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(画像掲示板より引用)
「Afghan News」◆(2013/05/09) Afghanistan
Ready To Let The US Have 9 Bases In Country,
Hamid Karzai Says - Huffington Post
「VOR」◆(2013/05/09) 米国 アフガン撤退後も9つの基地をコントロール下に
「Defense News」◆(2012/06/12)U.S. Pulls Supply Route Negotiators Out of Pakistan
「Defense News」◆(2012/06/28)U.S. Pays High Price for Pakistan Route Cut-Off: Admiral
「Defense News」◆(2012/06/21)U.S. C-27Js Head Home From Afghanistan
「Defense News」◆(2012/06/26)U.S. Marines Transfer Excess Supplies to Afghans
「Defense News」◆(2012/07/03)U.S. Apology Leads Pakistan to Reopen Important NATO Supply Route
「Defence News」◆(2013/02/25) Kabul Orders U.S. Special Forces Out Of 2 Afghan Provinces
「NHK」◆(2012/06/19)米軍の補給路再開巡り溝深まる
「NY Times」◆(2011/08/01) Pakistan Says U.S. Missiles Kill 3 Near Border
「Strategy Page」◆(2013/03/28) LOGISTICS:
Paying Your Way Out Of Afghanistan
アフ【ガ】ーンからの撤退後に払い下げられるであろう米軍物資について
「Strategy Page」◆(2013/04/07) AFGHANISTAN:
Fear Does Not Work Here
米軍撤退後への懸念
「VOR」◆(2012/01/13)アフガン情勢,行き詰る 米特殊部隊
「VOR」◆(2012/02/10)米兵 アフガンでSSの旗を背景に写真撮影
「VOR」◆(2012/02/28)アフガニスタンで 米兵を中毒させる試み
「VOR」◆(2012/03/02)国連 コーランを焼いた米軍人の処罰を要求
「VOR」◆(2012/03/19)露外相:米国はアフガンから撤退するのか?
「VOR」◆(2012/03/27)米国 過半数がアフガン戦争継続に反対
「VOR」◆(2012/04/24)米国 アフガン撤退計画はなし
「VOR」◆(2012/06/16)米国防総省 アフガンから撤退後 武器・兵器は中央アジア諸国へ
「VOR」◆(2012/08/10)米空母「アイゼンハワー」 アフガンNATO軍支援のためペルシャ湾から移動
「VOR」◆(2012/09/25)ロシア 国連で米国に答え求める
> 19日からニューヨークで始まった第67回国連総会で,ロシアは米国に対してアフガン戦役についての報告を求める構えだ.
「VOR」◆(2012/11/30)米国防長官;「アルカイダ」との戦いはアフガンにおける米国の重要課題
「VOR」◆(2012/12/21)米国軍法会議 アフガン人の遺体に小便をした海兵隊員に判決
「VOR」◆(2012/12/21)米軍司令部 アフガンで一般人16人を殺害した米軍人に死刑を求刑
「WP」◆(2010/07/11)Six U.S. troops killed in blasts, under gunfire in Afghanistan
「WSJ」◆(2010/07/07)【ワシントン雑記帳】ローリング・ストーン誌の衝撃,オバマ大統領が異例の司令官解任
「朝目新聞」●火の粉を散らす米軍ヘリコプターの不思議な現象…アフガニスタン (of らばQ)
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/02/26)アフガニスタン コーラン焼却事件の混乱拡大 反米感情と相互不信
「週刊オブイェクト」:アフガン民衆は米軍増派を支持し,タリバーン批判が広がる-米英独世論調査
「週刊オブイェクト」◆米無人攻撃機,タリバーン総司令官を連続で殺害
「地政学を英国で学ぶ」:なぜアフガニスタンから兵を減らしてはダメなのか
「東京の郊外より・・・」◆(2013-05-02) アフガン最前線で無人ヘリK-MAX活躍
>海兵隊がアフガン最前線で前線輸送任務に試験的使用している無人ヘリK-MAXが、大いに活躍している様子
『アフガン たった一人の生還』(マーカス・ラトレル&パトリック・ロビンソン著,亜紀書房,2009.9)
大変読み応えがあって良かったです.
読んでいて圧倒された.
シール候補生選抜試験の超過酷さや,アフガンでどんな事になったのか良く伝わってきました.
残念な事は,誤植か誤訳か分かりませんが,妙な文書がところどころにあった事.
単位がヤードポンド法,温度が華氏だったので読みにくい面もありました.
訳者さん,メートルグラム法と摂氏に換算のサービスしてくれよ.
21ページ.
「・・・アクセルソン2等兵.カリフォルニア出身のまだ30歳にもならない下士官だが,・・・」
アクセルソンさんは2等兵なの? 下士官なの?
28ページ.
「シェーンの父親もまたシールで,めったに口にこそ出さないが,シェーンの秘めたる野望は,父ジェームス・J・パットンのようになることなのだ.
シェーンは父親がかつて所属していた,空軍落下傘部隊隊員になりたがっていた」
シェーンの父ジェームス氏はシールなの?
空軍落下傘隊員なの?
それに空軍落下傘部隊って何だ?
空軍の降下救難隊か戦闘管制官のことか?
それとも空挺部隊を,空軍落下傘部隊と誤訳してしまったのか?
――――――軍事板,2010/06/03(木)
【質問】
アフ【ガ】ーニスタンにおける米軍へのロケット攻撃は,どの程度の効果があるのか?
【回答】
米軍関係者によれば,やけくそで効果のないものだという.
以下引用.
米当局者によると、地上部隊の掃討によって元タリバンやアルカイダの兵力は集結できない状態にあり、また大部分の攻撃は命中率の低いソ連製のロケット弾を使って夜間に行われているため、ほとんどすべての攻撃が目標を外れているという。
しかし攻撃の性格は変わってきているようにみえる。
夜間に1発だけロケット弾を撃つかわりに、軍当局者によれば、いくつかのケースでは米軍基地に対して5発から10発のロケット弾の斉射が行われたという。
最近ではしばしば同じ夜に数カ所の基地が攻撃されており、ロケット弾を撃った敵はほとんど捕まえられたためしがない。
最近では3人の男がルワラの米軍基地近くを1台のトラックに乗って午後12時30分に通りかかり、ロケット弾を基地に撃って逃げた。
また,狙撃者が米特殊部隊の兵士の足を撃った。
米軍当局者はロケット攻撃はやけくそで効果のないものだという。
「効果的かどうかという観点からは、これらはまったく命中していない」と,アフガニスタン駐留米軍の報道官ロジャー・キング大佐は述べた。「われわれはまだ1人の犠牲も出していない」
キング大佐は
「過去2か月の間にわれわれが発見した武器貯蔵場所の半分は,地元住民が来て教えてくれたものだ。
彼らはよい結果をおさめている」
とつけ加えた。
(デビッド・ロード from ザ・ニューヨーク・タイムズ 2002年12月7日)
確かに,無誘導ロケッド弾の低命中率を考えれば,5〜10発程度の斉射では,たいした戦果は期待できまい.
また,ターリバーン政権時代には,火力支援を担当していたのはパキスタン軍や旧共産軍の将兵だったと言われており,現在のターリバーン残党にそれら部外の熟達者が残存している可能性も低い.
【質問】
パシュトゥーン人は,米軍に対してどんな不満を持っているか?
【回答】
不満は空挺部隊兵士に主に向けられている.
パシュトゥーン人は,彼らが不必要に攻撃的であることに不満を持っている.
以下,ソース.
パシュトゥン人たちは、アフガニスタンの大統領でやはりパシュトゥン人であるハミド・カルザイに対しては、驚くほど強い支持を表明している。
また彼らは米軍の特殊部隊に対しても、しばしばあご髭を伸ばして野球帽をかぶり、地元民に対しては敬意をもって接していると言って賞賛している。
彼らの不満は,夏以来掃討作戦を行っている地上部隊に向けられている。
この大部分は第82空挺師団の分隊を含んでおり、地元住民は空挺部隊を「悪い兵隊」と呼んでいる。
パシュトゥン人達は,空挺部隊が不必要に攻撃的であると非難している。
敵を圧倒し、味方の犠牲を最小限にするという米軍の戦術、たとえば武装攻撃ヘリをホバリングさせたり、警告のために迫撃砲を撃ったりすることが,アフガン人をおびえさせ、気持ちを遠ざけていると彼らは言う。
許可なく家に入ることは特にパシュトゥン人にとっては侮辱である。
市長を含むクナル州の住民は、9月にある山腹に行われた米兵による迫撃砲試射で羊飼いの子供が死んだと言っている。
他の者は空挺部隊が市民に銃を向け、無実の人々を抑留していると不満を述べている。
米軍報道官のキング大佐は、地方の男が子供の死体を米軍基地に運んできた事実は確認したが、迫撃砲を撃った兵士たちは,この山が無人だと思っていたと述べた。
彼は,すべての米兵は家に入る前に許可を求めるし、食糧や毛布を捜索に際して配っており、また米軍の女性兵士がアフガン人の女性を調べていると述べた。
結局のところ最大の課題は、アメリカ人とアフガン人が軍隊の使命について懐いているおのおの異なった期待を橋渡しすることだろう。
(デビッド・ロード from ザ・ニューヨーク・タイムズ 2002年12月7日)
【珍説】
小林よしのり「ベトナムのゲリラ戦ほどではなかろうけど,アフガンも似たようなものですか?」
ペシャワール会中村哲医師「いや,あれ以上だと思いますよ?」
小林「ほんとに?」
中村「ベトナムの場合,米兵は曲がりなりにも前線で戦ってましたけど,アフガンでは戦闘機やヘリに乗って空中戦〔原文ママ〕をやっているか,基地の中に引き篭もっているかのどちらかです.
地上移動すると何かが起きるから,危険で動けないんです.
それで地上での仕事をアフガン人の下請けに出すと,その下請けがいつ反乱を起こすか分からない.
米兵は憂鬱だと思いますよ.
例えば,米軍の傭兵が,日当とライフルを貰って,その仕事の帰りがけに米兵を狙撃したなんてこともありましたから.
だから誰が敵か味方か米兵にはよく分からない.
そう考えると,アメリカはアフガンで成功したか失敗したかという以前に,これはもう負けているんですね,実質的に.
もう早く帰りたくてたまらないんですよ」
(SAPIO 2003/8/20 & 9/3合併号,小学館,p.78)
【事実】
いけないなぁ,中村哲っちゃんの言葉を裏も取らずに受け売りしちゃぁ。
どんなに現地を知っていても,どんなに活動実績があっても,バイアスを持たない人間というものはあり得ないのだから。
いかに米軍が故障車両を空路後送したとしても,そんなもん何の証拠になるのか?
動けなくなった車両は,後送するしかないのは当然。
通常はレッカーかクレーンで回収するが,このような重車両をアフガンに運び込むなら,まだヘリの方が早くてお手軽なだけ。
本当に米軍が狙われているなら,そんなヘリこそ携帯地対空ミサイルで撃墜される。絶好のカモ。
早く帰国したがっているというなら,湾岸戦争の時のGIだってそうだったけどね。
ソマリア,ルワンダ,バルカンと,この世の地獄を渡り歩いて実績を積み上げて来た緒方貞子女史が,ちょっとやそっとのカムフラージュで騙されるものか。土井たか子じゃあるまいし。
哲ちゃんが嘘吐きとは言わないが,もっと他人の言葉は疑った方が良い。
バイアスがかかると,こんなふうに歪んで見えてしまうという好例ですな,中村のこの発言は.
同誌の同ページで,小林は
「わしは,今もアフガンに行って井戸掘りや医療活動を続けている『現場』〔強調,原文ママ〕の人,中村哲氏を信じている.
アフガンの治安は過去20年間で最悪だそうだ」
と書いていますが,この中村のように,バイアスがかかっていては,信頼に足るソースとはなりえません.
例えば,北韓(北朝鮮)に最も数多く足を運んでいる「『現場』の人」と言えば朝鮮総連幹部なのですが,その言葉を額面通りに受け取る人は,まずいないでしょう.
ターリバーン・シンパである中村の言葉も,それと同じことです.
まず,米兵がヘリ移動を専らにしている点を,
「地上移動すると何かが起きるから,危険で動けない」
と中村は見なしていますが,この見方は明白に誤りです.
ターリバーン政権崩壊以後,アフ【ガ】ーンで米軍が行っているのは,ピン・ポイントでのアル・カーイダ残党狩りです.
そのためには,情報があれば直ちに現場に急行しなければなりません.ビン・ラーディンは居場所を頻繁に変えているからです.
そしてそのためには,道路とは到底呼べない悪路※を何時間もかけて車でやってきたのでは,間に合いません.
ヘリで現場上空まで飛来し,そこから特殊部隊が降下,航空兵力からの火力支援を受けて戦闘するのが最善と言えます.
「基地の中に引き篭もっている」
にしても,任務の違いを理解していないための誤解,または事実の歪曲です.
米軍が地域の治安維持活動を担っているのであれば,頻繁にパトロールに出なければなりません.
すなわち,基地の中に引き篭もっているのは問題であり,敗色濃厚と言えるかもしれません.
しかし米軍の任務は,治安維持任務ではありません.
それを担当しているのはISAFや新アフ【ガ】ーン国軍・警察です.
米軍の任務は,情報をキャッチし次第,現場に急行しなければならないビン・ラーディン狩りであり,そのためには基地で常に待機していなければなりません.
火災が起き次第,すぐに出動しなければならない立場の消防士が,常に消防署で待機しているのと同じことです.
この消防士の待機を
「消防士は消防署に引き篭もっていて,外に出られない」
と表現するのは,現状を正しく観察しているとは到底言えないでしょう.
バイアスがかかった人間の「観察」や「情報」なんて,その程度のものです.
それにしても中村医師は,僻地の診療所のある,アフガーン奥地へも出かけているはずです.
したがってアフ【ガ】ーンの道路がどんなに悪路か※も,よく知っているはずです.
また,ターリバーン指導者オマルも地方への移動では大抵ヘリを使っていましたし,それを中村医師が知らないとも思えません.
にも関わらず,「米軍はヘリで移動することしかできない」と言う中村医師.これは本当に,ただの「無知ゆえの誤解」なのでしょうか?
後段の「下請けの反乱」は,中村以外のソースを寡聞にして知らないので,確認する事はできません.
しかし,これまでも
「バーミヤン遺跡破壊は雨乞いのため」
「ターリバーンは血に汚れたところのない清潔な政権」
に代表される数々の虚言を重ねてきた中村の言葉だけをもって,「下請けの反乱」を信用するのは,非常に問題があります.
最後に細かいことですが,「空中戦」とは空対空の戦いを指す言葉であり,対地攻撃※2をこう呼んでいい言葉ではありません.
※道路とは名ばかりの急斜面であったり,地雷ばかりの危険地帯であったりすることは,宮嶋茂樹のアフ【ガ】ーン国境越え潜入記「儂は舞い降りた」に詳しく述べられています.
また,以下の文献にも,その悪路ぶりが窺えます.
ナジブラー政権崩壊後の内戦以降,道路補修はろくに行われていませんから,ターリバーン政権崩壊直後は,これよりもっと酷かったと推測されます.
アフガニスタンの自動車旅行になくてはならぬ重要なものが一つある.「パンジ・ギヤー」,訳して「第5のギヤー」という.
名前だけはおおいにしゃれているが,つまり木槌の格好をした大きな「車止め」のことで,自動車の助手は急坂で車が止まったとき,すかさずパンジ・ギヤーを持って飛び降り,さっと車輪にかますのが何よりの任務.
私もよくやらされたが,これを乗り越えて車がバックするような急傾斜がしばしばあるのだから,たまらない.
(木原均編「砂漠と氷河の探険」,朝日新聞社,1956/3/10,P.108)
この「デンスケ」〔録音機に付けられた渾名〕は,カーブルを出発してきたアフガニスタンの難路を突破するときに,遂にバラバラに壊れてしまった.
最初は2台のカメラを首からぶら下げ,「デンスケ」を後生大事と小脇に抱えていたのだが,これでは,いざというときに車から飛び出せないので,「デンスケ」だけを毛布でグルグル包み,車の床に置いてきた.
何日か経って包みを開けてみたら,車の振動で機械のネジというネジはバラバラに飛び散り,完全な分解状態になっていた.
何百本かのフィルムと共に,苦労して持ってきた未録音のテープは,もはや文字通り無用の長物となってしまったが,それを捨て去る気持ちにはどうしてもなれなかった.
*
「振動」と言えば,隊員が持って行ったカメラ類でも,ずいぶん壊れたものが多かった.
振動に加えて,物凄い乾気と吹雪のように降り注ぐ砂埃が,精密機械類の命を縮めたに違いない.
(木原均編「砂漠と氷河の探険」,朝日新聞社,1956/3/10,P.116)
戦後でも,また例えば,アーマダバードという辺境の村への道路は,このような様子.
舗装されていないのは当り前だが,その土の性状が尋常ではないのだ.
粘土のような物質でできており,雨など降ろうものなら,ぬかるんでぬかるんで,田植えをする直前の泥のような状態になってしまう.
ここに車で入っていくと,4輪駆動の車であっても間違いなくスタックして動かなくなってしまうのだ.
よって,その場合は,物凄い回り道をするか,隣の藪の中を突っ切るか,もしくは開き直って,高速のまま泥に突入して突破するしかない.
が,それでも,どこかでスタックしてしまうことはある.
その場合は……,仕方がないので,運転手以外が全員降りて,よっこらせ,と車を後ろからみんなで押すのである.
後輪で巻き上げられる泥により,当然,上から下まで真っ黒になる.
山本敏晴著「アフガニスタンに住む彼女からあなたへ」(白水社,2004/8/10),p.59
さらに,afgha.comにも,道路事情の酷さについての報告があります.
▼ デビッド・イスビーは次のように述べています.
[quote]
第三世界の国では道路網が限られているほか,地形も険しいので,近代的な軍隊が機動力を得るには,ヘリコプターが唯一効果的な手段である.
[/quote]
―――デビッド・イスビー著『アフガニスタン戦争』(大日本絵画,1993/9),p.117
ヘリでの移動など,当たり前の話でしかないのです.▲
※2 漫画内では,攻撃ヘリを描いたつもりらしい稚拙な描写の物体が,ビルを「ドッカーン〔原文ママ〕」と爆撃しています.
【質問】
そもそも,他国軍に自国民空爆で殺されてるような地域が,国家として成立してるのかね?
しかも他国軍が政府とやらを支援している状態で.
国のていをなしてないではないか.
【回答】
誤爆でしょ? それならどこの国の軍隊もやったことがあるよ〜.
あと,他国軍が外国政府を支援する事例はゴマンとあるしねえ.
WW2のイギリスとかノルウェーとか,
WW1のフランスとか,
独立戦争時のアメリカとか,
WW2後のドイツとか,
和平合意後のカンボジアとか,
冬戦争のフィンランドとか
ハンガリー動乱とかプラハの春とかキューバとかグレナダとかエルサルバドルとかニカラグアとか独立前夜の東チモールとか今のCISとか……
まあ,国家の混乱期とか独立とか再建とかのときにはありがちだよねえ.
【質問】
米軍の戦術転換はどのようなものなのか?
【回答】
テロリスト討伐から国造り支援への変換だという.
以下引用.
米軍のテロ作戦も,軍閥勢力の協力を前提としたものであるから,対立する軍閥間の抗争に上手く利用され,その結果,偽情報に基づき相手軍閥の勢力を米軍機が攻撃したり,また,地元の伝統・感情を無視したものであったりして,なかなか地元民の協力が得られなかった.
したがって,タレバンなどテロリストの討伐も,目に見えた成果とならない.
そんな中で,既に述べたとおり,米国はアフガン支援戦略の大転換を図る.
アイケンベリー将軍のいわゆる第4段階入りであるが,これは国造りを丸ごと支援するということである.
ハリルザード氏のアフガン大使任命は新戦略実施に向けての大きな布石であり,また,04年のベルリンでのアフガン復興支援会議で,米国が2年間で38億ドル(初年度24億ドル,2年度14億ドル)の支援約束をしたのも,そうした背景からである.
駒野欽一著「私のアフガニスタン 駐アフガン日本大使の復興支援奮闘記」
(明石書店,2005/8/18),p.81-82
カルザイ議長と国連は,ISAFのカーブル以外への展開を強く求め続けていた.
米国は,テロ撲滅同盟軍によるターリバーン/アルカーイダ掃討作戦への障害を理由にして,ISAFの地方展開を拒み続けていた.
ところが,2003年8月に北大西洋条約機構(NATO)がISAFの指揮権を引き継いだ頃から,地方展開を容認するように態度を変えた.
柴田和重 from 「ハンドブック現代アフガニスタン」(明石書店,2005.6.25),p.77
【質問】
2009年1月までに予定されているアフ【ガ】ーン増派の規模は?
【回答】
米国防総省は,来年一月までに一個大隊戦闘チーム+一個旅団もしくは四千名規模の部隊を増派することをすでに決定しています.
現地で展開するNATOのISAF司令官 マキャナン陸軍大将(米)は米に対し,三個旅団戦闘チーム(九千〜一万五千)の増派を求めています.
これについてはゲイツ米国防長官も同意していますが,現地での展開は,早くとも来年春から夏にかけてとなりそうです.
しかし,タリバーンの脅威と戦うには,ヘリ部隊や情報部隊,工兵部隊といった支援部隊があと五千〜一万名規模必要,との要求が最近になって現地指揮官から出ています.これについて三十一日段階でゲイツ長官は「アフガン軍を訓練する部隊を増派する」と述べるにとどまっています.
ISAF東部コマンド部隊で,パキスタン国境地域などでタリバーンの掃討作戦を展開するCJTF101(米一〇一空挺師団中核)では,今年に入ってからパキスタンからの越境攻撃が増加しており,戦死者が急増しています.
現地指揮官の要望は,こういう環境変化も背景にあるようです.
現地指揮官要望事項は,ISAF司令官要望の三個旅団戦闘チームプラス「アフガン特有の状況下で円滑な作戦支援を行なうための,5000〜10000規模の支援部隊増派」です.
険しい山,峻烈な気候条件,未整備なインフラというアフガンの地勢条件が米軍部隊の展開にあたって大きな枷となっているとのことで,道や都市インフラがまがりなりにも整備されたイラクとはまったく異なる状況だとしています.
そのためイラク駐留部隊をアフガンに転進させるのは,現実的に簡単ではないようです.
アフガンで展開する米軍部隊指揮官で,ISAF参謀副長でもあるタッカー准将によれば,現地指揮官要望事項は具体的には以下のことです.
・一個航空旅団:攻撃・輸送ヘリを装備した二千五百名規模の部隊
・三個憲兵大隊:二千名規模
・陸,海軍工兵部隊
・複数の野戦病院
・複数の爆弾処理チーム
・民政要員
・心理戦要員
あわせて,戦場の全景をビデオで提供する無人機プレデターやリーパーなどの情報偵察能力も求めています.
現在アフガンには約三万人規模の米軍部隊が展開していますが,支援任務については,米以外のNATO諸国やアフガン軍の支援がほとんどで,米軍部隊への支援が不足しているということです.
また,支援部隊は主に召集された予備役兵で編成されていますが,アフガンでの任務はキツイためか士官不足も問題となっているようです.
米陸軍参謀副長のチアレリ大将は,先月行われた記者会見で「支援部隊増派はきわめて強く求められている」と述べています.
統合参謀本部副議長のカートライト大将も,先月行なわれた上院軍事委員会で以下のようなことを述べています.
・現地部隊を敵のど真中の飛び地に放置するのか? 彼らを祖国から切り離すつもりなのか? 部隊の機動を確保するための設備基盤と通信基盤が現地部隊に必要だ.
▼ その後,2008/12/21にはマレン米軍統合参謀本部長が,2009年夏までにアフ【ガ】ーンに2〜3万人を増派することを明らかにしている.▲
【質問】
2009年に予定されているアフガーンへの米軍増派は,効果がありますか?
【回答】
私見ですが,絆創膏程度には.
ゲリラ戦でゲリラ側を敗北に追い込むには,後方支援を断つことが必須ですが,現状ではパキスタン軍諜報部ISIが支援をこっそり続けているので,それは望み薄です.
なぜISIがターリバーン支援を続けるかといえば,インドに対抗するためと思われます.
インドはアフガーニスタンでプレゼンスを拡大しており,イランを巻き込んで,アフガーンのカラチ港(パキスタン)への依存度を低めることに成功したほか,カンダハールには領事館を置いています.
パキスタンはこれに警戒心を抱いており,特にカンダハールの領事館はパキスタン国内のバローチ民族を扇動する活動拠点になっているのではないかと疑っています.
しかし貧乏なパキスタンは,援助合戦ですと確実にインドに負けますので,テロなどに頼らざるを得ません.
そのためにターリバーンなどのイスラーム過激原理主義勢力を支援して,インドのNGOを攻撃したり,インド国内でテロをさせたりしています.
つまりアフガーニスタンは印パが互いに覇権を競い合う状況にありますので,その状況が続く限り,ISIによる支援もやめるにやめられません.
アメリカが本気で勝ちに行きたいなら,覇権争いでパキスタンが優越するように誘導するか,逆に,覇権争いでパキスタンがボロ負けしようが何しようが,ターリバーンを1セントでも支援しようものなら痛い目にあわせてやるという強い態度に出るしかないでしょう.
しかしこれは印米関係も絡んできますので,アフガーンの状況のみで外交政策を決定することもまた困難でしょう.
私見では,よほどオバマが強い決断をしない限り,消耗戦はいつまでも続くと思います.
なお,アフガーンにおける印パの覇権争いについては,詳しくは『アフガニスタンと周辺国』(鈴木均編,アジア経済研究所,2008.3.14),p.92-94
& 98-100を参照してください.
マスコミはそのような覇権争いのことなど,一言も報じないのが不思議です.
…ああ,また3行に収まらなかった.
アフ【ガ】ーンの兵站線
「地政学を英国で学ぶ」:アフガニスタンへのロジスティクスより
【質問】
アフ【ガ】ーニスタン問題に対するオバマ大統領のスタンスは?
【回答】
アメリカ政治を専門とする東大教授,久保文明によれば,これが「オバマの戦争」になってしまう危険性があるにもかかわらず,引き続きアフ【ガ】ーニスタンで戦う姿勢であるという.
アフ【ガ】ーニスタンに対して徹底的に戦うべきところを,ブッシュは愚かにもイラクに手をつけ,一番肝心なアフ【ガ】ーニスタンでの戦いを疎かにしてしまったと考えているという.
詳しくは『オバマで変わるアメリカ』(アスペクト,2009.3.13),p.63を参照されたし.
「疎か」論自体は間違いではないのだが,……
【質問】
2009/3/27,米のオバマ大統領が発表した対アフガン・パキスタン新戦略は,どんなものか?
【回答】
以下,エッセンスを記します.
〔略〕
1.アフガン政府,パキスタン政府,NATO諸国の盟邦,その他機関,議会関係者とも十分話し合った
〔略〕
1.状況は,ますます悪化している.
タリバンが排除されてから,7年以上経過した.
しかし今でも現地では,戦いが荒れ狂っている,
反乱者たちはアフガニスタンとパキスタン国境地帯を支配・コントロールしている.
わが軍,NATO同盟軍とアフガニスタン軍への攻撃は着実に増加している.
2008年はわが軍にとり,テロとの戦いにおける最悪の年となった.
1.国民を犠牲にしているのはわが国のみならず,多くのパートナー諸国も同じで,みなが単純な疑問を持っている.
「なぜわれわれはアフガニスタンにいるのか?」
というものだ.
今でも彼らはたずねている.
「なぜわが国民はかの地で戦い,死んでいるのか?」
と.
この問いに答える必要がある.
1.明らかにしよう.
アルカーイダとその仲間たち――9.11テロを計画し実行したテロリスト――は,アフガンとパキスタンにいるのだ.
複数のインテリジェンス評価は,アルカーイダがパキスタンにある聖域から米本土への攻撃計画を活発化させていると警告している.
アフガン政府がタリバーンの手に落ちる,もしくはアルカーイダを許すことになれば,かの国はまたもや,多数の人々を殺すテロリストの基地となる.
1.アフガンの将来は,隣国パキスタンにかかっている.
アルカーイダのメンバーはアフガンパキスタン国境地帯の聖域に潜んでいる.
米にとってパキスタン・アフガン国境地帯は世界でもっとも危険な地域となっている.
これはアメリカのみの問題ではない.
ロンドン,バリ島,パキスタン,北アフリカ,中東,イスラマバード,カブールのテロはここが発生源なのだ.
もしアジア,欧州,アフリカの町で大規模テロが発生した場合,アフガンパキスタン国境地帯に所在するアルカーイダ幹部と彼らは密接に連携しているのだ.
1.アフガン国民にとり,タリバーン時代に逆戻りすることは,野蛮な政治,国際的孤立,経済の麻痺,基本的人権の否定をもたらし,特に女性と子供に多大な影響を与えることになる.
タリバーン指導部と同行しているアルカーイダのテロリストが国政に復帰することは,アフガンを永久の暴力のなかに放り込むのと同じ意味をもたらす.
1.ISAF司令官のマキャナン大将の要求に基づき,17000名規模の部隊の展開命令を発令した.
1.陸軍・海兵隊部隊からなるこの部隊の規模は,アフガン南部および東部でタリバーンと戦うためのものだが,あわせて,アフガン軍の訓練と国境警備に割くだけの余裕を与える.
これにより8月に行われる大統領選挙の治安支援を十分行える.
1,あわせてわれわれの重要な任務は,アフガン国軍の規模拡大と訓練にある.
国防を引っ張ることのできる組織にしなければならない.
1.この3年にわたりわが軍司令官たちは,アフガン軍訓練に必要な資源を明確に示してきたが,イラク戦争のため聞き入れられることはなかった.
しかしいまや変革すべきである.
私はこの春から,アフガン軍・治安機関の訓練に当たらせるため,約4000名規模のわが部隊を送る.
これはわが国が出せる最大規模の訓練支援部隊となる.
アフガン国軍建設は急務である.
加速しなければならない.
2011年までに完了させる必要がある.
1.NATOの盟邦だけではなく,世界諸国に対し,アフガン・パキスタンへの新しい枠組みに参加するよう呼びかけてゆく
1.支援の内容は,アフガン総選挙支援,アフガン軍の訓練,アフガン国民に向けた民間支援である
1.この新しい枠組みは国連と手を携えて実施するもので,NATO盟邦および他の同盟国,中央アジア諸国,湾岸諸国,イラン,ロシア,インド,シナとともにあたってゆく
1.この有志連合は,アフガン政府・国民とともにアフガンで戦うためのものである.
1.これまでのアフガンでの犠牲は莫大なものとなった.
700名以上の米国人,軍部隊を派遣している20カ国以上の国々からも多くの犠牲が出ている.
すべてのアメリカ人は彼らを称え,ともに戦い汗を流す盟邦との友情を高らかに叫ぼうではないか.
あわせてすべての国民は,軍人諸官に敬意を払おう.
彼らとその家族は,自己犠牲により祖国に貢献している尊い実例なのだ.
1.アメリカはアフガンでの戦いを自ら選んだものではない.
2001年9月11日に,何の罪もない約3000名のわが国民が殺されたのだ.
アルカーイダとその仲間は,多くの国で数千に上る人々を殺してきた.
彼らが手を汚した多くは,ムスリムの血である.
自分の意に沿わないムスリムを彼らは殺してきた.
つまり,アルカイダがパキスタンとアフガニスタンの人々に提供できるのは,機会も望みも正義も平和もない将来でしかないのだ.
〔略〕
【質問】
オバマ政権のアフガン・パキスタン戦略の課題は?
【回答】
米のオバマ政権は3月27日,米国の対アフガン・パキスタン戦略を明らかにし,そのなかで,今後数ヶ月以内にアフガン駐留米軍の規模を,現在の34000名から最大で21000名増加させると確約しています.
これに関し,米上院の外交委員会は5月21日,統合参謀本部議長のムレン提督から話を聞いています.
急速な増派について提督は,
「アフガン国軍の訓練を行いつつ脅威に対処する上で,ほぼ妥当なもの」
と述べています.
この戦略は,最終的に決定した内容ではないとされますが,UPIによれば,キモとなるのは,数万人規模の増派部隊の兵站支援をいかにするか?だそうです.
なかでも,
・パキスタンからの補給ルートの状態が悪化している
・2009年2月,キルギス国会が,米軍による今後のマナス空軍基地使用を認めないと可決したため,同基地に駐留していた米空軍部隊は撤退しなければならない
の2点が問題となります.
オバマさんはこの問題をどう捌くでしょうか.
(アフガンとキルギスの位置関係
http://tinyurl.com/lxnpye)
おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)6月1日
青文字:加筆改修部分
【質問】
米アフガン新戦略…米兵3万を来年増派,11年撤収
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091202-OYT1T00500.htm
僅か2年で戦況が好転するのか?
【回答】
>僅か2年で戦況が好転するのか?
無理!(きっぱり
>駐留米軍を駆使して戦局の主導権を奪回
パキスタン側に逃げられてしまえば,どうにもならないのではないかと.
パキスタン軍の行動は,その内部に1割存在すると言われる過激原理主義者の内通によって相手に筒抜けですし.
>アフガン国軍・警察の育成
給料が安く,しかも遅配が多い(汚職が多いので,予算が横取りされる)間は不可能ですし,汚職はソ連侵攻前からのアフガーンの宿痾のような問題.
かつ,米軍基地を警備するPMCは,その10倍の給料をもらっているという矛盾.
その上,このPMCは軍閥軍が形を変えただけの存在なので,それがまた余計に国軍を弱体化させている.
(給料の安い国軍や警察に行くくらいなら,そっちに行く.
国軍・警察に残るのは残りカスのような役立たずだけ)
それと,今ちょっと文献が見当たりませんが,アフガーン人の気質として,民兵だと強いが,国軍として規律の下での生活を強制されると,途端に弱兵となると言うことが,大英帝国の傀儡政権が合った時代から言われています.
軍隊を強化するくらいなら,崩壊しかけている部族社会を立て直して,その民兵に頼ったほうが,はるかにアテになりますね.
>同盟諸国に対し,追加派兵などの貢献拡大に踏み切るよう強く要請した.
英国でさえ二の足を踏んでいる状況で,要請に応じるような国があるとは到底思えません.
グルジア軍とかがやってきたら,お笑いでしかない.
今回の演説を見ると,オバマ政権にはアフ【ガ】ーニスタン問題についてのまともなブレーンがいないのではないかと思わざるをえません.
(あれだけ重視しているにも関わらず)
ブッシュ政権にはハリルザードがいましたが,オバマには誰がアドバイザーしているのか,とても気になってきました.
消印所沢 in mixi,2009年12月03日 01:33
【質問】
マクリスタル司令官解任について教えてください.
【回答】
私は以前の日記で,日本とドイツの軍人の暴走を取り上げましたが,アメリカでも起きていました.
オバマ氏,アフガン司令官を解任 政権批判を受け:共同通信
アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官は,2010.6.25発売の米雑誌「ローリング・ストーン」で,オバマ大統領やハイデン副大統領を批判しました.
オバマ大統領については
「なかなか認めてくれなくてがっかりした」,
ハイデン副大統領については
「誰だい,そいつ(笑)」
という趣旨の発言をしました.
当然,文民統制の立場から,オバマ政権はマクリスタル司令官を解任し,本国に召喚して事情聴取される事になりました.
しかし日本でも,田母神元航空幕僚長の論文が問題になり更迭されましたし,最近では中澤一等陸佐が鳩山首相(当時)を批判するかのような訓示を述べて,配置換えさせられる事が起きていますが,このマクリスタル司令官の場合は,さすがにただの厨房にしか見えないのですが・・・.
中澤一佐は少なくともこんな,個人攻撃紛いの事は言いませんでした.
まあ,調子に乗って口を滑らしたんでしょうね.
これからは軍人(自衛官)のインタビューには,広報担当士官が付き添いさせるべきでしょう.
軍人(自衛官)は心の中ではそう思っていても,口に出してはいけませんし,何よりそう思うべきではありません.
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年06月24日19:26
青文字:加筆改修部分
▼ マクリスタル大将更迭を受けてゲイツ国防長官は同日,後任として,米中央集団司令官のぺトレイアス大将を指名しました.
マクリスタル大将は特殊作戦畑の長い人で,特殊戦のプロとされます.
特殊作戦集団司令官時の,イラク治安戦における「ザルカウィ殺害」で高名です.
http://tinyurl.com/28v8a4d
http://www.cfr.org/publication/19396/biography_of_general_stanley_mcchrystal.html
⇒ これもまあ,文民統制の発露なのでしょうが,現地指揮官の意見具申を容れることのできない国家最高指導部の,器量の小ささを強く感じます.
前の政権もシンセキ大将の意見具申を聞かずに,準備不十分なままイラク戦をはじめ,結果大将の見通しどおりとなりましたね.
「イラクの失敗をアフガンで繰り返す」という道をたどるのでしょうか.
言論の自由が錦の御旗の国では,政治指導部の軍事認識のゆるさは,古今東西永遠に解決しない問題なのかもしれませんね.
なんとなくわかる気がします.
この件についてはこのご意見も,参考になると思います.
http://blog.livedoor.jp/takami_neko_shu0515/archives/65289930.html
以下余談です.
書きながらふと思い起こしたのが,ずいぶん前にteruteruさんから伺った
「米軍は白兵戦に弱い」
という言葉と,堀栄三さんの本にあった
「米軍は山が苦手」
という言葉でした.
この種の箴言に近い言葉は,なかなか身になりませんけれど,時間を味方につけると,身体に染み付くようです.
おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)6月28日(月)
▲
【質問】
ぺトレイアス大将の「アフ【ガ】ーン2000人増派」案について教えてください.
【回答】
アフ【ガ】ーン駐留米軍司令官のぺトレイアス陸軍大将が,ISAF(国際治安支援集団)を指揮するNATOに対し,「最大で2千名規模の増派」を提案していることが2010.9.6に明らかになっています.
うち750名は,IEDに対処する能力向上を図るため,アフ【ガ】ーン部隊の訓練要員に充てるそうです.
⇒ 米を除くNATO諸国からの増派は,内政事情などからみてどうなるかわからず,IED対処に必要な装備を持っているのは事実上米のみであるため,増派は米が中心になりそうです.
おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)9月13日(月)
【質問】
米軍の,アフ【ガ】ーンからの撤収計画は,どんなものですか?
【回答】
2011.06.22,米のオバマ大統領はホワイトハウスで国民に対し,アフガン駐留米軍の撤収計画を発表した.
アフガン駐留米軍司令官や統合参謀本部議長など,軍からの助言よりも期間を早めた内容.
2009年に増派を命じた33000名の撤収完了時期を,2012年夏と設定し,うち1万人を今年末までに撤収させるとしている.
アフガンでは,来月中に国内の7つの地域で,ISAFからアフガン政府への治安権限移譲が始まる.
今後であるが,オバマ大統領が一方的にアフガンから手を引くか,撤収には慎重な姿勢を取るかのいずれかとなる.
イラクに続き,アフガニスタンでの対テロ戦争からも米が手を引いたことは,ブッシュ前政権が2001年の同時テロ以降展開した積極的な対外関与(民主主義を拡大する無制限な関与)主義との決別を告げるという意味で,歴史的転換点となった.
これからの米は,リビアのように選択的関与をとってゆくということになるであろう.
⇒ 軍からは次のような指摘が出ています.
「われわれの助言内容より期間を短縮した,より積極的な決定だ.
両者の違いは小さい」
(アフガン駐留米軍司令官で次期中央情報庁(CIA)長官に指名されているペトレイアス陸軍大将 2011.06.23上院情報特別委員会での証言).
「私が事前に助言した内容より積極的で,リスクをはらむが,大統領の決心を支持する」
(統合参謀本部議長 マレン海軍大将 2011.06.23下院軍事委員会での証言)
いずれにせよ,これでアフガンは終わりです.
アフガンを核に,中東は混乱の巷となります.
中東各地で起きつつある反政府暴動の主因は,各国の勢力圏拡大に向けた動きに直結する,「米軍プレゼンスの中東からの後退」にあったということです.
トルコ・シリア国境の緊張も高まっています.
米は内向き志向のモンロー主義へと,回帰しつつあると思われます.
わが国としては米を,アジアから引き離すことのないよう,日米同盟の実を上げるため必要なことを,すべて実行する決心に迫られていると思います.
専守防衛イデオロギーの破棄,集団的自衛権行使の明言などです.
おきらく軍事研究会,2011年6月27日 月曜日
午前8:00
青文字:加筆改修部分
▼ 人口動態分析の観点からも,アフ【ガ】ーンの将来を危ぶむ声がある.
川島博之(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)は,次のように述べる.
------------
若者人口が膨らんだときに,政治は大きく揺さぶられる.
〔中略〕
日本でも中国でも団塊世代は,学園紛争や天安門事件で,一時期は政治を大きく揺さぶったのだが,それが政治をひっくり返すまでには到らなかった.
一時の熱気が収まると,社会は再び平静を取り戻した.
その最大の原因は,次のジェネレーションが続かなかったことにある.
若者人口が急増したのは,ほんの数年の出来事であった.
本当に怖いユース・バルジは,日本や中国の団塊の世代のように,ある世代だけが突出しているのではなく,次々に若者が供給されるケースである.
それは「多産多死」社会が「多産少死」社会に変わる過程で生じる.
〔中略〕
そんな目で見ていると,気になることがある.
それはアフガニスタンである.
米国のオバマ大統領は,2014年にアフガニスタンから完全撤退すると宣言したが,その翌年の2015年の年齢構成を見ると,中国が文化大革命に突入していったとき以上に,若い世代の人口が急増している.
アフガニスタンでは1990年ごろから,人口の爆発が続いている.
ソ連のアフガニスタン侵攻がきっかけになったとも考えられるが,とにかく人口が急増している.
人口が急増する社会では,政治が大きく混乱し,タリバンのような過激な思想が広まり易い.
そのような国に,同時多発テロのショックがあったからといって,米国を始めとした国々が,軍隊を派遣したのだが,次々に若者が供給される社会を,軍事力で平定することは難しい.
そんな状況が続く中で,くたびれ果てた米軍は,2014年に撤退するが,図1-10〔割愛しました――編者〕に示した2015年の人口構成を見れば,アフガニスタンの政治が安定しないことは明らかである.
米軍が撤退すれば,アフガニスタンは元の木阿弥に戻る可能性が高い.
------------『データで読み解く中国経済』(東洋経済新報社,2012), p.57-63
さりとて,今更「多産多死」社会に戻すというわけにも行かず,過激思想抑止に効果のある,教育普及も進んでいないとあっては,打つ手なしかもしれない.
2013.4.9
▲
【質問】
カンダハル米兵銃乱射事件とは?
【回答】
2012.3.11,カンダハル州にて発生した,駐留米軍の兵士が民家に侵入し,住民を次々射殺した事件.[2]
AFPによれば,米兵は早朝に基地を出て,銃を乱射したという.[1]
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)などによれば, 事件は午前2時ごろ,同州西部のパンジワイ地区で発生した.[4]
軍曹は基地を抜け出し,1.6km以上離れた集落まで歩き,11日未明[3],民家3軒に次々と侵入.[3][4]
暗視ゴーグルを着用し,就寝中の子どもや女性を含む16人を殺害したという.[3]
兵士は酒に酔った状態で笑いながら犯行に及んだとの証言があるほか,子どもを殺害されたという男性は,兵士が薬品を遺体に付け,火を放ったと語った.[4]
アグハ・ララは,米兵の様子について
「彼らは笑っていた.普通の状態ではなく,酔っているように見えた」
と証言.
「これが米国人が言う支援部隊なのか.彼らは野獣で人間性のかけらもない.
ターリバーンの方がまだましだ」と非難した.[4]
一部の遺体を焼いたとの情報もある.[3]
ISAFは声明を出し,この米兵を拘束したことを発表した.[1]
ISAF広報官は,拘束された米兵は歩いて基地に戻ってきたと明らかにした.[4]
▼ 彼はその後,米中西部カンザス州の基地内の施設に移されたが,彼と面会した弁護人ジョン・ヘンリー・ブラウンは記者団に対し,兵士は
「事件が起きた夜について何も覚えていない」
とし,彼は混乱しているようだったと語った.[6][9]▲
▼ 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日,彼が飲酒とストレスで「切れた」とする軍高官の発言を紹介.[7]
弁護人は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を主張している.[7[8]▲
▼ ブラウン弁護人は16日,ベイルズがTBIとPTSDの二重の治療を受けていたということを明かした.
弁護人によれば,「2010年に爆弾攻撃による車両横転事故に遭って,TBIを受傷」しているという.
また,派兵経験全体としてPTSDの症状も見られるために,そちらの治療も受けていたという.
さらに,最初の方のイラク派兵の際には,下肢に受傷して「切断治療」も受けているという.
TBI(トラウマティック・ブレーン・インジャリー=外傷性脳損傷)とは,映画『ハート・ロッカー』で有名になったもので,頭蓋骨陥没など,目に見える脳の外傷の他,道路脇の爆弾テロなどによって,「音速を越える」という爆風に兵士が晒された際,比重の重いもので防御していても,衝撃波は伝播して,脳内の神経系統を麻痺させるというケースも指す.
外見からは分からないが,脳には明らかに異常が起きており,場合によってはCTのイメージなどで損傷が分かるケースもある.
医学的には,まだ完全にメカニズムが解明されたわけではない.
だが,後者はイラク戦争以降,問題視されてきている.
TBIへの対策や症状の認知は遅れていたが,ここ数年は患者や家族の運動の成果もあって,軍や社会での認知は進んでいるという.[11]▲
▼ 一方,21日付の国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは,
「軍は兵士個人の問題としたいだろうが,そうではない」
とする精神科医の発言を引用.
11年間に及ぶ「長い戦争」で軍全体が疲弊し,兵士の精神衛生の管理が十分できていない点も指摘している.[7]▲
▼ 事件当初には,犯人が所属していた,米本土ワシントン州にある「ルイス=マコート連合基地」が,事件のカギを握っているのではないかと言う指摘もあった.
『シアトル・タイムス』などの地元メディアによれば,この基地に在籍している兵士が,DVや自殺,あるいは一般市民を巻き込んだ乱射事件など度重なる不祥事を起こしているという.[10]▲
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると,乱射犯は38歳の米陸軍2等軍曹ロバート・ベイルズで,陸軍に11年間在職.[3][4]
妻と2人の子どもがいるという.[3]
(ロイターによれば,子供は3人)[4]
国防総省によると,軍曹はイラク戦争に3回の派遣経験があるが,アフ【ガ】ーンは初めてだった.[3]
▼ 21日付の国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンによると,軍曹は米中枢同時テロ直後の2001年11月,金融関係の仕事を辞め,陸軍に入隊.
02年には婦女暴行事件を起こしたが,その後,インターネットで知り合った女性と結婚,1男1女をもうけた.
当時,飲酒癖はなかった.
最初のイラク派遣は03年11月から1年間.
2度目の06年6月〜07年9月の派遣時は,反米テロが激しく,軍曹も頭と足を負傷したという.
09年8月に3度目の派遣を終えて以降,募兵係への転換を希望していたが,アフ【ガ】ーンへの派遣が決まった.
金銭的に苦しく,自宅の売却を検討していた.
事件前には同僚が地雷で足を失うのを目撃.事件前日に妻に「つらい」と漏らしていたという.[7]▲
米国防総省のリトル報道官は12日,記者団に対し,現段階の調査では,乱射事件に関与した米兵は1人だったと述べ,単独犯との見方を示した.[3]
一方,現場周辺の住民や犠牲者の親族によると,複数の米兵が民家に次々と侵入し,銃を乱射したという.[4]
父親と姉妹1人を殺害されたというジャン・アグハ(20)は,「複数の」米兵が事件に関与していると証言.
アグハによると,父親はカーテンの合間から外の様子を見ていたところ,突然喉と顔を撃たれ即死.
その後,複数の米兵が自宅に侵入してきたという.
米兵が自宅にとどまっている間,アグハは床に寝そべり,死んだふりをしていたという.[4]
カルザイ大統領は声明で,この事件で16人が死亡,5人が負傷したと発表した.
死者のうち9人は子どもで,3人が女性だったという.[2]
オバマ大統領は事件を非難しつつも,
「撤退時期の繰上げは考えていない」
旨を表明したが,本事件で米軍駐留のレジティマシー(正当性)はほぼ失われたといって良く,撤退時期が早まる可能性は決して低くない.
【参考ページ】
[1]産経新聞,2012年3月11日(日)21時17分(ニューデリー 田北真樹子)
[2]読売新聞,2012年3月11日(日)18時14分【ニューデリー=新居益】
[3]時事通信,2012年3月13日(火)7時40分
[4]ロイター,2012年3月12日(月)7時47分
[5]時事通信,2012年3月12日(月)7時53分
[6]ロイター,2012年3月20日(火)13時50分
[7]産経新聞,2012年3月22日(木)7時55分(田中靖人)
[8]時事通信,2012年3月23日(金)9時35分
[9]ロイター,2012年3月23日(金)11時18分
[10]村上龍 Japan Mail Media,2012年3月19日(月)15時47分(冷泉彰彦)
[11]村上龍 Japan Mail Media,2012年3月19日(月)15時51分(冷泉彰彦)
【関連リンク】
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/03/12)アフガニスタン 駐留米軍兵士が子供を含む住民16名を射殺 繰り返される戦場の狂気
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/03/19)アフガニスタン 米兵住民殺害事件による情勢流動化 女性教育とマイクロファイナンス
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/03/29)アフガニスタン 米兵銃乱射事件で高まる相互不信 相次ぐ外国兵士殺害
「VOR」◆(2012/03/15)アフガン人虐殺の米兵 国外へ
「VOR」◆(2012/03/17)アフガン民間人射殺,米兵の身柄はカンザス州へ
「VOR」◆(2012/03/20)アフガンで銃乱射・一般人殺害の米軍人 犯行時の記憶なし
ロバート・ベイルズ(左)
(こちらより引用)
事件後,基地入口を警戒する米兵
“flickr”より By DTN News http://www.flickr.com/photos/dtnnews/6828873946/
「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ