◆◆治安執行兵力
<◆治安問題
<アフ【ガ】ーニスタンFAQ目次
Gul Agha Sherzai

◆◆◆NATO軍
【質問】
アフガン駐留外国軍の内訳は?
【回答】
アフガンでは,36000名以上の部隊が,主に中央政府のプレゼンスが乏しい地域で国軍支援のために展開しています.
そのほとんどは,27000名規模である米軍主導の有志連合(豪,英,カナダ,オランダが主)で,南部と東部でおもに展開しています.特にパキスタン国境地域で最も活動しています.
NATO主導の39ケ国からなる国際治安支援部隊は,現在,北部と西部,そして首都カブールで展開していますが,南部・東部へも展開地域を拡大する予定です.
現在,約9000名規模の部隊ですが,7月末までに英・カナダ・オランダ・米軍の一部を吸収して18000名規模となり,南部地域で連合作戦を引き継ぐ予定で,
今年後半には東部でも展開・部隊指揮を行ない,全国で約25000名規模になるとのことです.
以下は現在アフガンで展開中の海外部隊の概要です.
小規模な派遣国,特殊部隊の数は省いています.
米主導の有志連合
米:22000(うち3500名は今週中に撤収)
英:3500(7月末まで)
カナダ:2300
NATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)
独:2200
イタリア:1200
オランダ:800(今週中に1400名に)
仏:700
英:700
スペイン:600
なお,先週,昨年11月以来アフガンから離れていたフランス航空部隊(空母航空団)は,「不朽の自由作戦」に復帰しました.展開地の詳細は不明ですが,「近接航空支援」「戦術偵察」「空中給油」任務に当たっています.
復帰してからは,6回の空爆に出動し,成功しているそうです.
アフガンでの経緯を見ていると,欧州諸国の実に狡猾な外交・軍事の伝統性を感じます.生臭さここに極まれりといった感じですね.
我が国もこういう中で生きていかなければいけませんが,情報活動が不十分な現状のまま,下手に手を突っ込んでも大やけどするだけの話でしょう.
権威ある情報機関の創設は火急の課題と思います.
【関連動画】
「ワレTu」:Australian Soldiers w/the RTF
Fight Taliban Fighters
【質問】
NATO軍はなぜ,アフ【ガ】ーニスタンに派遣する兵力をなかなか増やさなかったのか?
【回答】
いつ撤退できるのかの懸念の大きさと,後方支援の大変さのためだという.
以下引用.
NATOが展開を決めた地域,即ちアフガンの北半分は,米軍を中心とする連合軍が展開する南半分と比較すれば,治安はどちらかと言えば安定している.しかも,それほど大きな部隊でもない.
にも関わらず,NATOのスケッフェル事務総長は加盟各国に部隊供出を説得するのに大変苦労している.
それぞれに事情があるのだが,各国とも,いったんアフガンに踏み込んだら,何時撤退できるのかとの懸念が大きいのと,100〜200の兵力とはいっても,それを支える後方支援の大変さもあるようである.
2004年5月,私がNATOの北大西洋評議会(NATOの意思決定機関)に招かれてベルギーに出張し,NATO本部を訪問した際,スケッフェル事務総長は,当初予定にはなかったが,私を一室に招き入れて,日本としてどこか一つPRTを引きうけてくれないかと,実に単刀直入に切り出した.
詳しくはPRTの章に譲るが,これもいかにNATOが兵力の確保に苦労しているかを示すものであろう.
駒野欽一著「私のアフガニスタン 駐アフガン日本大使の復興支援奮闘記」
(明石書店,2005/8/18),p.48-49
【質問】
NATO軍による展開地域拡大の範囲と規模は?
【回答】
展開するのはアフ【ガ】ーニスタン南部・東部.
兵力は25000名で,36カ国から派遣されるという.
以下引用.
●NATO軍,アフガン南部,東部へ展開範囲を拡大(3/6 米国防省)
要点は以下のとおりです.
・在欧米軍司令官ジョーンズ海兵隊大将(NATO軍最高指揮官)は6日,麻薬根絶に向けたアフガンの取り組みを支援するため,NATO軍がアフガン南部・東部へ展開範囲を拡大すると発表した.欧州で出回る麻薬の9割がアフガン産で,この収益が欧州でのテロ活動の資金源となっているためである.
・NATO軍の国際治安支援部隊(ISAF)は,36カ国から21000名の兵員で展開する
・部隊は,タリバーンとアルカイーダ勢力の殲滅を図る
●ジョーンズ海兵隊大将の記者会見より(3/7 米国防省)
「NATO緊急展開軍」について
・今年10月1日までにすべての準備を完了する.
・パキスタン地震支援のため派遣されたのが始めての活動であった(期間は4ヶ月)
・陸軍,海軍,空軍,海兵隊,特殊部隊からなり,兵力は約25000名.一人の指揮官の隷下にこれだけの兵力がある部隊の編成はNATO史上始めて.
・任務編成で,任務により編成内容が異なる.任務は災害救援から人道支援,戦闘まで担当する.
詳しくはこちらで
http://defenselink.mil/transcripts/2006/tr20060306-12612.html
→ジョーンズ大将は,「今年はNATOにとって極めて重要な年となる」とも述べています.
なお,これまでは展開地域が各国ごとに固定されているなどの行動制限があったため,他国軍支援が困難だったが,遅れ馳せながら2006年12月から行動制限が撤廃された.
<NATO>アフガン現地指揮官の権限強化で合意
【リガ福原直樹】北大西洋条約機構(NATO)は28日,ラトビアの首都リガで開いた首脳会議で,アフガニスタンに展開する部隊の現地指揮官の権限を強化し,部隊に機動力を持たせることで合意した.
アフガン南部での旧支配勢力タリバンとの戦闘激化に対し,各国が協力して被害を軽減するのが狙い.
最後まで反対していたドイツも合意した.
アフガンではNATO主導の国際治安支援部隊(ISAF=37カ国)約3万人が展開しているが,各国が派遣前に展開地域や武器の使用方法などを決めるため緊急時に他国軍を支援できないなどの問題が出ていた.
NATOは各国に行動制限の撤廃や緩和を求めていたが,ドイツを中心に各国議会の反発が強かった.
だが,今回の首脳会議でメルケル独首相はアフガン北部に展開する独軍が緊急時にはISAF司令官の要請に基づき,他国軍を支援すると確約.フランス,イタリア,スペインも同調して部隊の行動制限の緩和を決めた.
NATO高官は今回の決定を「2000人規模の増員に値する」と評価している.
ただし,NATO軍増派に伴い,その損害も増加している.
ルーマニア兵が死亡 アフガニスタン南部の戦闘で犠牲者増える
【アルジャジーラ特約21日】アフガニスタン駐留多国籍軍スポークスマンが明らかにしたところによると,20日,同国南部カンダハル州のカンダハル空港近くで路上爆弾が爆発,ルーマニア派遣部隊の戦車を破壊して,同国兵士1人が死亡,4人が負傷した.
兵士の1人は戦車内の兵士を助けようと駆け付け,爆発物を踏んで負傷した.
ヘルマンド州の僻地,バグラン渓谷では,タリバンの部隊が米軍陣地を自動小銃や迫撃砲で攻撃して交戦となった.米軍側は航空支援を求め,米軍によると,空爆により「数人が死亡したとみられる」.しかし地元民は米軍の空爆で民間人4人が死亡したと主張している.
多国籍軍は19日,同地区にあったタリバン部隊の拠点をヘリで攻撃,ヘルマンド州知事スポークスマンによると,5人が死亡,8人が負傷した.この攻撃に対して,タリバン部隊の約60人が山際に塹壕を掘って立てこもる米軍部隊に反攻を加え,中隊指揮官のジャレド・ウィルソン大尉によると,兵士たちに迫撃砲やロケット弾発射筒の砲火を浴びせたという.
タリバンはアフガニスタン南部で攻勢を強めている.多国籍軍によると,同軍の作戦増大に対応するものだが,一部のアフガニスタン当局者は,政府に対する幻滅とタリバンに対する支援の増大の兆候があると主張している.
NATO軍の南部制圧に先立ち,米,英,カナダ軍部隊は2001年以降,最大の攻撃作戦を実施,反政府分子を壊滅させるとともに補給線を切断しようとした.この「山間部突入作戦」では最近の数日間で100人以上の反政府分子を殺害したという.
ジャラル・クマール州警察本部長によると,米軍はアフガニスタン警察官3人を誤って殺害した.3人は米軍部隊が女性2人を射殺したとして起きた抗議行動に対して,幹線道路を遮断していた.
この事件は,クナール州東部綿プールで,米軍の輸送部隊に属する車両が路上爆弾で爆破された際,米軍兵士が民家に発砲,二人の女性を負傷させたもので,うち1人は米軍病院で死亡した.
同本部長は「私は女性の葬儀に参列した.村民や犠牲者の親族たちは憤激し,道路を遮断した.私は警察官の増援を求めた.米軍部隊が反対方向からやって来て,警察官に発砲した」と語った.
米軍はこの事件に対してコメントを避けている.
今年に入って,アフガニスタンでは約1000人が暴力事件で死亡し,その中には外国軍部隊の将兵40人を含んでいる.その大半は米兵である.5月中だけでも約400人が死亡している.
(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)
モチベーション次第によっては,五月雨式に撤退,ということにもなりかねない.
そうなれば,イスラーム過激原理主義勢力にとって思う壺だろう.
【質問】
ISAF航空部隊はどんな活動をしているか?
【回答】
例えば2006年11月の発表では同月23日,アフガニスタンでは米海軍のF/A-18ホーネットがアサダーバード近くでタリバーン過激派と接敵した国際治安支援部隊(ISAF)の近接航空支援を実施しています.
敵陣地も攻撃しています.
この近接航空支援は,Ghanzi周辺の近くで接敵したISAF部隊に対しても提供されています.
フランス空軍のM2000Dミラージュ戦闘機は,Gereshkの近くで接敵したISAF部隊への近接航空支援を提供しました.
米空軍のB-1BLancer爆撃機は,カールソン前線作戦基地近くで接敵したISAF部隊に対し近接航空支援を提供しました.
米空軍のA-10Thunderboltは,ホーストの近くのタリバーン過激派に接敵したISAF部隊への近接航空支援を提供しました.
合計で,50の近接支援任務が復興支援・警戒監視に当たっているISAF,アフガニスタン国軍に対して行なわれました.
また,空軍と英国空軍から合わせて9機が,情報収集・監視・偵察任務に当たるため出動しています.
<空輸>
米空軍の輸送機C-130とC-17は,戦域内の重要な空輸を行ない,アフガニスタン,イラク,アフリカの角地域で展開中の作戦を支援しています.
130回以上出動し,410トン以上の貨物,およそ2,210人の人員を空輸しています.
ちなみに,CENTAF麾下の空軍部隊が何をやったかは,ほぼ毎日,AF
Newsに載ります.
たとえばこんな感じで.
http://www.af.mil/news/story.asp?storyID=123042338
最近はおおむね,"日付AirPower:..."という件名で統一されてますね.
【質問】
NATOは何故パキスタンと接近したのか?
【回答】
NATO自身の発表によれば,「パキスタンとの政治・軍事協力関係拡大は,単にアフガニスタンに焦点を置いた努力の一貫に過ぎ」ないとされています.
「NATOとパキスタンとの関係構築は,NATOの利益に基くもので,誰かを脅威とするためのものではない.NATOとパキスタンは足下にあるアフガニスタンという国を支援する利益を共有しているのは明瞭だ」
と述べています.
パキスタンとNATOの関係の緊要点は実利的なものとしています.
「NATOは特にアフガン支援に関する技術的な議論の場,協力を必要としている.実利的な関係が,われわれがアフガンで共有する利益の主たるものである」
「もちろんパキスタンは,国際治安支援部隊(ISAF)の成功を望んでいる.われわれだけでなく彼らも同じ利益を共有している」
NATOの副事務総長は,パキスタンのムシャラフ大統領,国防相・外相・情報トップと先々週会談しています.
会談では,治安環境とあわせパキスタンとNATOの関係構築の重要性も議論されたようです.
アフガンでの海外兵力の主体が,米主導の有志連合からNATOが主導するISAFに移行することを受け,隣国パキスタンの協力は不可欠,と判断したもののようですが,パキスタンにすれば「しめしめ」といったところでしょう.
これがきっかけでアフガンはふたたび各国の利権がぶつかり合う混乱の坩堝に落ち込むように感じます.
悪い予感です.
◆◆◆国軍再建
【質問】
国軍再建の現状は?
【回答】
目標の7万人に対し,現在の規模はそれに遠く及ばない.
兵士は軍閥から供給されるしかないが,軍閥は質の悪い兵しか送ってこない.
軍隊内部には依然として「軍閥主義」が見られ,パシュトゥン人は冷遇されているとの噂もある.
しかし,政府軍単独で武装勢力を撃退できる程度のレベルには達している模様であり,ISAFとの合同による掃討作戦にも参加している.
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目標の7万人に対し,現在の規模はそれに遠く及ばない.
兵士は軍閥から供給されるしかないが,軍閥は質の悪い兵しか送ってこない.
軍隊内部には依然として「軍閥主義」が見られ,パシュトゥン人は冷遇されているとの噂もある.
以下引用.
カーブル軍事訓練センターの兵士は基礎を学ぶ。どうやって制服を着、ライフルを撃ち、整列して行進するか。彼らは月30ドル支払われている。
卒業したら月50ドルになるという約束だ。そして1日3食つき。
目標は野心的である。2年以内に7万人からなる新たなアフガン国軍が、国内に散らばる20万の民兵に取って代わり、四半世紀に及ぶ紛争に終止符を打つことになっている。
しかし今までのところ、新国軍は4個大隊、約1400名である。
この国が国軍を創設して、アフガニスタンの歴史で支配的だった軍閥の私兵に置き換えようとするのは最初ではない。過去に4回の試みがあったが,いずれも失敗に終わった。
歴史的には、部族は外国の侵入者に対しては団結して撃退するが、その後はすぐお互いに戦う状態に戻ってしまうのだった。
米国とアフガンの当局者は、今度は違うという。数千の外国部隊がハミド・カルザイ大統領の政権を守っている。何十億ドルもの海外の援助がこの国の再建のために約束された。彼らはこれが新国軍を建設するための 堅固な基礎を作るのに役立つだろうと期待をこめている。
政府に忠誠を誓う国軍なしでは、カルザイ政権が持続し、タリバン支配下で繁栄したアルカイダのテロ組織の復活を阻止することは難しいだろう。
国連のアフガニスタン特別代表ラフダル・ブラヒミは10月に国連安保理で述べた。
「よく訓練され十分に装備され、きちんと俸給を得る警察と国軍が置かれることなくして、アフガニスタンの治安問題を長期的に解決することはできないだろう」
第三世界の諸国では、軍隊はしばしばその国で最も進歩的な組織であり、若者が彼らの父や祖父の世代を分断してきた民族的反目を克服するために、教育、上昇志向、訓練や規律を促進する役に立っている。
軍隊が国を作るビルディング・ブロックになっていることも多い。
「最後には彼らは一つになる。アフガニスタンの国軍にだ。士官は(民族的に)混合され、兵士も(民族的に)混合される。彼らは結合する」
とカブール軍事訓練センターで教える約400名の訓練教官の1人である米特殊部隊当局者は言った。軍のガイドラインでは彼はロバート大尉としか呼べない。
しかしこれまでのところ、彼が望んでいるほど軍は混合されていない。
最初の1400名のアフガン国軍兵士の40%はタジク人である。これは北部の少数民族で、米軍のデータによれば人口全体の約25%しか占めない。
アフガニスタン最大の民族であるパシュトゥン人は人口の44%を占めるが、新国軍では3分の1を少し超える程度である。そして噂によれば、パシュトゥン人は,タジク人やウズベク人が大部分を占める北部の新兵より早く 国軍からドロップアウトしているという。
理論的には国軍は志願兵からなるはずであるが、当局は軍がその「志願兵」のいくぶんかを軍閥から供給してもらわざるをえないことを認めた。
そして自分のところの最良の兵士を差し出そうとする軍閥はほとんどない。
元北部同盟の司令官で国防省のナンバー2であるアティクラ・バリアリは、各州の司令官たちがはじめ部下の中でも最も不出来で武装も悪い新兵を首都に送ってきたことを認めた。
「当初,人々は国軍についてよく理解していませんでした。彼らは最良の兵士や最良の武器は送ってきません でした」
とバリアリは述べた。
ヘラートの軍閥イスマイル・カーンがよこした新兵の一団は,あまりにも軍に向いていないと判断されたので、基地司令官のグラム・サヒ・アシフィは自分がこれらの者たちを送り返して、かわりに12人の新しい者を要求した
と述べた。
政府当局者は忍耐をつちかっている。米国とフランスの教官たちが現在、10週間ごとに300名から500名の多民族部隊に元軍学校での基礎訓練コースを修了させている。
新国軍が訓練されている間は、カルザイの潜在的ライバルのひとりファヒム国防相が自分の私設部隊を使って首都の治安を維持している。
そして首都以外の治安は,ライバル関係にある軍閥たちの指揮下の不正規兵が引きうけている。
カルザイは名目的にこれらの部隊の司令官であるにすぎないので、政府は1年以内にこれらの民兵を武装解除し、復員させたいとしている。
カルザイの個人護衛は軍や警察ではなく、国務省の外交セキュリティサービスが行っている。
新たに訓練された軍の正規兵で,カルザイのスポークスマンでもあるサイード・ファゼル・アクバルは、自分たちは,大統領の次のステップはアフガン国軍の最初の大隊―訓練を終えた4個と編成中の2個を含む―を現在軍閥が支配している地域に配備することだと思う、と語った。
2001年に私がはじめてハジ・バリに会ったとき、彼はバグラム空軍基地近くでタリバンと対峙する北部同盟の前線の一部を指揮していた。カブールから車で1時間ほど北に行ったところである。
1年後また私はカブールでハジ・バリをつかまえたが、彼は今では将軍になっていた。
しかし彼が入っている軍隊は、アフガンのハミド・カルザイ大統領が最重要課題だとした国軍にはほど遠いものである。
多くのムジャヒディン司令官がそうであるように、彼の経験してきたのは普通とは非常に異なる軍隊である。
そこでは若い兵士はただ1人の司令官に対してのみ義務を負い、家族や部族への忠誠の網の目に結び つけられている。
司令官たちは大きな集団との間に忠誠の絆で縛りつけられているが、隣人との間には恩義の貸し借りがあり、影響力や権力が相互に及んでいる。
彼らがいるのはそんな世界なのだ。
司令官たちは部隊を無傷で保とうと必死である。それは可能なら戦うよりは交渉しようとするからだし、また権力が移行するようならそのあとについて寝返るためである。
このシステムは「軍閥主義」と呼ぶことができる。
それは過去25年の戦争によって洗練された形態になったが、もっと古い部族の掟に由来している。
部族間の摩擦を終わらせるという楽観論にもかかわらず、噂ではパシュトゥン人兵士が差別されているという。
これらの兵士は元ムジャヒディンのための訓練キャンプから出てきた者で、彼らが国軍に採用されないことを 知ったという。
最新の報道では,政府軍が武装勢力の攻撃を撃退できるレベルにはなっている模様.
以下引用.
政府軍との戦闘で武装勢力31人死亡〜南東部パキスタン国境近く
アフガニスタン南東部のパキスタンとの国境近くの週末の戦闘で,アフガン政府軍が31人の武装勢力を殺害した,と国防省の報道官が3日伝えた.
同報道官によると,過激派がパクティカ州のAngor Ada地区の軍陣地を攻撃した後,2日夜に28人の過激派が死亡した.
両者が重機関銃やロケットを用いた4時間以上の戦闘で,政府軍兵士8人が負傷した.
「我々の反撃の結果,敵の28遺体が収容された」
と同報道官が述べた.
〔以下略〕
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/ISL166545.htm
また,掃討作戦はしばしば行われている.
以下引用.
<アフガン>掃討作戦でタリバン兵92人殺害 死者5百人超
同時多発テロで米国の報復を受けたアフガニスタンでは11日,同国に展開している国際治安支援部隊が,カンダハル市での掃討作戦でタリバン兵92人を殺害したと発表した.今月2日の作戦開始以来,死者は500人を超えた.一方,同国東部州で自爆テロで暗殺された知事の葬儀中に自爆テロが発生,警官ら6人が死亡した.
●アフガン駐留米軍,タリバン掃討作戦を開始
16日,アフガン駐留米軍はパキスタン国境に近いパクティア州など東部・中部の5州でタリバン掃討作戦を開始したと発表しました.
作戦には,アフガン国軍などあわせて約7000名が投入されます.
⇒冬になる前にやっておきたいようです.
問題は国防予算であり,金払いが滞れば国軍といえども寝返る可能性が高いことは,対ソ紛争でも実証済み.
新アフガーン国軍

【質問】
新国軍では当初,どのように兵士の給与が支払われていたのか?
【回答】
どんぶり勘定のようだという.
以下引用.
国防省には,全国の部隊の詳細な情報は存在しなかった.いい加減な話であるが,米軍に味方してタレバンに勝った軍閥の部隊が,国防省傘下の軍として認知されていた.
国防省傘下の兵士には給料が支払わなければならないが,実態が明らかにならないまま,国防相と財務相の政治レベルでの交渉で定員10万人と決められた経緯がある.
その際,そうしたジハーディは全国に70〜80万人はいる,と主張する国防相側と,4〜5万に過ぎないと確信する財務相側で大激論となった結果の妥協として,10万人と決められた.
その際,アシュラフ・ガーニ財務相は,10万人の内訳を早急に準備し,財務省に提出する事を条件にしたが,今だ実現していない.
財務省は毎年,給与支払いのための予算約1億ドルを国防省に割り当てているが,国防省における給与支払いの実態は,ファヒーム国防相のところに来た軍団司令官に対し,国防相がばっさと現金を渡すというどんぶり勘定のようだ.
DDRの実施においては,現地の部隊から提出される兵員リストをいちいち検証しながら進めていくが,その過程で,大半の部隊にはリストに記載されているほどの要員は存在しないことが明らかになっている.
また,各地で兵隊からは,給与未払いの苦情が聞かれる.
そうなると,財務省が渡した金はどこに行ってしまったのかが問題になるが,その究明ができるような状況にないのも現実である.
駒野欽一著「私のアフガニスタン 駐アフガン日本大使の復興支援奮闘記」
(明石書店,2005/8/18),p.102
【質問】
国軍についてのカルザイとファヒムの対立点は?
【回答】
新国軍にムジャヒッディーンを入れるか否かで対立したと言われている.
以下,ソース.
アフガン政府の高官はユーラシアネットに、財政よりも政治の問題で国 軍の形成が妨げられていると述べた。
ファヒムとカルザイは,誰を新国軍 に入れるかについて鋭く対立している。
カルザイは、1980年代にソ連の侵略者と戦ったムジャヒディンの大部分は十分な教育を受けていないし、入隊に必要な世間の評価も得ていないと考えていると言われている。
一方ファヒムは、大部分の古参ムジャヒディンは国軍で奉仕する権利を持っている,と考えているといわれる。
ムジャヒディンを国軍に入れろという意見がファヒムから出ているのは、彼がタジク人のムジャヒディンを抱えている立場から理解しやすいことで、仮 にマスードが生きていて,今のファヒムの立場にいても,同じ問題に直面したでしょう(辞めるのは周囲が許さなかったと思うので)。
【質問】
アフガーン新国軍の最初の実戦は?
【回答】
以下の記事によれば,2002年12月の,非合法チェックポイント強襲が最初.
アフガン新国軍が非合法チェックポイントを破壊(ABC)
http://www.afgha.com/article.php?sid=18084&mode=thread&order=0
新国軍の最初の実戦として,ラバトという町の近くにある非合法チェックポイント2か所を急襲破壊したとのこと.
#ラバトがどこにあるかは記事には書いてありませんが,通行税を取っている群小軍閥も次第に圧迫されている模様.
軍閥といえば,2002/12/18に紹介したように,ドスタムやグルアガは政治と軍事の分離を受け入れるとしていますが,カルザイが彼らをうまく「料理」できるかどうか.「狡兔死して走狗烹らる」的な疑いを抱かせるようなやり方は,昔の中国では大反乱が勃発したものですが,ザドランの運命からも現状でそれは考えにくいが,ドスタムなど庇護する勢力に事欠かない人物ですから,何らかのポストは意中にあるでしょうし,それはカルザイも承知しているでしょう.
【質問】
新国軍兵士の脱落が多いのは何故か?
【回答】
給料の安さが主因.
また,指揮官による差別的取り扱いも原因である模様.
以下引用.
アフガニスタン国防省は2004年1月11日に,これまでに訓練を受けた1万人余りの内,4分の一程度がすでに脱落していると発表した.
その大きな原因の一つは給料の安さである.
現在,給与は他の公務員よりも優遇されているとされている(手当てを含めて110ドル程度)が,NGOに雇われている現地職員に比べると遥かに少ないものである.
また,指揮官の兵士に対する差別的取り扱いが,士気の低下に繋がっているとの指摘もある.
柴田和重 from 「ハンドブック現代アフガニスタン」(明石書店,2005.6.25),p.78
ただ,NGOより遥かに給料が安いと言っても,その枠は限られており,失業率も高いと予想されることから,それが要因の一つになるとは考えにくいのだが,どうなのだろうか.
差別的扱いとは,民族問題に絡むものなのだろうか.
それらの点についても,今後も情報収集を継続したい.
【質問】
「山のライオン」作戦とは?
【回答】
4月11日からアフガンのKorengal峡谷付近で展開されている,米とアフガンの連合作戦.
「作戦目的は敵の聖域を奪い,地元に安定と福祉を広めること」とのことです.
5-10年単位の作戦で,現在は2500名規模で展開されています.
アフガン国軍が中核となり,米軍の10山岳師団,3海兵連隊1大隊などから部隊が参加しています.
◆◆◆米軍関連
【質問】
アフ【ガ】ーニスタンにおける米軍へのロケット攻撃は,どの程度の効果があるのか?
【回答】
米軍関係者によれば,やけくそで効果のないものだという.
以下引用.
米当局者によると、地上部隊の掃討によって元タリバンやアルカイダの兵力は集結できない状態にあり、また大部分の攻撃は命中率の低いソ連製のロケット弾を使って夜間に行われているため、ほとんどすべての攻撃が目標を外れているという。
しかし攻撃の性格は変わってきているようにみえる。
夜間に1発だけロケット弾を撃つかわりに、軍当局者によれば、いくつかのケースでは米軍基地に対して5発から10発のロケット弾の斉射が行われたという。
最近ではしばしば同じ夜に数カ所の基地が攻撃されており、ロケット弾を撃った敵はほとんど捕まえられたためしがない。
最近では3人の男がルワラの米軍基地近くを1台のトラックに乗って午後12時30分に通りかかり、ロケット弾を基地に撃って逃げた。
また,狙撃者が米特殊部隊の兵士の足を撃った。
米軍当局者はロケット攻撃はやけくそで効果のないものだという。
「効果的かどうかという観点からは、これらはまったく命中していない」と,アフガニスタン駐留米軍の報道官ロジャー・キング大佐は述べた。「われわれはまだ1人の犠牲も出していない」
キング大佐は
「過去2か月の間にわれわれが発見した武器貯蔵場所の半分は,地元住民が来て教えてくれたものだ。
彼らはよい結果をおさめている」
とつけ加えた。
(デビッド・ロード from ザ・ニューヨーク・タイムズ 2002年12月7日)
確かに,無誘導ロケッド弾の低命中率を考えれば,5〜10発程度の斉射では,たいした戦果は期待できまい.
また,ターリバーン政権時代には,火力支援を担当していたのはパキスタン軍や旧共産軍の将兵だったと言われており,現在のターリバーン残党にそれら部外の熟達者が残存している可能性も低い.
【質問】
パシュトゥーン人は,米軍に対してどんな不満を持っているか?
【回答】
不満は空挺部隊兵士に主に向けられている.
パシュトゥーン人は,彼らが不必要に攻撃的であることに不満を持っている.
以下,ソース.
パシュトゥン人たちは、アフガニスタンの大統領でやはりパシュトゥン人であるハミド・カルザイに対しては、驚くほど強い支持を表明している。
また彼らは米軍の特殊部隊に対しても、しばしばあご髭を伸ばして野球帽をかぶり、地元民に対しては敬意をもって接していると言って賞賛している。
彼らの不満は,夏以来掃討作戦を行っている地上部隊に向けられている。
この大部分は第82空挺師団の分隊を含んでおり、地元住民は空挺部隊を「悪い兵隊」と呼んでいる。
パシュトゥン人達は,空挺部隊が不必要に攻撃的であると非難している。
敵を圧倒し、味方の犠牲を最小限にするという米軍の戦術、たとえば武装攻撃ヘリをホバリングさせたり、警告のために迫撃砲を撃ったりすることが,アフガン人をおびえさせ、気持ちを遠ざけていると彼らは言う。
許可なく家に入ることは特にパシュトゥン人にとっては侮辱である。
市長を含むクナル州の住民は、9月にある山腹に行われた米兵による迫撃砲試射で羊飼いの子供が死んだと言っている。
他の者は空挺部隊が市民に銃を向け、無実の人々を抑留していると不満を述べている。
米軍報道官のキング大佐は、地方の男が子供の死体を米軍基地に運んできた事実は確認したが、迫撃砲を撃った兵士たちは,この山が無人だと思っていたと述べた。
彼は,すべての米兵は家に入る前に許可を求めるし、食糧や毛布を捜索に際して配っており、また米軍の女性兵士がアフガン人の女性を調べていると述べた。
結局のところ最大の課題は、アメリカ人とアフガン人が軍隊の使命について懐いているおのおの異なった期待を橋渡しすることだろう。
(デビッド・ロード from ザ・ニューヨーク・タイムズ 2002年12月7日)
【珍説】
小林よしのり「ベトナムのゲリラ戦ほどではなかろうけど,アフガンも似たようなものですか?」
ペシャワール会中村哲医師「いや,あれ以上だと思いますよ?」
小林「ほんとに?」
中村「ベトナムの場合,米兵は曲がりなりにも前線で戦ってましたけど,アフガンでは戦闘機やヘリに乗って空中戦〔原文ママ〕をやっているか,基地の中に引き篭もっているかのどちらかです.
地上移動すると何かが起きるから,危険で動けないんです.
それで地上での仕事をアフガン人の下請けに出すと,その下請けがいつ反乱を起こすか分からない.
米兵は憂鬱だと思いますよ.
例えば,米軍の傭兵が,日当とライフルを貰って,その仕事の帰りがけに米兵を狙撃したなんてこともありましたから.
だから誰が敵か味方か米兵にはよく分からない.
そう考えると,アメリカはアフガンで成功したか失敗したかという以前に,これはもう負けているんですね,実質的に.
もう早く帰りたくてたまらないんですよ」
(SAPIO 2003/8/20 & 9/3合併号,小学館,p.78)
【事実】
いけないなぁ,中村哲っちゃんの言葉を裏も取らずに受け売りしちゃぁ。
どんなに現地を知っていても,どんなに活動実績があっても,バイアスを持たない人間というものはあり得ないのだから。
いかに米軍が故障車両を空路後送したとしても,そんなもん何の証拠になるのか?
動けなくなった車両は,後送するしかないのは当然。
通常はレッカーかクレーンで回収するが,このような重車両をアフガンに運び込むなら,まだヘリの方が早くてお手軽なだけ。
本当に米軍が狙われているなら,そんなヘリこそ携帯地対空ミサイルで撃墜される。絶好のカモ。
早く帰国したがっているというなら,湾岸戦争の時のGIだってそうだったけどね。
ソマリア,ルワンダ,バルカンと,この世の地獄を渡り歩いて実績を積み上げて来た緒方貞子女史が,ちょっとやそっとのカムフラージュで騙されるものか。土井たか子じゃあるまいし。
哲ちゃんが嘘吐きとは言わないが,もっと他人の言葉は疑った方が良い。
バイアスがかかると,こんなふうに歪んで見えてしまうという好例ですな,中村のこの発言は.
同誌の同ページで,小林は
「わしは,今もアフガンに行って井戸掘りや医療活動を続けている『現場』〔強調,原文ママ〕の人,中村哲氏を信じている.
アフガンの治安は過去20年間で最悪だそうだ」
と書いていますが,この中村のように,バイアスがかかっていては,信頼に足るソースとはなりえません.
例えば,北韓(北朝鮮)に最も数多く足を運んでいる「『現場』の人」と言えば朝鮮総連幹部なのですが,その言葉を額面通りに受け取る人は,まずいないでしょう.
ターリバーン・シンパである中村の言葉も,それと同じことです.
まず,米兵がヘリ移動を専らにしている点を,
「地上移動すると何かが起きるから,危険で動けない」
と中村は見なしていますが,この見方は明白に誤りです.
ターリバーン政権崩壊以後,アフ【ガ】ーンで米軍が行っているのは,ピン・ポイントでのアル・カーイダ残党狩りです.
そのためには,情報があれば直ちに現場に急行しなければなりません.ビン・ラーディンは居場所を頻繁に変えているからです.
そしてそのためには,道路とは到底呼べない悪路※を何時間もかけて車でやってきたのでは,間に合いません.
ヘリで現場上空まで飛来し,そこから特殊部隊が降下,航空兵力からの火力支援を受けて戦闘するのが最善と言えます.
「基地の中に引き篭もっている」
にしても,任務の違いを理解していないための誤解,または事実の歪曲です.
米軍が地域の治安維持活動を担っているのであれば,頻繁にパトロールに出なければなりません.
すなわち,基地の中に引き篭もっているのは問題であり,敗色濃厚と言えるかもしれません.
しかし米軍の任務は,治安維持任務ではありません.
それを担当しているのはISAFや新アフ【ガ】ーン国軍・警察です.
米軍の任務は,情報をキャッチし次第,現場に急行しなければならないビン・ラーディン狩りであり,そのためには基地で常に待機していなければなりません.
火災が起き次第,すぐに出動しなければならない立場の消防士が,常に消防署で待機しているのと同じことです.
この消防士の待機を
「消防士は消防署に引き篭もっていて,外に出られない」
と表現するのは,現状を正しく観察しているとは到底言えないでしょう.
バイアスがかかった人間の「観察」や「情報」なんて,その程度のものです.
それにしても中村医師は,僻地の診療所のある,アフガーン奥地へも出かけているはずです.
したがってアフ【ガ】ーンの道路がどんなに悪路か※も,よく知っているはずです.
また,ターリバーン指導者オマルも地方への移動では大抵ヘリを使っていましたし,それを中村医師が知らないとも思えません.
にも関わらず,「米軍はヘリで移動することしかできない」と言う中村医師.これは本当に,ただの「無知ゆえの誤解」なのでしょうか?
後段の「下請けの反乱」は,中村以外のソースを寡聞にして知らないので,確認する事はできません.
しかし,これまでも
「バーミヤン遺跡破壊は雨乞いのため」
「ターリバーンは血に汚れたところのない清潔な政権」
に代表される数々の虚言を重ねてきた中村の言葉だけをもって,「下請けの反乱」を信用するのは,非常に問題があります.
最後に細かいことですが,「空中戦」とは空対空の戦いを指す言葉であり,対地攻撃※2をこう呼んでいい言葉ではありません.
※道路とは名ばかりの急斜面であったり,地雷ばかりの危険地帯であったりすることは,宮嶋茂樹のアフ【ガ】ーン国境越え潜入記「儂は舞い降りた」に詳しく述べられています.
また,以下の文献にも,その悪路ぶりが窺えます.
ナジブラー政権崩壊後の内戦以降,道路補修はろくに行われていませんから,ターリバーン政権崩壊直後は,これよりもっと酷かったと推測されます.
アフガニスタンの自動車旅行になくてはならぬ重要なものが一つある.「パンジ・ギヤー」,訳して「第5のギヤー」という.
名前だけはおおいにしゃれているが,つまり木槌の格好をした大きな「車止め」のことで,自動車の助手は急坂で車が止まったとき,すかさずパンジ・ギヤーを持って飛び降り,さっと車輪にかますのが何よりの任務.
私もよくやらされたが,これを乗り越えて車がバックするような急傾斜がしばしばあるのだから,たまらない.
(木原均編「砂漠と氷河の探険」,朝日新聞社,1956/3/10,P.108)
この「デンスケ」〔録音機に付けられた渾名〕は,カーブルを出発してきたアフガニスタンの難路を突破するときに,遂にバラバラに壊れてしまった.
最初は2台のカメラを首からぶら下げ,「デンスケ」を後生大事と小脇に抱えていたのだが,これでは,いざというときに車から飛び出せないので,「デンスケ」だけを毛布でグルグル包み,車の床に置いてきた.
何日か経って包みを開けてみたら,車の振動で機械のネジというネジはバラバラに飛び散り,完全な分解状態になっていた.
何百本かのフィルムと共に,苦労して持ってきた未録音のテープは,もはや文字通り無用の長物となってしまったが,それを捨て去る気持ちにはどうしてもなれなかった.
*
「振動」と言えば,隊員が持って行ったカメラ類でも,ずいぶん壊れたものが多かった.
振動に加えて,物凄い乾気と吹雪のように降り注ぐ砂埃が,精密機械類の命を縮めたに違いない.
(木原均編「砂漠と氷河の探険」,朝日新聞社,1956/3/10,P.116)
戦後でも,また例えば,アーマダバードという辺境の村への道路は,このような様子.
舗装されていないのは当り前だが,その土の性状が尋常ではないのだ.
粘土のような物質でできており,雨など降ろうものなら,ぬかるんでぬかるんで,田植えをする直前の泥のような状態になってしまう.
ここに車で入っていくと,4輪駆動の車であっても間違いなくスタックして動かなくなってしまうのだ.
よって,その場合は,物凄い回り道をするか,隣の藪の中を突っ切るか,もしくは開き直って,高速のまま泥に突入して突破するしかない.
が,それでも,どこかでスタックしてしまうことはある.
その場合は……,仕方がないので,運転手以外が全員降りて,よっこらせ,と車を後ろからみんなで押すのである.
後輪で巻き上げられる泥により,当然,上から下まで真っ黒になる.
山本敏晴著「アフガニスタンに住む彼女からあなたへ」(白水社,2004/8/10),p.59
さらに,afgha.comにも,道路事情の酷さについての報告があります.
▼ デビッド・イスビーは次のように述べています.
[quote]
第三世界の国では道路網が限られているほか,地形も険しいので,近代的な軍隊が機動力を得るには,ヘリコプターが唯一効果的な手段である.
[/quote]
―――デビッド・イスビー著『アフガニスタン戦争』(大日本絵画,1993/9),p.117
ヘリでの移動など,当たり前の話でしかないのです.▲
※2漫画内では,攻撃ヘリを描いたつもりらしい稚拙な描写の物体が,ビルを「ドッカーン〔原文ママ〕」と爆撃しています.
【質問】
そもそも,他国軍に自国民空爆で殺されてるような地域が,国家として成立してるのかね?
しかも他国軍が政府とやらを支援している状態で.
国のていをなしてないではないか.
【回答】
誤爆でしょ? それならどこの国の軍隊もやったことがあるよ〜.
あと,他国軍が外国政府を支援する事例はゴマンとあるしねえ.
WW2のイギリスとかノルウェーとか,
WW1のフランスとか,
独立戦争時のアメリカとか,
WW2後のドイツとか,
和平合意後のカンボジアとか,
冬戦争のフィンランドとか
ハンガリー動乱とかプラハの春とかキューバとかグレナダとかエルサルバドルとかニカラグアとか独立前夜の東チモールとか今のCISとか……
まあ,国家の混乱期とか独立とか再建とかのときにはありがちだよねえ.
【質問】
米軍の戦術転換はどのようなものなのか?
【回答】
テロリスト討伐から国造り支援への変換だという.
以下引用.
米軍のテロ作戦も,軍閥勢力の協力を前提としたものであるから,対立する軍閥間の抗争に上手く利用され,その結果,偽情報に基づき相手軍閥の勢力を米軍機が攻撃したり,また,地元の伝統・感情を無視したものであったりして,なかなか地元民の協力が得られなかった.
したがって,タレバンなどテロリストの討伐も,目に見えた成果とならない.
そんな中で,既に述べたとおり,米国はアフガン支援戦略の大転換を図る.
アイケンベリー将軍のいわゆる第4段階入りであるが,これは国造りを丸ごと支援するということである.
ハリルザード氏のアフガン大使任命は新戦略実施に向けての大きな布石であり,また,04年のベルリンでのアフガン復興支援会議で,米国が2年間で38億ドル(初年度24億ドル,2年度14億ドル)の支援約束をしたのも,そうした背景からである.
駒野欽一著「私のアフガニスタン 駐アフガン日本大使の復興支援奮闘記」
(明石書店,2005/8/18),p.81-82
カルザイ議長と国連は,ISAFのカーブル以外への展開を強く求め続けていた.
米国は,テロ撲滅同盟軍によるターリバーン/アルカーイダ掃討作戦への障害を理由にして,ISAFの地方展開を拒み続けていた.
ところが,2003年8月に北大西洋条約機構(NATO)がISAFの指揮権を引き継いだ頃から,地方展開を容認するように態度を変えた.
柴田和重 from 「ハンドブック現代アフガニスタン」(明石書店,2005.6.25),p.77