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Le Maquis(英語.カード・ゲームのサイト.マイナー小火器の画像あり)
【質問】
戦時中のイタリアのカラビニエリ(軍警察)の制服について教えられたし.
【回答】
カラビニエリ(軍警察)のM40型ウール野戦服.
今回は久しぶりに海外オクでやや大きめのバクチを打ちましたが,予想通り悪く無い品が届きました.
兵用3個ボタンのウール服は最近本国の市場でも枯渇しており,大体出て来るのは表がスムーズで,裏が起毛したイタリアサージ生地製のM40型がほとんどなので,思いきって張りました.
腰のバックポケットも残っていて,ウール服でもよくある裏返しもの(イタリア軍は使い古しの軍服をほどいて裏返して再縫製して支給したエコな軍隊(笑))では無い為,これは今どき貴重かも知れません.
そして一番肝心なのが,内装に在るLEGIONE CARABINIERI(カラビニエリ憲兵隊)MILANO,LUG
1943(1943年7月)のスタンプ.
この写真はオマケの,ベレッタホルスター付き拳銃弾用3連バンダリア.
このピストル弾用のバンダリアの面白い所は,ベースは小銃弾の騎兵用と同じなのですが,ポーチ部分が蓋の高さまでしかなく,下がスッカラカンなことです(笑).
まあ,恰好は良いのですが….
よしぞう(maro') in mixi,2007年03月13日01:26〜14:12
【質問】
イタリア海軍陸戦部隊のヘルメットは?
【回答】
イタリア海軍の陸戦部隊や基地警備,船上警備兵は,陸軍と同様のグレーグリーン色にペイントされたM33型ヘルメットを支給されていました.
サンマルコ陸戦部隊などを見ても戦闘時だけではなく,式典でも良く被っています.
イタリアの場合は休戦前までは,王国海軍としてイカリの上に王冠が付きます.
ただし,休戦後のRSI海軍ではイカリだけに.
シェルの後頭部に当たる縁には,“MRM”スタンプを確認(写真右上).
先日入手したM33ヘルメット解析本に寄ると,MRMとSRMだけが,王国海軍用ヘルメットを示すスタンプだとされており,これを見て一安心(^^;
また,シェルの左側面にはこれをピックアップした連合軍将兵が書いたと思われる,“Porto
Empedocle,Sicily,July 1943”の文字も確認(写真下).
ここから,シチリア島ポルト・エンペドクレに上陸したパットン指揮の米軍が捕獲した物ではないかとも推測出来ます.
よしぞうmaro' in mixi,2007年05月14日01:34
〜05月15日 15:37
より再構成
【質問】
第2次大戦中のサン・マルコ海軍陸戦連隊のセーラー(水兵)服は,どんなものか?
【回答】
サン・マルコ海軍陸戦連隊の夏期/熱帯セーラー服
ファシスト暦18年のスタンプ
ウールー製セーラー服
写真上は第2次大戦中のサン・マルコ海軍陸戦連隊の夏期/熱帯セーラー(水兵)服.これでも立派な野戦服です.)
この時代のセーラー服のデザインは,日独伊共にほぼ共通ですが,カーキ色の綿製生地のタイプは,イタリア独自のもので,1930年代から主に伊海軍陸戦部隊を中心としたアフリカ方面派遣部隊に支給され,1935年から駐留したエチオピアのサン・マルコ陸戦部隊も着用.
筆者が入手した品には襟裏に1940年(ファシスト暦18年)のスタンプ(写真中)が入り,サイズは4でした.
写真右下,以前入手した同連隊海軍歩兵(maro')が着用したウールー製セーラー服.
通常,水兵はウールー製濃紺や綿製白のセーラー服を着用したのに対して,陸戦兵はグレーグリーン色ウール製セーラー服を着用しました.
またブルーの襟布も脱着式になっています.
着用例写真はこちらに.
いやー,良いね,サン・マルコ部隊マニアとしてはもう満足です.
それにしても,今頃イタリア製セーラー服に惑う40歳代って…(爆
よしぞう(maro') in mixi,2006年04月29日13:49
▼ 以下は,あるぺんいぇーがぁーさんの紹介で入手したサン・マルコ海兵連隊と独海軍の混成写真.
キャプションでは北イタリアのラ・スペツィア軍港での撮影となっており,独伊軍の軍装から1942〜43年頃のものと推測されます.
前列右の座ったイタリア兵だけが通常水兵で,他のバスコを被った兵達は,グレーグリーン色の海軍歩兵(maro'/マロー)のウール服上下を着用しており,袖の赤い有翼ライオン徽章からもサン・マルコ海兵連隊と確認出来ます.
バスコには,将校服の襟章に付けられた金属のサン・マルコのライオンが.
因みに戦時中の有翼ライオン徽章が手にする本は,常に閉じられていますが,平時には開かれ「PAX
TIBI MARC EVANGERISTA MEUS」(我が使徒マルコに平和を与えん)というラテン語の文句が入っています.
faq20i03d.jpg
これで『エヴァンゲリオン』の意味を知った私です(^^;
よしぞう(maro') in mixi,2006年11月04日00:49
▲
【質問】
イタリア軍空挺部隊のヘルメットは,どんなものだったのか?
【回答】
カリメロってイタリア生まれのCFキャラクターだと,世間では認知されているのでしょうか?
イタリアのキオスクでは,今だに子供向けにカリメロのノートや文具グッズが売られています.
私も直接見た事が在りませんが,当初カリメロはイタリアの漫画家パゴット兄弟が本国の台所洗剤CF用キャラクターとして開発したもので,その後人気が出てから日本でもアニメ化されたそうです.
1963年生まれという事は,ほぼ同世代.
そういえば,日本製アニメではエンディングの絵描き歌はオーソレミーォ♪でしたね,
これはイタリアへのリスペクト?(笑)
先日,このカリメロ頭のような形状をしたブツがイタリアから届きました.
その名はM41/42型空挺ヘルメット.
faq08i04h.jpg
faq08i04h02.jpg
faq08i04h03.jpg
これは,当時の空挺ヘルメットに良く在る様に一般のM33型ヘルメットの鉄兜縁をカットした形状で,前ひさし部分に革パッドが付き顔を保護し,ウレタン入りのライナーは降下の衝撃を受け止めやすくしています.
初期のM40/41型ではこの革パッドは無く,首後ろにネックガードの皮張りが付いていました.
以下の写真は,1941年頃タルキニア降下学校で降下ツナギと初期型M40/41空挺メットを着用した陸軍空挺中尉.
ひさしのパッドはゴムでは無く革を袋状に縫ったもので,表革は顎革紐と同様にダークグリーンに染色され,中には髪の毛や粗もうウールがアンコで入っています.
実際はライナーを留める金属バンドにリベット留めされていますー,モデリングのご参考までに.
伊空挺部隊は実戦参加のタイミングが悪く,ほとんど降下作戦に投入されていないのが実情ですが,その装備は他国と同様に金と時間を掛けて開発されたものなので優秀でした.
そのため,空挺ヘルメットなども多部隊で流用されています.
下記写真は,1942年6月にセヴァストポリ攻撃に向けてフォロス(黒海)に派遣されたMTSM魚雷艇に乗るデチマ・マス特攻部隊員.
カポックを付けた二人の搭乗員達の右側が,イタリア空挺ヘルメットを着用しています.
そう言えば,ドイツ軍も空軍降下猟兵の空挺ヘルメットを海軍のSボート搭乗員が着用しているのを以前,記録フィルムで見ましたが,写真で残っているのかどうか知りたい所です.
独陸軍のスキー猟兵も東部戦線で空挺ヘルメットを着用していますね.
もっとも同部隊は,空挺布ガスマスクケースや空挺グラビティナイフも使っているので,かなり組織的な補給があったのかも知れません.
地上戦が主であったイタリア空挺ですが,コマンド降下はかなりのミッションを北アフリカで行っています.
『イタリア軍入門』ではページの都合でバッサリ省略しましたが,伊空挺の詳しい戦史は拙記事「イタリア空挺通史が」,『WW2欧州戦史シリ−ズVol.22
ヨ−ロッパ空挺作戦』(学研)に掲載されていますので,ご興味があればまたご覧下さい.
戦後も伊空挺で,このカリメロ頭形状の鉄鉢型は使われましたが,英軍カーキに塗られ,チンストラップはウエッブ(綿)製となり,ひさしの革パッドも小型化しています.
またこのひさしの革パッドシステムは,東ドイツ空挺ヘルメットにも影響を残している様です.
〔略〕
皮革部分はヒビ割れが始っていたので,急ぎ師匠から頂いた軍用白ワセリンを塗りこんで応急処置を.
ヨーロッパの軍装品は革やゴムが日本の高い湿度や気温が原因で,一夏で独軍ガスマスクがダメになる事などよくあるので今後も注意が必要.
蜜鑞などもこういった保革素材として重宝で,以前ピアチェンツァのミリタリーショーでまとめて手に入れた,丸いラードケース状紙製ケースに入った戦中ドイツ軍の保革蜜鑞を今だに愛用しています.
これがミンクオイルなどの動物系油脂ならとっくに腐っていて,使い物になりません.
昔はドイツ軍の本物をイベントフィールドでかぶったり着たりと,結構バチあたりをしていましたが,流石にこの辺の物はもう自宅に鎮座させてレプリカで遊ぶ様にしています.
なんとなれば,我々軍装コレクターは世界の貴重な文化財を一時預かって,自宅で後世に向けて保管しているだけなのですから…しかも身銭を切って(笑)
嗚呼,酔狂も極まれり(爆笑)
よしぞう(maro') in mixi,2006年06月03日15:52
〜2006年06月07日 12:10
【質問】
デチマ・マス師団NP(潜水空挺)大隊兵士の装備を教えられたし.
【回答】
Twisting Toysの新作で500セット限定品であるデチマ・マス師団NP大隊兵セット〔を参照してください.〕
〔略〕
今回の品は潜水空挺(NP)大隊であった為,迷彩空挺スモックと迷彩カバー付き空挺ヘルメットや空挺ブーツが付属していましたが,野戦服も前合わせボタンが隠しのM41空挺型と4個ボタンが剥き出しのデチマ・ナス部隊型の2着がセットされていました.
しかも襟章は,全期間で使用された赤の五角形と,1944年夏以降に使用された青い五角形版の両方が用意され,設定にも気を使われています.
また,黒革の空挺ブーツもクロダ社製の独特の底面ゴムパターンを再現して,ドラゴン製空挺ブーツより凝った造りをしています.
実物空挺ブーツの底面ゴムパターン写真:
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000274.jpg
こげ茶革のイタリア山岳ブーツの出来も最高です.
また,武器もベレッタM38短機関銃以外にブレダM30軽機関銃やパンツァーファウスト60なども選べ,銃嚢にもなるベレッタ短機関銃の6連腹巻き式マガジンポーチまで付属していて,かなりお買得感があります.
休戦前サンマルコ時代から使用された銃嚢式マガジンポーチ写真:
http://www.jollyrogerxxx.it/kazu05c.jpg
襟無しM41型野戦服の生地の色や質感は,イタリアサージのドッピアファッチア(裏起毛生地)に近い良い感じですが,先日入手したドラゴンのモデルと比べると胸ポケッットフラップの造りの甘さや,ちょっとなで肩すぎるラインが気になりました.
また,実物のカラーレス服は相当に肩パッドが入っていて,ドラゴン製の野戦服がその着用時のいかり肩のニュアンスを良く再現している様です.
サジッタリオ(射手座)大隊海兵の当時写真:
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000181.jpg
隠しボタンの空挺型イタリアサージ生地服の現物写真:
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000030.jpg
また,通常M33型ヘルメットが付くものかと期待していたら,M41型空挺メットに通常のチンストラップをつけてノーズ防護パッドを取った珍妙な物が入っていました.
こちらは,昨年同社発売のデチマ・マス師団ルポ(狼)大隊兵セットに付属していた迷彩のM33型ヘルメット.
これの単色&錨マーク入り版になると思っていただけに,少しガッカリしました.何故でしょう?
またバスコ(ベレー)が今回のセットに入っていなかったのも残念.
やはりRSI軍のエリート部隊はバスコが定番なのですが….
まあ,それでもボタンが剥き出しのデチマ・マス部隊型服は,1/6フィギュア界では世界初の再現で,こうして組んでみると絵になります.
写真の迷彩ヘルメットは前作のセットから拝借.
それから後で気付いたのですが,袖口のボタンが左右逆に付いていました.
しかし私は1/6フィギュアに関して無改造主義なので,このままにしておきます(笑.
〔略〕
刺繍袖章の有翼ライオンの('A`)顔が私は気になりますが,こちらの同海兵部隊の非公式バッジはもはやライオンだかネコだか判らないプリチーさです.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000216.jpg
RSIデチマ・マス部隊に伝統が受け継がれたサンマルコ海兵連隊やそのNP大隊の歩みについては,マイミクであるfolgoreさんのこちらのサイトに以前ざっと書きました.
ご覧下さい.
http://www2.wbs.ne.jp/~camo0/ber-sanmaruko.htm
よしぞう(maro') in mixi,2006年07月15日05:00
〜07月19日 10:57
【質問】
GNR部隊の軍装について教えられたし.
【回答】
GNRとは,(グアルディア・ナッツィオナーレ・レップブリカーナ:共和国全国防衛部隊)の略称で,元々の黒シャツ部隊であったMVSN部隊が,サロ共和国に移行して名称変更したものです.
ドイツでいうと,さしずめSDとSSと治安警察部隊が一緒になった様な存在でしょうか.
このGNR部隊の記章にあるMは,当然と言えば当然ながらムッソリーニのMです.
赤M大隊歌の歌詞を読むと,さらに死(モルテ)のMにも引っ掛けたダブルミーニングだった事も伺えます.
以下の左写真は,この趣味をこれまで支えてくれたGNR部隊士官候補生の集合写真.
この男の色気を感じさせる軍装は,いつ見てもイカシます.
写真は,1944年10月,対パルチザン戦に展開したマントヴァの黒い旅団“マルチェロ・トゥルチェッティ”の兵士達.
右の将校は,二重の電光M型のモールドが入った独軍式バックルを着用.
左の兵は独武装SSバックルをそのまま使用しています.
これ↓がドイツ軍型全鉄製ベルトバックル,
このダブルMのデザインは,明らかにSSルーンを意識したデザインですね.
RSI時代になって,よりドイツと密接な関係を示したかったのかも知れません.
それが良く判る,こういったSSとGNRの両兵士とマークが登場する,プロパガンダポスターも当時作られています.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000292M.jpg
左上のモットーは,「名誉,戦闘,勝利」となります.
軍用バックルとは言え,薄い鉄のM型ピースを黒染めのバックルに鑞付けして銀磨きしているアタリは,中世の甲冑製作を思わせる技術で,さすがはイタリアと思わされました.
これはレプリカには無いテイストですね.
イタリアの軍装BBSのGNRバックル・ページにも記載されていますが,世の中にはこんなレプリカも出回っているようです.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000291.jpg
faq20i01g02.jpg
これは,野戦服に襟章や士官候補生袖章を付け,ダブルM(GNR部隊記章)のトリプル仕様にしたもの.
「う,美しい…! なんというハーモニー! 完璧なイタリアンモードの美!」
黒フィアンメは,もともと一次大戦のアルディーティ(突撃兵)が黒フェズと共に用いたもので,これがそのままMVSNに伝わり,GNRに流れています.
マネキンが絞めてるベルトは,通常のドイツ軍用ベルトです.
システムが一緒なので取り合えず付けています,
今回(筆者が落札したバックル)は,アメリカからの出品でしたが,物の写真と共に米第5軍のヴェテランが戦地でピックアップした品々に混じって出た一品という触れ込みを読んで,確信してビットしました.
私の知り合いのRSI空挺兵だった方も,捕虜になった直後に,当時でも5000個も生産されなかった激レアの空挺バックルを付けていた為.それ欲しさの黒人米兵にベルトごとナイフで切られて盗まれたそうです.
それを聞いていた私は,数年前に複数のバックルを純銀で銀細工ショップで複製させた際,1個余計に作ってその人物にプレゼントしました.
本人は結構喜んでくれたので,良かったのですが.
もうこういったRSI軍のレアものは,アメリカ兵がお土産に当時持って帰った物が,こうやって市場に出て来る事を期待するしか無い様ですねー.
まるで一時のナチものみたいに.
この後は完全に本物が市場から枯渇してしまい,後はフェイクが出回るだけになってしまうのでしょうか.
よしぞう(maro') in mixi,2006年08月28日23:56
〜2007年10月06日 13:13
(文章は編者によって再構成されています)
ウール服は当時のGNR部隊の士官候補生学校で見られたタイプと同じで,他の部隊の襟無しM41型と比べて四角く小さい胸ポケットと肩当ての裁断線が無い点や直線/鋭角的なカットが特徴です.
下は士官候補生の当時写真で,いかにも良い所の勉強出来そうなボンといった感じ(笑
faq06i03.jpg
(こちらより引用)
以前,コモの歴史博物館を訪ねた時,全く予期せずパヴォリーニ書記長が逃亡中に着用していた同型のM41型野戦服が展示していましたが,これは表生地がスムースで裏起毛のドッピア・ファッチァ生地でした.※
カーキ綿服も下ポケットはプリーツが入った貼付けタイプで,これも士官候補生学校の写真で良く確認出来ます.
背中のトンビは,RSI時代に見られる3点タイプでした.
カーキの熱帯型はは,前述の様にGNR士官学校で良く観られます.
下掲はこの熱帯服を着用した,ヴァレーゼのGNR士官学校の生徒達の写真.
faq06i03t.jpg
両方共に内装にはスタンプが押してあり,グレーグリーンのウール服には,GNR部隊を示す二重の電光MとSVE
(Smistamento Vestiario Equipaggiamento:衣類装備区分)が,カーキ熱帯服にはMAGAZZINO
CENTRALE G.N.R. CONFEZIONI VERONA(ヴェローナ縫製とGNR中央デポ)表示がありました.
熱帯服のサイズ表示1が,ファシス形の枠に入っているのも興味深いところ.
それにしてもイタリアの軍服は,戦闘とは関係なくどうしてこうも格好が良い物なのか.
ドイツとは異なり機能優先では在りませんが,今見ても充分に新しいラインを持っていて,流石はモードの国だと思わされます.
元はサハリアーナ熱帯服の襟を取っただけの様なデザインでしたが,空挺服以降は肩パッドも厚く入り,胸や背中のスカラップラインは洗練され,このラインは今のイタリアコートにも受け継がれていて,見ていてもいつまでも飽きが来ません.
それから,1944年のドイツ傀儡政権下で縫製――この当時の軍服は,おそらくミラノを中心とした北イタリアでデザイン・製造されたものだと思います――された服らしく,随所に改良点やしっかりした縫製が見られ,休戦以前の左右のポケットがずれていたり,袖を通すとひっつりそうになるM40野戦服の酷い縫製とは雲泥の差でした.
縫製が甘いのがイタリア軍服の特徴.おそらくデザイナーは縫製能力を考えず,デザインだけをしていたとも思われます.
その点を鑑みて,縫製者の視点で改良したのが今回のGNR服なのでしょうか.
これは,ドイツの被服製造マイスターの管理下で製造された事を意味する物で,やはりイタリアのデザインにドイツの技術が加わると,良い物が出来ると言う典型の一つなのでしょうか(笑
当時の北伊サロ共和国の記録映像を見ていると,戦局が押し詰まった1944年に来冬の婦人服ファッションショーをミラノで行っており,これはもはやイタリア人の血ですかねえ(笑).
※アレッサンドロ・パヴォリーニの着ていた野戦服について補足します.
パヴォリーニを含むRSIの高官達は,1945年4月25日にムッソリーニの後を追うようにミラノを離れ,コモ湖周辺のドンゴで第52ガリバルディ旅団のパルチザングループに捕えられ,28日に処刑されているので,可能性は高いのですが,この2本フィアンメで電光MにSVEのデポジットスタンプが入った無徽章,官品のGNR服が黒い旅団司令官で党書記長であったパヴォリーニ服とされているのかは,疑問が残ります.
ただし,物は間違い無い典型的なGNRタイプのM41型カラーレスだったので,良いサンプルとして見学しました.
因に2番目の写真右下は,1981年に出版された『LA REPUBBLICA DI SALO'』に掲載されていた同じ服の写真で,この写真が撮られた時には右襟章はまだ破れていない事が判ります.
この本でも服はパヴォリーニ,ボルサリーノ帽はボンバッチの物とされていました.
パヴォリーニの遺骸はロレート広場に運ばれて,統帥と共に吊るされた後で仮埋葬され,現在はミラノのRSI軍人共同墓地で,ムーティ部隊のコロンボ司令の近くで眠っています.
よしぞう(maro') in mixi,2006年05月21日00:01
〜06月28日 16:03
【質問】
RSI空挺部隊の軍装について教えられたし.
【回答】
今年カリフォルニア・アナハイムで行われたドラゴン・エクスポを記念して限定製作されたRSI「ネンボゥ」独立空挺大隊空挺兵ニーノ・アレーナモデルが,ようやく昨日我が家に到着.
http://www.dxpo.com/dx/06/exclusives/exclusives-nino.asp
〔略〕
実はニーノ・アレーナ氏とは数年前,デチマ・マス海兵師団の慰霊祭後の昼食会で知り合い,その後も何度か私が日本でイタリア物の記事や拙書を書くにあたり写真の供与でもお世話になっており,その意味でも是非ゲットしようと思っていた一品でした.
同氏は,イタリア空挺や空軍,RSI軍についても多数の著作があり,まだお元気な内にこうやってフィギュアの世界でも脚光を浴びる事は,足跡を考えても慶賀な事だと思います.
http://www.dxpo.com/dx/06/vip/vip-nino-bio.asp
---------------------------------------------------------
さて,今回も中身をチェック.
襟無しのM41空挺服上下は,前回出されたサムライマガジンベスト装着版と同様ですが,今回はバスコ(ベレー)がついていたのが良かった.少し薄手の生地でシワになりやすいので,中にティッシュで芯を入れて回りにボリュームをつけました.(写真1枚目)
〔略〕
そして今回の目玉は,初めてモデル化された前5連だけの軽装型サムライマガジンベスト.
実物と比べて革ベルトを留めるホックの位置が内側すぎるきらいがありますが,全体の形状はなかなか良い感じ.
M42型履き込み式迷彩スモックは,前回よりやや浅めの刷り色ですがこちらの方が好みです.(下写真手前)
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000282.jpg
ただ,このセットには唯一の欠点が.
というのは,元々この前だけの軽装型サムライマガジンベストは,ブリガータ・ネーラ(黒い旅団)やGNR等の治安維持系戦闘部隊に配備された様で,私が調べる限りでは空挺部隊で使用された実例はまだ見つかっていない点.
これは,おそらくアレーナ氏の名著『PER L'ONORE
D'ITALIA』(イタリアの名誉の為に)の表紙にインスパイアされた企画だったからでしょう.(写真2枚目)
ただこれは今のマニア写真なので,この組み合わせは軍装学的には参考になりません.
〔略〕
写真1枚目は,このRSI空挺本表紙に似せてポーズを取ってみました.
イタリア軍フィギュアコミュの軍装資料コーナーにこの軽装型サムライベストの資料写真をアップしました.
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=9018126&comment_count=1&comm_id=1162103
これを見るとやはり左右の金属ホックの位置が,中央に寄っているのが判ります.
おそらくモデルは,構造上/強度上あまり端に付けられなかったからだと思われ,個人による改造も難しそうです.
〔略〕
折角,Twisting Toys製サムライベストが発売されたので,実物資料をまた1/6イタリア軍コミュにアップしておきます,ご覧下さい.
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=9018126&comm_id=1162103
それから,折角RSI空挺を再現するなら,このショッカーみたいにカッコイイRSI空挺ベルトバックルも作れば良いのにと思いますがどうでしょう.
これは,もう4年前に鎌倉の銀細工ショップに無理無理言って,ロストワックスで作ってもらったもので,モールドは実物より荒いものの雰囲気は実物の感じを伝えています.
〔略〕
デチマ・マスや他のRSI部隊が着用したM41襟無し空挺服の下は,基本的に空挺パンツと同じ物です.
ウールと熱帯のM41空挺服の基本ライン図や資料写真もアップしておきます.
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=9018126&comm_id=1162103
この前のNP大隊セットに付属していたパンツは,尻ポケットが二つあり裾が七分丈ではなく,全周にベルトループが付き,ロングで裾をブーツに折り込むタイプなので,空挺パンツと言って良いでしょう.
〔略〕
それから1/1でブルーグレーウール生地でM41型空挺服を再現して高級複製に,カフタイトルを再現させたものを付けた写真をアップしておきます.
フィギュアの取り付け位置の参考までに.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000204.jpg
これは,パリのパレロワイアルにある老舗の勲章店で見つけた,MVSN勤続10年章と同じ黒ベースにイタリア三色の縁取りが在るリボンをメーター買いして,パキスタンで金糸刺繍させ,当時の空挺カフタイトルと同様に再現したものです.
当時は,金糸と銀糸,白糸の三種の刺繍が確認出来ます.
〔略〕
野戦服とバスコは揃って大隊単位で支給される物なので,ちゃんぽんで着用された例は,ほとんど無いと思います.
因にRSI空挺では,第3大隊「アズッロ」がその“青”という名前の通り,多くがブルーグレー生地服を着用しています.
その際の襟章は,こちらの火を吹く擲弾と翼と剣を組み合わせた空軍空挺タイプが一般的でしょうか.
これは元々「アズッロ」空挺大隊が空軍の突撃空挺大隊を中核に編成された事に由来します.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000131.jpg
faq20i01r.jpg
faq20i01r02.jpg
faq20i01r03.jpg
よしぞう(maro') in mixi,2006年07月29日19:01
〜2006年08月06日 20:36
▼
出元がトレヴィーゾなので,1944年秋頃の撮影でしょうか.
右後ろにマスコットらしき少年兵も見えます.
袖の空軍型空挺章や初期型水筒がイカシます.
よしぞう(maro') in mixi,2007年03月07日02:39
▲
▼ 以前入手した,空挺部隊兵用の降下とパラシュート装備マニュアルはこちらに.
その1
その2
よしぞうmaro' in mixi,2007年04月07日21:42
▲
【質問】
「8.9.1943 PER L'ONORE D'ITALIA」のカフタイトルの意味は?
【回答】
これは,1943年9月3日の休戦時からすぐに義勇空挺部隊に身を投じてそのままRSI空挺に編入された筋金入りのみに与えられたカフタイトルです.
「PER L'ONORE D'ITALIA」だけの文字のバージョンは,アンツィオ-ネットゥーノ戦までにRSI空挺隊員に成った兵士に与えられたものです.
カフタイトルは,実寸上で左腕の手首バンドより5cm〜7cmぐらい上に付けられます.
こちらの写真にカフタイトルをつけた実写写真をアップしています.
後列右から3人目と4人目の左腕を見て下さい.
意外とドイツ軍のカフタイトルより下に付けられています.
faq20i01r04.jpg
〔リンク先に写真説明あり〕
また,こういったドイツ空軍の熱帯服に取り付けるのもアリです.
faq20i01r05.jpg
〔リンク先に写真説明あり〕
よしぞう(maro') in mixi,2006年08月06日 00:04
【質問】
「PER L'ONORE D'ITALIA」という,RSI空挺部隊のカフタイトルについて教えられたし.
【回答】
この「PER L'ONORE D'ITALIA」(イタリアの名誉の為に)というカフタイトルは,RSI空挺が左腕に巻いていた物でMVSNの10年勤続章のリボンを利用して刺繍された物です.
写真下は比較用に並べた,同リボンのデッドストックで,10年前にパリのパレロワイアルの勲章ショップで見つけてメーター買いしたものです.
兵用の白い糸はミシン刺繍も存在しますが,大抵が写真の様に応急的に手縫いされたものが多く,これは将校用の金糸刺繍.
このカフタイトルも全員が着用した訳では無く,1944年1〜5月のアンツィオ・ネットゥーノ戦とその後のローマ防衛戦に参加した将兵にのみ許可されました.
当時の写真もそう多くは残っていません.
更にそれ以前の初期から,RSI空挺に参加した将兵は,忘れてはならない不名誉な休戦日を更に加えた「8.9.1943
PER L'ONORE D'ITALIA」(イタリアの名誉の為に1943年9月8日)のバージョンを加えていました.
実はこのブツは,軍装業界の重鎮でドイツ降下猟兵と空軍地上師団の専門家でもあるGeorge
Petersen氏が,自らのスタンドで他のイタリア空挺記章と共に当日売っていたもので,おそらく1970年代にイタリアから仕入れたロットに混じっていた様です.
長い間額縁アイテムで日光に晒されていて色が抜けたのか,左右に残った押しピンの頭の部分だけ色が残っていて,やや痛々しいものの,見た瞬間シビレましたが,値段もなかなかのもので躊躇しました.
…が,何故かブツを手にして会場を出ていました(爆
…結局,苦労して制作した原稿料の大半が消えましたが,いやもうこれだけの空前絶後の品なら,これはしょうがないでしょう.
結局イタリアで稼いでイタリアで支払う,そう言う運命なのかも知れません(笑
よしぞうmaro' in mixi,2007年06月02日22:37
青文字:加筆改修部分
【質問】
イタリア軍の山岳スキー大隊の軍装は?
【回答】
写真は,アルピーニ(山岳)軍団直轄部隊として1942年から東部戦線に派遣され,その勇猛さから“白い悪魔”と呼ばれたモンテモンテ・チェルヴィーノ(マッターホルン)山岳スキー大隊兵士フィギュア.
TwistingToysの1/6イタリア軍フィギュアで,今回は,冬期防風/雪中迷彩のジャッカヴェント上下にアルピーニ帽,第4山岳連隊のステンシル入りのM33ヘルメット,さらに白い迷彩カバー付きM33ヘルメットまで付属した豪華な内容.
被りもの全てには,赤いナッピーネ(ポンポン)とペンネ(大ガラスの羽根飾りも)付いていました.
腰回りも一次大戦から使われている,白キャンバス製バンダリアとサスペンダーやピッケルを差せるカルカノ銃剣&フロッグ等の装備が良く再現されています.
惜しむらくは,バンダリアと共布製の銃剣フロッグが入っていなかった点.
よしぞう(maro') in mixi,2006年12月22日00:13
より再構成
▼
faq20i01al02.jpg
私の所属サークルB.S.K.主催の「1942年の東部戦線におけるイタリア・ドイツ軍装展」の,会場オークションで戦中戦後のアルピーニ帽3個がまとめて出品されていたのでこれを救出
『アサヒグラフ』昭和16年7月16日号は,クリアな97式中戦車写真が載っていたり,『同盟グラフ』昭和16年2月1日号は,エチオピア戦のパイロットを主人公にした未知のイタリア空軍映画,「空征かば」について特集記事があったりして購入.
左の盾は,今回の展示に対して主催者から頂いた功労賞.
取り合えず代表して私が預かりました.
よしぞうmaro' in mixi,2007年05月06日11:28
▲
【質問】
イタリア・ベルサリエリ兵の熱帯軍装を教えられたし.
【回答】
先日商品を購入したフィギュアショップより,以前から予約していたTwisting
Toysの新作ベルサリエリ兵フィギュアが入荷したとの知らせが在り,早速購入.本日宅配便で届きました.
今回は北アフリカ戦線の設定でしたが,ベルサリエリ兵の証しであるピューメ(羽根飾り)の付いた熱帯帽と共に,略帽である赤フェズも付いていて,脚絆を巻いた熱帯服の印象も含めて前回同様,全体的になかなか良い感じ.
M1891型カルカノ騎兵銃も細かい造りで,スパイクバイヨネットもちゃんと折り畳みを再現してコッキングも出来ます.
M35型手榴弾<赤い悪魔>も汚し具合がリアル.
こういう1/6フィギュアの世界の進化ぶりには,いつも感心させられます.
faq20i07t.jpg
さらに再現されたイタリア陸軍熱帯服は,ポケットフラップが四角ではない初期型ですが,このかぶりタイプは下ポケットはプリーツが付かないアコーディオン型の袋状なので,ここが異なるのが残念.
おそらくポケットフラップが四角い後期型と混同されたようにも思えます.
またフィギュアのポケットフラップも英軍のような逆三角形ですが,実際はもっとスカラップがきついので,この点も考慮して欲しい所.
faq20i07t02.jpg
たとえ邪魔でも,この羽根飾りを付けてこそ粋というもの!と多分思っているのか判りませんが,今でもシンボルとして普通に戦闘中も使用されています.
イラク派遣のベルサリエリ兵がかぶるフリッツ型ヘルメットにも,ひつこくデザート迷彩カバーと共に砂漠の風にたなびいています.
当然あのナイトキャップのような赤フェズも.
faq28i02.jpg
アフガニスタン派遣のアルピーニ兵の大ガラスの羽根飾り(ペンネ)も現役ですし,これらを見ただけでもイタリア人の頑固さが伺えます(笑).
faq28i03.jpg
確かに羽根は目立ちそう.
壁ぎわで発砲する時も,ベルサリエリ兵は右半身を隠して撃たなければ…って,左利きじゃないとダメです(笑)
アルピーニは逆付けだから,左半身を隠して右手撃ちなので有利?,などとバカバカしい事は考えないのでしょう,彼等は.
よしぞう(maro') in mixi,2006年06月19日01:59
〜2006年06月20日 08:32
【質問】
イタリア・ベルサリエリ兵の冬季の軍装を教えられたし.
【回答】
写真は,RSIベルサリエリ義勇部隊ベニト・ムッソリーニ大隊の下士官フィギュア.
TwistingToysの1/6イタリア軍フィギュアで,厚手の生地で作られた防風ジャッカ・ヴェントを着用して,M33ヘルメットにはアタッチメントと共にピュウメ(雄鶏の尾羽根飾り)が付いています.
また片方のヒルトが長いM35型MVSN用コンバットナイフやスコップ付銃剣差し等も付属し,パンツァーファウスト60やカルカノTS小銃等の武器も充実していますが,マスクがどうも….
なんでこんなに悪役ツラなんでしょう?RSI部隊だから?それからジャッカの襟回りの形もかなり甘い作りで,大きく襟刳りが開いてしまって残念.
こちらは,昨年の展示で飾った同大隊設定の実物ジャッカ写真です.
でも,ベニト・ムッソリーニ大隊の特徴である髑髏の金属襟章や胸の髑髏バッジは,極小ながらきちっと作ってあって感心しました.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000360.jpg
よしぞう(maro') in mixi,2006年12月22日00:13
より再構成
【質問】
RSI軍モンテ・ローザ山岳師団の軍装について教えられたし.
【回答】
これについては,1945年の末期イタリア戦線を主題にした戦争映画,『The Fallen』(日本未公開)が大変参考になります.
軍装マニアの意地悪な見方をしても,モンテ・ローザ山岳師団は全員M40野戦服に緑の兵科色の3本フィアンメをグラディオ章と共に取り付け,左胸には銀色のドイツ再訓練章を着用し,独ベルトに98kポーチを付けるといった具合で,スキのない軍装考証に舌を巻きました.
さらにジアーニ部隊長の右胸に付くドイツ再訓練章はちゃんと将校用の金で兵/下士官の銀と分けていましたし,サルバトーレ伍長勤務上等兵はG43自動小銃と共に,布製のG43専用マガジンポーチをベルトの左右に付けるというマニア好みの凝り様.
モンテローザ師団兵士の当時写真をアップしておきます.
http://www2.ezbbs.net/13/atf19450815/img/1154927687_1.jpg
映画サイト写真にも在りますが,RSI軍兵士達はそれまでのおろし金型のイタリア軍認識票では無く,だ円型の亜鉛製ドイツ軍型認識票を身に付けていたりして,これまた実際の設定通りで驚かされました.
映画の内容も,独軍部隊は第362歩兵師団(写真中),RSI軍部隊はモンテ・ローザ山岳師団第2連隊登場.枢軸側双方が,苦悩しながら戦いを続けるといった人間的な内面を描き,人間味の在る理知的で驚く程まともな姿で表現されていて好感がもてました.
フィールドキッチンの前で飯の量を巡って,独伊軍の兵士達が大乱闘をおこしたり,地雷布設を教えるドイツ工兵に
『地雷はイタリア語で何と言う?』
と聞かれて男性器名称を教え,それを取り入れたドイツ工兵の真面目くさった解説を聞きながら,イタリア兵達は( ´,_ゝ`)プッとしているというナイスなシーンも各所にありました.
戦争映画でRSI軍が出るのは,ジュリアーノ・ジェンマ主演の「特攻大戦線」ぐらいで(あれも今観ると軍装的にミックスされた架空のRSI部隊設定でした),今回の様にまともにちゃんと部隊単位で語られるのは,劇場映画では初めてでしょう.
モンテローザ師団は,もともと義勇志願兵のデチマ・マス海兵師団とは異なり,捕虜収容所から志願兵を募った寄せ集めの感が在り,実際のところ志気も相当開きがあったと思います.
この映画の凄いところは,その辺の個人の忠誠心や戦争への考えの温度差をきっちり描いていて,例えばパルチザンに山中で包囲された時,同じイタリア人だからと武器を置き投降するグループと,最後までドイツ側に残る者達と分かれていました.
最後に蛸ツボ陣地でMG42機銃を撃ちまくるサルバトーレ伍長勤務上等兵は,M8グレイハウンドの砲撃に吹っ飛ばされ,今弁慶の様に仁王立ちで絶命しますが,その身体を横たえさせて十字を切って眼を閉じさせるのが,さっきまで撃ち合っていた米兵だったりします.
この辺は結構感動です.
また,敵を食い止めるためにギュンター中尉としんがりに残ったドイツ兵達が,生き残って後退するジアニーニ中尉達と敬礼しあうシーンも,最後に独伊両軍が解り合えた感が伝わりました.
どーしてこういう映画がこれまで作られなかったのでしょう?
ただ,この歴戦の兵士サルバトーレがムッソリーニに似た様なスキンヘッドの顔だちで,少し意図的な感じがしましたが.
また,いかにも職業軍人だったジアニーニ中尉の右胸には,初期のRSI軍参加を示す義勇兵バッジがあり(これは本来は左胸ですが),左胸上には旧MVSN部隊のスクアドリスタ(突撃兵)に所属していたことを示す赤い菱形&ファシスバッチが見えますので,彼はコチコチのファシストだと見る人間が見ると判ります(笑
本当に軍装設定は良く練られていて,感心しました.
(以前,ゴチックラインの西側で戦っていたモンテ・ローザ山岳師団の慰霊祭に参加した時の教会写真です.
また,RSIモンテ・ローザ山岳師団戦友会の会員紙もPDFで見れます,
ご参考までに.ここに登場する方々は,は戦後もドイツ軍とお互いの慰霊祭を行き交っていたバリバリの武闘派(?)ですね.
この中でも,私が4年前に訪ねた上記教会で行われた慰霊祭が記事になってます.)
しかも,3つの主役グループの一つである米軍にも,最後に多数の戦死者を出す(というか主役が戦死)と言う,今までのアメリカ製戦争映画としては考えられない展開も一驚.
やはり時代は確実に変化しつつあるのでしょうか?
映画の中の1コマ
独伊両軍の軍装に注目
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よしぞう(maro') in mixi,2006年08月26日07:48
〜2006年08月27日 16:54
加筆修正部分:青文字
【質問】
ブレダM37って何?
【回答】
ブレダBreda M37重機関銃は,フィアット・レベリ
M1914の後継として,1937年にイタリア軍が採用した重機関銃です.
1943年まで生産され,第2次世界大戦のイタリア陸軍の代表的な重機関銃として1945年まで使用されました.
射ちガラ薬莢をわざわざ弾倉に戻す機構をそなえていたり,装弾数が20発に激減していたりと,謎な構造もありますが,長射程と強力な貫通力,高い持続射撃性能は高く評価されています.
【参考ページ】
http://www.keddy.net/~titose/weapon_I.html
http://blindkat.hegewisch.net/lrdg/axis_weapons.html
http://www.bayonetstrength.150m.com/Weapons/heavymachineguns/heavy_machine_guns.htm
http://www.geocities.com/spumadacinque/Spwaw/ITwe3.htm
【ぐんじさんぎょう】,2008/11/13 01:30
に加筆
faq20i01e01m37.jpg
(こちらより引用)
Twisting Toyz社の新製品,第28歩兵師団「パヴィーア」の機関銃手“ダヴィデ”
ブレダM37機銃は,ご覧の通り三脚や補弾板も再現されており,なかなか良い感じでしたが,ここまで作っているなら取っ手の付いた補弾板ケースも欲しかった所.
同機銃に関しては,イタロさんが素晴らしいまとめアルバムを作られているので,こちらをご覧下さい.
http://mixi.jp/view_album.pl?id=1090836&mode=photo
ブレダM37はああ見えて実は8ミリ口径で,大型のボディを三脚に搭載して安定した射撃を行うという,古い設計思想の重機関銃なんですね.
補弾板は,左側から入れて右側から出て来る構造ですね.
この辺は,日本の三年式重機と同様です.
それにしてもこのブレタ重機は,確かにガタイがでかくて扱いづらいですが,兵器としての信頼性は高く,使い物にはなったと,RSIのヴェテランの方は言っていました.
被りの熱帯服は,以前のベルサリエリ兵熱帯服での間違い
(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=157979769&owner_id=3584373)
を他からも指摘されたからか,ちゃんと下ポケットにプリーツがついても,上下ポケットのフラップが四角い第2期タイプになっていました.
どうやら少しずつ進化している様です.
ただ,パッケージ・イラストにあった様にガスマスクバッグが付属されていないので,腰回りがやや貧弱.
また,実際は北アフリカのこの時期では兵/下士官は熱帯服に襟章を付けていなかったのと,左腕の部隊シールドは1940年には防諜上の理由で廃止になっているので,この設定はややファンタジーと言えるでしょうか.
とは言え,一般的なイタリア陸軍歩兵部隊がようやく1/6フィギュアの世界でも登場した訳.
この調子でウール服を着たロシア戦線のトリノ歩兵師団あたりを,真打ちで発売して欲しいものです.
しかし,もはや我が家の兵舎スペースが….
よしぞう(maro') in mixi,2007年02月12日13:03
〜2007年02月13日 16:29
【質問】
ブレダM37重機関銃の性能要目を教えてください.
【回答】
全長 1270mm
重量 17.5kg(三脚含まず)
19.4kg(銃本体)+ 19キロ(三脚)[2]のみの数字
銃身長 679mm
使用弾薬 8×59mmRBブレダ
作動方式 ガス圧利用式
発射速度 450発/分
銃口初速 900m/s
有効射程 1,000m(最大5,200m)
装弾数 20発(保弾板)
【参考ページ】
http://en.wikipedia.org/wiki/Breda_M37
http://it.wikipedia.org/wiki/Breda_Mod.37
http://pt.wikipedia.org/wiki/Breda_M37
http://www4.atwiki.jp/battlefield1942/pages/85.html
http://ww2db.com/weapon.php?q=21
http://world.guns.ru/machine/mg84-e.htm[2]
【ぐんじさんぎょう】,2010/04/14 21:00
を加筆改修
昨日の9月9日,御殿場フィールドにて行われた第二次大戦をテーマにしたリエナクトメントイベント“ケ号作戦”(http://flitz.web.infoseek.co.jp/KEGOUSAKUSEN.html)に早朝から参加しました.
〔略〕
今回の目玉はブレダM37重機関銃!
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いやー,やっぱり本物は良いですね.
絵になります.
持ち上げてみると意外と三脚も軽く,ワンタッチで操作出来る様,良くデザインされているのが判ります.
色々と射撃体勢を変えてみたり,保弾板を入れてみたりして遊びたおしました.
ブレダは三脚から外すと,タダの棒みたいなシンプルなデザインで,これがまた無骨な重機のイメージ通りで結構好きになりました(笑)
良く三脚を外して銃単体を担ぐ当時写真を見かけますが,実際見かけより軽めに造られているので,自分でやっても可能でした.
こういう体験は,1/1ならではですね.
よしぞうmaro' in mixi,2007年09月10日〜09月11日
【質問】
FNAB43短機関銃について教えられたし.
【回答】
このレアな短機関銃は,1942年に試作され,イタリア休戦後の1943年から1944年にかけて,北イタリアサロ共和国のブレッシア兵器廠で約7000挺製造,ドイツ軍とRSI軍で使用された.
作動は遅延ブローバック方式で独特なボルトや内部機構を有しており,そのおかげで1分間に400発の発射速度に押さえられ,コントロールしやすい銃であった.
マガジンは20発と40発の2種類で9mm口径,初速は381m/秒.
折り畳みストックを畳むと,全長は790mmから527mmとコンパクトになり,セミ/フル切り替えレバーもついていた.
また,前に折り畳み出来るマガジンハウジングは戦後,フランス軍のMAT-49短機関銃にもその影響が見られ,大戦中の銃器としてはかなり優れた設計と言えよう.
faq20e01s43FNAB.jpg
faq20e01s43FNAB02.jpg
よしぞうmaro' by mail,2009/3/8
【質問】
ベレッタM38って何?
【回答】
イタリア軍によって用いられた制式短機関銃のシリーズで,ベレッタ
Beretta M38Aは1938年,ベレッタ社によって完成されました.
M38Aはおもにイタリア陸軍の空挺部隊で使用され,のちに短縮・改良されてM38/42というモデルになったほか,最終型であるM5は極近年までイタリア軍で使用されていました.
「赤い悪魔」の件といい,「いつまでも使い続ける」というのはイタリア軍の知られざる伝統なのかも.
【参考ページ】
http://blog.livedoor.jp/lightdoor/archives/50079918.html
http://www.securityarms.com/20010315/galleryfiles/2000/2044.htm
http://ww2db.com/weapon.php?q=18
【ぐんじさんぎょう】,2008/12/2 22:48
に加筆修正
よしぞう(maro') in mixi,2008年12月1日
これは1/6アクションフィギュア系のルーズ・パーツ,枢軸武器セットの一挺で,造りは甘いものの,ちゃんとブルバレル銃身はフルート付き.
20連マガジンが付属.
よしぞう(maro') in mixi,2007年02月28日01:33
【質問】
ケネディを撃ったとされるカルカノというイタリア製ライフルは,本当に狙撃には向かないんですか?
【回答】
近距離で対人狙撃に使うなら問題はない.
軍用小銃としてなら,
*口径が小さい(当時の世界標準は7.62mm〜7.92mmだが7.35mm)
*弾頭が軽いので有効射程距離が短く,対人以外の威力が極端に低い
*照準装置に距離調節機能がなく,固定照準でしか撃てないので,設計上の想定戦闘距離以外での使用が難しい
*銃の工作精度にバラつきが多く,工業製品としての安定度が低い
という問題があった.
軍事板,2009/07/17(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
カルカノ小銃用の紙箱について教えられたし.
【回答】
兵用のカルカノ弾薬盒には必ずこの紙箱ごと入れるもので(故にほとんどのカルカノポーチには弾頭が中で擦れた跡が無い),実物軍装コレクターとしては欠かせないアイテムなのです.
この弾薬盒すき間からチラリと見える茶色の紙箱がポイントです.モデラーの方も1/6フィギュアの方もご参考にしてください(^^;
更に説明しますと麻のテープ状紐が紙蓋に付いていて引っ張る蓋が開け易くなっています.
私のこういう弾薬関係の紙箱ものが好きなのですが,結構マニア間で良い値段で取り引きされていて中々手が出ませんねー.
7.62mmクルツ・弾薬箱を自作している方のサイトもあります.
http://www7a.biglobe.ne.jp/~yon-yon/const/kurz_box/index.html
意外としっかりしたボール紙で出来ているので,グチャグチャになる心配は無いのでは.
なにせ今でもしっかり残っていますし(笑).
おそらく紙箱に入れておく方が,湿度も調整してくれるのかも知れませんね.
ドイツ兵も予備弾はこういった紙箱のまま雑嚢に入れていたと聞きます.
後期の7.65mm口径の方ですが,なかなか滅多に出ないもので大満足.
工場違いでメーカースタンプが微妙に異なるのも嬉しい所.
片方は以前から1個だけ持っていたファクトリーと同じでした.
右の箱にはテネシー州の印紙が貼ってあったので,戦後大量にスポーツ/狩猟ライフルとしてアメリカに持ち込まれたカルカノ小銃用のものだった様です.
この内の一挺がダラスで….
よしぞう(maro') in mixi,2007年01月05日14:44
〜2007年01月05日 22:07
より再構成
【質問】
「赤い悪魔」とは?
【回答】
第2次大戦時にイタリア軍が使用した手榴弾のこと.
OTO M35型,ブレダ35型,S.R.C. M35型の3種類があり,どれも赤いエナメル塗装がされていた.
導火線式起爆装置が主流の中,イタリア軍では衝撃作動式信管を使用したが,地面が柔らかかったり作動不良だったりで不発が多く,しかもこの不発手榴弾が後で爆発する事故が度々起こったため,「赤い悪魔」と呼ばれて味方にも恐れられた.
消印所沢
「赤い悪魔」は化学反応式の着火装置が災いしましたね.
デザインは未来的でキているのですが.
以前入手したミニマニュアルをアップしています.
イラストと真面目くさった解説が笑えます.
http://www.photohighway.co.jp/ImageAlbum.asp?key=247.847574&src=17295178&un=97071&m=2&pos0=13&type=0
http://www.photohighway.co.jp/ImageAlbum.asp?pos=15&key=247.847574&un=97071&m=2&pos0=13&type=0&cnt=2837
http://www.photohighway.co.jp/ImageAlbum.asp?pos=16&key=247.847574&un=97071&m=2&pos0=13&type=0&cnt=2857
よしぞう(maro') in mixi,2006年06月19日01:59
〜2006年06月20日 08:32
写真はM35手榴弾のハンドマニュアル.
以前入手した物(続きは画面右上の三角形をクリックしてください)の別バージョン.
これは,前回のメーカー発信のマニュアルとほぼ同一ながら,透視図が入り,投擲イラストがMVSN兵士から陸軍歩兵になっています.
しかも,どうも丈の短い,隠しボタンの英軍式バトルドレスに見え,足元も巻きゲートルではありません.
つまりは,戦後!バージョンと思われます.
表紙には陸軍火薬工場の文字があり,トッレ・アンヌンツィアータは,カンパーニア州の街の名前です.
まあ,ストックがある内は戦後もこの“赤い悪魔”を使用したと思いますが,何時頃まで新生イタリア軍で使ったのでしょう?
イタリア軍は装備や靴,ヘルメット等や材料の一部を戦後もそのまま流用しています.
手持ち写真をアップしました.
戦後50年代の英軍型軍装を着用した陸軍ですが,茶革の蹴り革付きアンクルブーツは,戦中の在庫流用ですね.
http://8917.teacup.com/fulmine1944/img/bbs/0000344.jpg
でも「赤い悪魔」は経年変化で,化学反応しないか心配です(笑).
以前,イタリア本国の軍装フォーラムで,このM35手榴弾のスレッドを立てて論議していた時,一人の戦後ヴェテランが
「1970年代まで使っていた」
と証言していて,驚かされた事を思い出しました.
赤い悪魔の化学反応式の信管では賞味期限があると思うので,戦後も同じタイプを引き続き製造していたとも考えられます.
それにしても相変わらず不発も多そうですが(笑
よしぞう(maro') in mixi,2006年11月04日00:49
〜2006年11月05日 13:50
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