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「D.B.E. 三二型」(2011/01/22)◆『FF 零式(レイシキ)』を「ゼロシキ」と呼ばないで 田畑Dがコメント
「D.B.E. 三二型」(2011/01/22)◆スクエニ田畑さん「零式の読み方は『レイシキ』です,ゼロシキという読み方は本来存在しないそうです」

「D.B.E 三二型」(2013/03/24)◆埼玉 「ゼロ戦」人気集め展示延長

The Zerofighter world

「Togetter」◆(2012/12/02)2012/12/02 所沢ゼロ戦エンジン起動見学会メモ

朝目新聞」●やるおと学ぶ零戦  (of 人生VIP職人ブログwww)

「あんそく」:やる夫で学ぶ零式艦上戦闘機 【前編】

「あんそく」:やる夫で学ぶ零式艦上戦闘機 【中編】

「あんそく」:やる夫で学ぶ零式艦上戦闘機 【後編】

零式艦上戦闘機計器板

『海軍零戦隊撃墜戦記1 昭和18年2月〜7月,ガダルカナル撤退とポートダーウィンでの勝利』(梅本弘著,大日本絵画,2011.10)

 超速読.

 写真関連,日本側は特に目を見張るような写真無し.
 各飛行場のクリアーな写真は珍しいか.
 米軍の写真は未見のもの多し.

 文章,概ね予想していた通り.
 双方の記録を照らし合わせるいつもの本です.
 「おっ」と思った記述は,20mm旋回機銃装備の99艦爆.
 確定とまでは言わないが,零式水偵で20mm装備のは写真が残っているので,99艦爆で同じことをしていても不思議ではない.

 巻末には宮崎監督との対談があり,宮崎監督のご実家が,零戦の部品の組み合わせをする工場をされていたと知る.
 常識だったのかな?,これ.

 気になったのは,この本にはまえがきもあとがきもないこと.
 突然話が始まり,突然終わる.
 あって当たり前の物がないと,結構引っかかる.
 続巻が出るなら,この点配慮を.

――――――軍事板,2011/09/05(月)
青文字:加筆改修部分

『蒼空の航跡』(今泉利光述,久山忍著,産経新聞出版,2009.6)

 「当事者の記憶を元にライターが書いた本」だけど,零戦本として最近出た本の中じゃ,内容は非常に良かったよ.
 アジ歴の史料と事実関係を調べたが,資料抜け・記憶違いや順序違いはあったものの,まぁ誤差の範囲内で確かにフィリピンで零戦乗って迎撃や艦船攻撃に出撃しておられた.
 サムライのような無名のエースや歴戦の士官が出てきて,「なんだよ,その仮想戦記みたいな設定は(笑)」と思った部分も,ちゃんと該当する人物がいてびっくり・・・
 南中尉,江馬飛曹長,ともに残ってる行動調書に出てくるんだよな.

――――――軍事板,2010/02/11(木)

『祖父たちの零戦』(神立尚紀著,講談社,2010.7)

 後半が興味深くて一気に読んでしまった.
 どうも主題は後半の4章な気がする.

 B-32迎撃戦って,機上戦死出てたんだな.

――――――軍事板,2010/07/28(水)
 読了.
 いや面白いわ.
 真珠湾奇襲前の緊張した雰囲気を和らげようと,春画の個展を開く話は爆笑した.
 昔から日本人ってのは(笑

 戦後編は日本人の従軍記にありがちな,「生き延びてしまって戦友にすまない」的な雰囲気が漂ってて,ルデルの「急降下爆撃」のアッケラカンとした感覚との違いが印象的.

 こういう「割り切れない」気持ちってのは,日本に独特なのかなあ.
 敗戦→戦後教育っていう,社会の変化もあるんだろうけど.

-----------------軍事板,2011/11/02(水)

『ゼロ戦の秘密』(クリエイティブ・スイート編著,PHP文庫,2009/3)

――――――
 いつもご紹介している平藤清刀さんが,執筆に参加された本を紹介します.

■第1章は,零戦の実戦記録です.

 操縦士たちの「戦闘機乗り魂」が余すところなく表現されており,実に面白いですね.
 宇垣纏中将の特攻出撃で終わるこの章は,零戦・空戦方面から描いた「コンパクト大東亜戦史」ともいえる内容です.

 記述は詳細で,読み手の頭に現場の光景が浮かび上がるようです.
 文庫本なのに,ここまで「微に入り細に入った」深い表現がなされていることに少し驚いてます.

 おそらくこれは,書き手の「深くて広いリサーチ」と「軍事啓蒙への想い」の賜物でしょう.
 さすがは平藤さんと思わせる内容です.

 中でも面白かったのは,オーストラリア本土を攻撃した「ダーウィン上空での戦い」でした.
 マダガスカルとオーストラリアにわが帝国海軍の潜航艇が上陸したはなしを,ずいぶん以前にマガジンでご紹介しましたが,大東亜戦争時のオーストラリア方面作戦について,戦後日本が知るところは少ない気がします.
 この項を通じてひとつ知識を増やしていただきたいですね.

 戦争指導の誤りへの批判と,戦場で雄雄しく戦った先輩への誇りの念は立派に共存する.
 「両者をともに吸収し,昇華させ,教訓という果実を実らせて具体的に実践する」ことこそが大切なのだ,と改めて感じます.

 本章を読んでいると,フィクションを見ているかのような錯覚を覚えますが,すべて事実であることをあわせて銘記しておきます.

■第2章は,零戦を中心とする戦闘機カタログです.

 零戦各型,零戦と戦った敵戦闘機,一式陸攻,紫電改の図,スペック,簡単な説明が記されています.

■第3章は零戦の性能と開発にかかわる詳細な説明です.

 「空戦性能」と「航続距離」の2つの性能に優れた零戦は,ある時期まで世界一の戦闘機でした.
 そのことを技術面から詳しく解説しています.
 堀越さんを中核にした当時の開発陣のすばらしさも改めて感じます.

 開発に至る経緯も非常に興味深いです.
 「無茶な要求をする海軍」に応えた技術陣は,真の開発者魂を持っていたといえましょう.
 基本的に専門家というのは,「できない言い訳」をするものですからね.
 ブレイクスルーの事例としても非常に興味深いです.

 軍事力は国力そのものであることもよくわかりますね.

■第4章は,零戦にかかわった人物列伝です.

 次の各氏が紹介されています.

 大空のサムライ・坂井中尉,天下の浪人・岩本中尉,若き名パイロット・杉田少尉,エースパイロット・笹井少佐,海軍屈指のエース・西澤中尉,豪傑・杉野兵曹長,名隊長・横山中佐,戦略家・源田大佐,設計チームの中心人物・堀越二郎

■第5章は,零戦をめぐるよもやま話を紹介しています.

 Q&A的な位置づけですね.
 一般の方でしたら,零戦に関してお持ちの疑問はすべて解決するのではないでしょうか.
 実寸大の零戦を見ることができる施設の所在地も紹介されています.

 その後は,ブックガイド,映画ガイド,そして参考文献となっています.

■工芸品だった零戦

 「零戦は量産に向かない一種の工芸品だった」という言葉が文中に出てきます.
 これは実に意義深い言葉ですね.

 どこまでも美を追求するわが国民性を示した言葉といえるかもしれません.
 零戦は,そのすべてがあまりに美しすぎ,国家が戦に勝つための兵器としては失格だったのかもしれません.
 大東亜戦争から国民が汲むべき教訓のひとつかもしれません.

■オススメです

 文庫本なのに,零戦に関して事実上完結したこの本.
 一冊持っているだけで普通の方なら十分な内容です.

 費用対効果が極めて優れた本著を,オススメします.

――――――おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)3月18日

『太平洋航空大決戦 零式艦上戦闘機 歴史群像シリーズ』(学研パブリッシング,2012.4)

『本当にゼロ戦は名機だったのか』(碇義朗著,光人社NF文庫,2010.4)

 新しい史料の発掘やら,新しい解釈の流れに乗るために,このようなタイトルにしたのではないか?
 最後に掲載されている参考文献を確認すると分かるが,殆どが普通に手に入る一般書籍.
 参考文献の内容転載と,著者の経歴の中でインタビューした,関係者の証言で作った本.

・初陣の戦果に関しては従来の説のまま
・52型のマイナーチェンジの間の,栄の製造ミス事件の話が出てこない
・水メタノール噴射の解説で「酸素量を増やす」とあるが,これは「冷却による酸素密度の増加」では?
・巻末の参考文献で一次資料は操縦説明書くらいで昭和40年代刊行の零戦本が中心
・52型など後期の改造は,性能バランスを崩しダメになったと結論

 突っ込みどころを探しながら読むなら,時間つぶしになる本.

 ちなみに零戦に関しては,紫電改とか烈風とか後継機がシャンとしなかったことが,最大の不幸なんだろうけど .

――――――軍事板,2010/03/23(火)
青文字:加筆改修部分

『零戦 老兵の回想』(原田要著,桜の花出版,2011.12)

 蒼龍乗り組み,コロンボ空襲したときの話.
・フルマーは零戦より速い.
・ホーカーハリケーンも速い.

 あと,戦後まで生田さんがご存命で,叱咤激励してもらった話が,個人的には好みだった.

 あとでその本に出てくるチモール戦について調べたら,空挺部隊の戦死者は30人くらいで意外と少なく,現場で「全滅」と思ってても,数字を詰めると違ってて,戦場での実感というのもなかなか難しいものだと思った.

------------軍事板,2012/01/09(月)

『零戦開発物語』(小福田晧文 著/光人社NF文庫)

 同じ光人社NF文庫の『迎撃戦闘機 「雷電」』の中に小福田氏の名前が出てきたので,この本も買ってみたのだが,本の題名とは異なり,零戦だけでなく日本海軍の主な戦闘機開発の流れが載っている(10式艦上戦闘機〜烈風 他).
 著者が技術者ではなく,零戦をはじめ各種の戦闘機に搭乗して実際に戦ったパイロットなので,そうした戦争でのエピソードも面白い.
 また,海軍飛行実験部の主務者なども務めた事から,単なる戦闘機パイロット以上の視点で,飛行機について書かれているのも良い.

――――――軍事板
青文字:加筆改修部分

『零戦の誕生』(森史朗著,文春文庫,2005.8)

 この板に来る人なら,別に目新しいことは何もないと思う.

――――――軍事板,2010/06/19(土)
 かなり前読んだ.
 フラッター問題解決に尽力した松平精技師の写真があるが.凄いイケメンだったのを覚えている.
 若い頃の草刈正男をもっと優男にした感じ.
 零戦の話は有名なんで,細かくて良い本だと思ったけど,既知の話が多かった.

――――――軍事板,2010/01/08(金)
青文字:加筆改修部分

『零戦秘録 零式艦上戦闘機取扱説明書』(原勝洋編,ベストセラーズ,2001.7)

 名前の通り,零戦の各型の取扱説明書を復刻したもの.
 1944年に概説的な基準として,海軍が各型ごとに章分けしながら集成したものだそう.
 巻末には自動消火装置の説明書と,米軍が捕獲した52型を使用して,空戦研究を行った報告が付属している(英語)

 前に買った『B‐29操縦マニュアル』と比較してみると,こちらの方が運行・操縦のマニュアルに絞られていることもあるのだろうが,各課程ごとに図が入り,かつその図の中に人の絵が描かれているため,自分がどういう動作をすればいいのかというイメージが,しやすく感じられる.

――――――軍事板,2011/06/12(日)

 【質問】
 「ゼロ戦」って何? 3行で教えて!

 【回答】
 「ゼロ戦」こと「零式艦上戦闘機」は,太平洋戦争緒戦において,その空を制した優れた戦闘機でした.
 しかし後継機の開発が遅れたため,末期になっても使われ続け,初期の優れたパイロットも次第に失われて苦戦することとなりました.
 機体やエンジンの違いによる各種形式がありますが,初期の二一型と,後期の五二型が比較的有名です.

零戦各種
(画像掲示板より引用)

【ぐんじさんぎょう】,2013/07/25 20:00
を加筆改修


 【質問】
 清水政彦『零式艦上戦闘機』ってどう?
 従来の説に多く異を唱えてるけど.

 【回答】
 「零戦は無敵じゃない」スレッドで,
「20mm機関砲の説明で納得できないところがあるけど,良著だ」
って言われてましたよ.
 そこのスレッドで新通説と挙げられてるほとんどは,その本に書いてあることですし.

 納得できないのは,
・機体表面で爆発してしまうことが多いので,エンジンやパイロットを普通に貫通してれば致命傷を与えられるのに,それが難しい
・どこに当たってもダメージは与えられるが,実は致命傷を与えにくい武器
だと.

軍事板,2011/10/26(水)
青文字:加筆改修部分


 【珍説
 「ゼロ戦はパイロットの間でも親しまれていた愛称」というのは誤り.
 まず当時の日本人にゼロという言葉がなかった.
 それにモロ敵性語,一応部隊番号に英字は使われていたけど,海軍であっても士官以下が外語を使う事はなかった.
 軍事マニアなら,ゼロが戦後に始めて日本流布した事は誰でも知っている.

 【事実】
 公式の呼称は「レイセン」ですが,坂井三郎等パイロット達も,普通に「ゼロセン」と呼んでいたようです.
 「まず当時の日本人にゼロという言葉がなかった」というところからして間違いで,大きな図書館で戦前の文芸誌など読めば「ゼロ」は楽に見つかります.
 実際,昭和十九年十一月二十三日の朝日新聞にも,『荒鷲等からは零戦(ゼロセン)と呼び親しまれ』とあります.
 ちなみに零式観測機も,ほとんどの搭乗員が「ゼロ観」と呼んでいたようです.

(True/False ◆ItgMVQehA6他)

 以下引用.

●再刊に寄せて 坂井三郎

 最後に,「零戦」の読みについてお断りしておきたい.文中「零戦」と表記しているが,言うまでもなく漢字としての「零」はレイ,であってゼロという読みはできない.
 しかし,「零戦」はゼロセンなのである.

 もちろん制式採用当初の名称は,「零式艦上戦闘機」(レイシキ・カンジョウ・セントウキ)であり,多くの場合「レイシキセン」あるいは「レイセン」と呼ばれていたのは間違いない.

 しかし,空母や陸上部隊において「ゼロセン」の呼び方が使われていたことも事実であるので,ここでは一般的な呼び方として「ゼロセン」を採っている(原題もゼロ・ファイターであり,今や世界共通語でもある).

 この呼び方にかんしては,ゼロかレイかと気にする向きもあるようだが,現実には
「両方とも使われていたので,あまり気にする必要はない」
というのが正解ということになるだろう.
http://namiki-shobo.co.jp/war2/tachiyomi/ww2001.htm

オッポレ in FAQ BBS

 「海軍であっても,士官以下が外語を使う事はなかった」についても,例えば,阿川弘之氏はその著書の中で
「士官も下士官も使った日常語では,風呂がバス,ブリキ缶がチンケース,道具箱がギヤボックス,
色々あるけど,いずれにせよ,ことごとくが英語『みたいなもの』だから,戦争中世間に「敵性語廃止」の声が高くなっても,海軍は英語の全廃など到底出来なかった.(講談社刊『海軍こぼれ話』)」と書いておられます.
 阿川氏の考え方が海軍のメインだったかどうかはわかりませんが,こういう考え方の人たちがいたことは間違いないでしょう.

軍事板

 今から十数年前の夏,偶然にもS根K年氏とお話をする機会が御座いました.

 ちょうど「零戦燃ゆ」あたりを読んでいたわたくしが,
「ところで,堀越さんとしてはれーせんの防弾に対して・・・」
とか
「れーせんの沈頭鋲の効果というのは実際のところ?」
とか,うじゃうじゃ質問しておりましたところ,S根氏が急にわたくしの話をさえぎって
「ゼロ戦でいいですよ,ゼロ戦で.私ら,当時からそう呼んでましたから」
と言われましたことを鮮明に覚えております.

 ガキんちょが,さかしらぶって,ああだこうだ言うのにうんざりされたのかも知れません.

 まあ,造った人の一人がどっちでもいい,と仰るんだからどっちでもいいんでしょう.

 なお,海軍軍人の中で源田さんほど設計者の言うことを聞いてくれない人はいなかった,戦訓会議でも普通に喋ればいいのに,大声で威圧的に喋るからヤダった,と笑っておられました.

 S根氏も亡くなって3年になりますか.

びび in FAQ BBS


 【質問】
 ゼロ戦は,米英の様々な技術をパクって作られたと聞いたのですが,実際の所,どうだったのでしょうか?

 【回答】
 パクった部分もあれば,ライセンス生産した部分もあれば,輸入した技術に改良を加えた部分もある.

 パーツごとに見ると,
プロペラはハミルトン式のライセンス生産,
エンジンはプラット&ホイットニーの発展型,
引き込み脚はV-143の物の図面を参考に,
機銃はヴィッカースとエリコンのライセンス生産,
無線帰投方位測定器は戦前アメリカから輸入したもの.
 パクりじゃなくてちゃんと買ってるのもある.

軍事板,2009/06/28(日)
青文字:加筆改修部分

 また,ジュラルミンだが,少なくともWWIまではドイツ以外は作れなかった.
 海軍を造機中将で退役した石川登喜治は,WWI真っ只中のイギリス留学中に,墜落したツェッペリン飛行船の調査に同行し,サンプルを入手,日本に送るが,日本ではこれと同じものをつくることができなかった.

 戦後,海軍は「技術供与はできないが,製品は納入する」というドイツのメーカーと契約.
 石川を含む14名が,ドイツの工場に派遣された.
 このときに鍛造だの温度だのという冶金や加工の核心を,日本にドイツの工場にある設備と同じものを用意し,見聞きしたことを電報で伝え,追試できなければ何が悪いのかとまた探ると言う,非常な手間をかけて手に入れた.

 日本がジュラルミンを作れるようになったのは1929年ごろ.
 住友金属がジュラルミン製のカバンを,あちこちに配って宣伝していた.
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00077794&TYPE=HTML_FILE&POS=1

 まあ,それでも七試単戦ではアレだったんだけど.
 堀越二郎の本を読めば,金属強度の限界で分厚い主翼にならざる得なかった七試単戦で,どんだけ悔しい思いをしたかが判ると思う.

 とにかく,ドイツ企業との関係ので,ようやくジュラルミンの作り方を知った日本は,その後,独自に改良を加え,超ジュラルミンを九試艦戦で,そして超超ジュラルミンを十二試艦戦で使えることになる.
 ドイツ経由のジュラルミンが無ければ,零戦そのものが存在しないわけだ.
 これが10年くらいの間での話だから,ドイツ企業が日本海軍の話を蹴っていたりもたついていたりすると,日本製航空機というのは,強度の低い金属を構造材としたまま,戦争に突入するかもしれなかった.
 幸運だったと言ってよい.

ふみ in 軍事板,2009/06/28(日)
青文字:加筆改修部分

 それをパクリと呼ぶかどうかについては,疑問の余地もあるところ.
 改良に改良を重ねてもパクリ呼ばわりされるなら,この世の全ての飛行機はライト兄弟のパクリだ.

軍事板,2009/06/29(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 下記のHP(旧日本軍弱小列伝)で,零戦はグロスターF.5/34のパクリと書かれていたのですが,これってほんとなのでしょうか?

by mailform

 【回答】
 これへの回答は
「堀越技師の書いた本読め」
という1行で済ませてもいいですよね?

消印所沢

日本軍弱小列伝の中の人は,○○さんだと勝手に思っているのですが,それじゃあ敢えて,以下の意見を紹介しておこうと思いました.
http://www.warbirds.jp/ansq/12/A2003079.html
http://www.warbirds.jp/ansqn/logs/A001/A0005121.html

 これとかも使えますかね.

 内部構造云々は,グロスターF5/34が鋼管構造だと言われている事を指しているのだと思います.
 一方零戦は,セミモノコック構造ですよね.
 構造面で零戦は,ヴォートV-143のカウリングから排気管周りにかけた処理方法と引き込み脚の構造を,陸軍の97式戦闘機から主翼と胴体の接合部の構造を取込んでいるので,パクリ云々を言うなら,グロスターF5/34よりも,上記の二機を挙げた方が適していたと思います.

 デザイン面で言うと,機首から尾翼の方にかけてなだらかに機体を絞っていくのは,7試艦戦以来の伝統ですし,また旧日本軍弱小列伝に載っている3面図を見ると,主翼と水平尾翼の位置とサイズ比,垂直尾翼の位置やサイズ,主翼の取り付け角や捩じり下げの有無など,どうも零戦とグロスターF5/34とでは結構違っている様です.
 ただ,上記三面図はプラモ用の図面っぽいので,どこまで確かな事なのかは定かではないですが.

 零戦というか12試艦戦が,発動機を金星ではなく瑞星にした事を,F5/34のカウリングに合わせた為としていますが,同機に使用されたマーキュリー\は直径1.3mで,瑞星の1.1mよりも金星の1.2mの方が近い値です.

 あとパクリの「状況証拠」として,計画説明書提出(昭和13年4月)してから試作一号機(昭和14年3月)がわずか11カ月という値を挙げていますが,計画説明書は,これは昭和12年9月の「十二試艦上戦闘機計画要求書」発行や,その数ヶ月前に行われた同計画要求書の内示を受け,三菱側が延々と行った設計検討の結果を受けて行われたもので,要するに概略設計を終えた後に行われたデザイン・レビューです.
 11ヶ月で設計および試作1号機製作を終えたかの様な描写は,単なる印象操作に過ぎないと思います.

――日本近代史板

JSF

 F.5/34はださくたんのイラスト見て描いたことあるけど,あれと零戦が似てるという時点で「目が腐ってるのでは」と言わざるを.
 まぁ世の中には,見た目が似てるってだけで
「PS-1はP5Mのパクリ」
だとか言うやつも居りますが.
(挙句の果てに「PS-1はP5Mベース」)

 この,スケビに載ってた例のださくたんの蛇の目コラムでは
「外国機の中では,見た目とスペックでもっとも十二試艦戦に似ている」
と表現していたもっさ.
 十二試艦戦の化け物染みた航続距離には一応触れていたけど,15%にもなる空虚重量の差には気付いていなかったもっさりが.
 まぁ見た目でギャーギャー言う半可通には,C-130とC-133とベルファストとAn-12を並べて見せてやれば良いもっさり.

メッサー=ハルゼー

 プロペラが前についてて,エンジンがひとつで,主翼と尾翼がついてる!
 わぁ,ホントにそっくりですね!!!11!!!1

極東の名無し三等兵

 画像↓は,軍板で拾ってきました.

 これだけ,水平尾翼容積が違うと空力特性も結構違うでしょうねえ.
 後は,翼型の情報でもあれば面白いのですが.
 同じだったらパクリ疑惑が濃くなりますけど.

ゆきかぜまる

 水平尾翼の面積もそうですが,胴体が長く,取り付け位置がより後方,
 ここまで違うと,操縦特性はまるで違う飛行機の筈です.

JSF

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

▼ ちなみに『あっと驚く飛行機の話 新しい視線で眺めるWWU』(飯山幸伸著,光人社NF文庫,2008.5)によると,ヴォートV-143は元々,ノースロップ社が米陸海軍向けに設計した戦闘機(いずれも不採用)を,ヴォート社が購入,米陸軍への採用や外国への輸出を目的としたもの.
 結局はこれも米陸軍からは不採用になったものの,日本へ輸出された機体は主車輪の引き込み脚が参考になり,このことがヴォート社関係者による「ゼロはV-143のコピー」という主張の根拠になっているそうです.
(日本での採用は九六艦戦や九七戦との比較審査の結果,ボツ)

 本書では,「平面図なら零戦よりも隼の方が似ている印象」としており,また隼の独特の主翼の形状(前進も後退もしていない前縁からなっており,翼弦の最厚部は前進している)は,中島飛行機の小山技師長が考案したものである,と指摘しています.

 グロスターF.5/34は同社の複葉戦闘機グラディエーターからホーカー・ハリケーンやスーパーマリン・スピットファイヤの要求仕様にマッチさせたもの.
 単葉になった主翼はテーパー翼で,引き込み脚は後方への半引き込み式.
 また,開発・審査も零戦より先.

 しかし,零戦21型とは外見は兎も角(細かいところは見なかった事にして),
搭載エンジンの差(零戦21型の方が百馬力ほど出力が高い)
空力処理の違い(零戦21型の方が翼面積が1u強大きく,全部重量は40s弱軽い)
能力差(零戦21型は6000mまで7分27秒で最高速度533km/h.F.5/34は6100mまで11分,最高速度508q/h)
など指摘しています.(F.5/34は試作二機のみ)

 筆者の個人的な疑問なんだが,何でワザワザ外国の,それも「不採用機」をコピーせにゃならんのか.
 不採用になるにはそれなりの問題を抱えてる訳で,そんなのを如何こうしてもリソースの無駄な気がする.
 そもそも,V-143は兎も角,F.5/34は二機しか製作されていない訳で,そんな機体の情報を集める位なら,なぜ諸外国の航空エンジンの構造などの情報を集めないのだろうか.

 そもそも「零戦はF.5/34のコピーだ」という話,なんで出てきたんだろう?
 ていうか,本書の冒頭にこの三種類の飛行機の写真(零戦は32型だったが)があったけど,かすりもしてないほど似てないぞ.

 〔略〕

 この他に著者は零戦と「コンセプトが」似ている機体として十七試艦戦烈風とグラマンF8Fベアキャットを挙げています.
 特にベアキャットについては,零戦が当時の米海軍の主力戦闘機F6Fヘルキャットに対し,低高度での運動性や上昇力で勝っている事から,それに対抗するため機体のスケールダウンや軽量化を行っています.
(F6F-5:全幅13.05m 全長10.24m 全高3.99m 主翼面積31.03u 自重重量4,190s 最大離陸重量6,991s
F8F-1:全幅10.92m 全長8.61m 全高4.22m 主翼面積22.67u 自重重量3,207s 最大離陸重量5,873s)
(この数字はディアゴスティーニ社のワールドウェポンから)
 そして零戦と似ているベアキャットの特徴として,水滴型のキャノピーに覆われ胴体の一番高い所に置かれたコックピット,エンジンの大きさに合わせた極力小さな胴体,舵面の大きな尾翼,といった点を挙げています.
 そう言われれば,そんな風に見えてきた気が…(笑).

グンジ in mixi,2008年05月11日16:52

形状比較

軍事板

 【質問】
 〔上掲形状比較画像を見て,〕これむしろ「似てるなー」と思ったのは俺だけ?
 パクリとは言わなくても,「参考にした」程度の類似性は感じられた.
 特に飛行機や設計に詳しくない一般人なら,むしろその方が自然な印象じゃなかろうか…?

ぶり

 【回答】
 印象だけで断言するのは大問題ということです.並べている数値も全然足りないし.

>「参考にした」程度の類似性は感じられた.

 それを言い出したら,全ての航空機は既存の機体を「参考にし」ています.よほどエポックメイキングな機体以外は.
 ライトフライヤーでさえ「鳥を参考」にしています.

ゆきかぜまる in FAQ BBS

 見た目だけでパクリが成立するなら,例えば最近の双発旅客機なんてほとんどの人には区別無理だと思いますけど.
 330と767の写真を見せられてどっちって言われても,分かる人にはもちろんわかるでしょうけど,名前知ってるだけ程度の私には区別をつける自信はないです.

 こちらのサイトさま
http://www.lnet.ne.jp/~aaa/
の航空機写真ギャラリーよりA330とB767の写真でも.

http://www.lnet.ne.jp/~aaa/TEI0619M.jpg
http://www.lnet.ne.jp/~aaa/TEI0406M.jpg

 たいていの方には,零戦とF5/34より似てるように見えるのではないかと思いますが,でも私はこの両機がパクり関係にあるというようなお話は聞いたことがないのですよね.

 要するに,構成要素が似通っていると,外見的にもある程度近くなるのは物理的にしょうがないわけで.でも,だからといってそれが即パクリの証拠にはなりません.

 零式艦戦とF5/34では構造的な差のほうが顕著ですね,主翼の桁構造とか全然違います.
 F5/34の正確な構造は知らないのですが,図を見る限り単桁−前縁でのD型トーションボックスか前桁−主桁トーションボックス構造で捩れ荷重を受け持ってます(主桁の後ろに大穴空けてタイヤ収納してるのがその証拠).
 対して零戦のほうは,主桁−後桁でトーションボックスを形成して,タイヤは主桁の前に納める方式.
 P-51の主桁構造と同じですね,
 そのせいか,主桁はあの時期の飛行機としてはわりと後ろ目.

 以上の差がありますから,主翼は同じように見えたとしても荷重分布とか,それに対応するための部材の配置やそのための計算はかなり違うと思います.
 そこまで違うものにするなら,構造パクって手直しするより,自力で設計したほうが早いんじゃないかと.
 それ以外に,主脚ですとか尾部構造もかなり違いますし(当然各部材の強度や接続方法も全然違う),性能的な面でもサイズはもちろん搭載量とか航続距離とかかなり違いますからねー.

 あと,見た目だけなら多分イタリアの単葉空冷機のほうが似てると思います.

えくれあ in FAQ BBS

>よほどエポックメイキングな機体以外

 リピッシュ博士のことかぁぁぁぁ?


 【質問】
>名前知ってるだけ程度の私には区別をつける自信はないです.

 この1文と後半の詳しい解説が全然一致してない気が…
 前半では素人を装いながら,でも後半のパクリ否定ではいきなり専門家のような話を始めてるし…

 別にパクリ説やそのサイトを全部肯定する気もないのですが,でも否定論者の言ってることも,まず否定有りきでバイアス掛かりすぎのような気がします.

ぶり in FAQ BBS

 【回答】
 えくれあ氏が「名前を知っている程度」とした対象は,旅客機のエアバスA330とボーイングB767の筈でしょう.
 後半のパクリ否定は零戦とF5/34,P-51の話です.

>でも否定論者の言ってることも,まず否定有りきでバイアス掛かりすぎのような気がします.

 否定有りきも何も,実際に間違ってるのだからしょうがないのでは?

JSF in FAQ BBS

 また,航空機の構造について高い知見を有することと,個々の機種の特徴を覚えていることとを両立させる必要性も必然性も全く無いのであるが.
 そもそも民間旅客機など興味の無い人間にとっては,その程度のものでしかない,としか当方は当該文章から読み取れない.
 それと具体的に指摘できないのであれば

>まず否定有りきでバイアス掛かりすぎのような気がします.

などと印象操作と看做されても仕方の無いことを書くべきではないな.

 妥当性を欠いた見解が根本から否定された,
 ただそれだけ.

CHF in FAQ BBS

 直上のえくれあ氏による書き込み含め,本項目に収録されている否定論は技術的見地から見たものであり,バイアスのかかる余地なぞ一切ありません.
 むしろ,件のサイト管理人(とその記述を鵜呑みにする人々)こそ,客観的・技術的観点から論ずることを忘れていることからして酷いバイアスをかけた見方をしていると言えます.

ゆきかぜまる in FAQ BBS

 いえいえ,自分もわかりにくい文章だったかもしれません.

 前段のほうですが,ある二つの製品を「詳しくない人が似ていると感じること」自体と,その二つの製品の間の関係(この場合はパクリがあったかどうか)には,直接の関連性はなにもない,という意味合いのことを言いたかったのです.
 エアバスA330とボーイング767を例に挙げたつもりでしたが,別に車でヴィッツとフィットが似てるとか,カメラのニコンとライカは似てるとか,日立と東芝のDVDレコーダーは似てるとか,そう感じる人がいても全然不思議ではないと思います.
 でも,似てると感じる人がいても,その間に技術的な相関やパクリがあったかどうかは,まったく異なる問題であることはおわかりになろうかと思います.
 私自身,いま例に挙げた3つはやはり区別つきません(笑).
 でも,区別が付かないもの=パクりであると即断するのは間違いであると思います.

 後段については余談に近いものです.

 私自身は技術工学的な知識はほとんどありません.趣味誌や趣味本を眺めているだけです.
 それでも数冊,丹念に読んでいくと,ああ当時こういう手法が知られていたんだな,こういう手法を試してみたんだなということはなんとなくわかりますし,そうした知識や理解を前提に眺めてみると,後段で書いたような違いも浮かんでくるよ,ということです.
 似ていると思ったら,じゃあどこが似ていてどこが違うのか,なぜ似ていてなぜ違うのか,それを探ってみるのもこの趣味の一つの楽しみです.
 似てるという印象をパクりと一言で言ってしまうのは楽ではあるし,一刀両断してしまえば気持ちよくもありますが,それは同時に思考停止を誘発する言葉でもあります.
 思考停止は,技術とかその辺りの趣味を掘り下げる楽しみをスポイルする,それは残念なことですよ.
 知る楽しみ,理解する楽しみというのは実にスリリングで楽しいものです.

 なお,私自身は「F5/34を参考にした」説にも否定的です.
 なぜなら,せいぜい写真くらいしか手に入らなかったF5/34よりも,手元に自由に扱える参考製品を当時の日本はいくつか持っているからです.
 結果的にF5/34に似た何かが出来たとしても,最初からわざわざF5/34に似せなければいけない理由は何も見当たりませんし,
 である以上,パクりが成立する必然性そのものがそもそも薄いと思います.

えくれあ in FAQ BBS

<他にもまだまだある日本軍パクリ疑惑!!>

戦艦長門は40cm砲を積んでるからコロラド級のパクリ!


日本の軍用犬はジャーマン・シェパードのパクリ!


「金曜カレー」は猫のパクリ!

 【質問】
 問題のグロスターF5/34って,どういう飛行機?

 【回答】
 グラディエーターの後継機として開発した戦闘機.
 そう言われてみれば,グラディエーターを単葉に改めた感もなくはないね.
 主脚は半引き込み式で,下の図を見ても分かるように,飛行中はタイヤがちょっとだけ顔を出している.

 全長9.69m
 全幅11.6m
 全備重量1.2t
 エンジンはブリストル・マーキュリーmk.9で825hpだから,初期の零戦よりさらに非力.
 最大速度490km/h
 実用上昇限度9800m

 必殺技はF5攻撃(うそ)

 採用されませんでしたとさ.


 【質問】
 零戦の生産数は?

 【回答】
 零戦の生産量(昭和19年2月まで)
 秋本実氏の「日本軍用機航空戦全史」が基礎資料.

            三菱                   中島
            21型  32型  22型  52型  21型
昭和15年11月  16機
       12月  19機
昭和16年 1月  23機
        2月  23機
        3月  30機
        4月  27機
        5月  30機
        6月  25機
        7月  24機
        8月  30機
        9月  33機
       10月  43機
       11月  52機                     1機
       12月  60機                     5機
昭和17年 1月  59機                    19機
        2月  58機                    21機
        3月  55機                    23機
        4月  54機                    22機
        5月  58機                    28機
        6月  21機  24機              29機
        7月        46機              41機
        8月        51機              52機
        9月        64機              62機
       10月        65機              72機
       11月        67機              80機
       12月        23機  46機        96機
昭和18年 1月              68機        89機
        2月              69機       100機
        3月              73機       112機
        4月              73機       120機
        5月              72機       126機
        6月              77機       132機
        7月               9機       146機
        8月                    76機 156機
        9月                    93機 170機
       10月                   105機 182機
       11月                   109機 202機
       12月                   130機 225機
昭和19年 1月                   125機 238機
        2月                   108機  79機

 なお,中島では昭和19年2月以降,52型の生産が開始.
 その2月の(21+52)の生産量と3月以降の分は,別スレッドにて後日補完してますので後ほど.

零戦月別生産量
         三菱   中島
41年 1月  23機    0機
     2月  23機    0機
     3月  30機    0機
     4月  27機    0機
     5月  30機    0機
     6月  26機    0機
     7月  25機    0機
     8月  30機    0機
     9月  33機    0機
    10月  43機    0機
    11月  52機    1機
    12月  60機    6機

42年 1月  60機   19機
     2月  58機   22機
     3月  55機   35機
     4月  54機   22機
     5月  58機   28機
     6月  45機   29機
     7月  46機   41機
     8月  51機   52機
     9月  64機   62機
    10月  65機   72機
    11月  67機   80機
    12月  69機   96機

43年 1月  68機   89機
     2月  69機  100機
     3月  73機  112機
     4月  73機  120機
     5月  73機  126機
     6月  73機  132機
     7月  77機  146機
     8月  85機  156機
     9月  93機  170機
    10月 105機  182機
    11月 110機  202機
    12月 130機  225機

44年 1月 125機  238機
     2月 115機  154機
     3月 105機  271機
     4月 100機  230機
     5月  95機  232機
     6月 100機  200機
     7月 115機  163機
     8月 135機  232機
     9月 135機  245機
    10月 145機  194機
    11月 115機  109機
    12月  62機  206機

45年 1月  35機  216機
     2月  59機  108機
     3月  40機  207機
     4月  37機  230機
     5月  38機  247機
     6月  23機  185機
     7月  15機  138機
     8月  52機   85機

 出典は米国戦略爆撃調査団報告書.

ゆうか ◆9a1boPv5wk in FAQ BBS
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 3DCGで零戦21型の透視図を作りたいと思っています.
 機体本体やにフレームついては,図面などそこそこの資料が見つかりますが,栄12型のモデリングの参考になる資料を見つけられません.
 栄12型の図面などが載っている書籍ってないでしょうか?

 【回答】
 外形写真+アルファ程度でいいなら,「丸メカニック」あたりにある.

 現在入手可能で,大体のイメージがわかり,簡易なものでもOKなら,
●双葉社の3DCGシリーズ「零戦」
●学研の歴史群像<太平洋戦史スペシャル>Vol.2『決定版 零式艦上戦闘機』
あたりでいかがか?
 他には丸や航空雑誌のバックナンバー,国産航空エンジン史みたいな書籍もあるにはあるが,探すのに苦労すると思う.
 神田の篠村書店,菅村書店,文華堂あたりも廻ってみてくれ.

 動作機構や細部まで知りたければ,恵比寿の防衛図書館か,神奈川の第二術科学校図書館あたりに行って,栄エンジンのマニュアル現物を拝んでくればよいと思う.
 防衛図書館なら複写も出来る.

軍事板,2011/10/25(火)〜10/26(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 52型以降の三菱製と中島製零戦の区別の仕方が分かりません,

 【回答】
 水平尾翼下の塗り分けが違う.
 主翼後端のラインから水平尾翼の高さまでまで下面色が上がっているのが中島製.
 主翼後端のラインから尾輪まで真っ直ぐなラインなのが三菱製.

軍事板


 【質問】
 零戦に関することなんですが,よく工場から出荷時に牛車で引いて飛行場まで運んだとの記述を見かけるのですが,これは三菱製,中島製をとわずなのでしょうか?
 またそんな事をしなくても工場敷地内に滑走路を,用意しておけば,機体,エンジンの慣らしが終わった段階で部隊へそのまま納品できると思うのですがしなかったのは何か理由があるのでしょうか?

 【回答】
 牛車を用いたのは三菱の工場だけです.
 中島の工場はクルップとかライトの工場を参考に造られています.
 ドイツなどでは,防空上の理由で,工場を秘匿することを最優先として,隣接する場所に滑走路は無く,完成機は最終組立所まで鉄道で運ばれ,組立て,試験し,前線に送っています.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板


 【質問】

ゼロ戦のエンジンに用いられているボールベアリングの精度は, 現在の日本が作ったパチンコの玉以下
ttp://www.satotekkou.co.jp/technical/steel_jis.php

……なのですか?

 【回答】
 相手にすべきじゃないのは分かっているのだが…,かつてベアリング会社の禄を食んだ身としては,これは看過できない.

 現代のパチンコ玉はJISの鋼球規格にしたがって作られているわけだが,1940年当時,真球度0.25(単位:μm − 鋼球一個を地球直径にまで拡大した場合で富士山程度の凹凸に相当)のベアリングを量産出来ていた国がどこにあったのかと.
 つか,パチンコ玉一個製造するのにどれだけ高度な技術が投入されていると思っておるのだ,

>「ゼロ戦のエンジンに用いられているボールベアリングの精度は,
>現在の日本が作ったパチンコの玉以下」

ってのは,技術史ってものを理解していない物言いだな.
 そもそも計測機器が貧弱で,そんな精度のベアリングなんざ,もし作れても計測できんがな.

ニュース極東板

 ただし,今のパチンコ球の精度はともかくとして,当時の日本のボールベアリングの品質はかなりひどかったと聞いています.
 精度の点もありますが,強度や耐久性もいちじるしく問題があったそうです.
 なにしろ戦闘機どころか,自転車部品のベアリングでさえ輸入にたよっていたという話もありますから.

東部戦線

 質問内のリンク先で問題なのは,測定器具や生産後術といったインフラが比べ物にならないくらい発達した現在と,精々マイクロゲージ程度のものしかなかった当時とを比較している点でしょう.
 これでは酷い印象操作でしかありません.
 これが当時の米国のベアリングとでも比べていたら,まだ学問的にも価値がある比較でしたし,ここまで叩かれることも無かったでしょう.

ゆきかぜまる

 ベアリングについてはこれが.

http://mltr.free100.tv/faq08n.html#06061
>欧州SKS製のそれに比べると凡そ10倍も精度が悪いものでした.

JSF

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


 【質問】
 うちのじいさんは昔,日本海軍のパイロットとして零戦に搭乗してたらしく,零戦は名機だったと話してくれますが,私はわかりません.
 零戦はそんなにすごかったのでしょうか?
 また,そんな名機を保持していた日本がなぜ戦争に敗けたのでしょうか?

 【回答】
 世界水準の戦闘機を一機種開発出来ただけで世界大戦に勝てる程,あの戦争は甘くはないのです.
 あの時代の航空機の進歩は日進月歩ですが,零戦を生んだ日本には諸外国のその進歩についていけるだけの国力を持たなかったのです.

 確かに零戦は登場時こそ「神秘的」と称されるほど,日本機を過小評価していた連合軍側を驚かせるだけの性能を持っていました.
 当時の米空軍のパイロットの規定の中に自分の判断で逃げる際の判断の基準のなかに「ゼロと遭遇したときと」というのがあったそうです.

 しかし非力なエンジンを極端な軽量化で補った機体は,性能向上の余地が少なく,また日本の国力では零戦のさらなる能力向上やその後継機の出現も果たせませんでした.
 太平洋戦争がはじまって緒戦こそは性能的な優位に立てましたが(昭和17年中期ごろまで),連合軍側が緒戦のショック状態から立ち直って組織的な反撃をする頃になると,それまでの無敵神話(これもかなり怪しいのですが)は影を潜め,最初は量で,最後には量と質の両方で零戦は連合軍の戦闘機に圧倒されて,日本の敗北と共に姿を消しました.
 性能では,海軍のF4Fで同じくらいの性能に追いつかれそうになって,F6Fで突き放されました.

 太平洋戦争を始められたのは零戦があったから・・・とも言われますが,戦争を勝利で終わらせる程の力は,日本の国力と共にあの戦闘機にもありませんでした.

軍事板


 【質問】
 戦前の零戦は,どこの何という部隊に所属していたのですか?

 【回答】
 自動車の中にプリウスだの何だのとモデル名称があるように,零戦も,戦闘機というジャンルの中の一つのモデル名称に過ぎません.
 零戦は,正式には零式艦上戦闘機と言いまして,零式が名前.
 艦上と言うのは軍艦(空母)で運用する戦闘機,と言う意味です.
 ミリタリー用語で戦闘機とは,主に空対空戦闘(相手の飛行機を打ち落とす)を主とする軍用機.
(他にも爆撃する爆撃機,偵察する偵察機,魚雷攻撃する雷撃機などがあります)

 ですので,零戦は海軍の空母の戦闘機部隊に配備されています.
 昭和14年9月半ばに1号機が海軍に引き渡され,横須賀海軍航空隊の手に.
 15年7月半ばに各種の実用試験が終了.
 第十二航空隊へ配備,直ちに漢口へ移動し訓練及び試験.
 9月に華南の第十四航空隊へ配備,サイゴンへ移動.
 その後,各部隊へ配備されたようです.
(さらにその後,零戦は各戦線に行き渡り,陸上の部隊にも配備されました)

軍事板,2003/12/10
青文字:加筆改修部分

空母「瑞鶴」航空隊所属の零戦二一型
251空(基地航空隊)所属の零戦

零戦以外にも,様々な戦闘機があります.これはF4U「コルセア」戦闘機
現代の戦闘機,F-22「ラプター」

(以上,画像掲示板より引用)


 【質問】
 大戦初期,米軍が「ゼロを見たら逃げろ」みたいなことを指示?していたという話をよく聞くのですが,それを裏付ける米軍の命令書みたいなものが存在するのでしょうか?
 調べてみても,ウイリアム・グリーンなど,伝聞みたいなものしか見つからなかったのです.

ヨッチ

 【回答】
 「逃げろ」ではなく,「格闘を避けろ」の,ソースっぽいものは見つけたけど,英文だと思ったほどヒットしません.
 検索の仕方が悪いのか,そんな事実は無いのか……
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/3853/zero/zero1.htm
http://www.aviation-history.com/mitsubishi/zero.html

極東の名無し三等兵

 記憶モードで恐縮ですが,1980年代初頭の航空ファン誌に,R.C.ミケシュさんだったかの書いた連載もの,「零戦に対抗する米軍の戦術」みたいな記事があって,その第1回目か2回目かに,ゼロを見たら…と言うのがあったと思います.
 最終的に,サッチウェーブとか一撃離脱での空戦を行えと言うマニュアルが出来て…と言うものだったか,と.

 しかし,この頃の航空ファンが全部,埋め立て地でゴミの山に埋もれたのは正直痛かったり.

眠い人 ◆gQikaJHtf2

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

▼ 冨永謙吾(元防衛庁戦史編纂官,海軍中佐)氏の『米軍の日本海軍航空論評』にある,『二,零戦の評価』で,以下の様に書かれています.

 以下引用

――――――
  ダイダリアンが語る零戦の対策

 一九七一年(昭和四十六年),米軍の航空機搭乗員の会ダイダリアン(Daedalians)に招待された坂井三郎中尉(昭和八年志願兵,第三十八期操縦練習生)等八名が米側会員から聞いたところによると,
(中略)
空中戦で逃げてよい場面は,零戦に遭遇した時と積乱雲に出くわした時だけである.
――――――

 あと,零戦対策については,ヘンリー・キース氏の『生きている零戦』(経済往来社,1978)の要約文によれば,

以下引用――――――

(1),零戦とはドッグファイト(格闘戦)を絶対企てるな.
(2),時速三○○マイル(四八○km)以下では,敵の背後にいる以外,絶対零戦を誘い込むな.
(3),低速で上昇中の零戦には絶対付くな.
――――――

という三項目の絶対禁止事項が,航空部隊に通達されたようです.

名無し三等兵 in FAQ BBS


 【質問】
 熟練搭乗員の中には
「1対1なら,相手がF6Fでも零戦は負けん」
と豪語した人もいたそうだけど,実際はどうだったの?

 【回答】
 そう言った「名人芸」気質に頼る当たりが日本の弱点です.
 陸軍も手動式の三八式歩兵銃を
「米軍の自動小銃に比べ連射性能が落ちるが,訓練の行き届いた兵ならそれ程の差はない」
なんて言って使っていました.
 東郷さんの言った「一発必中の砲一門は100発1中の砲百門に勝る」と言うのと同じ思想です.
 たとえ多少命中率,破壊力が落ちても新人を含め,誰もが簡単に扱って結果が得られる武器,これが理想です.

 そう言った意味では22型以降の零戦は,米軍F6F等に劣っていたと言わざるを得ないでしょう.

 延伸性の高い13mm機銃が付いていれば,少量の大口径弾を遠距離(無効弾)からばらまいてしまう愚は犯さなかった可能性があります.

 しかし,日本は貧乏国だったので,そう言った発想はあっても実現は困難だったでしょう.
 陸軍に100式機関短銃が最後まで実用的に行き渡らなかったのと同じです.

軍事板


 【質問】
 零戦は,パイロットが乗りこなせるようになるまでに時間のかかる,職人芸を必要とする機体だったのですか?

 【回答】
 職人芸がどうのはともかく,零戦はその特性を生かせるようになるまでには時間がかかる機体であったのは事実でしょう.

 単純に飛ばせるようになるという意味での習熟までの必要時間が短くても,あまり意味はない.戦闘機である限り戦力といえるまでに習熟する必要がある.
 つまり,敵を撃墜できるほど上達しないといけない.

 その点で格闘戦用機の場合,搭乗員は当然のことながら格闘戦において,自力で敵を撃墜できるレベルまで技術を上げないと戦力とはいえない.
 それに対して,一撃離脱用機の場合戦場で「編隊として」戦えるのでベテランパイロットと組めば,そこそこの人でも戦力となりえる.
 たしかに,どういう特性の機体であれエース級になるには才能と時間が必要でしょう.
 ただ,格闘戦の場合,新米はエース級の人についていくことすらできない.
 一撃離脱戦ならば新米はエースについていけばなんとかなる.

 そういう意味で,「零戦は習熟するのに時間がかかる機体であった」というのは間違ってないと思いますよ.

軍事板

一撃離脱専用零戦

(嘘)

 【質問】
 それは,零戦は操縦性が悪かったってこと?

 【回答】
 いいえ,むしろ練習機からの乗り換えも比較的楽な,操縦性に優れた飛行機でした.
 零戦はどんなパイロットが乗ってもそれなりに動く機体だったそうです.
 雷電や紫電改のように「恐ろしい,乗りにくい,操縦性が悪い」という評判がでなっかたそうですから,
 詳しくは朝日ソノラマの文庫本に雷電について書かれた本がありますので参照にして下さい.
 しかし,名パイロットであっても機体の能力以上のことはできません.
 空戦方法に一番の問題があったのではないでしょうか.

 しかしながら,操縦性がいいというのと格闘戦ができるというのは全くの別問題でしょう.
 格闘戦の技能はどう考えても「職人芸」です.
 つまり格闘戦に特化した零戦は,やはり職人芸ヒコーキと言わざるを得ないでしょう.
 降下限界の低さから一撃離脱戦法に切り替えるのも無理があったでしょうし,やはりパイロットも込みで戦力になる戦闘用の航空機としては問題があると思います.

軍事板

 坂井三郎が言うには
「零戦は,非常に離着陸がやりやすく操縦しやすい機体なので,技量の低いパイロットでも飛ばせた」

 これが,Me109 とかだと大変.
 日本では非常に扱いにくかったという評判の雷電が,アメリカのテストでは扱いやすく飛ばしやすいと評価されているくらいから, 重くて操縦性の悪いアメリカの機体に比べれば,日本の機体は,とんでもなく操縦しやすかったということだね.

 そもそも十二試艦戦の設計要項項目の中にも,「離着陸が容易のこと」と書いてあるし.

軍事板


 【質問】
 零戦には弱点はなかったの?

 【回答】
 零戦の弱点としては……

*武装が貧弱
 20mmは初速が遅く携行弾数が少なく,副武装の7.7mmは威力不足.
 登場時点で並み,太平洋戦争がはじまった時点では並み以下.

*防弾無し
 要求仕様になかったのと非力なエンジンのせいで実施する余裕なし.

*横転性能が悪い
 旋回性能を重視して大面積の補助翼を採用した事,主翼の剛性不足により,零戦の最大速度付近では事実上,横転操作が不可能.
 (従って零戦の優れた格闘戦能力は低中速域のみ)

*急降下性能が悪い
 連合軍機の後ろについてもダイブで逃げられると零戦は追尾できない.
 逆に零戦がダイブで不利な状況を脱しようとしてもそれが出来ない.

*無線機が使えない(これは零戦だけではない)
 無線は積んでいただノイズばかりで役に立たず,重量軽減の為に降ろし,アンテナをノコギリで切った逸話があり.
 単機格闘戦から編隊戦闘に移行した第二次大戦では,空中無線電話の果たす役割は大きい,
 日本の場合はこれに逆行している.

 上記弱点を補うべく改造型も作られたらが,エンジンの出力増加が伴わず,改造する毎に重くなるばかりで,初期の素晴らしい格闘性能は,後期型になる程失われていきます.
 最後には,
「零戦もこんなになったか」
と,生き残りの熟練搭乗員に嘆かれる事になりました.

 上記の弱点の他に,軍の格闘戦重視思考が足を引っ張っています.
 高速を利して,遠距離から13mm機銃を束にして(6−8丁)弾を撃ち込んでくる米英軍に対し,我が国は格闘戦で相手の後ろについて,20mm機銃を名人芸的に撃ち込んで戦おうとしました.
 これでは勝負になりません.
 我が国は小回りの利き,小型のエンジンで,防弾,通信等の安全装備を犠牲にしました.
 米英軍は高速安定性,大型のエンジン(我が国の倍),搭乗員保護生還性の確保を行いました.

 この差に加え,生産性,定期的な休養を与える乗員管理,救難体制の充実などが大きな差となっています.
 円錐状の尾部,
 これでもかっちゅうくらいある軽め穴等.
 軍部に量産コスト(主に人件費)という意識がどれほどあったのかも疑問です.

 ちなみに,我が国とアメリカの乗用車の設計思想に似たところがあるような気がします.
 最近はそうでもないけど<安全装備.

 ただし,零戦の欠点と言われるモノはすべて「ないものねだり」です.
 大馬力エンジンもないのに,高速高搭載量重防御は望めません.
 陸攻を守るのには随伴する戦闘機が必要で,攻撃機に比べれば戦闘機の「防御」についての要求度は下がります.
 高空性能が悪いのは,栄を作った中島のせいですが,オクタン価の低い燃料では圧縮比もブーストも上げられません.与圧室技術もなかったし重いです.

 零戦のポイントは「1000馬力エンジンを搭載して極限までの運動生,航続距離,速度(F-4Fより速い),搭載量(20mmx2@`7.7mmx2は立派)」という点です.
 2000馬力級の欧米機と比較するのは酷です.
 非力なエンジンとそれをおいそれと向上出来ない日本の国力では,「零戦」は,当時の日本が得られる最良の戦闘機でした.
 だからといって「それを世界」の戦闘機と比較すると,最良の戦闘機であったかは別問題です.

 零戦は日本が生んだ名機ですが,同時に日本の限界を示した機体でもあります.

要するに,こんな感じの華奢な戦闘機ということかと……

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 ゼロ戦は防弾性能は無視しても,機体構造を強化して急降下を可能にしておけば,弱点は防弾の不備だけの名機になっていましたよね?

▼ 【回答】
 まず,零戦は制限速度以上での急降下”も”可能です.
 制限はあくまでも“その範囲なら壊れない”目安であって,それを超えたらすぐに壊れるわけではありません.
 今回の場合,速度制限より,速度が早くなるにつれて重くなっていく舵の方が問題で,600km/h以上だと,操縦が困難になります.
 また,ロール遅いため,急降下などへ移る際の初動が鈍い,また,翼面荷重が低いので,降下時の加速が遅いなどの問題が別に存在します.
 結局のところ,制限速度は,いくつかある弱点の一つに過ぎません.

 すべての弱点を直す,というのは不可能です.
 例えば,制限速度を向上させれば,機体重量がかさみます.
 高速時の機動を優先すれば,低速時の機動で不満が出ます.
 このように,飛行機の性能はポイント制であって,どのようにポイントをふっていくかの問題でありました.

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年04月27日 03:22

 急降下に関しては,ゼロ戦は耐えられるほどの強化を持っていました.
 川崎での急降下試験においても,堀越タンの「計算どおり」に900キロ強の速度に耐えられました.


 しかし,問題はその後で起こりました.
 試験機が実験終了後に速度を落として機体を引き上げたとき,突如空中分解を起こしたのです.
 上昇に転じたとき分解したので,地上の人間からは打ち上げ花火のように見えたそうです.

「なぜ速度を落としたのに分解したのか」
 これは堀越タンにとって予想外の出来事でした.
 堀越タンは超一流の技術者でしたが,科学者ではありませんでした.
 その頃はアメリカ様との学問的交流を絶たれていたため,技術はパクれても理論はパクれませんでした.


 実は彼も知らなかった流体力学による最新理論によると,高速飛行中の機体の挙動においては,猫大好きカルカン渦が生じてしまい,開缶のときの「キュパッ!」の音に反応する猫たちがまとわりつくように,空気の乱れた流れによって生じた真空状態が,機体にダメージを与えるのです.

 そのことを考慮すると,堀越タンの計算値は理論値より大幅にずれてしまうのです.
 しかし自分の計算が間違っていたことに,彼は終戦後になるまで気がつきませんでした.
 やむを得ず堀越タンは開発ノートに,「機体の欠陥未解決」と書き残すしかなかったのです.

ふみ in 軍事板,2010/03/22(月)
青文字:加筆改修部分

 【反論】
 上記回答(削除済みの箇所)は誤りですね.いろいろ.
 戦中に空力的な問題は理解されて,戦闘機・急降下を行なう爆撃機を優先的に制限速度の検証が行われています.
 機体の再設計はされて居ませんが,国家レベルでは研究と対処が行われています.

 また,こうした研究は国家(もしくは軍の)航空技術研究組織が行なうことはむしろ効率的な方法で,堀越技師が個人で航空機が高速化したことで直面した最新の研究課題に無理解でも何ら問題は無いですね.

軍事板,2010/03/22(月)
青文字:加筆改修部分

※ どちらもソースがなく,真偽の判断がつかないので,とりあえず両論併記.

▼ 上記回答(削除済みの箇所)には,致命的な誤りがいくつかあります.

間違っている点

>試験機が実験終了後に速度を落として機体を引き上げたとき,突如空中分解を起こした

 試験機(二号機)の空中分解は,急降下中に発生しています.
 引き起こし後の空中分解事例は,二一型百四十号機と百三十五号機であり,試作機ではありません.
『零式戦闘機』 柳田邦男 文春文庫 該当部分)

>学問的交流を絶たれていたため,技術はパクれても理論はパクれませんでした.

 逆です.
 むしろ,フラッター対策については,
「海外の文献や方法に頼りすぎていた」
と松平技師が回想しているように,海外の文献,理論,研究の多くを参考にしていました.
 彼は続けて
「推定や概算で済ませた部分が多くあった.
 実際に自分の手で模型を作って,実験してみるべきであった」
と書いています.
『零式戦闘機』 柳田邦男 文春文庫 p393 要約)

>猫大好きカルカン渦が生じてしまい

 「カルカン渦」ではなく,「カルマン渦」です.
 英語で書けば「Karman Vortex」となります.

>高速飛行中の機体の挙動においては,猫大好きカルカン渦が生じてしまい

 カルマン渦は,流れが遅い状態(円柱の場合 Re=60〜5000)でも発生します.
 「高速飛行中の機体の挙動」などと限定するのは誤りです.
『水力学』 富田幸雄 実教出版 p53 要約)

>空気の乱れた流れによって生じた真空状態が,機体にダメージを与えるのです.

 カルマン渦では,圧力の低い部分は生じますが,通常,真空は生じません.
▼また,機体を破損させるのは,真空ではなく,カルマン渦列によって発生する振動,および共振現象です.
 また,機体を破損させるのは,真空ではなく,カルマン渦列によって発生する振動,および自励振動です.▲

>実は彼も知らなかった流体力学による最新理論によると

 カルマン渦列の発見は,1911年です.
 ▼カルマン渦列による共振現象は,「タコマ橋の崩落」などにより1940年以降に注目されますが,それは流体力学ではなく,振動工学や材料力学の範疇ですね.
 カルマン渦列による自励振動は,「タコマ橋の崩落」などにより1940年以降に注目されますが,それは流体力学ではなく,振動工学や材料力学の範疇ですね.▲

>開発ノートに,「機体の欠陥未解決」と書き残すしかなかった

 零戦の三件の空中分解事故の原因は,いずれも明らかになっています.
 一件目は昇降舵マスバランス,あとの二つは,主翼ねじれと補助翼フラッターです.
 これらはすぐに対策が取られて,(1941年6月)以後,同様の空中分解はおこっていません.
『零式戦闘機』 柳田邦男 文春文庫 該当部分)

 ということで,あまりにも誤りが多いので回答を差し替えた方が良いと思います.
 また,上述誤りに関しては,正直,あまりに酷い(少なくとも技術的素養のある人間が書いたものではない)ので,“珍説”扱いにするのが,最も簡単でかつ妥当だと思います.

 以下,差し替え文案.

「まず,零戦は制限速度以上での急降下”も”可能です.
 制限はあくまでも“その範囲なら壊れない”目安であって,それを超えたらすぐに壊れるわけではありません.
 今回の場合,速度制限より,速度が早くなるにつれて重くなっていく舵の方が問題で,600km/h以上だと,操縦が困難になります.
 また,ロール遅いため,急降下などへ移る際の初動が鈍い,また,翼面荷重が低いので,降下時の加速が遅いなどの問題が別に存在します.
 結局のところ,制限速度は,いくつかある弱点の一つに過ぎません.

 すべての弱点を直す,というのは不可能です.
 例えば,制限速度を向上させれば,機体重量がかさみます.
 高速時の機動を優先すれば,低速時の機動で不満が出ます.
 このように,飛行機の性能はポイント制であって,どのようにポイントをふっていくかの問題でありました」

極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年04月27日 03:21

※ なお,本サイトの2010.4.27現在の「珍説」認定要件に該当しないため,珍説扱いとはしませんでした.

編者

▼>「カルマン渦列による共振現象」
とありますが,タコマ橋やフラッタは共振ではなく自励振動です.
 共振とは,外から加えられる外乱の周波数が,系の固有振動数に一致してしまう場合の現象です.
 これに対し自励振動は,外乱が周期的でなくても起きてしまうことがある現象です.
 以下の動画は,A-6を使って実際に自励振動を起こさせた模様を撮影したものです.
http://www.youtube.com/watch?v=8D7YCCLGu5Y

HDK in FAQ BBS,2011/1/24(月) 0:6
青文字:加筆改修部分

 その文章を書いた人間です.
 訂正ありがとうございます.
 おっしゃるとおり,正確には「自励振動」でありました.

 当該項目に「共振現象」と書かれた部分が2箇所ありますが,これを「自励振動」に差し替えていただけると助かります.

極東の名無し三等兵 in FAQ BBS,2011/1/25(火) 14:45
青文字:加筆改修部分

▼ 著者の方,レスポンスありがとうございました.
 えらそうに申し訳ありません.
 youtubeでflutterをキーワードにして調べるといろいろと見つかりますね.
 B-747は圧巻ですね.
http://www.youtube.com/watch?v=ca4PgyBJAzM

HDK in FAQ BBS,2011/1/26(水) 16:24
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 零戦は軽量化のために防弾が皆無だったそうですが,開き直ってもっと重量を減らすことはできなかったのでしょうか?
 そうすれば運動性は更に向上したのではないのでしょうか?

 【回答】
 もとからギリギリでした.
 だって飛行テストで急降下したら,主翼もげて空中分解したんですよ.
 あれ以上軽量化(それこそ肉抜きと言うべき)してたらまともに飛行できないでしょう.
 急降下以前に普通に高速飛行してるだけで主翼がグワングワン歪んでますし.

軍事板


 【質問】
 大戦中,帝国海軍の零戦がダッチハーバーで被弾・墜落し,完全な形で米軍の手に渡ったことがありましたが,当時の敵側の主力機体の完全体を入手したことは,意義や戦局への影響も大きかったのですか?

 現代では,敵側に残骸などを鹵獲された場合を考慮し,機密や仕様が解析しづらいよう細工を施している場合もありますか?

 【回答】
 影響は非常に大きい.
 内部を解析することにより,敵側の技術水準がわかり,その後継機の性能予測がしやすくなる.
 さらには,ゼロ戦の場合と同じように飛行特性を試験することができ,現場へのアドバイスがやりやすくなる.

 現代の残骸からの解析だが,イラク戦のように,わざわざ攻撃隊を差し向けて,墜落機体の処分とかやってる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 零戦には大幅改良の余地がなかったの?
 それとも日本の改良の度合いが足りないだけ?
 ドイツだったら大戦末期には零戦85型丁とか平気で造ってたのかな?

 【回答】
 まず,零戦の仕様は海軍の要求から始まりました.
 エンジンは現実的選択で栄に決定.
 逆に機体は誉の性能をフルに引き出すべく,空気抵抗の低減と機体の軽量化を徹底的にやりました.
 ちょっと大げさに褒めれば,当時の日本の工業力の限度以上とも言える性能を得たのです.

 しかし徹底的な軽量化をされた機体なので,強度やバランスの問題から大型,大出力のエンジンは載せようがないのです.
 そういったエンジンを載せるのなら,機体を強化したり改造するよりも,一から別の機体を作るのが普通な選択なのです.
 そもそも,日本は小さく大出力で実用的なエンジンの開発ができませんでしたが.

 一方Bf109は,強度等の余裕が大きく,エンジンもいいのが生産運用できたので,どんどん大出力化できました.

 最初の零戦とBf109を比べると,零戦の航続距離は大雑把に3倍程度のはず.
(海軍がそう要求したから)
 零戦は艦載機として設計されたというのも.艦載機だとどういったハンデを負わされるかはここでは略.
 運用目的そのものが大違いというのも.

キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板

 初期のBf109Bと後期のG型じゃ,エンジン出力が倍も違うし,武装も格段にグレードアップされている.
 当初,680馬力7.92ミリ機銃×2の機体が,最後には13ミリ機銃×2 + 30ミリ×1 or 20ミリ×2(+状況に応じて手翼下にガンパック)加えて与圧コクピットと2000馬力エンジン積んでるんだ.
 ほとんど別の機体と言っても過言じゃない.

 でもゼロ戦は,エンジン出力も武装ほとんど変わっていない.最後まで1000級馬力エンジンだった.
 機体の改良で重量増加してる割には,エンジン出力の増加がそれほどでもないので,出力重量比で見ると,ほとんど変わってない.
 機体云々より,日本の技術でマトモな大出力エンジン作れなかったのが痛い.

 雷電/紫電の開発・製造がもっとスムーズに行けば19年には交替できたかもしれないので,やむをえないのかもしれないが…….

軍事板


 【質問】
 零戦の性能向上としては,どんなことが試みられたの?

 【回答】
 零戦はわずか1000PSのエンジン出力であれもこれもと欲張りすぎたため,性能向上が難しかったともいわれています.
 事実,初期の零戦2号戦(11型と21型)が一番航続距離も長く,離陸速度と着陸速度も一番低く操縦性も一番高かったそうです.
 3号戦(32型と22型)の32型は横転速度の改善とスピード,急降下制限速度の改善をねらいましたが,航続距離が30%減ったため,ガタルカナルの作戦に有効に使用することができず,航続距離を伸ばすため22型ができました.
 しかし32型の特長は無くなってしまいました.

 5号戦(各種52型)は集合排気管をロケット排気管に改め速度と上昇性能は向上しましたが,運動性はさらに落ちました.丙型は重くなりすぎて最悪だったそうです.
 64型はエンジンを金星に換装し性能も大幅に向上しましたが生産準備中に終戦になりました.
「零戦は,機体の防弾の要求が無かったので世界の一流機になれた」
と言っているパイロットも多くいます.
 でも,1000PSクラスの戦闘機では最高の飛行機であると思います.2000PSクラスの戦闘機に充分対抗することができたのですから.

 零戦は長く使用されすぎたのではないでしょうか.
 後続機の烈風が後一年早くできていたら,雷電が一年早く実用になれば,紫電改が一年早く量産されれば,名機として引退できたのにと思います.
 日本の航空エンジンの実力が低いため後続機ができるのが遅くなりすぎて残念だと思います.

 零戦はつまるところレーサー的存在だったんだと思う.
 それもフォーミュラカー.
 商品化をまったく考えていないから,発展余裕も何も必要ない,
 レギュレーション内で最大の性能を引き出すことに傾注されているフォーミュラカー.

 絶対性能で零戦が劣った(当時として)存在だったとは思わないけど,何よりもまず工業製品である軍用装備ではやっちゃいけない設計手法だったとは思うね.

 むろん,これは設計局の責ではなく,当時の日本の技術力を無視した軍側の要求にあったことは明白なんだけど.

 2000psクラスエンジンにしても,まともに量産できなかったというよりも一切量産できなかった,というべきか...
 例のハ45も,私としては2000psに届かなかった2000psエンジンというよりもむしろカリカリチューンでなんとか1800psを絞り出した1300psクラスエンジン,と見なしています.
そう考えると結局最後まで手なずけられなかったのも納得...
 町工場でレース用のチューンド・エンジンを作って,それを乗用車に載せて日常利用,維持管理...悪夢です^^;

 結局,零戦に限らず日本の軍用機はどこかレーシングカーのイメージがあるんですよね.先鋭化したチューンで無理矢理スペックだけ出す,っていう....
 そうでもしない限り,工業先進国の「工業製品」に対抗するスペックを絞り出せなかった,というのがあるわけですが.というよりもスペックで並び,追い越すことだけに気を取られ,基礎となる技術についに無理解なままであった軍部..

 それを象徴するのが零戦でありハ45であったように思う.

 【余談】
 凄いのは零戦100型(written by 志茂田景樹).
 10番目の機体にエンジン無しという物凄さ!
 ……何も考えてないことが容易に想像できて悲しい…

軍事板

 【質問】
 レーシングカーを戦場に送り出すような設計は,失敗と言えるんじゃないの?

 【回答】
 それは結局は軍中央の戦略・戦術思想の問題だから,どうしようもないと思います.
 ドイツに影響されて総力戦思想を語る人は多かったけど,第一次大戦を体験してないので真の理解はしていなかったということでしょう.
 そのため,戦略思想としては短期決戦,戦術思想としては格闘戦を念頭においていた.
 根本が間違っていたのだから,現場の一技術者がいくら優秀でもどうしようもない.

 ただ,戦略が短期決戦ならば戦争全体をそれにあわせて設計すべきであったのであり,それができなかったのが敗北の原因.

軍事板


 【質問】
 零戦のエンジンを「金星」へ換装することは考えられなかったの?

 【回答】
 金星60系という1500馬力級の出現は18-19年だし,堀越チームは多忙でそれどころじゃなかったようだ.

 実際,金星は直径1218mmで単座戦闘機用としては手頃――戦前はともかく,戦時中ならむしろ小さい部類――だったので,金星装備の打診は金星出現後すぐにあって堀越技師も賛成だったんだけれど断わったそうだ.
 堀越氏の回想では1年以上早く出す事も可能だったとか.
 エンジンを金星にして,武装を20mm×2に押さえれば,重量,出力ともにバランスが回復でき,結構有望だったとの事ですが・・・
 三菱は戦闘機設計グループが堀越チームしかなかったので,零戦改造,雷電開発,17試艦戦開発で全く余裕がなかったらしい.
 これが中島だったら設計をする余裕があったんだろうね.

 また,昭和17年では航続距離の要求が高かったし,改造するにしても栄30系が有力候補だった.

 さらに,上述のように各種戦闘機が開発中で,零戦の改造では中途半端だと思われていた.

 栄が31型で打ち止めになったのに対し,金星が60型まで進化したことと,Bf109等の同時期に出現した戦闘機の搭載エンジンの出力推移を考えると,やはり金星を選ぶべきだったのだろう.

軍事板


 【質問】
 金星エンジン搭載型の零戦の性能は良かったの?

 【回答】
 碇氏の『飛燕』に,金星搭載の零戦と5式戦の性能比較の記述があった.
 エンジンは同じで全備重量は5式戦の方が重いのに,速度・上昇力・上昇限度とも5式戦が優り,格闘性でも劣らず,急降下では大きく差をつけられたと書いていた.
 空力設計の点で5式戦が優ることを意味しているが,同時に陸軍機が海軍機ほどさまざまな制約(要求)を受けなかった点も大きいそうだ.
 陸軍がともかくも1〜5式戦と毎年新しい戦闘機を登場させたのに,海軍はほとんど零戦の後継機を出せなかった,としめくくっていた.

 また,”大いなる零戦の栄光と苦悩・第五巻”によると,五四丙型/六四型の性能は五式戦と比べ最高速度が7〜17Km/h劣ったが,上昇力,実用上昇限度,航続力は同等またはやや勝り,火力は同等,ということらしいです.
 ちなみにこの本によると,誉発動機の不調で公称データより低い性能しか出せない紫電改より,金星発動機を載せた零戦のほうが性能が良かった可能性があるそうです.

軍事板


 【質問】
 ゼロ戦は,7.7ミリと射程の違う当たらない20ミリ積まないで,7.7ミリ6丁か12.7ミリ4丁にすべきだったのでは?
 7.7ミリは非力だって意見があるでしょうけど,6丁積んでたら,20ミリなんかより当たる可能性は格段にアップするでしょうし,敵機を撃破できなくても相当バランスくずせるのではと思いまして.

 【回答】
「どうして20ミリに拘ったのですか?」
というような形式の質問でないのなら,
「ここは自説を開帳するための場所ではありません,適切なスレにご移動ください」
としか答えは返ってきません

 で,なぜ拘ったのかというと,一発の威力が大きいからです.
 もともと(20ミリ機銃に限らず,旧軍全般の傾向として)兵器の命中率の悪さは,技量で補えという見方も強くありましたし,もし7.7ミリや12.7ミリにしてても,米軍機の防弾性は高いんで容易には落ちなかっただろう,という分析意見も出ています.

 たしかに,零戦の13mmは敵のブローニングM2をコピーして,オチキス系の13.2mm弾を使えるようにしたものですから,同じM2のデッドコピーである陸軍のホ-103よりは強力ではありましたし,坂井三郎は晩年,
「20mmは不要で13mmに統一すべきだった」
と言っていますが,日本のより数段威力が大きい13mmを持っていたドイツが,20mmでも威力が足りないって感じて30mmに移行した現実を見るべきでしょう.
 また,朝鮮戦争でMiG15と戦ったF86パイロットのインタビューでは,M2だと威力不足で,敵の23mmの方がいいと言っています.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 その坂井の有名な体験談に「7.7mmつかえねー」って話もあるんだよな.
 零戦でグラマンの後ろ取って,操縦席めがけて7.7mmを弾がなくなるまで撃ち込んだけど,防弾板を貫通できなかったと.
 坂井はそれでも
「工夫すればパイロット殺して勝てる,角度とか」
みたいなこと言ってるけど,現実にはなかなかそう理想通りにはいかないわけで.
 もちろん20mmは弾道性能悪いから,13mmが優れとるというのは反対しない.
 特に防弾装備を捨ててる日本機は,戦闘機だろうと爆撃機だろうとバタバタ落とせるから,米機の12.7mm多連装が有効だった.

 一方,日独は連合軍の重爆撃機や空飛ぶ黒死病を落とさんといけんので,20mm,30mm,あるいはそれ以上が必要と.
 以上が通説と言っていい見方かな.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 零戦の補助翼は,なんであんなにでかいの?

 【回答】
 旋回性能を重視するなら,補助翼の効きは大事です.
(三舵の効きのバランスが大事ですけど,まず傾けないと機体は旋回出来ません)
 零戦の場合は中低速での効きを重視して,大面積の補助翼を使いました.
 その弊害で,高速域で重くなってしまったんですけどね.
(主翼の剛性不足もありますけど)

 補助翼は設計でも苦心するところで,設計者のほう々は色々と工夫してますよ.
(日本機は離着陸性能に制約があるので,特に戦闘機以外になるとフラップとの兼ね合いもあって,なかなか十分な面積をとれないって事もあります)

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 零戦四二型って実在したんですか?

 【回答】
 俺の聞いた話では
「別に『シニ』が縁起が悪いから避けて通った訳ではない」
みたいな事が書いてあったが,どっちにしろ「四二型」が存在したとする資料は今のところ見当たらない.

 計画案として42型があったという説もあるらしい.

 二一型の武装強化型として,四一型が存在していたとする説も最近はある.


 【質問】
 零戦の生産の主体が,最もバランスがとれていた22型より,52型に移行していったのはどうしてなんでしょうか?

 【回答】
 「もっともバランスが取れてた」というのが,嘘だから.
 前線からの要求書だと,52型ばかりで,旧型の要求はほとんど無かったそうだ.
 戦争後半では,高速で,大火力,急降下制限も緩い52型以降を,どの部隊も要求しています.

 坂井さんが活躍したのは21型しかないガタルカナル戦の緒戦まで.
 その後,硫黄島での戦闘までろくに戦闘していません.
 優勢な頃のイメージが強く残ってたんだろ.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ 知り合いで北伊ビエッラ在住イタリア人が毛織物関係の仕事で来日中という事で,早朝からまたぞろ靖国神社をアテンドしましたが,当然の様に遊就館では零戦がお出迎え.

 この零戦は後期の52型ですが,国立科学博物館の21型に比べてレストアが綺麗に仕上がっているのが目に付きました.
 ガラスケースにあるのは,99式20ミリ機銃.
 これも改めて見ると,良い程度.

よしぞうmaro' in mixi,2007年12月03日16:20
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現在 エンジン載せ替え無しで飛べるゼロ戦って存在します?
 アメリカにあるって聞いたんですけど.

 【回答】
 100%当時のままでフライアブルな機体は存在しない
 「プレーンズ・オブ・フェイム」の零戦はオリジナル栄エンジンを謳っているが,米航空法に準拠させるためかなりの改造を受けている.
 そもそも,セルモーター付きって・・・・

軍事板


 【質問】
 一度,生で飛行する零戦を見てみたいなあ.

鳩サブレの好きなハトピーおじさん ◆mDvXbT.QV. in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 カリフォルニアに渡れば,Planes of Fameと言う博物館の展示機が飛行可能で,時々飛んでいたりしますよ.
 何年か前には日本にも来ましたし.
 浜松の零戦はフライアブルだとか何とか言われていますね.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 海外テレビ板でこんな書き込みをみたんですが,

――――――
620: 2008/12/06 09:42:11 ??? [sage]

「ボーグより優れた知識を持っている=ボーグより強いから同化されない」
という話は成り立たない.

 まず数の問題.時に数は質を圧倒する.
 現代最強の最新型イージス艦でも,ゼロ戦1万機に襲われれば,あっという間に海の藻屑と化す.

 さらに劇場版「叛乱」を見れば分かるが,連邦より高度な知識を有していても,テクノロジーや軍事力を放棄している文明が存在する.
 こういう平和主義の高度文明は,遭遇したら最後,あっという間に同化されるだろう.
 エルオーリアンがまさにその例.

 また,ボーグより高度な文明でまともに戦ったらボーグを退けられるとしても,奇襲攻撃で宇宙船一隻同化されただけで,殆どの技術が吸収され,後は数で勝るボーグに圧倒される可能性がある.

 銀河団をワープ10で飛び回り,数億の銀河を支配してる超文明が存在して,そいつらがボーグを気に入って技術提供する可能性だって有るだろう.

 知的生物の自由意志が絡んでくる以上は,食物連鎖みたいな単純系では語れないよ.
 ボーグに共感して,自ら集合体の一員となる道を選ぶ文明だって居るかもしれないし.
――――――

戦闘機でイージス艦は撃沈できますか?

 【回答】
 そりゃあ,ゼロ戦が爆弾抱えて戦闘爆撃機として運用するんなら,イージス艦の対処能力を超えた量を投入すれば,撃沈は可能だろうよ.
 零戦でも機銃があるから,掃射されれば撃沈はされなくても被害は受けるし,「カミカゼ」で有名な神風特別攻撃をしたとすれば,対艦攻撃能力は皆無ではない.
 イージス艦という風に曖昧なくくりではどうとでもいえるけど,実在する艦,例えば海自のこんごうやあたごが零戦一万機と一隻で戦えば,確実に負けるのは間違いない.
 結局のところ,戦争というのに数は極めて重要な要素だからね.

(ただし,だからといってイージス艦は役に立たないとかそういうわけじゃなくて,相手に「零戦1万機」とか用意させなきゃ勝てないようにできるのが重要.
 より強い兵器,より多数の兵器をそろえるのは金がかかる.
 金がかかれば防衛予算は圧迫され,防衛予算は国家予算を圧迫する.
「そこまで金がかかるんじゃ日本と戦うのはやめておこう」
 そう思わせる事ができるかどうかが,一番重要な兵器の存在意義.)

 現実問題としては,一度にそんな量(一万機とか)を集中運用(燃料・装備・パイロット・飛行場数)できないから,ありえない仮定の話.
 机上論としては可能ってだけ.

 ついでに言うと,戦闘機側が物量で圧倒できるのにイージス艦側は1隻しか居ないっていうシチュエーションが,不自然すぎてこれまた机上論でしかない.

 さらについでに,ゼロ戦1万機なんて物量を用意できる国なら,その工業力と国力で,機数を2千機ぐらいにするかわりに,ゼロ戦より遥かに進歩した戦闘爆撃機か戦闘攻撃機を開発して配備できるわけで,

 物量を用意できるって事は,質も相応に高いものを用意できるってことなのよ,究極的にはね.
 アメリカなんかがその理想例.

 スタートレックは知らないけど,宇宙戦争の場合,数をいくらそろえても技術力の差を越えられない場合も多いのでは?
 たとえば現在の地球に,重力も操り光速を超えますよ,という宇宙船が一隻でも攻めてきたら,もう我々は束になっても撃沈できないだろう.

 まず地球側に,外部恒星系から飛来してきた異文明の宇宙船攻撃する手段が殆ど無い
 一方,宇宙船は衛星軌道上から地表に一方的に爆撃するだけで,地球を降伏させられるよ.
(地表の直接制圧まではどうかわからないが)


932 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/12/17(水) 13:11:08 ID:???

 ボーグなら,最初の一発だけしのげばどうにでもなるという超絶設定が.

軍事板
青文字:加筆改修部分


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