限り,直ちに問題になることはない.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年12月22日 00:49
【質問】
重水減速材って何?
【回答】
減速材には様々なものがあるが,現在,熱中性子炉では減速材として主に使われているのは軽水,重水および黒鉛であり,その中で最も優れているのが重水である.
水は安価だが,水中では中性子はあまり長い距離は飛べない.
黒鉛は実用材料としては,最も長く中性子が飛ぶことができるが,固体であるために強い放射線で加熱されて高温になったり,放射線損傷が起こったりする.
重水は実用の減速材として中性子を減速する能力は,水に次いで良く,中性子をあまり吸収することもなく,黒鉛と水中の中間の中性子飛行距離を持つ.
重水は天然の淡水中場所によって130ppm〜150ppm,海水中に160ppm前後存在する.
通常の水には
H2O(O-16) 99.76%のほか,
H2O(O-18) 0.71%,
H2O(O-17) 0.037%,
HDO(O-16) 0.032%
などが含まれている.
工業的には淡水から,水分子中に含まれる水素同位体の違いによる化学平衡の差を利用した,硫化水素/水系二重温度交換法等により製造される.
原子炉に使用する重水には,99.8% 程度の純度が要求される.
しかし同時に,重水を冷却水として使用することになるため,このための循環ポンプ,弁,配管など全てが,漏洩に対して何倍も条件が厳しくなる.
また,炉心を通るときに中性子を吸収して,かなりの三重水素ができるため,取り扱いは桁違いに困難になる.
商業用重水炉としては,カナダで開発した発電用重水炉(PHWR:Pressurized
Heavy Water Reactor加圧重水炉)であるCANDU(CANadian Deuterium Uranium)が,現在もカナダはじめ,世界各地で稼働中.
「蓬莱弱水の隔り」の「弱水」とは,たぶん無関係.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』下巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.61-62
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-02-02-06
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=389
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=02-01-01-05
【ぐんじさんぎょう】,2010/07/23 21:00
を加筆改修
【質問】
トリチウムって何?
【回答】
トリチウム,すなわち三重水素は,原子核が陽子1個と中性子2個から成る水素の同位体.
最大エネルギー18.6keVで,平均エネルギー5.7keVというm非常に低いエネルギーのβ線を放出する,半減期12.3年の放射性同位元素でもある.
核融合炉の燃料の一つだが,大気上層中で宇宙線中の中性子と窒素原子核との衝突によって生成される以外には,天然には存在しないので,親物質のリチウムから中性子照射により製造しなければならない.
宇宙線起源のトリチウムの大気中に存在している放射能量は約1.0〜1.3EBq(エクサベクレル)(1EBq=10^18Bq)と推定されている.
また,水素の同位体であるので水素と同様な性質を有しており,金属中の透過や水素脆化が問題となる.
さらに,重水炉では減速材の重水がトリチウムを含む重水になり,重水の漏洩はトリチウム放出事故につながる.
トリチウムはトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され,人体にはきわめて吸収されやすく,また,有機結合型トリチウム(OBT)はトリチウムとは異なった挙動をとることが知られている.
動物実験で造血組織を中心に障害を生ずることが明らかにされており,ヒトが長期間摂取した重大事故も発生している.
上述のようにトリチウムは,最大エネルギー18keVの低エネルギーβ線放出核種であり,このβ線の物質透過力が極めて弱いため,測定試料を放射線検出器の外側に置く方法ではほとんど検出できない.
試料を検出器の内部に入れて測定する代表的な方法としては,試料を気体状にし,電離箱や比例計数管内で測定する方法と,液体シンチレータに溶かし込んで測定する液体シンチレーション法がある.
前者は主に,室内モニタや排気中トリチウム濃度測定などに使用される.
環境試料中トリチウムの濃度測定には,後者が広く用いられている.
核融合研究を遂行するためには,トリチウムを大量に取扱う必要があるため,その際には,作業者の被ばく防止と環境への放出低減化を目的として多重隔壁格納を考慮した施設が必要とされる.
例えば京大の実験炉では,以下のような対策がとられたという.
-------------------------------------
KURの重水熱中性子設備(Thermal Column)では重水の放射線分解でできる重水素の爆発を防ぐために,パラジウムを触媒にして緩やかに酸素と再結合させる,再結合器を儲けるか,やめるか迷った挙句,設けないことにし,運転開始後種々運転して安全を確かめた.
しかし今度〔京大2号炉KUHFR〕は,出力が6倍で,しかも殆ど炉心の周りを取り囲む形で重水が満たされる.
1桁以上多量の分解が起こることが考えられるので,迷うことなく再結合器を設けることとした.
なお,重水中の発熱も,それに応じて大きくなる.
タンクの形状から考えて,外側から冷却することは無理である.
重水そのものを別のループで循環させて,熱交換器で冷却する.
かなりの三重水素の生成が見込まれるので,循環ループの重水漏れには十分に注意する必要がある.
ちなみに,フランスのグルノーブルの高中性子束炉は重水減速方式の炉で,さらに大量のトリチウムが生成される.
極低温プラントを付属設備として設け,年間約60グラムのトリチウムを重水から分離,生産していた.
なお,1次冷却系は運転時密閉・加圧する必要があるので,やはり再結合器が必要となる.
-------------------------------------下掲書,p.91-92
核融合研究上,大量に必要とされるにもかかわらず,なぜどこも必ずしも,グルノーブルの炉のようなトリチウム生産という方法を選択せず,わざわざ再結合させてしまうのか?については,専門家氏の解説に期待したい.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』下巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30)
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=1259
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-02-20
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-03-25
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=08-01-03-09(表の引用元)
【ぐんじさんぎょう】,2010/07/24 21:30
を加筆改修
【質問】
蒸気発生器って何?
【回答】
蒸気を発生させる装置であり,加圧水型原子炉(PWR)ではもっとも技術的に困難と言われている部分.
伝熱管の配置方法により,U字管型,直管型,ヘリカルコイル型などの種類がある.
PWRでは,炉心からの高温高圧の一次冷却材を蒸気発生器(一次側)に輸送.
蒸気発生器内では伝熱管によって熱交換され,一次側から二次側に熱輸送され蒸気を発生する.
この蒸気はタービン発電機に送られた後,復水器で蒸気から水に戻され主給水ポンプで蒸気発生器(二次側)に輸送(給水)される.
ロシア型加圧水型原子炉(VVER:as Vodo-Vodyanoi
Energetichesky Reactor; Water-Water Energetic
Reactor)でも,蒸気を発生させる基本構成は,横置蒸気発生器(西欧型PWRでは立置き)であること以外,西欧型PWRと大きな相違はない.
蒸気発生器の事故原因としては,伝熱管の材料と冷却材の水質に起因する腐食現象による,伝熱管の減肉,応力腐食割れ,また,流力弾性振動に起因する伝熱管の高サイクル疲労などがある.
【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_0429_01.html
http://www.rist.or.jp/atomica/02/02010103_1.html
http://www.rist.or.jp/atomica/02/02010102_1.html(下掲系統概略図も)
http://www.rist.or.jp/atomica/02/02070214_1.html(下掲構造図も)
http://en.wikipedia.org/wiki/VVER
【ぐんじさんぎょう】,2009/4/13 22:30
に加筆修正
▼ このうち,U字管のメリット・デメリットについては,柴田俊一が以下のように述べている.
――――――
水が高温の場合,細管ごとにかなりの温度差が生じ,熱膨張の差が大きくなるため,これを吸収するためにU字型に曲げる.
この形だと,伸びに差があっても先のほう(Uの字の底に当たる部分)が自由になっているので,無理が起こらない.
しかしこの構造は,曲管の内部の掃除が困難であり,原理的に先端部の固定をしないため,振動が起こり易い.
また,管の曲げ加工自体,材質,温度,曲率,肉厚などによって,出来上がりに微妙な差が出る.
とても精密加工が期待できるものではない.
――――――『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11),p.100
▲
以下の1カ所の入力間違い以外,不備はありませんのでご安心ください.
> ロシア型加圧水型原子炉(WER)
一見間違いやすいのですが「WER」は誤りで,正確にはVVER
(WではなくVが2つ続く;ごくまれにWWERと言うこともあるが,日本国内ではほとんどの場合VVERと表記され,WWERと単体での表記はまず見かけない.)
です.〔※ご指摘_より,上記は修正済み〕
信頼できる参考文献は以下の通りです.
ご確認ください.
原子力百科事典 ATOMICA
http://www.rist.or.jp/atomica/02/02010103_1.html
VVER - Wikipedia, the free encyclopedia
(英語版;VVERとWWERとの略称由来まで記載されており,信頼性は高い.)
(おまけ)
(日本語Wikipediaの当該分野記載レベルが如何に低いか,英語版と読み比べれば一目瞭然となる例.)
ロシア型加圧水型原子炉 - Wikipedia
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2009年04月12日 14:06
【質問】
電蝕って何?
【回答】
「電気化学的腐蝕」の略.
二種の異なる金属が同時に電解質溶液に接触したとき,金属間の電位差により,イオン化傾向の強い金属から弱い金属に電子が移動,電荷を失った金属原子がイオンとして溶液中に溶け出すことで,金属が腐食する現象を言う.
たとえばステンレス鋼は.純鉄に比べて遥かに酸化されにくい(電位が高いという)ので,他の鋼や異種金属と接続すると電蝕を起こす.
【参考ページ】
http://www13.atwiki.jp/wcpc/pages/13.html
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%C5%BF%AA
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E9%8B%BC
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-06-01-09
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-01-10
この後,
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11),p.63-65
を引用して,原子炉設計のさいの事例を書こうと思ったのだが……
「む,KURは研究炉だけあって,研究優先のつくりをしているのだな」
商用炉と違ってアルミニウムを多用している……,そんな炉なのである.
(『池波正太郎ふうに原子炉を語るスレ』より)
【ぐんじさんぎょう】,没稿
【質問】
よく分からないんですけれど,水が振動するのを電熱で暖めると,問題が出るんですか?
熱の伝搬かなにかで?
Posted by: 井上@Kojii.net | Jun 10, 2011 at 09:52 AM
【回答】
別段,水自体が振動するのは
「電気ヒーター露出による空焚き」
にならない限り大丈夫
(とは言いつつ,極めて重要な問題であるのは明らかですが)
です.
それ以上に問題なのは,水蒸気発生の振動によって
「ヒーターに折り曲げ振動応力が働き,うまく振止め金具等の処置を行わないと,ヒーター部分が疲労破壊でポッキリ折れる」
危険性がある訳で.
その場合は真面目に短絡・電気ボイラー爆発事故
(それほど大電力電気の短絡事故は恐ろしいのですが)
を想定事故として考慮する必要があり,潜水艦にとってまさに命取りになる可能性すら有ります.
ちなみに,これらのお話しは
「原子力潜水艦
(PWRに限らず・また原子力空母などありとあらゆる舶用炉も同じ)
の蒸気発生器(SG:Steam Generator)」
でも似たような所があり,たかだかポイラー(蒸気発生器)ですが,死命を握りかねない重要部分と指摘することが出来ます.
(蒸気発生器伝熱配管破断事故の典型例は,関西電力・美浜2号機のケースを参照下さい.
振止め金具が如何に重要か,良く分かる事例です.)
以上,長くなりましたがご参考まで.
Posted by: 担当 | Jun 10, 2011 at 07:15 PM
なお,
「1991年 関西電力美浜発電所2号機・蒸気発生器伝熱管損傷」
については
「失敗知識データベース」
にもっとも端的に良く,正確.かつ分かりやすくまとめられていますので,ご参照下されれば幸いです.
Posted by: 担当 | Jun 10, 2011 at 07:32 PM
以上,kojii.net cocolog別館より
青文字:加筆改修部分
【質問】
ひょっとして,それって原子炉の蒸気発生器に限らず,たとえば石油焚きや石炭焚きのボイラーでも,同じような問題があるような…
――なんてことを考え始めると,蒸気機関車のボイラーだって一筋縄ではいかないかも.
もっとも,あちらは水管じゃなくて煙管ですけれど.
Posted by: 井上@Kojii.net | Jun 10, 2011 at 08:52 PM
仰るとおり,「伝熱管の疲労破損問題」は,ボイラー共通の課題です.
そのため,圧力容器やボイラーは,労働安全衛生法他で厳しい規制(使用前検査・定期検査他)が掛けられている状態です.
ただ,同じボイラーと言っても,
「1.蒸気を熱源(加熱他)として使う」,
「2.蒸気を動力源(蒸気タービン駆動・蒸気機関車(蒸気レシプロ駆動)もこちら側)として使う」
で大差が出ます.
当然,条件が厳しくなるのは後者であり,以降は厳しい後者の方のお話しです.
火力発電所(舶用蒸気タービン船も類似だが,多少条件は緩い)が後者「2.」中でもっとも蒸気条件が厳しくなりますが,PWRの蒸気発生器との大きな違いは,内外の流体とその伝熱方向にあります.
PWR蒸気発生器;伝熱管内側:原子炉冷却系一次側高圧水(高温側:液相のまま変化無し)
→伝熱管外側:原子炉冷却系二次側蒸気タービン駆動用飽和蒸気(低温側:沸騰有り)
火力発電所ボイラー;伝熱管外側:化石燃料燃焼ガス(化石燃料が燃えている部分:高温側)
→伝熱管内側:蒸気タービン駆動用蒸気(低温側:多くは過熱蒸気で沸騰有り,最新型は超臨界圧のため,「相変化概念無し」)
というわけで,違うのは(当然温度も全く違いますが)
1.熱の移動方向(伝熱管内側→外側;もしくはその逆)
2.伝熱管外側流体性状(PWRは水と水蒸気・ボイラーは燃焼ガス)
と,まとめることが出来ます.
本来なら蒸気性状(温度・圧力その他)や,伝熱管の熱膨張も,重要なパラメーターになるのですが,致命的なのは「伝熱管外側流体性状」の方.
ぶっちゃけて言えば,燃焼ガスならば幾ら高温でもガスのため,熱応力や高温影響を考慮する必要はありますが,燃焼ガスで伝熱配管が揺さぶられる力は,それが燃焼ガスという気体のため,その重量密度と圧縮性を考えれば,それほど大きな物ではありません.
(当然ながら流速も考慮すべきですが,ここでは簡単のため省略).
ところがPWRの蒸気発生器の場合,それが水と水蒸気.
沸騰により如何に大きな振動がかかるのかは,薬缶や電気ポットでお湯を沸騰させた時を考えて下されれば良いのですが,あの振動が水+水蒸気の振動となって,まともに伝わる訳です.
つまり,圧縮性のある気体(有る程度のクッション作用も期待できる)を通じて伝わるのと,圧縮性のない水,しかも液相と気相で重量密度が段違いとなれば,同じ振動とはいえ,振動影響の大きさ(掛かる振動荷重の大きさ)も段違いというわけです.
というわけで,乱暴にかつ凄まじく簡単にすると,
火力発電所ボイラー;伝熱管内側の肝心な蒸気側の圧力に十分耐えられれば良い.勿論,振動影響や高温影響も考慮すべきだが,それらは二の次の問題になる.
(極論,蒸気が多少燃焼ガス側に漏れても,その漏れ量が有る一定量以下であれば,多少煙突から排出される水蒸気が増えるだけで,安全上の問題には直ちに発展しない.)
PWRの蒸気発生器:伝熱管内側の原子炉冷却系一次側漏えい防止必須;
飽和蒸気条件のため高温影響は二の次
(そのため伝熱管設計としては本来容易なはず)
であるが,伝熱管外側での沸騰により盛大に力強く揺さぶられるため,その影響を如何に抑えるのかが機械設計の最大重要項目であり,それが当該原子炉の安全性・信頼性に直結する.
(原則として,日本国内のPWRでは漏洩したままでの原子炉運転は許容されず,原子炉を停止して修理することとなる.諸外国では有る程度の漏洩運転は認められるが,PWRの最大のメリットである「蒸気タービン周りへの放射性物質影響なし」の利点が損なわれ,いずれにしろ点検修理が必要となる.
これは舶用炉でも同じだが,海のど真ん中での修理は応急処置以外無理がある.おまけに航行に伴う動揺影響も加わり,その分更に信頼性要求は高くなる.)
とまとめることが出来ます.
以上,大変長くなりましたが,ご参考まで.
Posted by: 担当 | Jun 11, 2011 at 01:19 PM
以上,kojii.net cocolog別館より
青文字:加筆改修部分
【質問】
燃料要素とは?
【回答】
言葉の意味からいうと,原子炉を構成する部品の最小単位で,燃料を納めるもの.
原子炉燃料は,アルミニウム,ジルコニウムおよびステンレス鋼などで被覆して使用している.
しかし実際には,炉型により使われ方が異なる.
板状燃料を使用する研究炉では,20枚程度の燃料板を側板に組み込んだ燃料集合体を指す.
圧力管型炉では,燃料棒をクラスタ状に束ねて圧力管に挿入するが,その1本の燃料棒を指す.
ペブルベッド燃料を用いる高温ガス炉では,直径約5cmの球状燃料を指す.
軽水炉や高速炉では,一般にはこの用語は使用しないが,燃料棒を燃料要素と呼ぶことがある.
KUR(京大炉)では,1964.5.18に,燃料要素が米国から到着した.
これは濃縮ウランの板状燃料だったが,綿密に調べたところ,何本かの要素の一番外側の燃料板の表面に,不規則な傷があった.
その最外側の燃料をX線写真に撮ると,そのうち何本かに,ウランが十分アルミニウムに溶け込まない状態のaggregation(塊状のもの)が見つかった.
送り返そうという意見も出たが,注意して行えば,許容範囲内の小さなトラブルで止められるはずだということで,計画に遅れることなく使用され,なんらのトラブルもなく無事,燃焼を終えたという.
【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=650
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/wp1957/sb2030301.htm
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-06-01-03
http://www.nfi.co.jp/product/prod03.html
http://www.nfi.co.jp/product/prod02.html
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11),p.22-26
【ぐんじさんぎょう】,2010/06/03 21:00
を加筆改修
【質問】
反応度温度係数って何?
【回答】
炉心の温度変化によって,原子炉の反応度がどのように変化するかを表す量.
通常,温度係数と呼ぶ.
温度係数には燃料温度係数,減速材温度係数,ボイド係数などがある.
反応度の温度係数は
S(t)=νΣ<f>vn (t)+Σ<(i)>λ<i>C<i>
から
dρ/dT=−(1/k^2)(dk/dT)≒−(1/k)(dk/dT)
で与えられる.
原子炉の安定的な運転のためにはdk/dT<0となることが必要で,特に温度変化がただちに影響する燃料の温度係数が負であることが必要とされる.
ただし柴田俊一によれば,
・減速材が多すぎる形に装荷する(間を空けて装荷する)と,温度係数は見かけ上プラスになる
・水の膨張係数がマイナスになる境目である4℃に温度が近づくと,反応度温度係数はプラスになる
という.
【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=707
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-04-10
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11),p.67
【ぐんじさんぎょう】,2010/07/01 21:00
を加筆改修
【質問】
放射化って何?
【回答】
安定な原子核を不安定な原子核に変換することを放射化する(Activate)という.
放射化されて生じた不安定核種(放射性核種)は,放射壊変をして放射線を放出しながら,再び安定核種に変わる.
放射性核種が壊変によって,始めの個数の半分になるのに要する時間を半減期と定義する.
原子炉や加速器の周りには,生体遮蔽体として多量のコンクリートと鉄筋が使用されているが,これらが放射化されると多量の放射性廃棄物になってしまうことが懸念されている.
また,『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30)では,重水タンクの冷却水や,ステンレス鋼(SUS)ボルトの放射化に対して,苦心する様子が描かれている.
初めて作る型の原子炉では,予想外の放射化を100%回避することは不可能な模様で,仮に海自が原潜を建造するなどしたら,その段階で大げさに騒がれるだろう事は,想像に難くない.
【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-04-03-20
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=05-01-04-07
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=08-04-01-27
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=05-02-02-06
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.198-204
【ぐんじさんぎょう】,待機稿
を加筆改修
> 原子炉や加速器の周りには,生体遮蔽体として多量のコンクリートと鉄筋が使用されているが,これらが放射化されると多量の放射性廃棄物になってしまうことが懸念されている.
老婆心ながら,コンクリートや鉄筋の放射化が実用上の問題になるのは,ごく少数の例外を除き中性子の照射によるものであり,そのことを明記しておく必要があります.
つまり,対中性子を目的とした生体遮蔽体
(それに限らず原子炉容器(原子炉圧力容器)他,中性子照射があるもの全てと考えなければなりません.)
の場合,放射化が問題となるのであって,例えばBWRのタービン周りなど,主にγ線の遮蔽を目的とするコンクリート遮蔽の場合,放射化の問題はかなり低減される事となります.
(放射性物質が何らかの形で染み込むような「汚染」を考える必要は当然ありますが,「汚染」と「放射化」は明確に区別されます.)
> 重水タンクの冷却水や,スレンテス鋼(SUS)ボルトの放射化に対して,苦心する様子が描かれている.
重水冷却系の場合,重水の放射化によるトリチウム発生が最大の問題となります.
もちろん軽水炉であっても,僅かな重水を含むため,トリチウムについては最大限の注意が払われます.
しかし,カナダ型重水炉(CANDU)のような重水炉の場合,それが一番の課題と言って良いため,極めて慎重な取扱いが必要です.
これは研究炉における(取り出した中性子の)重水減速装置でも同じ事であり,たかだかその冷却系統でも重水素由来のトリチウムが,冷却系統に混入してしまうのが,放射線・放射性物質管理上もっとも悩ましい問題となるわけです.
これはたかだかヤクルト瓶程度の重水がこぼれただけでも,新聞ネタとして大騒ぎになるのが,如実にその意味を物語っています.
> スレンテス鋼(SUS)ボルト
ちなみにステンレスはその優れた耐食性から,原子力系材料としても重宝されているのですが,耐食性他を高めるためのCoやCrなどに中性子があたると,放射化されて強い放射能を帯びる事となるため,特に原子力の世界では低Coは絶対原則です.
これは当該配管が直接中性子で照射されなくとも,僅かに溶け出したCoなどが原子炉水に持ち込まれるだけで,放射化される(誘導放射能)ため,現在でも極めて神経を使うところです,
> 初めて作る型の原子炉では,予想外の放射化を100%回避することは不可能な模様で,仮に海自が原潜を建造するなどしたら,その段階で大げさに騒がれるだろう事は,想像に難くない.
御意.
恐らく原子炉周りで下手をする事はないかと考えます.
もっとも危惧するのは,その周囲.不用意に持ち込んだものが放射化,もしくはCoなどの誘導放射能の元となる物質を持ち込む事であり,これはノウハウ含めて徹底管理しかないと考えます.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年11月23日 14:04
【質問】
臨界って何?
【回答】
核分裂連鎖反応において,体系内の中性子の生成と消失の均衡が保たれている状態.
原子炉が臨界になるには,ある程度の核分裂物質の量の大きさが必要で,それは燃料や減速材の性質,幾何学的配置などに依存する.
核分裂反応が持続する連鎖反応は,臨界状態とも呼ばれる.
具体的手順としては,以下のように行われる.
------------------------
燃料要素を少しずつ(「基本炉心」の)周りに加えていくと,そのたびに外へ逃げていた中性子が,追加した部分のウランに入って,そこで有効に核分裂を起こすようになる.
ウランの量が増えるほど,逃げ出していた中性子のうち,有効に働く割合が増えていき,炉心のそばで,漏れてくる中性子を計測するカウンターのカウントも次第に増えてくる.
少し燃料を増やしては,その都度カウントを測る,という手順を繰り返していくと,だんだん増えてきて,そのうち,燃料を増やさなくても,時間と共にカウントが増える,という状態になる.
連鎖反応(臨界)の状態に近づいたのである.
しかしまだ確実に連鎖反応(臨界)と言うことはできない.
中性子源から中性子が投入されているので,自身だけで反応を続けているとは必ずしも言えないからである.
確かめるために,中性子源を取り除いてみる.
初めの頃と違って,反応はかなり長く持ちこたえるが,次第に消えてしまう,かもしれない.
そこでまた中性子源を入れ,さらにもう少し燃料を追加する.
増え方がいっそう激しくなり,あるところで遂に,中性子源を除いても自身だけで,連鎖反応を続けるという状態に到達する.
臨界に達した,バンザイということになるわけだ.
実験のあらましは以上だが,現実には,そう平坦な道ではない.
まず,燃料の追加の際,入れた瞬間に連鎖反応が起こり,しかも大出力まで行ってしまったら大変なことになる.
何しろ,できたての原子炉はまだ出力も測れないのである.
ある状態からどのくらい燃料を入れてもよいか,暴走しないか,を知る方法がある.
基本炉心から先ず出発するが,中性子源から送り込まれる中性子が,この炉心の中で核分裂を起こして,増倍される.
炉心の傍らに置いたカウンターが教えるカウント数が頼りになる.
しかしこのカウント数の一回の値だけでは,まだ判断はできない.
この炉心に少しだけ燃料を加えると,前に述べたように増倍の程度が大きくなる.
基本炉心のときのカウント数を燃料増加したときの増加したカウント数で割った値を縦軸に,横軸には燃料の量をとってグラフにする.
連鎖反応(臨界)の状態では,中性子源からの中性子の供給がなくても連鎖反応が続く状態,ということなので,0個が有限の値になる増倍の程度は無限大と見なすことができる.
逆数を取ると,基本炉心との比が0になるというところというわけである.
どのあたりかは,初めのうち,燃料が少しの間はあまり正確ではないが,大まかにはグラフの2点を結んで延長し,横軸を切るところが臨界の第一近似の値ということになる.
この点より少ない量なら絶対連鎖反応は起こらないというわけではないが,現実的な情報として重要であり,次のステップでどのくらい燃料を追加するかを決める根拠になる.
この手順を繰り返して,次第に臨界に近づく.
安全のために制御棒の一部を前もって上げておいて,もしカウントが急激に増えたときはスクラム(緊急停止)させるという方法をとるのが国際的基準である.
ところが問題は,その制御棒が計画通りの中性子吸収の能力があって連鎖反応を止められるかということである.
現実にはその物は幾ら丁寧に見ても,外観だけでは性能は分からない.
そこで燃料を増やすたびに,カウントを測る手順を繰り返す際,炉心に挿入してあった制御棒を抜いてみて,カウントがどのくらい増えるかを見る.
それで,制御棒がどの程度効いているか,燃料の増加のどのくらいに相当するかなど注意して見当をつける.
つまり,燃料を増やしたときのカウントの増え方で,ウランの含有を確かめ,制御棒を抜いてみたときの増え方を見て,制御棒効果の検討をつけながら進めていくのである.
------------------------下掲書,p.181-184
PWR原子力発電所の場合,一次冷却材ポンプの運転による入熱,および加圧器ヒータの投入による一次冷却材の昇温昇圧から起動操作をスタート.
定格温度・圧力に到達したら,ホウ素濃度希釈および制御用制御棒クラスタの引抜きにより臨界操作を行う.
【参考ページ】
『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30)
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=814
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-02-03-04
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-06-04-02
【ぐんじさんぎょう】,2010/08/31 20:50
を加筆改修
【質問】
制御棒って何?
【回答】
原子炉出力を制御するために,炉心内で生成される中性子数を調整(中性子吸収によって)する棒,又は板状物質.
ホウ素(ボロン,B),カドミウム(Cd),キセノン(ゼノン,Xe),ハフニウム(Hf)など,中性子吸収断面積の大きい
元素,またはこれらを含む物質(中性子吸収材)から作られており,熱中性子炉ではこれを炉心内に挿入して用いる.
中性子吸収断面積の大きい元素,またはこれらを含む物質(中性子吸収材)から作られており,熱中性子炉ではこれを炉心内に挿入して用いる.
粗調整棒,微調整棒,安全棒などの種類がある.
モッコス将軍が持っていた棒のことではない.
【参考ページ】
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=482
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=1166
atm101225cn.gifへのリンク
画像引用元:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-01-01-11
【ぐんじさんぎょう】,2010/12/29 21:52
を加筆改修
♪5回に1回,悪を討つ!
udon in mixi,2010年12月28日 00:28
> キセノン(ゼノン,Xe)
中性子吸収断面積は極めて大きいのですが,希ガスのため,通常は気体です.
制御棒への実用例は聞いたことがないのですが,ご存じですか?
ちなみに原子炉の出力制御では,Xe濃度の積極的な制御で最適化する手法がありますが,これは高等テクニックと言うことで.
へぼ担当 in mixi,2010年12月28日 00:39
▼ 以下,制御棒操作に関する,興味深いエピソードを紹介したい.
----------------------
京大炉(出力5000kw)を建設し終わった1965年ごろの古いことだが,安全な燃料装荷法という問題で,議論したことがある.
相手は有名な研究機関の有力な研究者で,原子炉物理についてはかなりの権威者である.
彼は,制御棒は全部炉心に挿入した状態で,挿入作業を行うのが安全と主張した.
これに対して私は,米国のミシガン大学で,大学院原子核工学専攻の学生と一緒に,正規の課程の一部としての臨界実験を行った経験から,少なくとも一部の制御棒は,いざというときに挿入できるよう,引き抜いた状態で待機させて,挿入作業を行うべきであると主張した.
もちろん京大炉完成時の,初期臨界実験でもそのようにした.
彼の考えは,全ての制御棒を挿入状態にしておけば,反応度は最低(最小)の状態にあるので,最も安全なはずである,ということである.
これは間違いではない.
しかし,いつも正しいとは限らない.
一部抜いた状態にしておくのは,予期しない,または予期できない反応度の増大があった場合,「緊急停止」の操作が可能なので,より安全ということになる.
双方譲らず,物別れの形となった.
実はその後,間もなくIAEAから研究炉の取り扱いについての安全指針が発表され,その中に制御棒一部 suspended の状態で燃料追加をすべきである,と明記された.
我が国の一部の研究者の間では,
「あの指針は後進国向けのもので,先進国としては単なる参考と考えればよい」
というような話が交わされていた.
何か釈然としない感じなので,後で色々考えた.
現実に米国製の原子炉には,一部の制御棒を引き抜いた状態にして燃料装荷のできない構造のものがある.
蓋を確実に閉じないと,制御棒の引抜ができず,運転に入れないようになっている原子炉がそれである.
この場合,制御棒の一部を引き抜いておいても,燃料を入れるため蓋を開くと,途端に制御棒はいっせいに炉心に挿入されてしまうからである.
小出力,小型炉で,燃料の燃焼に応じて燃料追加や交換を行う必要がなく,かつ,燃料を入れる場所もぎりぎりに作られていて,余分の燃料が大量には入らないようになっている場合は,大体これでよい.
この場合は確かに,制御棒を全挿入状態で燃料装荷するほうが安全である.
しかし,もしこれが全てに当てはまる法則だと勘違いすることは問題である.
予期しない事情で,反応度(中性子の増倍の度合い)の増大が起きた場合,暴走を抑える手段がない.
例えば中性子吸収能力の大きな試料を照射するとき,反応度を補うため,燃料の追加をして運転した後で,その資料が取り出され,そのままで再び運転した場合,などが問題なのである.
さて,こういう意見・考えの差が,なぜ生まれるのか考えてみた.
自分で設計し,完成させた原子炉を,最初に臨界にするときに,制御棒を全て挿入した状態で,原子炉燃料を次々に装荷していくなど,恐ろしくてやれるわけはない.
燃料含有量が仕様どおりか,制御棒の降下は十分か,など心配は山ほどもある.
したがっていつ臨界になるかも分からないから,一本ずつゆっくりと様子を見ながら入れていくが,予想より早く臨界到達,臨界超過とならぬとも限らない.
そのとき即座に,挿入途中の燃料を引き抜く動作が,間に合うかどうか分からない.
せめて制御棒の一部を引き抜いた状態にしておいて,自動的に挿入できるように備えておく必要があることは,自然に考え付くことである.
既製品を買ってきた人には,こういう恐怖感が生まれないのではないか.
これが私の考えて,自主開発と導入型の開発の間に,自然に起きる差の一つと考えられる.
----------------------『新原子炉お節介学入門』(柴田俊一著,一宮事務所,2005.3.25),p.203-205
▲
【質問】
一次冷却系の昔の添加物の所為で,細管に穴って事例が有ったと思うのですが,添加物(リン酸だった気もするのですがそれはないでしょうって気もします,なんだっけ?)は,なんの目的で入れていたのでしょう?
Posted by: bugaisha | Jun 11, 2011 at 07:49 PM
【回答】
認識にズレがなければ「二次冷却系」のお話しです.
PWRの一次冷却系にはホウ酸水の他に,pH調整用の特有の薬品を添加しますが,それらはSG伝熱配管内部のお話しであり,万が一外部にとなれば,その時点で伝熱配管に穴が,昔から開いていることになりますので,このお話しでは対象外です.
さて,BWRでは原子炉で発生した蒸気が,そのまま発電用蒸気タービンを駆動することになりますので,原則として薬品を添加することはありません.
(ガス注入や貴金属注入等有りますが,例外ケースです.)
一方,PWRの場合,SGで一次系と二次系が明確に分かれているため,
【当初は二次系の水処理(主に配管腐食防止の水管理)は火力発電所の物と同じで良い】
と考えられていました.
しかし,上記のように二次系の水がSGを通過して沸騰する際,その水処理で持ち込まれた薬剤が,沸騰の際に析出して,特に先述のような振止め金具と伝熱管の隙間のような所に詰まってしまい,次第に腐食を起こし,ついには穴を開けてしまう,という事例が続出し,大問題となりました.
<というわけで,先のご質問への回答は,
「当初,原子炉冷却系二次側の配管健全性維持のために,蒸気タービン駆動火力発電所で用いられている薬品を,そのままPWRにも適用したが,思わぬ形でSGを痛めつける形になってしまった」
となります.
最終的には,析出しないような揮発性の薬剤使用(AVT給水処理他)や,SG内の振止め金具支持の方法,材質,伝熱管検査方法など多数の対策が打たれました.
とどめには,それら不具合があったSGは,美浜2号機の伝熱管破損事故を踏まえて,順次交換.それ以降建設のプラントも同様の設計変更が為されることで,点検検査は欠かせませんが,従来より信頼性が飛躍的に向上する結果を収めています.
まあ,多かれ少なかれ米国の原潜,原子力空母などの軍用舶用炉でも,同様の問題は起こっていたのは否定できないと推測します.
しかし,それらが運航停止や重大事故に至らなかったのは,多少の効率低下よりも,絶対の信頼性と安全率の確保に努めた,「リッコーヴァー提督の安全性への偏執狂ぶり」のおかげとも言えるでしょうね.
(そもそも軍用舶用炉の場合,陸上用発電炉よりも航行による動揺や,出力の煩雑な変更など,たださえ使用条件が厳しくなるだけに尚更です.)
以上,ご参考まで.
Posted by: 担当 | Jun 12, 2011 at 02:10 AM
以上,kojii.net cocolog別館より
青文字:加筆改修部分
【質問】
原子炉停止の大まかな手順を教えてください.
【回答】
PWRの場合,制御棒の挿入と硼酸水の注入で,高温停止状態にする.
すなわち,まず原子炉の核分裂連鎖反応を停止させる.
ついで,硼酸水注入を続行して,低温停止状態にする.
その後,余熱を除去することで原子炉の温度を冷却する.
以下,引用.
-----------------------------
PWRでは制御棒の挿入と硼酸水の注入で,まず高温停止状態,つまり原子炉内の温度が約290度程度の状態で,原子炉の核分裂連鎖反応を停止させる.
この高温停止は,制御グループと停止グループの2種類ある制御棒群のうち,制御グループのみを挿入した状態である.
この状態で原子炉を停止するのに必要な,1次冷却材中の硼素濃度を安全管理課が算出し,運転員に通知しているので,運転員は制御グループを全挿入した後,それを元に硼酸水を注入して原子炉を停止する.
硼酸水の注入と共に,原子炉内の核分裂の様子を測定する3種類の計測器は,それぞれ指示値を下げていき,ついには停止状態の監視をする計測器以外はゼロを示すようになる.
さらに所定の濃度まで硼酸水を注入し続けて,原子炉の停止操作が終了する.
この操作はおよそ1時間で終わり,昼になる.
(中略)
午後,再び作業が開始され,中央制御室では硼酸水注入を続行して,低温停止状態にするために必要な硼素濃度まで高める操作をしている.
この作業は夕方6時くらいまで続く.
これが終了した後,原子炉の温度を冷却させる操作に入る.
これはまず,蒸気発生器の蒸発熱で177℃まで冷却し,その後,原子炉の安全停止系統である余熱除去系統で,さらに冷却していく操作である.
中央制御室では冷却のために追加する機器,停止する機器などについて,手順書を確認しながら間断なく操作が続くことになる.
-----------------------------『原子力発電所で働く人々』(近藤駿介編著,ERC出版,1998.12.25),p.88 & 93-94
原潜では硼酸水をどのように蓄えているのか,そもそも蓄えているのかどうかは,寡聞にして不明.
「機械なんてぶっ叩いたら止まるんだよ!」と,「シンプソンズ」のホーマーなら言いそう.
【ぐんじさんぎょう】,2010/11/10 20:40
を加筆改修
あー,昔,知り合いの会社で,そうやってコピー機をお釈迦にした場面に出くわしましたねー.
ぶつ叩いたのは,すごく華奢で虫も殺しそうもないOLの人でしたがー(笑)
ソフトヒッター99 in mixi,2010年11月09日 13:06
> 原潜では不明
公式見解としては,私にも分かりません.
当然ながら軍用舶用炉の運用に関しては,日本人がアクセスできる範囲にはありませんので.
ただ,民間舶用炉の実績からすれば,
「ホウ酸水を予備や微調整用として,保有して(蓄えて)いてもおかしくないが,それに頼り切る運用は出来ないはず」
というところ.
▼ ぶっちゃけたお話し,陸上にある原子力発電所(PWR)の場合,大洪水でも起こらない限り,浸水の恐れは無視できますが(ただし,地震による津波影響など評価して問題ないことは確認済み),▲当たり前のお話ですが舶用炉は海に浮かんでいます.
そのため,万が一の沈没の際の安全性を担保する必要があり,様々な対応(陸上にある原子力発電所との相違)があります.
その中で原子炉周りで致命的なのは,万が一原子炉周りの中に海水が侵入しても,原子炉を確実に停止(未臨界)させなければならないことがあります.
つまり,ホウ酸水なら流入した海水に置換されて,原子炉から追い出されたり,希釈されたりする可能性が高いため,保険・補助として使う分には極めて有為なものの,原子炉を確実に止めるには,制御棒全挿入だけで確実に止めること(冷温停止が出来ること)が必須条件です.
また,基本的にゆっくり出力を調整するのに向いているホウ酸水の欠点として,いきなりホウ酸水濃度を変えることはほぼ無理なため,舶用炉における煩雑な出力変化に使うのには,少し無理があります.
すなわち,あくまでも核燃料の損耗(燃焼)に伴う,余剰反応度(要はどれだけ核燃料として余力が残っているかというもの)の制御に,ホウ酸水を舶用炉で使っていてもおかしくありませんが,それが全くなかったとしても全く問題なく,起動・停止が出来る制御棒の能力(専門的には制御棒価値と言います)が必要であることは,指摘すべき事かと考えます.
【結論】
軍用舶用炉では,ホウ酸水を予備や微調整用として保有して(蓄えて)いてもおかしくないが,それに頼り切る運用は出来ず,あくまでも補助に留まる.
無くても十分な設計にしていておかしくないし,最低限制御棒だけで原子炉を完全停止できることが必須だが,それ以上は原子炉(+炉心)の設計・運用ノウハウに係るため,詳細は不明.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2010年11月10日 01:30
▼ ちなみに硼酸関連では,こんな記述もあり.
――――――
どこの原子炉でも大体備えているのが,緊急に炉心に投げ込む硼酸の粉末である.
どんな要因で起こるかわからないが,とにかく制御棒が入らなくなったときなどに備えて,ポリ袋にかなりの量の硼酸を入れて,炉頂に置いてある.
他の手段が何も使えなくなったとき,人間が袋を開けて投げ込み,硼酸が中性子をよく吸収するという性質を利用して,反応を抑える,という考え方である.
どういうときに必要になるか,これは公開すべきことではない.
設置者の責任を果たすための,いわば企業秘密である.
人様に話して了解を得たからといって,責任が軽くなるという性質のことでもない.
官庁の検査官が目に止めて,指摘があった.
しかし,上述の線までしか説明しなかった.
そんな重要なものなら,ちゃんとした設備にして炉心に投入できるようにすべきではないかと言われた.
そうすると,その設備が故障したときを考えなければならない,と反論した.
結局,「せめて,きちんとした容器に収めて,散逸を防ぐために施錠」という話もあったが,何年も先まで鍵を間違いなく保管できて,敏速に取り出せる自信はない,ということで,単に大きなポリ容器に収めておくことになった.
――――――『原子炉お節介学入門』上巻(柴田俊一著,一宮事務所,2000.11.30),p.229
消印所沢 in mixi,2010年11月21日18:34
某事故の時に,「ホウ酸」の手配を本当にした人間が来ましたよ.
個人的にはこの件について「だけ」は,柴田先生の意見には賛成しかねるところ.
ホウ酸粉末と言えども,いきなり水に溶けてくれるわけではなく,通常ならぬるま湯程度でゆっくり溶かすのが通常です.
そのため,緊急時にちんたらそんな事をやっている余裕はなく,やるのだったらある程度水に溶かしておいた上でポリバケツの中に入れておき,それをぶちまける方が余程効果的.
ただし,当該研究炉の場合,それをやればとんでもない量のポリバケツが必要となるから,やむなく粉末にして保存しているわけであり,その場合の効果は
「安心料(効かないわけではないが,扱いを間違えると量が足りなくなったり,副作用がある.<溶けムラがあると厄介なのです.)」
というところです.
ちなみに商用軽水炉発電所(BWR,PWR)の場合は,先に十分な量を水にに溶かした状態で保存しており,温度管理等に気を配ったりしています.
そして,仮に原子炉に制御棒が入らないような,いざというときの最終手段として原子炉に注入するわけであり,何も悠長に構えているわけではありません.
ちなみに某事故の時は当然,溶かしてあるホウ酸を持って行くわけにはいきませんので,粉末等で保管してあるものを探すこととなりました.
結果的に私たちの努力より,近くの方で調達できたため,出番はなかったのですが,危機管理上の教訓になったのは事実です.
<余談:この時,臨界継続と聞いて
「何処のバカだ? 臨界事故なら中性子が完全に放出されていない事を,確実に把握するのが当然だろう.
なかんづくそれが出来なかったとは言っても,γ線量を測れば臨界継続(核分裂の際にγ線も付随して発生します)の疑念の有無ぐらい判断できるだろうに」
と考えたのは,臨界事故そのものの研究の編纂に,若干なりとも関与した私個人の「特殊経験」からであって,他の方にとって常識ではなかったのが,一番考えさせられた経験でした.>
へぼ担当 in mixi,2010年11月22日 00:21
▲
【質問】
運転指令装置って何?
【回答】
原発において,中央制御室と現場との間でやり取りをするための,「館内放送」のようなもの.
機器操作の際,現場にいる人にも操作内容が伝わるよう,必ず現場に放送を流し,また,点検などで異常が発見された際,直ちに現場から中央制御室に連絡する.
騒音などで聞き取りにくい場所もあるため,例えば,セクション毎に決められた信号音をまず鳴らし,注意を喚起してから個人名などを呼び出すよう工夫している.
【参考ページ】
『原子力発電所で働く人々』(近藤駿介編著,ERC出版,1998.12.25),p.84-85
【ぐんじさんぎょう】,2010/11/17 20:40
を加筆改修
> セクション毎に決められた信号音をまず鳴らし.
これは例示にしてください.
少なくとも弊社の発電所ではそのようなシステムはありません.
「例えば」と頭に付けてくだされば幸いです.
(ご指摘により,改訂しました――編者)
他は問題ありませんのでご安心下さい.
へぼ担当 in mixi,2010年11月14日 23:53
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