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東アジアFAQ目次

General Aung San


 【link】


 【質問】
 英国統治時代のミャンマーでは,仏教はどのように扱われていたのか?

 【回答】
 表立った宗教弾圧こそなかったものの,比較的冷遇されていたといえる.

 太田述正コラム#2087(2007.9.26)によれば,英国はミャンマーを征服すると,ミャンマーの仏教の最高指導者(Supreme Patriarch)の職を廃止し,仏教の組織的一体性を失わせたという.
 また,英国支配の影響でキリスト教が行政と教育に持ち込まれると,ミャンマー人は強く反発し,僧侶達は独立と仏教防護の殉教者となり,数多くが英国当局の牢獄で死亡したという.

 同ブログの該当箇所については,ロサンゼルス・タイムズ報道が元ソースとなっているため,C(普通)レベルの信頼性はあると愚考する.


 【質問】
 サヤサンの叛乱とは?

 【回答】
 太田述正コラム#2093(2007.9.29)によれば,1930〜32年のサヤサン(Saya San)の叛乱は,英領時代のミャンマー最大の叛乱.
 インド人高利貸しによってミャンマーの農民達は財産を奪われ,しかも植民地当局による重税に苦しんでいましたところに,経済不況によって米の価格が暴落,農民達が深刻な生活苦に陥ったことが原因だという.
 また,この叛乱にも僧侶達が大きな役割を果したという.
 叛乱者達は刀と槍だけで戦ったが,英軍兵力約10,000人が投入されて鎮圧され,この間,捕らえられて処刑された叛乱指導者の僧侶サヤサン(Saya SanまたはSayar San)を含め,ミャンマー人約10,000人が死亡したとされる.

「週刊オブイェクト」●軍事評論家
の,太田述正に関するエントリを見ても分かるように,自己検証能力欠如という点において,太田個人の信頼性には問題があるようだが,これは
http://www.myanmars.net/myanmar-history/sayasan.htm
を元ソースとしているため,C(普通)レベルの信頼性はあると愚考する.


 【質問】
 ビルマの軍政の経緯は?


 【回答】
 1958年に少数民族の反乱などでガバナビリティを失った文民政権を倒して,ネウィン将軍の選挙管理内閣が成立.
 1960年の総選挙で復活した民政は,やっぱり失敗し,1962年に再びネウィン将軍がクーデタ.

 ビルマのやばいとこは,翌年に再び民政移管するのだけど,ネウィン以下の軍事政権の重鎮が,そのまま新しい文民政党=ビルマ社会主義計画党(BSPP)のトップに横滑りして,一党独裁にしちゃったことにありますね.
 ええ,文民支配ではなく,事実上の軍政の継続です.
 そして,軍はBSPPの人員供給源であり続けた.
 さらに,米と木材を中心とする輸出依存経済の抜本的な改革もないままに,鎖国&計画経済体制へと移行して……

 文民のテクノクラートも政治家もいないわけじゃないけれど,軍人もしくは元軍人が頭を押さえ,軍企業体を作ったりいろいろやってはみるけど,そんなんで経済が上手く回せるわけありゃしません.
 官僚組織もネウィンの取り巻きの顔色を伺いながら,腐敗を極めます.
 まさに「硬直した」としか言いようのない国家経営が続き,政権そのものが,BSPPを介した軍幹部の利益配分の道具に堕していくわけです.

 で,経済的にドン底をみた1988年に民主化運動……
 ネウィンは政治の舞台から降りたものの,運動は弾圧され,民政の皮をかなぐりすてて軍政の復活.
 ……まあ,その後は1990年の総選挙で,野党NLDの地すべり的勝利があり,新憲法制定の動きもあったりはするものの,軍事政権が継続し,スーチー女史は軟禁され続け…みたいな,ご存知の流れなわけですが…

「権力は腐敗する,絶対的権力は絶対的に腐敗する」
という言葉を,見事なくらいに極めてしまっていますね.

2010年07月22日 10:19,ソフトヒッター99

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


◆◆◆僧侶デモ2007

 【質問】
 なぜ2007年の仏僧デモは起こったのか?

 【回答】
 2002年まで日本政府のミャンマー特命全権大使を務めた津守滋によれば,米と食用油の値上げがその原因だという.

[quote]

 経済的には石油の値上げによってデモが起こったと言われているが,本当は食料の値段が大きな影響を与えた.
 ミャンマー人のエンゲル係数は平均して7割だと言われているが,今回値が上がった米と食料油がそのうちの高い割合を占めている.

[/quote]
―――2007年10月30日 ビデオニュース・ドットコム

 上記証言の信頼性だが,情報不足によりクロスチェック不能.
 なにせ報道官制を敷いている軍事独裁政権についての話なので.


 【質問】
 ミャンマー仏教界と軍事政権との関係は?

 【回答】
Myanmar and the loss of legitimacy By David I Steinberg
(アジアタイムズ)ミャンマー軍事政権の合法性(正当性)の喪失

By David I Steinberg(ジョージタウン大学,ISAS)

という記事によれば,ビルマは国民の多くが仏教を信仰する国であるが,軍事政権はその仏教に干渉してきたという.
 曰く,

 政権は国民の支持を得るべく,仏教寺院の建設などを行なってきたが,その一方で僧侶などの反政府的思考を弾圧する圧力を強めてきた.
 政府は仏教界の宗派の機関に介入して,仏教界を支配しようとしてきたが多くの僧院や若い僧侶などの 反感を買っている.(後略)

 同記事では,ビルマの政治を動かす勢力として,一方に軍事政権の軍隊組織があり,これに対抗#する思想的な権威(国民の支持,信仰)をもつ仏教界があるので,軍事政権がこれを支配しようとしてきたが失敗していると解説.
 社会・経済政策の失敗と共に,思想や信仰の上で軍事政権は正当性を喪失した,としている.

ニュース極東板

 また,太田述正コラム#2087(2007.9.26)によれば,独立後,ミャンマーの権力者達は仏教を自らの支配のために利用してきたという.
 非軍人たるウヌー(U Nu)首相は,1950年代初期に平和寺院(Peace Pagoda)を建立,1960年代には仏教優遇政策を推進して,キリスト教徒が多いカチン,チン,カレンなどの少数民族の反発を招き,ネウィン(Ne Win)将軍や,その後継者達も寺院を建立しているという.
 1988年以降は,軍事政権は仏教界と仏教関係の学校での教授内容を厳しく統制しているという.

 同ブログの該当箇所については,ロサンゼルス・タイムズ報道が元ソースとなっているため,C(普通)レベルの信頼性はあると愚考する.


 【質問】
 2007年8月からの抗議行動の指導者は誰か?

 【回答】
'It's now a people’s revolution'
という記事において,インド紙「ヒンディスタン・タイムズ」が,在印ビルマ亡命者の作るメディア,Mizzimaの編集者にインタビューしているが,それによれば,

 野党NDLの指導者の殆どは投獄されており,今回の抗議行動に指導者がいないわけではなく大衆運動になっているという.
 また,表面の目に見える指導者はいないが,指導している人は独自の短波放送によって.大衆に連絡を取っているという.
 ビルマ国外からの秘密放送が4つあって,ビルマ国民は今皆が短波放送を聴いているとか.
 軍部が是をジャミングしようとすれば軍の無線通信にも影響がでるので,そうすることが出来ないのだという.

ニュース極東板

「WSJ」:Burma's Most Wanted By LESLIE HOOK February 2, 2008
は,2007年のビルマ(ミャンマー)の反政府・民主化要求デモの指導者である青年僧で,運動の議長を勤めたAshin Kovidaへのインタビュー.
 ただし通訳を使っているようで,通常のインタビュー記事になっていない.
 現在,ビルマ第一のお尋ね者なので,WSJアジア版の編集者は手間をかけて接触した模様
 記事は余り面白いといえないけれど,運動の主力が24-28歳の僧侶というのは印象的で,ビルマ版の学生運動を思わせる.
 なお,Ashin Kovida は米国への亡命を考えているようで,その意味でも天安門事件などとの類似性が.

ニュース極東板


 【質問】
 今回の抗議行動は,1988年の民主化運動に比べて違いはあるか?

 【回答】
'It's now a people’s revolution'
という記事において,インド紙「ヒンディスタン・タイムズ」が,在印ビルマ亡命者の作るメディア,Mizzimaの編集者にインタビューしているが,それによれば,次のように回答されている.

A:今回の運動は大衆的な広がりがある.
 高校生や,ビジネスマン,政治家,俳優,コメ ディアン,・・・あらゆる階層の人が参加している.
 参加していないのは警官と軍人だけだ.
 市民革命と言うべきで,8月15日以来,すでに50の都市に広がっている.
 しかし,まだ全国に広がったわけではない.

ニュース極東板

 もちろん反政府側の主張であるため,誇張がある可能性は考慮して読むこと.


 【質問】
 ミャンマーで今〔2007年9月〕,騒ぎになってますが,政権側でデモを鎮圧してる軍兵士ってどんな人たちなんでしょうか?
 一部はパコダに入って略奪までやってるという海外からの報道を聞くと,本当に仏教徒でない非仏教系の少数民族出身の兵士とかに鎮圧させてるように思えてくるのですが.

 【回答】
 2つ考えられます.

 1つは,少数民族兵士です.
 彼らはキリスト教,イスラームやアニミズムと言った独自宗教を持っていますので,仏教には比較的冷淡です.
 ビルマは21世紀に入ってから,カレン族以外の民族解放戦線との和解を進めましたので,餌をちらつかせれば(自治権の拡大,自治州の設立など),容易に政権側に回る可能性があります.

 もう1つの可能性は,都市部ではなく,農村部から徴兵した兵士です.
 情報操作により,都市部の僧院に,偽物の僧がいると言う事を吹き込めば,純朴で,Internet,テレビなどからの情報から隔絶された兵士達は容易に信じ込みます.
 従って,似非仏教僧を排除して,正道を正すとされれば,無条件に命令に従う可能性があります.
 70年前の日本でも同じ様な事がありましたしね.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板


 【質問】
 僧侶デモの死者,逮捕者は?

 【回答】
Myanmar Hunts for 4 Activist Monks 1 hour ago YANGON, Myanmar (AP)
(AP)ビルマ軍事政権は,残る4人の反政府・僧侶を捜索中

という記事によれば,政府は今回の暴動事件で死者10人,逮捕者2100人としているが,反政府系グループは死者200人,逮捕者6000人としている.
 また同紙が,ビルマの軍事政権のWebサイト発の情報として伝えるところによると,反政府暴動を指導したとされる29人の僧侶のうち,25人が既に逮捕され,残る4人の捜索が進行中だという.
 軍事政権高官は金曜日に仏教界の高位の僧侶に会い,4人の僧侶を差し出すように求めた,としている.
 U Kantiya, U Visaitta, U Awbatha and U Parthakaがその僧侶とされるが,何処の僧院の所属かは明らかにされていない.

 また,
Myanmar junta arrests more, UN envoy in Singapor
国連特使が訪問でも,ミャンマーの軍事政権は民主化運動家や僧侶を夜中に逮捕し続けている・・・(ロイター)

Wednesday, October 3, 2007

という記事によれば,ヤンゴンのダウンタウンでは,少なくともトラック8台分の人が逮捕され,軍事政権はギャングを使って家宅捜索しているという.
 以下引用.

At least eight truckloads of prisoners were hauled out of downtown Yangon, the former Burma's biggest city and centre of monk-led protests against decades of military rule and deepening economic hardship, witnesses said.
 ヤンゴンのダウンタウンでは,少なくともトラック8台分の人が逮捕された.
 ヤンゴンは国内最大の都市,前首都で,僧侶等を中心とした抗議行動の中心であった.

In one house near the Shwedagon Pagoda, the holiest shrine in devoutly Buddhist Myanmar and starting point for last week's rallies, only a 13-year-old girl remained. Her parents had been taken in the middle of the night, she said.
 仏教聖地であるShwedagon Pagodaの近くのある家では13歳の女の子が一人取り残されており,両親は夜中に連行されたという.

It is also sending gangs through homes looking for monks in hiding, a series of a sweeping raids that western diplomats say are creating a climate of terror.
 軍事政権は家々を捜索するギャングを使って,僧侶が隠れていないのか調査している.
 西側外交官は,これらの捜索が恐怖の風潮を作っているという.

ニュース極東板・改

 なお,その後のデモでは,逮捕者はいない模様.
 以下引用.

ミャンマーで僧侶デモ=武力弾圧後初,パコクで100人
2007年10月31日18時1分配信 時事通信


 【バンコク31日時事】ミャンマー中部マグエ管区パコクで31日,僧侶と市民約100人のデモが行われた.
 軍事政権が9月下旬,僧侶らの反政府デモを武力弾圧して以来,軍政主導の官製デモは国内各地で行われているが,僧侶のデモは初めてとみられる.
 治安当局はデモ参加者を拘束しなかった.

 【質問】
 日本人ジャーナリストが撃たれた件だけど,人間は心臓を撃ち抜かれたら何秒くらい生きていられるの?

 【回答】
 失血と血圧低下によって行動不能になるまで十数秒〜数十秒を要し,脳死に至るにはさらに数分以上かかります.

 本人がすっかり死んだ気になって動かなくなるのは別の話.

 中枢神経を直撃されない限り,人間は即死はしません.

軍事板


 【質問】
 長井健司はどのような人物か?

 【回答】
 フォト・ジャーナリスト.

 1957/8/27,愛媛県今治市生まれ.
 東京経済大学経済学部卒業後,1年間,アメリカに留学.
 帰国後はアルバイト生活をしていたが,アジア・プレス・インターナショナル所属のAPF通信社の契約記者となり,タイ・エイズ孤児,パレスチナ紛争,ターリバーン戦争,イラク戦争などを取材.

 バンコクでの偽札取材を終えた後,僧侶デモの取材のため,2007/9/25にミャンマー入り.
 そして2007/9/27,ミャンマー・ヤンゴン市でのデモの取材中,ミャンマー軍兵士に至近距離から撃たれ,死亡.

 松村テクノロジー社長・松村喜秀によれば,長井は並外れた仕事熱心な人物であり,また,軽装で民衆の中に入り込んでいく取材スタイルであり,上述の偽札取材のときには,危険な場所にも物怖じせずに入り込んでいったという.

 なお,射殺されたときに長井が持っていたカメラは,軍に没収され,いまだに遺族に返還されていない.

射殺の瞬間
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq48m01b.jpg
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq48m01c.jpg
(画像掲示板より引用)

http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq48m.jpg
こちらより引用)


 【質問】
 マンダレー中国総領事館銃撃事件とは?

 【回答】
 マンダレーで2007/10/7未明,正体不明の武装グループが同地の中国総領事館を銃撃したとされる事件.
 背景には,軍事政権を支援する中国への反発があると推測される.

 2007-10-13付のブログ「日々是チナヲチ」が紹介するところによると,ノルウェーのビルマ語国際放送DVB(ビルマ民主の声)の報道を,香港紙『明報』が伝えたのが,その発信源である模様.

 中国総領事館を襲撃したのは武装した男性の一群.
 銃撃はピストルによるものだったらしく,その他の装備などは一切不明.
 死傷者なし.
 現地住民によると,事件後にミャンマー軍が駆けつけて中国総領事館前に土嚢を積むなどしたという.

 以下引用.

 ●『明報』電子版(2007/10/10/17:50)
http://www.mpinews.com/htm/INews/20071010/ca31750c.htm

 この事件については香港の親中紙『香港文匯報』も翌日に似た内容を報じています.というか事件そのもについては『明報』の報道をそのままパクったような感じです.

 ●『香港文匯報』(2007/10/11)
 http://paper.wenweipo.com/2007/10/11/CH0710110014.htm

 で,日本ではこの『香港文匯報』による報道の一部が報じられています.共同通信のお仕事です.
 ●中国総領事館に発砲か ミャンマー(MSN産経ニュース 2007/10/11/13:05)
 http://sankei.jp.msn.com/world/asia/071011/asi0710111351000-n1.htm

 11日付の中国系香港紙,文匯報は,ミャンマー第2の都市マンダレーで7日早朝,何者かが中国総領事館に向かって発砲したと報じた.けが人などはなかったというが,ミャンマー側は総領事館前に軍を派遣するなど警戒を強化しているという.

 報道によると,発砲したのは男とみられる.犯行動機は不明だが,中国政府が長年,ミャンマー軍政を支援していることから,現地で反発が広がっているとの見方が出ている.(共同)
「犯行動機は不明だが,中国政府が長年,ミャンマー軍政を支援していることから,現地で反発が広がっているとの見方が出ている」
というのは共同通信が付け足したもので,元記事にはない内容です.

 ……その一方で,『明報』電子版や『香港文匯報』が報じているものの,共同通信電では省かれている部分があります.
「中国総領事館への銃撃事件によってマンダレー在住の華人の間にはすでにパニックが発生.この事件を発端に地元の華人が襲撃される事態に発展することを恐れ,一部では中国語の看板を撤去したりする動きがみられる」
という一節です.
 現場の息づかいや脅える華人の様子が伝わってくるような描写だと思うのですが,この部分は日本では報じられていません.

 ちなみに,当の中国では銃撃事件が発生したことは余り報道されていません.
 外交部報道官もこの件には一切ふれていません.
 ただ,香港やシンガポールの親中紙の電子版などから情報が中国国内に流れているとは思いますし,香港の親中紙から引用する形で報じている中国国内メディアもあります.
 香港紙の場合は,上述したインドネシアの華僑排斥暴動で香港人に死者が出ていることから敏感に反応したのでしょう.

 【質問】
 各国ミャンマー大使館に女性用下着を送りつける行為が,なぜ軍政に対する抗議の一手段になるのか?

 【回答】
各国ミャンマー大使館に女性用下着送付,軍政に対する抗議の一手段
2007年10月27日 05:14 発信地:バンコク/タイ

という記事によれば,「かれらは女性の下着に触れると力を奪われると信じている」からだという.
 以下引用.

[quote]

 タイ北部のチェンマイ(Chiang Mai)に本部を置く民主化運動グループ「Lanna Action for Burma」は,世界中の人々にミャンマー大使館へ自らの下着を「投函,送付,または投げつける」よう呼び掛けている.
 同グループはホームページで
「ミャンマー軍事政権は残忍なだけでなく迷信深い.
 かれらは女性の下着に触れると力を奪われると信じている」
と訴えかける.

[/quote]

 まあ,ヤンゴンからの首都移転も占いの結果だという説もあるので,迷信深いという話が全くのガセだとも言いきれないが……どんな軍事政権やねん.


 【質問】
 ミャンマー僧侶デモに対する日本仏教界の見解は?

 【回答】
 財団法人全日本仏教会(102の伝統仏教宗派,団体などが所属)が日本,ミャンマー,国連,WFB世界仏教徒連盟宛てに声明・意見・要求を9月28日付で提出.
 10月11日には,韓国で開催されたWFB小規模国際会議での全日仏代表がミャンマーへの声明文を発表.
臨済宗妙心寺派,真宗教団連合,日蓮宗,曹洞宗,浄土宗,日本山妙法寺,立正佼成会などの宗団,団体.また各地域の仏教団体や個別の寺院での抗議声明や活動が行われています.

奈梨 in FAQ BBS

 「アジア仏教徒協会」のほか,「全日本仏教会(JBF)」が9月28日付で,日本政府(福田首相宛),ミャンマー政府(大使館宛),国連(事務総長宛),The World Fellowship of Buddists (WFB世界仏教徒連盟)に対し,下記しての理事長声明を発表しています(あて先への提出は10月1日).
http://www.jbf.ne.jp/d20/

 この後で,WFBが声明を出しています(10月8日付け).
http://www.jbf.ne.jp/2007/10/wfb.html

英文では
http://www.buddhistchannel.tv/index.php?id=70,5072,0,0,1,0

 英文のサイト(英語での仏教関連ニュースサイト)では,Editor's noteとして,
「把握している限りでは,AJBF[原文ママ]はこれまでビルマの反体制派とは距離を取ってきており,声明を出すのは初めてである」
と書き添えられています.

 以上,ご参考までに.
http://nofrills.seesaa.net/

nofrills in FAQ BBS


 【質問】
 ミャンマーがヤンゴンからネピドーに遷都した理由は良く判っていませんが,もしかしたら軍事的観点から利点があったからなんでしょうか?
 山中の方が防衛しやすいとか…

 【回答】
 理由は不明だが,おそらくは軍事上観点で選んだであろうという説が有力.

 ただ,防衛上の観点よりも,むしろ内戦に備えて,早期の鎮圧に有意な戦略上重要なポイントとしてネビドーを選んだのではないか?との説が根強い.

軍事板,2009/08/13(木)
青文字:加筆改修部分

 蛇足ですが….
 元々,国軍司令部がピンマナ(現在のネピドー)に移転する構想があり,首都移転に先だって国軍の中枢機能はピンマナ北方地区に移転しています.
 ピンマナ自体はヤンゴンから北方に約320km離れ,第2の都市マンダレーと最大都市ヤンゴンとの中間にある,なだらかな丘陵地帯にあります.

 一応,移転の理由は,ピンマナが国土の中心部に位置し,辺境地域を含めて全土を効率的に統治できるためとしています.
 しかしながら,旧首都ヤンゴンはエーヤワディー(イラワジ)川支流の河口から30kmほど遡った処にある港湾都市であり,非常に脆弱です.
 米国や欧州からの人権抑圧批判への圧力を意識し,その軍事介入を懸念しての移転とか,大都市ヤンゴンが大衆運動で騒擾状態になった場合を想定した権力維持策等見方もあります.
 実際,2007年の反政府デモでも,政府首脳はこのネピドーで対策を練っていたと言われています.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板,2009/08/13(木)
青文字:加筆改修部分


◆◆◆サイクロン被害2008以降


 【質問】
 なぜミャンマー軍事政権は,国際社会からの援助要員を受け入れたがらないのか?

 【回答】
 タイのチェンマイを拠点とするフリーランサーのジャーナリスト,マッカーター(Brian McCartan)がアジアタイムスに寄せた論考
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JE14Ae01.html
によれば,脱走者が相次いで部隊が雲散霧消したり,叛乱が起きる可能性があり,これを回避するためには,イラワジ河地帯の軍に優先的に食糧・物資を回す必要があるのだが,国際社会からの援助要員を受け入れると,それが困難になるからだという.

 以下要旨.

――――――

 1990年代に,ミャンマー軍政当局は軍に対し,土地を耕し自給自足せよとと通達した.
 その結果,掠奪,金品強要,強制労働,農地の強制没収が各地で頻発した.
 しかし,それでも40万人の兵士達(家族を含めば200万人弱)の給養は十分ではなく,とりわけ奥地やヤンゴン,マンダレーといった大都会に駐留する兵士達は栄養失調気味であり,いじめや体罰が横行していることもあって彼らの士気は低く,不満は高く,脱走率は上昇気味で推移してきた.
 だから,昨年9月の僧侶を中心とする騒擾の際にも,弾圧にあたった兵士達の中から脱走者が出た.

 そんなところへ,今回のサイクロンによる大水害が襲い,イラワジ河デルタ地帯が壊滅的被害を受けたが,この地帯に駐留するビルマ軍も大損害を被った
 この地帯には,ハインギー(Hainggyi)島に海軍パマワッディ(Pamawaddy)地域司令部が置かれているが,海軍自身が,艦艇25隻が破壊され,280人の将校と水夫が行方不明になったと公表している.

 また陸軍については,バセイン(Bathein)に南西軍司令部が置かれていて,13大隊が地帯の各所に配置されているが,やはり大きな被害を受けたと考えられる.
 ちなみに,南西軍の司令官ポストは,出世の登竜門であり,現在の最高指導者タン・シュエ(Than Shwe)上級大将らもこのポストを経験している.

 さらに,1949年から1970年代初期にかけて,イラワジ河デルタ地帯ではカレン民族同盟(Karen National Union =KNU)とビルマ共産党が暗躍していたし,1991年にも同地域でKNUによる武装蜂起未遂事件が起こっており,この地帯は軍政当局にとって軍事上重要.

 それぞれヤンゴン地区とアラカン州を管轄としている,陸軍のヤンゴン軍と西軍も被害を受けたと考えられている.

 つまり軍政当局が,イラワジ河地帯の軍に優先的に食糧等を回そうとしているのは,脱走者が相次いで部隊が雲散霧消したり,叛乱が起きる可能性があり,何としてでもこれを回避する必要があるからなのだ.

 しかも,イラワジ河地帯はミャンマーの中心的な稲作地帯であり,ここが壊滅的被害を受けたために,米を輸出して外貨を稼ぐどころか,高騰している米を海外から輸入しなければならない羽目になっていることを考えれば,なおさら軍政当局は,軍に優先的に食糧等を回さざるをえないわけだ.

――――――要約:太田述正コラム#2547(2008.5.14)

▼ また,
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/05/13/AR2008051302903_pf.html
によれば,軍政当局上層部に,災害の深刻な実態が伝わっていない可能性が高いという.
 長年の軍部専制の下,ミャンマーの官僚機構は,軍政当局上層部に不都合な真実をあげなくなってしまったのだという.
 そのことは,例えば少し前に軍政当局が,ミャンマーが過去5年間にわたって年13%の経済成長をしてきており,識字率も上昇し,成人の96%以上が読み書きができるようになった,とデタラメな宣言したことからも明らかだという.

 詳しくは,太田述正コラム#2549(2008.5.15)を参照されたし.

 その後,ようやくミャンマー軍事政権は2008/5/23,あらゆる外国からの支援要員の全面的な受け入れに同意し,ヤンゴン港での外国民間船舶による援助物資受け入れにも同意したが,米国やフランス等の外国艦艇の受け入れは拒否した.
 これは,欧米諸国やEUの首脳達が(一方的)人道的介入を仄めかすことで,軍政当局は追い詰められて軌道修正せざるをえなくなった結果だという.

 詳しくは,太田述正コラム#2567(2008.5.24)を参照されたし.▲


 【質問】
 2008年5月のミャンマー・ハリケーン被害に対する人道的軍事介入論とは,どのようなものか?

 【回答】
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/may/11/cyclonenargis.burma
によれば,米国国内での介入論は以下の通り.

1) 米軍のC-130はミャンマーの隣国のタイに待機しており,また米空母のキティホークとニミッツが東南アジア海域にいるので,その気さえあればいつでも介入できる.

2) 軍政当局はミャンマーの大部分の国民から忌み嫌われており,また,今回のハリケーン災害への対応で国民の怒りは一層強まっており,米軍による人道的介入は,ミャンマー国民から大喝采を受けるに違いない.
 これを契機に,軍部が分裂し,ミャンマーで体制変革が起こる可能性だってある.
 実際,1972年には,ニカラグアの悪名高いソモサ(Anastasio Somoza)独裁政権が,大地震の際に送られた国際援助をくすねたことでやがて政権が転覆したし,インドネシアのスマトラ島のアチェでは,2004年の大津波の際に外国の軍隊等による支援が行われたことが,長年の紛争解決の契機となった.

3) 中共は,人道的介入に強硬に反対することで国際社会を敵に回すことは躊躇する可能性が高いし,そもそも中共には,人民解放軍を隣国に投入して米軍に本格的に対抗する能力などない.

 詳しくは太田述正コラム#2541(2008.5.11)を参照されたし.


 【質問】
 2008年のミャンマー・サイクロン被害に対し,とり得る軍事介入のオプションは?

 【回答】
 欧米報道を総合するに,直接介入のほか,米国が中共に圧力をかけ,中共当局に軍政当局を説得してもらい,タイ軍やインドネシア軍によるミャンマー内での人道援助活動を認めさせる,という方法を提唱する声もあるという.

 欧米諸国がミャンマーの隣国である中共,インド,タイに軍政当局を説得させ,これら諸国経由での人道支援の受け入れを受諾させるという手もある.

 国連安保理決議で軍政当局に人道援助受け入れを義務づける方法もあるが,中共やロシアが拒否権を発動する可能性大.
 2007年の初め,米国が安全保障理事会がミャンマーの人権問題を取り上げることを提案した際,中共とロシアが拒否権を発動している.

 安全保障理事会で間接強制的決議を採択する方法も考えられる.
 軍政当局の資産を凍結したり,軍政当局のメンバーが外国に出た場合の逮捕状を発出したりするというもの.
 この種の国連安保理決議が採択された結果,2002年にコートジアボールの政府が人道援助要員を受け入れたという先例もある.

 詳しくは,太田述正コラム#2539(2008.5.10)を参照されたし.


 【質問】
 ミャンマー・ハリケーン被害への人道的介入に反対している国は?

 【回答】
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/may/11/cyclonenargis.burma
によれば,中国,ロシア,ベトナム,南アフリカ.

 ちなみに南アフリカのANC政権は,ジンバブエのムガベ大統領による人権蹂躙に対しても,優柔不断な態度をとっているという.


 【質問】
 ミャンマー国連追放論とは?

 【回答】
Kick Burma Out of the U.N.
(WSJ米国版,社説)ミャンマーを国連から追放せよ

May 10, 2008; Page A10

という社説で述べられているもの.
 国連が,ミャンマーでのハリケーン被害に対して人道介入できないのなら,国連からミャンマーを追放することによって名誉を守るしかない,というもの.

 以下引用.

――――――

 今週,国連はミャンマーが,そのサイクロンの被害救済にあたる予定の支援ワーカーの入国を拒否したことについて前代未聞で有ると述べた.
 被災者の破滅的状況を無視するミャンマーの軍事政権をみて世界は呆れている.

 サイクロンによる数え切れない死者,ホームレス,孤児が生まれている.
 死者の遺体は依然として水中に浮かんでいる.
 WHOはコレラやマラリアの大規模発生を警告している.

 インドは今回のサイクロン被害の発生の2日前,5月1日にミャンマーの軍事政権に大きな被害の発生する可能性を警告していた.
 Ban Ki-moon国連事務総長は食糧支援が被害者に届いていない事を遺憾とし,軍事政権が対話に応じようとしないという.

 今やミャンマーを国連から追放すべきである.
 国連がミャンマーの参加資格を停止しないのなら,何でも許される事になってしまう.
 国連憲章は第二章に参加資格停止と復帰を定めていて,安保理がそれをおこなう.

 一部には,安保理のそうした動議は中国の拒否権に阻まれるあろうという.
 そうであれば,オリンピックの開会を直前に控えた中国にそれをさせればよい.

 一部の意見は,何故ミャンマーだけを追放するのか?スーダンはどうするのか?というだろう.
 良い質問である.
 マケイン上院議員は国連の参加国が普遍的な人権の擁護に違反している場合に,有意の民主主義国の連合体が行動すべきといっている.

 ミャンマーを国連から追放することはシンボリックな行為でしかないのだが,しかし世界が軍事政権が国民を飢餓や病益で見殺しにするのを見ているままで何も出来無いよりはよい.
 国連は何も出来ないとしても,せめて自分の自尊心を守るべきだ.

 ――――――

 ごく稀に,しかし必要な場合に,こういうことを超明瞭に書くところがWSJ.

ニュース極東板


 【質問】
 ミャンマー軍事政権当局による,被災者援助は行われているのか?

 【回答】
 有効な援助は行っていない模様.

http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/JE17Ae01.html
及び
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1807334,00.html
によれば,軍政当局は,国連や欧米諸国からの援助はほんの少ししか受け入れようとせず,しかも受け入れた援助は横流ししたり軍にだけ配分したりしているという.
 また,軍政当局は,ミャンマーの国民による援助活動すら,軍を通して行わせようとしているという.
 軍部は,人道的危機ではなく安全保障上の危機に直面しているという認識であり,にわか仕立ての収容所に収容され,外出も外部者との面会も許されていないという.
 しかも,仏教徒たるビルマ族が優先的な援助対象とされており,イラワジ河デルタ地帯で大きな割合を占めているカレン族を迫害する意図が見られるという.

▼ また,アムネスティ・インターナショナルによれば,ミャンマー当局がサイクロン被災者に対し,国軍への加入や労働作業を支援物資の受け取り条件にしていたケースがあったという.
 アムネスティが国際支援組織などから得た情報によると,エヤワディ管区ミャウンミャでは,当局者が被災者に
「(当局のために)働かなければ支援物資はもらえない」
と説明したという.
(時事通信,2008/6/5付)


 【質問】
 「カエル食え」発言とは?

 【回答】
 AFP通信,2008/5/30付によれば,国営紙「ミャンマーの新しい灯(New Light of Myanmar)」が,援助団体批判記事の中で述べたもので,サイクロン被害が最も深刻なイラワジ川デルタ地域(Irrawaddy Delta)での被災者支援について,援助団体が資金拠出と引き換えに同地域に自由に入ろうとしている,などと批判し,
「被災者たちは,魚やカエルを捕獲して食べることもできる.
国際援助団体が支給しているチョコレートバーは不要だ」
と同紙は報じたという.
 報道の自由のないミャンマー軍事政権下では,国営紙の報道は,すなわち軍事政権の見解とイコールだと見ていい.

「パンを食べることができないのなら,ケーキを食べればいいじゃない」
というマリー・アントワネット発言は,逸話だと考えられているが,まさか本当にそれと似たような発言をする政権が現れるとは.


 【質問】
 マン・シャー暗殺事件とは?

 【回答】
 2008/2/14/16:00過ぎ,ミャンマーと国境を接するタイ王国ターク県メーソート郡内の民家内で,カレン民族同盟(KNU)書記長マン・シャーが,屋内に押し入った2人組の男に銃撃され,死亡した事件.
 警察側は,2人組がカレン語で書記長に向かって叫んだ上で銃を発砲している事から,ミャンマー国内で対立する勢力による犯行と見ている.
 ターク県内の情報当局筋によると,KNU内で組織を三分する対立が発生し一部が親政府系の民主カレン仏教徒軍に合流した他,書記長と対立関係にあったKNU傘下の軍事組織の指揮官が,政府側に寝返り自由カレン軍という組織を結成し,その息子が対立する勢力の関係者に暗殺されるという事件が発生していたという.

 詳しくは,「タイ地元新聞を読む」を参照されたし.


 【質問】
 タイ王国ターク県ポップラ郡の隣接地域における戦闘について教えられたし.

 【回答】
 2008/2/14,ポップラ郡と国境を接するミャンマー領内で,反政府系のカレン民族同盟(KNU)軍と政府系の民主カレン仏教徒軍(DKNA)との間で激しい戦闘が展開された模様.
 タイからの報道によると,400人以上と見られる,政府軍の支援を受けたDKNA軍が,KNU側の軍事拠点を包囲して激しく攻撃.
 約1時間に渡る戦闘の末,DKNA側が戦力に劣るKNU軍を敗走させ,拠点を占拠した.
 この戦闘により両派合計で18人の死亡者,24人の負傷者が出たと見られる.

 詳しくは,「タイ地元新聞を読む」を参照されたし.


 【質問】
 Tarpeinダム包囲事件とは?

 【回答】
Chinese Dam Incurs KIO Wrath
によれば,ミャンマー政府電力省と中国企業 China Datang Corporation (CDC) が合意して建設中の二つの水力プロジェクト,240MW Tarpein 1 hydroelectric dam (Momauk Township から6km地点)と,その下流10kmの位置にある,168MW Tarpein 2 で,約束した「ショバ代」の支払いがないのに反発したカチン族の兵士が,プロジェクトを包囲した事件.
 カチン族は既にミャンマー正規軍とは協定を結んでいるが,実際には活動中であり,その後,正規軍の仲介により事件は解決したという.
 【日刊 アジアのエネルギー最前線】,2008/10/3付によれば,所謂私兵が,プロジェクトに対する「税金」を要求して,開発当局がそれに従うという構図は,東南アジアの各地で起こる問題であるという.

 詳しくはそれぞれの記事を参照されたし.


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