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 【Link】

「VOR」◆(2012/04/16)インド 弾道ミサイル発射実験を計画

「VOR」◆(2012/04/19)インド 初めて長距離大陸間弾道ミサイル打上実験

「VOR」◆(2012/08/25)インド 核弾頭搭載可能な弾道ミサイル発射実験に成功

「VOR」◆(2012/09/19)インド 核弾頭搭載可能な中距離ミサイル発射実験 成功

「VOR」◆(2012/09/20)インド 核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル発射実験 成功

「VOR」◆(2012/10/06)インド,弾道ミサイル「ダヌシ」発射実験に成功

「VOR」◆(2012/10/09)ロシアとインドの超音速ミサイル ほぼ戦略レベルに

「時事通信」◆(2011/12/07)インド核実験を正確に予期=核密約明かした村田元外務次官

「週刊オブイェクト」:インドの弾道ミサイル,K-15サガリカとシャウルヤの関係について

「週刊オブイェクト」◆(2010年03月20日)インドMD実験失敗,迎撃ミサイル発射できず

「ワレYouTube発見セリ」:India ABM Prithvi(プリトビ弾道弾迎撃ミサイル)


 【質問】
 インドとパキスタンは,それぞれ核兵器をどれだけ持っているのですか?

 【回答】
 両国共に,核弾頭保有数は公表していないが,アメリカの核問題専門誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスト」によれば,2002年現在,以下の通りと推定されています.

保有核弾頭数(推定) 運搬手段
インド 30〜35 ・MiG-27攻撃機×165
・ジャギュア攻撃機×131
・ミラージュ2000D(購入交渉中)
・短距離弾道ミサイル「プリトビT」(射程150km)×3〜5
・中距離弾道ミサイル「アグニT」(1500km):開発中
・同「アグニU」(2000km):開発中
・SLBM「サガリカ」:開発中
・海上発射型弾道ミサイル「ダヌシュ」:開発中
パキスタン 24 or 48
(他に,30〜52発分相当の核分裂性物質を保有)
・F-16A/B戦闘機×32
・短距離弾道ミサイル「シャヒーン1」(700km)
・同「シャヒーン2」(2500km):開発中
・中距離弾道ミサイル「ガウリ1」(1100km)×12
・同「ガウリ2」(2000〜2300km):開発中
・同「ガウリ3」(2500〜3000km):開発中

(福好昌治「くすぶる火薬庫『印パ情勢』危険度調査」 from 「丸」 '02 Sep.)

「ガウリ2」ミサイル
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 印パ核戦争が起こる可能性は?

 【回答】
 福好昌治によれば,どちらが先制使用しても,どちらの側にも被害を及ぼすため,その可能性は低いという.
 以下引用.

 通常戦力で優位にあるインド軍が,パキスタンに対して先に核兵器を使用することは,まず考えられない.
 先に核兵器を使うとしたらパキスタン側だ.通常戦で劣勢になったときに,一挙に戦況を逆転しようとして使うわけだ.
 だが,第一撃でインド軍を壊滅しない限り,報復核攻撃を受ける.
 現実的には,インドのほうが比較的縦深が深い(東西南北の距離が長い)ため,核部隊を全土に分散することで,パキスタン側の先制核攻撃に生き残ることができる.
 これに対し,パキスタン側は比較的縦深が浅い(東西の距離が短い)ため,核攻撃にも大規模な通常戦力による攻撃にも脆弱である(逃げ場がない).
 このように考えると,パキスタンが核兵器を先制使用する可能性も低いと言えよう.

 加えて,「隣接する印パ両国には,大自然の抑止力がある」と,アジア経済研究所の深町宏樹・研究主幹は指摘する.
「インドがパキスタンに核爆弾を撃ち込めば,死の灰が偏西風に乗って逆流してくる.
 また,パキスタンのインダス川からアラビア海に流れこんだ死の灰は,インド西海岸の漁業を壊滅させる.
 パキスタンがインドに核爆弾を撃ち込めば,インドにあるインダス支流が死の灰をパキスタン川に流し込む.
 ガンジス川も死の灰を流し,インド国内およびバングラデシュのムスリムをも苦しめる」(『世界週報』2002年6月25日号)

 国家存続の危機に陥ったときに,パキスタンがインド国内やバングラデシュのムスリムのことまで考えるかどうかは分からないが,国境を接する中規模国家同志の核戦争が想定しにくいことは確かだ.
 ただし,これは第三者的立場で見た場合の話であって,当事者は,敵が核兵器を使うかもしれないという,最悪の事態を想定するだろう.
 となると,核戦争に発展する恐れがあるため,大規模な通常戦争が勃発する可能性も少ないだろう.カシミール地方での武力衝突は今後も頻発するが,それが第4次印パ戦争に発展する恐れは少ないということだ.

(福好昌治「くすぶる火薬庫『印パ情勢』危険度調査」 from 「丸」 '02 Sep.)

 ただし,パキスタン軍部では過激原理主義者が主流派である(アジア経済研究所)ため,狂信的情熱が現実的判断を放棄させる可能性はあるでしょう.


 【質問】
 インドの核開発の歴史は?

 【回答】
 インドは元来,平和利用路線に立った原子力開発に熱心であり,独立から9年目の1956年には研究炉の運転を始めた.これは日本や中国よりも早い,アジア初の原子炉だった.

 65年には,プルトニウムを取り出すための再処理工場を完成している.
 98年のインドの核実験に驚いた日本人が少なくなかったが,独立以来のインドの核研究の蓄積を考えれば,能力的には殆ど意外性がない.

 ソースは浅井信雄著「アジア情勢を読む地図」(新潮文庫,2001/12/1),P.215より.


 【質問】
 インドは1998年,なぜ核実験を断行したのか?

 【回答】
 「ヒンドゥ国家インドの栄光の実現」のためだという.
 以下引用.

 事の始まりは1998年.
 この年初めの総選挙で,アタル・ビハーリ・バジパイ(1924年生まれ)のBJP(インド人民党)が第一党となった.
 バジパイは首相となり,19の政党による連立内閣を発足させる.

 第1次連立に加わった各党の共通政策綱領に,
「国際社会でインドの規模と国力に見合った地位と役割を獲得するよう努力する」
「核政策を見直し,核兵器を導入する選択肢を行使する」
とあった.
 この2項目は,インド政界の一致した認識を裏付けるもので,極めて重要である.

 この2番目の公約が直ちに実行され,5月に2度の核実験が行われる.
 国民は熱狂的に喜んだが,国を挙げての歓迎ぶりは,日本人の多くに理解し難いようだった.
 その背景は,1番目の公約が雄弁に説明している.
「国際社会でインドの規模と国力に見合った地位と役割」が与えられていないとの不満が,この公約には表明されている.
 核保有国となることにより,その欲求不満を解消し,「国力に見合った地位」を回復しつつあると,国民は受け取っているに違いない.

 政策綱領に流れる,煮え滾(たぎ)るようなこの情念は,BJPのものである.
 BJPは,1925年に組織されたRSS「民族義勇奉仕団」を基盤とする.
 RSSの最高目標は「ヒンドゥ国家インドの栄光の実現」である.
 それに関連し,30年も前,ニューデリーで私(浅井)が目撃した異様な光景を思い出すのだ.
 首都の玄関口,デリー門脇の公園で,総長から集合した制帽・制服姿の青年達が,
「ヒンドゥ主義は至高なり!」
「ヒンドゥ国家,永遠に!」
と叫びながら,軍隊式の激しい訓練をし,講話を受けていたのである.
 これこそ,無気味な存在として,インドの新聞にも書き立てられたRSS団員だが,既に「世界40カ国以上に常駐団員がおり,日本にもいる」
と聞いた.
 その集団が80年にBJPを結成する.
 そして98年,遂に政権を獲得し,核実験で「インドの栄光」を実現したとの熱狂的歓迎に包まれているのである.

 栄光の再生は,インドの英語式地名を,植民地化以前の地名に戻す動きにも現れている.
 2001年から,カルカッタはコルカタに改名された.既にボンベイがムンバイに,マドラスがチェンナイに変わっているのと同じ流れである.
 コルカタの地は,英国がインドを植民地化するときの最初の拠点だったが,英国人に発音し易いように英国式呼称に変えられていた.
 外国人旅行者は戸惑うかもしれないが,インド国民には民族的満足を与えるものだろう.

(浅井信雄「アジア情勢を読む地図」,新潮文庫,2001/12/1,p.176-179,抜粋要約)


 【質問】
 インドの核戦力は,抑止力として有効な状態にはなっているのか?

 【回答】
 2005年現在,そのような状態にはなっていないと考えられる.

核兵器を抑止力として有効ならしめるためにはまず,相手国の先制攻撃があった場合,相手国に対して,第2撃に使用しうる核兵器システムが確実に生き残る必要がある.
 例えば,インドが仮に中国の核脅威を受けた場合,インドの核戦力が第2撃報復戦力として生き残るためには,核システムを分散配備し,防護性の高い施設・サイトに保管するか,もしくは,原子力潜水艦あるいは空中警戒待機する爆撃機に搭載して生き残りを図り,いつでも報復できる状態に維持しなければならない.
 相手側による核攻撃か,もしくは通常兵力の精密誘導システムによる先制攻撃によって核戦力が全滅する状態にあるのでは抑止力としての効果は全くない.15

 インドの核戦力がそのような抑止力として機能する状態に現実としてあるかといえば,いまだそのような状態にはないであろう.
 すなわち,インドがその核脅威に対抗するための最小限抑止力を構築しようと考えているのであれば,まず,高精度の攻撃型核戦力を最小限抑止力としてのレベルまで近代化して配備しておく必要があり,さらに,中国のありうべき核攻撃に対してインドの核戦力が生き残るための実効性のある防御措置をとる必要が生じてくる.16

 以上の点に鑑みれば中国は現在,ICBM30基以上,MRBM100基以上を保有しているが,インドはこれに対する最小抑止力としての核戦力を数的には十分保有していると思われる.
 しかし問題は,核兵器のプラットフォームの多様化と近代化である.
 インド国家安全保障諮問委員会が2001年に核兵器の運搬手段としてミサイル,潜水艦,航空機の3本柱を保有すべきであると提言したのは,インドが抑止力と生き残り性を重視した核戦力運用計画を勧めようとしていることを示唆するものである.
 インド政府は,この提言はまだ政策となっていないとしているが,核戦力を整備する場合には当然行き着く結論である.
 このままインドの核戦力が近代化されると,今世紀中頃までにはトータルな核戦力としては中国を追い抜くことも予想され,中国がこれに刺激されて核の三本柱を充実させた開発計画を進める可能性がある.
 このことは,アジアにおける核軍備競争が再燃する可能性を示唆するものである.

森本敏 in 『南アジアの安全保障』(日本国際問題研究所編,
日本評論社,2005.10.10),p.204-205

 まあ,フランスでも50年かかったんだし.


 【質問】
 インドが核保有に執念を燃やす理由は?

 【回答】
 中国の核脅威に対応する抑止力として.
 また,南アジアの大国としての指導力を確保するため.

 森本敏は,この論理を以下のように批判的に述べている.

 その論理は一貫しており,核開発の最大の理由は,中国の核脅威に対応する抑止力としての核保有であり,同時に,南アジアの大国としての指導力を確保するという覇権主義に他ならない.24
 インドの核開発は,したがって,第一義的にはあくまで中国を念頭に置いたものであり,パキスタンに対応するためというのは第二義的な理由である.25
 他方,インドはグローバルな大国としての強い自負を有しており,そもそも核保有に遅れたため,大国でありながら5核保有国の仲間入りができなかったことに不満を持っていると思われる.
 したがってインドは,全ての核保有国が核廃絶を実現するか,そうでなければ自らが核保有国となる以外にはないという結論に至ったのであろう.
 インドが従来より,核は究極的に廃絶されるべきであり,核保有国は核全廃のタイム・テーブルを提示して全廃に向けた努力をすべきであると主張してきたことは,以上の結論を裏付けるものである.26
 すなわち,核不拡散には主旨として賛成できるし,核実験は禁止されるべきであるが,核保有国は核全廃のタイム・テーブルを明示せず,核全廃に向けた努力をしないどころか,その核兵器・技術を他国に供与するような国,例えば中国の対応は許し難いものであり,核保有国のみによる核独占を認知した不平等条約という性格を持つNPTは受け入れられないというものである.
 CTBTについても核保有国以外の国にのみ法的義務を負わせるものであり,受け入れられないという論理である.27

 もっともインド内で,CTBTは結局,核保有国にも核実験禁止を義務付けるものであり,インドが追求している核開発の阻止,核軍縮の進展に寄与するものであるから,反対するのはおかしいという意見がないわけではない.
 しかしながらインドは,一方でNPTを核保有国による核独占体制と決め付け,核全廃を目指しつつも,それが実現できないという現実の中で自らがNPTの趣旨に反する核開発の途を選択したのであり,これはインドの現実主義をよく表している.28

 しかるに,インドはNPT体制が不平等条約であると主張しつつ,他方において,中国に対する最小限度の核抑止力を保有するという理屈をつけているが,これ自体が論理的に矛盾している.
 さらに,中国の核開発に対する最小限抑止力として核開発を進めるという論理自体が覇権主義的であり,核戦力に対応するのに核開発によって抑止力を構築するという選択を冷戦後に行ったところに,インドの時代錯誤的発想がある.

 また,インドによるこのような核戦略の見方は,例えば,日本が米国の核抑止の傘の下にあって国家の安全保障を確保しているのは,日本が核を装備しているのと事実上変わらず,したがって,他国の核開発に異論を唱える立場にはないという意見をとるインド人が多いことに示されている.
 このことは,核の脅威に対しては核による対応しか存在しないという伝統的な冷戦期のパワー・バランス理論以外で核抑止を考えることのできない思考であり,かかる思考自体が論理的に破産しているといわざるを得ない.
(24) Jasjit Singh, Nuclear India, Institute for Defence Studies and Analyses, New Delhi, 1998.
(25) Neil Joeck, "Access Asia Review: Nuclear Developments in India and Pakistan, "The National Bureau of Asian Research (NBR), July 1999.
(26) George Perkovich, "India's Nuclear Weapons Debate : Unlocking the Door to the CTBT," Arms Control Today, May/June 1996.
(27) A. Z. Hilali, India's Strategic Thinking and Its National Security Policy," Asian Survey, Vol.XLI, No.5, September/October 2001, pp.737-764 および Walter Andersen, "Recent Trends in Indian Foreign Policy," Asian Survey, Vol.XLI, No.5, September/October 2001, pp.765-776.
(28) Deepa M. Ollapally, "Mixed Motives in India's Search for Nuclear Status," Asian Survey, Vol.XLI, No.6, Nobember/December 2001, pp.925-942.

森本敏 in 『南アジアの安全保障』(日本国際問題研究所編,
日本評論社,2005.10.10),p.207-209

 もっとも,中国の核戦力に対応するのに,他の方法があるか,となると…….


 【質問】
インドの核,軍民分離で米と合意…核保有,国際認知へ
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060302i114.htm

という記事が出たのですが,これは6番目の核保有国としてインドを認める,ということでしょうか?

>合意は,インドが民生用核施設に対する保障措置を受け入れる代わりに,
>米国を始め国際社会が事実上,インドの核計画を承認することを意味し,

 なぜインドが核関連施設を軍事用と民生用を分離すると,国際社会が事実上,インドの核計画を承認することになるのでしょうか?
 軍事用は軍事用で核放棄するよう圧力をかければいいのでは?

 【回答】
 圧力じゃ埒が明かんということでこうなったわけでしょ.
 既にインドが核技術と核兵器を保有していることを無視して,
「何が何でも核保有は認めん!」
と言っていても仕方がない.
 むしろそう言いつづけることで,かえってインドが勝手に核技術や核兵器を自分たちの判断で勝手に運用してしまう危険がある(というか既にそうなりかかっている)
 それならば,既にインドが核武装し核技術を持っていることを容認した上で,最低でも民生用核技術を監視,管理する枠組に組み込もう,ということ.

 100%野放しよりは1%でも監視,管理できる方がマシでしょ.

軍事板

 核拡散防止条約(NPT)にインドが加盟しているいない,ばかりが取り上げられている本件です.
 しかしその本質は,米が打ち出した「インドとのきわめて高度で現実的な戦略関係の構築」であり,原子力は「ツール」(だし)に過ぎません.
 したがって本件とイラン問題は次元が全く違う話で,同列で論じてはいけない性質ですね.

 なお,いろいろかしましい核兵器保有に関する議論については,現実的には「95年の「NPT無期限延長」以前に核兵器を取得していたか否か」がすべてのカギを握っているようです.

 わが国と本件に関して,EEE会議の金子さんは3月26日,以下のような見解を示しておられます.

「・・・

 インドを「別格」として国際政治上の大国たる責任を持たせたほうが,核拡散防止にも国際平和の維持にもプラスになるというポジティヴな発想に切り替えることこそ重要だと思います.
 とくに日本の場合,対中戦略の一環として「インド・カード」を重視する必要があります.
 日米同盟に加えて,日印がスクラムを組んで中国を牽制(必ずしも敵対ではない)することが肝心で,そのための原子力協力を進めるべきです.
 さらに言えば,インドの原子力発電を支援することは地球温暖化防止にもプラスです(この点は対中原子力協力も同じ).
 このようにできるだけ多角的,総合的に日印関係を見るべきで,核・原子力という狭い視点だけで論ずるのはむしろ危険だと思います.
 ブッシュ政権は極めて戦略的にインド問題を考えているわけで,この点は日本も見習わないといけません.

 5.最後にただ1つ,日本特有の難しい問題点があるとすれば,言うまでもなく,日本は世界で唯一の被爆国であり,反核(非核)感情が根強く,曲がりなりにも核軍縮(第6条)を謳うNPTを是とし,これを堅持しようとする気持ちが強いことです.
 小生は,日本人のNPTに執着する気持ちは,あたかも憲法第9条にしがみつく気持ちに似ていると考えています.現実主義より理想主義を良しとする心理です.
 しかし,言うまでもなくNPTは決して万能ではなく,これを金科玉条視すべきではありません.出来るだけ早期にNPT至上主義を改め,事なかれ主義の硬直した日本の核・原子力外交を大きく転換すべき時です.

 とりわけインドをNPT非加盟,核兵器保有というだけで色目で見,疎外するのは不適当かつ不得策です.
 このことを政治家や役人,一般国民に理解し,納得してもらう必要があります.そのためにはもっとインド問題に関心を持ってもらわねばなりませんが,そうするには現在の日本のマスコミのインド問題に関する報道や論評はあまりにも低調すぎます.
 ここをどう打開するかが当面最大のポイントであると考えます.

・・・」
(3/26 EEE会議

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)4月10日

 【質問】
 ということは,アメリカは6番目の核保有国としてインドを正式に認めたわけですね.

 でも,そういった形で認めてしまうと,インドが核保有国として国際社会に認められるに至った軌跡を辿りさえすれば,いかなる国でも,技術さえあれば核兵器を持つことが可能になるのでは?
 だって,組み立てて実施テストまで持って行ってゴネればいいわけでしょう?

 【回答】
 インド・パキスタンは核拡散防止条約に最初から加盟していません.
 国際慣習法には「一貫した拒否」とか「一貫した反対国」とかいうものがあって,ある決まりごとが(明文化されていようといまいと)始まったその当時からずっと反対し続けている国に対しては,その決まりごとを強要できないというものがあります.
 つまりインド・パキスタン,それに核拡散防止条約に加盟していないイスラエルやキューバに対して,
「核兵器を持つな」
という決まりを押し付ける国際法上の根拠が無いのです.
 インドが「辿った道」というのは「NPTに加盟しなかった」ということで,この道を辿ることができるのはほんの数カ国しかないのです.NPTの加盟国は181カ国もあるわけですから.

 イラクや北朝鮮は,NPTに加盟していながら核武装を図ったので,とりわけ問題視されたと言えます.
「辿りさえすればいいわけでしょう?」
と一言で言っても,そうできるかできないかは国によって置かれた状況が異なるし,当然「辿る」過程で他国は圧力を掛けて計画を潰そうとするでしょうね.

 それにインドって,あれだけの人口を抱えながら,食糧も資源もそのほとんどを自給自足しているという,かなり特異な国なんですよ.
 だから,核保有を理由に経済制裁を科しても効果が薄い.
 インドが核保有を認められた背景には,インドが世界有数の大国だという他に,そうした理由もある.
 はっきり言って,そんな国はインドの他にはないと言っていいので,他の国がインドの真似をしても,インドのように核保有がなし崩し的に認められる,ということは考えにくいかと.

 また,現実問題として核兵器というものは,「技術と原料さえあれば作れてしまう」もの.
 それを防ぐ事は現実問題として不可能だ,ということ.
 「現実に可能だし,抜け道もある」もので,「結局核兵器を保有するかしないかは,その国が持とうと思うかどうか」(まぁ現実には資金の問題とかが関わってきて,”どんなに保有の意志があっても持てない”国もあるだろうが)でしかないとする.
 ならば,
「核兵器を持っていいのはオレとオレが認めた国だけだ! それ以外の奴が持つことなんか絶対に認めねぇ!」
と叫んだところで,何も意味がないわけだ.

 そこで
「オレは絶対に認めない.もし持つっていうならぶっ殺す」
という手段は,既にIT関連を筆頭として経済的関係の深いインドにはもう取れない,とアメリカは考えたのだろう.
 現実を無視して理念を追い求めても,結局特にならないばかりか損になる.
 であれば現状を少しでも自分に有利な形で追認するしかない.
 全知全能の神ならぬ国家の選択肢としては合理的決断だろう.

 要するに,今回の件は「インドに限った話」.
 【質問】
 インドに限った話のつもりだったのに,そうにはならない可能性が高いのでは?と思ってるんですが.

 【回答】
 可能性は高い.

 しかし潜在的に核武装が可能な能力があるのなら,やる時にはやってしまうということ.
 今,アメリカがインドの核武装を願として認めないー認めようが認めまいが,既に核武装しているわけだがーという態度を厳守しようが,その点は変わらない.
「これをきっかけに世界中のヤバイ国が我も我もと核武装し始めたらどうするんだよ!」
という危惧はもっともだが,インドに関して言えば,既に核武装してるんだからそういうことを言ったところで無意味,というか関係ない.

 むしろ,
「核武装したければ,アメリカが提唱する,このような手続きを踏まえなければならない」
という前例が作れたということで,今回の件は有意義であるといえる.

 繰り返すが100%野放しよりは1%でも監視,管理できる方がマシ.
 厳しい決まりを作ってる筈なのに抜け道だらけ,核武装してることは暗黙の了解なのに,公式には「持ってない」ことになっている・・・という現状よりは,ずっとよい.

 また,NPTに加盟していない国が核武装するのを見過ごすのと,NPTに加盟している国が核武装するのを見過ごすのとでは,意味が違います.
 後者はNPT体制の崩壊を意味しますから,アメリカを始めとする核保有国はきわめて強力に妨害してくることは明白です.

 【質問】
 米印原子力協定で,インドはどんな得をするのか?

 【回答】
 今回の合意で米国からのウラン燃料の供給が得られることになり,インド側は大助かり.
 また,原子炉8基は「軍事用」で査察の対象外となるので,自由に核兵器用のプルトニウム製造ができ,計算上は年間で50発の核弾頭の製造が可能となるという.
 以下引用.

 インドは今回の米印合意で,22基の原子炉のうちの14基を「民生用」として2014年までに国際核査察下におくことを約束しましたが,ということは,他の8基は「軍事用」で査察の対象外となるので自由に核兵器用のプルトニウム製造ができ,計算上は年間で50発の核弾頭の製造が可能となるということのようです.
 米国側は,当初年間6〜10発の製造能力に抑えようとしたものの,インド側の抵抗がつよく,交渉が難航し,ブッシュ大統領自身が訪印直前に決断を下したものだということです.(ちなみに,もし年間50発のペースで製造し続ければインドは10年以内に中国の核戦力に拮抗できる計算で,新たな中印核軍拡競争も懸念されるでしょう.)

 インドは元々天然ウランの埋蔵量が少ないので,国産のウランはすべて核兵器製造に廻し,発電用の原子炉には,海外からウラン燃料を輸入するのが得策と考えられ,今回の米印合意によりまさにそれが可能になるわけです.
 とくに1960年代に運転開始したタラプール原発は,米国製軽水炉(BWR)で,1974年の核実験以来米国からの取替え燃料の供給が全面禁止されていましたが(一時フランスが肩代わり),今回の合意で米国からのウラン燃料の供給が得られることになり,インド側は大助かり.

 おそらくタラプール原発の使用済み燃料の再処理も,今回の合意に含まれているはずで,1977年の東海再処理工場の運転問題を巡る日米交渉で日本側が獲得したものをほぼ30年目にしてついに獲得したわけです.
 そういう点も含めて,今回の米印合意は,インド側の「粘り勝ち」と言ってよいでしょう.
(後略)

EEE会議,2006/3/5


 【質問】
 アメリカがインドの核は認めて,イランや北朝鮮の核は認めないというのは矛盾ではないか?

 【回答】
 米印原子力協定ですが,
・インドは22箇所の核関連施設のうち,14箇所でIAEAの査察を受け入れる
・インドが建設する民生用核施設はすべて査察対象とする
・インドとIAEAは恒久的な査察体制の協議に入る
・米国はインドに原子力技術や核燃料を提供する
・協定発効には米議会のほか,原子力供給国グループ(わが国を含む)の合意 が必要
というもので,各国の各レベルで協議が行なわれています.
 核拡散防止条約(NPT)にインドが加盟しているいない,ばかりが取り上げら れている本件です.
 しかしその本質は,米が打ち出した「インドとのきわめて高度で現実的な戦略関係の構築」であり,原子力は「ツール」(だし)に過ぎません.
 したがって本件とイラン問題は次元が全く違う話で,同列で論じてはいけない 性質ですね.

 なお,いろいろかしましい核兵器保有に関する議論については,現実的には 「95年の「NPT無期限延長」以前に核兵器を取得していたか否か」がすべての カギを握っているようです.

 わが国と本件に関して,EEE会議の金子さんは3月26日,以下のような見解を 示しておられます.

 ・・・ インドを「別格」として国際政治上の大国たる責任を持たせたほうが,核拡散 防止にも国際平和の維持にもプラスになるというポジティヴな発想に切り替えることこそ重要だと思います.
 とくに日本の場合,対中戦略の一環として「イ ンド・カード」を重視する必要があります.
 日米同盟に加えて,日印がスクラムを組んで中国を牽制(必ずしも敵対ではない)することが肝心で,そのため の原子力協力を進めるべきです.
 さらに言えば,インドの原子力発電を支援することは地球温暖化防止にもプラスです(この点は対中原子力協力も同じ).
 このようにできるだけ多角的,総合的に日印関係を見るべきで,核・原子力と いう狭い視点だけで論ずるのはむしろ危険だと思います.
 ブッシュ政権は極め て戦略的にインド問題を考えているわけで,この点は日本も見習わないといけ ません.

 5.最後にただ1つ,日本特有の難しい問題点があるとすれば,言うまでもな く,日本は世界で唯一の被爆国であり,反核(非核)感情が根強く,曲がりな りにも核軍縮(第6条)を謳うNPTを是とし,これを堅持しようとする気持ちが 強いことです.
 小生は,日本人のNPTに執着する気持ちは,あたかも憲法第9 条にしがみつく気持ちに似ていると考えています.現実主義より理想主義を良 しとする心理です.
 しかし,言うまでもなくNPTは決して万能ではなく,これを金科玉条視すべきではありません.出来るだけ早期にNPT至上主義を改め, 事なかれ主義の硬直した日本の核・原子力外交を大きく転換すべき時です.
 とりわけインドをNPT非加盟,核兵器保有というだけで色目で見,疎外するの は不適当かつ不得策です.
 このことを政治家や役人,一般国民に理解し,納得 してもらう必要があります.
 そのためにはもっとインド問題に関心を持っても らわねばなりませんが,そうするには現在の日本のマスコミのインド問題に関 する報道や論評はあまりにも低調すぎます.
 ここをどう打開するかが当面最大 のポイントであると考えます.

EEE会議,2006/3/26

おきらく軍事研究会

 ただし,
「民生用の平和利用なら・・・」
という主張はイランも北朝鮮もしており,
「なぜインドに認めてわれわれには認めないのか?」
との反発は当然予想されます.

 (余談)
 米がインドに核技術を移転する根拠としているのは「民主主義国家だから」ということのようです.まことに勝手な言い草です.
 しかし,いつもお伝えしていますが,国際社会というのは弱肉強食のヤクザの世界です.強いものの言い分が通る理不尽な社会です.
 その中で各国は生きてゆかなければいけません.
 国際舞台に立つ人は,国際法の本よりも「山口組三代目」や「仁義なき戦い」を熟読したほうがずっとためになるかもしれません.(笑)
 (余談終わり)

おきらく軍事研究会, 2006/3/6


 【質問】
 米印原子力協定に対する,インド国内の反対の声はどんなものか?

 【回答】
 『フォーサイト』2008年8月号によれば,協定はインドの民生用原子炉を国際原子力機関(IAEA)の査察下に置くことを条件に,米国からの核技術や燃料の供給を可能にするものであるため,左派共産党を中核とする左翼ブロックが,
「協定はインドの核政策や外交政策を縛りかねない」
と猛反発し,協定の前提となるIAEAの査察受け入れへと動けば,閣外協力を解消すると警告していたという.
 そして実際に2008/7/9,インドの連立与党を支えてきた左翼四政党が,閣外協力を解消している.

 少なくとも,反核などといった抽象的な理由からではないことは確か.


 【質問】
 米国によるインドの核兵器容認に対し,パキスタンはどう考えているのか?

 【回答】
 大変に不満に思っているが,アメリカがパキスタンを完全に切り捨ててしまわぬよう,対テロ協力をいっそう進めたいと考えている模様.

 隣国パキスタンは「核に関して米は自分達と違う扱いをしている」ことを大変不満に受け止めています.
 パキスタンのマスード退役陸軍中将は,2006/3/2のパキスタン紙「DAWN」論説の中で,米国が南アジアに関与する要因として,

・民主国家インドの経済,軍事面での台頭
・対テロ戦争でパキスタンがもつ中核的役割
・南アジア地域の核問題
・パキスタンの地政学的位置とイスラーム諸国に対してもつ影響力

を根本的な要因,

・先行き不透明なイランの核危機
・イスラーム産油国での政情不安拡大
・アジアにおける中共の経済・軍事面での台頭

を付随的な要因とし,付随的要因については
「米がアフガンやイラクに侵攻したために浴びた『死の灰』」
と表現しています.

 米がインドの核利用を認めた背景にあるのは中共への抑えですが,パキスタンは,これに伴ってインドが地域の覇権を握ることを懸念しています.核の均衡が事実上破れたわけですから.

 パキスタンは当面,米印の戦略関係構築を
「パキスタンを切り捨てるゼロサムゲーム」にならないようにしなければいけない,と考えているようです.

(※両者と並行した関係を結ぶのではなく,いずれか一方を切り捨てること.
 例:中共と国交を結んだ米国やわが国は,それとともに,台灣との国交を断絶しました)

 それにあたってパキスタンは,対テロ戦争での米との協力が極めて重要と見ているようです.
 米軍プレゼンスをパキスタンからなくさないため,パキスタン-アフガンの関係をより密着させ,現在米が最優先にしている「対テロ戦争」への軍事協力という面で米パ関係を確固たるものにしておきたいようです.
 同時に,イスラーム世界と米国をつなぐ存在として,その存在感を高めてゆこうとの方針も持っているようです.
 最終的に核の平和利用を実現し,経済的な協力関係を深化させるためにも,米との関係をより広く構築しておくことが重要.というのがパキスタンの指針なのでしょう.

 ブッシュ米大統領は南西アジア歴訪最初の訪問先として,1日にアフガンを電撃訪問していますが,これはパキスタンの姿勢に配慮したものと見られます.

 マスード退役中将は論説の中で,

・パキスタンを核取引の世界から除外したいのなら,イランからのガスパイプライン建設がパキスタンにとって死活的に重要となること
・米はF16をパキスタンに売るとしているが,パキスタンはそれとともに最新鋭戦闘機(FA22のことでしょうか)もあわせて適切な価格で提供してもらいたいと考えていること
・米パ首脳会談でムシャラフ大統領は,この2点をテーブルに上げる必要がある,

とも述べています.

 2月28日に「中共がパキスタンに原発2基の供与で合意」というニュースが流れましたが,この合意が履行された場合,04年に中共が加盟した,核関連物質・技術輸出を規制する原子力供給国グループ(NSG)の指針に抵触する可能性があります.
 この報道はパキスタンがリークしています.米に対するメッセージと受け止められなくもありません.

おきらく軍事研究会, 2006/3/6


 【質問】
 インドの核燃料問題とは?

 【回答】
 インドが核燃料をどう調達するのかという問題.
 オーストラリアはウラン供給を拒否.
 ロシアとの交渉でも2008年現在,燃料確保までは言及されていない.
 ロシアの対印民生用原子力協定が実現するには,オーストラリアと同じように,インドが国際原子力機関(IAEA)と査察協定を締結した上で,原子力供給国グループ(NSG)による承認が必要となるという.

 詳しくはメール・マガジン,[ 日刊アジアの開発問題 No.271 2008/02/14]を参照されたし.

▼ しかしその後の2008/9/30,インドのシン首相は訪問先のパリでフランスのサルコジ大統領と会談し,民生用原子力協力に関する二国間協定に署名しました.

 先の米印原子力協力は歴史の転換点となったようですね.
 インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核兵器保有国です.

 NPT未加盟の核兵器保有国インドは国際原子力機関と査察協定を結び,また,原子力供給グループもNPT未加盟の核兵器保有国インドへの核燃料・機器の禁輸解除を認めています.

 ⇒国際社会はやったものがちです.食うか食われるかです.
 日本的美徳は一切通用しません.
 負けて他者のえさになりたくないなら,あらゆる方策を使って勝つしかないんです.
 強くなければ生きる資格がないんです.
 それに伴う犠牲がいやなら,奴隷になることです.

おきらく軍事研究会,平成20年(2008年)10月6日


 【質問】
 インドのウラニウム調達先は?

 【回答】
 【日刊 アジアのエネルギー最前線】,2008/12/17付によれば,世界最大規模,フランスの原子力企業アレバ Areva とインド原子力開発公社NPCIL(Nuclear Power Corporation of India)との間で,年間300tのウラニュームを供給する協定が結ばれたという.
 この量は,1,500MWを運転するに必要な量で,インドの原子力設備の35%分に当たるという.
 その他インドは,ナミビヤやナイジェリアとも交渉中だという.

 詳しくは同ブログ,および,
「Economic Times(India)」:Areva inks pact with NPCIL to supply 300 tonnes of uranium(2008/12/16)
を参照されたし.


 【質問】
http://www.book.janjan.jp/0803/0803213285/1.php
『両国は,インドに22ある原子炉のうち14を国際原子力機関(IAEA)の査察下に置くと公表していますが,核兵器の開発が可能な,「兵器級プルトニウム」が製造できる高速増殖炉は査察対象外となっています.』
『1974年と1998年にインドは核実験を強行し,現在40〜50発の核弾頭を保有していると推定されます.
 この協定の実施によって,わずか1年で40〜50発分もの「兵器級プルトニウム(核兵器の材料)」を得ると予測されます.
』(槌田敦氏)
というのは本当ですか?

 【回答】
 インドの高速増殖炉はまだ建設中です.

――――――
http://indonews.jp/2008/06/1000mw.html

 インド政府が現在タミル・ナードゥ州カルパッカムで,工事の後期段階に入っている500MW高速増殖原型炉(PFBR)に続き,1000MW級高速増殖炉(FBR)の建設を計画していることを明らかにした.
 インドを代表する原子力発電の研究者であるラジ博士によれば,インド政府原子力発電部門は現在建設中の500MW原型炉が2010年までに完成した後, 1000MW高速増殖炉の建築に着手する予定で,2020年以降はこの新施設が原子力による発電の主力となる見込みだとした.
――――――

90式改 in FAQ BBS,2009年6月26日(金) 19時46分
青文字:加筆改修部分

 そもそも,U-235を用いた核兵器は,ウランを濃縮する装置さえあれば,原子炉無くても作れますよ.
 Pu-239を用いたものであれば,プルトニウム生産炉が必要ですが,高速増殖炉は不要です.
 証拠も何も,これ,当たり前の話ですよ.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-04-11-04

 インドの核は,重水炉で生産されるプルトニウムを使っているんでしょう.
 1974年の核実験のときは,カナダから技術導入した重水減速型天然ウラン原子炉を運転して得たプルトニウムを使っていました.
 現在,インドでは研究用原子炉を除いても,16基の重水炉が稼働中であり,現時点でも多くのプルトニウムが生成されています.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14021102/02.gif

 また,インドには三箇所の再処理施設が稼動しており,合計で230t/年の使用済み燃料を処理できます.
 インドではすでに再処理プルトニウム生産体制が確立されています.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=14-02-11-02

 てか,プルトニウム生産炉たる重水炉の存在を無視して,高速増殖炉だけに注目するあたり,槌田敦氏は,核兵器のことをちっとも分かってないんじゃなかろうか,と.

極東の(ky in FAQ BBS,2009年6月27日(土) 3時14分
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 日印原子力協定について教えられたし.

 【回答】
 日本とインドとの間で,原子力発電に関する技術協力を可能にする協定.
 2010.6.28より,第1回交渉が行われる予定.
 核兵器を保有するインドは,核拡散防止条約(NPT)に加盟していないため,日本政府には協定締結への慎重論があった.
 しかし,インドの電力需要の高まりを背景に,日本など46か国が原子力関連技術の輸出を管理する原子力供給国グループ(NSG)は2008年,インドが核実験の自発的凍結を継続することなどを条件に,同国への原子炉や核燃料の輸出を例外的に解禁.
 これを受け,米国やロシア,フランスなどが,インドとの間で原子力協定を締結.
 世界のこの大勢を見て,日本も方針転換することになったという.

 【参考ページ】
2010年06月25日 21:35,読売新聞

編者

 以前,米印原子力協定の際にコメントしたこともありますが,
「如何に核実験自発的凍結を恒久化するかが重要」
と考えます.

 観念的な核廃絶運動は理解できますし,それを否定するわけではありません.
 また,私個人にとって,日本の国是と同じく核兵器廃絶・核不拡散・原子力平和利用厳守が絶対原則です.
 残念ながら核兵器廃絶・核不拡散は,一朝一夕には出来ません.
 しかし,観念的に反対するアプローチだけではなく,実際にそのような場面に追い込む実利的なアプローチも必要であり,武力意外に可能な全ての手段を用いることが必要と考えます.

 今回のインドについては,2008年,インドが核実験の自発的凍結を継続することなどを条件に,NSGが原子炉や核燃料の輸出を例外的に解禁するという措置を執っており,何ら拘束力を持たない状況より,「自発的」とは言えども「核実験凍結」に誘い込んでいます.

 今後,インドでは原子力以外でもエネルギー需要が急増するために,それに対する処置が不可欠となります.
 その中で,原子力の位置づけが重くなれば重くなるほど,「核実験凍結」という「自発的措置」が,エネルギー安全保障という「強制力」を持ってくることになります.

 もちろん予断は禁物です.
 しかし,アピールや抗議とは別に,実利的手段によって平和裏に「核実験阻止」に持ち込めれば,少なくとも抑えが効かないよりマシであり,進展であると確信します.

 繰り返しますが,アプローチはいろいろあると考えます.
 しかし,重要なのは如何に実効性を持たせること.
 今回の場合は,「如何に核実験自発的凍結を恒久化させるか」がポイントであり,議論は歓迎しますが,それを見失うべきではないと考えます.

 皆さんは如何お考えでしょうか.

へぼ担当 in mixi,2010年06月27日14:51

▼ しかし思うのですが,何で日本が原子力協力をすると抗議の声を上げるくせに,アメリカとインドとの原子力協力や韓国の原子炉輸出には抗議しないのでしょう?
<民主党>長崎県連,日印原子力協定締結に反対 (毎日新聞 - 7/29 21:53)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1292549&media_id=2

 そもそも1997年の核実験以降,自前の核開発の技術と能力を持つインドが,日本の技術を借りて核開発する可能性は少ないのですが.
 あくまでも日本製原子炉の販売が目的でしょうに.
 〔略〕

バルセロニスタの一人 in mixi,2010年07月30日18:01

 【関連リンク】
「Business Line」◆(2010/07/07)Japan Steel Works bullish on Indian N-reactor parts market


 【質問】
 インド弾道弾の現況は?

 【回答】
 複数の情報をまとめました.

・現在インドで実戦配備されている核搭載可能な弾道弾は「プリトビ」のみ

⇒ コモ辞書によれば,プリトビは短射程弾道弾です.
 ここでは核搭載可能といってますから,「プリトビ1」のことですね.
 射程は最大200キロです.

【プリトビ 1】
 インド陸軍,短射程弾道ミサイル(SRBM),'93部隊配備開始,第333ミサイル群をパキスタン国境付近に配置,
 発射基数=50基以下;

<性能諸元>
全長27.8ft(8.47m),発射重量30,800 lb(13,970kg),弾頭重量1,000kg(AW&ST),INS誘導,2段液体燃料,射程95NM(176km)/150km (NAIC'98 BM&CM Threat)/150〜200km(AW&ST),路上機動

【プリトビ 2】;
 インド空軍,短射程弾道ミサイル(SRBM),
 インド陸軍装備のPrithvi 1(150km)の性能向上型,
 '02/10・制式採用.
 空軍部内には,8-tonの搭載能力をもつSu-30があるのに無駄遣い,と言う批判あり;

<性能諸元>
 液体燃料,射程250km(160-mile),搭載重量500kg(1,100-lb)〜核弾頭は搭載不能

【出典 コモ辞書】

・パキスタンは中共と北鮮の積極的支援のもと,インド全土が射程に入る弾道弾能力を保有している.

・短射程弾道弾(SRBM)「アグニ1」と中射程弾道弾(MRBM)「アグニ2」は,確かに軍に置かれているが,実戦配備がいつになるかは不明.

⇒ 装備を手に入れただけで実運用はできません.
 作戦運用から後方に至るすべての仕組み・環境を作り上げ,要員教育や演練を重ね,装備を使いこなせる状況になって,はじめて実戦配備となります.
 インド軍筋によると,現在「アグニ1」と「アグニ2」の発射訓練が行われている最中とのことです.

【アグニ-1】
 インド,短射程弾道ミサイル,パキスタン陸軍の新戦略軍が核弾頭搭載可能ICBMを装備したと発表した翌日に,Bengal湾Wheeler島の移動発射台から試射;全長15m,重量12t,固体推薬,射程700km

【アグニ-2】
 インド,中射程弾道ミサイル(MRBM),
 '98/08/11開発着手を公表,
 '99/04/11・Orissa coastのWheeler Island新射場からBengal湾に向け発射,
 弾着点迄の水平距離=2,200km,
 1段目はAgni Iと同様に国産の宇宙開発用固体燃料ロケットSLV-3を使用,
 2段目はプリトビの液体燃料ロケットに代えて,新型固体燃料ロケットを使用.
 '02/01/25・東部オリッサ州近傍チャンディプール実験場で第7回目の発射実験・アラビア海に弾着し実験成功,
 射程を700km以下に抑えてパキスタンを標的とした実験と報道.
 パキスタンは直ちに非難声明.
 '04/08/29・Bengal湾射場から第3回飛翔試験実施,レール移動発射機使用,
 目標距離=1,200km;.

<性能諸元>
 全長62.3ft(18.99m),胴体直径3.3ft(1.0m),重量16t,INS誘導,2段固体推薬,搭載重量 1,000kg,核弾頭搭載可能,射程1,550NM(2,870km)/2,010km(NAIC'98BM&CM Threatデータ)/1,500〜2,000km(AW&STデータ)

【出典 コモ辞書】

 ・090202付のインド紙「タイムズ・オブ・インディア」によれば,「アグニ1」はパキスタンを標的にした弾道弾で,2002年1月に「プリトビ」と「アグニ2」という2つの弾道弾の射程距離のすきまを埋める目的で試射が実施されてます.
 その際の結果報告は「良好」とのことです.
 「アグニ1」について陸軍は,すでに作戦能力確認のためのテストを二度実施しています.
 1回目は2007年10月で,2回目は2008年3月です.

・中距離弾道弾の「アグニ3」(射程3500キロ以上)は,中共の奥深くを叩く能力を持つ戦略ミサイルで,これまで3度試射が行なわれたと伝えられていますが,「タイムズ・オブ・インディア」等によれば,四回目の試射は予定されていないとのことです.
 これまでの試射で成功したのは,2007年4月と2008年3月に実施したものですが,少なくとも2012年までは準備不足のため実施できないようです.

【アグニ-3】
 インド,中距離弾道ミサイル(IRBM),
 国防研究開発機構(DRDO:Defense Research & Development Organization)開発中,
 '06/07/09(北鮮ミサイル乱射の翌日)・ベンガル湾Wheeler Island射場で初試射.
 発射は順調だったが,高度12,000mで第2段の切離しに失敗した模様で,目標を外れて発射場から1,000km離れた Orissa州沿岸沖のベンガル湾に落下.

<性能諸元>
 全長16m,直径1.6m,重量48t,3段固体燃料(Agni-2に3段目を付加),射程3,500km/4,000km/6,000km(諸説紛々),INS方式終末誘導,核弾頭(200- 300kT)搭載可能,
 地上サイロ又は列車搭載

【出典 コモ辞書】

・インドは現在「アグニ5」という,射程5000キロの「ほぼ大陸間弾道弾(ICBM)」を開発しています.
 インド軍によると「2010年から2011年までに試射準備を完了させなければならない」とのことです.


・あるインド筋は次のようなことを言ってました.
「戦略ミサイルの実戦配備にあたっては,種々の飛翔曲線や標的を想定し,10回から15回の試射を行なう必要がある.
 わずか3〜4回の試射で配備準備ができるとは笑止千番.
 これではパキスタンと同じだ」

・そんなわけで,現在インド軍が持つミサイル能力は「プリトビ」のみといえます.
 各軍の装備発注状況を見てもそれがよくわかります.

陸軍:「プリトビ1」75基,「プリトビ2」62基
空軍:「プリトビ2」63基
海軍:「プリトビ」発射システム「Dhanush」(K-15計画.海軍版「プリトビ」
海軍版SS-250[SS-150との情報もあり]).射程350キロ.哨戒艦「スバドラ」「スバルナ」に配備予定)

・インドは,2015年までに米・ロシア・シナのように「五大国クラブ」入りする,との国家目的を持っています.
 いわゆる五大国クラブというのは,大陸間弾道弾(ICBM)と潜水艦発射型弾道弾(SLBM)を保有する国の集まりを意味します.
 五大国はいずれも核兵器保有国です.

 「戦略核兵器の三本柱」を構成しているのは「地上発射型」「空中発射型」「潜水艦発射型」ですが,なかでも潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)は,秘匿性に優れた最緊要かつもっとも効果的とされます.

 しかしながら,インド国防研究開発機構(DRDO)のK-15計画で開発されたSLBM「Sagarika K-15」の射程は数百キロで,「五大国クラブ」諸国が保有する「SLBM射程距離5000キロ以上」という能力から大きくかけ離れています.

 インドは,ATV計画のもとで現在建造中の国産原潜に,初めての核弾頭搭載可能SLBM「サガリカ」を配備してから,SLBMの射程延長を実施するそうです.
 射程6000キロが目標とのことです.

※ サガリカ/ダナッシ; インド海軍,潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM),

 サガリカはプリトビ(Prithvi)派生型,
 '92開発開始,
 射程240+km,
 未配備.

 ダナッシ(弓)は射程300〜350kmの国産短射程弾道ミサイル.
 全長8.56m.
 水上艦艇搭載.インドの新原潜に搭載されるか否かは不明.
 2種類の派生型(射程250km及び500km) (NAIC'98 BM&CM Threat),'98/12予定の試験は'00/04/11・INS Subhadraからベンガル湾に向けて実施

【出典 コモ辞書】

(参考)
080226 Visakhapatnam沖にて「サガリカ」の水中からの試射実施.

(参考)
「インド,原子力潜水艦ATV進水へ.」(070321付)より
(OSINTSUM http://seipankoji.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/atvakula_ec09.html

<なお2004年には,水中発射型のミサイル「プリトビ3(Prithvi)」が新型の発射器であるProject K-15 から発射されている.プラットフォームに関しては記載されていないが,2010以降に配備される予定であり,2010年という時期はATVの就役時期と符合するものであると報じている.
 Andrew Koch,“Indiamoves closer to sea-launched ballistic missile,” Jane’s Defence Week
ly, 10 Nov 2004, p.5.

 DRDOが発行するTechnology Focus, Aug, 2004, に,この発射筒の記事が掲載されている.
 ここでは発射筒の材質について,「海洋環境」における防錆対策を必要としない素材を用いていると紹介しており,海中発射システムであることが示されている.
http: //www.drdo.com/pub/techfocus/aug04/missile13.htm(28 Feb 2005).

おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)2月16日
青文字:加筆改修部分


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