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<兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

朝目新聞」●対戦車ミサイルでも無傷だった義母  (of がらくたGallery)

「火薬と鋼」■(2011-09-09)[実銃情報] ラティ対戦車ライフルの再生

「ぶる速-VIP」:対戦車 ←これつけると何でもかっこよくなる

「 ワレYouTube発見セリ」:BGM-71 TOW missile


 【質問】
 対戦車兵器と地対空ミサイルってなにがどう違うのでしょうか?
 あと地上戦だとどっちが有利なんでしょうか?

 【回答】
 薬を利用している事以外何から何まで違う.
 お互いが対決するなんて事しないので有利も不利も無い.
 あえて言えばどちらも必要.

 対戦車兵器ってのはその名のとおり「戦車に対抗するための兵器」.
 対戦車兵器には大きく分けて3つ,
*対戦車ミサイル
*対戦車無反動砲
*対戦車ロケット砲
がある.
 また,
*対戦車地雷
も大きな区分けでは「対戦車兵器」に入る.
 有名な「RPG-7」は,「外装式(弾の本体は砲身の外にある)ロケット補助推進無反動砲」になる.
 対戦車兵器は,堅いものが敵なので,それに穴を開けられるような仕組みになっている.

 地対空ミサイルってのもその名の通り「地上から発射して空中の目標を攻撃するためのミサイル」.
 地対空ミサイルは,比較的柔らかいものが敵なので,それに穴を開けられるような仕組みになっている.
 なぜなら航空機の防御は貧弱(というと語弊があるが)だから.
 空を飛ぶ為に戦車なんかと違って重装甲を施す事が困難だからね.

 したがって対空ミサイルってのは装甲貫通能力が殆ど要求されない.
 で,そういう威力をあまり考慮しなくていい分,推進剤やレーダにベイロードを裂いたり破片の効果範囲を広げてみたり (最近のは誘導性能の向上であまり熱心じゃない傾向があるけど),あるいは小型軽量化に取り組んでみたりといろいろやってる.
 地対空ミサイルの場合,上空までの位置エネルギーを稼ぐ事に大きな割り当てを裂いてる場合が多いな.

 携帯型と車載式なんかでもまた違うけど,傾向としてはそんな感じ.
 だから地上戦で対空ミサイルを使用しても勿体ないだけ.


 対戦車兵器は地上戦で使が,地対空ミサイルは地上戦には使わない.
 用途が違うので,「どちらが有利」という比較は成り立たない.
 包丁と泡立て器を比べて,
「どちらが料理を作る時便利ですか?」
と訊いてるようなもんなので.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対戦車ミサイルをジープなどの軽車両に載せるのって有効なの?
 発射後,すぐに退避出来ていいのかな?

 【回答】
 人間が重いミサイルを直接持ち運ばないで良い,という意味では大変に有効.
 道路が整備されてる国なら,目的地までさっさと運べて兵站にもやさしいかもね.

 戦術的には別に.発射機と要員を離して配置できるほうが,退避の必要が最初から無いのでもっと有効.
 そのために安価(やっす)い車両を乗り捨てて利用するなら,便利に使えるんじゃない.

 こっちから近寄って撃ちたいからという理由で軽車両を使うのは,相手が戦車なら自殺行為.
 戦車のほうが高価(たっか)いセンサー使ってるから,先に見つかって撃たれると思え.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 装甲戦闘車にミサイルを装備させたら,戦車の代用になりますか?

 【回答】
 ならない.
・戦車砲や対戦車ミサイルほどの火力がない相手にも撃破される
・弾数が少なく高価なので,自衛以上の火力投射が難しい

 これに対し,主力戦車は
・敵主力戦車からの直撃弾でも,運が良ければ1〜2発耐えて反撃できる
・弾が安いので,継続的な火力投射が可能
などの利点がある.
 ミサイル技術が発達した現代でも,砲というのは非常に強力な兵器ということ.

軍事板,2009/02/03(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 RPGみたいな現代の対戦車ミサイルは,正面以外からなら主力戦車を撃破できるそうですが,それなら主力戦車はいらないのでは?

 【回答】
 RPGは「ロケット・アシスト弾頭型対戦車携行無反動砲」な.
 あれでも実は大砲の仲間で,ミサイルではない.

 で,逆に言えばMBTは対戦車ミサイルや対戦車兵器でないと,そうそう簡単には潰せない,ということでもある.
 携行対戦車兵器で戦車とやり合うのは,「特攻」に近いものがあるので,「当たれば」潰せるけど,その「当てる」がそうそう簡単にはできないのが現実だったりもする.
 その手の兵器が脅威なのは解ってるので,戦車も随伴歩兵とか連れてくるしね.

 市街戦のように攻撃側が身を隠す環境が豊富にあるのなら別だが,いくら強力な対戦車兵器があっても,野戦で戦車に生身の歩兵が戦いを挑む,というのは楽ではない.

 身を隠す環境が豊富にあって,攻撃側が接近できるなら,戦車側には有効な反撃手段がない.
 だから随伴歩兵が必要なんだ.
 イスラエル陸軍は何回も何回も,随伴歩兵を置き去りにして戦車だけで突出して壊滅的被害を被る,って愚を繰り返している.
 正直,馬鹿なんじゃないかと(以下省略

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 今後,対戦車ミサイルがますます発達することで,戦車の優位はどんどん小さくなっていくのでは?

 【回答】
 もう20年も前に論破されてるのね,その台詞.
 なんでかっていうと,瞬間交戦性能や隠ぺい性,連射性の話もあるけれど,結局は
「じゃあ,誰が歩兵を守ってやるねん?」
というところに行き着く訳で,それはソフトスキンのIFVや滞空時間の短いヘリじゃない,ましてやATM発射機でもないってこと.

 将来的にはATMが主戦兵器になるかも知れないけれど,IFV以上の防御力と機動性を持つ自走ATM発射機(モチ重装甲)を,戦車とは呼べないのか?っつー話でもある.
 ただし,この話はLOSATがこけた時点であり得ない話になっちゃった訳だが.

 んで,敵の矛ばかりが進化するんじゃないてことは,元ワルシャワ条約機構の中の人達が証明し続けてはいたんだけど(アレナ抗ATM防御システムとか)ね.

軍事板

アレナ対ATMシステム危険範囲

CRS in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 M77クラスター弾でMBTの上面装甲を抜くことが可能なのですか?

 【回答】
 実際,抜ける.

榴弾[High Explosive]
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/shell_var/he.htm
>破片質量[g]
>500g 4個
>300g 4個
>200g 19個
>100g 46個

――――――
題目:榴弾(HE弾)攻撃による戦車への被害の推察
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/calcula/he_vs_ta.htm
●砲兵榴弾砲による間接射撃による戦車への被害
 事例1)チタデレ作戦時,第17機甲師団所属,第39戦車連隊,指揮官フォン・ラウヒェルト少佐の5号戦車パンテルの初陣に対する報告書 5号戦車パンテルへの大小口径榴弾砲弾の直撃による被害
「砲兵からの射撃に対してはパンターは不死身だ.150mm以上の榴弾の直撃を砲塔や車体の上面に受けたが,装甲板が変形したものの車内への被害はなかった.
 また,小口径の榴弾が車長のキューポラに命中したが,これまた被害はなかった.」
参考文献:PANZER 第321号(1999年10月号) アルゴノート社
特集「ドイツ・パンター戦車 その2」 P94行目より
――――――

M1A2戦車の全周の装甲防御能力の推定
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/calcula/mbt_m1a2_arm.htm

 M1A2エイブラムスの上面装甲がRHA換算33mmだとすれば,100mmを貫通できるM77子弾で十分に貫通する.
 M1A2エイブラムスの上面装甲がRHA換算33mm.
 つまりM77子弾4インチ貫通力の3割に相当.
 貫通.

 さむざむ氏はこう26で言っている.
「実際対応できるRHA相当装甲厚は,1.5〜2.4in(38.1〜60.96mm)になります」
 33mmなら抜けると,さむざむ氏は認めたに等しいな.

 第三世代戦車で装甲圧を公表してる所は何処にも無いから,推定で論じるしかないが,常識的に考えて上面で50mmも60mmもあるわけないから,M77で抜けるだろって話.
 アップリケ装甲を上面に追加していれば別だが,M1の上面にそんな物はない.

 それとXM29の件はどうなる.
 SADARM搭載型は湾岸戦争の戦訓を得て開発中止だ.
 M77に装甲貫徹力が無いなら,アメリカはこんな決定は行わない.

 ただし,「HEATならMBT上面も楽勝」というもんでもないのな.

――――――
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200709_680/068008.pdf

 特に旧式のクラスター弾の対装甲兵器としての能力に対しては,疑問を呈する声もある.
 米国自身,湾岸戦争後の報告書で,M26ロケットは,移動中の装甲車両(戦車等)にはあまり効果がなかったと認めている.
 また,1999年のコソヴォ空爆に関するイギリス議会の委員会報告書も,次のように述べている.
 湾岸戦争後,国防省は,BL755(RBL755の旧型であるが,搭載されている子弾は同一)が
「もはや近代的な主力戦車に対しては有効でない」
ことを認めていたが,その後の技術発展により,1999年ではBL755の攻撃に対する戦車の生存可能性は1991年の約4 倍となっている.
 したがって,「クラスター弾は最も効果的な対戦車攻撃のための兵器だという主張は,コソヴォ空爆では妥当性を持たない」.
――――――

軍事板,2008/06/22(日)〜06/23(月)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 米欄では,M77のHEAT弾頭威力が,RHA換算で2.5〜4インチと言われてる.
 4インチ(101.6mm)の侵徹力を発揮したなら,3分の1でも約33.9mmだから,内部への損害も期待できるだろうけど,2.5インチ(63.5mm)の侵徹なら,3分の1で約21.2mmだろ?
 つまり,M77でM1を撃破出来るかどうか,ということについては,33mm以上の侵徹力をどの程度確実に起こせるか,が論点になると思うんだがどうよ?
 3分の1を超えた後のHEATの威力の減衰がどの程度かもわからんので,かなり水掛論ぽい気もするが.

 【回答】
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/dpicm.htm
>The M77 can penetrate up to four inches of armor.

 グロセキュだと4インチとあるけどね.
 BLU-97/B子弾だと5インチ(127mm)を貫通.

>2.5インチ

 M77のHEATコーンの直径は約4cmあるから,理論上は最低でも2-3倍の侵徹長はある筈.
 対戦車ミサイルなら5-8倍はあるものがある.

 1.5倍程度というのは,大戦中に開発された時の初期のものより効率が悪いことになるが・・・
 自己鍛造弾だと自身の直径の0.5倍程度が限界らしい.

 2.5インチというのは,実用上の実測値で,貫通後の効果が期待できる場合の数値なんじゃないか.

軍事板,2008/06/23(月)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 半無限円筒に対する侵徹長の,3割を越えても貫通後威力は変わらない根拠と,その理屈は?

 【回答】
 半無限厚標的と有限厚標的の侵徹の概念の考え方を,勘違いしてないか?

http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/calcula/new_mbt.htm
>初期の44口径120mm滑腔砲のAPFSDSの侵徹能力は,半無限厚標的(図1)に対して,
>射距離0mでRHA換算480mm程度であろう.これに耐えるには,装甲の厚さが,RHA換算
>で480mmの2割増しは必要になる.なぜならば,半無限厚さ標的では,侵徹孔の後に充分
>な厚さが残っており,侵徹抵抗は大きい.一方,実際の装甲は有限厚標的(図2参照)であり,
>仮に500mm程度の有限厚標的では,侵徹孔の裏面の抵抗が小さくなってしまい,貫通に至
>ってしまうのである.よって,RHA480mm相当の侵徹能力のある砲に耐えられる装甲は,
>2割増し程度のRHA600mm以上に換算されるのである.

軍事板
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 M1の装甲材をRHAと決め付け,何であるか無視しているのはおかしいのでは?

 【回答】
 ?

 普通はRHA換算で話をするだろ?
 そもそも
RHA=MIL-A-12560に相当する防弾鋼
の意味だもの.

軍事板,
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対戦車ライフルが登場したのはいつごろなのでしょうか?
 やっぱり第一次大戦?
 それはどんな物だったのでしょうか?

 【回答】
 この道の権威といわれる,Anthony G. Williamsから引用.

――――――
 最初の対戦車ライフルはMauser Tank-Gewehr M1918.
 MG TuF機関銃用の13×92mmSR弾薬を使用.
 同機関銃導入までなんとか持たせるために急遽開発,投入された.
 基本的には通常の歩兵用ボルトアクションライフルを,上記弾薬を使用できるよう大型化したもので,重量は17.7kg,全長は1.68mあった.

 鋼鉄芯の弾薬は100m射距離で20mmの鋼板を貫通し,300mでも15mmを貫通した.
 当時の英軍戦車の装甲は12mm程度であり,十分有効であった.
 ただし,その重量,サイズ,反動は大きな欠点ではあった.

 これに続いたのが,英国のGodsal .600/500"対戦車ライフルと,ソ連のSholoklov M39であり,前者はM1918の改良型,後者はM1918を12.7×108mm重機関銃弾用に調整しただけのものであった.
 次の世代の登場は1930年半ばのBoys Rifleを待つことになる.
――――――

 つまり,第一次大戦中にドイツが開発した,モーゼル小銃の閉鎖機構を流用した,13mm鋼鉄弾芯の専用弾を撃ちだすものが世界初の対戦車ライフルです.

 上記にある通り,モーゼルをただでかくしただけの代物で,反動を軽減する機構がありません.
 リコイルショックが半端じゃないくらいきつく,
「二発しか撃てない(一発目で右肩,二発目で左肩をやられる)」
とまで言われてました.
 他にも単発で装填に時間が掛かり,60〜90°の数百m以内で当てないと弾かれる等,色々問題がありました.

 それらの問題を解決したタイプのものも開発中でしたが,終戦までには間に合いませんでした.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対戦車ライフルって本当に役に立つのでしょうか?
 映画「ルパン三世・カリオストロの城」でその存在を知りましたが,実際にはどうなのでしょうか?
 現在は使われてはいないのですか?

 【回答】
 現代の戦車には全くの無力です.
 そのため,現在はあまり使われないし,対戦車ライフルと呼称されること自体少ないようです.
 ではなんと呼ばれているのかというと,「対物ライフル」です.

 対戦車ライフルは第一次大戦中に開発されました.
 第二次世界大戦初期までは役に立っていたんですが,その後の戦車の恐竜的進化によって戦車の装甲が強力になったので,対戦車ライフルは戦車に対しては無力な存在となりました.
 また,無反動砲や携行ロケットなどが開発され,対戦車ライフルよりはそちらの方が効果が高いので,最終的に廃れてしまいます.

 しかし,ロケットや無反動砲は射程が短く,撃つと発射地点がバレバレで反撃を食らいやすいですが,対戦車ライフルは発射地点が暴露されにくい.
 また,戦車には歯が立たないとはいえ,装甲車程度なら効果があるので,装甲車輛攻撃にも用いられています.

 それと極東の某国では,対戦車ロケットや無反動砲の開発が遅れ,前線に配備できなかったので,二次大戦の最後まで対戦車ライフルを使ってます.
 戦争末期に行われたソ連軍侵攻で,ソ連の戦車に向かって火を噴きましたが,ソ連戦車の装甲に歯が立たず,踏みつぶされました.
 しかし,北方の島々に来たソ連軍は装甲車程度しか揚陸しなかったので,それ相手に活躍したという話も聞きます.

 対戦車戦闘を考える場合,ライフルよりも携行ロケットランチャや無反動砲の方が全然良いので,対戦車ライフルは現在では対物ライフルと名を変えて,人や軽装甲車などを狙うライフルとなっています.

 【参考画像】
 第2次大戦中における対戦車ライフルの取り扱い説明書
その1
その2


 【質問】
 牽引砲は現代の対戦車戦でも役に立ちますか?

 【回答】
 無力.

 現在多少なりと配備されている牽引対戦車砲は,ソ連/ロシアの予備役に残るT-12 100mm がほとんど唯一のもの.
http://www.army.mil/cmh-pg/books/www/280c.htm
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/row/t-12.htm
(諸元)
全長10m重量3.3t 操作要員6人 毎分6発
直射有効射程 2,000m(HVAPFSDS) (1000m 225mm貫通)

 現代戦車は固定目標なら3000mで初弾必中の性能があるので,対戦車兵器は土地の起伏,植生,建物などを利用して待ち伏せ奇襲する以外ないのが常識.

 牽引砲の場合,3.3tという重量からして,ATMのような迅速な展開は不可能.地盤が強固な場所でなければ設置できない.全長10mの砲を航空偵察から隠匿するのも不可能に近い.
 いったん設営したら,陣地変換は事実上できないので,対戦車戦以前に空爆で破壊される危険性大.

 しかも誘導ミサイルに比べて命中精度は低い.
 発射の反動で砲自体が大きくジャンプするため,いかに火器管制システムを改良しても50tの砲座に搭載された戦車砲のような命中精度は得られない.

 なお,誘導対戦車ミサイルは実戦での使用実績豊富なMILANを代表とすると,
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/row/milan.htm
(諸元)
全長0.9m 重量 本体6.73kg 発射装置16.4kg 操作要員2-3人 毎分3-4発
有効射程 2000m (352mm貫通)

 …なぜ牽引対戦車砲が使用されなくなったか,おのずから理由が分かるだろう.

 なお,誘導砲弾による間接射撃での対戦車戦は,また別の話題となる.


 【質問】
 ▼現代の戦車に対して鉄条網は有効ですか?▲
 昔の戦車は有刺鉄線がキャタピラにからまって動けなくなった事もあったらしいけど,今のは大丈夫なんかな?

 【回答】
 ▼ある程度は.
 対戦車・装甲車障害としてはほんとに多少の効果.▲
 WWII以前の低出力のエンジン積んだ軽戦車だとピアノ線とか絡ませると致命傷になる事もあったらしいが,現在の1500馬力とかのエンジン積んだ50〜60tもある戦車だと,何事もなく引きちぎって進んでいくらしい.
 ▼すなわち,50トンを時速70kmでダッシュさせられるような馬力の,現代の戦車の出力だと,普通の鉄条網は絡んでも千切られて終わる.
 超丈夫な鉄条網でないと,履帯や転輪にからまったりする可能性は大変低い.
 でもそんな鉄条網の扱いは,すでに建設に近いものになる.
 事実上,鉄条網は無効.

 乗員または指揮官が,
「突っ切って通れないわけでもないが,鉄条網を通ったせいで故障が発生して,一時的にでも車輛が脱落したり修理のために後退したりすると面倒なので,その場所を迂回する」
って判断をするかもしれない,って程度の効果.

 まあ,神経質な人間で無い限り,気にしないで通る判断の方が多いかもしれないが…

 ただ,例え戦車は踏み潰して進めるにしても,鉄条網があると歩兵がついてこれなくなるので,戦車から歩兵を引き離す役には立つ.
 歩兵の援護のない戦車は対戦車兵器のいい的なので.

赤色大元帥 in 軍事板(黄文字部分)
軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対戦車ミサイルの弾頭などに使われるHEAT弾頭は,口径の大きさで貫徹力が決まるというレスを見たのですが,本当ですか?
 その場合,対艦ミサイルの射程延長の際によくとられる,弾頭をコンパクト化したりする方法は,対戦車ミサイルでは使えないのでしょうか?
 貫徹効果を保ったまま,射程を延長するには大型化する他はない?

 【回答】
 本当です.
 生成される貫徹金属流の長さが口径によって決まるので,貫徹長も口径に左右されます.

 対艦ミサイルの場合には,弾頭自体が強化されて,ミサイルの重量,速度と合わせて一定の貫通効果を持ち,さらにその上で艦の深部に損害を与えるために成形炸薬が爆発します.

 対戦車の場合,ミサイルにそのような運動量を持たせることはできませんから,HEAT自体に頼るしかなく,貫通効果を上げるには口径を大きくするか,タンデム弾頭にするしかありません.

 補足すると,理屈の上では弾頭直径を大きくすれば貫通力も増すのですが,そうすると今度は侵徹に寄与しない金属流であるスラグの発生量も増します.
 ですので,むやみに弾頭を大きくするのはあまり効果がありません.
 運用も手間が増えてしまうので.
 なお,対HEAT用の防御機構をタンデム弾頭で無効化する手法が最近の流行です.

 蛇足すると,タンデム弾頭は単に爆発反応装甲をはじけさせて無効化するだけでなく,貫通長自体も足し算で増える
(実際には足し算より割引されるが).

 実際には現代の複合装甲はHEATに対して強く,RHA換算の装甲厚さ表現でも ,「APFSDSの場合」「HEATの場合」が併記され,後者が前者の半分だったりすることがよくある.
 だからタンデムにしたりして,なんとか貫徹長を稼ごうとする.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第一世代の対戦車ミサイルの命中率っていったいどの位だったのでしょうか?
 遠距離になるとスコープで目標物を狙わざるを得ず,尚かつスコープ内にミサイルも捉えなければならず・・・と考えると,かなり悲惨な命中精度ではなかったのでしょうか?

▼ それと,第二次世界大戦時には対戦車ミサイルの研究ってあったのでしょうか?

 【回答】
 第二次大戦中,ドイツ軍がX-4というのを開発しており,これを基に,フランスが本格的な対戦車ミサイル(SFECMAS)を開発したと言う話があります.

 で,命中精度ですが,初期も初期,1955年に試作された米陸軍のDartの場合,2,100ヤード先の目標(黒点)から,僅か15.3cm離れたところに命中し,0.01%の確度を得たと言うことです.

 フランスのSS10の場合は,
 1. 300mまでは効力がない(誘導員が誘導に必要な時間を持てない)
 2. 400〜600mの間の命中精度は良好と言えない
 3. 700m以降になると,在来のいかなる兵器よりも明らかに優秀で,射程が伸びるほど命中公算が増える.
   実際には,射程1.6kmでm命中率80%とされており,仏の将軍曰く,90%の撃破率と豪語していました.

 ちなみに,この射手を養成するのには,一人宛20発程度が必要で,復習するのに6発が必要とのこと.
 ただ,空幕の人は,戦闘中に20秒間冷静に誘導できるかと言う懸念点を示していました.

 日本の六四式の場合は,初期試作は,ロケットノズルの製作に不具合があって,明後日の方向に飛んでいくと言う話があったのですが,その不具合解消後は,結構な命中率だったと言う話でした.

軍事板


 【質問】
 重マットとかの対戦車誘導弾は,昔のに比べて格段にスピードがあがっているようですが,やっぱ撃ち落とされないためにスピードあげてるのっすか?

 【回答】
 どちらかというと射手の安全を考えてだと思われるぞ.
 昔は距離にもよるが,戦車は対戦車ミサイルの発射を確認したら,砲を旋回して,対抗射撃して射手を無力化すれば助かるなんていわれてたくらいだから.

 第1世代くらいのATGMは,射手がミサイルを目視して誘導(つか,操縦)するので,飛翔速度があまりに速すぎると誘導できない.
 第2世代以降なら,ミサイルの操作そのものは火器管制装置がやるので,「早すぎて目で追えないから誘導できない」ということもないため,低速で飛翔する必要もなくなった.

 また,以前は半自動有線誘導であったので飛翔速度に上限があったが,レーザー誘導方式となり高速でも誘導が可能になった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現代の携帯対戦車誘導弾の類は,かつての対戦車ロケットと同じように,分〜小隊ごとに配備される事が多いのでしょうか?

 【回答】
 米軍のストライカー旅団(ストライカー装甲車に軽歩兵を乗せてる旅団のこと)では分隊ごとに1人,対戦車特技を身に着けてて小銃を持っている兵がいます.
 ジャベリンミサイルというを今は使っています.
 昔はドラゴンというのでした.

 自衛隊では軽装甲機動車の導入とあわせて,偉い勢いで軽対戦車誘導弾の導入が進んでいます.
 仮に軽装甲機動車を持つ中隊が軽MATを装備するのであれば,かなり広く部隊に行き渡っているであろうことは推測されえます.

 このほか,人が頑張って運ぶのはちょっと無理そうなTOWやら,重MATやらMPMSなどもあるんですけど,これは携帯対戦車誘導弾という感じの括りには,たぶん入らないと思いますので省略.


 【質問】
 第3世代MBTの戦車砲と歩兵携行式の対戦車ミサイルの射程距離は,それぞれ大体,何kmでしょうか?

 【回答】
 砲にもよりますが,ラインメタルのだとAPFSDSの有効射程が3500メートル以上,とされています.

 ATMですが,歩兵携行用と言ってもカテゴリーがいくつか有あります.

<一名で携行,発射>
プレデター  射程 570m
エリックス  射程 600m
AT-7/AT-13 射程1500m

<二名で携行,発射は一名>
ジャベリン  射程2500m
ギル     射程2500m
スパイク   射程4000m
ミラン1/2/3 射程2000m
AT-14    射程5500m
BILL     射程2000m
BILL2     射程2000m

といったところです.

 携行対戦車ミサイルからは外れますが,
79式対舟艇対戦車誘導弾 最大射程3000メートル
87式対戦車誘導弾 最大射程2000メートル
もありますね.

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 対戦車ミサイルとかって戦車主砲より射程が短い気がするんですが,どうやって接近するんですか?

 【回答】
 メジャーなATMの射程が2000〜3000mくらい.
 戦車砲と比べて,格段に短いわけじゃない.
 でもって,陣地を擬装して隠れてる対戦車チームを,戦車がその距離から発見するのは困難.

 どうやって接近するか?
 対戦車チームが接近する必要はない.
 戦車の方から攻めてきてくれるから.
 基本的には穴に潜って待ち伏せし,一発撃ったらすぐ逃げる.

 戦車の方が近寄ってこなかった場合?
 敵の侵攻を阻止するって任務達成だから,問題なし.


 【質問】
 たしかに現代の携ATMは肉薄攻撃とはいい難いよね.
 射程も命中精度も,RPG等の対戦車火器とは大きく違うし.

 ただ,東側最新のATMが使われた,2006年のヒズボラ掃討戦で,イスラエルは60名弱の犠牲と戦車14両が撃破されたけど,相手のヒズボラの犠牲者はイスラエルの4〜5倍とのことだから,今なお極めて危険な戦術には違いないのでは?

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月22日 12:31:37

 【回答】
 ヒズボラはそもそもゲリラ組織で,専従の兵隊がどの程度いるのかすらはっきりしていません.
 職業軍人のいる常備軍と同列にみなして考え,戦争全体での死傷者数と,ヒズボラの対戦車伏撃能力を結びつけるのは問題があります.

 戦車不要論を信奉して戦車を揃えぬのではなく,ヒズボラが置かれた戦略的な立場ゆえに戦車を持てぬ,砲兵もロケットで都市爆撃,迫撃砲に対戦車誘導弾と事前準備の洞窟陣地で抵抗しているというのが実態に近いでしょう.

 逆にヒズボラに学ぶとしたら,離島防衛で硫黄島型の防御は,まだ現代的な意味はあるだろうということです.
 問題は,立てこもっているうちに救援が来るか否かなんですが,ここは周辺諸国の海空戦力がどう発達するか次第のところがある.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月22日 12:42:53

「週刊オブイェクト」◆(2010年08月21日)コメント欄
青文字:加筆改修部分

▼ 恋するだよもんさん Twitter より

――――――
 歩兵携帯ATMに望まれているのは,戦車の駆逐阻止です.
 『ATM兵の生存性』なんざ,最初から考える必要はないのです.
 ATM兵の仕事は,『敵の戦車をぶちのめして足を止める』ことであって,有利な場所に離脱することのではないのです!
 逃げられないと悟れば死守するしかありません.

 要はPACフロントの対戦車砲兵が,携行ATMに与えられた役割なのでした,というお話でした.

 まあ,戦車と対戦車部隊の損耗交換率は実にひどいけどな!

 某所の損耗比率では,戦車2両と装甲車3両,軽車両,歩兵十数名を撃破した代償に,ATM中隊が損耗率9割をたたき出したという話も聞いたことが.
――――――

 上記のATM部隊の損耗率に関して,実に興味深い事例が存在する.
 2006年に勃発したイスラエル・ヒズボラ紛争の最中に起きた,メルカバMk4を有するイスラエル軍第401機甲旅団第2中隊と,ヒズボラの対戦車ミサイル部隊が激突した,「WadiSaluki」の戦闘を振り返ってみよう.

 2006年8月11日20時 第401機甲旅団第2中隊はLitani川近傍に展開しているヒズボラ・ゲリラの掃討任務を受け,Salukiの通過を開始した.
 Salukiが,ワジ(Wadi)と呼ばれる水が涸れた川の地形であり,急斜面が多く,戦車の機動に大きな制限を与える地形であった.
 ヒズボラは100名以上の兵士を配置し,9M113コルネット対戦車ミサイルを装備させ,待ち伏せていた.
(注:9M113コルネット対戦車ミサイルは,優先的にMk4に使用されたとこと)

 部隊の先頭である2輌が,涸川の底に到達した時に,ヒズボラは攻撃を開始.
 2輌はたちまち被弾し,1輌は照準装置付近を貫徹され,車長は戦死した.
 続く6輌も,救出のため奮戦するものの,続々と飛来するミサイルによって被弾車輛続出.
 最終的には参戦した24輌中11輌が被弾し,戦車兵8名(一部報道では4名)が戦死.
 同じく救援に駆けつけた歩兵部隊の4名が戦死した.

 これに対して,待ち伏せしていたヒズボラ側はというと,約80名が戦死しており,ほぼ全滅と言えるような被害を被ったという.

 このように,戦車VS対戦車ミサイル部隊での損耗比率では,極めて対戦車ミサイル部隊の方が悪いです.
 生身の状態では,戦車の砲撃よる破片をもろに受けます.
 ミサイルの装填に手間取っている間に,戦車の砲弾がバンバン来る状況になり,結果的に対戦車ミサイル部隊の損害が増します,
 さらに戦車のセンサー部は強化されており,人間の熱や発射煙は感知可能ですので,もろに位置がバレバレであり,またさらに損害が(ry

 やっぱ対戦車ミサイルは,撃っては逃げて時間を稼ぐ意味でしか使えない.
 そしてこちらも本命の戦車をぶつけるしかないと.

 なお,この戦闘ではMk4の2つの特色が注目されている.
1) 1輌のMk4が砲塔に被弾し貫徹され,乗員2名が負傷した.
 直ぐに自動消火装置が作動し,火災は最小限に食い止められたお陰で,戦車の被害は少なく,予備の2名が乗り込み戦闘に復帰.

2) 砲身に被弾し,後退せざるを得なかった車輛が,前線の修理チームにより,すぐさま砲身交換を行い,戦闘に復帰した.

 一方,対戦車ミサイル部隊は,戦死者続出で,戦闘行動不能になりつつあった.

 【参考文献】
『グランドパワー』 2007年10月号 イスラエル軍戦車メルカバ(4) P52〜53

CRS@空挺軍 in mixi,2010年08月22日21:38



 【質問】
 私はヒズボラが戦車不要論のため戦車を保有していないなど書いてはいませんし,戦争全体でなくある戦闘で発生した直接損害比で話をしています.
 詳細情報から戦闘推移や損害理由も,細かくチェックを行っていないので間違っていたら指摘願います.
 ですが,以下のことは容易に想定されます.

 使われたATMが最新型でもFIRE&FORGETタイプじゃない以上,着弾までの時間誘導し続ける困難さや,相手の戦車も,牽制攻撃や発射箇所への直接攻撃などの対抗策も実施されたでしょう.
 隘路でキルゾーンが構築できたとしても,装甲防御,機動展開できない歩兵は脆弱です.

 で,結局,あなたは対戦車肉薄攻撃のリスクを,どのように判断されたのです?

Posted by 339 at 2010年08月22日 13:12:54

 【回答】
>ある戦闘で発生した直接損害比で話をしています.

 これは以下に登場するwadi salukiの戦闘などを,念頭に置かれているのだと思います.
http://www.jpost.com/Home/Article.aspx?id=33202
 戦死はイスラエル側が12名,ヒズボラ側が80名ほどと書かれていますが,しかし,一方でヒズボラ側は網目状に島嶼陣地をめぐらし交通壕を整備しており,指揮は細胞毎に委任命令で柔軟に長時間,事前備蓄を使い戦闘し続けたという評価もあります.
 戦場を最後に支配したのはイスラエル側ですが,2日間で撤退しているため,数字が投下した火力量からの推計のみなのか,戦場を清掃した結果で得られた数字なのか知りたいところです.

>使われたATMが最新型でもFIRE&FORGETタイプじゃない以上,
>着弾までの時間誘導し続ける困難さや
>相手の戦車も牽制攻撃や発射箇所への直接攻撃などの
>対抗策も実施されたでしょう.

 ヒズボラはコーネットやTOWも入手していたとされており,これらは誘導弾の飛翔速度が極めて早いです.
 日本でいえば87式中MATあたりが近いでしょうか.
 また,上のJPにあるように砲兵支援は無かったそうですし,以下でも単発,あるいは2発のみで砲撃要請に応じており,隊で斉射することはなかったと書かれています.
 つまり,歩砲戦工飛の連携に不足があったということです.
http://www.afji.com/2006/10/2069044/

>隘路でキルゾーンが構築できたとしても,
>装甲防御,機動展開できない歩兵は脆弱です.

 これは結局,硫黄島以上にヒズボラには準備期間が与えられていますし,海路を遮断されることがありませんから,コンクリや木材,鉄材などをどんどん持ち込めますし,労働力も不足はないのでしょう.
 陣地内で交通壕を使って,掩蓋の下や洞窟内を移動できるのであれば,装甲をまとって機動しているようなものです.
 さすがに洞窟の中に,トロッコを通すようなことはしてなかったようですから,戦車の戦場機動力にかなうわけではないんですが.

>で結局,あなたは対戦車肉薄攻撃のリスクをど<<のように判断されたのです?

 対戦車誘導兵器があれば,敵戦車が傍若無人に振るまい,陣前を闊歩して我が火点に好きなだけ榴弾を撃ちこむようなことを,防げるだけでも大したものです.
 あると無いでは大違いですし,様々な工夫のおかげで撃つ者の生残性が高まっているのも良いことです.
 問題は離島奪回などで,この手の先進対戦車兵器の伏撃に遭遇する可能性が出てきていることです.
 舟艇を沿岸から撃つのも,おそらくは自衛隊だけのお家芸ではないでしょう.

 したがって離島を奪回する際に,歩兵の供としての戦車はできるだけ強いものを揃えたいということになります.

 90式は,初めて西側諸国の水準に追いつけた戦車だと良く言われていますが,その後の改良は各装置の熟成(たとえば装填装置の改善など)はあったでしょうけど,本格的な改良はなかったでしょうから,単純に90式の改良型にとどまるものであったとしても,10式は長らく待たれていたものだと言えます.
 そして,実際にはどうも10式は,ネットワーク化やアクティブディフェンスを目指した脅威対応統合スーツらしき装置などが,色々組み込まれているような話です.
 一番お金のかかる中身が違うというのは確実でしょう.

Posted by 344 at 2010年08月22日 20:44:47

>>ヒズボラ

 職種間連携のうちで戦車のみ消え,ATM駆使し,敵戦車にド正面で対抗すると,正規軍と言えどもヒズボラと同じじゃん的な考えはちょっとねえ.
 あいつらは全力でもってしても,飽くまでマンパワーでしか戦えてない軽歩ゲリラであり,正規軍の範疇で比較できるもんでないし.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年08月22日 21:53:04

「週刊オブイェクト」◆(2010年08月21日)コメント欄
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車に対してATMを撃つ場合,遮蔽物の多い場所ではATM側が不利だと言われました.
 ATM側は有利な地形で射撃可能であり,反撃や回避を見越しての攻撃が出来る以上は開けた場所で攻撃するより圧倒に有利だと思うのですが,違うのでしょうか?

 【回答】
 ATMの戦車に対する優位点は,射程と射撃前の隠蔽性.
 遮蔽物の多い地形では,これらの優位点を生かし切れない.むしろ誘導が困難に,戦車側は回避が容易になる.
 出会い頭の瞬間交戦能力では,戦車が圧倒的に有利.

 自分が隠れられる地形で,相手が開けた地形にいるなら,たぶん隠れられる地形から撃つのが正しい.
 でもATMってのは戦車に対するかかしみたいなものなんで,という意見も観た事があるし,そういう地形が都合よくあるかは俺には分からない.
 また,戦車は砲塔を回して厚い装甲をやばそうな方向に向けることができる.
 このとき一緒に主砲と同軸機銃もそちらに向くんで,その正面から撃ったら,発射炎や背後に立つ煙と爆風による埃などでばれて,榴弾を撃たれるかもしれない.
 基本的に戦車とATMだけ持った歩兵がサシで対決するんではなくて,双方いろんな要素を取り合わせて戦場に効き目をもたらすようにするから,その点ではこういう話はあくまで限定的なものなのかもしれない.

 確かに,戦車に乗ってて最も怖いのは対戦車ヘリで,次いで,近くに潜んでる,携帯対戦車火器を持った歩兵.(敵戦車はその次・・少なくとも互角に殴り合えるから)
 とはいえ,敵戦車には僚車や随伴歩兵がいるわけで,それらの火線に身を晒してATMを扱えるか?
 そのような用途には,もっとコンパクトな無反動砲かロケットランチャを使いたいね.

 あと,ATMの弾速は極めて遅いって事も考慮してね.
 下手すると,後だしジャンケンに負けます.


 【質問】
 対戦車ミサイルを発射したときに,飛翔用のロケットモーターに点火する前に地面や屋根などに落ちたりしたら,不発で機能停止するのでしょうか?
 それとも,そのまま点火してしまうのでしょうか?

 【回答】
 物によって様々だけど,発射機から射出してからモーター点火まで,火薬に依る物や電子的機構に依る物などの時限設定がある物も多い.
 それらの場合だと,地面に墜ちようがモーターは点火する.
 他に,発射機からの距離を検知してからモーターに点火する物もあるので,それは射出後に充分な安全距離が取れなかった場合には点火しない.

 ずっと昔の富士の総火演でまさにそんなシーンを見た.
 発射筒から飛び出した対戦車ミサイルが,20mほど先の草むらに突っ込んだ.
 しばらく草むらからシューシューと言う音が聞こえ,ほわんと白っぽい煙が立ち上った.
 たぶん発射薬だけ点火して,メインのロケット・モーターの点火が遅れたんだろう.
 でも弾頭はまだアーミングしてなかったので爆発はしなかった,と.

 failed missle launchなどで検索すると掛かる.
http://www.youtube.com/watch?v=Hj2g5vGgMbM
http://www.youtube.com/watch?v=-UXl9PcPvKc

 それどころか,目の前にぽとって落ちる動画までYoutubeにあげられてた気がする.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ この動画のことでしょうか.
http://jp.youtube.com/watch?v=eZPOfwVhokI

 このあと,どうなったんだろう…

釣り人見習い in FAQ BBS


 【質問】
「装甲車輛が対戦車兵器で戦車の側面や後方を狙うことはありえない」
と言っている人がいますが,これは本当でしょうか?
 WWIIの例を出したんですが,
「現代ではありえない」
なんて言われてしまいました.

 【回答】
 十分にありえる.

 第4次中東戦争のシナイ半島正面にて,グレートビター湖沿いを北上し,中国農場の部隊を救援すべく,同部隊を攻撃中のイスラエル軍を背後から突こうとしたエジプト軍の1個機甲旅団が,イスラエル軍の機甲旅団に罠を仕掛けられ,湖沿いに罠に入り込んだところを側面から攻撃されて壊滅した例がある.

 そもそも第4次中東戦争以降,ある程度拮抗した機甲部隊同士が戦闘したことはない(イラク戦争でも湾岸戦争でも戦車戦は生起してはいるが).
 第4次中東戦争で師団長をやってたのが,アリエル・シャロン,大隊長やってたのがバラクなんで,この世代あたりでないとそういう断言はできない.

 それ以外で断言しているとすれば,それはレーザー交戦装置で対抗演習した経験などによることになりそうだが,審判は実際の戦争にはいない.


 【質問】
 十年くらい前に書かれた大石英司の仮想戦記(『環太平洋戦争』だったか)を読み返してたら,作中にトップアタック方式の誘導弾頭迫撃砲で,敵装甲車輛を一方的に撃破する機動戦闘車が登場していました.
 現在開発中の機動戦闘車は,どの国の物もこの方式を採用していませんが,何か欠点があるのでしょうか?

 【回答】
 トップアタックの迫撃砲弾というのは開発されてる(てかもう実用化されてたか?)が,それをAFVに積む意味はあまりないと思われ.
 近接戦闘をしないんならAFVに積む意味がないんで(笑)

 いくら誘導式と言っても,曲射する迫撃砲弾では精密誘導は難しい.
 発射時の初速と角度で弾着位置の大部分は決まってしまうので,弾道の頂点から目標までの距離にも因るだろうけど,せいぜいCEPを小さく出来るのが関の山かと.
 あと,砲弾に精密誘導装置を付けると高価になるので,安価であるという砲弾のメリットが小さくなる.

 いかにも手を出しそうなのが米軍だが,やってたっけ?
 今のところ米では戦車用の誘導砲弾,ミサイル,軽量榴弾砲なんかが将来装備として計画されている.
 ・・・・・あからさまにこういうのと被っちゃうな.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現代の戦車って正面以外の対戦車兵器での攻撃では,ほぼ一巻の終わりですか?

 【回答】
 そんなことはない.
 個別の話をすれば,イスラエルの最も新しい砲等を装備したメルカバは,砲塔側面に対戦車ロケットを食らっても,耐久できる性能を持っているといわれている.
 これは都市ゲリラが多い地域内で活動するように最適化されているので.

 一般論を話せば,もちろん正面装甲より他の部分が薄くなるのはしょうがない.
 また個別の例を出すが,野砲用榴弾を流用した対戦車地雷を踏んだエイブラムスの画像を見たことがあるが,砲塔が吹き飛んで近くにころげるほどの損害を受けていた.
 ただ,戦車の弱点は運用する側も分かっているので,本装甲の外側に補助装甲をつけたり,あるいは本装甲にあたる部分も対戦車兵器に対応したものにすることで,対応しているので.あとは矛が盾を貫くほどの威力を持っているかどうか,という話.


 【質問】
 対戦車兵器を使わずに戦車を倒すには?

 【回答】
 戦車を行動不能にさせる.と言う事なら,重機整備やっている俺の出番だな.

 まず,ホームセンターへ行き,建築材コーナーにあるウレタン充填材を買ってくる.
 後は,なんとか戦車の上部に飛び乗り,放熱口へウレタン充填材を流し込む.
 高温状態にある機器にかかったウレタン充填材はあっという間に膨張し,瞬く間にオーバーヒート.重機のエンジンって,少しでも冷却が追いつかないとあっという間にオーバーヒートすんのよ.特にガスタービン積んでる戦車だったらなおさら.

 または,コンパネに強力な両面テープを貼り付けて,それで放熱口をふさぐと言うのもアリだな.大体1分ぐらい塞ぐ事が出来れば充分.中の人がパニック状態になって急発進とかすればオーバーヒートになるまでの時間が短縮されるしね.

 火炎瓶による戦車攻撃も,オーバーヒートを誘発させると言う意味では至極簡単な方法だしね.

 近寄りたくないけど,なんとか倒したい.と言う場合は・・・
小麦粉等の粒子の細かい粉を100Kgほど戦車の吸気口にぶち込む.あっという間にフィルターが目詰まりするし,ラジェターも詰まってしまう.
 更に水をぶっかける.すると高温状態にある機器に付着した小麦粉はたちまち粘着物質となり,行動不能となる.

 内燃機関を使っている以上,これはどうしょうもない弱点だね.

(軍事板)

127 :名無し三等兵 :03/12/02 08:40 ID:???
お砂糖を使いましょう.
内燃機関に砂糖入りの燃料を食らわせてやれば,エンジンあぼーんでつ.
近頃よく目に付く迷惑駐車車輛に,まずは角砂糖数十個程度からトレーニング開始でつ.

128 :名無し三等兵 :03/12/02 08:45 ID:???
>>127
そのネタ新谷かおるの漫画であったと思うけど,今の戦車にも通用するの?

129 :名無し三等兵 :03/12/02 11:16 ID:???
はだしのゲンかよ.今時の車はフィルターついてて効かないぞ.

130 :名無し三等兵 :03/12/02 11:25 ID:???
>>128-129と続けて読んだら思わず,「新谷かおるのはだしのゲン」を想像してしまった.

(軍事板)


 【質問】
 戦車の軍に一般の農民が勝つ方法は何か無いでしょうか?

 【回答】
 農民側が「こちらはいくら死んでもいい」というなら,火炎瓶持たせた人間を大量に特攻させればいい.
 また,丸太を持たせた人間をやはり大量に特攻させて,辿りつけた人間が丸太を戦車の車輪の間に突っ込めば,戦車の足を止められる.
 そこに火炎瓶の集中攻撃でOKだろう.

 とはいえ戦車の10台や100台潰したところで,今度はそれこそ航空機で爆撃とかしてくるだろうから,あまり「勝利」には繋がらないと思うけど.

 尚,大人数の市街地暴動を装甲車輛で鎮圧するのは,鎮圧側の損害が大きくなるので不利.
 「プラハの春」や「ハンガリー動乱」の時のソビエト軍も,「天安門事件」の時の人民解放軍も,群集を戦車で蹴散らそうとして,火炎瓶攻撃でかなりの被害を出している.
(もちろん市民側も大量の死者を出しているのだが)

 しかし,装甲車輛が無いと,兵士が投石などから身を隠すことが困難になるので,装甲車輛無しの暴動鎮圧はそれはそれで困難.
 日本の機動隊を始めとして警察(治安)用途の装甲車は,大口径のタイヤを履きグランドクリアランス(地面と車体との隙間)を広くして,車体下に物を突っ込まれたりバリケードに乗り上げたりしてひっくり返されない用にしてある.
 また,車体の面構成に水平な面を作らないようにして,火炎瓶の可燃液体が車体に張り付いた状態で燃え続けない用にしてある.

 基本的に,都市で発生した暴動を火器を用いて鎮圧するのは犠牲者が増えるわりに効果が薄い.
 一番いいのは鎮圧側に重防護装備をさせて,重要な施設を守らせておくだけにする事.
 どうせ暴徒はそのうち飽きて家に帰るから(ちょっと前のフランスの様に).

 国家の体面とかその他の理由を気にして,武力で暴動を鎮圧しなければいけなくなった時点で,体制側の負けは確定している.
 中国みたいに完全な報道管制が敷ける国ならそうでもないかもしれないが,長期的な視点で見れば同じ.

こんな方法はどだ?
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 戦車返しは,一個何トンくらいの重さなんでしょうか?

 【回答】
 そんなに重くは無い.
 「龍の歯」(コンクリで出来たピラミッドみたいなやつ)などの対戦車障害物は,古レールなどで「根」が生やされてて簡単に動かせないようになっている.
 自分の重さで障害になるわけではない(とはいっても軽くなんかないけどね)
 韓国が38度線沿いに敷設してるようなモンでもない限り10トンかそのくらいです.

 ちなみに一番効果のある対戦車障害物は,「レールの林」(古レールを2〜1.5mくらい出して何本も地面に植える)だとか.
 踏み潰せないし爆破しても曲がるだけだし掘り返せないの,で1本1本溶断するしかなく,固い地面にこれを植えられるとお手上げだそうな.


 【質問】
 戦車の不整地踏破能力は,コンクリート製60センチ程度の垂直な面で突破不能と聞いたのですが,そうだとすると水田と道路の段差が登れない(我が家の近くの水田の段差はコンクリート製1メートル程度)と思うのですが.
 戦車なら,1メートル程度の垂直の壁ぐらい無視して踏破できますよね……?

 【回答】
 戦車の対障害物は,単純に1Mの壁を作れば戦車を阻止できるということではない.
 戦車はなにぶん重量があり,装甲も備えているので,高さ1M厚10cmの壁を作ったところで,突っ込めば難なく粉砕される.
 現にイスラエル軍が,パレスチナ住宅地を装甲ドーザーで文字通り踏み潰している.

 かといって,高さ1M,厚さ1Mのコンクリートサイコロを作ったところで,それを設置する手間もかかるし,迂回されれば意味がない.

 良い例は韓国にある,対戦車障害だな.
 一軒家ほどの大きさのコンクリートサイコロを,小さいコンクリートの上に載せ,それが道路の横にあり,北朝鮮が進撃してきたら小さいコンクリートを爆破して,一軒家コンクリートでもって道路を封鎖する.
 これは戦車砲弾程度では粉砕できず,工兵隊によって爆砕してもらわないとどうにもならない.

 また,鉄道のレールを何本も地面に立てて埋めるのも効果的だとかなんとか.
 重量のある戦車で突っ込んでもレールは曲がるだけで,戦車は進行できなくなり,戦車砲で撃っても効果がなく,これもまた工兵隊等によってバーナー切断若しくは重機を使ってひっこぬくしかない.


 【質問】
 韓国の北朝鮮に近い道路で道路脇に巨大なコンクリートの塊があるのをTVで見ました.
 戦争の際に爆破してコンクリで道路を塞ぎ,戦車の進行の遅延させることが目的みたいなのですが,本当に遅延させることができるんですか?
 戦車砲で撃つとか,大回りとか,色々方法があるような気がするんですが.

 【回答】
 戦車砲で撃つ程度では,大きな鉄筋コンクリートの塊は壊せない.
 撃っても残骸の破片が残るし,破壊しきれるものでもないし,あくまで戦車砲で排除するなら,破壊までに時間と砲弾を消費するし,
戦車は通れる程度に破壊できても,後続車輛が乗り越えられないので,戦車は補給や支援を置き去りにして単独で突出を強いられるし,
大回りするならするで,した分進行を遅延させることができるし.

 そもそも「通れなくする」というより,「障害を排除するまで足止めする」のが目的なので,それでいいのだよ.
 そうしてできた時間の分,反撃や迎撃の準備を整えられる.
 道路以外の場所に地雷などを仕掛けておけば,さらに効果的.

 戦車砲で破壊するより,工兵隊を呼んで排除してもらう方がいいが,それでも工兵隊がくるまで足止めさせられるし.

軍事板
青文字:加筆改修部分

巨大ブロック
(コンクリート製ではありません)
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 戦車ですら乗り越えられないだけの幅の塹壕を掘ったら,現代においても有効な防御陣地になりえますかね?
 米軍(つか,多国籍軍)は湾岸戦争に於いて,入念な事前爆撃の後,ドーザー付きM1使って埋めちゃいましたね,守備兵ごと.

新所沢の三等兵◆Uk

 【回答】
 川とかに無理やり橋を渡してしまう能力も持っている現在なら,渡ること自体は何とかなっちゃいそうですね.
 素敵なカッコのブルドーザもいるようですし.

seld

 近頃じゃMBTの車体使った工兵車輛もあるくらいじゃけんのぉ,それも第2世代だけじゃなく第3世代まで.
 見た目はもう何と言うか,シュールというか現代美術の醜さというか(以下略

メッサー=ハルゼー

>MBTの車体使った工兵車輛

 例を挙げればこんなモノがありますな.
 M1を改造した M1 Abrams based assault breach vehicle
 T-72を改造したБМР-3 "КОРТ-Б"

CRS

38度線近辺に爆破パイプラインを仕込んで,長大な壕を掘り戦車の進撃を止めるプランがありましたが,計画倒れに終わっているはず.

JSF

 スエズ運河(バーレブライン)ですら,頭を絞ったエジプト軍に短時間で損害ほぼ無しで渡られてしまいました.
 要塞線で防御するって考えは,正規軍相手では時代遅れでしょう
 そんな塹壕掘るくらいだったら,複数の陣地作って防御しながら下がるほうがいいんじゃないかと.

kitamoto

 湾岸戦争で多国籍軍が一番てこずったのは,入念に敷設された地雷原だったそうで.
 まあ,航空優勢取られちゃうと結局,時間稼ぎにしかならないのだけれども.

唯野

>戦車ですら乗り越えられないだけの幅の塹壕

 俺は有効だと思う.奇襲ではなく,あるいは堀の内側に防衛部隊が存在していれば,だが.
 あとは規模によりけり.

 ただなぁ……,5×5メートルの堀を何十メートルも掘るより,地雷を埋設したほうが早いし安いし,手軽だろうっていうのはある.

極東の名無し三等兵

 攻撃側の接近経路を制限することは出来るので,組み合わせ次第では充分有効だと思います.

丼炒飯

 要は使い様ですね.と,至極当たり前の結論に達する訳で.
 使い様では,竹槍とて有効な兵器に成り得るのですから.

 “○○だから××だ”と決め付けたり,“○○が有るから大丈夫”と頼り切っては,誤りを犯す訳です.

新所沢の三等兵◆Uk

以上,mixi支隊より

対戦車壕
(うそ)
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 戦車とかの砲口内にライフル弾あたりをぶち込んで,装填された砲弾で砲塔吹っ飛ばすのって,現実に可能ですか?

 【回答】
 まず,砲弾の炸薬を起爆させるのは,銃弾が直撃しても困難.
 炸薬直撃ならともかく,周囲に厚い鉄の殻が付いてる.
 12.7mmの直撃なら可能かもしれないが,残念ながら,「正面から弾が飛び込む」ということは,炸薬との間に発火系列がはさまる.
 真面目に作った砲弾なら,信管,伝爆薬,炸薬は一直線には並ばず,発射後(砲腔内での回転などで)はじめて起爆系列となる.
 つまり信管を直撃しても導爆薬は発火せず,導爆薬を直撃しても炸薬は発火しない.

 あるとしたら,銃弾が砲身に入ったために,発射された砲弾が詰まり,あるいは速度が極端に遅くなって,腔圧が上がりすぎてあぼーん,というケースだろうな.
 銃弾でなくても,そのような異物の飛入による事故を防ぐために,砲身にはフタが付いてる.
 ちょっと見には,砲弾直撃で大爆発だぜ,となりそうだ.

▼ 【反論】
 これは間違ってるよ.
 砲身に銃弾が飛び込んでも爆発しないのは,砲弾の場合,発射されてから信管が作動するようになっているから.

 こっちの方が詳しいので参照されたし.

――――――
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1327817998

 ケースバイケースですね.

 まず弾が砲腔内に進入したとしても,砲の尾部には閉鎖器があり,通常は尾栓によって蓋をされています.
 この尾栓は,砲発射時の超高圧ガスが車内に逆流するのを防ぐように,頑丈な造りで分厚くなっています.
 従って7.62mmクラスの小銃弾では,この尾栓は貫徹できません.

 では,砲弾が装填された状態ではどうでしょうか.
 ここでは榴弾か成型炸薬弾が装填されていると仮定します.
 まず榴弾ですが,榴弾というのは砲弾先端部の外殻が意外に厚く,ここを貫徹するにも小銃弾では難しいでしょう.
 成型炸薬弾だと,砲弾先端部の外殻は榴弾と比べてずっと薄いので,貫徹の可能性は高まります.
 しかし貫徹した小銃弾が万一炸薬部に到達したとしても,小銃弾が焼夷弾でなかったり,あるいは到達時に炸薬を発火させるだけのショックを与えられなければ爆発させられませんし,その可能性も低いです.
 また,運良く砲弾の信管に命中したとしても,通常砲弾の信管は安全のために発射されてから,自動的に作動するようになっている場合がほとんどなので,その状態で爆発させるのも難しいです.

 可能性があるとすれば,砲弾が装填されておらず,且つ尾栓が開いている時です.
 その状態で小銃弾が戦車内に進入すれば,進入した先に可燃物がある場合は,火災や爆発を起こせるかもしれないし,そうでなければ小銃弾は,鉄で囲まれた狭い密室である戦車内を,縦横無尽に跳ね回ります.
 こうなると乗員は死傷する恐れがありますし,何十発も進入すれば乗員はミンチになります.

 でも,砲腔内に弾が進入して誘爆などの被害を与えられなくても,弾が砲腔内に残るとそれが異物になり,砲の発射に支障をきたし,結果撃破出来なくても戦車の攻撃能力を奪うことになります.

編集日時:2009/7/1 02:23:34 回答日時:2009/7/1 02:21:13
――――――

軍事板,2010/10/19(火)
青文字:加筆改修部分

 どちらも論拠が無く――平均して,「知恵袋」の回答の精度は,「2ちゃんねる」のレスと同程度と判定した――,また,反論者が「間違っている」と言うほどには,両回答が対立しているようにも思われない――軍事板側の回答にも,ちゃんと「発射後はじめて起爆系列となる」と書かれている――ため,両論併記とする次第.


 【質問】
 核地雷を除き,最大の威力を持った地雷は,戦車の乗員を含めて車体を全て破壊させられるんですか?

 【回答】
 基本的に地雷ってのは重量制限が緩く,知能化しなければ構造も極めて単純ですむため,殆どいくらでも大きく&重くできるに等しい兵器なんだ.
 それに知能化してもプロセッサ周り以外はたかが知れてるしな.
 ということはその気になれば,好きなだけ爆薬を投入できるという事で,
「最大の威力を持った地雷」
という想定自体が意味をなさない.

 また,実際に対戦車地雷を開発する場合,
「戦車の乗員を含めて車体を全て破壊」
という目標を設定するのはただの無駄だ.
 対戦車地雷を敵戦車に喰らわせて何が嬉しいかって,その戦車がそれ以上動き回って味方を蹂躙する事がなくなる,すなわち無力化できるってことが一番だからね.
 だから現用の対戦車地雷は,ものによるけど覆帯を切って脚周りを壊すか,底板をぬいてアクチュエータを破壊するか,乗員を殺傷する事を目的にしている.
 旧来の対戦車地雷はキャタピラを破壊して装甲不能にするためのもの.
 最近の対戦車地雷は成形炸薬で戦車の底を破壊し,中の人員の殺傷やエンジンなどの機器の破壊を目的とする.
 つまり戦車を含む車両を行動不能にできればよしとされるので,むやみに炸薬量を増やしたりはしない.
 重くなっても運搬や設置に手間がかかるようになり,手軽に使えるという地雷の利点を失うだけ.
 間違っても分厚い正面装甲含めて,車体を全て破壊する事なんて狙ってない.

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青文字:加筆改修部分


 【質問】
 地雷って地面に埋めておかなくても,例えば戦車が通りそうなところに地雷を置いて,その上に草を被せて隠蔽する,なんて使い方をすることはありますか?
 また,手持ちの対戦車兵器が無いときに,近くを走った戦車のキャタピラめがけて対戦車地雷を投げつける,なんて使用法は可能ですか?

 【回答】
 別に地雷は埋めなくてはいけない規則はない.
 空中散布型なら露出してるし,地雷がなければ,”地雷”と書いた捨看をまいてもいい.
 アスファルトの上など咄嗟に穴を掘れないようなところ(アースオーガーというドリルはあるが)では上に置くこともある.

 後者だが,WW2で旧ドイツ軍が手榴弾用の信管を組み込んで,対戦車兵器としてつかってるし,日本軍も直接戦車に叩きつけて自爆兵器としてつかってる.
 似たところでは刺突爆雷とか,対戦車手榴弾とか,布団爆雷など.
 対戦車地雷を,戦車の砲塔張り出し部と車体との間におくとか,磁石がついてるHEAT弾型の対戦車手榴弾をエンジン部に吸着させて撃破を狙うなどです.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対戦車地雷を人が踏んでも何も起こりませんか?
 ある程度重たいものがのっからないと,爆発は起きないものなのでしょうか?

 【回答】
 対戦車地雷は起爆圧力が100kg単位だから人が踏んでも無問題.

 対戦車地雷の作動圧は,設置状況や荷重のかかり方にもよりますが,だいたい以下の通りです.

TMA-3(旧ユーゴ):180-350kg,炸薬量6.5kg
TM-46(旧ソ連):210kg,炸薬量5.3kg
M15(米):160-340kg,炸薬量10.3kg
M21(米):132kg,炸薬量4.9kg

曙はもちろん,北の湖,貴乃花でもモロに踏んだら危ないということでしょう.

 ただドイツの一部の対戦車地雷はモードを変更すると人が踏んでも爆発するように設定できました.

軍事板

 だからといって,こんなことはしないように.

あわや大惨事.学生が対戦車地雷をフリスビーにして遊ぶ

※画像はイメージです

JSF in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 地雷原を通るために92式地雷原処理車などがありますが,車輛用通路を確保するのが困難な地雷などはありますか?

 【回答】
 ルートオフ地雷というのがあって,これは罠線を路上に張ってそれに車が引っかかったら路肩に仕掛けてある本体からHEAT弾頭が飛び出して車体側面に攻撃を加えるという奴があります.
 これは罠線による点火以外にも,管制地雷として使うことができる.

 また,音響,振動センサーを持ち近くに車輛が来たら空中に弾頭を射出して上面から攻撃するもの.一つの地雷である程度の面積を覆える利点がある.

 そして,地表にそのまま撒かれて互いにネットワークを構成し,一部が除去されたり,処理されたら自ら跳ね飛んでまた地雷原を構成しなおす,ちうものが構想されている.

 このほか,無人センサーというのもあって,振動音響センサーを仕掛けておいて,敵が引っかかったら砲弾を撃ち込むなんてのもある.
 これはアフガニスタンでソヴィエト軍がやったことがあるそうです.

軍事板

 陸自がM20対戦車ロケット砲を使っていた頃のトラップにも,ルートオフ地雷に似たようなものがあります.
 これは,路上に水の詰まったビニールパイプを敷き,設置した発射器からリード線を伸ばしてパイプの端に置く,というものです.
 戦車が通過しようとパイプを踏むと,そこから溢れた水が接点に触れて通電,ロケットが発射されるという仕組みです.

 例によって記憶がソースなので(苦笑),よくご存知の方がいらっしゃれば訂正等お願い致します.

丼炒飯 in mixi支隊

自衛隊の地雷原処理車(撮影:「へぼ担当」)
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq38g09.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq38g09b.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq38g09c.jpg


 【質問】
 戦車の写真を見ると,どうしてキャタピラの部分をねらい打ちしないのかが疑問で,背中がムズムズします.
 実戦で故障したり走行不能になった場合の応対を含めて,総括的に話していただけないでしょうか?

 【回答】
 射撃距離にもよりますが,戦車対戦車の戦闘の場合履帯部分が見えるのは希です.
 市街地でもない限り地表は平らではなく,歩兵と同様戦車も低いところを移動しますので.
 どこかをピンポイントで狙える状況なら,通常は砲塔基部を射撃します.ほとんどの戦車で最も脆弱な部位であり,仮に貫徹できなくとも少しでもダメージを与えれば,戦車は砲を使用できなくなり,無力化されます.

 また,戦車から見れば,履帯は確かに脆弱な部位であり,破壊されれば即行動不能となりますが,修理も容易です.
 履帯は一本のベルトではなく,小さな部品の集合体です.僚車か回収車の支援を得て,切れた部分のみ交換すれば30分ほどで修理できます.

 その他,戦闘中に故障した車輛は僚車か戦車回収車で安全地域まで牽引し,野整備部隊が修理することになります.
 回収,修理が不可能な場合は遺棄するわけですが,その場合は敵に利用されないよう,予め決められた部品を破壊します.


 【質問】
 カールグスタフの射程に関してですが,「状況にかかわらず150mが最も適切」だと言う主張は妥当ですか?
 ソースは毛利の著作なんですが.

 【回答】
 妥当でない.

 敵歩兵をなるべく遠くで牽制したいなら,山なりの弾道で1000mで撃つのが「もっとも適切」だろうし,敵の装甲車輛を確実にしとめたければ,100mから撃つ方が「もっと適切」だろう.

 さすがに100mを割ると破片の心配もあれば,敵から反撃を食らったときの被害も大きくなる.
 50mを割ると安全装置が解除されないおそれもある.
 移動目標に対して300〜400mの有効射程があるといっても,熟練してない,あるいはあわててる時には外すおそれが十分ある.

 だから150mと言いたいのだろうが,最初に書いたようにケースバイケース.
 ここでは移動目標なら400以下となってるし,ケースバイケースとしか言いようがない.
 150mが最も威力を発揮する距離って訳でもないだろうし,仮にそうだとしてもそれに合わせようとすれば,ろくに使えない武器になる.

 さらに言えば,歩兵にとって地形は最も重要な要素の一つなんだから,距離を基準にして有利な地形を選ばないというのは愚かにも程が有る.
 射程内なら角度や方向や植生や彼我の兵力や装備やその他,色んな要素を考えた上で判断する.
 どんな火器でも同じだよ.

  おそらくその本では,カールグスタフと軽機関銃や自動小銃との射程の組み合わせを考えて,150mなら歩兵が持つ火器全ての有効射程に入っており,かつ,無反動砲の威力を生かすことができ,かつ,陣地の選定でも融通が利く ということを短くまとめて,そういう話にしてあるんじゃないかと.

 詳しいことは前後を読まないことにはなんともいえないが.

 ただ戦車や戦闘車輛相手となると相当肉薄してるな・・・
 稜線とか建物からターゲットの距離が150mってならいいけど,そうじゃないならたちまち火力の餌食になる.
 対AFVこそ肉薄しないと不利ではあるが,夜を除いて強固な遮蔽物無しに近づくのは無いわ.

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 【質問】
 現代の戦車の装甲を破壊できるだけの威力を出す為には,どういった爆薬がどの程度の量あれば可能ですか?

 【回答】
 装甲のどの部位かによって大きく違います.
 正面装甲が最も強靱で,上面・背面は弱くなります.

 「爆薬」をどのように使うかによっても違います.
 基本的に,爆風だけで穴が空くようなシロモノではありません.
 弾の破片を撒き散らしたり(榴弾),太い針状の徹甲弾を撃ち込んだり(APDS),一点集中させた爆風に乗せてで液状化した金属を吹き付けたり(成形炸薬弾),戦車の装甲を打ち抜くために色々な工夫が凝らされています.
 爆薬オンリーの力押しで,主力戦車をあぼんするなら,最低でTNT100kg.普通は300kgは要るでしょう.
 その場合も,破壊するというより,ぶっ転がして中の人を潰す感じ.
 まあ,300kgもあれば,上手に使えば砲塔吹っ飛ばすことは可能だと思いますし,エンジンの上にセットすればエンジンルーム壊すことも出来そう.

 戦車の「破壊」って大変だからねえ.
 湾岸だかで,米がM1A1を放棄した時に,テルミット手榴弾から,僚車の120mmから,さんざやっても壊せず,マベリック撃ち込んでどうやら壊したことにしたけど,原型は残ったまま.
 被弾して,車内で弾薬が誘爆しても,砲塔が吹っ飛ぶだけで,車体や砲塔自体は けっこう平気って感じで残ってる.

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青文字:加筆改修部分


 【質問】
 パンツァーファウスト3は,700mm以上の圧延均質装甲板を貫通できるみたいなんですが,アメリカやロシアの主力戦車に対する効果はどれ位なんでしょうか?
 装甲が複合化されたり,HEAT弾の対策も進んでいるから,あまり効果はないんですか?

 【回答】
 側面や後部は危険だという話だけど,一応ERAや網状の追加装甲によって防護しているので,当たったら即座に駄目という場合はあまりないはず.
 ERAの場合は,ちゃんとRHA換算で数値も出てる.例えばロシアのKontakt-5の場合,対HEATで600mm.これに側面装甲+スタンドオフが含まれるので,正常に爆発したら抜けないだろうね.

 あと,抜ける,抜けないという話だけでなく,有効射程の短さ(動いている目標に当てる難しさ)や,秘匿性の低さが致命的になるので,チェチェン・ゲリラみたいな工夫をしないと,効果的な撃破は難しいと思う.
 正面切っての勝負は,どちらにしても無謀.


 【質問】
 携帯対戦車兵器について,RPG7のように弾頭が露出しているタイプと,バズーカのように露出していないタイプがありますが,それぞれの利点と欠点をご教示願います.

 【回答】
 形状による利点,欠点でなく,そもそも別種のものです.
 RPGはロケット推進擲弾に分類されるもので,ロケット推進擲弾が発射機から発射後,弾体のロケットに着火して目標に飛んでくものです.
 バズーカは発射弾体からの推進ガスを後方に吹き付け,反動を打ち消しながら目標へ飛んでいくものです.

 現在,M1の後継的な立ち位置であるAT4やM72は,使い捨てでRPG-7とは特性が大きく違います.
 最もM1に近いものというと,身近な例では自衛隊のM20改4型がありますが…….
 M1と同じで,電気信管でロケット弾に着火しないといけないため,発射に時間がかかり,また狙いをつけるのも難しく,かつ扱うのに人員が2人必要になります.

 その反面RPG-7は,火薬によって弾頭を撃ち出したあとに自動的に着火する方式なので,扱いが簡単で狙いもつけやすいですが,最初の発射の際に大量の火薬を使い,後方に高熱のガスを逃がすことで反動を相殺する機構を採用しているため,狭いところでは使えず,発射地点が遠くからでも簡単にわかってしまうという欠点があります.

 というわけで,「ロケット弾を使い,装甲目標を狙う」という以外は根本的に全然性質の違う武器なのです.

 まあ,バズーカが、成型炸薬弾頭に限られるのと違ってRPGだと弾筒を複雑(タンデム弾頭)にできるとかの利点はあります.

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 【質問】
 最強戦車M1戦車は,チェチェンゲリラがT-72相手にやったような,RPGの集中射撃で撃破できますか?

 【回答】
 RPGにもいろいろな型がある.
 タンデム弾頭のものなどは貫徹できる可能性が,他よりも高いと思われる.
 また,M1戦車も装甲は正面が厚めにできており,その分,側面,背面,上面は薄い.
 従って,建造物上層階から上面に撃ち下ろすなどすれば,可能性はさらに高まるだろう.

 また,戦車といえど,都市治安戦などでは車長や装填手,砲手などは車体外に上半身を出して監視していることが少なくない.
 防弾シールドなどが追加されているが,車体の装甲を貫けなくても,車体の外に体を出している乗員に破片や爆風が当たることはありえる.

 だが,RPG射手はそれなりの覚悟が必要.
 また,実際には仕掛け爆弾のほうが多用されているのではないかと思える.

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 【質問】
 ガンダムであるような,マガジン付きのバズーカが現実にないのは何で?
 便利そうなのに.

 【回答】
 重いから.
 例えばRPG7の通常弾頭だと一発2.6kgもある.
 これは3発もあれば,重量は発射機と同等だ.
 歩兵一人でも簡便に扱える対戦車ロケット兵器の利点を殺すことになる.

 それと,HEATは弾頭サイズが命.
 小口径の豆鉄砲はいくらあっても役に立たん.

 そして,ロケットランチャーの類を撃てるチャンスってのは,ごく限られてる.
 物陰に隠れて不用意に戦車が近づいて来たところ,ってのがよくあるシチュエーションだ.
 二発目は無理.
 位置がばれて,撃つ前に戦車砲か車載機銃でミンチになるのがオチだ.
 事実,撃ったら即逃亡が推奨されている.

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 実は戦後に幾度か,対戦車ロケットの連発化は試みられたことがあります.
 しかし,そもそもロケットの弾体は大きくて重いため,装填機構も同じ様に大きく重くなり,非常に持ち運びしにくいものになりました.

 さらに最悪の欠点は,暴発が多発したことです.
 これは発射されるロケット弾の火が,弾倉に入って誘爆を起こしたためです.
 これを改善することは非常に難しく,こうして連発対戦車ロケットはお蔵入りになりました.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板
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