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◆◆南支那海領有権問題 Dél-kínai-tengeri területi vita
<◆東南アジア 目次
<東亜FAQ目次
「47 News」◯(2012/07/21)中国,南シナ海扱わぬよう要求 日本外務省に
「Business Week」◆(2012/08/12)China Politics,
Oil Needs Risk Conflict in S. China Sea
南シナ海の「石油政治」
「CNN」◯(2012/05/12) 中国の好戦的言動に反発しマニラでデモ,南シナ海の主権論争(リンク切れ)
「Defense News」◆(2012/06/18)China: Philippines Pullout From Shoal Calms Tension
「Defense News」◆(2012/06/28)U.S. sees momentum on South China Sea code
「Defense News」◆(2012/07/02)Philippines May Ask U.S. for Air Surveillance
「Defense News」◆(2012/07/03)Philippines Downplays Request for U.S. Surveillance Drones
「Defense News」◆(2012/07/06)Philippines Says It's Preparing to Acquire Newer Planes
「Defence News」◆(2012/09/08)Tension Rises Over China's Disputed Sea Claims
「Defense News」◆(2012/10/01)Philippines Sends More Troops To Guard Disputed Islands
「Herald」◆(2012/08/07)China targeting
South China Sea
南シナ海を狙う中国
ヘリテイジ財団なのでややトーンを間引く必要ありだが,一般のアメリカ人にわかりやすく簡潔に解説しているところがミソ.
「Indian Defence」●(2012/05/12)India might
get involved in the Philippine ?
フィリッピンと中国の南シナ海を巡る紛争について,インドが仲介に入る意志を表明
「Inquirer Global Nation」●(2012/05/18) Philippines
willing to share Spratlys bounty ? Aquino
フィリッピン・アキノ大統領,中国等との紛争海域での,共同探査の可能性に言及
http://bit.ly/JM7wqy
http://bit.ly/15lmwJ
「net bunker」(2010/09/23)◆南沙諸島における中国人民解放軍の活動
「Strategy Page」◆(2013/03/29) PHILIPPINES: China Sends In The Marines
「The Canberra Times」◯(2012/10/21) Philippines
to request a united stand on China
フィリッピンは中国に対して南シナ海など平和的姿勢要請
「Togetter」◆(2011/01/13)フィリピンとアメリカ(主に安全保障上の問題 #futenma )
「VOR」◆(2012/01/28)フィリピンの米軍常設基地復活へ(解説)
「VOR」◆(2012/02/15)米国 海兵隊フィリピン駐留を目指す
「VOR」◆(2012/02/24)ベトナムと中国 南シナ海の諸島をめぐる争い複雑化
「VOR」◆(2012/04/11)西沙諸島:中国の観光事業にベトナム反発
「VOR」◆(2012/04/11)フィリピン 南シナ海の領土問題で中国大使召喚
「VOR」◆(2012/04/12)フィリピン・中国関係 緊張
>フィリピンは領有権を主張するスカボロ暗礁に沿岸警備艇を派遣.
>スカボロ暗礁周辺では先週,フィリピン海軍が中国の漁船数隻を発見し,拿捕しようとした所,中国の巡視艇2隻がこれを妨害.
>これについて比外務省報道官は,問題の外交的解決法模索を目指す,と述べており,一方の中国側は南シナ海における自国の主権は議論の余地がない物であり,スカボロ暗礁付近での漁船の活動は合法的な物だと主張.
「VOR」◆(2012/04/16)米比 石油ガス田を中国より護る
>南シナ海では米比両軍による定期合同軍事演習バリカタンが始まる.
>今回の演習の想定は仮想敵国に急襲された同地域にある石油ガス田の採掘施設の奪還で,アナリストらは,今回の演習の狙いは南シナ海での影響力拡大を狙う中国をけん制する事にある,と見ている.
>バリカタンの枠内ではルソン島での大地震・津波を想定した指揮所演習がマニラで行われ,指揮所演習には日豪韓なども参加.
「VOR」◆(2012/04/19)中国 南シナ海の島々の領有問題に関するフィリピンの要求を却下
「VOR」◆(2012/04/21)中国 南シナ海で拘束したベトナム人漁民を解放
「VOR」◆(2012/05/04)中国・フィリピン関係 新たな緊張
>比軍の発表によると,中国の偵察艇4隻,漁船10隻が南シナ海の係争中の海域にあるスカルボロ浅瀬に投錨.
>比軍スポークスマンは,これは中国政府の挑発行為であり,両国間の緊張を高めるだけた,としている.
「VOR」◆(2012/05/08)フィリピン企業 南シナ海ガス田開発 中国との協力を討議
「VOR」◆(2012/05/14)中国 南シナ海北部での漁業を禁止
「VOR」◆(2012/06/22)ベトナム 論争になっている南シナ海の島々の領有権を確認
「VOR」◆(2012/06/25)香港の船舶 フィリピン漁船を沈没させた疑い
「VOR」◆(2012/06/28)中国 南沙諸島海域で軍事パトロール開始
「VOR」◆(2012/07/16)南沙諸島 数十隻の中国漁船が現れる
「VOR」◆(2012/07/23)中国 南シナ海に即時対応部隊を展開
「VOR」◆(2012/09/14)中国 フィリピンに南シナ海の名称変更再考を要求
「VOR」◆(2012/11/29)中国は南シナ海の外国船を追跡する
「VOR」◆(2012/11/28)アセアン事務局長 南シナ海の領土問題の「パレスチナ化」を懸念
「VOR」◆(2012/11/30)フィリピン,中国の南シナ海コントロール願望に不満
「VOR」◆(2012/12/28) 台湾,13年から南沙諸島の化石燃料探査開始を計画
「VOR」◆(2013/02/24) 中国監視船 南沙諸島のパトロールを継続
「VOR」◆(2013/03/11) 中国 沿岸警備担当官庁を1つに統合
「WSJ」(2011/03/04)◆中国がフィリピン石油探査船に警告-南シナ海で
「WSJ」◆(2012/07/18)Asean War of Words
Over South China Sea Continues
南シナ海を巡りアセアンの舌戦続く
「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」◆(2011/06/14)【オピニオン】南シナ海波高し―中国の自制求む
「国際情報センター」◆(2010/07/31)南シナ海を巡る米中間のやりとり
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/02/14)フィリピン アメリカとの同盟関係強化に高まる中国からの圧力
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/04/11)南シナ海 緊張高める中国の強硬姿勢と“スイカ泥棒”の言い分
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/05/01)南シナ海 3週間続く中国・フィリピン艦船のにらみ合い 解決を難しくする国内“弱腰”批判
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/03/04)南シナ海 中国とベトナム,フィリピン 後押しするアメリカ 間隙を縫うインド
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/06/23)南シナ海 “艦船にらみあい”は解けたものの,ベトナム海洋法と中国「三沙市」で新たな緊張
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/11/18)ASEAN会議 南シナ海問題での進展見られず 日中韓の首脳会談も見送り,FTA交渉は開始か
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/12/01)中国新パスポート問題と南シナ海 アメリカ上院,日米安保に基づく尖閣諸島防衛を明確化
「時事」◆(2012/12/05)南シナ海に「特別部隊」配備へ=中国漁船に対処?ベトナム
「人民網」◆(2012/07/16)中国漁船団が南沙諸島の漁場に到着
「人民網」◇(2012/07/20)中央軍事委員会が三沙警備区の設立を認可
「人民網」◇(2012/07/27)国防部記者会見:三沙警備区の設置などについて
「人民網」◇(2012/07/27)三沙市設立は中国の主権の範囲内
「人民網」◇(2012/08/24)科学調査船「実験3号」,南沙海域で調査実施
「人民網」◇(2012/08/31)南沙科学考察船「実験3号」が晴れと曇りに同時に遭遇
「人民網」◇(2012.09.01)南沙永暑礁をめぐる科学調査船「実験3号」
「人民網」◇(2012/11/02)新型巡視船「海巡1825」が三沙で就役
「人民網」◇(2012/11/26)中国初の三沙市地図を全国で発売
「人民網」◇(2012/12/06)ベトナムは北部湾沖での一方的な石油・天然ガス関連活動を停止すべき
「人民網」◇(2012/12/28)中国の遠洋漁船が初めて南海で漁業資源を獲得
「人民網」◇(2013/01/08) 南中国海の係争島嶼にインフラを建設するとの比高官の発言について
「人民網」◇(2013/02/20)外交部:比による南中国海係争の国際仲裁請求を受け入れず
「人民網」◇(2013/02/25)南沙諸島海域で漁業保護を常態化
「人民網」◇(2013/03/11) 海洋監視船隊が西沙諸島をパトロール
「人民網」◇(2013/03/11) 南沙海域での常態的権益維持・漁業保護活動が本格始動
「人民網」◆(2013/03/13) 海洋監視船隊が南中国海・永楽環礁を海と空からパトロール
「人民網」◇(2013/01/24) フィリピンの無駄な行動
「人民網」◇(2013/03/12) 中国海洋監視要員が西沙諸島・甘泉島に上陸して測量調査
「人民網」◇(2013/03/18) 中国最大の漁業調査船,南沙群島で漁業資源を調査
「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/06/01)一触即発のアジア領海問題 引き金を引くのはウロチョロする中国漁民
「中南海ノ黄昏」◆(2010/08/04)米国,南シナ海を掻き回す
「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2010/07/23)中国とアメリカは「海のナワバリ」を争う
●中国艦越漁船銃撃事件
「BBC」◆(2013/03/27) China 'fired flares' at Vietnam boat in South China Sea
「BBC」◆(2013/03/27) China says it fired flares, not weapons, at #Vietnam fishing boat
「NPR News」◆(2013/03/27) China, Vietnam Clash Over Disputed Islands
「The Straits Times」◆(2013/03/26) China plays down Vietnam boat shooting accusations
「WSJ」◆(2013/03/27) Vietnam Boat Claims Chinese Attack
【質問】
スプラトリー(南沙)諸島問題とは?
【回答】
沿岸諸国の国境線が入り組み,海上に無数の島が存在する南シナ海は,EEZ〔排他的経済水域〕の設定には悪夢のような場所であり,その上にスプラトリー諸島全体の領有権を主張する中国の存在がある.
中国は徐々に圧力を増してきており,それが東南アジアの異常な軍拡競争を招いているという.
以下引用.
------------
スプラトリー(南沙)諸島は100以上の島・岩礁・環礁から成り立つ,南支那海の諸島である.
戦略性の高いシーレーン海域にあるだけでなく,70年代に次々と確認された海底油田の存在が,周辺諸国の強い関心を集めた.
周辺諸国の内,これまでにスプラトリー諸島の全域ないし一部に対し,何らかの形で領有意図を表明したのは,中国,台湾,ヴェトナム,マレーシア,フィリピン,ブルネイであり,問題の複雑さが想像できよう.
シーレーンや海底油田が問題にならなかった時代,スプラトリー諸島は曖昧に存在していたと言える.
1930年代,インドシナ半島を植民地支配するフランスと,南への野心を持つ日本が領有争いをした末,日本が,1939年にこれら諸島を「新南群島」と命名,支配権を確立している.
戦後のサンフランシスコ平和条約で,日本が全ての権利を放棄すると,真っ先に中国が領有意図を表明,
その後も積極的かつ露骨な行動を見せる中国が,近隣諸国の警戒心を喚起してきた.
例えば中国軍は,74年と88年の2度,スプラトリー諸島領有を巡ってヴェトナム軍と戦火を交えた他,95年にはスプラトリー諸島東端でフィリピンと係争中だったミスチーフ環礁に「漁業関連施設」を建設したと,強い抗議声明をフィリピンが発表している.
この間,92年に中国は,自国の新しい領海法を制定,その中にスプラトリー諸島領有を一方的に規定し,続いて,同諸島西端のヴェトナムと係争中の海域の海底油田探査契約を,米国企業と結んでしまった.
米国の技術に頼ると共に,紛争激化の暁には米政府の支援・保護を期待するという,中国の巧妙な計算が伺われる.
当惑したASEANは,同年7月の外相会議で「領有問題の棚上げ」と「資源共同開発」を謳う宣言を発表している.
中国脅威論の高まりを恐れてか,中国はその後,対話姿勢を強調している.
しかし,2国間協議で優勢に処理したい中国と,多国間協議で強大中国の圧力をかわしたいASEAN諸国との対立は埋まっていない.
95年のフィリピンに対する,中国の強引な攻勢による既成事実はそのままであり,円満に事後処理する動きは見えない.
問題の海底油田は,中国南部の珠江油田に繋がる鉱脈とされるが,
「巨大な埋蔵を裏付ける地質学的証拠はない」(ハワイ大学東西センターの資源調査)
との情報もある.
もし大油田発見の報が流れたら,たちまち紛争に点火するきっかけになるかもしれないし,例え大油田発見に至らなくても,主権が絡むゆえ,紛争要因は消えない.
ASEANは,99年の外相会議で提示された,南シナ海の紛争を回避するための「地域行動基準」について協議を開始したが,基準を適用する範囲についてASEAN内部の意見対立を続けた.
領土の領有権を巡る南シナ海情勢の不安と,中国の覇権拡大を警戒する米国は,沖縄駐留の電子偵察機EP-3を台湾海峡や中国沿岸まで飛行させている.
その1機が2001年4月,同じように対抗して警戒中の中国軍のF-8戦闘機と接触,中国機は海中に墜落し,米軍機も中国領土の海南島に不時着した.
米機の乗員・機体は難交渉の末,返還されたが,米中のピリピリした関係の中で,中台摩擦と南シナ海の領有権問題が連動する微妙な情勢を印象付けたと言える.
------------(「アジア情勢を読む地図」,新潮文庫,2001/12/1,p.90-93,抜粋要約)
------------
沿岸諸国の国境線が入り組み,海上に無数の島が存在する南シナ海は,EEZ〔排他的経済水域〕の設定には悪夢のような場所だ.
例えば,中国とベトナムはトンキン湾の領海域を巡って衝突し,フィリピンとマレーシアは共に東ボルネオ沖の領有権を主張している.
さらに,ベトナムとマレーシアがタイ湾の領有権を争っている.
これだけでも複雑なのに,その上にスプラトリー諸島全体の領有権を主張する中国の存在がある.
中国はそれによって南シナ海の大半をEEZとすることを狙っており,スプラトリー諸島の一部あるいは周辺海域の領有権を主張するインドネシア,台湾,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシアと正面から対立している.
南シナ海におけるエネルギー資源争いはスプラトリー諸島を巡る争いである,と言っても過言ではない.
スプラトリー諸島は,約8万平方マイルの海域に点在する合計約40もの小島や岩礁――その多くは潮が満ちると海面下に沈む――から成る.
人が住める島はないが,全体あるいは一部の領有権を台湾,中国,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシアが主張している.
------------Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.177-178
------------
〔台湾侵攻準備と共に,〕また同時に,中国政府の公式発表と軍の配備状況から,南部海域での軍事力展開を意図していることも明白だ.
例えば海南島へのスホイ27の配備,同海域での新型艦による警戒監視行動などで,狙いはスプラトリー諸島とその鉱区の領有権主張を強めることにある.
いずれにせよ,周辺諸国は中国の海軍増強を,南シナ海の軍事的支配を目指すものととらえ,自国の海軍強化を図っている.
僅か15年前まで,東南アジア諸国は大型軍艦を殆ど保有していなかった.
それが1980年代後半以降,公海上での作戦能力を持つ新鋭艦が導入され始めた.
その目的は様々だが,南シナ海のシーレーンおよびEEZの防衛が意図されていることは明らかだ.
先頭を行くのはマレーシアだ.
〔略〕
マレーシアの海軍艦艇建造計画は現在,アジアで進行中のものとしては数量ペースで最大規模である.
タイとインドネシアも,それぞれ海軍の本格的整備を進めている.
〔略〕
他の小国も海軍増強に予算を注ぎ込んでいる.
〔略〕
これらの計画が全て完了するのは,まだ先のことだとしても,中国と東南アジア諸国の海軍増強により,今後10~15年間に最大で100隻もの艦艇が新たに加わることになる.
これは世界で他に例を見ない規模の軍拡だ.
さらに,この軍拡の加速は,空軍力の拡大を伴うものでもある.
各国とも長距離哨戒機や,高度な対空・対艦ミサイルを備えた戦闘機を導入している.
これらの計画により,南シナ海の海上と上空における各国の軍事作戦能力は,大幅に高まっている.
------------Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.189-192
なお,こちらに関係海域地図を示す.
で,最近の報道によれば,フィリピンはどうも力負けしてしまった模様.
------------
フィリピン,中国,ベトナムが南沙諸島海域の警備で協力
19日のAFP通信によれば,中国,フィリピン,ベトナムは南沙諸島海域での安全面での協力関係を強化します.
「われわれはこの地域における直接対話を継続することで合意した.これにより,海賊,密輸,国際犯罪などの問題は解決されるであろう」(フィリピン軍参謀長)
フィリピン軍参謀長は先々週,この4月に南沙諸島で発生した,中国漁船内に4名の中国人の死体と3名の怪我人が残されていた事件に関する話し合いを,ベトナム・中国のカウンターパートとの間で行なっていました.
中国メディアは
「この攻撃はフィリピンによるもの」
と早い段階で伝えていましたが,フィリピンは,
「捜査の結果,フィリピン政府の艦艇はその海域に存在せず,この事件は『明らかに海賊によるもの』」
と主張したそうです.
南沙諸島は南シナ海にある,100以上の島々とさんご礁からなるところで,ブルネイ・中国・台湾・ベトナム・マレーシア・フィリピンが一部もしくは全面的な領有権を主張し対立しています.
ちなみに,ブルネイを除くすべての国は,南沙諸島に軍部隊を駐留させています.
------------おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)5月22日
▼China, the Philippines, and U.S. Influence
in Asia
By Renato Cruz De Castro Posted: Thursday,
July 5, 2007
AEI:中国とフィリピンの関係改善,アメリカの東南アジア外交にとっての意味
では,急速に関係改善の進んでいる,フィリピンと中国の外交経済関係について解説されている.
これによれば,中国の東南アジア抱きこみ作戦は成功していて,アメリカが東南アジア外交に見るべき新政策を打ち出せていない中,中国が着々と得点を上げているという.
以下引用.
――――――
Arroyo called on China to invest more in the Philippines, especially in agriculture, fisheries, and infrastructure. . . .
She also emphasized China's important strategic role in economic development and security in the Pacific Rim.
・・・
While the United States remains Southeast Asia's most important military actor, its power and influence are being gradually eroded by China's soft-power diplomacy and hard-power buildup. Unless the United States develops a comprehensive strategy that includes economic and diplomatic resources in addition to military capabilities, its strategic and diplomatic preeminence risks being outflanked by China's diplomatic gambit.
――――――
ニュース極東板
青文字:加筆改修部分
▲
今後の争奪戦は,ヴェトナムと中国との間で主に行われます,たぶん.
そういえば,ヴェトナムが米軍に基地を提供するとかいう話もありますね.
faq05b02b.jpg
(匿名)
▼ 東南アジア以南の地図があやしい人向けに,地図作っておいたよ.
Google Mapから取得したものを加工.
faq110605mp.jpg
まようさ or フィメたん
青文字:加筆改修部分
▲
【質問】
中国の「島嶼保護法」とは?
【回答】
「海島(=島嶼)保護法」とは,離島の生態や資源保護・開発を規定した法律であり,2009.12.26,中共の全人代常務委員会によって可決,成立した.
2010年3月1日に施行される
1.国による無人島管理や離島の環境保護を柱とする内容で,無人島が国に属すること,環境破壊防止のための離島開発制限を規定している.
主な狙いは「海洋権益の確保」で,離島やその周辺の,排他的経済水域(EEZ)のエネルギーや漁業資源を確保することにある.
1.同法には「水に囲まれ,満潮時に水没する陸地」の保護・管理に,同法の規定を「照合」することを盛り込んでおり,
「法の運用次第では,満潮時に水没しないように『管理』し,領海を広げようとする可能性も否定できない」
との懸念が出ている.
1.わが固有の領土である尖閣諸島や,フィリピン等と支那が領有権を争っている南沙諸島等も,同法でいう保護対象になる可能性がある.
おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)12月28日
青文字:加筆改修部分
島嶼保護活動中
(画像掲示板より引用)
【質問】
南沙諸島問題について,フィリピンが中国の軍事力に考慮してか領土問題は棚上げして,共同開発をする予定らしいです.
そもそも,位置的に南沙諸島を中国領というのは無理があるのではないでしょうか?
どういう理屈で中国は領有権を主張しているのですか?
【回答】
台湾と澎湖島を明治23年日清両国講和条約にて獲得します.
その台湾の高雄市に,新南群島(今の南沙諸島)を編入(1938年)します.
で,講和条約で日本は海外領土を放棄します.
この時,新南群島がどの国のものか,きっちり規定していないのが発端.
そして,「古来からスプラトリー諸島は中国のものだった」というのが中国的見解.
-----------
中国は,唐朝時代(618~907年)からスプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)を領有してきたとしている.
その裏付けとして中国は,唐朝以来の南沙諸島における様々な海運・軍事活動を挙げている.
しかし大半の西側専門家は,そうした活動は間欠的であった上に,漁業が主だったと見ている.
-----------Michael T. Klare『世界資源戦争』(廣済堂出版,2002/1/7),P.178
眠い人 ◆gQikaJHtf2 :軍事板,2005/10/04(火)
青文字:加筆改修部分
【質問】
ミスチーフ環礁事件とは?
【回答】
ミスチーフ環礁領有権を巡り,フィリピンが非武装(のごとき貧弱な軍事力と)平和主義ではやっていけないことを思い知らされた事件.
1995年初頭,フィリピンは驚愕する.中国がミスチーフ環礁に軍事監視施設をいつのまにか建設していることを知ったからだ.
1995年まで,南シナ海での衝突は,いずれも中国とヴェトナムによるものだった.だから大半の西側アナリストは,中国政府は南シナ海での軍事行動を,当時,国際社会で孤立状態にあったヴェトナムだけに限定していると思いこんでいたのだった.
1995/2/8,フィリピンは中国に艦艇撤収を要求する.
中国はこれに返事して曰く,
「あれは漁船の避難施設です.軍事施設なんかじゃありませーん」
「じゃあ,ホントにそうか調査してやる!(怒)」
フィリピンは調査船団を派遣したが,中国海軍によって追い返されてしまう.
フィリピンには中国軍部隊を締め出す軍事力はなかった.※
最初,フィリピンはアメリカに泣きを入れた.米比間には1951年に締結した米比相互防衛条約がある.この条約に基き,支援してくれ,と.
だが,アメリカからは,スプラトリー諸島は同条約の範囲外であるとして,これを断られてしまう.軍事援助と訓練拡大には応じてくれたが.※2
じゃあ,ということで,次にASEANにフィリピンは泣きを入れた.
同年7月,ASEANは南シナ海における武力行使を非難した.
中国は話し合いに応じると答えた.
話し合いは今も続いているが,環礁は占領されたままだ.
それどころか,1998年には軍事施設を拡充し,さらに,フィリピン寄りの島々でもプレゼンスを強めている.
フィリピンは僅かに,同国の哨戒艇が中国漁船に衝突して沈没させただけだ.
詳しくは,Michael T. Klare『世界資源戦争』(廣済堂出版,2002/1/7),P.183-186を参照されたし.
なお,M. T. Klareは「平和と世界安全保障に関する5大学研究プログラム」理事.
※今もない.戦闘機が一時的に一機もなくなってしまったくらいに.
ミスチーフ環礁の「漁業関連施設」
(画像掲示板より引用)
【質問】
南シナ海領有権問題におけるアメリカの戦略は?
【回答】
アメリカは,南シナ海のシーレーンの安全確保を死活的に重要な国益と見なしている.
アメリカは条約によって,日本の安全保障に義務を負っており,その一つが日本の生命線である物資輸送ルートの安全確保である.
また,南シナ海は,米軍艦船が在日基地とペルシャ湾を往来するために通過する航路でもある.
そして米政府当局は,アジア太平洋地域における中国の冒険主義の阻止に目を向けている.
しかし,そうした国益とは裏腹に,米政府当局はミスチーフ環礁で危機が生じるまで,南シナ海情勢には比較的無関心だった.中国の海上での軍事行動は対ベトナムに限られる,と見ていたからだ.
それだけにミスチーフ環礁事件は衝撃的であり,米政府を南シナ海に関する政策見直しへと向かわせた.
そしてアメリカは,南シナ海におけるプレゼンスを着実に強めている.
1998年にはフィリピンと「訪問米軍の地位に関する協定」を締結,米海軍艦艇がフィリピン海軍との合同演習に参加し,また,フィリピンの基地および港湾を使用することも可能になった(1992年にフィリピン上院がスービック湾海軍基地などの米軍使用を打ちきる決定をして以来,米軍艦船はフィリピンに入れなくなっていた).
アメリカはまた,拡張工事で空母の寄港が可能となるシンガポールの海軍基地使用についても同意を得ている.
さらにアメリカは1999年7月,日本との間に「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」を策定した.
このガイドラインは「事態」の性格を特定せずに,日本周辺で「情報収集,警戒監視,機雷掃海などの行動」を含む地域的軍事作戦を行う米軍に対する,日本の広範な協力を求めている.
日米政府当局者は,このガイドラインを始めとする両国の軍事協力拡大が,中国を対象とするものでも,スプラトリー紛争のような特定の紛争に対するものでもないことを説明した.
しかし中国および東アジア各国は間違いなく,このガイドラインはアジア太平洋地域での今後の衝突における共同軍事行動の布石である,と受け止めているはずだ.
詳しくは,Michael T. Klare著「世界資源戦争」(廣済堂出版,2002/1/7),P.192-198を参照されたし.
なお,M. T. Klareは「平和と世界安全保障に関する5大学研究プログラム」理事.
【質問】
永楽紛争とは?
【回答】
南ヴェトナムから米軍が撤退した間隙を突いて,中国海軍が南ヴェトナム海軍艦艇を攻撃,永楽群島に上陸するまでの軍事行動.
これによって中国は,西沙諸島を完全に支配することになった.
以下引用.
サンフランシスコ講和条約(1951年)の調印に際し,日本は敗北まで20年あまり領有していた西沙諸島と新南諸島(南沙諸島)を放棄した.だが帰属先を明確にしなかった.
周辺諸国がそれぞれ領有権を主張,中国は同年8月,
「西沙諸島は,南沙・東沙・中沙諸島と同じく,従来から中国領土」
との声明を出した.
ただ,西沙諸島の内,実際に中国が押さえていたのは宣徳群島(最大の永興島を含む)だけで,永楽群島は南ベトナム(当時)が支配していた.
1974年1月,この永楽群島で中国の駆潜艇隊が南ベトナムの駆逐艦などを撃破,陸軍部隊が上陸した.
前年のパリ和平協定で南ベトナムからは既に米軍が撤退していた.
中国は,力の空白を巧みに突いて,西沙諸島を完全に支配したかたちだ.
海軍は永興島に「西沙水警区」(師級)を設立,34の島嶼の守備を固めた.
2,500m級滑走路を造成し,2001年からは女性通信兵も配属した.
行政機関として海南省西沙工作委員会も置いている.
(竹田純一〔NHK考査室〕 from 「世界の艦船」2004年11月号,p.77)
【質問】
赤瓜礁海戦とは?
【回答】
南沙諸島の領有権を巡り,中国・ヴェトナム両海軍が交戦した戦闘.
この結果,中国は島礁6つを確保した.
以下引用.
南沙諸島は230余りの島礁で構成される.
ベトナム,フィリピン,マレーシアが軍隊を駐屯,ブルネイとインドネシアのEEZが一部海域に重なる.
中国は全部の領有を主張するが,進出は遅れた.83年にようやく向陽紅05が海洋調査を開始した.
そして88年3月,海軍艦船など11隻を南沙諸島北部の永暑礁に送り,海洋観測所の建設を始めた.
付近の赤瓜礁でベトナム側が発砲したとして艦砲射撃,揚陸艦など3隻を撃破した.
南海艦隊楡林基地(海南島)参謀長の陳偉文少将が,江南 Jiangnan (065) 型フリゲイト南充 Nanchong(満載排水量1,600t)を旗艦に指揮を取った.
〔略〕
赤瓜礁海戦には江東 Jiangdong (053K)型フリゲイト鷹潭 Yingtan (満載排水量1,500t)と,江滬 Jianghu I (53H1)型フリゲイト湘潭 Xiangtan (同1,702t)の第2世代のフリゲイト2隻も参加させていたことが,その後に判明している.
西沙海戦と比べ,その海軍力は飛躍的に向上していた.
中国が確保した6つの島礁は,東アジアとマラッカ海峡を結ぶシーレーンを睨む戦略的位置にある.
岩礁が補強され,恒久的な軍事施設が建設された.
米ソ冷戦体制崩壊の最終段階の時期だった.
その後,中国は南沙海域の鉱区での探査権限を,米国の石油企業に与えている.
中国は95年には今度は,フィリピンが領有を主張する,南沙諸島のミスチーフ礁(美済礁)に軍事施設を構築,中比関係が緊張した.
直前には米海軍の第7艦隊が,フィリピンのスービック湾から撤退していた.
(竹田純一〔NHK考査室〕 from 「世界の艦船」2004年11月号,p.79-80)
【質問】
海南島秘密基地とは?
【回答】
中国が海南島南端に秘密裏に建設したらしい海軍基地.
原子力潜水艦基地として使用されているほか,空母機動部隊も寄港できる規模だという.
以下引用.
――――――
海南島に秘密原潜基地=周辺地域に懸念も-英誌
2008年5月2日22時0分配信 時事通信
【ロンドン2日時事】英軍事情報誌「ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー」は2日までに,独自に入手した衛星写真を基に,中国が海南島の南端に大規模な原子力潜水艦基地を秘密裏に建設したと報じた.
写真は複数あり,港に停泊中の潜水艦や戦艦,斜面に作られた地下トンネル網の出入り口などが写し出されている.
潜水艦は最新鋭の「晋」級原子力潜水艦とされる.
報道によると,基地は「弾道ミサイル搭載型潜水艦や空母が多数寄港できる」規模〔略〕
――――――
また,
China's Naval Secrets
(WSJアジア版,評論)中国海軍の(海南島原潜基地の)秘密
By RICHARD D. FISHER JR.
FROM TODAY'S WALL STREET JOURNAL ASIA May
5, 2008
はジェーンズの発表した,海南島の三亞基地についての評論だが,この中から指摘している事項のみを列挙しておくと:
・これは楡林海軍基地の拡大計画で,原潜基地のみならず艦船や空母の新たな基地になる可能性の高いもので,南シナ海からマラッカ海峡への戦略基地になるもの.
・三亞(Sanya)の海軍戦略基地は「アジアの三ヶ国」の軍事,諜報機関によって2002年に報告されており,大規模地下施設についても知られていた.
2004年に人民解放軍は基地の開発計画を認めたが,地下施設を否定している.
・ジェーンズの示したディジタルグローブの高精細写真で洞窟の入り口が明らかにされており,これは渤海湾にある別の地下潜水艦基地と同じものである.
地下基地の規模は不明だが,アジアの軍事筋は少なくとも8艦の潜水艦を擁するとみており,この地域の大きさから20艦程度までの規模があり得る.
・渤海湾の原潜基地に比べて三亞基地は094型SSBNが5000メートル級の海南島南部の深海に面している有利さがある.
アジアの軍事筋はこの基地がSSBNの要所となり,将来は人民解放軍のもつ核ミサイルの半分までを集める基地になり得るとみている.
・三亞は大規模な港湾施設や地上施設を建設中であり,将来の艦船や空母の基地にもなり得ると見られる.
・海南島に人民解放軍が大規模な軍事施設を計画しているのでは,という疑いは昔から存在しており,2001年4月の米軍のEP-3電子情報偵察機が中国軍の戦闘機と接触した事故も,そうした疑いに関連している.
・海南島における人民解放軍の秘密の大規模な基地建設計画の存在は,日米豪が中国に対して,今まで以上に軍事計画の透明性,情報開示を要求するものとなる.
特にこの基地が核ミサイルの集積を目指すなら尚更である.
【質問】
中国海軍が巨大な原潜基地を中国南部の海南島に建設って,そんなにまずいんですか?
【回答】
現状だと大陸中国の戦略原潜は,渤海と黄海にしか潜める海域がなく,どちらも中国海軍が確保できる代わり浅過ぎて,潜伏させるのに向かないという欠点がある.
更に,黄海を抜けても東シナ海は日本とアメリカの勢力圏内だから,安全性が確保できない上,琉球,奄美両諸島が日米の勢力圏の限り,そこから外海には出られない.
海南島に基地を作れば,渤海と黄海に閉塞させられるという状況からは逃れられる.
海南島から近い南シナ海は,アメリカや日本の対潜哨戒が届きにくい場所――P-3C哨戒機による対潜哨戒を届かせにくいので,原子力潜水艦による哨戒しかできない――であり,戦力的に弱体な南アジア諸国ベトナムやフィリピンにとっては潜水艦に対応しにくい海域なので,少々設計的におんぼろな中国の原子力潜水艦でも比較的安全に活動しやすい.
そういう場所に近い所に基地ができるので,中国にとっては潜水艦の稼働率が上がるというメリットがあり,アメリカにとっては中国の潜水艦の動きが把握しにくくなるというデメリットがある.
まぁ,それはそれで今度南シナ海に閉じ込められることにはなるが,現状では米軍は南シナ海を完全に支配は出来ていないので,状況はずっとマシになる.
あと,インドに対して,原潜による核反撃のリアクションタイムを大幅に減らすことができる.
これは結構大きい.
China's submarine progress alarms India By
Siddharth Srivastava
(アジアタイムズ)中国の海南島に建設中のSSBN基地はインドに警鐘を鳴らす
May 9, 2008
という記事では,人民解放軍の海南島のSSBN秘密基地は,中国海軍の増強に神経を尖らせているインドを特に刺激する,と解説している.
以下,荒っぽい要旨.
――――――
1)インドは陸上発射の核ミサイル(Agni, Prithvi)をもつが,潜水艦発射の核ミサイルやSSBNを現在保有しておらず,中国海軍のこの方面の大幅増強は脅威と感じる.
2)インドはSSBNの開発計画を持っていて,Advanced Technology Vessel (ATV)と呼んでいる.
さらに近くロシアからAkula-II級のSSBNのリースが実現する予定.
これは1200トン級の核燃料の攻撃用潜水艦である.
3)インドは最近,ロシアとの共同開発のBrahMosクルーズ・ミサイルの改造版である超音速の潜水艦発射ミサイルを発表している.
またフランスから先進的なScorpene潜水艦技術を導入して,ムンバイの造船所で新型潜水艦を建造する.
――――――
インドと中国の海軍(特に潜水艦と核ミサイル)の軍拡競争が既に起こっている,と言える.
【質問 kérdés】
南シナ海中越艦艇衝突事件について教えてください.
【回答 válasz】
2014年5月,中国のパラセル(西沙)諸島付近で海底油田採掘装置を護衛していた中国海事局の艦艇に,ベトナム海上警察(越国防省所属)の艦艇が衝突.
さらに中国海事局の艦艇がベトナム海上警察の艦艇に放水し,これに対してベトナム水上警察も武装対峙.
お互い非難合戦を続けています.
南シナ海:中国艦船とベトナム海洋警察の艦船が衝突 - 毎日新聞 ※リンク切れ
もともと西沙諸島はベトナム戦争時代,ベトナム共和国(南ベトナム)が実効支配していましたが,1974年に中国海軍が,1973年の米軍のベトナムからの撤退と現在のベトナム社会主義共和国の前身に当たるベトナム民主共和国(北ベトナム)との間の戦闘のどさくさに紛れて侵攻.
南ベトナム海軍と米軍軍事顧問団との戦闘に勝利し,実効支配に置きました.
その後,北ベトナムはサイゴンを陥落,南ベトナムを吸収併合した後に,中国に西沙諸島の返還を要求しましたが,中国は自国の領土だとしてこれを拒否,
のちの中越戦争の遠因ともなりました.
1988年には南沙諸島での軍事衝突も発生しています.
まぁ,恐らく中国側にとってしてみたら米軍が来る前に西沙諸島と南沙諸島の資源開発の既成事実を作りたかった,そしてベトナムはそれに抵抗したというところでしょうか.
ねらっずーり in mixi, 2014年05月11日
青文字:加筆改修部分
【質問 kérdés】
スプラトリー諸島中国漁船拿捕事案について教えてください.
【回答 válasz】
2014年5月7日午後,スプラトリー(南沙)諸島付近でフィリピン警察が中国の漁船を拿捕しました.
理由はフィリピンの野生動物保護法に違反した容疑.
これを巡り,中比両国がお互い非難合戦を続けています.
サーチナ|フィリピンが南沙海域で中国船拿捕,11人を野性動物保護法違反の疑いで拘束・・・緊張高まる,中国政府猛反発
1991年にアメリカの軍事費削減とフィリピンの自立化の動きから,フィリピンから米空軍と海軍が撤退しましたが,1995年にミスチーフ礁を中国に占領され,中国脅威論が米政府・軍部でも台頭した事から,2000年から中断していた米比合同軍事演習を再開.
2001年の対テロ戦争ではミンダナオ島のアブ・サヤフ掃討のため,米陸軍特殊部隊がフィリピン軍の攻撃に参加しました.
もっとも,アブ・サヤフは比軍の攻撃や内部分裂で組織は壊滅状態だったこともあり,中国牽制とも言われています.
中越や中比の一連の南シナ海の緊張の背景には,米軍がフィリピンに回帰を決定した事に対する,中国やベトナム,フィリピンの思惑があるものと推測されます.
米比両国はフィリピンへの米軍の再駐留に関する協定に合意.
これにより,かつて米軍基地だったクラーク国際空港とスービック湾国際自由港とスービック湾国際空港の使用か可能になります.
もっとも米軍は,この協定の以前に前出のように米陸軍の特殊部隊が対テロ作戦に従事しており,米海軍の艦艇が頻繁にスービック湾に寄港.
米軍機もフィリピンの基地を訪れています.
米軍,フィリピン回帰で大筋合意 中国念頭に新協定案 :日本経済新聞
まぁ恐らく中国側にとってしてみたら,米軍が来る前に西沙諸島と南沙諸島の資源開発の既成事実を作りたかった.
しかしベトナムはそれに抵抗し,フィリピンも本格的な抵抗を開始したというところでしょうか.
フィリピンでは国家安全保障会議のセサール・ガルシア議長が,
「中国と最後の1人まで戦闘する」
と述べるなど,第二次世界大戦での対日戦以来のナショナリズムが高揚しています.
「中国と最後の1人まで戦う」…フィリピンが南シナ海で対決姿勢 [サーチナ]
現在のところお互い妥協する気は無く,紛争にエスカレートする可能性はあります.
南シナ海の軍事的リスクが高まった事により,マカッサル海峡からフィリピン東岸への迂回ルートが日本のシーレーンになる可能性が出てきました.
このマカッサル海峡の迂回ルートは,正直当方の浅学もあって当方もつい最近まで恥ずかしながら知りませんでした.
第4章 21世紀に於けるわが国への石油資源輸送ルート(シーレィン)に関する安全保障上の問題点):平間洋一 歴史・戦略・安全保障研究室
ただ,このルートだと潜水艦による通商破壊や機雷戦を行うには十分な海域である上,南シナ海の航路の必要性が薄れたわけでもなく,どのみち日本にとっても米軍同様,何らかのテコ入れをフィリピンやベトナムに行わなくてはなりません.
尖閣諸島問題を抱える我が国に対し,この二ヶ国やアメリカが何らかのテコ入れを要求してくる可能性は十分にあるでしょう.
ただ,いきなりスービック湾やクラークへの海自や空自の駐留や,アーネスト・ウィル作戦のような船団護衛は中国を刺激しかねません.
そこで海自の艦艇や哨戒機,空自の電子戦機を哨戒中の給油などを名目に,スービック湾への入港やクラークへの離着陸を行うのがベストな選択だと思います.
先週,戦略論メニューで提唱したスービック湾への自衛隊常駐の可能性が,まさか現実になろうとするとは当方も予想がつきませんでした.
米軍のフィリピン回帰を甘くみていた当方の認識は反省すべきと思っています.
ねらっずーり in mixi, 2014年05月11日
青文字:加筆改修部分
事件その後については日本語ソースでは発見できなかったが,2021年現在,同諸島の中国海軍基地化は着々と進行しており,また,中国漁船が同諸島近辺に大挙押し寄せる事態は続いている.
2021.12.4
【質問 kérdés】
九段線って何?
【回答 válasz】
南シナ海にあるスプラトリー諸島やパラセル諸島が関係する海洋権益について,その全域にわたる権利を主張するため,1953年から中国が地図上に勝手に引いている線であり,断続する9つの線の連なりから成ります.
2012年5月15日からは,中国発行のパスポートの査証欄にも,この九段線が印刷されています.
南シナ海の領有権を主張するベトナム,フィリピン,マレーシア,インドネシア,ブルネイなどは,もちろんこれを認めていません.
2016年7月には,南シナ海における境界線を巡って中国とフィリピンが争っていた問題で,オランダ・ハーグの仲裁裁判所は,中国の主張する九段線を却下する判決を出しました.
中国はこの判決を不服として南シナ海で軍事演習を行うなど,南シナ海の緊張は高まっています.
南シナ海の境界線めぐり,仲裁裁判所が中国が主張する「九段線」を却下:ハフィンポスト
南シナ海の問題では我が国もシーレーンの主要ルートであり,無視は出来ない状況にあります.
そんな中,ベトナム政府は海自の中古装備に注目し,装備の増強を図ろうとしています.
ベトナム,日本の「お古」に照準?中国にらみの武器増強 : 日本経済新聞
ベトナム海軍はロシアから改ゲパルト型フリゲートを,オランダからシグマ型9814フリゲートを導入しています.
しかし掃海艇の方は,ソ連末期から製造された比較的新型であるロシアのソーニャ型掃海艇が4隻と旧式のユルカ型,エフゲーニャ型が2隻ずつある程度です.
ベトナムはベトナム戦争末期,アメリカ海軍によるトンキン湾の機雷封鎖とアメリカ空軍の空爆により,それまで拒否していた和平交渉を再開し,和平協定に調印した経緯がある事から,掃海能力にも力を入れています.
その意味からすれば,我が国にも近い事情があります.
そこで海自のお古と言わずに,最新型のえのしま型掃海艇を輸出してみてはどうでしょうか.
最新型なのでベトナム側が難色を示す可能性がありますが,そこは資金援助でベトナム側のコストを下げればクリアできるでしょう.
武器輸出に資金援助,防衛省が新制度創設を検討へ=関係者 | Reuters
えのしま型掃海艇はFRPで製造されており,掃海具も最新型.
海自におけるえのしま型のコスト削減にも一役買う事も可能になります.
ねらっずーり in mixi, 2016年07月23日
青文字:加筆改修部分
【質問 kérdés】
海自P-3Cの南シナ海派遣案について教えてください.
【回答 válasz】
ロイターによると中国,台湾,ベトナム,フィリピン,マレーシアの間で領有を巡る紛争が起きている南沙諸島において中国軍が暗礁を埋め立てている問題について,米政府は強くこれを批判,さらに牽制するなど米中両国にとっての懸案事項の一つとなっています.
中国の南シナ海埋め立て工事,平和・安定に寄与せず=米国務省 | ワールド | Reuters
こうした中,我が国においても防衛省が南シナ海での哨戒活動のために海自のP-3C固定翼哨戒機の派遣が検討されいるとロイターが報じています.
南シナ海の哨戒活動を防衛省検討,米軍と協力=関係筋 | Reuters
南シナ海は日本のシーレーンのルートの一つとなっていますが,ロンボク海峡とマカッサル海峡を経由する航路もありますので,さほど我が国には影響はありません.
ただ,出来れば南シナ海の航路は確保したいもの.
そのための措置かと思われます.
実際,艦艇を派遣するにしても,現在海自はむらさめ型護衛艦3隻,あさぎり型護衛艦1隻を派遣しており,日本周辺の海域の防衛を考えるとこれ以上の艦艇派遣は難しい上に,護衛艦を南シナ海に派遣するのは中国軍を刺激しかねず,抑止力になるどころかかえって緊張を招きかねません.
哨戒機の場合ならば艦艇とは違い海上に留まる事は出来ず,ISR任務しか出来ないので,さほどの脅威を相手に与える事はありません.
一方,上記のように哨戒機はISR任務を行えますから,南シナ海の動向を監視する事が可能になります.
もっとも,対艦攻撃は可能といえば可能ですが,やはり制海権確保の象徴たる艦艇とそうではない哨戒機では,相手側の受け止め方もまた違ってくるうでしょう.
もし海自のP-3Cを派遣する場合,その拠点はフィリピンのスービックベイ国際空港になると思います.
スービックベイには米海軍の艦艇の出入港が増加しており,フィリピンは憲法を改正して再び米軍のフィリピン駐留に備えようとしています.
冷戦終結後,フィリピンは米比条約をそのままにしながらも在比米軍を撤退を求め,米政府も冷戦終結による予算削減からフィリピンから撤退したものの,南沙諸島のフィリピンが実効支配している岩礁を中国海軍に占拠された事から,フィリピン軍は再びアメリカ軍との合同軍事演習を再開.
911テロでは同国のイスラーム過激派組織「アブ・サヤフ」の掃討のために米陸軍特殊部隊が一時的という形で駐留しました.
そして再びフィリピンに米軍が戻り,さらに海自が駐留しようとしています.
ねらっずーり in mixi, 2015年05月03日
青文字:加筆改修部分
【追記】
その後,海上自衛隊のP-3Cはフィリピン軍やヴェトナム軍との共同演習を行うなどはしたものの,2020.12現在,哨戒活動のための南シナ海派遣は依然として行われていない.
2020.12.17
【質問 kérdés】
海自DDHいずもはなぜ南シナ海に派遣されたの?
【回答 válasz】
海自のDDH「いずも」が,シンガポールで行われる国際観艦式とインド洋で行われる日米印海軍合同軍事演習「マラバール」に参加するために南シナ海に派遣されます.
名目は上記の通りですが,明らかに中国共産党政府のスプラトリー諸島の人工島建設を牽制を意識したものであるのは間違いありません.
> 海自最大の護衛艦「いずも」,南シナ海で長期活動へ=関係者 | ロイター
> http://jp.reuters.com/article/maritime-self-defence-izumo-idJPKBN16K0UA
海自のひゅうが型以降の海自のDDHが派遣されたケースとしては,DDH「いせ」が2013年のフィリピン・レイテ島を襲った台風30号の被災救援や,2014年のインドネシア海軍主催の国際観艦式がありますが,いずも型DDHで派遣されるのは今回が初めてです.
また,稲田防衛大臣は米海軍主導の「航行の自由」作戦には不参加を表明していましたが,航行の自由作戦ではないとはいえ,今回のいずも型の派遣は中国共産党政府への牽制になります.
その背景にはやはりトランプ政権での適切な防衛協力を求められたからだと推測します.
また,今回現状では哨戒ヘリしか艦載出来ないいずも型を派遣したという事は,南シナ海での有事には海自に中国人民解放軍海軍の原潜や通常動力型潜水艦に対する哨戒と対潜作戦を日本側に任せるという意図もあるのでしょう.
海自の対潜能力は世界第2位であり,その能力は今もなお保持されています.
対潜作戦を海自に委ねれば米海軍や英海軍,豪海軍は対空・対艦戦闘に集中できるという事になります.
ちなみに今月22日には,いずも型2番艦「かが」が海上幕僚監部に引き渡されます.
いずも型1隻が仮に南シナ海に派遣されてもいずも型DDH1隻,ひゅうが型DDH2隻で東シナ海での人民解放軍海軍の機雷戦や通商破壊,北朝鮮海軍によるSLBM搭載型通常動力型潜水艦の脅威に対処出来るという計算もあるのかも知れません.
> 海上幕僚監部,3月22日に護衛艦「かが」の引渡式・自衛艦旗授与式を開催 | FlyTeam ニュース
> http://flyteam.jp/news/article/76615
ねらっずーり in mixi, 2017年03月19日
青文字:加筆改修部分
【質問】
スプラトリー諸島防衛に関する,フィリピン軍の現状を教えてください.
【回答】
中国海軍にとって空母機動部隊とは,「海の万里の長城」だそうです.
それは中国のシーレーンを,独自で守る決意を示しています.
「万里の長城を,海に ―21世紀の中国海軍」 Bernard
D. Cole著:リアリズムと防衛を学ぶ
だからこそ,第一列島線や第二列島線も,中国にとっては最終防衛ラインであり,また,中国の商船の航行ルートを確保するため,最低限確保すべきルートと言う事になります.
つまり南沙諸島紛争は,単に資源だけでなく,日本同様,中国のシーレーン防衛のためにあるという事になります.
台湾も尖閣諸島も,中国にとってのシーレーン防衛のためにあるという事ならば,尖閣諸島や南沙諸島での中国の強硬的な態度に出るのも理解できます.
その南沙諸島紛争の当事国の一つ・フィリピンでは,国軍が南沙諸島の防衛は難しいと,アキノ大統領に直訴するという事態になっています.
「南シナ海防衛は困難」=中国に対抗できず-アキノ大統領に危機感訴え・比軍:時事通信
これは冗談でも何でもありません.
実際フィリピンは今でこそ,スービックやクラークの経済特区から始まった経済戦略により,高度経済成長はしているものの,つい最近までは国内の治安状況の悪化と,1990年代初頭のナショナリズムの台頭により,経済が低迷した上に,新人民軍(NPA)やモロ民族解放戦線(MNLF)などの国内のゲリラ掃討に重点を置いたために,空軍や海軍などの,外敵に対する装備をおろそかにしていたという点があります.
特にネグロス島では,砂糖の暴落による農業労働者の大量解雇により,貧富の差が拡大,
一部の住民はNPAに身を投じる事もありました.
ちなみに現在のネグロス島の経済は,立ち直ったものの,未だに貧富の差が大きく,NPAが根絶出来ない要因の一つとなっています.
ただ,冷戦の崩壊によりNPAの勢力は減退し,MNLFから派生したテロ組織・アブ・サヤフも,米軍特殊部隊の協力でかなり掃討に成功しました.
しかしその結果,南沙諸島ではフィリピンが領有していた島を,中国軍に盗られてしまうという事態が発生,国軍はフィリピン独立史上,旧日本軍の侵攻に次ぐ外敵からの防衛に,力を入れなければならなくなりました.
しかしフィリピン空軍のF-5A/Bは1995年に引退し,フィリピン空軍には戦闘機は1機も存在しない状態,海軍も日本の海上保安庁に毛が生えた程度の戦力しかありません.
これでは空母まで建造している中国軍に,対抗など不可能で,このままでは中国軍によるフィリピン突破の可能性まで指摘されています.
フィリピン空軍 - Wikipedia
フィリピン海軍艦艇一覧 - Wikipedia
フィリピン空軍の再建には,日米・台湾のテコ入れが必要ですが,海軍については改造したうえで,あぶくま型護衛艦をフィリピン海軍に売却してみてはどうでしょう.
海自は以前,アメリカから貸与されたキャノン級護衛駆逐艦を,あさひ型護衛艦として使用,後にフィリピンに米経由で供与した経緯があり,あぶくま型護衛艦を改造した上でフィリピン海軍に譲渡するという手があります.
あぶくま型護衛艦 - Wikipedia
あぶくま型護衛艦は1989年建造なので比較的新しく,これに改造を加えれば,中国海軍に十分対抗は可能です.
空軍については米からV-22AEWを,さらにインドからテジャスを供与すればいいかと思われます.
テジャスは廉価な戦闘機を予想しており,また,インドの国情に合わせているので,フィリピンの気候にも合致するはずです.
テジャス (航空機) - Wikipedia
フィリピン軍はこれまで,国内のゲリラと戦えばよかったのですが,国内のゲリラが消滅寸前またはテロリスト化した今,高度経済成長で得た富の一部を,軍備増強に使うべきでしょう.
そうでもしないと,南シナ海防衛は出来るわけがありません.
バルセロニスタの一人 in mixi,2011年01月18日07:59
青文字:加筆改修部分
【質問】
『フィリピンは,反米して米軍を追い出した結果,空軍が維持できなくなり事実上消滅,軍事費が3億円程度にまで落ち込み,自国領土の防衛すら満足にできなくなった結果,フィリピン領ミスチーフ環礁を支那に奪われました』
というコピペを「ν速」〔=掲示板名〕で見ましたが,事実なんでしょうか?
【回答】
米軍が引き上げた&フィリピンが米軍駐留を嫌がった事と,空軍が予算不足と後継機が決まらず等の理由で事実上消滅したのは直接関係無.
クラークとスービックから米軍が引き上げたのは,経済補償面で交渉が難航し,さらに火山の噴火後始末なども大変だったのと,何より冷戦が終わって,米国一極支配の世の中になるはずという雰囲気だったこと,なども影響している.
基地跡地は企業を受け入れて,経済的に潤っているという報道がありましたが.
南沙諸島の領有権争いについては,中国が頑張ってるのが良く取り上げられるが,領有権を主張しているのは中国とフィリピンのみではなく,ベトナムとか,インドネシアも主張しているはず.
軍事板
青文字:加筆・改修部分
【質問】
南沙諸島ベトナム漁船銃撃事件とは?
【回答】
ベトナム政府筋の話によれば,2007.7.9,シナ艦艇がベトナム漁船を銃撃し,乗員5名が負傷しました.
両国はこれについて一切コメントしていません.
⇒関連すると思われる情報があります.
7日,四名(家族で大人2名,子供2名との話です)の脱北者が駐ベトナム・オランダ大使館に入っています.
韓国への亡命を希望しているようですが,ベトナム当局がどういう判断を下すかは,現時点では不明です.
ちなみに北鮮からは,シナ国境を超えて毎年多数の脱北者が出ています.
中共当局は,北鮮との取り決めで「脱北者は見つけ次第北鮮に強制送還する」という措置を実行していますが,現実は多数が脱出に成功しています.
脱北者の多くはベトナム,タイ,カンボジアなどの東南アジアに渡り,韓国への亡命を希望しています.
ベトナムは社会主義国で,北鮮との国交もありますが,韓国からの投資も積極的に受け入れています.
2004年にベトナムが,脱北者400名を韓国に移送したとき,北鮮は激怒しています.
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