c
◆◆◆◆物理的可能性
<◆◆◆核武装関連
<◆◆装備調達関連
<◆日本/自衛隊(JSDF)FAQ目次
<東亜FAQ目次
(画像掲示板より引用)
【質問】
日本で実際に核武装が可能かどうか検討された事はあるのか?
【回答】
中曽根康弘元首相の著「自省録−歴史法廷の被告として−」によれば,同氏が防衛庁長官だった1970年に日本の核武装の可能性を防衛庁に研究させたという.
同著によれば,核武装について「現実の必要性を離れた試論」として「日本の能力を試算」.
「伊藤博文の孫が防衛庁の技官としてこの問題を一番勉強している」と知り,同氏を中心に専門家を集めて核武装に必要な費用や時間の研究を指示.
その結果,「当時の金で2000億円,5年以内」で核武装できるが,実験場を確保できないために現実には不可能との結論に達したという.
(注2)既に,日本の核武装に係る安倍首相の発言には,各国から強い関心が寄せられている.
例えば,
http://www.guardian.co.uk/korea/article/0,,1891976,00.htmlhttp://www.slate.com/id/2151270/
(10月11日アクセス)参照.
【珍説】
核実験する場所などいくらでもある.
フランスでもイスラエルでも狭い国土でやったじゃないか.
日本には海も無人島もいっぱいある.
――――――小林よしのり in 『SAPIO』 2006/12/27
& 2007/1/4合併号,p.73
【事実】
イスラエルは自国では核実験していません.
南アフリカに代行してもらいました.
フランスも本土から遠く離れた,ムルロワ環礁で実験を行っています.
最後の実験はフランス製品不買運動にまで発展したのですが,もうお忘れで?
【珍説】
防衛関係者が
「自分は善人と思われたい」
「米軍関係者に好かれたい」
という「私心」のみで,
「日本は核は持てない」
と得意げに語っていることが,わしは実に不愉快である.
公私の区別もできぬ馬鹿どもに代わって,わしが国のために悪役を引きうけよう!
小林よしのり in 『SAPIO』 2006/12/27 & 2007/1/4合併号,p.64欄外
【事実】
いや,小林が引きうけちゃったポジションは,「道化」ですから.
ちなみに「私心」のみ,と主張する根拠は,どこにも書かれていません.
核兵器保有のデメリットを考慮した上での核武装反対論である,などとは小林は一切考えていないようです.
【質問】
面白いなーと思えた記事なので.
GIGAZINEさんより
日本は核兵器を本当はいくつ作ることができるのか?
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20091020_spread_nuclear_weapons/
是非,詳しい方のご意見を伺いたいなー,とも.
名無,2009年10月20日(火) 18時24分
【回答】
> 日本は核兵器を本当はいくつ作ることができるのか?
第一近似としては許容できても,これで議論をしたいのであれば,馬鹿すぎて言葉も出ないというのが,原子炉物理学や核不拡散を専門にする人間の本音.
このようなことを話すのであれば,1年ほどブートキャンプに放り込んで,微分方程式の解法から,原子炉物理,核物質防護・核不拡散その他諸々詰め込んでやろうかと本気で考えてしまいますね.
まあ,ブリテンの考えている甘さがあちらこちらに出ていて,逐一直してやろうかとも思いましたが,原文の原形をとどめなくなるので止めておきます.
> 結構あるのね>えげれす
一言で言えば「使用済核燃料を長期保存できない北朝鮮と同じ理由」ということ.
原子炉の型(炉型)と使用される核燃料の形態が原因なのですが,あまり詳しく解説すると支障もありますので,ひとまずは遠慮させていただきたいと.
へぼ担当,2009年10月22日(木) 2時4分
◆◆◆◆◆「高速増殖炉で核兵器ゲットだぜ」???
【珍説】
高遠増殖炉の使用済み燃料は,東海村や六ヶ所村の再処理工場で処理すれば兵器級のプルトニウム239を生産できます.
米国ではプルトニウムの品質をプルトニウム240の含有比率で区分して,7%以下のものを「兵器級」,18%以上のものを「原子炉級」としている.
プルトニウム240の割合が多いと核爆弾が「早発」になる可能性が高く,アメリカの核兵器はプルトニウム239の濃縮度96%以上のものを使ってると言われます.
日本の高速炉『もんじゅ』の場合プルトニウム239の濃縮度は97.6%で,『常陽』では99.4%だから,兵器級としても高品質.
ちなみに『もんじゅ』がフル稼働すれば,一年でおよそ核爆弾30発分のプルトニウム239が作れます.
軍事板初心者質問スレまとめ(FAQ)
※このwikiは,本サイトとは関係ありません
【事実】
上記の「高遠増殖炉の使用済み燃料は,」以下ですが,専門家に言わせれば論外だそうです.
――――――
〔略〕「開いた口がふさがらない」状態で,お仕事なら読んだその場で全文破棄.完全な書き下ろしでの回答のみとなるが,仮にお仕事であってもあまりの状態にそこまでやる気にもなれず,と言うのが率直なところ(大汗).
<今現在,お仕事の方でも同様のものがあって,激しく戦意を喪失したばかりで.とりあえず一ヶ月タコ部屋で再教育(爆)...というはめになりました.
あまりのものとなると,上記のような状態に陥るため,つっこみを入れないこともあります.
そのため「放置」しているものも少なからずですが,その点はご察しいただけると幸いです.
――――――へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
ところで,問題の箇所は,軍事板のどこに載っていたのか?
上記wikiには,こちらのサイトからの転載でないものについては,(378:62)――(初心者質問スレッド378のレス番号62の意味――などと,出所が明記されています.
しかし問題の箇所には,それがありません.
google検索をしてみたのですが,上記の問題の箇所そのままの文章が載っているページは発見できませんでした.
ただし1点,似たような文章を見つけました.
おそらく出所はそこではないかと愚考いたします.
発見したページ:http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/1056.html
阿修羅掲示板がソースだったとは…….
これでは軍事板にあるまじき珍説であっても,不思議ではないですね.
上述のQ&Aを作った人,ほんとに軍事板の住人?
消印所沢
▼ ネットや本屋でいろいろと調べましたが,図書館で見つけた本では,
――――――
表.6.4 起源となった炉型別の同位体存在比と比放射能比
核兵器級(重量%) Pu238・0.07 Pu239・93 Pu240・7 Pu241・0.7
高速増殖炉(重量%) Pu238・1.07 Pu239・70.4 Pu240・23.4 Pu241・5.1
軽水炉使用済(重量%)Pu238・2 Pu239・61
Pu240・24 Pu241・10 Pu242・3
(参考 松岡理著 新版 プルトニウム物語 プルサーマルをめぐってP46の表を参考)
――――――
とあり,高速増殖炉のプルトニウム239の濃縮度は70.4%ですね.
よって
>日本の高速炉『もんじゅ』の場合プルトニウム239の濃縮度は97.6%で,
>『常陽』では99.4%だから,兵器級としても高品質.
というのは大きな間違いと言えます.
そもそも,日本の原発が軽水炉主力なのも,核武装をしないためなのです.
▲
▼ 90式改さんには大変申し訳ないのですが,直し始めるとと原形をとどめなくなるため,様子を見ていたのですが,誤解をこれ以上広めないため,必要最小限の指摘を.
90式改さんも含め,根本的な間違いとなったベースは,必要不可欠なキーワードである
「濃縮度≠富化度≠同位体存在比」
(たまたま「≒」ということはある)
と言うことを全く理解されていないことにあります.
例えば,プルトニウム使用核兵器なら,ほぼ100%がプルトニウムの固まりとなりますが,高速増殖炉核燃料や軽水炉使用済燃料の場合,当然そうではないわけで.
さらにプルトニウムは,加えるという意味に於いて「富化」という用語を使いますが,これは単なる見た目の問題ではなく,まずプルトニウムの「濃縮」はあり得ないことも指摘すべきかと考えます.
そもそも,『プルトニウムの濃縮度』という,まずあり得ない間違った用語の使用をしている限り,全く理解されていないことが明白なのですが.
<さらに,以前の増殖炉心を組んでいた常陽の実績
(現在は増殖炉心とせず,ただの高速炉体系としているため,元の回答は成立しない)
はともかくとして,高速増殖炉のデータがどの部分のデータなのか
(詳細は機微情報とも成りかねないため,口外できません)
など,ツッコミどころは満載なのですが....
また,高速増殖炉の場合,理解すべきキーワードとして「ドライバー部」と「ブランケット部」と言う言葉もあり,当該データもどこの部分でどれだけの燃焼度(照射量)を仮定しているのかによって,評価が大きく異なることも指摘しておきます.
本案件について回答として成立するか否かは,端的には何故,引用であった
『新版 プルトニウム物語 プルサーマルをめぐって』(松岡理著)P46の表のタイトルが「表.6.4 起源となった炉型別の『同位体存在比』と比放射能比」であるのか,理解出来ることが必須であり,それなくして本案件について何故「全文書き下ろしの回答が必要」なのか,分かっていただけないのではと愚考します.
以上,ご参考まで.
▲
▼ やはり私のような素人では,原子力技術は難しくて無理でした.
へぼ担当氏にはご迷惑をおかけしました.
元IAEA広報部長の吉田康彦氏は,
――――――
IAEAの査察も日独核武装封じ込めが出発点
プルトニウムに適量のウラン化合物を混合させて軍事転用しにくくした再処理方式を,世界で初めて六ヶ所村で考案し,導入したのも日本の技術陣だ.
http://www.yoshida-yasuhiko.com/nanp/post-95.html
――――――
と述べているし,IAEAも
――――――
今回の認定は「日本に核兵器計画はない」とのお墨付きをIAEAから得たことになり,日本の核平和利用の主張が国際的に認められた.
IAEAは4年にわたり,日本の原子力関連の研究開発施設や資機材製造施設など170カ所,5000の建造物について検証作業を行い,「原子力が平和目的以外に使われていない」ことを認定した.
http://www.ask.ne.jp/~hankaku/html/iaea-japan.html
――――――
当然もんじゅなど高速増殖炉も検証しています.
それに,核保有国が高速増殖炉を使って核兵器用プルトニウムを製造しているという話を,私は聞いたことが無い.
▲
【珍説】
プルトニウムの同位体分離をやればいい!
そうすれば原子炉級プルトニウムから,核兵器級プルトニウムを取り出せる.
【事実】
国際約束(NPT,IAEA協定,日米他二国間原子力協定)の理解は実は非常に難しい一方で,上のような高校1年生理科レベルを全く理解していない人間には,いくら核や原子力の技術的なお話をしても,通じないのだろうな,と思った次第で.
元素の分離では「化学的反応」を用いることが出来るため,通常の化学レベルで十分だが,同位体は「元素としては質量数以外全く同じ」のため,通常の化学ではなく,「質量数の違いという物理的な違い」を利用するしかないこと.
逆に言えば,ガス拡散法にしても,遠心分離法その他にしても「質量数の違い」が何よりの鍵となるため,ウラン235と238のように3違うのと,プルトニウム核種(特に239を残して,最大優先として240を除く必要があるが,1しか違わないため,研究室(試薬)レベルを除き,極めて困難.更に臨界安全上も実用レベルでは極めて困難.)
では,化学物理上極めて大きな差異があるのですが.
つまり,プルトニウムの同位体分離(濃縮)という言葉を出した段階で,それら事実関係をまるで分かっていないことが丸分かりで,何ともはやなのですが.
核武装論者・反核論者とも立場は違えども,その最低限の知識ぐらいは,核を語る上では常識として理解して欲しいものです.
2010年10月23日 10:58,へぼ担当
「ソーシャルネットワークで反論してどうする」
と人に言われたけど,ヒトラーが社会不安に乗じて独裁者になった挙句に,無茶な戦争やったこと考えると,「こうしたらああなる」を,平時の今から白黒はっきりさせた方がいいと思うの.
核武装論議も,その一つだと思う.
2010年10月23日 11:08,inn=MotoK
以前教わってた教授は,Pu-239が99.5%の硝酸プルトニウム(だったと思う)をコンマ何グラムか持ってて,「1950年代のイギリス製.
こんなの今じゃ手に入らないよ」
とか言ってたのを,ふと思い出した.
アンプルの入った箱を開けたこと無いらしく,本人ですら中身を見たことがなかったらしい.
科技庁だったかどこだかの人がチェックに来ても,
「開けて確認しろ」
って言う人と,
「割れてたりすると汚染が広がるから,開けるな」
と言う人がいて,どうすりゃいいんだよ?と悩んだとか.
結局,原子炉を持ってる某大学にあげて,そこで上記の濃度が初めて分かったとか.
2010年10月23日 12:44,D.B.
> 核武装論議
議論自体は否定しないし,むしろ大いにやるべきだと思うのです.
この間のNHKの番組であった,「西ドイツとの密談」であっても,外交・防衛(軍事)の立場からすれば,ある意味当然の議論であり,その議論さえ封殺するのは,どのようなデメリットがあるからやらない(メリットがあるからやる)という,考察ですら封印する単なる考え無しでしか有りません.
もちろん,議論・検討するのと,実際に行動に移すのは全く別の次元であり,それら機微な情報を公にするか否かも別の問題(事案終結後50年経てば公開等のルールはあってしかるべき)と考えますが.
ただ,市井レベルでも議論・検討するにあたって,必要最低限の知識・お作法は必要でしょう.
それがなければ単なる空中戦で全く実りがないか,人格攻撃や罵倒の応酬で実際の暴力沙汰と何処が性質が異なるか?と.
ある意味,一番近いであろう専門従事者からすれば,NPT初めとする国際約束や,経済・技術的な側面など完全無視の空論
(これはタモさんサイドで顕著)
ばかりが大声をがなり立てながら,まかり通ることを憂慮しています.
これでは核武装論者は妄信的な反核・反戦運動を笑えませんし,核武装教という新興宗教と何が違うのか?と思うのです.
> Pu-239が99.5%の硝酸プルトニウム
各大学には1960年代以前の極めて古いRIが存在し,その存在自体知られていなかったり,その正体が分からなくなっているものがたくさんありましたからね.
何度も文部科学省が調査指示を出したり,回収やしかるべき処置を命じたりしていますが,恐らく今後もキャンパス(建物)移転などで全設備・備品移転をする度毎に,何らかの物が見つかることは避けられないと考えます.
もちろん,すぐに害を為す物はほとんど無く,殆どはしかるべき届け出や管理棟で済む物ばかりでしょう.
しかし先の物などは,IAEAに対する説明・査察等が必要となる機微な物資(その典型例ですね)であったり,間違って破損させた場合,その汚染除去が極めて難しくなるなどの問題は残るかと考えます.
何だか不発弾騒動と似たような所がありますが,管理されていない核物質は不発弾と同じであるとの意識は,必須と愚考します.
2010年10月23日 15:46,へぼ担当
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
「炉心周辺部のブランケットなら中性子の線量が少ないので,13ヶ月毎の定期点検で交換すれば『程よい照射具合』となって兵器級プルトニウムになる」
とかいう話があったのですが,考慮に値するのでしょうか?
ゆきかぜまる in mixi,2010年05月09日 16:15
【回答】
定性的なお話しならいくらでも出来ますが,基本的にその手のお話しはためにする議論であって,真剣に考慮すべきものではないと考えています.
そのため,私個人はそれ以上その手のお話しに乗るつもりは基本的にありません.降りかかる火の粉を払い,有りもしない疑惑を否定するのであれば別ですが,現在はその段階ではないでしょう.
もちろん核不拡散上の問題から,厳しく管理しなければならないのは当然ですが,それはIAEA査察の完全な履行によって十分に担保されるお話しであり,現状ではそれに問題があるとは考えられません.
また,残念ながら実験室規模は別として,現在の日本には高速増殖炉の核燃料に特化した(もしくは対応した)再処理施設はなく,存在はしても分離抽出が出来ず,その点は問題なし.
必要ならば炉心内で燃焼させれば良いだけのお話しです.
一方,貴重な核燃料の確保としては,長期的な視点に立てば重要なのは明らかであり,どの段階で取り出すのがベストなのか.実際の運転や解析,及び実験室規模での実証分析によって明らかにしていくことが必要です.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 2010年05月09日 16:40
追伸.
また,FBRからは外れますが,現存する軽水炉発電所でも運転間隔を極端に短くし,ちょうど良い頃合いで核燃料を取り出せば,同じようなことも可能です.
しかし,FBRと軽水炉の違いはあるとしても,そのような問題は一顧にもされないことが,ご指摘のお話への何よりも回答ではないでしょうか.
技術的な可能性と,合理的な運用,実際の運用とは別次元の問題であり,それらを混同して語ることは,ことさらに問題視する方々の思うつぼであり,それらの思惑に乗るべきではないと愚考します.
へぼ担当 2010年05月09日 16:45
以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分
【質問】
高速増殖炉って何?
【回答】
「運転しながら,燃えないウランを燃えるプルトニウムに効率よく変える原子炉です」(by
文部科学省)
燃料のプルトニウムが核分裂すると,複数の中性子が飛び出しますが,そのうちの1個が次のプルトニウムの核分裂に使われ,残りの1個以上がウラン238をプルトニウムに変えるため,「消費したものより多いプルトニウムが生じる」という意味で「増殖」炉と呼ばれます.
しかし冷却剤として使用される金属ナトリウムは扱いが難しく,かつ,不透明であるため内部状態の計測が難しく,より高度な管理技術が必要になるという難点があります.
【質問】
転換比って何?
▼ 【回答】
高速増殖炉において,プルトニウム1個の核分裂が,ウラン238の中から何個をプルトニウム239に変えるかの割合です.
「もんじゅ」では12とされています(当初設計で)
ウラン235やプルトニウム239が中性子を吸収するとき,中性子の当たるスピードが速いほど,新たに飛び出す中性子の数が多くなるので,軽水炉よりも転換比は高くなります.
▼
> 高速増殖炉において,プルトニウム1個の核分裂が,ウラン238の中から何個をプルトニウム239に変えるかの割合です.
この転換比(転換率;Conversion Ratio)は「高速増殖炉」に限らず,全ての原子炉において以下のように定義されるのが普通です.
転換比(転換率;Conversion Ratio)=(核分裂で新たに生成される核分裂性原子の数)÷(核分裂で消費された核分裂性原子の数)
注:文献によっては「数」を「量」とか,「平均率(時間割合の平均を指す)」とする場合もあるが,途中核燃料を取り除くなど,よほど特別な事情がない限り,同一の数値となるのが普通.
また簡単のため「生成・消費」ではなく,「残存量・初期量」と定義を拡張して考える場合もあるが,こちら拡張された定義を使用することは,数値が変わりうる等の理由から,あまり多くない.
これがプルトニウム核燃料使用の高速増殖炉の場合,原文通りとなります.
しかし,日本国内で一般的な軽水炉(BWR,PWR)原子力発電所の場合でもウラン235の核分裂により,中性子がウラン238に吸収されて核変換することによりプルトニウム239が生成されるため,上記の定義での数値が存在することになります.
ただ,大きく異なるのは,下記にも記しますが,高速増殖炉の場合,その転換比が1を超える
(つまり,核分裂前よりも核分裂反応後のプルトニウムの数が増える>そのため「増殖率」ともいう)
ように設計され,運用される一方で,軽水炉の場合,特別な例外(現在まで実用例無し)を除けば1未満であること.すなわち,核分裂を経ることで核分裂性原子の数が減少することにあります.
ちなみに核武装用のプルトニウムを生産する黒鉛減速炉でも同様の数字を定義できますが,これは様々な理由から転換比(転換率)の例を挙げるのは遠慮させていただきます.ただし,当然のように1未満です.
> 「もんじゅ」では12とされています(当初設計で)
先生!数字が1桁違います.これでは大変なことになります!
この転換比(転換率)は,軽水炉原子力発電所の場合では大体0.6前後(ただし,原子炉の炉心の組み方・運転期間・方法に大きく依存),高速増殖炉の場合,様々な数値がありますが,一般に「もんじゅ」の設計値とされているのが1.2-1.3(文献による.また炉心の組み方・運転期間・方法に大きく依存するのは同じ)です.
> ウラン235やプルトニウム239が中性子を吸収するとき,中性子の当たるスピードが速いほど,新たに飛び出す中性子の数が多くなるので,軽水炉よりも転換比は高くなります.
これ自体には大きな誤りはありません.
ただ,転換比が高くなる理由はこれだけではなく,残念ながらこの記述では明確に説明されていない省略された点を説明しなければ,プルトニウム239を核燃料に使用すれば高速増殖炉を構成できるが,ウラン235使用では「増殖炉」にできない(つまり先述の転換比(転換率)が1以上にならない)ことを説明できません.
なお,中性子のスピードを意図的に減速しない高速炉では,それを熱中性子と呼ばれるレベルにまで減速する原子炉(熱中性子炉;現状全世界のほぼ全ての原子力発電所がこちら;例外は1桁)より,転換比が大きくなるのは,この記述に沿ったとおりであり,完全な説明ではありませんが,大きな誤りとまではなりません.
なお,この点についてはくわしく説明したいところですが,そうすると原子炉の臨界に至る過程を詳細に説明しなければならないため,ここでは省略します.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
▲
【関連リンク】
高速増殖炉における増殖のしくみ(図解)
【質問】
ブランケット燃料って何?
【回答】
高速増殖炉において,炉心の周りに取り巻くように配置される燃料棒のことです.
この燃料棒の燃料要素は,多数の二酸化ウランペレットを被覆管内に密封したもので,すなわち「燃えない」ウラン238が含まれており,中性子を吸収してプルトニウム239が出来るようにしています.
ブランケット燃料の中で生まれるプルトニウム239を,中心部で消費される核燃料より多くなるようにすれば増殖炉となります.
【参考ページ】
http://www.atomin.go.jp/website/siryoukan/atom/ha/hu/blanket.html
http://www.jaea.go.jp/04/monju/category03/mj_kiseki/kiseki_html/kiseki2602.html
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g80724b06j.pdf(PDFファイル)
「フランダースの犬」最終回のシーンで,冷たくなっていたネロとパトラッシュにそっとかけてやるブランケットが,こっちのほうだったら嫌ですね.
【ぐんじさんぎょう】,2008/12/30 01:48
に加筆
「パトラッシュ,もう眠たいよ…」
そんなネロに被さる青白い光.
アントワープ大聖堂を中心に,半径100kmが立入禁止区域になろうとは…
bernoulli in mixi,2008年12月28日 19:18
二人はコンクリートの中で永遠に一緒ですね!!12
丼炒飯 in mixi,2008年12月28日 20:36
ブランケット燃料ってのはなあ!
あれは松子と二人で冬山で遭難したとき,何とか山小屋に避難したものの小屋の中には毛布一枚しかない…
そんな状況だった(以下,長々と妄想が続くので中略)…
松子ぉぉぉぉ!!
ぎんなんそう in mixi,2008年12月29日 19:37
【質問】
高速増殖炉でも,時間と工数をつぎ込めば,たいていの不純物は除去可能なのでは?
プルトニウムもウランと同様,遠心分離やガス拡散などの手法で同位体を分離できますので.
プルトニウムを使った原子爆弾を作る場合,原子炉が必要な工程はウランからプルトニウムを合成することだけです.
出稼ぎ労働者 in FAQ BBS,2009年6月28日(日)
14時39分
青文字:加筆改修部分
【回答】
遠心分離では原理的に不可能と言いませんが,ほとんど実用性(実効性)がないと言えます.
ウラン濃縮ではU-235とU-238の間で,同位体分離(濃縮)を行いますが,現存する技術(レーザー使用除く;ただしPuでの研究例は聞いたことがありません)では,その間の質量数の差(3)が大きな役割を果たします.
一方,お話のPu-239とPu-240では,その差が僅か1となりますので,その分,格段に難しくなりますし,また臨界安全上でも難しい問題を抱えることは,指摘すべき事実と考えます.
よって,Puの同位体分離は実質では不可能とされていることは,強調しても良いかと考えます.
以上,簡単ですがご参考まで.
へぼ担当 in FAQ BBS,2009年6月30日(火) 2時46分
青文字:加筆改修部分
【質問】
http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa3753810.html
>槌田敦さんの著書「環境経済学」の中に,福島みずほ参議院議員が07/01/23の国会質疑で,常陽で19kg,もんじゅで17kgの軍用(もんじゅからの分は超高級)プルトニウムが作られたと書いてありました.
槌田氏の著書“隠して核武装をする日本”にも
――――――
日本はすでに原爆材料を所有する国である.
高速炉の常陽ともんじゅに存在するプルトニウムの量と質が,文部科学省により明らかにされた.
文部科学省は福島瑞穂参議院議員の質問に対し,常陽が一九七七年から一九八三年の間にそのブランケット燃料で生産したプルトニウムは一九.二キログラム,その同位体比率は九九.二%と回答した(〇七年一月二三日).
また,もんじゅでは一九九四年五月からナトリウム漏れ事故の一九九五年一二月までの性能試験運転期間中に,ブランケット燃料で製造したプルトニウムは約一七キログラム,その同位体比率は九九.八%と計算されると回答した(〇七年二月一四日).
このプルトニウムはもんじゅでは,事故炉の中にそのまま存在する.
そしてもんじゅが正常に運転されれば,濃縮率九八%の軍用プルトニウムを毎年六二キログラム生産できる(「核武装に反対する物理研究者の会」あての旧動燃の回答,九四年一一月四日)
したがって,今後もんじゅが一〇年間正常に運転できれば,約六二〇キログラムの超軍用プルトニウムを生産できるようになる.(P22〜23)
――――――
槌田氏はこれを根拠に,アメリカが中国に対抗するため,日本に核武装するよう自民党や政府に手を貸している.と本に書いていますが?
【回答】
もんじゅが運転開始したのは,新生党の羽田首相のときで(しかも非自民党内閣),そして事故がおきたのは自社さ連立政権で社会党(当時)の村山首相の時でした.
また,福島瑞穂社民党党首の国会発言を調べてみたら,該当するのはありませんでした.
というわけで,槌田氏捏造疑惑が出てきたわけで.
90式改 in FAQ BBS,2009年8月1日(土) 22時13分
青文字:加筆改修部分
なお,高速増殖炉で兵器級プルトニウムを製造することが,非現実的なほど困難なことは,上述の通り.
【質問】
高速増殖炉のプルトニウムが,実際に原子炉に再利用されるまでは,運転開始からどれくらいの日数がかかるのか?
【回答】
プルトニウムのサイクルで言えば,フランスのフェニックスぐらいしか,「まともな実績」がないので分からない(爆).
よって,Atomicaの高速増殖炉関連ページでは,おそらく掲載されていないものと愚考します.
確かに実験的なデータは日本国内での常陽などでもあります.しかし,これは技術立証のための試験的なデータであり,工学的なある一定規模で持続可能な数値としてあげるのには不適です.
また,もんじゅの場合,プルトニウム生成について,まだ有意なデータを得られるほどの期間(正確には出力と運転期間の積に相関)運転していません.
さらに,今回交換した燃料も「運転再開のため」のものであって,得られるであろうプルトニウム他の分析データは,我々原子炉物理屋他,研究者・開発者にとっては大変貴重なデータ源となっても,それを根拠に再利用のサイクルまでの期間を語るものとは,残念ながらなりません.
(もんじゅが運転再開を果たし,ある程度軌道に乗ればまた別のお話となりますが,こちらも長くなりますので,ここでは割愛します.)
もちろん,工学的に設計データというものはありますし,最低限必要な冷却期間や再処理に要する期間,その他加工に要する期間など,理想条件下における積算(試算)は出来ます.そのため,もんじゅの原子炉の設置他にあたって当然のごとく積算(試算)を行っているはずです.
しかし,現時点で比較できる有意な実績がない以上,その理想条件下における積算(試算)を持って回答とするには,いささか難があると愚考します.
<そのようなことが許されるのであれば,プルサーマル実施などで苦労しません.>
また,高速増殖炉の使用済燃料,及びブランケット燃料の再処理の問題は,技術的な問題他また別の側面がありますが,これも言い始めるときりがありませんので,ここでは割愛します.
以上,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2009年07月22日 20:22
【質問】
いつもありがとうございます.
FAQ BBSにおける90式改氏によれば,『原子力発電がよく分かる本』(榎本聰明著,オーム社,2009.3)には,
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高速増殖炉で増殖率が一.二〇のものを考えてみましょう.
これは燃料を入れてから,燃料を取り出すまでに,平均的に見て核分裂性物質(主にプルトニウム)が二〇%増加していることを意味しています.
しかしそこに至るまでに,三〜四年を要し,それから,燃料を冷却して,再処理し,分離したプルトニウムを燃料に加工して,再び使えるようにするまでにさらに約四年かかり,合計で七〜八年かかることになります.
(P168及びP170)
高速増殖炉では,転換率が一を超えていますが,後に述べる再処理工場などで,プルトニウムをすべて回収できない(これをロスといいます)ので,利用率は一〇〇%にはならず,六〇%ぐらいになります.
(P152及びP154)
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と書かれているそうですが,後段については同様の記述をatomicaに見つけたものの,前段が全然見つからなかったのです.
とすると,前段のほうは単なる著者の憶測と考えていいのでしょうか?
消印所沢 in mixi,2009年07月23日 01:14
青文字:加筆改修部分
【回答】
先の【回答】と矛盾するようですが,私個人が
「教科書や啓蒙書において,これらのことについて記載する場合」
は,「これと全く同様の記載」をすると考えます.
つまり,先に挙げられた記載に関して,私個人は異議を唱えるものではなく,むしろその記述の正しさを保証する立場を取るところです.
これは原子力を専攻し,この分野を良く理解した者であれば,おおかたの支持を得られるものと考えます.
これらの相違点は以下の要因によるものです.
純技術的な側面,すなわち工学者としての理想的,かつ現実的,合理的な運用を考えた場合,上記の引用文献の記載に帰着することとなります.
一方,では実際の運用実績を考えた場合には,先の【回答】の通りとなるわけであり,回答のレベルによって工学者の設計・理想的な常識論を優先させるか,専門従事者として実績を優先させるかの違いに因ります.
その点をはっきり記載すれば良かったのですが,記載不十分により誤解を招いてしまったようで申し訳ございません.
なお,上記の引用文献について,主な支配的要素等を補足すると以下のようになります.
1.高速増殖炉における核燃料の原子炉内滞在期間(3-4年)については,今後延長が模索される可能性があるとしても,さほど大きな違いを生む物ではない.
2.一方,原子炉から取り出した使用済核燃料は強い放射能を持つため,原子炉から取り出してもそれから発せられる熱(崩壊熱・放射線と言っても良い)がある程度以下になるまで,冷却期間を要するのは必須.
3.後述する要素(Pu-241他)により,資源論だけを考えれば使用済核燃料を取り出し後,すぐに再処理できれば理想的である.
しかし,合理的に放射線を遮蔽し,崩壊熱を除去しながら再処理工場まで運搬するためには,輸送用のキャスク(核燃料収納容器)の設計条件他にも左右され,ある程度の合理的なところでバランスするまで,2.で述べた冷却期間が必須となる.
また,再処理工程や燃料の加工工程等を考えた場合,当然のことながら除熱の問題や,何より強い放射線による各種薬品類の劣化,臨界安全などの様々な要因を考慮した場合,当然ながらある程度「冷ました」状態にあることが求められる.
4.一方,核燃料サイクルを考慮した場合,再処理で得られるPu-241も核燃料として重要な核種である.
しかしながらU-235やPu-239と比べて,Pu-241では半減期(14.4年)が比較的短いという大きな欠点がある.
これは2.や3.などでもたもたしていると,せっかく取り出したプルトニウムの総量が時間経過とともに,崩壊によってどんどん減っていくこと(核的損耗と称する場合があります)を意味する.
また,さらに都合の悪いことに核燃料中のPu-241が崩壊すると,核燃料の価値として単純にPu-241が失われるだけではなく,崩壊後の生成される娘核種Am-241が,さらに核燃料としての価値を下げる(中性子を無駄食いする)効果もあるため,再処理にて取り出したプルトニウムをいつまでも使わずに放置しておくことは,無駄でしかない.
5.よって,工学的に常識論の範囲では,先の引用文献の記載に代表されるような運用形態が理想的であり,教科書や啓蒙書において,このように記載することについて,いささかの瑕疵もない.
6.ただし,プルトニウムを通じた核燃料サイクルの実績については,様々な技術的困難や政治的な側面,各種施設のキャパシティの問題他から,
「遺憾ながら,先の【回答】の状態に甘んじている.」
というのが正確なところである.
7.なお,先のPu-241の核的損耗や工学施設におけるロスの問題より,プルトニウムをすべて回収・利用できないのは真実である.
ただ,「利用率は六〇%ぐらい」というのは,かなり控えめな(保守的な)数値というのが,直感的な感想である.
8.当然のことながら,これらのロスは損失でしかないため,如何に極小するか工学的に大きな課題である.
また,同時に計量計算(物理的な計算)によって物理的真実として損失を計上できる核的損耗は別として,それ以外のロスの分は確実にどこかの施設に付着しているか,それとも回収不能になっているのかの2つに1つである.
しかし,IAEA他の査察においては,これらの物理的に回収できないロス(MUFFと称することがある)が大量に存在することは,査察の目をごまかして秘密裏に核兵器開発に転用する行為と,明白な区別ができない(つまり不必要な疑惑の目を向けられる)ため,その量を最大限減らすことが求められる.
よって,これらロスの極小化は日本国内の再処理工場での必須事項であり,そのために多大な努力が計られていることも,同時に指摘すべきと愚考する.
以上,非常に長くなりましたが,ご参考まで.
へぼ担当 in mixi,2009年07月23日 21:15
【質問】
高速増殖炉が実用化したら核燃料効率が飛躍的に向上して,二国間原子力協力協定を無視しても電力供給ができるようになって,核開発に邁進できるってのはどうですか?
バグってハニー in FAQ BBS,2009年7月1日(水)
13時59分
青文字:加筆改修部分
【回答】
後一体何年かかるのでしょうか.
予測シナリオでは,現在の軽水炉分の初期リプレースには間に合わず,その次の世代の30年とも50年とも言われていますが,はてさて.
もんじゅはじめ核燃料サイクルの完結は悲願ですが,そのような疑惑の目で見られては遠のくばかりであり,私自身が存命中に実現できるかどうか.
それほど簡単に進むのであれば,現在のプルサーマルやもんじゅなどでも苦労しないというのが本音であり,是非関連施設の立地にご協力いただきたいところです.
へぼ担当 in FAQ BBS,2009年7月1日(水) 20時23分
青文字:加筆改修部分
◆◆◆◆◆六ヶ所村核燃料再処理施設関連
【質問】
六ヶ所村の施設から兵器級プルトニウムを抽出できますか?
【回答】
出来ません.
そもそも,原材料となる使用済核燃料の時点で原子炉級になっていれば,それを精製することは出来ません.
さらに,六ヶ所ではプルトニウムとウランを混合した状態で最後の行程にかけるため,原子炉級であってもプルトニウム単体での取り出しは不可能です.
【質問】
六ヶ所村のプラントで,プルトニウムPu239を分離できますか?
【回答】
プルトニウムの遠心分離ですか?
六ヶ所にあるのはウランの遠心分離プラントであってプルトニウムには適用できません.
そもそもプルトニウムの同位体分離の場合,質量数の違いがわずかなため,遠心分離プラントはほとんど効果は期待できない上に,万が一そのようなことを現設備で行えば,JCOのような臨界事故は必至.
何かの悪い冗談以外の何物でもありません.
【珍説】
六ヶ所村の核燃料再処理施設は,史上最悪の核施設.
大量にプルトニウムを保有し,さらに抽出しようとする日本に対して,「核武装したいのでは?」といぶかしむ声もある.
※ なお,「週刊金曜日」にも六ヶ所村施設バッシング記事あり.
【事実】
アフォすぎて開いた口がふさがらないどころか,爆笑させて頂いたのですが.
マジレスすると,アフォすぎるので完全黙殺するか,それともアフォもしくは痛すぎる例として,さらし者の刑にするか(前者を推奨)ですね.
第一,「東京原発」(もちろん東京電力の誤り)って(絶句).貴様は広瀬隆の「東京に原発を!」の読み過ぎか?という位で.
その他,放出される放射性クリプトンの量をことさら強調していますが,クリプトンは希ガスだから人体や自然界でほとんど濃縮されたりすることが無く,それによる被曝も,最大限見積もっても自然放射線との変動(差)レベル以下だというのに.
クリプトンの放出については,六ヶ所においては希ガス回収装置の設置が検討されたものの見送られた経緯があるため,指摘の通り多い可能性があります.
ただし,それはクリプトンの回収による効果がかかる多額の費用の割に小さく,割に合わないので,その分他の対策に回した方が有効と判断されたためです.
また,シバレイが引用した数値の根拠(計算根拠)・信頼性には疑問があります.
そもそも放出されるクリプトン量の評価は原子炉における燃焼方法,保存(冷却)期間等にも大きく左右されるため,各条件が明確でないと大きく結果が異なることとなります.
そのため,どのような条件で評価を行ったのか,その手法が適切なのか,大いに議論を孕む物であり,早々簡単に計算し,何倍も多いから○○,と言えるような問題ではありません.
計算するだけなら,原子力専攻の学生に計算プログラム(公開の物であり全く秘密はない)を渡し,各種条件を入力させて計算させるだけで,やり方を教えれば3日もかからずにそれらしき値は出せます.
結局,人体への影響は浴びたり,取り込まれたりする最終の放射線の影響を評価した量(被ばく量:単位はSv,住民集団を考慮する場合はSv・人)で評価すべきなのです.
しかし,それについて引用がないのは,そこまで引用した研究所で評価ができなかった(こちらの方の難易度は環境気象調査や,風洞実験など含めると遙かに高く,費用もかかる)か,数値として自然界における放射線被ばくに比べ,無視できるほど小さなもののため批判に利用することができず,あえて出さなかったかのいずれかと推測されます.
(ここで異常値が出ていれば,シバレイはともかくとしても,明らかにその旨追求するはずであり,説得力もまるで異なる).
日本の実際として,原子力発電所に限らず,六ヶ所の再処理工場の設置許可申請においては,必ず被ばく量の評価をしなければならず,通常時,設計想定事故時に置いて全く問題とならないことを確認しています.
(していなければ,原則禁止事項の解除処分である設置許可が下りない).
本来,人体や環境への評価としては放出される放射能全てを考慮しなければおかしく,そのある一核種だけを取り上げて,挙げへつらうのは失当.結果として支配的でなければ針小棒大以外の何者でもありません.
適当に攻撃できる数字が見つかったから,はしゃいでいるレベルの低さ(元々極左には求めるべくもないか)にはあきれ果てるしかない次第で.
以上より,シバレイの指摘は自分にとって都合の良い,エキセントリックな数値だけを用いて,悪質なアジテーションをしているだけであり,全く議論や信頼に値しないと結論できます.
良く理解している人間なら,他の核種や他の問題を指摘するところですが,未だかつて反対派から聞いたこともないですね(冷笑).
プルトニウムの計量誤差の問題を指摘するなら,まだ議論のし甲斐がありますが,職業反対派の専門家以外,極左はほとんどこの問題を理解できないようですね.
ちなみにシバレイや週刊金曜日に限らず,反対派は同じ議論に粘着する傾向がありまして.
(それぐらいしか攻めるネタがないというのが実際).
オウム返しのように言い続けるしかできないところに,彼らのレベルの低さがある訳で.
「問題にするなら,たまには違うネタを持ってこい!
何度も同じ話をされてもFAQになるだけだ,アフォ!」
というのが個人的に偽らざる本音です.
極左が原子力に反対するのは,
1.反権力闘争として,絶好のネタだから.
2.いかにも自分は自然や人民に優しい,という偽善面をできるから.
3.地元農家,漁師などの原子力反対派を自らの支持基盤に取り込みたいから(成田闘争と同様).
(特に社民党に顕著.共産党もほぼ同様.ピースボートや極左テロリストなどjpc.org(<ドメイン名不正確の恐れあり)にそれらしき物がうじゃうじゃいるのもそのせい.)
というところでしょうか.
いずれも相手にするだけ相手の思うつぼであり,草の根レベルでは徹底無視が最適と考えます.
そもそも,そのようないい加減な施設なら,規模は小さいとはいえ,とうの昔からある茨城県東海村の同じ再処理工場近辺で大惨事が起きているはずです.
近くに日立市など人口密集地帯があるだけに,ガンの発病率が上がれば一発で分かるし,海産物が汚染されるはずなのですが,未だに優位な変動は見られないと言うのは完全無視ですか(冷笑)?
論調が,うん十年前の東海村再処理工場の頃から全く変わっていないのは,彼らの頭の中がうん十年前から全く進歩していないことを立証しているような物で,正直,冷笑の対象にしかならないのですが.
まあ,相手にするだけ疲れて,相手の思うつぼですので,完全無視が無難でしょう.
それでもつっこんでくるようなら徹底的に相手になりますが,相手はまさに「厨」以外の何者でもないので,お話しにならないという結論にしかならないと愚考します.
「名無し型原子炉」 by mail
原発反対派の私からも一言,たしかに日本は多くの原発事故を起こし,また,多くの国民が原子力に不安を持っているのはたしかですが,
>先月31日には放射能「クリプトン85」をたった一年で
>チェルノブイリ原発事故の10倍も出すとされる「史上
>最悪の核施設」が試験運転を開始し始めた.
(シバレイ氏のブログより)
のような不安を煽る変な情報を流すのは止めていただきたい.これだから原発反対派はバカにされるのです.
これでは六ヶ所村の核燃サイクルはチェルノブイリ原発事故より10倍危険だと思われますよ.
プルトニウムとかが大量に保有することになっても,すぐさま核兵器になるわけじゃありません.
核実験をして,ミサイルの実験をして,核兵器を小型化して,ミサイルに搭載して,それで初めて核武装ができるのですが,日本の場合,多くの国民が原子力や核に対しアレルギーを持っていますので,核武装は到底無理でしょう.
>■欧州で本格化する「原発から自然エネルギーへの移行」・
(省略)
>風力や太陽光,小規模水力,バイオマスや地熱などの
>自然エネルギーの活用も活発化した.
>目標設定の低さが目立つのは日本だ.2010年までに1.4%と,
>まるでやる気がみられない.
(シバレイ氏のブログより)
自然エネルギーの発電量は少量です.
したがって,大量の電力を生産する原発の代わりにはならないと私は思います.
それにドイツやイタリアやオーストリアは,フランスの原発で作った電気を輸入しているから,原発から自然エネルギーに切り替える事ができるのです.
ちなみにフランスは,外国に電気が売れるというので原発を推進していますよ.
資源小国日本は周りを海に囲まれているので,電気を買うことができず,石油や原発に頼るしかないのが現状です.
「欧米でできるのだから日本もできる」
とは思わないで欲しい.
日本は一般家庭に燃料電池発電を普及させるなど,原発に頼らなくても良い方法はいくらでもありますが,まだまだ時間がかかるとも付け加えておきます.
時事ネタですけど,シバレイ氏はなんで六ヶ所村の再処理工場の心配して,北朝鮮の核実験の心配をしないんだろう.
原発反対派は理論武装をせずに危機感を煽って騒ぎ,間違った情報を広めようとして,その結果一般の人々から敬遠されるような気がします.
シバレイ氏のブログでは,
>現地NGO「チェルノブイリ身体障害者同盟」発表によると
>死者数は150万人.ロシアやベラルーシも含めると
>被爆者総数は最大で900万人という説もある.
ですが,事実は
チェルノブイリ原発事故でのガン死数の見積もりは
IAEA(2005年では4000人 対象・被爆量の大きい60万人
WHO(2006年では9000人 対象・被災3カ国740万人
IARC(国際ガン研究機関)(2006年)では1万6000人 対象・ヨーロッパ全域5.7億人
キエフ会議報告(2006年)3万〜6万件 対象・全世界
グリンピースでは9万3000人(2006年)対象・全世界
であり,
これからは,
「今中さん,チェルノブイリ事故ではどれだけの人が死んだんですか?」
と聞かれたら
「いまの"私の勘"では,最終的な死者の数は10万人から20万人くらい,
そのうち半分が放射線被曝によるもので,残りは事故の間接的な影響でしょう」
と答えることにしよう.
もとより雑ぱくな議論であり,いい加減な仮定の基にはそれに見合った結論しか出てこないことは承知であるが,
「よく分からないので無いことにしよう」
と結論するよりましな試みではないか,と思っている.
(京都大学原子炉実験所助手 今中哲二氏の話,ただし引用は原子力情報資料室)
とあり,チェルノブイリ事故の死者数は専門家でもはっきりとしていないのに,150万人が死んだというおかしな話を広げるとは.
確かに反権力はすべて悪いとは言わない.
しかし,このような誤った情報を流し,その情報を自分で検証しない.
これで本当にジャーナリストなんだろうか.
ちなみに,このような間違った情報を流している原発反対派は沢山ある,とも付け加えておきます.
【珍説】
日本政府には,日本国憲法の掲げる非軍事の外交努力を強めるとともに,国際社会が核拡散を憂慮するプルトニウム利用計画を見直すことを求めます.
(グリーンピース)
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
IAEAは「日本の核管理体制は世界の優等生」と称し「核の平和利用のお墨付き」を日本に与えています.
あなたの言う国際社会とは何処ですか?
【珍説】
六ヶ所村の再処理工場は(核兵器製造のための)軍事工場だ.
槌田敦=名城大教授=著『環境保護運動はどこが間違っているのか?』(宝島社新書)
【事実】
核兵器を製造するには,まず実験をしなければいけません.
次に,核弾頭を運搬するためのミサイルを開発することも忘れてはいけません.
それには多額の税金を使わないといけませんし,国民の理解と協力も必要です.
しかし,今の状態では事実上不可能です.
槌田先生,これだから原発反対派は馬鹿にされるのですよ.
【質問】
質問です.
http://www.gensuikin.org/nw/mm_jpu.htmより
――――――
マービン・ミラー(マサチューセッツ工科大学の物理学者)によれば,
@「早発」問題は,日本の技術力があれば解決できる.(よって,日本も核保有可能)
A日本には,プルトニウムと兵器級ウラン(WGU)を入手するいくつかのオプションがある.
1発電所の原子炉を頻繁に止めて燃料交換を行い,燃料の燃焼度を低くすることで,燃料中のプルトニウムの中のプルトニウム239の含有率を上げるというかたちで,兵器級プルトニウム(WGPu)を生産する.
2.レーザー分離プロセスを使ってRGPuをWGPuにするか,天然ウラン又は低濃縮ウラン(LEU)からWGUを作る.
3.商業用のウラン濃縮遠心分離工場を使って,LEUの代わりにWGUを作る.
4.高速増殖炉「もんじゅ」の天然ウラン・ブランケットでできるプルトニウムを分離する.このプルトニウムは,WGPuよりもさらにプルトニウム239の含有率が高い.
5.生産炉でWGPuを作る.
そしてセリグ・ハリソンが検討していないもう一つのオプションはつぎのものである.
6.高速臨界集合体にあるWGPuとWGUを使う−−それぞれ数百キログラムずつある.
詳細は省くが,高性能爆薬技術,慣性核融合,水素の同位体の製造と取り扱いなどの分野における日本の研究について調べてみた結果,核兵器におけるRGPuの使用に関連した問題,すなわち「早発」の問題を解決する能力を彼らは持っているとの結論に達した.
(中略)
原子炉級プルトニウムを使って,兵器級を使った核兵器と同等の威力を持つ核兵器を作ることができると言うのが私の考えである.
――――――
技術的な話に限定した場合,上記は事実でしょうか?
2011年02月26日 21:53 鉄底海峡
【回答】
「一切返答しませんし,その価値も認めません」
というのが私個人の見解です.
それらについて,技術的知見は持ち合わせない訳ではありませんが,理論的なお話しと,技術的(工学規模)のお話しを意図的に混ぜており,それに対して技術的知見から回答するのは不適切です.
まあ,疑う人間は疑っても構わないのですが,我々はIAEAによる査察を通じて,その透明性を担保するだけであり,原水禁が持ち出すような,
「反対のための議論」
に労力を費やすのは無駄です.
なお,ハッキリさせておきたいのは,これらの議論の中で「臨界安全」という考え方や,原子炉物理(原子炉における核燃料の燃焼・壊変・転換)に対する考え方に重大な齟齬,もしくは意図的な事実の無視が見受けられます.
よって,
「一切返答しませんし,その(議論の)価値も認めません」
との結論になります.
門前払いの回答で恐縮ですが,ご参考まで.
2011年03月07日 12:47 へぼ担当
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