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<第二次大戦


(画像掲示板より引用)


 【質問】
 WW2において,アメリカ陸軍だけが全歩兵の機械化と全車輌の無線化を成し遂げたという話をどこかで聞いた気がするのですが,本当でしょうか?
 いくらアメリカの工業力が優れているといっても,少し大げさな気がするのですが…….

 【回答】
 米国は1939〜45年の間に,
3,200.436台の軍用車輌,
88,410輛の装甲車輌,
ハーフトラック41,170台,
トラクタは82,099台
を生産.
 これに特装車が数千台の単位で続きます.
(ちなみに,英国は24,803台,ドイツは24,360輛の装甲車輌を生産)

 トラックの大多数は1/4t〜3/4tのLight Classで,988,167台.
 次いで21/2tのLight Heavy Classで,812,262台.
 11/2tのMedium Classが428,196台.
 21/2t以上のHeavy Classが153,686台.
 これら全生産量の1/3が補給部隊の手に入りました.

 ちなみに,カナダは815,729台のトラックと,50,663輛の装甲車輌を生産し,英国に引き渡しています.

 ドイツは1940年にオランダに侵攻したとき,多数のドイツ歩兵は馬に乗っていましたし,この時から敗戦までの間,民間車輌と軍用トラックとの比率は100対1だったそうです.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2006/01/24(火)
青文字:加筆改修部分

「ジオン,脅威のメカニズム」(違
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 アメリカの技師J・ウォルター・クリスティの製作した「クリスティ戦車」が,第2次大戦のソ連の優秀戦車,T34シリーズの始祖となったということですが,何故,地元アメリカではクリスティ戦車は発達しなかったのですか?

 【回答】
 アメリカではクリスティM1931戦車がT3戦車およびT1戦闘車(騎兵部隊向け.T3は37mm砲と7.62mm機銃を装備していたのに対し,T1は37mmと12.7mmを装備.当時の法律上,騎兵部隊は戦車を装備できなかったので,「戦闘車」と言い換えられた)として7両が生産されたが,当時はアメリカ陸軍戦車部隊冬の時代であり,戦車開発予算は殆ど認められず,戦車部隊の編成も,あくまでも実験レベルに留まっていた.
 なによりも彼らは,クリスティ戦車の示した良好な機動性がもたらす,戦車の戦略的運用法への洞察力を持っていなかった.
 このため,これ以後もクリスティ戦車系列の開発作業は続けられたが,これは実に細々としたもので,さらには技術的後退をするほどで,厳密にはクリスティ戦車と言えないものもあった.
 また,クリスティ個人の性格も影響したという.彼は激しい性格の人物で,気まぐれというわけではなかったが,しばしば勝手に設計変更することで,顧客を悩ませたという.軍のお役人としては,いかにも発明家肌のクリスティとはやっていけない,というところだったのではないだろうか,と齋木伸生は推測している.

 詳しくは
斎木伸生「世界の『クリスチー式走行装置付き』高速戦車列伝」,月刊「丸」2002年9月号
を参照されたし.


 【質問】
 なんでアメリカ軍はパンターをパクった戦車作らなかったの?
 そうすればシャーマンの性能不足なんか解決したのに.

 【回答】
 米軍では前線での戦車の種類の統一にこだわったため, T26(M26)の量産ですら「M4の大量生産を阻害する」として,その優先度が低くされています.
 ましてやパンターのコピーなど考えもつかなかったでしょう.
 陸軍地上軍管理本部(AGF)は,敵戦車の撃破は戦車駆逐大隊の駆逐戦車に任せ,中戦車は歩兵支援に重点を置くことを求めています.
 1943年の時点で陸軍部内ではM4の75mm,および76mm砲に絶対の信頼を置いており,ティーガー登場以降もその考えは薄らぎませんでした.

 しかも,ソ連からの報告で,パンター戦車が量産されつつあることを認識しておきながら,それをティーガー同様の独立大隊で運用する重戦車であると誤認し,なんら手を打とうとしませんでした.
 さらにT23重戦車の開発失敗,T26の開発遅延などで結局,WW2はほとんどM4のみで戦う羽目になったわけです.

 パクリ戦車作る気なんか全然なかったのがお判りになりましたか?

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/10/02(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
http://www.roncobb.com/Graphics/M38A8.jpg
 この写真のジープの,ボンネットの側面に「ARMY 73949」という文字や,バンパーに「TMP-7」や★マークのステンシルがありますが,このステンシルの事を,米軍では何と言うのでしょうか?マーキング?

 あと,このようなステンシルは現代でも使われているのか,この文字が意味する内容についても教えて頂けますでしょうか.

 【回答】
 ボンネット側面のものは,俗に日本語では登録番号と言われ,体系は変っていますが今でも使われています.
 この写真の体系は1929〜30年に始まり,30年近く続きました.

 最初の1文字,または最初の2文字のアラビア数字の登録番号は車輌の形式を,その後の数字は,その車輌がその形式のグループに銜えられた数字上の順番を 示します.
 数字全体の頭には一時期Wの文字(陸軍用車輌を示す)が付いていましたが,戦争末期には消滅しています.

 数字の意味は以下の通りです.
0:キッチントレーラをのぞくあらゆるサイズのトレーラもしくはセミトレーラ,
00:トラック,修理車(レッカー,武器修理車,車輌修理車など)
1:乗用車(乗員2〜7名のセダン),
13:キッチントレーラ,
2:小型トラック,ライトトラック(積載量0.5〜1.0tでピックアップ,パネルバン含む),
20:トラック,偵察車,キャリオール,バス,
3:中型トラック(積載量1.5tのトラック,ダンプ,トレーラトラックを含む),
30:戦車もしくは戦車ベースの車輌(自走砲,戦車回収車など),
4:中型重積載量,大型重積載量トラック(積載量2.5〜5t),
40:全装軌車,ハーフトラック(但し,貨物輸送,電纜敷設,戦車,その改造車を除く),
50:消防車,事故処理車輌,6:モーターサイクル(ソロ,サイドカー,オート三輪含む),
60:装甲車,特殊車輌,技術用車輌(無線車,司令車,発電機車,コンプレッサー車,照空灯車,消毒車,浄水車など),
7:救急車,
70:水陸両用車,
8:車輪式トラクタ,
80:タンク車(燃料補給用,散水車など),
9:半装軌,全装軌式トラクタ

 1942年以前だとトラックの積載量は,
2:utility(0.25〜1t),
3:light(1.25〜2t),
4:medium(2.5〜4t),
5:heavy(5t以上)
と言う風に番号が体系付けられていました.

 また,豪州駐在の米陸軍は,右ハンドルの現地生産車にUを頭につけた登録番号を有しています.

 バンパーの記号は,所属部隊を表しています.
 写真は少し途切れていますが,
xA-Fbが師団と大隊名,
TMPが中隊名,
7は号車つまり何とか中隊の7号車を表します.

 ☆は味方識別符号です.
(尤も,これらの記号が本物と同じかどうかは不明ですが)

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板


 【質問】
 僕の記憶が正しければ,「スチュアート」軽戦車には,火炎放射器を仕込んだのもあったと,模型の設計図に書いてあったような気がするんですが,どうですか?
 うーん,どこの戦線で使われたのかは思い出せない.

 【回答】
http://www.siemers.com/wwii/USA/LightM3_M5.htm
にM3,M5の写真とバリエーション説明があります.

 "flame"で検索するとすぐわかりますが,M3,M5ともにflame gun, flame thrower,つまり火焔放射器を装備した型式がありますね.

 M3の火焔放射器装備型って,太平洋戦争でサイパンとかガダルカナル上陸に,使われてなかったかなあ・・・

軍事板,2001/06/05(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第2次世界大戦の欧州戦線についてお伺いします.

 ノルマンディー以降,アメリカ軍を主力とする連合国軍が進軍しています.
 ただ米軍の主力戦車はM4で,どう見てもドイツ軍の虎や豹と比べると見劣りし,進撃中のM4部隊が万一虎や豹とぶつかったらかなりヤバそうな気がします.
 米軍戦車部隊は虎や豹の部隊と出くわした時,どうやって対抗していたのでしょうか?
 朝鮮戦争の何かを読んだ時,T34に対しては高性能対戦車砲弾が潤沢に使用できた上に,戦車兵の練度がダンチだったので十分対抗できた,と言うのがあった様に覚えています.
 第2次大戦当時も同じ理由で,ドイツ軍の虎や豹に対抗できたのでしょうか?

 【回答】
 凄くヤバい.

 第2次大戦時は米軍の戦車は,同数の虎戦車に出会ったら一時退避することになっていた.
(1対1じゃかなわないから)
(もちろん状況によるわけだが)

 又聞きだが,当時の米軍のマニュアルには,
「虎1輌に対してM4 5輌以上で当たれ.3輌は正面から交戦しているうちに,残りの2輌は迂回して側面を衝け」
という意味の記載があるそうな.
 つまり,5倍の数の戦車を用意できる,米国の生産力/輸送力/補給力で対抗という訳.

 で,無線で増援を呼んで複数の戦車(相手より多い数)で一斉攻撃したり,対地攻撃機に来てもらって空から攻撃して貰ったりした.
 つまり物量作戦.

 あとイギリス軍は,シャーマンに強力な17ポンド砲(1000mでティーガーの正面装甲を貫通可能)を搭載したファイアフライを配備していた.
 たとえばクロムウェルで牽制して,その間に後方や側面をファイアフライで攻撃するという手法もとった.
 ドイツ軍はこのファイアフライ(長砲身シャーマンと認識していた)を,最優先で撃破すべき目標としていた.

 もっとも,ノルマンディ戦では出撃したティーガーは,SS第101及び第102重戦車大隊と装甲教導師団の一部くらいで,ごく少数だった.
 出くわせば強敵だったが,ほとんどの場合はシャーマンでも対応可能な4号戦車だった.
 実際,米軍の戦車が独軍の戦車に遭遇する確率は,普通に生活してて交通事故に逢うようなもんだったとか.
 工場への空襲とか輸送路の破壊とかヤーボの跳梁とかで,独戦車の活動レベルはそこまでの状況になってた.

 本当に虎/豹とM4の交換比率が,そんな数だったかどうかはわからんけど.

 あと,矢面に立たされる米戦車兵の気持ちもね.
 数字の上では勝てても,自分や仲間の命の事は計算外な訳で.

 高性能対戦車砲弾は当時から潤沢に使用出来ていた.

 練度に関しては,米軍が高いというより当時の北朝鮮軍が低かった.
(北朝鮮には当時十分な訓練をする時間的余裕はなかった.国出来たばっかりだし)

軍事板,2007/06/25(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ファイアフライはヴィットマンを死亡させるなど活躍した印象があるのですが,米軍のM10やM18,M36といった駆逐戦車はどの程度活躍したのですか?

 【回答】
 まず,駆逐戦車では無いので注意のこと.
 GMCなのだから,そのまま自走砲,もしくは戦車駆逐大隊が使用した”戦車駆逐車”と言う.

▼ M10GMCはノルマンディー上陸以前にアフリカ戦線に投入されている.
 それ以前に,意図していたよりも機動性に乏しいと言うことで,M18ヘルキャットが開発されている.
 また,実戦経験を積んだアメリカ軍は,被弾時の発火しやすさで言えばガソリンエンジンもディーゼル・エンジンも差が無いことを痛感し,ディーゼル採用に傾倒していた方針を改め,ガソリンエンジン車の継続的な使用を決定する.

 アフリカ戦線で早くもM10GMCの火力不足を痛感しているので,M36GMCを開発している.
 アメリカの戦車はノルマンディー上陸後は,チームプレイと遮蔽物を利用した接近戦で性能不足を何とかカバーしようとするのだが,M10GMCは砲塔の動力旋回装置を持っておらず,結局は防御力が不足しているのにも関わらず,距離をとった砲撃戦が必要であり,戦車より火力があるにも関わらず,戦車より不利な状況に陥ることも多かった.

 とは言うもののそこでM36GMCが望まれたのでは無く,単に開発期間の問題でノルマンディー上陸に間に合わなかっただけである.※
 生産を打ち切り再生産したのは,単純に国内で訓練用に使用していたM10A1をベースに生産していたのに M10A1を使い切ったからで.M4A3シャーマンの車台をベースに生産を実施している.

軍事板,2007/09/25(火)
青文字:加筆改修部分

 M10/M18は搭載する76mm砲がノルマンディ上陸以降ドイツ戦車に対して力不足ということで,M36が唯一対抗できる存在として前線から望まれるようになっていきます.
 M36は榴弾も高威力であるために,歩兵の近接支援やトーチカ攻撃に大いに力を発揮しました.
 M36は1944年末にはいったん生産を打ち切られますが,ちょうどその頃起こった「バルジの戦い」において,牽引式対戦車砲部隊が迅速な展開が出来ず,ドイツ軍に多数蹂躙されたのに対し,M10/M36で自走化された戦車駆逐大隊が,防衛の要としてドイツ戦車を多数撃破したことから,米陸軍はM10を改修したM36の再生産に踏み切ったほどです.※

 しかし,オープントップであるため空中炸裂砲弾に対し無力であり,また装甲がM4中戦車より薄いのに,戦車と同様に最前線に張り付いて使用されたりして,多数が撃破されています.
 この結果,大戦終了後早々に,戦車駆逐大隊という編成は米陸軍から姿を消すことになります.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板,2007/09/25(火)
青文字:加筆改修部分

※ どちらが正しいという確たるソースを得られなかったため,とりあえず両論併記.

「いろいろクドい話」◆(2008/07/07) 世の虚しさを知る神よ
によると

>M10GMCやM36GMCを装備した大隊が
>敵戦車部隊と独力で戦った場合の交換比率は1対1.9ですが,
>航空も含めた諸兵科協同で戦った場合の交換比率は1対6と極めて良好です.

ということが述べられております.

 参考までに.

唯野 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年08月09日 22:30

>意図していたよりも機動性に乏しいと言うことで,M18ヘルキャットが開発されている.

 M10は1942年6月に制式化.M18は1943年2月制式化で,M10のほうが制式化が早いのですが,M18の元になった戦車駆逐車構想は,1941年に37mm砲搭載要求で始まっていて,1942年4月に75mm砲搭載を要求されたった数ヶ月で設計,制式化したM10より開発開始は早いです.
 ですのでこの記述はおかしいです.

>アフリカ戦線で早くもM10GMCの火力不足を痛感しているので,M36GMCを開発している.

 M36の開発開始は,M10制式化直後の1942年秋に,90mm高射砲の戦車砲転用要求が出たのが起源ですが,これはM10のチュニジアでの実戦投入より前で,この点も少しおかしいですね.
 少なくとも火力不足を痛感してから開発されたわけではなく,むしろ予想して開発されたが正しいです.
 1943年3月に新型砲塔が開発され,試験後すぐに500両が発注されています.
 制式化は1944年6月で,実戦投入は1944年9月になります.

 M36は主に,1944年4月から12月にM10A1車体から改造されていますが,M4A3の車体そのまま使ったM36B1の生産は,M36と平行して1944年10月から12月に行われています.
 再生産とされるものは,M36とM10の車体を使ったM36B2で,1945年4月から6月にかけて生産されています.
 再生産はM4A3の車体を使ったM36B1ではないですし,わざわざ再生産したのは現場からの要求があったからなので,この点でもおかしいですね.

 ソースはちょっと古いのですが,
"British and American Tanks of World War II"(P. Chamberlain & C. Ellis著,ARCO pub. company inc.)
です.
 いちおう英語版wikiなども参照していますが,大きな記述違いはないことを確認しています.

BMP in FAQ BBS,2010/8/10(火)〜8/11(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ジープって何?

 【回答】
 Jeepは,ポーランド侵攻におけるキューベルワーゲンの活躍に注目した米軍が,1941年から実戦配備した,クライスラー社製の汎用4輪駆動車.
 高い耐久性と、悪路や急勾配における優れた走行性能とがあり、偵察や輸送などに活用された.
 第2次大戦中だけで約65万台が製造され,戦後も世界各国でコピー生産されて様々な紛争に登場している.

 【参考ページ】
http://en.wikipedia.org/wiki/Jeep
http://www.jmvcc.com/2006/08/viva_jeep_jeep50.html
http://plaza.harmonix.ne.jp/~jeepcult/cj.index.html


(画像掲示板より引用)

【ぐんじさんぎょう】,2010/12/20 21:24
を加筆改修


◆◆◆◆◆M4 Sherman


 【質問】
 大戦中の米陸軍のM4シャーマン戦車は,戦争への備えを怠っていた米陸軍のために,あのようなドイツの戦車には敵わないような失敗作になったという話を聞いたのですが,本当に失敗作だったのですか?
 M3中戦車やM4シャーマン戦車の車高が異常に高いのは,エンジンのせいだとも聞いたのですが.

 【回答】
 その前のM2,M3のコンポーネントを流用して手早く,敵であるIII号,IV号戦車に対抗できる戦車を短期に大量生産できたという点では評価できる.

 問題なのは,AGF(陸軍地上軍管理本部・・・陸軍航空軍が別にあるのでわざわざ地上軍と付く)が,M4シャーマン程度の性能でドイツ戦車に十分対抗できると信じ込んで,より強力な90mm砲搭載のT25やT26(後のM26)の配備を妨害したこと.
 また,シャーマンも90mm砲を搭載できる車格なのだが,75mm砲や76mm砲で十分,と考えていたので,いざノルマンディーに上陸してみたらパンターと正面切って戦えないことが判明.
 「対戦車戦闘用としては」失敗作になってしまった.

 なお,同じシャーシのM10やM36を見てわかるように,水冷V8やツインディーゼルを搭載した型なら車高を下げることもできたが,互換性や車内の広さを優先したのかそのまんま.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 シャーマン戦車はエンジンがタイプ別にバリエーションが多いのはどうしてです?

 【回答】
 要するにアメリカですら必要な生産量をなかなか確保できなかったからです.

 当初M4A1に搭載されたR-975ワールドウィンド星型エンジンは航空機用であり,戦車用としての供給が不足気味でした.
 そこで兵器局はGM製ツイン6-71ディーゼルエンジンの採用を決定しました.
 ところが現場の補給部隊から,ディーゼル油とガソリンの両方を供給することは困難であるとの意見が出たため,これを搭載したM4A2は海兵隊とレンドリースに回されました.
 そして新たなエンジンとしてフォードGAAエンジンの採用を決定し,これを搭載したM4A3は信頼性・耐久性もよく現場から好まれました.
 また,6気筒エンジンを5つ直結というクライスラーA-57マルチバンクエンジンを搭載したM4A4は,点火時期調整が難しくて不良貧扱いされ,主に英軍への供与のために生産されました.
(でも英軍では,信頼性が高いと好評だったとか.何故そうなる?)

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE : 軍事板,2006/02/15(水)
青文字:加筆改修部分

 他の形式も含めてまとめると,

M4 星形9気筒空冷
M4A1  星形9気筒空冷
M4A2 直列6気筒×2,水冷軽油
M4A3
M4A3HVSS
M4A3E2
V型8気筒水冷
M4A3E8 V型8気筒水冷ガソリン
M4A4
ファイアフライ 
6気筒マルチバンク液冷×5
M4A5 (カナダのラム戦車.シャーマンではない)
M4A6 星形9気筒空冷軽油

軍事板,2006/02/15(水)
青文字:加筆改修部分

クライスラーA57エンジンとシャーマンM4A4
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 M4シャーマン Sherman 戦車は,性能はドイツのティーガーやパンターに劣っていたのに,どうしてドイツ軍に勝つことができたのですか?

 【回答】
 広田厚司によれば,「保守管理の良さと高い機動性・稼動率,そして数が勝因(「丸」 Feb. '03)」だという.

unknown date


 【質問】
 M4シャーマン戦車に弱点はなかったのですか?

 【回答】
 広田厚司によれば,以下のような弱点があったという.

 フランス戦線では当初,ドイツ軍戦車の戦車砲弾命中により,弾薬が誘爆するシャーマン戦車が続出しました.
 この報告により,アメリカ本国で実験を行った結果,乗員室の格納弾薬の雷管,潤滑油,燃料の順で燃える事が判明.
 そこで1944年後半以降,弾薬庫の周囲に不凍液を配置して誘爆を防ぐ湿式弾薬庫に改められました.

(広田厚司 「丸」 Feb. '03)


 【質問】
 M4シャーマン戦車の装甲の厚さは?

 【回答】
M4シャーマン(中期)の場合
        前面   側面    後面
砲塔___ 76.2(60)mm 50.8(85)~(90)mm 50.8(90)mm
車体上部分 50.8(34)mm 38.1(90)mm 38.1(80)mm 
車体下部分 50.8(34)~(90)mm 38.1(90)mm 38.1(90)mm 
砲塔防盾(固定)88.9(90)mm(可動狭幅)50.8(90)mm
上面 砲塔25.4(0)mm 車体19.05(7)~(0)mm 底面 前25.4 後19.05mm

軍事板,2005/07/06(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 M4シャーマン戦車は何故あんなに車体が高いのですか?

 【回答】
 M4は,開発期間を短縮させる為にM3の車体を流用した為に,必ずしも 理想的なレイアウトには成っていません.
 で,M3が何故あの様な高い車高に成ったかと言えば,航空機用の星型 エンジンを使用したからで,当時は大出力エンジンはアメリカと言えどそうそう有る物では無く,WWUに間に合わせる必要から,新規に戦車用のエンジン を開発するより,出来合いの物を使用する事により,開発期間の短縮と リスク回避を図った訳です.
 尚,M3とM4の車高の高さによる不利は,米陸軍も重々承知していまして, M3とM4は繋ぎであり,本格対応としてM26の開発を行っていました.結局,WWUには間に合わなかったんですがね.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE

▼ 【異論】
 エンジンの背が高いことが原因のように言われるが,実際にはM5軽戦車のようにエンジンデッキ部分だけ背を高くしたり,M18ヘルキャットのようにエンジンの出力軸とプロペラシャフトの間にギヤボックスを介して,プロペラシャフトを床に這わせて車高を下げるアイデアも存在した.

 アメリカでは30tクラスの戦車は,変速装置など全ての操作が重くなることを理解していたが,当時まだパワーアシスト装置が開発されていなかったことから,操縦装置(ペダルやレバー)を長めにして,梃子の原理で操作を軽くしようと考えた.
 そのため,戦車兵を手足の長いノッポで構成した.
 他国はチビで力持ちを選ぶ傾向があったのとは発想が異なる訳.
 ノッポを入れる戦車は当然背が高くなる.
 そんだけの話.

 また,アメリカは戦車の背の高さに頓着せず,視界の良さを重視する傾向があった.
 戦車長の操作する機関銃の火力を非常に重視し,キューポラを銃塔にするレイアウトを好んだことからも,それが伺える.
(M3中戦車,試作のみだがM4,M26に採用し,その後M48・M60でも採用している.)

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 連合軍はヨーロッパでM4戦車に,現地改造でパンターから切り取った装甲版を溶接したり,コンクリートを盛ったりしたそうですが,戦車兵が勝手に元に戻せないような改造を行っていいんでしょうか?
 軍規の問題などは無かったのですか?

 【回答】
 当然本来ならやってはいけない行為なんですが,現場での士気の向上を考慮して,師団レベルで対策として公認してたみたいです.
 ただし,しばしば見られた土嚢の積み上げに関しては,パットンがブチ切れまして,傘下の部隊(第3軍)での土嚢の使用を禁じています.
 このため,第6機甲師団では対策として,パンターの装甲を切り取って溶接を施す対策を各戦車に施し,1945年2月にはこれが公式にパットンの命令として第3軍に出されました.
 この対策はバストーニュ近郊の民間工場に委託され,翌月まで続けられました.

 一方,他の将軍の指揮下の部隊では,継続して土嚢の搭載を行っています.
 このため,一時的にパットンの第3軍に派遣された戦車部隊が最初に行ったのは,搭載された土嚢を下ろすことだったとか.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/10/26(水)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 なぜ,パットンは土嚢の積み上げに激怒したのですか?
 戦車に土嚢を積むと,どの様な不都合があるのですか?

 【回答】
 土嚢の過積載によって車重が2〜3トン増加しました.
 当然これは機動性の低下や足回りの故障に繋がり,整備や補給に負担をかけることになります.
また,土嚢の搭載は成形炸薬弾に対する効果を期待しての物でしたが,第3軍の兵器課では重量増加の割に効果がないと判断していました.

 しかし現場では,土嚢でパンツァーファウストを防いだ例がいくつもあるとして批判がありました.
 もちろんパットンの言い分にも一理ありますし,改造を単に禁止したわけではなく,増加装甲の研究を行って目処のついたところで,麾下の部隊に装備させています.

 パットンが個性的なキャラクターの持ち主であることは元々よく知られていますし….

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/10/27(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ドイツ戦車のトチ狂った火力などに苦戦したM4シャーマン中戦車は,現地で土嚢を積んだり撃破された戦車の装甲板を切り取って溶接したりしたそうですが,それらの応急処置的増加装甲はどれほどの効果があったのでしょうか?

 【回答】
 土嚢は重たくて足回りに不具合が出る割に効果がほとんどなかった.
 パンツァーファウストのような成形炸薬相手にはそこそこの防御力を示したが,デメリットの方がはるかに大きかった.
 なのでパットン将軍は禁止令を出している.

 切り取った装甲板の防御力は,その切り取って貼り付けた装甲の厚さによる.
 でも,88mmを相手にするとあまり意味がなかった.

 あと,M4は車体の弾薬庫部分に四角い増加装甲を貼る事が,現場レベルではなく野戦修理所レベルで行われたが,これは防御力はほとんど増さない割りに,
「ここが弱点です」
と丁寧に教えてるようなものなので,逆効果となった.

 しかし,このようにあまり意味はなくとも,戦車兵達は
「気分だけでもやらんよりマシだ」
と,規定無視でありとあらゆる「増加装甲」を自分の戦車に乗っけまくった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


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