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◆日本/自衛隊(JSDF)FAQ目次
東亜FAQ目次


 【link】

「リアリズムと防衛を学ぶ」:「核の傘」を日米間で具体的に協議


 【質問】
 日米原子力協力協定とかの二国間協定について詳細を解説した本ってないでしょうか?
 条約自体は文科省なりどこなりのサイトで入手できるんですが,それだけだとやはり法学や条約なんかをちゃんと勉強してるわけではないので,解釈に自信が無くて…

D.B. in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
1.二国間協定について

 核不拡散上の観点から,実際には非常に細かな技術的な物まで定められているため,ただでさえ複雑怪奇な原子力関係法令の中で原子力従事者の中でも特に難解とされています.
 難易度としては,原子力関係の大学院まで修了して,どのようなことを定めているのかようやく理解できる程度.実務経験が必須,と言えばその難易度を理解していただけるのではないかと考えます.
 少なくとも,国際法を学んだ方でも技術的要素が入るため,素人判断ではまず解釈を間違えるため,何らかの形での学習(実務経験)が必須です.

2.どうやって勉強するのか

(1)ATOMICAを使う方法(ただし現在メンテナンスのため閉鎖中)
 メンテナンス前にwebで公開されていたATOMICAには,これら二国間原子力協定に関する異様に詳しい解説が掲載されていました.
 正直なところ,ここまで解説して良いのか(外務省が特にうるさい分野なので),と思うほど詳細かつ比較的わかりやすい解説ではあったのですが,それでも残念ながら原子力に対する基礎素養(原子力系大学3年生レベル)は必要です.

(2)本職はどのように勉強しているのか
 我々のような極めて限られた,IAEA査察対応を行う必要のある人向けに,特別のセミナー(本職向けのため非常に高額,かつ事実上,関係者以外申し込み不可能)があり,そこでの講義とそこで渡される大変高価な本(B4サイズ400ページ以上!当然,書店で買える本ではない)で勉強することになります.
 ただ,そこでの講義は
「最低限のことはOJTで理解しており,後は整理するだけ」
と言うのが絶対の前提条件ですので,例え原子力プロパーであっても実務経験がなければ,講義の最中何を言っているのか全く理解できず,後々,分厚いテキストを泣きながら読みつづけ,マスターしなければならないことになります.

 これは個人的な感想ですが,原子炉の振る舞いを理解するための「原子炉物理学」は各種教科書もようやく市販されるようになり,それを必要とする人間も,理解している人間も多いことから,微分方程式など数式を駆使する必要は有れども理解はさほど困難ではありません(それでも原子力系で最も難しい教科とされています).
 しかし,こちらの二国間協定他の部分は,ただでさえ法令等で難解な上に,原子力の素養かつその背景に対する深い理解がなければ,全く何を言っているのか,何を目的にこのような区別や取り扱いがされているのか(落とし穴が山ほど有ります),理解できないという二重の困難さが有ることから,原子力系の実務経験がなければ大きな間違いはしないとしても,ほぼ正しい理解は不可能と愚考します.
 残念ながら,それほど難しい物だというのが,両者を知り,実務ベースの経験を積んだことのある数少ない人間の正直な実感です.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 日本が協定違反して核兵器に転用すると,今まで協定に準じて作った原発なり核燃料なりを全部アメリカに返さないといけない……って認識でいいのか?

 【回答】
 正確を期そうとすると,かなり修正が必要ですが,大まかな認識はそれで大丈夫です.
 もう少しだけ詳しくするなら,以下の通りとなります.

「返還要求対象範囲は『日米他二国間原子力協定』にて提供,移転,購入された全ての『物資』.つまり,核燃料物質だけではなく,原子炉の運用に必要な,その他枢要な輸入部品等も対象.」

「その対象は,例えば『米国』から購入した物だけに留まらない.
 『国籍』という特殊な概念が導入されていて,ある一定の条件を満たしていれば,仮に人形峠で産出された国産のウランであっても,『返還』の対象となる.
 このことは殆ど知られていないが,『この仕組みを駆使』することで,日本国内にある核物質(核燃料物質)の『ほぼ全て』が,何らかの形で『日米他二国間原子力協定』の支配下に入る仕組みとなっている.」

「だからこそ,米国は日本にここまでの権限を与えているとも言える.
 この仕組みがなければ,いくら日本が米国の同盟国であったとしても,日本自国内でのウラン濃縮や使用済核燃料の再処理など,日本以外の非核保有国に米国が(公式に)絶対に認めていないことを許すことはない.
<韓国や台湾だけが認められていないわけではない.
 日本だけがその前提条件があるが故に,ようやく特別扱いされている,との理解で差し支えない.」

「すなわち,人形峠があるから,他国から購入できるから良い,という甘い考えは全く通用しない.
 実際に某所がロシアから直接購入した20%濃縮ウランが,日本国内に存在するが,それもその仕組みによって『日米原子力協定』の制約下に入っている.」

「なお,NPTにはそこまで明確な規定がないが,『日米他二国間原子力協定』には『核爆発装置禁止』だけではなく,『平和目的外』つまり『軍用(自衛隊用)』における核燃料物質の使用も,明確に禁止している.
 つまり『日米他二国間原子力協定』の改定無き限り,『軍用舶用炉』への核燃料物質の調達,加工(濃縮役務他含む)が出来ないため,海上自衛隊が原子力潜水艦や原子力空母を持つことすら出来ない.」

「日米原子力協定」(PDFファイル)
の解釈については,実務経験者でないと軽く読み過ごしてしまうところに,とんでもない罠がさりげなく仕掛けられています.
(詳細説明は極めて難解なため省きます)
ので,十分に注意願います.

 以上,ご参考まで.

2010年10月23日 22:31,へぼ担当

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
※「週刊オブイェクト」からセルフ転載
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何故イギリスやフランスは核武装が上手くいったのに,日本は核武装が難しいんですか?
 ウランや核燃料の供給をストップされる恐れもあるし,自国でウランを産出しない国は,核武装のハードルが極めて高いんですか?

 【回答】
 手遅れだから.

「やべえ,核とか超危険じゃん.勝手に持てないようにしたほうがいいよ」
という,核に対する警戒的な世論が形成された結果,新たに核を持つことに対するハードルは上がった.
 日本にはわざわざこのハイリスクなハードルに挑戦するほどの,核武装によるメリットが存在しない.
 なので核武装することによる利益が差し引きマイナスなので,当然核武装はできない.

 イギリスやフランスが核武装したのは,国際世論がそうなるより前だからね.

戦争・国防板,2009/07/31(金)
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 日本は安定した民主主義国家であり,法治国家であり,核兵器の管理能力も十分ある.
 世界で唯一の被爆国だからこそ,3度目の被爆を避けるため,核を持つ資格があるはずだ!

 …そう言って世界に認めさせるのだ.

小林よしのり in 『SAPIO』 2006/12/27 & 2007/1/4合併号,p.73

 【事実】
 はて?
 いわゆる郵政選挙で小泉自民党が圧勝したときは,「民主主義は死んだ」みたいなこと言っていませんでしたかね?
 気のせいでしたかね?

 仮にそのことを置いても,日本の核武装宣言はNPT体制の否定になりますから,認められることは100%ないでしょう.

 特に
>被爆を避けるため,核を持つ資格があるはずだ!
という論理は絶対に認められないでしょう.
 なぜならイランもパキスタンもほぼ同じ論理で,核武装を進めている(または,進めていると思われている)ので.

 現実的に考えても,防諜のためのロクな法整備がされていない日本で核武装をすると,その情報が漏れに漏れ,核武装したがっている国々を喜ばせるだけなので,2009年現在,そういう本音の部分でも,主要国はこぞって反対に回るでしょう.

 過去への同情心に訴えれば核武装できる!なんて考えるのは甘ちゃんだけ.

小林よしのりの核武装論は,要するにこれと一緒


 【珍説】
 この危機にあって,核兵器の関連条約や法規制を死守して,国を滅ぼすことなど,薄ら馬鹿の所業!
 いじめられて,自殺することで注目されようとする「戦闘能力の一切ない」子供の類なり!

小林よしのり in 『SAPIO』 2006/12/27 & 2007/1/4合併号,p.74

 【事実】
 前提からして誤りです.
 核武装反対論は,一部のお花畑的平和主義者は別にして,「条約・法規制の死守」といった教条的なものからではなく,メリット・デメリットを勘案した上での結論ですので.
 北韓に無闇に脅え,安易な結論に飛びつき,国を滅ぼすことになりかねない選択をすることなどは,非論理的な所業ですね.


 【質問】
 極東のSS20クライシスとは?

 【回答】
 1987年12月,INF締結の際,米国はソ連に対し,ウラル山脈以東の極東ソ連領に,SS20を100基残してもよいと妥協しそうになった.
 しかし,この妥協は日本の安全保障上の国益を損なうものだと判断した中曽根首相は,極東のSS20も例外なく廃棄させるよう,レーガン大統領に対して強く要請.
 レーガンはこの要請を受け入れて,米ソ双方が極東の分も含めてIRBMを全廃することとなった.

 詳しくは佐々淳行著『危機管理宰相論』(文芸春秋,1995.12.15),p.103-104を参照されたし.


 【質問】
「IAEAの追加議定書(2005年)で日本を『統合保護措置適用国』に認定した.これは国内法による自主査察を信頼し,IAEAの査察を大幅に削減,つまり『手抜き』をしようというものだった」と述べている(吉田康彦『北朝鮮核実験に続くもの』第三書館P.160)
とのことですが,そもそも「手抜き」という表現が妥当なのかどうなのか,調べようとしましたが,「手抜き」かどうかは主観に左右される上,ネット上で頼りになりそうな文献が,
http://old.kokai-gen.org/information/9_3-2.html
くらいしかなかったので挫折.

 教えて,エロイ人!

消印所沢 in mixi,2009年08月23日20:44

 【回答】
 召還魔法かけられますたので,以下簡単に.

 この「統合保障措置」(注:統合「保護」措置は誤字)に関する解説は
上記「最近の我が国における保障措置の実施状況」
http://old.kokai-gen.org/information/9_3-2.html
そのものずばりのものであり,以下の通り,非常に良くまとまっています.
「統合保障措置とは,IAEAが保障措置活動を実施する上で,利用可能な資源の範囲内で最大の有効性及び効率を達成するために,包括的保障措置協定及び追加議定書に基づきIAEAが利用できる全ての保障措置実施手段を最適な形に組み合わせたもの.」
であり,
「従来の保障措置(包括的保障措置)と追加議定書による保障措置を最適な形で組み合わせ,最大限の有効性と効率を目指す」
ものです.

 そのためには
「従来の包括的保障措置に加え,「未申告の核物質・原子力活動は存在しない」との追加議定書,の結論が得られることが条件」
となっています.

 つまり,日本の場合,米国の意向はともかくとして――吉田氏の論説はこの点バイアスがかかっているため,鵜呑みは禁物――,先の
「(日本国内では)未申告の核物質・原子力活動は存在しない」
ということが国際的に認められたことによって,従来の日本のような国と所謂「疑惑国」との間で差がない「ほぼ一律な査察」ではなく,有限なIAEAの人的・物的資源,能力を「疑惑国への査察に重点配置」するなど,
「メリハリを付けましょう」
となったわけです.

 とはいえ,日本でも全く免除というわけではなく,査察による担保を維持・確保するためにも,「従来のルーチン的(≒定期的)な査察」ではなく,一部「抜き打ちによる査察」を採用する(この点は細かな条件がありますが,詳細は省略します)など,セレモニー的な要素を廃してIAEAの負担を減らすと同時に,実効性を上げる方法が採られているわけです.

 まあ,「二重基準」とか「手抜き」とか,そのような印象論について論評する立場にはありませんが,この「統合保障措置」導入(受け入れ)に関わった立場からすれば,「そのような生やさしい物ではない」というのが偽らざる本音.
 個人的には,吉田氏の論説にはいくら分かりやすさを優先させたとしても,大きな違和感(不快感)を感じるというのが正直なところです.

 一言付け加えさせていただくとすれば,もし「統合保障措置」導入がうらやましかったり,ねたましかったり,「二重基準」とか「手抜き」等と感じられるのであれば,当該諸国においても「統合保障措置」導入が認められるように,一刻も早く
「(当該諸国では)未申告の核物質・原子力活動は存在しない」
とのお墨付きを取り付けるべく,徹底的な透明性を確保するのが先であると指摘したいと考えます.
 それこそがIAEA査察の目的であることを忘れてはならず,それなしに不平不満を表明されても,
「では国際的に信用されるまで徹底的にやります」
と言われるのがオチであり,後ろめたいことがある国においては,それ以前の段階で止まってしまうことを指摘するとともに,厳しく批判したいところです.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in mixi,2009年08月23日 21:51

【ぐんじさんぎょう】,2009/8/24 21:00
の原型


 【質問】
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20080908/1220832080
>ちょっとぶっち切れそうになるけど,それを日本が言う欺瞞
>にもう耐えられないよ.NPTとIAEAをダシにしてというか実際
>上カネで買収して,イスラエルに並ぶ潜在的核保有国の名誉
>(皮肉だよ)を得てきた日本がまだこれを言っているのか.
>日本は世界の核廃棄に向けて実際のところなにをやってきたのか.
>左派は米国の核を非難しながらソ連核には目を隠し,そして今
>では中国の核問題に目を向けない.あるいはそれをいわゆる右
>派や嫌中だけに担わせている.

 日本がNPTとIAEAをカネで買収したという事実,あるいはそれに類する噂話などはあるのでしょうか?

JSF

 【回答】
 国連の関連組織なら,日本の金が無いとこ動かなくなりそうなとこは結構ありそうな気もしますけど.
 国連からして日本が予算出し渋って,大騒ぎになったような記憶が.

 でも,賄賂とは違いますよねえ?

戸国梨

 現場の人間からすると「与太話」の一言に尽きますね.
 逆に信頼されているからこそ,ここまでに至ったわけで.
 今まで一生懸命積み上げてきた信頼をなんだと思っているのか,と言いたくも成りますが,そのようなうがった見方をする人(大勢いますが)には無駄でしょう.
 残念なことですが,そのような思いは何度もさせられていますから,こちらも慣れた物です.
<本当は慣れてはいけないのですが(汗).

へぼ担当

 おそらくその「買収」の話は,イラク査察のときの体たらくから,勝手に憶測しただけではないかと.

 ブリクスの査察は,ブッシュ政権の見方によれば駄目な仕事の典型で,
・ブッシュが思い描いていたような無制限の苛烈な査察は行われておらず,
・全てを報告しておらず,やっていると称していることもすべてやっているわけではなく,
・情報源の安全を図るようなことは何もしておらず,
・あげくに査察の最中,ブリクスはクリスマス休暇を取ってしまう
という有様.
(ボブ・ウッドワード著『攻撃計画』より)

 それらと,いわゆる「人道のための石油輸出」プログラムに関わる国連贈収賄疑惑や,例の元査察官スコット・リッターへの贈賄疑惑などの情報が,曖昧な形で混同され,そしておそらくは何人かの又聞きを経れば,
「IAEA贈収賄」
という希望的(?)観測に結実しても無理はないでしょう.

消印所沢

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より


 【質問】
 北朝鮮が核実験を行えば,日本もNPT(核拡散防止条約)も脱退せずとも,国際社会の批判を浴びることなく核武装可能である,みたいな話を聞いた事があるんですが…….

 【回答】
 アメリカが日本の核武装にOKを出す=日本への核の傘が綻んでいることを認める
ということですから,まずあり得ないことと思われます.
 そうなると日本以外でも,大量破壊兵器の脅威がある国が,こぞって(というと大げさになりますが)核武装を要求しかねません.
 そして,それを認めない理由というのが,極めて薄弱になるからです.


 【珍説】
 国民の一人一人が,
「いざとなれば戦争も辞さない!」
…という覚悟などさらさらないくせに,
「北朝鮮に強硬手段を!」
…と言っている.
 わしには異様な光景に映る.

 ならば自ら「市民・シチズン」となって,「徴兵制」を実施しようとは誰も言っていない.

 日本も「核武装」して抑止しようとは,誰も言っていない.

 ただちに自衛隊を「軍隊」にして,盾と矛の両面を揃えよう,最悪の場合は,日本単独での「自主防衛」しかありえない,という当たり前の自立心すら芽生えない.

 ただ「日米同盟」が日本の生命線と構えるのがリアリズムだと,「リアリズム」という「保身主義」の中に逃げ込んで,国民の「戦意」を封じ込めている.

(小林よしのり「戦争論3」,幻冬舎,2003/7/25, p.304)

 徴兵制とか核武装っていうのは一例であって,要は
「本気で対処しようとしてねえんじゃねえの? 真面目にやれゴルァ!」
ってことなんだと思うが…

 【事実】
 「対処する」ってのは,「何らかの手段を取る」って事なんですよ.
 「一例であって」とあるが,大義やらやる気やらより「実際にどのような手段を取るか」が問題のわけ(まあ,小林はここを理解できていないだろうが)
 徴兵制は,日本の防衛力強化にとってはトータルでマイナス.
 核武装は・・・略.

 文脈的には,徴兵制・核武装は一例でなく具体的な手段という主張に読めるが.

(キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板)

 だいたい,「北韓に対して強硬に望め」という主張は,これまで
「拉致被害者は帰って来ず,援助金・援助米だけ毟り取られ損」
という状況がずっと続いてきた政府の外交への批判であって,なんでここに戦争を持ち出して来るのか,ワケワカラン.
 それに,経済制裁・北韓への送金停止など,他の手段でも強硬策は発動できる状況下にあって,なんでわざわざ戦争が必要ですか?

 ちなみに小林は,古賀誠と懇意(SAPIO 2003/5/28)のようだが,古賀=野中ラインは,日本政府の対北韓「太陽政策」の戦犯.
「あんたの融和政策では,拉致被害者はただの一人も帰ってこなかったが,とられ損の援助米についてはどう考えているんだ?」
と何で聞かないのかな?

 最後の1行に至っては,
「なんで戦意を封じ込めていることになるんだ?」
「日米同盟が嫌なら対案は? 絵空事でしかない『自主防衛』※以外の対案は?」
と聞きたいとこなんだが.
 保身主義とレッテルを貼って現実を否定し,かつ,実現可能な代案も示さないのは,かつて小林が批判した(戦争論1),非武装中立を掲げる空想平和論者と何ら変わらない.

 小林のこのような主張が仮に日本の世論の主流となったとしたら,それで得をするのは北韓だけだろう.

 ※集団安全保障関連の諸項目参照.

    〃〃∩  _, ,_      日本は自立シテナイ
     ⊂⌒( `Д´)             シテナイ
       `ヽ_つ ⊂ノ               シテナイ
              ジタバタ
         _, ,_
     〃〃(`Д´ ∩ < 日本もフランスみたいに自主防衛するんだ
        ⊂   (
          ヽ∩ つ  ジタバタ
    〃〃∩  _, ,_
     ⊂⌒( つД´) < 核と空母も持つんだ
       `ヽ_ ノ ⊂ノ
              ジタバタ
       ∩
     ⊂⌒(  _, ,_) < SSBNと軍事衛星もホスィ…
       `ヽ_つ ⊂ノ
              ヒック...ヒック..
     ⊂⌒(  _, ,_) 
       `ヽ_つ ⊂ノ  zzz…



 【珍説】
 その手段とやらも何をやりたいか,目的あっての手段だと思うが.
 軍隊だって,国家防衛っていう目的があるから存在しているわけであって.
 それに,普通何かやる時ってのはトップダウンでやるっしょ.
 【事実】
 彼が手段として徴兵制,核武装,日本単独自主防衛を主張してるのです.
 目的はともかく,彼の挙げる手段がDQNなのですよ.国益としてマイナスだろうし.
>軍隊だって,国家防衛っていう目的があるから存在しているわけであって.
>それに,普通何かやる時ってのはトップダウンでやるっしょ.

 この部分は何を主張したいのか理解しがたいが,小林の言う事は手段がDQNでも,実際はそうならないから,彼の主張を評価しろという事でつか??????

キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板



 【珍説】
 似たような言葉があったら採用するっていうか,プレゼンの手法だろそれは.
 例えば予備自衛官の増強…とか言っても,一般人には共通の言葉になっていないんだから,物凄く通じにくいと思うんだけどな.
 【事実】
 理解されにくいから,現実的な事を挙げないで,というのは,「理解されにくい」という言い訳で最初から逃げている.
 本来なら,主張したい意見をわかりやすくする努力をすべきだ.

 「徴兵制」「核武装」「日米安保破棄で自主防衛」
 これは小林のかなり本気の意見のようだが(他の部分も見ているとね).

キルロイ ◆dtIofpVHHg in 軍事板


 【質問】
 日本の核武装推進論者は,アメリカに核武装を黙認される根拠に,インドを引き合いに出してるんですよね.
 インドは核武装したけど,今はアメリカと仲良しだぞ,とか.
 他には,北朝鮮は核開発してたのに援助まで貰ってた,だから大丈夫だ等.
 経済制裁は資源とかを輸入する方がダメージがでかいと思うんですが,そう言うと,
「制裁される根拠は何?」
とか
「制裁側のがダメージが多いし,そんな損をしてまで制裁するわけない」
と言い張るんですよね.
 だから結局堂々巡りになっちゃうわけで.

 【回答】
 そういう人たちは,自分の中にある結論が現実より優先されるから,論破とか試みず,生暖かい眼差しで見守るぐらいで丁度いいと思われ.
 まあそれはそれとして,軽く解説しておくなら,

>アメリカに核武装を黙認される根拠にインドを引き合いに出してるんですよね

 こういう場合,日本とインドが置かれている状況を見比べてみると分かりやすい.
 まず,インドは核拡散防止条約に加入したことはない.
 その上,広大な国土とかなりの食料生産能力とエネルギー資源をもち,国民の平均的な生活水準も日本ほど近代化されてはないために,経済制裁されても自給自足で,ある程度の国力を維持できる特異な国なわけで.

 またその隣のパキスタンもNPTに未加入な上,インドに対抗できるなら国民の生活水準を度外視できるという,かなり特殊な価値観をもつ国家だから,これまた核武装が可能だった.

>制裁される根拠は何?

 核拡散防止条約が根拠じゃ不満なのかな?
 日本が暴走して核武装を表明したら,安保理決議や総会決議ももれなくついてくるだろうし,そうしたら食料買い付けに極めて深刻な障害になるのは目に見えてるけど.

>制裁側のがダメージが多いしそんな損をしてまで制裁するわけない

 「制裁するメリット>制裁しない時のデメリット」なら,痛みがあろうが制裁はされるよ.
 それに制裁を検討した時点で,日本にとって非常に厄介なカードになる.

 つうかね,日本核武装論ってのは,そもそも手段であるはずの核保有が目的になってる時点で滑稽なのよ.
 アメリカの核の傘が信用できないから核を持ちたいんじゃなくて,核を持ちたいからアメリカの核の傘を信用できない事にしようってのが分かりやすすぎて,呆れを通り越してちょっと悲しくなってくる.

戦争・国防板,2009/03/28(土)
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 核保有国である印パは,それほど国際関係悪化してない.よって必ずしも核保有は国際的反感を買うことを意味しない.

▼――――――
 NPT体制から脱退したら,今の北朝鮮と同じように経済制裁を受けるという話は,ウソもウソ,大嘘である.
 中国とて日本経済なしでは自国の崩壊に直結する.
 インドやパキスタンやイスラエルもアメリカは核保有を認めたのだ.

――――――小林よしのり in 『SAPIO』 2006/12/27 & 2007/1/4合併号,p.73▲

 【事実】
・インドは核クラブの一員.
・パキスタンは,核実験によって受けた経済制裁でメチャメチャな大不況に陥ったことを知らんのかと .

 それに,そんな発展途上国と日本を比べてもなぁ.
 一人当たりの国民総生産,片方は470ドル国,もう片方は32350ドルの国.
 第一次産業従事者が全労働者の半数を占める国と,10%にも満たない国.
 工業水準やら海外への依存度やら国民の生活水準がまるで違う国なんだよ.
 印パは経済封鎖されたところで,経済が崩壊するほどレベルの高い国ではないわけだ.もとから国民が飢えていて,最低限度の生活をしているような国なんだから.
 そんな国に経済封鎖しかけても仕方があるまい? だから制裁がゆるかった.

 さて,日本場合はそれとは違って経済封鎖は致命的なダメージになる.
 こんな有効な手を,諸外国が使わない理由は見つからないからな.

 逆に言えば,国民の年間平均所得が500ドル以下の印パくらいのレベルまで日本が後退するか,あるいは明治時代以前に逆戻りしてもいいのなら,核武装は可能ってことになる.
 国民がそれを許容するかどうかは,別問題だが.

 ちなみに,仮に日本が核武装するよんってジェスチャー起したところで,
「だったら経済封鎖しますが何か? テメェの国の石油はどこから来ると思ってる? 食料自給率はいくつよ? あ?」
て脅されただけで,「堪忍してつかぁさい」って内閣が総辞職するか,不信任決議を採択してケリがつくだろ.

▼> インドやパキスタンやイスラエルもアメリカは核保有を認めたのだ.

 インドだけだよ.▲



83名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2006/01/09(月)04:35:45ID:???

 質問者は,米さえ自給できればなんとかなるとでも思ってるんだろうなあ.

 【質問】
 質問です,日本の核武装について某所にて議論しているのですが,核武装した場合の日本への経済制裁の可能性について,
「日本のGDPは 世界の8%くらいを占めている」
「日本の経済力を考えたらそれは無い」
「(例えば石油の場合,)世界屈指の輸入国である日本が石油を買わなかったら,石油の価格は暴落するから,そんな事は出来ない」
 だから日本を経済封鎖する事は出来ない,と言うのです.
 どうなんですかね?

 また,
「日本の経済力の凄さの一番の事実は 国債の金利が世界一低い事.
 対外純資産が200兆円を突破している事 
 ちなみに2007年の対外,純資産は180兆円くらい.
 あの リーマンショックのさなかに 対外純資産を増やしているのですよ」
と言っていますが,これって経済制裁できない理由になるのですか?

鉄底海峡,2009年08月14日 23:49

 【回答】
>「(例えば石油の場合)世界屈指の輸入国である日本が石油を買わなかったら,石油の価格は暴落するからそんな事は出来ない」

 生産調整を行えばよい話.
 よって,この点は問題になりません.
 どうせ,経済制裁が行われるまでに時間がかかるんですから.その間に産油国に対して根回しを行えば,可能です.

 他の理由についてはわかりません.

 ただし,これを言っている人間が勘違いしているのは,『いきなり全面制裁(封鎖)が行われる』としているところです.
 最初に行われるのは『ウラン資源の輸入停止』です.問答無用です.
 他にも細かいことで,色々と制約を課してくるでしょう.

 その状況がぐだぐだと長引けば,日本の経済的地位は相対的に下がって行き,その他の「経済力云々」という状況そのものが消えうせるでしょう.

ゆきかぜまる,2009年08月15日 00:22

 日本では,年間約1000tの使用済み燃料が発生しています.
 てことは単純に考えても,年間約1000tの新しい燃料(主に低濃縮ウラン)が必要なわけで.

 低濃縮ウランに加えて,MOX燃料までを算定に入れても,国内備蓄だけでどれだけもつのかなぁ,と.
 一年くらいで核兵器どころか,発電用燃料まで事欠くようになると思うんだが.

極東の名無し三等兵,2009年08月15日 00:59

 経済的地位の前に,今まで地道に積み上げてきた国際的地位がが,きれいさっぱりすっ飛びますよね.
 対外的に総スカンを食らった貿易国が,何時まで経済的地位を確保し続けられるか,逆に興味深いですねー.

seld,2009年08月15日 00:38

 以前,北朝鮮が初の核実験を行って,「日本も核武装の論議をすべきだ」という話が議員から出たとき,アメリカからライスが慌てて日本に駆けつけて
「大丈夫だからっ! 日本はアメリカの核の傘で守るからっ!」
とアピールしていましたね.
 中国も子分の北朝鮮に
「日本が核武装するとか言い始めただろうが,ボケが!」
とお説教を垂れてた.

 日本の「核戦略」とは,まさにそれではないかと思います.
 つまり核武装を行う技術力の下地は持っていても研究はせず,経済的な恩恵のみを享受しつつ,「研究しちゃおっかなー」とボソっと呟くことによって,影響力を発揮すると.

 現状では最も低コストかつ国状にあった方針だと思うんですが,2chなどで見かける核武装論は,「とにかく核を持つこと」だけが目的と化しているようで,耳を傾けたくなるものではありません.

 米ロ中その他のように,持っていて「持っている」と公言する核戦略もあれば,イスラエルのように持っていても公言しない核戦略もあり,また同時に「持っちゃおうかなー」と呟くだけの核戦略もあると思うんですが,どうも「持つ・持たない」の二元論でしか考えられない人が多いみたいです.

Tono,2009年08月15日 11:33

 Tonoさんが仰った通りかと考えます.

 まあ,
「日本国政府に明示的な『核戦略』があるかどうかは不明」
としておきますが,少なくとも明確に原子力関連については
・原子力の平和利用を推進し,核燃料サイクルの輪を完結させる.
・核廃絶,不拡散推進の立場をとる.
と言うことで,
「『非核保有国ではほぼ日本1国にしかない,』高度な原子力・核関連技術及び設備」
を保有しながら,
「核開発の意志・兆候なし」
とIAEA他からようやく認められるに至っています.
 逆に言えば,だからこそここまで来ることが出来たわけであり,それを自らぶちこわす真似は賢明とは言えないでしょう.

 一方,その努力を怠り,ケンチャナヨでその場しのぎの対応でやりすごすばかりの某国は,再処理・ウラン濃縮他機微な技術の保有が許されていません.
 また,当該国籍の人間も某所の見学からは排除されるなど,詳細はガイドライン他機微情報に抵触するため,お話しできませんが,その点は日本国内でも徹底しています.
 そのため,某国は日本と比べて差別されているなどと言い立てているのですが,米国などから全く相手にされておらず,宇宙ロケットですら米国技術を導入できずにロシアから金をふんだくられているところ.

 まあ,外交世界は弱肉強食とは言いますが,その前に自らの行いを正すのが先だろうと,小一時間(以下略).

 ここまでの工業力・技術力を導入し,維持,開発していくのには莫大なコストと労力,そして一貫した政策が不可欠です.
 しかし,その点を軽視されている方が2ちゃんは論外としても,一般の方でもあまりにも多く,私たちのような従事者は何とも言いかねるところです.

 また一応,私自身は「核不拡散・保障措置・核セキュリティ連絡会(略称:核不拡散連絡会など)」というものに参加しています.
 こちらの方は「どうすれば○○○できるか」と言うことを知り尽くした上で,その上で
「そのような疑惑を持たれないためにはどうしたらよいか」
ということを議論し,実践しているのであり,生半可な分野ではない,と言うことも付記しておきます.
 この点,もし必要でしたらお話ししますが,専門用語だけではなく難解な概念を理解するのが必須となりますので,当該分野「大学院修士修了+実務経験5年以上」レベルは必須といった具合ですので,その点ご覚悟いただければと思います.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当,2009年08月15日 12:52

 そりゃまあ,インド,パキスタン,北朝鮮といった弱小国家でもそれなりに核武装できてるんで,技術的に可能かどうかといわれれば日本も核武装はできるでしょうなあ.

 ただまあ,こういう国々は民意を無視できる独裁国家であったり,失うものが何もない貧乏国家であったりするわけで,日本の場合,得るものに比べて失うものがあまりにも大きすぎるために,とてもじゃないけど核武装するのはありえない,ということになるのでしょう.

 日本の核抑止は米国頼みなので,米国が提供する核の傘が誰の目にも明らかなほど役に立たないということになったら,背に腹は変えられないので,自前で核武装を目指すことはあるかもしれないですが.

バグってハニー,2009年08月15日 13:40

 アメリカの核の傘の恩恵を受けつつ,アメリカがその傘を外そうとしたら,すぐにでも核武装出来る体制で十分かとは思います.
 アメリカにとって日本の核武装ほどして欲しくない事はありません.
 イギリスとかが核武装したので,調子に乗ってフランスの核武装を許した経緯がありますからね.

トランスフォーマー7,2009年08月15日 15:30

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分

 ※ ただし「日本の核武装容認論者」がアメリカに徐々に増えてきているとする報道もある.



 【質問】
 少なくとも核兵器用の核物質には困らないのでは?
 未精製ですが,プルトニウムは腐るほどありますから.

東部戦線,2009年08月15日 01:19

 腐るほどとはいいませんが,分離プルトニウムもだいぶあります.
 経済制裁とは関係ない話ですが.

我が国のプルトニウム管理状況(原子力公開資料センター)
http://kokai-gen.org/html/data/40/4070100001/4070100001-36.pdf

東部戦線,2009年08月15日 02:41

 【回答】
 未精錬…… ってのは使用済み燃料の中のプルトニウムって意味ですよね.
 そのプルトニウムは,核分裂性核種を七割程度しか含んでいないので,核兵器への転用は困難ですよ.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/04/04090101/03.gif

 絶対無理とは言いませんが,兵器としてマトモな信頼性を与えるのは,無理だろうね.

極東の名無し三等兵,2009年08月15日 01:58

>腐るほどとはいいませんが,分離プルトニウムもだいぶあります.

 いや,これ.Pu239とその他Puが一緒になっているでしょ.
 核兵器には使えませんよ.

ゆきかぜまる,2009年08月15日 02:48

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 プルトニウム生産炉としては,黒鉛減速炉のほうが主流で構造も運用も簡単ですよ.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-04-11-04

 既に発電を停止した東海発電所のGCRなんか,ほぼそのままプルトニウム生産に使えるのではなかろうか?
 でも,使用済み燃料の処理に関してイギリスのヒモ付きだったっけ?

極東の名無し三等兵 in FAQ BBS,2009年7月2日(木) 22時18分
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 そうです.
 イギリスで再処理されていました.
 東海村にも規模はあまり大きくありませんが再処理工場はありますので全てイギリスにまかせていたわけではないと思いましたが.

90式改 in FAQ BBS,2009年7月3日(金) 17時55分
青文字:加筆改修部分

> 使用済み燃料の処理に関してイギリスのヒモ付き

 現在の原子力二国間協定にて,「ヒモ付き」でない核燃料は,日本国内にはほぼ皆無のはず.
 少なくとも私自身は承知していません.
 詳しくは核燃料の国籍管理(または原子力二国間協定)について,検索していただければと考えます.

> 全てイギリスにまかせていたわけではない

 現日本原子力研究開発機構再処理技術開発センター(旧動燃東海再処理工場)
http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/tokai/center/saishori/
は,軽水炉――ATRは例外――のウラン酸化物燃料の再処理を行うものであり,GCRのような金属ウラン燃料(この場合マグノックス燃料)の再処理実績はありません.

参照データ:東海再処理工場における使用済燃料の年度別受入量
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/04/04070306/01.gif

 これは再処理全工程中のうち,両者の間では前処理が異なるので,設備的な対応を行わなければ受け入れ不能のためです.
 他詳細は「東海再処理工場 (04-07-03-06) - ATOMICA -」
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=04-07-03-06
を参照願います.

 なお,実験室レベルのお話はありますが,これは別のお話ですので,ここでは省略します.

 ちなみにフランスも自国分の処理を済ませた後は,軽水炉燃料処理を行うために大規模な改修を行っています.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in FAQ BBS,2009年7月4日(土) 1時22分
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 アメリカが,日本のためにワシントンやカリフォルニアを核の危険に晒すとは思えないんだけど?

 【回答】
 思えないのはあなたの勝手.
 日本が核攻撃に晒されるということは,多数の在日米人も死ぬこともお忘れなく.
 その中にはもちろん在日米軍の基地も含まれてるでしょう.

 私は,アメリカが「核の傘」の信用を台無しにすることの方がよほど信じられません.
 下手すりゃアメリカが崩壊しますよ.

 アメリカは同盟国の核の危機に対して核で応える.少なくとも核同等の攻撃で応える.
 これを怠った場合,アメリカはすべての同盟国の信用=基地,情報提供を失います.
 中国の対米核戦力の脆弱さ(まともな戦略原潜がない)を考えると,アメリカは自身の安全のために核攻撃を行います(少なくとも限局的に.つまり中国の核戦力を消滅させる程度に).

 まともな核戦力は一国を破壊できます.
 一国を破壊するのは他国を破壊するかもしれません.
 だから核戦力を行使するものは,世界を相手にすることになるのです.

 ま,なんてーか,冷戦時代が終わって,核爆弾が単なるでかい爆弾にしか見えない,おめでてー奴らが増えたってことなんでしょうな.
 ある意味,めでたい.


 【珍説】
≪“核の傘”頼みでは限界も≫
 〔略〕
 大事なのは「日本はアメリカの“核の傘”によって守られている」という話をおおよそ虚偽と見定めておくことだ.IC(大陸間)やSL(潜航)のBM(弾道ミサイル)の下では,アメリカ本土が核攻撃の危険にさらされる.
 アメリカが,その恐怖を乗り越えて,日本のために報復の核攻撃を(日米共同の敵国に)加えてくれるはずがない.

 「核の傘」のみならず,アメリカが売り込み中の「迎撃ミサイル」についても,斯界(しかい)では,その性能はきわめて低いといわれている.
 そうならば,非核保有国にとどまるかぎり,わが国は(核抑止を含めて)戦争抑止の強い力量を手にすることができない.それゆえ自主防衛の姿勢も腰砕けに終わることになる.

西部邁 in 産経新聞,2006/10/06/05:00

 【事実】
 核攻撃をしてくれないかもしれない.しかし,してくれるかもしれない.
 核の傘の下での核抑止力というのは,まさにこの後者の「してくれるかもしれない」に依っているんですけどね.
 およそ国家や国軍の指導者というのは,最悪の事態を想定して戦略を決定しますから,「核で報復されるかもしれない」場合,「核攻撃がある」という想定をします.核攻撃の破壊力は大きいので,核攻撃があるかもしれないことを無視しようにも無視できないからです(この「無視しようにも無視できない」ことが,イラクが大量破壊兵器を持っているかどうかあやふやなまま,イラク戦争をアメリカが開始した理由にもなっています.
 これは国家指導者をして,攻撃指令をためらわせるには十分です.十分に「抑止」しているわけですね.

 もちろん,これは100%確実なものではありません.その意味では「限界がある」のは確かです.
 自前で核を保有すれば,確実性は上がるでしょう.
 しかしその対価として,核保有に伴う様々なリスクを考えると,「ほどほどの抑止力」で良い,というのが日本の選択なのです.

 MDについては別項参照.西部が述べているのは,一方の側の意見でしかありません.



 【珍説】
 ≪“非核二原則”は亡国の策≫
 このこと〔上記珍説〕をとうに承知しているアメリカは,「日本はアメリカのプロテクトレート(保護領)になるしかないし,自衛隊も極東米軍のツール(道具)にすぎない」と見通している.実際,Z・ブレジンスキー(という国際政治学の泰斗)がそのように公言している.
 大方の日本人もそれに呼応して,国家の「自尊と自立」を失ってでも「安全と生存」のために「日米同盟を強化せよ」と言いつのる.
 しかし,「核問題」を見据えれば,この非核列島がアメリカのテリトリー(准州つまり「投票権なき州」)になるまでは,列島人の「安全と生存」は危殆(きたい)に瀕(ひん)したままとわかる.そうと知ってアメリカは−学界はいざ知らず政府では−わが国の核武装に反対してきた.NPTもその趣旨で発案された.
 非核保有国が「同盟」とやらを防衛の最後の拠(よ)り所にするのは,その国を准州に赴かせる道だ.戦後日本を律してきたのは“非核二原則”であったといってもよい.アメリカの利益のために核を「持ち込ませ」ても,日本の利益のために核を「持ったり作ったり」することはしない,というわけだ.こんな亡国の防衛論がなぜ罷(まか)り通るのか.
 それは対米大敗戦の(すでに潜在的意識に沈んだ)トラウマと深く関係している.「自主防衛が可能なのはアメリカだけだ」とか,「世界はアメリカの一極支配に向かっている」とかいった対米恐怖に根差す世界観が日本を対米属国たらしめてきた.

西部邁 in 産経新聞,2006/10/06/05:00

 【事実】
 ブレジンスキーが何を言ったか知りませんが,出典も明らかでないのでは,検討・吟味もできませんな.

 そもそも,国際政治学者が全てそのような見解で一致しているわけでもないし.
 冷戦時代にアメリカの核の傘に頼っていた西欧諸国が,事実上アメリカの属領だったかと言えば,とてもそうは見えないし.

 西部の言う通りだったという実例でも挙げてもらわんことには,ねえ…….

 それから,

>国家の「自尊と自立」を失ってでも「安全と生存」のために「日米同盟を強化せよ」と言いつ

っている人なんて,見たことないんですが,具体的に誰のどのような記述を指しているのか,言えるものなら言ってくれませんかね? 誤読臭がものすごーく漂っているんですが.

 同様に,

>「自主防衛が可能なのはアメリカだけだ」



>「世界はアメリカの一極支配に向かっている」

と言っている人の具体例もよろしく.

 脳内にしか存在しない「人物」を論破しても,現実世界には何らの影響も与えませんので,そこんとこよろしく.

 【質問】
 密約の存在を認めたことは,日米安保体制に影響を与えるでしょうか?

 【回答】
 アメリカ側にその意思は皆無.
 日本政府が何らかのアクションを起こせば可能性はあるが,現時点で日本側にもその意思はない.

 民間がなんぼグダグダ言っても,政府間の約束である安保体制に影響はない.
 あんだけ大反対が起きた安保改定も結局強行されたろ?
 政府が明確な意思をもって行動するとき,民意はしばしば無視される.
 また,そうでなければならない.
 政治とは大衆への迎合ではないからだ.

 核密約自体については既に米側で公開されており(1970年代の米議会証言などで明らかになっていた),新聞が政府を突く道具めいたものに冷戦末期の頃などなっていた.
 今回の問題の本質は,そうであるにもかかわらず日本側がいじいじといつまでも認めなかったこと.
 三十年が長いか短いかの議論は別にして,アメリカは存在の有無自体はほぼ完全にオープンにするよ.
 中身については,JFK絡みの文書が相変わらず黒塗り解除延期を繰り返しているように,個々に精査するけどね.
 ありやなしやまでは隠さない.
 アメリカが公文書を公開して明らかになったのに,自民党政権と外務省がひっこみがつかなくなってないと言い張ってただけ.
 アメリカにとっては,もう済んだ話.

 これを機に日本に三十年期限での公文書公開ルールが定まり,文書保存が定着すれば,日米をはじめとする外交面を跡付け,正確な理解をすることが可能となる.
 一方,政府・外務省がこれまで公開してこなかった点については,唯一の核兵器被害国としての核についての外交を進める上での兼ね合いが恐らくはあったと思われる.
 核の傘の下にありながら核廃絶を唱えるのは,直感的に理解しがたく,訴求力に欠け,かつ,世論の支持も受けられぬかもしれない.

 外交への影響は,ないとはいえないだろう.
 アメリカにとっても,どのような外交を日本が行おうとしているか誰にも分かっていないなかで,判断材料になるから.

軍事板,2010/03/16(火)
青文字:加筆改修部分

――――――
時代の風:密約の検証=防衛大学校長・五百旗頭真

 密約を明るみに出すことによって,政府と国民は賢くなることも愚かになることもできる.
 いささかでも密約や実際と異なる説明があれば許せないと,道徳的潔癖症に陥って,戦後の日米同盟や日本外交全般を嫌悪するとすれば,自らを視野狭窄(きょうさく)に追い込むことになろう.
――――――

2010年03月28日 20:20,HASU

 過去の経緯もあって,“密約”問題の報道に執念を燃やす毎日の,コラム記事ってのが皮肉ですね.

2010年03月29日 16:27,Shaul

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 〔日米が核シェアリングする場合,〕日本に核兵器や核技術を供与するにあたって,米議会の了承が必要になると思うんですが,そこんとこも気になります.

唯野 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
 今現在,NATOで核シェアリングは行われているので,
「日本もNATOに混ぜてくれ!」
と頼めばオッケーじゃないですかね.
 これら米国の右派の論客も同じことを言ってます.

 日本の核の傘・核密約・核の持ち込みと,NATOの核シェアリングの根本的な違いは,後者では各国が自前の核の運搬手段を持っていることにあるのと違いますかね.
 ドイツで言えば,冷戦期には自分たちで運用するパーシングIAに米国の核弾頭を積む,今で言えばドイツ空軍の爆撃機で米国の核爆弾を落っことす,ということですね.
 後者のほうが核抑止力として望ましいことは明らかでしょう.

バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【質問】
 NATOの理念からして極東の日本がNATOに入れるとはとうてい思えませんが……(北大西洋条約第十条参照).
 それにNATOに加盟したら日米安保なんぞとは比較にならないほどの負担を要求されるのは目に見えています.
 そこまでして核の運搬手段のみを保有することに,どんなメリットがあるのかわかりません.

唯野

 【回答】
 もう選挙戦から撤退したけど,ジュリアーニが日本をNATOに入れろとか言ってました.

 自主核武装ネタか,もしマケインが大統領になったら再燃するでしょうね.

JSF

 少し前にも新聞等で話題になってましたな>日本のNATO入り
 セットでオーストラリアって話だったと思いましたが.

ナッシュ平蔵

 対露同盟だった冷戦下のNATOと,世界規模の安全保障体制の役割分担を目指してる(と思われる)今のNATOのどちらからしても,日本の加盟理由は充分だと,彼らの目には映るのかもしれませんね.
 大西洋沿岸でもヨーロッパでもない国が加わるとなると,さすがに名前を変えて欲しいところですが.
 ああでも,トルコとか加盟してたっけ.

Tono

 まずお断りしておきますが今のところ私は日本の自主核武装に反対ですから.そこんとこよろしくメカドック!
 ただ,普段から日本にどんな手段があるのか考えておくのは大事だと思いますけどね.
 なんかどんどんハードルが低くなっているような気もしますが.

>NATOの理念からして極東の日本がNATOに入れるとはとうてい思えませんが

 そんなことないですよ.
 2006年4月にはデ・ホープ・スケッフェルNATO事務総長が日本や韓国との協力を模索する旨を演説で述べており,これに返答する形で翌2007年1月には,日本の総理大臣として初めてブリュッセルのNATO本部を訪れた安倍晋三前首相が,NATOとの連携強化を表明しております.
http://www.kantei.go.jp/jp/abephoto/2007/01/11belgium5.html

 今後こういう流れが弱まることはないでしょう.
 NATO側の都合など日本側の都合に比べればとるにたらないことでして.集団的自衛権の行使の禁止という政府の憲法解釈あるいは憲法そのものを改めない限り,日本のNATO加盟なんてありえないんで,そっちのほうを心配したほうがいいです.

>アメリカが核投射手段の建造・維持費を同盟国に負担させてるだけ

 それはその通りです.
 そのような懸念は私も『「対中国の重石として舎弟の日本に核武装させろ」という非常に身勝手な理屈』という文言で表明しております.

 ただ,負担させてる『だけ』というのは違うでしょう.
 日本独自の核抑止力にしたってNATO加盟にしたって,日本が得る利益はあります.
 結局,その利益にコストが見合うのかどうか,という問題でしょう.

 西ドイツがNATO艦隊の費用負担をすると提案したのは,当時の西ドイツがそれによって得られる利益がコストを上回ると判断したからなのでしょう.
 日本が同じような判断をすることもありえないことではないです.

バグってハニー

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より

 ただし,NATOはアジアの戦争には介入困難です.

――――――
●北大西洋条約 第六条

 第五条の規定の適用上,一又は二以上の締約国に対する武力攻撃とは,次のものに対する武力攻撃を含むものとみなす.

(i) ヨーロッパ若しくは北アメリカにおけるいずれかの締約国の領域,フランス領アルジェリアの諸県,トルコの領土又は北回帰線以北の北大西洋地域における,いずれかの締約国の管轄下にある島.

(ii) いずれかの締約国の軍隊,船舶又は航空機で,前記の地域,いずれかの締約国の占領軍が条約の効力発生の日に駐とんしていたヨーロッパの他の地域,地中海若しくは北回帰線以北の北大西洋地域又はそれらの上空にあるもの.
――――――

(2004年12月28日 13時54分07秒)

通りすがりの【天使の塵】逸般人 in 2004年12月27日付「週刊オブイェクト」コメント欄
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 日本が核武装すると,東アジアで核ドミノが起きる,というのは本当か?

 【回答】
 米議会調査局はそのように報告したという.
 以下引用.

――――――
日本が核武装した場合,アジアで軍拡競争を招く恐れ…米議会調査局
時事通信,2008/05/23


 米議会調査局(CRS)は22日までに,日本の核武装の可能性やその影響について分析した報告書を作成, 日本が万一,核兵器の開発を決めた場合,アジアでの核軍拡競争を招く恐れがあると警告した.

 また,世界的な核不拡散体制に打撃を与えることになり,日本に対する国際的評価は損なわれ,国連安保理常任理事国入りの可能性はなくなるとの見方が多いと指摘した.
――――――

 原文を発見.

Japan’s Nuclear Future: Policy Debate, Prospects, and U.S. Interests
http://ftp.fas.org/sgp/crs/nuke/RL34487.pdf

 要約すると
・2012年には六ヶ所村の再処理工場が完成し,日本は軽水炉で燃やすMOX燃料を自前で用意できるようになる.
・2050年ころにはMOX燃料を燃やすのを軽水炉から高速増殖炉に転換することによって日本の核燃料サイクルは完全に独立し,閉じることになる.
・再処理して抽出されたプルトニウムは核兵器にも用いることができるが,2005年の時点で日本は国内に5.9トン,海外に37.9トンの抽出プルトニウムを保有しており,これは核弾頭1000発分以上に相当する.抽出プルトニウムはさらに2020年までに70USトンに達する見通しである.(1トン≒1.1USトン)
・六ヶ所村の再処理工場は非核国初である.(日本の核関連技術は優れている.ちなみに,ウラン濃縮のための最新の研究・設備は東海村と六ヶ所村で進められている.)
・しかし,まともな核抑止力を手にするためには核弾頭を製造するだけでは全然足りてなくて,日本はプルトニウムの製造以外の分野ではだめだめ(実験場の確保,核兵器の運搬手段の開発,核兵器を先制攻撃から守るための諜報,機密漏洩を防ぐ防諜の整備など).

バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

※ 実際にはPu240の含有量が多く,核兵器転用は困難.
 ま,アメリカの報告書すらその程度ってことで.


 【質問】
 日本の核武装についてアメリカはどう考えているか?

 【回答】
70年代から,
「いずれ日本は核武装するに違いない」
という予測というか警戒をする識者がいる一方,北韓の脅威に対しては日本が単独で対抗できるよう,日本も核武装を議論すべきだという声や,日本本土に米国の核兵器を配備する可能性を指摘する声もある.

 警戒的な見解としては,ヘンリー・キッシンジャーのものがある.
 以下引用.

――――――
 米中関係正常化,日米経済摩擦激化といった問題が起きた70年代から,
「いずれ日本は核武装するに違いない」
という予測めいた話があった.
 その張本人が,当時ニクソン大統領補佐官だったヘンリー・キッシンジャー(後に国務長官)だ.
 今でも彼はこう言う.
「近い将来,高齢化社会と経済の停滞に直面する日本は,中国が超大国として台頭し,ロシアが勢力を盛り返す前に,その技術的・戦略的優越を利用しようとするかもしれない.
 その動きの中で,核開発という強力な均衡手段に頼るようになるかもしれない」("Diplomacy", 1994)

 クリントン政権下で国防次官補代理を務めたカート・キャンベル米国際戦略研究所(CSIS)副所長の主張も,キッシンジャーと似ている.同氏は,
「アメリカのアジア離れ,北朝鮮のような『ならず者国家』の台頭,日中対立激化などが引き金となって日本が核武装することは,十分あり得る」
と予測している.

 キッシンジャーもキャンベルも,いわゆる「知日派」である.日本の「核アレルギー」「平和憲法」「非核3原則」などを知り尽くした両者の予測だけに,説得力がある.

 北韓の核保有との絡みで俄かに騒がれ出した日本核武装論の引き金になったのは,2002/11/14-15にワシントンで開かれた,「2002 Carnegie International Non-Proliferation Conference」での議論だ.同会議には世界20ヶ国の政府当局者,専門家,学者,ジャーナリストなど650人が参加.米国内からも東アジア専門家が集まった.
 日本核武装論が飛び出したのは,同会議の「Proliferation Environment in Asia」と題するパネル・ディスカッションでのやり取りだった.
 冒頭,キャンベルやベンジャミン・セルフ(スチムソン・センター主任研究員)らの報告があり,参加者との討論になった.
 ここで,
「北朝鮮が核武装し,それに対抗して日本や韓国が核保有したいというのであれば,アメリカは反対すべきではない」
とぶち上げたのは,参加者の一人,テッド・カーペンター(ケイトー研究所副所長)だった.
 同氏は,中国の脅威に備えて日本は軍事力を整備し,「ぬくぬくとしたアメリカの安全保障の毛布から出るべきだ」と主張してきたタカ派の論客だ.
 その後,2003/1/6に発表した「Options for Dealing with Norh Korea」と題する論文では,
「北朝鮮の核保有を阻止するには,経済制裁も通常兵器による先制攻撃も役に立たない.
 北朝鮮を脅し,中国を脅すには,日本核武装しかない」
とする強硬論を展開した.

 これを受ける形で保守派論客,チャールズ・クラウサマーが「ワシントン・ポスト」2003/1/3のコラムで,
「北朝鮮の核問題解決に妙手がなければ,日本を核武装させて中国を驚かせ,中国に北朝鮮を真剣に説得させるのも,一つの選択肢だ」
と指摘.
 ジョン・マケイン上院議員(共和党,アリゾナ州選出)は2003/1/5に放送されたTV番組で,
「日本が北朝鮮の核兵器に脅されている以上,日本の核開発に反対するべきではない」
と発言した.

 前述のシンポジウムには,カーペンター発言に真っ向から反対する専門家達もいた.いわゆる「知日派」を自負するセリグ・ハリソン(ウッドロー・ウィルソン・センター上級研究員)やドン・オーバードーファー(元ワシントン・ポスト外交担当記者)といった東京特派員経験者達だ.
 オーバードーファーは,ドナルド・グレッグ元駐韓大使らと2002/11に訪朝,金桂寛外務次官らと会談している.
 彼らは異口同音に,
「北東アジアの核武装を後押しするのは正気の沙汰ではない」
「日本の核武装は北東アジア地域に留まらず,世界規模に拡散する恐れがある」
と懸念を表明した.

 2003/2/13の米下院外交委員会・アジア太平洋小委員会で証言したジェームズ・ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は,質疑の中でこのように指摘している.
「強固な日米同盟があり,アメリカが日本に核の傘を提供する限り,日本国民が核保有を目指したり,保有の方向に踏み出すことはないと確信している」
「北朝鮮の核開発問題は,極めて深刻な衝撃を日本に与えている.日本はあらゆる立場について,再考を促されることになるだろう」
「現時点で,米政府には日本が核保有国になることへの支持や公算はない」
 この発言は,何も日本だけに向けられたものではない.北朝鮮への「剛速球」であり,中国に対する「牽制球」であった.

 北韓向けの脅しという意味では,ケリー発言に満足しなかったのか,強硬派のディック・チェイニー副大統領はその後,2003/3/16のTV番組で,
「北朝鮮の核武装と弾道ミサイル開発が,東アジアにおける軍拡競争を引き起こすかもしれない.
 日本は核保有問題の再検討を強いられるかもしれない」
と,「最高」に重心をかける発言をぶち上げた.さらに返す刀で,対北韓説得に消極的な中国も脅した.
 チェイニー発言の背後には,智恵袋であるネオコンのダグラス・ファイス国防次官(国際安保担当)の影がちらついていた.

 もちろん,米保守派が日本核武装支持で一致しているわけではない.
 いくらネオコンに牛耳られたブッシュ政権とはいえ,こと日米関係についてはそれほどナイーブではない.
 例えば,コンドリーザ・ライス大統領補佐官などは日本の核武装には懐疑的だし,実際の対日交渉に当たっているリチャード・アーミテージ国務副長官やドナルド・カイザー国務次官補代理(東アジア・太平洋担当)らは,一連の核武装支持論を苦々しく見ている.

 ブッシュ政権内部に日本の核武装を支持する者はいるのか?
 アーミテージ副長官にも近いジム・アワー元国務省日本部長(現バンダービルト大学日本研究協力センター所長)は,こう指摘する.
「信頼できるアメリカの核の傘がある限り,日本にとっては核武装して得られるメリットよりも,デメリットのほうが大きいはずだ.
 北朝鮮に対処する最も効果的な手段は,強固な日米同盟関係しかない.
 中国は日米安保体制を苦々しく見ているが,それでも朝鮮半島の非核堅持という日米の考えには賛成している.
 過去5年間の韓国の非現実的な対北朝鮮外交(太陽政策)で酷い目に遭ってはいるが,日米両国が中国に対して,北朝鮮に核保有をやめるよう圧力をかけさせることが一番得策だ」

――――――(高濱賛〔たと〕,パシフィック・リサーチ・センター所長,from "SAPIO" 2003/6/11, p.19-21,抜粋要約)

 一方,北朝鮮からの核を含む軍事的脅威ごときは,本来日本が単独で対処すべきだ,という意向を米国が持っているとする見解もある.
 以下引用.

――――――
 10日付のニューヨークタイムス電子版が,日本に核武装を促すフラムのコラムを掲載した(コラム#1443)と思ったら,今度は,ワシントンポストが,同紙の常連のコラムニストでユダヤ系のネオコンであるクラウトハマー(Charles Krauthammer)日本に核武装を促すコラムを19日付の電子版に掲載しました.

2 クラウトハマーのコラムの概要

 クラウトハマーは,日本も核武装について論議すべきだと主張した中川昭一自民党政調会長や麻生太郎外相の最近の発言に言及した後,
「お隣にイカれた体制が存在して,そいつが弾道弾を日本を超えて飛ばした上に公式に核を保有するに至った以上,日本が<核政策を>再考するのは当然だ」
と指摘します.
 そして,
「日本は模範的な世界市民であるだけでなく,その躍動的な経済,安定した民主主義,自己抑制的な外交政策からして,米国にとって英国に次いで重要で信頼できる同盟国だ.
 ・・<それに,>日本の生来的な国益は,環太平洋地域において,軍事的政治的安定を維持し,容赦なく拡大しつつある中共を平和的に封じ込め,平壌のならず者体制に反対し,アジア全域に自由民主主義モデルを普及させる,というものであって,米国の国益と同じだ」
と続けます.
 しかも,
「日本が核武装を考慮すれば,それはただちに,中共をして北朝鮮の非核武装化に全力を挙げさせることになろう」
とクラウトハマーは付け加えます.

3 所見

 要するに,クラウトハマーは,米国の国益の観点から,核武装を含む日本の再軍備が必要であって,北朝鮮の核保有は,この方向に日本に防衛政策を転換させる良い機会であると考えているわけです.
 これは裏を返せば,日本は近隣諸国からの自国に対する軍事的脅威には,核の脅威を含め,基本的に自分自身で対処すべきであり,日本が米国に期待するのは,基本的に,アジア・太平洋地域全般の軍事的政治的安定の面だけにして欲しい,ということであろうと私は解釈しています.
 いわんや,北朝鮮からの核を含む軍事的脅威ごときは,本来日本が単独で対処すべきだ,ということではないでしょうか.

――――――太田述正コラム #1460 ( 2006.10.21 )

 論理展開が強引なようにも思えるのだが.
 例えば,この後に同コラムでは,「アメリカが超党派で日本に核武装を要求してきている」と解釈しているが,コラムニストの論文一つでそこまで断定できるものだろうか.

▼ また,「週刊オブイェクト」●軍事評論家の,太田述正に関するエントリを見ても分かるように,自己検証能力欠如という点において,太田個人の信頼性には問題があるようだ.

 他方,
「古森義久」◆「2009/07/04」「日本の核武装」はいまや国際的な論題となった
によれば,ブッシュ前政権の国家安全保障会議(NSC)アジア担当上級部長だったマイケル・グリーンは,「日本の変化する役割」と題する2009/6/25の米国議会公聴会において,米国の核ミサイルを日本領土に配備して北朝鮮の核への抑止とする可能性に言及したという.
 詳しくは同ブログを参照されたし.▲


 【質問】
 ある人曰く,アメリカ共和党大統領は代々日本に核武装を薦めていたそうですが.
 その人は,片岡鉄哉氏が「Voice」やらという雑誌に書いた論文
「ブッシュが2006年に小泉と会ったときに,日本に核武装を進めた」
というのをを真に受けたようです.

ますたーあじあ in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 【回答】
 これはがせじゃないですかね.

 ただ,元共和党政府関係者の中にはそういう人もいたはずです.

 北朝鮮の核実験後にデビッド・フラム(David Frum)が,日本に核武装をせまるコラムをNYタイムズに寄稿してますね.
 この人はジョージW.ブッシュ大統領のスピーチライターをしてたことがあります.

 彼が実際に大統領の政策にどれほどの影響力があるかどうかについては,はなんとも.
 ただ,フラムは「悪の枢軸(Axis of Evel)」という言葉を発明した人でもあります.
 この言葉はブッシュ政権の外交に相当程度,寄与してるのと違いますかね.

 ただし,スピーチライターの発言が大統領の政策そのものであるという主張をするつもりはないです.

 最近,日本の核武装を薦めた有名な人の中では,ワシントン・ポストの右派の論客クラウトハマー Charles Krauthammer がいます.
 ただ,こういうのは親切から言ってるのではなくて,「対中国の重石として舎弟の日本に核武装させろ」という非常に身勝手な理屈なので注意が必要です.

バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字部分:文章を纏めるために補修した部分


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