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『戦時輸送船ビジュアルガイド』(岩重多四郎著,大日本絵画,2009/05)
『戦時輸送船ビジュアルガイド2』(岩重多四郎著,大日本絵画,2010/12)
模型史の連載らしいけど,すごくいいな.
1のほうは特設艦船メインの軍視点だったのに対し,2のほうは商船そのものに光を当ててる感じで,商船や船会社の系譜が大づかみできて,興味が広がった.
用語解説もしっかりしてて,例えば「徴用」といってもいくつかパターンがあって,海軍徴用船≠特設艦船だったのかとか.
------------軍事板,2012/05/03(木)
【質問】
輸送船がらみでは,大内健二さんのがお勧めでしょうか?
【回答】
戦時標準船とはどんなものかとか,そういう総論的な部分から知りたいなら,大内さんの本はよいと思うよ.
わりと体系的に良くできてると思う.
日本の戦時輸送船のエピソード集みたいな本なら,土井全二郎もいい.
現場の船員さんの声が聞きたいなら,「日本郵船戦時船史」などに色々.
無名船団のデータ集みたいな本なら,駒宮真七郎の「戦時船舶史」などがいい.
輸送船の保護を担当した陸軍船舶兵についての,「陸軍船舶戦争」も出してる.
手に入りにくいけど,図書館にはそこそこ置いてある.
あと,戦時輸送船ビジュアルガイドも,模型誌の連載ベースの本だけど,わりと面白い.
塗装とか個々の船体の改装要領については,さすがに詳しい.
作者さんのホームページも面白い.
輸送船関係で1冊だけ選べといわれたら,「戦時輸送船団史」だな.
未だにこれを超える本はない.
これも古本は高いが,図書館で取寄せ可能.
軍事板,2010/02/25(木)
青文字:加筆改修部分
「写真週報」の船舶兵特集
D型大発から上陸する95式軽戦車が面白い
よしぞうmaro' in mixi,2007年09月22日02:17
【質問】
日本の戦時中の輸送船について調べたいんだけど,大内ケンジ以外に,入手の容易な本ってありますか?
【回答】
輸送船関係は「戦時輸送船団史」が決定版であり基本の書だが,入手は難しくアマゾン・ヤフオク・図書館でもめったに見ない.
輸送船研究をするなら,あらゆる方法を駆使して入手するべし.
他には土井全二郎氏の本が最近になって文庫化していて,入手しやすい.
「撃沈された船員たちの記録」
「戦時船員たちの墓場」
こちらは読み物として面白い.
入手の容易さを無視すると,
『商船が語る太平洋戦争―商船三井戦時戦史』
とかどうだろう?
淡々と,この船はどういう来歴で,何処で沈んだ,って感じだったけど.
軍事板,2009/06/09(火)
青文字:加筆改修部分
「戦時輸送船ビジュアルガイド 日の丸船隊ギャラリー」
模型ベースの本ですが,資料部分も意外とあります.
このあいだ発売されたばかりなので,まだ入手は容易なはず.
あと,書名は忘れましたが,船舶砲兵の本があったような…
Lans ◆xHvvunznRc in 軍事板,2009/06/09(火)
青文字:加筆改修部分
『船舶砲兵―血で綴られた戦時輸送船史』 (1977年)
[古書] (-) 駒宮 真七郎(「戦時輸送船団史」著者)
じゃないですかね?
軍事板,2009/06/09(火)
青文字:加筆改修部分
困ったことに「戦時輸送船団史」だけじゃ足りないんですね,実は.
駒宮真七郎氏は「戦時輸送船団史」の後,自費出版で
戦時船舶史
戦時輸送船団史 II
太平洋戦争被雷艦船史
太平洋戦争輸送艦船史
太平洋戦争特設艦船史
・・・と出してます.
これで,「輸送船団史」でカバーしきれなかった船団について,かなり補完してます.
いずれも非常に資料価値が高いです.
そしてこれらは「輸送船団史」以上に入手困難です.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in 軍事板,2009/06/10(水)
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦中戦後(主に40年代)の内航航路の話が載っている本で,お勧めがあれば教えてください.
2010年06月25日 22:46,クローム・ツァハル
【回答】
青函連絡船の本が出ていたはず.
検索してみましたが,読んだのは果たしてどの本だったのか確証を得られず.
ちなみにその検索過程で発見した本.
http://www.bk1.co.jp/product/01209231/p-jokai28866/
あとは駒宮真七郎氏の本のうち,内航船団関連箇所を探すとか.
以前,『世界の艦船』の読者投稿で,三陸地方の小造船所について丹念に調べて寄稿していた方もおられましたが,今,それは手元にないので,具体的に何年何月号だったかは…
2010年06月26日 21:10,消印所沢
「船舶解体―鉄リサイクルから見た日本近代史」という本に,戦間期の「変態輸入船」のがありました.
当時の実情が・・・と思ったら1930年代か・・・
ここは酷い変態的輸入船ですね 障害報告@webry/ウェブリブログ
http://lm700j.at.webry.info/200807/article_22.html
たしか戦後の船舶解体の話も載っていたので,損はないです.
造船関係社史・団体史リスト - taronの日記
http://d.hatena.ne.jp/taron/20100617/p1
この辺に何かないかなあ,と.
懐かしの機帆船・日本の内航海運はここから!
http://kihansen.blog72.fc2.com/
2010年07月02日 21:24,憑かれた大学隠棲
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
少年船員について教えられたし.
【回答】
『撃沈された船員たちの記録』(土井全二郎著,光人社NF文庫,2008.5),P.127~132によれば,戦争の激化に伴い,ベテランの船員の多くは殉職,あるいは召集されたため,その穴を埋めたのが14~15才の少年船員.
彼らは三ヶ月間の速成教育を受けて配属.
日常の仕事では頼りなく,沈没する船から脱出した時に
「出港前に鮫を釣ってたけど,〔その鮫の仲間が〕敵討ちに来ないでしょうか」
と心配する姿を見たベテラン船員は,
「こんな子供まで戦争にかり出さなければならないとは」
と身体全体が沈み込む思いにとらわれたとか.
ただし,彼ら少年船員は信号,水中聴音に長けており,信号一級の検定合格者は発光・手旗・旗流信号など通信時の中心的存在だったそうです.
グンジ in mixi,2008年05月25日17:13
【質問】
日本陸軍部隊運搬時の所要船腹量は?
【回答】
以下,「陸軍船舶戦争」から.
軍司令部:2400t
師団 :13万t
騎兵旅団:2万4800t
野戦重砲兵旅団:4万8200t
野戦高射砲隊:300t
飛行大隊:2000t
気球大隊:2000t
航空通信隊:3500t
野戦電信中隊:2000t
無線電信小隊:500t
野戦照明隊:1000t
架橋材料中隊:6000t
軍兵站監部:900t
兵站司令部:200t
兵站電信中隊:2500t
兵站輜重兵中隊:4900t
兵站自動車中隊:900t
輸送監視隊:280t
予備馬廠:1600t
野戦砲兵廠:1100t
野戦予備病院:730t
兵站病院:700t
後備歩兵大隊:3600t
後備騎兵中隊:2000t
後備野砲兵中隊:1800t
後備山砲兵中隊:2000t
後備工兵中隊:900t
鉄道連隊:8500t
鉄道材料隊:550t
手押郵便鉄道隊:560t
牽引自動車隊:450t
輸卒隊:1500t
其の他部隊:2~300t
以上の数字は車両編成部隊のもので,馬匹編成部隊だと2割増しとのこと.
ちなみに師団内訳では
一個旅団が2万9000t,
野砲兵連隊2万4000t他.
騎兵旅団中騎兵連隊1万t,
機関銃中隊5000t,
騎砲兵中隊3000t,
野戦重砲兵旅団中15榴連隊2万7000t,
10加連隊3500t
など.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦時中の輸送船ってのは,戦時標準船を除いては民間から引っ張ってきた普通の貨物船,って認識でいいですか?
【回答】
戦時中の軍隊輸送船は,民間から引っ張ってきたものです.
徴用船といって,民間船会社から軍が借り上げるのが通常で,多くは船員含めた方式でした.
大戦後期の日本の場合,徴用以外に配当船という方式もあって,これは,名目的には民間船会社に委託して軍需輸送を頼むのに近い方式でした.
もっとも,配当船も実態は徴用船と大差なく,軍の命令でかなり自由に動かせたようです.
戦時標準船も民間から引っ張ってきた普通の貨物船です.
戦時標準船というのは,量産性を高めるために国が統一させた規格の商船で,普通に民間の船会社が保有しています.
日本陸軍の場合,特殊船と呼ばれる揚陸艦を保有していましたが,これも多くは陸軍が直接持っているのではなくて,民間船会社が保有して徴用する形式でした.
たとえば,「あきつ丸」は日本海運が船主です.
唯一,最初に建造された「神州丸」だけは陸軍省が持っています.
また,日本の陸海軍がそれぞれ建造したLSTタイプの揚陸艦は,軍が直接持っていますね.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
日本軍は,兵員輸送に客船はどの程度使用していたの?
居住性は良好,脱出も「戦時標準船」なんていうヤバい船よりは,容易に思うんだが.
【回答】
戦前を代表する客船や貨客船の多くは海軍に徴用や買収されて,病院船特設軍艦(改造空母,潜水艦母艦や水上機母艦)になっている.
これは海軍より船舶改善助成施設や優秀船舶建造助成施設として,建造時に補助金をもらう代わり,有事の際は上記艦艇への流用を盛り込んだ設計とすることが決まっていたため.
また,軍隊の前線への輸送には兵士だけでなく武器弾薬の輸送も必要であり,そのためには人だけでなく荷物も積める貨物船や貨客船が適していることということがある.
最後に,太平洋航路,インド洋周りの欧州航路とも大西洋横断航路と比較すると,利用者が少ないという要素もあり,日本の持っている客船は元々少なく,軍隊輸送に使おうにも十分な数が無いので,どうしても貨物船の船倉にカイコ棚という方法でしか,たくさんの人を一度に運べないということがあった.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
太平洋戦争中,輸送される兵士にとって,輸送船の居住性はどうだったの?
【回答】
すし詰めの輸送船では,真水は何よりも希少品.
パイプの継ぎ目から一滴ずつ漏れてるのを見るや,水筒を持った兵がズラリと並ぶ.
南方ならスコールがあるが,台湾方面ではそれも無いため,大いに苦労したとか.
便所も足りず,舷側のあちこちに板を張り出し,腰までの簡素な覆いをつけただけ.
無論下は海なので,はたからは排泄物が丸見え.
でも本人は,海風に吹かれて結構気持ちよかったとか(笑
他,寝苦しいからといって舷側の手すりの外で寝ていた兵が,海に転落して行方不明になるという事故も.
食事は『輸送船入門』によれば,甲板に仮設厨房を設けて船倉から取りに来させていたようだね.
残念ながら具体的なメニューは載っていなかった.
3千トン級で2000人の兵士と軍馬,それに武器を詰め込んでいるのでは,米を炊く水だって大変だっただろうね.
あと,水木しげるさんの手記だったかな?
外でタバコ吸っていて潜水艦に見つかったから,外に出るの禁止になって難儀したとかなんとか.
軍事板,2004/01/10
青文字:加筆改修部分
【質問】
第二次世界大戦の日本はガタルカナルなど南の島に基地を作りましたが,そこに補給する物資を運ぶ輸送船は,陸軍が海軍に借りると言う形で船を貸してもらったんですか?
【回答】
まず,ガダルカナルに基地を築いたのは海軍.
で,海軍も陸軍も輸送船を必要数持っていた訳じゃないので,ソレゾレの補給は民間商船の徴用(船員ごと)でまかなわれた.
つまり,陸軍や海軍に強制的に雇われた民間船が行っていた・・ってのが正解.
陸軍の場合,その統制に当たるのは船舶工兵(後に船舶兵)で,船舶砲兵と呼ばれる自衛部隊が乗ることも有った.
陸軍は上陸作戦用の専用船(空母型も含む)は兎も角.末期になると対潜爆雷を搭載した「護衛艇」やら,「輸送潜水艦」まで保有するに至り,後世に笑い噺のタネを残す結果となった.
軍事板
上海事変が起きたときに,陸軍は輸送船を確保できなかったために出動できず,海軍の上海特別陸戦隊が予想外の勝利を重ねてしまい,陸軍の威信と活動計画が潰れてしまいました.
そこで,事変解決後に,陸海軍がそれぞれどの民間船を借りて運用するかを明確化した計画が立ちます.
日華事変はあまりにも突発的に発生したので,この民間船運用計画は使えず,増援部隊を海軍艦船で派遣する羽目になってます.
そこで,さらに民間船運用計画を具体化する一方,陸軍独自の揚陸艦計画も立ちました.
太平洋戦争は,1年半以上の時間をかけて陸海軍の担当部署を分けた上で開戦に臨みました.
民間の輸送船を借りる際も,陸軍がこの船を徴用・海軍がこの船を徴用…と事前に話し合ってます.
この協議によって,たとえば日本郵船りま丸・りすぼん丸は陸軍が借り,りおん丸は海軍が借りると決まり,これによって,りま丸は兵員輸送用の「蚕棚」,りおん丸は飛行機修理工具をセッティングできるわけです.
陸軍は20万トン分の輸送船を維持する契約ができ,護衛はもちろん海軍艦船が付きました.
しかし当然ながら,補給任務を続けているうちに撃沈される船も増えてくるので,新造船の取り合いや陸海軍間での契約差し替えが必要になりました.
陸軍はとにかく輸送に必要な輸送船を欲しがり続けてますが,海軍もそれは同じことです.
閣議で陸軍18万トン減少案が突き出されて,逆に37万トン増加を主張する参謀本部と大きく見解が分かれ,佐藤賢了軍務局長と田中新一1部長が殴り合ったのは余談….
鷂 ◆Kr61cmWkkQ
【質問】
開戦時の日本保有のタンカー総量は?
【回答】
陸軍徴傭船 11隻 1万8731総トン
海軍徴傭船 54隻 37万1469総トン
物動民需船 48隻 15万5899総トン
出典は「日本戦争経済秘史」.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
【質問】
先の大戦で,タンカーが足りなくなった日本軍は,ふつうの貨物船の船倉に原油を積み込んで輸送を試みたこともある,と聞きました.
原油に海水が混じったりして使い物にならなくなるんじゃないかな・・と思うわけですが,実際のところほんとにそんな作戦がおこなわれたんでしょうか?
ちなみに本当なら,輸送した原油は使い物になりましたか?
【回答】
実際にそういうことは行われました.応急油送船と称しています.
改造工事が行われてからの搭載です.
(実験的にそのまま積んだ例があったかは存じません)
たとえば2A型戦時標準船(大型貨物船)改造の2TA型なんてのが使われています.
気密性などはやはり問題があったようで,揮発性の高い油は積めなかったようです.
ちなみに,海水が混入したところで,海水と油は混ざりません.
分離して油が浮きます.(それを吸い取るとかに手間がかかるが)
少なくとも海水混じったので使い物にならなくなったよ,なんてことはないし,ちゃんと海水が混じらないように船倉内部を処理したりもしました.
(必ず完璧とも言い切れないが)
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦時中の小型輸送船舶について教えられたし.
【回答】
それについては,『悲劇の輸送船 言語道断の戦時輸送の実態』(大内建二著,光人社NF文庫)という本があります.
太平洋戦争中の日本の商船,タンカーの話など,戦時中の商船やタンカーの話を纏めた一冊です.
個人的に興味深かったのは小型タンカー(500~1000総トン前後)や機帆船(焼玉エンジンを搭載した50~150総トンの木造帆船)の話.
小型タンカーは日本での石油の沿岸輸送などに従事していたのを,南方の油田地帯での(産油地から石油積出基地までの)輸送に従事.
しかし大型タンカーが失われると,これらの小型タンカーも外洋での輸送に就き,莫大な損害を被ります.
機帆船に至っては,事前の通告も無しに「ある日突然」徴用を命ぜられ,家族にも知らせることも出来ないまま南方などに送られます.
そして
・フィリピンへの輸送任務:1944年以降,100隻単位の船団に物資を積み込み輸送.米軍の警戒が厳しくなると多くの船が沈められます.また,タラカンからマニラまで石油・ガソリンのピストン輸送の為に100隻以上の機帆船を送り出そうとしますが,到着したのは4隻で,それもマニラに向かう途中で全滅.
・ビルマでの沿岸輸送:マレー半島からビルマ沿岸一帯で運行を行う.しかし英空軍の空襲により,多くが沈められる.
などに従事しています.
挙句の果てに,機帆船の船団(30隻に母船役の小型貨物船2隻)で日本と南方油田地帯を往復する計画も立てられます.
(これは後にマニラへの輸送計画に変更されます)
機帆船の需要の増大により,戦時標準設計による量産も行われますが,鋼鉄製の戦時標準船と同様,資材(不適当な木材の使用)や工程(簡易製造=手抜きやっつけ),人材(熟練工の召集)などにより,粗悪船が大量に出来上がったそうです.
多くの船が撃沈・炎上・行動不能による絶望的な漂流などによって失われますが,出鱈目な徴用の為に記録が余りに少なく,喪失した船や死亡した船員の実数は現在も不明だそうです.
(推定で3000~4000隻,三万人以上)
この本には他にも
「魔のバシー海峡」以上の被害が発生した大陸沿岸迂回ルート
練習帆船日本丸・海王丸の戦時中のエピソード
海外の輸送船の話
などのエピソードがあり,その一つ一つが考えさせられます.
最後に日本の輸送作計画の立案者に質問
「あんたら,この状況で自分らが立てた計画で,輸送船やタンカーに乗れと言われたら,喜んで乗れるんか?」
グンジ in mixi,2007年08月11日15:25
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