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◆◆◆◆◆攻撃型空母保有論議
<◆◆◆◆空母
<◆◆◆装備
<◆◆海上自衛隊 JMSDF目次
<◆日本FAQ目次
<東亜FAQ目次


 【珍説】
 アメリカだって必ず日本を守ってくれるとは限らないんだから,攻撃型空母と原潜と核は必要.

 【事実】
 空母機動部隊を持つのにいくら掛かるか調べたことある?
 空母の建造費だけじゃないぞ.空母のあらゆる部品の設計・研究費.基礎技術の研究費.(たとえば,実用に耐えるカタパルト技術をもってるのってアメリカだけだって事は知ってるよな?)
 乗員の養成・教育費.
 ああ,アメリカとは同盟しないで「独自」に運用するんだから,艦載機だって自前で開発しなきゃ.
 ジェットエンジンの自主開発からはじめなきゃね.
 レーダーや火器完成システムの開発もだ.何年掛かるとおもう?
(民生品の流用,とか軽く言ってくれるなよ?)

 ほかにも母港の整備費.空母を護衛する艦船の建造・運用・それにかかる人員の養成・教育費.
 艦船を「運用」するためには一隻じゃ意味がないから,同じものを二隻づつセットで用意しなきゃいけないのもわかるよね?(いつ何時でも海上にあって影響力を持つためには,絶対に予備が必要)

 何年掛かる?
 何兆円掛かる?
 人的コストは? 何百万人の技術者・労働者をこの仕事に充てなくてはいけないと思う?彼らの労働は何も生み出さない軍備に費やされるわけだが,「空母機動部隊を持たない」選択をすると,この何百万人が働いた分,国の収入は増えるんだが.

 原潜,核,また然り.

 余談ですが,フランス海軍なんて下手に空母なんて持ってしまったために,他の艦艇の補修費すらままならないそうです.
 それどころか,軍全体の兵器稼働率が30%前後だとかなんとか….
 某JDW和訳サイトからの情報ですが.
 以下引用.

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 フランス議会の国防委員会に提出された報告によると,フランス海軍が保有する攻撃型原潜の 1/3,対潜フリゲートの半分だけが,必要なメンテナンスを受けて第一線で実働可能な状態にあるという.
 現在,リュビ級攻撃型原潜の稼働率は 38.8% で,5 年前の 69.9% よりも落ち込んでいる.
 F67-F70 級対潜フリゲートも同様に,74.1% から 51.9%に落ち込んだ.
 ただ,海軍側ではフリゲートの稼働率低下について,たまたま今年,船体にクラックが発見されたために乾ドック入りした艦が多かったためだと説明している.

 同じ報告書では,陸軍や空軍についてもメンテナンスの問題を指摘している.
 三軍を通じた装備の稼働率平均は 60% で,イギリスやアメリカの 70-75% と比べると低い数字だと指摘している.
 ただし,この報告書が書かれたのは,フランス政府が装備のメンテナンス費用として 5 億ユーロ (4億 8,500 万ドル) の追加支出を決める前のこと.2003-2008 年度の間に,総額 25 億ユーロがメンテナンス経費として計上されることになっている.
 なお,良好に整備された機材が国外の作戦に優先投入された結果として,残りの装備の稼働率が低下していると指摘しており,C-130H については30-35%,ガゼルについては 47% の稼働率しかないとも指摘している.

http://www.kojii.net/jdw/jdw021106.html
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軍事板出張スレッド in コヴァ板
青文字:加筆改修部分

 確かにF4にE2Cと言った艦載機を現在空自が運用していますし,中古のキティ・ホーク級でも買う事で艦体の問題にカタをつけ,整備上の問題もまぁそこそこだとしても,現在の海自ではカタパルト搭載型空母の運用をこなす事は非常に難しいと思います.

 海自のパイロットにはジェット戦闘機の経験者が少なく,空母からの離着艦までこなす事が出きる者になると数人のレベルではないでしょうか.
 空自にしたって空母経験者はほとんどいないハズです.

 パイロットの問題よりももっと大きいのが,カタパルトやLSOと言った職人芸を要求される要員が,皆無と言っても良い状態なことです.
 仮に今から全部を整備したとしても,実戦投入可能な戦力になるのには5〜10年はかかります.
 その間はアメリカ海軍の軍事顧問や退役者のアドバイザーを大量に抱え込むことになるはずですし,海自の定員を考えても,最低1個護衛隊群をツブさなければならなくなるはず.

(ゴルシコフ)

 最後のとどめに,そんなフネが一体どこに入港するんだよ,ということがあります.

 空母推進派・反対派全員が見落として居ることなんですが,海上自衛隊には空母規模の艦艇が入港可能な岸壁は「ありません」
 米空母がつながってるのは「米軍の岸壁」です.

(海の人)

 一口に「空母」と言ってもピンからキリまであります.
 軽空母であれば,DDHの後継艦として導入の可能性はあると思います.
(過去に1万トン級の「対潜ヘリ空母」を実際に計画した事もありますので)
 ただ,それでも政治的な面,技術的な面(もし国産するなら)でハードルは高いと思いますが.

 空母の保有に関しては,ただ1隻のS/VTOL空母の保有までをも「非現実的」としている訳ではありません.
 攻撃型空母が非現実的であろうとしているだけです.
 ただし,これは既存の大型空母の形にこだわった場合です.
 なにも日本からペルシャ湾まで30ktで突っ走れる空母を作る必要はないのですから(軍艦形式にこだわる必要もないでしょう),F/A-18Eクラスを2個飛行隊程度搭載して(指揮はAWACSから受けるとして,単に航空機を運用するプラットホームであれば良し),日本近海を行動出来る「空母」であればいいのです,商船形式で大幅に自動化した省人化空母なんて変わり種を想像して見るのも,話しの種としては面白いかもしれません.

(初雪 in 軍事板)

▼ 先週の金曜日の日記で,中国海軍の空母について書いて日米には勝てないと書いてみたのだけれども,中国海軍に限らず戦略も考えずに空母を持ちたがるのは,空母を単なる「国威発揚」程度でしか考えていないと言われても仕方ないでしょう.
 これは今から11年前に,マイミクでもある井上孝司さんが書かれたコラムですが,このコラムで空母保有論について,辛辣に論評しています.

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〜 日本に CTOL 空母が必要か?:井上孝司の Defense Column

 空母というのは,とどのつまりは「移動式の飛行場」である.
 つまり,味方の航空部隊が展開できないような場所で,戦乱が発生した際,空母を派遣すれば,空軍を派遣したのに匹敵する効果が得られる.
 しかも,もし近隣に友好国があったとしても,空軍の部隊をそこの飛行場に派遣しようとすれば,相手国の了解を得た上で,兵站支援や通信上の問題を解決しないと,実際には空軍部隊の派遣は難しい.
 ところが,空母に搭載された航空部隊は自己完結性があるから,空母とその護衛艦を派遣すれば,作戦可能な航空部隊の準備が整う.

 また,米海軍限定だが,空母の持つ強大な攻撃力は,それだけで大きなプレゼンス上の効果を発揮する.
 だから,空母を派遣するという行為そのものが,アメリカの意思を世界に向けて表明する手段になる.

(略)

 少なくとも,「専守防衛」という旗を掲げる限りは,自衛隊が軍事作戦を行う範囲は,日本本土からそれほど離れたものにはならない.
 それなら,陸上基地の航空戦力を強化した方が経済的だ.

 たとえば,尖閣諸島に対する中国の軍事力行使が心配だというのなら,空母なんぞ建造するよりも,九州や沖縄の基地に弾薬やスペアパーツを,大量に事前集積しておき,緩急あるときには本土の基地から戦闘機と人員だけ派遣できるようにすればよい.
 いわゆる「不沈空母」の発想だ.

(略)

 実は,私の「基地航空部隊重視思想」は,井上成美大将の「新軍備計画論」の焼き直しでもある.
 御存知ない方のために,その趣旨を記すと,次のようになる.

・戦艦同士の艦隊決戦など起こらない
・海軍は空軍化するべきである
・空母は運動力を有するから便利だが,脆弱である.そのため,基地航空兵力を重視すべし
・対米戦では,多数の島嶼に設置された基地の争奪戦が主作戦となる.そのため,上陸作戦と,それに対する防禦が行われる
・それに対抗するためには,基地の要塞化を実施すべきである

 太平洋戦争における実際の経過と見比べると,来るべき戦争の姿を,かなり正確に見通していたことが窺い知れる.
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 これは私も賛成です.
 旧海軍の井上成美大将は既に,空母もいずれは「大艦居砲主義」と同様になる事を予見していました.
 実際,ミッドウェー海戦でも空母は,米海軍のドーントレス艦載機の前には,無力でしかなかった事を証明しています.
 フォークランドでは空母の撃沈は避けられたものの,駆逐艦が対艦ミサイルによって撃沈されています.

 実際問題,「海上移動できる航空基地」である空母を,海自が保有したがっていた理由は,
・海自創設当時は,P-3Cのような長距離を飛行できる対潜哨戒機がなかった事,
・艦隊防空のためのイージズシステムが,1980年代まで開発されず,さらにそれをアメリカが日本に輸出する見通しが立たなかった事
にあります.
 しかしP-3Cが開発され,イージスシステムが開発,そして日本に輸出されるようになると,海自としては空母を保有すべき理由が無くなってしまいました.

 国連平和維持活動による人道支援等で必要だとう意見もありますが,それだったら何も戦闘機を艦載した空母を保有する理由がありません.

 つまり空母を保有したがるのは結局,国威発揚の威信財,それこそ玩具に過ぎません.
 そんな玩具を批判してきたはずの清谷信一さんですが,こんなずれたコラムを書いちゃっています.

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毛沢東の悲願だった「赤い空母」がミサイル部隊とともに西太平洋を支配する:@niftyニュース

 立ち遅れているのは日本だ.
 防衛省は22年度概算要求で,22DDH(ヘリコプター搭載護衛艦)を要求している.
 22DDHは護衛艦=駆逐艦ではなく,近年各国で導入が進む多目的空母の類である.
 ならば「護衛艦」などと偽らず,はっきり多目的空母とした上で,自衛艦隊全体の編成を考慮して建造すべきだ.
 固定翼機を運用可能な22DDHを2〜3隻導入してF-35を搭載すれば,中国の空母1隻に匹敵するだけの戦力を備えることができるはずだ.
 早急に対抗策を練る必要がある.
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 22DDHにF-35Bを搭載して,中国海軍の空母に備えろって・・・
 それ,ふざけているのですか?

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年07月05日10:21

 ……「予算食いのマジノ線」の悪夢再び.

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寄星蟲 in mixi,2011年01月07日19:48



 【珍説】
 何で自分ですべて始めからやらなければならないのですか?
 日米同盟を堅持して,武器の共同開発や共同運用訓練をしているのだから,空母に対してもアメリカと協力すれば,貴方の試算よりもずっと安くできるでしょう.

 中国海軍やアジア全体のための軍備増強ならアメリカも協力するはずです.
 台湾政府なども影から支援してくれるでしょう,台湾有事に備える事に役立つならば.
 【事実】
 もはや米軍といえど苦しい財布の中からなんとかやりくりしてるのが現状で,かつてのMSA時代とは話が違います.
 例えば,米国は自軍の前方展開においても,駐留経費の負担をなるたけホスト国にやってもらおうという方針を固めているほどです.

 だいたいアメリカからの自立のために空母を保有するのに,その費用をアメリカに持ってもらおうというのは,どう見ても矛盾してる.

名無し四等兵 ◆clHeRHeRHo in コヴァ板



 【珍説】
 全額日本が持つ必要はない.
 船籍を日本にして,米国や台湾から資金を出させて保有すればいい.

 対中国とロシアに備えた守備範囲を東アジアからインド洋までに限定して展開すればいい.
 第七艦隊の空母を補完するために日本近海や台湾近くで備えるのだ.

 NATO軍のように韓国台湾日本でアジア艦隊を構成すればいい.
 【事実】
 なかなか自由な発想をお持ちのようですが,今までそういう軍艦の保有の仕方をした国ってありましたっけ?
 多国籍合同艦隊,てーんならともかく,単艦を分割保有,となると指揮権やそもそもどの国の意思によるのか, 完全にコントロールできない兵器を持ちたがる国もないでしょうし,あまり現実性はないかと思われます.

軍事板出張スレッド in コヴァ板



 【珍説】
 国がなくなってしまったら,国の収入がどうのと心配してる場合じゃなくなるだろうに.
 例えばスウェーデンだってそれが分かっているから,少々無理してでも自立した軍備を保有しているわけだろ?
 イスラエルが,「国の収入が減るから軍備を減らしましょう」なんて一度でも言ったか?

 とにかく軍オタは「いざとなったらアメリカが助けてくれる」という固定観念にしがみついているとしか思えない.
 だから軍ヨタと言われるんだよ.

 最悪の場合に備えるのが軍隊の鉄則じゃなかったのかよ?
 【事実】
 逆です.
 国家財政を破綻させたら,国防がどうのと言ってる場合じゃなくなります.
 国防はまず健全な国家財政に立脚して初めて安定します.

 イスラエルにしても,入植地の警備,テロ対策等々諸軍事費の高騰に頭を抱えているのが現状なんですが.

 それとですね,アメリカが自国の利益上日本を見捨てる時ってどんな状況を想定してます? 是非お聞かせ下さい.

名無し四等兵 ◆clHeRHeRHo in コヴァ板



 【珍説】
 日本全体を見捨てるとは思わないまでも, クリントン政権時代には尖閣諸島問題をアメリカは関知しないといったことを言っていたね?
 幸いブッシュ政権になってから方針がガラッと変わったわけだが,いつもそうとは限るまい?
 それとも,つねにアメリカ様に親日政権があるよう天に祈れとでも?
 【事実】
 オール・オア・ナッシングの考え方だな.
 絶対安全なんて,それこそ絶対手に入らないよ.
 プラス・マイナスの可能性を勘定に入れて,マシなのはどっちよ,ということだろ.

軍事板出張スレッド in コヴァ板



 【質問】
 カタパルト技術の問題ならスキージャンプで解決できませんか?

b in FAQ BBS

 【回答】
 確かにスキージャンプを用いれば,ラファールとかF/A-18E/Fの様な大型の艦載機のようなでも運用することは可能だと思います.
 STOBAR運用ですね.
 あるいはハリアーのようなSTOVL機もあり得るでしょう.
 まぁ,どうやって艦載機を調達するかはまた別の問題なので端折りますが.

 まずスキージャンプの有用性ですが,確かにこれはペイロードや発艦距離を大幅に向上することができますが,しかし各種装備品を搭載し総重量30トンにもなった航空機を,2秒以下で時速240kmまで加速することができるカタパルトに比べた場合,自身の推力(とスキージャンプの効果)が頼りのSTOBARまたはSTOVL方式では,搭載可能な兵器重量がかなり不利になると思います.
 スキージャンプを利用して,カタパルトと同じレベルの装備は難しいでしょう.

 また,ハリアー2の空虚重量が6〜7トンなのに対して,F/A-18E/Fの空虚重量は13トン前後,ラファールMでもおそらく10トン弱ですが,これは同じスキージャンプを用いるSTOVL機と比べて,自重が重い分だけSTOBAR方式はペイロードで不利になると思います.
 元々短距離離陸のための機構を持ち合わせてもいませんし.

 STOVL機とのエンジン推力の違いって問題もありますが,200m程度でそれぞれがどれだけ加速できるかとか
ハリアーがノズルを斜め下に向けてる時の効果とか,細かい事はわからないのでご容赦頂きたいです.
 ってか詳しい人居たら教えてください.

 とりあえずは,STOBAR方式,またはSTOVL方式を採用する場合,カタパルト方式に比べて固定翼機の運用能力は大きく落ちる事を覚悟しなければならないでしょう.

 ただ結局は 「必要な能力をどれだけ安く確実に提供できるか」 が問題ですので,STOBAR空母,またはSTOVL空母を導入することが,要求された任務を果たす上で最適の解答であるならば,積極的に導入すべきだとは思いますが.

オッポレ in FAQ BBS


 【質問】
 仮に今,海上自衛隊が攻撃型空母を持つと,どのようなことになりますか?

 【回答】
・空母一隻を保有する為には海自の全予算を注ぎ込む必要があり.
・空母一隻を維持する為には海自の護衛艦を半減する覚悟が必要.
・空母は,戦力化されるためには最低3隻必要
・空母は単艦では行動できないので,随伴艦艇も揃えなきゃならない……
 あとは推して知るべし.

 まず,人件費.
 空母の乗員はフネを動かす人だけでなく,航空機のパイロットや整備員を乗せなければいけません.
 米海軍の空母の乗員数は5000人.
 この人数は海自の3個護衛隊群に匹敵します.
 1個護衛隊群は護衛艦8隻で編成されますが,1個護衛隊群で1700人かそこらです.
(乗員数については,こちらのサイト
http://www1.linkclub.or.jp/~chi-tan/ddplanning.html
を参照してください.
 主張はともかく,データについては豊富なサイトです).
 現状でも,
海自は艦艇数に人員が追いついていない組織なのです.
 末端の護衛艦でも定員を割り込んでいるフネが多く,ペルシャ湾に掃海艇を送った時には,別の艦艇から人を借りて定員を合わせたほどです.
 この上,攻撃型空母を保有することは,現状の体勢では困難なことなんですよ.

 そして,燃料代.
 フネ本体だけではなく,艦載機の燃料代もかかります.

 それから,機材の値段.
 フネ本体の寿命は30〜50年ですが,航空機は10〜20年ほどしかありません.
 航空関係の装備は更新ペースが速いのでお金が掛かります.

 さらに,空母は一隻造れば良いというものではありません.
 整備・修理・休養・訓練のローテーションを組まなければいけないので,最低3隻は保有する必要があるんです.

軍事板,2004/10/24
数屋 & 夏光華(シア・クァンファ) in FAQ BBS(黄文字部分)
青文字:加筆改修部分

 攻撃型空母は,ここでは多分ニミッツ級CVNを指してるんだと思うけど,こいつは単艦では運用出来ない訳だ.
 でもって,実際にニミッツ級を運用している米海軍の一個空母戦闘群の構成は,CVN一隻に対し
CG(タイコンデロガ級)二隻
DDG(アーレイバーク級)一隻
DD(スプールアンス級)
FFG(OHペリー級)一隻
SSN(ロサンゼルス級)一隻
AOE(サプライ級)一隻
これ等の護衛/支援艦艇が随伴する.(以上世艦1999年10月号より)
 勿論,上記の構成は状況によって変化するが,高価で個艦防御力が著しく低いCVNを外洋に出すには,これくらいは必要って訳だ.

 では,これ等に該当する海自の艦艇は,と言えばイージス艦はCGとDDGの中間位の性能を持つこんごう型が四隻現存するだけ.
 汎用DDはゆき型からなみ型まで30隻以上あるが,スプールアンス級に匹敵する搭載量は,最新のたかなみ型でさえ持ち合わせていない.(VLS容量が61セルに対し32セルで,後者はVLAと短SAM兼用)
 補給艦に至っては,サプライ級の満載排水量48,000tに対し,海自最大の間である筈のましゅう型ですら25,000tと,2万トン以上もの差がある.
 SSNはそもそも該当する艦は存在すらしない.
 唯一まともに揃えられそうなポジションは,FFGくらいだろうか.
 仮にCVN単艦の経費諸々分の増額が認められたとして,海自全体でDDGとAOEの数が足りなくなるだろうな.
 そしてSSNが随伴しない裸の空母機動艦隊・・・DDHでも随伴させますか?
 対潜対処能力ガタ落ちは目に見えてるな.

 そもそも,この想定だと空母は一箇所にしか展開させられないんだが,この艦隊がインド洋辺りに浮かんでる間は,誰が日本近海の潜水艦に対処するんだ?……となると結局,CVNと一緒に上の随伴艦艇にも出費する羽目になる.
 高性能だけどディスプレイもキーボードもマウスも付いてないパソコンを買うような話だな.

CHF in FAQ BBS

攻撃型空母を入手するのは,おもちゃを買うようにするわけにはまいりませんので……
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 中国海軍の空母に対抗するためには,日本も本格的な空母を持つべきなのでは?
 以下,引用.

――――――
【笠原健の信州読解】22DDHは計画を白紙撤回し,空母を建造すべきだ :MSN産経ニュース

 防衛省は「22DDH」の必要性について,周辺国の潜水艦や水上艦艇の増強を受けて,より多数のヘリコプターの運用を可能にして対潜・対水上戦能力の向上を図るとともにm国際平和協力活動,災害派遣,邦人輸送などで洋上拠点を確保する必要があるとしている.
 だが,中国の空母が洋上を航行するという事態を踏まえたときに,「22DDH」で十分に対処できるのであろうか?
(略)
 中国海軍の空母機動部隊が,東シナ海や西太平洋を遊弋するとき,尖閣諸島や南西諸島などの防衛,それにシーレーン防衛に大きな脅威となるのは間違いなく,固定翼機を運用できない「22DDH」では,中国海軍の空母に対抗するすべはない.
――――――

 【回答】
 いや,だからね,空母VS空母っていつの時代ですか,そりゃ?
 空母を仕留めるのに空母は必要はないでしょう.
 F-2とP-3Cからの空対艦ミサイル,「そうりゅう」型潜水艦からの対艦ミサイル,さらにはDD型護衛艦(駆逐艦)からの対艦ミサイルもある.これで十分仕留められます.

 フォークランド紛争では,ソ連から情報を得た,アルゼンチン海軍航空隊のシュペル・エタンダールが,エグゾセで英国海軍駆逐艦HMSシェフィールドを仕留めています.

 台湾有事等で周辺事態で出動した海自部隊には当然,アメリカからの衛星や偵察機の情報が伝わります.
 その情報は,ソ連がアルゼンチンに与えた情報の比ではないでしょう.
 対艦ミサイルの量も,アルゼンチンの比ではない.

 また,同記事より.

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 中国が米海軍の空母に対抗する手段として,対艦弾道ミサイルを増強して「空母キラー」にしようとしているように,日本も中国海軍の空母への対抗手段として,同様の措置を取るのも一つの方法だろうが,空母の運用は軍事面だけでなく心理的にも計り知れない影響力を持つ.
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 日本も対艦弾道ミサイルって,索敵とかどうするんですか?
 相手がBMD能力を持った駆逐艦(中国海軍に,そんな大層な物を持つかどうかは不明ですが)を持っていたら意味ないでしょうに.
 そんなものより,対艦弾道ミサイルを無力化するBMDを強化した方がよくね?と.
 まぁ,そんな事を書いたら,産経新聞万歳の核武装論者のネトウヨが,また私を罵倒しそうですがね(笑

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航空戦力の運用能力は,同規模の「22DDH」に比べて,「カブール」の方が断然に高い.
 ただ,「カブール」は中国海軍の空母を仮想敵として建造されてはいない.

 中国海軍が建造する空母が「ワリヤーグ」のようにスキー・ジャンプ台方式のままなのか,それとも米海軍の原子力空母のようなスチーム・カタパルト方式(将来はリニア技術を使ったカタパルトもありか?)を遮二無二開発するのかは今のところは分からないが,カタパルトの開発に中国が成功した場合,脅威度は格段に増す.
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 はて?
 カヴールって海戦のために作られたものではないのですが.
 カヴールは基本的には強襲揚陸艦ですし.
 それに中国が,カタパルトの開発に成功しますかね.
 ニートカの複製すら出来なかったのに.
中国空母はむしろ歓迎すべき?(2)

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 また,F-35Bの開発が難航しており,場合によって開発中止もあり得る点が気がかりだ.
 せっかく空母を新造しても,艦載機がないというのではお話にならない.
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 F-35Bの開発中止って,それありえんでしょう.
 米海兵航空隊のAV-8Bを更新しなければならないのに.

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 英仏どちらの方式を採用するのかは,意見の分かれるところだろう.
 英国方式を参考に空母を建造するとなると,第5世代のF35Cを導入できるという“うま味”もあるが,日本は英国のようなF35の共同開発国ではないため,英国と同じようなタイミングで艦載機を取得できるのかという問題も生じるだろう.
 また,取得してから実際に運用するまで,相当程度の時間も必要だ.
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 だからそのF-35Cを,整備のために地上に降ろしたり,NLFのために地上基地で訓練をする必要があるのですが,どこに降ろすのですか?
 百里や築城はまず,空自や茨城空港を管轄する国土交通省が認めない.
 厚木は米軍が使っているから,まず認めないでしょう.
 下総もP-3Cの訓練に加えて,住宅街が接しているので,戦闘攻撃機の離発着は難しい.
 私が卒業した小学校では,P-2Jの着陸ルートの真下にあったから,窓に防音装置すら装備されていた.

 まぁ,人員については地方隊廃止で捻出出来そうですけど,それ以外にもハードルが多いわけで,その事を笠原・産経新聞長野支局長はちゃんと理解していますか?

バルセロニスタの一人 in mixi, 2011年07月26日11:33
青文字:加筆改修部分

 追伸.
 やっぱりただの「床の間の置物」でした.

 アメリカ政府は中国海軍の空母について,純軍事的観点からアメリカの脅威になりえない,中国海軍の空母は政治的象徴という見解を示した報告書を,議会に提出しました.
 これにより,やはり中国海軍の空母は,ただの「床の間の置物」であるのが証明されました.

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中国空母配備は政治的象徴 米議会報告書:MSN産経ニュース

 同報告書は,米軍や米政府の情報に基づく議会の認識として,中国側のワリヤーグやその他の空母は,
「米国との戦闘状態という有事には,米軍の艦艇や航空機による攻撃には,非常に弱体となる」
と明記したうえで,
「しかし政治的には空母は,一般に世界の大国の地位のシンボルとして受け止められるため,中国の大国としてのイメージの投射となり,中国にとって大きな価値を発揮する」
と強調した.
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 中国海軍空母が,米海軍や海自の敵でないのは,既に何度も日記で述べたので,ここでは割愛しますが,実は艦載機も空自の戦闘攻撃機にも劣るという話もあります.
 中国海軍航空隊は,ロシアからSu-33の輸入を希望したものの, ロシアは過去に旧ソ連時代にMiG21を,最近ではSu-27を無断でコピーされた事から,輸出を拒否.
 そのため中国は,Su-33の試作型であるT-10Kを輸入.
 これを元に,またしてもコピーする事を決断しました.
 それが殲15です.
中国空母艦載機「殲15」の完成度:環球閑話の徒然

 中国は,Su-33の原型であるSu-27をライセンス生産していますので,生産そのものについては問題はなかったと思われますが,陸上機を艦載機に改造する事は,実は,容易ではありません.

 Su-33でSu-27から改造された点は,以下の諸点です.
・前輪を着艦の衝撃に耐えられるよう二重タイヤで強化.
・着艦時の衝撃に対応する,機体後部の構造強化と着艦フック装備.
・発艦時の揚力増加と上空での機動性を高めるため,主翼前に全遊動式のカナード翼を装備.
・長いテールコーンの短縮.
・空母格納庫での運用を考慮し,主翼と水平尾翼が折畳み式に改造.

 Su-33の場合,試作機が1987年に飛行した後,量産機の初飛行が1990年,更に運用が開始されたのは,1994年となっています.

 中国がウクライナから入手したのは,Su-33の試作機でしかなく,その後,運用に移されるまでに実施された,おそらくは数百項目に及ぶ小改造は,当然の事ながら反映されていません.
 また, Su-33そのものも,配備されたのは24機に過ぎず,空母での運用実績も西側の実績には程遠く,完成度十分とは言い難い様に思 われます.

 もともとSu-33はSu-27を艦載機に改造したものですが,着艦時の衝撃に対応するための機体後部の構造強化や,発艦時の揚力増加のためのカナード翼の装備,さらに主翼や水平尾翼の折り畳み式の改造など,陸上機を艦載機に改造するのは,極めて困難な作業が伴います.
 さらに機体後部の構造強化は,機体の重量を上げてしまうので,発艦のために,どうしても兵装に制限が出てしまいます.
 そうなると空対空ミサイルだけと,搭載可能という話にもなりかねません.これでは対地攻撃など無理.

 さらにまた,Su-33はSu-27がベースで,そのSu-27はF-15Jの未改修型にすら,アビオニクスでは劣ります.
 何しろSu-27の発展型であるSu-30は過去,レッドフラッグにおいてF-15に惨敗したという話さえあるくらいですから.
F-15Jは本当にSu-30に弱いのかねえ?

 Su-30でも負けてしまうのに,その原型であるSu-27なら,果たしてF-15Jに勝てるのかという疑問もあります.
 さらにAAMのR-77やR-27は,射程ではAAM-4より短いか,同レベルに近い程度しかありません.

 そして空自には,AWACSやAEWも加わります.
 現代空戦ではAWACSやAEWは欠かせないものだとは,過去の日記でも書きましたから割愛しますが,STOBAR型空母である中国海軍の空母は,E-2CのようなAEWは艦載出来ませんから,AEWはヘリAEWが担いますが,その探知距離は100km程度.
 これでは空母の防空が精一杯で,空戦すら無理です.

 まぁ,中国も空母は床の間の置物,国威発揚用だと言っているので,これでも十分なんでしょうが,これで対日侵攻とかは確実に無理でしょう.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年07月27日14:22



 【反論】
22DDHは計画を白紙撤回し,空母を建造すべきだ

 常見問題でこの記事への批判が高まってるが,井上孝司がヘリ空母も要らないと10年前に発言して,16DDHすら大外れさせた事実は華麗にスルー.
海自 DDH の後継はヘリ空母? (1)
http://www.kojii.net/old/d991110.html
海自 DDH の後継はヘリ空母? (2)
http://www.kojii.net/old/d991117.html

 文中でわら人形もやらかしてるな.
 結局この後,空母型船型で導入したのは周知の通り.

 この頃のコラムを読むと,井上が如何にいい加減か分かるよ.
 スレ的な意味で言えば,買うのに躊躇するタイプ.

 ちなみに,
戦艦大和は傑作か?
http://www.kojii.net/old/d990721.html
は10年経ってようやく撤回したけど,その理由は当時勢いのあった週刊オブイェクトが,反対のことを書いて他のブログを炎上させたから.
 要はびびって方針変更.
 人間性が知れるね.

軍事板,2011/07/26(火)

 【再反論】
 これ,この人が,空母型ヘリ運用艦よりもMDを優先させるべきなのではないのかって意見表明してるだけで,海自が次期DDHにヘリ空母を導入するはずがないとかって予測ではないんじゃねーの?
 俺の読み方違う?
 何を問題にしてるの?

 叩くのは結構だが,「何がおかしい」って具体性がないと,ただの名誉毀損だぜ?
 極端な話,この叩き方じゃじゃ,「お前のかーちゃんでべそ!」と同じレベルなんだよ.
 ちゃんと反論しようよ.

軍事板,2011/07/26(火)

・「空母に対抗するために空母を持つべき」という意見はアホ

・「無理をしてまで本格的なヘリ専用空母を持つ必要はない」

という,2つの意見の差が見えてないんでしょう.

(空母対策として,対艦ミサイルの性能向上と,飽和攻撃を行う能力は向上すべきと愚考はするけども)
http://www.kojii.net/old/d991110.html
http://www.kojii.net/old/d991117.html

 兵装を犠牲にしてでも,航空機の運用能力は増すべき,という点に関しては当てているので,結構なもんだとは思います(エラそう).
 自衛隊の海外派兵任務が通常任務とされる以前の考察である事を合わせると,とくに批判できる内容でもなく.

くるりん★ポポフ in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2011年08月26日 01:36

※ チンピラのインネンつけと同レベルであって,これを「反論」と呼ぶことには疑問の余地も大いにあるが,便宜上,「反論」カテゴリーに含めた.

 【反論】
――――――
中国が空母を完成させたら日本もすぐ作るのだろうね.:隅田金属日誌(墨田金属日誌)

 現状では,中国海軍力の規模が日本海軍力の半分以下に過ぎない.
 そして中国空母が出現しても,経験や機材の関係から,大した戦力ともならない.
 しかし空母出現の衝撃は,日本人にとって確保し続けてきた海軍力アドバンテージ喪失したと信じさせるものになる.

 日本人は,喪った海軍力のアドバンテージを奪回しようとする.
 中国が空母を持った日,日本も空母を持つことを決意する.
 中国空母の公試が始まった時か,艦載機の運用を始めた時か,それとも日本に対して見せびらかした時か,いずれの時にせよ,かつての臥薪嘗胆と同じような盛り上がりで空母建造が始まる.
――――――

 【再反論】
 ・・・これどこの海自「艦隊派」ですか?
 文谷さんは「ネットウヨク」批判コミュに入会していますから,こんな田母神氏みたいな事は書かないとは思っていたんですけどね.
 空母を保有すれば,空母単体なら安くとも,乗員や艦載機,さらにその艦載機のパイロットの育成費,さらには空母の維持費などで,天文学的な金額が要請されるのは,この日記でもお伝えした通りです.
 文谷さんがそれを知らないとは思えず,どうしちゃったのやら・・・.

 ただ,ASEAN(東南アジア諸国連合)などへの影響力強化や中国の軍拡に対抗するためには,どうしても「中国海軍を圧倒させる兵器」が必要なのは確かです.
 その点では文谷さんの意見には,賛同できるところはあります.
 そこで空母ではなく,米国製巡航ミサイル・BGM-109トマホークを調達・運用してみるのも手かと思います.
トマホーク (ミサイル) - Wikipedia

 トマホークは米国以外に英国・オランダでも採用されており,スペインでも採用が決定しています.
 トマホークを生産しているレイセオンでは,日本にもトマホークの導入を提案しています.
 巡航ミサイルの導入については,自民党政権時代に中期防衛整備計画でも検討されたものの,対中関係を重視する,創価学会を支持母体とする連立与党の公明党の反対で,見送られた経緯があります.
 玉澤元防衛庁長官は日米安全保障戦略会議で,米国の協力を得て巡航ミサイルの導入を推進したいと表明していますので,与党・民主党と協力すれば可能でしょう.

 憲法上の問題はありますが,他国から侵略を受けた場合に,敵国の出撃拠点や補給線といった軍事目標を攻撃するのは,正当で専守防衛の範囲内という憲法解釈もありますので,こちらは問題ないでしょう.
巡航ミサイル - Wikipedia
専守防衛 - Wikipedia

 また,SSM-1をベースにした射程距離延長や,誘導装置の対地用転換等を実施しながら開発していく,国産巡航ミサイルの開発にも着手すべきでしょう.

 なお,トマホークはMk.41 VLSからの発射が可能なので,海自のイージス艦やひゅうが級,たかなみ級,あきつぎ級,むらさめ級護衛艦からも発射は出来ますが,GPS誘導とそれに必要なデータリンクを考えると,やはりイージス艦からの発射という事が無難でしょう.
 ただ,こんごう級イージス艦はBMD任務もあるので,あたご級イージス艦がトマホーク発射用プラットフォームになるかと思われます.

 さらにまた,巡航ミサイルだけでなく,開発が中止になったランドアタック・スタンタード(SM-4)ミサイルの開発データを,米国から有償で取得して開発をするという手もあります.
ランドアタック・スタンダードミサイルを開発再開してはどうか:週刊オブイェクト

 私個人としては,空母よりトマホークの導入や戦術弾道ミサイルの開発を進めた方が,ASEANも日本の影響力に期待するでしょう.
 タクティカル・トマホークが空母に匹敵する兵器であるのを,アメリカが宣伝してくれたおかげで,空母を持たずにミサイル導入で済むのですから.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年01月11日00:20
青文字:加筆改修部分

 ただし,マスヒステリーはしばしば,軍事的合理性を無視して突き進むことがあるので,その意味では,日本が制空用空母を持つ可能性が,ないとは言えない.


 【質問】
 真珠湾攻撃では空母を6隻も使ってたのか・・・
 それに比べて今はひとつすら持てないのは,日本が敗戦国だから?

 【回答】
 持てないというよりも,空母を作る技術も運用する技術も失われたし.
 現代空母に必要なある種の技術は,過去も現在もそもそも日本が保有した事のない技術すらある.
 その典型はカタパルト.
 各々の時代で,戦力として意味のあるサイズの固定翼機を打ちだすカタパルトを作る技術は,昔も今も日本にはない.
(火薬カートリッジなんてので打ち出すなんて盲腸技術――発展性のない技術――は,大戦当時には保有してたけど,空母には全く使いようのない方式)
 イギリスやフランスの空母もカタパルトは,アメリカからの輸入.
 アメリカ空母の蒸気カタパルトの微調整の技術は,高度な職人技で,限られた連中しか調整できないと言われている.

 高度な技術の粋を集めた原子力空母でも,最終的にそれらの技術を支えているのは,経験に裏付けられた職人の技とカンで,その職人技が絶えないように,アメリカは5年に1隻ずつ程度のペースで空母を作り続けているんだよ.

 日本にいくら金があったとしても(いや,今となってはその金すら無いんだが,仮に金だけはあると仮定しても),現代のCTOL空母を建造するのに必要な技術は,日本には皆無といって良い.

 更に,仮に建造できたとしても,60年以上の空白のお蔭で,本格空母を運用する技術がこれまた無い.
 空母を直衛する駆逐艦の操艦技術はあるかも知れんがな
(もちろんアメリカ海軍の腰巾着となっている海自に対する皮肉だよ)

 原子力空母となれば,これまた艦載用原子炉技術なんて日本には全く無いしね
(30ノットの高速を支える軍艦用の高出力原子炉の核燃料は民生原発用の核燃料なんかとは全く別次元のレベルで,核兵器に近い濃縮度のウランを使うと言われている,だからあんな小さなサイズであれだけの出力を出せる訳だ)


 だいたい空母に搭載する艦載戦闘機(だけでなく陸上戦闘機も)を,日本製の部品だけでは全く作れないんだから,空母以前の問題だね.
 まともな戦闘機用エンジン,つまり推力10トン以上の超音速機用エンジンを自前で作れないんだから
(現代の一流戦闘機を作ろうとすれば,10トンでも明らかに推力不足だけどね.
 だって双発で20トンしかないんだから)

 良く,
「日本のハイテク技術で本格空母ぐらい楽に建造できる」
なんて書いてるのを見るけど,そういう威勢の良い事を書く人間に限って,技術とは何かを全く理解してない文系素人としか思えない.

軍事板,2010/05/02(日)
青文字:加筆改修部分

 原子力関係につき,笑って見過ごせない酷い誤りばかりのため,別項にて,技術的根拠他を示し,その誤りを指摘することとする.

 〔略〕

> 良く「日本のハイテク技術で本格空母ぐらい楽に建造できる」
>なんて書いてるのを見るけどそういう威勢の良い事を書く人間に限って
>技術とは何かを全く理解してない文系素人としか思えない

とは,私個人も同意見である.
 しかし,こと原子力分野に限っても見れば,上記書き込みを行った回答者も,我々専門従事者の目から見れば,その言説はほぼ全て誤りであり,
「原子力関係技術とは何かを全く理解していない」
と評価せざるを得ないのが,極めて残念である.

 もっとも,上記事項に関しては,我々専門従事者にとっても自明のことであっても,一般にはほとんど知られておらず,またそれに必要とされる知識は高度(原子力系大学院修士修了相当程度の学識が必要)であるため,一般の方にそれを求めるのは酷な面もある.

 ただ,日本国内の軍事系専門誌に寄稿する軍事評論家クラスでも,そこまで理解されている方は皆無であり,技術的に明らかに矛盾があったり,整合が取れない論説を繰り広げているのは残念なところ.
 まともな記事を数える方が早いところだが,私個人が見聞する限り,残念ながらほとんど次第点に達していない.
 
 CVN73 ジョージ・ワシントンの横須賀配備に伴い,今後日本国内でも原子力空母に関する報道や論評が増えることが予想されるが,それに伴い,軍用舶用炉に対する技術的評価の精度も,今後向上することを強く希望するところである.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in 「軍事板常見問題 mixi別館」,2010年05月09日 04:48
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 空母建造に関しては,技術的には問題ないのでは?
 60年も前にあれだけ作ったのだから.

 【回答】
 大ありです.
 これは「60年前に零戦が作れたのだからF-15も作れる」と一緒です.
(F-15をライセンス生産出来たのは,戦後の色々な航空機のライセンス生産や,国産化の技術的な蓄積があったからです)
 空母の場合は,60年前にあった建造ノウハウも運用ノウハウも完全に失われているし,空母自体も基本構造は変わりませんが,細部の構造は相当に変化して,もはや60年前のノウハウを活かせる箇所などありません.
 外国からの技術導入なしに固定翼機を運用する,通常型の空母を,自力で建造する場合は,全くのゼロからのスタートになります.
(戦後,密かに研究を続けていたら別だけど・・・・)

(軍事板)


 【質問】

久間防衛相,原子力空母1隻の配備の案件を閣議提案へ・・・来週火曜日にも提案,世界初のMOX燃料使用か?

 〔略〕
 同防衛相は早ければ来週火曜日にも原子力空母1隻の配備を含む案件を閣議に提案する方針.
 〔略〕
 ある防衛省関係者によると,「計画されている新型原子力空母は,日本の原子力エネルギー産業の発展にも貢献できるもので,使用する核燃料が他国とは違う」と語った.
 この話を聞いた軍事ジャーナリストの佐間ミムラ氏は「『他国とは違う』というのは,恐らくプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使用する方針なのだろう」と推測する.
 実際,青森県にある日本原燃の六ケ所再処理工場ではプルサーマル計画に伴うMOX燃料の試験生産が順調に進んでおり,アクティブ試験は第3ステップに入っている.
 しかし,このMOX燃料を完成後どこで使用するかという話は,今まで不透明だった.今回の防衛省関係者や佐間氏の話から,この新型原子力空母で使用する可能性は十分に考えられる.
 現在,六ヶ所工場や原燃本社にはフランス・アレバ社の社員が40-50人派遣されている.このアレバ社,先日三菱重工業が提携を発表した企業でもある.
 造船・軍需産業双方で大手の三菱重工としても,いち早くMOX燃料に関わるノウハウを手に入れたかったのは間違いない.
 新型原子力空母の詳細は,早ければ年度内にも塩崎官房長官を通して明らかにされるとみられる.

 上の記事の信憑性は?

 【回答】
 ...空母保有の是非は於いて於くにしても,原子力空母かつMOX燃料使用....本気で言っているのでしょうか?
 六ヶ所でのMOX成型加工工場のプライムと技術提携先をご存じなら,そのような推測も何もかもなくなるのですが.
 正直,そんな餌で(中略)クマー,と言ったところですが.同じ釣りなら
「東芝が買収したWHから軍事用原子炉を調達(注:実際は軍事部門が分離されていることが濃厚なため,あり得ない話.)」
とすれば,まだ出来は良いと考えますし,騙される人も多いかと考えます.

 ちなみに純粋に技術的な観点からは,長期運転サイクルでのMOX燃料使用はある意味利点もあります.

 ただし,実務上では日米原子力協定(解説はこちら)等で明確に禁止されており,これに違反した場合,核燃料物質等の供給は途絶することとなります.
 以下引用.

4)平和的利用の規定と保障措置(第8条,第9条)
 本協定にもとづく協力は,平和的目的に限って行われ,本協定にもとづいて受理された核物質等は,いかなる核爆発装置の研究または開発のためにも,また,いかなる軍事的目的のためにも使用してはならないことを規定している.
 さらに,このため,両国政府は本協定にもとづいて受領された核物質等に関し,両国政府がそれぞれ国際原子力機関と締結した保障措置協定にもとづく保障措置等が適用されることが規定されている.

 これらは日米原子力協定だけではなく,日英原子力協定,日仏原子力協定,日加原子力協定,日豪原子力協定,日中原子力協定,日・欧州原子力共同体原子力協定などにもほぼ同様の規定があります.
 そのため核燃料の管理に於いては,「国籍管理」という独特の概念があり,それを元にこれら上記の2国間協定で拘束されることとなります.

 また,注意しなければならないのは,これらの国籍は核燃料物質(核原料物質等も含む)の直接の供給当事国だけではなく,ある条件下で原子炉運転等の活動が行われると,供給当事国の国籍以外の物も付加される事があります.
(条件は大変難解なため,ここでは省略します.)

 これは極端な例ですが,仮に人形峠などで算出された国産のウランを使用したとしても,ある一定の条件を満たす(事実上ほとんど回避することは不可能です)と,例としてアメリカの国籍が付与されてしまい,日米原子力協定の拘束下に入るため,たとえ国産のウランだったとしても,その後は好き勝手に(軍事転用含む)使うことができなくなります.
 また,実際上はこれらのような形で,原子力にまつわる活動をすると何らかの国籍が必ず付与されるような形になっているのが現状です.

 よって,「ならば独自にウランを確保すればいい!」というのは,机上の空論以前の問題と言うことができます.
(これはウラン燃料使用でもMOX燃料使用の場合でも,ほぼ同様です.
 差異はごくごく限られた例外的な場合でしかありません.)

 日本の核武装がほとんど現実味を持たないのが知られてきたのは,素直に喜ばしいことと考えます.
 ただ,専門的に過ぎるので日米原子力協定などが知られていないのはやむを得ませんが,核武装と同様に,日本が自衛艦に原子力推進艦船を保有するのは現法体系(対外約束含む)及び産業構造上,ほぼ不可能であることはもう少し認知されても良い事情と考えます.

 以上,ご参考まで.

へぼ担当 in mixi別館

 そもそも,いくら検索をかけても上記の記事は出てこないので,記事自体がガセの可能性も高いかと.


 【質問】
 人員不足になるので海上自衛隊が正規空母を3隻も保有することは不可能であり,ダメコンのことを考えると大幅な自動化は望ましくない,と以前聞いたのですが,空母自体の運行を自動化した上で,ダメコン要員に陸戦隊を用意しておけば,なんとかなりませんか?

 【回答】
 空母一隻分の装備及び人員リソースが,そもそも地上部隊の三倍必要というのが定説です
 空母三隻揃えるとなると,いきなり部隊の規模は10倍近くになる計算で,まず実現は不可能でしょう.
 その案では,根本的に「海自(陸も空もそうなんだが)に人が足りない」という事態はなにも解決されません.
 空母に人員を割く分,護衛艦を大幅に減らせとでも?
 それに,整備員なども大幅に空母にとられるわけだし,艦載機整備員も大量に要請しなくてはいけないのですが?

 また,その陸戦隊はどうやってつかうのか,という問題も.
 空母に揚陸艇まで積もう,とでも?

 第4に,いくら自動化したって,正規空母に必要な人と金は半端じゃないのです.
 あれだけ空母を運用しているアメリカが自動化を怠っていると思いますか?
 空母の運用には非常に多様な作業が必要で,自動化に頑張ってあれだけの人数(5000人強)が必要なのです.
 新CVは更に頑張って800人ほど減らしてるはずです.
 そして,ダメコンは人手が有れば良いという物では有りません,
 艦の運航・運用に無知な人間をただ載せても,たいして改善しません.
 ダメコン要員に陸戦隊って人員削減から言っても本末転倒でしょう.

 結論:「空母欲しけりゃ防衛予算倍増」


 【質問】
 仮に海自が制空のための空母を持つとした場合,航空関連で必要なものは?

 【回答】
 空母(とそれに付随する空母航空団)を海自が持つ場合.海自は色々新しいものを導入しないといけないわけですね.

・単座/複座ジェット戦闘機

はまぁ,当然ですね.
 ガジェットがF-35B/Cになるのか,F/A-18系になるのか,はてまた赤い国になってSu-33になるのか,「僕の考えたかっこいい戦闘機」になるのかは知りませんが.

 で.STOVL機であれ,CTOL機であれ教育訓練部隊が必須になるんですけど,余裕あんのかねー.
 CTOL機であれば機種選定は簡単ですねー.
 Su-33導入するのでもない限り,米海軍式にT-45 ゴスホーク買うんでしょう.
 ロシア式になると,Su-25Tとかその辺(ぁ

 ハリアーであればTAV-8Bがあるんですけど,F-35Bだとシミュレーターと中等練習機から実機搭乗,って流れでいいのかしら.

 とまぁ,実戦部隊とは別に何らかの教育訓練部隊を持つ必要があるわけですねー.
 初等教育はまぁ,なんとかなんのかしら.
 中等教育以降の訓練課程をどのようにするのか,どう考えてるのかしらん.

 つか,ジェット戦闘機の運用開始って海自航空集団にも初めてのことなんだから,それなりに時間かかると思うけどなぁ.
 岩国,鹿屋,厚木,館山等々部隊は色々ありますけど,訓練空域の問題もあってどーすんのさー,と.

 ……いやまぁ,現状を見る限り,そこまで予算増えない,って想定があるからですけどねー.
 これが防衛予算1.5倍とかなったら,話は変わるんでしょうし,政治決断があればなんとかするんでしょうが.

邪夢 in mixi,2010年12月03日20:35
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 制海艦的な軽空母程度なら,日本でも保有できますか?

 【回答】
 そろそろ飽きてきた方もいると思いますけど,某マイミクさんの日記でも話題になったので,またも中国海軍の空母を論じてみようと思います.
「国力に照らし合わせれば」新たな空母建設に意欲―中国:Record China

 どうも中国は,ヴァリヤーク改造の空母の他に,何隻か国産の空母を建造するつもりのようです.
 まぁ,でも,これが日本侵攻に使われる可能性がなく,対日戦に使ったら第2のヘネラル・ベルグラーノになるのは,前の日記でも論じた通り.
中国空母はむしろ歓迎すべき?(1)
戦略無き空母はただの威信財(1)

……とまぁ,このように中国海軍の空母は所詮,「置物」レベルでしかないんですね.
 STOBAR型空母で,しかも艦載機もSu-33(これも陸上機を艦載機に改造しただけの機体で,重量も重いからせいぜいAAMしか搭載出来ない)のコピーの殲15を搭載する予定ですが,これだってオリジナルのSu-33に比べたら,性能が劣るのは目に見えています.
 空母を仮に5隻並べたとすれば,200機ぐらいにはなりそうですが,中国軍の戦闘機の稼働率はわずか60%しかなく,実際出撃できるのは120機ぐらいしかない.

 さらに整備等も含めると,実際は80機ぐらいで,うち40機は空母を含めた艦隊防空任務に就く事を考えると,対日攻撃が出来るのは40機ぐらいしかないんじゃないかなと.

 さらにまた,E-2C早期警戒機のようなAEWがなく,ヘリAEWだから探知距離も短く,せいぜい100kmが限度なので,対日攻撃すら出来ない可能性が高いのです.
 中国海軍の空母が威力を発揮出来るところとしたら,やっぱり南沙諸島とかそのあたりでしょうね.

 だから中国海軍に対抗するには,駆逐艦をもっと増やすべきとは思いますが,某マイミクさんのマイミクで,コミケの軍事サークルの代表の方の話によれば,それでも日本人は空母を持つだろうと言っています.

 まぁ,あり得ないとは思いますが,頭の体操を兼ねて,海自空母を保有する計画を論じてみようと思います.
 空母型護衛艦なら,すでに「ひゅうが」級2隻が存在し,それよりも満載排水量が上回る22DDHが,予算が付いて建造が行われています.
 「ひゅうが」級は満載排水量なら,イタリア海軍の「ジュゼッペ・ガリバルティ」をも上回っているので,予算さえ付けば,甲板に耐熱工事を施す事も出来るし,ハリアーなら運用は可能でしょう.
 また,22DDHならイタリア海軍の「ガウール」やスペイン海軍の「フアン・カルロス」とほぼ同型である事から,F-35Bの運用は不可能ではありません.
 実際,横浜航空宇宙展で,海自幕僚監部防衛部の装備体系課長である内嶋修1等海佐(当時)は,22DDHの用途については,多目的空母として固定翼機の運用を想定した構想を披露しています.
限りなく空母に近い護衛艦22DDH 海自のDDHは食玩である:清谷信一公式ブログ

 ただ,そうなるとリソースをどうするのかという問題があります.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年07月13日17:21
青文字:加筆改修部分

 前の日記の続きです.
 リソースの確保なら,意外に簡単かも知れません.
 海自の地方隊を廃止すればいいのです.
 横須賀・佐世保・呉・舞鶴・大湊の地方隊を廃止し(ただし大湊には護衛艦隊からの派遣のフリゲート艦を,2隻は配備しておく)その分のリソースを確保すればいいのです.

 地方隊廃止というと結構抵抗感はあるかも知れませんが,もともとは旧海軍の鎮守府や警備府の名残です.
 それが必要だからというわけではありません.
 実際ロシアを見てみなさい,
 旧ソ連軍時代の軍管区制度を,廃止する方向に傾いているではありませんか.
軍改革の次なる一手 管区制廃止も検討:Voice of Russia

 では,地方隊の任務は誰が担うのか?
 それは「もう一つの海軍」に任せればいいのです.

 日本には「もう一つの海軍」が存在します.
 その「もう一つの海軍」とは,海上保安庁の事です.
 海保を使わない手はありません.

 海保は海外から見れば立派な準軍事組織で,アメリカの沿岸警備隊に相当し,実際,GHQは海保をアメリカの沿岸警備隊をモデルとして創設を命じています.
 まぁ,GHQは連合軍総司令部と言いながら,実際は米軍の将官が総司令官で,多数の米軍将校と少数の英軍将校で運営されていたのですから当然ですが.

 海保を海自地方隊の任務を与えるのに問題があるとすれば,海上保安庁法第25条にある条文である,
「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され,訓練され,又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない.」
ですが,これも海保法を改正して,この条文を削除すれば問題はないでしょう.
 もともとこの条文は,自衛隊の前身である警察予備隊が創設される前に,日本は再軍備しないという前提の元で作られた,時代遅れの条文なのですから.
 憲法第9条のようなハードルはないですし,民主党も自民党も反対しないでしょう.

 これを改正したら,巡視船にオート・メララ76mm砲やアスロックランチャー,対空レーダー,SSM発射管,ソナー,短魚雷発射管を増設すればいいのです.
 実際,巡視船「しきしま」や「みずほ」型巡視船なんて,海自のDDレベルの排水量を持っていますし,あそ型などの巡視船はコルベット艦の代替にも使えます.
 馬鹿にしているのか!とネトウヨから言われそうだけど,そうでもないと思うよ.
 実際,米沿岸警備隊のハルミトン型カッターなんて76mm砲やソナー,さらにはCIWSも搭載しているのですから.
ハミルトン級カッター - Wikipedia

 巡視艇もM2やMINIMIを搭載して航行すれば,それだけでもテロ警備に役に立つでしょう.
 さらに日記でも紹介しましたけど,米沿岸警備隊は第二次世界大戦,朝鮮戦争,ベトナム戦争にも参戦しており,メコン川の哨戒では戦果も挙げています.
 「自分たちこそ本家なのに」という,海保のルサンチマンもこれで解決.
 さらに,海自からも独立した軍事組織という位置づけと肩書きを与えるのなら,海保も喜ぶと思いますよ.
 高速ミサイル艇も海保に譲渡すれば,それだけでも経費と人員を空母に回せるわけです.

 ・・・とまぁ,ここまで述べましたけど,空母を持つにはこれだけの改革が必要です.
 地方隊廃止や海保の「準軍事組織化」は,私もやるべきとは思いますよ.
 中国の漁船が海保を舐めている理由は,海自(Navy)は漢級原潜事件で,中国軍にとっては恐怖の対象になりましたけど,海保(Coast Guard)は怖くないという思いがあるからです.
 だから,いつでもNavyに豹変できる装備を持つCoast Guardなら,舐められる事もありません.

 しかし,そこまで捻出出来るのなら,むしろ駆逐艦を増やすか,下地島に全自衛隊の航空部隊を移転させる費用に充てて,空自を強化した方がいいと思いますけどね.
 基地航空隊を強化しろというのは,井上成美・旧海軍大将の言葉です.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年07月13日17:55
青文字:加筆改修部分


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