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「D.B.E. 三二型」(2012/04/04)◆防衛装備,英との開発検討=首脳会談で協議-政府
「kojii.net」■(2013/03/18) 防衛産業と愛国無罪に関する徒然
「適正利益の保証と過剰な支出の抑制の両立」のためには
「Togetter」◆(2010/09/22)ドイツと自衛隊の兵器開発に関する四方山話
「VOR」◆(2012/12/21)三菱電機 防衛省などに過大請求
『誰も語らなかった防衛産業』(桜林美佐著,並木書房,2010)
http://tinyurl.com/2arusjm
「一度製造をやめてしまったら,次に始めたい時には,もう技術者はいない」
(三菱重工 鈴木技術部長)(P38)
<このお金(国防費)が「自分たちの安全のために」計上されている予算だということについて,ついぞ忘れがちなのは,世の中が平和だからだろう.
兵器は使われたときに圧倒的な威力を発揮すべく,多額の予算を通じて開発されるが,最後まで「使われない」で天命を全うすることがベストという大きな自己矛盾を孕んでいる.
そしてそれは自衛官の存在も同様である.
この頃は,「一生使わないものにお金をかけるのは無駄」という思考,国の安全を経済的観点で計るという発想から,見えないものへの負担は御免こうむるという人も増えているようだ.
「抜かない名刀」に価値を見出せるかどうかは,今後の日本人の資質が左右するといえるだろう.
実は,この投資には国家の技術力の進歩・発展や,人的資源の養成,抑止や安心感といった無形のさまざまな「財産」が残されるのだが,それがなかなかわかりにくい.
本来,そういう意味で,すべての国民が受益者なのだ.>(P124)
■徹底的な取材が生んだ初めての入門書
防衛産業という業界ほど,その意味を理解されず,実態をゆがめて伝えられてきたところも少ないと感じます.
これについて著者は,「断片」でしかこの産業を評価できていないから,と言います.
(それにしても題名「誰も語らなかった防衛産業」は秀逸です.
このタイトルは,本著のみならず戦後日本の総てを物語っている感を私は持ちました)
そんな現状のなか著者は本著で,これまでにない視点で防衛産業にアプローチしました.
「モノ作りの現場の人間」という視点です.
本著は,モノ作りの現場から真剣に国防を考えるという新たなスタイルを提示し,軍と民をつなぐ場でブラックホールと化していた「防衛産業」の姿・意味を描き出した見事なルポルタージュです.
しかもそれだけに留まらない,他に類をみない総合性を持つ初心者向け啓蒙書となっています.
知る限り,同種の作品を見たことはありません.
本著最大の特徴は,装備や武器・兵器をゼロから作る「国内の防衛産業の現場」という見えない存在に日を当て,防衛産業を支える大企業から小さい町工場まで幅広く取材していることです.
大きなことだけでなく,こういう具体的な底辺部分の実態をどこまで了解しているか.
忘れがちなこういう視線に本著は気付かせてくれます.
取材先企業は,
「三菱重工」
「常盤製作所」
「洞菱工機」
「エステック」
「石井製作所」
「明治ゴム化成」
「三菱長崎機工」
「日本製鋼所」
「多摩川精機」
「コマツ」
「IHIエアロスペース」
「旭精機工業」
の12社.
それぞれの会社の雰囲気・歴史が,こまやかなタッチで,こなれた文章を通じて表現されてます.
なかでも,各企業の軍需品にまつわる歴史は非常に貴重で,資料的価値があります.
本書最大の秀逸さは,「多能工」「コスト削減」といった言葉に代表される,ミクロの生産現場からの視線という光の筋が,防衛産業の受益者代表たるわが自衛隊部隊への訪問やコラム二編というプリズムと交叉することで,読み手の視野が「防衛産業とわが軍事技術,わが自衛隊,わがモノ作り,わが軍事,わが国防,わが安保,わが国策との関わり」というマクロな七色に広がることです.
そしてそれに成功した点です.
小さなこの本がそこまでできた.
実に見事です.
このおかげで,ほとんどの国民がつかめていない
「軍の装備が意味するもの」
「防衛産業の国家における意味合い」
「防衛費削減が防衛産業,ひいてはわが国防に至大なダメージを与えている事実」
といったことを理解できるようになります.
[中略]
■防衛産業からの企業の撤退
防衛費削減が続き,国内産業が撤退しつつある防衛産業界の現状紹介が本著の重要な柱です.
非常に重要です.
(次期主力戦闘機選定が遅れに遅れている戦闘機分野では,しびれを切らした二十社がすでに防衛産業から撤退したそうです)
たとえば住友電気工業は
「防衛関連の事業は高度な技術力が必要とされながら,成長性に乏しく,限られた人材や生産設備は民間用に振り向けられるべき」(広報)
との経営判断から防衛事業から手を引いてます.(P22)
平成二十一年に発生した富士重工の防衛省提訴も衝撃的な事件でした.
話は違うかもしれませんが,気になったことが一つありました.
三菱重工は平成二十二年七月,神戸造船所の民需生産から撤退し,防衛事業のみ継続する決定を下しました.
本著を通じておぼろげながらわかったのが,この撤退は,毎年行われていた潜水艦更新が平成二十一年度に行われなかったことと関係しているのではないか?と思われることです.
<二十二年度の概算要求に予算は計上されたが,いずれが受注しても,逃した方は「三年間受注できなくなる」 そのため,技術者維持が極めて困難となる.>(P22)
わが潜水艦は三菱神戸,川重神戸が生産し,一年おきに受注しています.
以前もお伝えしましたが,潜水艦の製造技術全般はその国が持つ技術力を図るひとつの物差しといえる高度なもので,中途半端な国では製造できません.
民需の受注が極度に少なくなったから業態を変更する,というのならそれでいいのですが,私の推測が的を射ているとすれば,三菱重工首脳陣は,防衛技術継承のため,経営上ギリギリの決断を下したと推察されます.
誠に立派な報国精神です.
これは三菱のみならず川重も同じような状況でしょうし,防衛費削減が続く中,防衛産業界では,将棋倒し的に同種の危機が起きていると見たほうがいいようです.
わが装備調達を代表する言葉として挙げられるのが「多品種少量生産」で,「とにかく発注量が少ない」ことが,防衛産業最大のネックになっているとされますが,どうもそういう言葉だけでは済まされないレベルに防衛産業は至っているようです.
こういう状況に喜んでいるのが誰かは,容易に想像できますよね.
報道される種々の企業ニュース単体では,意味するところがよく理解できないものです.
しかし本著を通じ,防衛費削減がつづく現実が防衛産業に与えているボディブローの影響がわかると,見えてくるものはかなり違ってくるように思います.
■読んでほしい武器輸出三原則のところ
武器輸出三原則の緩和に対する防衛産業の姿勢は,実に興味深いです.
わが国の現状は「世界との競争に太刀打ちできない」状況にすでにあり,下手に緩和したら「海外の軍需産業に呑み込まれるだけ」になりかねないということです.
ただ,21世紀の主流になる「多国間共同開発」のためには緩和が不可欠というスタンスです.
おそらくこの話は,関係者の間では常識だと思います.
でも,一般国民レベルまで下りてきたのは今回が初めてではないでしょうか.
また,P141からのコラムでは,わが国軍需産業は海外兵器市場でもまれた経験がなく,開発面も自衛隊のみに限られており,政府にも武器輸出を外交手段として活用する発想はないという環境があることから,<狡猾な外交戦略なしに参入できるほど武器輸出は甘くない>と記されています.
その後に記されている韓国の武器輸出戦略も,非常に興味深い内容です.
■圧巻は「まとめ」
極端な話をすれば,この「まとめ」を読むだけでも十分といえます.
それほど秀逸な「防衛産業をめぐる問題点整理」であり,「軍需品調達入門」であり,「調達をめぐる現状の問題点のまとめ・提言」です.
版元さんに伺いましたところ,「フジサンケイ・ビジネスアイ」で今年四月から連載された「防衛産業のいま」を書くに当たって,集中して取材・勉強された結果ということがわかりました.
桜林さんご自身の手になる内容ということです.
非常に驚いています.
■最後に
「国内における軍需品の生産基盤維持」は,わが安全保障と直結しています.
装備や武器を輸入するばかりでは,防衛産業は国内で発展しません.
その結果,国内産業力は低下し,現在ある生産ラインや技術者の維持が極めて困難となり,国産装備品は製造できなくなるのです.一度失った技術は二度と取り戻すことができません.
重要なのは,将来の後輩たちが「やりたい」「やる必要が出てきた」ときにはもう遅いということです.
これこそが,防衛産業を理解するキモです.
多くを外国から輸入することで「わが防衛産業」を弱くする方向は,先達からの軍事技術の伝承を絶やし,「わがモノ作り能力を自ら削り」「わが国防・安保を危うくする行為」だということに,本著は痛いほど気付かせてくれます.
現場への取材を通じてよく伝わってきたのが,いま,軍需品を製造しているわが企業は,民間企業の生命線「儲けること」というより「わが国防を支える使命感」で技術・ノウハウの維持を行っている姿勢です.
防衛産業関係者から出てくるのは「お国のため」という趣旨の言葉ばかり.
本当に感激します.
なかでも私は,石井製作所社長の言葉に感激しました.
<「いろいろ苦労はありますが,どうしても投げ出すことはできません」>(P78)
お国のためにがんばっているこういう人々の使命感に依存するばかりの現状のままでいいのでしょうか?
国家国民総てが「依存症」でいいのでしょうか?
強くそう思います.
われわれの目に見えないところ,耳に聞こえないところにホンモノの日本がある.
綿密な取材を通じ,そのことを改めて思い起こさせてくれた著者に感謝します.
あなたにもぜひ読んでほしいです.
「徹底的な取材で得た事実」が「圧倒的な迫力」をもって「防衛産業・軍装備の意味にまるで素人のわれわれに,ひたりと訴えかけてくる」本です.
そのうえ,日本人であることを誇りに思える「感動」までくれます.
戦車は単なる戦いの道具ではなく,地上戦で唯一「抑止力」を保有する装備であり,現場のわが隊員を護るために必要不可欠な存在――といった具体的な軍事理解に資する記述がワンサカあるのもうれしいです.
心からオススメします.
追伸
残念ながら「フジサンケイ・ビジネスアイ」の連載「防衛産業はいま」は終ってしまいましたが,この連載企画の価値は非常に大きいものがあります.
スクラップしてた人も多かったのではないでしょうか?
ぜひこの続きを読みたいです.
もっともっと多くの企業を取材して,防衛産業の実際を広く国民に伝えてほしいと思います.
そして本著の続編を作ってほしいです.
------------発行:おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2018.9.15
『武器輸出だけでは防衛産業は守れない』 (桜林美佐著,並木書房,2013)
おはようございます,エンリケです.
著者の視線は常に現場とともにある.
自衛隊の現場,英霊遺族の現場,そして防衛産業の現場.
日本国民の「防衛産業」への理解はゼロに近い.
あるとすれば「死の商人」という幼稚なイメージだけではないか?
しかし大山巌が言うごとく,兵器の独立なくして,国家の独立はない.
兵器の独立は,防衛産業が支えるものだ.
すなわち,防衛産業は国防の土台であり,世界に冠たる技術力を防衛に活かさない限りわが国に明日はない.
防衛産業は国防の土台,と啓蒙を続ける著者は,かなり前から防衛産業の現状を伝えてきた.
その記念碑ともいえる,防衛産業の実像を国民に伝えるシリーズ「防衛産業」が,今回で第二作となった.
本著は,入門的側面が多かった前書より歩を進め,各分野の詳細に踏み込んだ,より具体的な内容となっている.
読み手は,ほとんど知識を持たない防衛産業をめぐる様々な事実を知るなかで,現実にそぐわない防衛産業への視線・対応を痛感し,わが国防・防衛への真の視野を得る.
兵器や装備,需品という自衛隊の「モノ」はすべて,国防を支えるかけがえのない資産だ.
その資産を作る「制服を着ない自衛官たち」の姿を知り,彼らが置かれている現状を理解し,作戦用兵の基盤となる「国防の土台」理解にいたる導きを提供する本著は,前作同様,傑作と言って差し支えない作品である.
------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2018.10.20
【質問】
日本の民間企業で,兵器作ってる会社ってどこですか?
兵器の種類別におしえてください.
【回答】
社団法人日本防衛装備工業会・正会員名簿
自衛隊向けの兵器を製作中の鍛冶職人達
(画像掲示板より引用)
【質問】
日本ではMBTなど国内開発が継続している分野と,戦闘機などそうでない分野とがあるのは何故ですか?
【回答】
>MBTなど開発が継続している分野
これはすごくタイミングが良かったというのもある.
自衛隊は創設直後は,M4だのM24だのとアメリカ製戦車を使っていた.
このときの米陸軍は,第二次大戦で作った山のような在庫を抱えていたので,これを更新する費用なんて出したくなかったのだが,朝鮮戦争は起こる冷戦は始まるで,「やりたくもない」戦車の更新を急遽やる破目になった.
これはアメリカ自身と,欧州同盟国…NATOが最優先.つまり,日本にM46だのM47だのという戦後第一世代を回す余裕が全く無くなっていた.
なんで,渡洋作戦しなきゃ絶対に使われないという米軍ともNATOとも違う条件,つまり「日本の必要とする戦車」を日本に開発,生産させるという話がまとまった.
一方,戦闘機開発だが,昭和30年代の防衛費ってのは,GDP比で1.78パーセントもあった.
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/1987/w1987_03032.html
国の予算での比率で言うなら16パーセント.
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/is210000.html
そんな状況で「本格的な戦闘機」,つまりソビエト製戦闘機に対抗できるような性能を日本が目指そうったって,それは無理.
開発費が出ない.
そもそもがF-86も,訓練に使うT-33も,米軍の「供与」で,日本の財布から出していない.
出すこともできない状況だったんだから.
それに対して,昭和30年当時はすさまじい「航空ブーム」だったそうだ.
東京のデパートで行われた「これからの航空展」の来場者は,最終日には午前中だけで8万人だったとか.
その国内の後押しがなければ,T-1の開発なんてできなかった.
ジェットに切り替わった瞬間に発生した戦後の7年の空白は,救いの無いタイミングだったと言える.
戦争・国防板,2009/08/14(金)
青文字:加筆改修部分
【質問】
兵器を国産化するメリットなど薄いのでは?
【回答】
ケース・バイ・ケースです.
確かに国内企業に仕事を与えるとの観点だけならば,輸入でも良いのですが,防衛予算は国民の税金であってかつ有限なものです.無駄遣いは出来ませんし,購入を必要とする物は沢山あります.
ですから無闇に国産化して非常に高価な代物になってしまった場合,また,国内企業の力量では性能的に不十分なものにならざる得なかった場合,高価であれば他の装備品や設備の予算を圧迫してしまいますし,性能不十分であれば現場には不満が出るでしょう.世論には防衛予算の無駄遣いとの非難も起こりかねません.
これでは装備の国産化は意味があるどころか,日本の国防にとってはマイナスの効果の方が大きくなってしまいます.
装備品の調達においては,それを国産とするか否かは,国内企業の力量で望む性能や価格の装備品が得られるのか?, 国内産業の維持や技術者の技量維持を加味しても,その開発費が外国製品の購入や共同開発と比較して妥当なものか否か?,を,単に防衛関連企業に仕事を与えるだけの観点だけでなく,もっと高いレベルで議論する事が必要かと思います.
兵器の国産化の利点としては,以下が挙げられます.
(1) 日本の企業は大規模なシステムエ・ンジニアリングを不得手としており,国策として育てる必要がある.
軍事技術は直接民需に役立つわけではないが,防衛調達により育てられたエンジニアリングセンスは他の業務を行うに於いても有用である.
総合エンジニアリングが可能なのはM社のみ.お寒い状況である.
(2) 輸入兵器は内需にはつながらない.
また,輸入兵器が必ずしも安価ではない場合がある.
特に競争相手のない兵器を輸入する場合,相手の言い値になること多し.
ラ国の場合,相手には及ばぬが別に自国でも作れますという場合は,多少ではあるがライセンス条件交渉が楽になる.
(3) 技術の維持というのは,絶え間ない連続性が必要.
米国がなぜ3隻目のSEAWOLF級原潜を建造せざるを得なかったか?
どこの国も事情は同じ.
(4) 米国と共同開発になった場合,資金は日本持ち,開発した技術はロハで使わせる,自分の技術は出さない,量産時は仕事を分けてくれと言われるのは必定.
FS-Xでの安易な妥協はもう二度としないというのが,関係者の教訓.
国内調達による弊害もないことはない.
例えば東芝が吹っかける値段といったら….
155榴コンソール用アルミフレーム"だけ"で500万.あれって一体….
しかも一般材をガス溶接しただけ.
鉄鋼所に見積もり出したら,30万でゴージャスなの作れるってよ.
トドメに,誰も使っておらず,演習は自前のノーパソで弾道計算.
北海道某所の特火とか人が見にくるときは,しょーがねーから使うわけだが,ダるくてしゃーないって.
マジで外部PC接続用のI/F欲しがってたぜ.RS-232Cで充分だからって.
東芝猛省すべし.
国産兵器(精神的打撃用)
(画像掲示板より引用)
【質問】
割高な国産兵器開発整備で国は守れるのか:清谷信一ブログ
この主張の妥当性は?
【回答】
輸出品でも,使えなければ意味はありません.
清谷さんまだC-2やP-X,UH-Xを玩具とか言っていますね.
何というか,話が通じてないというか.
確かに歩兵の装備は年々,ハイテク化・高騰化が進んでいるのは事実です.
しかしだからといって,国産輸送機や哨戒機,救難ヘリを玩具呼ばわりはないですね.
まあ恐らく,これらは輸出にしろと言いたいのでしょうが,もう一回輸出にしたら早期退役した航空機を紹介しましょうか?
MH-53E
MH-53Eは1989年に海自に調達された掃海・輸送ヘリですが,当時は日米貿易摩擦の時代とあって,アメリカ側の強い要望により,全機FMSによる輸出でした.
しかし,ライセンス生産されなかったために,整備に支障をきたし,結局はライセンス生産が出来たEH-101に,その座を譲って全機退役する予定です.
まだ20年ちょっとしか経っていないのに退役とは,早過ぎるようですが結局,ライセンス生産または国産でなければ,整備に支障をきたして稼働率が低下,早期退役となってまた新たなコストがかかってしまうのです.
それは軍用機だけではありません.
歩兵用の暗視スコープや小型UAVも同じです.
日頃のメンテナンスがあり,高い稼働率を維持しなければ,いざという時に役にも立ちません.
そしてメンテナンスと高い稼働率を維持するには,防衛費は常に高くなければならないのです.
だいたい,輸出兵器が安いという概念は,F-35で破綻しています.
清谷さんはいつその事を理解してくれるのか・・・(´・ω・`)
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年06月10日19:16
【質問】
自衛隊に納入される兵器の生産は,オートメーション化くらいはされていますよね?
【回答】
日本に限って言えば,兵器製造の現場への工業用ロボット導入は激しく遅れてる.
ロボットどころか機械化そのものが全然行われてない.
設備投資しても元が取れないからね,自衛隊の発注数じゃ.
豊和工業は今だに自動小銃のライフリングをホット・ハンマーで彫ってるからなぁ・・・.
世界的には銃のライフリングは,水圧式のコールド・ハンマーで刻むもんだというのに.
自衛隊の幹部に設備を視察させたら
「銃身一本作るのにずいぶん手間が掛かるようですが,有事の際に生産数を倍増させるといった事態には対処できますか?」
と訊かれて,
「えぇまぁ何とか
(・・・テメエらが一年あたりの発注数を増やさない限り,これ以上の生産設備なんか揃えられないっつうの.有事に緊急生産するくらいだったら,平時から大目に発注して予備揃えとけばいいだろ!)」
と答えた,という話がどっかにあったなー.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【珍説】
輸入すれば,自主開発するより安価で兵器を調達できる.
【事実】
必ずしもそうとは限らない.
作れない物を輸入しようとすると,フッ掛けられる可能性がある.
例えばM1A1戦車を輸入する場合でも,米軍に納入されている価格の5億円では買えない.サウジに輸出された時は,15億円とも,40億円とも言われている.
冷戦当時は,最前線の国家やNATO加盟国には,格安で販売された事も有ったが(それでも,開発した国の軍隊に収めるよりは高価),今はそんな事も期待出来ないので,ボッたくられない為に,兵器開発能力は必要.
輸入機(想像図)
(画像掲示板より引用)
【質問】
この意見などに見られる,「兵器国産は,メーカー救済を第一に考えた調達」という見方はどうでしょう?
【回答】
清谷さんのブログを久しぶりに拝見しましたが,相変わらずこの人は国産兵器やライセンス生産兵器を敵視していますね.
そもそも国家の防衛には金がかかる,という事を全く理解していません.
どんな国でも国防は,国民生活や産業復興と並ぶ重要課題の一つです.
そして国産武器やライセンス生産は,どの国でも国防の最重要課題です.
例えばイスラエル航空宇宙軍は,1000時間の飛行時間と世界一の航空能力を保持していますが,イスラエルはアメリカからのFMSで航空機を購入している以外にも,IAI社が航空機のライセンス生産もしています.
ですから1000時間の飛行時間を保つ稼働率を維持する事が出来るのです.
航空自衛隊が240時間と,先進国の空軍が平均200時間なのを比べても長く飛んでいるのは,ライセンス生産で稼働率を維持しているからです.
特に日本は国防識別圏が他国に比べて広いので,なおさら稼働率と飛行時間を維持しなくてはなりません.
これは日本が海に囲まれており,大陸よりやや離れているからによります.
となると制空任務と対艦任務に重点を置くのは,戦略と地政学,軍事理論上では当然の事です.
これは世界でもあまり例はありません.
台湾は島国ですが,大陸とは海峡ほどの距離しかありませんが,日本は中国とは東シナ海,北朝鮮とは日本海でかなり離れています.
その制空任務を維持するには飛行時間,飛行時間を維持するには稼働率.
そして稼働率維持の為にはライセンス生産と国産武器は不可欠なのです.
清谷さん,その点わかっているのかな・・・?
バルセロニスタの一人 in mixi,2010年02月12日06:41
青文字:加筆改修部分
【質問】
自衛隊員の制服を国産ではなく輸入にしろと主張している人が居ますが,自衛隊員の制服を国産から輸入に変更すると,どのようなことになりますか?
【回答】
様々な理由で国内でしか生産できないものは国産にこだわるのだが,普段に隊員が使う分で問題ないモノは,どこの製品で大量生産してもいい.
非常事態に国内での生産が心配だと思うが,縫製する力が残っているならば,ラインを常設しておく必要はない.
制服は色や形を揃えるモノだという認識があるかもしれないが,いざとなったら生地やデザインが若干違うものが出てきても許容範囲だ.
(「普段」はともかく式典とかで,整列してる隊員の中に一人だけ官品じゃない私物品で,微妙に色が違うので目立つとかは,部隊が統制できてないって事になるので,連隊によっては怒られたりする事もあるけどね.
最近はそれほど目くじら立てない例も多いけど…)
まぁ,一番の問題は,日本人が国産で国を守っているという想いを,輸入品に頼ることで,どう形を変えて捉えるかということだろうな.
服だけじゃなく装備全般にも言えることなんだけど.
なお,既に「国内生産でなくても構わない」一部の制服や需品・個人装備は,とっくの昔に海外メーカーの製品を導入している.
つまるところ,「輸入しろ」などというのは時代遅れのいらんお世話だし,変更も何もとっくにそうなってるので,どのように変わる事もない.
余談だが,自衛隊員が営内生活で着用する,支給された官品のジャージは,さりげなく海外某有名ブランドの製品だったりして,(その割りに地味でダサいですが),機能的でかつ丈夫で長持ちし,当然性能に見合った価格であるために,時折一部の国産品排他主張者がいう,
「高いだけの国産製品じゃなく安くて,かつ高品質な海外製品を~」
というのは,かなり的外れな主張だったりする.
良いものは良い材質と加工技術が使われているんで,値段も相応になるのは当たり前なんで…
軍事板,2009/11/27(金)
青文字:加筆改修部分
▼「ニコニコ動画」:「備品,被服,銃器類・弾薬のコスト」仕分けにおける金田教授の発言
なにこの知ったかぶり.
防衛省の担当者は,制服を着た人間が駐屯地に侵入して自衛官を殺害した実例も出していましたが,思いっきりスルーされましたよ.
dragoner,2009年11月26日 23:56
▲
▼ あれですよ.きっと,現行の戦闘服やら作業服の「他に」,新しく「災害派遣時用作業服」が制式化されるんですよ!!
それなら外国製でも歓迎したいです・・・
環境整備の時に着れるような作業用の服なら,何着あっても困りません,と中の人が言っています.
雪風伍長,2009年11月27日 00:57
私も同じようなことを考えましたが,現実にはこれも問題があるかと思います.
かつて,御巣鷹で自衛官の格好をして,現場に侵入したマスゴミがいましたし.
dragoner,2009年11月27日 01:00
あれですね.災害派遣部隊の炊き出しのフリして毒物テロ.
できそうだから困る・・・
雪風伍長,2009年11月27日 01:22
> 現場に侵入したマスゴミ
まあ,ゴミなら処分すれば良いだけのお話ですが,テロ等のことを考えれば答えは決まっているだろうに!と言うところですね.
大体にして,私個人の本職にしても,その制服には厳重管理が求められているところであり,つい先だってのオバマ大統領訪日の際でも注意喚起という名の指示文書が発出されていましたが,何か?と言うところ.
おまけ話ですが,有明で行われる夏冬の某同人誌祭りでは,私たちは自衛官,警察官,消防士等と同じく,自分自身の制服を着ることが禁止されています.
まあ,自分自身の制服を着ていって,設備の点検です,と装えばいろいろな悪用も出来ますから.
その点では身分証明書ですら,持って行くのがはばかられるほどだったりします.はい.
> 炊き出しのフリ
当地では,被災者を装って
(目撃者に因れば取材の腕章を外して隠していたらしい・取材なら取材ときっちり言えば良いだけのお話だが,食事代を浮かせたかっただけの模様.)
炊き出しに並んだマスゴミは居たようですが,まあ,そんなものですね(苦笑).
へぼ担当,2009年11月27日
▲
【質問】
「日本の技術があれば3週間で核武装が出来る!」
「日本の兵器はすごいんだぞ!」
とか言ってる人が,政治家等も含めているようですが・・・
日本の軍事技術・兵器って世界的に見てどの程度の水準なんでしょうか?
【回答】
端的に言うと,実戦で使ったことが無いので良く分かりません(^^;
よく見かける誤解だが,「日本の軍事技術水準が世界一」は明らかな間違い.
一般工業技術のインフラと,例えば航空技術ではレベルが変わるし,軍事技術はさらに一段も二段も違う.
核兵器については保有していないので,どの程度の水準と断定することは無理.
兵器の水準については,水上艦や潜水艦については世界でも有数.
航空機もF-15をライセンス生産できる程度のレベル.
陸戦兵器についても,一部は極めて優秀.
しかし輸出していないので,他国の評価は無いも同然.
無視されているというのが事実(極東の近接国家除く).
今,各国がうるさく「民間技術の軍事転用」と喧伝しているのは,つまりはこれまでは民間技術は軍用にならない,ならないのが当たり前だった,ということ.
自嘲はよろしくないが,現実は現実.軍事ってすごくインフラ要るの.
β藤原 ◆RoMNjfnp0E他
▼ 要するに日本の技術が総合的に優れているといっても,全く投資してこなかった未知の分野というのがあるわけで.
例えて言えば核兵器の技術なんかは中国の方が遥かに進んでる.
日本は核兵器ないから当然だが.
偵察衛星も同様の理由から,中国の方が進んでいて不思議は無い.
▲
【質問】
日本が,アメリカとMDや次期艦隊防空システム(ポストイージスシステム)の共同開発を行っているのは,アメリカのMDや次期艦隊防空システムの輸出をコントロールし,アメリカが日本にとって望ましくない第三国にそれらを輸出するのを防ぐためですか?
【回答】
まずアメリカは,世界中に同盟国を抱えており,それらに対して核の傘を提供するという義務がある.
冷戦期はソビエトと核を突きつけあうことで,おおむね抑止を達成できていたが,冷戦が終わる直前の湾岸戦争で,キレた地域大国風情が弾道弾で恫喝をかけるという事態に直面する.
弾道弾の迎撃はソビエトとの核抑止を成立させるために,ABM制限条約で制限されていたので,弾道弾を撃ち落すという直接的手段については手付かずといっていい状況だった.
なんで,アメリカの言うところの「ならずもの国家」から同盟国を守るために,まずアメリカがMDを必要としている.
そしてその「ならず者国家」が隣にあるせいで,弾道弾対処が切羽詰った課題となっていた経済大国があった.
そこのチンケな恫喝を黙らせたいという点で,利害が一致した両国は共同研究を経て,共同開発することになる.
アメリカをコントロールするなんてのは考えてない.
JSF(=F-35)と同じで,カネを出した分だけ,カネを出した時期が早いだけ,こっちに回ってくるのも早くなるから完成品を待たずに参加し,アメリカも高騰する開発費に見合う正当性,大義名文が欲しかったので,その話に乗った.
軍事板
青文字:加筆改修部分
【質問】
江畑さんの『使える兵器,使えない兵器』(並木書房,1997.11)という本を読んだのですが,その中に
「日本の兵器にはオリジナリティがないのが問題だ.
他国の兵器の真似ばかりだ」
という批判がありました.
先進諸国の有力な兵器を物真似して作るというのは,アメリカのような巨額軍事費をかけられない日本においては当然だし,奇抜なものよりもむしろなるべく平凡な兵器の方がよいのではと思いました.
江畑さんの批判というのは,どういう意味なのでしょうか?
【回答】
例えば,欧州の平原地帯で戦闘することを考えて設計された戦車は,大平原などというものは北海道のごく一部――それも今では開発が進んで,本当の意味での”大平原”なんか道東にしかない――日本で使うには不向き,というかメリットが生かせない,というのは解るだろ?
そして,「武器輸出はしない」と決めている以上,他国に売ったり供与したりすることもないわけだから,完全に【日本でしか使わない】ことだけ考えて設計・開発して構わない.
……という主張が江畑論.
実際には
*地形に張り付いて「伏せ撃ち」することを追求した戦車
*対艦ミサイルを4発も抱えて洋上対艦攻撃をする事を第1目標にした戦闘攻撃機
*内陸から外洋の艦船を攻撃するために地形追従飛行能力が無駄に高い地対艦ミサイル
とか,「日本の特殊な要求に合わせたオリジナリティのある兵器」が結構ある気がするので,江畑論には疑問なしとしないが.
軍事板,2009/07/23(木)
青文字:加筆改修部分
【質問】
自衛隊の国産装備は,どれもアメリカ製のパクリぽい印象を受けるのですが,実態はどうなんでしょう?
【回答】
●90式戦車
外見こそレオパルド2(A2あたり)に似ていますが,
・自動装填システムを採用して乗員を3名としたこと,
・電子制御の火器制御システムを採用したことで走行中射撃(行進間射撃といいます)の命中精度が格段に良いことなど,
・セラミックを効果的に使用した複合装甲
など,いろいろなオリジナリティを発揮しています.
●AAM-4
アメリカの新型対空ミサイル AMRAAM に引けを取らない空対空ミサイル.
妨害電波への対抗能力(ECCM),同時に多目標を処理する能力において
AMRAAM を上回るとされています.
●P-X/C-X
P-3C, C-130 の後継として目下開発中の対潜哨戒機および輸送機.
新機軸こそ少ないものの,同世代となる P-8(米)
や A400M(EU)の開発が難航しているのに比べ,今のところ順調に開発が推移しているとの話.
などなど,最近になるほどオリジナリティの高い兵器が開発されるようになってきてます.
C-X民間型(川﨑重工のパンフより)
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【珍説】
軍用機の新規開発で計画内で収まった試しがあるか?
癒着してる日本じゃ普通のことかも知れないか.
【事実】
日本の軍用機開発はF-2やるまではことごとく予算内に収まっていたんだよ.
それを
「能力が無いがゆえに開発費の高騰は明らかであり,米国製をベースとした共同開発によってリスクを低減する」
とか実績を無視してヌかしたから,顔に泥を塗られた防衛産業が反発したんだ.
F-2の予算超過分は米国側作業分担でばかり起きている.予算を超過した理由や明細を要求したが,
「説明する必要なし」
で門前払いだ.
【珍説】
防衛庁が守ってるのは,国民の生命や国の財産じゃなくて,自分達の利権だろ.
例えば,潜水艦の退役が他の国より早いのも,その証拠.
【事実】
潜水艦の話なら,
「潜水艦の建造能力を持った造船所を二箇所維持する」
という政策から耐用年数が逆算されているのが現状.
天下り先というなら,実体の無い社団法人や外郭団体で十分.
戦車戦闘機の国産能力の維持についても,自衛隊創設当初から,
「外国の判断で保有兵器の性能が決められる」
ことへの恐怖が先にある.
米海軍のFCSが供与不許可になったから,ヨーロッパ製を源流にしてでも,その当時で性能がアメリカ製に及ばなくともFCS-1を開発したし,
AMRAAMがNATO諸国限定になりかねなかったからAAM-4を開発した.
利権利権というがそんなものが欲しければ防衛庁以外の省庁に行くだろうさ.変に儲けようとすれば,制服組が平気で刺す組織なんだぜ?
中島知久平の孫が自殺した事件を知らんわけではあるまい?※
20年位前か,明らかに左巻きの取材に対して当時の三菱の会長は「国防は三菱の義務だ」と言い切ったそうだが,単年度で生産数がコロコロ変わるような業種で,企業努力で発注や市場が拡大するような業種じゃないだろ.航空自衛隊の設立当初の編制目標は30個飛行隊だぜ? 護衛隊群は5個だぜ? 先が見えないにも関わらず,一旦納入を始めたら退役するまで補修部品を作り続けなきゃならないんだぜ?
若年定年制で50過ぎで首切られるのが分かっていて入隊するような連中と同程度に物好きでなければ,日本で兵器なんて作ってられるか.
※ 富士重工は,救難飛行艇に川崎重工業が参入したことに危機を感じ,生産分担比率を調整しようと画策.
当初は垂直尾翼だけの生産だったのに,主翼全体の生産に分担が代わりました.
で,それが1998年に発覚して,知久平から数えて三代目の中島洋次郎議員が自殺.
眠い人 ◆gQikaJHtf2
【珍説】
日本の防衛産業は,実質競作もさせないで一社独占で指名買い.
これは業者と防衛庁が癒着しているため.
【事実】
市場が小さいのに,体力の無い企業の頭数だけ増やすような政策を,まともな国が採るものかよ.
いいもの作れば世界に売れる自動車でさえ,官主導で統廃合やってたんだぞ.
造船も重工業も,競争だけさせていれば40年前に全部外資だ.
日本が8000両のMBTを装備したり,600機の高性能戦闘機を装備したり,輸出も含めれば3000機の戦闘機を生産すると言うなら,競争試作の意味もあるけどな.
国内にその市場はなく,輸出することで発生する国際摩擦を解消するなり,輸出によって国益を誘導するなりの政治力もなく,それでいて国際水準の兵器生産施設を維持する企業が何社もあったら,そんな国はただのキチガイだ.
日本の航空機産業の規模なんてのは,各社から技術者をかき集めないと設計すらできない規模だってことを忘れてないか?
【珍説】
アメリカの占領政策はかくも上手く機能した訳だ.
俺は憲法改正して軍拡して独自の軍事力を持って,日本の事はなるべく独自で解決しなければいけないと考えるのだが,そうしてはいけないらしい.
軍備拡充に数十年掛かるって,どういう根拠でそんな決め付けをするのかな?
俺は石川島播磨(正確には住友重機と合弁のMarine
United)勤務だが,実際のイージス艦は設計3年建造4年,計7年で竣工出来る.
空母は機能自体がエレヴェーターが大掛かりなだけで実際の建造はイージス艦より早い.
戦闘機は設計と実験に5~6年掛かるが,製作は2年もあれば良い.雛形が出来ればあとは同型の大量生産だし.
日本の現在の重工業のレヴェルからすれば10年もあれば大軍拡できる.
問題は憲法,金,そして東南アジア諸国,及びアメリカの圧力があるから.
【事実】
ゲーム「大戦略」やガチャポンじみた妄想.
これを書いた人は,どこからこんないいかげんな情報を仕入れたたのか? そちらの方が気になる.
例えば,カタパルトの技術的困難性は有名.
空母の運用ノウハウを獲得するのに,アメリカはどれだけの年月と費用をかけたか調べてみるといい.
また,中国が空母を持ちたい願望を持っていながら,長年に渡ってそれを果たせずにいる現実を考えてみるといい.
また,ニミッツ級の空母や,原子力潜水艦の維持費は,えらい高い.
国土が狭いから,セキュリティも大変.
この狭い日本で,機密を維持しながら,最新のFCSを搭載した戦闘機を,熟成するまで試験を繰り返すのは金がかかる.
米軍やロシアは,物理的に接近の困難なプロテクトエリアを持てる(民間の地域から,とても歩きでは近づけないような距離に隔離できる)のに対し,日本が,そんな土地を持つ事はきわめて困難.
テロに使われたらたまらんから,核ミサイルのサイロにも,似たような配慮が必要.
金と土地と人が,米軍並み以上に自由に使えるのなら,もっと他の事に使ってほしい.
って言うか,それだけの国力がある強国であるなら,そもそも軍拡の必要性も疑わしい.
さらに,空母艦載機は主翼,足回り,着艦フック等で様々な制限を受けるから,陸上機と比べるとどうしても弱くなる.島が多く,侵攻を考えない日本においてはあまり有用ではない.
空中給油機と空港を大量に作る事でよっぽど安上がりにカバーできる.
空母を保有することを考えるなら,まず「何のために空母を持つのか?」の目的がはっきりしないといかん.
米軍みたいに,世界中で,戦争をやって,そこでの制空権を取る必要があるなら,正規空母は役にたつ.
しかし日本の防空であれば,まず必要ない.
朝鮮半島の危険な施設への先制攻撃でも,まず必要ない.空中給油や,本格的な中距離爆撃機の配備で十分.
憲法は,今まで散々苦労してやっと論憲レベルに持ってきた程度で改憲には遠い.
カネは,航空宇宙産業が米ほど強力で無いのに,不採算事業に投資を強いる事なんかできん.
軍拡抑止圧力については,何故に東南アジアとアメリカなんだい.どっちかといえば,中国と,韓国・北韓のが酷いんでないかい.
【質問】
F2や90式戦車は予定調達数前に打ち切りになりましたが,この場合は受注企業に違約金を払うのですか?
それとも,次期選定の時に優先されたりするのですか?
【回答】
防衛庁の調達システムは,最初から予定購入数を決めて発注し,完成したものを順次購入してるわけではないので,メーカーは在庫を持たない.
なので最初の予定調達数より実際の調達数が少なくなっても,メーカーはあまり困らない.
要は「多分これくらいは必要だろう」と計算した数を毎年毎年少しずつ生産して購入してるので,これが,自衛隊の装備がみんな,外国と比べて異常なまでに高い理由の一つ.
補足すると,こういった買い方をしている以上,安く売ってる外国産を導入しても全く安くならない.
また,次期選定のときに,三菱以外のコンペティターもおりませんので,優先も何もない.
防衛装備はほとんどが「この装備ならこの会社」と決まってるので,何があろうと戦車は三菱に発注されるし戦闘機は・・・という事になっていて,次回選定で優先されるも何もない.
どうせ前回発注されたら次も自分のところに廻ってくるし,例え万が一外されても,どうせ日本には防衛装備を生産できる企業が限られてるので,永遠にあぶれるということもない.
戦車は技術の蓄積の問題で事実上三菱にしか作れないし,おそらく戦闘機は三菱,川崎,富士,石川島播磨以外には開発も生産も出来ない.
調達方法が毎年度発注個別購入方式と特殊なので外国から大量に導入するのも難しく,海外のメーカーに需要をさらわれる心配も無い.
なので日本の防衛産業は,仕事が無くなる心配をしなくても済む,という仕組み.
【珍説】
元,軍需産業に勤めていた,ある方の話です.
防衛庁との契約は,随意契約であって競争契約ではない.
生産にかかるコストを決めて,そこから利益率を上乗せしている(赤字にならない)
某軍需産業関連の企業の場合は,利益率を5%と決めている.(ただし一般管理費は別扱いである)
つまり,利益率は,べらぼうに大きくはないが,ちゃんと儲かる.(これは今の景気状況ではありがたい話)
さらに,国の予算で高度な研究開発をさせてもらう事ができる.
……というところで,単純に利益率だけを捉えるのではなく,こうした背景をふまえる必要がありそうです.
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
私は予算関係部門で勤務していましたが,それはウソですね.
具体的な数字は守秘義務があるのでいえませんが.
随意契約は,今はやってません.
昨今では財務省が随契にうるさくなっているので,かなりの数が一般競争入札になっているんですな.
あと実際に日産他いくつかの企業が手を引いている現実があります.
バイクも偵察隊用のを作っていたところが手を引きました.
軍産複合体という虚構の産物(少なくとも日本国内では)を罵るさまを見るとき,哀れをもよおさずにいられません.
>某軍需産業関連の企業の場合は,利益率を5%と決めている.
>(ただし一般管理費は別扱いである)
利益率である以上,一般管理費って別なのが普通でしょ.
あと仮にその5%が根拠ある数字だとして.一般の企業の利益率と比較してください.
比較できなきゃ高いかどうかすらわからん.
ところで管理人氏,「軍需産業に勤めていた,ある方」ってのは守秘義務はないんですかね.
そう言えば京セラも,90式戦車の主装甲板事業から撤退していましたね.
銃器製造メーカーと造船メーカーは少なくとも嫌がっていましたよ・・・
就職活動のときに面接で話を聞いただけでしたが・・・
上記二社の担当者がそろっていっていたのは「防衛庁は調達数が少ないし,品質がうるさい.」とのことでしたね.
まぁ,それはそれでしょうがないのかもしれませんが・・・
〔就職活動のとき,〕富士重工(航空宇宙事業部)の方はとにかくプライドが高かったですよ.嫌味ではありませんでした.
技術系の課長さんに話を聞きましたが
「うちの技術力は日本一!,日本の防衛はわが社が支えている!」(多少の脚色あり)
とおっしゃっていました.
まあ,金勘定をする部署の方からは違う声が聞こえてきそうでしたが(笑)
どうせ,あつこば(小林アツシ)のでっちあげた架空の人物なんじゃねーの?
by mail
【珍説】
〔一般の企業の利益率と〕高いか安いか比較する必要もあるかもしれませんが,軍需産業のメリットは,相手が防衛庁なだけに「確実である」という事でしょう.
しかも利益率が決まっているのですから,今のご時世で確実に利益になる,というのは企業としてもおいしいのではないでしょうか?
そもそも,企業というのは,少しでも利益を上げるために活動するところですし.
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
>今のご時世で確実に利益になる,というのは企業としてもおいしいのではないでしょうか?
美味しくありません.
その利益率には設備費やらの固定費を計算に入れてません.そこまで勘定に入れたら利益になっているのかどうか怪しいところ.
(根拠については企業秘密.
某重工が某隊に某車を納入した際にそうした計算がなされていました.
言ったら首が飛ぶんで勘弁)
それに売れる数が決まっている製品を作るよりは,自己努力でいくらでも販売数を増やせる製品を作ったほうが企業としては有利です.その方が企業活動としても真っ当です.
[三菱重工]平成19年3月期個別財務諸表の概要及び添付資料
(PDFなので重いです.ご注意下さい.)
明らかに防衛関係の「売上高」がマイナスですね.
それに,航空機関係でも市場規模が段違いです.
「儲かるから防衛産業」と言うのは明らかにおかしい.
>そもそも,企業というのは,少しでも利益を上げるために活動するところですし.
もしその条件が正しいとしても,日本の防衛産業は利益追求には全く向いていない.
共産主義者には理解できない話なのでしょうか?
というか,企業会計では利益率計算をするときには固定費を引いて計算しますよね.
もっとも,その「利益」が経常損益ならば,ですが・・・
【珍説】
その反面,民需の場合は,ぜんぜん計画通り売れない,という事があるのですよ(笑).
軍需は受注すれば確実に利益が出ます.
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
だから,それは「利益」ではなくて「売り上げ」
両者の区別は行いましょう.
【質問】
質問なのですが,「儲からない」としたら,なぜ,そんなにやりたがるのでしょうか?
あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)
【事実】
うん,やはり,共産主義者には私企業の存在意義は理解していただけないらしい.
私企業は資本家を豊かにするためだけに存在するわけではありませんし,利益追求を行うためだけに存在するわけではありません.
それと,本当にやりたがっているのかどうかについては,上述参照.
【質問 kérdés】
三菱重工不買運動は,本当に平和に貢献するの?
【回答 válasz】
某SNSではやれ軍産複合体がどうとか言われていますが間違った話ばかりが蔓延していて,平和運動にちっとも貢献していません.
[中略]
三菱重工は戦闘機,ヘリ,戦車,イージス艦を含む護衛艦などを生産する,日本きっての兵器メーカーで,最近でもF-15Jの多機能表示装置をF-15J改修のために防衛省は三菱重工に発注しています.
三菱重工の防衛省への納入は第一位で一時期二位に転落したものの,再び一位となっています.
> F-15用多機能表示装置22台を三菱重工に発注:航空新聞社
> http://www.jwing.net/news/15368
そんな日本の防衛の一翼を担う三菱重工ですが,防衛部門の売り上げは4000億円弱で,4兆円ある三菱重工の総売上の僅か10%に過ぎません.
> 三菱重工の防衛事業の売上げ(別の角度から推定):「三菱重工を分析する」のブログ
> http://hiroseisibu.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-bc9e.html
では三菱重工の売上の大半は何かと言うと,パワー(発電)とインダストリーと社会基盤となっています.
パワーでは原発が福島第一原発事故以降,原発事業は落ち込んでいますが火力発電所の建造が進んでいます.
一方でインダストリーと社会基盤では鉄道車両,船舶,ビルのエアコンの設置とその整備,家庭用エアコンの販売など,ここでは書ききれないぐらい多岐に渡った事業が行われています.
> 業界研究:重工メーカー】三菱重工業・川崎重工業・IHIの事業や年収を徹底比較!|就活サイト【ONE CAREER】
> https://www.onecareer.jp/articles/942
遊園地の観覧車やテーマパークのアトラクションなども手がけており,三菱重工の多方面の経営を伺うことが出来ます.
> レジャー施設・アトラクション設備:三菱重工機械システム
> https://www.mhi-ms.com/jp/products/hyperintegralspace/leisure_facility/
> サンリオピューロランド:Wikipedia
では,なぜ三菱重工は不採算ともいえる防衛部門を存続させるのか?
それは三菱重工の社風と社是にあります.
現在の三菱重工は財閥解体から統廃合を得て1964年に発足しており,戦前零式艦上戦闘機を作り上げた三菱重工を一代目とするなら,現在の三菱重工は二代目となりますが,その経緯から「三菱は国家なり」という社風がある上に,国への所期奉公を社是としているという事情があります.
三菱重工の社長と会長を歴任した飯田庸太郎氏は,
「防衛産業で日本のお役に立てなければ,三菱が存在する意味はない.
もうかるからやる,もうからないからやらないではなく,もって生まれた宿命と思っています」
と語っているように,防衛部門は三菱にとっては経済活動ではなく義務という意識があります.
> 三菱重工業:Wikipedia
> https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E9%87%8D%E5%B7%A5%E6%A5%AD
現に武器輸出でも川崎重工とは違い,三菱重工は興味すら示さず,小牧のF-35のFACO設置でもBAEシステムズから機体の一部のライセンス生産を持ちかけられましたが,三菱はこれを断っています.
これはF-35のパーツは生産されたら一回アメリカのロッキード・マーティン社にプールされて,ALISシステムで各国に供給されるシステムになっているので,必ずしも日本の防衛のためにならないという事から,売上にならないのを理由に断ってしまっています.
さらにFACOで生産されたF-35Aも野田内閣時代に発注した機体のみ生産しており,この生産を以ってFACOを閉鎖する予定.
もっともFACO閉鎖は防衛省の指示によるものですが・・・
その後は小牧南工場はMRO&Uの施設となりますが,このMRO&Uはロッキード・マーティン社の委託で行われ,収益はロッキード・マーティン社にいくらか取られるので,決して三菱重工にとっては大きな収益にはなりません.
在日米軍の機体は日本でMRO&Uをやるよりアメリカでやった方がコストが安くすみますし,導入予定のシンガポール空軍の機体はどシンガポールの同盟国のオーストラリアで行われる可能性が高く,韓国は自国にMRO&Uの施設設置を要望し,日本ではMRO&Uは行わない予定.
そうなると空自機のみのMRO&Uとなります.
つまり三菱重工は武器輸出をしていない,
武器はあくまでも自衛隊のみの供給しかしていない事になります.
某SNSでは三菱重工は
「世界の戦争に加担している」
などといわれて不買運動まで起こそうとする人もいますが,これはまったくの的外れかつ筋違いの言いがかりであり,平和運動をするならむしろ
「三菱重工を見習え」
という主張を前面に出すべきでしょう.
ねらっずーり in mixi, 2019年08月31日
青文字:加筆改修部分
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