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◆◆◆◆◆◆◆大和型戦艦のメカニズム
Mechanizmusa Jamato Osztály
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<第二次大戦FAQ
『戦艦大和図面集 新装版』(ヤヌス・シコルスキー著,光人社,2010.1)
【質問】
戦艦大和の兵装は?
【回答】
<新造時>
46cm45口径3連装砲塔×3
15.5cm60口径3連装砲塔×4
12.7cm40口径連装高角砲×6
25mm3連装機銃×8
13mm連装機銃×2
水上偵察機×7
射出機×2
<捷号作戦時>
46cm45口径3連装砲塔×3
15.5cm60口径3連装砲塔×2
12.7cm40口径連装高角砲×12
25mm3連装機銃×29
25mm単装機銃×26
13mm連装機銃×2
水上偵察機×7
射出機×2
<沖縄特攻時>
46cm45口径3連装砲塔×3
15.5cm60口径3連装砲塔×2
12.7cm40口径連装高角砲×12
25mm3連装機銃×52
25mm単装機銃×6
13mm連装機銃×2
水上偵察機×7
射出機×2
<1980年代@征途>
81式460mm60口径主砲3連装砲塔×3
80式203mm60口径副砲(Mk71J)単装砲塔×4
OTOメララ76mm単装速射砲×4または8
20mmファランクスCIWS×4
SSM2対艦ミサイル×16
Mk41VLS 61セル×4(前部甲板・後部甲板×各2)
スタンダード対空ミサイル:SM-2ER
SH-60J対潜ヘリコプター×6
【参考ページ】
『「世界の艦船」増刊第24集 日本戦艦史』(海人社,1988)
【質問】
大和をアイオワと比較した場合,有利不利はどの点にあるのか?
【回答】
大和の主砲の口径は18インチでアイオワの口径は16インチ,是だけを比べると,大和が史上最強.
ただし,砲身の長さは大和が45 アイオワ50と逆転する,
次に運動性能であるが,
最高速度が大和27ノットに対しアイオワ33ノット,
出力排水量比(排水量1トンあたりに使える機関出力)大和2.3に対しアイオワ4.4
と大和が著しく低くなってしまう
詳しくは三野正洋著「日本兵器の比較研究」※を参照されたし.
ちなみに,大和の94式「40サンチ」砲は口径46cm,45口径,初速780m・秒,弾重1470kg,最大射程41400m,発射間隔40秒
アイオワMk716インチ砲は口径40.8センチ,50口径,初速762m・秒,弾重1224kg,最大射程38000m,発射間隔30秒
アイオワが優勢なのは
(1)命中率が高い
(2)発射速度(これは砲弾の速さ=初速とは違うよ=1分あたりの砲弾の発射数)で上.
ただし,最大射程付近では弾丸飛翔時間が1分を越える.
ゆえに中~遠距離砲戦で弾着観測しながら戦うならば,公算射撃で修正を加えている間は,発射間隔の違いは問題とならない.
(着弾するまでの時間が装填速度より長くなる)
(3)レーダーがある
(4)ダメコンがいい
(5)船の速度が速い
という諸点.
大和の優越している点は,
(1)砲弾重量,炸薬量(弾を撃つための炸薬と勘違いしている,バカなマニアがいるので注意)
大和とアイオワの主砲では砲口エネルギーで1.25倍の開きがある(明確な威力差)
(2)装甲の厚さ
(3)
大和は自艦の砲弾に対して▼30000-35000m20000-30000m▲で完全防御している.
アイオワは自艦の砲弾に対しても完全防御域は無い.
また,大和はバルジ内の重油タンクにより液層防御もほどこしている.
【参照】
http://avse.bpe.agr.hokudai.ac.jp/~kohta/ship.html
http://www.epsnet.co.jp/~f4u/ansq/2/B1000243.html
http://www.epsnet.co.jp/~f4u/discussion/g0018.html
http://www.epsnet.co.jp/~f4u/discussion/g0020.html
※ 実際の運用面などから見れば,電子装備関連を除いて大和の優位は動かないんですけどね.
その辺を詳細に説明しようとするととんでもなく労力がかかるし,またそこまで丁寧に説明しても普通は理解できないでしょう.
ある意味,この手の比較論を悪い意味で流行らせたのは三野正洋氏です.
一般人にもわかりやすい数字を使った比較は軍ヲタへの門戸を開放し,ミリタリー・ファンを増やす功績はありましたが,少しレベルの高い軍ヲタにとっては,あのテの比較論は数字の使い方を根本的に間違っているのがわかるはずです.
まあそういう目で見れば,氏の著作は着眼点のユニークさに感心するところもあるし,結構面白い作品もありますけどね.
あれで間違った理解をした方の目を覚まさせるのは,ちょっと労力が要ります(苦笑
【質問】
戦艦の主砲についての質問です.
1門あたりの破壊力の指標として口径×口径長を持ち出す人がいるのですが,これは妥当でしょうか?
大和 45口径×46センチ=2070
アイオワ 55口径×40センチ=2000
よって両者の主砲の威力は大差なし,というような主張を時々見かけます.
(例:ビッグY 戦艦大和の戦後史 横山 信義
あと,三野正洋もなんかの本で言ってたきが.)
そもそも口径×口径長=砲身長なんだから,口径×口径長=威力が成り立ったら,大口径砲を製造する理由ありませんよね?
【回答】
まずアイオワの主砲は50口径.
また,そもそも口径長=主砲の威力では無い.
確かに口径X口径長は,大砲の威力の一つの指標だが,それだけで決まるものでもないので,あまり当てにはならない.
口径が同じで使用弾種も同じ場合,より口径長が長い(砲身が長い)方が,より弾速が増すので威力値は増す.
すなわち砲弾が水平に舷側装甲にぶち当たるケースだと,確かに口径長は主砲の威力と相関関係がある.
が,戦艦のように直射ではなく曲射で目標を攻撃する場合は,この指標は無意味で,弾丸の弾重の方が重要になる.
砲弾が重力に従って落下してきて水平装甲にぶち当たった場合,口径長はその威力を最大にする砲戦距離を決定するだけで,威力そのものは砲弾の重量に大きく依存する.
ただし,曲射であっても砲身長が長いと射程が増すので,そういった意味でのファクターの変化はあるが.
【460mmL45】
距離20000m 垂直貫通厚556mm 水平貫通厚167mm
距離30000m 垂直貫通厚417mm 水平貫通厚231mm
【406mmL50】
距離20000m 垂直貫通厚457mm 水平貫通厚127mm
距離30000m 垂直貫通厚350mm 水平貫通厚200mm
(歴史群像 日米最強戦艦大和VSアイオワ)
純粋な破壊力だけなら,大和の方に分があると言って差し支えないと思う.
ただし実際には命中率,弾種,舷側装甲・水平装甲の能力,ダメージコントロールなどもろもろが関係するので,なんとも言えない.
あまり複雑に考えず,簡単に常識的に考えてみてくれ.
口径×口径長で出てくる数字は何か(破壊力じゃないぞ)?
それは砲身長だよな.
つまり大和の主砲の砲身長は,アイオワ主砲の砲身長より長いわけだ.
そして砲の直径でも大和が上回っているということだよな.
ようするに,砲身長も,砲直径も,全てにおいて45口径46㎝のほうが大きい砲であるのに,威力は差が無いというこということになれば,どうみてもおかしい.
普通に考えて,口径×口径長が破壊力というのは,理屈にあわないよな.
口径×口径長というのは砲身の長さを求めるだけの計算式だろ.
それイコール破壊力というのなら,「砲身長=破壊力」という公式になる.
即ち7.7mmの銃の砲身を,大和の主砲よりちょっとだけ長くすれば,7.7mmの銃弾でありながら大和の主砲以上の威力だという話になってしまう.
だったら戦艦にそんな奇形純を,100基載せれば無敵だよな.
対戦車砲もいらない.
ライフルの砲身を88mm高射砲くらい長くすりゃ,T-34くらい余裕で破壊できる,ということになってしまう.
小口径砲で大口径重装甲艦と戦いたい場合は,長砲身で接近戦を挑んで舷側装甲を抜く・・・と言う発想は,結構メジャーだけどね.
シャルンホルストとかダンケルクとか.
ただ大口径砲が選択出来るなら,そっちのがより広い砲戦距離で相手を倒せることになる.
【関連リンク】
http://www.warbirds.jp/truth/dotukiai.html
http://www.warbirds.jp/truth/torpedo4.html
また,戦艦同士が砲撃し合うとはどういうことなのか,については
http://www.warbirds.jp/truth/index.html
の「魚雷は大人になってから・番外編」が,非常にためになる.
軍事板,2008/08/14(木)
青文字:加筆改修部分
大和の主砲弾
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq061213ym.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq061213ym2.jpg
(画像掲示板より引用)
【質問】
アイオワの主砲弾の初速が,大和に比べて遅いのは何故ですか?
【回答】
弾重のせいです.
アメリカの新戦艦の砲弾は,コロラド級の16インチ砲弾1016kgに対して対して1225kg弾を使用して,3万m付近での大落角を狙っているのです.
甲板装甲に対する貫徹力は,最大射程付近で最大になりますから,「当てられる距離」という事を考えると,弾重とライフリングのピッチで調整した方が,近距離でも長距離でも有利になります.
ちなみに
長門は1020kg弾で785m/s,射程38400m.
アイオワは1225kg弾で762m/s,射程は38720m.
大和は1460kgで785m/s,射程は42030mです.
【質問】
大和の主砲は量より質ってこと?
でもって,どのような距離から撃っても敵艦の装甲を貫く為には・・・と言うことで46cm砲になった,で良いんだっけ?
【回答】
微妙に違う.
▼ 日露戦争以後の日本帝国海軍の主要仮想敵国は米国になり,その基本戦略が漸減戦略であった事は,軍事板に来ているのなら,当然知っていると思うが,その際,数で劣る日本帝国海軍が勝つ為には,こちらがなるべく損害を被らずに相手を撃破する必要があり,その為に米戦艦の射程の外から一方的に攻撃出来る大口径砲を搭載した戦艦が求められたのだよ.▲
で,帝国海軍は,米海軍の艦載砲の最大口径を,パナマ運河航行の必要性から40cmと予測しており,
「それ以上の口径の砲を自軍の戦艦に搭載すれば,一方的にアウトレンジ出来る」
と,虫が良い事を考えたのだよ.
それに,48cm砲までは試作の実績も有ったし.
まあ,本当に戦艦同士の殴り合いになったら帝国海軍の目論見通りになったかは,意見が分かれる所だし,実際は大和型はその様な戦場に投入されなかったのだがね.
軍事板,03/05/05 22:17
青文字:加筆改修部分
▼>日露戦争以後の日本帝国海軍の主要仮想敵国は米国になり,その基本戦略が漸減戦略であった事は,軍事板に来ているのなら,当然知っていると思うが,
>その際,数で劣る日本帝国海軍が勝つ為には,こちらがなるべく損害を被らずに相手を撃破する必要があり,
>その為に米戦艦の射程の外から一方的に攻撃出来る大口径砲を搭載した戦艦が求められたのだよ.
> で,帝国海軍は,米海軍の艦載砲の最大口径を,パナマ運河航行の必要性から40cmと予測しており,
>「それ以上の口径の砲を自軍の戦艦に搭載すれば,一方的にアウトレンジ出来る」
>と,虫が良い事を考えたのだよ.
これはよくある誤解ですね.
「大和の主砲は2万m~3万m,特に2万m前後の中距離砲戦を想定していた」
というのが本当です.
アウトレンジ射撃は考慮してないわけではないが,日本海軍の戦艦砲戦ドクトリンでは傍流です.
戦前の日本海軍の砲戦ドクトリンでは,戦艦の決戦距離は2万m~3万mとされてました.
特に,命中率の高い2万m前後の中距離砲戦を推薦してました.
大和の装甲防御が「2万m~3万mで射撃される自艦の46㎝砲弾対応防御」になってるのは,そのためです.
その砲戦距離で敵の40㎝砲弾をブロックしつつ,46㎝砲で敵の40㎝砲戦艦の装甲を一方的に貫通する,というのが大和にとっての「横綱相撲」です.
初心者が誤解し易いのが「戦艦の装甲防御」です.
「大和は砲戦距離2万m~3万mでの対応防御をしている」と聞くと,「じゃあ,3万m以上ならますます安全だろう」と誤解する人がいます.
実際には,それ以上の砲戦距離では砲弾の落角が大きくなって,甲板装甲を貫通されてしまいます.
つまり,うかつにアウトレンジ砲戦を仕掛けると,敵弾がまぐれ当たりした場合,大和の甲板装甲(対46㎝砲弾防御)が格下の40㎝砲弾に貫通されてしまう危険性さえ生じるんです.
そのため,大和の装甲防御を生かすためには,2万m~3万mの距離で砲戦に持ち込む必要があります.
確かに,開戦前に一部の軍人は,戦艦の最大射程近辺で敵戦艦を一方的に砲撃する「アウトレンジ砲撃」を主張してました.
ですが,海軍の主流はそれに否定的でした.
遠距離射撃は非常に命中率が低く,実戦では役に立たないと考えられていたからです.
実際に,戦前の演習でも3万m以遠の遠距離砲戦は(観測機を使用しても)命中率が非常に低く,「実行不可能」だと判定されてます.
参考文献を挙げておきます.
『日本の戦艦パーフェクトガイド』(学研,2004年4月)より大塚好古『日本戦艦の砲戦術概要」
「やっぱり勝てない?太平洋戦争」制作委員会編『やっぱり勝てない?太平洋戦争」(並木書房,2005年5月)より大塚好古「机上の空論だった戦艦大和のアウトレンジ戦法」
『丸』2013年2月号より堤明夫「超大和型に見る日本海軍の砲術論」
『歴史群像』2013年8月号より大塚好古「帝国海軍戦艦運用マニュアル」
上記の『日本の戦艦パーフェクトガイド』の大塚好古氏の「日本戦艦の砲戦術概要」によると,アウトレンジ射撃のように敵に先制して発砲することは,精神的な面でも弊害が大きいそうです.
先に発砲したことで乗員の士気が極度の興奮状態になったり,逆に命中弾が出なかった場合は自信を失い,士気が極度に低下してしまうからだそうです.
このことから,機先を制して敵艦に砲撃を加えても,海戦の勝利には直結しないのです.
これは,学校などで「テストの前に徹夜勉強や栄養ドリンクなどの影響で精神的にハイテンションな状況でテストに臨んでも,実際の点数は悪かった」という経験をした人ならわかると思います.
上記の書籍で大塚好古氏や堤明夫氏が度々指摘してますが,世間では「大和はアウトレンジ射撃を前提に建造された」という誤解が完全に通説化してます.
大和を扱った概説書,歴史書,TVドキュメンタリー,雑学本などメディアの大半でそう紹介されてます.
ネットでもウィキペディアの「アウトレンジ戦法」の項目を含め,非常に一般化してます.
私も昔はそう信じてました.
回答は2003年の物なので,間違ってるのも仕方ないかと.
JSFさんや古峰文三さんもツィート
https://twitter.com/obiekt_JP/status/656478869155786753
https://twitter.com/kominebunzo/status/447655222374973440
してますが,2016年現在でも「大和はアウトレンジ射撃を前提に建造された」と堂々と書いてある本は,リサーチが足らないクズ本と見做して構わないと思います.
これは,その人が本当に大和に詳しいのかどうかを調べるためのバロメーターです.
モーグリ in FAQ BBS,2016/1/27(水)~2/5(金)
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
米軍は大和のアウトレンジからの攻撃を警戒してたとのことですが,主砲って何十㌔も先の戦艦に当たるんですか?
【回答】
当たりますよ――めっさ命中率は低いですけど.
当時の日本海軍には,敵艦の射程外から敵を一方的にたこ殴りにする戦法として,「アウトレンジ戦法」がありました.
戦艦による砲戦とは違いますが,これを実践したのが「スラバヤ沖海戦」でした.
この戦闘では日本海軍の重巡洋艦がアウトレンジ戦法を実践.
最大射程に近い距離で砲戦を行いましたが,その命中率は悲惨なもので,重巡洋艦の「那智」「羽黒」が放った主砲弾3740発の内で,有効弾として考えられてるのが5発ほどでした.
軍事板,2009/11/01(日)
青文字:加筆改修部分
【質問】
戦艦大和の主砲は,40km先のテニスコートに狙って命中させる事が出来る,と言うのは本当ですか?
【回答】
ほぼ無理.
最大射程というのは,「弾が届くだけ」のぎりぎりの距離を指す.
ボールを投げても分かると思うが,狙ったところに投げられる距離と,できるだけ遠くに投げて届く距離とは,大きな開きがある.
戦艦の砲に限らないけど,大遠距離射撃というのは(大和なら)9門の砲を斉射して,そのうち何発かがおおよその範囲内に落ち,さらにそのうちの何発かが当たってくれれば,という確率論みたいな世界.
もちろん一発も当たらない方が多い.
ライフルみたいに一発必中を狙ってるわけじゃないんだ.
もっとも,距離が詰まって水平線上に見えるくらいに近くなると,話は違うけどね.
それでも現代の感覚(誘導兵器)に比べたら,驚くほど当たらなかった.
軍事板,2003/06/22
青文字:加筆改修部分
【珍説】
NECも日立も,スパコンを止めてしまった.一番喜ぶのは米国メーカーである.
- 株式日記と経済展望
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蓮舫参院議員が中国のスパイだからではないかと言う意見もありますが,そうだとすればスーパーコンピューターを戦艦大和だという池田信夫氏もアメリカのスパイなのだろうか? 戦艦大和は蒸気タービンエンジンでジーゼルエンジンではなかった.だからアメリカの新鋭戦艦はジーゼルエンジンで速力も速くて航続距離も長かった.だから大和は作られたとたんに旧式化して戦争では使いものにならなかった.当時のエリート海軍技官も蒸気タービンからジーゼルへの時代の流れが読めなかったのだ.
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【事実】
・・・誰がスパイなのかは知りませんが,TORA氏,貴方の主張は完全に出鱈目な捏造です.
日本の戦艦「大和」と同時期以降に建造されたアメリカの戦艦(ノースカロライナ級,サウスダコタ級,アイオワ級)は,全て「大和」と同じく蒸気タービン機関です.
世界的な技術の流れとして「蒸気タービンからディーゼルへ」などというものはありません.
当時の各国の戦艦は殆ど全て蒸気タービンであり,ディーゼル機関はドイツがポケット戦艦ドイッチュラント級に採用したのが例外的にあるくらいで,これも次に建造したシャルンホルスト級巡洋戦艦やビスマルク級戦艦では,蒸気タービン機関に戻っています.
ドイツのZ計画ではO級巡洋戦艦やH級大型戦艦に,ディーゼル機関を採用する計画もありましたが,全て中止されました.
「大和」級も最初はディーゼル機関を採用する予定でしたが,他の艦で試験的に搭載されたディーゼル機関の不具合が続発して,採用を見合わせています.
なお,ドイッチュラント級は公試運転で28ノット,実用上は26ノットを発揮しましたが,大和級は公試運転で29ノット,実用上は27ノットを発揮しています.
当時のディーゼル機関は,高速力を発揮するには蒸気タービン機関よりも劣っていました.
軍艦でディーゼル機関が主流だったのは潜水艦ぐらいです.
これは蒸気タービンが始動に時間が掛かるのと,給排気に大きな煙突が必要な為で,イギリスのK級潜水艦が蒸気タービンを採用した(フィッシャー提督の発案)以外は,潜水艦は殆どディーゼル機関でした.
結局,戦艦や空母などの大型戦闘艦にディーゼル機関が採用されるような時代の流れは来ませんでした.
ディーゼル機関の性能と信頼性が高まった時には,戦艦は過去の遺物と成り果てて,空母は蒸気カタパルトを運用する都合上,蒸気タービン機関(原子力機関も蒸気タービンを回す点では同じ)でなければなりませんでした.
そしてその間にガスタービン機関が発達し,現在の水上戦闘艦の主流はガスタービンへという流れになっています.
潜水艦についても,イギリスのBMT社がガスタービン機関を採用するSSGT
(Ship Submersible Gas Turbine) という提案を行っており,低速の輸送艦にディーゼル機関を採用する以外では,軒並みガスタービン化の波が押し寄せています.
空母についても,スキージャンプや電磁カタパルトを用いて蒸気カタパルトを使わないのであれば,蒸気タービン機関である必要が特に無く,事実イギリスの新型空母は6万トン級の大型艦ですがガスタービン機関を採用しています.
今後,もし高速大型戦闘艦にディーゼル機関が採用される事があったとしても,例外的なものに止まり,ディーゼル機関が主流となるような流れにはならないでしょう.
TORA氏の主張は過去・現在・未来の何れにおいても存在しない事象であり,思い込みと妄想から来る完全な捏造であり,口走るべきではありませんでした.
サラッと目を通してみたけれど,用兵思想の話と主機の話と兵装の話がこんがらかって,グダグダになってますねえ.
そもそも帝国海軍に通商破壊戦というおつむがないのだから,その用途を考慮した艦を設計しろというのが無理な話だし,速力だけ空母に追随できても,レーダーと
VT 信管と高性能の両用砲がないハンデは,どうにもならないし…
井上@Kojii.net,2009年11月30日 21:32
というか,太平洋を横断する作戦を前提にしてたアメリカ海軍と,寄せてくるアメリカ海軍を小笠原で迎撃することを考えてた日本海軍の事情も考えずに,航続距離を議論するのもいかがなもんかと.
緑川だむ,2009年11月21日 13:14
戦艦に限らなければ(特に海防艦や二等輸送艦に)いるけど,これは電波ゆんゆんですな.
まず,漸減作戦を知らないだろうし,海軍の燃料の質も調べずにいるだろうな.
何と言うか,「P-3Cはプロペラだから静かだけど,P-1はジェットだからうるさい」と同じレベルの人だな.
taCTicaltomahawk,2009年11月21日 13:51
そこはコメント欄もおもしろいですね.
で,仰るとおり,大和へのディーゼル機関搭載は,検討した上でやらなかっただけなんだよね.
それも,事前に試験的に「剣埼型潜水母艦」に搭載された艦本式11号ディーゼルが,
性能・信頼性が低かったという,現実的な理由で.
それどころか,あまりにも性能・信頼性が低いので,あとで空母に改装する過程で,相当な期間を使って,わざわざ蒸気タービンに積み替えているんだよね.
他にもディーゼル搭載艦は「千歳型空母」があるけど,こちらも不調に次ぐ不調.
ディーゼルは本来,巡航用にもかかわらず,あまりにも信頼性が低いので,あとで巡航用蒸気タービンをわざわざ追加しなければ,実用に耐えなかったんだよね.
ドイツ海軍ですら,ドイッチュラント級はディーゼルを搭載しているものの,以降のフネでは蒸気タービンに戻っているわけで.
「蒸気タービンからジーゼルへの時代の流れ」って何?
極東の名無し三等兵,2009年11月21日 14:10
ディーゼルエンジンはサイズごとに技術的な問題が存在します.
第二次世界大戦中,日本はドイツの魚雷艇用エンジンを入手しましたが複製できませんでした.
しかし,日本は主力戦車用にディーゼルエンジンを実用化しましたが,ドイツの方は車両用ディーゼルエンジンを生産できませんでした.
つまり潜水艦用のディーゼルエンジンが作れたとしても,戦艦のディーゼルを作れるとは限らないです.
東部戦線,2009年11月21日 22:09
>大和の機関
このライターさんに,
「戦艦大和は機関部に,アメリカの戦艦が採用した生存性に優れるシフト配置を採用していない」
と教えたら,さぞかし失笑ものの記事を書いてくれるんだろうなぁと思ったり.
ガ・チャー・de・畜生,2009年11月21日 17:50
その前に,シフト配置の意味が理解出来るやら( ・・)/
緑川だむ,2009年11月21日 18:52
機関科の乗組員が,前方機関室と後方機関室を交互に受け持つシフトを組んでいる,と判断する方に 100 ガバス.
井上@Kojii.net,2009年11月21日 18:54
いちお補足しておきますと,大和型戦艦では機関配置にボイラー12基を横3列×縦4列に集中的に並べ, その直後にタービン4基をほぼ横一列に並べていく単純な配置を採用していますが,あの太い船体幅を生かしてボイラーとタービンを各々全て隔壁で独立して区切ってしまうストレートな力技で,浸水時の被害極限を図っています.
ガ・チャー・de・畜生,2009年11月21日 21:15
以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分
【珍説】
TORA氏の主張は過去・現在・未来の何れに置いても存在しない事象である-
株式日記と経済展望
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しかし大和がジーゼルエンジンを断念したのは確かであり,重装甲で蒸気タービンでは設計の段階から時代錯誤だった.航続距離をとるならばジーゼル戦艦を作るべきだったし,高速戦艦を作るのならば軽量にすべきだった.重装甲で鈍足の不沈艦は米機動部隊の攻撃目標になるだけであり十数発の魚雷を食らって武蔵も大和も沈んでしまった.池田信夫氏がスーパーコンピューターを戦艦大和に例えたのは時代の流れから外れていると言う意味であり,スパコンもベクター型からスカラー型になっているのに,公共事業式に折衷型のスパコンを作ろうとしていた.
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【事実】
日本海軍は作戦上,戦艦に長い航続距離を与える必要がそもそも有りませんでした.
戦艦大和は公試の結果,燃費計算が設計の航続距離7200海里を上回る,10000海里以上であることが判明したので,燃料タンクを一部廃止して燃料搭載量を減らして,航続距離を計画値に合わせています.
また,大和は十分に高速な部類の戦艦です.
実用上は27~28ノットを発揮しています.
なお33ノット快速戦艦とされるアイオワ級ですが,公式記録上,戦場では30ノットまでしか発揮していない事になっています.
機関に負荷を与えない制限が〔略〕ありました.
実は大和とアイオワは,実戦に於ける実用速度差は2ノット程度に過ぎません.
【珍説】
TORA氏の主張は過去・現在・未来の何れに置いても存在しない事象である-
株式日記と経済展望
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ドイツのポケット戦艦が大西洋を単独行動で作戦が出来たのもジーゼルエンジンの長い航続距離があったからであり,戦艦大和が7200海里しか航続距離が無いのにドイツのポケット戦艦は20,000海里もの航続距離がある.だから大西洋を縦横無尽に通商破壊作戦が出来ましたが,戦艦大和は空母機動部隊に随行するには速度不足であり,単独行動で通商破壊作戦も出来なかった.
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【事実】
大型戦艦で通商破壊戦を行うなど,日米は発想した事すらなく,出来る出来ないはどうでもいい話です.
お互いにする気が欠片も無かったのですから.
第一,空母が主力として使われた太平洋戦域で,水上戦闘艦による通商破壊戦を仕掛けるのは,ほぼ自殺行為です.
また,大型戦艦による通商破壊戦は,費用対効果があまりにも悪く,イギリス海軍との戦力差が絶望的に開いていたドイツ海軍が採った苦肉の作戦であり,まともな海軍では採用されるような戦法ではありません.
また,通商破壊戦をしない以上は長大な航続力は必要ありません.
日本海軍の伝統的な艦隊決戦計画は,敵を迎え撃つ方針であり,航続力は短くても何ら問題ありません.
狭い地中海で活動する事が前提のイタリア海軍の戦艦は,もっと航続力が短いくらいです.
一方,アメリカ海軍は長距離途洋作戦が基本戦略になるので,高い航続力が必須となります.
航続力については,各国海軍がどのように戦艦を運用する積りなのかが問題なのであり,単純に航続力が高いから強いという事にはなりません.
また,空母機動部隊と随行できるかどうかについてですが,普通に出来ました.
太平洋戦争の雌雄を決した最大の決戦であるマリアナ沖海戦で,戦艦「大和」と戦艦「長門」は航空母艦に随伴して護衛任務をこなしています.
戦艦「大和」「武蔵」「金剛」「榛名」は前衛部隊として,第三航空戦隊(三航戦)の空母「瑞鳳」「千歳」「千代田」と共にあり,戦艦「長門」は本隊(甲,乙の二隊のうち乙部隊)の第二航空戦隊(二航戦)の空母「隼鷹」「飛鷹」「龍鳳」と共にありました.
これら日本の戦艦は,ちゃんと空母機動部隊に随伴出来ているのです.
前衛部隊は敵の航空攻撃を吸引しつつ,機会を見て水上砲撃戦を仕掛ける予定でした.
また,この海戦にはアメリカ海軍の高速戦艦「アイオワ」「ニュージャージー」が参加していますが,実はこちらは味方空母の直衛任務には就いていません.
アメリカ海軍は第58.7任務群(TG-58.7)に新型戦艦7隻を集中運用させて,戦艦を空母の護衛役としては使わず,水上砲撃戦を行う準備を整えていました.
つまりこの海戦から二つの事が言えます.
一つは,「大和は低速で空母に随伴できなかった」という認識が誤りであるという事です.
そもそも最大速力25ノット程度の伊勢級戦艦やサウスダコタ級戦艦(カタログスペックの27ノットは実用上は出せず,25ノット台だった)でも,空母に随伴し護衛任務は出来ています.
大和級はそれより速いです.
もう一つは,「高速戦艦は空母の護衛をするもの」とは限らないという事です.
はっきり言ってしまうと,無理に戦艦を空母の護衛に付ける意味は殆ど有りません.
戦艦1隻分の高射砲の数は,駆逐艦2~3隻分に過ぎないからです.
艦隊防空としては戦艦1隻よりも,駆逐艦3隻の方が上となります.
そしてどう見ても,駆逐艦3隻の方が戦艦1隻よりも遥かに安いです.
なお,戦艦の巨大な主砲を用いた対空射撃は殆ど効果は無く,威嚇程度の意味合いしかありません.
日本海軍は前衛部隊と乙部隊に戦艦を配置しましたが,甲部隊には戦艦を配置せず,防空駆逐艦「秋月」級を優先配備しています.
秋月級2隻の方が,戦艦1隻の防空火力よりも効果的だからです.
アメリカ海軍は全ての新型戦艦を空母の直衛から外し,日本海軍は第一航空戦隊(一航戦)の正規空母3隻を有する,最も有力な甲部隊から戦艦を外しているのは,戦艦が空母の護衛に必要ではない事を意味しています.
日本が前衛部隊に戦艦4隻を集中したのは,あわよくば水上砲撃戦を挑む為であり,対するアメリカも戦艦7隻を集中運用していたので,お互いに似たような事を考えていた事になります.
とはいえ日本側は,味方の航空攻撃で損傷落伍した敵空母を,水上部隊で捕捉できるかも知れない,くらいのつもりで,そこまで積極的に水上砲撃戦を挑むものでもありませんでした,
なお後のエンガノ岬沖海戦で,日本側の損傷落伍した空母「千代田」が,アメリカ巡洋艦部隊に捕捉され撃沈されているので,機会としては有り得るものでした.
>戦艦大和が7200海里しか航続距離が無いのに,
>ドイツのポケット戦艦は20,000海里もの航続距離がある.
> だから大西洋を縦横無尽に通商破壊作戦が出来ましたが,
イギリス海軍が体制を整えて一年もたたないうちに封殺されちゃったのに.
ガ・チャー・de・畜生 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年11月26日 23:44
【珍説】
TORA氏の主張は過去・現在・未来の何れに置いても存在しない事象である-
株式日記と経済展望
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アメリカの空母機動部隊が何重もの防御ラインを敷くことが出来たのも33ノットの快速戦艦だったからであり,大和や長門や武蔵は出来た当初から使いものにならない戦艦だった.海軍は艦隊決戦を夢見ていたのでしょうが,空母機動部隊と随行できるような快足戦艦にすべきだった.だから戦艦大和は根本的な設計思想が時代遅れだったのだ.
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【事実】
完全に的外れです.
アメリカ海軍は太平洋戦争の雌雄を決する一大決戦「マリアナ沖海戦」に置いて,33ノットの快速戦艦アイオワを空母の護衛から外しています.
戦艦は空母の防御ラインとして,必ずしも必要では無い存在だった事が分かります.
新型戦艦7隻を集中運用した第58.7任務群の存在は,むしろアメリカ側が艦隊決戦の用意をしていた事を意味します.
また,戦艦「長門」は就役当時(1920年),世界最速の戦艦でした.
当時の巡洋戦艦並みの速度を出す高速戦艦でした.
そして当時は航空機は発展途上で,まだまだ戦艦を沈められるような力はありませんでした.・・・「出来た当初から使いものにならない」って,技術的な時系列を何も理解して居られないのですね.
大和と長門はマリアナ沖海戦で空母を護衛しました,空母機動部隊と随行出来ました,さて何が時代遅れなのでしょうか?
【質問】
大和が高速戦艦になれなかったのは,幅を広くとったせい?
【回答】
別に幅を広くしたから高速を出せなかったわけではありません.
モンタナにもあの武装,船体規模で30ノット超の高速を与える案はありました.
しかしコストがかかり過ぎるため,相対的に優先度が低いと判断され,必要十分な28ktに妥協された経緯があります.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in 軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
「大和は速度を27ノットと条約明け戦艦の中では最も低く抑えられたため,海軍が切望していたアウトレンジ戦法を諦めざるをえなくなった」
と言うニュアンスの記事をたまに見かけるのですが,仮に砲力はそのままで,アイオワ並みの速度,加速度,旋回性能をもっていたら,
米のアイオワ,サウスダコタ,ノースカロライナ,メリーランド
英のヴァンガード,KGV,ネルソン
仏のリシュリュー,ダンケルク
伊のヴィットリオ・ヴェネト
あたりに有効なアウトレンジ戦法を行いえたのでしょうか?
【回答】
>「大和は速度を27ノットと条約明け戦艦の中では最も低く抑えられたため,
>海軍が切望していたアウトレンジ戦法をあきらめざるをえなくなった.」
これだけデタラメな記事は珍しいな.
良かったらいくつか元ネタを教えて欲しい.
アウトレンジ戦法を考慮していた面はあるにせよ,切望するほど真剣に考えていない=当たらない
大和の装甲も2万m~3万mあたりを想定しているし,そもそも46cm砲は特に長射程目的に造られていない.
ヴェネトの方が僅かに長射程.
アウトレンジ戦法を本気で考えていたとしたら,軽量高初速弾の開発ぐらいしているだろう.
ついでに言えば,最大射程で敵に当てられるだけの観測装置がない.
弾着観測機飛ばせば何とかなるかもしれないが,当然,敵機の妨害もあるわけで,弾着観測が満足に出来るかどうかは疑わしい.
また,通常,砲撃戦は数隻~数十隻が集団で戦うもの(日本の艦隊決戦構想では尚更)
1隻の速度にあまり意味はなく,条約艦だけを相手にしているわけではないし,当時の戦艦の多くは大和より低速.
そもそも,別に速度が勝ってなくても射程の長い砲の有効性は失われないよ.
で,アイオワ級は全幅の割に全長が長すぎて,旋回性能よくないけどな.
それはさておき,大和型を33ktで走らせるには,オリジナルの排水量のままじゃ絶対無理.
仮に46cm3連装砲3基を装備し33ktで走れる設計にしたら,現実の大和型を上回る史上最大の戦艦になっただろう.
そうなると既存の戦艦とは比較できない存在になってしまうので,有効性がどうとかという話ではなくなる.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
大和,武蔵は速力が非常に中途半端で,艦隊行動に使いづらかったとのことですが,あとから改造して速力を上げるのは不可能だったんですか?
【回答】
大和の機関は二世代も前の,初春型駆逐艦用機関のデチューンモデルが基礎になってます.
信頼性を求めて敢えて旧式モデルを,しかも安全側に改造したモデルですから,より新しい機関を採用する決断一つあれば,高速を得るのはさして難しいことではありませんでした.
ゆうか ◆9a1boPv5wk in 軍事板
青文字:加筆改修部分
と言うか,大和級は公試で29ノットを出したという話もあるし.機関は初春型のデチューン・モデルで,過負荷運転では初春型搭載時とほぼ同じ168,000馬力まで発揮できている.
ぶっちゃけ,大和級の速力が27ノットなのは
「当初予定していたディーゼル機関が大コケした結果,ありあわせの蒸気タービンを使う安全策を取らざるを得なかった」
のが一番大きいだろ.
始めから蒸気タービンで計画していれば,20万馬力30ノットは充分可能だったと思う.
なお,大和は日本の戦艦では夜戦部隊の支援任務を割り当てられる予定の金剛型に次ぐ高速であり,また,同時期のアメリカ戦艦が,旧式戦艦で21ノット,条約切れ同時期の新型のノースカロライナ,サウスダコタで28ノットとほぼ同じと遜色ない.
大和の最大の評価点は,18インチ27ノットの戦艦を64000トンで作り上げたこと.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
大和の装甲の材質は?
【回答】
大和の装甲は,おもにVH鋼,NVNC鋼,MNC鋼で出来ていたようです.
どれもクロムやニッケルなどを浸炭して表面強度をあげたもので,単純な均質圧延装甲ではないです.
これらは表面硬化層で弾をはじいたり,基層となる部分の弾性や粘性で弾をはじき返したりする目的で,多層装甲の先駆けだと思います.
(もともとはビッカース社の製品です.)
もちろん,現代の複合装甲や傾斜機能材料の装甲とは比べられませんが,単純に均質圧延材とは強度が違うと思います.
VH鋼ではないですが,VH鋼の少し前に使われていたVC鋼では,グラフを見る限り,ベースとなる鋼材の2倍近い硬さがあり,大和の410mmの装甲のうち表面150mmが硬化層となっているようです.
ですから単純比較は出来ないと思いますが,
基層が260mm,
硬化層が150mm.
これが2倍の強度換算で300mm.
あわせて560mm.
大和はの装甲は内側に20度ぐらい傾斜しており,1/cos20度で1.06の装甲に相当しますから593mm.
しかもこれは舷側装甲に垂直に当たった場合です.
斜めに当たれば,さらに見かけの装甲は厚くなります.
APFSDSといえど距離が離れてくれば,単純にポコポコ抜けないと重います.
参考資料:光文社 戦艦大和開発物語 695円 p131~p149のあたり.
軍事板,2003/8/2
青文字:加筆改修部分
【質問】
ここによると大和の防御はアイオワに比べてだいぶ劣ってたようですが,そこらへん当時の海軍のお偉いさんたちは意識していたんでしょうか?
【回答】
その辺は,戦後だから分かる事だからなぁ.
当時の日本海軍関係者が,自軍の戦艦がアメリカの戦艦に対して防御で劣っているとは考えていなかったと思うよ.
もちろん無敵だとも考えてなかったとは思うけど.
ただ
「集中防御方式が良いのか,それとも満遍なく防御したほうが良いのか」
とか
「集中防御方式を採用するには進水対策が肝心だが,その辺は大丈夫なのか?」
といった点は,大和型の建造時には散々議論されてるよ.
決定的な根拠が無いまま集中防御方式に決まっちゃった,という感は否めないけど・・・.
あともっと言うなら,魚雷が10本も命中したら当時のどんな戦艦でも沈む.
一度に10本が命中したわけではないけれど,大和や武蔵が,10本以上魚雷が命中して即座に沈まなかった事の方が,戦艦としては異常なほどの防御力.
むしろ,両艦ともあれだけの爆弾と魚雷を食らいながら,ギリギリまで戦闘を続けてたところから考えると,設計時の想定以上に防御力は高かったと考えていい.
【質問】
戦艦大和は装甲が厚いのに,魚雷を弾き返せなかったんでしょうか?
【回答】
信管の感度によっては弾ける可能性も無くは無い.
そもそも水雷防御ってのは装甲で弾くのではなく,衝撃を如何に減らすかって物だから,装甲厚とかはあんま関係ない.
大和型だと,バルジを設けて燃料を入れといて衝撃を低減する方法,
米新型戦艦であれば,幾らか層を設けて防水剤を入れるとか.
もちろん,被雷後の戦闘能力維持ってのも重要.
ちなみに言えば,大和型の舷側装甲が艦底まで届いているのは水中弾対策.
米新型戦艦も水中弾対策で艦底付近まで装甲が配置されている.
更に言えば,大和型は敵の魚雷の炸薬量200kgとして炸薬300kgに対応するように設計された.
ちなみに44年より配備されていた航空魚雷Mark21は炸薬量159
kg,トルペックスだからTNT換算で1.5倍の240kg程度.
同じく44年より配備された潜水艦用のMark16の炸薬量は428kg,これもトルペックスだから(つД`)
軍事板,2006/07/24(月)
"2 csatornás" katonai BBS, 2006/07/24(hétfő)
青文字:加筆改修部分
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【質問】
当時,集中防御方式を採用してるのって大和型だけ?
【回答】
日米の無条約期の新戦艦はおおかれ少なかれ「集中防御方式」を採用している.
大和の集中防御範囲は53%程度だが,アイオワも60%余り,そんなに差はない.
【質問】
大和の艦体前後の無防御区画が大きかったことは,欠点にならないの?
【回答】
これはまったくの誤解.
大和の設計があえてそうしているのである.だからこそ,砲戦の防御に強いのだ.
水線下以下の魚雷を多数受けた場合の欠点は生じるが,砲戦による決定的ダメージは,中央部のぶあつい装甲で確率を少なくする.
設計思想を知らないか,無視した議論をする人は,それをあげつらうが,お門違い.
そもそも,戦艦の設計にああした状況は想定されていない(多数の魚雷を受ける).
これはアイオワも同じ.
アイオワの設計はサウスダコタが元.ダコタはノースカロライナを受け継いでいる.その欠点は大戦中に指摘され,魚雷を受けたら相当の被害をこうむったはず.
アイオワもダコタも魚雷を受けてないから欠点が露呈しなかっただけ.
大和が沈んだことをもって露呈した欠点をあげつらっているのが,今の専門家(マニア).
「非装甲区画の水防区画の数が,艦の大きさの割に長門と大差ない」
と言う話も聞かれることがありますが,これは,誰かのタメにするような本の内容が元になって流布し,それが口々に言われているような気がします.
ちなみに水防区画ですが,注排水区画(水防区画と同じ機能がある)を含めた数は大和のほうがはっきり多いですよ.
艦の長さに対する数の比率も大きい.体積的には比率は同じくらいになるかもしれませんが,まあ,こんなことを比べても,意味はないでしょう.
(1)長門を馬鹿にしてはいけません.長門の水中防御は少なくともノースカロライナと同等かもしかすると上だったかもしれない.
(2)水中防御の思想は当時,砲戦に対するダメージが重視され,魚雷に対するものは必ずしも第一義とは言えなかった,ということを考慮すべき.
もっとも,この点は,サウスダコタ以後の米国は進んでいたかもしれない.
(3)したがって,水中防御システムと大和アイオワの砲戦シミュレーションはある程度分けて考える必要がある.
ちなみに大和の設計では,魚雷は3本まで受けることしか想定されていません.
3本受けると戦線を離脱する.それが,水中防御の基本的考えとされていました.
ですから,あのような多大な被害は設計想定の中になく,浸水の度合いが進んだのも当然といえましょう.
それも欠点には違いありませんが,アイオワとの対戦を語るにおいては,一段控えさせるのがベターと思います.
アイオワと大和の戦艦としての総合的な価値ということになれば,速力の問題や管制,水中防御(対魚雷)を含めたものとして,また別の議論になります.
米国人のマニアで,なんとサウスダコタをアイオワよりも高く評価し,世界ナンバーワンに評価している人もいるくらいですから.
【質問】
何かで読んだけど,バイタルパートって部分,46cm砲の直撃にも耐えられるように作られてるんでしょ?
何でぶち抜かれちゃったの?
【回答】
別に大和も武蔵も,大砲のタマ食らって沈んだわけじゃないぞ.
で,「~cm砲対応防御」というのは「一発ではぶち抜かれないように」ということ.
何発食らっても没問題!というわけではない.
当たれば歪むし凹む.
同じところと言わず,近場にもう一発食らえば,抜かれる可能性も出てくる.
あと,当たる角度その他の状況で,「抜かれない」はずの距離でも抜かれることもある.
あくまでも「目安」なわけだな.
さらにいうと,バイタルパートが最後まで無事であったとしても,フネは沈むのだ.
なにせ装甲は重い.
いくら頑丈に見える戦艦でも,分厚い装甲に守られてる部分は,そうでない部分よりも「遙かに」少ないわけで.
で,ものの本にあった証言によれば,艦体外殻とバイタルパートをつなげる横桁がある位置に,モロ魚雷が命中したらしい.
まず最初に被雷衝撃とともに横桁が飛び込んできて,あとを追うように,どっと海水がなだれ込んできそうだ.
証言者の配置は缶室か機械室かは忘れたが,そのいずれか.
軍事板,2003/03/29
青文字:加筆改修部分
【質問】
今まで,戦艦ではハープーンの一撃には耐えられるわけがない,と思ってたんですけど,今のフリゲート艦は防御が稚拙になってるけど,それは攻撃力が高すぎてもはや装甲なぞ無意味だからだ!と理解してたんですけど.
実際問題,例えば大和とか武蔵とかみたいな戦艦だったら,ハープーンの一撃に耐えられそうですか?
【回答】
以前,そのへんというか大和(WW2)とアーレーバーク級駆逐艦(現代)とを戦わせる考察やっていたスレッドがあったんだが(まだあるかな?),▼側面なら耐えれるかもしれないが,上面トップアタックでSSMがダイブしてきた場合,装甲を破られる可能性があるとのこと.▲2発3発とくらうと,沈まないまでも戦闘不能になって海域を離脱せざるを得なくなるだろうって言われていた.
それでも,1発では沈まない可能性はあるが,
あのスレッドで上げられていた有名なサイト
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/calcula/yamato_vs_harpoon.htm
によれば,バイタルパートを突き破るのは無理だろうと結論付けられている.
あとは,「どこに命中するか」と「被弾した大和がどこまでダメコンできるか」によるのでなんとも言えない.
▼ 艦橋に命中するとか弾薬庫に命中するとか機関室に命中するとか致命的部位に命中するとかしたら,1発でも終わるかもしれないし,そうでないかもしれない.
とりあえず,どんな装甲であろうとも,耐えられる限界以上の破壊を受ければ破壊されるわけで,現代のSSMをくらって無事ですむ,なんて事は無いだろうということだけは確か.▲
軍事板
青文字:加筆改修部分
▼ 参考までに,『世界の艦船』2005年3月号に岡部いさく氏が書いている記事によりますと,ハープーンはソ連のナヌチュカ型ミサイル艇(満載700t)なら一発で撃沈でき,クリヴァク型フリゲイト(満載3600t)なら二発,巡洋艦(形式不明)なら四発で行動不能にできるとあります.
その後に
「1986年には地中海においてA-6E攻撃機から発射されたAGM-84ハープーンが,リビア海軍のナヌチュカ型ミサイル艇など2隻を撃沈して,その能力を実証している」
と書いて〔略〕おります.
以上をかんがみて,64000tの装甲艦を撃沈するのにはたして何発の命中が必要かはもうおしてしるべしです.
一撃どころか十発の命中でも沈まないのではないでしょうか.
この手のミサイルの破壊力は過剰評価されているように思えてなりません.
そしてまた,装甲破れないのに弾薬庫や機関室に命中させるのは至難の業ですし(火炎が達したりはしますけど),砲側照準でも戦闘を続行できるので,艦橋は致命的部位というほどではないと思います.
因幡 in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
この手の話題で必ず出てくる『大砲と装甲の研究』の考察においても,ハープーン等によって大和ら大型の主力戦艦を撃沈するのは難しいという結論に達しています.
その上で1~2発でも致命弾になりえるというのは,対艦ミサイルの構造上,上部から突入しますので,運が悪ければ艦橋構造物への直撃,そうでなくとも有効な対ミサイル防御能力を持たない当時の戦艦では,対艦ミサイルの攻撃に対処出来ず,被弾やそれによる火災などで著しく戦闘力を削がれて事実上交戦不可能に追い込まれる可能性が高い,という意味で言われていたかと.
まあ,実際に何発当たってどうなるかというのは,やってみなければ判らないでしょう.
ヴァイタルパートを突き破って撃沈.はあり得ないでしょうが.
名無し三等兵 in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
最上甲板のペラい装甲ならともかく,重防御区画を破れる可能性はまずない,っていうのは共通した見解ではないかな,と.
突っ込んでくるミサイルが,重量4.5t,速度マッハ3のモスキート――運動エネルギーだけで見ると,大和のゼロ距離射撃以上らしい――とかで無い限りは.
極東の名無し三等兵 in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
大和にとって爆撃機はどの程度脅威だったの?
【回答】
たかが爆弾がいくら艦上で炸裂したって,大和にとっては屁でもないです.
戦艦にとって恐ろしいのは敵戦艦の砲弾.
運動エネルギーが違いすぎるのですよ.
それと魚雷ね.
特に大和の場合,航空機用の爆弾はほぼ完璧に防御できます.
(高角砲やら機銃は悲惨なことになるけど,艦内は無事)
バイタルパートなら英軍のトールボーイ使わないと貫通不可です.
もちろん,方位盤等,射撃システムを破壊されてしまえば,いくら砲が健在でも,ろくな戦闘は出来なくなりますが,ただ,そう簡単にも命中しない場所でもあります.
でも,至近弾はスクリューに影響及ぼしたりするんで案外,怖い.
ついでに……,大和クラスの艦は魚雷6本程度なら注排水がうまく行っていれば,まだまだ戦闘能力を保持できます.
通常の戦艦や空母なら,魚雷6本で浮いている状態というのは青息吐息ですが,大和クラスだと,まだまだこれからというところ.
一例ですが,武蔵の場合魚雷5本くらった状態で,24ノット以上.10本の状態で艦首が水中に没し,16ノットとのこと.
ただし,このデータは誤認ありと思われます.
ま,それでも他の艦とはレベルが違いますな.
まさに化け物.
アドミラル大石 ◆xmYaMAtoVI : 軍事板,2003/07/03
青文字:加筆改修部分
【反論】
>たかが爆弾がいくら艦上で炸裂したって大和にとっては屁でもないです.
一見そう見えても,乗組員にとっては堪ったものじゃないでつ.
『戦艦大和の最後』および『戦艦武蔵のさいご』をお読みになられたらいかがでしょう.
戦艦は人が動かすもの,動ける人が居なくなったら,浮かぶ鉄屑です.
【再反論】
よー知ってますとも.
でも,戦艦の戦闘力は基本的に主砲と装甲,そして機関なのですよ.
例えば,第三次ソロモン海戦です.
比叡は大量の砲弾を食らいましたが,厚い装甲に覆われた機関は無事でした.
思わぬ弱点のせいで自沈せざるを得ませんでしたが,もしその問題が出なかったら……と考えればお分かりでしょう.
艦上の機銃,高角砲は修復できます.
人も何とかならんでもないです.
でも,機関や主砲は違います.
悲惨だの堪ったものじゃないだのは別の話でしょ.
アドミラル大石 ◆xmYaMAtoVI : 軍事板,2003/07/03
青文字:加筆改修部分
【質問】
「大和級の弱点は副砲塔で,ここを爆弾や砲弾が貫通すれば真下は弾薬庫でアボーン」
って話をよく聞きます.
でも,弾薬庫があるのは防御甲板の下だから,その上でどんだけ爆発しようが大丈夫じゃねーの?って気がします.
どうなんでしょう?
【回答】
弾薬庫から砲塔までは砲弾や装薬を運ぶエレベーターがあるので,砲塔内に弾が飛びこんで炸裂すれば,爆風が弾薬庫にも吹き込みます.
そのために,揚弾エレベーターには装甲シャッターがついてたりしますが.
また,仮に主砲弾薬庫に爆風が飛び込む事は防げても,近くの区域で火災が起きる事は非常によろしくない.
一応,大和の副砲の場合も防火シャッター等はありますが,火災が起きないに越した事は無い.
ただ,
・大和級が被弾した時に副砲塔に敵弾が命中する可能性がどれくらいあるのか?
・それは他の弱点部分と比べて特に高い被弾可能性のある弱点なのか?
を考えると「ここをやられれば終わり」と言うほどの弱点ではないと思いますが.
大和の副砲から弾薬庫に直接弾をぶっこむには直径2.5メートルの開口部にホールインワンしなきゃならない.
コーミングアーマーも設けられているので,砲弾が直接弾薬庫に直接落ちる可能性は極めて低いといえる.
火炎や破片の侵入にたいしては防火扉で防御ができる.
そもそも砲弾や爆弾は,「航行中の艦から見て」垂直に落ちてくるものじゃないし‥
可能性は零ではないが,これをありとするなら,たいてい戦艦にも「重大な弱点」があることになるし.
一応,引渡し前に運用側から改正要求が出て,工期延長をして,改修してるのだけどね.
副砲貫通,即,誘爆というのは無い………………筈(笑)
【質問】
戦艦大和の前部副砲のすぐ斜め後ろにある「でっぱり」は何なのでしょうか?
甲板からにょきっと出ている箱型のモノのことです.
【回答】
これのこと(模型の写真だが)なら艦内通風装置の通風筒.
ここから爆風や破片等が艦内に入ったら装甲がある意味がないので,装甲化された厳重な通風筒になっている.
グリル部分が内側向いてるのは防御のため.
【質問】
戦艦大和搭載の観測機は,砲撃戦においてどれだけ有効か?
【回答】
観測機問題で憶えておかなくてはいけないこと.
(1)航空機の介入無しを想定すると敵艦を発見してから観測機を射出することになる.
観測機が全機スクランブル状態に置かれていたとしても敵艦との距離は既に4万程度にはなっている.
(2)観測機は3機一組を基本としていて充分な観測効果を出す為にはこれをクリアしなくてはならない.
(3)1機の観測機が観測位置に着くまで10分はかかる.
(4)大和型は最大7機を搭載でき6機搭載での運用が考えられていたが,通常同時運用が出来るのは4機である.
残り2機は一部分解して格納庫内にあり,甲板にあげてきてから多少の組み立て等の作業が必要となる.
(5)零観の空戦力は我々日本ファンには定評があるが大型機撃墜の記録がある反面TBMに撃破されていたりと単純に制空権奪取を主張できない.
(6)44年後半になると米軍にもカーチスSCが登場し数百機単位で生産されている.強敵である.
(7)観測機の観測位置は必ずしも安全ではない.アッツでは対空砲で撃たれており,戦前の米演習でも対空砲は観測機の脅威であるとしている.
反面対空砲の有効射程外から観測する方法もあるが,観測精度は低下するらしい.
(8)主砲の爆風や敵弾で破損する観測機は多く,砲戦開始後の射出は現実的ではない.
(9)観測機搭載の通信機は妨害電波を危惧されていた.
実戦でも通信機の低性能や故障で交信不能や困難になる例も少なくなかった.
(10)観測機は天候に左右され易い.
以上の理由から,我が艦隊の観測機が活躍する為には先に敵艦隊を空母等の偵察機で確認し,戦艦が視認するより先に最低3機の観測機を発進させ観測位置に着かせておく必要がある.
また,出来得る限り敵観測機,中でも特にカーチスSCは戦闘機によって撃墜し零観での空中戦を避ける.例えOS2Uでも空戦に1分でも時間を取られれば任務の達成は困難となる.
俺的には観測機の効果を当てにせず,大和はきちんと殴りあう覚悟を固めるべきだと思う.
観測機は使えれば使うという位の心積もりでいた方がいい.最後は装甲と火力だよ.
辺見じゅんの「男たちの大和」によればサマール沖では,一応,観測機が射出されたが,初弾観測はできていない.
とても砲戦開始に間に合うように射出はできない.射出してその場で観測できるわけじゃないから.
米の煙幕展開後に1機射出したが,1斉射観測後に消息を絶ち,2機目は敵艦隊の進路を報告した後消息を絶った.
実は2機ともアベンジャーに迎撃されて1機目は撃破,何とか生還.2機目も撃退されていた.共に地上基地に帰還.
日本側記録ではグラマン戦闘機に迎撃されたとなっているが,米側記録ではアベンジャーが撃墜したとされている.
恐らく迎撃したのは米側記録にあるアベンジャーで,日本側記録にあるように何とか生還したのだろう.
他に長門も1機射出したが詳細は不明.
一部資料では,撃墜された大和機乗員の救助云々という話もあるが,当時は撃墜されたと考えられていたと思われる.
【質問】
大和,武蔵は実戦で観測機,偵察機をカタパルト射出した記録ってあるんですか?
【回答】
レイテ沖海戦(10/25のサマール沖海戦)で大和が観測機3機を射出している.
以下,「戦史叢書 海軍捷号作戦,<2フィリピン沖海戦」から引用.
1番機(機長:今泉馨中尉)
0814 敵艦隊の状況を確認するため発進
0820 「米空母1隻が大火災中」とを報告
0821 「敵は南東方向に避退しつつあり」と報告
0827 「米戦闘機の追撃を受け,触接が保てなくなった」と報告し,連絡途絶
0850 「敵戦闘機の追躡を受けつつあり」と報告し,再び連絡途絶
0930 「50海里圏内を捜索するも敵を見ず,我れ基地に向かう」と報告し,サンホセ基地に向かう
2番機(機長:安田親文兵曹長)
0851 1番機の連絡が途絶したため発進
0855 「敵見ゆ,味方主力よりの方位150度,空母2,巡洋艦3,進路南東」と報告
0910 米戦闘機の追躡と攻撃を受け,被弾のため操縦不自由となる
0930 「被弾のため操縦不自由,基地に向かう」と報告し,サンホセ基地へ向かう
1240 サンホセ基地着
3番機(機長:内田中尉)大和搭載中の長門機
1145 サマール島北東海面の敵艦隊捜索とその終了後レイテ湾偵察のため発進
(サマール島北東海面に敵を発見せず,反転してレイテ湾に向かう)
1230 「レイテ湾内に輸送船約30隻が在泊中」と報告後,敵の通信妨害により連絡途絶
→ 大和は1320に受信(その時は,すでにレイテ湾突入を中止して北方に向かっていた)
1410 セブに着水,サンホセ基地に向かう
ちなみに第1遊撃部隊はシブヤン海で空襲を受ける前に大和の3機を残して,搭載機を全てサンホセに移動させています.
軍事板
なお,沖縄特攻の際にも
七日黎明,大隈海峡を通過,西南進を続く.
「大和」に常時搭載する零式水上偵察機六機のうち,呉にて五機を却したるも,残る一機はここに「カタパルト」により射出し鹿児島基地に退避せしむ,
このまま推移せば,あたら海底行の悲運はのがれがたければなり.
艦隊上空に味方直衛機なし.
と『戦艦大和の最期』にあります,
作戦が発動した後なので,これも入れていいかと.
【質問】
大和型戦艦の,「宇宙戦艦ヤマトの第二艦橋」の位置にある窓は何でしょうか?
司令塔の上,「宇宙戦艦ヤマトの第一艦橋」の間の連続窓です.
【回答】
模型の写真だが
(http://www.geocities.jp/inunomarubi/yamato-52.jpgより引用)
上から順に
*主砲射撃指揮所
*対空戦闘指揮所(対空/水上見張り所)
*昼戦艦橋(航海艦橋)
*夜戦艦橋(第二艦橋)
*司令塔
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
大和型戦艦の艦橋に装備されていた13mm機銃は,資料によって連装だったり4連装だったりしますが,どちらが正しいのでしょうか?
【回答】
一応,福井静夫氏が1944年7月14日に調査した時には,艦橋部に機銃掃射対抗用として,連装の13mm機銃が2基搭載されていました.
増備されたとすれば,そこから菊水作戦の前に行なわれたことになりますが,13mm四連装機関銃は銃架重量が1200kgで,連装銃架の凡そ3倍になります.
突貫工事でも,これだけのものを搭載するのは架台から強度を考えないといけないので,あり得ないと思います.
また,四連装銃架自体も,従来から装備していた艦はいずれも撤去されており,1944年には砲架そのものが残っていないか,地上用に転用されていた可能性が高いです.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2004/11/28
青文字:加筆改修部分
【質問】
大和には空調設備があったと聞いておりますが.現在と同じようなクーラーがついていたということでしょうか?
また,冷蔵庫もあった(アイスが食べられた)と聞きますが,それも現在の冷蔵庫のようなものだったのでしょうか?
【回答】
暖房機能はありませんが,フレオン冷媒を用いた現在と同じような冷房設備がありました.
作ったのは大阪金属工業(現在のダイキン工業)です.
ちなみに,陸軍の○ゆ艇にも同じ機構のものが搭載されていました.
冷蔵庫の方は確かアンモニア冷却のものだったかと記憶しています.
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2005/12/30(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
突然,今の電気機器を戦艦大和に持ち込んだら作動します? PCとか.
【回答】
戦艦大和に限らず大戦中の日本戦艦の,艦内配電は直流225ボルトです.
したがって,家庭用の電気機器を持ち込むなら,100Vに変圧するトランスが要ります.
なお,戦艦大和の総発電容量は発電機8基で4,800kWになります.
名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板
青文字:加筆改修部分
加えて,家庭用電気製品は交流100V仕様ですので,直流交流変換器(インバーター)で交流に変換した後,変圧器で100Vまで降圧する必要があります.
軍事板
青文字:加筆改修部分
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