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◆◆◆◆「漢」型原潜豊後水道領海侵犯事件
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<東亜FAQ目次
海上保安庁もあるでよ.
【質問】
国籍不明潜水艦の事なんですが,海上警備行動が発令されましたが,これって攻撃できるのですか?
【回答】
最初に警告しないと駄目.
潜航中の潜水艦であっても,まず「警告」して無害航海に復帰する機会を与えないと違法.
ま,この場合の「警告」では,爆雷を浅い深度で爆発させちゃったりする場合もあったりするわけだが.
海上警備行動ってのは,海保が対応できない場合に海自に下される命令だから,いきなり撃沈とかは無い.
海上警備行動では武力行使は可能と規定されている.
また,軍艦にも領海を通航しても良いとする「無害通行権」というものが認められている.いくつかの規定があり,認められない場合もあるけど.
潜水艦(水中航行機器)の場合は領海を通行するときは
(1)浮上航行し,
(2)船籍国の国旗を掲揚しなければならない
(海洋法条約第20条)
と定められている.
なお,原子力船(含む原潜)は別に規定があって,「国際協定が定める文書を携行し,かつ,当該国際協定が定める特別の予防措置をとる」とある.
大韓航空機が領空侵犯をしたとして,ソ連によって撃墜された事件があったが,あれは実質,無警告での撃墜.
しかし,ソ連は賠償などはしていないことを考えると,無警告攻撃・撃沈はしようと思えば(国際評価を気にしなければ)可能.
幕僚長 「おい,おまいら!!国籍不明潜水艦が領海侵犯しますた.緊急出動しる!」
基地司令「詳細キボンヌ」
幕僚長 「国籍不明潜水艦は,中国海軍と思われますが,何か?」
2等海佐 「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!」
海曹長 「黄海海戦キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!」
3等海尉 「海上警備行動ごときで騒ぐ奴は逝ってヨシ」
幕僚長 「オマエモナー」
基地司令「--------終了-------」
2等海佐 「--------再開-------」
海曹長 「再開すなDQNが!それより"くろしお"うpキボンヌ」
幕僚長 「P-3cうp」
3等海尉 「↑誤爆?」
2等海佐 「はしだて age」
基地司令「ほらよ"くろしお">第1潜水隊群」
海曹長 「神降臨!!」
2等海佐 「はしだて age」
幕僚長 「迎賓艇ageんな!sageろ」
2等海佐 「はしだて age」
3等海尉 「特務迎賓艇age厨uzeeeeeeeeeeee!!」
幕僚長 「ageっていれればあがると思ってるヤシはDQN」
陸将補 「イタイ海上自衛隊員がいるのはこの基地ですか?」
幕僚長 「氏ね」
基地司令「むしろゐ`」
2等海佐 「はしだて age」
海曹長 「二 佐 , 必 死 だ な ( 藁 」
【珍説】
1999年3月の例では,停戦命令や威嚇射撃を無視して逃げ続けたことなどを確認のうえ,発令された.
東京国際大学の前田哲男教授(軍縮安全保障論)は「天然ガス田開発を巡り,日中が緊張している海域でもあるので,過剰に反応したのかもしれないが,より抑制的に対応すべきだったのではないか」と指摘.
そのうえで,
「仮に故障した船を潜水艦が助けにいっただけだとしたら,海上保安庁で十分対処できるはず.情報不足で判断できないが,法的な要件を満たしているかどうか疑問を感じる」
と話した.
【事実】
情報不足以前の認識不足.
残念ながら海保には,北韓の工作船程度−あくまで可能か不可能かの問題−ならともかく,潜水艦対処能力など皆無です.
一般的な国でも,領海内に国籍不明の潜水艦が航行してきたら軍隊が出動します.
スウェーデンにおける事例のように,攻撃されても国際法上は文句は言えません.
そもそも,
「故障した船を潜水艦が助けにいった」
と言う所で軍事知識以前の常識を疑いますね.
ハッキリ言って,潜水艦が領海に進入するときは,浮上して国旗を掲げないとけない,という規則があります.
守らなかった場合には,領海からの退去勧告を出すことが可能です.
また,該当艦船が情報収集している疑いがある場合も,防衛上良くないので,退去勧告を出すことができます.
また,潜水艦はよほどのことでない限りは,救難は任務外です
(一応,ソビエトが開発した艦種で「救難潜水艦」というのはあります.
また,以前,佐世保で行われた,潜水艦救難訓練で米軍の潜水艦がDSRVをつんでいたこともあります.
今回の事件とはまったく関連性はないですけど)
戦争中は,不時着したパイロットなど漂流者を助けるのは潜水艦の役目でしたけど,今は平時なので,救難を必要とする船があれば,相手国にことわった上で,救難するべきです.
ついでにいうと,まがいなりにも「武装した軍艦」を海上保安庁で対処できるという考えが,オカシイです.
ましてや,相手は潜水艦なので,海上保安庁の装備では,警告・攻撃はおろか探知すら難しいです.
毎日で引用されている前田哲男氏の過去の履歴を検索すれば,すぐに結論は出るかと.
筋金入りの日米安保反対,自衛隊の活動にはなんでも反対,憲法改正反対論者です.
なんで「軍事評論家」という肩書きになってるのか,大いに疑問ですな.
軍事板
▼>「仮に故障した船を潜水艦が助けにいっただけだとしたら
どうやったら原潜が故障した船を助けられるんだよ?
>海上保安庁で十分対処できるはず.
潜水艦の担当は自衛隊です.
共産党も賛成した海上保安庁の権限を拡大する法案で,そう決まりました.
この法案は,北朝鮮のスパイ船を沈める少し前に決まった奴です.
だって海上保安庁の装備じゃ,潜航中の潜水艦を捕捉・追尾なんてできませんから.
ましてや相手は原潜,海上保安庁では何もできません.
▲
誰か,前田邸に住居不法侵入してやれよ.
「仮に怪我した人を侵入者が助けにいっただけだとしたら,」
のコメントで許してくれるはず!
【質問】
今回の事件絡みのスレで
/ピンッ\ /ゴーン\ /ピンゴーン\
ピンゴーン ピゴーン
ピゴーン
∧∧
/漢 \ . . . .: : : ::: :
:: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 <もう勘弁してください・・・
/ :::/ハヽ,ヽ, ::i . .:: :.::艦長殴ってでも浮上しますから・・・
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :.
:. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
というAAを見つけたのですが,潜水艦の中では敵にピンを打たれた場合,ヘッドセットつけているソナー手以外にもその音が聞こえるのでしょうか?
【回答】
以前,海自潜水艦の一般公開があった際,見学者サービスとして,
「自艦が水上艦艇に探知されたときの探信音」
を録音したものを,発令所にて流していたことがあります.
キュイ〜ン,クィ〜ン・・・と,高低のある甲高い音で,
「では,潜水艦映画にある”コォーン”という音は嘘ですか?」
と,乗員の方に質問したところ,
「ウソですねえ(ニヤリ)」
「Global Security」によると,SQS-23が5kHz,SQS-26が3.5kHzらしい.
ピアノの一番高い音が,4kHzをちょっと超えたくらいだったと思う.
【質問】
なぜそんな音になるのか?
【回答】
実は詳しくもないのですが,分かる範囲で.
まず,波とか海流とかでそのような音になるわけではありません.
もともと周波数が連続的に変わるアクティブソナーの音なわけ.
民生用(乱暴ですが)のアクティブソナーは,複数の周波数の違うアクティブソナーを同時使用するシステムや,とびとびに周波数を変更可能なものは有るようですが,連続的に周波数の変化するアクティブソナーは軍用だけみたいです.
民間用水中アクティブソナーは,水中衝突防止と魚群探知用がほとんどですので,それで良いからでしょう.
一回の発信ごとに高さを変えてゆくのでは無く,短い一回の発信の間に周波数を変化させる理由は,雑音(目的以外のものからの反射音を含む)の中から船舶や潜水艦固有の反射を見つけやすくするためです.
アクティブソナーは
1)出力してから反射音が来るまでの時間(音速から距離が分かる)
2)反射音の周波数の変化(ドップラーシフト)
あとは反射音の大きさや波形などから目標を探します.
上の(1)の点だけにおいても,周波数が変わる発信音の優位性が有います.
浅い棚の海で,停船している船舶がアクティブソナーを使用.潜水艦は中程度の深度で静かに走っているとします.
ここでは,妨げになる雑音を海底からの反射を問題としますが,発信音が短時間で変化するアクティブソナーのほうが同条件で目標を見つけやすいです.
単純なモデル上では,海底からの反射雑音は,細かい時間単位では音量や周波数が変化し,長い時間単位では最初の反射雑音がしだいに小さくなってきて消えます.
これはどちらの発信音でも同じです.
しかし,短時間に周波数が変化する発信音が,潜水艦に当り反射した音は,元の周波数変化の特徴を大きく残しています.
それに対し海底からの反射音は,初期には周波数の変化する特長を残していますが,すぐにそれは消えてしまいます.時間方向へのずれが拡大して重なり合い,周波数の変わる単音でなく周波数が変化する範囲の音が元になったノイズになります.
難しいのはそれを見つける技術ですが.
http://www.dj.kit.ac.jp/seminar/2002/abstract/ja/01630004-ja.pdf
FMというのは振幅(音量)を変化させずに周波数を変化させるものです.
結果が期待はずれなのはやはり受けた信号の処理が難しいのでしょう.
数年前から米軍の低周波大出力の遠距離広範囲の潜水艦探知を目的としたアクティブソナーが鯨とかに害を与えるとかで話題になってます.
おそらくソナーの送信,受信部の能力は昔からそれほど進歩していないと思います.
なぜ最近になってこういった実験が行われるようになった理由は,おそらくコンピュータの処理能力向上でしょう.
低周波は距離をかせぐには良いのですが,雑音が多く反射波も見つけにくいと思われるのですが,コンピュータで力任せ的に処理して拾うのでしょう.あまり面白くなさそうな技術です.
冷戦からLICの時代になった今としては有用性が低く思えますが,安くやれそうな事ですのでねえ.
水中で爆弾を仕掛けるような特殊作戦やテロ対策,という使い道を考えたのですが,警戒や発見には向かない(従来の単純な高周波ソナーの方が向いている)ですし.常時鳴らしておいて対人妨害手段にするぐらいか.
港や湾にはけっこう使えそう.
でも,それだと鋭帯域で特性はどうでも良いから,出力の高い発信機だけで良いか.
http://www.dj.kit.ac.jp/seminar/2002/abstract/ja/01630004-ja.pdf
【質問】
今回の中国の潜水艦との緊張状態が,自衛隊は60時間続いたと聞き及んでいますが,このような場合の船員(艦長も)の勤務時間体制はどうなっているのか気になります,ちゃんと睡眠時間はあったと思われますか?
【回答】
細かい事は書けませんが,乗員全員を配置につけることが必要な戦闘時などを除けば,交代制となっています.
防衛出動は,数日〜数ヶ月(数年?)続くことも考えられますから,防衛出動下令時でも,戦闘時などを除けば,交代制です.
交代をさせないと規則違反になり,そうなると昇進の面でも問題になります.
【質問】
漢級原潜領海侵犯は,中国政府の説明のように,本当に「技術的原因」のせいか?
【回答】
防衛庁幹部は否定的見方をしているという.
以下引用.
「技術的な原因を持ち出してくるのは,旧ソ連が領空侵犯したときと全く同じ.否定はとてもできなくなったということだ」
中国が潜水艦の領海侵犯を「技術的原因」としたことについて,防衛庁幹部は言い逃れるための形式的な説明にすぎないと指摘した.
仮に「技術的な原因」とした場合,「航行装置の故障」「航路の誤認」などが考えられるが,航行装置については,その後の航跡から判断して異常はうかがえない.航路の誤認は艦長が自らの位置を見誤ることから起きるが,関係者は
「そんな艦長はまずいない」
と否定する.
逆に水深100メートル程度とされる浅い現場海域を縫うように潜没航行した技量は「かなり高い」とみている.
陸地に挟まれた浅い海峡は,音響探知機(ソノブイ)などでも音が乱反射して探知しにくいため,
「海自の哨戒能力を試した確信犯」
との見方が支配的.
948 名前:名無し三等兵 :04/11/10 22:03:09 ID:pJWhmNM
田岡大元帥のお言葉出ました!
「これは何かのミスだろう」
諸君,ゆゆしき事態だ.
明白な意図にもとづく挑発であることが,これで不動となった.
【質問】
多分に政治的な話なんですが……
過日の漢級らしき原潜の事件での対応ですが,結局ほぼ最初から所属などバレバレの上,追いかけまわしてイジメた挙句に逃がしてやったという形になってますが,あれタテマエどおり
「国籍不明の潜水艦が領海侵犯!」
と撃沈or拿捕したりするというのと比較して,どっちがマシと言えるのでしょうか?
逃がしたということは,その方がマシ(六カ国会談とか中国原潜の具体的なデータを得るとか,日中関係での外交カードにするとかetc)と判断したからだと思いますが,知り合いが
「政府は弱腰だ! 『国籍不明』なんだから,タテマエどおり沈めてしまっても誰も文句をいえん.
チンの潜水艦なんぞ,沈めてしまえ!!」
と主張して聞きません.
軍事的には,あの場合,どちらがよりよい判断だったかについて,ご教示願います.
【回答】
純軍事的に対処するならデータだけ採って後は知らん振りしとくのが一番.
沈めることに軍事的・政治的メリットはない.
中国と事を構える準備が無いのなら,逃がした方がマシ.
憂国の士諸氏の気概と心情面とは別にして.
今,中国と戦争になると,製造業は大打撃を受ける.
拿捕は望ましくとも現実的には不可能.
この手の事件では,スウェーデンがソ連潜水艦に対して攻撃を加えた「ウイスキーオンザロック」が有名ですが,あれも沈めるのが目的ではなく,
「即刻お引取りを願いたい.今後もこのような行為は許さない」
というメッセージを爆雷という形で判り易く伝えた物.
スウェーデンがこのような行動に出たのも,ソ連潜水艦の再三に渡る領海侵犯行為にとうとうブチ切れた上での話で,一度の領海侵犯で攻撃に移ったわけではない.
さすがに国際社会も非難するだろう,ただの一度の侵入でいきなり沈めたら.
いくら潜水艦の侵入が水上艦とは意味が異なると言ってもね.
もちろん他国の領海内を潜航したまま航行するのは違法行為だが,だからといって問答無用で沈めたとしたら,それは潜水艦の所属国にケンカを売る行為になる.
その時に
「悪いのはあんたの方なんだから沈められて当然」
と主張したところで,それがそのまま通ったりはしない,ということくらいはお解かりかと.
現時点では,日本政府の判断はまずまずと言えるだろう.
次の機会には対潜爆弾で警告爆撃をできるように,法改正準備がなされている.
漢型潜水艦とP3C(模型)
(画像掲示板より引用)
【珍説】
2006/7/25,兵庫県沖での自衛隊のIRフレア実験に際し,事前通報がなかったために漁船を危険に晒した.
【事実】
事前通告はされていたが,県の担当者が漁協に流さず,放置していた.
「地元の漁船に恐怖を感じさせた」
あるいは
「またテポドンかと思った」
なんていう話ばかりを強調して,無意味に防衛庁を悪者にするのは,「報道」の名に値しない.
また,訓練海域は,毎日行なわれている気象通報(NHKラジオ第2放送)で通知されていたが,漁船はこれを聞いていなかったのだろうか?
訓練海域内で作業した漁船こそ,「平和ボケ」ではないか?
……といった,漁船の行動への疑問点もある.
それより問題なのは,県からの問合せへの回答に防衛庁は5時間以上かかったことであり,もし,自治体と自衛隊・防衛庁との間の連絡体制が欠けているのであれば,国民保護法にもとづく住民保護が機能しない恐れがある.
--------------------------
25日15時55分頃,兵庫県香美町沖の日本海で,7月の1ヶ月間,防衛庁が射撃訓練海域と指定し,空自・海自が付近を航行する船舶に対し訓練情報を出していた海域内で,韓国漁船が放置した魚網の回収作業にあたっていた漁船から,
「航空機が低空旋回し,目視範囲で水柱が5本上がった」
との通報が,香住漁業無線局を通じて兵庫県に通報されました.
兵庫県が防衛庁に確認したところ,これは対艦ミサイルシステムの熱探知性能試験のために航空自衛隊 航空開発実験集団が行なっていた実験であることがわかりました.
これを受けて兵庫県知事は,防衛庁長官に対し
「今回の事態は致命的な結果につながる可能性も否定できず,このような事態が二度と起きないよう強く抗議する.周辺に船舶が確認される海域で訓練を行なわないよう要請する」
との要請文を「水産庁を通じて」送りました.
県の態度の背景にあったのは「防衛庁が試験の事前通知をしなかったこと(朝日27日朝刊)」のようですが,海上保安庁は26日の時点で,現場付近の日本海については航空自衛隊が航行船舶に注意を呼びかける水路警報と航行警報を通じて今月1日から31日の午前7時から午後7時の間射撃や爆弾訓練を実施すると通知しており,海上自衛隊も24日に情報を流していたとしています.
空幕は,
「ミサイル発射はなく,あくまで熱源を感知するミサイルの先端部「シーカー」の試験.事前通告する必要はない.
同様の試験は過去にもこの海域で実施している.
護衛艦が発射した熱源は着水しても水柱が立つものではなく,熱源が出す煙を誤認された可能性がある」(航空幕僚監部 「神戸新聞」夕刊 2006/7/26)
との声明を早い段階で出していました.
27日になって,「水産庁を通じて」兵庫県に対し,防衛庁の射撃訓練情報が6月28日に寄せられたことが判明しました.
県の担当者が漁協に流さず放置していたのです.
6月末の段階で,県が「射撃訓練海面図を入手」しており,「7月の1ヶ月間」「兵庫県香美町沖で」「防衛庁の訓練が」「香美町沖日本海南北約330キロ,東西約250キロの範囲内」で実施されるとの通知を受けていた事実がこの日に確定したわけです.
その後もメディアは
「防衛庁は,県からの問合せへの回答に5時間近くもかかった」
「射撃訓練とミサイル性能実験は違う」
などと枝葉の話を続けましたが,すぐにその動きは溶けました.
28日,防衛庁の副大臣が兵庫県を訪問し,
「危険な思いをさせましてすみませんでした」
と副知事に謝罪しました.
訓練関連の事実
1.航空機は,ミサイルの熱探知性能試験を実施していた戦闘機.
水柱とされたものは,海上自衛隊護衛艦が,試験のためシステムが探知すべき対象として発射した「フレア」(おとりの熱源)発射時の「煙」.
1.護衛艦が発射したフレアは計10発(3回の発射)
1.発射時の煙は数十メートルの高さになる場合がある
1.戦闘機に搭載されていたミサイルの先端部(赤外線シーカー)は試験用で発射能力がないものである.
1.フレアは軍艦や軍用機が,自分を護るために発射する花火弾幕のようなもの.
⇒マスメディアと兵庫県は,28日の時点で以下の点を批判しています.
1.射撃訓練情報は届いたが,ミサイル性能試験情報は届いていなかった
これは平和ボケ感覚そのものが言わしめる言葉.
「当たり前の訓練内容で驚く話ではない.
実際にミサイルを発射していたなら,漁船を直撃する可能性があり非難されても仕方ないが,同種訓練は頻繁に実施されているもので詳細まで県側にいわないだろう」(平松茂雄氏 中国軍事研究家 「神戸新聞」夕刊 2006/7/26)
というのが常識的な感覚だろう.
1.県民が危険な目にあった
1.県からの問合せへの回答に5時間以上かかった
このうち,
「1.県からの問合せへの回答に5時間以上かかった」
が重大な問題です.
1.「県民保護」にあたって,水産庁というクッションを経ないと防衛庁の情報がとれない「縦割り行政意識によって国民の安全確保の仕組みを作っていること」自体が,本件でもっとも重大な問題なのではなかろうか?
1.県と防衛庁の間に非常事態に備えたホットラインは存在しないのだろうか?
防衛庁は「直接連絡があれば,もっと早く伝えることはできた」としている.
1.兵庫県には,県民の安全を図る根幹となる,自衛隊・防衛庁との連絡体制が欠けていることが明らかになった.全国の地方自治体で,この面の総チェックが必要ではないか?
1.国民保護法の実動マニュアル作りは,現時点で地方自治体レベルではどの段階まで進んでいるのだろうか?
その他感想と疑問
1.訓練海域内で作業した漁船の「平和ボケ感覚」への批判と追求が足りない
・訓練海域は,毎日行なわれている気象通報(NHKラジオ第2放送)で通知されていたが,漁船はこれを聞いていなかったのだろうか?
・漁船は,海自や空自が流していた警報や情報の存在を知らなかったのだろうか?
1.兵庫県の体質への批判と追求が足りない
1.県民の安全が,県庁の一職員の手に委ねられているという事実に,恐怖と怒りを感じた.
1.なぜ落ち度のない防衛庁は,本件で謝罪したのだろうか?
kojii.netでは,マスコミの態度を厳しく非難している.
以下引用.
兵庫県沖で発生した,自衛隊のIRフレア使用をめぐるドタバタにしても,本当は兵庫県のレベルで通報が握りつぶされていたのに,「事前通報はなかった」として防衛庁を悪者にしてしまったマスコミ多数.
しかし実際には,ちゃんと通報はされていた.
2006年205項本州北西岸 - 若狭湾北方 射撃及び爆撃訓練
期 間平成18年7月1日〜31日の日曜日及び祝日を除く 0700〜1900
区 域5地点で囲まれる区域
(1)39-27-10N136-09-49E
(2)37-14-11N136-09-49E
(3)36-33-11N134-44-50E
(4)37-40-10N133-24-50E
(5)38-33-10N134-01-50E
備 考自衛隊航空機による空対空射撃及び空対水射爆撃訓練
海 図W162(FW,LCW共)-W1154(LCW共)
出 所防衛庁航空幕僚監部
(第八管区海上保安本部サイトの「水路通報」より)
ASM-2みたいな赤外線誘導の対艦ミサイルでは,使用するシーカーの性能を検証するために,実際にフレアを使って,正しい目標と偽目標(フレア)を弁別できるかどうかを検証する必要がある.
だから,ミサイル実験でフレアを撃つのは筋が通る.
ミサイル実験といっても,全部が全部,実目標に向けて実弾をぶっ放す訳じゃあない.
なんぼなんでも,一般の読者向けにそこまで解説しろとはいわないけれども,
「地元の漁船に恐怖を感じさせた」
あるいは
「またテポドンかと思った」
なんていう話ばかりを強調して,無意味に防衛庁を悪者にするのはいかがなものか.
まさに「予断・先入観による報道」でしかない.いや,もはや「報道」ですらない.
かと思えば,テポドン騒動のときには不必要に恐怖感を煽っていた感もあるし.
なお,昔から漁船,漁協は海自の訓練を「妨害」してる模様.
以下引用.
三沢基地時代,国産のASM−1ミサイルを海上自衛隊の廃艦を目標にした実射訓練をしたことがあったが, このときも詳細な危険情報や警報が重ねて海保から発せられていたにもかかわらず,漁船団はそれを無視して「危険水域内」に自由に侵入するので,われわれは訓練を中止して,漁協に徹底を「依頼した」ものである.
しかし,全くといってよいほど効き目はなかった.
廃艦が設置してある場所は危険海域のど真ん中である.つまり進入禁止海域なのだが,公示には拘束力がないので,漁船のモラルに頼るほかはない.
私は「身銭」をきって海保,漁協と電話連絡を取らせ,「船舶電話」でいちいち漁船(船名の確認が大変だったが海域安全を確保するために空中待機させていたF−1,T−2に命じて海面すれすれまで降下させ,漁船の船名を読み取らせて,それを漁協に通知し,いちいち当該漁船に連絡させる)に離脱方位を示して海域から出てもらうのだが,せいぜい10ノット前後だから,海域内の安全確保までに時間がかかる.
当該漁船がようやく海域を出たころ,ほかの漁船が進入する・・・といういたちごっこを繰り返し,
部下たちは「妨害が激しいのは,ソ連漁船より日本漁船ですね」とため息をついたものである.
http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20060727
この「漁船による訓練妨害」については,知人が私見と前置きした上で,
「日本独特の慣例に基づいた漁業法そのものが,漁業者の排他的な考え方をベースとしており,また助長してきたのでは?」
とのこと.
以下,金田禎之著『漁業法詳解』(成山堂書店,2003.3)より抜粋.
(第一編:総説 第一章:漁業制度の沿革より)
徳川封建制下においては,「磯は地付,沖は入会」といわれたように,封建領主は定棲性生物については,独占的な水面の利用権を漁村部落に特許したり,またはその独占利用の慣行を容認し,回遊性魚族漁場については功績,縁故,貢納等によって漁村部落または個人に独占的水面利用権が特許された場合もあるが,原則として沖合の漁場は共同的な利用に解放した.
(中略)
ところが明治8年になって政府は,突如として,雑税の廃止と同時に海面国有を宣し,旧来の漁業に関する権利や慣行を否認し,新たなる申請に基づいて借区料徴収を主体とした新漁業制度の実施を強行した.
(中略)
しかしその結果は,漁業及び漁民の間で漁場の争奪をめぐっての紛争が激化し,一年を経ずして早くも海面の借区制は,これを事実上廃止し,漁業旧慣の再確認によって事態を収拾せざるをえなかった.
(中略)
最初の漁業法は,明治三四年に,当初に帝国議会に提出されて以来一〇年の紆余曲折の歳月を経過してようやく通過し,翌三五年施行された(原文ママ).
しかし,これについては漁業権の法的あいまい性,慣行漁業,慣行漁場の処理方法等種々の点で実情に即しない点が多く,ただちに改正の議が起り,後九年して明治四三年に全部改正が行われ,いわゆる明治漁業法の成立をみるにいたったのである.
(とりあえず引用終わり)
で,現行漁業法では戦後の民主化政策に主導されながら整理されたのだが…漁業者の「前例踏襲」の度合いは激しいとのこと.
また,漁業権を離れたところでも,沿岸漁船漁業でも勝手に「俺の海」と決めつけている節もある模様.
さらに地方公共団体はもちろん,漁協の漁業者への管理能力(こういうことを書くと誤解されそうだが,漁業者への遵法精神を啓発するという意味で)も甚だ疑問視しているようで.
(この場合,前者がH県で後者がA県とのこと.最もA県については「優秀な人材はいるようだが,全体的な行政統括能力には疑問」とのこと)
まあ,その人はいろいろ危ない話を教えてくれましたが(某漁協の参事が闇討ちにあって漁師に袋叩きにされたとか,職員の家に石を投げつけられたとか…).
▼ 3年前はわかりかねますが,最近では地元の海上保安本部辺りに水路情報などで訓練区域等をインターネットで公開しておりますね.
http://www.kaiho.mlit.go.jp/08kanku/
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN8/tuho/tuho.html
http://www6.kaiho.mlit.go.jp/hakodate/index.htm
(以下,余談)
でも,これって…
∩_∩
( =(ェ)=)<防衛省や自衛隊とかの仕事じゃね?
/∪銀杏∪
と素朴な疑問.
まあ,海上保安庁は「海の安全を守る」のも仕事,といえばそれまでなのだが・・・
(更に余談)
∩_∩
( =(ェ)=)<「支離滅裂」と「唯我独尊」の情報を把握できる海保は神(ボソッ
/∪銀杏∪
ぎんなんそう in mixi,2009年01月09日20:03
▲
【質問】
2006/9/6/19:30頃に青森県むつ市で発生した,海自のミサイル艇の誤射は,なぜ起こったのですか?
【回答】
ミサイル艇 1 号型の 20mm 機関砲って,世艦の資料では航空機用ヴァルカンの艦載型JM61に遠隔操縦装置を付けたもの,だそーで
メッサー=ハルゼー in mixi支隊
M61の給弾機構はリバース不可なので,発射を止めた後に慣性で何発か給弾してしまった分は巻き戻すことができない.だから,残弾カウンターの数字よりも実際の残弾の方が何発か少ない,という話があります.
航空機用の M61A1 ではおおむね,1 射撃ごとに残弾カウンタの数より
8-10 発ほど少なくなるらしいです.
これが,例の誤射騒動に関係あるんじゃないかという仮説を個人的に持ってまして.つまり,
・給弾機構の構造に基づく経験則から,残弾カウンターより実際の弾の方が少ない,という前提が存在していた
・それが原因で,弾倉に残っている弾の数を実際より少なく見積もってしまった
・それに立脚して「もうない」と思っていた残弾が,実は残っていた
という事態が発生してしまったのかなと.
井上@Kojii.net in mixi支隊
【質問】
トラファルガー海戦200周年記念国際観艦式の映像を見て思ったのですが,ポーツマスなんて日本にとっては世界の裏側ですよね.
海自からは「むらさめ」,「ゆうぎり」の両護衛艦と「かしま」が参加したとのことですが,往路復路のルートはどのようなものだったのでしょうか?
パナマ経由では直線距離だと遠いですが,アメリカとパナマなら運河もすんなり通してくれそうです.
スエズ経由では直線距離では近いですが,マラッカ海峡だの狭い海域をいくつか抜けるルートでしょうから,航海だけでなく他国との手続きとかも発生しそうで面倒くさそうです.
選択肢は以上2つしかないでしょうが,気になりましたので.
【回答】
2005年遠洋練習航海の一環で,以下のような経路を辿っていきました.
>5/3-6アメリカ合衆国(パールハーバー),5/18-21メキシコ合衆国 (マンサニーヨ),5/28-31パナマ共和国(バルボア),6/8-11アメリカ合衆国(ノーフォーク),6/25-29グレートブリテン及び 北アイルランド連合王国(ポーツマス),7/2-5ノルウェー王国(オスロ),7/5-8ロシア連邦 (サンクトペテルブルク),7/12-15ドイツ連邦共和国(ハンブルク),7/18-21フランス共和国 (ブレスト),7/27-30マルタ共和国(バレッタ),8/2-5トルコ共和国(イスタンブール),8/8-10エジプト・アラブ共和国(ポートサイド),8/22-25インド(ムンバイ),9/6-9カンボジア王国(シアヌークビル),9/20晴海
従って往路はパナマ,復路はスエズとなります.
この観艦式に参加するのが第一の主要目的ではないのでしょう.きっと.
いや,行くときに考慮に入れたのは間違いないと思いますけど…
ソース:http://www42.tok2.com/home/fleet7/Hpk/HPK1208.html
C.Hinayama in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
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